(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】薬剤払出装置
(51)【国際特許分類】
A61J 3/00 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
(21)【出願番号】P 2021103429
(22)【出願日】2021-06-22
(62)【分割の表示】P 2020069764の分割
【原出願日】2015-09-14
【審査請求日】2021-07-13
(31)【優先権主張番号】P 2014193732
(32)【優先日】2014-09-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2015037207
(32)【優先日】2015-02-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】592246705
【氏名又は名称】株式会社湯山製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100087538
【氏名又は名称】鳥居 和久
(74)【代理人】
【識別番号】100105843
【氏名又は名称】神保 泰三
(74)【代理人】
【識別番号】100087572
【氏名又は名称】松川 克明
(74)【代理人】
【識別番号】100085213
【氏名又は名称】鳥居 洋
(72)【発明者】
【氏名】小池 教文
(72)【発明者】
【氏名】横山 景介
【審査官】山田 裕介
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/047487(WO,A1)
【文献】国際公開第2013/187345(WO,A1)
【文献】特開2011-092349(JP,A)
【文献】特開2008-301879(JP,A)
【文献】特開2011-019928(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61J 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤シートが当該薬剤シートの法線方向に並ぶように収容される薬剤収容カセットであって、
当該薬剤収容カセット内に収容されている上記薬剤シートが
上記法線方向に取り出される払出部と、
当該薬剤収容カセット内の上記薬剤シートを上記払出部の方へ押す移動動作部と、
当該薬剤収容カセット内に収容されている上記薬剤シートにおける先頭の薬剤シートに接触する第1制限部と、
を備えており、
上記第1制限部は、上記先頭の薬剤シートの長辺方向の縁に接触する接触部材を有しており、この接触部材は、上記先頭の薬剤シートの押し出しを制止する方向に付勢されることを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項2】
請求項1に記載の薬剤収容カセットにおいて、上記第1制限部は、上記先頭の薬剤シートの短辺方向に、位置の調整が可能であることを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項3】
請求項2に記載の薬剤収容カセットにおいて、上記第1制限部における上記先頭の薬剤シートの短辺方向の位置を回転動作によって調整するダイヤルを備えることを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項4】
請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の薬剤収容カセットにおいて、上記先頭の薬剤シートの縁を上記法線方向と交差する方向に押さえるシート抑え部を有することを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載の薬剤収容カセットにおいて、上記先頭の薬剤シートの短辺方向の縁に接触して当該先頭の薬剤シートの上記払出部からの押し出しを制止する第2制限部を備えることを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項6】
請求項5に記載の薬剤収容カセットにおいて、上記第2制限部は、上記先頭の薬剤シートの短辺方向の縁が入り込むV溝状の先端部を有することを特徴とする薬剤収容カセット。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか1項に記載の薬剤収容カセットと、当該薬剤収容カセット内に収容されている薬剤シートにおける先頭の薬剤シートを上記薬剤収容カセットの上記払出部から取り出す払出操作部と、を備えることを特徴とする薬剤収容カセット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、PTP(Press Through Package)シートやブリスター包装シート等の薬剤シートの払い出しを行う薬剤払出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
薬剤シートの払い出しを行う薬剤払出装置は、薬剤ごとの薬剤シートが収容される薬剤収容カセットを多数備えており、入力された処方箋データに基づいて選択した薬剤収容カセットから必要枚数の薬剤シートを払い出すようになっている。このような薬剤払出装置としては、特許文献1において開示された薬剤払出装置がある。
【0003】
上記特許文献1の薬剤払出装置は、装置本体と、薬剤が個別に包装される複数の薬剤シートを重ねた状態で収容し、薬剤シートの重なり方向が水平方向となるように、装置本体に取り付けられる薬剤収容カセットと、装置本体に移動可能に設けられ、薬剤収容カセットまで移動して、収容した薬剤シートを払い出すとともに、必要に応じて端数分を切断してから払い出す払出部材と、払出部材によって払い出された薬剤シートを把持して搬送する把持部材とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来の薬剤払出装置は、上記カセット搬送部における移動ユニットが上記払出部材を備えているので、当該移動ユニットが重くなり、上記カセット搬送部における強度、精度およびコスト増等の問題があった。また、上記払出部材を薬剤収容カセットまで移動させて、上記払出部材によって上記薬剤収容カセット内の薬剤シートを払い出す構造であるため、処方箋データで指定された異なる種類の複数の薬剤シートを払い出すのに必要とされるトータルの時間が長くなるという欠点があった。
【0006】
この発明は、上記の事情に鑑み、カセット搬送部における強度、精度およびコスト増等の問題を解消でき、また、異なる種類の複数の薬剤シートを払い出すのに必要とされるトータルの時間を短縮することが容易である等の利点が得られる薬剤払出装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明の薬剤払出装置は、薬剤シートを収容する薬剤収容カセットが複数個配置されるカセット棚と、上記薬剤収容カセットを上記カセット棚から取り出して受渡部へ搬送する動作および上記受渡部上の薬剤収容カセットを上記カセット棚へ戻す動作を実行するカセット搬送部と、上記受渡部に搬送された上記薬剤収容カセットから上記薬剤シートを取り出し、この取り出した薬剤シートを出す払出操作部と、上記払出操作部から出される薬剤シートを薬剤トレイが受け取るように当該薬剤トレイを移動させるトレイ移動部と、を備えたことを特徴とする。
【0008】
上記の構成であれば、重量が重くなりがちな上記払出操作部を上記カセット搬送部が備える必要がないので、上記カセット搬送部における強度、精度およびコスト増等の問題を解消できる。また、上記カセット搬送部の軽量化が図れるので、上記薬剤収容カセットの移動速度を高速化でき、異なる種類の複数の薬剤シートを払い出すのに必要とされるトータルの時間を短縮することが容易になる。
【0009】
上記受渡部を複数有してもよい。これによれば、上記カセット搬送部は、最初に取り出した薬剤収容カセットを1つの受渡部に渡した後、直ぐに第2番目の薬剤収容カセットを上記カセット棚へ取り出しに行く動作を開始することができる。そして、最初の薬剤収容カセットに対して、上記払出操作部は、上記カセット搬送部の移動動作と並行して上記薬剤収容カセットから薬剤シートを取り出すことができる。これにより、異なる種類の複数の薬剤シートを払い出すのに必要とされるトータル時間を短縮することが容易になる。
【0010】
1台の払出操作部につき複数の受渡部が設けられており、各受渡部が上記薬剤収容カセットの受渡位置と上記薬剤シートの払出位置との間を移動するか、または上記払出操作部が上記複数の受渡部の間を移動してもよい。これによれば、上記受渡部の数よりも上記払出操作部の台数を少なくしたタイプの薬剤払出装置とすることができる。
【0011】
上記払出操作部を複数備えてもよい。上記払出操作部が複数備えられていると、複数の薬剤収容カセットから薬剤シートを払い出す処理を並行して行うことができるので、異なる種類の複数の薬剤シートを払い出すのに要する総合時間を一層短縮することができる。
【0012】
上記払出操作部を複数備え、各払出操作部につき1台の受渡部が設けられていてもよい。このような構成でも、異なる種類の複数の薬剤シートを払い出すのに必要とされるトータル時間を短縮することが容易になる。
【0013】
上記薬剤収容カセットを上記受渡部へ渡す搬送を順次に繰り返した後に、上記薬剤シートの払出しが完了した薬剤収容カセットを上記受渡部から上記カセット棚へ戻す搬送を順次に繰り返してもよい。
【0014】
上記薬剤収容カセットを上記受渡部へ渡す搬送を順次に繰り返すときに、上記薬剤収容カセットを未だ受け取っていない払出操作部の受渡部へ上記薬剤収容カセットを搬送してもよい。
【0015】
上記薬剤シートが取り出される上記薬剤収容カセットの払出部が当該薬剤払出装置の後側に向けられており、上記払出操作部は当該薬剤払出装置の前側に向けられており、上記受渡部に搬送された上記薬剤収容カセットの払出部と上記払出操作部とが向かい合うようにしてもよい。これによれば、上記受渡部に搬送された上記薬剤収容カセットの払出部と上記払出操作部とを向かい合わせるための半回転動作が不要になり、薬剤シートを払い出すのに必要とされるトータル時間を短縮することが容易になる。
【0016】
上記カセット棚の真下側に上記払出操作部が設けられており、上記カセット搬送部の真下側に上記受渡部が設けられていてもよい。これによれば、当該薬剤払出装置の前後方向のサイズは、上記薬剤収容カセットの前後方向サイズと、上記カセット搬送部の前後方向サイズを合せたサイズで済むことになるので、当該薬剤払出装置のコンパクト化が図れる。
【0017】
上記払出操作部は、払い出された薬剤シートを一時的に溜めるシートストッカーを有しており、上記シートストッカーに設けられている薬剤シート出口部に上記薬剤トレイが到着している状態で上記シートストッカーから上記薬剤シートを放出するようにしてもよい。これによれば、上記シートストッカーの薬剤シート出口部に上記薬剤トレイが到着していなくても、複数の薬剤シートを払い出す処理を行っておくことができるので、異なる種類の複数の薬剤シートを払い出すのに要する総合時間を短縮することができる。
【0018】
上記カセット搬送部は、上記薬剤収容カセットを上記カセット棚から取り出し、また上記カセット棚に入れるための移動操作を実行するカセット出し入れ部を備えてもよい。
【0019】
