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特許7173205穿刺ガイド、及び穿刺ガイド付き超音波診断装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】穿刺ガイド、及び穿刺ガイド付き超音波診断装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 8/00 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A61B8/00
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021074797
(22)【出願日】2021-04-27
(62)【分割の表示】P 2017081533の分割
【原出願日】2017-04-17
(65)【公開番号】P2021104462
(43)【公開日】2021-07-26
【審査請求日】2021-05-14
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000135036
【氏名又は名称】ニプロ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】衣川 雄規
【審査官】冨永 昌彦
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-516288(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0166451(US,A1)
【文献】特開2007-175110(JP,A)
【文献】特表2003-507114(JP,A)
【文献】特表2016-508410(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0007956(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 8/00 - 8/15
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波を受信するプローブと受信した超音波に基づいて作成される画像を映す画像表示部とを有すると共にその所定方向一端にプローブが配置され且つ所定方向他端側部分の前面に前記画像表示部が配置されるケーシングを有する超音波診断装置と、
前記ケーシングの所定方向一端側部分に着脱可能な穿刺ガイドと、を備え、
前記所定方向一端側部分の前面と前記所定方向他端側部分の前面とが互いに交差すると共に、その交差部分は前方へ凸状を成しており、
前記穿刺ガイドは、穿刺用の針を挿通可能なガイド孔が形成されたガイド部を有し、前記ケーシングに装着されたときに、前記ガイド部は前記ケーシングの前記所定方向一端側部分の前面であって且つ左右方向の中央に位置すると共に前方へ向かって突出している
超音波診断装置及び穿刺ガイドのセット。
【請求項2】
超音波を受信するプローブと受信した超音波に基づいて作成される画像を映す画像表示部とを有すると共にその所定方向一端にプローブが配置され且つ所定方向他端側部分の前面に前記画像表示部が配置されるケーシングを有する超音波診断装置と、
前記ケーシングに設けられ、穿刺用の針を挿通可能なガイド孔が形成されたガイド部を有する穿刺ガイドと、を備え、
前記所定方向一端側部分の前面と前記所定方向他端側部分の前面とが互いに交差すると共に、その交差部分は前方へ凸状を成しており、
前記穿刺ガイドは、前記ケーシングの前記所定方向一端側部分の前面であって且つ左右方向の中央に位置していると共に前方へ向かって突出している
穿刺ガイド付き超音波診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波診断装置を用いながら針を穿刺する際に針を案内させるための穿刺ガイド、及びそれを備えている穿刺ガイド付き超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
