(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】情報処理方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/48 20060101AFI20221109BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01M10/48 P
H02J7/00 Y
(21)【出願番号】P 2021006528
(22)【出願日】2021-01-19
(62)【分割の表示】P 2019101443の分割
【原出願日】2019-05-30
【審査請求日】2022-04-26
(73)【特許権者】
【識別番号】507151526
【氏名又は名称】株式会社GSユアサ
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】籔 歳弘
【審査官】右田 勝則
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-57162(JP,A)
【文献】特開2005-332040(JP,A)
【文献】国際公開第2011/042943(WO,A1)
【文献】国際公開第2018/181609(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/48
H02J 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓄電装置の充放電に関する情報の選択及び入力の少なくとも一方を受け付けるための第1受付画面を表示し、
前記第1受付画面を通じて選択又は入力された情報に基づいて、所定期間内における前記蓄電装置の充放電量の推移を示すパターンデータを生成し、
生成したパターンデータが示す充放電量の推移を表示し、
前記蓄電装置の構成を受け付けるための第2受付画面を表示し、
生成したパターンデータと、前記第2受付画面を通じて受け付けた構成とに基づいて、前記蓄電装置の劣化を予測する
情報処理方法。
【請求項2】
生成したパターンデータに基づいて、前記蓄電装置に蓄えられている電力量の推移を示すSOCデータを生成し、
生成したSOCデータと、前記第2受付画面を通じて受け付けた構成とに基づいて、前記蓄電装置の劣化を予測する
請求項1に記載の情報処理方法。
【請求項3】
前記第1受付画面において、前記所定期間の設定を受け付ける
請求項1又は請求項2に記載の情報処理方法。
【請求項4】
設定された前記所定期間の充放電量の推移のグラフを表示する
請求項3に記載の情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
太陽電池、風力発電機等の発電機によって充電され、必要に応じて放電する蓄電装置を備える蓄電システムが普及している。蓄電装置は複数の蓄電素子(蓄電セル)を有する。蓄電装置の容量(満充電容量)は、充放電の繰り返し(充放電サイクル)、並びに、時間の経過とともに低下する。蓄電装置の容量が劣化する速度は、SOC(State Of Charge)、即ち、蓄電装置に蓄えられている電力の電力量に応じて変化する。
【0003】
特許文献1は、充放電の繰り返し及び時間の経過とともに低下する蓄電装置の容量を予測する技術を開示している。特許文献1では、SOCの推移に基づいて蓄電装置の容量の低下を予測する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
蓄電装置の製造業者は、顧客の要求に基づいて、最適と思われる蓄電装置(蓄電システム)を顧客に提案するために以下のことを行う。
(1)製造業者は、蓄電セルの直列数、並列数等の蓄電装置の構成を決定する。
(2)製造業者は、想定される使用環境で、決定した構成の蓄電装置が顧客要求を満足できる期間(寿命)についてシミュレーション(予測)を行う。
製造業者は、決定及びシミュレーションの試行錯誤を繰り返し、最適と思われる蓄電装置を顧客に提案する。シミュレーションを行うためには、使用環境における充放電量の推移を適正に模擬した充放電パターンデータ(以下、単に「パターンデータ」という)が必要である。従来、製造業者は、顧客から提示される大まかな情報、又は類似する蓄電システムにおける運用情報に基づき、1日、1カ月等の所定期間内における蓄電装置の充放電量の推移を示すパターンデータを作成していた。
【0006】
精度が高いシミュレーションを行って顧客に最適な蓄電装置を提案するためには、パターンデータが、蓄電システムが実際に運用される時の充放電量の推移を適正に模擬している必要がある。パターンデータは、蓄電装置の構成の決定及び寿命の予測に用いられる重要なデータである。
【0007】
実際の充放電と比較して、蓄電装置を過剰に充放電させるように設定されたパターンデータに基づいてシミュレーションを行った場合、顧客の要求を満たす最適な蓄電装置と比較して、構成が過剰で、価格が高い蓄電装置を提案することとなる。実際の充放電と比較して、蓄電装置を過小に充放電させるように設定されたパターンデータに基づいてシミュレーションを行った場合、顧客の要求を満たす最適な蓄電装置と比較して、構成が過小で、価格が低い蓄電装置を提案することになる。
蓄電装置の構成が過剰で、価格が高い場合、製造業者が事業機会を逸する(失注する)可能性が高い。蓄電装置の構成が過小で、価格が低い場合、蓄電システム納入後に、シミュレーションの予想よりも早い段階で顧客の要求を満たせなくなる可能性が高い。
【0008】
以上のことから、製造業者は、使用環境における充放電量の推移を適正に模擬したパターンデータを生成することが必要である。
【0009】
本発明は、使用環境における充放電量の推移を適正に模擬したパターンデータを生成する情報処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
情報処理方法では、蓄電装置の充放電に関する情報の選択及び入力の少なくとも一方を受け付けるための第1受付画面を表示し、前記第1受付画面を通じて選択又は入力された情報に基づいて、所定期間内における前記蓄電装置の充放電量の推移を示すパターンデータを生成し、生成したパターンデータが示す充放電量の推移を表示し、前記蓄電装置の構成を受け付けるための第2受付画面を表示し、生成したパターンデータと、前記第2受付画面を通じて受け付けた構成とに基づいて、前記蓄電装置の劣化を予測する。
【発明の効果】
【0011】
上記の態様によれば、使用環境における充放電量の推移を適正に模擬したパターンデータを生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図2】寿命予測装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】寿命予測処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】パターン生成装置の構成を示すブロック図である。
【
図11】パターン生成処理の手順を示すフローチャートである。
【