上記カセット出し入れ部は、前後移動部を備え、上記前後移動部を前後方向に移動させて上記薬剤収容カセットを第1の距離だけ上記カセット棚から引き出した後に、当該薬剤収容カセットを把持し、この把持状態で上記薬剤収容カセットサイズから上記第1の距離を引いた距離移動して、上記カセット全体を上記カセット棚から引き出してもよい。これによれば、上記カセット棚に上記薬剤収容カセットを密に装填しても当該薬剤収容カセットを取り出すことが可能となる。上記カセット棚に上記薬剤収容カセットを密に装填できると、当該薬剤払出装置のコンパクト化が図れる。
【0020】
上記トレイ移動部は、上記薬剤トレイを薬剤トレイストッカーから受け取り、上記払出操作部によって払い出された薬剤シートが収容された上記薬剤トレイを上記薬剤トレイストッカーに渡してもよい。
【0021】
上記薬剤トレイとして複数の収容凹部が複数行または複数列で形成されている薬剤トレイが用いられ、上記トレイ移動部は、水平面内の第1方向および当該第1方向に直交する第2方向に上記薬剤トレイを移動させて、各収容凹部を上記払出操作部の薬剤シート出口部に位置させるようにしてもよい。これによれば、当該薬剤払出装置のコンパクト化が図れる。
【0022】
上記トレイ移動部は、上記薬剤トレイを上記第1方向にのみ移動させる固定レール部と、上記薬剤トレイを上記第1方向および第2方向に移動させる可動レール部とを備えてもよい。
【0023】
上記トレイ移動部から上記薬剤トレイを受け取り、受け取った上記薬剤トレイを上記トレイ移動部に渡す第2トレイ移動部を備えてもよい。これによれば、次に必要となる薬剤トレイを上記第2トレイ移動部に待機させておく等、複数の薬剤トレイの操作が可能となる。
【0024】
上記第2トレイ移動部は、上記薬剤トレイを上記第1方向および第2方向に移動させる可動レール部を備えてもよい。
【0025】
上記トレイ移動部は上記薬剤トレイの位置を規制する位置決め部を備えており、この位置決め部は、支持軸の第1回動方向の回動により起立して上記薬剤トレイの通過を許可する一方、上記支持軸の第2回動方向の回動により傾倒して上記薬剤トレイの通過を阻止する複数のストッパー部材を上記薬剤トレイ搬送方向に異なる位置に備え、さらに、上記支持軸が第2回動方向に回動するときに上記薬剤トレイの側面部に当たることとなる上記ストッパー部材の非傾倒を許容する弾性部材と、を備えてもよい。これによれば、簡単な構造で上記薬剤トレイの位置決めをすることができる。
【0026】
上記第2トレイ移動部は上記薬剤トレイの位置を規制する位置決め部を備えており、この位置決め部は、支持軸の第1回動方向の回動により起立して上記薬剤トレイの通過を許可する一方、上記支持軸の第2回動方向の回動により傾倒して上記薬剤トレイの通過を阻止する複数のストッパー部材を上記薬剤トレイ搬送方向に異なる位置に備え、さらに、上記支持軸が第2回動方向に回動するときに上記薬剤トレイの側面部に当たることとなる上記ストッパー部材の非傾倒を許容する弾性部材と、を備えてもよい。これによれば、簡単な構造で上記薬剤トレイの位置決めをすることができる。
【0027】
薬剤払出装置は、薬剤シートを収容する薬剤収容カセットが複数個配置されるカセット棚と、上記薬剤収容カセットから上記薬剤シートを取り出し、この取り出した薬剤シートを出す払出操作部と、を備えており、上記薬剤収容カセット内の前後する2枚の薬剤シートがポケット部の形成側を互いに向かい合わせてセットされ、このように向かい合わせにされることにより生じる、上記2枚の薬剤シートの並ぶ方向に直交するずれ量を示す情報を記録部に記録していてもよい。また、上記ずれ量に基づいた薬剤シートの払出動作を行うようにしてもよい。
【0028】
薬剤払出装置は、薬剤シートを収容する薬剤収容カセットが複数個配置されるカセット棚と、上記薬剤収容カセットから上記薬剤シートを取り出し、この取り出した薬剤シートを出す払出操作部と、上記薬剤収容カセットに設けられていて、端数薬剤を切り出すのに用いる端数薬剤用の薬剤シートを保管するシート保管部と、端数薬剤用の薬剤シートをそのシート面の法線を軸に180度回転させて当該薬剤シートの広幅縁の向きを反対側に変える法線回り回動部と、を備えており、上記払出操作部が取り出した薬剤シートに180度回転を行った場合は、180度回転により生じる上記薬剤シートの下縁位置の変動を解
消(吸収)する処理を行うようにしてもよい。
【0029】
上記変動を解消する処理は、180度回転を行わない場合に比べて、上記薬剤シートを一定距離或いは非一定距離上方に移動する処理としてもよい。上記一定距離は、極力多くの種類の薬剤シートに適用できる距離であるのがよい。また、上記非一定距離は、向かい合わせにされることにより生じる2枚の薬剤シートの高さ方向のずれを示す距離データに基づいてもよい。
【0030】
薬剤払出装置は、薬剤シートを収容する薬剤収容カセットが複数個配置されるカセット棚と、上記薬剤収容カセットから上記薬剤シートを取り出し、この取り出した薬剤シートを出す払出操作部と、を備えており、上記払出操作部による上記薬剤シートの取り出しが失敗した場合、上記払出操作部における上記薬剤シートと接触している部分を下方に一定距離または非一定距離移動するようにしてもよい。
【0031】
上記一定距離は、極力多くの種類の薬剤シートに適用できる距離であるのがよい。また、上記非一定距離は、向かい合わせにされることにより生じる2枚の薬剤シートの高さ方向のずれを示す距離データに基づいてもよい。
【0032】
薬剤払出装置は、薬剤シートを収容する薬剤収容カセットが複数個配置されるカセット棚と、上記薬剤収容カセットから上記薬剤シートを取り出し、この取り出した薬剤シートを出す払出操作部と、端数薬剤用の薬剤シートをそのシート面の法線を軸に180度回転させて当該薬剤シートの広幅縁の向きを反対側に変える法線回り回動部と、上記薬剤シートの中心から当該薬剤シートの横縁までの距離を示す距離dが記録された記録部と、上記払出操作部が取り出した薬剤シートの横縁に近づくように基準位置から移動し、上記横縁を検知したときに上記横縁の近傍を把持するシート把持部と、を備えており、
上記距離dおよび上記基準位置から上記法線回り回動部の軸位置までの距離Dに基づき、上記シート把持部が上記薬剤シートを上記払出操作部から受け取った際の薬剤シートの横方向の位置ずれを解消するように上記シート把持部を移動させるようにしてもよい。
【0033】
これによれば、上記シート把持部は、上記薬剤シートの横縁を検知するので、上記薬剤収容カセットから取り出した薬剤シートに横方向の位置ずれがあっても、この薬剤シートを適切に把持できる。そして、上記シート把持部が上記薬剤シートを上記払出操作部から受け取って再び上記払出操作部に渡すときに、上記横方向の位置ずれを解消(吸収)することができる。換言すれば、上記法線回り回動部は、上記薬剤シートの中心を回動中心にして当該薬剤シートを回動させることができる。
【0034】
薬剤払出装置は、薬剤シートを収容する薬剤収容カセットが複数個配置されるカセット棚と、上記薬剤収容カセットから上記薬剤シートを取り出し、この取り出した薬剤シートを出す払出操作部と、上記薬剤シートのサイズ(シート幅、シート高さ等)に関係した上記薬剤収容カセットのサイズ情報が薬剤ごとに記録された記録部(マスターテーブル等)と、上記薬剤ごとに上記薬剤収容カセットの上記サイズ情報を出力する情報出力部(ディスプレイ等)と、を備えており、上記薬剤収容カセットには、サイズ調節部材の移動によって収容サイズが変更されるとともに、収容サイズに対応した上記サイズ調節部材の調節位置が示されている収容サイズ調節機構が備えられていてもよい。
【0035】
これによれば、収容する薬剤のシートのサイズに合うように上記薬剤収容カセットの収容サイズを調節するときに、上記薬剤についてのサイズ情報として例えば「3」が上記情報出力部で示されているのであれば、作業者は、上記サイズ調節部材を「3」が示されている調節位置に移動させればよい。よって、作業者は、上記薬剤シートのサイズに関する知識がなくても、上記薬剤収容カセットの収容サイズの調節が的確に行えることになる。
【0036】
薬剤払出装置は、薬剤シートを収容するとともに端数切り出し用の薬剤シートを収容するためのシート保管部を備える薬剤収容カセットが複数個配置されるカセット棚と、上記薬剤収容カセットから上記薬剤シートを取り出し、この取り出した薬剤シートを出す払出操作部と、上記薬剤シートのサイズ(シート高さ等)に関係した上記シート保管部のサイズ情報が薬剤ごとに記録された記録部(マスターテーブル等)と、上記薬剤ごとに上記シート保管部のサイズ情報を出力する情報出力部(ディスプレイ等)と、を備えており、上記シート保管部には、サイズ調節部材の移動によって収容サイズが変更されるとともに、収容サイズに対応した上記サイズ調節部材の調節位置が示されている収容サイズ調節機構が備えられていてもよい。
【発明の効果】
【0037】
この発明であれば、カセット搬送部における強度、精度およびコスト増等の問題を解消できる。また、異なる種類の複数の薬剤シートを迅速に払い出すことを可能にする等の利点が得られるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【
図1】本発明の一実施形態に係る薬剤払出装置を示した説明図である。
【
図2】
図1の薬剤払出装置の制御系の概略を示したブロック図である。
【
図3】
図1の薬剤払出装置の動作例を示したタイムチャートである。
【
図4】同図(A)は
図1の薬剤払出装置で用いられる薬剤トレイを示した斜視図であり、同図(B)は薬剤トレイの他の例を示した斜視図である。
【
図5】
図1の薬剤払出装置で用いられる薬剤収容カセットを、蓋部を取り除いて示した斜視図である。
【
図6】
図1の薬剤払出装置で用いられる薬剤収容カセットを、蓋部および本体部を取り除いて示した斜視図である。
【
図7】
図1の薬剤払出装置で用いられる薬剤収容カセットを、蓋部、本体部および上枠部等を取り除いて示した斜視図である。
【
図8】
図1の薬剤払出装置で用いられる薬剤収容カセットの払出部と薬剤シートとの関係を示した説明図である。
【
図9】
図1の薬剤払出装置で用いられる薬剤収容カセットを、蓋部、本体部、上枠部および一方のガイド側板等を取り除いて示した斜視図である。
【
図10】
図1の薬剤払出装置で用いられる薬剤収容カセットの蓋部を示した斜視図である。
【
図11】同図(A)は
図1の薬剤払出装置で用いられる薬剤収容カセットを示した斜視図であり(一方のガイド側板等を取り除いている)、同図(B)は定荷重バネの斜視図である。
【
図12】
図1の薬剤払出装置に設けられたカセット出し入れ部を示した斜視図である。
【
図13】
図12のカセット出し入れ部の前後移動部を示した斜視図である。
【
図14】
図12のカセット出し入れ部の前後移動部を示した斜視図である。
【
図15】
図12のカセット出し入れ部のレールユニットを示した斜視図である。
【
図16】
図12のカセット出し入れ部のレールユニットを示した斜視図である。
【
図17】
図12のカセット出し入れ部のカセット把持部を示した斜視図である。
【
図18】
図1の薬剤払出装置に設けられた払出操作部、受渡部および受渡部移動部を示した斜視図である。
【
図19】
図1の薬剤払出装置に設けられた払出操作部、受渡部および受渡部移動部を示した斜視図である。
【
図20】
図1の薬剤払出装置に設けられた受渡部および受渡部移動部を示した斜視図である。
【
図21】
図1の薬剤払出装置に設けられた受渡部を示した平面図である。
【
図22】
図1の薬剤払出装置に設けられた受渡部、薬剤収容カセットおよび受渡部移動部を示した斜視図である。
【
図23】
