(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】移植機
(51)【国際特許分類】
A01C 11/02 20060101AFI20221109BHJP
A01B 63/10 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A01C11/02 303C
A01B63/10 A
(21)【出願番号】P 2021076215
(22)【出願日】2021-04-28
(62)【分割の表示】P 2018123621の分割
【原出願日】2018-06-28
【審査請求日】2021-05-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】森重 定樹
(72)【発明者】
【氏名】竹川 和弘
(72)【発明者】
【氏名】矢野 典弘
(72)【発明者】
【氏名】村並 昌実
(72)【発明者】
【氏名】大久保 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】山根 暢宏
(72)【発明者】
【氏名】東 幸太
(72)【発明者】
【氏名】田▲崎▼ 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】高木 慎
(72)【発明者】
【氏名】藤岡 公明
【審査官】小島 洋志
(56)【参考文献】
【文献】特許第6879269(JP,B2)
【文献】特許第5298686(JP,B2)
【文献】特開2004-173610(JP,A)
【文献】特開平02-109905(JP,A)
【文献】特開平11-009025(JP,A)
【文献】特開2006-067808(JP,A)
【文献】特開2010-075141(JP,A)
【文献】特開2009-284855(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第03165064(EP,A1)
【文献】特開2010-193744(JP,A)
【文献】特開2015-053901(JP,A)
【文献】特開2010-207183(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01C 11/02
A01B 63/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車体(2)と、前記走行車体(2)に設けられた走行装置(9L、9R)と、前記走行車体(2)に設けられ、移植対象物を畝に植え付ける植付具(21L、21R)と、前記移植対象物を前記植付具(21L、21R)に供給する供給装置(30)と、前記走行車体(2)の後方に配置された操縦ハンドル(50)を備えた移植機であって、
前記植付具(21L、21R)は、少なくとも左右に配置されており、前記走行装置(9L、9R)に駆動力を伝達すると共に、上下方向に回動することで少なくとも機体の左右の傾斜を調整可能な走行伝動ケース(40L、40R)と、前記走行伝動ケース(40L、40R)を前記上下方向に回動させるローリング装置と、左右の前記植付具(21L、21R)の後方に、畝面に沿って上下移動可能に配置された左右の鎮圧装置(11L、11R)と、前記左右の鎮圧装置(11L、11R)の高さに差異が生じた場合、前記高さの差異に基づいて、前記ローリング装置を作動させるローリング機構(200)を備え、
前記ローリング機構(200)は、前記左右の鎮圧装置(11L、11R)をそれぞれ上下移動可能に個別に支持する回動軸(330L、330R)に固定された、前記鎮圧装置(11L、11R)の前記上下移動に対応して回動可能な左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)と、前記左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)側に一端が連結されて、前記ローリング装置側に他端が連結された、前記左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)の相対的な動きに基づいた動きを前記ローリング装置に伝達する左右の伝達ケーブル(230L、230R)を有し、前記左右の伝達ケーブル(230L、230R)のそれぞれの動きに基づいて、前記ローリング装置を作動させる
構成とし、
前記左の伝達ケーブル(230L)の前記一端のアウタケーブル(231L)は、前記左の回動アーム(210L、220L)に連結されると共に、前記左の伝達ケーブル(230L)の前記一端のインナケーブル(232L)は、前記右の回動アーム(210R、220R)に連結されており、
前記右の伝達ケーブル(230R)の前記一端のアウタケーブル(231R)は、前記右の回動アーム(210R、220R)に連結されると共に、前記右の伝達ケーブル(230R)の前記一端のインナケーブル(232R)は、前記左の回動アーム(210L、220L)に連結されていることを特徴とする移植機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜苗等の苗を圃場に移植する移植機に関するものであり、農業機械の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
従来、移植機は、左右方向に複数設けられた苗植付具が苗を圃場に植え付ける際、苗植付具が掘り上げた土砂を踏み均す鎮圧装置を複数備えており、左右両外側に位置する鎮圧装置の上下位置の差に基づいて、ローリングシリンダを伸縮させて左右一側の走行伝動ケースを上下回動させ、畝の左右傾斜に合わせて機体を左右傾斜させ、苗の植付姿勢を安定させるローリング機構を備えている。(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のローリング機構は左右の鎮圧装置の高さの差を、一本のケーブルで検知する構成であるので、左右の高さの差が小さいと検知されにくく、検知精度が確保出来ず、左右の植付装置の植付深さが異なる問題があると共に、ローリング機構の反応によっては、圃場の実際の左右の高さに機体の姿勢が合わず、左右の植付装置の植付深さが異なる問題がある。
【0005】
