(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】回収支援装置及びタグ提供方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221109BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020509881
(86)(22)【出願日】2019-03-14
(86)【国際出願番号】 JP2019010434
(87)【国際公開番号】W WO2019188314
(87)【国際公開日】2019-10-03
【審査請求日】2022-02-28
(31)【優先権主張番号】P 2018070226
(32)【優先日】2018-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】内堀 富勝
【審査官】貝塚 涼
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-54020(JP,A)
【文献】特開2002-73908(JP,A)
【文献】特開2003-6386(JP,A)
【文献】特開2005-84925(JP,A)
【文献】特開2003-67542(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルを電子商取引によって受け付ける電子商取引サービスのユーザを特定するユーザ特定情報を予め記憶する記憶部と、
前記電子商取引サービスを通じて物品が購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルされる場合に、ユーザ特定情報を前記記憶部から抽出する抽出部と、
前記物品がタグの対象品であるか、又は前記物品自体がタグであるか否かを判断する判断部と、
前記判断部が、前記物品がタグの対象品であるか、前記物品自体がタグであると判断した場合、前記タグに個別に付与されているタグ識別情報を、前記抽出部で抽出されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶部にて記憶する記憶処理部と、
前記タグ識別情報を含む検知通知を受信する受信部と、
受信した検知通知に含まれる前記タグ識別情報に対応付けられているユーザ特定情報に基づき、ユーザ宛て及び/又はシステム運営者宛てに検知を通知する通知部と
を備える回収支援装置。
【請求項2】
物品の購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルを受け付ける受付部を備え、
該受付部は、更に、前記物品の遺失時又は不正使用時に前記ユーザ特定情報に基づく前記通知部による通知を受けるか否かの選択を受け付ける
請求項1に記載の回収支援装置。
【請求項3】
前記通知部は、
物品の回収、配送、出品、及び廃棄の少なくともいずれか2つを含む選択肢の中から選択を受け付けるインタフェースを含む
請求項1又は2に記載の回収支援装置。
【請求項4】
前記検知通知には、物品が拾得/届け出された又は不正使用された場所及び保管がされている場所の少なくともいずれかを示す情報が含まれる
請求項1から3のいずれか一項に記載の回収支援装置。
【請求項5】
前記通知部は、前記場所を示す地図を前記ユーザ宛て及び/又はシステム運営者宛てに送る
請求項4に記載の回収支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遺失物を含む物品の回収を支援する回収支援装置及びタグ提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
遺失物の発見を持ち主に通知するシステムが種々提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、警察又は交通機関で取り扱われている遺失物の量は減少せず、警察又は交通機関における遺失物の保管場所及び管理のための人的リソースの確保が課題となっている。
【0003】
近年、Bluetooth(登録商標)による通信手段を備えたタグと、該タグと通信するスマートフォン等の通信機器とを用い、タグを付した物品を遺失した際にこれを回収できるようにするシステムが提案されている。このシステムでは、所有者が所持する通信機器とタグとの通信が途絶えたことを契機に、タグが付された物品が所有者から離れたこと、即ち遺失したことを通知し、通信が途絶えた地点を通信機器の位置情報取得機能で検知し、紛失場所を特定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
多様なシステムが提案されているにも拘わらず、遺失物の取扱いに関する課題は十分には解決されていない。システム利用に必要な登録手続の煩雑さ、運用費用を理由に、利用が浸透していないと推測される。
【0006】
遺失物が届けられる機関又は施設の立場からは、特許文献1に開示されているような特別なリーダが必要であったり、特定のアプリケーションを事業として運用する必要があったりするシステムでは、運用が煩雑である。
【0007】
本発明は、利便性を高めた回収支援装置及びタグ提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
回収支援装置は、ユーザを特定するユーザ特定情報を予め記憶する記憶部と、物品が購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルされた場合に、ユーザ特定情報を前記記憶部から抽出する抽出部と、前記物品に付されるタグ、又は前記物品であるタグに個別に付与されているタグ識別情報を、前記抽出部で抽出されたユーザ特定情報に対応付けて前記記憶部にて記憶する記憶処理部と、前記タグ識別情報を含む検知通知を受信する受信部と、受信した検知通知に含まれる前記タグ識別情報に対応付けられているユーザ特定情報に基づき、ユーザ宛て及び/又はシステム運営者宛てに検知を通知する通知部とを備える。
【0009】
本明細書において「検知(detection)」とは、「拾得(pick up)」、「届け出(delivery)」、「到着(arrival)」をその意味に含む。
【0010】
本明細書において「システム運営者」とは、システム全体を運営する運営者であってもよいし、システムの一部を運営する運営者であってもよい。
【0011】
上記構成により、例えば物品の購入時に、購入者のユーザ特定情報と、物品に付されるタグに個別に付与されているタグ識別情報とが対応付けられ、遺失した物品又は不正使用された物品に付されているタグのタグ識別情報に基づき、持ち主(例えば購入者)であるユーザ又はシステム運営者へ、通知が可能になる。ユーザは、タグに対して登録処理を行なう煩わしさなく、物品の遺失時又は物品の第三者による不正使用時に通知を受けるサービスを享受できる。
【0012】
本明細書において「遺失(lost)」とは、「紛失(missing)」、「盗難(stolen)」をその意味に含む。
【0013】
遺失時又は不正使用時に通知するサービスは、物品の購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルを受け付ける電子商取引処理を実行するサーバにて実現してもよいし、電子商取引サービス外で実行されてもよい。
【0014】
物品の拾得/届け出又は不正使用が検知された場合、物品をユーザ自身が回収する回収、流通経路で運送してもらう配送、電子商取引サービス上での出品、及び廃棄、の少なくともいずれか2つを含む選択肢の中から、ユーザが選択できるインタフェースが用意されるとよい。
【0015】
検知通知に、物品が拾得/届け出された又は不正使用された場所及び保管がされている場所の少なくともいずれかを示す情報が通知に含まれてもよい。ユーザが使用する端末装置上で、拾得/届け出された若しくは不正使用された場所又は保管がされている場所を示す地図が表示されてもよい。