図14】パターン生成装置及び寿命予測装置の使用例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
生成装置は、蓄電装置を有する蓄電システムの充放電に関する選択及び入力の少なくとも一方を受け付けるための受付画面を表示する画面表示部と、前記受付画面にて、前記充放電に関する複数種類の動作からの選択を受け付ける選択受付部と、前記選択受付部を通じて選択された動作に基づいて、前記蓄電装置の劣化の予測に用いられ、所定期間内における前記蓄電装置の充放電量の推移を示すパターンデータを生成する生成部とを備える。
【0014】
受付画面において複数種類の動作から動作を選択することによって、パターンデータが生成されるので、パターンデータの生成が容易であり、パターンデータを短時間で生成できる。蓄電装置(蓄電システム)の製造業者は、パターンデータが示す充放電量の推移を迅速に顧客に提示できる。顧客が充放電量の推移を確認し、パターンデータが使用環境における充放電量の推移を適正に模擬していない場合、製造業者は、受付画面において選択及び/又は入力する内容を変更し、パターンデータを再度生成する。製造業者は、生成したパターンデータが示す充放電量の推移を再び顧客に提示する。パターンデータを短時間で生成できるので、この一連の行為を短時間で繰り返すことができる。結果、製造業者は、顧客との商談の場で、使用環境における充放電量の推移を適正に模擬したパターンデータを生成して、パターンデータについて顧客と合意できる。顧客と合意したパターンデータは、蓄電装置の劣化の予測(例えば、蓄電装置の容量が所定値に低下するまでの期間、即ち、寿命の予測)に用いられる。
【0015】
前記複数種類の動作には、充電のみが行われる動作、放電のみが行われる動作、及び充電と放電が1回ずつ連続的に行われる動作の少なくとも2つが含まれてもよい。
これらの基本的な動作が選択可能であるので、必要に応じて2つ以上の動作を組み合わせることによって、種々のパターンデータを短時間で生成できる。
【0016】
生成装置は、前記選択受付部を通じて選択された動作について、前記受付画面にて充電量及び放電量の両方又は一方の入力を受け付ける電力受付部を備えてもよい。前記生成部が前記パターンデータの生成にて用いる要素に、前記電力受付部を通じて入力された入力内容が更に含まれてもよい。
使用者は、選択した動作が、例えば、充電及び放電の両方を行う動作であるとき、充電量及び放電量の両方を入力する。使用者は、選択した動作が、例えば、充電のみを行う動作である場合、充電量を入力する。パターンデータの生成において、充電量及び放電量の両方又は一方の入力内容も用いられる。このため、使用環境における充放電量の推移をより適正に模擬したパターンデータが生成される。
【0017】
生成装置は、前記受付画面にて前記蓄電システムの電力線の伝送効率の入力を受け付ける第1の効率受付部を備えてもよい。前記生成部が前記パターンデータの生成にて用いる要素に、前記第1の効率受付部を通じて入力された伝送効率が更に含まれてもよい。
パターンデータの生成において、電力線の伝送効率も用いられるので、使用環境における充放電量の推移をより適正に模擬したパターンデータが生成される。
【0018】
前記蓄電システムは、外部から入力された電圧を、前記蓄電装置の充電に適した直流電圧に変換するとともに、前記蓄電装置から入力された直流電圧を、外部への出力に適した電圧に変換する変換器を有してもよく、生成装置は、前記受付画面にて前記変換器の変換効率の入力を受け付ける第2の効率受付部を備えてもよい。前記生成部が前記パターンデータの生成にて用いる要素に、前記第2の効率受付部を通じて入力された変換効率が更に含まれてもよい。
パターンデータの生成において、変換器の変換効率も用いられる。このため、使用環境における充放電量の推移をより適正に模擬したパターンデータが生成される。
【0019】
前記蓄電システムは、外部から入力された交流電圧の振幅を変換し、振幅が変換された交流電圧を前記変換器に出力するトランスを有してもよく、生成装置は、前記受付画面にて前記トランスの変換効率の入力を受け付ける第3の効率受付部を備えてもよい。前記生成部が前記パターンデータの生成にて用いる要素に、前記第3の効率受付部を通じて入力された変換効率が更に含まれてもよい。
パターンデータの生成において、トランスの変換効率も用いられるので、使用環境における充放電量の推移をより適正に模擬したパターンデータが生成される。
【0020】
生成装置は、前記選択受付部を通じて選択された動作について、前記受付画面にて充電又は放電が行われる期間の入力を受け付ける期間受付部を備えてもよい。前記生成部が前記パターンデータの生成にて用いる要素に、前記期間受付部を通じて入力された入力内容が更に含まれてもよい。
パターンデータの生成において、充電又は放電が行われる期間が用いられるので、使用環境における充放電量の推移をより適正に模擬したパターンデータが生成される。
【0021】
生成装置は、前記期間受付部を通じて入力された期間の合計が前記所定期間未満である場合、前記受付画面にて、前記所定期間の残りの期間に実行される動作に関する複数種類の第2の動作からの1つの動作の選択を受け付ける第2の選択受付部を備えてもよい。前記生成部が前記パターンデータの生成にて用いる要素に、前記第2の選択受付部を通じて選択された動作が更に含まれてもよい。前記複数種類の第2の動作それぞれは、前記複数種類の動作とは異なってもよい。
使用者は、設定期間の残りの期間に実行させる動作についても、複数種類の第2の動作から選択すればよい。このため、パターンデータの生成が更に容易である。
【0022】
前記画面表示部は、前記受付画面にて、前記複数種類の動作を表示してもよい。
複数種類の動作が表示されるので、使用者は、パターンデータの生成において、選択することが可能な動作を容易に把握できる。
【0023】
生成装置は、前記生成部が生成したパターンデータが示す前記充放電量の推移を表示する推移表示部を備えてもよい。
パターンデータが示す充放電量の推移が表示されるので、使用者は、充放電量の推移を直感的に把握できる。
【0024】
予測システムは、前述した生成装置と、前記蓄電装置の構成を受け付ける構成受付部と、前記生成装置が生成したパターンデータ、及び、前記構成受付部が受け付けた構成に基づいて、前記蓄電装置の劣化を予測する予測部とを備える。
【0025】
前記予測部は、前記蓄電装置の劣化の予測として、前記蓄電装置の容量が所定値に低下するまでの期間を予測してもよい。
【0026】
生成方法は、蓄電装置を有する蓄電システムの充放電に関する選択及び入力の少なくとも一方を受け付けるための受付画面を表示し、前記受付画面にて、前記充放電に関する複数種類の動作から選択された動作を示す動作データを取得し、取得した動作データに基づいて、前記蓄電装置の劣化の予測に用いられ、所定期間内における前記蓄電装置の充放電量の推移を示すパターンデータを生成する。
使用者は、受付画面において複数種類の動作から動作を選択することによって、パターンデータを生成できる。パターンデータの生成が容易であり、パターンデータを短時間で生成できる。このため、前述したように、使用環境における充放電量の推移を適正に模擬したパターンデータを生成できる。