患者に針等を穿刺する穿刺作業を行う際、穿刺状態(針の位置、方向、及び深さ等)を確認しながら穿刺作業を行うことが好ましい場合があり、穿刺状態を確認するための装置として超音波診断装置が知られている。超音波診断装置は、患者の体内を可視化する装置であり、プローブとモニターとを備えている。超音波診断装置は、まず体内の可視化したい部分の体表にプローブを当てることによって、その部分の断面映像がモニターに映し出され、施術者はモニターを見ながら針等を穿刺する。このようなプローブとしては、例えば特許文献1の撮像トランジューサが知られているが、撮像トランジューサの側面にはニードルガイドが設けられている。ニードルガイドは、穿刺する針等を挿入することができ、撮像トランジューサでは、ニードルガイドによって穿刺する針の方向付けを行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-93505号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の撮像トランジューサは、モニターと別体で構成されている。それ故、施術者は、モニターを見ながら撮像トランジューサを手で動かし、更に穿刺作業を行う必要がある。即ち、施術者は、手元を見ることなく撮像トランジューサを動かしまた穿刺作業を行う必要があるので、穿刺を行うべく高い熟練度を要する。そこで、高い熟練度を要しない、以下のような超音波診断装置が開発されている。
【0005】
即ち、開発される超音波診断装置では、プローブとモニターとが1つのケーシングに設けられている、即ちプローブとモニターとが一体的に構成されている。この超音波診断装置では、施術者が自身の手元及びモニターの両方を見ながら穿刺作業を行うことができ、プローブとモニターとが離れて位置するものに比べて高い熟練度を必要としない。このような機能を有する超音波診断装置においても、特許文献1の撮像トランジューサと同様に穿刺ガイドを採用することが考えられ、超音波診断装置において穿刺ガイドを有効に活用できようにすることが望まれている。
【0006】
そこで本発明は、超音波診断装置に対して有効に活用することができる穿刺ガイドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の穿刺ガイドは、超音波を受信するプローブと受信した超音波に基づいて作成される画像を映す画像表示部とが1つのケーシングに設けられ、前記ケーシングの所定方向一端にプローブが配置され且つ前記ケーシングの主面において前記画像表示部が配置されている超音波診断装置に取付けられる穿刺ガイドであって、穿刺するための針組立体の針を挿通可能であって挿通される前記針の針先が前記プローブから所定方向一方に所定距離離れた位置を通過するように前記針を案内するガイド孔を有するガイド部と、を備え、前記ガイド部は、前記ケーシングの主面であって前記画像表示部より所定方向一端側に配置されているものである。
【0008】
本発明に従えば、ケーシングの主面であって画像表示部の所定方向一端側にガイド部が設けられているので、画像表示部に映し出される映像と針の位置との対応関係が分かりやすく、穿刺作業を行いやすくすることができる。これにより、超音波診断装置に対して穿刺ガイドを有効に活用することができる。
【0009】
本発明の穿刺ガイド付き超音波診断装置は、超音波を受信するプローブと受信した超音波に基づいて作成される画像を映す画像表示部とが1つのケーシングに設けられ、前記ケーシングの所定方向一端面にプローブが配置され且つ前記ケーシングの主面において前記画像表示部が配置されている超音波診断装置と、前記ケーシングに設けられ、穿刺するための針を挿通可能であって挿通される前記針の針先が前記プローブから所定方向一方に所定距離離れた位置を通過するように前記針を案内するガイド孔を有する穿刺ガイドと、を備え、前記穿刺ガイドは、前記主面において前記画像表示部の所定方向他端側に位置するように前記ケーシングに設けられているものである。
【0010】
本発明に従えば、ケーシングの主面であって画像表示部の所定方向一端側にガイド部が設けられているので、画像表示部に映し出される映像と針の位置との対応関係が分かりやすく、穿刺作業を行いやすくすることができる。これにより、超音波診断装置に対して穿刺ガイドを有効に活用することができる。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、超音波診断装置に対して穿刺ガイドを有効に活用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態の穿刺ガイド付き超音波診断装置を斜め上方から見た斜視図である。
図2図1の超音波診断装置から穿刺ガイドを取外した状態を示す正面図である。
図3図2の穿刺ガイドを前斜め上方から見た斜視図である。
図4図2の穿刺ガイドを下方から見た底面図である。
図5図1の穿刺ガイド付き超音波診断装置において、穿刺ガイドに針組立体を挿入した状態を示す左側面図である。