図1の薬剤払出装置に設けられた受渡部移動部およびシートストッカーを示した斜視図である。
【
図24】
図1の薬剤払出装置に設けられたシートストッカーを示した斜視図である。
【
図25】
図1の薬剤払出装置に設けられた受渡部、受渡部移動部およびシートストッカーを示した斜視図である。
【
図26】この発明の実施形態を示す図であって、薬剤シートを回動させる軸と薬剤シートのポケットおよび広幅縁の向きとの関係を示した説明図である。
【
図27】この発明の実施形態を示す図であって、薬剤シートを回動させる軸を示した説明図である。
【
図28】
図1の薬剤払出装置に設けられた払出操作部を示した斜視図である。
【
図29】
図1の薬剤払出装置に設けられた払出操作部を示した斜視図である。
【
図30】
図1の薬剤払出装置に設けられた吸引動作部を示した斜視図である。
【
図31】同図(A)は
図30の吸引動作部の吸引本体部を示した斜視図であり、同図(B)は法線回り回動部を示した斜視図である。
【
図32】同図(A)および同図(B)は
図1の薬剤払出装置に設けられた第2トレイ移動部を示した斜視図である。
【
図33】
図33の第2トレイ移動部に設けられた位置決め部のストッパーを示した斜視図である。
【
図34】
図33の第2トレイ移動部における位置決め部と薬剤トレイの位置関係を示した説明図である。
【
図35】本発明の他の実施形態に係る薬剤払出装置の払出操作部と受渡部との関係を示した説明図である。
【
図36】本発明の他の実施形態に係る薬剤払出装置の払出操作部と受渡部との関係を示した説明図である。
【
図38】
図1に示したディスプレイに表示されるメッセージを例示した説明図である。
【
図39】
図1の薬剤払出装置において、薬剤シートの吸引エラーが生じたときの処理例を示したフローチャートである。
【
図40】
図1の薬剤払出装置において、基準位置に在るシート把持部のシート検知の位置とシート中央位置と、シート中央位置からシート横縁位置との関係を示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1に示しているように、この実施形態の薬剤払出装置101は、薬剤シートであるPTPシート100を収容する薬剤収容カセット1が複数個配置されるカセット棚1011と、上記薬剤収容カセット1を上記カセット棚1011から取り出して複数の受渡部3へ搬送する動作および上記受渡部3上の薬剤収容カセット1を上記カセット棚1011へ戻す動作を実行するカセット搬送部2と、上記受渡部3に搬送された上記薬剤収容カセット1から上記PTPシート100を取り出し、この取り出したPTPシート100を薬剤シート出口部1120から出す払出操作部110と、上記払出操作部110の薬剤シート出口部1120から出されるPTPシート100を薬剤トレイTが受け取るように当該薬剤トレイTを移動させるトレイ移動部5と、上記トレイ移動部5との間で薬剤トレイTの受け渡しを行う第2トレイ移動部500と、上記トレイ移動部5への薬剤トレイTの供給および薬剤を受け取った薬剤トレイTの上記トレイ移動部5からの受け取りを行うトレイストッカー1012と、を備える。上記薬剤シート出口部1120は上記薬剤収容カセット1から取り出した上記PTPシート100を一時的に貯留するシートストッカー112に設けられている。
【0040】
図1に示す例では、上記カセット棚1011は、当該薬剤払出装置101の上下方向および左右方向に複数の装填スペースを備えている。上記装填スペースには、上記薬剤収容カセット1が当該薬剤払出装置101の前後方向に出し入れ可能にセットされる。当該薬剤払出装置101は、その後側(背側)を建物の壁面に接して設置することができる。また、上記カセット搬送部2は、上記薬剤収容カセット1を上記カセット棚1011から取り出し、また上記カセット棚10131に入れるための移動操作を実行するカセット出し入れ部21と、上記カセット出し入れ部21を、上記薬剤収容カセット1の配置範囲および当該カセット搬送部2の真下に位置する上記受渡部3の配置範囲において、上記上下方向および上記左右方向に移動させる移動機構22とを備えている。上記移動機構22は、例えば、モーターと、このモーターにより回転されるプーリと、このプーリにより移動される駆動ベルトと、これらを支持する支柱部材等により構成される。上記カセット搬送部2は、上記払出操作部110を備えていない。このように、上記カセット搬送部2は、重量が重くなりがちな上記払出操作部を備えないので、上記カセット搬送部2における強度、精度およびコスト増等の問題を解消できる。また、上記カセット搬送部2の軽量化が図
れるので、上記薬剤収容カセット1の移動速度を高速化でき、異なる種類の複数の薬剤シートを払い出すのに必要とされるトータルの時間を短縮することが容易になる。
【0041】
また、
図1に示す例では、上記薬剤収容カセット1の収容部11内に、複数枚のPTPシート100が立てられた状態で横方向(水平方向)に重ねて収容される。すなわち、複数枚のPTPシート100は、そのシート面の法線方向に並べられる。例えば、上記シート面の法線は上記PTPシート100のシート面の中央位置での法線としている。ここで、上記シート面の中央位置における法線は、上記PTPシート100が曲面ではなく平面であると想定したときのシート面の垂線(直交線)と平行になる。また、例えば、上記シート面の法線の方向は、上記薬剤払出装置の前後方向および上記薬剤収容カセット1の移
動方向と等しくされる。
【0042】
また、
図1に示す例では、上記払出操作部110が上記カセット棚1011の真下において上記左右方向に2台設けられている。上記2台の払出操作部110の間には、例えば、上記PTPシート100が収容されている状態の薬剤収容カセット1の重量を計測する重量計が設けられている。この重量計への上記薬剤収容カセット1のセットは、上記カセット搬送部2によって行うようにしている。上記重量計測により得られた重量と、既知である空の薬剤収容カセット1の重量と、重量計測された上記薬剤収容カセット1に収容されているPTPシート100の1枚の重量データと、PTPシート100における1枚中の包装薬剤の個数データとにより、重量計測された上記薬剤収容カセット1に収容されているPTPシート100の枚数と、端数の包装薬剤を計算により求めることができる。上記データは、マスターテーブルに格納されている。なお、上記マスターテーブルには、PTPシート100のサイズデータ(薬剤ごとのシート中心から横縁までの長さ、シート中心から下縁までの長さ等)、薬剤ごとのずれ高さを示す高さHのデータ、薬剤ごとの後述するサイズ情報等も記録されている。
【0043】
そして、1台の払出操作部110につき上記受渡部3が2台設けられており、各受渡部3は上記薬剤収容カセット1の受渡位置(待機位置とも言える)と上記PTPシート100の払出位置との間を移動する。この移動は受渡部移動部4により行われる。以下、上記2台の払出操作部110を区別するときには、当該薬剤払出装置101の右側の払出操作部110を第1払出操作部110、当該薬剤払出装置101の左側の払出操作部110を第2払出操作部110と称する。また、当該薬剤払出装置101の右側の受渡部移動部4を第1受渡部移動部4、当該薬剤払出装置101の左側の受渡部移動部4を第2受渡部移動部4と称する。また、上記4台の受渡部3を区別するときには、当該薬剤払出装置101の右側から順に、第1受渡部3、第2受渡部3、第3受渡部3、第4受渡部3と称する。なお、
図1に示している状態では、第1受渡部3は受渡位置に在り、第2受渡部3は払出位置に在る。
【0044】
図2に示しているように、上記薬剤払出装置101の制御部1005は、入力部1003から入力された情報を処理し、また処理した情報をディスプレイ1002に表示する等の処理を行う。例えば、ユーザーは、上記入力部1003を用いて、どの薬剤収容カセット1にどのPTPシート100が収容されているか等を入力する初期入力、上記薬剤収容カセット1にPTPシート100を補充する際の補充枚数入力、払出のための処方箋データ入力等を行うことができる。上記制御部1005の処理によって各種情報を記憶部1004に記憶することができる。また、上記記憶部1004には、上記マスターテーブルが記憶される。また、上記制御部1005は、上記処方箋データに基づいて、上記カセット搬送部2のカセット出し入れ部21を、対象となる薬剤収容カセット1の箇所まで移動させ、カセット取り出し処理を実行する他、下記の動作概要で述べるように、上記受渡部3、上記受渡部移動部4、上記トレイ移動部5および上記払出操作部110等を各種センサの出力やモーターの駆動量等に基づいて制御する。
【0045】
[薬剤払出し動作概要]
上記薬剤払出装置101によるPTPシート100の払出し処理の概要を説明する。上記薬剤収容カセット1は、その蓋140が当該薬剤払出装置101の後ろ側に向くように上記カセット棚1011にセットされる。上記蓋140は、上記薬剤収容カセット1における払出部120の開閉を行う。
【0046】
上記制御部1005は、処方箋データおよび上記マスターデータに基づいて、上記移動機構22を制御し、処方箋データで指定されているPTPシート100が収容されている薬剤収容カセット1の箇所に上記カセット出し入れ部21を移動させる。指定のPTPシート100が収容されている薬剤収容カセット1の位置に上記カセット出し入れ部21が移動されると、上記カセット出し入れ部21が上記薬剤収容カセット1を把持して取り出す。
【0047】
上記薬剤収容カセット1の取り出しが完了すると、当該薬剤収容カセット1を把持した状態のカセット出し入れ部21は、上記移動機構22によって、上記受渡位置に待機している第1受渡部3、第2受渡部3、第3受渡部3、第4受渡部3のいずれかの上方位置に移動される。そして、上記カセット出し入れ部21は上記把持状態を解除し、把持していた薬剤収容カセット1を上記いずれかの受渡部3に渡す。
【0048】
上記薬剤収容カセット1を受け取った受渡部3は、当該薬剤収容カセット1をチャックする。上記薬剤収容カセット1をチャックした受渡部3は、上記受渡部移動部4によって、上記払出位置へと移動される。上記払出位置では上記薬剤収容カセット1の蓋140側が上記払出操作部110と対面する。この対面の後、上記薬剤収容カセット1の上記蓋140が上記払出操作部110によって開かれる。そして、上記払出操作部110によって上記薬剤収容カセット1の収容部11内のPTPシート100が処方箋データで指定されている枚数だけ取り出される。なお、この実施形態では、上記払出操作部110に設けら
れている吸引動作部6の吸引本体部61(
図30参照)が、上記薬剤収容カセット1の払出部120に近づいて先頭のPTPシート100を吸引し、上記薬剤収容カセット1から離れる方向に移動することで上記先頭のPTPシート100を上記払出部120から引き出し、吸引動作を停止することで、上記先頭のPTPシート100を上記払出操作部110のシートストッカー112(
図24参照)に落下させる。上記シートストッカー112における上記薬剤シート出口部1120には、貯留シャッターが設けられており、この貯留シャッター上に上記PTPシート100が貯留される。
【0049】
上記トレイ移動部5によって上記薬剤トレイTが上記払出操作部110の上記シートストッカー112の貯留シャッターの下方に移動される。上記薬剤トレイTには、
図4(A)に示すように、4つの収容凹部T1、T2、T3、T4が2行2列で形成されている。上記トレイ移動部5は、上記前後方向および左右方向に上記薬剤トレイTを移動させることにより、上記複数の収容凹部T1、T2、T3、T4の1つを上記第1払出操作部110または第2払出操作部110の上記シートストッカー112における上記薬剤シート出口部1120の下方に位置させる。
