(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】マッシュシーム溶接機の設計方法、マッシュシーム溶接機、マッシュシーム溶接方法、及び熱延鋼板の製造方法
(51)【国際特許分類】
B23K 11/06 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B23K11/06 320
(21)【出願番号】P 2020058315
(22)【出願日】2020-03-27
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103850
【氏名又は名称】田中 秀▲てつ▼
(74)【代理人】
【識別番号】100105854
【氏名又は名称】廣瀬 一
(74)【代理人】
【識別番号】100116012
【氏名又は名称】宮坂 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100066980
【氏名又は名称】森 哲也
(72)【発明者】
【氏名】作本 大朗
(72)【発明者】
【氏名】奥野 真一
(72)【発明者】
【氏名】太田 祐輔
(72)【発明者】
【氏名】田野口 一郎
(72)【発明者】
【氏名】松村 賢司
【審査官】柏原 郁昭
(56)【参考文献】
【文献】再公表特許第2010/004656(JP,A1)
【文献】特開2005-315854(JP,A)
【文献】特開2011-005527(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B23K 11/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を備え、該一対の電極輪を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機の設計方法であって、
前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式で算出される、前記一対の電極輪の各々の電極輪に対し該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となるように、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品を設計することを特徴とするマッシュシーム溶接機の設計方法。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm
2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm
2)
k及びaは、Fが一対の電極輪のうち上側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合と、一対の電極輪のうち下側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合とで、次のように定義される。
Fが上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=μ×(α+γ)×W(μは上側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-β/(α+γ)(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数)
Fが下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=-α×μ×W(αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、μは下側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-(β+θ)/α(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、θは下側にある後行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数)
【請求項2】
前記一対の電極輪のアキシャル方向の変位量を5.0mm以下とすることを特徴とする請求項1に記載のマッシュシーム溶接機の設計方法。
【請求項3】
溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を備え、該一対の電極輪を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機であって、
前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式で算出される、前記一対の電極輪の各々の電極輪に対し該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となる関係にあることを特徴とするマッシュシーム溶接機。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm
2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm
2)
k及びaは、Fが一対の電極輪のうち上側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合と、一対の電極輪のうち下側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合とで、次のように定義される。
Fが上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=μ×(α+γ)×W(μは上側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-β/(α+γ)(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数)
Fが下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=-α×μ×W(αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、μは下側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-(β+θ)/α(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、θは下側にある後行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数)
【請求項4】
前記一対の電極輪のアキシャル方向の変位量を5.0mm以下とすることを特徴とする請求項3に記載のマッシュシーム溶接機。
【請求項5】
請求項3又は4に記載のマッシュシーム溶接機を用いて、溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を一対の電極輪で加圧し、かつ該一対の電極輪の各々を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接することを特徴とするマッシュシーム溶接方法。
