(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】クリーナ
(51)【国際特許分類】
A47L 9/00 20060101AFI20221109BHJP
A47L 5/24 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A47L9/00 B
A47L5/24 A
A47L9/00 103
(21)【出願番号】P 2020559140
(86)(22)【出願日】2019-11-29
(86)【国際出願番号】 JP2019046790
(87)【国際公開番号】W WO2020121847
(87)【国際公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-06-10
(31)【優先権主張番号】P 2018233749
(32)【優先日】2018-12-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019048175
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】田上 寛之
(72)【発明者】
【氏名】一橋 直人
【審査官】大内 康裕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/052267(WO,A1)
【文献】特開昭63-262118(JP,A)
【文献】実開昭64-023950(JP,U)
【文献】特開2012-120634(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0196419(US,A1)
【文献】特開2017-205674(JP,A)
【文献】特開2004-202185(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47L 5/24~51/02
A47L 7/00~ 7/08
A47L 9/00~ 9/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状のハウジングと、
前記ハウジング内において長手方向に出力軸が向くように保持されるモータと、
前記出力軸に固定され、吸引力を発生させるためのファンと、
前記ハウジングに対して着脱自在に固定され、前記モータに電力を供給するバッテリパックと、
前記ハウジング内に設けられる吸音材と、を有し、
前記ハウジングは、
前記ファンが回転することで生じる空気流が前記ハウジング内に進入する吸気口と、
前記空気流が前記ハウジング外に排出される排気口と、
作業者によって把持されるハンドル部と、
前記出力軸の軸方向において前記モータよりも後側に位置し、前記バッテリパックが着脱可能に取付けられるバッテリ装着部と、
を有し、
前記吸気口は、
前記軸方向において前記モータよりも前側に位置し、
前記バッテリパックは、前記軸方向において前記モータよりも後側に位置し、
前記ハンドル部は、前記軸方向において前記モータよりも後側かつ前記軸方向と交差する上下方向において前記バッテリパックよりも上側に位置し、
前記排気口は、前記上下方向において前記ハンドル部と前記バッテリパックとの間に位置し、
かつ、前記軸方向における位置が前記バッテリ装着部と重なるように配置され、
前記吸音材は、前記ファンから前記排気口に至る通路の途中に配置されることを特徴とするクリーナ。
【請求項2】
前記ハウジングの前記ファンよりも前方
に吸込口を有するダストケースが設けられ、前記ハウジングの後方に前記バッテリパックが接続される接続部が設けられ、
前記空気流は、前記吸込口から前記吸気口を介して前記ハウジング内に進入し、
前記排気口は、前記バッテリパックの軸方向中心位置より後方側
かつ前記バッテリパックよりも上方に設けられることを特徴とする請求項1に記載のクリーナ。
【請求項3】
前記ハウジングにおける前記モータの後方側は、側面視で略D字状に形成され、
D字状の空洞を隔てた一方側は、作業者により把持される前記ハンドル部となり、
他方側は、前記バッテリパック用の前記接続部となり、
前記ハンドル部と前記接続部の後端は接続されることによって前記ハンドル部と前記接続部の内部空間が連続するように形成されることを特徴とする請求項2に記載のクリーナ。
【請求項4】
前記接続部の内部空間は、
前記ファンと前記排気口
との間に位置する前記空気流の第1の流路となり、
前記ハンドル部の内部空間は、
前記ファンと前記排気口
との間に位置する前記空気流の第2の流路となることを特徴とする請求項3に記載のクリーナ。
【請求項5】
前記ハンドル部は、
前記軸方向に沿って延びる把持部と、
前記軸方向に交差して延び、前記把持部と前記接続部とを接続する屈曲部と、を有し、
前記屈曲部は、前記軸方向における位置が前記排気口と重なるように配置されることを特徴とする請求項3または4に記載のクリーナ。
【請求項6】
前記把持部には、前記作業者によって操作されることで前記モータの駆動を切替える操作部を有し、
前記操作部は、前記軸方向に沿って延びる操作パネルを有することを特徴とする請求項5に記載のクリーナ。
【請求項7】
前記接続部には、前記バッテリパックと電気的に接続する端子部が設けられ、
前記端子部は、前記軸方向における位置が前記ファンと前記排気口との間に位置することを特徴とする請求項2から6のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項8】
前記モータの駆動を制御する制御回路基板を有し、
前記制御回路基板は、面の延びる方向が前記軸方向に沿うように前記ハンドル部内に配置されることを特徴とする請求項1から6のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項9】
前記ハウジングと前記モータとの間に介在して前記モータの後端側を支持する弾性体を有し、
前記弾性体の径方向における大きさが前記モータの直径よりも小さいことを特徴とする請求項1から7のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項10】
前記ハウジングの前記排気口よりも前方に
、前記空気流の一部を前記ハウジング外に排出する
補助排気口を設けることを特徴とする請求項1から9のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項11】
前記バッテリパックの
前記軸方向中心位置における前記ハウジングの断面領域を前記軸方向であって前記軸方向前側に投影した投影範囲外に、
前記吸音材を配置したことを特徴とする請求項1から10のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項12】
前記吸音材の径方向の厚さは、前記吸音材が前記投影範囲よりも外側に収まるような厚さに設定されることを特徴とする請求項11に記載のクリーナ。
【請求項13】
前記バッテリパックよりも前記軸方向前側における前記ハウジングの内側に前記吸音材を配置したことを特徴とする請求項11または12に記載のクリーナ。
【請求項14】
前記
バッテリ装着部には、前記バッテリパックを装着するため
のレール機構と、前記レール機構の軸方向前側であって前記バッテリパックの前側側壁の半分以上を覆うように突出する中空のガード部が形成され、
前記吸音材は前記ガード部の内側に配置されることを特徴とする請求項11から13のいずれか一項に記載のクリーナ。
【請求項15】
前記吸音材は、前記軸方向における位置が前記モータと部分的に重なる位置から前記ガード部に至るまで、前記ハウジングの下側部分に設けられることを特徴とする請求項14に記載のクリーナ。
【請求項16】
筒状のハウジングと、
前記ハウジング内において長手方向に出力軸が向くように保持されるモータと、
前記出力軸に固定され、吸引力を発生させるためのファンと、
前記ハウジングに対して着脱自在に固定され、前記モータに電力を供給するバッテリパックと、を有し、
