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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】植物栽培方法
(51)【国際特許分類】
   A01G 31/00 20180101AFI20221109BHJP
   A01G 22/15 20180101ALI20221109BHJP
【FI】
A01G31/00 601A
A01G31/00 601D
A01G22/15
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2019552372
(86)(22)【出願日】2018-11-08
(86)【国際出願番号】 JP2018041458
(87)【国際公開番号】W WO2019093415
(87)【国際公開日】2019-05-16
【審査請求日】2021-10-28
(31)【優先権主張番号】P 2017215651
(32)【優先日】2017-11-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】596136316
【氏名又は名称】三菱ケミカルアクア・ソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
(72)【発明者】
【氏名】助清 泰教
(72)【発明者】
【氏名】宇野 祐子
(72)【発明者】
【氏名】窪川 清一
【審査官】川野 汐音
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-055832(JP,A)
【文献】国際公開第2009/013841(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/178046(WO,A1)
【文献】特開平11-069920(JP,A)
【文献】特開2005-325090(JP,A)
【文献】特開2009-242394(JP,A)
【文献】特開平08-003010(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0284299(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 31/00-31/06
A01G 7/06
A01G 22/15
A01N 1/00-65/48
A01P 1/00-23/00
C05B 1/00-21/00
C05C 1/00-13/00
C05D 1/00-11/00
C05F 1/00-17/02
C05G 1/00- 5/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
養液を供給して葉菜類を栽培するに際して、
ンノースを含有する該養液を循環させて葉菜類を栽培することを特徴とする、葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項2】
前記マンノースを含有する養液を供給して栽培した葉菜類を収穫する請求項1に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項3】
前記葉菜類の側根形成以後、または前記葉菜類の播種後m日目以降(mは5以上)に、前記マンノースを含有する養液を供給する請求項1または2に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項4】
播種後m日目以降かつ収穫日又は収穫日からn日前までの期間(mは10以上、nは1以上)、前記養液として、少なくともマンノースを0.15mM以上添加した養液を供給する請求項1または2に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項5】
前記養液は、更に硝酸態窒素、リン酸およびカリウムを含有する請求項1~4のいずれか1項に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項6】
勾配をもたせた栽培ベッドを使用し、該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を栽培する請求項1~5のいずれか1項に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項7】
前記栽培ベッドは、湿気空間を有する請求項6に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項8】
勾配をもたせた栽培ベッドの上に、多数の植え穴を穿設した定植パネル板を配置し、
該植え穴を通して苗根鉢を該栽培ベッド上に載置し、
該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を栽培する薄膜水耕型の水耕栽培である請求項1~7のいずれか1項に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項9】
