(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】クレーン及び経路生成システム
(51)【国際特許分類】
B66C 23/88 20060101AFI20221109BHJP
B66C 15/00 20060101ALI20221109BHJP
B66C 13/00 20060101ALN20221109BHJP
【FI】
B66C23/88 D
B66C15/00 E
B66C13/00 D
(21)【出願番号】P 2020572196
(86)(22)【出願日】2020-02-05
(86)【国際出願番号】 JP2020004394
(87)【国際公開番号】W WO2020166455
(87)【国際公開日】2020-08-20
【審査請求日】2021-07-12
(31)【優先権主張番号】P 2019024956
(32)【優先日】2019-02-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000148759
【氏名又は名称】株式会社タダノ
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山内 浩嗣
(72)【発明者】
【氏名】南 佳成
(72)【発明者】
【氏名】深町 聡一郎
(72)【発明者】
【氏名】水木 和磨
(72)【発明者】
【氏名】中岡 翔平
【審査官】須山 直紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-69836(JP,A)
【文献】特開2016-153335(JP,A)
【文献】特開2010-241548(JP,A)
【文献】特開2017-88385(JP,A)
【文献】特開2018-172208(JP,A)
【文献】国際公開第2017/141320(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/105740(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2019/84808(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66C 23/88
B66C 15/00
B66C 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブームと、
前記ブームからワイヤロープによって吊り下げられるフックと、を備え、
前記フックに荷物を吊り下げた状態で当該荷物を搬送するクレーンであって、
障害物の位置を検出するセンサと、
前記荷物の吊り上げ地点及び吊り降ろし地点を含む領域に複数の節点を配置して当該節点を結んで搬送経路を生成する制御装置と、を具備し、
前記制御装置は、前記センサが障害物の移動を検出すると、前記障害物の周囲に配置される節点の数を増加させてから新たな搬送経路を生成する、ことを特徴とするクレーン。
【請求項2】
前記制御装置は、前記障害物を含む略半球状の特定領域の内側で前記節点の数を増加させる、ことを特徴とする請求項1に記載のクレーン。
【請求項3】
前記制御装置は、前記障害物に近づくにつれて前記節点の密度を増加させる、ことを特徴とする請求項2に記載のクレーン。
【請求項4】
前記制御装置は、前記障害物の移動方向側に近づくにつれて前記節点の密度を増加させる、ことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のクレーン。
【請求項5】
前記制御装置は、前記特定領域の内側に前記障害物を含む略半球状の安全領域を設定し、前記安全領域の内側には前記節点を配置しない、ことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のクレーン。
【請求項6】
センサと、
前記センサが検出した障害物の位置情報を通信する通信機と、を備えるクレーンにより搬送される荷物の搬送経路を生成する経路生成システムであって、
前記通信機と通信を行うシステム側通信部と、
前記荷物の吊り上げ地点及び吊り降ろし地点を含む領域に複数の節点を配置して当該節点を結んで搬送経路を生成するシステム側制御装置と、を具備し、
前記システム側制御装置は、前記センサが障害物の移動を検出すると、前記障害物の周囲に配置される節点の数を増加させてから新たな搬送経路を生成する、ことを特徴とする経路生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレーン及び経路生成システムに関する。詳しくは、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できるクレーン及び経路生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、代表的な作業車両であるクレーンが知られている。クレーンは、主に車両とクレーン装置で構成されている。車両は、複数の車輪を備え、自走可能としている。クレーン装置は、ブームのほかにワイヤロープやフックを備え、荷物を吊り下げた状態でこれを搬送可能としている。
【0003】