本発明は、上記従来の移植機のこの様な課題に鑑み、ローリング機構の検知精度や反応性が高く、左右の植付深さが適切な移植機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1の発明は、走行車体(2)と、前記走行車体(2)に設けられた走行装置(9L、9R)と、前記走行車体(2)に設けられ、移植対象物を畝に植え付ける植付具(21L、21R)と、前記移植対象物を前記植付具(21L、21R)に供給する供給装置(30)と、前記走行車体(2)の後方に配置された操縦ハンドル(50)を備えた移植機であって、前記植付具(21L、21R)は、少なくとも左右に配置されており、前記走行装置(9L、9R)に駆動力を伝達すると共に、上下方向に回動することで少なくとも機体の左右の傾斜を調整可能な走行伝動ケース(40L、40R)と、前記走行伝動ケース(40L、40R)を前記上下方向に回動させるローリング装置と、左右の前記植付具(21L、21R)の後方に、畝面に沿って上下移動可能に配置された左右の鎮圧装置(11L、11R)と、前記左右の鎮圧装置(11L、11R)の高さに差異が生じた場合、前記高さの差異に基づいて、前記ローリング装置を作動させるローリング機構(200)を備え、前記ローリング機構(200)は、前記左右の鎮圧装置(11L、11R)をそれぞれ上下移動可能に個別に支持する回動軸(330L、330R)に固定された、前記鎮圧装置(11L、11R)の前記上下移動に対応して回動可能な左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)と、前記左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)側に一端が連結されて、前記ローリング装置側に他端が連結された、前記左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)の相対的な動きに基づいた動きを前記ローリング装置に伝達する左右の伝達ケーブル(230L、230R)を有し、前記左右の伝達ケーブル(230L、230R)のそれぞれの動きに基づいて、前記ローリング装置を作動させる構成とし、前記左の伝達ケーブル(230L)の前記一端のアウタケーブル(231L)は、前記左の回動アーム(210L、220L)に連結されると共に、前記左の伝達ケーブル(230L)の前記一端のインナケーブル(232L)は、前記右の回動アーム(210R、220R)に連結されており、前記右の伝達ケーブル(230R)の前記一端のアウタケーブル(231R)は、前記右の回動アーム(210R、220R)に連結されると共に、前記右の伝達ケーブル(230R)の前記一端のインナケーブル(232R)は、前記左の回動アーム(210L、220L)に連結されていることを特徴とする移植機である。
【0007】
この請求項1の発明では、左右の伝達ケーブル(230L、230R)のそれぞれの動きに基づいて、ローリング装置を作動させることにより、畝面の左右高さの差に合わせて正確に機体を左右傾斜させることが出来るので、移植対象物を畝面に略垂直に移植することが出来る。
また、簡単な構成により、畝面の左右高さの差に合わせて正確に機体を左右傾斜させることが出来る。
【0008】
(削除)
【0009】
(削除)
【0010】
本発明に関連する第1の発明は、走行車体(2)と、前記走行車体(2)に設けられた走行装置(8L、8R、9L、9R)と、前記走行車体(2)に設けられ、移植対象物を畝に植え付ける植付具(21L、21R)と、前記移植対象物を前記植付具(21L、21R)に供給する供給装置(30)と、前記走行車体(2)の後方に配置された操縦ハンドル(50)と、前記走行車体(2)と前記操縦ハンドル(50)とを連結した機体フレーム(60L、60R)と、を備えた移植機であって、前記機体フレーム(60L、60R)は、前後方向に亘って左右両側に配置された一対のサイドフレーム部材(60L、60R)である、ことを特徴とする移植機である。
【0011】
これにより、本発明に関連する第1の発明は、サイドフレーム部材(60L、60R)を左右両側に設けることにより、機体に加わる捻じれ等の負荷に対する耐久性を向上させることが出来る。
【0012】
また、本発明に関連する第2の発明は、前記操縦ハンドル(50)には、操作対象を操作する操作部材(13、14、15)が複数設けられており、前記操作対象と前記操作部材(13、14、15)とを連結し、前記操作部材(13、14、15)による動作を前記操作対象に伝える複数の連結部材(16)が、前記一対のサイドフレーム部材(60L、60R)の間に前後方向に配置されており、前記操縦ハンドル(50)には、前記複数の連結部材(16)を保持すると共に前記複数の連結部材(16)の上方及び側方を覆うガイドプレート(80)が設けられており、前記ガイドプレート(80)は、平面視で、前側の方が後側より左右方向の幅が狭い、ことを特徴とする上記本発明に関連する第1の発明の移植機である。
【0013】
これにより、本発明に関連する第2の発明は、上記本発明に関連する第1の発明の効果に加えて、複数の連結部材(16)を、左右の一対のサイドフレーム部材(60L、60R)の間に、機体前後方向に配置することにより、各操作部材(13、14、15)を操作したときに、各操作対象が確実に動作するために必要な張力で連結部材(16)を設けることが出来る。
【0014】
また、本発明に関連する第2の発明では、ガイドプレート(80)で複数の連結部材(16)の上方及び側方を覆うことにより、雨水等から連結部材(16)を保護することが出来るので、連結部材(16)が腐食することや、雨水により作動不良を起こすことが防止される。
【0015】
また、本発明に関連する第2の発明では、ガイドプレート(80)が、平面視で、前側の方が後側より左右方向の幅が狭いという形状を成していることにより、前側にある植付具(21L、21R)の周辺では、複数の連結部材(16)が左右方向の狭い範囲に収められるので、連結部材(16)が植付具(21L、21R)への移植対象物の供給を妨げることが防止される。
【0016】
また、本発明に関連する第3の発明は、前記操縦ハンドル(50)は、左右方向に配置された、前記一対のサイドフレーム部材(60L、60R)の後端部が左右両端側に装着されたハンドルフレーム部(51)と、前記ハンドルフレーム部(51)の左右両側から後方に突き出したグリップ部(52)と、を有し、前記ガイドプレート(80)は、前記複数の連結部材(16)を保持する位置が、前記ハンドルフレーム部(51)より下方に位置する様に構成されている、ことを特徴とする上記本発明に関連する第2の発明の移植機である。
【0017】