前記栽培ベッドの上面に、前記勾配方向に延在した凸条が複数設けられており、
該凸条は前記植え穴の下方に位置しており、
該凸条同士の間は凹条となっており、
前記苗根鉢を該凸条上に載置し、
前記凹条に前記養液を流すことを特徴とする請求項8に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項10】
前記栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置することを特徴とする請求項6~9のいずれか1項に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項11】
前記葉菜類は、オミナエシ科、アブラナ科、ヒガンバナ科、セリ科、シソ科、ヒユ科、キク科又はアカザ科であることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量の増量方法
【請求項12】
葉菜類の養液栽培に使用されるアスコルビン酸含有量増量剤であって、マンノースを含有することを特徴とする葉菜類のアスコルビン酸含有量増量剤。
【請求項13】
更に硝酸態窒素、リン酸およびカリウムを含有する請求項12に記載の葉菜類のアスコルビン酸含有量増量剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、植物栽培方法に関し、特に植物体内のビタミンC(または、アスコルビン酸ともいう。)含有量を増加させる植物栽培方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、健康志向などの観点から、野菜や果実中のビタミン等の栄養素含有量を多くするための研究が盛んにおこなわれている。
【0003】
多くの野菜や果実はビタミンCを含有している。近年、ビタミンCの簡易で迅速な機器分析法が次々と開発されている。また、野菜や果実中のビタミンCの含有量の増加を目的とした品質育種が行われている。
【0004】
特許文献1には、キュウリモザイクウイルスを果菜類の苗に接種し、栽培管理することにより、収穫物のビタミンC含有量を高める方法が開示されている。
【0005】
特許文献1の方法は、ウイルスの副作用が弱く、栽培においてもその影響がない弱毒キュウリモザイクウイルスを作成する必要があり、専門的な知識を必要とする栽培方法である。そのため、特許文献1の方法は、一般的な農業従事者が容易にできる栽培方法ではない。
【0006】
特許文献2には、健康線用健康ランプを用いて紫外線を照射することにより、コマツナなどの野菜中のビタミンC、トコフェノール、ポリフェノール含有量を増加させることが記載されている。
【0007】
特許文献3には、UV-B紫外線を照射することにより、芽ネギ中のアスコルビン酸、ポリフェノール含有量を増加させることが記載されている。
【0008】
特許文献4には、人工照明下での水耕栽培で生育させた野菜を、その収穫直前に養液を水に置き換え且つ日長時間を17時間以上として1日以上水耕栽培することにより、野菜の糖度、全糖、アスコルビン酸、アントシアニン、ポリフェノール、葉緑素、及び/又はグルコシノレート含有量を増加させることが記載されている。
【0009】
特許文献2~4には、次の問題がある。
1)紫外線の調整や日長時間の調整をするための設備費用がかかる。
2)人工光等の制御を行う作業に手間がかかる。
3)実験室レベルの栽培は可能だが、商業的規模で栽培することは難しい。
【0010】
【文献】特開平7-250567号公報
【文献】特開2004-305040号公報
【文献】特開2008-086272号公報
【文献】国際公開2010-140632号公報
【発明の概要】
【0011】
本発明は、ウイルスの接種や紫外線の調整を行うことなく、栽培する葉菜類中のビタミンCの含有量を高めることができる植物栽培方法を提供することを目的とする。
【0012】
本発明者らは、マンノースを含む養液を供給して葉菜類を栽培することで、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0013】
すなわち、本発明の植物栽培方法は、養液を供給して葉菜類を栽培する方法において、該養液が、マンノースを含有することを特徴とする。
【0014】
本発明の一態様では、前記マンノースを含有する養液を供給して栽培した葉菜類を収穫する。
【0015】
本発明の一態様では、前記葉菜類の側根形成以後、または前記葉菜類の播種後m日目以降(mは5以上)に、前記マンノースを含有する養液を供給する。
【0016】
本発明の一態様では、播種後m日目以降かつ収穫日又は収穫日からn日前までの期間(mは10以上、nは1以上)、前記養液として、少なくともマンノースを0.15mM以上添加した養液を供給する。
【0017】