ところで、障害物を回避可能な搬送経路を生成するクレーンが存在している(特許文献1参照)。かかるクレーンは、ポテンシャル法を適用するとともに、折れ線近似法を適用して搬送経路を決定する。そして、搬送経路を5次Bスプライン曲線で表現する。しかし、ポテンシャル法を適用すると、グリッド毎に荷物の搬送方向が判定される。そのため、荷物の吊り降ろし地点と障害物の位置によっては、荷物の吊り降ろし地点から離れる搬送方向が判定されて、荷物の吊り降ろし地点までの搬送経路が生成されないことがある。また、かかるクレーンは、移動しない障害物を対象に搬送経路を生成するものであり、人や車両等の移動する障害物を対象に搬送経路を生成するものではない。また、移動する障害物を適宜に回避するためには、障害物の周辺で搬送経路の選択の自由度を高めることが有効である。そこで、障害物の周辺における搬送経路の選択の自由度を高めることによって、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できるクレーン及び経路生成システムが求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できるクレーン及び経路生成システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のクレーンにおいては、ブームと、前記ブームからワイヤロープによって吊り下げられるフックと、を備え、前記フックに荷物を吊り下げた状態で当該荷物を搬送するクレーンであって、障害物の位置を検出するセンサと、前記荷物の吊り上げ地点及び吊り降ろし地点を含む領域に複数の節点を配置して当該節点を結んで搬送経路を生成する制御装置と、を具備し、前記制御装置は、前記センサが障害物の移動を検出すると、前記障害物の周囲に配置される節点の数を増加させてから新たな搬送経路を生成する、ものである。
【0007】
本発明のクレーンにおいては、前記制御装置は、前記障害物を含む略半球状の特定領域の内側で前記節点の数を増加させる、ものである。
【0008】
本発明のクレーンにおいては、前記制御装置は、前記障害物に近づくにつれて前記節点の密度を増加させる、ものである。
【0009】
本発明のクレーンにおいては、前記制御装置は、前記障害物の移動方向側に近づくにつれて前記節点の密度を増加させる、ものである。
【0010】
本発明のクレーンにおいては、前記制御装置は、前記特定領域の内側に前記障害物を含む略半球状の安全領域を設定し、前記安全領域の内側には前記節点を配置しない、ものである。
【0011】
本発明の経路生成システムにおいては、センサと、前記センサが検出した障害物の位置情報を通信する通信機と、を備えるクレーンにより搬送される荷物の搬送経路を生成する経路生成システムであって、前記通信機と通信を行うシステム側通信部と、前記荷物の吊り上げ地点及び吊り降ろし地点を含む領域に複数の節点を配置して当該節点を結んで搬送経路を生成するシステム側制御装置と、を具備し、前記システム側制御装置は、前記センサが障害物の移動を検出すると、前記障害物の周囲に配置される節点の数を増加させてから新たな搬送経路を生成する、ものである。
【発明の効果】
【0012】
本発明のクレーンによれば、障害物の位置を検出するセンサと、荷物の吊り上げ地点及び吊り降ろし地点を含む領域に複数の節点を配置して当該節点を結んで搬送経路を生成する制御装置と、を具備している。そして、制御装置は、センサが障害物の移動を検出すると、障害物の周囲に配置される節点の数を増加させてから新たな搬送経路を生成する。かかるクレーンによれば、障害物の周囲で搬送経路の選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路が選択可能となる。これにより、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できる。
【0013】
本発明のクレーンによれば、制御装置は、障害物を含む略半球状の特定領域の内側で節点の数を増加させる。かかるクレーンによれば、障害物の周囲で搬送経路の選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路が選択可能となる。これにより、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できる。
【0014】
本発明のクレーンによれば、制御装置は、障害物に近づくにつれて節点の密度を増加させる。かかるクレーンによれば、荷物と障害物の衝突が生じやすくなるにつれて搬送経路の選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路が選択可能となる。これにより、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できる。
【0015】
本発明のクレーンによれば、制御装置は、障害物の移動方向側に近づくにつれて節点の密度を増加させる。かかるクレーンによれば、荷物と障害物の衝突が生じやすくなるにつれて搬送経路の選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路が選択可能となる。これにより、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できる。