これにより、本発明に関連する第3の発明は、上記本発明に関連する第2の発明の効果に加えて、ガイドプレート(80)における、複数の連結部材(16)を保持する位置が、側面視で、ハンドルフレーム部(51)より下方に位置する様に構成されていることにより、連結部材(16)の経路を短く出来て、余分な曲がり部も少なく出来るので、各操作部材(13、14、15)を操作した際に連結部材(16)の作動量を十分に確保することが出来る。
【0018】
また、本発明に関連する第4の発明は、前記植付具(21L、21R)は、少なくとも左右に配置されており、前記走行装置(8L、8R、9L、9R)は、左右一対の前輪(8L、8R)と、左右一対の駆動輪としての後輪(9L、9R)とを有し、前記後輪(9L、9R)に駆動力を伝達すると共に、上下方向に回動することで少なくとも機体の左右の傾斜を調整可能な走行伝動ケース(40L、40R)と、前記走行伝動ケース(40L、40R)を前記上下方向に回動させるローリング装置と、左右の前記植付具(21L、21R)の後方に、畝面に沿って上下移動可能に配置された左右の鎮圧装置(11L、11R)と、前記左右の鎮圧装置(11L、11R)の高さに差異が生じた場合、前記高さの差異に基づいて、前記ローリング装置を作動させるローリング機構(200)とを、備え、前記ローリング機構(200)は、前記左右の鎮圧装置(11L、11R)をそれぞれ上下移動可能に個別に支持する回動軸(330L、330R)に固定された、前記鎮圧装置(11L、11R)の前記上下移動に対応して回動可能な左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)と、前記左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)側に一端が連結されて、前記ローリング装置側に他端が連結された、前記左右の回動アーム(210L、210R、220L、220R)の相対的な動きに基づいた動きを前記ローリング装置に伝達する左右の伝達ケーブル(230L、230R)と、を有し、前記左右の伝達ケーブル(230L、230R)のそれぞれの動きに基づいて、前記ローリング装置を作動させる、ことを特徴とする上記本発明に関連する第1乃至第3の何れか一つの発明の移植機である。
【0019】
これにより、本発明に関連する第4の発明は、上記本発明に関連する第1乃至第3の何れか一つの発明の効果に加えて、左右の伝達ケーブル(230L、230R)のそれぞれの動きに基づいて、ローリング装置を作動させることにより、畝面の左右高さの差に合わせて正確に機体を左右傾斜させることが出来るので、移植対象物を畝面に略垂直に移植することが出来る。
【0020】
また、本発明に関連する第5の発明は、前記左の伝達ケーブル(230L)の前記一端のアウタケーブル(231L)は、前記左の回動アーム(210L、220L)に連結されると共に、前記左の伝達ケーブル(230L)の前記一端のインナケーブル(232L)は、前記右の回動アーム(210R、220R)に連結されており、前記右の伝達ケーブル(230R)の前記一端のアウタケーブル(231R)は、前記右の回動アーム(210R、220R)に連結されると共に、前記右の伝達ケーブル(230R)の前記一端のインナケーブル(232R)は、前記左の回動アーム(210L、220L)に連結されている、ことを特徴とする上記本発明に関連する第4の発明の移植機である。
【0021】
これにより、本発明に関連する第5の発明は、上記本発明に関連する第4の発明の効果に加えて、簡単な構成により、畝面の左右高さの差に合わせて正確に機体を左右傾斜させることが出来得る。
【0022】
従って、本発明に関連する第5の発明では、メンテナンス作業等の際に分解しても組み立てやすくなると共に、精度を向上させる高価な部品が不要となり、コストが抑えられる。
【0023】
以上のような本発明によれば、左右の伝達ケーブル(230L、230R)のそれぞれの動きに基づいて、ローリング装置を作動させることにより、畝面の左右高さの差に合わせて正確に機体を左右傾斜させることが出来るので、移植対象物を畝面に略垂直に移植することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の実施の形態における苗移植機の概略側面図
【
図3】本実施の形態における苗移植機の操縦ハンドルのハンドル基部の中央部に設けられた複数の各種操作レバーと、各種ケーブル部材を覆うガイドプレート等を示す、部分拡大概略平面図
【
図4】
図3に示す
図3に示す各種ケーブル部材やガイドプレート等を示す、部分拡大概略左側面図
【
図5】本実施の形態における苗移植機のローリング機構及び鎮圧輪の概略平面図
【
図6】本実施の形態における苗移植機のローリング機構及び鎮圧輪の概略背面図
【
図7】(a):本実施の形態における右側ケーブルアウタ受けプレートを3方向から見た図、(b):本実施の形態における左側ケーブルアウタ受けプレートを3方向から見た図
【
図8】本実施の形態における鎮圧輪及びローリング機構の動作を説明するための概略左側面図
【
図9】本実施の形態の苗移植機の苗供給テーブルにおける駆動部の概略斜視図
【
図10】本実施の形態の苗移植機の苗供給テーブルに設けられた非常停止スイッチと、警告ランプ等を示す概略平面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照しながら本発明の移植機の一実施の形態の苗移植機1についてその構成と動作を説明する。
【0026】
なお、以下の説明では、苗移植機1において、操縦ハンドルを配置した側を後とし、その反対側である、エンジンを配置した側を前とする。また、機体後部に立って機体前側に向かって操縦ハンドルを操作する場合の作業者の右手側を右とし、左手側を左とする。
【0027】
図1は、本発明の移植機の一例として、育苗した野菜の苗、例えばキャベツ等の葉菜の苗を移植する苗移植機1の左側を表す概略側面図であり、
図2は、
図1に示す苗移植機1の概略平面図である。
【0028】
本実施の形態の苗移植機1は、
図1、