【0016】
上記構成により、ユーザの手続きの煩雑さを軽減でき、物品がいずれの施設に届けられ/検知されても、回収が容易となって利便性が高まる。そのため、遺失時又は不正使用時の通知サービスの普及が促進される。
【0017】
コンピュータプログラムは、バーコード若しくは画像が付されたタグ、又は無線通信部及び記憶媒体を内蔵するタグからタグ識別情報を読み取る読取部、並びに記憶部を備えるコンピュータに、前記記憶部に前記コンピュータが設置される施設を識別する施設識別情報を記憶させておき、物品の検知通知開始を選択するステップ、前記物品に付されている前記タグから前記読取部によってタグ識別情報を読み取るステップ、及び読み取られたタグ識別情報と、前記記憶部に記憶されている施設識別情報とを対応付けて前記物品の検知を通知するステップを実行させる。
【0018】
コンピュータプログラムは、表示部及び操作部を備えるコンピュータに、物品の購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルを受け付ける画面を前記表示部に表示させるステップ、物品の選択を前記操作部により受け付けるステップ、及び選択された物品の購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルの手続きにて、前記物品の遺失時又は不正使用時にユーザ特定情報に基づく通知を受けるか否かの選択画面を前記表示部に表示させるステップを実行させる。
【0019】
システムの製造方法は、物品の購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルを受け付ける画面を表示させるステップ、物品の選択を受け付けるステップ、及び選択された物品の購入、無償譲渡、無償貸与又はレンタルの手続きにて、前記物品の遺失時又は不正使用時にユーザ特定情報に基づく通知を受けるか否かの選択画面を表示させるステップを実行させる第1のコンピュータプログラムを表示部及び操作部を備える第1のコンピュータにインストールさせるべく配信し、バーコード若しくは画像が付されたタグ、又は無線通信部及び記憶媒体を内蔵するタグからタグ識別情報を読み取る読取部、並びに記憶部を備える第2のコンピュータに、前記記憶部に前記第2のコンピュータが設置される施設を識別する施設識別情報を記憶させておき、物品の検知通知開始を選択するステップ、前記物品に付されている前記タグから前記読取部によってタグ識別情報を読み取るステップ、及び読み取られたタグ識別情報と、前記記憶部に記憶されている施設識別情報とを対応付けて前記物品の検知を通知するステップを実行させる第2のコンピュータプログラムを前記第2のコンピュータにインストールさせるべく配信する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図2】取引サーバ及び回収支援サーバの内部構成を示すブロック図である
【
図3】回収端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図4】情報端末装置の内部構成を示すブロック図である。
【
図5】取引サーバにおける処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図6】通信販売サービスで提供される画面例を示す図である。
【
図7】タグ識別情報とアカウント情報との対応付けについての確認画面の例を示す図である。
【
図8】アカウント情報に対応付けられたタグ識別情報の一例を示す図である。
【
図10】アカウント情報に対応付けられているタグの一覧を含む画面の一例を示す図である。
【
図11】回収端末装置の表示部に表示される画面例を示す図である。
【
図12】物流システムにて行なわれる拾得時の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図13】ユーザへの拾得通知の一例を示す図である。
【
図14】物流システムにて行なわれる回収処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図15】物流システムにて行なわれる回収処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【
図16】物流システムにて行なわれる回収処理の手順の他の一例を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明をその実施形態を示す図面を参照して具体的に説明する。以下に説明する実施形態は、回収支援装置を物流システムに適用した例である。
【0022】
図1は、物流システム100の概要を示す。物流システム100は、取引サーバ1、回収支援サーバ2、回収端末装置3、及び情報端末装置4を含む。取引サーバ1、回収支援サーバ2、回収端末装置3、及び情報端末装置4は、ネットワークNを介して相互に情報を送受信することが可能である。物流システム100は、遺失時通知サービスを付帯的に実現する。遺失時通知サービスは、電子商取引(通信販売)サービスにて販売される物品又は販売されるタグT自体の購入に際し、タグTが付された物品が遺失した場合に、持ち主(購入者)であるユーザがこれを回収することを支援する。
【0023】
取引サーバ1は、通信販売サービスを提供する事業者が管理するサーバコンピュータである。ユーザは、取引サーバ1から提供されるWebベースの通信販売サイトにて購入する物品を選択する。取引サーバ1では、ユーザのアカウント情報に紐づけられている決済方法により決済する。事業者は、決済された又は決済予定の物品を保管場所(倉庫)から搬出し、事業者自身の物流経路、又は、事業者若しくは各販売者が提携する物流業者の物流経路に載せて物品をユーザへ届ける。これらが、取引サーバ1における基本的な通信販売サービスである。遺失時通知サービスは、このような通信販売サービスの中で、ユーザを特定できるユーザ特定情報(以下、アカウント情報という)に対応付けられたタグ識別情報が付されたタグTを物品と共に流通させ、遺失された物品の回収を支援する。
【0024】
回収支援サーバ2は、タグTの提供者により管理されるサーバコンピュータである。回収支援サーバ2は、流通前のタグT夫々に付与されるタグ識別情報をグループ化して保存しておき、タグ識別情報を取引サーバ1へ提供する。回収支援サーバ2は、回収端末装置3と通信が可能である。タグTに付されるタグ識別情報は、回収支援サーバ2又は他の提携システムによって管理される発行システム200(
図2参照)により発行され、異なるタグTで相互に重複しないよう、発行システム200により発行日等と対応付けて管理される。
【0025】
回収端末装置3は、遺失した物品が届けられる施設、例えばコンビニエンスストア、公共交通機関の駅又は事業所に設置、使用されている既設の端末装置である。回収端末装置3はタブレット端末、又はスマートフォン等の汎用通信装置を適用したものであってもよい。物品の届け先は上記の例に限らず、警察署、商業施設であってもよく、これらの施設に回収端末装置3を設けてもよい。コンビニエンスストアに設置される場合、回収端末装置3は、レジ端末、ATM(Automatic Teller Machine)、又は、コンビニエンスストアでチケット販売サービスを提供するキオスク端末であってもよい。回収端末装置3は、駅等の公共交通機関施設に設置される場合は、ATM、受取ロッカー、又は受付端末(空港などチェックインが必要な場所に設置)であってもよい。回収端末装置3は、金融機関の施設に設けられたATMであってもよいし、商業施設におけるレジ端末、ATM、又はキオスク端末であってもよい。回収端末装置3は、各所に新設の専用端末として設けられてもよいが、既設の端末装置に、ソフトウェア的に回収端末装置3としての機能を加えることで実現されてもよい(後述)。回収端末装置3として機能させるための既設の端末装置は、無停電電源装置(UPS)5を搭載しているか、又はUPS5に接続されていてもよい。追加的なソフトウェアモジュールは、UPS5の提供者により、上述の回収支援サーバ2と共に提供されるとよい。
