IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特許-スイッチングモジュール 図1
  • 特許-スイッチングモジュール 図2
  • 特許-スイッチングモジュール 図3
  • 特許-スイッチングモジュール 図4
  • 特許-スイッチングモジュール 図5A
  • 特許-スイッチングモジュール 図5B
  • 特許-スイッチングモジュール 図6
  • 特許-スイッチングモジュール 図7
  • 特許-スイッチングモジュール 図8
  • 特許-スイッチングモジュール 図9
  • 特許-スイッチングモジュール 図10
  • 特許-スイッチングモジュール 図11
  • 特許-スイッチングモジュール 図12
  • 特許-スイッチングモジュール 図13
  • 特許-スイッチングモジュール 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】スイッチングモジュール
(51)【国際特許分類】
   H02M 5/293 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
H02M5/293 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020562911
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2019044852
(87)【国際公開番号】W WO2020137237
(87)【国際公開日】2020-07-02
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2018242050
(32)【優先日】2018-12-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019089527
(32)【優先日】2019-05-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野村 英明
(72)【発明者】
【氏名】森 倫也
【審査官】高野 誠治
(56)【参考文献】
【文献】特開平06-086480(JP,A)
【文献】特開2003-102101(JP,A)
【文献】特開昭50-022244(JP,A)
【文献】特開2018-066678(JP,A)
【文献】実開昭63-176330(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 5/00 - 5/48
H02H 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定された設定周期の交流電圧が印加される一対の入力端子と、電力変換回路が接続される一対の出力端子と、の組み合わせを少なくとも1つ有するスイッチングモジュールであって、
少なくとも1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせの中から選択された1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせにおいて、
前記一対の入力端子の一方と、前記一対の出力端子の一方との間に直列に接続される第1双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の他方と、前記一対の出力端子の他方との間に直列に接続される第2双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、前記一対の入力端子の他方と前記第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第1電圧値を検出する第1電圧計と、
前記一対の出力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、前記一対の出力端子の他方と前記第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第2電圧値を検出する第2電圧計と、
第1時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第1検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得し、取得した前記第1電圧値と前記第2電圧値との第1差分値が予め設定された第1電圧閾値以下のとき、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定し、前記第1時刻から前記第1検査期間だけ経過するまでの間に取得した前記第1電圧値および前記第2電圧値に基づいて前記第1双方向スイッチが正常と判定した場合、前記第1時刻から前記設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第2検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得し、取得した前記第1電圧値と前記第2電圧値との第2差分値が前記第1電圧閾値以下であれば、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する判定部と、を備える、
スイッチングモジュール。
【請求項2】
前記第1電圧計は、前記第1双方向スイッチの入力端と前記第2双方向スイッチの入力端とに接続され、
前記第2電圧計は、前記第1双方向スイッチの出力端と前記第2双方向スイッチの出力端とに接続されている、
請求項1に記載のスイッチングモジュール。
【請求項3】
前記第1検査期間および前記第2検査期間の長さは、前記設定周期の0.3倍以上0.5倍以下である、
請求項1または2に記載のスイッチングモジュール。
【請求項4】
前記第1双方向スイッチは、
一端が前記一対の入力端子の一方に接続された第1スイッチング素子と、
カソードが前記第1スイッチング素子の他端に接続されアノードが前記一対の出力端子の一方に接続された第1ダイオードと、
アノードが前記一対の入力端子の一方に接続された第2ダイオードと、
一端が前記第2ダイオードのカソードに接続され他端が前記一対の出力端子の一方に接続された第2スイッチング素子と、を有し、
前記第2双方向スイッチは、
一端が前記一対の入力端子の他方に接続された第3スイッチング素子と、
カソードが前記第3スイッチング素子の他端に接続されアノードが前記一対の出力端子の他方に接続された第3ダイオードと、
アノードが前記一対の入力端子の他方に接続された第4ダイオードと、
一端が前記第4ダイオードのカソードに接続され他端が前記一対の出力端子の他方に接続された第4スイッチング素子と、を有する、
請求項1から3のいずれか1項に記載のスイッチングモジュール。
【請求項5】
前記判定部は、前記第1時刻から前記第1検査期間だけ経過するまでの間に取得した前記第1電圧値および前記第2電圧値に基づいて前記第1双方向スイッチが短絡故障と判定した場合、前記第2時刻において前記第1双方向スイッチの故障の有無の判定を回避する、
請求項1から4のいずれか1項に記載のスイッチングモジュール。
【請求項6】
予め設定された設定周期の交流電圧が印加される一対の入力端子と、電力変換回路が接続される一対の出力端子と、の組み合わせを少なくとも1つ有するスイッチングモジュールであって、
少なくとも1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせの中から選択された1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせにおいて、
前記一対の入力端子の一方と、前記一対の出力端子の一方との間に直列に接続される第1双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の他方と、前記一対の出力端子の他方との間に直列に接続される第2双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間を流れる電流の電流値を検出する電流計と、
第1時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第1検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして前記電流値を取得し、取得した前記電流値が予め設定された第1電流閾値以上のとき、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定し、前記第1時刻から前記第1検査期間だけ経過するまでの間に取得した前記電流値に基づいて前記第1双方向スイッチが正常と判定した場合、前記第1時刻から前記設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第2検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして前記電流値を取得し、取得した前記電流値が前記第1電流閾値以上であれば、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する判定部と、を備える、
スイッチングモジュール。
【請求項7】
予め設定された設定周期の交流電圧が印加される一対の入力端子と、電力変換回路が接続される一対の出力端子との少なくとも1つの組み合わせを有するスイッチングモジュールであって、
少なくとも1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせの中から選択された1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせにおいて、
前記一対の入力端子の一方と、前記一対の出力端子の一方との間に直列に接続される第1双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の他方と、前記一対の出力端子の他方との間に直列に接続される第2双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、前記一対の入力端子の他方と前記第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第1電圧値を検出する第1電圧計と、
前記一対の出力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、前記一対の出力端子の他方と前記第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第2電圧値を検出する第2電圧計と、
