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特許7173087水管ボイラ用の水管構造、水管ボイラ、製鋼用転炉の排ガス回収設備および水管ボイラ用水管構造の設計方法
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  • 特許-水管ボイラ用の水管構造、水管ボイラ、製鋼用転炉の排ガス回収設備および水管ボイラ用水管構造の設計方法 図1
  • 特許-水管ボイラ用の水管構造、水管ボイラ、製鋼用転炉の排ガス回収設備および水管ボイラ用水管構造の設計方法 図2
  • 特許-水管ボイラ用の水管構造、水管ボイラ、製鋼用転炉の排ガス回収設備および水管ボイラ用水管構造の設計方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】水管ボイラ用の水管構造、水管ボイラ、製鋼用転炉の排ガス回収設備および水管ボイラ用水管構造の設計方法
(51)【国際特許分類】
   F22B 37/18 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
F22B37/18
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2020078462
(22)【出願日】2020-04-27
(65)【公開番号】P2021173484
(43)【公開日】2021-11-01
【審査請求日】2021-11-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000001258
【氏名又は名称】JFEスチール株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001542
【氏名又は名称】弁理士法人銀座マロニエ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】野田 泰樹
(72)【発明者】
【氏名】内藤 誠
【審査官】豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特公昭49-030179(JP,B1)
【文献】特開昭48-028801(JP,A)
【文献】特開平10-246403(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F22B 37/00 - 37/78
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外面の少なくとも一部が高温場に曝される水管ボイラ用の水管構造において、
当該水管の軸と同軸または平行な軸を有する旋回流生成機構が水管内に挿入され、
前記旋回流生成機構が、前記水管内で発生した蒸気の気泡を当該水管の内壁に接触しない旋回直径で旋回させる形状を有し、
前記旋回流生成機構が、らせん板またはコイル状構造物であって、
前記旋回流生成機構は、
A)前記らせん板または前記コイル状構造物の羽根ピッチP(mm)が数式1(数式1中のd は水管内径(mm)であり、C は、21~32の範囲の定数(mm 0.5 )である)を満たすか、または、
B)前記らせん板または前記コイル状構造物の羽根ピッチP(mm)が数式2(数式2中のd は水管内径(mm)であり、ρ は水の比重(kg/m )であり、Δρは水と水蒸気の比重差(kg/m )であり、d は気泡径(mm)であり、u は気泡速度(mm/s)であり、u は水流速度(mm/s)であり、C は揚力係数である)を満たす、水管ボイラ用の水管構造。
【数1】
【数2】
【請求項2】
前記旋回流生成機構において、前記らせん板または前記コイル状構造物の羽根の幅w(mm)と水管内径dP(mm)とが、数式3の関係を満たす請求項に記載の水管ボイラ用の水管構造。
【数3】
【請求項3】
複数の水管により構成され、前記水管に水を流通させるとともに、前記水管の外面の少なくとも一部が高温場に曝されることより蒸気を発生させる水管ボイラにおいて、