【0016】
本発明のクレーンによれば、制御装置は、特定領域の内側に障害物を含む略半球状の安全領域を設定し、安全領域の内側には節点を配置しない。かかるクレーンによれば、荷物から障害物までの距離が一定の距離以上となる搬送経路が選択される。これにより、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できる。
【0017】
本発明の経路生成システムによれば、通信機と通信を行うシステム側通信部と、荷物の吊り上げ地点及び吊り降ろし地点を含む領域に複数の節点を配置して当該節点を結んで搬送経路を生成するシステム側制御装置と、を具備する。そして、システム側制御装置は、センサが障害物の移動を検出すると、障害物の周囲に配置される節点の数を増加させてから新たな搬送経路を生成する。かかる経路生成システムによれば、障害物の周囲で搬送経路の選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路が選択可能となる。これにより、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図3】節点の配置を示す図、
図3Aはクレーンの上方からみた節点の配置を示す図、
図3Bはクレーンの側方からみた節点の配置を示す図。
【
図4】任意の旋回角度における節点と経路を示す図。
【
図5】特定領域を示す図、
図5Aはクレーンの上方からみた特定領域を示す図、
図5Bはクレーンの側方からみた特定領域を示す図。
【
図6】節点の配置を示す図、
図6Aは作業者の上方からみた節点の配置を示す図、
図6Bは作業者の側方からみた節点の配置を示す図。
【
図7】選択可能な搬送経路を示す図、
図7Aは作業者の上方からみた選択可能な搬送経路を示す図、
図7Bは作業者の斜め上方からみた選択可能な搬送経路を示す図。
【
図8】選択可能な搬送経路を示す図、
図8Aは作業者の上方からみた選択可能な搬送経路を示す図、
図8Bは作業者の斜め上方からみた選択可能な搬送経路を示す図。
【
図9】節点の配置を示す図、
図9Aは作業者の上方からみた節点の配置を示す図、
図9Bは作業者の側方からみた節点の配置を示す図。
【
図10】選択可能な搬送経路を示す図、
図10Aは作業者の上方からみた選択可能な搬送経路を示す図、
図10Bは作業者の斜め上方からみた選択可能な搬送経路を示す図。
【
図11】節点の配置を示す図、
図11Aは作業者の上方からみた節点の配置を示す図、
図11Bは作業者の側方からみた節点の配置を示す図。
【
図12】選択可能な搬送経路を示す図、
図12Aは作業者の上方からみた選択可能な搬送経路を示す図、
図12Bは作業者の斜め上方からみた選択可能な搬送経路を示す図。
【
図13】安全領域を示す図、
図13Aは作業者の上方からみた安全領域を示す図、
図13Bは作業者の側方からみた安全領域を示す図。
【
図14】選択可能な搬送経路を示す図、
図14Aは作業者の上方からみた選択可能な搬送経路を示す図、
図14Bは作業者の斜め上方からみた選択可能な搬送経路を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願に開示する技術的思想は、以下に説明するクレーン1のほか、他のクレーンにも適用できる。
【0020】
まず、
図1を用いて、第一実施形態に係るクレーン1について説明する。
【0021】
クレーン1は、主に車両2とクレーン装置3で構成されている。
【0022】
車両2は、左右一対の前輪4と後輪5を備えている。また、車両2は、荷物Wの運搬作業を行なう際に接地させて安定を図るアウトリガ6を備えている。なお、車両2は、アクチュエータによって、その上部に支持するクレーン装置3を旋回自在としている。
【0023】
クレーン装置3は、その後部から前方へ突き出すようにブーム7を備えている。そのため、ブーム7は、アクチュエータによって旋回自在となっている(矢印A参照)。また、ブーム7は、アクチュエータによって伸縮自在となっている(矢印B参照)。更に、ブーム7は、アクチュエータによって起伏自在となっている(矢印C参照)。
【0024】
加えて、ブーム7には、ワイヤロープ8が架け渡されている。ブーム7の基端側には、ワイヤロープ8を巻き付けたウインチ9が配置され、ブーム7の先端側には、ワイヤロープ8によってフック10が吊り下げられている。ウインチ9は、アクチュエータと一体的に構成されており、ワイヤロープ8の繰り入れ及び繰り出しを可能としている。そのため、フック10は、アクチュエータによって昇降自在となっている(矢印D参照)。なお、クレーン装置3は、ブーム7の側方にキャビン11を備えている。
【0025】
次に、
図2を用いて、クレーン1の制御構成について説明する。
【0026】
クレーン1は、制御装置20を備える。制御装置20には、各種操作具21~24が接続されている。また、制御装置20には、各種バルブ31~34が接続されている。更に、制御装置20には、各種センサ51~54が接続されている。
【0027】
上述したように、ブーム7は、アクチュエータによって旋回自在となっている(