図2に示す様に、(1)走行車体2の前部に配置されたエンジン3と、(2)エンジン3の後に配置された、伝動機構(図示省略)を含むトランスミッションケース4と、(3)走行車体2のメインフレーム2aの前端側に回動自在に配置された左右一対の前輪8L、8Rと、(4)走行車体2の後側に配置された、苗を左右一対の植付ホッパ21L、21Rにより畝Uに植え付ける植付装置20と、(5)植付装置20の左右一対の植付ホッパ21L、21Rに苗を供給するための複数個の苗供給カップ31を平面視で略楕円形状のループ状に移動可能に配置した供給装置30と、(6)走行車体2の後方に配置されたた操縦ハンドル50と、(7)走行車体2と操縦ハンドル50とを連結した、機体の前後方向に亘って左右両側に配置された左右一対の右側フレーム部材60R及び左側フレーム部材60Lと、(8)エンジン3及びトランスミッションケース4等を覆うボンネット6の上方であってトランスミッションケース4の真上に配置された、苗トレイ(図示省略)から供給装置30へ苗を補給する等の作業用として作業者が着座可能に設けられた作業座席7と、(9)予備苗を載置するための、作業座席7の左右両側に配置された左右一対の予備苗枠5と、(10)走行車体2への乗り降りの際や、作業座席7に座った際に作業者が足を置くための、作業座席7と供給装置30との前後間に設けられた床面としてフロアステップ10と、(11)トランスミッションケース4の左右両側において入力軸41を中心として回動可能に取り付けられると共に、エンジン3からの動力を入力軸41から受け付けて内蔵されたチェーン伝動機構(図示省略)により出力軸42に伝達して左右一対の後輪9L、9Rを回動させる左右一対の走行伝動ケース40L、40Rと、(12)車高を調整するために、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rを入力軸41を中心として回動させることにより、左右一対の後輪9L、9Rを均等に昇降させる昇降シリンダ(図示省略)と、(13)畝Uの表面に対して左右一対の植付ホッパ21L、21Rが掘り下げて苗を植付けた後、周囲の土砂を踏み均すために、左右一対の植付ホッパ21L、21Rの後方で左右両側に上下揺動可能に配置された左右一対の鎮圧輪11L、11Rと、(14)左右両側に上下揺動可能に配置された左右一対の鎮圧輪11L、11Rの上下位置の差に基づいて、ローリングシリンダ(図示省略)を伸縮させて、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rの内、左側走行伝動ケース40Lについて、入力軸41を中心として上下回動させることにより、左側の後輪9Lのみを昇降させ、畝Uの表面の左右の傾斜に合わせて機体を左右傾斜させ、苗の植付け姿勢を安定させるローリング機構200と、(15)昇降シリンダの伸縮動作を左右一対の走行伝動ケース40L、40Rに伝達し、且つ、ローリングシリンダの伸縮動作を左側走行伝動ケース40Lにのみ伝達する、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rにそれぞれ一体的に取り付けられた左右一対のアクスルハウジング43のそれぞれの外周面に立設固定された左右一対のスイングアーム44と(
図1参照)、(16)走行車体2の前端中央下部に設けられ、畝Uの端部や畝の途切れ部の存在を検知する畝検知装置70と(
図1参照)等を備えている。
【0029】
また、上述した操縦ハンドル50は、機体左右方向に配置されたハンドル基部51と、ハンドル基部51の左右方向中央部に固定された平面視で略U字形状のハンドルグリップ部52と、を有している(
図1、
図2参照)。
【0030】
ここでは、上述した右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60Lの構成について、
図1、
図2を用いて、更に説明する。
【0031】
即ち、上述した右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60Lは、
図1、2に示す様に、それぞれの前端側が、側面視でフロアステップ10の下方に概ね水平に配置されており、また、それぞれの後端側が、苗供給カップ31を移動可能に支持する苗供給テーブル32(
図1参照)の下方から第1屈曲部60cで上方外向きに屈曲され且つ第2屈曲部60dで後方に向けて概ね水平方向に屈曲されている。
【0032】
また、右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60Lのそれぞれの前端部60aは、左右一対の連結フレーム17の上部に形成された切り欠き部に嵌め込まれて固定されている。左右一対の連結フレーム17は、フロアステップ10の下方に配置され、走行車体2のメインフレーム2aに固定されている。また、左右一対の連結フレーム17は、その外側面に対して、左右の予備苗枠5を支持する予備苗枠支柱5aの下端部が取り付けられており、且つ、左右一対の連結フレーム17の下端部が、左右のアクスルハウジング43の後側に平行に配置されたトレッド調節軸18の上部を摺動可能に受ける様に構成されている。
【0033】
また、右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60Lのそれぞれの後端部60bは、ハンドル基部51の左右両端部に固定されている。
【0034】
この様に、右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60Lを機体の左右両側に設けることにより、機体に加わる捻じれ等の負荷に対する、右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60L等の耐久性を向上させることが出来る。
【0035】
また、ハンドル基部51は左右方向の円柱形状(パイプ形状)であり、左右のフレーム部材60L,60Rと接合する部分には、平面視(
図3参照)で略コの字型の取付ステー61,61が各々設けられている。この取付ステー61、61は、正面は長方形であり、ここに左右フレーム部材60L,60Rの後端部60bを、連結プレート62,62を介して装着(溶接)する。
【0036】
また、取付ステー61,61の機体外側、即ちハンドル基部51の両端部側は、機体後側に向けて折り曲げられ、機体前側の長方形と後側の三角形からなる五角形状であり、ハンドル基部51の端部を覆わせて装着(溶接)する。
【0037】
一方、取付ステー61,61の機体内側は機体後側に向けて折り曲げられた長方形であり、ハンドル基部51と重なる部分には円弧状の切欠63,63が各々形成され、ハンドル基部51にはめ込んで装着(溶接)する。
【0038】
上記により、左右のフレーム部材60L,60Rとハンドル基部51を強固に連結することができるので、機体が捻れや振動に強くなり、過酷な作業環境下での使用や、長期間の使用であっても、破損が生じにくくなる。