【0027】
コンピュータプログラムは、コンピュータに、蓄電装置を有する蓄電システムの充放電に関する選択及び入力の少なくとも一方を受け付けるための受付画面を表示させ、前記受付画面にて、前記充放電に関する複数種類の動作から選択された動作を示す動作データを取得し、取得した動作データに基づいて、前記蓄電装置の劣化の予測に用いられ、所定期間内における前記蓄電装置の充放電量の推移を示すパターンデータを生成する処理を実行させる。
【0028】
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。
図1は、蓄電装置1の構成を示すブロック図である。蓄電装置1は電力線Wの一端に接続されている。
【0029】
蓄電装置1は、並列に接続されたK(K:自然数)個のバンク10を備える。各バンク10の一端は、電力線Wの一端に接続されている。各バンク10の他端は接地されている。各バンク10は、直列に接続されたM(M:自然数)個の蓄電モジュール20を有する。各蓄電モジュール20は、直列に接続されたN(N:自然数)個の蓄電素子30を有する。蓄電素子30は所謂蓄電セルである。蓄電素子30は、例えば、リチウムイオン電池である。
【0030】
電力線Wを介して供給された電力は、各バンク10が有する複数の蓄電素子30に供給され、各蓄電素子30は充電される。これにより、蓄電モジュール20及びバンク10は充電される。各蓄電素子30は、電力線Wを介して電力を放出する。これにより、蓄電モジュール20及びバンク10は、電力線Wを介して電力を放出する。
【0031】
各バンク10は、複数の蓄電モジュール20に加えて充放電回路21を有する。充放電回路21を介して各蓄電素子30に電力が供給される。各蓄電素子30は、充放電回路21を介して電力を放出する。
【0032】
充放電回路21は、例えば、スイッチ又はブレーカを有する。充放電回路21は、スイッチ又はブレーカを、オン又はオフに切替えることによって、複数の蓄電モジュール20への充電の停止、複数の蓄電モジュール20からの放電の停止、充電停止の解除及び放電停止の解除を行う。
【0033】
図2は寿命予測装置4の構成を示すブロック図である。寿命予測装置4は、パーソナルコンピュータ、タブレット等であり、蓄電装置1の劣化の予測として、蓄電装置1の寿命、即ち、蓄電装置1について使用を開始してから容量(満充電容量)が所定値に低下するまでの期間を予測する装置である。蓄電装置1の容量について、劣化の度合いを示す指標としてSOH(State Of Health)がある。SOHは、使用を開始した時点の蓄電装置1の容量を100%とした場合における蓄電装置1の容量の比率である。SOHの単位はパーセントである。寿命は、例えば、SOHが70%に低下するまでの期間である。
【0034】
寿命予測装置4は、表示部40、操作部41、記憶部42及び制御部43を有する。これらは内部バス44に接続されている。表示部40は、制御部43の指示に従って、種々の画面を表示する。操作部41は、タッチパネル、キーボード、マウス等を有する。操作部41は、寿命予測装置4の使用者によって操作され、使用者から種々の入力を受け付ける。
【0035】
記憶部42は不揮発性メモリである。記憶部42には、コンピュータプログラムP1が記憶されている。制御部43は、処理素子、例えばCPU(Central Processing Unit)を有する。制御部43の処理素子(コンピュータ)は、コンピュータプログラムP1を実行することによって、蓄電装置1の寿命を予測する寿命予測処理を実行する。制御部43が有する処理素子の数は2以上であってもよい。この場合、複数の処理素子がコンピュータプログラムP1に従って、寿命予測処理を含む種々の処理を協同で実行してもよい。
【0036】
コンピュータプログラムP1は、コンピュータプログラムP1を読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体A1を用いて、寿命予測装置4に提供されてもよい。記録媒体A1は、例えば可搬型メモリである。可搬型メモリの例として、CD-ROM、USB(Universal Serial Bus)メモリ、SDカード、マイクロSDカード、コンパクトフラッシュ(登録商標)等が挙げられる。記録媒体A1が可搬型メモリである場合、制御部43の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記録媒体A1からコンピュータプログラムP1を読み取り、読み取ったコンピュータプログラムP1を記憶部42に書き込んでもよい。寿命予測装置4が外部装置と通信する図示しない通信部を備える場合、コンピュータプログラムP1は、通信部を介した通信によって、寿命予測装置4に提供されてもよい。この場合、制御部43の処理素子は、通信部を通じてコンピュータプログラムP1を取得し、取得したコンピュータプログラムP1を記憶部42に書き込んでもよい。
【0037】
記憶部42には、予め設定されている設定期間内における蓄電装置1の充放電量の推移を示す充放電パターンデータ(以下、単に「パターンデータ」という)を含むパターンファイルFが記憶されている。設定期間は、1日、1週間、1カ月、1年等である。後述するように、蓄電装置1のパターンファイルFはパターン生成装置5によって生成される。寿命予測装置4の制御部43は、パターン生成装置5からパターンファイルFを取得し、取得したパターンファイルFを記憶部42に書き込む。寿命予測装置4及びパターン生成装置5を含むシステムは予測システムに相当する。
【0038】
制御部43は、種々の方法でパターンファイルFを取得する。寿命予測装置4は、パターン生成装置5が送信したパターンファイルFを有線又は無線で受信する通信部を有してもよい。寿命予測装置4は、可搬型メモリからデータを読み取る読み取り部を有してもよく、可搬型メモリから、パターン生成装置5が生成したパターンファイルFを取得してもよい。
【0039】
図3は寿命予測処理の手順を示すフローチャートである。寿命予測装置4の使用者は、操作部41を操作することによって、寿命予測処理の実行を指示する。制御部43は、操作部41が寿命予測処理の実行指示を受け付けた場合において、記憶部42にパターンファイルFが記憶されているとき、寿命予測処理を実行する。寿命予測処理において、まず制御部43は、表示部40に指示して、蓄電装置1の構成内容を受け付けるための受付画面を表示させる(ステップS1)。
【0040】
図4は構成内容の受付画面の概略図である。
図4に示すように、蓄電装置1の構成内容は、バンク10の数、各バンク10が有する蓄電モジュール20の数、各蓄電モジュール20が有する蓄電素子30の数、各蓄電素子30の容量等を含む。バンク10の数は並列数に相当する。蓄電モジュール20の数、及び蓄電素子30の数はそれぞれ、直列数に相当する。寿命予測装置4の使用者は、構成内容の受付画面において、操作部41を操作することによって、蓄電装置1の構成内容、具体的には、バンク10の数、蓄電モジュール20の数、蓄電素子30の数、各蓄電素子30の容量等を入力する。操作部41は、使用者が入力した蓄電装置1の構成内容を受け付ける。操作部41は構成受付部として機能する。使用者は、構成内容の受付画面において、操作部41を操作することによって、「OK」が示されたボタンをクリックする。これにより、構成内容の受け付けが完了する。構成内容の受け付けが完了した場合、制御部43は、操作部41が受け付けた構成内容を示す構成データを取得する。