前記第1双方向スイッチが短絡故障しているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記判定部は、第1時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第1検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得して前記第1電圧値と前記第2電圧値との第1差分値が予め設定された第1電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、予め設定された第1回数閾値以上継続して前記第1差分値が前記第1電圧閾値以下と判定されたとき、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する第1判定処理と、前記第1時刻から前記設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻から、前記設定周期の1/2以下の長さの第2検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得して前記第1電圧値と前記第2電圧値との第2差分値が前記第1電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、前記第1回数閾値以上継続して前記第2差分値が前記第1電圧閾値以下と判定されたとき、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する第2判定処理と、を実行する、
スイッチングモジュール。
【請求項8】
前記判定部は、前記第1判定処理において、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定された場合、前記第2判定処理の実行を回避する、
請求項7に記載のスイッチングモジュール。
【請求項9】
前記判定部は、前記第1判定処理において、前記第1回数閾値よりも大きい第2回数閾値以上継続して前記第1差分値が前記第1電圧閾値よりも高いと判定され、且つ、前記第2判定処理において、前記第2回数閾値以上継続して前記第2差分値が前記第1電圧閾値よりも高いと判定された場合、前記第1双方向スイッチが正常であると判定する、
請求項7または8に記載のスイッチングモジュール。
【請求項10】
前記判定部は、前記第1判定処理において、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得して前記第1電圧値と前記第2電圧値との第1差分値が予め設定された前記第1電圧閾値よりも高い第2電圧閾値よりも高いか否かの判定を繰り返し実行し、予め設定された前記第2回数閾値よりも小さい第3回数閾値以上継続して前記第1差分値が前記第2電圧閾値よりも高いと判定されたとき、次に、前記第2判定処理を実行し、前記第2判定処理において、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得して前記第1電圧値と前記第2電圧値との第2差分値が前記第2電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、前記第3回数閾値以上継続して前記第2差分値が前記第2電圧閾値よりも高いと判定されたとき、前記第1双方向スイッチが正常であると判定する、
請求項9に記載のスイッチングモジュール。
【請求項11】
前記一対の入力端子と前記一対の出力端子の一方との間に流れる電流の電流値を検出する電流計を更に備え、
前記判定部は、前記第1検査期間の直前の時点において前記電流計により検出された電流値が、予め設定された第2電流閾値以下の場合、少なくとも前記第1回数閾値を予め設定された回数だけ増加させる、
請求項7から10のいずれか1項に記載のスイッチングモジュール。
【請求項12】
前記一対の入力端子と前記一対の出力端子の一方との間に流れる電流の電流値を検出する電流計を更に備え、
前記判定部は、前記第1検査期間の直前の時点において前記電流計により検出された電流値が、予め設定された第3電流閾値よりも高い場合、少なくとも前記第1回数閾値を予め設定された回数だけ減少させる、
請求項7から11のいずれか1項に記載のスイッチングモジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチングモジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
3相の交流電力を出力する交流電源と負荷とを接続する3本の母線それぞれにサイリスタを備える交流電力制御装置について、サイリスタの故障を検出する素子故障検出装置が提案されている(例えば特許文献1参照)。この素子故障検出装置は、負荷に流れる電流を検出する変流器および加算器と、各相に対応するサイリスタに対して異なるタイミングで個別に素子オン信号を出力する制御回路と、素子オン信号と変流器および加算器の出力とに基づいて、各相に対応するサイリスタの故障の有無を判定する判定手段と、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平6-22446号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された素子故障検出装置の場合、検査対象となるサイリスタを一旦オフ状態にするために、母線に流す電流を減少させる必要がある。そのため、この素子故障検出装置を使用する場合、サイリスタの故障の有無を判定する期間中は、交流電源から負荷へ供給される電力を低下させざるを得ない。従って、例えば負荷が常時運転状態を維持する必要があるサーバである場合、サイリスタの故障の有無の判定作業を行う度に、負荷への電力供給元を待機系の交流電源へ切り替える作業が発生してしまい、検査作業者の手間が増大してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、上記事由に鑑みてなされたものであり、双方向スイッチの故障の有無の判定を行う際の交流電源から負荷へ供給される電力の低下を抑制できるスイッチングモジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明に係るスイッチングモジュールは、
予め設定された設定周期の交流電圧が印加される一対の入力端子と、電力変換回路が接続される一対の出力端子と、の組み合わせを少なくとも1つ有するスイッチングモジュールであって、
少なくとも1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせの中から選択された1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせにおいて、
前記一対の入力端子の一方と、前記一対の出力端子の一方との間に直列に接続される第1双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の他方と、前記一対の出力端子の他方との間に直列に接続される第2双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、前記一対の入力端子の他方と前記第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第1電圧値を検出する第1電圧計と、
前記一対の出力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、前記一対の出力端子の他方と前記第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第2電圧値を検出する第2電圧計と、
第1時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第1検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得し、取得した前記第1電圧値と前記第2電圧値との第1差分値が予め設定された第1電圧閾値以下のとき、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定し、前記第1時刻から前記第1検査期間だけ経過するまでの間に取得した前記第1電圧値および前記第2電圧値に基づいて前記第1双方向スイッチが正常と判定した場合、前記第1時刻から前記設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第2検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得し、取得した前記第1電圧値と前記第2電圧値との第2差分値が前記第1電圧閾値以下であれば、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する判定部と、を備える。
【0007】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記第1電圧計が、前記第1双方向スイッチの入力端と前記第2双方向スイッチの入力端とに接続され、
前記第2電圧計が、前記第1双方向スイッチの出力端と前記第2双方向スイッチの出力端とに接続されている、ものであってもよい。
【0008】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記第1検査期間および前記第2検査期間の長さが、前記設定周期の0.3倍以上0.5倍以下であってもよい。
【0009】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記第1双方向スイッチが、
一端が前記一対の入力端子の一方に接続された第1スイッチング素子と、
カソードが前記第1スイッチング素子の他端に接続されアノードが前記一対の出力端子の一方に接続された第1ダイオードと、
アノードが前記一対の入力端子の一方に接続された第2ダイオードと、
一端が前記第2ダイオードのカソードに接続され他端が前記一対の出力端子の一方に接続された第2スイッチング素子と、を有し、
前記第2双方向スイッチが、
一端が前記一対の入力端子の他方に接続された第3スイッチング素子と、
カソードが前記第3スイッチング素子の他端に接続されアノードが前記一対の出力端子の他方に接続された第3ダイオードと、
アノードが前記一対の入力端子の他方に接続された第4ダイオードと、
一端が前記第3ダイオードのカソードに接続され他端が前記一対の出力端子の他方に接続された第4スイッチング素子と、を有する、ものであってもよい。
【0010】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記判定部は、前記第1時刻から前記第1検査期間だけ経過するまでの間に取得した前記第1電圧値および前記第2電圧値に基づいて前記第1双方向スイッチが短絡故障と判定した場合、前記第2時刻において前記第1双方向スイッチの故障の有無の判定を回避する、ものであってもよい。
【0011】
他の観点から見た本発明に係るスイッチングモジュールは、
予め設定された設定周期の交流電圧が印加される一対の入力端子と、電力変換回路が接続される一対の出力端子と、の組み合わせを少なくとも1つ有するスイッチングモジュールであって、
少なくとも1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせの中から選択された1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせにおいて、