本発明の一態様では、前記養液は、更に硝酸態窒素、リン酸およびカリウムを含有する。
【0018】
本発明の一態様では、勾配をもたせた栽培ベッドを使用し、該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を栽培する。
【0019】
本発明の一態様では、前記栽培ベッドは、湿気空間を有する。
【0020】
本発明の一態様では、勾配をもたせた栽培ベッドの上に、多数の植え穴を穿設した定植パネル板を配置し、該植え穴を通して苗根鉢を該栽培ベッド上に載置し、該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を栽培する薄膜水耕型の水耕栽培を行う。
【0021】
本発明の一態様では、前記栽培ベッドの上面に、前記勾配方向に延在した凸条が複数設けられており、該凸条は前記植え穴の下方に位置しており、該凸条同士の間は凹条となっており、前記苗根鉢を該凸条上に載置し、前記凹条に前記養液を流す。
【0022】
本発明の一態様では、前記栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置する。
【0023】
本発明の一態様では、前記葉菜類は、オミナエシ科、アブラナ科、ヒガンバナ科、セリ科、シソ科、ヒユ科、キク科又はアカザ科である。
【0024】
本発明の葉菜類の栄養調整剤は、葉菜類の養液栽培に使用される栄養調整剤であって、マンノースを含有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、マンノースを含む養液を葉菜類に供給することにより、栽培された葉菜類中のビタミンC含有量を増加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1図1は栽培ベッドの斜視図である。
図2図2図1の凸部の断面図である。
図3図3は植物育成中の栽培ベッドの断面図である。
図4図4は栽培施設を説明する平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明についてさらに詳細に説明するが、本発明の効果を奏する範囲であれば、本発明は下記実施形態に制限されるものではない。
【0028】
本発明方法で栽培する葉菜類は、オミナエシ科、アブラナ科、ヒガンバナ科、セリ科、シソ科、ヒユ科、キク科又はアカザ科であることが好ましく、特にホウレンソウが好適である。
【0029】
本発明の植物栽培方法では、養液を用いて葉菜類を栽培する。本発明では、マンノースを含む養液を葉菜類に供給する。
また、本発明の葉菜類の栄養調整剤は、葉菜類の養液栽培に使用される栄養調整剤であって、マンノースを含有するものであり、本発明で用いるマンノースを含有する養液として、或いは本発明で用いるマンノースを含有する養液を調製するための添加剤として用いられる。
【0030】
マンノースは、アルドヘキソースに分類される単糖の一種であり、D体とL体の光学異性体がある。単体としては、D体は果実や果皮などに含まれる。L体は天然には存在しない。本発明におけるマンノースは、D体とL体のいずれを使用してもよい。入手のし易さから、D体のマンノースを使用することが好ましい。
【0031】
マンノースはアスコルビン酸生合成経路に関わる糖として知られている。L-アスコルビン酸は、人を含む霊長類やモルモットなどの一部の生物を除き、植物などの光合成生物やほとんどの動物で生合成される。
【0032】
光合成生物のアスコルビン酸生合成経路には、以下の経路が存在すると考えられている。
1)D-フルクトース6-リン酸から変換される、D-マンノースとL-ガラクトースの誘導体を代謝中間体とする経路
2)UDP-D-ガラクツロン酸から変換されるD-ガラクツロン酸を代謝中間体とする経路
3)D-グルコース1-リン酸から変換されるD-グルクロン酸経路
植物ではD-マンノース・L-ガラクトース経路がアスコルビン酸生合成の主要経路であると考えられている。
【0033】
本発明者らによる研究の結果、アスコルビン酸生合成の主要経路であるD-マンノース・L-ガラクトース経路にある単糖類の中で、マンノースのみが、アスコルビン酸を増加させる効果を有することが見出された。
【0034】
マンノースは、実験植物(シロイヌナズナ)や発芽野菜(スプラウト)の種子に対する発芽阻害効果が知られる。そのため、マンノース含有養液を供給し、植栽物を枯らさずに収穫に至ることは不可能と思われた。すなわち、マンノース含有養液を、葉菜類のように、ある程度の栽培期間を有し、収穫部分を食用とする野菜の栽培に用いることは、これまで成されなかった。本発明者らは、鋭意研究した結果、マンノース含有養液を、葉菜類の養液栽培に適用しても、植栽物を枯らさずに収穫できることを見出し、植栽物のアスコルビン酸含有量を増加させることを成しとげた。
【0035】