【請求項6】
請求項5に記載のマッシュシーム溶接方法により熱延鋼板を製造することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
【請求項7】
溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を、前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接工程を有する熱延鋼板の製造方法であって、
前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式で算出される、前記一対の電極輪の各々の電極輪に対し該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となる関係を満たす場合にのみ溶接可能と判断することを特徴とする熱延鋼板の製造方法。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm
2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm
2)
k及びaは、Fが一対の電極輪のうち上側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合と、一対の電極輪のうち下側の電極輪に対し当該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重の場合とで、次のように定義される。
Fが上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=μ×(α+γ)×W(μは上側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する上側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-β/(α+γ)(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、γは上側にある先行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数)
Fが下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の場合、k=-α×μ×W(αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数、μは下側の電極輪と接する部分のアキシャル荷重に比例する下側の電極輪に作用するアキシャル荷重の比例定数、Wは溶接部の幅)、a=-(β+θ)/α(βは溶接部の境界面での下側にある後行鋼板の反力における比例定数、θは下側にある後行鋼板のはみ出した部位の押し出し力における比例定数、αは溶接部の境界面での上側にある先行鋼板の反力における比例定数)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マッシュシーム溶接機の設計方法、マッシュシーム溶接機、マッシュシーム溶接方法、及び熱延鋼板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
マッシュシーム溶接機は、先行鋼板の尾端部と後行鋼板の先端部とを重ね合わせ、その重ね合わせた部分を上下一対の電極輪で加圧し、溶接電流を流しながら連続的に溶接すると同時に高温に加熱され軟化した接合部を上下一対の電極輪で圧延することにより、接合部厚みを低減するものである。
従来、この種のマッシュシーム溶接機を用いたマッシュシーム溶接方法として、例えば、特許文献1及び2と、非特許文献1とに示すものが知られている。
【0003】
特許文献1に示すマッシュシーム溶接方法は、2枚の金属板の端部を重ね合わせ、その重ね合わせ部分を上下一対の電極輪で加圧し、溶接電流を流しながら連続的に溶接し、2枚の金属板を接合するマッシュシーム溶接方法である。そして、上下一対の電極輪の軸芯を、2枚の金属板の重ね合わせ部分に形成される溶接線に直交する軸線に対して、互いに反対方向に水平面内で傾斜させ、上下一対の電極輪を積極的に駆動しながら2枚の金属板を接合する。
【0004】
また、特許文献2に示す金属板の接合方法は、2枚の金属板を接合した後、金属板の接合部を上下一対の加圧ローラで圧延する金属板の接合方法である。そして、一対の加圧ローラの軸芯を接合部の接合線に直交する直線に対して水平面内で傾斜させ、一対の加圧ローラを積極的に駆動しながら接合部の段差を加圧ローラの進行方向に圧延する。
更に、非特許文献1に示す新マッシュシーム溶接機は、最大板厚6mmまで耐圧延性を有する溶接を可能とするため、溶接条件及び溶接方法を実験及び解析により決定したものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】国際公開第2010/004656号
【文献】国際公開第2010/004657号
【非特許文献】
【0006】
【文献】「鋼板板厚6mmまで連続圧延を実現する新マシュシーム溶接機の開発」、三菱重工技報、Vol.49、No.4、(2012)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、マッシュシーム溶接機での鋼板の溶接では、上下一対の電極輪にて先行鋼板の尾端部と後行鋼板の先端部とを重ね合わせた部分を加圧することにより、電極輪のアキシャル方向に材料流れが発生する。この材料流れにより電極輪にアキシャル方向の荷重(以下、アキシャル荷重という)が作用し、電極輪がアキシャル方向へ変位する現象が生ずる。従来、マッシュシーム溶接機は、主に2mm未満の比較的薄い鋼板の溶接に適用されていたが、近年では、板厚6mm程度の熱延鋼板のような比較的厚い鋼板の溶接にも適用されるようになってきた。このため、加圧時に電極輪のアキシャル方向に材料流れの発生する量が増加し、電極輪のアキシャル方向の変位量が増大し、電極輪と鋼板の重ね合わせ部とにずれが生じ、正常な溶接ができずに溶接部強度低下等の不具合が発生するようになった。
【0008】
ここで、前述した従来の特許文献1乃至3に示すマッシュシーム溶接のいずれにおいても、電極輪にアキシャル荷重が作用して電極輪と鋼板の重ね合わせ部とにずれが生じる現象については考察されておらず、正常な溶接ができずに溶接部強度低下等の不具合が発生する問題があった。
一方、従来の特許文献1乃至3に示すようなマッシュシーム溶接においては、溶接する先行鋼板と後行鋼板の組み合わせに明確な基準はなかった。このため、先行鋼板、後行鋼板の新規の組み合わせ毎に、予め溶接テストを実施して正常な溶接ができるか否かを判断する必要があり、溶接する先行鋼板、後行鋼板の組み合わせによっては、前述した材料流れの発生に起因して電極輪に過大なアキシャル荷重が作用し、電極輪あるいは電極輪の周辺部品を損傷させる可能性があった。
【0009】