【0050】
図1に示す例では、上記受渡部3が4個設けられているので、上記カセット棚1011から4個の薬剤収容カセット1を順次に取り出して上記受渡部3に渡すことができる。また、上記払出操作部110が2台備えられているので、2個の薬剤収容カセット1に対して並行してPTPシート100を払い出す処理を実行できる。上記薬剤トレイTには最大4種類のPTPシート100を収容することが可能である。
【0051】
上記のように、複数の受渡部3を備えると、上記カセット搬送部2は、最初に取り出した薬剤収容カセット1を1つの受渡部3に渡した後、直ぐに第2番目の薬剤収容カセット1を上記カセット棚1011へ取り出しにいく動作を開始することができる。そして、最初の薬剤収容カセット1を受け取った払出操作部110は、上記カセット搬送部2の動作と並行して上記薬剤収容カセット1からPTPシート100を取り出すことができる。これにより、処方箋データに基づく異なる種類の薬剤シートの払出し処理に要する時間を短縮することができる。
【0052】
1台の払出操作部110につき例えば2台(複数)の受渡部3が設けられている構成であると、以下の利点が得られる。すなわち、1台の払出操作部110について先に渡された薬剤収容カセット1を対象とした払出の実行中に、上記カセット棚1011から取り出した別の薬剤収容カセット1を別の受渡部3に待機させておくことができ、先に渡された薬剤収容カセット1を対象とした払出が終了すると直ぐに上記待機させておいた別の薬剤収容カセット1について払出し処理を実行することができる。これにより、複数の薬剤シートの払出し処理に要する時間をさらに短縮することができる。
【0053】
そして、上記払出操作部110が例えば2台(複数)設けられていると、複数の薬剤収容カセット1からPTPシート100を取り出す処理を並行して行うことができるので、複数の薬剤シートの払出し処理に要する時間を一層短縮することができる。
【0054】
ここで、上記カセット搬送部2と、上記第1~第4受渡部3と、上記第1払出操作部110と、上記第2払出操作部110と、上記トレイ移動部5の動作タイミングの一例を
図3に示す。この
図3において、横軸は時間を示し、縦軸は各部の動作内容を示す。上記カセット搬送部2は1台であるので、4種のPTPシート100を払い出すために、薬剤収容カセット1を4つの受渡部3に供給するための一連の動作を4回繰り返すことになる。また、4つの受渡部3から上記薬剤収容カセット1を受け取って上記カセット棚1011に戻すための一連の動作も4回繰り返す。
【0055】
ここで、この実施形態では、第1番目に取り出される第1番薬剤を収容する第1の薬剤収容カセット1を第1受渡部3が受け取り、第2番目に取り出される第2番薬剤を収容する第1の薬剤収容カセット1を第3受渡部3が受け取り、第3番目に取り出される第3番薬剤を収容する第3の薬剤収容カセット1を第2受渡部3が受け取り、第4番目に取り出される第4番薬剤を収容する第4の薬剤収容カセット1を第4受渡部3が受け取ることとしている。
【0056】
なお、上記処方箋データに基づき、払い出す4種の薬剤について、払出し枚数が多い順に、第1番薬剤、第2番薬剤、第3番薬剤、第4番薬剤と定義するようにしてもよい。或いは、上記処方箋データに基づき、払い出す4種の薬剤について、端数の包装薬剤が多い順に、第1番薬剤、第2番薬剤、第3番薬剤、第4番薬剤と定義するようにしてもよい。或いは、上記処方箋データに基づき、払い出す4種の薬剤について、払出しに要する時間が長いと推定された順に、第1番薬剤、第2番薬剤、第3番薬剤、第4番薬剤と定義するようにしてもよい。払い出すPTPシート100の枚数、端数の包装薬剤が多いと、払出しに要する時間が長いと推定できる。或いは、上記カセット棚1011の各収容部に番号を符っておいて、収容部番号が小さい順に、第1番薬剤、第2番薬剤、第3番薬剤、第4番薬剤と定義するようにしてもよい。或いは、上記処方箋データに記述されている4つの薬剤の記述順に、第1番薬剤、第2番薬剤、第3番薬剤、第4番薬剤と定義するようにしてもよい。
【0057】
上記
図3に示す例では、まず、上記カセット出し入れ部21が上記移動機構22によって第1番薬剤を収容する第1の薬剤収容カセット1の箇所に移動される。この移動後、上記カセット出し入れ部21が上記第1の薬剤収容カセット1を把持して引き出す。上記第1の薬剤収容カセット1を把持する上記カセット出し入れ部21は、上記移動機構22によって第1受渡部3の待機位置に移動される。第1受渡部3は上記カセット出し入れ部21から上記第1の薬剤収容カセット1を受け取ってチャックする。第1受渡部移動部4は、第1受渡部3を移動させて上記第1の薬剤収容カセット1を上記払出位置にセットする。そして、第1払出操作部110は、第1の薬剤収容カセット1から第1番薬剤となるPTPシート100を取り出す操作を開始する。また、第1の薬剤収容カセット1を第1受渡部3に渡した上記カセット出し入れ部21は、第1受渡部3から離れる。
【0058】
上記カセット出し入れ部21は、上記移動機構22によって第2番薬剤を収容する第2の薬剤収容カセット1の箇所に移動される。この移動後、上記カセット出し入れ部21が上記第2の薬剤収容カセット1を把持して引き出す。上記第2の薬剤収容カセット1を把持する上記カセット出し入れ部21は、上記移動機構22によって第3受渡部3の待機位置に移動される。第3受渡部3は上記カセット出し入れ部21から上記第2の薬剤収容カセット1を受け取ってチャックする。第2受渡部移動部4は、第3受渡部3を移動させて上記第2の薬剤収容カセット1を上記払出位置にセットする。そして、第2払出操作部110は、第2の薬剤収容カセット1から第2番薬剤となるPTPシート100を払い出す操作を開始する。また、第2の薬剤収容カセット1を第3受渡部3に渡した上記カセット出し入れ部21は、第3受渡部3から離れる。
【0059】
上記カセット出し入れ部21は、上記移動機構22によって第3番薬剤を収容する第3の薬剤収容カセット1の箇所に移動される。この移動後、上記カセット出し入れ部21が上記第3の薬剤収容カセット1を把持して引き出す。上記第3の薬剤収容カセット1を把持する上記カセット出し入れ部21は、上記移動機構22によって第2受渡部3の待機位置に移動される。第2受渡部3は上記カセット出し入れ部21から上記第3の薬剤収容カセット1を受け取ってチャックする。第1受渡部移動部4は、第2受渡部3を移動させて上記第3の薬剤収容カセット1を上記払出位置にセットする。そして、第1払出操作部110は、第3の薬剤収容カセット1から第3番薬剤となるPTPシート100を払い出す操作を開始する。また、第3の薬剤収容カセット1を第2受渡部3に渡した上記カセット出し入れ部21は、第2受渡部3から離れる。
【0060】
上記カセット出し入れ部21は、上記移動機構22によって第4番薬剤を収容する第4の薬剤収容カセット1の箇所に移動される。この移動後、上記カセット出し入れ部21が上記第4の薬剤収容カセット1を把持して引き出す。上記第4の薬剤収容カセット1を把持する上記カセット出し入れ部21は、上記移動機構22によって第4受渡部3の待機位置に移動される。第4受渡部3は上記カセット出し入れ部21から上記第4の薬剤収容カセット1を受け取ってチャックする。第2受渡部移動部4は、第4受渡部3を移動させて上記第4の薬剤収容カセット1を上記払出位置にセットする。そして、第2払出操作部110は、第4の薬剤収容カセット1から第4番薬剤となるPTPシート100を払い出す操作を開始する。また、第4の薬剤収容カセット1を第4受渡部3に渡した上記カセット出し入れ部21は、第4受渡部3から離れる。
【0061】
上記払出操作部110は、上記シートストッカー112が貯留するPTPシート100を上記薬剤シート出口部1120から放出しないと、次の薬剤を受け取ることができない。このため、上記制御部1005は、上記トレイ移動部5を制御し、上記薬剤トレイTの上記収容凹部T1を第1払出操作部110の薬剤シート出口部の下方に位置させる。また、上記制御部1005は、第1払出操作部110が第1番薬剤を指定枚数払出す動作が完了し、且つ上記収容凹部T1を上記薬剤シート出口部1120の下方に位置させる動作が完了している条件下で、上記第1払出操作部110における上記シートストッカー112を開き、第1番薬剤となるPTPシート100を例えば上記収容凹部T1内に放出する。なお、第1番薬剤を払い出して第1受渡部3を待機位置に移動させた後には、第2受渡部3を待機位置から払出位置に移動させる。
【0062】
また、上記制御部1005は、上記トレイ移動部5を制御し、上記薬剤トレイTの上記収容凹部T2を第2払出操作部110の薬剤シート出口部の下方に位置させる。そして、上記制御部1005は、第2払出操作部110が第2番薬剤を指定枚数払出す動作が完了し、且つ上記収容凹部T2を上記薬剤シート出口部1120の下方に位置させる動作が完了している条件下で、上記第2払出操作部110における上記シートストッカー112を開き、第2番薬剤となるPTPシート100を上記収容凹部T2内に放出する。
【0063】
上記第1払出操作部110による第1番薬剤となるPTPシート100の放出が完了したら、上記制御部1005は、第1払出操作部110を制御し、第3番薬剤を指定枚数払出す。そして、上記制御部1005は、第1払出操作部110が第3番薬剤を指定枚数払出す動作が完了し、且つ上記収容凹部T3を上記薬剤シート出口部の下方に位置させる動作が完了している条件下で、上記第1払出操作部110における上記シートストッカー112を開き、第3番薬剤となるPTPシート100を上記収容凹部T3内に放出する。
【0064】
また、第2払出操作部110による第2番薬剤となるPTPシート100の排出が完了したら、上記制御部1005は、第2払出操作部110を制御し、第4番薬剤を指定枚数払出す。そして、上記制御部1005は、上記第2払出操作部110が第4番薬剤を指定枚数払出す動作が完了し、且つ上記収容凹部T4を上記薬剤シート出口部の下方に位置させる動作が完了している条件下で、上記第2払出操作部110における上記シートストッカー112を開き、第4番薬剤となるPTPシート100を上記収容凹部T4内に放出する。
【0065】
上記制御部1005は、上記トレイ移動部5を制御し、上記4種の薬剤を受け取った上記薬剤トレイTをトレイストッカー1012の積み上げ部に移送する。
【0066】
また、上記制御部1005は、上記カセット搬送部2を制御し、PTPシート100の払出しが完了して上記受渡位置で待機している薬剤収容カセット1を上記カセット棚1011に戻す処理を実行する。この戻し処理は、例えば、第1の薬剤収容カセット1、第2の薬剤収容カセット1、第3の薬剤収容カセット1、第4の薬剤収容カセット1の順で行うことができる。或いは、上記カセット棚1011に戻した薬剤収容カセット1の箇所から最も近い距離の受渡位置で待機する薬剤収容カセット1を優先して上記カセット棚1011に戻すこともできる。
【0067】
ここで、例えば、第1の薬剤収容カセット1と、第2の薬剤収容カセット1と、第3の薬剤収容カセット1を上記受渡部3へ渡す搬送を順次に行った時点で上記第1の薬剤収容カセット1の薬剤払出しが終了している場合に、上記第4の薬剤収容カセット1を第4受渡部3へ渡すための搬送よりも先に、上記第1の薬剤収容カセット1を上記カセット棚1011へ戻す処理を実行することが考えられる。しかしながら、このような処理では、仮に第2の薬剤収容カセット1での薬剤払出しが終了して上記第4の薬剤収容カセット1の薬剤払出しが開始可能であるにもかかわらず、この第4の薬剤収容カセット1において薬剤払出しを開始できないことが生じる。これでは、複数の薬剤シートの払出し処理に要する時間が長くなる。