前記一対の入力端子の一方と、前記一対の出力端子の一方との間に直列に接続される第1双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の他方と、前記一対の出力端子の他方との間に直列に接続される第2双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間を流れる電流の電流値を検出する電流計と、
第1時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第1検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして前記電流値を取得し、取得した前記電流値が予め設定された第1電流閾値以上のとき、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定し、前記第1時刻から前記第1検査期間だけ経過するまでの間に取得した前記電流値に基づいて前記第1双方向スイッチが正常と判定した場合、前記第1時刻から前記設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第2検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして前記電流値を取得し、取得した前記電流値が前記第1電流閾値以上であれば、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する判定部と、を備える。
【0012】
他の観点から見た本発明に係るスイッチングモジュールは、
予め設定された設定周期の交流電圧が印加される一対の入力端子と、電力変換回路が接続される一対の出力端子との少なくとも1つの組み合わせを有するスイッチングモジュールであって、
少なくとも1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせの中から選択された1つの一対の入力端子と一対の出力端子との組み合わせにおいて、
前記一対の入力端子の一方と、前記一対の出力端子の一方との間に直列に接続される第1双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の他方と、前記一対の出力端子の他方との間に直列に接続される第2双方向スイッチと、
前記一対の入力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、前記一対の入力端子の他方と前記第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第1電圧値を検出する第1電圧計と、
前記一対の出力端子の一方と前記第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、前記一対の出力端子の他方と前記第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第2電圧値を検出する第2電圧計と、
前記第1双方向スイッチが短絡故障しているか否かを判定する判定部と、を備え、
前記判定部は、第1時刻から前記設定周期の1/2以下の長さの第1検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得して前記第1電圧値と前記第2電圧値との第1差分値が予め設定された第1電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、予め設定された第1回数閾値以上継続して前記第1差分値が前記第1電圧閾値以下と判定されたとき、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する第1判定処理と、前記第1時刻から前記設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻から、前記設定周期の1/2以下の長さの第2検査期間だけ前記第1双方向スイッチを開状態且つ前記第2双方向スイッチを閉状態にして、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得して前記第1電圧値と前記第2電圧値との第2差分値が前記第1電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、前記第1回数閾値以上継続して前記第2差分値が前記第1電圧閾値以下と判定されたとき、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する第2判定処理と、を実行する。
【0013】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記判定部は、前記第1判定処理において、前記第1双方向スイッチが短絡故障していると判定された場合、前記第2判定処理の実行を回避する、ものであってもよい。
【0014】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記判定部は、前記第1判定処理において、前記第1回数閾値よりも大きい第2回数閾値以上継続して前記第1差分値が前記第1電圧閾値よりも高いと判定され、且つ、前記第2判定処理において、前記第2回数閾値以上継続して前記第2差分値が前記第1電圧閾値よりも高いと判定された場合、前記第1双方向スイッチが正常であると判定する、ものであってもよい。
【0015】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記判定部は、前記第1判定処理において、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得して前記第1電圧値と前記第2電圧値との第1差分値が予め設定された前記第1電圧閾値よりも高い第2電圧閾値よりも高いか否かの判定を繰り返し実行し、予め設定された前記第2回数閾値よりも小さい第3回数閾値以上継続して前記第1差分値が前記第2電圧閾値よりも高いと判定されたとき、次に、前記第2判定処理を実行し、前記第2判定処理において、前記第1電圧値と前記第2電圧値とを取得して前記第1電圧値と前記第2電圧値との第2差分値が前記第2電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、前記第3回数閾値以上継続して前記第2差分値が前記第2電圧閾値よりも高いと判定されたとき、前記第1双方向スイッチが正常であると判定する、ものであってもよい。
【0016】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記一対の入力端子と前記一対の出力端子の一方との間に流れる電流の電流値を検出する電流計を更に備え、
前記判定部は、前記第1検査期間の直前の時点において前記電流計により検出された電流値が、予め設定された第2電流閾値以下の場合、少なくとも前記第2回数閾値を予め設定された回数だけ増加させる、ものであってもよい。
【0017】
また、本発明に係るスイッチングモジュールは、
前記一対の入力端子と前記一対の出力端子の一方との間に流れる電流の電流値を検出する電流計を更に備え、
前記判定部は、前記第1検査期間の直前の時点において前記電流計により検出された電流値が、予め設定された第3電流閾値よりも高い場合、少なくとも前記第2回数閾値を予め設定された回数だけ減少させる、ものであってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第1双方向スイッチの短絡故障の有無の判定を行う際の交流電源から負荷へ供給される電力の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の実施の形態1に係る電源システムの概略構成図である。
図2】実施の形態1に係る電力変換ユニットの回路図である。
図3】実施の形態1に係るモジュール本体の回路図である。
図4】実施の形態1に係るスイッチングモジュールの動作を説明するためのタイムチャートである。
図5A】実施の形態1に係るモジュール本体の2つのスイッチング素子の一方の短絡故障の有無を判定している状態を示す回路図である。
図5B】実施の形態1に係るモジュール本体の2つのスイッチング素子の他方の短絡故障の有無を判定している状態を示す回路図である。
図6】実施の形態1に係る判定部が実行する短絡故障判定処理を示すフローチャートである。
図7】実施の形態1に係るスイッチングモジュールの動作を説明するためのタイムチャートである。
図8】本発明の実施の形態2に係る電源システムの概略構成図である。
図9】実施の形態2に係る判定部が実行する短絡故障判定処理を示すフローチャートである。
図10】実施の形態2に係る判定部が実行する故障有無判定処理を示すフローチャートである。
図11】変形例に係るモジュール本体の一部を示す回路図である。
図12】変形例に係るスイッチングモジュールの動作を説明するためのタイムチャートである。
図13】変形例に係るスイッチングモジュールの一部を示す回路図である。
図14】変形例に係るスイッチングモジュールの一部を示す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。本実施の形態に係るスイッチングモジュールは、例えば3相の交流電源から負荷への交流電力の供給状態を制御するために使用されるものである。このスイッチングモジュールは、予め設定された設定周期の交流電圧が印加される一対の入力端子と、電力変換回路が接続される一対の出力端子と、第1双方向スイッチと、第2双方向スイッチと、第1電圧計と、第2電圧計と、第1電圧計、第2電圧計で検出される電圧値に基づいて、第1双方向スイッチの短絡故障の有無を判定する判定部と、を備える。ここで、第1双方向スイッチは、一対の入力端子の一方と、一対の出力端子の一方との間に直列に接続され、第2双方向スイッチは、一対の入力端子の他方と、一対の出力端子の他方との間に直列に接続されている。第1電圧計は、一対の入力端子の一方と第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、一対の入力端子の他方と第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第1電圧値を検出する。第2電圧計は、一対の出力端子の一方と第1双方向スイッチとの間に生じる電位と、一対の出力端子の他方と第2双方向スイッチとの間に生じる電位と、の電位差に相当する第2電圧値を検出する。判定部は、第1時刻において、設定周期の1/2以下の検査期間だけ、第1双方向スイッチを開状態且つ第2双方向スイッチを閉状態にして、前述の第1電圧値と第2電圧値との第1差分値が、予め設定された閾値以下であれば、第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する。また、判定部は、第1時刻において第1双方向スイッチが正常と判定した場合に、第1時刻から設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻において、前述の検査期間(設定周期の1/2以下)だけ第1双方向スイッチを開状態且つ第2双方向スイッチを閉状態にし、前述の第1電圧値と第2電圧値との第2差分値が、予め設定された閾値以下であれば、第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する。