従って、本発明はこれら従来の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、溶接する先行鋼板と後行鋼板の組み合わせを好適なものとして、電極輪に作用するアキシャル荷重に起因する電極輪あるいはその周辺部品の損傷を回避することができるマッシュシーム溶接機の設計方法、マッシュシーム溶接機、マッシュシーム溶接方法、及び熱延鋼板の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の一態様に係るマッシュシーム溶接機の設計方法は、溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を備え、該一対の電極輪を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機の設計方法であって、前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式で算出される、前記一対の電極輪の各々の電極輪に対し該電極輪のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となるように、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品を設計することを要旨とする。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
k:マシュシーム溶接機によって決まる定数
a:上側となる鋼板に対する下側となる鋼板の寄与度を示す定数
【0011】
また、本発明の別の態様に係るマッシュシーム溶接機は、溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を備え、該一対の電極輪を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機であって、前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、前述のF≦F0となる関係にあることを要旨とする。
【0012】
また、本発明の別の態様に係るマッシュシーム溶接方法は、前述のマッシュシーム溶接機を用いて、溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を一対の電極輪で加圧し、かつ該一対の電極輪の各々を前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接することを要旨とする。
また、本発明の別の態様に係る熱延鋼板の製造方法は、前述のマッシュシーム溶接方法により熱延鋼板を製造することを要旨とする。
【0013】
また、本発明の別の態様に係る熱延鋼板の製造方法は、溶接対象となる先行鋼板と後行鋼板との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪を、前記重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、前記先行鋼板と前記後行鋼板とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接工程を有する熱延鋼板の製造方法であって、前記先行鋼板及び前記後行鋼板におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、前記一対の電極輪の各々及びその周辺部品の剛性とが、前述のF≦F0となる関係を満たす場合にのみ溶接可能と判断することを要旨とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るマッシュシーム溶接機の設計方法、マッシュシーム溶接機、マッシュシーム溶接方法、及び熱延鋼板の製造方法によれば、溶接する先行鋼板と後行鋼板の組み合わせを好適なものとして、電極輪に作用するアキシャル荷重に起因する電極輪あるいはその周辺部品の損傷を回避することができるマッシュシーム溶接機の設計方法、マッシュシーム溶接機、マッシュシーム溶接方法、及び熱延鋼板の製造方法を提供できる。また、本発明に係るマッシュシーム溶接方法によれば、溶接部強度低下等の不具合が発生することなく正常な溶接を実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態に係るマッシュシーム溶接機の設計方法によって設計されたマッシュシーム溶接機の概略構成図である。
【
図2】先行鋼板の尾端部と後行鋼板の先端部との重ね合わせ部分を上下一対の電極輪で溶接している状態を、電極輪のアキシャル方向に対して直交する方向から見た図である。
【
図3】先行鋼板の尾端部と後行鋼板の先端部との重ね合わせ部分を上下一対の電極輪で溶接している状態を、電極輪のアキシャル方向から見た図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るマッシュシーム溶接機の設計方法に適用されるマッシュシーム溶接の評価装置の機能ブロック図である。
【
図5】
図4に示すマッシュシーム溶接の評価装置における処理の流れを示すフローチャートである。
【
図6】定数aと近似式の相関係数との関係を示すグラフである。
【
図7】実測したアキシャル荷重と電極輪の変位量との関係を示すグラフである。
【
図8】(A)式で算出したアキシャル荷重Fと溶接回数との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
発明者らは、電極輪がアキシャル方向へ変位し正常な溶接ができない現象について種々検討した。安定して正常な溶接ができる場合と正常な溶接ができない場合があるが、薄い鋼板では安定して溶接でき厚い鋼板では溶接不良が生じる傾向にある。そこで、電極輪のアキシャル方向(溶接方向に対して垂直方向)の変位量が増大するのは、板から生じる抗張力に対する設備剛性が足りないためではないかと考え、電極輪とその周辺部材を補強したところ、正常な溶接ができることがわかった。しかし、設備コストとの関係から無限に強度を上げるわけにはいかない。溶接機を設置する製造ラインで処理される鋼板スペックを考慮し、適切な設備を設計する必要がある。
【0017】
発明者らは、そのラインで溶接対象となる板の各種スペックと設備の条件との関係を詳細に検討し、板の厚さ及び強度と設備剛性との間に溶接良否に関する相関があることを突き止めた。そして、溶接対象それぞれの板厚及び抗張力と、溶接設備,特に電極輪及びその周辺部材の剛性とを所定の関係に保てば、安定して溶接できることを見出し本発明に至ったのである。
本発明はかかる検討に基づくものであり、「所定の関係となるように」「設計する」、というのは、鋼板製造ラインで溶接対象となる板の厚さ及び抗張力に対応して設備の剛性を適宜設定していくことを意味している。
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。以下に示す実施形態は、本発明の技術的思想を具体化するための装置や方法を例示するものであって、本発明の技術的思想は、構成部品の材質、形状、構造、配置等を下記の実施形態に特定するものではない。また、図面は模式的なものである。そのため、厚みと平面寸法との関係、比率等は現実のものとは異なることに留意すべきであり、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれている。
【0019】