図1における矢印A参照)。本願においては、かかるアクチュエータを旋回用油圧モータ41(
図1参照)と定義する。旋回用油圧モータ41は、方向制御弁である旋回用バルブ31によって適宜に稼動される。つまり、旋回用油圧モータ41は、旋回用バルブ31が作動油の流動方向を切り替えることで適宜に稼動される。なお、旋回用バルブ31は、オペレータによる旋回操作具21の操作に基づいて稼動される。また、ブーム7の旋回角度は、旋回用センサ51によって検出される。そのため、制御装置20は、ブーム7の旋回角度を認識することができる。
【0028】
また、上述したように、ブーム7は、アクチュエータによって伸縮自在となっている(
図1における矢印B参照)。本願においては、かかるアクチュエータを伸縮用油圧シリンダ42(
図1参照)と定義する。伸縮用油圧シリンダ42は、方向制御弁である伸縮用バルブ32によって適宜に稼動される。つまり、伸縮用油圧シリンダ42は、伸縮用バルブ32が作動油の流動方向を切り替えることで適宜に稼動される。なお、伸縮用バルブ32は、オペレータによる伸縮操作具22の操作に基づいて稼動される。また、ブーム7の伸縮長さは、伸縮用センサ52によって検出される。そのため、制御装置20は、ブーム7の伸縮長さを認識することができる。
【0029】
更に、上述したように、ブーム7は、アクチュエータによって起伏自在となっている(
図1における矢印C参照)。本願においては、かかるアクチュエータを起伏用油圧シリンダ43(
図1参照)と定義する。起伏用油圧シリンダ43は、方向制御弁である起伏用バルブ33によって適宜に稼動される。つまり、起伏用油圧シリンダ43は、起伏用バルブ33が作動油の流動方向を切り替えることで適宜に稼動される。なお、起伏用バルブ33は、オペレータによる起伏操作具23の操作に基づいて稼動される。また、ブーム7の起伏角度は、起伏用センサ53によって検出される。そのため、制御装置20は、ブーム7の起伏角度を認識することができる。
【0030】
加えて、上述したように、フック10は、アクチュエータによって昇降自在となっている(
図1における矢印D参照)。本願においては、かかるアクチュエータを巻回用油圧モータ44(
図1参照)と定義する。巻回用油圧モータ44は、方向制御弁である巻回用バルブ34によって適宜に稼動される。つまり、巻回用油圧モータ44は、巻回用バルブ34が作動油の流動方向を切り替えることで適宜に稼動される。なお、巻回用バルブ34は、オペレータによる巻回操作具24の操作に基づいて稼動される。また、フック10の吊下長さは、巻回用センサ54によって検出される。そのため、制御装置20は、フック10の吊下長さを認識することができる。
【0031】
加えて、制御装置20には、カメラ55、GNSS受信機56、通信機61が接続されている。
【0032】
カメラ55は、映像を撮影する装置である。カメラ55は、ブーム7の先端部分に取り付けられている。カメラ55は、荷物Wの鉛直上方から荷物W及び荷物Wの周囲の地物や地形を撮影する。なお、カメラ55は、制御装置20に接続されている。そのため、制御装置20は、カメラ55が撮影した映像を取得することができる。
【0033】
GNSS受信機56は、全球測位衛星システム(Global Navigation Satellite System)を構成する受信機であって、衛星から測距電波を受信し、受信機の位置座標である緯度、経度、標高を算出する装置である。GNSS受信機56は、ブーム7の先端部分とキャビン11に設けられている。GNSS受信機56は、ブーム7の先端部分とキャビン11の位置座標を算出する。なお、GNSS受信機56は、制御装置20に接続されている。そのため、制御装置20は、GNSS受信機56が算出した位置座標を取得することができる。また、制御装置20は、ブーム7の先端部分の位置座標と吊下長さに基づいて、荷物Wの位置座標を認識することができる。更に、制御装置20は、ブーム7の先端部分の位置座標とキャビン11の位置座標から、車両2を基準とするブーム7の方位を認識することができる。
【0034】
通信機61は、外部のサーバ等と通信を行う装置である。通信機61は、キャビン11に設けられている。通信機61は、外部のサーバ等から後述する作業領域Awの空間情報及び作業に関する情報等を取得するように構成されている。なお、通信機61は、制御装置20に接続されている。そのため、制御装置20は、通信機61を介して情報を取得することができる。
【0035】
次に、
図3と
図4を用いて、荷物Wの搬送経路CRの生成について説明する。本願の経路生成の概念を分かりやすくするため、ブーム7の旋回、伸縮、起伏によって生成される搬送経路CRについて説明する。以下の説明で、機体情報とは、クレーン1の性能諸元データである。作業に関する情報とは、荷物Wの吊り上げ地点Ps、荷物Wの吊り降ろし地点Pe、荷物Wの重量等に関する情報である。搬送経路情報とは、荷物Wの搬送経路、搬送速度等である。作業領域Awの空間情報とは、作業領域Aw内の地物等の三次元情報である。
【0036】