【0026】
情報端末装置4は、ユーザが使用するパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末装置である。情報端末装置4は、少なくともWebブラウザを含むアプリケーションプログラムを実行可能であり、取引サーバ1と通信接続して該取引サーバ1で提供される通信販売サイトでのユーザによる物品の売買を可能とする。
【0027】
ネットワークNは、所謂インターネットである公衆通信網N1と、所定の移動通信規格による無線通信を実現するキャリアネットワークN2とを含む。キャリアネットワークN2には基地局BSが含まれる。取引サーバ1及び回収支援サーバ2間、回収支援サーバ2及び回収端末装置3間は、ネットワークNを介して通信接続が可能である。情報端末装置4は、公衆通信網N1又は基地局BSからネットワークNを介して取引サーバ1と通信可能である。
【0028】
物流システム100における遺失物回収は、以下のように実現される。まず、取引サーバ1から提供される通信販売サイトにより、物品と同様にタグTが販売されるか、タグTが購入された物品の付属物とされる。物品又はタグTの販売時に、物品の付属物であるタグT又は販売対象であるタグTに付与されているタグ識別情報と、取引サーバ1の利用のためのユーザのアカウント情報とを対応付ける。対応付けについて、ユーザに了承を得ることが望ましい。その後、購入者であるユーザへタグTが届けられる。届け先は、ユーザの自宅、職場、又はコンビニエンスストア等、指定された住所である。通信販売サイトで購買の申し込みがあった後に、販売者が物品を梱包するなどの処理を行なう販売形態では、販売者によってタグTが予め物品に取り付けられてもよい。
【0029】
タグTは、各々のタグ識別情報を容易に読み取り可能に記憶している。タグTは、多様な態様で提供できる。タグTは、タグ識別情報を一次元又は二次元コード化した画像が印字されたシールとして提供されてもよい。タグTは、無線タグ(例えばRFID)のタグ識別情報を記憶したICチップ及びアンテナを構成する導体が形成された層を内蔵するシール、又はリボン等の紐状のものとして提供されてもよい。タグTは、Bluetooth(登録商標)、特にBLE(Bluetooth Low Energy)を用いた通信モジュールと、タグ識別情報が記憶されたICチップとを内蔵した荷物札、又はキーホルダーの態様で提供されてもよい。タグTは、各々キャラクターが模られているか、画像が印刷されて装飾品として使用されてもよい。付される物品に関する商標等が含まれた出所識別用のシール又は真贋判別シール、あるいは衣類等の物品に付されているタグ、ラベルに、タグTが兼用されてもよい。ユーザは、購入した物品にタグTを付すか、又は購入したタグTを所有する物品に付すのみでよい。タグTは、タグ識別情報が記憶されたICチップそのものであってもよい。この場合、物品とタグTとは一体の物である。例えばICチップ付きのキャッシュカード、クレジットカード、ポイントカード等のカード類、ICチップ内蔵のスマートフォンを含む携帯型の電子機器がタグTとして機能する。傘、衣類等、遺失され易い物品にICチップを内蔵してもよい。
【0030】
回収端末装置3は、タグTからタグ識別情報を読み取る機能を有し、ユーザの物品が遺失物として届けられた際にその物品に付されたタグTから読み取ったタグ識別情報を回収支援サーバ2へ、届け先を示す情報と共に通知する。回収支援サーバ2は、回収端末装置3からの通知に基づき、届けられた物品について取引サーバ1へタグ識別情報を通知し、取引サーバ1で提供されるサービス内で、そのタグ識別情報が対応付けられているアカウント情報に基づいて、ユーザへ遺失物が回収されたことを通知する。通知は、情報端末装置4への通知、又は遺失した物品が情報端末装置4そのものである場合はアカウント情報が対応する住所へのハガキ、封書等の送達、又は電話連絡によって実現されてもよい。
【0031】
物品が届けられた通知を受けたユーザは、通知に含まれる届け先を示す情報を参照して届け先へ赴き、物品を回収する。通知には物品の配送、廃棄、及び販売等の選択肢が含まれていることが好ましい。回収の際には、回収端末装置3にて再度タグTの読取と、該タグTのタグ識別情報に紐付けられているアカウント情報との照合とによって持ち主本人であることが確認された場合にのみ回収がされるようにする。アカウント情報は、氏名、住所、通信販売サービスにおけるユーザ識別番号及びパスワード、又は、顔若しくは指紋等の生体認証情報であってもよく、これらの情報により本人確認がされるとよい。アカウント情報は、一時的に発行されるパスワードを含むか、又はこの一時的なパスワードで代替されてもよい。
【0032】
このように、物流システム100における遺失物回収支援では、ユーザは物品又はタグTの購入時に、購入に利用する通信販売サービス又は決済サービスのアカウント情報と、タグTのタグ識別情報との対応付けに同意し、タグTを物品に取り付けるだけでよい。遺失物の届け出(report/register)も警察署に届け出るのみならず、コンビニエンスストア、駅、金融機関等としてもよく、いずれの場合も安全に受け渡しが行なわれる。ユーザに関する個人情報(ユーザ特定情報)が、他人の目にふれずに済む。このような遺失物回収支援を可能とする各装置の構成について、詳細を説明する。
【0033】
図2は、取引サーバ1及び回収支援サーバ2の内部構成を示すブロック図である。取引サーバ1は、制御部10、記憶部11、及び通信部12を備える。本実施形態において取引サーバ1は、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで機能又は処理を分散させてもよい。
【0034】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)を用いたプロセッサであり、内蔵するROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。制御部10は、記憶部11に記憶されているサーバプログラム1Pに基づく情報処理を実行する。サーバプログラム1PにはWebサーバプログラムが含まれ、制御部10は、情報端末装置4への通信販売サイトであるWebページの提供、Webサービスへのログインの受け付け等を実行するWebサーバとして機能する。
【0035】
記憶部11は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部11には、上述したサーバプログラム1P及び制御部10が参照する各種情報が記憶されている。
【0036】
通信部12は、ネットワークNを介した通信を実現するインタフェースであり、例えばEthernet(登録商標)、又は無線通信用アンテナ等の通信インタフェースを用いる。制御部10は、通信部12を介して回収支援サーバ2と通信接続が可能である。
【0037】
取引サーバ1は、提供するサービスの利用者のアカウント情報を記憶した記憶装置13に対し情報の読み書きが可能である。取引サーバ1の制御部10は、記憶装置13に対してアカウント情報の追加・削除、アカウント情報の更新、読み出し等を行なう。
【0038】
回収支援サーバ2は、制御部20、記憶部21、及び通信部22を備える。回収支援サーバ2についても、1台のサーバコンピュータとして説明するが、複数のサーバコンピュータで機能又は処理を分散させてもよい。
【0039】
制御部20は、CPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。制御部20は、記憶部21に記憶されている回収支援プログラム2Pに基づく情報処理を実行する。
【0040】