【0041】
構成内容の項目中の少なくとも1つは、数値を入力する項目の代わりに、複数の数値から1つの数値を選択する項目であってもよい。この場合、操作部41は、使用者が入力した蓄電装置1の構成内容を受け付けるとともに、使用者が選択した蓄電装置1の構成内容を受け付ける。構成内容の受け付けが完了した場合、制御部43は、構成内容を示す構成データを取得する。構成内容の選択又は入力を受け付ける項目の数は、1以上であればよく、4に限定されない。構成内容の選択又は入力を受け付ける項目として、例えば、蓄電素子の種類が含まれてもよい。蓄電素子の種類として、例えば、リチウムイオン電池が挙げられる。
【0042】
制御部43は、ステップS1を実行した後、構成内容の受け付けが完了したか否かを判定する(ステップS2)。制御部43は、構成内容の受け付けが完了していないと判定した場合(S2:NO)、ステップS2を再び実行し、構成内容の受け付けが完了するまで待機する。制御部43は、構成内容の受け付けが完了したと判定した場合(S2:YES)、記憶部42からパターンファイルFを読み出す(ステップS3)。前述したように、パターンファイルFには、設定期間内における蓄電装置1の充放電量の推移を示すパターンデータが含まれている。
【0043】
図5は充放電量の推移を示すグラフである。
図5において、横軸には時間が示されており、時間の単位は秒である。縦軸には、充放電量が示されており、充放電量の単位はワットである。充放電量が正である場合、充電が行われていることを示す。充電量は、蓄電装置1に供給される電力であり、充放電量の絶対値で表される。充放電量が負である場合、放電が行われていることを示す。放電量は、蓄電装置1から放出される電力であり、充放電量の絶対値である。設定期間内において、充放電量は、
図5に示すように推移するとして、蓄電装置1の寿命が予測される。
【0044】
図6はパターンデータの内容を示す図表である。
図6に示すように、パターンデータでは、所定時間、例えば、1秒の間隔で刻まれた複数の時点それぞれにおける充放電量が示されている。設定期間が1日(86400秒)である場合、1秒から86400秒までの期間に対応する充放電量が示される。
【0045】
次に制御部43は、
図3に示すように、ステップS3で読み出したパターンファイルFに含まれるパターンデータに基づいて、蓄電装置1のSOCの推移を示すSOCデータを生成する(ステップS4)。
【0046】
制御部43は、設定期間内における蓄電装置1の充放電量の推移を示すパターンデータに基づいて、充放電量の推移を予測する。例えば、設定期間が1日である場合、制御部43は、パターンデータに基づいて、毎日の充放電量の推移を予測する。
【0047】
制御部43は、予測した充放電量の推移に基づいて、例えば、蓄電装置1の使用を開始してから算出時点までの期間における充電量及び放電量の総量を算出する。制御部43は、充電量の総量から放電量の総量を減算することによって算出時点におけるSOCを算出する。制御部43は、算出時点を、所定時間、例えば、1秒の間隔で刻まれた複数の時点それぞれに変更することによって、各時点におけるSOCを算出し、SOCの推移を示すSOCデータを生成する。
【0048】
次に制御部43は、ステップS4で生成したSOCデータと、操作部41が受け付けた構成内容に基づいて、蓄電装置1の劣化の予測として、蓄電装置1の寿命を予測する(ステップS5)。前述したように、寿命は、使用を開始してから、蓄電装置1の容量が所定値に低下するまでの期間であり、例えば、SOHが70%に低下するまでの期間である。寿命の予測は劣化の予測の一例である。制御部43は予測部として機能する。
【0049】
SOCデータに基づく蓄電装置1の寿命の予測については、公知の技術、例えば、特開2018-169393号公報に記載されている技術を用いて実現することが可能である。特開2018-169393号公報では、SOCデータに基づいて、蓄電素子の劣化(蓄電素子の容量の低下)を推定する構成が開示されている。特開2018-169383号公報に記載されている技術を用いて、所定間隔、例えば1秒の間隔で刻まれた複数の時点それぞれにおけるSOHを算出し、寿命、例えば、SOHが70%に低下する期間を予測する。
次に制御部43は、表示部40に指示して、ステップS5で予測した寿命を表示させ(ステップS6)、寿命予測処理を終了する。
【0050】
寿命予測装置4の使用者は、寿命予測処理を繰り返し実行し、蓄電装置1の構成内容として種々の構成内容を選択又は入力する。これにより、使用者は、蓄電装置1の発注を予定している顧客の要求を満たす最適な蓄電装置1の構成内容を探る。寿命予測装置4の使用者、例えば、蓄電装置1の製造業者は、構成内容が最適である蓄電装置1を顧客に提案する。
【0051】
次にパターン生成装置5が行うパターンファイルFの生成を説明する。蓄電装置1を有する蓄電システムのモデルとして、以下に示す第1モデル、第2モデル及び第3モデルが想定されている。
【0052】
図7は蓄電システム6の第1モデルの説明図である。第1モデルでは、蓄電システム6は、発電機7及び電力系統間の接続ノードに接続されている。発電機7は、例えば、風力発電機であり、交流電力を発生させる。発電機7は、発生させた交流電力を蓄電システム6及び電力系統に供給する。電力系統は、例えば、工場、家庭等の建物に接続されている。電力系統を介して建物に交流電力が供給される。発電機7が交流電力を蓄電システム6に供給することによって、蓄電システム6が充電される。蓄電システム6は、例えば、発電機7が発電を停止した場合、交流電力を電力系統に放出する。
【0053】
蓄電システム6は、蓄電装置1に加えて、トランス60、パワーコンディショナ61及び2つの電力線W,Wを有する。トランス60は、発電機7及び電力系統間の接続ノードに接続されている。トランス60は、電力線Wを介してパワーコンディショナ61に接続されている。パワーコンディショナ61は、電力線Wを介して蓄電装置1に接続されている。
【0054】
トランス60は、発電機7が発生した交流電力に係る交流電圧の振幅を変換し、振幅が変換された交流電圧を、電力線Wを介してパワーコンディショナ61に出力する。パワーコンディショナ61は、トランス60から入力された交流電圧を、蓄電装置1の充電に適した直流電圧に変換し、変換した直流電圧に係る直流電力を、電力線Wを介して蓄電装置1に供給する。これにより、蓄電装置1が充電される。
【0055】