【0021】
本実施の形態に係る電源システムは、例えばデータセンタのサーバへ電力を供給するいわゆる無停電電源システムである。例えば図1に示すように、この電源システム500は、三相交流電源PAまたは待機系の三相交流電源PBから交流電力の供給を受けて出力端子TeOに接続されたサーバ(図示せず)のような負荷へ直流電力を供給する。三相交流電源PAは、3つの交流電源をΔ結線したものであり、3つの電力線L1A、L1B、L1Cを介して電源システム500へ三相交流を供給する。また、三相交流電源PBは、3つの交流電源をΔ結線したものであり、3つの電力線L2A、L2B、L2Cを介して電源システム500へ三相交流を供給する。また、電源線L1A、L1B、L1C、L2A、L2B、L2Cには、それぞれ遮断器BAA、BAB、BAC、BBA、BBB、BBCが介挿されている。
【0022】
電源システム500は、2つのモジュール本体100A、100Bと、6つの電力変換回路201、202、203、204、205、206と、これらの動作を制御する制御部300と、を備える。そして、モジュール本体100A、100Bと、制御部300と、から、スイッチングモジュール501が構成される。電力変換回路201、202、203、204、205、206は、それぞれ、例えば図2に示すように、整流回路DBと、整流回路DBの出力端間に接続された平滑用のコンデンサC1と、コンデンサC1の両端間に生じる直流電圧を昇圧または降圧して出力するDC-DCコンバータ210と、DC-DCコンバータ210の出力端間に接続されたリップル電流軽減用のコンデンサC2と、を有する。DC-DCコンバータ210は、例えばインダクタとスイッチング素子とスイッチング素子を駆動する駆動回路とを有する。駆動回路は、制御部300から入力される出力電圧の指令値を示す指令値情報に基づいて、PWM(Pulse Width Modulation)信号またはPFM(Pulse Frequency Modulation)信号をスイッチング素子へ出力することにより、DC-DCコンバータ210の出力を制御する。DC-DCコンバータ210の出力端は、電源システム500の一対の出力端子teOに接続されている。
【0023】
図1に戻って、モジュール本体100Aは、入力端子te1A、te1B、te1Cと、出力端子te3A、te3B、te3Cと、を備える。ここで、入力端子te1A、te1B、te1Cには、それぞれ、三相交流電源PAに接続された電源線L1A、L1B、L1Cが接続される。また、出力端子te3A、te3B、te3Cには、電力変換回路201、202、203、204、205、206に接続された電源線L3A、L3B、L3Cが接続される。また、モジュール本体100Bも、入力端子te2A、te2B、te2Cと、出力端子te4A、te4B、te4Cと、を備える。入力端子te2A、te2B、te2Cには、それぞれ、待機系の三相交流電源PBに接続された電源線L2A、L2B、L2Cが接続される。出力端子te4A、te4B、te4Cには、電力変換回路201、202、203、204、205、206に接続された電源線L4A、L4B、L4Cが接続される。また、モジュール本体100Aは、3つの双方向スイッチ1A、1B、1Cと、6つの電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cと、を備える。なお、モジュール本体100Bも、モジュール本体100Aと同様の構成を有し、3つの双方向スイッチ(図示せず)と、6つの電圧計(図示せず)と、を備える。
【0024】
双方向スイッチ1Aは、入力端子te1Aと出力端子te3Aとの間に直列に接続されている。双方向スイッチ1Bは、入力端子te1Bと出力端子te3Bとの間に直列に接続されている。双方向スイッチ1Cは、入力端子te1Cと出力端子te3Cとの間に直列に接続されている。双方向スイッチ1Aは、図3に示すように、2つのスイッチング素子Q1A、Q2Aと2つのダイオードD1A、D2Aとを有する。スイッチング素子Q1A、Q2Aは、例えばIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)である。スイッチング素子Q1Aは、一端が入力端子te1Aに接続されている。ダイオードD1Aは、カソードがスイッチング素子Q1Aの他端に接続され、アノードが出力端子te3Aに接続されている。ダイオードD2Aは、アノードが入力端子te1Aに接続されている。スイッチング素子Q2Aは、一端がダイオードD2Aのカソードに接続され、他端が出力端子te3Aに接続されている。双方向スイッチ1Bは、2つのスイッチング素子Q1B、Q2Bと2つのダイオードD1B、D2Bとを有する。スイッチング素子Q1Bは、一端が入力端子te1Bに接続されている。ダイオードD1Bは、カソードがスイッチング素子Q1Bの他端に接続され、アノードが出力端子te3Bに接続されている。ダイオードD2Bは、アノードが入力端子te1Bに接続されている。スイッチング素子Q2Bは、一端がダイオードD2Bのカソードに接続され、他端が出力端子te3Bに接続されている。双方向スイッチ1Cは、2つのスイッチング素子Q1C、Q2Cと2つのダイオードD1C、D2Cとを有する。スイッチング素子Q1Cは、一端が入力端子te1Cに接続されている。ダイオードD1Cは、カソードがスイッチング素子Q1Cの他端に接続され、アノードが出力端子te3Cに接続されている。ダイオードD2Cは、アノードが入力端子te1Cに接続されている。スイッチング素子Q2Cは、一端がダイオードD2Cのカソードに接続され、他端が出力端子te3Cに接続されている。
【0025】
電圧計12Aは、双方向スイッチ1A、1Bの入力端I1A、I1B間に接続され、電圧計12Bは、双方向スイッチ1B、1Cの入力端I1B、I1C間に接続されている。また、電圧計12Cは、双方向スイッチ1A、1Cの入力端I1A、I1C間に接続されている。電圧計12Aは、入力端子te1Aと双方向スイッチ1Aとの間に生じる電位と、入力端子te1B双方向スイッチ1Bとの間に生じる電位と、の電位差に相当する電圧値を検出する。電圧計12Bは、入力端子te1Bと双方向スイッチ1Bとの間に生じる電位と、入力端子te1C双方向スイッチ1Cとの間に生じる電位と、の電位差に相当する電圧値を検出する。電圧計12Cは、入力端子te1Aと双方向スイッチ1Aとの間に生じる電位と、入力端子te1Cと双方向スイッチ1Cとの間に生じる電位と、の電位差に相当する電圧値を検出する。
【0026】
電圧計13Aは、双方向スイッチ1A、1Bの出力端O1A、O1B間に接続され、電圧計13Bは、双方向スイッチ1B、1Cの出力端O1B、O1C間に接続されている。また、電圧計13Cは、双方向スイッチ1A、1Cの出力端O1A、O1C間に接続されている。電圧計13Aは、出力端子te3Aと双方向スイッチ1Aとの間に生じる電位と、出力端子te3B双方向スイッチ1Bとの間に生じる電位と、の電位差に相当する電圧値を検出する。電圧計13Bは、出力端子te3Bと双方向スイッチ1Bとの間に生じる電位と、出力端子te3Cと双方向スイッチ1Cとの間に生じる電位と、の電位差に相当する電圧値を検出する。電圧計13Cは、出力端子te3Aと双方向スイッチ1Aとの間に生じる電位と、出力端子te3Cと双方向スイッチ1Cとの間に生じる電位と、の電位差に相当する電圧値を検出する。
【0027】
図1に戻って、制御部300は、例えばマイコンとメモリとを有し、モジュール本体100A、100Bの動作を制御する。制御部300は、電源切替部301と判定部303とを有する。また、制御部300は、判定部303が電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cから電圧値を繰り返し取得する際の繰り返し回数を計数するカウンタ(図示せず)を有する。ここで、スイッチングモジュール501は、モジュール本体100A、100Bと、制御部300と、が1つのパッケージ内に組み込まれているものであってもよいし、モジュール本体100A、100Bと、制御部300と、がそれぞれ別のパッケージ内に組み込まれているものであってもよい。或いは、モジュール本体100A、100Bと、制御部300の判定部303およびメモリと、が、1つのパッケージ内に組み込まれ、制御部300の電源切替部301が、別のパッケージ内に組み込まれているものであってもよい。さらには、モジュール本体100A、100Bと、制御部300の電源切替部301およびメモリと、が、1つのパッケージ内に組み込まれ、制御部300の判定部303が、別のパッケージ内に組み込まれているものであってもよい。
【0028】
メモリには、フラグ記憶部304と、判定部303による双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無の判定結果を示す判定結果情報を記憶する判定結果記憶部305と、が設けられている。フラグ記憶部304は、双方向スイッチ1A、1B、1Cについて短絡故障の有無の判定を完了したか否かを示す完了フラグと、後述する判定終了フラグと、を記憶する。また、メモリには、判定部303が電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cから電圧値を繰り返し取得する際の繰り返し回数の上限値を示す情報も記憶されている。
【0029】
電源切替部301は、電源システム500への電力供給元を三相交流電源PAにする場合、モジュール本体100A、100Bへ制御信号を出力することにより、モジュール本体100Aの3つの双方向スイッチ1A、1B、1Cを閉状態にし、モジュール本体100Bの3つの双方向スイッチ(図示せず)を開状態にする。一方、電源切替部301は、電源システム500への電力供給元を待機系の三相交流電源PBにする場合、モジュール本体100A、100Bへ制御信号を出力することにより、モジュール本体100Aの3つの双方向スイッチ1A、1B、1Cを開状態にし、モジュール本体100Bの3つの双方向スイッチ(図示せず)を閉状態にする。電源切替部301は、スイッチング素子Q1A、Q2A、Q1B、Q2B、Q1C、Q2Cのゲート端子へ制御信号を出力することにより、スイッチング素子Q1A、Q2A、Q1B、Q2B、Q1C、Q2Cをオン状態またはオフ状態にする。
【0030】