マンノースを含有する養液の調製方法は、特に限定されない。栽培中の既存の、マンノースを含まない養液に規定量のマンノースを添加しても良く、事前に液肥原液にマンノースを添加し、撹拌し混合して混合液を調製し、この混合液を、栽培に使用している既存の、マンノースを含まない養液に添加してもよい。
【0036】
粉末のマンノースを養液又は液肥原液に添加してもよく、マンノースを事前に栽培養液又は水で溶かしてマンノース水溶液を調製し、このマンノース水溶液を養液又は液肥原液に添加してもよい。栽培に用いる養液中のマンノース分布をより均一化させる点では後者の添加方法が好ましい。
従って、本発明の葉菜類の栄養調整剤は、養液又は液肥原液にマンノースを添加してなるものであってもよい。また、更に、後述の通り、硝酸態窒素、リン酸およびカリウムを含有するものであってもよい。
【0037】
マンノースは、市販品を使用することができる。たとえば、和光純薬工業株式会社製「D(+)-マンノース」、ナカライテスク株式会社製「D-(+)-マンノース」、シグマアルドリッチ社製「D-(+)-マンノース」などを使用することができる。
【0038】
本発明の一態様では、葉菜類を栽培する所定の期間にマンノースを含有する養液を葉菜類に供給することが好ましい。葉菜類の栽培期間において、本発明の一態様としては、マンノースを含有する養液を供給する時期、即ち、養液にマンノースを添加する時期は、葉菜類の側根形成以後、または葉菜類の播種後m日目以降で、かつ収穫日又は収穫日からn日前までの期間である。ここで、側根形成の時期は、栽培される苗のうち、発芽した個体の5割以上において、目視で側根が確認できる時期を意味する。また、mの好ましい値は5以上、より好ましくは10以上、さらに好ましくは13以上、特に好ましくは16以上である。nの好ましい値は1以上である。例えば、播種後m日目以降の栽培期間中、常時、養液にマンノースを含有させてもよく、前記栽培期間のうち、所定の期間だけ養液にマンノースを含有させ、それ以外の期間はマンノースを含有しない養液で栽培してもよい。また、マンノースを含有する養液を供給する期間同士の間にマンノースを含有しない養液を供給する期間を設けてもよい。
【0039】
上記のようにマンノースを含有する養液を使用することにより、収穫される葉菜類中のビタミンCの含有量が高くなる。
【0040】
本発明の植物栽培方法の一態様では、前記所定の期間の栽培において使用する養液にマンノースを0.06mM以上、特には0.10mM以上、さらには0.15mM以上添加することが好ましい。さらに、葉菜類中のビタミンC含有量をより効率よく高める場合や、葉菜類の種類によって、前記所定の期間の栽培において使用する養液にマンノースを0.18mM以上添加することが好ましく、とりわけ0.2mM以上、さらには0.3mM以上添加することが好ましい。養液のマンノース添加量を上記の下限以上とすることで、栽培する葉菜類中のビタミンC含有量を効率よく高めることができる。
【0041】
養液のマンノース添加量の上限は特に限定されないが、5.0mM以下が好ましく、3.0mM以下がより好ましく、2.0mM以下が更に好ましく、1.0mM以下が特に好ましい。養液のマンノース添加量を上記上限以下とすることで、葉菜類の生育が健全となり好ましい。
【0042】
本発明において、養液のマンノース添加量は、例えば、マンノースが添加された直後の養液タンク内で測定される養液中のマンノース濃度の増加量である。栽培装置における養液の供給様式が、かけ流し式であっても養液循環型であっても、本発明における上記の好適マンノースの添加量は、添加直後に測定される養液タンク内のマンノース含有増加量が、上記の範囲内となるように、マンノースが添加され、養液が調製されることが好ましい。
【0043】
養液のマンノース含有量は、例えば、高速液体クロマトグラフ法で測定することができる。
【0044】
マンノースを養液に添加する場合、マンノースは養液に対し1回だけ添加してもよく、間隔をあけて複数回添加してもよい。マンノースを複数回添加する場合、各添加時におけるマンノースの添加量は上記に示す範囲で同じ添加量としても良く、初期の添加時の添加量を少なくし、栽培期間の後期ほど添加量を多くしても良い。マンノースを複数回添加する場合、添加の間隔は1日以上7日以下、特に2日以上5日以下の範囲が好ましい。なお、マンノースを養液に添加する効果を持続させる観点から、本発明は、養液が循環している栽培装置に適用されることが好ましい。
【0045】
また、本発明の栽培期間中、養液に添加するマンノースの添加量の合計、つまりマンノースの総添加量の上限は、特に限定することはないが、マンノースの総添加量を15.0mM以下とすることが好ましく、10.0mM以下とすることがより好ましく、5.0mM以下とすることが更に好ましく、3.0mM以下とすることが特に好ましい。栽培期間中のマンノースの総添加量の上限を上記の範囲とすることで、栽培する葉菜類の生育障害が発生することをより抑制することができ好ましい。
【0046】