図6図5の穿刺ガイド付き超音波診断装置を正面から見た正面図である。
図7】第2実施形態の穿刺ガイド付き超音波診断装置を斜め上方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る第1及び第2実施形態の穿刺ガイド1,1A及び穿刺ガイド付き超音波診断装置2,2Aについて図面を参照して説明する。なお、以下の説明で用いる方向の概念は、説明する上で便宜上使用するものであって、発明の構成の向き等をその方向に限定するものではない。また、以下に説明する穿刺ガイド1,1A及び穿刺ガイド付き超音波診断装置2,2Aは、本発明の一実施形態に過ぎない。従って、本発明は実施形態に限定されず、発明の趣旨を逸脱しない範囲で追加、削除、変更が可能である。
【0014】
[第1実施形態]
図1に示す穿刺ガイド付き超音波診断装置2は、皮下にある血管等を可視化しながら針等を穿刺する際に用いられるものであり、穿刺ガイド1と超音波診断装置3とを備えている。穿刺ガイド1は、モニター一体型の超音波診断装置(以下、単に「超音波診断装置」)3に装着され、後述する針組立体31の針31aを案内するようになっている。また、超音波診断装置3は、皮下組織の状態を可視化するためのものである。即ち、超音波診断装置3は、エコー用ゲル等の液状ゲルが塗布された体表に押当てることによって、押当てている部分の皮下組織の状態を可視化できるようになっている。以下では、超音波診断装置3及び穿刺ガイド1の構成の一例について説明する。
【0015】
<超音波診断装置>
超音波診断装置3は、図2に示すようにケーシング11と、プローブ12と、モニター13とを備えている。ケーシング11は、正面視で大略矩形状の箱状の部材であり、その下端部分である先端側部分11aが先端11bに向かって先細りの台形状に形成されている。ケーシング11の先端11bには、プローブ12が配置されている。即ち、超音波診断装置3は、その先端3aにプローブ12を有している。また、ケーシング11は、中間部分から基端側部分にかけて後側に傾倒しており、その前面(即ち、主面)11dにモニター13が配置されている。以下では、プローブ12とモニター13の機能について説明する。
【0016】
プローブ12は、超音波を送受信するように構成されており、例えば圧電素子等の振動子によって構成されている。また、プローブ12は、ケーシング11内に収容される制御装置(図示せず)に接続され、制御装置からの指令に応じて超音波を送信するようになっている。更に、プローブ12は、皮下の各組織から反射してくる超音波、即ち反射波を受信し、受信する超音波に応じた信号を制御装置に出力する。制御装置は、その信号に基づいて画像処理を行うようになっており、画像処理によって得られる画像データをモニター13に出力する。
【0017】
画像表示装置の一例であるモニター13は、例えば液晶型モニター及び有機EL型モニターであり、画像データに応じた画像を表示するようになっている。即ち、モニター13には、プローブ12が受信した反射波に基づいて作成される画像が表示されるようになっている。このような機能を有するモニター13は、前述の通りケーシング11の前面11dに配置されている。また、モニター13の左右の幅は、ケーシング11の左端付近から右端付近までに渡り、上下の高さは中間部分から基端付近までに渡っている。即ち、モニター13は、ケーシング11の前面11dであって中間部分から基端に渡って配置されている。
【0018】
このように構成されている超音波診断装置3では、前述の通り、プローブ12から超音波が送信される。例えば、体表にプローブ12を当てた場合、送信した超音波が皮下にある種々の組織にて反射され、反射波をプローブ12にて受信する。超音波診断装置3では、受信した反射波に基づいて画像処理が行われ、その皮下組織の状態がモニター13に映し出される。このような機能を有する超音波診断装置3は、皮下にある血管等に対して穿刺作業を行う際に用いられ、また穿刺作業を行う際には、超音波診断装置3の先端側部分、即ちケーシング11の先端側部分11aに穿刺ガイド1が装着されている。
【0019】
<穿刺ガイド>
穿刺ガイド1は、図3に示すようにブラケット21と、ガイド部22とを有している。ブラケット21は、正面視で大略台形のカバー状の部材であり、その内空間がケーシング11の先端側部分11aの外形形状に合わせて形成されている。それ故、ブラケット21は、ケーシング11の先端側部分11aに被せて装着することができるようになっている。また、ブラケット21における左右の側面の各々には、一対の溝21a,21aが形成されている。
【0020】