前記ハウジングは、
前記ファンが回転することで生じる空気流が前記ハウジング内に進入する吸気口と、
前記空気流が前記ハウジング外に排出される排気口と、
作業者によって把持されるハンドル部と、
前記出力軸の軸方向において前記モータよりも後側に位置し、前記バッテリパックが
着脱可能に取付けられるバッテリ装着部を有する接続部と、
を有し、
前記吸気口は、前
記軸方向において前記モータよりも前側に位置し、
前記バッテリパックは、前記軸方向において前記モータよりも後側に位置し、
前記ハンドル部は、前記軸方向において前記モータよりも後側かつ前記軸方向と交差する上下方向において前記バッテリパックよりも上側に位置し、
前記排気口は、前記上下方向において前記ハンドル部と前記バッテリパックとの間に位置
し、かつ、前記軸方向における位置が前記バッテリ装着部と重なるように前記接続部に設けられ、
前記バッテリパックの軸方向中心位置において、前記接続部の断面積は、前記ハンドル部の断面積よりも大きいことを特徴とするクリーナ。
【請求項17】
前記ハウジングの前記排気口よりも前方に、前記空気流の一部を前記ハウジング外に排出する補助排気口を設けることを特徴とする請求項16に記載のクリーナ。
【請求項18】
前記ハンドル部は、前記軸方向に沿って延びる把持部を有し、
前記排気口及び前記補助排気口のそれぞれは、前記ハウジングの両側面に設けられる、請求項10または17に記載のクリーナ。
【請求項19】
前記排気口及び前記補助排気口のそれぞれは、複数のスリットによって形成される、請求項10、17、18のいずれか一項に記載のクリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリを用いた携帯型のクリーナに関し、特に排気経路と排気口の配置を改良したものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯用掃除機は、ハウジング内部にモータと、モータにより回転する集塵ファンを内蔵し、ハウジングの前方には集塵ファンの回転により吸引した粉塵等を溜めるダストケースが配置される。ダストケースには粉塵等を吸引するための吸込口が設けられ、内部には吸引された塵埃混じりの空気から塵埃だけと捕捉するためのフィルタ装置が設けられる。モータを収容するハウジングの一部には、作業者が片手で把持するためのハンドル部が形成され、ハンドル部にはモータを起動、停止するためのスイッチが配置される。ハウジングにはさらに、バッテリパックを装着する為のバッテリ装着部が形成される。このような携帯型のクリーナとして、例えば特許文献1の技術が知られている。
【0003】
上記のクリーナにおいて、スイッチを入れてモータを起動すると、集塵ファンが回転して吸込口に吸引力が発生される。作業者が集塵作業を開始すると、吸込口から吸引された粉塵混じりの空気は、フィルタ装置の濾材によって塵埃だけが分離されてダストケース内に滞留する。フィルタ装置を通過した空気は、ダストケースから集塵ファンが収容されるモータハウジング内に吸引され、モータの周囲を流れてモータハウジングに形成された排気口から外部に排出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
クリーナにおいては、動作音の低減、特にファンから発する音の低減が望まれている。特許文献1のクリーナでは、モータハウジングの太径部の中央付近にモータを配置し、集塵ファンを通過した排気風をハウジングの外部へ排出させる排気口が、ハンドルよりも前側のモータ近傍に配置されていた。ファンの回転に起因する音が外部に伝わりにくくする方法としては、排気口を小さくすることが考えられる。しかしながら、排気口を小さくすると排気の流量が低下してクリーナとしての集塵能力が低下してしまう。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は排気流の流量を十分確保して集塵能力を維持しながら、排気流による騒音を低減できるクリーナを提供することにある。本発明の他の目的は、着脱式のバッテリパックを用いるクリーナにおいて、バッテリ装着部よりも後方側に排気口を形成するクリーナを提供することにある。本発明のほかの目的は、バッテリ装着部とハンドル部の双方の内部空間を排気口に至る風路として利用するクリーナを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。本発明の一つの特徴によれば、筒状のハウジングと、ハウジング内において長手方向に出力軸が向くように保持されるモータと、出力軸に固定され、吸引力を発生させるためのファンと、ハウジングに対して着脱自在に固定され、モータに電力を供給するバッテリパックを有し、ハウジングには、ファンが回転することで生じる空気流がハウジング内に進入する吸気口と、空気流がハウジング外に排出される排気口と、作業者によって把持されるハンドル部が形成される。ここで吸気口は、出力軸の軸方向においてモータよりも前側に位置し、バッテリパックは軸方向においてモータよりも後側に位置し、ハンドル部は軸方向においてモータよりも後側に位置し、排気口はハンドル部とバッテリパックとの間に配置した。ハウジングのファンよりも前方には粉塵を吸引する吸込口を有するダストケースが設けられ、ハウジングの後方にバッテリパックが接続される接続部が設けられる。そして排気口は、バッテリパックの軸方向中心位置より後方側に設けられる。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、ハウジングのモータの後方には、側面視で略D字状であって、D字状の空洞を隔てた一方側(例えば上側)は作業者により把持されるハンドル部となり、他方側(例えば下側)はバッテリパック用の接続部が形成され、ハンドル部と接続部の後端は接続される。また、ハウジングのモータの後方側空間は、ダストケースからハウジング内に吸引された空気をファンによって排気口に導くための空気流の第1の流路となり、ハンドル部内はファンによって排気口に導くための空気流の第2の流路となる。さらに、ハンドル部は、軸方向に沿って延びる把持部と、軸方向に交差して延び、把持部と接続部とを接続する屈曲部を有し、屈曲部は、軸方向における位置が排気口と重なるように配置される。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によれば、把持部には、作業者によって操作されることでモータの駆動を切替える操作部を有し、操作部には軸方向に沿って延びる操作パネルを有する。また、接続部にはバッテリパックと電気的に接続する端子部が設けられ、端子部は軸方向における位置がファンと排気口との間に位置する。さらに、モータの駆動を制御する制御回路基板が設けられ、面方向が軸線A1方向に沿うように制御回路基板がハンドル部内に配置される。尚、ハウジングとモータとの間に介在することによりモータの後端側を支持する弾性体を用いると良い。その場合、弾性体の径方向における大きさがモータの直径よりも小さくなると好ましい。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、ハウジングの排気口よりも前方に補助排気口を設け、ファンから排出された空気流の一部を補助排気口を介してハウジング外に排出する。補助排気口は、軸方向における位置がモータと重なる位置に形成すると良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、ハンドル部を有する携帯型のクリーナにおいて、排気流の流量を確保し、十分な集塵能力を維持しながら、排気流による騒音を低減させることができる。また、ハンドル部内も排気のための通路として活用したので、バッテリパックを装着する接続部の径を太くしなくても風路の十分な容積を確保することが可能となる。さらに、ハンドル部と接続部との風路の合流点付近に排気口が存在するので、排気効率を向上させることができる。また、バッテリパックと接続する端子部をファンと排気口の間に配置したので、発熱しやすい端子部の周辺に排気流を流して端子部の温度上昇を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例に係るクリーナ1の右側面図である。