記憶部21は、例えばハードディスク又はフラッシュメモリ等の不揮発性メモリを用いる。記憶部21には、上述した回収支援プログラム2P及び制御部20が参照する各種情報が記憶されている。記憶部21には、回収端末装置3の端末識別情報と、回収端末装置3が設置されている施設を特定するための特定情報(名称及び位置情報)との対応関係が回収端末装置情報として記憶されている。
【0041】
通信部22は、ネットワークN及び専用回線を介した通信を実現するインタフェースである。制御部20は、通信部22により、ネットワークN又は専用回線を介した取引サーバ1との間の通信接続を実現する。制御部20は、回収端末装置3と通信接続することが可能であり、好ましくは専用回線を介して接続される。
【0042】
回収支援サーバ2は、タグTに付与されているタグ識別情報のグループ対応を記憶した記憶装置201を含む発行システム200との間で情報を送受信することが可能である。記憶装置201は、タグTをグループ化して記憶している。タグTが単品で販売される場合には、タグTに付されているタグ識別情報が、タグTの種類、及び分類に対応する情報(分類識別情報)、並びにタグTの提供先(取引サーバ1の管理事業者)を示す情報と対応付けて記憶されている。タグ識別情報は、発行日、製造日等の属性情報と対応付けて記憶されていることが好ましい。タグTが複数を含むパッケージとして販売される場合には、パッケージ化された複数のタグTの内の代表とされるタグ識別情報が、タグTの分類識別情報、及び提供先を示す情報と対応付けて記憶されている。グループ(パッケージ)毎にグループ識別情報が発行され、タグTのタグ識別情報には、所属するグループのグループ識別情報が対応付けられていてもよい。グループ識別情報にも属性情報が対応付けられていることが望ましい。回収支援サーバ2の制御部20は、発行システム200に対してタグTの発行、発行済みタグTのタグ識別情報の問い合わせ等を行なう。
【0043】
図3は、回収端末装置3の内部構成を示すブロック図である。回収端末装置3は上述したように、レジ端末、ATM、キオスク端末、受取ロッカー、又は新設の端末装置が利用される。回収端末装置3は、レジ端末として使用される汎用的なタブレット端末であってもよい。回収端末装置3は、制御部30、記憶部31、通信部32、表示部33、操作部34及び読取部35を少なくとも備える。回収端末装置3は、利用される装置の種類に応じた種々の構成部を有していてよい。
【0044】
制御部30は、CPUを用いたプロセッサであり、内蔵するROM及びRAM等のメモリを用い、各構成部を制御して処理を実行する。制御部30は、記憶部31に記憶されている回収支援プログラム2Pに基づく情報処理を実行する。
【0045】
記憶部31は、回収端末プログラム3Pを記憶している。回収端末プログラム3Pは、レジ端末であればレジ用ソフトウェアプログラム、ATMであればATMソフトウェアプログラムに対するプラグインモジュールといった連係プログラムとして提供されるとよい。
【0046】
通信部32は、専用回線を介した通信を実現するインタフェースである。制御部30は、通信部32を介し、対応する専用回線を介して各端末機能に応じたサーバ装置と通信可能である。
【0047】
表示部33は、液晶ディスプレイ、有機EL(Electro Luminescence)ディスプレイ等のディスプレイを用いる。表示部33は制御部30の回収端末プログラム3Pを含む端末用のプログラムに基づく処理により、文字及び画像を含む操作画面を表示する。表示部33はタッチパネル内蔵型ディスプレイを用いる。表示部33は必須ではなく、操作部34を音声によるユーザインタフェースとする場合には、表示部33に代替して音声によって情報が出力されてもよい。
【0048】
操作部34は、表示部33のディスプレイ内蔵のタッチパネル、又は、回収端末装置3の筐体に設けられたボタンを用いる。操作部34は、音声入力部であって音声認識機能により音声による操作を受け付けてもよい。操作部34は制御部30との間で入出力が可能なキーボード及びポインティングデバイスであってもよい。操作部34はこれらの構成により、ユーザ又はオペレータによる操作情報を制御部30へ通知する。
【0049】
読取部35は、タグTのタグ識別情報を読み取るリーダである。読取部35は、バーコードリーダ、カメラ、及び無線タグリーダの内の少なくともいずれか1つである。読取部35は、それらのいずれをも含み、タグTの態様によっていずれかを選択的に使用してタグTのタグ識別情報を読み取ってもよい。読取部35は、タグTから読み取った情報を制御部30へ通知する。
【0050】
図4は、情報端末装置4の内部構成を示すブロック図である。情報端末装置4は、上述したようにユーザが使用するパーソナルコンピュータ、スマートフォン又はタブレット端末装置であって、制御部40、記憶部41、通信部42、表示部43及び操作部44を備える。
【0051】
制御部40は、CPU、GPU等のプロセッサと、メモリ等を用いる。制御部40は、プロセッサ、メモリ、記憶部41及び通信部42を集積した1つのハードウェア(SoC:System On a Chip)として構成されていてもよい。制御部40は、記憶部41に記憶されているアプリプログラム4Pに基づき、取引サーバ1への通信接続を実行し、該取引サーバ1によって提供される通信販売に係るWebページを介した処理を実行する。
【0052】
記憶部41は、フラッシュメモリを用い、アプリプログラム4Pを含む制御部40が参照するプログラム、及びデータが記憶される。アプリプログラム4Pは少なくともWebブラウザプログラムを含み、制御部40は、アプリプログラム4Pに基づき、取引サーバ1で提供されるWebページの情報から画面を表示部43に表示させる。
【0053】
通信部42は、ネットワークNへの通信接続を実現する通信モジュールである。通信部42は、ネットワークカード、無線通信デバイス又はキャリア通信用モジュールを用いる。
【0054】
表示部43は、液晶パネル又は有機ELディスプレイ等のディスプレイ装置を用いる。操作部44は、ユーザの操作を受け付けるインタフェースであり、物理ボタン、ディスプレイ内蔵のタッチパネルデバイス、スピーカ及びマイクロフォン等を用いる。操作部44は、物理ボタン又はタッチパネルにて表示部43で表示している画面上で操作を受け付けてもよいし、マイクロフォンにて入力音声から操作内容を認識し、スピーカで出力する音声との対話形式で操作を受け付けてもよい。
【0055】
このように構成される物流システム100において、物品が遺失されてもその物品にタグTが付されていることによって、持ち主であるユーザの操作負担を低減しつつ回収が可能となる。以下、(1)タグTの入手フェーズ、(2)遺失から拾得までのフェーズ、(3)回収フェーズに分けて各フェーズでの処理を説明する。
【0056】
(1)タグTの入手
タグTの入手フェーズでは、タグTを取り付ける物品又はタグT自体をユーザが入手する。
【0057】
図5は、取引サーバ1における処理手順の一例を示すフローチャートである。取引サーバ1の制御部10はWebサーバの機能により、ユーザが使用する情報端末装置4からのアクセスを受け付けると以下の処理を開始する。
【0058】
取引サーバ1では、提供する通信販売サービスにおけるWebページにてログインを受け付ける(ステップS101)。ログインに使用する情報は、情報端末装置4を使用するユーザを特定できる情報であれば、ユーザID(Identifier)及びパスワード等の所謂ログイン情報に限らず、ユーザ名、その他の認証情報(生体情報、鍵情報)等であってもよく、形式は問わない。他のサービスへログインするための情報を使用し、他のサービスとの連動を可能としてもよく、オープンIDを用いてもよい。制御部10は、ログインに使用した情報に基づき、使用するユーザのアカウント情報(ユーザ名、ユーザ識別番号、連絡先(電話番号、住所等)、会員のカテゴリー、他の連携サービスにおけるアカウント情報等)を記憶装置13から抽出する(ステップS102)。
