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特許7172980ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜を具備する素子及び表示装置並びにその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ネガ型感光性樹脂組成物、硬化膜、硬化膜を具備する素子及び表示装置並びにその製造方法
(51)【国際特許分類】
   G03F 7/031 20060101AFI20221109BHJP
   G03F 7/037 20060101ALI20221109BHJP
   G03F 7/004 20060101ALI20221109BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 51/50 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 27/32 20060101ALI20221109BHJP
   H05B 33/12 20060101ALI20221109BHJP
   H05B 33/22 20060101ALI20221109BHJP
   H05B 33/02 20060101ALI20221109BHJP
   H05B 33/10 20060101ALI20221109BHJP
   G02F 1/1339 20060101ALI20221109BHJP
   G02F 1/1335 20060101ALI20221109BHJP
   G03F 7/20 20060101ALI20221109BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20221109BHJP
   G09F 9/30 20060101ALI20221109BHJP
   C08G 73/06 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G03F7/031
G03F7/037 501
G03F7/037
G03F7/004 505
G03F7/027 502
H05B33/14 A
H01L27/32
H05B33/12 B
H05B33/22 Z
H05B33/02
H05B33/10
G02F1/1339 500
G02F1/1335 500
G03F7/20 501
G03F7/20 521
G09F9/00 338
G09F9/30 365
G09F9/30 308Z
C08G73/06
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2019503358
(86)(22)【出願日】2019-01-15
(86)【国際出願番号】 JP2019000949
(87)【国際公開番号】W WO2019150938
(87)【国際公開日】2019-08-08
【審査請求日】2021-11-17
(31)【優先権主張番号】P 2018014719
(32)【優先日】2018-01-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003159
【氏名又は名称】東レ株式会社
(72)【発明者】
【氏名】東後 行倫
(72)【発明者】
【氏名】谷垣 勇剛
(72)【発明者】
【氏名】三好 一登
【審査官】倉本 勝利
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-041058(JP,A)
【文献】特開2017-215569(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0167208(US,A1)
【文献】特開2018-063405(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03F 7/031
G03F 7/037
G03F 7/004
G03F 7/027
H01L 51/50
H01L 27/32
H05B 33/12
H05B 33/22
H05B 33/02
H05B 33/10
G02F 1/1339
G02F 1/1335
G03F 7/20
G09F 9/00
G09F 9/30
C08G 73/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)光重合開始剤及び(Da)黒色顔料を含有するネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール、及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体から選ばれる1種類以上を含み、
前記(C)光重合開始剤が少なくとも、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤及び(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含み、前記(C)光重合開始剤に占める前記(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が51~95質量%であり、
前記(Da)黒色顔料の含有比率が、ネガ型感光性樹脂組成物の全固形分中に対して5~50質量%であることを特徴とする、ネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項2】
前記(C)光重合開始剤に占める、前記(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が60~85質量%であり、前記(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率が15~40質量%である、請求項1に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項3】
前記(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤が、1分子中に2つ以上のα-ヒドロキシケトン構造を有する、請求項1又は請求項2に記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項4】
前記(B)ラジカル重合性化合物が、(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物を含有し、
前記(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物が、ラクトン変性鎖及びラクタム変性鎖からなる群から選ばれる少なくとも1つの変性鎖を有する、請求項1~3のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項5】
前記(Da)黒色顔料が、(Da-1)黒色有機顔料、及び(Da-3)混合されて黒色を呈する2色以上の顔料の混合物の何れかまたは両方を含有する、請求項1~4のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項6】
前記(Da)黒色顔料が、(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(Da-1b)ペリレン系黒色顔料及び(Da-1c)アゾ系黒色顔料からなる群より選ばれる一種類以上を含有する、請求項1~5のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項7】
ポリイミドを含有するフレキシブル基板を具備する有機EL表示装置の画素分割層の形成に用いる、請求項1~6のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項1~7のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜。
【請求項9】
膜厚1μm当たりの光学濃度が、0.3~3.0である、請求項8に記載の硬化膜。
【請求項10】
請求項8又は9に記載の硬化膜を具備する素子。
【請求項11】
請求項8又は9に記載の硬化膜を具備する表示装置。
【請求項12】
前記硬化膜は画素分割層として用いられるともに、表示エリアにおける画素分割層の開口部の開口率が、20%以下である、請求項11に記載の表示装置。
【請求項13】
表示装置が、有機EL表示装置又は液晶表示装置である、請求項11又は12に記載の表示装置。
【請求項14】
前記有機EL表示装置に用いられる基板が可撓性を有していることを特徴とする請求項13に記載の表示装置。
【請求項15】
(1)基板上に、請求項1~7のいずれかに記載のネガ型感光性樹脂組成物の塗膜を成膜する工程、
(2)前記ネガ型感光性樹脂組成物の塗膜にフォトマスクを介して活性化学線を照射する工程、
(3)アルカリ溶液を用いて現像し、前記ネガ型感光性樹脂組成物のパターンを形成する工程、及び、
(4)前記パターンを加熱して、前記ネガ型感光性樹脂組成物の硬化パターンを得る工程、
を有する、表示装置の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネガ型感光性樹脂組成物及びそれを用いた硬化膜、素子、表示装置並びに表示装置の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、スマートフォン、タブレットPC及びテレビなど、薄型ディスプレイを有する表示装置において、有機エレクトロルミネッセンス(以下、「有機EL」と記載することがある)ディスプレイを用いた製品が多く開発されている。
【0003】
有機ELディスプレイは、陰極から注入された電子と、陽極から注入された正孔との再結合によるエネルギーを用いて発光する自発光素子を有する。そのため、電子又は正孔の移動を阻害する物質、及び電子と正孔の再結合を阻害するエネルギー準位を形成する物質などが存在すると、発光素子の発光効率の低下又は発光材料の失活などの影響を及ぼすため、発光素子の寿命低下に繋がる。画素分割層は、発光素子に隣接する位置に形成されるため、画素分割層からの脱ガスやイオン成分の流出は、有機ELディスプレイの寿命低下の一因と成り得る。そのため、画素分割層には高耐熱性が要求される。高耐熱性を有する感光性樹脂組成物としては、高耐熱性のポリイミド等の樹脂を用いたネガ型感光性樹脂組成物が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、有機ELディスプレイは自発光素子を有するため、屋外における太陽光などの外からの光(外光)が入射すると、その外光が視認者側に反射されることによって視認性及びコントラストが低下する。そのため、外光の反射を低減する技術が要求される。
【0005】
外光を遮断して外光の反射を低減する技術としては、液晶ディスプレイのカラーフィルタに用いられるブラックマトリックスが挙げられる。すなわち、顔料などの着色剤を含有する感光性樹脂組成物を用いて遮光性を有する画素分割層を形成することで、外光の反射を低減するという手法である。しかしながら、感光性樹脂組成物に遮光性を付与させるために着色剤として顔料などを含有させる場合、顔料の含有量を増加させるに従って、パターン露光時に用いる紫外線等の活性光線も遮断されるため、露光時の感度が低下してしまう。このような状況において、感光性樹脂組成物の感度を良好にすることのできる光重合開始剤として、オキシムエステル化合物を用いることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】国際公開第2017/057281号パンフレット
【文献】特開2012-189996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来知られていた顔料を含有する感光性樹脂組成物は、何れも、有機ELディスプレイの画素分割層を形成する材料として使用するには感度、耐熱性及び遮光性のいずれかが不足していた。
【0008】
加えて、遮光性を向上させるために感光性樹脂組成物に顔料を含有させる場合、アルカリ現像時に硬化部から顔料が剥がれ落ち、顔料起因の現像残渣が開口部に残存してしまう。さらに、顔料の含有量を増加させるに従って、顔料起因の現像残渣も増加するため、遮光性と現像残渣抑制の両立が困難となる課題があった。さらに、顔料起因の現像残渣は、有機EL発光素子を形成した際の発光領域におけるダークスポットの発生など、有機EL発光素子の不良発生の原因となるという課題もあった。
【0009】
そこで本発明は、高感度であり、また、顔料起因の現像残渣の発生を抑制することでき、また、耐熱性及び遮光性に優れた硬化膜を得ることが可能なネガ型感光性樹脂組成物を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)光重合開始剤及び(Da)黒色顔料を含有するネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール、及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体から選ばれる1種類以上を含み、
前記(C)光重合開始剤が少なくとも、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤及び(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含み、前記(C)光重合開始剤に占める、前記(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が51~95質量%であり、前記(Da)黒色顔料の含有比率が、ネガ型感光性樹脂組成物の全固形分中における5~50質量%であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物によれば、顔料起因の現像残渣の発生を抑制し、高感度であり、耐熱性及び遮光性に優れた硬化膜を得ることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1(1)~(7)は、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を用いた有機ELディスプレイの製造プロセスを例示する工程図である。
図2図2(1)~(13)は、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を用いた液晶ディスプレイの製造プロセスを例示する工程図である。
図3図3(1)~(10)は、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を用いたフレキシブル有機ELディスプレイの製造プロセスを例示する工程図である。
図4図4(1)~(4)は、発光特性評価に用いた有機EL表示装置の概略図である。
図5図5は、偏光層を有しない有機ELディスプレイを例示する概略図である。
図6図6は、偏光層を有しないフレキシブル有機ELディスプレイを例示する概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂、(B)ラジカル重合性化合物、(C)光重合開始剤及び(Da)黒色顔料を含有するネガ型感光性樹脂組成物であって、
前記(A)アルカリ可溶性樹脂が、(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール、及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体から選ばれる1種類以上を含み、
前記(C)光重合開始剤が少なくとも、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤及び(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含み、前記(C)光重合開始剤に占める、前記(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が51~95質量%であり、前記(Da)黒色顔料の含有比率が、ネガ型感光性樹脂組成物の全固形分中における5~50質量%であることを特徴とする。
【0014】
<(A1)第1の樹脂>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂として、少なくとも(A1)第1の樹脂を含有する。(A1)第1の樹脂として、(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール、及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体から選ばれる一種類以上を含有する。
【0015】
上記樹脂は、その構造内に極性を持つ構造を有するために、(Da)黒色顔料と強く相互作用するため、(Da)黒色顔料の分散安定性を向上させることができる。
【0016】
本発明において、(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール、及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、単一の樹脂又はそれらの共重合体のいずれであっても構わない。
【0017】
(A)アルカリ可溶性樹脂としては、ハーフトーン特性向上、硬化膜の耐熱性向上、及び、発光素子の信頼性向上の観点から、(A1)第1の樹脂として、(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール、及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体からなる群より選ばれる一種類以上を含有することが好ましく、(A1-1)ポリイミド及び(A1-3)ポリベンゾオキサゾールの何れかまたは両方を含有することがより好ましく、(A1-1)ポリイミドを含有することがさらに好ましい。
【0018】
<(A1-1)ポリイミド及び(A1-2)ポリイミド前駆体>
(A1-2)ポリイミド前駆体としては、例えば、テトラカルボン酸、対応するテトラカルボン酸二無水物又はテトラカルボン酸ジエステル二塩化物などと、ジアミン、対応するジイソシアネート化合物又はトリメチルシリル化ジアミンなどと、を反応させることによって得られるものが挙げられ、テトラカルボン酸又はその誘導体の残基と、ジアミン又はその誘導体の残基を有する。(A1-2)ポリイミド前駆体としては、例えば、ポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド又はポリイソイミドが挙げられる。
【0019】
(A1-2)ポリイミド前駆体は、熱硬化性樹脂であり、高温で熱硬化させて脱水閉環させることで高耐熱性のイミド結合が形成され、(A1-1)ポリイミドが得られる。従って、(A1-2)ポリイミド前駆体は、脱水閉環後に耐熱性が向上する樹脂であるため、脱水閉環前の前駆体構造の特性と硬化膜の耐熱性を両立させたい用途に用いる場合などに好適である。
【0020】
(A1-1)ポリイミドとしては、例えば、上記のポリアミド酸、ポリアミド酸エステル、ポリアミド酸アミド又はポリイソイミドを、加熱又は酸若しくは塩基などを用いた反応により、脱水閉環させることによって得られるものが挙げられ、テトラカルボン酸又はその誘導体の残基と、ジアミン又はその誘導体の残基を有する。
【0021】
高耐熱性のイミド結合を有する(A1-1)ポリイミドをネガ型感光性樹脂組成物に含有させることで、得られる硬化膜の耐熱性を著しく向上させることができる。そのため、硬化膜を高耐熱性が要求される用途に用いる場合などに好適である。
【0022】
本発明に用いられる(A1-1)ポリイミドとしては、硬化膜の耐熱性向上の観点から、下記一般式(1)で表される構造単位を含有することが好ましい。
【0023】
【化1】
【0024】
一般式(1)において、Rは、4~10価の有機基を表し、Rは、2~10価の有機基を表す。R及びRは、それぞれ独立して、フェノール性水酸基、スルホン酸基、メルカプト基又は一般式(5)若しくは一般式(6)で表される置換基を表す。pは、0~6の整数を表し、qは、0~8の整数を表す。
【0025】
一般式(1)のRは、テトラカルボン酸又はその誘導体の残基を表し、Rは、ジアミン又はその誘導体の残基を表す。テトラカルボン酸誘導体としては、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸二塩化物又はテトラカルボン酸活性ジエステルが挙げられる。ジアミン誘導体としては、ジイソシアネート化合物又はトリメチルシリル化ジアミンが挙げられる。
【0026】
一般式(1)において、Rは、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造及び炭素数6~30の芳香族構造から選ばれる一種類以上を有する4~10価の有機基が好ましい。また、Rは、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造及び炭素数6~30の芳香族構造から選ばれる一種類以上を有する2~10価の有機基が好ましい。qは、1~8が好ましい。上記の脂肪族構造、脂環式構造及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0027】
【化2】
【0028】
一般式(5)及び一般式(6)において、R19~R21は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数2~6のアシル基又は炭素数6~15のアリール基を表す。一般式(5)及び一般式(6)において、R19~R21は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~6のアルキル基、炭素数2~4のアシル基又は炭素数6~10のアリール基が好ましい。上記のアルキル基、アシル基及びアリール基は、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0029】
本発明に用いられる(A1-2)ポリイミド前駆体としては、硬化膜の耐熱性向上及び現像後の解像度向上の観点から、下記一般式(3)で表される構造単位を含有することが好ましい。
【0030】
【化3】
【0031】
一般式(3)において、Rは、4~10価の有機基を表し、R10は、2~10価の有機基を表す。R11は、前記一般式(5)又は一般式(6)で表される置換基を表し、R12は、フェノール性水酸基、スルホン酸基又はメルカプト基を表し、R13は、フェノール性水酸基、スルホン酸基、メルカプト基又は前記一般式(5)若しくは一般式(6)で表される置換基を表す。tは、2~8の整数を表し、uは、0~6の整数を表し、vは、0~8の整数を表し、2≦t+u≦8である。
【0032】
一般式(3)のRは、テトラカルボン酸又はその誘導体の残基を表し、R10は、ジアミン又はその誘導体の残基を表す。テトラカルボン酸誘導体としては、テトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸二塩化物又はテトラカルボン酸活性ジエステルが挙げられる。ジアミン誘導体としては、ジイソシアネート化合物又はトリメチルシリル化ジアミンが挙げられる。
【0033】
一般式(3)において、Rは、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造及び炭素数6~30の芳香族構造から選ばれる一種類以上を有する4~10価の有機基が好ましい。また、R10は、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造及び炭素数6~30の芳香族構造から選ばれる一種類以上を有する2~10価の有機基が好ましい。vは、1~8が好ましい。上記の脂肪族構造、脂環式構造及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0034】
<(A1-3)ポリベンゾオキサゾール及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体>
(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、例えば、ジカルボン酸、対応するジカルボン酸二塩化物又はジカルボン酸活性ジエステルなどと、ジアミンとしてビスアミノフェノール化合物などと、を反応させることによって得られるものが挙げられ、ジカルボン酸又はその誘導体の残基と、ビスアミノフェノール化合物又はその誘導体の残基を有する。(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、例えば、ポリヒドロキシアミドが挙げられる。
【0035】