【0068】
図3に示した動作例では、上記薬剤収容カセット1を4台の受渡部3へ渡す搬送を順次に繰り返し、その後、上記PTPシート100の払出しが完了した薬剤収容カセット1を上記受渡部3から上記カセット棚へ戻す搬送を順次に繰り返すようにしている。これによれば、上記第2の薬剤収容カセット1での薬剤払出しが終了して上記第4の薬剤収容カセット1の薬剤払出しを開始できるときには、当該第4の薬剤収容カセット1の薬剤払出しを直ぐに開始できることになる。したがって、複数の薬剤シートの払出し処理に要する時間を短縮することができる。
【0069】
次に、上記薬剤収容カセット1と、上記カセット出し入れ部21と、上記移動機構22と、上記受渡部3と、上記払出操作部110と、上記受渡部移動部4と、上記トレイ移動部5について、それぞれの構造例を説明していく。
【0070】
[薬剤収容カセット]
図5および
図6に示すように、上記薬剤収容カセット1の払出部120には、第1制限部121が上下2箇所に設けられている。
【0071】
上記第1制限部121は、先頭のPTPシート100の上縁または下縁に接触する接触部材121aと、上記接触部材121aが上記PTPシート100の上縁または下縁を乗り越えられるように上記接触部材121aを移動可能に支持する支持部121bと、上記PTPシート100が制止される方向に上記接触部材121aを付勢するバネ121cとを備える。
【0072】
上記支持部121bは水平軸であり、この水平軸回りに上記接触部材121aが回動可能に支持されている。そして、上記バネ121cが上記支持部121bに巻かれるとともに両側端が固定されている。そして、上記バネ121cの中央部が上記接触部材121aに係合している。
【0073】
上側の第1制限部121は上記払出部120の上側の枠部を構成する上下に可動な上枠部123に設けられている。この上枠部123の両端部にはダイヤル123aが回転可能に係合されている。上記ダイヤル123aは螺子部123bに螺合されており、上記ダイヤル123aが回転されると、当該ダイヤル123aが上下に移動する。上記螺子部123bはカセット本体部に設けられる。上記ダイヤル123aが上下方向に移動することで、上枠部123が上下方向に移動する。すなわち、上記ダイヤル123aを回すと、上枠部123が上下方向に移動し、上記払出部120の高さ(上側の接触部材121aの高さ)を調整できる。このため、共通の構造の薬剤収容カセット1を用いて高さが異なる複数種類のPTPシート100を収容することができる。
【0074】
また、上記薬剤収容カセット1には、サイズ調節部材の移動によって収容サイズが変更されるとともに、収容サイズに対応した上記サイズ調節部材の調節位置が示されている収容サイズ調節機構が備えられていてもよい。例えば、上記ダイヤル123aを支持する側に縦方向に1~3の収容サイズの番号を印刷或いは刻印しておき、上記ダイヤル123aの回動で移動する上記サイズ調節部材としての上枠部123に矢印マークを、上記収容サイズの番号を指し示すように、印刷或いは刻印しておく。上記矢印マークは、現在設定されている収容サイズの番号を示すことになる。作業者が上記ダイヤル123aを回し、上記矢印マークが上記収容サイズの「3」を指し示したときには、上枠部123は、第3の収容サイズにセットされたことになる。
【0075】
上記マスターテーブルには、薬剤ごとのサイズ情報が格納されている。例えば、25番の薬剤収容カセット1に薬剤Aが収納されており、上記薬剤AのPTPシート100の高さについてのサイズ情報が「2」であるなら、制御部1005は、上記ディスプレイ1002に上記薬剤AのPTPシート100の高さについてのサイズ情報が「2」であることを表示する。作業者は、上記ディスプレイ1002に上記薬剤AのPTPシート100の高さについてのサイズ情報として「2」が表示された場合、上記25番の薬剤収容カセット1における上記矢印マークが番号「2」を指し示すように、上記ダイヤル123aを回す。これにより、作業者が熟練者でなくても、上記薬剤AのPTPシート100の高さに適した位置に、上枠部123をセットすることができる。
【0076】
また、上記上枠部123には、シート抑え部124が2個、上記第1制限部121の両側に設けられている。このシート抑え部124は、
図7にも示すように、シート接触部124aとバネ部124bとが一体形成されてなる。上記バネ部124bは、上記上枠部123に支持されており、上記シート接触部124aが適度な力で上記PTPシート100を下方に押さえる。
【0077】
上記第1制限部121とは別に第2制限部122が上記先頭のPTPシート100の左右縁に接触するように左右2箇所に設けられている。上記第2制限部122は上記払出部120の左右方向に変形可能な弾性片部からなる。上記第2制限部122に上記先頭のPTPシート100の左右縁が接触する。上記第2制限部122の先端部には、上記収容部11内のPTPシート100の左右縁を挟むことができるV溝状に形成された係止部122aが形成されており、先頭のPTPシート100は、その左右縁が上記係止部122aに係止されることで移動制限される。上記第2制限部122の後端部は、上記収容部11の左右側に配置されているガイド側板125に係合されている。上記第2制限部122が設けられる上記ガイド側板125の箇所には切欠きが形成されており、この切欠き内に上記係止部122aが位置する。上記PTPシート100は上記ガイド側板125にガイドされるが、このときに、上記V溝状内に上記PTPシート100の左右縁が深く入り込みすぎないようになっている。
【0078】
図8にも示すように、上記PTPシート100は長辺が横向きに、短辺が縦向きになるように上記薬剤収容カセット1の収容部11に収容される。このため、上記第1制限部121は上記PTPシート100の長辺の縁に接し、上記第2制限部122は上記PTPシート100の短辺の縁に接する。
【0079】
図9にも示すように、上記左右のガイド側板125には、それぞれ付勢部126が設けられている。この付勢部126は、上記左右のガイド側板125の先端側(上記払出部120に近い側)ほど互いに近づくように、上記ガイド側板125を付勢する。上記ガイド側板125の後端側はカセット本体部の左右の立上側板に係合されており、上記付勢部126は上記立上側板と上記ガイド側板125との間に位置する。さらに、上記付勢部126は、上記PTPシート100の移動方向に鋸歯状凹凸部126aにはめ込まれる角度規制部材126bの位置によって、ガイド側板125との成す角度が規制される。角度規制部材126bは、鋸歯状凹凸部126aに対して上記PTPシート100の移動方向に移動可能である。上記角度規制部材126bを上記払出部120から遠い方に移動させるほど、上記付勢部126と上記ガイド側板125との成す最大角度が大きくなり、上記左右のガイド側板125の先端部が互いに近づく。このため、上記PTPシート100のサイズが小さく、その左右縁が上記左右のガイド側板125の後端側で当該ガイド側板125に接しない状態であるとしても、上記左右のガイド側板125の先端部では当該ガイド側板125に接してガイドされ、先頭のPTPシート100は上記払出部120の中央へとガイドされる。すなわち、共通の構造の薬剤収容カセット1を用いて、横幅サイズが異なる複数種類のPTPシート100を収容することができる。
【0080】
さらに、例えば、上記鋸歯状凹凸部126aの近傍箇所に、1~3の収容サイズの番号を印刷或いは刻印しておき、サイズ調節部材としての上記角度規制部材126bが位置する箇所によって現在設定されている収容サイズの番号が作業者に示されるようになっていてもよい。作業者が上記角度規制部材126bを「3」の位置に合せれば、上記ガイド側板125は、第3の収容サイズにセットされることになる。上記マスターテーブルには、薬剤ごとのサイズ情報が格納されている。例えば、25番の薬剤収容カセット1に薬剤Aが収納されており、上記薬剤AのPTPシート100の幅についてのサイズ情報が「2」であるなら、制御部1005は、上記ディスプレイ1002に上記薬剤AのPTPシート100の高さについてのサイズ情報が「2」であることを表示する。作業者は、上記ディスプレイ1002に上記薬剤AのPTPシート100の幅についてのサイズ情報が「2」であることが表示されたなら、上記25番の薬剤収容カセット1における上記角度規制部材126bを「2」に合わせる。これにより、作業者が熟練者でなくても、上記薬剤AのPTPシート100の幅に適した位置に、上記ガイド側板125がセットされることになる。
【0081】
図10および
図11(A)に示すように、上記薬剤収容カセット1の蓋140には、端数切り出し用のPTPシート100を収容するためのシート保管部141が設けられている。
【0082】
上記薬剤収容カセット1の収容部11内には、
図11(B)にも示すように、上記PTPシート100を上記払出部120に向けて移動させる移動動作部130が設けられている。上記移動動作部130は、例えば、上記PTPシート100に接触する押さえ部材131と定荷重バネ(例えば商品名コンストンバネ)132とからなる。上記定荷重バネ132の押圧力は、この押圧力だけで上記PTPシート100が上記第1、第2制限部121,122を乗り越えることのないように設定される。上記定荷重バネ132にはロック部132aが設けられており、上記移動動作部130を後側位置に移動させてロックをかけた状態で、上記PTPシート100をセットしていくことができる。そして、上記PTPシート100をセットした後にロックを外すと上記PTPシート100に対する押圧動作が開始される。また、上記定荷重バネ132は、捲回スプリングを有しており、この捲回スプリングの先端部は上記払出部120の近傍に固定されている。上記ロック部132aには、ギヤ部132bが設けられている。このギヤ部132bは、上記収容部11の底面に形成された歯状部11aに歯合しており、上記ギヤ部132bの回動が制限されることで上記移動動作部130がロックされる状態となる。また、上記ギヤ部132bに例えばダンパー(例えば、オイルダンパー)132cを設けておくと、上記移動動作部130の動作速度を調節することができる。この場合、上記ダンパー132cは、上記移動動作部130が上記PTPシート100を移動させる速度を調整する調整手段となる。
【0083】
上記シート保管部141は、
図10に示す開状態において、上記払出部120の上側に位置する。上記払出部120は、上記PTPシート100の払出し時には、後述する吸引本体部61(
図30参照)と対向する。そして、上記シート保管部141の奥壁部1411は、上記払出し時よりも上側に移動したときの上記吸引本体部61と対向することになる。上記奥壁部1411の上部側には、複数の高さ調節穴1411aが高さ方向に間隔をおいて形成されている。そして、上記奥壁部1411には、サイズ調節部材としての高さ方向制限板142が上記高さ調節穴1411aによって着脱可能に取り付けられている。上記シート保管部141に収容されるPTPシート100の高さに合せて、上記高さ方向制限板142の取り付け高さを変更することができるので、上記蓋140が回動されるときに、上記シート保管部141から端数薬剤用のPTPシート100が落ちるのを防止することができる。
【0084】