【0059】
制御部10は、提供する通信販売サービスにて物品(又は情報)の購入を受け付ける(ステップS103)。制御部10は、購入対象の物品がタグTの対象品であるか否かを判断する(ステップS104)。物品の分類に基づきタグTの対象品であるか否かが判断できるか、対象品である物品の商品番号を予め記憶しておき、対象品であるか否かを判断できるとよい。
【0060】
ステップS104で対象品でないと判断された場合(S104:NO)、制御部10は購入対象の物品がタグT自体であるか否かを判断する(ステップS105)。ステップS105にて対象品でもなく、タグT自体でもないと判断された場合(S105:NO)、制御部10は、購入手続きを進めて(ステップS106)、処理を終了する。
【0061】
ステップS104で対象品であると判断された場合(S104:YES)、又はステップS105でタグT自体であると判断された場合(S105:YES)、制御部10は、遺失時保証サービスの提供を受けるか否かの選択を受け付ける画面の情報を情報端末装置4へ送信する(ステップS107)。制御部10は、選択受付画面にて提供を受けると選択されたか否かを判断する(ステップS108)。ステップS107で送信される選択画面では、タグTに付与されているタグ識別情報と、通信販売サービスにおけるアカウント情報との紐付けについて同意するかの確認を取ることが望ましい。
【0062】
ステップS108で提供を受けると選択されたと判断された場合(S108:YES)、制御部10は、付属品としてのタグT又は購入対象の物品としてのタグTを特定し(ステップS109)、特定されたタグTのタグ識別情報を、ステップS102で特定したアカウント情報に対応付けて記憶装置13にて記憶する(ステップS110)。ステップS110の対応付け及び記憶は、ここまでの購入手続き中に限らない。購入手続き後に実際に、タグTが倉庫から搬出される時点、又はタグTが購入者宛てに出荷される時点で、タグTから実際のタグ識別情報を読み取り、購入者のアカウント情報に対応付けて記憶されてもよい。
【0063】
制御部10は、そのまま物品の購入手続きを続行し(S106)、処理を終了する。ステップS106で制御部10は、購入対象がタグT自体である場合、及び付属品として遺失時通知の付帯サービスの申し込みを受け付ける場合に、追加料金、手数料等の計算を行なって手続を続行する。制御部10は、ステップS102で特定したアカウント情報が特定の会員である場合、付属品としての追加料金、手数料等の追加計算を行なうことなく手続きを進める。
【0064】
図5のフローチャートは一例である。ステップS101及びS102の処理は、ステップS106の購入手続き直前に行なわれてもよい。
【0065】
図6は、通信販売サービスで提供される画面例を示す図である。
図6は、情報端末装置4の表示部43にて表示される物品の購入手続き画面431を示している。購入手続き画面431は、上述のステップS104で、対象品であると判断されて表示される選択受付画面432を含み、該画面432には遺失時通知サービスへ登録することを選択する選択コントロール433が含まれている。選択受付画面432は、別途タグTを併せて購入することを受け付けるコントロール434を含んでもよい。選択コントロール433又はコントロール434が選択されて購入手続きが進められた場合、タグTが購入された商品と共に届けられ、取引サーバ1で提供される通信販売サービスの付帯サービス(オプション)として、遺失時通知サービスの利用対象となる。タグTは、発行システム200から別途届けられてもよい。
【0066】
図7は、タグ識別情報とアカウント情報との対応付けについての確認画面の例を示す図である。
図7に示す画面は、
図6にて選択受付画面432における選択コントロール433又はコントロール434が選択されて購入手続きが進んだ場合に情報端末装置4の表示部43に表示される(「カートに入れる」が選択された場合)。ステップS110は、
図7に示すような画面にてアカウント情報との対応付けについて了承を受けることが望ましい。了承しないことが選択された場合、単に物品の購入手続きが進められる。
図7に示すように、アカウント情報に含まれるユーザが使用する情報端末装置4に対応するメールアドレスへの通知、アカウント情報に含まれる住所へのハガキによる通知、又はアカウント情報が対応付けられているアプリへの通知のいずれかが選択されるとよい。制御部10は、いずれへ通知すべきかをアカウント情報に対応付けて記憶装置13に記憶する。
【0067】
図8は、アカウント情報に対応付けられたタグ識別情報の一例を示す図である。
図8に示すように、上述のステップS110では、アカウント情報に対応付けてタグTのタグ識別情報が記憶される。
図8に示す例では、ユーザID(ログインID)に付与されているユーザを特定するユーザ識別番号「0010012345」をアカウント情報の一部とし、これに対応付けて、4つのタグTがパッケージで購入された(
図7、コントロール434にて購入)タグTのタグ識別情報「0020007891」~「0020007894」が記憶されている。ユーザ識別番号「0020034567」に対応付けて、物品(品目:長傘)の付属品として1つのタグTのタグ識別情報「021006543」が対応付けられている例が示されている。複数のタグTの内の1つは、ともに購入された物品の品名(品目)が対応付けて記憶されている。他のタグTのタグ識別情報には、品目が未登録であることが示されている。代表となるタグ識別情報「0020007891」を含むグループ化されたタグTについて、未登録の品目については、通信販売サービスのアカウント情報の付帯サービスとして、別途、所有物にタグTを付した後に登録してもよい。
図8に示すように各タグのタグ識別情報には、タグ状況を示す情報が対応付けられているとよい。タグ状況は、後述の遺失から拾得のフェーズにて説明する。
【0068】
図5のフローチャートに示したような購入手続きの処理によって、購入された物品と共に、又は別途、タグTがユーザ宛てに届けられる。ユーザは、入手したタグTを、購入した物品に自分の手で取り付ける。
図9はタグTの一例を示す模式図である。
図9に示すように、タグTはシール状であってもよく、この場合ユーザは購入した物品と共に送られたものを物品に貼付する。
図9に示すシール状のタグTには、キャラクターの画像が印刷されていて装飾品として使用されている。
【0069】
タグTを物品の流通に他サービスと併せて載せ、物品の購入手続でユーザのアカウント情報とタグTとの紐付けがされることで、ユーザにとっては別途タグTについての登録手続きを行なう必要がなく、利便性が高まる。
【0070】
(2)遺失から拾得まで
次に、タグTが付された物品が遺失した後のフェーズについて説明する。ユーザは、タグTを付した物品を遺失したと自覚した場合、所有する情報端末装置4にて取引サーバ1により提供される通信販売サービスにログインし、遺失した物品の登録(遺失届手続き)を行なう。遺失届手続きは必須ではない。遺失時通知サービスの利用が選択されている場合、例えばアカウント情報に対応付けられているタグTの一覧を含む画面を表示させることができる。
図10は、アカウント情報に対応付けられているタグTの一覧を含む画面436の一例を示す図である。
図10に示すように、情報端末装置4の表示部43に表示する場合には、ユーザが購入したタグT夫々のイメージ図が表示され、タグT夫々についてそのタグTを付した物品をユーザが識別できるようにしてあるとよい。
図10に示すタグ一覧を含む画面436には、遺失した物品の種類(品目)を登録できる遺失届ボタン437が含まれている。遺失届ボタン437には、警察への遺失届出書の提出サービスが連動されていてもよいし、別途タグTからタグ識別情報を読み出すことが可能なリーダを備えたゲート(ビーコン受信機等)を利用してタグTが付された物品の存在を通知するサービスが連動されていてもよい。連動サービスについては後述する。タグ一覧の画面436には、遺失していない場合であっても、タグTを付した物品の品目、種類を事後的に登録できるインタフェース(編集ボタン438)が含まれている。