(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、熱硬化性樹脂であり、高温で熱硬化させて脱水閉環させることで高耐熱性かつ剛直なベンゾオキサゾール環が形成され、(A1-3)ポリベンゾオキサゾールが得られる。従って、(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、脱水閉環後に耐熱性が向上する樹脂であるため、脱水閉環前の前駆体構造の特性と硬化膜の耐熱性を両立させたい用途に用いる場合などに好適である。
【0036】
(A1-3)ポリベンゾオキサゾールとしては、例えば、ジカルボン酸と、ジアミンとしてビスアミノフェノール化合物とを、ポリリン酸を用いた反応により、脱水閉環させることによって得られるものや、上記のポリヒドロキシアミドを、加熱又は無水リン酸、塩基若しくはカルボジイミド化合物などを用いた反応により、脱水閉環させることによって得られるものが挙げられ、ジカルボン酸又はその誘導体の残基と、ビスアミノフェノール化合物又はその誘導体の残基を有する。
【0037】
高耐熱性かつ剛直なベンゾオキサゾール環を有する(A1-3)ポリベンゾオキサゾールをネガ型感光性樹脂組成物に含有させることで、得られる硬化膜の耐熱性を著しく向上させることができる。そのため、硬化膜を高耐熱性が要求される用途に用いる場合などに好適である。
【0038】
本発明に用いられる(A1-3)ポリベンゾオキサゾールとしては、硬化膜の耐熱性向上の観点から、一般式(2)で表される構造単位を含有することが好ましい。
【0039】
【化4】
【0040】
一般式(2)において、Rは、2~10価の有機基を表し、Rは、芳香族構造を有する4~10価の有機基を表す。R及びRは、それぞれ独立して、フェノール性水酸基、スルホン酸基、メルカプト基又は前記一般式(5)若しくは一般式(6)で表される置換基を表す。rは、0~8の整数を表し、sは、0~6の整数を表す。
【0041】
一般式(2)のRは、ジカルボン酸又はその誘導体の残基を表し、Rは、ビスアミノフェノール化合物又はその誘導体の残基を表す。ジカルボン酸誘導体としては、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸塩化物、ジカルボン酸活性エステル、トリカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物、トリカルボン酸活性エステル、ジホルミル化合物が挙げられる。
【0042】
一般式(2)において、Rは、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造及び炭素数6~30の芳香族構造から選ばれる一種類以上を有する2~10価の有機基が好ましい。また、Rは、炭素数6~30の芳香族構造を有する4~10価の有機基が好ましい。sは、1~8が好ましい。上記の脂肪族構造、脂環式構造及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0043】
本発明に用いられる(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体としては、硬化膜の耐熱性向上及び現像後の解像度向上の観点から、一般式(4)で表される構造単位を含有することが好ましい。
【0044】
【化5】
【0045】
一般式(4)において、R14は、2~10価の有機基を表し、R15は、芳香族構造を有する4~10価の有機基を表す。R16は、フェノール性水酸基、スルホン酸基、メルカプト基又は前記一般式(5)若しくは一般式(6)で表される置換基を表し、R17は、フェノール性水酸基を表し、R18は、スルホン酸基、メルカプト基又は前記一般式(5)若しくは一般式(6)で表される置換基を表す。wは、0~8の整数を表し、xは、2~8の整数を表し、yは、0~6の整数を表し、2≦x+y≦8である。
【0046】
一般式(4)のR14は、ジカルボン酸又はその誘導体の残基を表し、R15は、ビスアミノフェノール化合物及又はその誘導体の残基を表す。ジカルボン酸誘導体としては、ジカルボン酸無水物、ジカルボン酸塩化物、ジカルボン酸活性エステル、トリカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物、トリカルボン酸活性エステル、ジホルミル化合物が挙げられる。
【0047】
一般式(4)において、R14は、炭素数2~20の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造及び炭素数6~30の芳香族構造から選ばれる一種類以上を有する2~10価の有機基が好ましい。また、R15は、炭素数6~30の芳香族構造を有する4~10価の有機基が好ましい。上記の脂肪族構造、脂環式構造及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0048】
<テトラカルボン酸及びジカルボン酸並びにそれらの誘導体>
テトラカルボン酸としては、例えば、芳香族テトラカルボン酸、脂環式テトラカルボン酸又は脂肪族テトラカルボン酸が挙げられる。これらのテトラカルボン酸は、カルボキシ基の酸素原子以外にヘテロ原子を有してもよい。
【0049】
芳香族テトラカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、1,2,4,5-ベンゼンテトラカルボン酸(ピロメリット酸)、3,3’,4,4’-ビフェニルテトラカルボン酸、1,2,5,6-ナフタレンテトラカルボン酸、3,3’,4,4’-ベンゾフェノンテトラカルボン酸、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)スルホン、ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボン酸若しくは3,4,9,10-ペリレンテトラカルボン酸、N,N’-ビス[5,5’-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル-ビス(2-ヒドロキシフェニル)]ビス(3,4-ジカルボキシ安息香酸アミド)、又は、それらのテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸二塩化物若しくはテトラカルボン酸活性ジエステルが挙げられる。
【0050】
脂環式テトラカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、ビシクロ[2.2.2]オクタン-7-エン-2,3,5,6-テトラカルボン酸、1,2,4,5-シクロヘキサンテトラカルボン酸、1,2,3,4-シクロブタンテトラカルボン酸若しくは2,3,4,5-テトラヒドロフランテトラカルボン酸、又は、それらのテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸二塩化物若しくはテトラカルボン酸活性ジエステルが挙げられる。
【0051】
脂肪族テトラカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、ブタン-1,2,3,4-テトラカルボン酸、又は、そのテトラカルボン酸二無水物、テトラカルボン酸二塩化物若しくはテトラカルボン酸活性ジエステルが挙げられる。
【0052】
(A1-3)ポリベンゾオキサゾール及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体を得るにおいて、好ましくジカルボン酸及びその誘導体並びにトリカルボン酸及びその誘導体を用いることができる。
【0053】
ジカルボン酸及びトリカルボン酸としては、例えば、芳香族ジカルボン酸、芳香族トリカルボン酸、脂環式ジカルボン酸、脂環式トリカルボン酸、脂肪族ジカルボン酸、脂肪族トリカルボン酸が挙げられる。これらジカルボン酸及びトリカルボン酸は、カルボキシ基の酸素原子以外に、酸素原子以外のヘテロ原子を有してもよい。
【0054】
芳香族ジカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、4,4’-ジカルボキシビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジカルボキシビフェニル、4,4’-ベンゾフェノンジカルボン酸、2,2-ビス(4-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(3-カルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン若しくは4,4’-ジカルボキシジフェニルエーテル、又は、それらのジカルボン酸無水物、ジカルボン酸塩化物、ジカルボン酸活性エステル若しくはジホルミル化合物が挙げられる。
【0055】
芳香族トリカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸、2,4,5-ベンゾフェノントリカルボン酸、2,4,4’-ビフェニルトリカルボン酸若しくは3,3’,4’-トリカルボキシジフェニルエーテル、又は、それらのトリカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物、トリカルボン酸活性エステル若しくはジホルミルモノカルボン酸が挙げられる。
【0056】
脂環式ジカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、3-メチルテトラヒドロフタル酸、4-メチルヘキサヒドロフタル酸、1,4-シクロヘキサンジカルボン酸若しくは1,2-シクロヘキサンジカルボン酸、又は、それらのジカルボン酸無水物、ジカルボン酸塩化物、ジカルボン酸活性エステル若しくはジホルミル化合物が挙げられる。
【0057】
脂環式トリカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、1,2,4-シクロヘキサントリカルボン酸若しくは1,3,5-シクロヘキサントリカルボン酸、又は、それらのトリカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物、トリカルボン酸活性エステル若しくはジホルミルモノカルボン酸が挙げられる。
【0058】
脂肪族ジカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸、マロン酸、コハク酸若しくはヘキサン-1,6-ジカルボン酸、又は、それらのジカルボン酸無水物、ジカルボン酸塩化物、ジカルボン酸活性エステル若しくはジホルミル化合物が挙げられる。
【0059】
脂肪族トリカルボン酸及びその誘導体としては、例えば、ヘキサン-1,3,6-トリカルボン酸若しくはプロパン-1,2,3-トリカルボン酸、又は、それらのトリカルボン酸無水物、トリカルボン酸塩化物、トリカルボン酸活性エステル若しくはジホルミルモノカルボン酸が挙げられる。
【0060】
<ジアミン及びその誘導体>
ジアミン及びその誘導体としては、例えば、芳香族ジアミン、ビスアミノフェノール化合物、脂環式ジアミン、脂環式ジヒドロキシジアミン、脂肪族ジアミン又は脂肪族ジヒドロキシジアミンが挙げられる。これらジアミン及びその誘導体は、アミノ基及びその誘導体が有する窒素原子、酸素原子以外に、ヘテロ原子を有してもよい。
【0061】
芳香族ジアミン及びビスアミノフェノール化合物並びにそれらの誘導体としては、例えば、p-フェニレンジアミン、1,4-ビス(4-アミノフェノキシ)ベンゼン、2,2’-ジメチル-4,4’-ジアミノビフェニル、2,2’-ビス(トリフルオロメチル)-4,4’-ジアミノビフェニル、3,3’-ジアミノ-4,4’-ビフェノール、1,5-ナフタレンジアミン、9,9-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)フルオレン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)スルホン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフィド、ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)エーテル、3-スルホン酸-4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、ジメルカプトフェニレンジアミン若しくはN,N’-ビス[5,5’-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル-ビス(2-ヒドロキシフェニル)]ビス(3-アミノ安息香酸アミド)、又は、それらのジイソシアネート化合物若しくはトリメチルシリル化ジアミンが挙げられる。
【0062】
脂環式ジアミン及び脂環式ジヒドロキシジアミン並びにそれらの誘導体としては、例えば、1,4-シクロヘキサンジアミン、ビス(4-アミノシクロヘキシル)メタン、3,6-ジヒドロキシ-1,2-シクロヘキサンジアミン若しくはビス(3-ヒドロキシ-4-アミノシクロヘキシル)メタン、又は、それらのジイソシアネート化合物若しくはトリメチルシリル化ジアミンが挙げられる。
【0063】
脂肪族ジアミン及び脂肪族ジヒドロキシジアミン並びにそれらの誘導体としては、例えば、1,6-ヘキサメチレンジアミン若しくは2,5-ジヒドロキシ-1,6-ヘキサメチレンジアミン、又は、それらのジイソシアネート化合物若しくはトリメチルシリル化ジアミンが挙げられる。
【0064】
<末端封止剤>
先述の(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、樹脂の末端が、モノアミン、ジカルボン酸無水物、モノカルボン酸、モノカルボン酸塩化物又はモノカルボン酸活性エステルなどの末端封止剤で封止されていても構わない。樹脂の末端が、末端封止剤で封止されることで、末端封止された(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体を含有する樹脂組成物の塗液の保管安定性を向上させることができる。
【0065】
(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体の各々において、各種カルボン酸に由来する構造単位および各種アミンに由来する構造単位のポリマー中における含有比率は、H-NMR、13C-NMR、15N-NMR、IR、TOF-MS、元素分析法及び灰分測定などを組み合わせて求めることができる。
【0066】
<(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール及び/又は(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体の物性>
(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体の各々についてその重量平均分子量(以下、「Mw」)は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(以下、「GPC」)で測定されるポリスチレン換算のMwとして、1,000~500,000が好ましい。Mwを上記範囲とすることで塗布時のレベリング性及びアルカリ現像液でのパターン加工性を向上させることができる。
【0067】
(A)アルカリ可溶性樹脂のアルカリ溶解速度としては、50nm/分~12,000nm/分が好ましい。アルカリ溶解速度が上記範囲であると、アルカリ現像時における現像後の解像度を向上させ、膜減りを抑制することができる。
【0068】
ここでいうアルカリ溶解速度とは、樹脂をγ-ブチロラクトンに溶解した溶液をSiウェハ上に塗布した後、120℃で4分間プリベークして膜厚10μm±0.5μmのプリベーク膜を成膜し、該プリベーク膜を23±1℃の2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液で60秒間現像し、水で30秒間リンスした後の膜厚減少値をいう。
【0069】
(A1-1)ポリイミド及び(A1-2)ポリイミド前駆体は、公知の方法で合成することができる。例えば、N-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒中で、テトラカルボン酸二無水物とジアミン(一部を末端封止剤であるモノアミンに置き換え)と、を80~200℃で反応させる方法、又は、テトラカルボン酸二無水物(一部を末端封止剤であるジカルボン酸無水物、モノカルボン酸、モノカルボン酸塩化物若しくはモノカルボン酸活性エステルに置き換え)とジアミンと、を80~200℃で反応させる方法などが挙げられる。
【0070】
(A1-3)ポリベンゾオキサゾール及び(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体は、公知の方法で合成できる。例えば、N-メチル-2-ピロリドンなどの極性溶媒中で、ジカルボン酸活性ジエステルとビスアミノフェノール化合物(一部を末端封止剤であるモノアミンに置き換え)と、を80~250℃で反応させる方法、又は、ジカルボン酸活性ジエステル(一部を末端封止剤であるジカルボン酸無水物、モノカルボン酸、モノカルボン酸塩化物若しくはモノカルボン酸活性エステルに置き換え)とビスアミノフェノール化合物と、を80~250℃で反応させる方法などが挙げられる。
【0071】
<(A2)第2の樹脂>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(A)アルカリ可溶性樹脂として、(A2)第2の樹脂を含有することが好ましい。(A2)第2の樹脂として、露光時の感度向上及び現像後のパターン形状制御による低テーパー化の観点から、(A2-1)ポリシロキサンを含有することが好ましい。本発明において、(A2-1)ポリシロキサンは、単一種のモノマーが重合された樹脂および複数種のモノマーが重合された重合体のいずれであっても構わない。
【0072】
<(A2-1)ポリシロキサン>
本発明に用いられる(A2-1)ポリシロキサンとしては、例えば、三官能オルガノシラン、四官能オルガノシラン、二官能オルガノシラン及び一官能オルガノシランから選ばれる一種類以上を加水分解し、脱水縮合させて得られるポリシロキサンが挙げられる。
【0073】
(A2-1)ポリシロキサンは熱硬化性樹脂であり、高温で熱硬化させて脱水縮合させることで高耐熱性のシロキサン結合(Si-O)が形成される。従って、高耐熱性のシロキサン結合を有する(A2-1)ポリシロキサンをネガ型感光性樹脂組成物に含有させることで、得られる硬化膜の耐熱性を向上させることができる。また、脱水縮合後に耐熱性が向上する樹脂であるため、脱水縮合前の特性と硬化膜の耐熱性を両立させたい用途に用いる場合などに好適である。
【0074】
三官能オルガノシランとしては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、n-プロピルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、3-[(3-エチル-3-オキセタニル)メトキシ]プロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(4-アミノフェニル)プロピルトリメトキシシラン、1-(3-トリメトキシシリルプロピル)尿素、3-トリエトキシシリル-N-(1,3-ジメチルブチリデン)プロピルアミン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、1,3,5-トリス(3-トリメトキシシリルプロピル)イソシアヌル酸、N-t-ブチル-2-(3-トリメトキシシリルプロピル)コハク酸イミド又はN-t-ブチル-2-(3-トリエトキシシリルプロピル)コハク酸イミドなどの三官能オルガノシランが挙げられ、特に2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを含有することが好ましい。2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランを含有することで、アルカリ現像時のパターン加工性向上及び露光時の感度向上が可能となる。
【0075】
四官能オルガノシランとしては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン若しくはテトラ-n-プロポキシシランなどの四官能オルガノシラン又はメチルシリケート51(扶桑化学工業(株)製)、Mシリケート51(多摩化学工業(株)製)若しくはメチルシリケート51(コルコート(株)製)などのシリケート化合物が挙げられる。
【0076】
二官能オルガノシランとしては、例えば、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジエチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジメトキシジシロキサン又は1,1,3,3-テトラエチル-1,3-ジメトキシジシロキサンなどの二官能オルガノシランが挙げられる。
【0077】
一官能オルガノシランとしては、例えば、トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリ-n-プロピルメトキシシラン、(3-グリシドキシプロピル)ジメチルメトキシシラン又は(3-グリシドキシプロピル)ジメチルエトキシシランなどの一官能オルガノシランが挙げられる。
【0078】
<(A2-1)ポリシロキサンの物性>
本発明に用いられる(A2-1)ポリシロキサンのMwとしては、GPCで測定されるポリスチレン換算のMwとして、500以上が好ましく、700以上がより好ましく、1,000以上がさらに好ましい。Mwが500以上であると、現像後の解像度を向上させることができる。一方、Mwとしては、100,000以下が好ましく、50,000以下がより好ましく、20,000以下がさらに好ましい。Mwが100,000以下であると、塗布時のレベリング性及びアルカリ現像液でのパターン加工性を向上させることができる。
【0079】
(A2-1)ポリシロキサンは、公知の方法で合成することができる。例えば、反応溶媒中で、オルガノシランを加水分解し、脱水縮合させる方法などが挙げられる。オルガノシランを加水分解し、脱水縮合する方法としては、例えば、オルガノシランを含む混合物に、反応溶媒及び水、さらに必要に応じて触媒を添加し、50~150℃、好ましくは90~130℃で、0.5~100時間程度加熱攪拌する方法などが挙げられる。なお、加熱攪拌中、必要に応じて蒸留によって加水分解副生物(メタノールなどのアルコール)や縮合副生物(水)を蒸留により留去しても構わない。
【0080】
<(B)ラジカル重合性化合物>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(B)ラジカル重合性化合物を含有する。
【0081】
(B)ラジカル重合性化合物とは、分子中に複数のエチレン性不飽和二重結合基を有する化合物をいう。露光時、後述する(C)光重合開始剤から発生するラジカルによって、(B)ラジカル重合性化合物のラジカル重合が進行し、樹脂組成物の膜の露光部がアルカリ現像液に対して不溶化することで、ネガ型のパターンを形成することができる。
【0082】
(B)ラジカル重合性化合物としては、ラジカル重合の進行しやすい、(メタ)アクリル基を有する化合物が好ましい。露光時の感度向上及び硬化膜の硬度向上の観点から、(メタ)アクリル基を分子中に2つ以上有する化合物がより好ましい。(B)ラジカル重合性化合物の二重結合当量としては、露光時の感度向上、及び、低テーパー形状のパターン形成の観点から、80~800g/molが好ましい。
【0083】
(B)ラジカル重合性化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロール-トリシクロデカンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールウンデカ(メタ)アクリレート、ペンタペンタエリスリトールドデカ(メタ)アクリレート、エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、2,2-ビス[4-(3-(メタ)アクリロキシ-2-ヒドロキシプロポキシ)フェニル]プロパン、1,3,5-トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸若しくは1,3-ビス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸又はそれらの酸変性体が挙げられる。また、現像後の解像度向上の観点から、分子中に2つ以上のグリシドキシ基を有する化合物とエチレン性不飽和二重結合基を有する不飽和カルボン酸と、を開環付加反応させて得られる化合物に、多塩基酸カルボン酸又は多塩基カルボン酸無水物を反応させて得られる化合物も好ましく用いられる。
【0084】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に占める(B)ラジカル重合性化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)ラジカル重合性化合物の合計を100質量部とした場合において、15質量部~65質量部が好ましい。上記範囲とすることで、露光時の感度と硬化膜の耐熱性を向上させることができるとともに、低テーパーのパターン形状を得ることができる。