図1には、本発明の一実施形態に係るマッシュシーム溶接機の設計方法によって設計されたマッシュシーム溶接機の概略構成が示されており、マッシュシーム溶接機1は、上下一対の電極輪11a,11bと、先側クランプ装置23及び後側クランプ装置24とを備えている。
上側の電極輪11aは、上側回転軸12aに固定され、上側回転軸12aの両端は一対の軸受13aを介して上側電極輪支持部材14aに回転可能に支持されている。そして、上側電極輪支持部材14aは、上側キャリッジ15aにリニアガイド19を介して昇降自在に設けられた押圧部材18の下端に固定されている。押圧部材18は、上側キャリッジ15aに固定された押圧シリンダ20によって昇降するようになっている。そして、上側キャリッジ15aは、上側フレーム17aにリニアガイド16aを介して通板方向に直交する方向(
図1における紙面に対して直交する方向)に移動自在に設けられている。
【0020】
一方、下側の電極輪11bは、上側の電極輪11aに対して上下に対向する位置に配置され、下側回転軸12bに固定されている。下側回転軸12bの両端は一対の軸受13bを介して下側電極輪支持部材14bに回転可能に支持されている。そして、下側電極輪支持部材14bは、下側キャリッジ15bに固定されている。下側キャリッジ15bは、下側フレーム17bにリニアガイド16bを介して通板方向に直交する方向に移動自在に設けられている。下側キャリッジ15bは、上側キャリッジ15aと同期して移動する。
【0021】
上側の電極輪11a及び下側の電極輪11bのそれぞれは、図示しない駆動手段によって回転駆動する。
また、先側クランプ装置23は、溶接される先行鋼板21を上下からクランプするものであり、上下一対のクランプ部材23a,23bを備えている。上側のクランプ部材23aは、押圧シリンダ25によって昇降するようになっている。また、後側クランプ装置24は、溶接される後行鋼板22を上下からクランプするものであり、上下一対のクランプ部材24a,24bを備えている。上側のクランプ部材24aは、押圧シリンダ26によって昇降するようになっている。
【0022】
そして、先行鋼板21と後行鋼板22とを溶接する際には、まず、
図2に示すように、先行鋼板21の尾端部21aと後行鋼板22の先端部22aとを先行鋼板21の尾端部21aを上側にして重ね合わせる。次いで、その状態で、先側クランプ装置23のクランプ部材23a,23bで先行鋼板21を把持して先行鋼板21の位置を固定し、後側クランプ装置24のクランプ部材24a,24bで後行鋼板22を把持して後行鋼板22の位置を固定する。次いで、押圧シリンダ20によって押圧部材18を下降させて上側の電極輪11aを下降させ、上下一対の電極輪11a,11bにて先行鋼板21の尾端部21aと後行鋼板22の先端部22aとの重ね合わせた部分を加圧する。そして、上下一対の電極輪11a,11bを通板方向に直交する方向(
図1における紙面に対して直交する方向)に移動させて、溶接電流を流しながら連続的に溶接する。これにより、先行鋼板21の尾端部21aと後行鋼板22の先端部22aとが接合される。
【0023】
ここで、先行鋼板21の尾端部21aと後行鋼板22の先端部22aとを溶接する際には、
図2に示すように、先行鋼板21の尾端部21aと後行鋼板22の先端部22aとの重ね合わせ部は、上下一対の電極輪11a,11bの加圧で板厚が減少する。このとき、先行鋼板21及び後行鋼板22のそれぞれは、上下一対の電極輪11a,11bから一定間隔離れた部位を先側クランプ装置23及び後側クランプ装置24のそれぞれによって拘束されているため、溶接部の境界面で突っ張り合う状態となり、一部は境界面よりはみ出した状態で圧延される。
【0024】
溶接部の境界面での先行鋼板21の反力をF1、後行鋼板22の反力をF2、上側にある先行鋼板21のはみ出した部位の押し出し力をF3とすると、F1~F3のそれぞれは以下の(1)式~(3)式のように表せる。下側にある後行鋼板22のはみ出した部位の押し出し力はF4である。なお、反力、押し出し力の影響は、上下対称に出る。
F1=α×TS1×t1×W …(1)
F2=β×TS2×t2×W …(2)
F3=γ×TS1×t1×W …(3)
ここで、α、β、γは比例定数、TS1は重ね合わせの上側となる先行鋼板21(上側の電極輪11aに接している側の先行鋼板21)の抗張力(kgf/mm
2)、t1は重ね合わせの上側となる先行鋼板21の板厚(mm)である。また、Wは
図3に示す溶接部27の幅(mm)、TS2は重ね合わせの下側となる後行鋼板22の抗張力(kgf/mm
2)、t2は重ね合わせの下側となる後行鋼板22の板厚(mm)である。
【0025】
また、上側の電極輪11aと接する部分のアキシャル荷重F’は、以下の(4)式となる。
F’=F1-F2+F3 …(4)
この(4)式を前述の(1)式~(3)式で展開すると、
F’=(α×TS1×t1×W)-(β×TS2×t2×W)+(γ×TS1×t1×W)=(α+γ)×TS1×t1×W-β×TS2×t2×W …(5)となる。
【0026】
ここで、上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fは、アキシャル荷重F’に比例するため、比例定数をμとすると、
F=μ×{(α+γ)×TS1×t1×W-β×TS2×t2×W} …(6)となる。
(6)式から定数をまとめると、上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fは、以下の(A)式のように表せる。
F=k×(TS1×t1+a×TS2×t2) …(A)
ここで、定数k=μ×(α+γ)×W、定数a=-β/(α+γ)。定数kは、マシュシーム溶接機によって決まる定数、定数aは、上側となる先行鋼板に対する下側となる後行鋼板の寄与度を示す定数である。
【0027】
一方、下側の電極輪11bに接する部分のアキシャル荷重F’’及び下側の電極輪11bに作用するアキシャル荷重Fについても計算してみる。溶接部の境界面での先行鋼板21の反力をF1、後行鋼板22の反力をF2、下側にある後行鋼板22のはみ出した部位の押し出し力をF4とすると、F1、F2、F4のそれぞれは以下の(7)式~(9)式のように表せる。
F1=α×TS1×t1×W …(7)
F2=β×TS2×t2×W …(8)
F4=θ×TS2×t2×W …(9)
【0028】
ここで、α、β、θは比例定数、TS1は重ね合わせの上側となる先行鋼板21(上側の電極輪11aに接している側の先行鋼板21)の抗張力(kgf/mm
2)、t1は重ね合わせの上側となる先行鋼板21の板厚(mm)である。また、Wは
図3に示す溶接部27の幅(mm)、TS2は重ね合わせの下側となる後行鋼板22の抗張力(kgf/mm
2)、t2は重ね合わせの下側となる後行鋼板22の板厚(mm)である。
【0029】
また、下側の電極輪11bと接する部分のアキシャル荷重F’’は、以下の(11)式となる。
F’’=-F1+F2+F4 …(10)
この(10)式を前述の(7)式~(9)式で展開すると、
F’’=-(α×TS1×t1×W)+(β×TS2×t2×W)+θ×TS2×t2×W=-α×TS1×t1×W+(β+θ)×TS2×t2×W …(11)となる。
【0030】
下側の電極輪11bに作用するアキシャル荷重Fは、アキシャル荷重F’’に比例するため、比例定数をμとすると、