一対の溝21a,21aは、前後方向に離して形成されており、離して形成することによってそれらの間に可撓片21bが形成されている。また、可撓片21bには、係合孔21cが形成されている。即ち、ブラケット21は、左右に夫々配置される一対の係合孔21c,21cを有している。また、ケーシング11には、一対の係合孔21c,21cに夫々対応させた一対の係合突起11c,11cが形成されている。一対の係合突起11c,11cの各々は、ブラケット21をケーシング11の先端側部分11aに装着した際に一対の係合孔21c、21cの各々に嵌まり込むようになっており、嵌まり込むことでブラケット21がケーシング11と係合するようになっている。これにより、ブラケット21は、ケーシング11の先端側部分11aに位置決めされた状態で装着される。
【0021】
また、一対の可撓片21b,21bは、ケーシング11にブラケット21を装着する際に及びケーシング11からブラケットを外す際に、一対の係合突起11c,11cによって左右に押し広げられるようになっている。これにより、ブラケット21は、ケーシング11に着脱可能に構成され、且つ装着後にブラケット21がケーシング11から容易に外れないようになっている。このような形状を有するブラケット21は、ブラケット21にガイド部22を取付けるための嵌合用突起部分21dを更に有している。
【0022】
嵌合用突起部分21dは、ブラケット21の前面(即ち、ケーシング11の前面11dと同じ側の面)21fに一体的に設けられている。嵌合用突起部分21dは、ブラケット21の前面21fにおいて左右方向中央に配置されており、ブラケット21の前面21fから前方に突出するように形成されている。更に詳細に説明すると、嵌合用突起部分21dは、側面視で大略直角三角形の板状に形成されており、斜辺部分をブラケット21の前面21fに向けてそこに一体的に形成されている。また、嵌合用突起部分21dは、左右の側面に凸条部分21e,21eを有しており、凸条部分21e,21eは、側面から左右方向外側へと突出し、且つ嵌合用突起部分21dの前面に沿って斜め前上方に延在している。このように形成されている嵌合用突起部分21dには、ガイド部22が嵌合されている。
【0023】
ガイド部22は、留置針等の針組立体31の針31a(後述する図5及び6参照)を皮下組織に穿刺する際に、穿刺する針31aを案内して針31aの穿刺方向を決定づけるものであり、側面視で大略台形のブロック状に形成されている。更に詳細に説明すると、ガイド部22は、上下方向に貫通する嵌合溝22aが形成されている。嵌合溝22aは、後方へと開口しており、その形状は嵌合用突起部分21dの形状に合わせて形成されている。即ち、嵌合溝22aは、後ろ斜め下方に延在し、ガイド部22の内周面には、一対の凸条部分21e,21eに対応させて一対の溝部22b,22bが形成されている。従って、ガイド部22は、その下側から嵌合溝22aに嵌合用突起部分21dを挿入させることができ、挿入することによって嵌合用突起部分21dがガイド部22に嵌合される。また、嵌合溝22aの後方の開口は、ガイド部22の上端付近において幅が狭まっており、挿入した嵌合用突起部分21dが上方から抜けないようになっている。それ故、嵌合用突起部分21dがガイド部22内にて収まり、ガイド部22がブラケット21に取付けられる。
【0024】
また、ガイド部22の後端面は、略平坦に形成されており、ブラケット21に取付けた状態でガイド部22の後端面がブラケット21の前面21fに沿うように形成されている。また、ガイド部22の前端面22cは、後端面に対して所定の角度α(例えば、20度≦α≦80度)を有している。即ち、ブラケット21をケーシング11に装着した状態で、ケーシング11の先端側部分11aに対して前端面22cが所定の角度αを成すようになっている。このようにガイド部22の前端面22cは、ブラケット21の前面21fに対して傾けて形成されている。また、前端面22cには、その左右方向中心部分にガイド孔形成部分22dが形成されている。
【0025】
ガイド孔形成部分22dは、前端面22cからそれに直交する方向に突出し且つ前端面22cに沿って前斜め上方に延在しており、ガイド孔形成部分22dの断面(即ち、前端面22cに直交する断面)が大略半円状に形成されている。また、ガイド孔形成部分22dには、その軸線に沿ってガイド孔22eが形成されている。即ち、ガイド部22には、前斜め上方に延びるガイド孔22eが形成されている。ガイド孔22eは、ガイド部22を前斜め上方に貫通しており、図5に示すようにその上側から針組立体31の針31aが入れられて下側から針先31bを出すことができるようになっている。なお、ガイド孔22eの孔径は、使用する針31aの外径に合わせて設計され、挿通した針31aが前後左右にぐらつかないように安定的に保持されるようになっている。