【0085】
<(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物としては、(B)ラジカル重合性化合物が、(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物を含有することが好ましい。
【0086】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物とは、分子中に複数のエチレン性不飽和二重結合基、および、脂肪族鎖若しくはオキシアルキレン鎖などの柔軟骨格を有する化合物をいい、その具体的な例としては、分子中に一般式(24)で表される基、及び、2個以上の一般式(25)で表される基を有する化合物である。一般式(25)で表される基を3個以上有する化合物が好ましい。
【0087】
【化6】
【0088】
一般式(24)において、R125は、水素又は炭素数1~10のアルキル基を表す。Z17は、一般式(29)で表される基又は一般式(30)で表される基を表す。aは、1~10の整数を表し、bは、1~4の整数を表し、cは、0又は1を表し、dは、1~4の整数を表し、eは、0又は1を表す。cが、0の場合、dは、1である。一般式(25)において、R126~R128は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~15のアリール基を表す。一般式(30)において、R129は、水素又は炭素数1~10のアルキル基を表す。一般式(24)において、cは、1が好ましく、eは、1が好ましい。一般式(25)において、R126は、水素又は炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素又はメチル基がより好ましい。R127及びR128は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素がより好ましい。一般式(30)において、R129は、水素又は炭素数1~4のアルキル基が好ましく、水素又はメチル基がより好ましい。一般式(24)において、cが、1であると、現像後の残渣発生を抑制することができる。
【0089】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物を含有させることで、露光時の硬化が効率的に進行し、露光時の感度を向上させることができる。加えて、(Da)黒色顔料を含有させる場合、(Da)黒色顔料が(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物の硬化時の架橋によって硬化部に固定化されることで、(Da)黒色顔料に由来する現像後の残渣発生を抑制することができる。また、熱硬化後に低テーパー形状のパターンを形成することができる。
【0090】
さらに、後述する(Da)黒色顔料として、特に(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料を含有させる場合、前述した通り、前記顔料のアルカリ耐性不足に起因した、顔料由来の現像残渣が発生する場合がある。そのような場合にも、(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物を含有させることで、前記顔料由来の現像残渣発生を抑制することができる。
【0091】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物としては、一般式(27)又は一般式(28)で表される化合物が好ましい。
【0092】
【化7】
【0093】
一般式(27)において、X28は、2価の有機基を表す。Y28~Y33は、それぞれ独立して、直接結合又は前記一般式(24)で表される基を表し、Y28~Y33のうち、少なくとも1つは前記一般式(24)で表される基である。P12~P17は、それぞれ独立して、水素又は前記一般式(25)で表される基を表し、P12~P17のうち、少なくとも3つは前記一般式(25)で表される基である。a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0又は1を表し、gは、0~10の整数を表す。但し、a、b、c、d、e及びfのうち1であるものにあってはその場合のカルボニル基に隣接するP12~P17は、前記一般式(25)で表される基である。
【0094】
一般式(27)において、X28は、炭素数1~10の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造及び炭素数6~30の芳香族構造から選ばれる一種類以上を有する2価の有機基が好ましくい。a、b、c、d、e及びfは、全て1であることが好ましく、gは、0~5が好ましい。上記の脂肪族構造、脂環式構造及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。一般式(27)において、Y28~Y33のうち、前記一般式(24)で表される基は2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましく、4つ以上がさらに好ましい。Y28~Y33のうち、前記一般式(24)で表される基が2つ以上であると、露光時の感度を向上できるとともに、現像後の残渣発生を抑制することができる。
【0095】
一般式(28)において、X29は、2価の有機基を表す。X30及びX31は、それぞれ独立して、直接結合又は炭素数1~10のアルキレン鎖を表す。Y34~Y37は、それぞれ独立して、直接結合又は前記一般式(24)で表される基を表し、Y34~Y37のうち、少なくとも1つは前記一般式(24)で表される基である。R65及びR66は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1~10のアルキル基を表す。P18~P21は、それぞれ独立して、水素又は前記一般式(25)で表される基を表し、P18~P21のうち、少なくとも3つは前記一般式(25)で表される基である。h、i、j及びkは、それぞれ独立して、0又は1を表し、lは、0~10の整数を表す。但し、h、i、j及びkのうち1であるものにあっては、その場合のカルボニル基に隣接するP18~P21は前記一般式(25)で表される基である。
【0096】
一般式(28)において、X29は、炭素数1~10の脂肪族構造、炭素数4~20の脂環式構造及び炭素数6~30の芳香族構造から選ばれる一種類以上を有する2価の有機基が好ましい。h、i、j及びkは、全て1であることが好ましく、lは、0~5が好ましい。上記のアルキル基、アルキレン鎖、脂肪族構造、脂環式構造及び芳香族構造は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。一般式(28)において、Y34~Y37のうち、前記一般式(24)で表される基は2つ以上が好ましく、3つ以上がより好ましく、4つ以上がさらに好ましい。Y34~Y37のうち、前記一般式(24)で表される基が2つ以上であると、露光時の感度を向上できるとともに、現像後の残渣発生を抑制することができる。
【0097】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物としては、ラクトン変性鎖及びラクタム変性鎖からなる群から選ばれる少なくとも1つの変性鎖を有することが好ましい。(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物が、ラクトン変性鎖又はラクタム変性鎖を有することで、露光時の感度を向上できるとともに、現像後の残渣発生を抑制することができ、また、熱硬化後に低テーパー形状のパターンを形成できる。
【0098】
なおここで、ラクトン変性鎖とは、下記一般式(31)の構造で表される構造単位をいう。一般式(31)の構造は、ラクトンを開環付加させて得ることができるが、他の方法に拠って導入しても構わない。ラクタム変性鎖とは、下記一般式(32)の構造で表される構造単位をいう。一般式(32)の構造は、ラクタムを開環付加させて得ることができるが、他の方法に拠って導入しても構わない。
【0099】
【化8】
【0100】
一般式(31)及び(32)において、R125は、同一でも異なっていても良い水素又は炭素数1~10のアルキル基を表す。aは、同一でも異なっていても良い1~10の整数を表し、dは、同一でも異なっていても良い1~4の整数を表す。
【0101】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物が、前記一般式(27)で表される化合物又は前記一般式(28)で表される化合物である場合、前記一般式(24)において、cが1であって、eが1であると、(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物が、少なくとも1つのラクトン変性鎖及び/又は少なくとも1つのラクタム変性鎖を有することとなる。
【0102】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物が分子中に有するエチレン性不飽和二重結合基数は、2個以上が好ましく、3個以上がより好ましく、4個以上がさらに好ましい。エチレン性不飽和二重結合基数が2個以上であると、露光時の感度を向上させることができる。一方、(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物が分子中に有するエチレン性不飽和二重結合基数は、12個以下が好ましく、10個以下がより好ましく、8個以下がさらに好ましく、6個以下が特に好ましい。エチレン性不飽和二重結合基数が12個以下であると、熱硬化後に低テーパー形状のパターンを形成できる。
【0103】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物の二重結合当量は、100g/mol~800g/molが好ましい。二重結合当量が、上記範囲であると、露光時の感度を向上できるとともに、現像後の残渣発生を抑制することができる。加えて、熱硬化前後におけるパターン開口寸法幅変化を抑制することができる。
【0104】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物としては、例えば、エトキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロポキシ化ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、δ-バレロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、γ-ブチロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、β-プロピオラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクタム変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性グリセリントリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ε-カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート若しくはε-カプロラクトン変性1,3,5-トリス((メタ)アクリロキシエチル)イソシアヌル酸、“KAYARAD”(登録商標) DPEA-12、同 DPCA-20、同 DPCA-30、同 DPCA-60若しくは同 DPCA-120(以上、何れも日本化薬(株)製)又は“NK ESTER”(登録商標) A-DPH-6E、同 A-DPH-6P、同 M-DPH-6E、同 A-9300-1CL若しくは同 A-9300-3CL(以上、何れも新中村化学工業(株)製)が挙げられる。
【0105】
(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物は、公知の方法により、合成することができる。
【0106】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に占める(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)ラジカル重合性化合物の合計を100質量部とした場合において、5質量~45質量部が好ましい。含有量が上記範囲であると、露光時の感度を向上できるとともに、現像後の残渣発生を抑制することができ、低テーパーのパターン形状の硬化膜を得ることができる。
【0107】
<(C)光重合開始剤>
(C)光重合開始剤とは、露光によって結合開裂又は反応してラジカルを発生する化合物をいう。
【0108】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(C)光重合開始剤が、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤及び(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含有し、(C)光重合開始剤に占める(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率は、51~95質量%である。
【0109】
(C1)オキシムエステル系光重合開始剤は、特にブラックマトリクス形成用のネガ型感光性樹脂組成物のように組成物が遮光剤を含む場合であっても良好な感度をもたらすものである。これは、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤が比較的長波長まで吸収を有しているため、露光時に発生するラジカルが増加することに加え、発生した活性ラジカルの反応性が高いためだと考えられる。また、(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤は、膜表面の硬化を促進することで、パターン形状のくずれの抑制、現像残渣の発生の抑制に寄与する。
【0110】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、後述する(Da)黒色顔料を含有していても、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤及び(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含有し、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率を51~95質量%とすることで、ネガ型感光性樹脂組成物に良好な感度を付与しつつ、顔料起因の現像後の残渣発生を抑制することができる。また、膜厚1μm当たりの光学濃度が1.0~3.0と遮光性の高い硬化膜であっても、良好な感度を付与することができる。
【0111】
<(C1)オキシムエステル系光重合開始剤>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物が含有する(C1)オキシムエステル系光重合開始剤としては、下記一般式(11)~(13)のいずれかで表される化合物から選ばれる1種類以上を含むことが好ましい。下記一般式(11)~(13)のいずれかで表される化合物と(A1-1)ポリイミド、(A1-2)ポリイミド前駆体、(A1-3)ポリベンゾオキサゾール、(A1-4)ポリベンゾオキサゾール前駆体から選ばれる一種以上を含んだ(A)アルカリ可溶性樹脂を含有させることで、露光時の感度を向上できるとともに、現像後に低テーパー形状のパターンを形成することができる。露光時の感度向上の観点から、一般式(11)で表される化合物又は、一般式(12)で表される化合物を含有することがより好ましい。
【0112】
【化9】
【0113】
一般式(11)~(13)において、X~Xは、それぞれ独立して、直接結合、炭素数1~10のアルキレン基、炭素数4~10のシクロアルキレン基、又は炭素数6~15のアリーレン基を表す。Y~Yは、それぞれ独立して、炭素、窒素、酸素、又は硫黄を表す。R31~R36は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表す。R37~R39は、それぞれ独立して、一般式(14)で表される基、一般式(15)で表される基、一般式(16)で表される基、一般式(17)で表される基又はニトロ基を表す。露光時の感度向上の観点から、R37は、ニトロ基が好ましい。R40~R45は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基を表す。また、R40とR41、R42とR43、R44とR45は、縮合環を形成していても良く、その場合の合計炭素数は4~10である。R46~R48は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のアルケニル基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のハロアルコキシ基、又は炭素数2~10のアシル基を表す。R49~R51は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のハロアルコキシ基、炭素数4~10の複素環基、炭素数4~10の複素環オキシ基、炭素数2~10のアシル基又はニトロ基を表す。R52~R54は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、又は炭素数6~15のアリール基を表す。aは、0~3の整数を表し、b、d、j、k及びlは、それぞれ独立して、0又は1を表し、cは、0~5の整数を表し、eは、0~4の整数を表し、fは0~2の整数を表し、g、h及びiは、それぞれ、Y~Yが炭素の場合は2、窒素の場合は1、酸素又は硫黄の場合は0を表し、m、n及びoは、それぞれ独立して、1~10の整数を表す。但し、Yが窒素、R37がニトロ基、Xが炭素数6~15のアリーレン基の場合、R49は、水素、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のハロアルコキシ基、炭素数4~10の複素環基、炭素数4~10の複素環オキシ基、炭素数2~10のアシル基又はニトロ基を表す。
【0114】
一般式(11)~(13)において、X~Xは、溶剤に対する溶解性向上の観点から、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン基が好ましく、露光時の感度向上の観点から、炭素数6~15のアリーレン基が好ましい。R40~R45において形成する、炭素数4~10の環としては、例えば、ベンゼン環又はシクロヘキサン環が挙げられる。R46~R48は、溶剤に対する溶解性向上の観点から、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基又は炭素数1~10のハロアルコキシ基が好ましく、炭素数1~10のフルオロアルキル基、又は炭素数1~10のフルオロアルコキシ基がより好ましい。また、R46~R48は、露光時の感度向上及び現像後に低テーパー形状のパターン形成の観点から、それぞれ独立して、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のハロアルコキシ基又は炭素数2~10のアシル基が好ましく、炭素数1~10のフルオロアルキル基、又は炭素数1~10のフルオロアルコキシ基がより好ましい。R49~R51は、溶剤に対する溶解性向上の観点から、それぞれ独立して、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数1~10のハロアルキル基又は炭素数1~10のハロアルコキシ基が好まし炭素数1~10のフルオロアルキル基、又は炭素数1~10のフルオロアルコキシ基がより好ましい。また、R49~R51は、露光時の感度向上及び現像後に低テーパー形状のパターン形成の観点から、それぞれ独立して、炭素数1~10のハロアルキル基、炭素数1~10のハロアルコキシ基、炭素数4~10の複素環基、炭素数4~10の複素環オキシ基、炭素数2~10のアシル基又はニトロ基が好ましく、炭素数1~10のフルオロアルキル基、又は炭素数1~10のフルオロアルコキシ基がより好ましい。R52~R54は、露光時の感度向上の観点から、それぞれ独立して、水素又は炭素数1~10のアルキル基が好ましく、水素又は炭素数1~4のアルキル基がより好ましく、メチルがさらに好ましい。j、k及びlは、露光時の感度向上の観点から、0が好ましい。
【0115】
また、露光時の感度向上、現像後のパターン形状制御による低テーパー化、熱硬化前後におけるパターン開口寸法幅変化抑制、及び、ハーフトーン特性向上の観点から、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤としては、一般式(11)で表される化合物又は一般式(12)で表される化合物を用いることが好ましい。この場合、当該一般式(11)及び一般式(12)において、Y及びYは、炭素又は窒素であることが好ましい。また、R46又はR47は、炭素数1~10のアルケニル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルケニル基であることがより好ましい。R49又はR50は、炭素数1~10のアルケニル基であることが好ましく、炭素数1~6のアルケニル基であることがより好ましい。これは、アルケニル基を含むことにより、樹脂と開始剤との相溶性をより高めることができ、膜の深部においても露光時のUV硬化が効率的に進行するためと考えられる。
【0116】
アルケニル基としては、例えば、ビニル基、1-メチルエテニル基、アリル基、1-メチル-2-プロペニル基、2-メチル-2-プロペニル基、1-プロペニル基、2-メチル-1-プロペニル基、1-ブテニル基、2-ブテニル基、2-メチル-2-ブテニル基、3-メチル-2-ブテニル基、2,3-ジメチル-2-ブテニル基、3-ブテニル基、又はシンナミル基が挙げられる。
【0117】
【化10】
【0118】
一般式(14)~(17)において、R55~R58は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数6~15のアリール基、炭素数1~10のアルコキシ基又は炭素数1~10のヒドロキシアルキル基を表す。pは、0~7の整数を表し、qは、0~2の整数を表し、r及びsは、それぞれ独立して、0~3の整数を表す。
【0119】
(C1)オキシムエステル系光重合開始剤としては、例えば、1-フェニルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-フェニルブタン-1,2-ジオン-2-(O-メトキシカルボニル)オキシム、1,3-ジフェニルプロパン-1,2,3-トリオン-2-(O-エトキシカルボニル)オキシム、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]オクタン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1-[4-[4-カルボキシフェニルチオ]フェニル]プロパン-1,2-ジオン-2-(O-アセチル)オキシム、1-[4-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニルチオ]フェニル]プロパン-1,2-ジオン-2-(O-アセチル)オキシム、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-3-シクロペンチルプロパン-1,2-ジオン-2-(O-ベンゾイル)オキシム、1-[4-(フェニルチオ)フェニル]-2-シクロペンチルエタン-1,2-ジオン-2-(O-アセチル)オキシム、1-[9,9-ジエチルフルオレン-2-イル]プロパン-1,2-ジオン-2-(O-アセチル)オキシム、1-[9,9-ジ-n-プロピル-7-(2-メチルベンゾイル)-フルオレン-2-イル]エタノン-1-(O-アセチル)オキシム、1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチル)オキシム、1-[9-エチル-6-[2-メチル-4-[1-(2,2-ジメチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチルオキシ]ベンゾイル]-9H-カルバゾール-3-イル]エタノン-1-(O-アセチル)オキシム1-[9-エチル-6-(2-メチルベンゾイル)-9H-カルバゾール-3-イル]-3-シクロペンチルプロパン-1-オン-1-(O-アセチル)オキシム、又は1-(9-エチル-6-ニトロ-9H-カルバゾール-3-イル)-1-[2-メチル-4-(1-メトキシプロパン-2-イルオキシ)フェニル]メタノン-1-(O-アセチル)オキシムが挙げられる。好ましくは、以下に示す構造の化合物(O-1、O-2)が挙げられる。