該高温場に曝される水管の一部または全部が請求項1または2に記載の水管構造を有する水管ボイラ。
【請求項4】
前記水管は、水平面に対し30~50°の角度φで傾斜して据え付けられる水管を含む請求項に記載の水管ボイラ。
【請求項5】
前記水管は、少なくとも上方の管端から下方の管端に向けて水が供給される水管を含む請求項に記載の水管ボイラ。
【請求項6】
前記水管の内径dPが20~30mmの範囲である請求項のいずれか1項に記載の水管ボイラ。
【請求項7】
前記水管に供給される水の圧力が3.0~4.2MPaの範囲である請求項のいずれか1項に記載の水管ボイラ。
【請求項8】
請求項のいずれか1項に記載の水管ボイラを備える製鋼用転炉の排ガス回収設備。
【請求項9】
複数の水管により構成され、前記水管に水を流通させるとともに、前記水管の外面の少なくとも一部が高温場に曝されることにより蒸気を発生させる水管ボイラにおいて、
当該水管の軸と同軸または平行な軸を有する旋回流生成機構が水管内に挿入された水管構造の設計方法であって、
前記旋回流生成機構は、前記水管内で発生した蒸気の気泡を当該水管の内壁に接触しない旋回直径で旋回させる形状とし、
前記旋回流生成機構が、らせん板またはコイル状構造物であって、
前記旋回流生成機構は、
A)前記らせん板または前記コイル状構造物の羽根ピッチP(mm)が数式4(数式4中のd は水管内径(mm)であり、C は、21~32の範囲の定数(mm 0.5 )である)を満たすか、または、
B)前記らせん板または前記コイル状構造物の羽根ピッチP(mm)が数式5(数式5中のd は水管内径(mm)であり、ρ は水の比重(kg/m )であり、Δρは水と水蒸気の比重差(kg/m )であり、d は気泡径(mm)であり、u は気泡速度(mm/s)であり、u は水流速度(mm/s)であり、C は揚力係数である)を満たす、水管ボイラ用水管構造の設計方法。
【数4】
【数5】
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、製鋼用転炉の排ガス回収設備などに設置される水管ボイラ用の水管構造、その水管構造を有する水管ボイラ、その水管ボイラを用いた製鋼用転炉の排ガス回収設備、および水管ボイラ用の水管構造の設計方法に関する。
【0002】
熱交換媒体として水を用いる蒸気ボイラは、その内部が水と水蒸気の二相流状態になる。蒸気ボイラのうち、水管ボイラは、水を流通させ貫流させた複数の水管により構成され、水管の外面が高温場に曝されることより蒸気を発生させるものである。水管ボイラにおいては、水管内で発生した水蒸気が管内壁面近傍で停滞すると管壁温度が著しく上昇し、この繰り返しによる熱疲労で水管に亀裂が発生することが知られている。特に、水管が傾斜して配置され、さらにその水管内の水の流通方向が上方から下方に向かう場合(下降管)においては、水蒸気が管内壁面に停滞しやすく、水管寿命への影響が大きい。
【0003】
水蒸気が管内壁面停滞することを防ぐ対策として、特許文献1や特許文献2の技術が開示されている。特許文献1では螺旋形のリブを、また特許文献2では複数の切り欠き開口を備えた枠型鋼板が長手方向にねじられてなるインサートを、それぞれ管内に挿入することで管の中央部に気泡を集合させ、管壁面近傍の気泡を取り除くことにより壁面温度の上昇を防いでいる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平11-294703号公報
【文献】特開2009-518611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の技術には、未だ解決すべき以下のような問題があった。
特許文献1に記載の技術は、管の内壁に螺旋状のリブを設けるため、管の部分補修が必要な場合、管の内壁の螺旋を非補修部と合わせて補修することが難しい。また、管の内壁にリブを設ける方法の場合、転炉排ガス回収設備のボイラなど熱負荷が大きく、管が傾斜して設置される設備では、気泡が上昇する際にリブに引っ掛かり離脱できないことがあり、気泡の滞留防止効果が不十分であった。また特許文献2の技術は、特許文献1に記載の技術に比較して管の補修は容易になるが、管に挿入されるインサートが切り欠き開口を備えた枠型鋼板で形成されるため、実質的に管内面にリブを設けた場合と同等の形状となり、やはり気泡の滞留防止効果が不十分であった。