F=μ×{-α×TS1×t1×W+(β+θ)×TS2×t2×W} …(12)となる。
(12)式から定数をまとめると、下側の電極輪11bに作用するアキシャル荷重Fは、上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fと同様に、(A)式のように表せる。
F=k×(TS1×t1+a×TS2×t2) …(A)
ここで、定数k=-α×μ×W、定数a=-(β+θ)/α。定数kは、マシュシーム溶接機によって決まる定数、定数aは、上側となる後行鋼板に対する下側となる先行鋼板の寄与度を示す定数である。
【0031】
ここで、本発明の一実施形態に係るマッシュシーム溶接機の設計方法に適用されるマッシュシーム溶接の評価装置は、上下一対の電極輪11a,11bにアキシャル荷重が作用して電極輪11a,11bと先行鋼板21及び後行鋼板22の重ね合わせ部とにずれが生じないような溶接する先行鋼板21と後行鋼板22の溶接可能な組み合わせについて予め溶接テストを行うことなく迅速に評価するために、
図4の機能ブロック図に示す構成をとる。
【0032】
即ち、マッシュシーム溶接の評価装置30は、アキシャル荷重算出部31と、評価部32と、出力部33とを備えている。
ここで、マッシュシーム溶接の評価装置30は、アキシャル荷重算出部31及び評価部32の各機能をコンピュータソフトウェア上で、すなわちコンピュータ読取り可能なプログラムを実行することで実現するためのコンピュータシステムである。そして、このコンピュータシステムは、ハードウェアに予め記憶された各種専用のコンピュータプログラムを、あるいは、CD-ROM、やDVD-ROM、フレキシブルディスク(FD)などの記録媒体を介して、またはインターネットなどの通信ネットワークを介して、ハードウェアにインストールされたコンピュータプログラムを実行することにより、前述した各機能をソフトウェア上で実現できるようになっている。また、出力部33は、プリンタなどの出力装置によって実現される。
【0033】
アキシャル荷重算出部31は、上側の電極輪11a及び下側の電極輪11bの各々に作用する前述の(A)式で表されるアキシャル荷重Fを算出する。
ここで、アキシャル荷重Fの算出に際し、(A)式における定数aの値は、-1≦a≦0の範囲とすることが好適である。その理由について説明する。
実溶接機にて上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fを実測し、前述の(A)式に近似させた。電極輪11aの変位量に影響するパラメータを抽出し、そのパラメータの中で「先行鋼板の抗張力TS1×板厚t1」と「後行鋼板の抗張力TS2×板厚t2」がアキシャル荷重Fとの間で相関係数(分散比)が高いことを見出した。「先行鋼板の抗張力TS1×板厚t1」、「後行鋼板の抗張力TS2×板厚t2」とアキシャル荷重Fとの間の相関係数(近似式の相関係数)は定数aによって変化し、近似式の相関係数と定数aとの関係は
図6に示すようであった。
図6を参照すると、前述の(A)式における定数k=10、定数a=-0.5のときに近似式の相関係数が0.8となり、相関が最も高かった。これにより、前述の(A)式における定数aの値は、-0.5、定数kの値は10としてアキシャル荷重Fを算出する。なお、
図6に示すように、定数aが-01未満の場合及び0よりも大きい場合には、近似式の相関係数が0.4未満となり相関が少ないと考えられるため、(A)式における定数aの値は、0.8に限らず、-1≦a≦0の範囲とすることが好ましい。この定数aの値を、0.8に限らず、-1≦a≦0の範囲とし、定数kの値を10とするのは、上側の電極輪11aに作用するアキシャル荷重Fを算出する場合のみならず、下側の電極輪11bに作用するアキシャル荷重Fを算出する場合も同様である。
【0034】
また、評価部32は、アキシャル荷重算出部31で算出されたアキシャル荷重Fに基づいて先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接の可否を評価する。
ここで、評価部32では、アキシャル荷重算出部31で算出されたアキシャル荷重Fが、以下の(B)式を満たすときに先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を可能と評価し、(B)式を満たさないときに先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を不可能と評価する。
F≦F0 …(B)
F0:一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値
【0035】
ここで、上側の電極輪11aの周辺部品とは、上側の電極輪11aを固定する上側回転軸12a、上側回転軸12aの両端に設けられた一対の軸受13a及び上側回転軸12aを軸受13aを介して支持する上側電極輪支持部材14aを意味する。また、下側の電極輪11bの周辺部品とは、下側の電極輪11bを固定する下側回転軸12b、下側回転軸12bの両端に設けられた一対の軸受13b及び下側回転軸12bを軸受13bを介して支持する下側電極輪支持部材14bを意味する。
【0036】
アキシャル荷重算出部31で算出されたアキシャル荷重Fが、(B)式を満たさないときには、アキシャル荷重FはF0よりも大きく、上側の電極輪11aと下側の電極輪11bとの変位量の差が増大し、脱輪が発生するため、溶接不良が発生する。また、この場合、電極輪11a,11bの軸受ユニットで損傷が発生するおそれがある。一方、アキシャル荷重算出部31で算出されたアキシャル荷重Fが、(B)式を満たすときには、アキシャル荷重FがF0以下となり、上側の電極輪11a及び下側の電極輪11bの変位量がさほど大きくならず、溶接不良が発生しない。また、この場合、電極輪11a,11bの軸受ユニットで損傷が発生することもない。
ここで、F0:一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値は、使用するマッシュシーム溶接機の剛性に応じて定まる値であり、使用するマッシュシーム溶接機に応じて適宜決定される。
【0037】
なお、
図7には、後述する実施例の溶接条件で溶接したときの実測したアキシャル荷重と電極輪11a,11bの変位量との関係を示す。
図7に示すように、実測したアキシャル荷重が4000kgf以下の場合には、電極輪11a,11bのアキシャル方向の変位量は±4.0mmの範囲にあり、電極輪11a,11bの脱輪はなく、溶接が良好であった。なお、変位量の正負の符号は、
図2における電極輪11aが右方向にずれ、電極輪11bが左方向にずれる場合を正としている。一方、実測したアキシャル荷重が4000kgfより大きい場合には、電極輪11a,11bのアキシャル方向の変位量は6.0mmを超え、電極輪11a,11bが脱輪し、溶接不良となった。なお、一対の電極輪11a,11bのアキシャル方向の変位量とは、溶接時の一対の電極輪11a,11bの鋼板21,22との接触位置における各電極輪11a,11bの中心位置のアキシャル方向での距離を示す。従って、本実施形態にあっては、F0:一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値を4000kgfとして先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接の可否を評価する。