養液中のマンノースは葉菜類に殆ど吸収されないので、養液が循環している栽培装置においてマンノースを養液に添加した場合、添加されたマンノースの大部分はそのまま養液中に残留すると考えられる。
【0047】
本発明に使用する養液は、特に限定されることは無いが、少なくとも硝酸態窒素、リン酸およびカリウムを含有することが好ましい。養液中の硝酸態窒素の含有量は8.0me/L以上25.0me/L以下の範囲であることが好ましく、10.0me/L以上20.0me/L以下の範囲であることがより好ましい。リン酸の含有量は3.0me/L以上7.0me/L以下の範囲であることが好ましく、4.0me/L以上6.5me/L以下の範囲であることがより好ましい。また、カリウムの含有量は3.0me/L以上14.0me/L以下の範囲であることが好ましく、5.0me/L以上12.0me/L以下の範囲であることがより好ましい。養液中の硝酸態窒素、リン酸およびカリウム含有量を上記の範囲とすることで、マンノースによるビタミンCの増加効果をより高めることができる。
【0048】
本発明の植物栽培方法では、養液を循環させて栽培する栽培装置で葉菜類を栽培することが好ましい。
【0049】
本発明の一態様では、栽培装置は、勾配をもたせた栽培ベッドを有する。該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を栽培する。
【0050】
好ましくは、勾配をもたせた栽培ベッドの上に、多数の植え穴を穿設した定植パネル板を配置し、該植え穴を通して苗根鉢を該栽培ベッド上に載置し、該栽培ベッドの底面の上面側に前記養液を供給して葉菜類を栽培する。この定植パネル板と栽培ベッド底面の間に空間が形成され、この空間は湿気空間となる。
すなわち、本発明の一態様では、栽培装置は薄膜水耕型(NFT)の水耕栽培装置であることが好ましい。これによれば、ある程度の流速で養液を循環させることができ、養液中のマンノース分布が均一になり、葉菜類の根にマンノースが十分かつ均一に供給される。
【0051】
本発明の一態様では、より好ましくは、前記栽培ベッドの上面に、前記勾配方向に延在した凸条が複数設けられており、該凸条は前記植え穴の下方に位置しており、該凸条同士の間は凹条となっており、前記苗根鉢を該凸条上に載置し、前記凹条に前記養液を流す。さらに好ましくは、栽培装置は、前記栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置し、前記栽培ベッドの底面の上面側に養液を供給して葉菜類を栽培するよう構成されている。
【0052】
このような栽培装置を使用することで、上記栽培ベッドの底面の上面側をある程度の流速で養液を循環させることができ、養液中のマンノース分布が均一になり、葉菜類体の根に十分かつ均一に供給される。これにより葉菜類の根にマンノース含有養液を効率よく供給することができる。
【0053】
前記栽培装置は、供給する養液を予め設定された温度範囲内に保持する温度調整手段と養液の濃度調整手段とを備えてもよい。
【0054】
温度調整手段は、循環する養液の温度を、年間を通して予め設定された範囲内に保持する。温度調整手段は、養液タンク内の温度を検出する温度センサと、養液タンク内に配置されて養液と熱交換する熱交換器と、この熱交換器に熱媒体を供給する熱媒体供給ライン(温度調整ライン)と、この熱媒体供給ラインに介装されて温度センサからの検出信号により上記熱媒体の熱交換器への供給量を制御する制御弁等から構成される。
【0055】
濃度調整手段は、互いに種類や濃度の異なる養液を貯留する複数の養液の原液タンクと、各々の原液タンク内の養液の原液をポンプによって養液タンクへ送る移送ラインと、これら移送ラインに介装された三方切換弁(開閉弁)等から構成され、循環する養液の濃度を調整することができる。
【0056】
栽培ベッドの上面には、定植パネルの植え穴の下に、凸条が形成されていることが好ましい。凸条の幅は、使用される苗根鉢の径によって決められる。凸条の幅が苗根鉢の直径より狭いと、苗根鉢が畝状凸部からずれ落ちて傾く虞が生じる。凸条の幅は使用する苗根鉢の直径よりも大きく、苗根鉢の直径に対して4mm加えた幅よりも小さいことがより好ましい。
【0057】
栽培ベッドの上面を流れる養液は、栽培ベッドの凸条同士の間の凹条を流れる。植え穴に挿入された苗根鉢は、凸条の上面に載置される。苗根鉢が養液の流れに洗われないので、苗根鉢の培地が崩れたり、培地が流出することが抑制される。
【0058】
この栽培ベッドによると、水中で生育する水中根と、湿気中に維持され多数の根毛を有する湿気中根の2つの異なった形態と機能を持った根を発生させることができる。水中根は主に養液中の肥料と水を吸収し、湿気中根は主に湿気中から直接酸素を吸収する。
【0059】
マンノースを含有する養液を供給することにより、水中の根即ち水中根は、養分を吸収しながらもマンノースによるストレスを受けると考えられる。これにより、湿気中の根即ち湿気中根は、通常栽培(マンノースを含有しない養液で栽培する場合)よりも増加し非常に活発化する。これにより、葉菜類中のビタミンCの含有量が多くなると考えられる。