【0026】
また、ガイド孔22eの角度β(本実施形態では、ガイド孔22eが前端面22cに沿って形成されており、β=α)は、図5に示すように、そこに挿通される針31aをそのまま下方に進めていくと、針先31bがプローブ12から下方に所定の距離(本実施形態では、約1cm)の所を通過するように設定されている。また、ガイド孔22eは、正面視で上下方向に真直ぐに延在しており、図6に示すように、ガイド孔22eに針31aを挿入した際、針組立体31の把持部31c(施術者等が穿刺時に把持する部分)がモニター13と重なるようになっている。また、モニター13の画像には、その左側に深度ゲージ13aが示されており、深度ゲージ13aによって画像に表示される各部位の深度が分かるようになっている。また、モニター13の画像の中央部には、所定の深度ごとに対応付けた複数の深度マーカ(本実施形態で7つの深度マーカ)13b~13hが表示されている。深度マーカ13b~13hは、正面視でガイド孔22eの鉛直上方に位置し、且つ上下方向に間隔をあけて配置されている。
【0027】
また、モニター13には、プローブ12を体表に押当てると、押当てた部位をプローブ12から鉛直下方に延びる仮想平面で切断した際の断面が映し出される。また、モニター13に映し出される断面において7つの深度マーカ13b~13hを結んだラインは、正面から断面にガイド孔22eの中心軸線L1を投影した際の投影線に対応している。それ故、針組立体31の針31aを押し進めていくと、ガイド孔22eに案内される針31aの針先31bが深度マーカ13b~13hを結んだライン上に現れることになる。従って、これらの7つの深度マーカ13b~13hを参照することによって、モニター13においてガイド孔22eに案内される針組立体31の針先31bが現れる位置を予測することができる。このようなガイド孔22eを有するガイド孔形成部分22dには、更に周面に取出し口22fが形成されている。
【0028】
取出し口22fは、図4に示すように前方(即ち、超音波診断装置3側と反対側)に開口し且つガイド孔形成部分22dの周面であって正面視で左右中央部分(即ち、最も前方に突出している部分)に形成されている。また、取出し口22fは、ガイド孔22eの中心軸線L1に沿って延在しており、ガイド孔形成部分22dにおいて上端から下端に渡って真直ぐ延在している。また、ガイド部22は、可撓性を有する材料、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、エラストマー、ポリ塩化ビニル等によって構成されており、ガイド孔形成部分22dを撓ませることができるようになっている。これにより、ガイド孔22eに挿入された針31aを取出し口22fに向かって引く(又は穿刺ガイド1を針31aから離す方向(即ち後側)に動かす)と、取出し口22fが広げられ、そこから針31aを抜くことができる。他方、ガイド孔22eに針が挿入されている状態では、取出し口22fの幅は、針31aの外径より小さくなっており、ガイド部22は、針31aを安定的に保持するようになっている。
【0029】
[穿刺作業について]
以下では、穿刺ガイド1及び超音波診断装置3を用いた穿刺作業について説明する。まず、超音波診断装置3のケーシング11の先端側部分11aに穿刺ガイド1が装着される。即ち、穿刺ガイド1のガイド部22がケーシング11の前面11dと同じ側、即ち前側に配置されるように先端側部分11aに穿刺ガイド1が装着される、即ち取付けられる。そして、プローブ12と体表との間における音響結合を良好にすべく、体表にエコー用ゲル等の液状ゲルが塗布される。塗布された後、超音波診断装置3は、図5に示すようにプローブ12が体表に押当てられ、押当てられることによって押当てられた部位の皮下組織40の状態がモニター13に映し出される。被施術者は、モニター13に映し出された皮下組織40の状態を見ながら血管41の位置を探り、血管41の位置を確認すると深度ゲージ13a及び深度マーカ13b~13hを参照しながら針組立体31の穿刺位置を決める。例えば、深度マーカ13b~13hを結んだライン上であって深度が1cm程度の位置に血管41が配置されるような位置が確認できれば、その位置を穿刺位置とする。
【0030】