制御装置20は、搬送する荷物Wの重量から作業可能範囲Arを設定する。具体的には、制御装置20は、通信機61を介して外部のサーバ等から作業に関する情報である荷物Wの重量と機体情報であるクレーン1の性能諸元データを取得する。更に、制御装置20は、荷物Wの重量とクレーン1の性能諸元データからクレーン1が荷物Wを搬送することができる空間である作業可能範囲Arを算出する。
【0037】
図3と
図4に示すように、制御装置20は、作業可能範囲Ar内において搬送経路CRを構成する候補となる全ての経路R(n)を生成する(nは任意の自然数)。経路R(n)は、複数の節点P(n)を結んだものである。なお、節点P(n)は、作業領域Awの空間情報に基づいて認識される地物の領域には配置されない。
【0038】
制御装置20は、任意の旋回角度θx(n)、任意の起伏角度θz(n)の位置にあるブーム7を伸縮可能なブーム長さLy(n)の全範囲において任意のブーム長さ刻み毎に伸縮させる場合の節点P(n)を配置する。次に、制御装置20は、任意の旋回角度刻みだけ異なる任意の旋回角度θx(n+1)、任意の起伏角度θz(n)の位置にあるブーム7を任意のブーム長さ刻み毎に伸縮させる場合の節点P(n)を、伸縮可能なブーム長さLy(n)の全範囲において配置する。このように、制御装置20は、旋回可能な旋回角度θx(n)の全範囲において任意の旋回角度刻み毎に、任意の起伏角度θz(n)の位置にあるブーム7を伸縮させる場合の節点P(n)を配置する。
【0039】
同様にして、制御装置20は、任意の起伏角度刻みだけ異なる任意の起伏角度θz(n+1)の位置にあるブーム7を任意のブーム長さ刻み毎に伸縮させる場合の節点P(n)を、旋回可能な旋回角度θx(n)の全範囲において任意の旋回角度刻み毎に配置する。このように、制御装置20は、旋回可能な旋回角度θx(n)の全範囲における任意の旋回角度刻み毎、かつ伸縮可能なブーム長さLy(n)の全範囲における任意のブーム長さ刻み毎、かつ起伏可能な起伏角度θz(n)の全範囲における任意の起伏角度刻み毎に節点P(n)を配置する。この結果、作業可能範囲Ar内には、ブーム7の任意の旋回角度θx(n)、任意のブーム長さLy(n)、任意の起伏角度θz(n)における節点P(n)が任意の旋回角度刻み毎、任意のブーム長さ刻み毎、任意の起伏角度刻み毎に配置されている。
【0040】
図4に示すように、制御装置20は、任意の一の節点P(n)と隣り合う複数の他の節点P(n+1)、P(n+2)・・を、荷物Wが通る候補の点として特定する。制御装置20は、一の節点P(n)から隣り合う複数の他の節点P(n+1)、P(n+2)・・までの経路R(n)、R(n+1)・・をそれぞれ生成する。制御装置20は、全ての節点P(n)間に経路R(n)を生成することで、作業可能範囲Ar内の空間をカバーする経路網を生成する。任意の旋回角度θx(n)、任意の伸縮長さLy(n)、任意の起伏角度θz(n)で経路R(n)が生成される。ここでは、任意の旋回角度θx(n)における経路R(n)について詳しく説明する。
【0041】
制御装置20は、任意の旋回角度θx(n)において、起伏角度θz(n)のブーム7を任意のブーム長さ刻み毎に縮小させる順に配置した節点P(n)、節点P(n+1)と、起伏角度θz(n+1)のブーム7を任意のブーム長さ刻み毎に縮小させて順に配置した節点P(n+2)、節点P(n+3)をそれぞれ結んだ経路を生成する。節点P(n)と節点P(n+1)を結ぶ経路R(n+1)は、ブーム7の伸縮によって荷物Wが通る経路である。節点P(n)と節点P(n+2)を結ぶ経路R(n+2)は、ブーム7の起伏によって荷物Wが通る経路である。節点P(n)と節点P(n+3)を結ぶ経路R(n+3)は、ブーム7の伸縮かつ起伏によって荷物Wが通る経路である。
【0042】
任意の伸縮長さLy(n)でブーム7の旋回、起伏によって荷物Wが通る経路、任意の起伏角度θz(n)でブーム7の旋回、伸縮によって荷物Wが通る経路も同様に隣り合う節点P(n)を結んで生成される。このように生成される複数の経路R(n)は、ブーム7の旋回、伸縮、起伏のそれぞれ単独の動きによって搬送される荷物Wの経路と、旋回、伸縮、起伏のうち、複数の動きの併用によって搬送される荷物Wの経路とから構成されている。
【0043】
制御装置20は、優先順位に基づいて作動させるアクチュエータ(旋回用油圧モータ41、伸縮用油圧シリンダ42、起伏用油圧シリンダ43)を選択する。そして、制御装置20は、所定の条件を満たすとともに、選択したアクチュエータの作動によって荷物Wが通る搬送経路CRを生成する。搬送経路CRは、複数の経路R(n)によって構成される。つまり、搬送経路CRは、節点P(n)を結んで生成される。優先順位は、旋回、起伏、伸縮のうち、優先して選択される動作を選択するためのものである。所定の条件は、荷物Wの搬送時間を最小にする、荷物Wの搬送時の旋回半径を小さくする、アクチュエータのコスト(燃費)を最小にする、荷物Wの搬送時の高さ、進入禁止領域の制限を設ける等である。制御装置20は、所定の条件を満たすとともに、選択したアクチュエータの作動によって荷物Wが通る経路R(n)を選択することによって、搬送経路CRを生成する。制御装置20は、荷物Wが搬送経路CRを通るようにアクチュエータを制御して、吊り上げ地点Psから吊り下し地点Peまで荷物Wを搬送する。
【0044】