【0120】
【化11】
【0121】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物の(C)光重合開始剤に占める(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率は、51~95質量%であり、60質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましい。含有比率が51質量%以上であると、露光時の感度を向上させることができる。一方、(C)光重合開始剤に占める(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率は、90質量%以下が好ましく、85質量%以下がより好ましい。含有量が95質量%以下であると、低テーパーのパターン形状を得ることができるとともに、現像後の解像度を向上させることができる。
<(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物としては、(C)光重合開始剤が、(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含有する。(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、下記一般式(18)で表される構造を有する化合物が好ましい。下記一般式(18)の構造を含有することで、芳香族基の耐熱性により、硬化膜の耐熱性を向上させることができる。
【0122】
【化12】
【0123】
一般式(18)において、R59及びR60は、それぞれ独立して、水素、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアシル基、置換基を有してもよい炭素数6~15のアリール基を表す。また、R59とR60でもって環を形成してもよく、その場合、置換基を有してもよい炭素数3~20のシクロアルキル基を表す。
【0124】
また、(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、感度向上、現像残渣抑制の観点から、1分子中に2つ以上のα-ヒドロキシケトン構造を有する化合物が好ましい。1分子中に2つ以上のα-ヒドロキシケトン構造を有する化合物としては、下記一般式(19)又は(20)のいずれかで表される化合物から選ばれる1種類以上を含むことが好ましい。下記一般式(19)又は(20)の構造を含有することで、分子量が大きくなり、1分子中に含まれる官能基数が増加することで、現像後の残渣発生を抑制することができるとともに、低テーパーのパターン形状を得ることができる。
【0125】
【化13】
【0126】
一般式(19)において、R59~R62は、それぞれ独立して、水素、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアシル基、置換基を有してもよい炭素数6~15のアリール基を表す。また、R59とR60,R61とR62は各々環を形成してもよく、その場合、置換基を有してもよい炭素数3~20のシクロアルキル基を表す。Yは、炭素原子又は酸素原子を表し、vは0または2を表す。Yが、酸素原子の場合、vは0であり、炭素原子の場合vは2である。R63、R64は、それぞれ独立して、水素、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアシル基、置換基を有してもよい炭素数6~15のアリール基を表す。Yが、炭素原子の場合、R63、R64は、環を形成してもよく、その場合、置換基を有してもよい炭素数3~20のシクロアルキル基を表す。vが2の場合、R64は同じでも異なっていても良い。
【0127】
【化14】
【0128】
一般式(20)において、R101~R105は、それぞれ独立して、水素、置換基を有してもよい炭素数1~10のアルキル基、置換基を有してもよい炭素数2~6のアシル基、置換基を有してもよい炭素数6~15のアリール基を表す。tは、2~10000の整数を表す。
【0129】
α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤としては、例えば、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)フェノキシ]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン(例えば“Esacure”(登録商標)KIP 160(IGM社製))、2-ヒドロキシ-1-[4-[5-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-1,3,3-トリメチル2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン(例えば“Esacure”(登録商標)ONE(IGM社製))、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン](例えば“Esacure”(登録商標)KIP 150(IGM社製)、TR-PPI-101(TRONLY社製))が挙げられる。これらの中でも、残渣発生の抑制の観点から、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)ベンジル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン、2-ヒドロキシ-1-[4-[4-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)フェノキシ]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン(例えば“Esacure”(登録商標)KIP 160(IGM社製))、2-ヒドロキシ-1-[4-[5-(2-ヒドロキシ-2-メチルプロピオニル)-1,3,3-トリメチル2,3-ジヒドロ-1H-インデン-1-イル]フェニル]-2-メチルプロパン-1-オン(例えば“Esacure”(登録商標)ONE(IGM社製))、オリゴ[2-ヒドロキシ-2-メチル-1[4-(1-メチルビニル)フェニル]プロパノン](例えば“Esacure”(登録商標)KIP 150(IGM社製)、TR-PPI-101(TRONLY社製))が好ましい。
【0130】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物の(C)光重合開始剤に占める(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率は、5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましい。含有比率が5質量%以上であると、現像後の残渣発生を抑制することができる。一方、(C)光重合開始剤に占める(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率は、49質量%以下が好ましく、40質量%以下がより好ましく、30質量%以下がさらに好ましい。含有量が49質量%以下であると、ネガ型感光性樹脂組成物の感度を良好に維持することができる。
【0131】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物の(C)光重合開始剤に占める(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が、60質量%以上かつ(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率が、40質量%以下が好ましく、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が、70質量%以上かつ(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率が30質量%以下がより好ましい。(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が、60質量%以上かつ(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率が、40質量%以下であれば、ネガ型感光性樹脂組成物の感度をより良好に維持することができる。(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が、85質量%以下かつ(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率が、15質量%以上が好ましく、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が、75質量%以下かつ(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率が25質量%以上がより好ましい。(C1)オキシムエステル系光重合開始剤の含有比率が、85質量%以下かつ(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤の含有比率が、15質量%以上であれば、より現像後の残渣発生を抑制することができるとともに、低テーパーのパターン形状を得ることができる。
【0132】
また、(C)光重合開始剤として、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤及び(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤以外の光重合開始剤を含んでいてもよい。
【0133】
(C1)オキシムエステル系光重合開始剤及び(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤以外の(C)光重合開始剤としては、例えば、ベンジルケタール系光重合開始剤、α-アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ビイミダゾール系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤、チタノセン系光重合開始剤、ベンゾフェノン系光重合開始剤、アセトフェノン系光重合開始剤、芳香族ケトエステル系光重合開始剤又は安息香酸エステル系光重合開始剤が好ましく、露光時の感度向上の観点から、α-アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、ビイミダゾール系光重合開始剤、アクリジン系光重合開始剤又はベンゾフェノン系光重合開始剤がより好ましく、α-アミノケトン系光重合開始剤、アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤、又はビイミダゾール系光重合開始剤がさらに好ましい。
【0134】
ベンジルケタール系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オンが挙げられる。
【0135】
α-アミノケトン系光重合開始剤としては、例えば、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルホリノプロパン-1-オン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン、2-ジメチルアミノ-2-(4-メチルベンジル)-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン又は3,6-ビス(2-メチル-2-モルホリノプロピオニル)-9-オクチル-9H-カルバゾールが挙げられる。
【0136】
アシルホスフィンオキシド系光重合開始剤としては、例えば、2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)-フェニルホスフィンオキシド又はビス(2,6-ジメトキシベンゾイル)-(2,4,4-トリメチルペンチル)ホスフィンオキシドが挙げられる。
【0137】
アクリジン系光重合開始剤としては、例えば、1,7-ビス(アクリジン-9-イル)-n-ヘプタンが挙げられる。
【0138】
チタノセン系光重合開始剤としては、例えば、ビス(η-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス[2,6-ジフルオロ-3-(1H-ピロール-1-イル)フェニル]チタン(IV)又はビス(η-3-メチル-2,4-シクロペンタジエン-1-イル)-ビス(2,6-ジフルオロフェニル)チタン(IV)が挙げられる。
【0139】
ベンゾフェノン系光重合開始剤としては、例えば、ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4-フェニルベンゾフェノン、4,4-ジクロロベンゾフェノン、4-ヒドロキシベンゾフェノン、アルキル化ベンゾフェノン、3,3’,4,4’-テトラキス(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、4-メチルベンゾフェノン、ジベンジルケトン又はフルオレノンが挙げられる。
【0140】
ビイミダゾール系光重合開始剤としては、例えば、2,2’-ビス(2-クロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’,5-トリス(2-クロロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’,5-トリス(2-フルオロフェニル)-4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4’,5’-ジフェニル-1,2’-ビイミダゾール、2,2’-ビス(2,4-ジクロロフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾール又は2,2’-ビス(2-メトキシフェニル)-4,4’,5,5’-テトラフェニル-1,2’-ビイミダゾールが挙げられる。
【0141】
アセトフェノン系光重合開始剤としては、例えば、2,2-ジエトキシアセトフェノン、2,3-ジエトキシアセトフェノン、4-t-ブチルジクロロアセトフェノン、ベンザルアセトフェノン又は4-アジドベンザルアセトフェノンが挙げられる。
【0142】
芳香族ケトエステル系光重合開始剤としては、例えば、2-フェニル-2-オキシ酢酸メチルが挙げられる。
【0143】
安息香酸エステル系光重合開始剤としては、例えば、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸(2-エチル)ヘキシル、4-ジエチルアミノ安息香酸エチル又は2-ベンゾイル安息香酸メチルが挙げられる。
【0144】
また、(C)光重合開始剤を特定量以上含有させることで、熱硬化前後における、パターン開口寸法幅変化を抑制することができる。これは、露光時における(C)光重合開始剤に由来するラジカル発生量の増加に起因すると考えられる。すなわち、露光時におけるラジカル発生量を増加させることで、発生したラジカルと、前記(B)ラジカル重合性化合物中のエチレン性不飽和二重結合基との衝突確率が高くなり、硬化が促進され、架橋密度が向上することで、熱硬化時におけるパターンのテーパー部及びパターン裾のリフローが抑制されることで、熱硬化前後におけるパターン開口寸法幅変化を抑制できると推測される。
【0145】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に占める(C)光重合開始剤の含有量は、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(B)ラジカル重合性化合物の合計を100質量部とした場合において、1質量部以上が好ましく、2質量部以上がより好ましく、3質量部以上がさらに好ましく、5質量部以上が特に好ましい。含有量が1質量部以上であると、露光時の感度を向上させることができる。また、(C1)光重合開始剤の含有量は、パターン開口寸法幅の制御の観点から、10質量部以上が好ましく、12質量部以上がより好ましく、14質量部以上がさらに好ましく、15質量部以上が特に好ましい。含有量が10質量部以上であると、熱硬化前後における、パターン開口寸法幅の変化を抑制することができる。一方、(C)光重合開始剤の含有量は、30質量部以下が好ましく、25質量部以下がより好ましく、22質量部以下がさらに好ましく、20質量部以下が特に好ましい。含有量が30質量部以下であると、現像後の解像度を向上させることができるとともに、低テーパー形状のパターンの硬化膜を得ることができる。
【0146】
<(Da)黒色顔料>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(Da)黒色顔料を含有する。
【0147】
(Da)黒色顔料とは、可視光線の波長の光を吸収することで、黒色に着色する顔料をいう。黒色顔料は複数の顔料が混合されて黒色を呈するものであっても構わない。(Da)黒色顔料を含有させることで、樹脂組成物の膜が黒色化するとともに、隠蔽性に優れるため、樹脂組成物の膜の遮光性を向上させることができる。溶剤を除く、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の全固形分中に占める(Da)黒色顔料の含有比率は、5~50質量%である。
【0148】
(Da)黒色顔料における黒色とは、Color Index Generic Number(以下、「C.I.ナンバー」)に“BLACK”が含まれるものをいう。混合物である場合やC.I.ナンバーが付与されていないものは、硬化膜とした場合に黒色であるものをいう。硬化膜とした場合における黒色とは、(Da)黒色顔料を含有する樹脂組成物の硬化膜の透過スペクトルにおいて、波長550nmにおける膜厚1.0μmあたりの透過率を、ランベルト・ベールの式に基づいて、波長550nmにおける透過率が10%となるように膜厚を0.1~1.5μmの範囲内で換算した場合に、換算後の透過スペクトルにおける、波長450~650nmにおける透過率が、25%以下であることをいう。
【0149】
硬化膜の透過スペクトルは、以下の方法で求めることができる。少なくとも任意のバインダー樹脂及び(Da)黒色顔料を含む樹脂組成物を、樹脂組成物の全固形分中に占める(Da)黒色顔料の含有比率が35質量%となるように調製する。テンパックスガラス基板(AGCテクノグラス社製)上に、該樹脂組成物の膜を塗布した後、110℃で2分間プリベークして成膜してプリベーク膜を得る。次に、高温イナートガスオーブン(INH-9CD-S;光洋サーモシステム社製)を用いて、窒素雰囲気下、250℃で60分間熱硬化させ、(Da)黒色顔料を含有する樹脂組成物の膜厚1.0μmの硬化膜(以下、「黒色顔料含有硬化膜」)を作製する。また、前記バインダー樹脂を含み、かつ、(Da)黒色顔料を含有しない樹脂組成物を調製し、上記と同様の方法でテンパックスガラス基板上に、塗布、プリベーク及び熱硬化させ、(Da)黒色顔料を含有しない樹脂組成物の膜厚1.0μmの硬化膜(以下、「ブランク用硬化膜」)を作製する。紫外可視分光光度計(MultiSpec-1500;島津製作所社製)を用いて、まず、ブランク硬化膜を膜厚1.0μmで成膜したテンパックスガラス基板を測定し、その紫外可視吸収スペクトルをブランクとする。次に、作製した黒色顔料含有硬化膜を成膜したテンパックスガラス基板をシングルビームで測定し、波長450~650nmにおける膜厚1.0μmあたりの透過率を求め、ブランクとの差分から黒色顔料含有硬化膜の透過率を算出する。
【0150】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物においては、前記(Da)黒色顔料が、(Da-1)黒色有機顔料、及び(Da-3)混合されて黒色を呈する二色以上の顔料の混合物の何れかまたは両方を含有することが好ましい。
【0151】
(Da)黒色顔料の数平均粒子径は、1~1,000nmが好ましい。(Da)黒色顔料の数平均粒子径が1~1,000nmであると、樹脂組成物の膜の遮光性及び(Da)黒色顔料の分散安定性を向上させることができる。
【0152】
ここで、(Da)黒色顔料の数平均粒子径は、サブミクロン粒度分布測定装置(N4-PLUS;べックマン・コールター(株)製)又はゼータ電位・粒子径・分子量測定装置(ゼータサイザーナノZS;シスメックス(株)製)を用いて、溶液中の(Da)黒色顔料のブラウン運動によるレーザー散乱を測定する(動的光散乱法)ことで求めることができる。
【0153】
また、溶剤を除く、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の全固形分中に占める(Da)黒色顔料の含有比率は、8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。含有比率が8質量%以上であると、遮光性、着色性又は調色性を向上させることができる。一方、この(Da)黒色顔料の含有比率は、65質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。含有比率が65質量%以下であると、露光時の感度を向上させることができる。
【0154】
<(Da-1)黒色有機顔料及び(Da-3)二色以上の顔料混合物>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物としては、前記(Da)黒色顔料が、(Da-1)黒色有機顔料及び(Da-3)混合されて黒色を呈する二色以上の着色顔料混合物の何れかまたは両方を含有することが好ましい。
【0155】
(Da-1)黒色有機顔料とは、可視光線の波長の光を吸収することで、黒色に着色する有機顔料をいう。(Da-1)黒色有機顔料を含有させることで、樹脂組成物の膜が黒色化するとともに、隠蔽性に優れるため、樹脂組成物の膜の遮光性を向上させることができる。さらに、有機物であるため、化学構造変化又は官能変換により、所望の特定波長の光を透過又は遮光するなど、樹脂組成物の膜の透過スペクトル又は吸収スペクトルを調整し、調色性を向上させることができる。また、(Da-1)黒色有機顔料は、一般的な無機顔料と比較して、絶縁性及び低誘電性に優れるため、(Da-1)黒色有機顔料を含有させることで、膜の抵抗値を向上することができる。特に、有機ELディスプレイの画素分割層等の絶縁層などとして用いた場合に、発光不良等を抑制し、信頼性を向上させることができる。
【0156】
(Da-1)黒色有機顔料としては、例えば、アントラキノン系黒色顔料、ベンゾフラノン系黒色顔料、ペリレン系黒色顔料、アニリン系黒色顔料、アゾ系黒色顔料、アゾメチン系黒色顔料又はカーボンブラックが挙げられる。カーボンブラックとしては、例えば、チャンネルブラック、ファーネスブラック、サーマルブラック、アセチレンブラック及びランプブラックが挙げられる。遮光性の観点から、チャンネルブラックが好ましい。
【0157】
(Da-3)混合されて黒色を呈する二色以上の顔料混合物とは、赤、橙、黄、緑、青又は紫色の顔料から選ばれる二色以上の顔料を組み合わせることで、擬似的に黒色に着色する、顔料混合物をいう。二色以上の顔料混合物を含有させることで、樹脂組成物の膜が黒色化するとともに、隠蔽性に優れるため、樹脂組成物の膜の遮光性を向上させることができる。さらに、二色以上の顔料を混合するため、所望の特定波長の光を透過又は遮光するなど、樹脂組成物の膜の透過スペクトル又は吸収スペクトルを調整し、調色性を向上させることができる。
【0158】
黒色有機顔料、赤色顔料、橙色顔料、黄色顔料、緑色顔料、青色顔料及び紫色顔料などの顔料としては、公知のものを用いることができる。
【0159】
<(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(Da-1b)ペリレン系黒色顔料及び(Da-1c)アゾ系黒色顔料>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物としては、単位含有比率当たりの遮光性と絶縁性の観点から、前記(Da-1)黒色有機顔料が、(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(Da-1b)ペリレン系黒色顔料及び(Da-1c)アゾ系黒色顔料からなる群より選ばれる一種類以上であることが好ましく、(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料がより好ましい。
【0160】