【0039】
次に、主として
図3、
図4を用いて、ハンドル基部51に取り付けられたガイドプレートを中心に説明する。
【0040】
図3は、操縦ハンドル50のハンドル基部51の中央部に設けられた複数の各種操作レバー13~15と、各種ケーブル部材16を覆うガイドプレート80等を示す、部分拡大概略平面図である。
【0041】
また、
図4は、
図3に示す各種ケーブル部材16やガイドプレート80等を示す、部分拡大概略左側面図である。
【0042】
ハンドル基部51には、
図3に示す様に、操作対象の一つである走行クラッチ(図示省略)の入り切り操作を行う走行入り切りレバー13と、苗の植付深さを調整するためのセンサ板(図示省略)の高さ設定の操作を行う植付深さレバー14と、植付クラッチ(図示省略)の入り切り及び昇降シリンダ(図示省略)の伸縮の操作を行う植付昇降レバー15等が操作可能に取り付けられている。
【0043】
また、これら走行入り切りレバー13等の各種操作レバーは、走行クラッチ等の各種操作対象と、ケーブル部材16を介して、それぞれ連結されており、当該ケーブル部材16により、各種操作レバーによる切替動作を各種操作対象に伝える構成である。
【0044】
また、ハンドル基部51の中央部には、複数のケーブル部材16を、天井部82の内壁に上端部が固定されたケーブルアウタ受け具81の下端部で保持すると共に、当該複数のケーブル部材16の上方を天井部82で覆い且つ左右両側方を下方に折り曲げられた左右側壁83で覆う様に構成されたガイドプレート80が取り付けられている。
【0045】
また、ガイドプレート80の前端部は、苗供給テーブル32や苗供給カップ31を駆動させる駆動ケース(図示省略)を支持するテーブルメインフレーム33(
図2参照)に連結されている。
【0046】
なお、更に具体的には、ケーブル部材16のアウタ部を構成するアウタケーブル16bがケーブルアウタ受け具81により保持されており、ケーブル部材16のインナ部を構成するインナケーブル16aの後端側が各種操作レバーに連結されている。
【0047】
この様に、ガイドプレート80で複数のケーブル部材16の上方及び側方を覆うことにより、雨水等からケーブル部材16を保護することが出来るので、ケーブル部材16が腐食することや、雨水により作動不良を起こすことが防止される。
【0048】
また、ガイドプレート80は、平面視で、前側の方が後側より左右方向の幅が狭く、略台形状に形成されている(
図2、
図3参照)。
【0049】
これにより、複数のケーブル部材16が、苗供給テーブル32の後方において左右中央位置に纏めて収められるので、平面視で、苗供給テーブル32の後方の左右両側に配置された植付ホッパ21L、21Rへの苗の供給を妨げることが防止される。
【0050】
また、複数のケーブル部材16を、左右一対の右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60Lとの間に、機体前後方向に配置することにより、走行入り切りレバー13等の各種操作レバーを操作したときに、走行クラッチ(図示省略)等の各種操作対象が確実に動作するために必要な張力でケーブル部材16を設けることが出来る。
【0051】
また、ガイドプレート80のケーブルアウタ受け具81による、複数のケーブル部材16を保持する位置が、
図4に示す様に、側面視で、ハンドル基部51より下方に位置する様に構成されていることにより、ケーブル部材16の経路を短く出来て、余分な曲がり部も少なく出来るので、各種操作レバーを操作した際にケーブル部材16の作動量を十分に確保することが出来る。
【0052】
なお、ここでは、ハンドル基部51の形状は、円柱形状としたが、これに限らず例えば、角柱形状であっても良い。角柱形状とするときは、取付ステー61を省略し、ハンドル基部51と左右のフレーム部材60L,60Rを直接連結することができ、部品数の削減が図られる。
【0053】
また、ここでは、左右一対の右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60Lの形状は、円柱形状としたが、これに限らず例えば、角柱形状であっても良い。
【0054】
なお、本実施の形態の左右一対の前輪8L、8Rと左右一対の後輪9L、9Rとを包括する構成が、本発明の走行装置の一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の植付けホッパ21L、21Rは、本発明の植付具の一例にあたる。また、本実施の形態の供給装置30は、本発明の供給装置の一例にあたる。また、本実施の形態のハンドル基部51は、本発明のハンドルフレーム部の一例にあたり、また、本実施の形態のハンドルグリップ部52は、本発明のグリップ部の一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の右側フレーム部材60Rと左側フレーム部材60Lは、本発明の一対のサイドフレーム部材の一例にあたる。
【0055】
また、本実施の形態の走行入り切りレバー13、植付深さレバー14、植付昇降レバー15は、本発明の操作部材の一例にあたる。また、本実施の形態のケーブル部材16は、本発明の連結部材の一例にあたり、また、本実施の形態のガイドプレート80は、本発明のガイドプレートの一例にあたる。
【0056】
次に、上述したローリング機構200及び左右一対の鎮圧輪11L、11Rについて、図面を用いて更に説明する。
【0057】
図5は、ローリング機構200及び鎮圧輪11L、11Rの概略平面図である。
【0058】
図6は、ローリング機構200及び鎮圧輪11L、11Rの概略背面図である。
【0059】
図7(a)は、右側ケーブルアウタ受けプレート220Rを3方向から見た図であり、符号220Raを付したものは右側ケーブルアウタ受けプレート220Rを上方から見た平面図、符号220Rbを付したものは右側ケーブルアウタ受けプレート220Rを左側から見た側面図、符号220Rcを付したものは右側ケーブルアウタ受けプレート220Rを後方から見た背面図である。
【0060】
図7(b)は、左側ケーブルアウタ受けプレート220Lを3方向から見た図であり、符号220Laを付したものは左側ケーブルアウタ受けプレート220Lを上方から見た平面図、符号220Lbを付したものは左側ケーブルアウタ受けプレート220Lを左側から見た側面図、符号220Lcを付したものは左側ケーブルアウタ受けプレート220Lを後方から見た背面図である。