なお、制御装置20は、ウインチ9の繰り入れ及び繰り出し、ブーム7の先端部分に取り付けられるジブのチルト及び伸縮において、任意の刻み毎に節点P(n)を生成することができる。つまり、クレーン1は、経路R(n)及び搬送経路CRをワイヤロープ8の繰り入れ及び繰り出し、ジブのチルト及び伸縮に基づいて生成することができる。
【0045】
次に、
図5から
図8を用いて、障害物が移動したときの搬送経路CRの生成について説明する。制御装置20は、荷物Wの搬送経路CRを既に生成しているものとする。作業者Xは、作業可能範囲Ar内において搬送経路CRに近づくように移動するものとする。作業者Xは、移動する障害物の一例であり、これに限定するものではない。
【0046】
制御装置20は、カメラ55が撮影した映像をフレーム毎に解析し、作業者Xの移動を検出する。制御装置20は、例えば背景差分、オプティカルフローを用いることによって、作業者Xの位置座標、移動方向、移動速度を検出することができる。また、カメラ55は、障害物の移動を検出するセンサの一例であり、これに限定するものではない。なお、障害物が移動したことを条件として搬送経路CRを生成するのではなく、障害物が搬送経路CRに近づいたことや、搬送経路CRから所定の距離以内の領域で障害物が移動したこと条件として搬送経路CRを生成もよい。
【0047】
図5に示すように、制御装置20は、作業者Xの位置座標から特定領域Asを設定する。特定領域Asは、作業者Xを中心とする略半球状の領域である。特定領域Asの大きさ(半球の半径)は、予め設定されており、任意に変更することができる。なお、カメラ55が撮影した映像から移動する障害物の大きさを画像認識により検出して、障害物が大きくなるにつれて特定領域Asの大きさを大きくしてもよい。また、特定領域Asの形状は、障害物を中心とする略半球状に限定されず、障害物を含む任意の形状に設定してもよい。
【0048】
図6に示すように、制御装置20は、特定領域Asの内側に配置される節点P(n)の数を増加させる。制御装置20は、任意の旋回角度刻み、任意のブーム長さ刻み、任意の起伏角度刻みの値を所定の割合で小さくした任意の旋回角度刻み、任意のブーム長さ刻み、任意の起伏角度刻みを算出する。任意の旋回角度刻み、任意のブーム長さ刻み、任意の起伏角度刻みの値を小さくするにつれて特定領域Asの内側に配置される節点P(n)の数が増加する。制御装置20は、特定領域Asの内側において、所定の割合で値を小さくした任意の旋回角度刻み毎、任意のブーム長さ刻み毎、任意の起伏角度刻み毎に節点P(n)を配置する。そして、制御装置20は、全ての節点P(n)間に経路R(n)(
図4参照)を生成する。特定領域Asの内側では、節点P(n)の数を増加させる前よりも単位体積当たりの経路R(n)の密度が高くなるとともに、経路R(n)の長さが短くなる。
【0049】
図7と
図8に示すように、制御装置20は、特定領域Asの内側の節点P(n)を通る搬送経路CRを選択可能である。特定領域Asの内側では、搬送経路CRを構成する経路R(n)の組み合わせの数が増加するため、選択可能な搬送経路CRの数が増加する。制御装置20は、これらの搬送経路CRの中から適宜な搬送経路CRを選択可能である。また、搬送経路CRは、節点P(n)の数を増加させる前よりも短い経路R(n)から構成される。そのため、制御装置20は、節点P(n)の数を増加させる前よりも作業者Xの回避に適した搬送経路CRを選択可能である。つまり、制御装置20は、作業者Xの移動方向側(移動方向E参照)で作業者Xを回避する搬送経路CRを選択可能である(
図7参照)。また、制御装置20は、作業者Xの移動方向Eの反対側に回りこんで作業者Xを回避する搬送経路CRを選択可能である(
図8参照)。制御装置20は、作業者Xを回避する搬送経路CRを生成し、荷物Wが搬送経路CRを通るようにアクチュエータ(旋回用油圧モータ41、伸縮用油圧シリンダ42、起伏用油圧シリンダ43、巻回用油圧モータ44)を制御して、吊り上げ地点Psから吊り降ろし地点Peまで荷物Wを搬送する。
【0050】
このように、本クレーン1は、障害物(作業者X)の位置を検出するセンサ(カメラ55)と、荷物Wの吊り上げ地点Ps及び吊り降ろし地点Peを含む領域に複数の節点P(n)を配置して当該節点P(n)を結んで搬送経路CRを生成する制御装置20と、を具備している。そして、制御装置20は、センサ(55)が障害物(X)の移動を検出すると、障害物(X)の周囲に配置される節点P(n)の数を増加させてから新たな搬送経路CRを生成する。かかるクレーン1によれば、障害物(X)の周囲で搬送経路CRの選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路CRが選択可能となる。これにより、障害物(X)が移動しても回避可能な搬送経路CRを生成できる。
【0051】
具体的に説明すると、本クレーン1において、制御装置20は、障害物(作業者X)を含む略半球状の特定領域Asの内側で節点P(n)の数を増加させる。かかるクレーン1によれば、障害物(X)の周囲で搬送経路CRの選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路CRが選択可能となる。これにより、障害物(X)が移動しても回避可能な搬送経路CRを生成できる。