蓄電装置1は、例えば、発電機7が発電を停止した場合、直流電力を、電力線Wを介してパワーコンディショナ61に供給する。パワーコンディショナ61は、蓄電装置1から入力された直流電圧を、トランス60への出力に適した交流電圧に変換し、変換した交流電圧を、電力線Wを介してトランス60に出力する。トランス60は、パワーコンディショナ61から入力された交流電圧の振幅を変換し、振幅が変換された交流電圧に係る交流電力を電力系統に供給する。蓄電システム6では、電力線Wを介して電力が伝送される。パワーコンディショナ61は変換器として機能する。
【0056】
図7に示すように、蓄電装置1及び蓄電システム6それぞれへの充電量をPs1及びPc1と記載する。蓄電装置1及び蓄電システム6それぞれからの放電量をPs2及びPc2と記載する。前述したように、充電量は、蓄電装置1又は蓄電システム6に供給される電力である。放電量は、蓄電装置1又は蓄電システム6から放出される電力である。トランス60及びパワーコンディショナ61それぞれの変換効率をEt及びEcと記載する。2つの電力線W,W全体の伝送効率をEwと記載する。変換効率Et,Ec及び伝送効率Ewそれぞれは、ゼロを超えており、かつ、1以下である値で表される。
【0057】
蓄電装置1への充電量Pc1は下記の(1)式で表される。蓄電装置1からの放電量Pc2は下記の(2)式で表される。「・」は積を表す。
Pc1=Ps1・Et・Ec・Ew (1)
Pc2=Ps2/(Et・Ec・Ew) (2)
【0058】
蓄電装置1の製造業者は、蓄電システム6の充放電量の推移、トランス60及びパワーコンディショナ61の変換効率、並びに、電力線Wの伝送効率を、例えば顧客から提示してもらう。製造業者は、充放電量の推移、変換効率及び伝送効率と、(1)式及び(2)式とを用いて、設定期間内における蓄電装置1の充放電量の推移を示すパターンデータを作成する。
蓄電システム6の充放電量は、蓄電装置1の充放電量と同様に定義される。充放電量が正である場合、蓄電システム6への充電が行われていることを示す。充電量は、蓄電システム6に供給される電力であり、充放電量の絶対値で表される。充放電量が負である場合、放電が行われていることを示す。放電量は、蓄電システム6から放出される電力であり、充放電量の絶対値である。
【0059】
図8は蓄電システム6の第2モデルの説明図である。蓄電システム6は、発電機7及び電力系統間の接続ノードに接続されている。蓄電システム6は、蓄電装置1、パワーコンディショナ61及び電力線Wを有する。パワーコンディショナ61は、発電機7及び電力系統間の接続ノードに接続されている。パワーコンディショナ61は、電力線Wを介して蓄電装置1に接続されている。
【0060】
蓄電システム6において、蓄電装置1は第1モデルと同様に作用する。パワーコンディショナ61は、発電機7から入力された交流電圧を、蓄電装置1の充電に適した直流電圧に変換し、変換した直流電圧に係る直流電力を、電力線Wを介して蓄電装置1に供給する。パワーコンディショナ61は、蓄電装置1から入力された直流電圧を、電力系統への出力に適した交流電圧に変換し、変換し交流電圧に係る交流電力を電力系統に供給する。
【0061】
蓄電装置1への充電量Pc1は下記の(3)式で表される。蓄電装置1からの放電量Pc2は下記の(4)式で表される。
Pc1=Ps1・Ec・Ew (3)
Pc2=Ps2/(Ec・Ew) (4)
(3)式は、(1)式において、トランス60の変換効率Etに1を代入することによって得られる式である。(4)式は、(2)式において、トランス60の変換効率Etに1を代入することによって得られる式である。
【0062】
蓄電装置1の製造業者は、蓄電システム6の充放電量の推移、パワーコンディショナ61の変換効率、及び、電力線Wの伝送効率を、例えば顧客から提示してもらう。製造業者は、充放電量の推移、変換効率及び伝送効率と、(3)式及び(4)式とを用いて、設定期間内における蓄電装置1の充放電量の推移を示すパターンデータを作成する。
【0063】
図9は蓄電システム6の第3モデルの説明図である。蓄電システム6は、第2モデルと同様に、蓄電装置1、パワーコンディショナ61及び電力線Wを有する。パワーコンディショナ61は、発電機7及び電力系統に各別に接続されている。パワーコンディショナ61は、電力線Wを介して蓄電装置1に接続されている。
【0064】
発電機7は、直流又は交流の電力を発生させ、発生させた直流又は交流の電力をパワーコンディショナ61に供給する。パワーコンディショナ61は、発電機7から供給された電力に係る電圧を、周波数及び振幅が電力系統に適合している交流電圧に変換し、変換した交流電圧に係る交流電力を電力系統に供給する。パワーコンディショナ61は、発電機7から入力された電圧を、蓄電装置1の充電に適した直流電圧に変換し、変換した直流電圧に係る直流電力を蓄電装置1に供給する。
【0065】
蓄電装置1は、第1モデル及び第2モデルと同様に作用する。パワーコンディショナ61は、蓄電装置1から入力された直流電圧を、電力系統への出力に適した交流電圧に変換し、変換した交流電圧に係る交流電力を電力系統に供給する。
【0066】
第2モデルと同様に、蓄電装置1への充電量Pc1は(3)式で表され、蓄電装置1からの放電量Pc2は(4)式で表される。前述したように、(3)式及び(4)式それぞれは、(1)式及び(2)式において、トランス60の変換効率Etに1を代入することによって得られる。
【0067】
蓄電装置1の製造業者は、蓄電システム6の充放電量の推移、パワーコンディショナ61の変換効率、及び、電力線Wの伝送効率を、例えば顧客から提示してもらう。製造業者は、充放電量の推移、変換効率及び伝送効率と、(3)式及び(4)式とを用いて、設定期間内における蓄電装置1の充放電量の推移を示すパターンデータを作成する。
【0068】
図10はパターン生成装置5の構成を示すブロック図である。パターン生成装置5は、パーソナルコンピュータ、タブレット等であり、前述したように、パターンデータを含むパターンファイルFを生成する。パターン生成装置5は、表示部50、操作部51、記憶部52及び制御部53を有する。これらは内部バス54に接続されている。
【0069】
表示部50は、制御部53の指示に従って、種々の画面を表示する。操作部51は、タッチパネル、キーボード、マウス等を有する。操作部51は、パターン生成装置5の使用者によって操作され、使用者から種々の入力を受け付ける。
【0070】
記憶部52は不揮発性メモリである。記憶部52には、コンピュータプログラムP2が記憶されている。制御部53は、処理素子、例えばCPUを有する。制御部53の処理素子(コンピュータ)は、コンピュータプログラムP2を実行することによって、パターンファイルFを生成するパターン生成処理を実行する。制御部53が有する処理素子の数は2以上であってもよい。この場合、複数の処理素子がコンピュータプログラムP2に従って、パターン生成処理を含む種々の処理を協同で実行してもよい。
【0071】