【0006】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、水管ボイラ、特に転炉排ガス回収設備のボイラなど熱負荷が大きく、しかも管が傾斜して設置された下降管を有する水管ボイラにおいても、管内壁面近傍の水蒸気気泡の除去に優れた水管ボイラ用の水管構造、その水管構造を有する水管ボイラ、その水管ボイラを用いた製鋼用転炉の排ガス回収設備、および水管ボイラ用の水管構造の設計方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決し、上記の目的を実現するため開発した本発明にかかる水管ボイラ用の水管構造は、外面の少なくとも一部が高温場に曝される水管ボイラ用の水管構造において、当該水管の軸と同軸または平行な軸を有する旋回流生成機構が水管内に挿入され、前記旋回流生成機構が、前記水管内で発生した蒸気の気泡を当該水管の内壁に接触しない旋回直径で旋回させる形状を有するものである。
【0008】
また、本発明にかかる水管ボイラは、複数の水管により構成され、前記水管に水を流通させるとともに、前記水管の外面の少なくとも一部が高温場に曝されることより蒸気を発生させる水管ボイラにおいて、該高温場に曝される水管の一部または全部が上記水管構造を有するものである。
【0009】
また、本発明にかかる製鋼用転炉の排ガス回収設備は、上記水管ボイラを備えるものである。
【0010】
また、本発明にかかる水管ボイラ用水管構造の設計方法は、複数の水管により構成され、前記水管に水を流通させるとともに、前記水管の外面の少なくとも一部が高温場に曝されることにより蒸気を発生させる水管ボイラにおいて、当該水管の軸と同軸または平行な軸を有する旋回流生成機構が水管内に挿入された水管構造の設計方法であって、前記旋回流生成機構は、前記水管内で発生した蒸気の気泡を当該水管の内壁に接触しない旋回直径で旋回させる形状とするものである。
【発明の効果】
【0011】
以上説明したように、本発明によれば、水管ボイラ、特に転炉排ガス回収設備のボイラなど熱負荷が大きく、しかも管が傾斜して設置された下降管を有する水管ボイラにおいても、管内壁面近傍の水蒸気が除去され、気泡の滞留防止効果を著しく向上させることができる。さらに、管壁温度上昇の繰り返しによる熱疲労が軽減され、水管の寿命を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】(a)は、本発明の一実施形態にかかる水管構造を示す垂直断面模式図であり、(b)は、該実施形態のA-A’視断面模式図である。
図2】本発明にかかる旋回流生成機構のらせん形状羽根ピッチPと気泡旋回直径Rとの関係を示すグラフである。
図3】本発明の他の実施形態にかかる水管構造を示す垂直断面模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
水管ボイラの水管内で発生する蒸気の気泡は、水管の内壁面およびその近傍から発生するものが多い。そこで発明者らは、水管内で発生した蒸気の気泡を、水管の内壁面およびその近傍から即座に除去して滞留させないようにするための流れ場について検討を行ない、本発明の完成に至った。発明者らは、下記(ア)~(エ)の条件で、水管ボイラを想定した実験を行い、気泡が旋回しながら水管内を流れていくとき、旋回流生成機構としてのらせん板のねじりピッチPと気泡の旋回直径Rの関係を整理した結果、らせん板のねじりピッチPが小さくなると気泡の最大旋回直径Rも小さくなることを知見した。
(ア)水管の水平面に対する据え付け角度φが50°
(イ)水管の内径dが28mm
(ウ)らせん板の幅wが24mm(水管内壁とのクリアランスが片側2mm、w=0.86×d
(エ)冷却水の圧力が4.2~3.0MPa
【0014】