【
図2】本発明の実施例に係るクリーナ1の縦断面図である。
【
図3】
図2のハウジング2の各部を説明するための図である。
【
図6】
図2のモータホルダ50単体の図であり、(A)は斜視図であり、(B)は側面図である。
【
図7】モータホルダ50のハウジング2への取付状態を示すための断面斜視図である。
【
図9】本発明の第2の実施例に係るクリーナ1Aの右側面図である。
【
図10】本発明の第2の実施例に係るクリーナ1Aの縦断面図である。
【
図11】本発明の第3の実施例に係るクリーナ1Bの右側面図である。
【
図12】
本発明の第3の実施例に係るクリーナ1Bの正面図である。
【
図13】本発明の第3の実施例に係るクリーナ1Bの縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0013】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後左右、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
【0014】
図1は本発明の実施例に係る携帯用のクリーナ1の右側面図である。クリーナ1は、作業者が片手で把持しながら集塵作業を行うことができる装置であって、メインのハウジング2とダストケース90によってその外観が画定される。ハウジング2は、その内部に後述するモータやファンを収容すると共に、作業者が片手で把持するハンドル部4が形成される。また、ハンドル部4の下方にはバッテリパック100が装着される。ハウジング2の前方側には、筒状のダストケース90が装着される。ダストケース90はハウジング2に対して着脱可能に構成され、前方側に吸込口たるノズル92が形成され、その内部に図示しないフィルタ装置が設けられる。ここでは図示していないが、ノズル92にはパイプと、パイプの先端に床用ノズル等を接続することが可能である。
【0015】
ハウジング2は合成樹脂の成形品であり、鉛直方向に分割面を有する2分割形式で構成される。ハウジング2の左右部品は、複数のネジ穴付きのネジボス12a~12eや、雌ネジ付きのネジボス13a~13e(
図2で後述)を有して、図示しないネジ等の固定要素によって固定される。ダストケース90は合成樹脂の一体成形によって製造され、鉛直方向に分割面を持たない。ダストケース90は、ハウジング2に対して位置合わせをして軸線B1方向後方に押しつけた後に、軸線B1を中心に約120度回すことによって装着できる。ダストケース90の取り外し時には取り付け作とは逆の操作をすれば良い。尚、ダストケース90のハウジング2への固定構造は、本発明では任意であり、公知の他の固定方法を用いても良い。軸線B1はダストケース90の着脱時の回転中心であるが、本実施例では、ダストケース90の着脱時の回転中心たる軸線B1と、モータの駆動軸の軸線A1が同軸となるような位置関係とされる。
【0016】
ハウジング2の後方側には、作業者の人差し指から小指までの4本の指を挿入させるための貫通部7が形成され、側面視で90度回転させた略D字状の形状となる。D字状の空洞(貫通部7)を隔てた一方側は作業者により把持されるハンドル部4となり他方側が接続部5となる。ハンドル部4は軸線A1方向に沿って延びる把持部と、軸線A1に交差するようにして延び、把持部と接続部5の後端とを接続する屈曲部を有し、屈曲部は、軸線A1方向にみた位置が、排気口30と重なるように配置される。ハンドル部4の上面にはモータのオン又はオフを切り替えるスイッチを配置した操作パネル部20が設けられる。
【0017】
ハウジング2の側面には、ノズル92を介して吸い込まれた粉塵混じりの空気のうち、フィルタ装置(後述)によって濾過された空気を排出するための排気口30が設けられる。排気口30は長手方向が軸線B1(又は
図2で後述する軸線A1)に対して斜めに配置される複数のスリットである。排気口30は、内部に異物の挿入を防ぐために細い幅のスリットが平行方向に延びるように、合計9本形成される。しかしながら、排気口30は、異物挿入を防止するために開口の大きさを制限し、排気流を乱さない形状ならば、その形状をどのようにするかは任意である。
【0018】
ハウジング2の接続部5の下面にはバッテリ装着部6が設けられ、バッテリパック100が着脱可能に取付けられる。バッテリパック100は、ケースの内部に複数の電池セルを収容したもので、電力をモータ40へ供給する。バッテリパック100は、ハウジング2の軸線A1方向前方にスライドさせることで装着可能であり、ラッチボタン101を押して軸線A1方向後方にスライドさせることで取り外し可能である。
【0019】
図2は本発明の実施例に係るクリーナ1の縦断面図である。ハウジング2内にモータ40が収容され、モータ40の出力軸(図示省略)は、軸線A1に沿った方向となるように配置される。ここでは軸線A1はダストケース90の取付のための回転軸線B1と同軸にしている。モータ40の出力軸(図示省略)は、前方側(バッテリ装着部6とは反対側)に向いてモータ40から突出し、その先端にはファン65が設けられる。ハウジング2の貫通部7よりも下側には接続部5が形成され、接続部5の下方にバッテリパック100が装着される。接続部5はモータ収容部3から連続した内部空間を形成するような中空状であって、後端近傍には排気口30が形成される。また、接続部5の後端付近は、ハンドル部4の後端部4bの下側付近と連結される。接続部5の下方にはバッテリ装着部6が形成され、バッテリパック100が装着される。
【0020】
モータ40は、金属製のモータケース内にロータを収容した直流モータであり、いわゆる「ケーシングモータ」と称するものである。ここではモータ40の内部構造の図示を省略しているが、モータ40の全体がほぼ円筒形をなした磁性材、例えば2~3ミリ厚の鉄材で覆われ、そのケースがステータの一部を兼ねる。ケースの内周側壁面には、図示しない円弧状の永久磁石が固定され、ケースの外周面には、厚板を円弧状に曲げて形成された磁性金属製のステータヨーク(
図7で後述)が設けられる。モータ40の内部には、出力軸(図示せず)に固定されるロータが内蔵される。
【0021】
モータ40の前端付近の外周部は、円筒形の保持面(
図6で後述する内筒部51)を有するモータホルダ50によって保持される。モータホルダ50は、上側、下側においてハウジング2に接続するための突出部54が設けられる。突出部54はゴムブッシュ70を介してハウジング2側に形成された被挿入穴19aによって保持される。被挿入穴19aは、ハウジング2の上側及び下側の2箇所に形成され、平行に隣接するように形成された3つのリブ17a~17cによって形成される。尚、
図2の断面図では見えないが、モータホルダ50の右側及び左側に水平方向に延びる部分が形成され、左右両端にも同様の突出部54が形成され(
図5、
図6で後述)、左右の突出部54はゴムブッシュ70を介してハウジング2側に形成された被挿入穴19b(詳細は
図5で後述)によって保持される。本実施例の駆動部は、出力軸を有するモータ40と、モータ40を支持するとともに、第1の弾性部材によってハウジング2に支持されるモータホルダ50により構成される
【0022】
モータ40の後端付近は、ケースの後端面から円筒状に突出した形状の後側軸受保持部46がハウジング2内に形成されたモータ後端保持部15にて保持される。この際、後側軸受保持部46には第2の弾性体たるゴムキャップ80が装着されるので、ゴムキャップ80を介してモータ40がモータ後端保持部15に弾性支持される。モータ後端保持部15は、ハウジング2の右側部分と左側部分の両方に亘って形成され、モータ40の後側軸受保持部46を挟み込むような位置関係となる。ゴムキャップ80は、合成ゴムの一体成形で製造され、その内径は、後側軸受保持部46の外周面に装着可能な大きさに構成される。