(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(Da-1b)ペリレン系黒色顔料及び(Da-1c)アゾ系黒色顔料からなる群より選ばれる一種類以上を含有させることで、樹脂組成物の膜が黒色化するとともに、隠蔽性に優れるため、樹脂組成物の膜の遮光性を向上させることができる。特に、一般的な有機顔料と比較して、樹脂組成物中の顔料の単位含有比率当たりの遮光性に優れるため、少ない含有比率で同等の遮光性を付与することができる。そのため、膜の遮光性を向上することができるとともに、露光時の感度を向上させることができる。さらに、有機物であるため、化学構造変化又は官能変換により、所望の特定波長の光を透過又は遮光するなど、樹脂組成物の膜の透過スペクトル又は吸収スペクトルを調整し、調色性を向上させることができる。特に、近赤外領域の波長(例えば、700nm以上)の透過率を向上させることができるため、遮光性を有し、近赤外領域の波長の光を利用する用途に好適である。また、一般的な有機顔料及び無機顔料と比較して、絶縁性及び低誘電性に優れるため、膜の抵抗値を向上することができる。特に、有機ELディスプレイの画素分割層等の絶縁層などとして用いた場合に、発光不良等を抑制し、信頼性を向上させることができる。単位含有比率当たりの遮光性の観点から、(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料が好ましい。
【0161】
また、(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料は、可視光線の波長の光を吸収する一方、紫外領域の波長(例えば、400nm以下)の透過率が高いため、(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料を含有させることで露光時の感度を向上させることができる。
【0162】
(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料とは、分子中にベンゾフラン-2(3H)-オン構造又はベンゾフラン-3(2H)-オン構造を有する、可視光線の波長の光を吸収することで黒色に着色する化合物をいう。
【0163】
一方、(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料を含有させる場合、前述した通り、前記顔料のアルカリ耐性不足に起因した、顔料由来の現像残渣が発生する場合がある。すなわち、現像時に前記(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料の表面がアルカリ現像液に曝されることで、表面の一部が分解又は溶解し、前記顔料由来の現像残渣として基板上に残存する場合がある。そのような場合、前述した通り、(B1)柔軟鎖含有脂肪族ラジカル重合性化合物を含有させることで、前記顔料由来の現像残渣発生を抑制することができる。
【0164】
(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料としては、一般式(63)~(68)のいずれかで表されるベンゾフラノン化合物、その幾何異性体、その塩、又は、その幾何異性体の塩が好ましい。
【0165】
【化15】
【0166】
一般式(63)~(65)において、R206、R207、R212、R213、R218及びR219は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基又はフッ素原子を1~20個有する炭素数1~10のアルキル基を表す。R208、R209、R214、R215、R220及びR221は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、R251、COOH、COOR251、COO、CONH、CONHR251、CONR251252、CN、OH、OR251、OCOR251、OCONH、OCONHR251、OCONR251252、NO、NH、NHR251、NR251252、NHCOR251、NR251COR252、N=CH、N=CHR251、N=CR251252、SH、SR251、SOR251、SO251、SO251、SOH、SO 、SONH、SONHR251又はSONR251252を表し、R251及びR252は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数4~10のシクロアルケニル基又は炭素数2~10のアルキニル基を表す。複数のR208、R209、R214、R215、R220又はR221で、直接結合、又は、酸素原子ブリッジ、硫黄原子ブリッジ、NHブリッジ若しくはNR251ブリッジで環を形成しても構わない。R210、R211、R216、R217、R222及びR223は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~15のアリール基を表す。a、b、c、d、e及びfは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びアリール基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0167】
【化16】
【0168】
一般式(66)~(68)において、R253、R254、R259、R260、R265及びR266は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基又はフッ素原子を1~20個有する炭素数1~10のアルキル基を表す。R255、R256、R261、R262、R267及びR268は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、R271、COOH、COOR271、COO、CONH、CONHR271、CONR271272、CN、OH、OR271、OCOR271、OCONH、OCONHR271、OCONR271272、NO、NH、NHR271、NR271272、NHCOR271、NR271COR272、N=CH、N=CHR271、N=CR271272、SH、SR271、SOR271、SO271、SO271、SOH、SO 、SONH、SONHR271又はSONR271272を表し、R271及びR272は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキル基、炭素数4~10のシクロアルキル基、炭素数2~10のアルケニル基、炭素数4~10のシクロアルケニル基又は炭素数2~10のアルキニル基を表す。複数のR255、R256、R261、R262、R267又はR268で、直接結合、又は、酸素原子ブリッジ、硫黄原子ブリッジ、NHブリッジ若しくはNR271ブリッジで環を形成しても構わない。R257、R258、R263、R264、R269及びR270は、それぞれ独立して、水素、炭素数1~10のアルキル基又は炭素数6~15のアリール基を表す。g、h、i、j、k及びlは、それぞれ独立して、0~4の整数を表す。上記のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、シクロアルケニル基、アルキニル基及びアリール基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0169】
(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料としては、例えば、“IRGAPHOR”(登録商標) BLACK S0100CF(BASF社製)、国際公開第2010-081624号記載の黒色顔料又は国際公開第2010-081756号記載の黒色顔料が挙げられる。
【0170】
(Da-1b)ペリレン系黒色顔料とは、分子中にペリレン構造を有する、可視光線の波長の光を吸収することで黒色に着色する化合物をいう。
【0171】
(Da-1b)ペリレン系黒色顔料としては、一般式(69)~(71)のいずれかで表されるペリレン化合物、その幾何異性体、その塩、又は、その幾何異性体の塩が好ましい。
【0172】
【化17】
【0173】
一般式(69)~(71)において、X92、X93、X94及びX95は、それぞれ独立して、炭素数1~10のアルキレン鎖を表す。R224及びR225は、それぞれ独立して、水素、ヒドロキシ基、炭素数1~6のアルコキシ基又は炭素数2~6のアシル基を表す。R249、R250及びR251は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン原子、炭素数1~10のアルキル基、又はフッ素原子を1~20個有する炭素数1~10のアルキル基を表す。R273及びR274は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1~10のアルキル基を表す。m及びnは、それぞれ独立して、0~5の整数を表す。u、v及びwは、それぞれ独立して、0~8の整数を表す。上記のアルキレン鎖、アルコキシ基、アシル基及びアルキル基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0174】
(Da-1b)ペリレン系黒色顔料としては、例えば、ピグメントブラック31又は32が挙げられる(数値は何れもC.I.ナンバー)。
【0175】
上記以外に、“PALIOGEN”(登録商標) BLACK S0084、同 K0084、同 L0086、同 K0086、同 EH0788又は同 FK4281(以上、何れもBASF社製)が挙げられる。
【0176】
(Da-1c)アゾ系黒色顔料とは、分子内にアゾ基を有する、可視光線の波長の光を吸収することで黒色に着色する化合物をいう。
【0177】
(Da-1c)アゾ系黒色顔料としては、一般式(72)で表されるアゾ化合物が好ましい。
【0178】
【化18】
【0179】
一般式(72)において、X96は、炭素数6~15のアリーレン鎖を表す。Y96は、炭素数6~15のアリーレン鎖を表す。R275、R276及びR277は、それぞれ独立して、ハロゲン又は炭素数1~10のアルキル基を表す。R278は、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基又はニトロ基を表す。R279は、ハロゲン、炭素数1~10のアルキル基、炭素数1~6のアルコキシ基、炭素数2~10のアシルアミノ基又はニトロ基を表す。R280、R281、R282及びR283は、それぞれ独立して、水素又は炭素数1~10のアルキル基を表す。oは、0~4の整数を表し、pは、0~2の整数を表し、qは、0~4の整数を表し、r及びsは、それぞれ独立して、0~8の整数を表し、tは、1~4の整数を表す。上記のアリーレン鎖、アルキル基、アルコキシ基及びアシルアミノ基は、ヘテロ原子を有してもよく、無置換体又は置換体のいずれであっても構わない。
【0180】
(Da-1c)アゾ系黒色顔料としては、例えば、“CHROMOFINE”(登録商標) BLACK A1103(大日精化工業(株)製)、日本国特開平01-170601号公報記載の黒色顔料又は日本国特開平02-034664号公報記載の黒色顔料が挙げられる。
【0181】
溶剤を除く、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の全固形分中に占める(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(Da-1b)ペリレン系黒色顔料及び(Da-1c)アゾ系黒色顔料からなる群より選ばれる一種類以上の含有比率は、8質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、15質量%以上がさらに好ましく、20質量%以上が特に好ましい。含有比率が8質量%以上であると、遮光性及び調色性を向上させることができる。一方、(Da-1a)ベンゾフラノン系黒色顔料、(Da-1b)ペリレン系黒色顔料及び(Da-1c)アゾ系黒色顔料からなる群より選ばれる一種類以上の含有比率は、65質量%以下が好ましく、60質量%以下がより好ましく、55質量%以下がさらに好ましく、50質量%以下が特に好ましい。含有比率が65質量%以下であると、露光時の感度を向上させることができる。
【0182】
<(Db)黒色以外の顔料>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、前記(Da)黒色顔料が、(Da-1)黒色有機顔料である場合、(Db)黒色以外の顔料を含有してもよい。
【0183】
(Db)黒色以外の顔料とは、可視光線の波長の光を吸収することで、黒色を除く、紫、青、緑、黄、橙又は赤色に着色する顔料をいう。(Db)黒色以外の顔料を含有させることで、樹脂組成物の膜を着色させることができ、着色性又は調色性を付与することができる。(Db)黒色以外の顔料を二色以上組み合わせることで、樹脂組成物の膜を所望の色座標に調色することができ、調色性を向上させることができる。(Db)黒色以外の顔料としては、例えば、(Db-1)黒色以外の有機顔料が挙げられる。(Db-1)黒色以外の有機顔料としては、例えば、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、チオインジゴ系顔料、ジケトピロロピロール系顔料、スレン系顔料、インドリン系顔料、ペリレン系顔料、アニリン系顔料が挙げられる。
<(E)分散剤>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物としては、さらに、(E)分散剤を含有することが好ましい。
【0184】
(E)分散剤とは、前述した(Da)黒色顔料の表面と相互作用する表面親和性基及び、(Da)黒色顔料の分散安定性を向上させる分散安定化構造を有する化合物をいう。(E)分散剤の分散安定化構造としては、ポリマー鎖及び/又は静電荷を有する置換基などが挙げられる。
【0185】
(E)分散剤を含有させることで、ネガ型感光性樹脂組成物が、(Da)黒色顔料を含有する場合、それらの分散安定性を向上させることができ、現像後の解像度を向上させることができる。特に、例えば、(Da)黒色顔料が1μm以下の数平均粒子径に解砕された粒子の場合、(Da)黒色顔料の粒子の表面積が増大するため、(Da)黒色顔料の粒子の凝集が発生しやすくなる。一方、(E)分散剤を含有する場合、解砕された(Da)黒色顔料の表面と(E)分散剤の表面親和性基と、が相互作用するとともに、(E)分散剤の分散安定化構造による立体障害及び/又は静電反発により、(Da)黒色顔料の粒子の凝集を阻害し、分散安定性を向上させることができる。
【0186】
表面親和性基を有する(E)分散剤としては、例えば、塩基性基のみを有する(E)分散剤、塩基性基及び酸性基を有する(E)分散剤、酸性基のみを有する(E)分散剤が挙げられる。(Da)黒色顔料の粒子の分散安定性向上の観点から、塩基性基のみを有する(E)分散剤、または、塩基性基及び酸性基を有する(E)分散剤を用いることが好ましい。また、表面親和性基である塩基性基及び/又は酸性基が、酸及び/又は塩基と塩形成した構造を有することも好ましい。
【0187】
(E)分散剤が有する塩基性基又は塩基性基が塩形成した構造としては、三級アミノ基、四級アンモニウム塩構造、又は、ピロリジン骨格、ピロール骨格、イミダゾール骨格、ピラゾール骨格、トリアゾール骨格、テトラゾール骨格、イミダゾリン骨格、オキサゾール骨格、イソオキサゾール骨格、オキサゾリン骨格、イソオキサゾリン骨格、チアゾール骨格、イソチアゾール骨格、チアゾリン骨格、イソチアゾリン骨格、チアジン骨格、ピペリジン骨格、ピペラジン骨格、モルホリン骨格、ピリジン骨格、ピリダジン骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、トリアジン骨格、イソシアヌル酸骨格、イミダゾリジノン骨格、プロピレン尿素骨格、ブチレン尿素骨格、ヒダントイン骨格、バルビツール酸骨格、アロキサン骨格若しくはグリコールウリル骨格などの含窒素環骨格が挙げられる。
【0188】
分散安定性向上及び現像後の解像度向上の観点から、塩基性基又は塩基性基が塩形成した構造としては、三級アミノ基、四級アンモニウム塩構造、又は、ピロール骨格、イミダゾール骨格、ピラゾール骨格、ピリジン骨格、ピリダジン骨格、ピリミジン骨格、ピラジン骨格、トリアジン骨格、イソシアヌル酸骨格、イミダゾリジノン骨格、プロピレン尿素骨格、ブチレン尿素骨格、ヒダントイン骨格、バルビツール酸骨格、アロキサン骨格若しくはグリコールウリル骨格などの含窒素環骨格が好ましい。
【0189】
塩基性基のみを有する(E)分散剤としては、例えば、“DISPERBYK”(登録商標)-108、同-160、同-167、同-182、同-2000若しくは同-2164、“BYK”(登録商標)-9075、同-LP-N6919若しくは同-LP-N21116(以上、何れもビックケミー・ジャパン(株)製)、“EFKA”(登録商標) 4015、同 4050、同 4080、同 4300、同 4400若しくは同 4800(以上、何れもBASF社製)、“アジスパー”(登録商標) PB711(味の素ファインテクノ(株)製)又は“SOLSPERSE”(登録商標) 13240、同 20000若しくは同 71000(以上、何れもLubrizol社製)が挙げられる。
【0190】
塩基性基及び酸性基を有する(E)分散剤としては、例えば、“ANTI-TERRA”(登録商標)-U100若しくは同-204、“DISPERBYK”(登録商標)-106、同-140、同-145、同-180、同-191、同-2001若しくは同-2020、“BYK”(登録商標)-9076(ビックケミー・ジャパン(株)製)、“アジスパー”(登録商標) PB821若しくは同 PB881(以上、何れも味の素ファインテクノ(株)製)又は“SOLSPERSE”(登録商標) 9000、同 13650、同 24000、同 33000、同 37500、同 39000、同 56000若しくは同 76500(以上、何れもLubrizol社製)が挙げられる。
【0191】
酸性基のみを有する(E)分散剤としては、例えば、“DISPERBYK”(登録商標)-102、同-118、同-170若しくは同-2096、“BYK”(登録商標)-P104若しくは同-220S(以上、何れもビックケミー・ジャパン(株)製)又は“SOLSPERSE”(登録商標) 3000、同 16000、同 21000、同 36000若しくは同 55000(以上、何れもLubrizol社製)が挙げられる。
【0192】
塩基性基及び酸性基のいずれも有しない(E)分散剤としては、例えば、“DISPERBYK”(登録商標)-103、同-192、同-2152若しくは同-2200(以上、何れもビックケミー・ジャパン(株)製)又は“SOLSPERSE”(登録商標) 27000、同 54000若しくは同 X300(以上、何れもLubrizol社製)が挙げられる。
【0193】
(E)分散剤のアミン価としては、5mgKOH/g~150mgKOH/gが好ましい。アミン価が上記範囲であると、樹脂組成物の保管安定性を向上させることができる。
【0194】
(E)分散剤の酸価としては、5mgKOH/g~200mgKOH/gが好ましい。酸価が上記範囲であると、樹脂組成物の保管安定性を向上させることができる。
【0195】
ポリマー鎖を有する(E)分散剤としては、アクリル樹脂系分散剤、ポリオキシアルキレンエーテル系分散剤、ポリエステル系分散剤、ポリウレタン系分散剤、ポリオール系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤又はポリアリルアミン系分散剤が挙げられる。アルカリ現像液でのパターン加工性の観点から、アクリル樹脂系分散剤、ポリオキシアルキレンエーテル系分散剤、ポリエステル系分散剤、ポリウレタン系分散剤又はポリオール系分散剤が好ましい。
【0196】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に占める(E)分散剤の含有比率は、(Da)黒色顔料及び(E)分散剤の合計を100質量%とした場合において、1質量%~60質量%が好ましい。含有比率が上記範囲であると、(Da)黒色顔料の分散安定性、現像後の解像度および硬化膜の耐熱性を両立させることができる。
【0197】
<溶剤>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、溶剤を含有することが好ましい。
【0198】
溶剤とは、樹脂組成物中に含有させる各種樹脂及び各種添加剤の全部または一部を溶解させることができる化合物をいう。溶剤を含有させることで、樹脂組成物中に含有させる各種樹脂及び各種添加剤を均一に溶解させ、硬化膜の透過率を向上させることができる。また、樹脂組成物の粘度を任意に調整することができ、基板上に所望の膜厚で成膜することができる。加えて、樹脂組成物の表面張力又は塗布時の乾燥速度などを任意に調整することができ、塗布時のレベリング性及び塗膜の膜厚均一性を向上させることができる。
【0199】
溶剤としては、各種樹脂及び各種添加剤の溶解性の観点から、アルコール性水酸基を有する化合物、カルボニル基を有する化合物又はエーテル結合を3つ以上有する化合物が好ましい。加えて、大気圧下の沸点が、110~250℃である化合物がより好ましい。沸点を110℃以上とすることで、塗布時に適度に溶剤が揮発して塗膜の乾燥が進行するため、塗布ムラを抑制し、膜厚均一性を向上させることができる。一方、沸点を250℃以下とすることで、塗膜中に残存する溶剤量を低減することができる。そのため、熱硬化時の膜収縮量を低減させることができ、硬化膜の平坦性を高め、膜厚均一性を向上させることができる。
【0200】
アルコール性水酸基を有し、かつ大気圧下の沸点が110~250℃である化合物としては、例えば、ジアセトンアルコール、乳酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メトキシ-1-ブタノール、3-メトキシ-3-メチル-1-ブタノール又はテトラヒドロフルフリルアルコールが挙げられる。
【0201】
カルボニル基を有し、かつ大気圧下の沸点が110~250℃である化合物としては、例えば、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、3-メチル-3-n-ブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート又はγ-ブチロラクトンが挙げられる。
【0202】
エーテル結合を3つ以上有し、かつ大気圧下の沸点が110~250℃である化合物としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル又はジプロピレングリコールジメチルエーテルが挙げられる。
【0203】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物に占める溶剤の含有比率は、塗布方法などに応じて適宜調整可能である。例えば、スピンコーティングにより塗膜を形成する場合、ネガ型感光性樹脂組成物全体の、50~95質量%とすることが一般的である。
【0204】
(Da)黒色顔料を含有する場合、溶剤としては、カルボニル基又はエステル結合を有する溶剤が好ましい。カルボニル基又はエステル結合を有する溶剤を含有させることで、(Da)黒色顔料の分散安定性を向上させることができる。また、分散安定性の観点から、溶剤としては、アセテート結合を有する溶剤がより好ましい。アセテート結合を有する溶剤を含有させることで、(Da)黒色顔料の分散安定性を向上させることができる。
【0205】
アセテート結合を有する溶剤としては、例えば、3-メトキシ-n-ブチルアセテート、3-メチル-3-メトキシ-n-ブチルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ-n-ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノールアセテート、プロピレングリコールジアセテート又は1,4-ブタンジオールジアセテートが挙げられる。
【0206】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物において、溶剤に占める、カルボニル基又はエステル結合を有する溶剤の含有比率は、30~100質量%が好ましい。含有比率が30~100質量%であると、(Da)黒色顔料の分散安定性を向上させることができる。
【0207】
<その他の添加剤>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物としては、本発明の効果を奏する範囲で他の添加剤として、架橋剤、増感剤、光酸発生剤、連鎖移動剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、界面活性剤などの公知のものを含有してもよい。さらに、他の樹脂又はそれらの前駆体を含有しても構わない。他の樹脂又はそれらの前駆体としては、例えば、ポリアミド、ポリアミドイミド、アクリル樹脂、カルド樹脂、エポキシ樹脂、ノボラック樹脂、ウレア樹脂若しくはポリウレタン又はそれらの前駆体が挙げられる。
【0208】
<ネガ型感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物の、代表的な製造方法について例を挙げて説明する。(A)アルカリ可溶性樹脂の溶液に(E)分散剤を加え、分散機を用いて、この混合溶液に(Da)黒色顔料を分散させ、顔料分散液を調製する。次に、この顔料分散液に、(B)ラジカル重合性化合物、(C)光重合開始剤、その他の添加剤及び任意の溶剤を加え、20分~3時間攪拌して均一な溶液とする。攪拌後、得られた溶液をろ過することで、本発明のネガ型感光性樹脂組成物が得られる。