コンピュータプログラムP2は、コンピュータプログラムP2を読み取り可能に記録した非一時的な記録媒体A2を用いて、パターン生成装置5に提供されてもよい。記録媒体A2は、例えば可搬型メモリである。この場合、制御部53の処理素子は、図示しない読取装置を用いて記録媒体A2からコンピュータプログラムP2を読み取り、読み取ったコンピュータプログラムP2を記憶部52に書き込んでもよい。更に、パターン生成装置5が外部装置と通信する図示しない通信部を備える場合、コンピュータプログラムP2は、通信部を介した通信によって、パターン生成装置5に提供されてもよい。この場合、制御部53の処理素子は、通信部を通じてコンピュータプログラムP2を取得し、取得したコンピュータプログラムP2を記憶部52に書き込んでもよい。
【0072】
図11はパターン生成処理の手順を示すフローチャートである。パターン生成装置5の使用者は、操作部51を操作することによって、パターン生成処理の実行を指示する。制御部53は、操作部51がパターン生成処理の実行指示を受け付けた場合、パターン生成処理を実行する。パターン生成処理において、まず、制御部53は、表示部50に指示して、蓄電システム6の充放電に関する選択及び入力を受け付けるための受付画面を表示させる(ステップS11)。表示部50は画面表示部として機能する。
【0073】
図12は、充放電の受付画面の概略図である。パターン生成装置5の使用者は、充放電の受付画面において、操作部41を操作することによって、種々の選択及び入力を行う。
図12に示すように、まず使用者は、設定期間を決定する。使用者が、設定期間の三角ボタンをクリックした場合、設定期間について、予め設定されている複数の候補期間が表示される。複数の候補期間は、例えば、1日、1週間、1カ月及び1年である。使用者は、複数の候補期間から1つを選択する。
図12の例では、設定期間として1日が選択されている。
【0074】
次に使用者は、充放電の受付画面において、蓄電システム6の充放電に関する複数種類の動作から一又は複数種類の動作を選択する。複数種類の動作は予め設定されている。使用者は、充放電の受付画面において、動作を示す欄の三角ボタンをクリックする。これにより、表示部50は、蓄電システム6の充放電に関する複数種類の動作を表示する。
【0075】
図13は、複数種類の動作の表示の説明図である。
図13に示すように、動作の三角ボタンをクリックすることによって、表示部50は複数種類の動作を表示する。
図13の例では、3種類の動作が示されている。「充電→放電」は、蓄電システム6への充電を行った後に蓄電システム6が放電する動作である。「充電→放電」では、充電及び放電が1回ずつ連続的に行われる。「充電(一定)」は、充電量が一定である充電のみを行う動作である。「放電(一定)」は、放電量が一定である放電のみを行う動作である。
【0076】
使用者は、表示されている複数種類の動作から1つの動作を選択する。操作部51は、充放電の受付画面において、蓄電システム6の充放電に関する複数種類の動作からの選択を受け付ける。操作部51は、選択受付部として機能する。
以上のように、複数種類の動作が
図13に示すように表示されるので、パターン生成装置5の使用者は、パターンデータの生成において、選択することが可能な動作を容易に把握できる。
【0077】
図13では、三角ボタンをクリックすることによって表示される3種類の動作に、「充電→放電」、「充電(一定)」及び「放電(一定)」とは異なる動作が含まれてもよい。例えば、3種類の動作に、蓄電システム6が放電した後に蓄電システム6への充電を行う動作、充電量が一定の傾きで上昇若しくは低下する充電のみを行う動作、又は、放電量が一定の傾きで上昇若しくは低下する放電のみを行う動作が含まれてもよい。
三角ボタンをクリックすることによって表示される種類の数は、3に代えて、2又は4以上であってもよい。
【0078】
図12及び
図13に示すように、使用者は、設定期間内に実行する動作として、複数種類の動作を選択できる。例えば、使用者は、No.1の動作として「充電(一定)」を選択し、No.2の動作として「放電(一定)」を選択できる。設定期間内では、No.1の動作から順次実行する。
【0079】
次に使用者は、操作部51を操作することによって、選択した動作について、蓄電システム6の電力、即ち、充電量及び放電量の両方又は一方を入力する。操作部51は、充放電の受付画面において、充電量及び放電量の両方又は一方の入力を受け付ける。
図12の例では、「充電→放電」が選択されているので、使用者は、蓄電システム6の電力として、入力欄の左側に充電量を入力し、入力欄の右側に放電量を入力する。
図13の例では、「充電(一定)」が選択されているので、使用者は、蓄電システム6の電力として、充電量を入力する。操作部51は電力受付部としても機能する。
【0080】
次に使用者は、操作部51を操作することによって、選択した動作について、充放電の受付画面において、充電又は放電が行われる期間を入力する。操作部51は、充放電の受付画面において、充電又は放電が行われる期間の入力を受け付ける。
図12の例では、「充電→放電」が選択されているので、使用者は、入力欄の左側に、充電が行われる期間を入力し、入力欄の右側に、放電が行われる期間を入力する。
図13の例では、「充電(一定)」が選択されているので、使用者は、放電が行われる期間を入力する。操作部51は、期間受付部としても機能する。
【0081】
次に使用者は、操作部51を操作することによって、選択した動作の繰り返し回数を入力する。操作部51は、繰り返し回数の入力を受け付ける。
図12の例では、「充電→放電」が選択され、繰り返し回数として8が入力されている。このため、充電を行った後に放電を行う動作が連続して8回実行される。選択した動作を繰り返さない場合、使用者は、繰り返し回数として1を入力すればよい。
図13の例では、「充電(一定)」が選択され、繰り返し回数として1が入力されている。このため、充電量が一定である充電が連続して繰り返されることはない。
以上のように、一覧表において、動作の選択、並びに、蓄電システム6の電力、期間及び繰り返し回数の入力が行われる。
【0082】
図12及び
図13に示すように、充放電の受付画面では、設定期間、動作が確定した確定期間、及び、動作が未確定である未確定期間が示されている。確定期間は、一覧表において、操作部51を通じて入力された期間の合計である。未確定期間は、設定期間の残りの期間であり、設定期間から確定期間を減算することによって算出される。設定期間は、設定期間について選択された内容に従って更新される。確定期間及び未確定期間は、一覧表の選択及び入力の内容に従って更新される。
【0083】
次に使用者は、未確定期間が存在する場合、即ち、未確定期間がゼロを超えている場合、未確定期間の動作について、充放電の受付画面において、一覧表に示した一又は複数の動作を繰り返すか否かを選択する。使用者は、充放電の受付画面において、一覧表の動作の繰り返しに対応する三角ボタンをクリックする。これにより、選択の項目として有効及び無効が表示される。使用者は、有効及び無効から1つを選択する。操作部41は、充放電の受付画面において、一覧表に示した一又は複数の動作を繰り返すか否かの選択を受け付ける。
【0084】
未確定期間が存在する場合において、無効が選択されたとき、一覧表に示した一又は複数の動作は繰り返されず、使用者は、未確定期間の動作を決定する必要がある。未確定期間が存在する場合において、有効が選択されたとき、一覧表に示した一又は複数の動作は繰り返される。これにより、未確定期間の動作が確定する。