このようにして穿刺位置を決めると、針組立体31の針31aがガイド孔22eに挿入される。挿入されると、針組立体31の把持部31cが正面視でモニター13に重なるように配置され、施術者は、針組立体31の把持部31cを把持する手元とモニター13とを同時に見ながら針先31bを皮下組織40に穿刺することができるようになる。その後、施術者は、把持部31cを介して針先31bを穿刺部位に穿刺して皮下組織内へと押し進めていく。そうすると、やがて針先31bの断面がモニター13に映し出され、針先31bが血管に到達したことが確認される。
【0031】
このように穿刺ガイド付き超音波診断装置2では、穿刺ガイド1のガイド部22がモニター13の下方に配置されている。それ故、モニター13に映し出される画像と針組立体31の針先31bの位置との対応関係が分かりやすく、穿刺作業を行いやすくすることができる。従って、超音波診断装置3に対して穿刺ガイド1を有効に活用することができる。
【0032】
また、穿刺ガイド付き超音波診断装置2では、モニター13における深度マーカ13b~13hを結んだラインとガイド孔22eの中心軸線L1を正面から断面に投影した投影線とが対応し、また正面視で深度マーカ13b~13hがガイド孔22eの鉛直上方に位置するようになっている。穿刺ガイド1のガイド部22をモニター13の下方に配置することによって、前述のように深度マーカ13b~13hとガイド孔22eと対応させて配置させることができる。これにより、穿刺した際のガイド孔22eに挿通される針31aの穿刺方向を容易に把握することができる。また、ガイド孔22eの角度βによって、プローブ12の直下において針先31bが通過する深度も定められている。それ故、針組立体31を押し進めた際に、針先31bの断面が映し出される位置を予め把握することが可能である。
【0033】
なお、モニター13に深度マーカ13b~13hが表示されていることが好ましいが、必ずしも深度マーカ13b~13hが表示されている必要はない。というのも、針組立体31の把持部31cがモニター13に重なっている。それにより、把持部31cから針先31bにかけて針組立体31が延在する方向とモニター13の画像との関係から、穿刺される針31aの方向性を把握することができる。従って、どのような方向性で針31aが穿刺部位に穿刺されているかを理解することができる。また、前述の通り、ガイド孔22eの角度βによって、プローブ12の直下において針先31bが通過する深度も定められており、針先31bの断面が映し出される位置も予測することができる。それ故、深度マーカ13b~13hがなくとも、針先31bの断面が映し出される位置を予め予測することが可能であり、必ずしも深度マーカ13b~13hが必要ではない。
【0034】
なお、針先31bの断面がモニター13に映し出された後は、所定の距離だけ針組立体31の把持部31cを押し進める。針組立体31が留置針の場合、押し進めた位置にて針組立体31を留置し、その後穿刺ガイド1から針組立体31の針31aを抜く。即ち、針組立体31を把持した状態で超音波診断装置3を針31aから離すように倒すことによって針31aが取出し口22fを拡げ、更に倒すことによってやがて針31aが取出し口22fを介してガイド孔22eから抜ける。このように取出し口22fによって針31aをガイド孔22eから容易に抜くことができる。また、針31aをガイド孔22eから抜いた後も針組立体31はそのままその位置に留置され、その後の処置(例えば、透析、投液及び採血等の処置)が施される。
【0035】
このように構成されている穿刺ガイド1は、ブラケット21を有し、ブラケット21によってケーシング11に着脱することができるので、穿刺ガイド1をディスポーザブルな製品として用いることができる。従って、穿刺ガイド1に関して、使用する度に除菌作業等を行う必要がなく、穿刺作業が容易である。
【0036】
[第2実施形態]
第2実施形態の穿刺ガイド付き超音波診断装置2は、後述の通り穿刺ガイド1Aを備えており、穿刺ガイド1Aが第1実施形態の穿刺ガイド1と構成が類似している。以下では、第2実施形態の穿刺ガイド1Aの構成について、第1実施形態の穿刺ガイド1と異なる点について主に説明し、同一の構成については同一の符号を付してその説明を省略する。
【0037】