【0209】
分散機としては、例えば、ボールミル、ビーズミル、サンドグラインダー、3本ロールミル又は高速度衝撃ミルが挙げられる。分散効率化及び微分散化の観点から、ビーズミルが好ましい。ビーズミルとしては、例えば、コボールミル、バスケットミル、ピンミル又はダイノーミルが挙げられる。ビーズミルのビーズとしては、例えば、チタニアビーズ、ジルコニアビーズ又はジルコンビーズが挙げられる。ビーズミルのビーズ径としては、0.01~6mmが好ましく、0.015~5mmがより好ましく、0.03~3mmがさらに好ましい。(Da)黒色顔料の一次粒子径及び一次粒子が凝集して形成された二次粒子の粒子径が、数百nm以下の場合、0.015~0.1mmの微小なビーズが好ましい。この場合、微小なビーズと顔料分散液と、を分離することが可能な、遠心分離方式によるセパレータを備えるビーズミルが好ましい。一方、(Da)黒色顔料が、数百nm以上の粗大な粒子を含む場合、分散効率化の観点から、0.1~6mmのビーズが好ましい。
【0210】
<低テーパーのパターン形状の硬化パターン>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、低テーパーのパターン形状の硬化パターンを含む硬化膜を得ることが可能である。本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる、硬化膜が含む硬化パターンの断面における傾斜辺のテーパー角は、1°~60°が好ましい。テーパー角が上記範囲であると、発光素子を高密度に集積及び配置できることで、表示装置の解像度を向上させることができるとともに、透明電極又は反射電極などの電極を形成する際の断線を防止することができる。また、電極のエッジ部における電界集中を抑制できることで、発光素子の劣化を抑制することができる。
【0211】
なおここで、本発明の硬化膜は本発明のネガ型感光性樹脂組成物を硬化させることによって得られるが、本発明の硬化膜において硬化とは熱をかけ、流動性がなくなった状態をいう。
【0212】
本発明においてのネガ型感光性樹脂組成物を硬化した硬化膜は、膜厚1μm当たりの光学濃度が、0.3以上であることが好ましく、0.5以上であることがより好ましく、0.7以上であることがさらに好ましく、1.0以上であることが特に好ましい。膜厚1μm当たりの光学濃度が0.3以上であると、硬化膜によって遮光性を向上させることができるため、有機ELディスプレイ又は液晶ディスプレイなどの表示装置において、電極配線の可視化防止又は外光反射低減が可能となり、画像表示におけるコントラストを向上させることができる。このため、カラーフィルタのブラックマトリックス又は液晶ディスプレイのブラックカラムスペーサーなどの遮光膜や、有機ELディスプレイの画素分割層又はTFT平坦化層など、外光反射の抑制によって高コントラスト化が要求される用途に好適である。一方、膜厚1μm当たりの光学濃度は、3.0以下であることが好ましく、2.8以下であることがより好ましく、2.5以下であることがさらに好ましい。膜厚1μm当たりの光学濃度が3.0以下であると、露光時の感度を向上できるとともに、低テーパーのパターン形状の硬化膜を得ることができる。硬化膜の、膜厚1μm当たりの光学濃度は、上述した(D)着色剤の組成及び含有比率により調節することができる。
【0213】
<有機EL表示装置の製造プロセス>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いたプロセスとして、該組成物の硬化膜を有機EL表示装置の遮光性の画素分割層として用いたプロセスを例に、図1に模式的断面図を示して説明する。まず、(1)ガラス基板1上に、薄膜トランジスタ(以下、「TFT」)2を形成し、TFT平坦化膜用の感光性材料を成膜し、フォトリソグラフィーによってパターン加工した後、熱硬化させてTFT平坦化用の硬化膜3を形成する。次に、(2)銀‐パラジウム‐銅合金(以下、「APC」)をスパッタにより成膜し、フォトレジストを用いてエッチングによりパターン加工してAPC層を形成し、さらに、APC層の上層に酸化インジウムスズ(以下、「ITO」)をスパッタにより成膜し、フォトレジストを用いたエッチングによりパターン加工し、第1電極として反射電極4を形成する。その後、(3)本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布及びプリベークして、プリベーク膜5aを形成する。次いで、(4)所望のパターンを有するマスク6を介して、活性化学線7を照射する。次に、(5)現像してパターン加工をした後、必要に応じてブリーチング露光及びミドルベークし、熱硬化させることで、遮光性の画素分割層として、所望のパターンを有する硬化パターン5bを形成する。その後、(6)有機EL発光材料を、マスクを介した蒸着によって成膜して有機EL発光層8を形成し、マグネシウム‐銀合金(以下、「MgAg」)を蒸着により成膜し、フォトレジストを用いてエッチングによりパターン加工し、第2電極として透明電極9を形成する。次に(7)平坦化膜用の感光性材料を成膜し、フォトリソグラフィーによってパターン加工した後、熱硬化させて平坦化用の硬化膜10を形成し、その後、カバーガラス11を接合させることで、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を遮光性の画素分割層として有する有機ELディスプレイを得る。
【0214】
<液晶ディスプレイ(液晶表示装置)の製造プロセス>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた別のプロセスとして、該組成物の硬化膜を液晶表示装置のブラックカラムスペーサー(以下、「BCS」)及びカラーフィルタのブラックマトリックス(以下、「BM」)として用いたプロセスを例に、図2に模式的断面図を示して説明する。まず、(1)ガラス基板12上に、バックライトユニット(以下、「BLU」)13を形成し、BLUを有するガラス基板14を得る。
【0215】
また、(2)別のガラス基板15上に、TFT16を形成し、TFT平坦化膜用の感光性材料を成膜し、フォトリソグラフィーによってパターン加工した後、熱硬化させてTFT平坦化用の硬化膜17を形成する。次に、(3)ITOをスパッタにより成膜し、フォトレジストを用いてエッチングによりパターン加工し、透明電極18を形成し、その上に平坦化膜19及び配向膜20を形成する。その後、(4)本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布及びプリベークして、プリベーク膜21aを形成する。次いで、(5)所望のパターンを有するマスク22を介して、活性化学線23を照射する。次に、(6)現像してパターン加工をした後、必要に応じてブリーチング露光及びミドルベークし、熱硬化させることで、遮光性のBCSとして所望のパターンを有する硬化パターン21bを形成し、BCSを有するガラス基板24を得る。次いで、(7)前記ガラス基板14と該ガラス基板24と、を接合させることで、BLU及びBCSを有するガラス基板25を得る。
【0216】
さらに、(8)別のガラス基板26上に、赤色、緑色、青色の三色のカラーフィルタ27を形成する。次に、(9)上記と同様の方法で、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から、遮光性のBMとして所望のパターンを有する硬化パターン28を形成する。その後、(10)平坦化用の感光性材料を成膜し、フォトリソグラフィーによってパターン加工した後、熱硬化させて平坦化用の硬化膜29を形成し、その上に配向膜30を形成することで、カラーフィルタ基板31を得る。次いで、(11)前記BLU及びBCSを有するガラス基板25と該カラーフィルタ基板31と、を接合させることで、(12)BLU、BCS及びBMを有するガラス基板32を得る。次に、(13)液晶を注入して液晶層33を形成することで、本発明のネガ型感光性樹脂組成物をBCS及びBMとして有する液晶ディスプレイを得る。
【0217】
以上のように、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、有機EL表示装置及び液晶表示装置の製造方法によれば、パターン加工され、ポリイミド及び/又はポリベンゾオキサゾールを含有する、高耐熱性かつ遮光性の硬化膜を得ることが可能であるため、有機EL表示装置及び液晶表示装置の製造における歩留まり向上、性能向上及び信頼性向上に繋がる。
【0218】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いたプロセスによれば、樹脂組成物が感光性であるため、フォトリソグラフィーにより直接パターン加工可能である。従って、フォトレジストを用いたプロセスと比較して、工程数を削減することができるため、有機EL表示装置及び液晶表示装置の生産性の向上、プロセスタイム短縮及びタクトタイム短縮が可能となる。
【0219】
<本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜を用いた表示装置>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜は、有機EL表示装置又は液晶表示装置を好適に構成することができる。
【0220】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、低テーパーのパターン形状を得ることができ、高耐熱性に優れた硬化膜を得ることが可能である。そのため、有機ELディスプレイの画素分割層等の絶縁層など、高耐熱性及び低テーパーのパターン形状が要求される用途に好適である。特に、熱分解による脱ガスに起因した素子の不良又は特性低下や、高テーパーのパターン形状による電極配線の断線など、耐熱性及びパターン形状に起因する問題が想定される用途において、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を用いることで、上記の問題が発生しない、高信頼性の素子を製造することが可能となる。さらに、硬化膜は遮光性に優れるため、電極配線の可視化防止又は外光反射の低減が可能となり、画像表示におけるコントラストを向上させることができる。従って、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜を、有機ELディスプレイの画素分割層として用いることで、発光素子の光取り出し側に、偏光板及び1/4波長板を形成することなく、コントラストを向上させることができる。
【0221】
また、本発明の表示装置は、曲面の表示部を有することが好ましい。この曲面の曲率半径は、曲面からなる表示部における断線等に起因する表示不良抑制の観点から、0.1mm以上が好ましく、0.3mm以上がより好ましい。また曲面の曲率半径は、表示装置の小型化及び高解像化の観点から、10mm以下が好ましく、7mm以下がより好ましく、5mm以下がさらに好ましい。
【0222】
<本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜を用いたフレキシブル有機EL表示装置>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は硬化膜とした際の可撓性や基材など隣接する構成に対する密着性に優れていることから、基板として可撓性のある材料が用いられた有機EL表示装置であるフレキシブル有機EL表示装置に好ましく用いることができる。
【0223】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いたプロセスとして、該組成物の硬化膜を、フレキシブル有機ELディスプレイの遮光性の画素分割層として用いたプロセスを例に、図3に示して説明する。まず、(1)ガラス基板34上に、可撓性ある基材であるポリイミド(以下、「PI」)フィルム基板35を仮固定する。次に、(2)PIフィルム基板上に、酸化物TFT36を形成し、TFT平坦化膜用の感光性材料を成膜し、フォトリソグラフィーによってパターン加工した後、熱硬化させてTFT平坦化用の硬化膜37を形成する。その後、(3)APCをスパッタにより成膜してAPC層を形成し、さらに、APC層の上層にITOをスパッタにより成膜し、フォトレジストを用いたエッチングによりパターン加工し、フォトレジストを用いてエッチングによりパターン加工し、第1電極として反射電極38を形成する。次に、(4)本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布及びプリベークして、プリベーク膜39aを形成する。次いで、(5)所望のパターンを有するマスク40を介して、活性化学線41を照射する。その後、(6)現像してパターン加工をした後、必要に応じてブリーチング露光及びミドルベークし、熱硬化させることで、フレキシブル及び遮光性の画素分割層として、所望のパターンを有する硬化パターン39bを形成する。次に、(7)EL発光材料を、マスクを介した蒸着によって成膜してEL発光層42を形成し、MgAgを蒸着により成膜し、フォトレジストを用いてエッチングによりパターン加工し、第2電極として透明電極43を形成する。その後、(8)平坦化膜用の感光性材料を成膜し、フォトリソグラフィーによってパターン加工した後、熱硬化させて平坦化用の硬化膜44を形成する。次に、(9)別のガラス基板45に仮固定されたポリエチレンテレフタレート(以下、「PET」)フィルム基板46を接合する。その後、(10)前記PIフィルム基板35から前記ガラス基板34を剥離し、該PETフィルム基板46から該ガラス基板45を剥離することで、本発明のネガ型感光性樹脂組成物をフレキシブル及び遮光性の画素分割層として有する、トップエミッション型フレキシブル有機ELディスプレイを得る。
【0224】
以上のように、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、フレキシブル有機ELディスプレイの製造方法によれば、パターン加工され、高耐熱性かつ遮光性の硬化膜を得ることが可能であるため、フレキシブル有機ELディスプレイの製造における歩留まり向上、性能向上及び信頼性向上に繋がる。
【0225】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、高解像度かつ低テーパーのパターン形状を得ることができ、フレキシブル性を有する硬化膜を得ることが可能である。そのため、該硬化膜をフレキシブル基板上の積層構造として有することができ、フレキシブル有機ELディスプレイの画素分割層等の絶縁層など、フレキシブル性及び低テーパーのパターン形状が要求される用途に好適である。さらに、硬化膜は高耐熱性を有するため、熱分解による脱ガスに起因した素子の不良又は特性低下や、高テーパーのパターン形状による電極配線の断線など、耐熱性及びパターン形状に起因する問題が想定される用途において、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を用いることで、上記の問題が発生しない、高信頼性の素子を製造することが可能となる。
【0226】
可撓性のある基板としては、高分子でできたフィルムまたはシート状の基板などの炭素原子を主成分として含有する基板であることが好ましい。炭素原子を主成分として含有することで、前記基板にフレキシブル性を付与することができる。フレキシブル基板としては、基板の機械物性向上によるフレキシブル性向上の観点から、ポリイミドを含有することがより好ましい。ここで、可撓性があるとは、JIS P 8115:2001記載のMIT試験において最低100回の耐屈性があることをいう。また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜も樹脂成分を含むものであるため、下地の基板となる、フレキシブル基板に対する硬化膜の相互作用を高め、基板との密着性を向上させることができる。さらに、下地の基板に追従する、硬化膜のフレキシブル性を向上させることができる。
【0227】
可撓性ある基板中の炭素原子含有比率は、該基板の質量に対して20質量%以上が好ましく、25質量%以上がより好ましく、30質量%以上がさらに好ましい。含有比率が上記範囲内であると、下地の基板との密着性及び硬化膜のフレキシブル性を向上させることができる。一方、含有比率は、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。含有比率が上記範囲内であると、下地の基板との密着性及び硬化膜のフレキシブル性を向上させることができる。
【0228】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、(C1)オキシムエステル系光重合開始剤及び(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤を含むため、ポリイミドを含有するフレキシブル基板上に硬化膜を形成する場合においても、感度を良好に維持しつつ、現像後の黒色顔料由来の残渣発生を抑制することができる。そのため、本発明のネガ型感光性樹脂組成物から得られる硬化膜は、外光反射抑制のため黒色顔料の含有が必須であり、遮光性と高感度化、現像残渣抑制の両立が求められるポリイミドを含有するフレキシブル基板を具備する有機ELディスプレイの画素分割層等の絶縁層用途に好適である。特に、開口部の残渣に起因したダークスポットの発生など、現像後の残渣に起因する問題が想定される用途において、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を用いることで、上述した問題が発生しない、高信頼性の素子を、感度が良好なため生産効率よく製造することが可能となる。
【0229】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、表示装置の製造方法は、以下の(1)~(4)の工程を有する。
(1)基板上に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の塗膜を成膜する工程、
(2)前記ネガ型感光性樹脂組成物の塗膜にフォトマスクを介して活性化学線を照射する工程、
(3)アルカリ溶液を用いて現像し、前記ネガ型感光性樹脂組成物のパターンを形成する工程、及び、
(4)前記パターンを加熱して、前記ネガ型感光性樹脂組成物の硬化パターンを得る工程。
【0230】
<塗膜を成膜する工程>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、表示装置の製造方法は、(1)基板上に、ネガ型感光性樹脂組成物の塗膜を成膜する工程、を有する。本発明のネガ型感光性樹脂組成物を成膜する方法としては、例えば、基板上に、前記樹脂組成物を塗布する方法、又は、基板上に、前記樹脂組成物をパターン状に塗布する方法が挙げられる。
【0231】
基板としては、例えば、ガラス上に、インジウム、スズ、亜鉛、アルミニウム及びガリウムから選ばれる一種類以上を有する酸化物、金属(モリブデン、銀、銅、アルミニウム、クロム若しくはチタンなど)若しくはCNT(Carbon Nano Tube)が、電極若しくは配線として形成された基板などが用いられる。
【0232】
インジウム、スズ、亜鉛、アルミニウム及びガリウムから選ばれる一種類以上を有する酸化物としては、例えば、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化インジウム亜鉛(IZO)、酸化アルミニウム亜鉛(AZO)、酸化インジウムガリウム亜鉛(IGZO)又は酸化亜鉛(ZnO)が挙げられる。
【0233】
<基板上に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布する方法>
基板上に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布する方法としては、例えば、マイクログラビアコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、カーテンフローコーティング、ロールコーティング、スプレーコーティング又はスリットコーティングが挙げられる。塗布膜厚は、塗布方法、樹脂組成物の固形分濃度や粘度などによって異なるが、通常は塗布及びプリベーク後の膜厚が0.1~30μmになるように塗布する。
【0234】
基板上に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布した後、プリベークして成膜することが好ましい。プリベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。プリベーク温度としては、50~150℃が好ましい。プリベーク時間としては、30秒~数時間が好ましい。80℃で2分間プリベークした後、120℃で2分間プリベークするなど、二段又はそれ以上の多段でプリベークしても構わない。
【0235】
<基板上に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物をパターン状に塗布する方法>
基板上に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物をパターン状に塗布する方法としては、例えば、凸版印刷、凹版印刷、孔版印刷、平版印刷、スクリーン印刷、インクジェット印刷、オフセット印刷又はレーザー印刷が挙げられる。塗布膜厚は、塗布方法、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の固形分濃度や粘度などによって異なるが、通常は塗布及びプリベーク後の膜厚が0.1~30μmになるように塗布する。
【0236】
基板上に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物をパターン状に塗布した後、プリベークして成膜することが好ましい。プリベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。プリベーク温度としては、50~150℃が好ましい。プリベーク時間としては、30秒~数時間が好ましい。80℃で2分間プリベークした後、120℃で2分間プリベークするなど、二段又はそれ以上の多段でプリベークしても構わない。
【0237】
<基板上に成膜した塗膜をパターン加工する方法>
基板上に成膜した、本発明のネガ型感光性樹脂組成物の塗膜をパターン加工する方法としては、例えば、フォトリソグラフィーにより直接パターン加工する方法又はエッチングによりパターン加工する方法が挙げられる。工程数の削減による生産性の向上及びプロセスタイム短縮の観点から、フォトリソグラフィーにより直接パターン加工する方法が好ましい。
【0238】
<フォトマスクを介して活性化学線を照射する工程>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、表示装置の製造方法は、(2)前記ネガ型感光性樹脂組成物の塗膜にフォトマスクを介して活性化学線を照射する工程、を有する。
【0239】
基板上に、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を塗布及びプリベークして成膜した後、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)又はパラレルライトマスクアライナー(PLA)などの露光機を用いて露光する。露光時に照射する活性化学線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線、KrF(波長248nm)レーザー又はArF(波長193nm)レーザーなどが挙げられる。水銀灯のj線(波長313nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)又はg線(波長436nm)を用いることが好ましい。また露光量は通常100~40,000J/m(10~4,000mJ/cm)程度(i線照度計の値)であり、必要に応じて所望のパターンを有するフォトマスクを介して露光することができる。
【0240】
露光後、露光後ベークをしても構わない。露光後ベークを行うことによって、現像後の解像度向上又は現像条件の許容幅増大などの効果が期待できる。露光後ベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。露光後ベーク温度としては、50~180℃が好ましい。露光後ベーク時間は、10秒~数時間が好ましい。露光後ベーク時間が10秒~数時間であると、反応が良好に進行し、現像時間を短くできる場合がある。
【0241】