判定部303は、後述する短絡判定処理を実行することにより、双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無を判定する。判定部303が例えば双方向スイッチ1Aの短絡故障の有無を判定するとする。図4に示すように、判定部303は、まず、第1時刻T1から三相交流電源PAから供給される交流電流の予め設定された設定周期T0の1/2以下の長さの検査期間(第1検査期間)ΔTA1だけスイッチング素子Q1A、Q2Aをオフ状態にし、スイッチング素子Q1B、Q2Bをオン状態にする。即ち、判定部303は、交流電流Iinの極性が正の期間に含まれる検査期間ΔTA1において、双方向スイッチ1Aを開状態且つ双方向スイッチ1Bを閉状態にする。なお、第1時刻T1は、例えば入力電流のゼロクロス点に対応する時刻T0から期間ΔT1だけ経過後の時刻である。また、検査期間ΔTAの長さは、三相交流電源PA、PBから供給される交流電流の設定周期T0の0.3倍以上0.5倍以下に設定されている。この検査期間ΔTAの長さは、例えば電力変換回路201、202、203、204、205、206のコンデンサC1と電力変換回路201、202、203、204、205、206に接続された負荷の大きさとで定まるコンデンサC1の放電時定数に基づいて決定することができる。放電時定数とは、コンデンサC1に蓄電された電力を負荷に放電することが可能な期間を示す。これは、検査期間ΔTA中にスイッチング素子Q1A、Q2Aはオフ状態となって低下する交流電源から負荷への電力を、コンデンサC1から負荷への放電によって補うためである。このような制御を行うことにより、短絡故障の有無の判定を行う際に、交流電源から負荷へ供給される電力の低下を抑制する。即ち、この時定数が大きくなるほど、その分、検査期間ΔTAの長さを長く設定することができる。また、検査期間ΔTA1を、三相交流電源PA、PBから供給される交流電流の設定周期T0の0.5倍に等しく設定する場合、電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cとして、入力電流のゼロクロス点を検出するとゼロクロス点検出通知情報を制御装置300へ送信する機能を有するものを採用すればよい。そして、判定部303は、電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cから受信するゼロクロス点検出通知情報に基づいて、時間軸上で隣り合う2つのゼロクロス点の間の検出期間ΔTA1中に検出された電圧値を特定するようにすればよい。そして、判定部303は、電圧計12Aにより検出される電圧値(第1電圧値)と電圧計13Aにより検出される電圧値(第2電圧値)との差分絶対値(第1差分値)が予め設定された第1電圧閾値以下のとき、双方向スイッチ1Aが短絡故障していると判定する。例えば図5Aに示すように、双方向スイッチ1Aの第2スイッチング素子に相当するスイッチング素子Q2Aが短絡故障している場合、破線矢印AR1に示すように電流が流れて、電圧計12Aにより検出される電圧値と電圧計13Aにより検出される電圧値とがほぼ同じ値となる。電圧計12Aと電圧計13Aとで検出される電圧値の差分絶対値はゼロに近い値となるため、前述の第1電圧閾値をゼロに近い値に設定することにより、判定が可能となる。
【0031】
なお、スイッチング素子Q2Aが短絡故障していない場合は、スイッチング素子Q2Aが開状態となっているため、電圧計12Aにより検出される電圧値と電圧計13Aにより検出される電圧値とは異なる値となる。よって、電圧計12Aと電圧計13Aとで検出される電圧値の差分絶対値が第1電圧閾値より大きい値となっているときに、短絡故障していないと判定することができる。
【0032】
また、判定部303が、第1時刻T1から検査期間ΔTAだけ経過するまでの間に取得した電圧値に基づいて双方向スイッチ1Aが正常と判定したとする。この場合、判定部303は、例えば、第1時刻T1から予め設定された設定周期T0の(n+1/2)倍(nは正の整数、本実施の形態の説明ではn=1とする)の期間が経過するまでの間、スイッチング素子Q1A、Q2A、Q1B、Q2Bをオン状態にして、コンデンサC1を蓄電する。そして、図4に示すように、第1時刻T1から設定周期T0の(1+1/2)倍の期間ΔT0(1+1/2)だけ経過後の第2時刻T2から2回目の検査を行う。2回目の検査期間(第2検査期間)ΔTA2では、スイッチング素子Q1A、Q2Aをオフ状態にし、スイッチング素子Q1B、Q2Bをオン状態にする。そして、第2検査期間ΔTA2中に低下する交流電源から負荷への電力を、コンデンサC1から負荷へ放電によって補い、電力の低下を抑制する。判定部303は、交流電流Iinの極性が負の期間に含まれる検査期間ΔTA2において、双方向スイッチ1Aを開状態且つ双方向スイッチ1Bを閉状態にする。なお、検査期間ΔTA2の長さも、三相交流電源PA、PBから供給される交流電流の設定周期T0の0.3倍以上0.5倍以下に設定されている。検査期間ΔTA2の長さは、検査期間ΔTA1の長さと同じであってもよいし異なっていてもよい。そして、判定部303は、電圧計12Aにより検出される電圧値(第1電圧値)と電圧計13Aにより検出される電圧値(第2電圧値)との差分絶対値(第2差分値)が前述の第1電圧閾値以下のとき、双方向スイッチ1Aが短絡故障していると判定する。例えば図5Bに示すように、双方向スイッチ1Aの第1スイッチング素子に相当するスイッチング素子Q1Aが短絡故障している場合、破線矢印AR2に示すように電流が流れて、電圧計12Aにより検出される電圧値と電圧計13Aにより検出される電圧値との差分絶対値が第1電圧閾値以下となる。
【0033】
ここで、前述の判定終了フラグは、第1時刻T1から検査期間ΔTA1が経過するまでの間に取得した電圧値に基づいて、双方向スイッチ1A(1B、1C)の短絡故障の有無の判定が終了した場合、「オン」状態となる。一方、判定終了フラグは、双方向スイッチ1A(1B、1C)短絡故障していると判定した場合、或いは、第2時刻T2から検査期間ΔTA2が経過するまでの間に取得した電圧値に基づいて、双方向スイッチ1A(1B、1C)の短絡故障の有無の判定が終了した場合に「オフ」状態となる。
【0034】
また、判定部303が、電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cにより電圧値を取得してから、短絡故障の有無の判定が完了するまでの時間は、制御部300の処理速度に依存し、例えば125μsecである。
【0035】
なお、本実施の形態においては双方向スイッチ1Aが請求項の第1双方向スイッチに相当し、双方向スイッチ1Bが請求項の第2双方向スイッチに相当し、電圧計12Aが請求項の第1電圧計に相当し、電圧計13Aが請求項の第2電圧計に相当する。そして、スイッチング素子Q1Aが請求項の第1スイッチング素子に相当し、スイッチング素子Q2Aが、請求項の第2スイッチング素子に相当する。また、スイッチング素子Q1Bが請求項の第3スイッチング素子に相当し、スイッチング素子Q2Bが請求項の第4スイッチング素子に相当する。ダイオードD1Aが請求項の第1ダイオードに相当し、ダイオードD2Aが請求項の第2ダイオードに相当する。ダイオードD1Bが請求項の第3ダイオードに相当し、ダイオードD2Bが請求項の第4ダイオードに相当する。しかし、本実施の形態の中で相当するものであり、請求項がこれに限定されるものではない。
【0036】
次に、本実施の形態に係る判定部303が実行する短絡故障判定処理について、図6および図7を参照しながら説明する。なお、この短絡故障判定処理の開始時において、モジュール本体100Aの双方向スイッチ1A、1B、1Cは全て閉状態になっているものとする。また、判定対象となる双方向スイッチ1A(1B、1C)について、第1時刻から検査期間だけ双方向スイッチ1A(1B、1C)をオフにした状態での短絡故障の有無の判定が終了したか否かを示す判定終了フラグは、オフ状態に設定されているものとする。図6に示すように、まず、判定部303は、第1時刻が到来したか否かを判定する(ステップS1)。判定部303は、第1時刻が到来しない限り(ステップS1:No)、ステップS1の処理を繰り返す。一方、判定部303は、第1時刻が到来したと判定すると(ステップS1:Yes)、スイッチング素子Q1A、Q2A(Q1B、Q2B、Q1C、Q2C)をオフする(ステップS2)。ここで、判定部303は、双方向スイッチ1Aの短絡故障の有無を判定する場合、スイッチング素子Q1A、Q2Aをオフし、双方向スイッチ1Bの短絡故障の有無を判定する場合、スイッチング素子Q1B、Q2Bをオフする。また、判定部303は、双方向スイッチ1Cの短絡故障の有無を判定する場合、スイッチング素子Q1C、Q2Cをオフする。
【0037】
次に、電圧計12A、13A(12B、13B、12C、13C)から電圧値を繰り返し取得する際の繰り返し回数のカウント値「i」を「0」に設定する(ステップS3)。続いて、判定部303は、電圧計12A、13A(12B、13B、12C、13C)それぞれから電圧値を取得する(ステップS4)。ここで、判定部303は、双方向スイッチ1Aの短絡故障の有無を判定する場合、電圧計12A、13Aそれぞれから電圧値を取得し、双方向スイッチ1Bの短絡故障の有無を判定する場合、電圧計12B、13Bそれぞれから電圧値を取得する。また、判定部303は、双方向スイッチ1Cの短絡故障の有無を判定する場合、電圧計12C、13Cそれぞれから電圧値を取得する。
【0038】
その後、判定部303は、取得した2つの電圧値の差分絶対値|ΔV|を算出する(ステップS5)。次に、判定部303は、電圧計12A、13A(12B、13B、12C、13C)から電圧値を「i回繰り返し取得していた場合、「i」個の差分絶対値の最大値を算出する(ステップ6)。続いて、判定部303は、カウント値[i]が予め設定された繰り返し回数の上限値「N」未満であるか否かを判定する(ステップS7)。ここで、繰り返し回数の上限値「N」は、例えば「9」に設定される。判定部303は、カウント値「i」が繰り返し回数「N」未満であると判定すると(ステップS7:Yes)、再びステップS4の処理を実行する。
【0039】
一方、判定部303は、カウント値「i」が繰り返し回数「N」以上であると判定すると(ステップS7:No)、スイッチング素子Q1A、Q2A(Q1B、Q2B、Q1C、Q2C)をオンする(ステップS8)。このとき、判定部303は、カウンタのカウント値を「0」に初期化する。次に、判定部303は、フラグ記憶部304が記憶する判定終了フラグを変更する(ステップS9)。ここで、判定部303は、判定終了フラグが「オン」に設定されている場合、判定終了フラグを「オフ」に変更する。一方、判定部303は、判定終了フラグが「オフ」に設定されている場合、判定終了フラグを「オン」に設定する。
【0040】
続いて、判定部303は、差分絶対値の最大値|ΔV|maxが予め設定された第1電圧閾値|ΔV|th以下であるか否かを判定する(ステップS10)。判定部303は、差分絶対値の最大値|ΔV|maxが第1電圧閾値|ΔV|th以下であると判定すると(ステップS10:Yes)、双方向スイッチ1A(1B、1C)が短絡故障であると判定する(ステップS11)。このとき、判定部303は、双方向スイッチ1A(1B、1C)が短絡故障していることを示す故障判定情報を、判定対象の双方向スイッチ1A(1B、1C)の識別情報と対応づけて判定結果記憶部305に記憶させる。その後、判定部303は、フラグ記憶部304が記憶する判定終了フラグをオフ状態にする(ステップS12)。ここで、判定部303は、フラグ記憶部304が記憶する判定終了フラグが既にオフ状態である場合、判定終了フラグをオフ状態で維持する。次に、判定部303は、後述するステップS16の処理を実行する。
【0041】
また、判定部303は、ステップS10において、差分絶対値の最大値|ΔV|maxが第1電圧閾値|ΔV|thを超えていると判定すると(ステップS10:No)、判定終了フラグがオン状態であるか否かを判定する(ステップS13)。判定部303は、判定終了フラグがオン状態であると判定すると(ステップS13:Yes)、第2時刻が到来したか否かを判定する(ステップS14)。判定部303は、第2時刻が到来しない限り(ステップS14:No)、ステップS14の処理を繰り返す。一方、判定部303は、第2時刻が到来したと判定すると(ステップS14:Yes)、再びステップS2以降の処理を実行する。