穿刺ガイド付き超音波診断装置2は、図7に示すように超音波診断装置3と穿刺ガイド1Aとを備えている。穿刺ガイド1Aは、嵌合用突起部分21d及びガイド部22Aを有し、嵌合用突起部分21dが超音波診断装置3のケーシング11に一体的に設けられている。更に詳細説明すると、嵌合用突起部分21dは、ケーシング11の前面11dであって先端側部分11aにおいて左右方向中央部に配置されている。嵌合用突起部分21dは、側面視で大略直角三角形の板状に形成されており、斜辺部分をケーシング11の前面11dに向けてそこに取付けられている。また、嵌合用突起部分21dは、左右の側面に凸条部分21e,21eを有しており、凸条部分21e,21eは、側面から左右方向外側へと突出し、且つ嵌合用突起部分21dの前面に沿って斜め前上方に延在している。このように形成されている嵌合用突起部分21dには、ガイド部22Aが嵌合されている。
【0038】
ガイド部22Aは、第1実施形態のガイド部22と同様の形状を有している。即ち、ガイド部22Aは、嵌合用突起部分21dを嵌合可能な嵌合溝22aを有している。また、ガイド部22Aの後端面は、平坦に形成されており、ブラケット21に取付けた状態でガイド部22の後端面がブラケット21の前面21fに沿うように形成されている。他方、ガイド部22Aの前端面22cは、後端面に対して所定の角度α(例えば、20度≦α≦80度)を有し、前端面22cには、その左右方向中心部分にガイド孔形成部分22dが形成されている。
【0039】
また、ガイド孔形成部分22dもまた第1実施形態のガイド孔形成部分22dと同様に形成されている。即ち、ガイド孔形成部分22dには、ガイド孔22eが形成されており、ガイド孔22eは、ケーシング11の前面11dであって先端側部分11aに対応する部分に対して角度β(本実施形態では、β=α)を成すように形成されている。これにより、ガイド孔22eに針組立体31の針31aを挿入すると、やがて針先31bがプローブ12から下方に所定の距離(本実施形態では、約1cm)の所を通過する。
【0040】
このように構成されている穿刺ガイド1Aは、第1実施形態の穿刺ガイド1と同様に超音波診断装置3を用いて穿刺作業を行う際に用いられる。即ち、穿刺ガイド1Aは、第1実施形態の穿刺ガイド1と同様の方法で用いられ、針組立体31の針先31bをプローブ12から下方に所定の距離に案内することができる。また、穿刺ガイド1Aのガイド部22Aは、第1実施形態のガイド部22と同様に可撓性を有する材料によって構成され、ガイド孔形成部分22dに着脱可能に構成することができる。これにより、穿刺ガイド1Aもまたディスポーザブルな製品として用いることができる。従って、穿刺ガイド1に関して、使用する度に除菌作業等を行う必要がなく、穿刺作業が容易である。
【0041】
第2実施得形態の穿刺ガイド1Aは、その他、第1実施形態の穿刺ガイド1と同様の作用効果を奏する。
【0042】
[その他の実施形態について]
第1及び第2実施形態の穿刺ガイド1,1Aは、ケーシング11の左右方向中央部分にガイド部22が位置するように形成されているが、必ずしもそのように形成されている必要はない。即ち、ガイド部22は、モニター13が形成されているケーシング11の前面11d側に位置し、ガイド孔22eに挿入した針組立体31の少なくとも一部分とモニター13とが正面視で重なるように配置されていればよい。従って、ガイド孔22eは、ケーシング11の前面11dであってモニター13の左右幅の範囲内において左側又は右側に寄せて配置されていてもよい。このように形成されることで、第1及び第2実施形態と同様にモニター13及び針組立体31の把持部31cの両方を見ながら穿刺作業を行うことができる。なお、ガイド部22が左右中央に位置する場合、針31aをガイド孔22eに挿入する挿入作業及び穿刺作業において、超音波診断装置3に左右の何れかの方に偏った力が作用することを抑えることができ、安定して挿入作業及び穿刺作業を行うことができる。
【0043】
また、第1及び第2実施形態の穿刺ガイド1,1Aでは、ガイド孔22eが正面視で上下方向に真直ぐ延在しているが、必ずしもこのような方向に延在している必要はない。即ち、ガイド孔22eは、正面視で上下方向に対して左右に傾いていてもよく、ガイド孔22eに挿入した針31aの針先31bがプローブ12から下方に所定の距離を通過するように形成されていればよい。また、超音波診断装置3のケーシング11の中間部分から基端側部分にかけてもまた、必ずしも後側に傾倒している必要はなく、真直ぐであってもよい。
【符号の説明】
【0044】
1,1A 穿刺ガイド
2,2A 穿刺ガイド付き超音波診断装置
3 超音波診断装置
11 ケーシング
11d 前面(主面)
12 プローブ
13 モニター
21 ブラケット
22,22A ガイド部
22e ガイド孔
22f 取出し口
31 針組立体
31a 針
31b 針先
31c 把持部(近位側端部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7