また、出力部33は、評価部32で評価された先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接の可否を出力する。
【0038】
次に、マッシュシーム溶接の評価装置30の処理の流れについて、
図5を参照して説明する。
評価装置30のアキシャル荷重算出部31は、アキシャル荷重算出ステップである以下で示すステップS1~ステップS4を実行する。また、評価部32は、評価ステップであるステップS5~ステップS7を実行する。また、出力部33は、ステップS8を実行する。
先ず、ステップS1で、アキシャル荷重算出部31は、図示しない入力装置からの評価開始指令を受け取ると、
図1に示すマッシュシーム溶接機1で溶接する先行鋼板21の板厚t1及び抗張力TS1を取得する。アキシャル荷重算出部31は、図示しない入力装置に作業者より入力された溶接する先行鋼板21の板厚t1及び抗張力TS1を取得する。
【0039】
次いで、ステップS2で、アキシャル荷重算出部31は、
図1に示すマッシュシーム溶接機1で溶接する後行鋼板22の板厚t2及び抗張力TS2を取得する。アキシャル荷重算出部31は、図示しない入力装置に作業者より入力された溶接する後行鋼板22の板厚t2及び抗張力TS2を取得する。
そして、ステップS3で、アキシャル荷重算出部31は、図示しない入力装置に作業者により入力された(A)式におけるk:マシュシーム溶接機によって決まる定数及びa:上側となる鋼板に対する下側となる鋼板の寄与度を示す定数を取得する。定数kは、前述したように本実施形態では10.定数aは、前述したように本実施形態では-0.5とする。
【0040】
次いで、ステップS4で、アキシャル荷重算出部31は、上下一対の電極輪11a,11bの各々の電極輪11a,11bに対しアキシャル方向に作用するアキシャル荷重Fを前述の(A)式により算出する。
そして、ステップS5で、評価部32は、ステップS4で算出されたアキシャル荷重Fが前述の(B)式を満たすか否かを判定する。即ち、F≦F0か否かを判定する。
この際に、F0:一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値を一例として、4000kgfとして判定する。F0は、予め記憶部に記憶されている。
【0041】
そして、判定結果がYESの場合、即ち算出されたアキシャル荷重Fが一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値F0=4000kgf以下の場合、ステップS6に移行し、判定結果がNoの場合、即ち算出されたアキシャル荷重Fがマッシュシーム溶接機の剛性値F0=4000kgfよりも大きい場合、ステップS7に移行する。
そして、ステップS6では、評価部32は、先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を可能と評価する。
一方、ステップS7では、評価部32は、先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を不可能と評価する。
そして、ステップS8では、出力部33は、評価結果を出力する。
【0042】
このように、本実施形態に係るマッシュシーム溶接機の設計方法に適用されるマッシュシーム溶接の評価方法及び評価装置30によれば、上下一対の電極輪11a,11bの各々の電極輪11a,11bに対し電極輪11a,11のアキシャル方向に作用する荷重をアキシャル荷重Fとしたとき、このアキシャル荷重Fを前述の(A)式により算出する(アキシャル荷重算出ステップ:ステップS1~ステップS4、アキシャル荷重算出部31)。そして、算出されたアキシャル荷重Fに基づいて先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接の可否を評価する(評価ステップ:ステップS5~ステップS7、評価部32)。これにより、溶接する先行鋼板21の板厚t1、抗張力TS1と後行鋼板22の板厚t2、抗張力TS2とを用いて、前述の(A)式により、先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接の可否を評価することができる。これにより、電極輪11a,11bにアキシャル荷重Fが作用して電極輪11a,11bと先行鋼板21及び後行鋼板22の重ね合わせ部とにずれが生じないような溶接する先行鋼板21と後行鋼板22の溶接可能な組み合わせについて予め溶接テストを行うことなく迅速に評価することができる。
【0043】
また、評価ステップ(ステップS5~ステップS7、評価部32)では、アキシャル荷重算出ステップ(ステップS1~ステップS4、アキシャル荷重算出部31)で算出されたアキシャル荷重Fが、前述の(B)式を満たすときに先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を可能と評価し、(B)式を満たさないときに先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接を不可能と評価する。これにより、電極輪11a,11bにアキシャル荷重Fが作用して電極輪11a,11bと先行鋼板21及び後行鋼板22の重ね合わせ部とにずれが生じないような溶接する先行鋼板21と後行鋼板22の溶接可能な組み合わせについてより精度高く評価することができる。
【0044】
また、アキシャル荷重算出ステップ(ステップS1~ステップS4、アキシャル荷重算出部31)では、前述の(A)式における定数aの値を-1≦a≦0の範囲としてアキシャル荷重Fを算出する。これにより、パラメータ「先行鋼板の抗張力TS1×板厚t1」、「後行鋼板の抗張力TS2×板厚t2」とアキシャル荷重Fとの間の相関係数が高い値で(A)式におけるアキシャル荷重Fを算出することができ、溶接する先行鋼板21と後行鋼板22の溶接可能な組み合わせについてより精度高く評価することができる。
そして、出力部33で出力される評価結果に基づき、溶接が可能と評価された先行鋼板21及び後行鋼板22を
図1に示すマッシュシーム溶接機1によって溶接する。
【0045】
次に、本発明の一実施形態に係るマッシュシーム溶接機の設計方法について説明する。
マッシュシーム溶接機1の設計方法は、先行鋼板21及び後行鋼板22におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、次の(A)式(前記した評価方法での(A)式と同じ)で算出される、一対の電極輪11a,11bの各々の電極輪11a,11bに対し電極輪11a,11bのアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0となるように、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品を設計する。
ここで、F=k×(t1×TS1+a×t2×TS2) …(A)
t1:重ね合わせの上側となる鋼板の板厚(mm)