【0085】
未確定期間が存在する場合において、無効が選択されているとき、使用者は、操作部51を操作することによって、未確定期間の動作に関する複数種類の動作から1つの動作を選択する。複数種類の動作は予め設定されている。使用者は、充放電の受付画面において、未確定期間の動作に対応する三角ボタンをクリックする。これにより、複数種類の動作が表示される。使用者は、表示された複数の動作から1つの動作を選択する。操作部51は、充放電の受付画面において、未確定期間の動作に関する複数種類の動作からの1つの動作の選択を受け付ける。複数種類の動作の例として、定電流定電圧充電、充放電なし等が挙げられる。未確定期間の動作として選択することが可能な複数の動作それぞれは、一覧表の動作に関して選択される複数の動作とは異なる。操作部51は第2の選択受付部としても機能する。
【0086】
定電流定電圧充電は以下のように行われる充電である。蓄電装置1の端子電圧、即ち、電力線Wが接続される端子の電圧が低い場合に一定の電流を蓄電装置1に供給する。蓄電装置1の端子電圧が高い場合、一定の電圧を蓄電装置1の端子に印加する。これにより、蓄電装置1を充電する。
充放電なしは、蓄電装置1の充放電量がゼロであることを意味する。
【0087】
次に使用者は、蓄電システム6について、第1モデルから第3モデルの中で1つのモデルを選択する。使用者は、選択したモデルについて、パワーコンディショナ61の変換効率、トランス60の変換効率及び電力線Wの伝送効率を入力する。前述したように、これらは、ゼロを超えており、かつ、1以下である値である。操作部51は、充放電の受付画面において、パワーコンディショナ61の変換効率、トランス60の変換効率及び電力線Wの伝送効率の入力を受け付ける。操作部51を通じて入力された2つの変換効率及び伝送効率に基づいて、蓄電装置1に係る充電量Pc1及び放電量Pc2が算出される。操作部51は、第1の効率受付部、第2の効率受付部及び第3の効率受付部としても機能する。
【0088】
使用者が第2モデル又は第3モデルを選択した場合、即ち、蓄電システム6にトランス60が含まれていない場合、使用者は、トランス60の変換効率として1を入力すればよい。これにより、(1)式及び(2)式において、変換効率Etに1が代入され、充電量Pc1及び放電量Pc2を算出する式が(3)式及び(4)式に変換される。
第1モデルを選択した場合において、使用者が操作部51を通じて入力する電力線Wの伝送効率は、2つの電力線W,W全体の伝送効率である。
【0089】
制御部53は、充放電の受付画面において、操作部51を通じて選択された内容、及び、操作部51を通じて入力された内容の両方を示す充放電データを操作部51から取得する。充放電データが示す内容には、充放電の受付画面の一覧表において、充放電に関する複数種類の動作から選択された動作が含まれ、充放電データは動作データに相当する。
【0090】
使用者は、操作部51を操作することによって、充放電の受付画面において、「パターンデータの生成」と記載されたボタンをクリックする。これにより、操作部51は、パターンデータの生成指示を受け付ける。使用者は、充放電の受付画面において、「パターンファイルの生成」と記載されたボタンをクリックする。これにより、操作部51は、パターンファイルFの生成指示を受け付ける。使用者は、充放電の受付画面において、「リセット」と記載されたボタンをクリックする。これにより、操作部51は、充放電の受付画面の内容のリセットを指示するリセット指示を受け付ける。
【0091】
パターン生成装置5の使用者は、操作部51を操作することによって、パターン生成処理の終了を指示する。操作部51は、パターン生成処理の終了指示を受け付ける。使用者は、例えば、操作部51を操作し、充放電の受付画面の右上のボタンをクリックすることによって、パターン生成処理の終了を指示する。
【0092】
図11に示すように、制御部53は、ステップS11を実行した後、操作部51がパターンデータの生成指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS12)。制御部53は、操作部51がパターンデータの生成指示を受け付けたと判定した場合(S12:YES)、操作部51から取得した充放電データに基づいて、
図6に示すようなパターンデータを生成する(ステップS13)。前述したように、充放電データは、操作部51を通じて、充放電の受付画面において選択及び入力された内容を示す。制御部53は生成部として機能する。パターン生成装置5の制御部53が生成したパターンデータを含むパターンファイルFは、寿命予測装置4において蓄電装置1の寿命の予測に用いられる。
【0093】
前述したように、蓄電システム6の電力は充電量又は放電量を示す。蓄電装置1の充放電量の絶対値は、蓄電システム6の電力、パワーコンディショナ61の変換効率、トランス60の変換効率及び電力線Wの伝送効率を(1)式又は(2)式に代入することによって算出される。充電量の算出には(1)式が用いられる。放電量の算出には(2)式が用いられる。
【0094】
次に制御部53は、表示部50に指示して、ステップS13で生成したパターンデータに対応する充放電量の推移を示すグラフを表示させる(ステップS14)。充放電量の推移を示すグラフの一例として、
図5に示すグラフが挙げられる。
このように、表示部50は、制御部53が生成したパターンデータに対応する充放電量の推移を表示するので、パターン生成装置5の使用者は充放電量の推移を直感的に把握できる。表示部50は推移表示部としても機能する。
【0095】
制御部53は、操作部51がパターンデータの生成指示を受け付けていないと判定した場合(S12:NO)又はステップS14を実行した後、操作部51がパターンファイルFの生成指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS15)。
パターンデータが生成されていない場合、操作部51はパターンファイルFの生成指示を受け付けることはない。
【0096】
制御部53は、操作部51がパターンファイルFの生成指示を受け付けたと判定した場合(S15:YES)、ステップS13で生成した直近のパターンデータを含むパターンファイルFを生成する(ステップS16)。次に制御部53は、ステップS16で生成したパターンファイルFを記憶部52に書き込む(ステップS17)。制御部53は、操作部51がパターンファイルFの生成指示を受け付けていないと判定した場合(S15:NO)、又は、ステップS17を実行した後、操作部51が充放電の受付画面の内容のリセット指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS18)。
【0097】