【0071】
図10の画面例で、遺失届ボタン437により遺失したことが登録された場合、
図8に示したアカウント情報に対応付けられているタグTのタグ識別情報は、タグ状況を「所持」から「遺失」として更新される。回収支援サーバ2へ、遺失した物品に付されているはずのタグTのタグ識別情報に対応付けて遺失中であることが通知され、回収支援サーバ2にて遺失中のタグTのタグ識別情報が記憶部21に記憶される。タグ状況の「遺失」への更新は必須ではなく、後述のように物品が拾得されたことでタグ状況が「所持」から直接的に「拾得済み」等へ更新されてもよい。
【0072】
善意の第三者が遺失した物品を拾得した場合、第三者は物品を任意の施設のスタッフへ届ける。スタッフは、届けられた物品に対し、管理する回収端末装置3の読取部35で物品のタグTの読み取りを試みる。物品にタグTが付されている場合には、回収端末装置3から回収支援サーバ2へ通知がなされる。読み取りは以下のようになされる。拾得した第三者が、通信販売サービスの特定の会員である場合、拾得者として回収端末装置3にてアカウント情報を登録してもよい。
【0073】
図11は、回収端末装置3の表示部33に表示される画面例を示す図である。
図11は、回収端末装置3の動作の元となる回収端末プログラム3Pに基づき表示される画面の例を示しており、より具体的には、回収端末装置3がコンビニエンスストアのレジ端末である場合の例を示している。回収端末装置3として機能するレジ端末に表示されるレジ画面331には、
図11に示すように、宅配便の手続等と並んで遺失物を拾得した場合に、持ち主へ連絡するために使用される遺失物拾得ボタン332が含まれている。レジ画面311には、後述するようにユーザが遺失物を回収する時に使用される遺失物返却ボタン333も含まれている。
【0074】
図11に示す遺失物拾得ボタン332のように、回収端末装置3が備える表示部33又は操作部34には、拾得を通知するためのインタフェースが設けられる。拾得を通知するインタフェースを選択される操作がスタッフによって行なわれると、読取部35によりタグTの読み取り操作を行なうように促すメッセージが表示部33に表示される。表示部33には、拾得された物品の品目を選択するインタフェースが表示されるとよい。読み取り操作が行なわれることで、拾得を通知する状態で読取部35から読み取られたタグ識別情報の通知を受けると、回収端末装置3を起点に以下の処理が実行される。
図12は、物流システム100にて行なわれる拾得時の処理手順の一例を示すシーケンス図である。
【0075】
回収端末装置3の制御部30は、通信部32から回収支援サーバ2へ接続する(ステップS301)。回収支援サーバ2により接続が確立されると、記憶部31に予め記憶されている施設の識別情報と共に、読取部35により読み取られたタグTのタグ識別情報を、選択されている場合には物品の品目と共に通知する(ステップS302)。通知が完了した場合、通信が切断される(ステップS303)。ステップS303の切断後、回収端末装置3の表示部33には、通知を完了した旨のメッセージが表示されるとよい。
【0076】
回収支援サーバ2では、通信部22で通信接続した回収端末装置3から通知を受けると(ステップS201)、制御部20は、通知されたタグTのタグ識別情報及び施設の識別情報を一時的に記憶する(ステップS202)。物品の品目が通知された場合にはこれも記憶される。制御部20は、施設の識別情報に基づき、施設の特定情報(名称及び位置情報)を読み出しておく(ステップS203)。制御部20は、拾得されて未回収の物品に付されたタグTの情報として、通知されたタグTのタグ識別情報及び届けられた施設の識別情報(通知された場合は品目も含む)を記憶部21に記憶しておく(ステップS204)。
【0077】
制御部20は、タグTのタグ識別情報により、発行システム200に対し、タグTの提供先の情報で特定されるタグTの提供先が管理者である取引サーバ1を特定する情報を問い合わせる(ステップS205)。制御部20は問い合わせの結果得られた情報に基づき、タグTの提供先の取引サーバ1へ向けて、拾得したタグTのタグ識別情報と、拾得された施設の特定情報とを含む拾得通知(拾得を検知した検知通知)を送信する(ステップS206)。
【0078】
取引サーバ1では、通信部12により拾得通知を受信すると(ステップS121)、制御部10が、記憶装置13から、拾得通知に含まれるタグTのタグ識別情報が対応付けられているアカウント情報を抽出する(ステップS122)。制御部10は、抽出したアカウント情報に対応付けられているタグTのタグ識別情報の内、拾得通知に含まれているタグTのタグ識別情報に対応するタグ状況の情報を「拾得済み」等の情報で更新する(ステップS123)。制御部10は、抽出したアカウント情報に含まれる電子メールアドレス、住所、及び、情報端末装置4のアプリプログラム4Pの内、予め選択されていた通知先(
図7)へ、ユーザへの拾得通知を行ない(ステップS124)、処理を終了する。
【0079】
このように、届け出がされた施設で、スタッフは回収端末装置3にて拾得通知用のインタフェースを操作し、読取部35にて読み取り操作を行なう。拾得された物品の管理は施設毎の取り決めで保存されるとよい。受取ロッカーの場合、拾得された物品はロッカーの各室に、スタッフにより収容され、回収端末装置3により自動的に施錠し、後述の持ち主へ通知される暗証番号(パスワード、アカウント情報による認証でもよい)で開錠できるとよい。その他、拾得され届けられた施設が大型の商業施設であって倉庫があり、倉庫内に自動マテリアルハンドリング装置がある場合は、自動的に収容され、自動的に回収できてもよい。
【0080】
拾得した第三者が、通信販売サービスの特定の会員であって、拾得者として回収端末装置3にてアカウント情報を登録する場合、読取部35でのタグTのタグ識別情報の読み取り操作後に、拾得者のアカウント情報の読み取りがオプションとして実施するとよい。拾得者が携帯所持している情報端末装置4にて、アカウント情報をバーコード等へ画像化したものを表示部43に表示させ、これを回収端末装置3の読取部35にて読み取り、拾得された物品のタグTのタグ識別情報と対応付けて回収支援サーバ2へ送信されるとよい。
【0081】
(3)物品の回収
図13は、ユーザへの拾得通知の一例を示す図である。
図13では、情報端末装置4の表示部43に表示される拾得通知画面439を示す。拾得通知画面439には、タグTのイメージ、届けられた物品の品目、拾得場所を特定する情報が含まれている。拾得場所には、場所を示す地図を表示するためのボタン444も含まれている。拾得通知画面439には、拾得された物品に対するユーザの行動を選択するためのインタフェースが含まれている。インタフェースは、ユーザが取りに行く場合の手続きを開始するためのアイコン440、通信販売サービスによる発送と同様に自宅へ発送してもらうためのアイコン441、回収を諦めて通信販売サービスでの出品手続きを行なうためのアイコン442を含む。
図13に示すように拾得通知画面439には、廃棄手続きを行なうためのアイコン443が含まれるとよい。通知先として住所が選択されている場合は、取りに行く場合の暗証番号が発行されており、記載されているハガキによって通知される。ハガキの場合、届けてもらうためのアイコン441及び出品する場合のアイコン442に対応する手続きについて、電話での操作方法が記載されているとよい。
図13に示すように拾得された物品がスマートフォンであって、選択されている通知先が電子メールアドレス又はアプリプログラム4Pへの通知である場合、取引サーバ1の制御部10はこれを認識し、ハガキによって通知する等の対応を行なうことが好ましい。
【0082】
回収処理は、ユーザによって行動が選択されると、これを検知した取引サーバ1によって開始される。まず、取りに行くこと(回収)が選択された場合について説明する。