【0052】
次に、
図9と
図10を用いて、第二実施形態に係るクレーン1について説明する。以下においては、第一実施形態に係るクレーン1の説明で用いた名称と符号を用いることで、同じものを指すこととする。ここでは、第一実施形態に係るクレーン1に対して相違する部分を中心に説明する。作業者Xは、作業可能範囲Ar内において搬送経路CRの直下まで移動するものとする。
【0053】
図9に示すように、制御装置20は、特定領域Asの内側に配置される節点P(n)の数を増加させる。制御装置20は、作業者Xに近づくにつれて上述の所定の割合を小さくすることによって、作業者Xに近づくにつれて任意の旋回角度刻み、任意のブーム長さ刻み、任意の起伏角度刻みの値が小さくなるようにする。制御装置20は、特定領域Asの内側において、作業者Xに近づくにつれて値を小さくした任意の旋回角度刻み毎、任意のブーム長さ刻み毎、任意の起伏角度刻み毎に節点P(n)を配置する。つまり、制御装置20は、作業者Xに近づくにつれて単位体積当たりの節点P(n)の密度を増加させて、節点P(n)を配置している。
【0054】
図10に示すように、制御装置20は、特定領域Asの内側の節点P(n)を通る搬送経路CRを選択可能である。作業者Xに近づくにつれて(荷物Wと作業者Xの衝突が生じやすくなるにつれて)搬送経路CRを構成する経路R(n)の組み合わせの数が増加するため、選択可能な搬送経路CRの数が増加する。制御装置20は、これらの搬送経路CRの中から適宜な搬送経路CRを選択可能である。また、搬送経路CRは、作業者Xに近づくほど短い経路R(n)から構成される。そのため、制御装置20は、節点P(n)の数を増加させる前よりも作業者Xの回避に適した搬送経路CRを選択可能である。
【0055】
このように、本クレーン1において、制御装置20は、障害物(作業者X)に近づくにつれて節点P(n)の密度を増加させる。かかるクレーン1によれば、荷物Wと障害物(X)の衝突が生じやすくなるにつれて搬送経路CRの選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路CRが選択可能となる。これにより、障害物(X)が移動しても回避可能な搬送経路CRを生成できる。
【0056】
次に、
図11と
図12を用いて、第三実施形態に係るクレーン1について説明する。ここでも、第一実施形態に係るクレーン1に対して相違する部分を中心に説明する。
【0057】
図11に示すように、制御装置20は、特定領域Asの内側に配置される節点P(n)の数を増加させる。制御装置20は、作業者Xの移動方向側(移動方向E参照)に近づくにつれて上述の所定の割合を小さくすることによって、作業者Xの移動方向側に近づくにつれて任意の旋回角度刻み、任意のブーム長さ刻み、任意の起伏角度刻みの値が小さくなるようにする。制御装置20は、特定領域Asの内側において、作業者Xの移動方向側に近づくにつれて値を小さくした任意の旋回角度刻み毎、任意のブーム長さ刻み毎、任意の起伏角度刻み毎に節点P(n)を配置する。つまり、制御装置20は、作業者Xの移動方向側に近づくにつれて単位体積当たりの節点P(n)の密度を増加させて、節点P(n)を配置している。
【0058】
図12に示すように、制御装置20は、特定領域Asの内側の節点P(n)を通る搬送経路CRを選択可能である。作業者Xの移動方向側(移動方向E参照)に近づくにつれて(荷物Wと作業者Xの衝突が生じやすくなるにつれて)搬送経路CRを構成する経路R(n)の組み合わせの数が増加するため、選択可能な搬送経路CRの数が増加する。そのため、制御装置20はこれらの搬送経路CRの中から適宜な搬送経路CRを選択可能である。また、搬送経路CRは、作業者Xの移動方向側に近づくほど短い経路R(n)から構成される。そのため、制御装置20は、節点P(n)の数を増加させる前よりも作業者Xの回避に適した搬送経路CRを選択可能である。
【0059】
このように、本クレーン1において、制御装置20は、障害物(作業者X)の移動方向側に近づくにつれて節点P(n)の密度を増加させる。かかるクレーン1によれば、荷物Wと障害物(X)の衝突が生じやすくなるにつれて搬送経路CRの選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路CRが選択可能となる。これにより、障害物(X)が移動しても回避可能な搬送経路CRを生成できる。
【0060】
次に、
図13と
図14を用いて、第四実施形態に係るクレーン1について説明する。ここでも、第一実施形態に係るクレーン1に対して相違する部分を中心に説明する。
【0061】
図13に示すように、制御装置20は、作業者Xの位置座標から安全領域Acを設定する。安全領域Acは、作業者Xを中心とする略半球状の領域であり、特定領域Asの内側に設定される。安全領域Acの大きさ(半球の半径)は、予め設定されており、任意に変更することができる。なお、カメラ55が撮影した映像から移動する障害物の大きさを画像認識により検出して、障害物が大きくなるにつれて安全領域Acの大きさを大きくしてもよい。また、安全領域Acの形状は、障害物を中心とする略半球状に限定されず、障害物を含む任意の形状に設定してもよい。