上記(ア)~(エ)を一般化し、図1に模式的に示す。図1(a)は、水管の軸を含む垂直断面で示した水管構造の模式図であり、図1(b)は図1(a)にA-A’視で示す水管の軸に垂直な断面の模式図である。図1において、水管1は水平面に対しφ[°]傾いて設置されており、水管1の軸とねじりの軸が一致した、らせん板2が挿入されている。図1では、下降流の場合の気泡3に作用する力を図示する。ここで、水管1中の気泡3に働く力のつり合いは、下記数式1の(4)および(5)式で表せる。(4)式は、水管1の半径方向に働く揚力D、向心力Fおよび浮力Fの力のつりあいの関係を示す。気泡3を球形と置き、水管1の軸心から気泡3中心までの距離rθ[mm]は(5)式となる。(5)式中、Pはらせん板2のピッチ[mm]、ρは水の比重[kg/m]、Δρは水と水蒸気の比重差[kg/m]、dBは気泡径[mm]であり、uは気泡速度[mm/s]であり、uは気泡速度uと水流速度uの和[mm/s]であり、Cは揚力係数である。
【0015】
【数1】
【0016】
向心力Fは、軸心から気泡3までの距離rθの関数となり、θ=0°とθ=180°について、(5)式は、下記数式2のように展開される。
【0017】
【数2】
【0018】
気泡3が旋回する最大径Rは、R=rθ=0°+rθ=180°と表すことができる。整理すると、らせん板2のねじりピッチPと気泡3の最大旋回直径Rの関係は下記数式3の(2’)式で表すことができる。ここで、u=u+uとした。
【0019】
【数3】
【0020】
水管1の管径dと比較して、R<dの場合、気泡径dの気泡3は水管1の中心近くを旋回し、R>dの場合、気泡径dの気泡3に働く力がつり合う位置は水管1の外側にあるため、水管1内では浮力が強く働き、気泡3は管上部に集合することになって、管壁に滞留する、つまり、水管1内の気泡3の旋回半径は管内径と同一になるおそれが高くなる。気泡3が管壁に滞留すると断熱層となって、その部分の管の温度が上昇し、熱膨張による応力や熱負荷で変形したり、亀裂が発生したりするおそれがある。したがって、気泡3の最大旋回直径Rが水管1の管径dより小さくなるようにし、気泡3が水管1の内壁に接触しないようにらせん板2のねじりピッチPを設定することで気泡径dの気泡3を管内壁近傍に滞留させないために、必要ならせん板2のねじりピッチP[mm]を下記数式4の(2)式のように導出できる。(2)式中、dは水管内径[mm]であり、ρは水の比重[kg/m]であり、Δρは水と水蒸気の比重差[kg/m]であり、dは気泡径[mm]であり、uは気泡速度[mm/s]であり、uは水流速度[mm/s]であり、Cは揚力係数である。
【0021】
【数4】
【0022】
通常、水管ボイラで用いられる条件で気泡径dは、6~14mmであることから、(2)式は、簡略に下記数式5の(1)式で表すことができる。(1)式中、dは水管内径[mm]であり、Cは、21~32の範囲の定数[mm0.5]である。また、Cは、水管ボイラの設計条件により定めることができる。
【0023】
【数5】
【0024】
なお上記説明は、水管1の軸とねじりの軸を一致させてらせん板2を挿入した場合で説明したが、水管1の軸とらせん板2のねじりの軸とは完全に一致していなくてもよい。すなわち、水管1の軸に対してらせん板2のねじりの軸が平行になるようにらせん板2が挿入されていれば、水管1の軸に対してらせん板2のねじりの軸は偏心していてもよく、水管1内で発生した蒸気の気泡3を当該水管1の内壁に接しない旋回直径で旋回させることができればよい。
水管ボイラに上記水管構造を適用する場合、水管1には外部から熱が加わるため、管壁に生じた水蒸気気泡3の離脱を容易にするため、らせん板2と管壁には隙間があることが望ましい。一方、水管1内の水流に十分な旋回流を与えるためには、らせん板2の幅wは大きい方が望ましい。したがって、らせん板2の幅w[mm]と水管1の管径d[mm]とが、下記数式6の(3)式の関係を満たすことが好ましい。なお、らせん板2のねじりの軸が水管1の軸と同軸でない場合には、水管1の軸から、水管1の壁に最も近いらせん羽根の先端までの距離の2倍をwとする。