図14及び
図15は、物流システム100にて行なわれる回収処理の手順の一例を示すシーケンス図である。
【0083】
取引サーバ1は、回収が選択されたことを検知すると(ステップS131)、対象のタグTのタグ識別情報と共に、回収予定であることを回収支援サーバ2へ通知する(ステップS132)。取引サーバ1は、引き取り用のパスワードを発行して暗号化するなどして安全に回収支援サーバ2へ、タグTのタグ識別情報と対応付けて送信する(ステップS133)。
【0084】
回収支援サーバ2では、通信部22により回収予定の通知及びパスワードを取引サーバ1から受信すると(ステップS211)、制御部20が、ステップS204で記憶部21に記憶してある通知されたタグTのタグ識別情報及び届けられた施設の識別情報の情報を、回収予定の物品に付されたタグTの情報として更新しておく(ステップS212)。制御部20は、通知されたタグTのタグ識別情報に対応付けられている施設の識別情報に基づき、届けられて保管されている施設の回収端末装置3へ通信接続し(ステップS213)、回収予定の物品のタグTのタグ識別情報と対応付けて回収予定を通知する(ステップS214)。通知が完了すると、通信接続が切断される(ステップS215)。ステップS214では、回収期限を示す情報が対応付けて送信されてもよい。
【0085】
回収端末装置3では、回収予定の通知を受信すると(ステップS311)、通知に含まれる回収予定の物品のタグTのタグ識別情報を記憶部31に記憶して待機する(ステップS312)。
【0086】
遺失した物品の持ち主であるユーザが、遺失物が届けられた施設へ足を運ぶことで回収端末装置3にて回収処理が進行する。例えばユーザが施設のスタッフに声を掛けると、スタッフの操作、又は案内で回収端末装置3による処理が開始する。回収端末装置3の制御部30は、回収対象の物品に対応するタグTのタグ識別情報を、記憶部31に記憶してある回収予定の情報から抽出する(ステップS313)。ステップS313では、例えばスタッフがユーザから指定された物品を保管場所から持ち出し、ユーザの視認によって確認し、読取部35にて物品に付されているタグTの読み取りを行なうことで制御部30がタグTのタグ識別情報を特定する。回収端末装置3がレジ端末である場合、
図11のレジ画面331に含まれる遺失物返却ボタン333の選択により、読取部35による読み取りが行なわれ、ステップS313の処理が行なわれるとよい。
【0087】
制御部30は、表示部33に引き取り用のパスワードの入力画面を表示させ(ステップS314)、操作部34によりパスワードの入力を受け付ける(ステップS315)。ステップS315において制御部30は、アカウント情報(電話番号、ログイン情報等)の入力を更に受け付けてもよい。ユーザが情報端末装置4を持参している場合、情報端末装置4の表示部43に、アカウント情報、又はパスワードをバーコード等の画像化したものを表示させ、これを読取部35でアカウント情報、パスワードとして読み取ることで、受け付けてもよい。
【0088】
制御部30は、回収支援サーバ2へ通信接続し(ステップS316)、ステップS313で抽出したタグTのタグ識別情報と、ステップS315で受け付けたパスワードとに基づき、正当な持ち主であるか否かの認証依頼を回収支援サーバ2へ送信する(ステップS317)。ステップS317では、ステップS315でアカウント情報が入力されている場合には共に送信されるとよい。
【0089】
回収支援サーバ2は、認証依頼を受信すると(ステップS216)、ステップS211で受信してあるパスワードに基づき、認証処理を実行する(ステップS217)。認証処理は、回収支援サーバ2から取引サーバ1へ更に問い合わせを行ない、アカウント情報の照合等がなされてもよい。回収支援サーバ2は、認証処理の結果を回収端末装置3へ送信する(ステップS218)。本人確認用の顔写真が回収支援サーバ2にて予め登録されており、これに基づき認証処理がされてもよい。この場合、回収端末装置3へ顔写真が送信され、スタッフ確認用に顔写真が表示されることで、スタッフの視認により認証が行なわれる。
【0090】
回収端末装置3では、認証処理の結果を受信し(ステップS318)、成功している場合には、スタッフにより物品が手渡される。物品がロッカーで施錠されている場合には開錠がされ、倉庫に格納されている場合には受け取り場所まで搬送されてもよい。手渡し及び受け取りが完了すると、回収端末装置3から回収支援サーバ2へ回収完了が通知され(ステップS319)、通信が切断される(ステップS320)。
【0091】
回収支援サーバ2では、回収完了の通知を受けると(ステップS219)、対応するタグTのタグ識別情報の回収予定の物品のタグとしての記憶を削除し(ステップS220)、更に取引サーバ1へ回収完了を通知する(ステップS221)。
【0092】
取引サーバ1では、回収完了の通知を受けると(ステップS134)、アカウント情報に対応付けられているタグTのタグ識別情報のタグ状況の情報を「所持」へ戻すように更新し(ステップS135)、処理を終了する。
【0093】
届けてもらう(配達)が選択された場合について説明する。
図16は、物流システム100にて行なわれる回収処理の手順の他の一例を示すシーケンス図である。
【0094】
取引サーバ1は、配達が選択されたことを検知すると(ステップS141)、対象のタグTのタグ識別情報と共に、発送指示を回収支援サーバ2へ送信する(ステップS142)。取引サーバ1の制御部10は、対象のタグTに対応付けられているアカウント情報に基づき、住所又は指定された届け先である宛先情報を回収支援サーバ2へ送信する(ステップS143)。宛先情報は、配送伝票として画像化して送信してもよい。
【0095】
回収支援サーバ2では、発送指示及び宛先情報を受信すると(ステップS231)、制御部20が、ステップS204で記憶部21に記憶してある発送指示対象のタグTのタグ識別情報及び届けられた施設の識別情報の情報を、発送予定の物品に付されたタグTの情報として更新しておく(ステップS232)。制御部20は、発送指示対象のタグTのタグ識別情報に対応付けられている施設の識別情報に基づき、届けられて保管されている施設の回収端末装置3へ通信接続し(ステップS233)、配達されるべき物品のタグTのタグ識別情報と対応付けて発送指示を宛先情報と共に送信する(ステップS234)。
【0096】
回収端末装置3では、発送指示及び宛先情報を対象のタグTのタグ識別情報と共に受信すると(ステップS331)、制御部30が発送対象のタグTに関する情報を表示部33に表示し、発送処理が必要であることを施設のスタッフ又はマテハンシステムの搬送装置に確認させる(ステップS332)。発送を認識したスタッフ又はマテハンシステムの搬送装置は、受信した宛先情報に基づき発送手続きを行なうと、発送完了を操作部34にて入力する。制御部30は、発送完了入力の操作を受け付けると、発送完了を回収支援サーバ2へ通知する(ステップS333)。
【0097】
回収支援サーバ2では、発送完了通知を受けると(ステップS235)、通信接続を切断し(ステップS236)、制御部20はステップS232で記憶部21に更新記憶してあるタグTのタグ識別情報及び届けられた施設の識別情報の情報を削除する(ステップS237)。制御部20は、発送完了を取引サーバ1へ通知する(ステップS238)。
【0098】
取引サーバ1では、発送完了の通知を受けると(ステップS144)、アカウント情報に対応付けられているタグTのタグ識別情報のタグ状況の情報を「所持」又は「配送により回収中」などと戻すように更新し(ステップS145)、処理を終了する。
【0099】
出品することが選択された場合については、