【0060】
この栽培方法によれば、養液中の溶存酸素だけに頼らず植物を栽培することが可能であり、溶存酸素が不足しやすい高温期の栽培でも植物の根が酸素欠乏に陥ることがない。
【0061】
この栽培ベッドの好適な構成について図1~3を参照して説明する。この栽培ベッドを有する栽培装置を備えた栽培施設の一例を図4に示す。
【0062】
図1~3の通り、軽量な発泡スチロールなどで成型された定植パネル板51には多数の植え穴52が穿設されている。定植パネル板51の大きさは、一例を示すと幅600mm、奥行き1000mm、厚み35mmである。植え穴52の形状は逆円錐形でもよいが、上下同径の円筒形とする方がよい。植え穴52の大きさは使用される苗根鉢54の径よりも大きくする。植え穴52の間隔は、栽培される葉菜類の種類に応じた適正な間隔に決める。例えばホウレンソウの場合は、定植パネル板51の大きさが上記のとおりとすると、直径27mmの円筒状の植え穴52を118mmの間隔で総数45個菱形状に配列する。
【0063】
上記した定植パネル板51が上面に載置される栽培ベッド53は、定植パネル板51と同様、軽量な発泡スチロールで成型される。図示の例では、栽培ベッド53の両側辺部に形成した段部59,59と、上面の中央に形成した受承部60とによって、2枚の定植パネル板51を支持している。栽培ベッド53の大きさの一例を示すと、幅1260mm、奥行き1000mm、側壁の高さ100mmである。
【0064】
定植パネル板51の植え穴52の真下に当たる栽培ベッド53の底面箇所に、長手方向に連続する凸条56が複数列形成されている。凸条56,56間の凹条55に養液Lが流下する。凸条56の高さは養液Lの液深との関係で決められる。凸条56の幅は苗根鉢54の径によって決められる。凸条56の高さが低すぎると、凸条56の上に載置した苗根鉢54が養液Lで洗われる虞が増すから好ましくなく、逆に高すぎると苗根鉢54と養液Lの液面との距離が離れ過ぎて苗根鉢54への水分供給が不足し勝ちとなって成育を遅らせるから好ましくない。凸条56の幅が苗根鉢54の直径より狭いと、苗根鉢54が畝状凸条56からずれ落ちて傾く虞が生じる。望ましくは、凸条56の高さは養液Lの液深よりも約2~3mm程度高いものである。凸条56の幅は苗根鉢54の直径よりも大きく、苗根鉢54の直径に対して4mm加えた幅よりも小さいことが好ましい。凸条56の間隔は植え穴52同士の間隔と等しい。
【0065】
好ましくは、複数個の栽培ベッド53を長手方向に連設し、約1/50~1/150程度の勾配となるように設置する。この場合、図2に示したように、連設された栽培ベッド53の上面全体をプラスチックシート57で被覆して各連設箇所の漏水を防止し、プラスチックシート57上に、布、紙等の親水性シート58を敷設するのが好ましい。この親水性シート58は毛管作用によって液を汲み上げるためのものである。本発明において、養液の流速は、毎分5~30リットルが好ましく、より好ましくは10~20リットルである。なお、本発明において、養液の流速は、連設された栽培ベッド等の栽培装置に供給される養液の流速を意味し、配管における栽培ベッド等の栽培装置への吐出ラインで計測するものとする。
【0066】
図3に示すように、栽培ベッド53に定植パネル板51を被せ、苗根鉢54を植え穴52から落し込む。苗根鉢54は、植え穴52の真下に対峙する栽培ベッド53の凸条56上に載置される。ついで養液Lを栽培ベッド53の上流側より下流側へ向けて凹条55に流す。養液Lの流量が栽培ベッド当り10リッター/分のときの溝内液面高さは略2~3mmとなる。これは凸条56高さの約半分である。定植パネル板51下面と溝内養液Lの液面との間には高さ25mm程度の湿気空間が形成されることになる。
【0067】
上記説明では、栽培ベッド53は発泡スチロール等の発泡合成樹脂製であるが、合成樹脂の波板プレートなど、凸条と凹条とが平行に交互に形成された各種の板状ないしは盤状の部材を用いてもよい。
【0068】
本発明の栽培装置を適用する栽培施設は、図4に例示されるように、希釈された養液を貯める親タンク86を有し、親タンク86から養液を供給する少なくとも1つ以上の子タンク73を配置し、子タンク73から養液が供給される少なくとも1つの栽培ベッド53を配置していることが好ましい。
【0069】
親タンク86に、原液タンク(図示略)内の液肥原液と、水道水などの水が、供給制御弁84a,85a付き配管84,85から供給され、所定濃度の養液が調製される。親タンク86で調製された所定濃度の養液がポンプ87、配管88、三方弁89、流量計90及びボールタップ91を介して各子タンク73に分配供給される。三方弁89には、給水用配管92が接続されており、該三方弁89を切り替え操作することにより子タンク73に配管92からの水を供給できるよう構成されている。各子タンク73内の液は、ポンプ74及び配管75を介して各栽培ベッド53に供給される。