【0025】
【数6】
【0026】
旋回流生成機構としては、図1に示すらせん板2のほか、図3に示すようなコイル状構造物も適用可能である。また、羽根部分も長手方向に連続している必要はなく、断続的に構成されていてもよい。その他、旋回流を起こせる構造が適用できる。
【0027】
上記旋回流生成機構を適切に設置した水管構造は、複数の水管1によって構成され、水管1に水を流通させるとともに、その水管1の外面の一部が高温場に曝されることにより蒸気を発生させる水管ボイラに適用して好適である。水管内壁に気泡3が滞留することがないので、水管1にかかる熱負荷が軽減され、水管1の寿命が向上し、メンテナンス負荷が軽減される。
【0028】
製鋼用転炉の排ガス回収設備の煙道には高温の排ガスが流れているので、上記水管ボイラを設置することで効率よく排ガスの熱を回収することができて好ましい。この場合、水管ボイラの構造として、二重円筒構造として、外部に水を供給する下降管を用い、内部に蒸気を回収する上昇管を用い、下降管と上昇管を下部で接続する構造としてもよい。また、下降管と上昇管とを交互に配置した円筒構造とし、下降管と上昇管とを下部で接続するようにすれば、簡便な構造となり、メンテナンス性にも優れたものとすることができる。
【0029】
製鋼用転炉の排ガス回収設備の煙道は、水平面に対して30~50°傾斜しいていることが多く、円筒状構造の水管ボイラでは、下側の水管に熱負荷が大きくかかることが知られており、とくに熱負荷の大きくかかる水管の一部または全部の構造に上記旋回流生成機構を持たせることが好ましい。この傾斜構造では、水流の方向と気泡の浮上方向が逆となる下降管、つまり、上方の管端から下方の管端に向けて水が供給される水管に気泡が滞留しやすいので、上記旋回流生成機構を有する水管とすることが好ましい。
【0030】
水管ボイラに用いる水管1の内径dは20~30mmの範囲とすることが好ましい。下限未満では、発生する気泡径との関係から、十分に旋回流の効果を与えることが難しく。上限超えでは、十分な水流の流速が得られず、気泡の旋回半径を適切に制御できないおそれがあるからである。
【0031】
水管ボイラに供給される水の圧力は3.0~4.2MPaの範囲とすることが好ましい。下限未満では、十分な水流の流速が得られず、気泡の旋回半径を適切に制御できないおそれがある。一方、上限超えでは、昇圧のためのポンプ容量が極端に大きくなり、蒸気使用時の減圧によるエネルギーロスも大きくなるため好ましくない。
【0032】
(実施例)
図1に示す水管構造として、らせん板2を挿入したアクリル管に水と気泡との混合流を流し気泡3の動きを観察した。らせん板2はねじりピッチの異なるP=50、100、150および200mmとした。アクリル管の管内径dは28mmとし、水平面に対する傾斜角φ=50°とし、らせん板2の幅wが24mmとした。このとき、水管内壁とのクリアランスが片側2mm、w=0.86×dであった。
【0033】
らせん板のねじりピッチP=200および150mmでは気泡が水管中央に集まる様子を確認できなったが、ねじりピッチP=100mmおよび50mmでは気泡の集合が確認できた。気泡の集合が確認できたねじりピッチP=100mmおよび50mmで気泡が描く最大旋回直径Rを観察し、結果を図2に示す。あわせて、観察された平均気泡径dおよび気泡速度uを用いて、上記(2’)式による理論的なピッチPと気泡の最大旋回半径Rの関係を実線で描いた。実測と理論式はよく一致していることがわかる。(2’)式の計算に当たっては、水比重ρ=997kg/m、空気比重ρ=1.2kg/m、比重差Δρ=995.8kg/mとした。揚力係数Cは通常0.4~1.2を用いるので、今回は0.8とした。気液二相流体の流速u+u[mm/s]は体積流量22L/minから計算した。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明は、水管を用いて熱回収する各種装置に適用して好適である。
【符号の説明】
【0035】
1 水管
2 旋回流生成機構
3 水蒸気気泡
図1
図2
図3