【0061】
図8は、鎮圧輪11L、11R及びローリング機構200の動作を説明するための概略側面図である。
【0062】
まず、左右一対の輪圧輪11L、11Rについて説明する。
【0063】
本実施の形態では、
図5に示す様に、走行車体2の後部に左右一対の取付ブラケット310によって鎮圧ステー320が左右方向に固定されている。また、鎮圧ステー320の後方で且つ平行に配置された、その断面が六角形状を成した左右一対の鎮圧フレーム軸330L、330Rが、互いの内側端330La、330Ra(
図6参照)を所定間隔を隔てて向い合せた状態で個別に回動自在に設けられている。
【0064】
また、右側鎮圧輪11Rは、右側鎮圧フレーム軸330Rに嵌合配置されたフレームボス331に対して前端部が溶接固定された右側鎮圧フレーム340Rの後端部に2つ設けられている。
【0065】
また、左側鎮圧輪11Lは、左側鎮圧フレーム軸330Lに嵌合配置されたフレームボス331に対して前端部が溶接固定された左側鎮圧フレーム340Lの後端部に2つ設けられている。
【0066】
なお、フレームボス331は、そのセットボルト331aの締め付け調整により、左右横方向へ移動固定可能に設けられており、左右一対の鎮圧輪11L、11Rの鎮圧位置を左右に移動調整することが出来る構成である。
【0067】
次に、ローリング機構200について説明する。
【0068】
本実施の形態では、左右一対の鎮圧フレーム軸330L、330Rの内側端330La、330Ra(
図6参照)には、左右一対の傾斜アーム210L、210Rの下端部が一体回動可能に取り付けられている(
図6、
図8参照)。
【0069】
また、右側傾斜アーム210Rの上端部には、縦方向に形成された長孔211を介して、右側ケーブルアウタ受けプレート220Rが上下方向へ移動固定可能に取り付けられている。また、左側傾斜アーム210Lの上端部には、縦方向に形成された長孔211を介して、左側ケーブルアウタ受けプレート220Lが上下方向へ移動固定可能に取り付けられている。
【0070】
右側ケーブルアウタ受けプレート220Rには、ローリングバルブ(図示省略)を切り替え作動させる右側調整ケーブル230Rのアウタ部を構成する右側アウタケーブル231Rを装着固定可能な右側アウタケーブル装着孔221R(
図7(a)参照)が形成されており、且つ、ローリングバルブ(図示省略)を切り替え作動させる左側調整ケーブル230Lのインナ部を構成する左側インナケーブル232Lを装着固定可能な左側インナケーブル装着孔222R(
図7(a)参照)が形成されている。
【0071】
また、左側ケーブルアウタ受けプレート220Lには、左側調整ケーブル230Lのアウタ部を構成する左側アウタケーブル231Lを装着固定可能な左側アウタケーブル装着孔221L(
図7(b)参照)が形成されており、且つ、右側調整ケーブル230Rのインナ部を構成する右側インナケーブル232Rを装着固定可能な右側インナケーブル装着孔222L(
図7(b)参照)が形成されている。
【0072】
上述した、右側ケーブルアウタ受けプレート220Rに形成された左側インナケーブル装着孔222R(
図7(a)参照)は、右側ケーブルアウタ受けプレート220Rにおいて下部側から左方向に突き出した部位223Rに設けられており(
図5、
図7(a)参照)、また、左側ケーブルアウタ受けプレート220Lに形成された右側インナケーブル装着孔222L(
図7(b)参照)は、左側ケーブルアウタ受けプレート220Lにおいて上部側から右方向に突き出した部位223Lに設けられている。
【0073】
これにより、右側ケーブルアウタ受けプレート220Rにおいて下部側から左方向に突き出した部位223Rと、左側ケーブルアウタ受けプレート220Lにおいて上部側から右方向に突き出した部位223Lは、前者は下側に位置し、後者は上側に位置しているので、互いに干渉することは無い(
図5参照)。
【0074】
なお、本実施の形態では、右側調整ケーブル230Rの前端部は、ローリングバルブ(図示省略)側に連結されており、右側調整ケーブル230Rの右側インナケーブル232Rが右側アウタケーブル231Rに対して相対的に後方に引っ張られると、ローリングシリンダ(図示省略)が伸長する方向(即ち、左側後輪9Lが上昇する方向)にローリングバルブが切り替えられ、また、左側調整ケーブル230Lの前端部は、ローリングバルブ(図示省略)側に連結されており、左側調整ケーブル230Lの左側インナケーブル232Lが左側アウタケーブル231Lに対して相対的に後方に引っ張られると、ローリングシリンダ(図示省略)が縮小する方向(即ち、左側後輪9Lが降下する方向)にローリングバルブが切り替えられる様に構成されている。
【0075】
また、本実施の形態の左右一対の鎮圧輪11L、11Rは、本発明の鎮圧装置の一例にあたり、本実施の形態のローリング機構200は、本発明のローリング機構の一例にあたる。また、本実施の形態の左右一対の傾斜アーム210L、210R、及び左右一対のケーブルアウタ受けプレート220L、220Rを包括する構成は、本発明の左右の回動アームの一例にあたり、また、本実施の形態の左右一対の調整ケーブル230L、230Rは、本発明の左右の伝達ケーブルの一例にあたる。
【0076】
次に、上記構成のもとで、主として
図8を用いて、ローリング機構200の動作を説明する。
【0077】
即ち、右側鎮圧輪11Rのみが上昇した場合(即ち、畝Uの上面が、機体左右幅方向で右側が左側より高い場合)、右側鎮圧フレーム340Rが右側鎮圧フレーム軸330Rを回動軸として、左側面視で、反時計回りに(
図8の矢印A参照)回動する。この回動に連動して、右側傾斜アーム210Rと右側ケーブルアウタ受けプレート220Rも同様に、右側鎮圧フレーム軸330Rを回動軸として、左側面視で、反時計回りに(
図8参照)回動し、機体前方側へ傾斜する。
【0078】
一方、この場合、左側鎮圧輪11Lの位置は変化がないので、左側傾斜アーム210Lと左側ケーブルアウタ受けプレート220Lは動かない。
【0079】