【0070】
図4では、栽培ベッド53が複数個配置され、葉菜類が栽培されている。複数の栽培ベッド53には、子タンク73を通して親タンク86で調製された養液が供給される。これにより、各栽培ベッド53に、親タンク86で調製された均一の濃度の養液(希釈養液)を常に供給することができる。
【0071】
図4では、複数の栽培ベッド53を勾配をつけて1列に配列した栽培ベッド列61を複数列(図示では4列)配列して栽培ベッド群62としている。1つの栽培ベッド群62に1個の子タンク73が付随して設置されている。
【0072】
図4の栽培装置では、マンノースは好ましくは子タンク73に添加される。
【0073】
図4のように、栽培ベッド群62毎に子タンク73を設けることで、子タンク73で栽培する養液を比較的に少量で管理することができる。収穫が終了したら、1つの栽培ベッド群62に使用していた養液を廃棄し、新しい養液で次の栽培を開始することが好ましい。
【0074】
これにより、前期作の栽培によって養液内に流出した、根からの分泌物(有機酸など)や、根の表皮細胞の脱落などの影響を受けることがなく、次期で栽培される野菜も、安定して栽培が可能となる。
【0075】
従来の方法では、共通のタンクにより各々の栽培ベッドに養液を供給して栽培しているため、使用している養液は、新しい養液を都度、つけ足ししながら養液を使いまわすことになり、根からの分泌物や、根の表皮細胞が蓄積され、栽培が繰り返されるにつれて自家中毒と呼ばれる生育阻害を発生させてしまう。
【0076】
従来法でも養液をすべて新しくすることはできるが、タンクと各々の栽培ベッドのすべてを同時に養液を入れ替える作業となるため、大量の養液を同時に廃棄することになり、さらにこの作業中は、すべての葉菜類の栽培ができないことになる。この結果、この間は、野菜等の葉菜類を出荷できず、定期的な野菜の出荷ができないという問題がある。
【0077】
図4では、1つの栽培ベッド群62で使用した養液を、配管76を介して当該栽培ベッド群62の各栽培ベッド53に養液を供給した子タンク73に戻して、養液を循環させる。子タンク73内には、ボールタップ91等によって親タンク86から養液が追加供給され、子タンク73内の養液は一定に保たれる。
【0078】
図4では、一部の栽培ベッド群62では栽培を続行している間に、他の栽培ベッド群62では清掃(収穫が終了した後の清掃)を行うなど、各栽培ベッド群62ごとに、別々に工程を進めることができる。
【0079】
また、1つの栽培ベッド群62で病原菌が発生した場合にも、他の栽培ベッド群62への病原菌の感染を抑制することができる。即ち、親タンク86まで養液を戻さないので、養液を循環させる閉鎖回路(栽培ベッド群62)内だけで汚染が止まる。
【0080】
各子タンク73へは、給水用配管92及び三方弁89を介して水が導入可能である。各栽培ベッド群62で栽培している葉菜類の栽培後期において、養液の供給から水の供給へ切り替えることにより、子タンク73と栽培ベッド53を循環する養液の肥料濃度を低下させることができる。その結果、栽培後期において、植物体内の硝酸量を、徐々に削減させることが可能となり、硝酸量を減少させた状態で葉菜類の収穫を行うことができる。
【0081】
植物体内の硝酸は、人体に取り込まれるとアミド態の窒素と結合して、ニトロソアミンを生成する。栽培後期に養液の肥料濃度を低くすることにより、植物体内の硝酸濃度を低減することができる。また、使用していた養液中の窒素、リン酸、カリウムも栽培後期において低濃度とすることにより、収穫が終了した後、養液の廃棄においても、環境への負荷を大幅に軽減することができる。
【実施例
【0082】
[基本条件]
基本条件として、勾配を1/100に配置した図1~3に示す栽培ベッドに、270の植え穴を穿設した定植パネル板を有し、栽培ベッドの底面の上面側に親水性シートを配置し、栽培ベッドの底面に養液(養液濃度:EC3.0dS/m、養液温度:20℃、硝酸態窒素;14me/L、リン酸:4me/L、カリウム:10me/L)を毎分20リットルの流量で供給する循環型薄膜水耕栽培装置を構成した。なお、養液の流速は、配管における栽培ベッドへの吐出ラインで計測した。これを用いて、各葉菜類の栽培を行った。
【0083】
各葉菜類の苗(播種後10日間経過した苗)を有する苗根鉢を上記栽培ベッドに定植し、定植後15日間(播種後25日間)を養液で栽培し、16日目(播種後26日目)に収穫し、ビタミンCの含有量を測定した。
【0084】
<参考例1>
前記基本条件でホウレンソウを栽培し、収穫したホウレンソウのビタミンCの含有量を測定した。
ビタミンCの含有量の測定方法は以下の通りである。
同条件で栽培したホウレンソウ群から4株ずつ3回抜き取ったサンプルを、ヒドラジンで誘導体化した後、高速液体クロマトグラフ法で測定したアスコルビン酸の含有量をビタミンCの含有量とした。
【0085】
<実施例1~9>