【0023】
ファン65はモータ40の出力軸(図示せず)に固定され、モータ40の回転に同期して軸線A1を中心に回転する。ファン65は遠心ファンであり、軸線A1に沿って前方側から風を吸引して、ファン65の径方向外側に排出する。ノズル92からダストケース90内に吸い込まれた空気は、矢印C1に示すように、フィルタ装置95の外側から内側に通過することによりゴミ、塵埃等の異物が捕捉される。フィルタ装置95の内側に到達した空気は吸気口10からハウジング2の内部空間に流入して、ファン65の収容空間たるファン室11aに到達し、ファン65に吸い込まれる。ファン室11aでは、ファン65によって空気が軸線A1近傍から径方向外側に吐出され、モータホルダ50の外筒部55(符号は
図6参照)よりも外周側を通過して後方側に流れて、モータ収容室11bに到達する。
図2では、冷却風の流れとして、モータ40の下側を主に流れる空気流C1、モータ40の上側を主に流れる空気流C2を矢印にて示しているが、流れが明確に分離されているわけでは無く、矢印で示す流れは一例を示したものである。
【0024】
従来のクリーナでは、冷却風の流れは、モータ収容室11b内の左右両側に配置された排気口(後述する
図10の補助排気口31に相当するような大きな排気口)から外部に排出されていた。また、ハンドル部4の内部空間11dには、機械式のトリガスイッチ機構が配置されていたので、実質的に風路として利用できない状態であった。さらに、接続部5の内部空間たる接続室11c付近には、バッテリパック100の接続端子112と嵌合させるための本体側端子9が配置され、さらには図示しない配線や、モータ40用の制御回路基板が配置されていたので、風路として利用するには不適な状態であった。しかしながら本実施例では、排気口30を後方側に配置して、接続室11cの風路(第1の流路)だけでなくハンドル部4の内部空間11dも風路(第2の流路)として利用することにした。
【0025】
クリーナ1は、操作パネル部20の“強モード”ボタン21又は“弱モード”ボタン22が押されると、バッテリパック100の電力がモータ40に供給され、モータ40が回転する。モータ40の回転中に“切”ボタン23が押されると、バッテリパック100の電力はモータ40に供給されなくなりモータ40が停止する。これら3つのボタン21~23に隣接して、お知らせランプ24が設けられる。お知らせランプ24は、モータ40が回転中に点灯し、“切”スイッチが押されてモータ40が停止すると消灯する。
【0026】
モータ40が回転すると、ファン65が回転するので、ダストケース90の内部の空気が吸い出されることにより負圧となって、吸気路92aに吸引力が発生する。このため、ハウジング2の外部の空気及び異物は、吸い込みノズル92からダストケース90の内部に吸い込まれる。本実施例ではファン65が回転することによって、空気流C1、C2が流れる。本実施例の風路の配置には以下の特徴を有する。(1)主たる空気流C1をハウジング2の後端近傍に設けた排気口30を介して外部に排出するようにした。そのため従来は空気流C1の風路となる接続室11c内に収容されていた制御回路基板25を操作パネル部20の直下に移動した。また、接続室11c内の端子ホルダ8の大きさを小さくして、接続室11c内の空気の流れをスムーズにした。(2)モータ収容室11bから排気口30に至る風路として、ハンドル部4の内側の空間(ハンドル部空間11d)を用いてC2のように流すようにした。ハンドル部空間11dを風路として有効活用するために、モータ40のオン又はオフスイッチとして、トリガ式のレバーを有する機械式スイッチを採用せずに、ソフトタッチ式のスイッチ(21~23)とすることにより操作パネル部20の厚さを薄くした。さらには操作パネル部20に制御回路基板25を収容するようにして、操作パネル部20の大きさをコンパクトに構成した。
図2で理解できるように操作パネル部20の下側は風路として十分の空間を確保できた。(3)空気流C1とC2は、ハンドル部4の後端で合流することになるが、合流点付近に排気口30が配置されるので効率良く排気される。(4)ハンドル部4内に空気流C2が流れるので、操作パネル部20や制御回路基板25の冷却効果が高くなる。
【0027】
以上の様に、本実施例では空気流C1のように、モータ40の後方から排気口30を結ぶ最短の通路(接続部5の内側)を通る流れだけで無く、ハンドル部4の内部空間も吸引された空気流C2の風路として利用したので、接続部5の下側にバッテリパック100を装着する形式のクリーナ1でも、冷却風の風路を十分確保できるので、接続部5の大きさを拡大する必要がなくなる。また、排気の出口がハウジング2のほぼ後方端になるので、ファン65の回転に起因する騒音を大幅に低減させることが可能となった。
【0028】
ハウジング2の前方側の開口部2aの内側には、ダストケース90を取りつける取付機構を構成する円筒部16が形成される。円筒部16は、ハウジング2側に形成されたもので、軸方向及び周方向に延びる径方向外側視でL字状となる溝部16aが形成される。一方、ダストケース90の開口部91の内側には凸部93が形成され、溝部16aの内部を凸部93が軸方向に移動された後に周方向に約120度回転されて嵌合位置にて保持される。また、ダストケース90をハウジング2に対して、軸線B1を中心として回転させて、凸部93を溝部16aから抜き出すことができる。凸部93を溝部16aから抜き出すと、ダストケース90はハウジング2から取り外すことができる。
【0029】
円筒部16の内側にはフィルタ装置95が設けられる。フィルタ装置95は、図示しないプレフィルタと濾材を備えるもので、通気性を備えるように構成されたカップ状であって、カップの開口部がハウジング2の開口部2a側を向くように構成される。尚、フィルタ装置95を含めダストケース90の形状は任意であり、本実施例にて説明するような形状には限定されない。また、サイクロン方式の集塵方式を用いるものであっても良い。
【0030】
ダストケース90は、合成樹脂を筒形状に一体成形した部材である。ダストケース90は、ハウジング2へ取りつけるための回転中心の軸線B1に沿った円筒形状で有り、前方側に吸い込みノズル92を備え、後方側にハウジング2の開口部2aと接続される開口部91が形成される。ダストケース90は、ハウジング2の円筒部16の外側を覆うようにハウジング2に取り付けられる。ダストケース90の吸い込みノズル92は、軸線B1に沿った方向で、開口部91とは反対側に設けられている。ダストケース90の軸線B1と、モータ40の軸線A1は、ここでは一致するように構成されるが、軸線A1とB1は必ずしも一致させる必要は無く、軸線A1、B1がオフセットするように、または斜めに向くように配置しても良い。吸い込みノズル92は、軸線B1と同心状に配置された筒体であり、吸い込みノズル92は吸気路92aを形成する。吸気路92aは、ダストケース90の内部と外部とをつなぐ管路であると共に、図示しない延長パイプを接続するための接続部となる。
【0031】
図3はハウジング2の各部を説明するための図である。ハウジング2の内部は、太線で示す範囲で区画した3つの主な空間に定義できる。一つはモータ40とファン65を収容するモータ収容部3である。ここには円筒状のハウジング2のほぼ軸心付近に、直径の小さいモータ40を配置するために、モータ40の前方側はモータホルダ50にて保持し、後方側はハウジング2の内壁部分に形成されたモータ後端保持部15によって保持する。つまり、モータホルダ50は、ハウジング2の内径に比べて十分小さいモータ40を、軸線A1及びB1に一致する位置に保持するための取付部材でもある。軸線A1に沿った方向でモータ40の一部は、モータホルダ50内に配置される。モータ40の前側壁面には図示しないネジ穴が形成され、モータホルダ50の底面部52(符号は
図6参照)に形成されたネジ穴を用いて複数のねじ(図示せず)により、モータ40がモータホルダ50に固定される。モータ40の外周面とハウジング2の内壁面の間は大きな空間(モータ収容室11b)となっていて、モータホルダ50は風路を阻害しないように構成される。