【0042】
また、判定部303は、ステップS13において、判定終了フラグがオフ状態であると判定すると(ステップS13:No)、双方向スイッチ1A(1B、1C)が正常であると判定する(ステップS15)。このとき、判定部303は、双方向スイッチ1A(1B、1C)が正常であることを示す正常判定情報を、判定対象の双方向スイッチ1A(1B、1C)の識別情報と対応づけて判定結果記憶部305に記憶させる。
【0043】
続いて、判定部303は、フラグ記憶部304が記憶する完了フラグに基づいて、短絡故障の有無について未判定の双方向スイッチ1A(1B、1C)が有るか否かを判定する(ステップS16)。判定部303は、短絡故障の有無について未判定の双方向スイッチ1A(1B、1C)が有ると判定すると(ステップS16:Yes)、未判定の双方向スイッチ1A(1B、1C)についてステップS1以降の処理を実行する。一方、判定部303は、短絡故障の有無について未判定の双方向スイッチ1A(1B、1C)が無いと判定すると(ステップS16:No)、判定結果記憶部305が記憶する判定結果情報を、外部機器(図示せず)へ出力する(ステップS17)。そして、短絡故障判定処理が終了する。
【0044】
判定部303は、この短絡故障判定処理を実行することにより、例えば図7に示すように、双方向スイッチ1A、1B、1Cのスイッチング素子Q1A、Q1B、Q1C、Q2A、Q2B、Q2Cのオンオフ状態を切り替える。即ち、判定部303は、まず、電力線L1Aを流れるR相の交流電流の極性が正の期間ΔTA1と負の期間ΔTA2において、双方向スイッチ1Aのスイッチング素子Q1A、Q2Aをオフ状態にして、双方向スイッチ1Aの短絡故障の有無を判定する。次に、判定部303は、電力線L1Bを流れるS相の交流電流の極性が正の期間ΔTB1と負の期間ΔTB2において、双方向スイッチ1Bのスイッチング素子Q1B、Q2Bをオフ状態にして、双方向スイッチ1Bの短絡故障の有無を判定する。その後、判定部303は、電力線L1Cを流れるT相の交流電流の極性が正の期間ΔTC1と負の期間ΔTC2において、双方向スイッチ1Cのスイッチング素子Q1C、Q2Cをオフ状態にして、双方向スイッチ1Cの短絡故障の有無を判定する。
【0045】
以上説明したように、本実施の形態に係るスイッチングモジュール501によれば、判定部303が、第1時刻から予め設定された設定周期の1/2以下の長さの検査期間だけ双方向スイッチ1A、1B、1Cのうちの1つを開状態且つ他を閉状態にして双方向スイッチ1A、1B、1Cの両側の電圧値を取得し、取得した2つの電圧値の差分絶対値が第1電圧閾値以下のとき、開状態にした双方向スイッチ1A、1B、1Cが短絡故障していると判定する。また、判定部303は、第1時刻から検査期間経過するまでの間に取得した電圧値に基づいて双方向スイッチ1A、1B、1Cが正常と判定した場合、第1時刻から設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻から検査期間だけ双方向スイッチ1A、1B、1Cのうちの1つを開状態且つ他を閉状態にして、双方向スイッチ1A、1B、1Cの両側の電圧値を取得し、取得した2つの電圧値の差分絶対値が第1電圧閾値以下であれば、双方向スイッチ1A、1B、1Cが短絡故障していると判定する。これにより、三相交流電源PA、PBから供給される交流電流の設定周期の1/2以下の長さの検査期間双方向スイッチ1A、1B、1Cを開状態にするだけ、もしくは、この動作の後に設定周期の(n+1/2)倍(n=正の整数)の期間を経過した後にもう一度繰り返すだけで、双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無を判定することができる。従って、双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無の判定を行う際の三相交流電源PA、PBから負荷へ供給される電力の低下を抑制することができる。
【0046】
また、本実施の形態に係るスイッチングモジュール501によれば、電圧計12Aは、双方向スイッチ1A、1Bの入力端I1A、I1B間に接続され、電圧計12Bは、双方向スイッチ1B、1Cの入力端I1B、I1C間に接続されている。また、電圧計12Cは、双方向スイッチ1A、1Cの入力端I1A、I1C間に接続されている。電圧計13Aは、双方向スイッチ1A、1Bの出力端O1A、O1B間に接続され、電圧計13Bは、双方向スイッチ1B、1Cの出力端O1B、O1C間に接続されている。また、電圧計13Cは、双方向スイッチ1A、1Cの出力端O1A、O1C間に接続されている。これにより、双方向スイッチ1A、1B、1Cと電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cとの間に介在する配線長が短くなり、配線間に生じる寄生インピーダンスが小さくなるので、電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cで検出される電圧値の精度を高めることができる。従って、双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無の判定精度を高めることができる。
【0047】
更に、本実施の形態に係るスイッチングモジュール501では、前述の検査期間の長さが、三相交流電源PA、PBから供給される交流電流の設定周期の0.3倍以上0.5倍以下に設定されている。検査期間が設定周期の0.3倍以上0.5倍以下とすることによってカウント数をふやすことができるので、双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無の判定精度を向上させることができる。例えば、検査期間が設定周期の0.3倍であるとする。また、判定部303が、電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cから電圧値を取得してから、短絡故障の有無の判定が完了するまでの時間が、例えば125μsecであるとする。この場合、判定部303は、40回以上繰り返して判定を実行することができるので、十分な判定精度を確保できる。
【0048】
また、本実施の形態に係る判定部303は、第1時刻から前述の検査期間だけ経過するまでの間に取得した双方向スイッチ1A、1B、1Cの両端の電圧値に基づいて双方向スイッチ1A、1B、1Cが短絡故障していると判定した場合、第2時刻における双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無の判定を回避する。これにより、双方向スイッチ1A、1B、1Cを開状態にする期間を短縮することができるので、その分、電源システム500の出力低下が抑制されるという利点がある。
【0049】
(実施の形態2)
本実施の形態に係るスイッチングモジュールは、実施の形態1と同様に、一対の入力端子と一対の出力端子と第1双方向スイッチと第2双方向スイッチと第1電圧計と第2電圧計とを備える。但し、判定部が、第1時刻において、設定周期の1/2以下の検査期間だけ、第1双方向スイッチを開状態且つ第2双方向スイッチを閉状態にして、前述の第1電圧値と第2電圧値との第1差分値が、予め設定された第1電圧閾値以下であれば、第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する点が実施の形態1と相違する。また、判定部は、第1時刻において第1双方向スイッチが正常と判定した場合に、第1時刻から設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻において、前述の検査期間(設定周期の1/2以下)だけ第1双方向スイッチを開状態且つ第2双方向スイッチを閉状態にし、前述の第1電圧値と第2電圧値との第2差分値が、前述の第1電圧閾値以下であれば、第1双方向スイッチが短絡故障していると判定する点でも実施の形態1と相違する。
【0050】
本実施の形態に係る電源システムは、図8に示すように、実施の形態1に係る電源システムと同様のハードウェア構成を有する。なお、図8において、実施の形態1と同様の構成については、図1と同一の符号を付している。制御部2300は、制御部300と同様のハードウェア構成を有し、電源切替部301と判定部2303とを有する。そして、実施の形態1と同様に、モジュール本体100A、100Bと、制御部2300と、から、スイッチングモジュール2501が構成される。
【0051】
判定部2303は、後述する短絡判定処理を実行することにより、双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無を判定する。判定部2303が例えば双方向スイッチ1Aの短絡故障の有無を判定するとする。この場合、図4に示すように、判定部2303は、まず、第1時刻T1から三相交流電源PAから供給される交流電流の予め設定された設定周期T0の1/2以下の長さの検査期間ΔTA1だけスイッチング素子Q1A、Q2Aをオフ状態にし、スイッチング素子Q1B、Q2Bをオン状態にする。そして、判定部2303は、電圧計12Aにより検出される電圧値と電圧計13Aにより検出される電圧値との差分絶対値(第1差分値)が予め設定された第1電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、予め設定された第1回数閾値以上継続して前述の差分絶対値が第1電圧閾値以下と判定されたとき、第1双方向スイッチ1Aが短絡故障していると判定する第1判定処理を実行する。ここで、第1電圧閾値は、例えば10Vに設定される。また、第1回数閾値は、例えば「10」に設定される。
【0052】
また、判定部2303が、前述の第1判定処理において、双方向スイッチ1Aが正常と判定したとする。この場合、判定部2303は、図4に示すように、第1時刻T1から予め設定された設定周期T0の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間が経過するまでの間、スイッチング素子Q1A、Q2A、Q1B、Q2Bをオン状態にして、コンデンサC1を蓄電する。そして、判定部2303は、第1時刻T1から設定周期T0の(1+1/2)倍の期間ΔT0(1+1/2)だけ経過後の第2時刻T2から2回目の検査を行う。2回目の検査期間ΔTA2では、スイッチング素子Q1A、Q2Aをオフ状態にし、スイッチング素子Q1B、Q2Bをオン状態にする。判定部2303は、交流電流Iinの極性が負の期間に含まれる検査期間ΔTA2において、双方向スイッチ1Aを開状態且つ双方向スイッチ1Bを閉状態にする。そして、判定部2303は、電圧計12Aにより検出される電圧値と電圧計13Aにより検出される電圧値との差分絶対値(第2差分値)が前述の第1電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、前述の第1回数閾値以上継続して差分絶対値が第1電圧閾値以下と判定されたとき、双方向スイッチ1Aが短絡故障していると判定する第2判定処理を実行する。
【0053】