TS1:重ね合わせの上側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
t2:重ね合わせの下側となる鋼板の板厚(mm)
TS2:重ね合わせの下側となる鋼板の抗張力(kgf/mm2)
k:マシュシーム溶接機によって決まる定数
a:上側となる鋼板に対する下側となる鋼板の寄与度を示す定数
【0046】
これら(A)式におけるt1、TS1、t2、TS2、k、aは、前記した評価方法での(A)式におけるt1、TS1、t2、TS2、k、aと同じであり、その好適数値も同様である。
つまり、マッシュシーム溶接機1の設計方法では、前述の評価部32で評価基準となった(B)式F≦F0を満たすように、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品、つまり上側の電極輪11a及びその周辺部品、下側の電極輪11b及びその周辺部品を設計する。ここで、上側の電極輪11aの周辺部品とは、上側の電極輪11aを固定する上側回転軸12a、上側回転軸12aの両端に設けられた一対の軸受13a及び上側回転軸12aを軸受13aを介して支持する上側電極輪支持部材14aを意味する。また、下側の電極輪11bの周辺部品とは、下側の電極輪11bを固定する下側回転軸12b、下側回転軸12bの両端に設けられた一対の軸受13b及び下側回転軸12bを軸受13bを介して支持する下側電極輪支持部材14bを意味する。
【0047】
従って、前述の評価部32での評価結果が溶接可能の場合、上側の電極輪11a及びその周辺部品、下側の電極輪11b及びその周辺部品を設計変更することなく、そのままとする。
一方、前述の評価部32での評価結果が溶接不可能の場合、上側の電極輪11a及びその周辺部品あるいは下側の電極輪11b及びその周辺部品を、それぞれF≦F0となるように、設計変更する。例えば、上側の電極輪11a及びその周辺部品の剛性値あるいは下側の電極輪11b及びその周辺部品の剛性値を高めるべく、上側電極輪支持部材14aあるいは下側電極輪支持部材14bの材質を変更したり、上側電極輪支持部材14aあるいは下側電極輪支持部材14bを構成する部品点数を減らして接合箇所を減少させたりする。
【0048】
これにより、溶接する先行鋼板21と後行鋼板22の組み合わせを好適なものとして、電極輪11a,11bに作用するアキシャル荷重Fに起因する電極輪11a,11bあるいはその周辺部品の損傷を回避することができるマッシュシーム溶接機1の設計方法を提供できる。
また、上側の電極輪11a及びその周辺部品、下側の電極輪11b及びその周辺部品を、それぞれF≦F0となるように、設計することで、上側の電極輪11a及び下側の電極輪11bのアキシャル方向の変位量を所定値以下(5.0mm以下)とすることができる。
【0049】
そして、前述の設計方法によって設計されたマッシュシーム溶接機1は、先行鋼板21及び後行鋼板22におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、前述の(A)式(前記した評価方法での(A)式と同じ)で算出される、一対の電極輪11a,11bの各々の電極輪11a,11bに対し電極輪11a,11bのアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦Fとなる関係にある。
【0050】
これにより、溶接する先行鋼板21と後行鋼板22の組み合わせを好適なものとして、電極輪11a,11bに作用するアキシャル荷重Fに起因する電極輪11a,11bあるいはその周辺部品の損傷を回避することができるマッシュシーム溶接機1を提供できる。
また、マッシュシーム溶接機1において、F≦F0とすることで、上側の電極輪11a及び下側の電極輪11bのアキシャル方向の変位量を所定値以下(5.0mm以下)とすることができる。
【0051】
また、本発明に係るマッシュシーム溶接方法は、このようなマッシュシーム溶接機1を用いて、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を一対の電極輪11a,11bで加圧し、かつ該一対の電極輪11a,11bの各々を前述の重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接する。
更に、本発明に係る熱延鋼板の製造方法は、前述のマッシュシーム溶接方法により熱延鋼板を製造する。
【0052】
また、本発明に係る熱延鋼板の製造方法は、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪11a,11bを、重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接工程を有する熱延鋼板の製造方法である。そして、この熱延鋼板の製造方法では、先行鋼板21及び後行鋼板22におけるそれぞれの板厚及び抗張力と、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、前述の(A)式(前記した評価方法での(A)式と同じ)で算出される、一対の電極輪11a,11bの各々の電極輪11a,11bに対し電極輪11a,11bのアキシャル方向に作用するアキシャル荷重をF、一対の電極輪11a,11bの各々及びその周辺部品の剛性値をF0としたとき、F≦F0を満たす場合にのみ溶接可能と判断する。
【0053】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明はこれに限定されずに種々の変更、改良を行うことができる。
例えば、先行鋼板21を上側、後行鋼板22を下側として溶接した例について説明したが、先行鋼板21を下側、後行鋼板22を下側として溶接するようにしてもよい。
また、(A)式における定数kは10に限られず適切に設定しうる。また、(A)式における定数aは、-0.5に限らず、-1≦a≦0の範囲内で適切に設定しうる。
【0054】
また、(B)式におけるF0は、4000kgfに限られない。すなわち、F0は、一対の電極輪11a,11bの走行方向の変位量を5.0mm以下となるに十分な剛性値であり、接合される先行鋼板21及び後行鋼板22の抗張力、板厚により変化しうる。なお、一対の電極輪11a,11bのアキシャル方向の変位量は、より好ましくは4.0mm以下であり、さらに好ましくは、2.0mm以下である。
また、マッシュシーム溶接の評価方法について、コンピュータシステム(評価装置30)を用いて、アキシャル荷重Fもしくはこれに相当する荷重を(A)式もしくはこれに相当する関係式により算出し、算出されたアキシャル荷重Fに基づいて先行鋼板21及び後行鋼板22の溶接の可否を評価しているが、コンピュータシステムを用いることなく、人手で計算し、評価するようにしてもよい。
【0055】
また、上側の電極輪11a及びその周辺部品を、F≦F0となるように、設計変更するに際して、上側の電極輪11a及びその周辺部品の双方を設計変更することなく、上側の電極輪11a及びその周辺部品のうち少なくとも何れか一方を設計変更して上側の電極輪11a及びその周辺部品の剛性値F0を高めるようにしてもよい。
また、下側の電極輪11b及びその周辺部品を、F≦F0となるように、設計変更するに際して、下側の電極輪11b及びその周辺部品の双方を設計変更することなく、下側の電極輪11b及びその周辺部品のうち少なくとも何れか一方を設計変更して下側の電極輪11b及びその周辺部品の剛性値F0を高めるようにしてもよい。