図16を参照して示した手順と同様にして回収される。ただし物品の回収先が通信販売サービスの倉庫であるとする。通信販売サービスにおける配送業者が届けられた施設へ向かい、他の配送物と共に回収してもよい。回収後の取引は通信販売サービスにおける出品用の手続きと同様であり、売り上げは、元の持ち主であるユーザへ還元される。廃棄することが選択された場合も、回収先を通信販売サービスの倉庫、又は特定の指定住所としてもよいし、拾得されて届けられた場所で他の廃棄物と共に廃棄されてもよい。
【0100】
回収、配送、出品及び廃棄のいずれが選択された場合にも、拾得した第3者が通信販売サービスの特定の会員であって、拾得者として回収端末装置3にて登録されている場合、取引サーバ1により、ユーザに対し、拾得者へのお礼の支払いを行なうか否かを任意に選択させる画面を提示するとよい。お礼は通信販売サービスのポイント等で付与されるとよい。
【0101】
このようにして、既存の通信販売サービスにおけるアカウント情報と、タグTのタグ識別情報との対応付けを購入時に行なうことで、ユーザの負担を最小限にして遺失物の回収を支援することが可能となる。通信販売サービスと、無停電電源装置5を備えて稼働し続けているコンビニエンスストア、ATM等が設置された施設とを含む物流システム100に、物品の回収支援を実現する回収支援サーバ2及び回収端末装置3を組み込むことによって、遺失物通知サービスの利便性を高めて普及を図ることが可能になる。
【0102】
本実施形態では、物品が遺失した場合に、善意の第三者によってコンビニエンスストア、公共交通機関の駅等の施設に物品が届けられる前提で、回収した施設のスタッフが回収端末装置3から拾得されたことを通知した。善意で拾得されることに限定されず、遺失した物品が不正に使用されようとした場合に、回収端末装置3にてこれを検知し、通知することで、遺失した物品が見つかったことが、回収支援サーバ2を介してユーザに通知されてもよい。具体的には、使用される物品にタグTが付されている場合、回収端末装置3でタグ識別情報を読み取り、遺失届が出されているタグTのタグ識別情報と照合し、遺失届が出されているタグTである場合に、使用を中止させて通知する。これは、対象の物品がクレジットカード、プリペイドカード等である場合に不正使用を検知でき、有用である。遺失した物品が拾得された場合、又は不正使用された場合の通知先は、ユーザのみならず、カード事業者であってもよいし、回収支援サーバ2の運営者であってもよい。
【0103】
(変形例1)
タグTは、上述の実施形態のように通信販売サービスにて購入された物品として付属するか、それ自体が購入される態様には限らない。例えば購入者が物品を購入した際に、レジ端末でタグTが発行されてもよい。この場合、タグTのタグ識別情報と対応付けられるユーザ固有の情報は、通信販売サービスのアカウント情報ではなく、所謂電子マネーと呼ばれる決済サービスで使用されるユーザ情報である。
【0104】
コンビニエンスストアで傘のような携帯される雑貨をユーザが購入する際に、決済時にタグTの発行を選択し、その場でタグTを使用できるようにしてもよい。この場合、回収端末装置3の表示部33に、遺失時通知サービスを利用するか否かの確認画面を表示させる。ユーザが利用することを選択した場合、回収端末装置3は、上述のように電子マネーでの決済を行なう。コンビニエンスストアのスタッフは、読取部35により付属品として提供するタグTのタグ識別情報を読み取り、決済を行なう。タグTは、レシートの一部として発行される態様としてもよい。回収端末装置3から決済サービスを提供する取引サーバ1へ、決済情報と共にタグTのタグ識別情報とが対応付けて送信され、取引サーバ1にてユーザ情報にタグTのタグ識別情報を対応付けて記憶する処理が実行される。スタッフは、タグTを商品(傘)と共に購入者であるユーザへ手渡す。ユーザは、タグTを購入した商品に取り付けて使用する。以後の処理は、上述した実施形態と同様である。
【0105】
同様に、駅の構内又は周辺の店舗でユーザが土産品を購入する際に、電子マネーでの決済時にシール状のタグTの発行を選択し、その場で土産品のパッケージに貼付されてもよい。ユーザが土産品を電車内に置き忘れた場合でも、鉄道会社職員、スタッフが回収端末装置3を用いてタグTを読み取ることで、何れの駅で拾得されたかなどをユーザが把握し、場合によっては配送手続を行なうことも可能である。
【0106】
アカウント情報(ユーザ特定情報)とタグ識別情報との対応付け及び記憶は、個人情報の取扱いの面で、取引サーバ1で行なうこととした。代替的に、タグ識別情報の情報をやり取りできる回収支援サーバ2が、タグTの発行を受けたユーザのアカウント情報を各取引サーバ1から収集し、収集したアカウント情報を、そのユーザに対して発行されたタグTのタグ識別情報と対応付けて記憶する構成としてもよい。
【0107】
上述したような回収支援は、遺失物に限らず、物流システム100におけるユーザ宛ての荷物そのものに適用してもよい。例えば、取引サーバ1により提供される通信販売サービスにて購入された物品の届け先を、ユーザが指定したコンビニエンスストアとした場合の回収に適用できる。物品がそのコンビニエンスストアに到着したときに、スタッフがこれに対応する操作を回収端末装置3にて行なうことで、回収支援サーバ2を経由してユーザに通知できる。これによりコンビニエンスストアからの荷物の回収が促進される。届けられた荷物と、遺失物とが指定されたコンビニエンスストアへまとめられてもよい。
【0108】
(変形例2)
タグTのタグ識別情報とアカウント情報との対応付け及び記憶は、更に他のサービスとの連動を可能とする。他のサービスは、タグTからタグ識別情報を読み出すことが可能なリーダ(トリガーコイル等)又は、ビーコン受信機等を利用し、タグTが付された物品又はタグTが内蔵された物品の存在の検知及びタグTの識別に基づき行なわれる。例えば、タグTを検知した場合にタグ識別情報に対応するアカウント情報へ検知通知を行なうシステムを実現できる。これは、遺失届により遺失した又は盗難されたことが登録された場合のみ、検知したゲート又はビーコン受信機の場所と共にアカウント情報へ検知を通知する追跡サービスである。ゲート又はビーコン受信機に連動するカメラを設置しておき、遺失又は盗難が登録されているタグTが検知された場合に、撮影を行なって写真又は動画と共にアカウント情報へ通知してもよい。リーダは、屋外カメラやCCTVカメラのUPSに搭載されてもよい。追加的なソフトウェアモジュールは、UPSの提供者により提供されるとよい。遺失又は盗難が登録された対象の物品がクレジットカード、キャッシュカード、電子マネーであった場合にはこれらの決済を停止するようにカード会社、金融機関、電子マネーの管理会社へ通知が行なわれてもよい。
【0109】
リーダが料金所のゲートに設置されており、このゲートにてタグTの存在の検知及びタグTの識別がされた場合に、タグTの識別情報に対応付けられているアカウント情報により決済がされ、ゲートの開閉が制御されるサービスと連動してもよい。ゲートは、UPSを搭載しているか、又はUPSに接続されているとよい。追加的なソフトウェアモジュールは、UPSの提供者により提供されるとよい。こうしたゲートは、駐車場、駐輪場、有料道路等に適用が可能である。遺失又は盗難が登録された場合には、ゲートで検知されても決済が使用できずにゲートが開かず、更には警察に通知がされるとよい。このような防犯システムへの適用も可能である。
【0110】
開示された実施形態は例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、請求の範囲によって示され、請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0111】
1 取引サーバ
10 制御部
11 記憶部
12 通信部
13 記憶装置
2 回収支援サーバ
20 制御部
21 記憶部
22 通信部
201 記憶装置
3 回収端末装置
30 制御部
31 記憶部
33 表示部
34 操作部
4 情報端末装置
40 制御部
41 記憶部
43 表示部
44 操作部
T タグ