以上の動きの結果、左側ケーブルアウタ受けプレート220Lに固定された右側調整ケーブル230Rの右側インナケーブル232Rの後端部は移動せず、且つ、右側ケーブルアウタ受けプレート220Rに固定された右側調整ケーブル230Rの右側アウタケーブル231Rが機体前方側に移動するので、結果的に、右側インナケーブル232Rは、右側アウタケーブル231Rに対して相対的に後方に引っ張られることになると共に、左側ケーブルアウタ受けプレート220Lに固定された左側調整ケーブル230Lの左側アウタケーブル231Lは移動せず、且つ、右側ケーブルアウタ受けプレート220Rに固定された左側調整ケーブル230Lの左側インナケーブル232Lが機体前方側に移動するので、結果的に、左側インナケーブル232Lは、左側アウタケーブル231Lに対して相対的に前方に戻される。
【0080】
これにより、右側インナケーブル232Rと左側インナケーブル232Lとが互いに干渉することなく、ローリングシリンダ(図示省略)が伸長する方向にローリングバルブがスムーズに切り替えられ、左側走行伝動ケース40Lがアクスルハウジング43の中心を回動中心として、平面視で反時計回り(
図1の矢印B参照)に回動することで、左側後輪9Lが上昇するので、機体が畝Uの上面に機体左右幅方向で平行になる様にローリング制御出来て、苗を畝Uの上面に略垂直に移植することが出来る。
【0081】
また、上述した様に、左右の調整ケーブル230L、230Rのそれぞれの動きに基づいて、ローリングバルブを切り替える構成としたことにより、従来の様に、左右の鎮圧輪の高さの差を一本のケーブルで検知していた構成に比べて、高い検知精度が確保出来ると共に、ローリング制御の反応性の向上が図れる。
【0082】
また、上述した様に、左右一対のケーブルアウタ受けプレート220L、220Rを用いた簡単な構成により、部品点数の少ないローリング機構200を実現することが出来る。
【0083】
また、左側鎮圧輪11Lのみが上昇した場合(即ち、畝Uの上面が、機体左右幅方向で左側が右側より高い場合)の動作は、基本的には、上述した各部の左右が逆になる点を除き同じである。
【0084】
また、左右一対の鎮圧輪11L、11Rが、共に同じ動きをした場合、右側インナケーブル232Rは、右側アウタケーブル231Rに対して相対的に移動することが無く、且つ、左側インナケーブル232Lは、左側アウタケーブル231Lに対して相対的に移動することが無いので、ローリングバルブの切り替え動作は行われず、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rは、共に昇降動作を行わないので、左右の後輪9L、9Rは上昇も降下もしない。
【0085】
なお、上記苗移植機1において、苗供給テーブル32の内、作業座席7の側の左右幅方向の中央位置に、畝検知装置70のセンサローラ71の検知動作と連動して、畝終いを検知した際に点灯する警告ランプ100(赤色ランプ)(
図10参照)を設けても良い。ここで、
図10は、苗供給テーブル32に設けられた非常停止スイッチ90と警告ランプ100等を示す概略平面図である。
【0086】
これにより、作業座席7で作業をしている作業者にとって、畝終いが分かりやすくなる。
【0087】
また、苗供給テーブル32における、苗供給カップ31を略楕円形状のループ状に移動させるための駆動部に設けられた伝動チェーンに断続的に接触可能にリミットスイッチを配置することにより、常時入り切りを繰り返す当該リミットスイッチを介して、上述した警告ランプ100(赤色ランプ)(
図10参照)を設けても良い。この構成によれば、リミットスイッチが伝動チェーンと断続的に接触することにより、畝終いを検知した際に通電される警告ランプ100を点滅させることが出来る。
【0088】
これにより、作業座席7で作業をしている作業者にとって、警告ランプ100の視認性が向上する。
【0089】
また、畝検知装置70の検知スイッチ(図示省略)として3接点式の切り替えスイッチを用いても良い。この構成の場合、センサローラ71が所定高さより下がると(即ち、畝終いを検知すると)、赤色LEDが接続された第1回路がONし、センサローラ71が所定高さより上がると(即ち、畝の存在を検知すると)、緑色LEDが接続された第2回路がONする構成としても良い。
【0090】
これにより、畝検知装置70の作動状況が続いてより分かりやすくなる。即ち、センサローラ71が上がっている場合(即ち、畝の存在を検知している場合)、緑色LEDが点灯し、センサローラ71が下がっている場合(即ち、畝終いを検知している場合)、赤色LEDが点灯する。
【0091】
また、緊急時において苗移植機1の走行を停止させるための非常停止スイッチ90(
図1参照)を、苗供給テーブル32の内、作業座席7の側の左右幅方向の中央部、右側、及び左側の何れか一つの位置に配置しても良い。また、これに限らず例えば、作業座席7側と操縦ハンドル50側の何れの側からでも操作できるそれぞれの位置に、非常停止スイッチを併設しても良い。また、これに限らず例えば、苗供給テーブル32以外の位置であって、作業座席7の脇に配置した構成でも良い。
【0092】
これにより、緊急時、すぐに停車出来る。また、安全装置の拡充を図れる。
【0093】
また、センサローラ71が下がった際(即ち、畝終いが検知された際)に、エンジンストップ線電位がアースに落ちる様にするエンジン停止用リミットスイッチ(図示省略)を、畝検知装置70の検知スイッチとは別に設けても良い。
【0094】
これにより、センサローラ71が下がった際(即ち、畝終いが検知された際)にエンジンを停止し、崖近くの畝の場合に落下を防止することが出来る。
【0095】
また、上記構成の場合において、エンジン停止用リミットスイッチ(図示省略)に、更にブザー鳴動用スイッチ(図示省略)を併設しても良い。この構成の場合、センサローラ71が下がった際(即ち、畝終いが検知された際)に、ブザー鳴動後、エンジンを停止させることが出来るので、過負荷によるエンジン停止ではないことが分かる。
【0096】
また、エンジン停止用リミットスイッチ(図示省略)に、更にブザー鳴動用スイッチ(図示省略)を併設した上記構成において、双方のスイッチの作用位置を調節可能な構成としても良い。この構成の場合、センサローラ71が下がった際(即ち、畝終いが検知された際)に、エンジンを停止させる前の時点で鳴動するブザーの鳴動時間を変更出来る。
【0097】
また、エンジン停止用リミットスイッチ(図示省略)に、更にブザー鳴動用スイッチ(図示省略)を併設し、ブザー警告してからエンジンを停止させる構成において、主クラッチ(走行クラッチ)の入り切りに連動して作動するスイッチを設け、主クラッチが入である時のみ、ブザー鳴動用スイッチ及びエンジン停止用リミットスイッチが作動する構成としても良い。
【0098】