例えば、上記複数の高さ調節穴1411aの近傍箇所に、その形成高さに対応する1~3の収容サイズの番号を印刷或いは刻印しておいてもよい。作業者が上記高さ方向制限板142の取り付け箇所を「2」に合せれば、上記高さ方向制限板142は、第2の高さにセットされることになる。上記マスターテーブルには、薬剤ごとに上記シート保管部141の収容サイズの番号が格納されている。例えば、25番の薬剤収容カセット1に薬剤Aが収納されており、上記薬剤AのPTPシート100に関する上記シート保管部141の収容サイズの番号が「2」であるなら、制御部1005は、上記ディスプレイ1002に上記薬剤Aにおける上記シート保管部141の収容サイズの番号が「2」であることを表示する。作業者は、上記ディスプレイ1002に上記薬剤Aにおける上記シート保管部141の収容サイズの番号が「2」であることが表示されたなら、上記25番の薬剤収容カセット1のシート保管部141において、上記高さ方向制限板142の取り付け箇所を「2」に合せる。これにより、作業者が熟練者でなくても、上記薬剤AのPTPシート100の高さに適した位置に、上記高さ方向制限板142をセットすることができる。
【0085】
また、上記薬剤収容カセット1の上記蓋140が設けられる側と反対の側が薬剤払出装置101の前側に位置しており、この前側の立上壁11bの上部には切欠き部11cが形成されている。上記立上壁11bに上記カセット搬送部2における上記カセット出し入れ部21が係合する。
【0086】
[カセット出し入れ部21]
図12に示すように、上記カセット出し入れ部21は、前後移動部23と、カセット把持部24と、レールユニット25とからなる。上記前後移動部23は上記レールユニット25を介して上記カセット把持部24に連結される。前後移動部23は上記レールユニット25の連結板25aに連結されている。上記カセット把持部24のベース部241は、上記レールユニット25のスライド部251に連結されている。
【0087】
図13および
図14には上記前後移動部23のみを示している。なお、
図12、
図13および
図14では、前後移動部23における爪動作部231を2個描いているが、これは爪動作部231が2個存在することを示しているのではなく、1個の爪動作部231における進出状態と退避状態とを示している。また、チェーン式ケーブルガイド23aについても、進出状態と退避状態とを描いている。上記進出状態と退避状態との区間距離が第1の距離となる。
【0088】
上記爪動作部231は、上記立上壁11bと平行に二股の間部分が位置するように配置された二股爪231aと、上記立上壁11bと平行な面内で上記二股の間部分が移動するように上記二股爪231aを回動させる回動駆動部(例えば、ロータリーソレノイド)231bと、上記回動駆動部231bを支持するブラケット231cと、上記ブラケット231cが支持される移動ナット231dと、上記移動ナット231dが螺合される送り螺子231eと、上記移動ナット231dをガイドするガイド部231fとを備える。上記送り螺子231eは上記薬剤払出装置101の前後方向に設けられており、上記ガイド部231fは上記移動ナット231dを上記前後方向にガイドする。そして、モーター231gの駆動力がベルト231hを介してプーリ231iに伝達され、このプーリが回転することで、上記送り螺子231eが回転される。
【0089】
上記爪動作部231が上記立上壁11bに最も近づいた状態で当該爪動作部231が上記切欠き部11c上に位置し、上記二股爪231aが上記回動駆動部231bによって回動されると、上記二股の間部分に上記立上壁11bが挟まれる。ここで、上記切欠き部11cが形成されていると、上記爪動作部231を上記立上壁11bに係合させる際の上記二股爪231aの高さを低くすることができるので、上記カセット棚1011において上下に配置される薬剤収容カセット1の間隔を狭くし、装填できる薬剤収容カセット1の個数を増やしたり、薬剤払出装置101を小型化すことができる。なお、この実施形態では、上記二股爪231aにおける先頭側部位だけが上記立上壁11bを越えるようにしている。
【0090】
上記前後移動部23の下部には、薬剤覆い部232が設けられている。この薬剤覆い部232は、薬剤覆い板232aを備える。この薬剤覆い板232aは、上記二股爪231aが上記退避位置に移動したときに(上記第1の距離移動したとき)、この移動で引き出された薬剤収容カセット1の上側を覆うように位置する。なお、上記二股爪231aが上記退避位置に移動したときに上記二股爪231aが回動して元の状態(非係合状態)に戻るため、この戻りを阻害しないように、上記薬剤覆い板232aには切欠き232bが形成されている。そして、上記薬剤覆い板232aはヒンジ232cによって回動可能に設けられており、付勢部材である巻きバネ232dによって上記薬剤収容カセット1内のPTPシート100を押さえる方向に上記薬剤覆い板232aが付勢される。上記薬剤覆い部232が設けられていることで、上記カセット搬送部2によって上記薬剤収容カセット1を搬送するとき(特に高速で下方に移動するとき)、この薬剤収容カセット1の上側からからPTPシート100が飛び出すのを防止できる。換言すれば、上記薬剤収容カセット1を高速で搬送することができるので、薬剤払出しの時間を短縮できる。また。上記巻きバネ232dが設けられていることで、高さが異なるPTPシート100に対しても、PTPシート100を押さえることができる。
【0091】
図15および
図16に示すように、上記レールユニット25のスライド部251の両側には、薬剤払出装置101の前後方向に延びるレール部251aが設けられており、各レール部251aによってスライダー251bが上記前後方向にガイドされる。上記レールユニット25のモーター252によってベルト253が駆動され、このベルト253によってプーリ254が回転される。上記プーリ254には送り螺子255が固定されている。この送り螺子255は上記プーリ254によって回転される。
【0092】
図17に示すように、上記カセット把持部24のベース部241の上面にはブラケット242が固定されている。そして、このブラケット242の左右縁には立上部242aが形成されており、各立上部242aは上記レールユニット25の上記スライダー251bに固定されている。また、上記ブラケット242の中央部には、移動ナット243が固定されている。この移動ナット243は上記レールユニット25の上記送り螺子255に螺合している。したがって、上記送り螺子255の回転によって、上記カセット把持部24が薬剤払出装置101の前後方向に移動する。
【0093】
上記ベース部241には送り螺子241aが薬剤払出装置101の左右方向に設けられている。上記送り螺子241aの両端は左右2個のブラケット241bによって回転可能に支持されている。また、上記送り螺子241aの両端部には互いに螺子切りの方向が逆にされた螺子部が形成されており、各螺子部に移動ナット244aが螺合している。そして、上記送り螺子241aと平行に2本のスライドシャフト241cが上記ベース部241によって支持されている。上記スライドシャフト241cの両端は、上記2個のブラケット241bによって固定されている。
【0094】
左右の各ブラケット241bと上記ベース部241との間にチャック板244が設けられている。各チャック板244の上部中央側に上記移動ナット244aが設けられている。また、各チャック板244の上部には、上記移動ナット244aを挟むようにリニアブッシュ244bが設けられている。各リニアブッシュ244bに上記スライドシャフト241cが挿通されている。上記送り螺子241aには、駆動部245におけるギヤ245aが固定されている。上記ギヤ245aにはギヤ245bが歯合されている。上記ギヤ245bはモーター245cによって回転される。上記モーター245cの回転により、上記送り螺子241aが回転し、この回転により、上記チャック板244が互いに近づき、また、互いに離れる。これにより、上記薬剤収容カセット1の側板部を横から把持することができる。
【0095】
上記チャック板244には、柔軟性素材からなる受け部244cが設けられており、この受け部244cが上記薬剤収容カセット1の側板部に当たるようになっている。また、上記チャック板244の前側端には位置決め部材244dが設けられている。この位置決め部材244dは縦軸回りに回転可能に設けられている。
【0096】
上記薬剤収容カセット1の前側端近傍の左右の側板部の外側には位置決め凹部1aが形成されている(
図11(A)参照)。上記薬剤収容カセット1がカセット棚1011から引き出され、上記チャック板244によって上記側板部が把持されるときに、上記位置決め部材244dが上記位置決め凹部1aに係合するようになっている。このような係合が行われたときには、上記チャック板244が上記薬剤収容カセット1の適切な位置を把持したことになる。なお、上記チャック板244によって上記側板が把持されるときに、上記位置決め部材244dと上記位置決め凹部1aとに多少の位置ずれがあっても、上記チャック板244によって上記側板部が把持されるときの力により、上記位置決め部材244dが上記位置決め凹部1aに係合することが可能である。上記柔軟性素材からなる受け部244cが設けられていると、上記係合が行われやすい。
【0097】
なお、上記送り螺子255の回転によって上記カセット把持部24が上記カセット棚1011に最も近づいたときでも、上記カセット把持部24は上記カセット棚1011の手前に位置する。そして、上記爪動作部231が上記立上壁11bに最も近づくと、当該爪動作部231が上記切欠き部11c上に位置する。そして、上記二股爪231aが上記回動駆動部231bによって回動されると、上記二股の間部分に上記立上壁11bが挟まる。この状態で、上記爪動作部231が上記退避位置に移動すると、上記カセット把持部24の上記チャック板244によって上記薬剤収容カセット1を把持できる状態となる。上記チャック板244によって上記薬剤収容カセット1を把持するとき、先述したように、上記前後移動部23の上記二股爪231aは、元の状態(非係合状態)に戻る。これにより、上記カセット把持部24が上記薬剤収容カセット1を把持した状態で薬剤払出装置101の前方向に追加移動でき、この追加移動によって上記薬剤収容カセット1が上記カセット棚1011から完全に引き出される。すなわち、上記把持状態で上記薬剤収容カセットサイズから上記第1の距離を引いた距離移動して(上記追加移動して)、上記薬剤収容カセット1の全体を上記カセット棚から引き出す。
【0098】
上記薬剤収容カセット1を上記カセット棚1011に戻すときには、上記追加移動の逆動作を行った後、上記二股爪231aを上記立上壁11bに係合させ、上記前後移動部23によって上記二股爪231aを移動させるによって上記薬剤収容カセット1が上記カセット棚1011に完全に戻される。
【0099】
[受渡部3]
図18および
図19に示すように、2台の上記受渡部3と、2台の上記受渡部移動部4と、1台の上記払出操作部110が1枚のベース部113上に設けられている。上記ベース部113はレール機構113aによって、薬剤払出装置101の前後方向に移動可能に設けられている。ユーザーは、前面板113bの取手部に手を入れて上記ベース部113を出し入れすることができる。ここで、上記払出操作部110は当該薬剤払出装置101の前側(上記ベース部113の引き出し方向)に向けられており、上記受渡部3に搬送された上記薬剤収容カセット1の払出部120と上記払出操作部110とが向かい合う。そして、上記ベース部113を引き出したときには、ユーザーに近い位置に上記薬剤収容カセット1が位置する。これにより、シート払出しの不具合等が生じた薬剤収容カセット1をユーザーが手で取り出すときには、上記払出操作部110が邪魔にならず、上記不具合が生じた薬剤収容カセット1を取り外し易くなる。