【0032】
ハンドル部4は内部が中空とされた円筒状の空間であって、前端部4aはモータ収容部3と連結されることによりモータ収容部3から連続した内部空間(ハンドル部空間11d)を形成する。ハンドル部4の後端部4bが接続部5と連結される。ハンドル部4の内部空間(ハンドル部空間11d)と接続部5の内部空間(接続室11c)は、空間的に繋がっている。ハウジング2の軸方向にみて、ファン65より前方側に吸気口10が設けられ、モータ40よりも後方側に排気口30が設けられる。接続部5はバッテリパック100を接続するために形成されるが、本実施例では接続部5の後方付近に排気口30が形成される。バッテリ装着部6の外側には、接続用の接続端子112が配置される。バッテリパック100がバッテリ装着部6に取り付けられると、接続端子112はハウジング2側に設けられた本体側端子9と接触することによって、電力をモータ40へ供給する。モータ40の外径はファン65の外径よりも小さく、モータホルダ50の最大外径はファン65の外径よりも大きく形成される。
【0033】
排気口30は、矢印29に示すようにバッテリパック100の前後方向中心位置よりも後方側に配置される。このように構成すれば、端子ホルダ8より後方側に排気口30が位置するので、排気口30を形成するスリットを上下方向に斜めに形成できる。また排気口30と把持部との関係で見ると、矢印28に示すように把持部の前後方向中心位置よりも後方側であって、屈曲部と軸線A1に重なる位置に排気口30が位置する。
【0034】
図4は
図1のA-A断面図である。ハウジング2の後方のハンドル部4と接続部5は、モータ収容部3(
図3参照)に比べて十分小さい形状である。ハウジング2の下方であって貫通部7の下側にはバッテリ装着部6が形成される。バッテリ装着部6の上面は、左右方向及び前後方向にほぼ水平な面として形成される。バッテリ装着部6の底面付近には端子ホルダ8が設けられ、端子ホルダ8には下方に延びる本体側端子9a~9dが形成される。A-A部の断面から前方を見た
図4でわかるように、接続部5の内部は中空になっており、モータ40の後壁面が見える状態にある。接続部5の下側にはバッテリパック100を装着する為のレール機構が形成され、ハウジング2側に形成されたレール6a、6bが、バッテリパック100のレール溝102a、102bと嵌合する。接続部5の左右両側面であって、上部付近には軸方向に連続するようにして内側に向けて斜めに窪む窪み部5c、5dが形成される。窪み部5c、5dは、排気口30から排出される空気が、ハンドル部4を把持する作業者の手に当たりにくいようにするための導風効果をえるためのものである。
【0035】
図5は
図1のB-B断面図である。円筒形の金属ケースに収容されるモータ40は、ハウジング2の内壁の大きさに比べて十分小さい。そのため、モータホルダ50の内筒部51にモータ40を収容し、内筒部51から上方、下方、右方向、左方向に延在する板状の支持板53が形成され、それぞれの支持板53の凸状に形成した先端部(突出部54)をゴムブッシュ70に係合させることによって、ハウジング2にモータ40を固定する。つまり、モータ40の外周面を収容する内筒部51から径方向に等間隔で延びるように4本の支持板53が延び、それぞれの支持板53の外周側の先端部分に突出部54(符号は
図6も参照)が設けられる。ゴムブッシュ70は、突出部54の先端よりも径方向外側に位置するようにそれぞれ配置される。左右両側に位置するゴムブッシュ70は、ハウジング2の内壁側に形成されたリブ18bによって形成される被挿入穴19bの内部に配置される。上下方向に位置するゴムブッシュ70は、ハウジング2の内壁側に形成されたリブ17bによって形成される被挿入穴19aの内部に配置される。尚、リブ17bは、鉛直面にて左右方向に分割される部分にそれぞれ形成される。
【0036】
ゴムブッシュ70は、中心点を通る周方向断面形状がE字状に近い形状であって、その開口する部分が軸線A1を向くように配置される。このようにハウジング2の内壁面とモータホルダ50が非接触となるので、モータホルダ50が径方向のどの方向に移動しても4つのうちの1から3個のゴムブッシュ70にて弾性的に保持される。また、モータ40の周方向に回転する振動は、ゴムブッシュ70の特徴的な形状によって、径方向に比べて周方向の弾性力が弱くなるように形成される。
【0037】
図6はモータホルダ50単体の図であり、(A)は斜視図であり、(B)は側面図である。モータホルダ50は、円筒状の内筒部51と、円筒状の外筒部55と、内筒部51と外筒部55とを接続する支持板53によって基本骨格が構成される。内筒部51はモータ40の前端付近を保持するための保持部として作用し、内筒部51の前方側は閉鎖された底面部52が形成される。底面部52の中央には、モータ40の出力軸が貫通するための貫通穴52aが形成される。貫通穴52aの内径は、内筒部51の内径未満である。内筒部51と外筒部55は、軸線A1に沿って同軸に配置され、外筒部55は、軸線A1を中心とする径方向で、内筒部51の外側に配置される。内筒部51と外筒部55は、径方向に延在する板状の4枚の支持板53によって連結される。支持板53は内筒部51の外周面のうち軸線A1に沿って90度周方向に離間する4箇所に連結される。ここでは内筒部51の軸線A1方向の長さL1と外筒部55の長さL2は、L1>L2の関係にあって、内筒部51と外筒部55の前端側が一致するように配置される。内筒部51の内径は、モータ40の外径よりも大きい。軸線A1方向に見た支持板53の長さは、内筒部51の長さL1とほぼ同じであって、支持板53のうち外筒部55と一致しない後方側の径方向外側端部には、ハウジング2との固定に用いられる突出部54が形成される。
【0038】
モータホルダ50の外周部には、複数のリブ56が形成される。リブ56の厚さ方向の中心線E1は、軸線A1及び垂直面D1に対して傾斜するような位置関係とされる。このため、ファン65の回転によって形成された円周方向の流れの向きを、複数のリブ56の傾斜によって特定方向に案内でき、空気の流れをスムーズに形成できる。軸線A1を中心とする径方向で、突出部54は、複数のリブ56の外端よりも内側に配置される。したがって、突出部54は、軸線A1を中心とする径方向で、複数のリブ56の外側に配置されずに済むので、ハウジング2の径方向の大きさが大きくなることを抑制できる。モータホルダ50のリブ56の厚さ方向の中心線E1は、軸線A1に対して傾斜し、かつ、軸線A1と垂直な垂直面D1に対して傾斜するように延びる。複数のリブ56同士は互いに平行となる。
【0039】
リブ56よりも後方側(モータ40側)であって、支持板53の径方向外側には、突出部54が配置される。突出部54はモータホルダ50から径方向外側に向けて形成された凸部であって、軸方向に長く、周方向に薄い板状とされ、モータホルダ50のその他の部分と共に合成樹脂の一体成形によって製造される。図からわかるように、複数のリブ56の外接円の外径は、複数の突出部54の外接円の外径よりも大きくした。また、複数の突出部54は、軸線A1を中心とする径方向で、リブ56の外端よりも内側に配置される。ここでは、モータ40とモータホルダ50が駆動部を構成し、ハウジング2の内側に駆動部が保持されることになる。本発明では、ハウジング2または駆動部の一方側に第1の弾性部(ゴムブッシュ70)が嵌め込まれる被挿入穴19a、19bを形成し、他方側に凸部を構成すれば良いが、本実施例では駆動部側に凸部(突出部54)を形成して、ハウジング2側に被挿入穴を形成した。
【0040】
モータホルダ50は、軸線A1に沿った方向に見て、突出部54が占める軸方向位置と、ファン65が占める軸方向位置が重ならない。このため、軸線A1を基準とした径方向で、突出部54がファン65の外側に配置しなくて済むので、ハウジング2の内径が大きくなることを抑制できるうえに、ゴムブッシュ70を配置するスペースを容易に確保できる。また、ファン65側の空間(ファン室11a)からモータ収容室11b(