【0056】
また、マッシュシーム溶接機の設計方法は、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪11a、11bを備え、一対の電極輪11a、11bを重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機の設計方法である。このマッシュシーム溶接機の設計方法において、一対の電極輪11a、11bの各々のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重と、一対の電極輪11a、11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、所定の関係となるように一対の電極輪11a、11b及びその周辺部品を設計するようにしてもよい。ここで、アキシャル荷重とは、先行鋼板21及び後行鋼板22におけるそれぞれの板厚及び抗張力から決定されるものである。また、「所定の関係」はF≦F0以外を満足するものでもよく、「所定の関係となるように」「設計する」、というのは、鋼板製造ラインで溶接対象となる鋼板の厚さ及び抗張力から決定される一対の電極輪11a、11bの各々のアキシャル荷重に対応して設備の剛性を適宜決定していくことを意味しているものである。
【0057】
このマッシュシーム溶接機の設計方法において、一対の電極輪11a、11bのアキシャル方向の変位量を5.0mm以下とすることが好ましい。
また、マッシュシーム溶接機は、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪11a、11bを備え、一対の電極輪11a、11bを重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接機である。そして、このマッシュシーム溶接機において、一対の電極輪11a、11bの各々のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重と、一対の電極輪11a、11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、所定の関係を満たすようにしてもよい。「アキシャル荷重」及び「所定の関係」の意味は、前述のマッシュシーム溶接機の設計方法の場合と同様である。
【0058】
このマッシュシーム溶接機において、一対の電極輪11a、11bのアキシャル方向の変位量を5.0mm以下とすることが好ましい。
また、マッシュシーム溶接方法では、前述のマッシュシーム溶接機を用いて、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を一対の電極輪11a、11bで加圧し、かつ一対の電極輪11a、11bの各々を重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接するようにしてもよい。
【0059】
また、熱延鋼板の製造方法では、前述のマッシュシーム溶接方法により熱延鋼板を製造するようにしてもよい。
また、熱延鋼板の製造方法は、溶接対象となる先行鋼板21と後行鋼板22との重ね合わせ部分を加圧する一対の電極輪11a、11bを、重ね合わせ部分で走行させながら溶接電流を流すことにより、先行鋼板21と後行鋼板22とを連続的に溶接するマッシュシーム溶接工程を有するものである。この熱延鋼板の製造方法において、一対の電極輪11a、11bの各々のアキシャル方向に作用するアキシャル荷重と、一対の電極輪11a、11bの各々及びその周辺部品の剛性とが、所定の関係を満たす場合にのみ溶接可能と判断するようにしてもよい。「アキシャル荷重」及び「所定の関係」の意味は、前述のマッシュシーム溶接機の設計方法の場合と同様である。
【実施例】
【0060】
溶接条件の設定に当たり、先ず、
図1に示すマッシュシーム溶接機1において、板厚1.5~6.0mm、抗張力20~60kgf/mm
2の範囲より適宜選択された様々な鋼板の組み合わせで溶接を行った。そして、電極輪11a,11bに作用するアキシャル荷重を実測して近似式を導き、
図6に示すように評価したところ、k=10、a=-0.5で「先行鋼板の抗張力TS1×板厚t1」、「後行鋼板の抗張力TS2×板厚t2」とアキシャル荷重Fとの間で最も相関が高いことがわかった。また、
図7に示すように、実測したアキシャル荷重と電極輪11a,11bの変位量との関係について評価したところ、この条件においては、アキシャル荷重が4000kgfを超えた場合に溶接不良が発生した。
【0061】
従って、本実施形態に係るマッシュシーム溶接機の設計方法に適用される評価方法によって溶接可能な先行鋼板21及び後行鋼板22の組み合わせの評価を行う際に、(A)式における定数kを10、定数aを-0.5として先行鋼板21及び後行鋼板22の組み合わせのそれぞれにつきアキシャル荷重Fを算出し、(B)式におけるF0を4000kgfとして評価を行うこととした。
板厚1.5~6.0mm、抗張力20~60kgf/mm
2の範囲より先行鋼板21、後行鋼板22の種々の組み合わせを適宜選択し、それぞれの組み合わせにつき、評価装置30によって(A)式における定数kを10、定数aを-0.5としてアキシャル荷重Fを算出した。そして、それぞれの組み合わせについて溶接を450回行い、それぞれの先行鋼板21及び後行鋼板22の組み合わせについて溶接可否の評価を行った。その結果を
図8に示す。
【0062】
図8の横軸には本実施形態に係るマッシュシーム溶接機の設計方法に適用される評価方法によって(A)式により算出されたアキシャル荷重Fをとり、縦軸には、溶接回数(回)をとった。
図8に示すように、(A)式により算出されたアキシャル荷重Fが4000kgf以下の場合、いずれの先行鋼板21及び後行鋼板22の組み合わせにおいても溶接良好(成功)であった。一方、(A)式により算出されたアキシャル荷重Fが4000kgfよりも大きい場合、溶接回数が20回のうち16回が溶接不良(溶接失敗)であった。
従って、本発明に係るマッシュシーム溶接機の設計方法に適用される評価方法及び評価装置30が溶接する先行鋼板21と後行鋼板22の溶接可能な組み合わせについて精度高く評価できることが確認された。
【符号の説明】
【0063】
1 マッシュシーム溶接機
11a 上側の電極輪(電極輪)
11b 下側の電極輪(電極輪)
12a 上側回転軸
12b 下側回転軸
13a 軸受
13b 軸受
14a 上側電極輪支持部材
14b 下側電極輪支持部材
15a 上側キャリッジ
15b 下側キャリッジ
16a リニアガイド
16b リニアガイド
17a 上側フレーム
17b 下側フレーム
18 押圧部材
19 リニアガイド
20 押圧シリンダ
21 先行鋼板
21a 尾端部
22 後行鋼板
22a 先端部
23 先側クランプ装置
23a 上側のクランプ部材
23b 下側のクランプ部材
24 後側クランプ装置
24a 上側のクランプ部材
24b 下側のクランプ部材
25 押圧シリンダ
26 押圧シリンダ
27 溶接部
30 評価装置
31 アキシャル荷重算出部
32 評価部
33 出力部