また、判定部2303は、前述の第1判定処理において、双方向スイッチ1Aが短絡故障していると判定された場合、前述の第2判定処理の実行を回避する。更に、判定部2303は、前述の第1判定処理において、予め設定された第2回数閾値以上継続して差分絶対値が第1電圧閾値よりも高いと判定され、且つ、前述の第2判定処理において、第2回数閾値以上継続して差分絶対値が第1電圧閾値よりも高いと判定された場合、双方向スイッチ1Aが正常であると判定する、ここで、第2回数閾値は、第1回数閾値よりも大きい値に設定され、例えば「40」に設定される。
【0054】
更に、判定部2303は、前述の第1判定処理において、電圧計12Aにより検出される電圧値と電圧計13Aにより検出される電圧値との差分絶対値が予め設定された第2電圧閾値よりも高いか否かの判定を繰り返し実行し、予め設定された第3回数閾値以上継続して差分絶対値が第2電圧閾値よりも高いと判定されたとき、次に、前述の第2判定処理を実行する。ここで、第2電圧閾値は、第1電圧閾値よりも高い電圧に設定され、例えば15Vに設定される。また、第3回数閾値は、例えば「20」に設定される。そして、判定部2303は、前述の第2判定処理において、電圧計12Aにより検出される電圧値と電圧計13Aにより検出される電圧値との差分絶対値が前述の第2電圧閾値以下であるか否かの判定を繰り返し実行し、前述の第3回数閾値以上継続して差分絶対値が前述の第2電圧閾値よりも高いと判定されたとき、双方向スイッチ1Aが正常であると判定する。
【0055】
また、制御部2300のメモリは、故障有判定回数記憶部2306と、故障無判定回数記憶部2307と、を有する。ここで、故障有判定回数記憶部2306は、前述の差分絶対値が第1電圧閾値以下と判定された回数である故障有判定回数を示す情報を記憶する。また、故障無判定回数記憶部2307は、前述の差分絶対値が第2電圧閾値よりも高くなったと判定された回数である故障無判定回数を示す情報を記憶する。
【0056】
次に、本実施の形態に係る判定部2303が実行する短絡故障判定処理について、図9および図10を参照しながら説明する。なお、この短絡故障判定処理の開始時において、モジュール本体100Aの双方向スイッチ1A、1B、1Cは全て閉状態になっているものとする。また、判定対象となる双方向スイッチ1A(1B、1C)について、第1時刻から検査期間だけ双方向スイッチ1A(1B、1C)をオフにした状態での短絡故障の有無の判定が終了したか否かを示す判定終了フラグは、オフ状態に設定されているものとする。図9に示すように、まず、判定部2303は、ステップS201乃至S203の処理を実行する、ステップS201乃至S203の処理は、実施の形態1で説明したステップS1乃至S3の処理と同様である。次に、判定部2303は、電圧計12A、13A(12B、13B、12C、13C)それぞれから電圧値を取得する(ステップS204)。続いて、判定部2303は、取得した2つの電圧値の差分絶対値を算出する(ステップS205)。
【0057】
その後、判定部2303は、算出した差分絶対値に基づいて、双方向スイッチ1A(1B、1C)の短絡故障の有無を判定する故障有無判定処理を実行する(ステップS206)。この故障有無判定処理では、図10に示すように、まず、判定部2303が、差分絶対値|ΔV|が、前述の第1電圧閾値|ΔV|th1以下であるか否かを判定する(ステップS301)。ここで、判定部2303が、差分絶対値|ΔV|が第1電圧閾値|ΔV|th1以下と判定すると(ステップS301:Yes)、故障有判定回数記憶部2306が記憶する故障有判定回数Mを「1」だけインクリメントする形で更新し(ステップS302)、後述のステップS304の処理を実行する。一方、判定部2303が、差分絶対値|ΔV|が第1電圧閾値|ΔV|th1よりも高いと判定すると(ステップS301:No)、故障有判定回数記憶部2306が記憶する故障有判定回数Mを「0」に初期化する(ステップS303)。次に、判定部2303は、差分絶対値|ΔV|が、前述の第2電圧閾値|ΔV|th2よりも高いか否かを判定する(ステップS304)。判定部2303は、差分絶対値|ΔV|が第2電圧閾値|ΔV|th2よりも高いと判定すると(ステップS304:Yes)、故障無判定回数記憶部2307が記憶する故障無判定回数Sを「1」だけインクリメントする形で更新する(ステップS305)。一方、判定部2303は、差分絶対値|ΔV|が第2電圧閾値|ΔV|th2以下であると判定すると(ステップS304:No)、故障無判定回数記憶部2307が記憶する故障無判定回数Sを「0」に初期化する(ステップS306)。その後、図9のステップS207の処理が実行される。
【0058】
判定部2303は、ステップS206の処理を実行した後、故障有判定回数記憶部2306を参照して、故障有判定回数Mが、前述の第1回数閾値Mth以上であるか否かを判定する(ステップS207)。判定部2303は、故障有判定回数Mが、前述の第1回数閾値Mth以上であると判定すると(ステップS207:Yes)、スイッチング素子Q1A、Q2A(Q1B、Q2B、Q1C、Q2C)をオンする(ステップS208)。このとき、判定部2303は、カウンタのカウント値を「0」に初期化するとともに、故障有判定回数記憶部2306が記憶する故障有判定回数および故障無判定回数記憶部2307が記憶する故障無判定回数を共に「0」に初期化する。続いて、判定部2303は、双方向スイッチ1A(1B、1C)が短絡故障であると判定する(ステップS209)。このとき、判定部2303は、双方向スイッチ1A(1B、1C)が短絡故障していることを示す故障判定情報を、判定対象の双方向スイッチ1A(1B、1C)の識別情報と対応づけて判定結果記憶部305に記憶させる。その後、判定部2303は、フラグ記憶部304が記憶する判定終了フラグをオフ状態にする(ステップS210)。ここで、判定部2303は、フラグ記憶部304が記憶する判定終了フラグが既にオフ状態である場合、判定終了フラグをオフ状態で維持する。このようにして、判定部2303は、前述の第1判定処理において、双方向スイッチ1Aが短絡故障していると判定された場合、前述の第2判定処理の実行を回避する。次に、判定部2303は、後述するステップS218の処理を実行する。
【0059】
また、判定部2303は、故障有判定回数Mが、前述の第1回数閾値Mth未満であると判定すると(ステップS207:No)、故障無判定回数記憶部2307を参照して、故障無判定回数Sが、前述の第3回数閾値Sth以上であるか否かを判定する(ステップS211)。判定部2303により、故障無判定回数Sが、前述の第3回数閾値Sth以上であると判定されると(ステップS211:Yes)、そのまま後述するステップS213の処理が実行される。一方、判定部2303は、故障無判定回数Sが、前述の第3回数閾値Sth未満であると判定されると(ステップS211:No)、カウント値[i]が前述の第2回数閾値N未満であるか否かを判定する(ステップS212)。判定部2303は、カウント値「i」が第2回数閾値N未満であると判定すると(ステップS212:Yes)、再びステップS204の処理を実行する。
【0060】
一方、判定部2303は、カウント値「i」が第2回数閾値N以上であると判定すると(ステップS212:No)、スイッチング素子Q1A、Q2A(Q1B、Q2B、Q1C、Q2C)をオンする(ステップS213)。このとき、判定部2303は、カウンタのカウント値を「0」に初期化するとともに、故障有判定回数記憶部2306が記憶する故障有判定回数および故障無判定回数記憶部2307が記憶する故障無判定回数を共に「0」に初期化する。続いて、判定部2303は、フラグ記憶部304が記憶する判定終了フラグを変更する(ステップS214)。ここで、判定部2303は、判定終了フラグが「オン」に設定されている場合、判定終了フラグを「オフ」に変更する。一方、判定部2303は、判定終了フラグが「オフ」に設定されている場合、判定終了フラグを「オン」に設定する。
【0061】
その後、判定部2303は、判定終了フラグがオン状態であるか否かを判定する(ステップS215)。判定部2303は、判定終了フラグがオン状態であると判定すると(ステップS215:Yes)、第2時刻が到来したか否かを判定する(ステップS216)。判定部2303は、第2時刻が到来しない限り(ステップS216:No)、ステップS216の処理を繰り返す。一方、判定部2303は、第2時刻が到来したと判定すると(ステップS216:Yes)、再びステップS202以降の処理を実行する。
【0062】
また、判定部2303は、ステップS215において、判定終了フラグがオフ状態であると判定すると(ステップS215:No)、双方向スイッチ1A(1B、1C)が正常であると判定する(ステップS21)。このとき、判定部2303は、双方向スイッチ1A(1B、1C)が正常であることを示す正常判定情報を、判定対象の双方向スイッチ1A(1B、1C)の識別情報と対応づけて判定結果記憶部305に記憶させる。
【0063】
続いて、判定部2303は、フラグ記憶部304が記憶する完了フラグに基づいて、短絡故障の有無について未判定の双方向スイッチ1A(1B、1C)が有るか否かを判定する(ステップS218)。判定部2303は、短絡故障の有無について未判定の双方向スイッチ1A(1B、1C)が有ると判定すると(ステップS218:Yes)、未判定の双方向スイッチ1A(1B、1C)についてステップS201以降の処理を実行する。一方、判定部2303は、短絡故障の有無について未判定の双方向スイッチ1A(1B、1C)が無いと判定すると(ステップS218:No)、ステップS219以降の処理を実行する。なお、ステップS219の処理は、実施の形態1で説明したステップS17の処理と同様である。
【0064】
以上説明したように、本実施の形態に係るスイッチングモジュール2501によれば、判定部2303が、前述の故障有無判定処理において、第1回数閾値Mthに相当する回数だけ短絡故障と判定したときに初めて、双方向スイッチ1A(1B、1C)が短絡故障していると判定する。従って、電圧計12Aにより検出される電圧値と電圧計13Aにより検出される電圧値との差分絶対値の突発的な変動による影響を抑制することができるので、双方向スイッチ1A(1B、1C)の短絡故障の判定精度を高めることができる。
【0065】
また、本実施の形態に係るスイッチングモジュール2501によれば、判定部2303が、前述の第1判定処理において、双方向スイッチ1Aが短絡故障していると判定された場合、前述の第2判定処理の実行を回避する。これにより、双方向スイッチ1A(1B、1C)を開状態にする時間を短縮することができるので、負荷Rへ供給する電力の低下が抑制される。
【0066】
更に、本実施の形態に係るスイッチングモジュール2501によれば、判定部2303が、前述の第1判定処理において、第3回数閾値Sth以上継続して前述の差分絶対値|ΔV|が第2電圧閾値|ΔV|th2よりも高いと判定されたとき、次に、前述の第2判定処理を実行する。これにより、第1判定処理が実行される頻度が低減されるので、双方向スイッチ1A(1B、1C)を開状態にする時間を短縮することができる。従って、負荷Rへ供給する電力の低下が抑制されるとともに、電力変換回路201、202、203、204、205、206への突入電流も低減できるという利点がある。