図3参照)に至る空気の流れを、モータホルダ50に設けた複数のリブ56により整流することができる。複数のリブ56は、整流板として作用するので、フィルタ装置95における集塵効率が向上する。
【0041】
ハウジング2は右側部分と左側部分に2分割にて構成され、右側部分と左側部分との間に、モータホルダ50を挟み付けて固定する。また、軸線A1に沿った方向で、突出部54の配置範囲と、モータ40の配置範囲とがオーバーラップする位置関係とした。したがって、モータ40の重心と、突出部54とを、軸線A1に沿った方向でなるべく近づけることができ、モータ40を安定的に保持でき、振動抑制にも効果的に作用する。また、突出部54と被挿入穴19a、19bとの間に、ゴム状弾性体により形成されたゴムブッシュ70を介在し、ゴムブッシュ70の形状を特徴的なものとした(後述)。さらに、モータ後端保持部15と後側軸受保持部46との間に、ゴム状弾性体により形成されたゴムキャップ(第2の弾性部材)80が介在される。したがって、モータ40の振動がハウジング2に伝達されることを抑制できる。
【0042】
図7はモータホルダ50のハウジング2への取付状態を示すための断面斜視図である。ここではハウジング2の右側パーツを取り外した状態に相当する。モータ40は円筒状の金属ケース41に収容されており、金属ケース41の外周側には、やや厚めの金属板を巻き付けたステータヨーク42が取り付けられる。モータホルダ50の内筒部51はステータヨーク42の外周面と良好に当接することにより、モータ40とモータホルダ50による組立体(駆動部)を構成する。図
7においては、モータホルダ50を保持する2つのゴムブッシュ70が設けられている。右側のゴムブッシュ70はモータホルダ50に取りつけられていない状態を示している。ファン65は遠心ファンであって、軸線A1方向前側に円環板66が設けられ、軸線A1方向後側であって円環板66と平行に円板67が設けられ、円環板66と円板67の間に複数の羽根68が形成される。羽根68は軸線A1から径方向外側に所定距離離れた位置から、円環板66の外縁位置まで渦巻き状に湾曲しながら延びる形状であって、軸線A1に近い側から径方向外側に空気を排出する。
【0043】
モータ40の後方側は、出力軸を保持する後側軸受保持部46(
図2参照)の周囲を覆うゴムキャップ(第2の弾性部)80を介してモータ後端保持部15に固定される。モータ後端保持部15は、左側のハウジング2の側面から、分割面に向けて径方
向内側に延在する梁部材であって、図では見えないが右側のハウジング2の側面からも同様の梁部材が形成され、2つの梁部材(モータ後端保持部15)が接触することによって、ゴムキャップ80を挟持する。ゴムキャップ80は、容器のゴム部材の底面に貫通穴が形成されたものである。貫通穴はモータ40の出力軸との接触を回避するために形成されたものであって、出力軸が金属ケース41から外部に露出しなければ貫通穴や窪み穴等を形成する必要は無い。
【0044】
図8はゴムブッシュ70の斜視図である。第1の弾性部たるゴムブッシュ70は、軸線A1の径方向及び周方向においてハウジング2と駆動部との間に介在し、かつ、駆動部が軸方向よりも周方向に変位しやすく形成される。そのためゴムブッシュ70の周方向における大きさが、軸方向における大きさよりも大きい。ゴムブッシュ70は、ハウジング2または駆動部の少なくとも一方に設けられるものであって、駆動部に形成された凸部が挿入される被挿入穴(被挿入穴75)を有し、凸部(突出部54)が軸方向よりも周方向に変位しやすくなるように形成される。つまり、ゴムブッシュ70の周方向のばね定数が、軸方向のばね定数より低くなるように形成される。短辺側側壁部72と被挿入穴75の間には被挿入穴保持壁76、77が形成される。連結リブ78は、短辺側側壁部72と被挿入穴保持壁76、及び、短辺側側壁部72と被挿入穴保持壁77の間を斜めに連結するように設けられる。図にて径方向、軸線方向、周方向を示すように、ゴムブッシュ70は周方向の長さが一番長くなるように構成され、凸部(突出部54)が軸方向よりも周方向に変位しやすくなるように形成される。
【0045】
ゴムブッシュ70の周方向において、被挿入穴に隣接する中空部79を設けて弾性体周方向に空洞を設けることで弾性領域を形成した。中空部79は、被挿入穴75と径方向視において同一形状とすることも可能である。しかしながら、同一形状とすると製造組み立て工程において突出部54を被挿入穴75ではなくて中空部79側に誤って挿入してしまう誤装着の虞が生ずる。そこで中空部79を分断するように阻害壁(連結リブ78)を形成した。ゴムブッシュ70の軸方向外側には長辺側側壁部71が配置され、周方向外側には短辺側側壁部72が配置される。連結リブ78の厚さや角度を変えることで、ゴムブッシュ70の周方向への弾性変形量を調整することが容易となる。
【0046】
ゴムブッシュ70は、合成ゴムによる金型成形により一体に製造されるもので、略直方体の外縁をもつ部分に、突出部54の被挿入穴75と、被挿入穴75に隣接して形成されるものであって特定方向のゴムの緩衝力を弱めるための4つの中空部79が一体に成形される。ゴムブッシュ70の特性として、モータ40から発生する振動が、モータホルダ50を介してハウジング2に伝達するのを少なくし、逆に、ハウジング2側からモータ40に対する振動の伝達を抑制する。この目的のためには、防振支持したい振動系の固有振動数を考慮して、最適な材質や、形状とする。本実施例では、特にモータ40の回転力に伴って、その回転方向への慣性力の急変を緩和するために、モータホルダ50の突出部54が周方向への移動の緩衝力を大きくした。即ち、中空部79を形成することによって、ゴムブッシュ70の周方向への変形を容易として、大きな衝撃エネルギーを吸収することができるようにした。また、ゴムブッシュ70の周方向への衝撃後の振動を早く減衰させる効果を大きくした。
【実施例2】
【0047】
次に
図9及び
図10を用いて本発明の第2の実施例に係るクリーナ1Aを説明する。
図9はクリーナ1Aの右側面図である。ここで
図1にて示したクリーナ1との違いは、フィルタ装置によって濾過された空気を排出するための主排気口30に加えて補助排気口31を設けたことにある。補助排気口31は、ハウジング2の右側側面と左側側面にそれぞれ設けられる。
【0048】
図10は、クリーナ1Aの縦断面図である。ハウジング2Aは、補助排気口31が新たに設けられた点を除いて、その他の構成は第一の実施例のハウジング2と全く同じである。補助排気口31は、ファン65から主排気口30に至るまでの風路の途中に形成される。補助排気口31の形状は主排気口30と同様に、長手方向が軸線A1に対して斜めに配置される複数のスリットにて形成され、スリットの長手方向の向きは主排気口30と同じ向きとなるように形成される。
図10に示すように、空気流C1とC2によって主排気口30を利用するだけでは排気抵抗が大きくなってしまう虞がある。特にモータ40の出力を向上させる場合に問題になる。そこで、第2の実施例では排気口の開口面積が不足する分を、モータ40の近傍に設けた補助排気口31を用いて空気流C3のように外部に排出するようにした。補助排気口31は、モータ40の軸線A1方向に見てモータ40と部分的に重複するように配置され、特に、モータ40の後方の下側部分が補助排気口31と軸線A1方向に重複する。ここではモータ40の後方の上側部分には補助排気口は設けられない。このようにハウジング2のモータ40の近傍に補助排気口31を設けることによって、モータ40の出力向上に伴う吸入風の増大分を補助排気口31によって外部に排出できるのでファン65及びモータ40の回転負荷を低減でき、モータ40の出力向上に伴う騒音の増大を抑制できる。また、排気効率を向上できるので、モータ40の出力向上に伴う消費電力の上昇を抑制し、バッテリパックの稼働時間の低下を抑制できる。
【実施例3】
【0049】
次に
図11から
図16を用いて本発明の第3の実施例に係るクリーナ1Bを説明する。
図11はクリーナ1Bの右側面図である。外観上は