<アルカリ溶液を用いて現像し、パターンを形成する工程>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、表示装置の製造方法は、(3)アルカリ溶液を用いて現像し、前記ネガ型感光性樹脂組成物のパターンを形成する工程、を有する。露光後、自動現像装置などを用いて現像する。本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、感光性を有するため、現像後、露光部又は未露光部が現像液で除去され、レリーフ・パターンを得ることができる。
【0242】
現像液としては、アルカリ現像液が一般的に用いられる。アルカリ現像液としては、例えば、有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物の水溶液が好ましく、環境面の観点から、アルカリ性を示す化合物の水溶液すなわちアルカリ水溶液がより好ましい。
【0243】
有機系のアルカリ溶液又はアルカリ性を示す化合物としては、例えば、2-アミノエタノール、2-(ジメチルアミノ)エタノール、2-(ジエチルアミノ)エタノール、ジエタノールアミン、メチルアミン、エチルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、酢酸(2-ジメチルアミノ)エチル、(メタ)アクリル酸(2-ジメチルアミノ)エチル、シクロヘキシルアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、アンモニア、水酸化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラエチルアンモニウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムが挙げられるが、硬化膜の金属不純物低減及び表示装置の表示不良抑制の観点から、水酸化テトラメチルアンモニウム又は水酸化テトラエチルアンモニウムが好ましい。
【0244】
現像液としては、有機溶媒を用いても構わない。現像液としては、有機溶媒と、本発明のネガ型感光性樹脂組成物に対する貧溶媒の、両方を含有する混合溶液を用いても構わない。
【0245】
現像方法としては、例えば、パドル現像、スプレー現像又はディップ現像が挙げられる。パドル現像としては、例えば、露光後の膜に上記の現像液をそのまま塗布した後、任意の時間放置する方法、又は、露光後の膜に上記の現像液を任意の時間の間、霧状に放射して塗布した後、任意の時間放置する方法が挙げられる。スプレー現像としては、露光後の膜に上記の現像液を霧状に放射して、任意の時間当て続ける方法が挙げられる。ディップ現像としては、露光後の膜を上記の現像液中に任意の時間浸漬する方法、又は、露光後の膜を上記の現像液中に浸漬後、超音波を任意の時間照射し続ける方法が挙げられる。現像時の装置汚染抑制及び現像液の使用量削減によるプロセスコスト削減の観点から、現像方法としては、パドル現像が好ましい。現像時の装置汚染を抑制することで、現像時の基板汚染を抑制することができ、表示装置の表示不良を抑制することができる。一方、現像後の残渣発生の抑制の観点から、現像方法としては、スプレー現像が好ましい。また、現像液の再利用による現像液の使用量削減及びプロセスコスト削減の観点から、現像方法としては、ディップ現像が好ましい。
【0246】
現像時間は、5秒~30分が好ましい。
【0247】
現像後、得られたレリーフ・パターンを、リンス液で洗浄することが好ましい。リンス液としては、現像液としてアルカリ水溶液を用いた場合、水が好ましい。リンス液としては、例えば、エタノール若しくはイソプロピルアルコールなどのアルコール類の水溶液、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのエステル類の水溶液又は炭酸ガス、塩酸若しくは酢酸などの酸性を示す化合物の水溶液を用いても構わない。リンス液としては、有機溶媒を用いても構わない。
【0248】
フォトリソグラフィーにより、本発明のネガ型感光性樹脂組成物のパターンを得た後、ブリーチング露光をしても構わない。ブリーチング露光をすることで、熱硬化後のパターン形状を任意に制御することができる。また、硬化膜の透明性を向上させることができる。
【0249】
ブリーチング露光は、ステッパー、ミラープロジェクションマスクアライナー(MPA)又はパラレルライトマスクアライナー(PLA)などの露光機を使用することができる。ブリーチング露光時に照射する活性化学線としては、例えば、紫外線、可視光線、電子線、X線、KrF(波長248nm)レーザー又はArF(波長193nm)レーザーなどが挙げられる。水銀灯のj線(波長313nm)、i線(波長365nm)、h線(波長405nm)又はg線(波長436nm)を用いることが好ましい。また露光量は通常500~500,000J/m(50~50,000mJ/cm)程度(i線照度計の値)であり、必要に応じて所望のパターンを有するマスクを介して露光することができる。
【0250】
本発明のネガ型感光性樹脂組成物のパターンを得た後、ミドルベークをしても構わない。ミドルベークを行うことで、熱硬化後の解像度が向上するとともに、熱硬化後のパターン形状を任意に制御することができる。ミドルベークは、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。ミドルベーク温度としては、50℃~250℃が好ましい。ミドルベーク時間としては、10秒~数時間が好ましい。100℃で5分間ミドルベークした後、150℃で5分間ミドルベークするなど、二段又はそれ以上の多段でミドルベークしても構わない。
【0251】
<パターンを加熱して、硬化パターンを得る工程>
本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、表示装置の製造方法は、(4)前記ネガ型感光性樹脂組成物のパターンを加熱して、前記ネガ型感光性樹脂組成物の硬化パターンを得る工程、を有する。
【0252】
基板上に成膜した、本発明のネガ型感光性樹脂組成物のパターンの加熱は、オーブン、ホットプレート、赤外線、フラッシュアニール装置又はレーザーアニール装置などを使用することができる。本発明のネガ型感光性樹脂組成物のパターンを加熱して熱硬化させることで、硬化膜の耐熱性を向上させることができるとともに、低テーパーのパターン形状を得ることができる。
【0253】
熱硬化させる温度としては、150℃~500℃が好ましい。
【0254】
熱硬化させる時間としては、1分~300分が好ましい。また150℃で30分間熱硬化させた後、250℃で30分間熱硬化させるなど、二段又はそれ以上の多段で熱硬化させても構わない。
【0255】
また、本発明のネガ型感光性樹脂組成物によれば、有機ELディスプレイの画素分割層、カラーフィルタ、カラーフィルタのブラックマトリックス、液晶ディスプレイのブラックカラムスペーサー、半導体のゲート絶縁膜、半導体の層間絶縁膜、金属配線用保護膜、金属配線用絶縁膜又はTFT用平坦化膜などの用途に好適に用いられる硬化膜を得ることが可能となる。特に、遮光性に優れるため、有機ELディスプレイの遮光性を有する画素分割層、カラーフィルタのブラックマトリックス又は液晶ディスプレイのブラックカラムスペーサーとして好適である。加えて、該硬化膜を前記の用途として具備する素子及び表示装置を得ることが可能となる。
【0256】
本発明の表示装置において、表示エリアにおける画素分割層の開口部の開口率は、20%以下が好ましい。開口率が20%以下であると、表示装置を高解像化/高精細化することができるとともに、外光反射を低減する画素分割層の面積が増加するため、表示装置のコントラストを向上させることができる。一方、画素分割層の開口部の開口率が小さくなると、現像残渣によるダークスポットの発生又は輝度の低下などの表示不良発生への寄与が大きくなる。そのため、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いて、画素分割層を形成することで、現像残渣の発生を抑制することができるため、表示装置の表示不良発生を抑制し、信頼性を向上させることが可能となる。
【0257】
さらに、本発明のネガ型感光性樹脂組成物を用いた、表示装置の製造方法によれば、パターン加工され、ポリイミド及び/又はポリベンゾオキサゾールを含有する、高耐熱性かつ遮光性の硬化膜を得ることが可能であるため、有機ELディスプレイ及び液晶ディスプレイの製造における歩留まり向上、性能向上及び信頼性向上に繋がる。加えて、本発明のネガ型感光性樹脂組成物は、フォトリソグラフィーにより直接パターン加工可能であるため、フォトレジストを用いたプロセスと比較して、工程数を削減することができるため、生産性の向上、プロセスタイム短縮及びタクトタイム短縮が可能となる。
【実施例
【0258】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによって限定して解釈されるものではない。なお、用いた化合物のうち略語を使用しているものについて、名称を以下に示す。
6FDA:2,2-(3,4-ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物4,4’-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル-ビス(1,2-フタル酸無水物)
APC:Argentum‐Palladium‐Cupper(銀‐パラジウム‐銅合金)
BAHF:2,2-ビス(3-アミノ-4-ヒドロキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン
BFE:1,2-ビス(4-ホルミルフェニル)エタン
Bk-A1103:“CHROMOFINE”(登録商標) BLACK A1103(大日精化工業(株)製;一次粒子径50~100nmのアゾ系黒色顔料)
Bk-S0084:“PALIOGEN”(登録商標) BLACK S0084(BASF社製;一次粒子径50~100nmのペリレン系黒色顔料)
Bk-S0100CF:“IRGAPHOR”(登録商標) BLACK S0100CF(BASF社製;一次粒子径40~80nmのベンゾフラノン系黒色顔料)
cyEpoTMS:2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン
D.BYK-167:“DISPERBYK”(登録商標)-167(ビックケミー・ジャパン(株)製;塩基性基のみを有する分散剤)
DMF-DFA:N,N-ジメチルホルムアミドジメチルアセタール
DPCA-60:“KAYARAD”(登録商標) DPCA-60(日本化薬(株)製;オキシペンチレンカルボニル構造を分子中に6個有する、ε-カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
DPHA:“KAYARAD”(登録商標) DPHA(日本化薬(株)製;ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート)
GMA:メタクリル酸グリシジル
HA:N,N’-ビス[5,5’-ヘキサフルオロプロパン-2,2-ジイル-ビス(2-ヒドロキシフェニル)]ビス(3-アミノ安息香酸アミド)
IGZO:酸化インジウムガリウム亜鉛
ITO:酸化インジウムスズ
MAA:メタクリル酸
MAP:3-アミノフェノール;メタアミノフェノール
MBA:3-メトキシ-n-ブチルアセテート
MeTMS:メチルトリメトキシシラン
MgAg:Magnesium‐Argentum(マグネシウム‐銀合金)
NA:5-ノルボルネン-2,3-ジカルボン酸無水物;ナジック酸無水物
NMP:N-メチル-2-ピロリドン
ODPA:ビス(3,4-ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物;オキシジフタル酸二無水物
P.B.15:6:C.I.ピグメントブルー15:6
P.R.254:C.I.ピグメントレッド254
P.V.23:C.I.ピグメントバイオレット23
P.Y.139:C.I.ピグメントイエロー139
PGMEA:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
PhTMS:フェニルトリメトキシシラン
S-20000:“SOLSPERSE”(登録商標) 20000(Lubrizol社製;ポリエーテル系分散剤)
SiDA:1,3-ビス(3-アミノプロピル)テトラメチルジシロキサン
STR:スチレン
TCDM:メタクリル酸トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン-8-イル;ジメチロール-トリシクロデカンジメタアクリレート
TMAH:水酸化テトラメチルアンモニウム
TMOS:テトラメトキシシラン
TPK-1227:スルホン酸基を導入する表面処理がされたカーボンブラック(CABOT製)
合成例(A)
三口フラスコに、BAHFを18.31g(0.05mol)、プロピレンオキシドを17.42g(0.3mol)、アセトンを100mL秤量して溶解させた。ここに、アセトン10mLに塩化3-ニトロベンゾイルを20.41g(0.11mol)溶かした溶液を滴下した。滴下終了後、-15℃で4時間反応させ、その後室温に戻した。析出した白色固体をろ取し、50℃で真空乾燥させた。得られた固体30gを、300mLのステンレスオートクレーブに入れ、2-メトキシエタノール250mLに分散させ、5%パラジウム-炭素を2g加えた。ここに水素を風船で導入して、室温で2時間反応させた。2時間後、風船がこれ以上しぼまないことを確認した。反応終了後、ろ過して触媒であるパラジウム化合物を除去し、減圧留去させて濃縮し、下記構造のヒドロキシ基含有ジアミン化合物(HA)を得た。
【0259】
【化19】
【0260】
合成例1 ポリイミド(PI-1)の合成
乾燥窒素気流下、三口フラスコに、BAHFを31.13g(0.085mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して77.3mol%)、SiDAを1.24g(0.0050mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して4.5mol%)、末端封止剤として、MAPを2.18g(0.020mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して18.2mol%)、NMPを150.00g秤量して溶解させた。ここに、NMP50.00gにODPAを31.02g(0.10mol;全カルボン酸及びその誘導体に由来する構造単位に対して100mol%)溶かした溶液を添加し、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で4時間攪拌した。その後、キシレン15gを添加し、水をキシレンとともに共沸しながら、150℃で5時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水3Lに投入し、析出した固体沈殿をろ過して得た。得られた固体を水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、ポリイミド(PI-1)を得た。得られたポリイミドのMwは27,000であった。
【0261】
合成例2 ポリイミド前駆体(PIP-1)の合成
乾燥窒素気流下、三口フラスコに、6FDAを44.42g(0.10mol;全カルボン酸及びその誘導体に由来する構造単位に対して100mol%)、NMPを150g秤量して溶解させた。ここに、NMP50gにBAHFを14.65g(0.040mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して32.0mol%)、HAを18.14g(0.030mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して24.0mol%)、SiDAを1.24g(0.0050mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して4.0mol%)溶かした溶液を添加し、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で2時間攪拌した。次に、末端封止剤として、NMP15gにMAPを5.46g(0.050mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して40.0mol%)溶かした溶液を添加し、50℃で2時間攪拌した。その後、NMP15gにDMF-DFAを23.83g(0.20mol)溶かした溶液を10分かけて滴下した。滴下終了後、50℃で3時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を室温に冷却した後、反応溶液を水3Lに投入し、析出した固体沈殿をろ過して得た。得られた固体を水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、ポリイミド前駆体(PIP-1)を得た。得られたポリイミド前駆体のMwは20,000であった。
【0262】
合成例3 ポリベンゾオキサゾール(PBO-1)の合成
トルエンを満たしたディーンスターク水分離器及び冷却管を付けた500mL丸底フラスコに、BAHFを34.79g(0.095mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して95.0mol%)、SiDAを1.24g(0.0050mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して5.0mol%)、NMPを75.00g秤量して、溶解させた。ここに、NMP25.00gに、BFEを19.06g(0.080mol;全カルボン酸及びその誘導体に由来する構造単位に対し66.7mol%)、末端封止剤として、NAを6.57g(0.040mol;全カルボン酸及びその誘導体に由来する構造単位に対し33.3mol%)溶かした溶液を添加し、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で1時間攪拌した。その後、窒素雰囲気下、200℃以上で10時間加熱攪拌し、脱水反応を行った。反応終了後、反応溶液を水3Lに投入し、析出した固体沈殿をろ過して得た。得られた固体を水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、ポリベンゾオキサゾール(PBO-1)を得た。得られたポリベンゾオキサゾールのMwは25,000であった。
【0263】
合成例4 ポリベンゾオキサゾール前駆体(PBOP-1)の合成
トルエンを満たしたディーンスターク水分離器及び冷却管を付けた500mL丸底フラスコに、BAHFを34.79g(0.095mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して95.0mol%)、SiDAを1.24g(0.0050mol;全アミン及びその誘導体に由来する構造単位に対して5.0mol%)、NMPを70.00g秤量して、溶解させた。ここに、NMP20.00gに、BFEを19.06g(0.080mol;全カルボン酸及びその誘導体に由来する構造単位に対し66.7mol%)溶かした溶液を添加し、20℃で1時間攪拌し、次いで50℃で2時間攪拌した。次に、末端封止剤として、NMP10gにNAを6.57g(0.040mol;全カルボン酸及びその誘導体に由来する構造単位に対し33.3mol%)溶かした溶液を添加し、50℃で2時間攪拌した。その後、窒素雰囲気下、100℃で2時間攪拌した。反応終了後、反応溶液を水3Lに投入し、析出した固体沈殿をろ過して得た。得られた固体を水で3回洗浄した後、80℃の真空乾燥機で24時間乾燥し、ポリベンゾオキサゾール前駆体(PBOP-1)を得た。得られたポリベンゾオキサゾール前駆体のMwは20,000であった。
【0264】
合成例5 ポリシロキサン溶液(PS-1)の合成
三口フラスコに、MeTMSを20.43g(30mol%)、PhTMSを49.57g(50mol%)、cyEpoTMSを12.32g(10mol%)、TMOSを7.61g(10mol%)、PGMEAを83.39g仕込んだ。フラスコ内に空気を0.05L/分で流し、混合溶液を攪拌しながらオイルバスで40℃に加熱した。混合溶液をさらに攪拌しながら、水28.83gにリン酸0.27gを溶かしたリン酸水溶液を10分かけて滴下した。滴下終了後、40℃で30分間攪拌して、シラン化合物を加水分解させた。加水分解終了後、バス温を70℃にして1時間攪拌した後、続いてバス温を115℃まで昇温した。昇温開始後、約1時間後に溶液の内温が100℃に到達し、そこから2時間加熱攪拌した(内温は100~110℃)。2時間加熱攪拌して得られた樹脂溶液を氷浴にて冷却し、ポリシロキサン溶液(PS-1)を得た。得られたポリシロキサンのMwは4,500であった。
【0265】
合成例6 アクリル樹脂溶液(AC-1)の合成
三口フラスコに、2,2’-アゾビス(イソブチロニトリル)を0.821g(1mol%)、PGMEAを29.29g仕込んだ。次に、MAAを21.52g(50mol%)、TCDMを22.03g(20mol%)、STRを15.62g(30mol%)仕込み、室温でしばらく攪拌して、フラスコ内をバブリングによって十分に窒素置換した後、70℃で5時間攪拌した。次に、得られた溶液に、PGMEAを59.47gにGMAを14.22g(20mol%)、ジベンジルアミンを0.676g(1mol%)、4-メトキシフェノールを0.186g(0.3mol%)溶かした溶液を添加し、90℃で4時間攪拌して、アクリル樹脂溶液(AC-1)を得た。得られたアクリル樹脂のMwは15,000であった。
【0266】
合成例1~6の組成を、まとめて表1-1~表1-3に示す。
【0267】
【表1-1】
【0268】
【表1-2】
【0269】
【表1-3】
【0270】
調製例1 顔料分散液(Bk-1)の調製
分散剤である、34.5gのS-20000を、溶剤である、782.0gのMBAに混合して10分間攪拌した後、顔料である、103.5gのBk-S0100CFを投入して30分攪拌し、0.40mmφのジルコニアビーズが充填された横型ビーズミルを用いて、数平均粒子径が150nmとなるように、湿式メディア分散処理を行った。
【0271】
調製例2 顔料分散液(Bk-2)の調製
樹脂として、合成例1で得られた、ポリイミド(PI-1)の30質量%のMBA溶液を92.0g、分散剤である、27.6gのS-20000を、溶剤である、717.6gのMBAに混合して10分間拡散した後、顔料である、82.8gのBk-S0100CFを投入して30分攪拌し、0.40mmφのジルコニアビーズが充填された横型ビーズミルを用いて、数平均粒子径が150nmとなるように、湿式メディア分散処理を行った。
【0272】
調製例3~8 顔料分散液(Bk-3)~顔料分散液(Bk-8)の調製
表2-1に記載の顔料、(A)アルカリ可溶性樹脂及び(E)分散剤の種類並びにこれらの比率にて、調製例2と同様に顔料分散をして、顔料分散液(Bk-3)~顔料分散液(Bk-8)を得た。
【0273】
調製例1~8の組成を、まとめて表2-1に示す。
【0274】
【表2-1】
【0275】
各実施例及び比較例で使用した、一般式(11)に当てはまる(C1)オキシムエステル系光重合開始剤(O-1)、一般式(12)に当てはまる(C1)オキシムエステル系光重合開始剤(O-2)、一般式(11)~(13)に当てはまらない(C1)オキシムエステル系光重合開始剤(O-3)と、(C2)α-ヒドロキシケトン系光重合開始剤(H-1~H-7)及びベンジルケタール系光重合開始剤(B-1)、それぞれの構造式を下記に示す。
【0276】
【化20】
【0277】
は、2~5の整数を表す。
【0278】
各実施例及び比較例における評価方法を以下に示す。
【0279】
(1)樹脂の重量平均分子量
GPC分析装置(HLC-8220;東ソー(株)製)を用い、流動層としてテトラヒドロフラン又はNMPを用いて、「JIS K7252-3(2008)」に基づき、常温付近での方法により、ポリスチレン換算の重量平均分子量を測定して求めた。
【0280】
(2)基板の前処理
ガラス上に、ITOをスパッタにより100nm成膜したガラス基板(ジオマテック(株)製;以下、「ITO基板」)は、卓上型光表面処理装置(PL16-110;セン特殊光源(株)製)を用いて、100秒間UV-O洗浄処理をして使用した。
【0281】
(3)感度
プリベーク膜を下記実施例1に記載した方法で作製し、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した後、フォトリソ用小型現像装置(AD-2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像し、ネガ型感光性樹脂組成物の現像後膜を作製した。なお、詳細な露光・現像条件は実施例1に記載した内容と同じである。
【0282】