【0067】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は前述の実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、制御部300はスイッチングモジュールに含まれてもいてもよい。さらに、制御部300の一部(電源切替部301)だけを含むように構成してもよい。或いは、一つのモジュール本体と一つの制御部とをセットにしたスイッチングモジュールにしてもよい。
【0068】
また、例えば図11に示すように、双方向スイッチ2001A、2001B、2001Cが、リレースイッチReA、ReB、ReCを有するいわゆる複合双方向スイッチであってもよい。なお、図11において、実施の形態と同様の構成については図3と同一の符号を付している。このスイッチングモジュールの場合、電源切替部301は、電源システム500への電力供給元を三相交流電源PAにする場合、モジュール本体100Aの3つの双方向スイッチ2001A、2001B、2001CおよびリレースイッチReA、ReB、ReCを閉状態にし、モジュール本体100Bの3つの双方向スイッチ(図示せず)およびリレースイッチReA、ReB、ReCを開状態にする。一方、電源切替部301は、電源システム500への電力供給元を待機系の三相交流電源PBにする場合、モジュール本体100Aの3つの双方向スイッチ2001A、2001B、2001CおよびリレースイッチREA、REB、RECを開状態にする。リレースイッチReA、ReB、ReCが例えばコイルを有する電磁リレーである場合、電源切替部301は、リレースイッチReA、ReB、ReCのコイルへ流す電流を制御することにより、リレースイッチReA、ReB、ReCをオン状態またはオフ状態にする。
【0069】
本変形例に係る判定部303が実行する短絡故障判定処理では、実施の形態で説明した図6に示す短絡故障判定処理のステップS2において、スイッチング素子Q1A、Q2A(Q1B、Q2B、Q1C、Q2C)をオフするとともに、リレースイッチReA(ReB、ReC)を開状態にする。また、本変形例に係る短絡故障判定処理では、図6に示す短絡故障判定処理のステップS8において、スイッチング素子Q1A、Q2A(Q1B、Q2B、Q1C、Q2C)をオンするとともに、リレースイッチReA(ReB、ReC)を閉状態にする。
【0070】
判定部303は、この短絡故障判定処理を実行することにより、例えば図12に示すように、双方向スイッチ2001A、2001B、2001Cのスイッチング素子Q1A、Q1B、Q1C、Q2A、Q2B、Q2Cのオンオフ状態とリレースイッチReA、ReB、ReCの開閉状態を切り替える。即ち、判定部303は、まず、電力線L1Aを流れるR相の交流電流の極性が正の期間ΔTA1と負の期間ΔTA2において、双方向スイッチ2001Aのスイッチング素子Q1A、Q2Aをオフ状態且つリレースイッチRAを開状態にして、双方向スイッチ2001Aの短絡故障の有無を判定する。次に、判定部303は、電力線L1Bを流れるS相の交流電流の極性が正の期間ΔTB1と負の期間ΔTB2において、双方向スイッチ2001Bのスイッチング素子Q1B、Q2Bをオフ状態且つリレースイッチReBを開状態にして、双方向スイッチ2001Bの短絡故障の有無を判定する。その後、判定部303は、電力線L1Cを流れるT相の交流電流の極性が正の期間ΔTC1と負の期間ΔTC2において、双方向スイッチ2001Cのスイッチング素子Q1C、Q2Cをオフ状態且つリレースイッチReCを開状態にして、双方向スイッチ2001Cの短絡故障の有無を判定する。
【0071】
本構成によれば、リレースイッチReA,ReB,ReCを有する双方向スイッチ2001A、2001B、2001Cについても短絡故障の有無を判定することができる。
【0072】
実施の形態では、電圧計12A、12B、12C、13A、13B、13Cをスイッチングモジュールの例について説明した。但し、これに限らず、例えば図13に示すように、スイッチングモジュールが、双方向スイッチ1A、1B、1Cに直列に接続された電流計312A、312B、312Cを備えるものであってもよい。ここで、電流計312Aは、入力端子te1Aと双方向スイッチ1Aとの間を流れる電流の電流値(第1電流値)を検出し、電流計312Bは、入力端子te1Bと双方向スイッチ1Bとの間を流れる電流の電流値(第2電流値)を検出する。また、電流計312Cは、入力端子te1Cと双方向スイッチ1Cとの間を流れる電流の電流値を検出する。
【0073】
また、本変形例に係る判定部303は、例えば双方向スイッチ1Aの短絡故障の有無を判定するとする。そして、判定部303は、第1時刻から設定周期の1/2以下の長さの予め設定された検査期間だけ双方向スイッチ1Aを開状態且つ双方向スイッチ1Bを閉状態にして電流計312Aにより検出される電流値を取得する。双方向スイッチ1Aが短絡故障している場合、電流計312Aで測定される電流値が予め定められた第1電流閾値を超えることにより判定が可能となる。また、判定部303は、第1時刻から前述の検査期間だけ経過するまでの間に取得した電流値に基づいて双方向スイッチ1Aが正常と判定した場合、第1時刻から設定周期の(n+1/2)倍(nは正の整数)の期間だけ経過後の第2時刻から前述の検査期間だけ双方向スイッチ1Aを開状態且つ双方向スイッチ1Bを閉状態にして電流計312Aにより検出される電流値が第1電流閾値以上であれば、双方向スイッチ1Aが短絡故障していると判定する。
【0074】
なお、双方向スイッチ1Aが短絡故障していない場合は、開状態となっているため、電流計312Aにより検出される電流値が第1電流閾値より小さい値となっているときに、短絡故障していないと判定することができる。また、双方向スイッチ1Aは、請求項の第1双方向スイッチに相当し、双方向スイッチ1Bが請求項の第2双方向スイッチに相当する。また、電流計312Aが請求項の電流計に相当する。しかし、これらは本実施の形態の中で相当するものであり、請求項がこれに限定されるものではない。
【0075】
実施の形態2において、例えば図14に示すように、スイッチングモジュール2501が、入力端子te1A、te1B、te1Cと、出力端子te3A、te3B、te3Cと、の間に流れる電流の電流値を検出する電流計412A、412B、412Cを備えるものであってもよい。この場合、判定部2303は、実施の形態1で説明した検査期間(第1検査期間)ΔTA1の直前の時点において電流計412A、412B、412Cにより検出された電流値が、予め設定された第2電流閾値以下の場合、前述の第1回数閾値Mthを予め設定された回数だけ増加させるようにしてもよい。例えば、第1回数閾値Mtを「10」から「15」に増加させてもよい。このとき、判定部2303が、前述の第2回数閾値Nと前述の第3回数閾値Sthとの少なくとも一方を予め設定された回数だけ増加させるようにしてもよい。例えば、第2回数閾値Nを「40」から「60」に増加させ、第3回数閾値Sthを「20」から「30」に増加させてもよい。
【0076】
また、判定部2303は、前述の検査期間の直前の時点において電流計412A、412B、412Cにより検出された電流値が、予め設定された第3電流閾値よりも高い場合、前述の第1回数閾値Mthを予め設定された回数だけ減少させるようにしてもよい。例えば、第1回数閾値Mtを「10」から「5」に減少させてもよい。このとき、判定部2303が、前述の第2回数閾値Nと前述の第3回数閾値Sthとの少なくとも一方を予め設定された回数だけ減少させるようにしてもよい。例えば、第2回数閾値Nを「40」から「35」に減少させ、第3回数閾値Sthを「20」から「15」に減少させてもよい。
【0077】
本構成によれば、電流計412A、412B、412Cにより検出された電流値が、前述の第2電流閾値以下の場合、即ち、負荷が比較的軽い場合に前述の第1判定処理または第2判定処理の繰り返し回数を増加させるので、双方向スイッチ1A(1B、1C)の短絡故障の判定精度を向上させることができる。また、電流計412A、412B、412Cにより検出された電流値が、前述の第3電流閾値よりも高い場合、即ち、負荷が比較的重い場合に前述の第1判定処理または第2判定処理の繰り返し回数を減少させるので、負荷への電力供給の低下を抑制できる。
【0078】
実施の形態では、電源システム500が、三相交流電源PA、PBから電力供給を受ける例について説明したが、これに限らず、電源システムが、例えば二相交流電源から2本の電源線を介して2相の交流電力の供給を受けるものであってもよい。或いは、電源システムが、例えば3相4線式で交流電力の供給を受けるものであってもよい。
【0079】
実施の形態において、電源システム500が、外部機器と通信する通信部(図示せず)を備えるものであってもよい。この場合、制御部300は、判定結果記憶部305から、双方向スイッチ1A、1B、1Cの短絡故障の有無の判定結果を示す判定結果情報を取得し、取得した判定結果情報を、通信部を介して外部機器へ送信する結果送信部を有するものであってもよい。
【0080】
以上、本発明の実施の形態および変形例(なお書きに記載したものを含む。以下、同様。)について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。本発明は、実施の形態および変形例が適宜組み合わされたもの、それに適宜変更が加えられたものを含む。
【0081】
本出願は、2018年12月26日に出願された日本国特許出願特願2018-242050号および2019年5月10日に出願された日本国特許出願2019-089527号に基づく。本明細書中に日本国特許出願特願2018-242050号の明細書、特許請求の範囲および図面全体と日本国特許出願特願2019-089527号の明細書、特許請求の範囲および図面全体とを参照として取り込むものとする。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明は、サーバ用の電源システムに好適である。
【符号の説明】
【0083】
1A,1B,1C,2001A,2001B,2001C:双方向スイッチ、12A,12B,12C,13A,13B,13C:電圧計、100A,100B:モジュール本体、201,202,203,204,205,206:電力変換回路、210:DC-DCコンバータ、300,2300:制御部、301:電源切替部、303,2303:判定部、304:フラグ記憶部、305:判定結果記憶部、312A,312B,312C:電流計、500:電源システム、501,2501:スイッチングモジュール、2306:故障有判定回数記憶部、2307:故障無判定回数記憶部、BAA,BAB,BAC,BBA,BBB,BBC:遮断器、C1,C2:コンデンサ、D1A,D1B,D1C,D2A、D2B,D2C:ダイオード、DB:整流回路、PA,PB:三相交流電源、Q1A,Q1B,Q1C,Q2A、Q2B,Q2C:スイッチング素子、ReA,ReB,ReC:リレースイッチ、te1A,te1B,te1C,te2A,te2B,te2C:入力端子、te3A,te3B,te3C,te4A,te4B,te4C:出力端子
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14