【0100】
図20および
図21に示すように、各受渡部3の直進ベース板31には、送り螺子31aが上記薬剤払出装置101の左右方向に設けられている。上記送り螺子31aの両端は左右2個のブラケット31bによって回転可能に支持されている。また、上記送り螺子31aの両端部には互いに螺子切りの方向が逆にされた螺子部が形成されており、各螺子部には移動ナット34aが螺合している。そして、上記送り螺子31aと平行に、2本のスライドシャフト31cが上記直進ベース板31によって支持されている。上記スライドシャフト31cの両端は上記2個のブラケット31bによって固定されている。
【0101】
左右の各ブラケット31bと上記直進ベース板31との間にチャック板34が設けられている。各チャック板34に上記移動ナット34aが固定されている。また、各チャック板34には、リニアブッシュ34bが設けられている。各リニアブッシュ34bに上記スライドシャフト31cが挿通されている。上記送り螺子31aには、駆動部35における傘ギヤ35aが固定されている。上記傘ギヤ35aには傘ギヤ35bが歯合されている。上記傘ギヤ35bはモーター35cによって回転される。上記モーター35cの回転により、上記送り螺子31aが回転し、この回転により、上記チャック板34が互いに近づき、また、互いに離れる。なお、各受渡部3には上記駆動部35等を覆うカバー38が設けられている。
【0102】
図22に示すように、各受渡部3は旋回ベース板36を備える。上記直進ベース板31と上記旋回ベース板36とは、図示しないレールおよびスライダーによって相互に上記薬剤払出装置101の前後方向に移動可能に設けられている。また、上記旋回ベース板36の裏面には、第1ピン36aおよび第2ピン36bが固定されている。また、第2ピン36bの先端には中間アーム36cが固定されている。また、この中間アーム36cには長孔が形成されており、この長孔には上記直進ベース板31の裏面に突設された第3ピン31dが係合されている。
【0103】
[受渡部移動部4]
上記2台の受渡部移動部4は、共通のベース部41上に設けられている。各受渡部移動部4はモーター42を備えており、このモーター42によって旋回アーム42aがモーター42の回転軸を中心に水平面内で旋回する。上記旋回アーム42aの先端側には上記第2ピン36bが係合しており、上記旋回アーム42aの旋回によって上記第2ピン36bが第2円弧ガイド41b上を移動する。また、上記旋回アーム42aの旋回によって上記第1ピン36aは第1円弧ガイド41a上を移動する。上記第1円弧ガイド41aおよび第2円弧ガイド41bは上記ベース部41に形成されている。
【0104】
また、上記ベース部41には各受渡部移動部4における第3ガイド41cが形成されており、各第3ガイド41cに上記第3ピン31dがガイドされる。上記2つの第3ガイド41cは、上記薬剤払出装置101の左右方向に延びる左右直線ガイド部を有する。そして、上記2つの左右直線ガイド部は、中継ぎガイド部を介して共通ガイド部に接続される。上記共通ガイド部は、2台の受渡部移動部4の間に位置している。
【0105】
上記モーター42によって旋回アーム42aが旋回すると、上記受渡部3における上記旋回ベース板36は上記第1円弧ガイド41aおよび第2円弧ガイド41bに沿って円弧移動する。一方、上記受渡部3における上記直進ベース板31は、上記旋回ベース板36の移動力を受けて円弧移動しようとするが、上記第3ピン31dが上記第3ガイド41cにガイドされるため、左または右に直線移動する。そして、上記直進ベース板31は、上記共通ガイド部によって上記薬剤払出装置101の後方側に移動し、上記受渡部3にチャックされている上記薬剤収容カセット1を上記払出操作部110に対面させる。上記直進ベース板31と旋回ベース板36との相対位置変化は、上記レールおよびスライダーによって吸収される。
【0106】
なお、上記受渡部3にチャックされている上記薬剤収容カセット1が上記払出操作部110に対面した後、この払出操作部110における蓋開閉部160によって上記薬剤収容カセット1の蓋140が開かれる。
【0107】
図23、
図24および
図25に示すように、上記シートストッカー112は上記払出操作部110に設けられている。そして、上記シートストッカー112は、上記受渡部3にチャックされている上記薬剤収容カセット1が上記払出操作部110に対面する位置において、上記薬剤収容カセット1の上記蓋140の下方に設けられている。上記シートストッカー112のホッパー部112aには、上記薬剤収容カセット1の上記払出部120から払い出されたPTPシート100および端数の包装薬剤が一時的に収容される。
【0108】
上記ホッパー部112aの底部は、上記貯留シャッターである第1シャッター112bにより構成されている。また、上記第1シャッター112bの下部には落下用筒部が形成されており、この落下用筒部の底(薬剤シート出口部1120)には上記貯留シャッターである第2シャッター112cが設けられている。上記第1シャッター112bおよび第2シャッター112cは、駆動モーター112dによって同時に開閉される。上記駆動モーター112dの回転軸には傘ギヤが固定されており、この傘ギヤによって旋回アーム112eが回転する。なお、
図24では、上記第1シャッター112bの駆動系のみ現れており、上記第2シャッター112cの駆動系は上記第1シャッター112bの駆動系と同じである。上記旋回アーム112eにはリンク部材112fが連結されており、このリンク部材112fは上記第1シャッター112bに連結されている。上記駆動モーター112dが回転すると、上記旋回アーム112eが回転し、上記リンク部材112fが移動して上記第1シャッター112bが開閉動作する。上記第1シャッター112bおよび上記第2シャッター112cはスライドシャフト112gによりガイドされる。
【0109】
図26に示すように、PTPシート100などの薬剤シートは、両端に平坦な縁(シート部分)を有するが、一方の縁は他方の縁よりも広幅になっている。この広幅縁100aは一般に耳と呼ばれている。上記薬剤シートから端数の包装薬剤を切り出す機能を備える薬剤払出装置では、上記薬剤収容カセット1から取り出されたPTPシート100のポケットの向きまたは広幅縁100aの向きが不定であると、端数の包装薬剤を適切に切り出せない場合がある。端数を切り出す対象とならないPTPシート100については、上記ポケットの向きおよび広幅縁100aの向きを検知する必要はない。
【0110】
また、
図26には上記PTPシート100を回動させるときの3つの軸を示している。上記3つの軸としては上記PTPシート100のシート面の法線と短軸と長軸とがある。上記短軸および長軸は、上記PTPシート100の面内の互いに直交する。長軸回りの回動中心の位置の一例として上記PTPシート100の短辺方向中心部を通る軸がある。また、短軸回りの回動中心の位置の一例として上記PTPシート100の長手方向中心部を通る軸がある。法線回りの回動中心の一例としては、上記長軸周りの回転中心と短軸回の回転中心の交点がある。ここで、上記PTPシート100は上記第2軸(長軸)で線対称となる。また、上記法線回りの回動中心を上記長軸周りの回転中心と短軸回の回転中心の交点の近傍に設ければ、法線回りの回動の際に必要となるスペースを小さくできる。この実施形態では、上記法線回りの回動を採用している。
【0111】
図27は、上記PTPシート100の状態変化を示した説明図である。上記PTPシート100の状態には、ポケットが表向きで広幅縁100aが左位置の第1状態と、ポケットが表向きで広幅縁100aが右位置の第2状態(
図26に示す状態)と、ポケットが裏向きで広幅縁100aが左位置の第3状態と、ポケットが裏向きで広幅縁100aが右位置の第4状態とがある。払い出された先頭のPTPシート100がどの状態であっても、長軸回りでの回動による状態変化と、短軸回りでの回動による状態変化と、法線回りでの回動による状態変化のうち2つの状態変化を生じさせることで、いずれか1つの状態に揃えることができる。すなわち、上記PTPシート100のポケット向きと広幅縁100aの向きをそれぞれ同じ方向に向けることができる。なお、広幅縁100aの向きのみを一方向に向ける構成としてもよい。
【0112】
[払出操作部110]
上記払出操作部110は、
図28および
図29にも示すように、上記蓋開閉部160を備える。この蓋開閉部160は、上記蓋140に形成された係合部に係合する軸部161を備えており、上記係合部に上記軸部161を係合させた状態で当該軸部161を円弧軌道に沿って移動させることで、上記蓋140を開閉する。また、上記蓋開閉部160は、上記シート保管部141に形成された係合部に係合する軸部162を備えており、上記係合部に上記軸部162を係合させた状態で当該軸部162を回動させることで、上記シート保管部141を回動させる。
【0113】
また、上記払出操作部110は、上記薬剤収容カセット1内の先頭のPTPシート100を吸引して引き出すための吸引動作部6、端数の包装薬剤が必要とされる場合に上記吸引動作部6によって引き出されたPTPシート100を把持して受け取るシート把持部8、端数の包装薬剤が必要とされる場合に上記吸引動作部6によって引き出されたPTPシート100を、そのシート面の法線を軸に回動させる法線回り回動部13を備える。上記シート面の法線は上記PTPシート100のシート面の中央位置での法線としている。ここで、上記シート面の中央位置における法線は、上記PTPシート100が曲面ではなく平面であると想定したときのシート面の垂線(直交線)と平行になる。また、この実施形態では、上記シート面の法線の方向は、上記前後方向、上記薬剤収容カセット1内の上記PTPシート100の並ぶ方向、および上記薬剤収容カセット1の移動方向と等しい。また、上記PTPシート100の払出し時には、上記法線回り回動部13を、上記薬剤収容カセット1の払出部120の中央位置(PTPシート100の中央位置)に位置させるようにしている。
【0114】
上記シート把持部8は、水平軸回りに回転可能に設けられた把持本体部81と、この把持本体部81を回転させる回転部82と、この回転部82を左右方向に移動する左右移動装置83とを備える。また、上記シート把持部8は上記広幅縁100aの検知部としても機能する。
【0115】
図30に示すように、上記吸引本体部61における基台部611は、昇降装置64によって上下方向に移動することができる。上記昇降装置64は、上記基台部611の側部に固定された移動ナット64aと、この移動ナット64aに螺合された送り螺子64bと、この送り螺子64bを回転させるモーター64cと、このモーター64cの駆動力を上記送り螺子64bに伝達するベルト伝達機構64dと、上記基台部611の昇降を安定させるガイド64eとを備えている。上記昇降装置64によって上記吸引本体部61の上下位置を調節することができる。
【0116】
上記吸引本体部61は前後移動装置65のガイドレール65eを介して上記基台部611に連結されている。上記前後移動装置65によって上記吸引本体部61が前後方向(上記薬剤収容カセット1の払出部120に近接離間する方向)に移動する。上記前後移動装置65は、上記吸引本体部61の裏面部に固定された移動ナット65aと、この移動ナット65aに螺合された送り螺子65bと、この送り螺子65bを回転させるモーター65cと、このモーター65cの駆動力を上記送り螺子65bに伝達するベルト伝達機構65dと、を備えている。