図1にて示したクリーナ1と全く同様である。フィルタ装置によって濾過された空気を外部に排出するための主排気口30の位置や形状も同じである。クリーナ1Bのハウジング2のうちモータ40よりも後方下側は、上下方向に絞り込まれたような形状の接続部5とされ、その絞り込まれた部分の下側にバッテリ
パック100が装着される。ハウジング2のバッテリ装着部6の前方側は、バッテリパック100の前面壁を覆うようにして軸線A1から径方向下側に突出するようなバッテリガード26が形成される。バッテリガード26は下方向に突出するように形成された部分であり、バッテリパック100を取り付けた状態で前方から物がぶつからないようにガードすると共に、バッテリパック100が取り外された際に図示しない本体側端子9を床面等の接触から保護する。バッテリガード26は左右分割式に形成されたハウジング2と一体成形され、左右中央に分割面を有する。また、ハウジング2の前方側の開口部2aの下側付近には、ハウジング2の略円筒形の部分から下側に突出する脚部39が形成される。脚部39はハウジング2と一体成形され、左右中央に分割面を有する。脚部39を形成したことによって、クリーナ1Bをテーブル等に載置している状態でハウジング2の開口部2aとダストケース90の開口部91が床よりもわずかに浮いた状態になるため、クリーナ1Bの載置状態でもダストケース90を容易に回転させることできる。
【0050】
図12は
本発明の第3の実施例に係るクリーナ1Bの正面図である。クリーナ1Bを正面から見ると、バッテリガード26と脚部39の正面から見た大きさ、特にバッテリパック100の正面から見た大きさ、及びダストケース90の大きさと比較することができるであろう。バッテリパック100の底面103は平坦であって、バッテリパック100を装着した状態のクリーナ1Bを床等に置くと、バッテリパック100の底面103と脚部39が床等に当接する。バッテリ装着部6の左右方向の幅W
2は、ダストケース90及びハウジング2の左右方向幅Wに比べ小さく形成される。
バッテリパック100の左右方向幅W
1は
ダストケース90の幅Wより小さく、バッテリ装着部6の幅W
2よりも大きい。バッテリガード26と脚部39の底面の左右方向の幅W
3はほぼ等しいが、バッテリガード26は脚部39に比べて下方向に大きく突出する上に、その底面が緩やかな円弧状に形成される。このようにバッテリガード26はある程度の大きさを有するように構成されるので、バッテリガード26の内部には所定の空間が存在し、その空間は空気流路として使用しないデッドスペースである。第3の実施例ではバッテリガード26の内部空間を
図13にて後述するような吸音材33を配置する空間の一部として利用する。
【0051】
図13はクリーナ1Bの全体構成を示す縦断面図であって、
図12のF-F部の断面図である。ハウジング2の内部は、バッテリガード26の内側から前方側に延びる吸音材33を設けたことが、第一の実施例の異なることである。吸音材33は、軟質ウレタンフォーム等の多孔質材料である。多孔質材料に音があたると、空気振動が吸音材33の内部に存在する気泡部分の空気に伝わり、気泡面で空気の粘性摩擦を生じて音のエネルギーの一部が熱エネルギーに変換されるため、吸音作用を生ずる。このように吸音材は空気の動きに対する抵抗によって空気の振動を減衰させて音を小さくするので、ファン65から排気口30に至る通路の途中に吸音材33を配置することによって、排気口30から外部に漏れる音を低減させることが可能となる。
【0052】
ハウジング2の内部は、モータ40とファン65の収容される太径の広い空間と、ハンドル部4の細径の狭い内部空間と、接続部5の上下方向に狭い内部空間があって、本実施例ではその広い空間内に吸音材33を設けた。吸音材33はモータ40の下側に配置し、その前端面33bはリブ17cの後面に接する。吸音材33の後端33cは、軸線A1方向に見てモータ40の後端側よりも後方側に延び、バッテリガード26の内側後端壁まで到達する。吸音材33はハウジング2の内部形状に対応するように立体的に成形し、ハウジング2の壁面との接触面には、壁面と吸音材33の間に隙間ができるだけ生じないように構成される。ただし吸音材の形状は立体的なものに限定されず、例えば平坦な板状の吸音材を用い、ハウジング2の内部に吸音材を変形させながら詰め込むことで、ハウジング2との壁面との間に隙間が生じないようにしてもよい。吸音材33の固定方法は任意で有り、左右方向に分割して形成されるハウジング2の右側部分と左側部分に挟持することにより吸音材33を固定する。尚、吸音材33を挟持するだけでなく、接着剤又は両面テープを用いて吸音材33の一部をハウジング2の内壁部に固定するようにしても良い。さらに、ハウジング2の右側内壁面及び左側内壁面から分割面側に延びるようなリブを1つ又は複数配置して、そのリブが吸音材33の上側縁部に位置するようにして、吸音材33の上側への移動を制限するように構成しても良い。
【0053】
ファン65によって生成された空気流は、ダストケース90の内部空間からハウジング2の内部に流入した後に、ファン65を通過してモータホルダ50の外周部を軸線A1方向後方側に流れ、その空気流の大半は接続部5を矢印36のように流れて排気口30から外部に排出される(第1の流路)。残りの空気流は、ハンドル部4の内部を矢印38のように流れて、ハンドル部4の後端部4bにて接続部5側に流れ、排気口30から外部に排出される。ここで軸線A1方向に見て、バッテリパック100の前後方向中心位置(高さH1と図示している箇所)における第1の流路の断面を、風上側に軸線A1に沿って投影させた投影空間35は点線で示す範囲となる。同様に、ハンドル部4の最狭部(操作パネル部20の下側であって、高さH2と示している部分)の風上側に風路の中心線に沿うように投影させた投影空間37は点線で示す範囲となる。本実施例では吸音材33は、投影空間35に重ならないような位置、即ち投影空間35の外側(下側)に配置した。この吸音材33の配置関係は、投影空間37とも重ならないような位置関係にある。
【0054】
吸音材33の上下方向に見た上面33aは平面にて形成され、隣接して形成されるリブ17cの上面位置とほぼ同じ位置となるようにする。吸音材33の前端面33bはリブ17cの後壁に接するようにする。同様にして吸音材33の後端面33cはバッテリガード26の後側内壁面に接するようにする。このように吸音材33の前側部分をリブ17cにより、後側部分をバッテリガード26の壁面に接触させることにより、吸音材33の後ろ方向への移動を制限することができる。本実施例では、ハウジング2の太径の広い空間の底面付近に、前後方向に長い吸音材33を設けたので、効果的な吸音効果を達成することが可能となる。また、吸音材33は既存のハウジング2の内壁部分に安定して保持させることができるので、製造時における組立性も良い。さらに吸音材33の上面33aは、リブ17cよりも軸線A1に近い側に突出しないので、投影空間35内の風路(第1の流路)を、モータホルダ50側から矢印36のように後方に向かう空気流を乱すことがない。さらに吸音材33は、左右分割式のハウジング2の組立て時に、分割面から一方のハウジング側に装着してハウジングを接合して固定するという従来と同じ組み立て工程で取付けるだけでハウジング2に安定して固定できる。
【0055】
以上のように第三の実施例では点線で示す第1の投影空間35と、点線で示す第2の投影空間37のいずれにも重ならないような位置(投影空間35、37の外側)に吸音材33を配置したので、ハウジング2の内部の空気の流れを乱すことなく良好な吸音効果を達成できる。
【0056】
本実施例ではさらに別の箇所に吸音材を入れることが可能である。それは第2の流路の投影空間37よりも外側(上側)に位置する空間34である。この空間34は流路的に見るとデッドスペースになっているので、吸音材33と同様の吸音材を設けるようにしても良い。空間34の下側には、ハウジング2の左側壁面から、及び、右側壁面からリブ32が水平に延在するが、このリブ32の左右方向の突出幅はそれぞれ小さいので分割面まで到達していない(その大きさは後述する