これにより、旋回前等に主クラッチを切って走行を停止させ、車高を高くするときにはブザーが鳴動しなくなるので、不要な状況でブザーが鳴ることが防止され、作業者に故障を誤認させることが防止される。
【0099】
また、エンジン停止用リミットスイッチ(図示省略)に、更にブザー鳴動用スイッチ(図示省略)を併設し、ブザー警告してからエンジンを停止させる構成において、植付クラッチの入り切りに連動して作動するスイッチを設け、植付クラッチが入った時のみ、ブザー鳴動用スイッチ及びエンジン停止用リミットスイッチが作動する構成としても良い。
【0100】
これにより、苗を植え付けない移動時等に車高を高くしていてもブザーが鳴動しないので、不要な状況でブザーが鳴ることが防止され、作業者に故障を誤認させることが防止される。
【0101】
また、車高を高くして機体を移動させることができるので、作業者が腰を曲げずに操縦しやすく、作業者への負担が軽減される。
【0102】
また、エンジン停止用リミットスイッチ(図示省略)に、更にブザー鳴動用スイッチ(図示省略)を併設した上記構成において、ブザーによる警告が一定時間継続した後、強制的にエンジンを停止させる構成としても良い。
【0103】
これにより、畝終いの検知によりブザーが鳴動しているにもかかわらず、作業者が気付かない、あるいは停車操作に手間取っていても、所定時間内に機体の走行を停止させることができるので、機体が畝から離れすぎることが防止され、畝に戻す作業に要する時間と労力が軽減される。また、圃場端の壁等に機体が接触し、破損することが防止される。
【0104】
また、上述した苗移植機1の苗供給テーブル32において、複数配置された苗供給カップ31を略楕円形状のループ状に移動させるための駆動部400の駆動軸410(
図9参照)を苗供給テーブル32の上部まで伸ばした構成とし、駆動軸410と、第1テーブル駆動スプロケット421と、第2テーブル駆動スプロケット422と、自動チェーンテンショナー430と、固定テンショナー440とに、1本のチェーン450を巻き付けた構成としても良い。ここで、
図9は、苗供給テーブル32における駆動部400の概略斜視図である。
【0105】
これにより、伝動の持ち替えが少ないため、伝動ロスが少ない構成となると共に、部品点数の削減、組立、調整の容易化が図れる。
【0106】
また、この構成の場合、自動チェーンテンショナー430は、
図9に示す様に、テンショナープレート431の端部をそれぞれ第1ストッパー431a、第2ストッパー431bとして、テーブルフレーム401に当接させる構成とする。具体的には、第1ストッパー431aの先端部は、直接にテーブルフレーム401に当接しており、また、第2ストッパー431bの先端部は、第2ストッパー431bの先端部に装着されたテンションスプリング432を介して、テーブルフレーム401に当接している。また、自動チェーンテンショナー430は、
図9に示す様に、テンショナープレート431を回動可能に支持する支持ローラ433と、テンショナープレート431に設けられたテンションローラ434とを有している。
【0107】
これにより、調整不要な自動チェーンテンショナー430を構成することが出来る。また、負荷変動によるチェーン450の揺れで、テンションスプリング432が外れない。
【0108】
また、この構成の場合、固定テンショナー440は、
図9に示す様に、固定テンションローラ441と、当該固定テンションローラ441をテーブルフレーム401に対して位置調節可能に取り付ける固定ピン442と、固定ピン442をテーブルフレーム401に対して当該固定ピン442の軸方向へ移動固定可能に固定する回り止め用のダブルナット443と、を有している。
【0109】
これにより、固定テンションローラ441は、固定ピン442とダブルナット443とによりチェーン450を引っ張る構成となり、チェーン450の弛みを大きく調節できる。
【0110】
なお、上記実施の形態では、ローリングシリンダ(図示省略)の伸縮動作に連動して、左側の走行伝動ケース40Lが上下に回動する構成について説明したが、これに限らず例えば、ローリングシリンダ(図示省略)の伸縮動作に連動して、右側の走行伝動ケース40Rが上下に回動する構成としても良い。
【0111】
また、上記実施の形態では、植付装置20において、左右一対の植付ホッパ21L、21Rが設けられている場合について説明したが、これに限らず例えば、植付ホッパの個数は、複数個であれば2個に限定されるものではない。
【0112】
また、上記実施の形態では、左右一対の調整ケーブル230L、230Rのそれぞれの動きに基づいて、ローリングバルブを作動させることにより、移植対象物を畝面に略垂直に移植する構成について説明したが、この構成に加えて、左右一対の傾斜アーム210L、210Rの上端側に、左右のリフトケーブル(図示省略)のインナケーブルの後端部を連結し、左右のリフトケーブルのアウタケーブルの前端部を、上述した左右一対のアクスルハウジング43に設けられた左右一対のスイングアーム44にそれぞれ連結し、更に、左右のリフトケーブル(図示省略)のインナケーブルの前端部を機体に固定した構成としても良い。この構成の場合、左右一対の走行伝動ケース40L、40Rを大きく降下させることにより左右一対の傾斜アーム210L、210Rを機体前方側に大きく傾斜させることが出来て、左右の鎮圧輪11L、11Rを上方に向けて強制的に回動させることが出来るので、機体の旋回時に左右の後輪9L、9Rを最降下させて機体を最上昇させた際に、自動的に左右一対の鎮圧輪11L、11Rが上方に収納されて機体の旋回が容易に行える。
【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明にかかる移植機は、サイドフレーム部材を左右両側に設けることにより、機体に加わる捻じれ等の負荷に対する耐久性を向上させることが出来るので、移植機として有用である。
【符号の説明】
【0114】
1 苗移植機
2 走行車体
9L、9R 左右の後輪(走行装置)
11L、11R 左右の鎮圧輪(鎮圧装置)
20 植付装置
21L、21R 左右の植付ホッパ(植付具)
30 供給装置
40L、40R 左右の走行伝動ケース
50 操縦ハンドル
60L、60R 左右のフレーム部材
200 ローリング機構
230L、230R 左右の調整ケーブル(伝達ケーブル)
231L、231R 左右のアウタケーブル
232L、232R 左右のインナケーブル
330L、330R 左右の鎮圧フレーム字句(回動軸)