制御部53は、操作部51がリセット指示を受け付けたと判定した場合(S18:YES)、充放電の受付画面の内容をリセットする(ステップS19)。これにより、例えば、充放電の受付画面において選択又は入力されている内容は以下のように変更される。設定期間、一覧表の動作の繰り返し及び未確定期間の動作は、予め設定されている初期内容に変更される。一覧表の入力内容はなくなる。パワーコンディショナ61の変換効率、トランス60の変換効率及び電力線Wの伝送効率は、予め設定されている初期値、例えば、1に変更される。
【0098】
制御部53は、操作部51がリセット指示を受け付けていないと判定した場合(S18:NO)、又は、ステップS19を実行した後、操作部51がパターン生成処理の終了指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS20)。制御部53は、操作部51がパターン生成処理の終了指示を受け付けていないと判定した場合(S20:NO)、ステップS12を実行し、操作部51が終了指示を受け付けるまで待機する。制御部53は、操作部51がパターン生成処理の終了指示を受け付けたと判定した場合(S20:YES)、パターン生成処理を終了する。
【0099】
以上のように、パターン生成装置5において、製造業者は、蓄電システム6の充放電の受付画面において、複数種類の動作から動作を選択することによって、パターンデータが生成される。従って、パターンデータの生成が容易であり、パターンデータを短時間で生成できる。
【0100】
パターン生成装置5の構成は、設定期間内に実行する動作、即ち、
図12及び
図13に示す一覧表において選択する動作として、充電のみが行われる動作、放電のみが行われる動作及び充電と放電が1回ずつ連続的に行われる動作の少なくとも2つを使用者が選択する構成であってもよい。この場合、これらの基本的な動作が選択可能であるので、必要に応じて、2つ以上の動作を組み合わせることによって、種々のパターンデータを短時間で生成できる。
【0101】
図14は、パターン生成装置5及び寿命予測装置4の使用例の説明図である。パターン生成装置5は可搬型の装置であると仮定する。蓄電装置1の製造業者は、例えば、パターン生成装置5を持って顧客を訪問する。製造業者は、最初に、蓄電システム6の充放電に関する内容を顧客から聞き、
図12及び
図13に示す充放電の受付画面において蓄電システム6の充放電に関する選択及び入力を行う。製造業者は、パターン生成装置5に充放電量の推移のグラフを表示させ、このグラフを顧客に迅速に提示する。
【0102】
顧客がグラフを確認し、パターンデータが使用環境における充放電量の推移を適正に模擬していない場合、製造業者はその場で、蓄電システム6の充放電の受付画面の内容を変更し、変更した内容が反映された充放電量の推移を示すパターンデータを生成する。製造業者は、生成したパターンデータが示す充放電量の推移のグラフを再び顧客に提示する。パターンデータを短時間で生成できるので、この一連の行為を短時間で繰り返すことができる。
【0103】
図15は、パターン生成装置5の効果の説明図である。
図15には、従来において作成される充放電量の推移が細い実線で示されている。使用環境における充放電量の推移が太い実線で示されている。2つの推移が重なる部分は太い実線で示されている。従来、製造業者は、顧客から、大まかな情報、又は発注が予定されている蓄電システムに類似する蓄電システムにおける運用情報を提示してもらった後、自社に戻り、大まかな情報又は運用情報に基づいて、設定期間内における蓄電装置の充放電量の推移を示すパターンデータを作成する。
【0104】
図15の上側に示すように、製造業者は、実際の使用環境における充放電と比較して蓄電装置を過剰に充放電させるように設定されたパターンデータを作成する可能性がある。このパターンデータを含むパターンファイルFに基づいて蓄電装置1の構成内容を決定した場合、顧客の要求を満たす最適な蓄電装置と比較して、構成が過剰で、価格が高い蓄電装置1を提案することとなる。この場合、製造業者が事業機会を逸する(失注する)可能性が高い。
【0105】
図15の下側に示すように、製造業者は、実際の使用環境における充放電と比較して蓄電装置を過少に充放電させるように設定されたパターンデータを作成する可能性がある。このパターンデータを含むパターンファイルFに基づいて蓄電装置1の構成内容を決定した場合、顧客の要求を満たす最適な蓄電装置と比較して、構成が過少で、価格が低い蓄電装置1を提案することとなる。この場合、蓄電装置1を備える蓄電システム6を納入した後、寿命予測に基づく予想よりも早い段階で顧客の要求を満たせなくなる可能性が高い。
【0106】
パターン生成装置5を用いる場合、製造業者は、前述したように、充放電の受付画面において蓄電システム6の充放電に関する選択及び入力から充放電量の推移の提示までの一連の行為を短時間が繰り返すことができる。結果、製造業者は、顧客との商談の場で、使用環境における充放電量の推移を適正に模擬した充放電量の推移、即ち、
図15において実線で示される充放電量の推移を示すパターンデータを含むパターンファイルFを生成でき、パターンデータについて顧客と合意できる。
【0107】
図14に示すように、製造業者は、パターン生成装置5を用いてパターンファイルFを生成した後、自社に戻り、生成したパターンファイルFに含まれるパターンデータに基づいて、例えば、寿命について顧客の要求を満たす蓄電装置1の種々の構成内容を考える。製造業者は、パターン生成装置5が生成したパターンファイルFを、寿命予測装置4の記憶部42に記憶させる。製造業者は、寿命予測装置4において、操作部41を操作することによって、寿命予測処理の実行を指示する。製造業者は、生成したパターンファイルFに含まれるパターンデータに基づいて、構成内容が異なる種々の蓄電装置1の寿命を寿命予測装置4に予測させる。これにより、製造業者は、寿命について顧客の要求を満たす蓄電装置1の構成内容を探ることができる。
最後に、製造業者は、顧客の要求を満たす最適な蓄電装置1を顧客に提案する。
【0108】
パターン生成装置5が行うパターンデータの生成では、蓄電システム6の充電量及び放電量、パワーコンディショナ61の変換効率、電力線Wの伝送効率、トランス60の変換効率及び充電又は放電が行われる期間が考慮される。このため、パターン生成装置5は、使用環境における充放電量の推移をより適正に模擬したパターンデータを生成できる。
充放電の受付画面では、未確定期間の動作についても、複数種類の動作から動作を選択すればよいので、パターンデータの生成が更に容易である。
【0109】
開示された本実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した意味ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
1 蓄電装置
4 寿命予測装置(予測システムの一部)
5 パターン生成装置(予測システムの一部)
6 蓄電システム
41 操作部(構成受付部)
43 制御部(予測部)
50 表示部(画面表示部、推移表示部)
51 操作部(選択受付部、第2の選択受付部、電力受付部、第1の効率受付部、第2の効率
受付部、第3の効率受付部、期間受付部)
53 制御部(生成部)
60 トランス
61 パワーコンディショナ(変換器)
P2 コンピュータプログラム
W 電力線