マンノースを表1に示す添加時期及び添加量となるように養液に添加したこと以外は参考例1と同一条件でホウレンソウを栽培し、同様にビタミンC含有量を測定した。結果を表1に示す。
【0086】
<比較例1~3>
マンノースの代りにグルコース(比較例1)、フルクトース(比較例2)またはスクロース(比較例3)を表1に示す添加時期及び添加量となるように養液に添加したこと以外は参考例1と同一条件でホウレンソウを栽培し、同様にビタミンC含有量を測定した。結果を表1に示す。
【0087】
表1のビタミンC含有比率は、参考例1の基本条件の栽培により収穫したホウレンソウのビタミンCの含有量の測定結果を100%とし、実施例1~9、比較例1~3によって栽培されたホウレンソウのビタミンCの含有量を参考例1の含有量に対する比率で示したものである。
【0088】
【表1】
【0089】
表1の通り、マンノースを含有する養液を供給して栽培した実施例1~9のホウレンソウは、マンノースを添加しなかった参考例1のホウレンソウと比較し、ビタミンCの含有量が1.2~1.8倍に増加した。また、他の糖類である、グルコース、フルクトース、スクロースを添加した比較例1~3ではビタミンCの含有量に増加は見られなかった。この結果、本発明によると、葉菜類中のビタミンCの含有量が増加することが実証された。
【0090】
<参考例2~4>
前記基本条件で、ホウレンソウ以外の葉菜類である、ビート・ブラッド、ビート・ルビークイーン、レッドマスタードをそれぞれ栽培し、収穫した各葉菜類のビタミンC含有量を測定した。なお、各参考例のビタミンC含有量は、上記の参考例1と同様の方法で求めた。
【0091】
<実施例10~12>
養液にマンノースを表2に示す添加時期及び添加量となるように添加したこと以外は、それぞれの品目に対応する参考例2~4と同一条件で各葉菜類を栽培し、参考例1と同様の方法でビタミンC含有量を測定した。結果を表2に示す。
【0092】
表2のビタミンC含有比率は、参考例2~4の収穫したビート・ブラッド、ビート・ルビークイーン、レッドマスタードの各々のビタミンCの含有量の測定結果を100%とし、実施例10~12によって栽培されたビート・ブラッド、ビート・ルビークイーン、レッドマスタード各々のビタミンCの含有量をそれぞれ参考例2~4の含有量に対する比率で示したものである。
【0093】
【表2】
【0094】
表2の通り、マンノースを含有する養液を供給して栽培した実施例10~12の各葉菜類は、マンノースを添加しなかった参考例2~4の各葉菜類と比較し、ビタミンCの含有量が1.2~1.3倍増加した。このように、本発明によると、ホウレンソウ以外の葉菜類においても、ビタミンC含有量が増加することが実証された。
【0095】
<実施例13>
マンノースを表3に示す添加時期及び添加量となるように養液に添加したこと以外は参考例1と同一条件でホウレンソウを栽培し、同様にビタミンC含有量を測定した。結果を表3に示す。
【0096】
表3のビタミンC含有比率測定結果は、参考例1の基本条件の栽培により収穫したホウレンソウのビタミンCの含有量の測定結果を100.0%とし、実施例13によって栽培されたホウレンソウのビタミンCの含有量を参考例1の含有量に対する比率で示したものである。
【0097】
【表3】
【0098】
表3の通り、実施例13は、ホウレンソウにおけるビタミンC含有量の増加が僅かではあるが確認された。
【0099】
また、上記実施例及び本発明者らがこれまで行ってきた試験結果より、アスコルビン酸生合成経路に関与する糖類の一つであるガラクツロン酸を添加した栽培例も、収穫後のホウレンソウにおけるビタミンCの含有量に有意な増加が見られなかった。このように、アスコルビン酸生合成経路にある単糖類の中で、マンノースのみが、アスコルビン酸を有意に増加させる効果を示すことが明らかとなった。また、ホウレンソウに最も多く含まれる糖類である、スクロースを添加しても、アスコルビン酸を有意に増加させる効果がないことが明らかとなった。
【0100】
さらに、本発明者らは、上記の各参考例、実施例について、播種後から収穫までの間、電気伝導度とpHを測定した。そして、各実施例の電気伝導度及びpHの変動値を、参考例1の電気伝導度及びpHの変動値と比較したところ、大きな差異は無かった。このことから、マンノースを添加することによる養液の電気伝導度やpHの変化が葉菜類にストレスを与えて葉菜類のアスコルビン酸含有量を増加させたのでなく、マンノースが葉菜類に作用することによりアスコルビン酸が増加したものと考察する。
【0101】
本発明を特定の態様を用いて詳細に説明したが、本発明の意図と範囲を離れることなく様々な変更が可能であることは当業者に明らかである。
本出願は、2017年11月8日付で出願された日本特許出願2017-215651に基づいており、その全体が引用により援用される。
【符号の説明】
【0102】
53 栽培ベッド
61 栽培ベッド列
62 栽培ベッド群
73 子タンク
86 親タンク
90 流量計
91 ボールタップ
図1
図2
図3
図4