【0062】
制御装置20は、安全領域Acの外側かつ特定領域Asの内側に配置される節点P(n)の数を増加させる。制御装置20は、安全領域Acの内側に節点P(n)を配置しない。
【0063】
図14に示すように、制御装置20は、安全領域Acの外側かつ特定領域Asの内側の節点P(n)を通る搬送経路CRを選択可能である。安全領域Acの内側に節点P(n)が配置されないため、安全領域Acの内側を通る搬送経路CRが選択可能な搬送経路CRから除外される。制御装置20は、安全領域Acの外側かつ特定領域Asの内側の選択可能な搬送経路CRの中から、荷物Wから作業者Xまでの距離が一定以上となる搬送経路CRを選択する。
【0064】
このように、本クレーン1において、制御装置20は、特定領域Asの内側に障害物(作業者X)を含む略半球状の安全領域Acを設定し、安全領域Acの内側には節点P(n)を配置しない。かかるクレーン1によれば、荷物Wから障害物(X)までの距離が一定の距離以上となる搬送経路CRが選択される。これにより、障害物(X)が移動しても回避可能な搬送経路CRを生成できる。
【0065】
次に、
図15を用いて、経路生成システム70について説明する。経路生成システム70は、データセンタ等の外部施設に設けられている。
【0066】
経路生成システム70が情報の通信を行うクレーンは、クレーン12である。クレーン12は、搬送経路CRの生成を行わない点がクレーン1と相違する。
【0067】
経路生成システム70は、システム側制御装置71を備える。システム側制御装置71には、システム側通信部72が接続されている。
【0068】
システム側通信部72は、クレーン12の通信機61や外部のサーバ等と通信を行う装置である。システム側通信部72は、通信機61からカメラ55の映像(障害物の位置情報)を取得するとともに、情報を通信機61へ伝達するように構成されている。システム側通信部72は、外部のサーバ等から作業領域Awの空間情報及び作業に関する情報等を取得するように構成されている。なお、システム側通信部72は、システム側制御装置71に接続されている。そのため、システム側制御装置71は、システム側通信部72を介して情報や映像を取得することができる。また、システム側制御装置71は、システム側通信部72を介して通信機61へ情報を伝達することができる。
【0069】
システム側制御装置71は、クレーン1の制御装置20と同様に障害物が移動したときの搬送経路CRを生成する。生成した搬送経路CRは、システム側通信部72を介してクレーン12に伝達される。クレーン12は、伝達された搬送経路CRを通るようにアクチュエータ(旋回用油圧モータ41、伸縮用油圧シリンダ42、起伏用油圧シリンダ43、巻回用油圧モータ44)を制御して、吊り上げ地点Psから吊り下し地点Peまで荷物Wを搬送する。
【0070】
このように、通信機61を介してクレーン12の制御装置20に接続し、クレーン12から必要な情報や映像を取得することによって、上述の各実施形態と同様の搬送経路CRを生成し、生成した搬送経路CRをクレーン12に伝達するシステムを構成することができる。
【0071】
以上のように、経路生成システム70は、通信機61と通信を行うシステム側通信部72と、荷物Wの吊り上げ地点Ps及び吊り降ろし地点Peを含む領域に複数の節点P(n)を配置して当該節点P(n)を結んで搬送経路CRを生成するシステム側制御装置71と、を具備する。そして、システム側制御装置71は、センサ(カメラ55)が障害物(作業者X)の移動を検出すると、障害物(X)の周囲に配置される節点P(n)の数を増加させてから新たな搬送経路CRを生成する。かかる経路生成システム70によれば、障害物(X)の周囲で搬送経路CRの選択の自由度が高くなり適宜な搬送経路CRが選択可能となる。これにより、障害物(X)が移動しても回避可能な搬送経路CRを生成できる。
【0072】
上述の実施形態は、代表的な形態を示したに過ぎず、一実施形態の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。更に種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、更に特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内のすべての変更を含む。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、クレーン及び経路生成システムに関する。詳しくは、障害物が移動しても回避可能な搬送経路を生成できるクレーン及び経路生成システムに利用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 クレーン
2 車両
3 クレーン装置
7 ブーム
8 ワイヤロープ
10 フック
12 クレーン
20 制御装置
55 カメラ(センサ)
61 通信機
70 経路生成システム
71 システム側制御装置
72 システム側通信部
Ac 安全領域
As 特定領域
CR 搬送経路
E 移動方向
Pe 吊り降ろし地点
Ps 吊り上げ地点
P(n) 節点
X 作業者(障害物)
W 荷物