図16参照)。従って、リブ32の上側部分に、又は上側から下側にかけて吸音材を配置することが可能である。このように構成すれば下側だけに吸音材33を配置することに比べて更なる吸音効果を得ることができる。
【0057】
図14は
図11のC-C部の断面図である。この断面位置は、バッテリパック100の軸方向中心位置よりも前側にある。点線にて示す第1の投影
空間35の形状は、C-C部における接続部5の断面形状である。本実施例では、バッテリパック100の軸方向中心位置における断面の大きさと、C-C部の断面の大きさは同じであり、いずれも接続部5内の最も狭い流路の断面となる。
図14から理解できるように、第1の投影空間(投影領域)35は、水平方向に長辺を有する略長方形の形状である。接続部5の左右両側面であって、上部付近には軸方向に連続するようにして内側に向けて斜めに窪むような窪み部5c、5dが形成される。接続部5の内部空間は窪み部5c、5dに沿った形状とされるため、第1の投影空間35も内側に窪むような部分が存在する。第1の投影空間35の下側は平坦な面となる。第1の投影空間35の左右方向の幅W
4はバッテリパック100のレール溝の間隔にほぼ相当する。第1の投影空間35を横切るように前方側にネジボス12d、13dが形成されるが、これらはモータ40の下側の広い空間内に配置されるので、第1の投影空間35を通過する第1の流路を直接的に阻害するものではない。
【0058】
ハンドル部4の内部空間は縦方向に大きめの空間であるが、横方向には第1の投影空間35に比べて十分小さい。ハンドル部4は作業者が片手で把持する部分であるので、太くすると操作性を損なうからである。しかしながら、ハンドル部4内も空気の通路として使用できるということは、第1の投影空間35だけを利用した風路の面積を広げたような効果があるので、ハンドル部4の内側空間を空気の通路として用いないようなクリーナに比べて、風路の面積が十分大きくなった。
【0059】
図15は
図11のD-D部の断面図である。点線で示す第1の投影空間35は、バッテリパック100の軸線方向中央付近の断面を示している。ここで理解できることは、D-D部付近においては
第1の投影空間35よりも下方向にハウジング2の空間が拡大されている上に、拡大領域よりもさらに下側に大きく延在する空間(バッテリガード26による突起部の内部空間)が存在する。本実施例ではこのバッテリガード26の内部空間を埋めるように吸音材33を配置した。
【0060】
吸音材33は軸線A1との直交する断面の形状が長方形である。バッテリガード26の底面の左右両側が円弧状に形成されるが、吸音材33自体は伸縮性を有するスポンジのような部材なので、角部が容易に変形可能であり、吸音材33の底面33dがバッテリガード26に内壁面に良好に密接できる。ここで、バッテリガード26の左右両側には、外縁部から内側に曲面状に窪むような窪み部27a、27bが形成される。これら窪み部27a、27bを設けたことによって吸音材33の左右両側側面33e、33fと接するのがほぼ鉛直な内壁面となるので、吸音材33がハウジング2の右側内壁と左側内壁に良好に接して挟持される。
【0061】
図16は
図11のE-E部の断面図である。この断面図によりモータ40の周囲には広めの空間が形成されることが理解できるであろう。点線で示す第1の投影空間35は、モータ40の回転軸線A1方向に見て、モータ40、及び、ファン65(
図7参照)と部分的に重複するような位置関係にある。しかしながら、モータ40の配置空間では第1の投影空間35の周囲、特に右側、左側、下側に大きな空間が確保されるので、モータ40の周囲に流れる空気の下側部分が、ハウジング2の筒状の内部形状によって第1の投影空間35の外側から第1の投影空間35に向かって集められるようにして空気が流れることになる。吸音材33が位置する箇所は、その上端位置がリブ17cとほぼ同じ位置にあるので、吸音材33を設けたとしても、ファン65から第1の流路に至る空気の流れを阻害することはない。一方、吸音材33を設けたことによって音のエネルギーの一部が減衰されるので、排気口30から外部に排出される音を低減することができる。本実施例では空気の流路として使用される領域以外の空間、特に流路よりも径方向外側に出っ張っている部分(バッテリガード26の内側空間)を利用して吸音材33を効率良く配置するようにしたので、吸音材を固定するためのスペースを確保するためにハウジングの形状を再設計する必要が無く、第一の実施例のハウジング2をそのまま用いながら動作音を低減させることができる。一般的に、吸音材はたくさん設けることで吸音効果が大きくなる。しかしながら、ハウジング2の内側のうち底面付近にだけ吸音材33を設けるという、部分的な吸音材の配置であっても、吸音材無しのクリーナに比べると十分な吸音効果が得られるものである。
【0062】
第3の実施例によれば、左右分割式のハウジング2によって吸音材33を挟み込むようにしたので、従来の組立工程の変更をすることなく吸音材33を設けることが可能となった。しかも吸音材33を第1の流路の投影面(第1の投影空間35)の外側、かつ、第2の流路の投影面(第2の投影空間37)の外側に配置したので、ハウジング内部の空気の流れが阻害されないので、クリーナとしての作業効率が低下する心配が無い。また、吸音材33としても安価なものを使用したので第三の実施例実施のための製造コストの上昇を十分抑制できる。
【0063】
以上、本発明を実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の例ではバッテリパックを用いたクリーナを例に説明したが、本発明によるクリーナの排気構造は、電源コードを有し、商用電源で駆動するクリーナにおいても同様に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
1,1A…クリーナ、2,2A…ハウジング、2a…開口部、3…モータ収容部、4…ハンドル部、4a…前端部、4b…後端部、5…接続部、5c,5d…窪み部、6…バッテリ装着部、6a,6b…レール、7…貫通部、8…端子ホルダ(端子部)、9,9a~9d…本体側端子、10…吸気口、11a…ファン室、11b…モータ収容室、11c…接続室、11d…ハンドル部空間、12a~12e…ネジボス、13a~13e…ネジボス、14…脚部、15…モータ後端保持部、16…円筒部、16a…溝部、17a~17c…リブ、18b…リブ、19a,19b…被挿入穴、20…操作パネル部、21…“強”モードボタン、22…“弱”モードボタン、23…“切”ボタン、24…お知らせランプ、25…制御回路基板、26…バッテリガード、27a,27b…窪み部、28把持部の後方側、29…バッテリパックの後方側、30…排気口、31…補助排気口、32…リブ、33…吸音材、33a…(吸音材の)上面、33b…(吸音材の)前端面、33c…(吸音材の)後端面、33d…(吸音材の)底面、33e…(吸音材の)右側側面、33f…(吸音材の)左側側面、34…外側空間、35…第1の流路(第1の投影空間)、36…空気流入方向、37…第2の流路(第2の投影空間)、38…空気流入方向、39…脚部、40…モータ、41…金属ケース、42…ステータヨーク、46…後側軸受保持部、50…モータホルダ、51…内筒部、52…底面部、52a…貫通穴、53…支持板、54…突出部、55…外筒部、56…リブ、57…モータホルダ投影風路、65…ファン、66…円環板、67…円板、68…羽根、70…ゴムブッシュ、71…長辺側側壁部、72…短辺側側壁部、75…被挿入穴、76,77…被挿入穴保持壁、78…連結リブ(阻害壁部)、79…中空部、80…ゴムキャップ、90…ダストケース、91…開口部、92…ノズル、92a…吸気路、93…凸部、95…フィルタ装置、100…バッテリパック、101…ラッチボタン、102a,102b…レール溝、112…接続端子、A1…(モータの)出力軸線、B1…(ダストケースの)回転軸線、C1~C2…吸入された空気の流れ、D1…垂直面、E1…中心線