FPD/LSI検査顕微鏡(OPTIPHOT-300;(株)ニコン製)を用いて、作製した現像後膜の解像パターンを観察し、20μmのライン・アンド・スペースパターンを1対1の幅に形成する露光量(i線照度計の値)を感度とした。感度は小数点以下一桁目を四捨五入し、下記のように判定し、感度が90mJ/cm以下となる、A+、A、B及びCを合格とし、感度が60mJ/cm以下となる、A+、A及びBを感度良好とし、感度45mJ/cm以下となる、A+及びAを感度優秀とした。
A+:感度が1~30mJ/cm
A:感度が31~45mJ/cm
B:感度が46~60mJ/cm
C:感度が61~90mJ/cm
D:感度が91~150mJ/cm
E:感度が151~500mJ/cm
【0283】
(4)現像残渣
プリベーク膜を下記実施例1に記載した方法で作製し、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した後、フォトリソ用小型現像装置(AD-2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像した後、高温イナートガスオーブン(INH-9CD-S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を作製した。なお、詳細な露光・現像・硬化条件は実施例1に記載した内容と同じである。
【0284】
FPD/LSI検査顕微鏡(OPTIPHOT-300;(株)ニコン製)を用いて、作製した硬化膜の解像パターンを観察した。開口部における残渣の存在面積は20μmのライン・アンド・スペースパターンについて、観察した解像パターンにおいて開口部の面積(St)および開口部の中に存在している顔料由来の残渣物が占める面積(Sc)からSc/St×100(%)として求められる。これを無作為に選択した10個のライン・アンド・スペースパターンについて求め、その数平均値とした。存在面積は小数点以下一桁目を四捨五入し、下記のように判定し、開口部における残渣の存在面積が10%以下となる、A+、A及びBを合格とし、開口部における残渣の存在面積が5%以下となる、A+及びAを現像残渣良好とし、開口部における残渣の存在面積が無い、A+を現像残渣優秀とした。
A+:開口部における残渣無し
A:開口部における残渣の存在面積が1~5%
B:開口部における残渣の存在面積が6~10%
C:開口部における残渣の存在面積が11~30%
D:開口部における残渣の存在面積が31~50%
E:開口部における残渣の存在面積が51~100%。
【0285】
(5)パターン断面形状
プリベーク膜を下記実施例1に記載した方法で作製し、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した後、フォトリソ用小型現像装置(AD-2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像した後、高温イナートガスオーブン(INH-9CD-S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を作製した。なお、詳細な露光・現像・硬化条件は実施例1に記載した内容と同じである。
【0286】
電界放出型走査電子顕微鏡(S-4800;(株)日立ハイテクノロジーズ製)を用いて、作製した硬化膜の解像パターンのうち、スペース寸法幅20μmのライン・アンド・スペースパターンの断面を観察し、断面のテーパー角を測定した。テーパー角は小数点以下一桁目を四捨五入し、下記のように判定し、断面のテーパー角が60°以下となる、A+、A及びBを合格とし、断面のテーパー角が45°以下となる、A+及びAをパターン形状良好とし、断面のテーパー角が30°以下となる、A+をパターン形状優秀とした。
A+:断面のテーパー角が1~30°
A:断面のテーパー角が31~45°
B:断面のテーパー角が46~60°
C:断面のテーパー角が61~70°
D:断面のテーパー角が71~80°
E:断面のテーパー角が81~179°。
【0287】
(6)耐熱性(高温重量残存率差)
プリベーク膜を下記実施例1に記載した方法で作製し、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した後、フォトリソ用小型現像装置(AD-2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像した後、高温イナートガスオーブン(INH-9CD-S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を作製した。なお、詳細な露光・現像・硬化条件は実施例1に記載した内容と同じである。
【0288】
熱硬化後、作製した硬化膜を基板から削りとり、アルミセルに約10mg入れた。このアルミセルを、熱重量測定装置(TGA-50;(株)島津製作所製)を用い、窒素雰囲気中、30℃にて10分間保持した後、昇温速度10℃/分で150℃まで昇温させ、その後、150℃で30分間保持し、さらに昇温速度10℃/分で500℃まで昇温させながら熱重量分析を行った。150℃で30分間加熱した後の重量100質量%に対して、さらに加熱した場合の350℃での重量残存率を(M)質量%、400℃での重量残存率を(M)質量%とし、耐熱性の指標として、高温重量残存率差((M)-(M))を算出した。
【0289】
高温重量残存率差は小数点以下二桁目を四捨五入し、下記のように判定し、高温重量残存率差が25.0質量%以下となる、A+、A及びBを合格とし、高温重量残存率差が15.0%以下となる、A+及びAを耐熱性良好とし、高温重量残存率差が5.0%以下となる、A+を耐熱性優秀とした。
A+:高温重量残存率差が0~5.0%
A:高温重量残存率差が5.1~15.0%
B:高温重量残存率差が15.1~25.0%
C:高温重量残存率差が25.1~35.0%
D:高温重量残存率差が35.1~45.0%
E:高温重量残存率差が45.1~100%。
【0290】
(7)遮光性(光学濃度(以下、「OD」)値)
プリベーク膜を下記実施例1に記載した方法で作製し、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した後、フォトリソ用小型現像装置(AD-2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像した後、高温イナートガスオーブン(INH-9CD-S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を作製した。なお、詳細な露光・現像・硬化条件は実施例1に記載した内容と同じである。
【0291】
透過濃度計(X-Rite 361T(V);X-Rite製)を用いて、作製した硬化膜の入射光強度(I)及び透過光強度(I)をそれぞれ測定した。遮光性の指標として、OD値を下記式により算出した。
【0292】
OD値=log10(I/I)
(8)絶縁性(表面抵抗率)
プリベーク膜を下記実施例1に記載した方法で作製し、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した後、フォトリソ用小型現像装置(AD-2000;滝沢産業(株)製)を用いて現像した後、高温イナートガスオーブン(INH-9CD-S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、ネガ型感光性樹脂組成物の硬化膜を作製した。なお、詳細な露光・現像・硬化条件は実施例1に記載した内容と同じである。
【0293】
高抵抗抵抗率計(“ハイレスタ”UP;三菱化学(株)製)を用いて、作製した硬化膜の表面抵抗率(Ω/□)を測定した。
【0294】
(9)有機EL表示装置の発光特性
(有機EL表示装置の作製方法)
図4(1)~(4)に、使用した基板の概略図を示す。まず、38×46mmの無アルカリガラス基板47に、スパッタ法により、ITO透明導電膜10nmを基板全面に形成し、第1電極48としてエッチングし、透明電極を形成した。また、第2電極を取り出すため補助電極49も同時に形成した(図3(1))。得られた基板を“セミコクリーン”(登録商標)56(フルウチ化学(株)製)で10分間超音波洗浄し、超純水で洗浄した。次に、この基板上に、ネガ型感光性樹脂組成物を実施例1記載の方法で塗布及びプリベークし、所定のパターンを有するフォトマスクを介してパターンニング露光、現像及びリンスした後、加熱し熱硬化させた。以上の方法で、幅70μm及び長さ260μmの開口部が、幅方向にピッチ155μm及び長さ方向にピッチ465μmで配置され、それぞれの開口部が第1電極を露出せしめる形状の絶縁層50を、基板有効エリアに限定して形成した(図3(2))。なお、この開口部が、最終的に有機EL表示装置の発光画素となる。また、基板有効エリアは、16mm四方であり、絶縁層50の厚さは、約1.0μmで形成した。
【0295】
次に、第1電極48、補助電極49及び絶縁層50を形成した基板を用いて、有機EL表示装置の作製を行った。前処理として、窒素プラズマ処理を行った後、真空蒸着法により、発光層を含む有機EL層51を形成した(図3(3))。なお、蒸着時の真空度は、1×10-3Pa以下であり、蒸着中は蒸着源に対して基板を回転させた。まず、正孔注入層として、化合物(HT-1)を10nm、正孔輸送層として、化合物(HT-2)を50nm蒸着した。次に、発光層に、ホスト材料として、化合物(GH-1)とドーパント材料として、化合物(GD-1)を、ドープ濃度が10%になるように40nmの厚さに蒸着した。その後、電子輸送材料として、化合物(ET-1)と化合物(LiQ)を、体積比1:1で40nmの厚さに積層した。有機EL層で用いた化合物の構造を以下に示す。
【0296】
【化21】
【0297】
次に、化合物(LiQ)を2nm蒸着した後、MgAgを体積比10:1で100nm蒸着して第2電極52とし、反射電極を形成した(図3(4))。その後、低湿窒素雰囲気下、エポキシ樹脂系接着剤を用いて、キャップ状ガラス板を接着することで封止をし、1枚の基板上に5mm四方のボトムエミッション型有機EL表示装置を4つ作製した。なお、ここでいう膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。
【0298】
(発光特性評価)
上記の方法で作製した有機EL表示装置を、10mA/cmで直流駆動にて発光させ、非発光領域や輝度ムラなどの発光不良がないかを観察した。作製した有機EL表示装置を、耐久性試験として、80℃で500時間保持した。耐久性試験後、有機EL表示装置を、10mA/cmで直流駆動にて発光させ、発光領域や輝度ムラなどの発光特性に変化がないかを観察した。耐久試験後特性は、耐久試験前後での発光領域面積の保持率として求められ、耐久試験前に発光不良のなかった画素の面積(Nt)に対して、耐久試験後において発光不良のない画素の面積(Nc)から、Nc/Nt×100(%)として求められる。これを無作為に選択した20個の画素について求め、数平均値として求めた。なお、耐久試験前後で輝度が変化している発光領域は輝度ムラが発生しているとみなし、輝度ムラが発生している領域は、発光していないとみなして求めた。発光領域面積は小数点以下一桁目を四捨五入し、下記のように判定し、耐久試験前の発光領域面積を100%とした場合の、耐久試験後の発光領域面積が80%以上となる、A+、A及びBを合格とし、発光領域面積が90%以上となる、A+及びAを発光特性良好とし、発光領域面積が95%以上となる、A+を発光特性優秀とした。
A+:発光領域面積の保持率が95~100%
A:発光領域面積の保持率が90~94%
B:発光領域面積の保持率が80~89%
C:発光領域面積の保持率が70~79%
D:発光領域面積の保持率が50~69%
E:発光領域面積の保持率が0~49%。
【0299】
[実施例1]
黄色灯下、O-1を0.324g、H-1を0.017g秤量し、MBAを6.533g、PGMEAを5.100g添加し、攪拌して溶解させた。次に、合成例1で得られたポリイミド(PI-1)の30質量%のMBA溶液を5.059g、DPHAの50質量%のMBA溶液を1.989g添加して攪拌し、均一溶液として調合液を得た。次に、調製例2で得られた顔料分散液(Bk-2)を9.149g秤量し、ここに、上記で得られた調合液を15.851g添加して攪拌し、均一溶液とした。その後、得られた溶液を0.45μmφのフィルターでろ過し、組成物1を調製した。
【0300】
調製した組成物1を、ITO基板上にスピンコーター(MS-A100;ミカサ(株)製)を用いて任意の回転数でスピンコーティングにより塗布した後、ブザーホットプレート(HPD-3000BZN;アズワン(株)製)を用いて110℃で120秒間プリベークし、膜厚約1.8μmのプリベーク膜を作製した。
【0301】
作製したプリベーク膜を、フォトリソ用小型現像装置(AD-2000;滝沢産業(株)製)を用いて、2.38質量%TMAH水溶液でスプレー現像し、プリベーク膜(未露光部)が完全に溶解する時間(Breaking Point;以下、「B.P.」)を測定した。
【0302】
上記と同様にプリベーク膜を作製し、作製したプリベーク膜を、両面アライメント片面露光装置(マスクアライナー PEM-6M;ユニオン光学(株)製)を用いて、感度測定用のグレースケールマスク(MDRM MODEL 4000-5-FS;Opto-Line International製)を介して、超高圧水銀灯のi線(波長365nm)、h線(波長405nm)及びg線(波長436nm)でパターニング露光した。露光後、フォトリソ用小型現像装置(AD-2000;滝沢産業(株)製)を用いて、2.38質量%TMAH水溶液を10秒間塗布した後、パドル現像し、水で30秒間リンスした。現像時間は、B.P.の1.5倍とした。なお、現像時間は、前記2.38質量%TMAH水溶液を塗布する10秒間と、パドル現像する時間の合計である。
【0303】
現像後、高温イナートガスオーブン(INH-9CD-S;光洋サーモシステム(株)製)を用いて、250℃で熱硬化させ、膜厚約1.2μmの硬化膜を作製した。熱硬化条件は、窒素雰囲気下、250℃で60分間熱硬化させた。
【0304】
[実施例2~28及び比較例1~9]
実施例1と同様に、組成物2~37を表3-1、表4-1または表5-1に記載の組成にて調製した。得られた各組成物を用いて、実施例1と同様に、基板上に組成物を成膜し、感光特性及び硬化膜の特性の評価を行った。それらの評価結果を、まとめて表3-2、表4-2及び表5-2に示す。
【0305】
【表3-1】
【0306】
【表3-2】
【0307】
【表4-1】
【0308】
【表4-2】
【0309】
【表5-1】
【0310】
【表5-2】
【0311】
[実施例29]
(偏光層を有しない有機EL表示装置の製造方法)
作製する有機EL表示装置の概略を図5に示す。まず、38×46mmの無アルカリガラス基板53上に、電子ビーム蒸着法により、クロムと金の積層膜を成膜し、エッチングによりソース電極54とドレイン電極55を形成した。次に、APC(銀/パラジウム/銅=98.07/0.87/1.06(質量比))をスパッタにより100nm成膜し、エッチングによりパターン加工してAPC層を形成し、さらに、APC層の上層にITOをスパッタにより10nm成膜し、エッチングにより、第1電極として反射電極56を形成した。電極表面を酸素プラズマで洗浄した後、スパッタ法により、アモルファスIGZOを成膜し、エッチングによりソース・ドレイン電極間に酸化物半導体層57を形成した。次に、スピンコート法により、ポジ型感光性ポリシロキサン系材料(SP-P2301;東レ(株)製)を成膜し、フォトリソグラフィーにより、ビアホール58と画素領域59を開口した後、熱硬化させてゲート絶縁層60を形成した。その後、電子ビーム蒸着法により、金を成膜し、エッチングによりゲート電極61を形成することで、酸化物TFTアレイとした。
【0312】
上記組成物3を用い、また、実施例1記載の方法で酸化物TFTアレイ上に塗布及びプリベークして成膜し、所定のパターンを有するフォトマスクを介してパターニング露光、現像及びリンスして画素領域を開口した後、熱硬化させて、遮光性を有するTFT保護層/画素分割層62を形成した。以上の方法で、幅70μm及び長さ260μmの開口部が、幅方向にピッチ155μm及び長さ方向にピッチ465μmで配置され、それぞれの開口部が反射電極を露出せしめる形状の画素分割層を、基板有効エリアに限定して形成した。なお、この開口部が、最終的に有機EL表示装置の発光画素となる。また、基板有効エリアは、16mm四方であり、画素分割層の厚さは、約1.0μmで形成した。
【0313】
次に、上記(9)記載の有機EL表示装置の作製方法で、正孔注入層として化合物(HT-1)、正孔輸送層として化合物(HT-2)、ホスト材料として化合物(GH-1)、ドーパント材料として化合物(GD-1)、電子輸送材料として化合物(ET-1)と化合物(LiQ)を用いて、有機EL発光層63を形成した。
【0314】
その後、蒸着法により、MgAg(マグネシウム/銀=10/1(体積比))を10:1で10nm成膜し、エッチングにより、第2電極として透明電極64を形成した。次いで、低湿窒素雰囲気下、有機ELシール材(ストラクトボンド(登録商標)XMF-T;三井化学(株)製)を用いて封止膜65を形成した。さらに、無アルカリガラス基板66を、封止膜上に貼りあわせ、1枚の基板上に5mm四方の、偏光層を有しないトップエミッション型有機EL表示装置を4つ作製した。なお、ここでいう膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。
【0315】
(発光特性評価)
上記の方法で作製した有機EL表示装置を、10mA/cmで直流駆動にて発光させ、外光を画素分割層部に照射した場合の輝度(Y’)、外光を照射しない場合の輝度(Y)を測定した。外光の反射低減の指標として、コントラストを下記式により算出した。なお、小数点以下三桁目を四捨五入した。
コントラスト=Y/Y’。
【0316】
下記のように判定し、コントラストが0.80以上となる、A+、A及びBを合格とし、コントラストが0.90以上となる、A+及びAを外光反射低減効果良好とし、コントラストが0.95以上となる、A+を外光の反射低減効果が優秀とした。上記の方法で作製した有機EL表示装置は、コントラストが0.90であり、外光の反射低減が可能であることを確認した。
A+:コントラストが0.95~1.00
A:コントラストが0.90~0.94
B:コントラストが0.80~0.89
C:コントラストが0.70~0.79
D:コントラストが0.50~0.69
E:コントラストが0.01~0.49。
【0317】
[実施例30]
(偏光層を有しないフレキシブル有機EL表示装置の製造方法)
作製する有機EL表示装置の概略を図6に示す。まず、38×46mmの無アルカリガラス基板上に、PIフィルム基板67を粘着層で仮固定し、ホットプレート(SCW-636;大日本スクリーン製造(株)製)を用いて130℃で120秒間脱水ベークした。次に、PIフィルム基板67上に、CVD法により、ガスバリア層として酸化ケイ素膜68を形成した。ガスバリア層の上に、電子ビーム蒸着法により、クロムと金の積層膜を成膜し、エッチングによりソース電極69とドレイン電極70を形成した。次に、APC(銀/パラジウム/銅=98.07/0.87/1.06(質量比))をスパッタにより100nm成膜し、エッチングによりパターン加工してAPC層を形成し、さらに、APC層の上層にITOをスパッタにより10nm成膜し、エッチングにより、第1電極として反射電極71を形成した。電極表面を酸素プラズマで洗浄した後、スパッタ法により、アモルファスIGZOを成膜し、エッチングによりソース・ドレイン電極間に酸化物半導体層72を形成した。次に、スピンコート法により、ポジ型感光性ポリシロキサン系材料(SP-P2301;東レ(株)製)を成膜し、フォトリソグラフィーにより、ビアホール73と画素領域74を開口した後、熱硬化させてゲート絶縁層75を形成した。その後、電子ビーム蒸着法により、金を成膜し、エッチングによりゲート電極76を形成することで、酸化物TFTアレイとした。
【0318】
上記組成物3を用い、また、実施例1に記載の方法で酸化物TFTアレイ上に塗布及びプリベークして成膜し、所定のパターンを有するフォトマスクを介してパターニング露光、現像及びリンスして画素領域を開口した後、熱硬化させて、遮光性を有するTFT保護層/画素分割層77を形成した。以上の方法で、幅70μm及び長さ260μmの開口部が、幅方向にピッチ155μm及び長さ方向にピッチ465μmで配置され、それぞれの開口部が反射電極を露出せしめる形状の画素分割層を、基板有効エリアに限定して形成した。なお、この開口部が、最終的に有機EL表示装置の発光画素となる。また、基板有効エリアは、16mm四方であり、画素分割層の厚さは、約1.0μmで形成した。
【0319】
次に、上記(9)記載の有機EL表示装置の作製方法で、正孔注入層として化合物(HT-1)、正孔輸送層として化合物(HT-2)、ホスト材料として化合物(GH-1)、ドーパント材料として化合物(GD-1)、電子輸送材料として化合物(ET-1)と化合物(LiQ)を用いて、有機EL発光層78を形成した。
【0320】
その後、蒸着法により、MgAg(マグネシウム/銀=10/1(体積比))を10nm成膜し、エッチングにより、第2電極として透明電極79を形成した。次いで、低湿窒素雰囲気下、有機ELシール材(ストラクトボンド(登録商標)XMF-T;三井化学(株)製)を用いて封止膜80を形成した。さらに、ガスバリア層として酸化ケイ素膜81を形成したPETフィルム基板82を、封止膜上に貼りあわせた後、PIフィルム基板67から無アルカリガラス基板を剥離し、1枚の基板上に5mm四方の、偏光層を有しないトップエミッション型フレキシブル有機EL表示装置を4つ作製した。なお、ここでいう膜厚は、水晶発振式膜厚モニター表示値である。
【0321】
(発光特性評価)
上記の方法で作製した有機EL表示装置を、10mA/cmで直流駆動にて発光させ、外光を画素分割層部に照射した場合の輝度(Y’)、外光を照射しない場合の輝度(Y)を測定した。外光の反射低減の指標として、コントラストを下記式により算出した。なお、小数点以下三桁目を四捨五入した。
コントラスト=Y/Y’。
【0322】
下記のように判定し、コントラストが0.80以上となる、A+、A及びBを合格とし、コントラストが0.90以上となる、A+及びAを外光反射低減効果良好とし、コントラストが0.95以上となる、A+を外光の反射低減効果が優秀とした。上記の方法で作製した有機EL表示装置は、コントラストが0.90であり、外光の反射低減が可能であることを確認した。
A+:コントラストが0.95~1.00
A:コントラストが0.90~0.94
B:コントラストが0.80~0.89
C:コントラストが0.70~0.79
D:コントラストが0.50~0.69
E:コントラストが0.01~0.49。
【0323】
(フレキシブル性評価)
上記の方法で作製した有機EL表示装置を、10mA/cmで直流駆動にて発光させた。発光させたまま、表示面となるPETフィルムの面を外側にして、有機EL表示装置をU字型に湾曲させた状態で60秒間保持し、異常な発光を起こさず、フレキシブル性を有することを確認した。
【符号の説明】
【0324】
1 ガラス基板
2 TFT
3 TFT平坦化用の硬化膜
4 反射電極
5a プリベーク膜
5b 硬化パターン
6 マスク
7 活性化学線
8 有機EL発光層
9 透明電極
10 平坦化用の硬化膜
11 カバーガラス
12 ガラス基板
13 BLU
14 BLUを有するガラス基板
15 ガラス基板
16 TFT
17 TFT平坦化用の硬化膜
18 透明電極
19 平坦化膜
20 配向膜
21a プリベーク膜
21b 硬化パターン
22 マスク
23 活性化学線
24 BCSを有するガラス基板
25 BLU及びBCSを有するガラス基板
26 ガラス基板
27 カラーフィルタ
28 硬化パターン
29 平坦化用の硬化膜
30 配向膜
31 カラーフィルタ基板
32 BLU、BCS及びBMを有するガラス基板
33 液晶層
34 ガラス基板
35 PIフィルム基板
36 酸化物TFT
37 TFT平坦化用の硬化膜
38 反射電極
39a プリベーク膜
39b 硬化パターン
40 マスク
41 活性化学線
42 EL発光層
43 透明電極
44 平坦化用の硬化膜
45 ガラス基板
46 PETフィルム基板
47 無アルカリガラス基板
48 第1電極
49 補助電極
50 絶縁層
51 有機EL層
52 第2電極
53 無アルカリガラス基板
54 ソース電極
55 ドレイン電極
56 反射電極
57 酸化物半導体層
58 ビアホール
59 画素領域
60 ゲート絶縁層
61 ゲート電極
62 TFT保護層/画素分割層
63 有機EL発光層
64 透明電極
65 封止膜
66 無アルカリガラス基板
67 PIフィルム基板
68 酸化ケイ素膜
69 ソース電極
70 ドレイン電極
71 反射電極
72 酸化物半導体層
73 ビアホール
74 画素領域
75 ゲート絶縁層
76 ゲート電極
77 TFT保護層/画素分割層
78 有機EL発光層
79 透明電極
80 封止膜
81 酸化ケイ素膜
82 PETフィルム基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6