【0117】
上記前後移動装置65は、上記薬剤収容カセット1における上記移動動作部130が上記PTPシート100を移動させる速度よりも速く、上記移動動作部130が上記PTPシート100を移動させる方向に、先頭のPTPシート100を吸引して上記吸引本体部61を移動させることができる。
【0118】
また、上記吸引本体部61が上記前後移動装置65によって上記薬剤収容カセット1に近づく方向に移動したときに、上記吸引本体部61が先頭のPTPシート100のシート部に接して吸着する。上記先頭のPTPシート100のポケット部が上記払出操作部110の側に向いているとき、上記ポケット部の凸高さに応じてポケット検知部62の可動板62aが位置変位することになり、この位置変位を例えばポテンショメーターの抵抗値(電圧値)で検知することができる。
【0119】
図31(A)および
図31(B)に示すように、上記吸引本体部61は、例えば、水平に4個並んだ吸盤61aを備える。上記4個並んだ吸盤61aは、
図37(A)、
図37(B)および
図37(C)に示すように、上記シート把持部8に近い側の2個からなる第1グループと、上記シート把持部8から遠い側の2個からなる第2グループとに分けられている。グループごとの吸引は各グループの吸気路上に各々設けた電磁バルブの操作により行うことができる。上記4つの吸盤61aの全てが吸引オフの状態から、上記第1グループについてのみ吸引動作を実行すると、上記第1グループの2個の吸盤61aにおいて強い吸引力が生じ、上記PTPシート100が上記第1グループの2個の吸盤61aに高い確実性で吸い付けられる。そして、上記第1グループの吸引動作が実行された後に上記第2グループの4個の吸盤61aについて吸引動作も実行すると、4個の吸盤61aで的確に上記PTPシート100を吸引保持することができる。このように、複数設けられた吸盤の一部(上記シート把持部8に近い側の一部)を先行駆動することで、的確に上記PTPシート100を吸引保持することが可能になる。
【0120】
上記法線回り回動部13は、上記4個並んだ吸盤61aの中央位置に吸引回転パイプ部13aを備えている。上記吸引回転パイプ部13aの先端には吸盤部13bが設けられている。また、上記吸引回転パイプ部13aの後部側は軸受け部13cに支持されている。また、上記吸引回転パイプ部13aの後端にはロータリー継手13dが接続されており、このロータリー継手13dにチューブを介して吸引ポンプに接続される。また、ベルト13eが上記吸引回転パイプ部13aの後部とモーター13fの駆動プーリに捲回されている。上記モーター13fが動作すると、上記吸引回転パイプ部13aがその中心軸回りに回転する。上記吸引回転パイプ部13aは前後方向に固定である。
【0121】
上記受渡部3が上記受渡部移動部4によって上記払出位置まで移動したときに、上記受渡部3でチャックされている上記薬剤収容カセット1が、上記吸引本体部61に対面することになる。そして、上記蓋開閉部160によって上記蓋140を開く動作が実行される。次に、上記吸引本体部61が上記薬剤収容カセット1に近づく方向に移動することにより、上記吸盤61aを上記薬剤収容カセット1内のPTPシート100に接触して当該PTPシート100を吸引する。また、このときに、ポケット検知部62の可動板62a(
図26および
図30参照)によって上記PTPシート100のポケット部の向きが検知される。上記吸引本体部61が上記払出部120から遠ざかる方向に移動することにより、上記薬剤収容カセット1から先頭のPTPシート100が引き出される。
【0122】
なお、上記薬剤収容カセット1から全てのPTPシート100が引き出された後に上記吸引本体部61による吸引が実行されると、上記吸盤61aが上記移動動作部130の上記押さえ部材131を吸引することになる。上記押さえ部材131のPTPシート100に接する押圧面には、
図5に示したように、複数の溝部131aが形成されているため、上記PTPシート100が空になると、上記吸盤61aが上記押さえ部材131の押圧面に接触する。この場合、上記溝部131aから空気が漏れ入るので、吸引動作部6による吸引動作を実行しても吸盤61aの吸気回路で所定の負圧状態が得られない。すなわち、上記吸引本体部61による吸引が一定時間以上経過しても完了できないことになる。制御部1005は、上記吸引本体部61による吸引が一定時間以上経過しても完了できないとき、PTPシート100の欠品の可能性があると判断することができる。なお、上記吸引本体部61に4個の吸盤61aが設けられている場合には、上記溝部131aの数は4個で足りる。すなわち、上記溝部131aは、少なくとも上記吸盤61aに対応する位置において、当該吸盤61aの数だけ設けられていてもよい。
【0123】
端数の包装薬剤が必要とされる場合において、上記可動板62aによる検知結果により、PTPシート100のポケット部が吸盤61a側を向いていると判断されたのであれば、上記吸引本体部61がPTPシート100を上記シート把持部8に渡す。上記シート把持部8はポケット部を上記薬剤収容カセット1側に向ける。その後、上記吸引本体部61はPTPシート100を上記シート把持部8から受け取る。
【0124】
上記シート把持部8はPTPシート100を把持した際に、この把持した側がPTPシート100の広幅縁100aかどうかを判断する。上記シート把持部8が広幅縁100aを把持した場合であれば、上記法線回り回動部13による法線回りの回動は行わず、上記吸引本体部61は、上記薬剤収容カセット1に近づく方向に移動し、PTPシート100を上記蓋140のシート保管部141上に落とす。このシート保管部141上に落とされたPTPシート100の広幅縁100aは、後述するシート掴み部14の側に向き、広幅縁100aと反対の側は上記払出操作部110に設けられているカッター部15の側に向くことになる。なお、PTPシート100のポケット部が上記薬剤収容カセット1側を向いている場合も、上記吸引本体部61がPTPシート100を広幅縁100aの検知のために上記シート把持部8に渡す。ただし、この場合には上記シート把持部8によるPTPシート100の回転は行われない。
【0125】
一方、上記シート把持部8が広幅縁100aの反対側を把持した場合であれば、上記吸引本体部61は、PTPシート100を上記法線回り回動部13に渡す。この法線回り回動部13は、上記広幅縁100aの向きが180度反対側に向くように、上記PTPシート100を法線回りに回動する。
【0126】
ここで、
図8に示したように、上記薬剤収容カセット1内の前後する2枚のPTPシート100がポケット部の形成側を互いに向かい合わせている場合、これら2枚のPTPシート100のうち下端が上記薬剤収容カセット1内の収容底部に接しているPTPシート100の上端位置は本来の位置となる一方、他方のPTPシート100の上端位置は、上記本来の位置よりも高さH高くなる。上記高さHは、薬剤ごとに異なっており、上記高さHの情報は薬剤ごとに上記マスターテーブルに記録されている。また、PTPシート100のポケットが3列の場合、
図8に示しているように、シート下端からの吸引高さは、PTPシート100の高さの1/3程度とされ、また、PTPシート100のポケットが2列或いは4列等の偶数列の場合、吸引高さは、PTPシート100の高さの1/2程度とされる。上記吸引高さは、薬剤ごとに異なり、上記マスターテーブルに記録される。上記高さHの情報および上記吸引高さの情報は、上記吸引本体部61によるPTPシート100の払出し時において利用することができる。
【0127】
上記PTPシート100がポケット部を上記吸引本体部61の側に向けていない場合、上記PTPシート100が上記薬剤収容カセット1内の収容底部に接していると否とにかかわらず、最初の吸引トライでほぼ確実に吸引が成功し、当該PTPシート100を上記薬剤収容カセット1から取り出すことができる。ただし、上記PTPシート100が上記薬剤収容カセット1内の収容底部に接していない場合、上記吸盤61aの吸引位置は本来の位置である上記PTPシート100の本来の上記吸引高さよりも下側になる。そして、この場合において、上記広幅縁100aの向きを180度反対に向くように、上記法線回り回動部13が上記PTPシート100を法線回りに回動させた後に、このPTPシート100を上記吸引本体部61に渡すと、上記吸盤61aの吸引位置から上記PTPシート100の下端までの距離は、本来の位置である上記吸引高さで吸引できた場合に比べて、長くなる。
【0128】
このように、吸引位置が本来の位置でなかった場合において、上記吸引本体部61が上記PTPシート100を上記シート保管部141上に落とすための移動動作を実行すると、上記PTPシート100の下端が、
図10に示す上記シート保管部141の入口の壁部上端143に接触するおそれがある。そこで、上記PTPシート100を上記シート保管部141上に落とすための一連の処理において、上記広幅縁100aの向きを180度反対に向かせる動作を実行したときには、180度回転により生じる上記薬剤シートの下縁位置の変動を解消(吸収)する処理を行う。
【0129】
上記変動を解消する処理は、上記広幅縁100aの向きを180度反対に向かせる動作を実行しない場合に比べて、上記吸引本体部61を一定距離または非一定距離上方に移動する動作としてもよい。この移動により、上記PTPシート100の下端が、上記シート保管部141の入口の壁部上端143に接触するのを回避できる。
【0130】
上記一定距離を採用する場合には、どの薬剤のPTPシート100も上記一定距離上方に移動される。一方、上記非一定距離は、例えば、上記高さHまたは上記高さHに余裕を加味した距離とされ、この場合には、上記PTPシート100は薬剤ごとに異なった距離上方に移動される。上記一定距離の移動および上記非一定距離の移動のどちらも、上記薬剤収容カセット1内での上記PTPシート100の位置ずれを吸収する上記吸引本体部61の移動動作である。上記薬剤収容カセット1内での上記PTPシート100の位置ずれは、上述のように、上記薬剤収容カセット1内の前後する2枚のPTPシート100がポケット部の形成側を互いに向かい合わせている場合に生じる。
【0131】
薬剤収容カセット1内の収容底部に接していないPTPシート100が先頭に位置し、そのポケット部を上記吸引本体部61の側に向けている場合、最初の吸引トライで失敗することがある。例えば、吸盤61aがポケット部に当たって隙間が生じると吸引を完了できない。一定時間以上経っても吸引を完了できないときには、失敗と判定する。この場合、例えば上記ポケット検知部62の可動板62aを前進させた後、下方に一定距離または非一定距離移動する。この移動により、上記可動板62aで上記他方のPTPシート100が上記薬剤収容カセット1内の収容底部に接することができ、次の吸引トライにおいてはほぼ失敗せずに上記のPTPシート100を吸引して上記薬剤収容カセット1から取り出すことができる。なお、1回目の失敗後に2回目のトライを行い、これも失敗したと判定したときに、上記可動板62a等を下方に一定距離または非一定距離移動するようにしてもよい。
【0132】
上記一定距離を採用する場合には、どのPTPシート100も上記一定距離下方に移動される。一方、上記非一定距離は、例えば、上記高さHまたは上記高さHに余裕を加味した距離とされ、この場合には、上記PTPシート100は薬剤ごとに異なった距離下方に移動される。
【0133】
また、
図8に示したように、上記薬剤収容カセット1内の前後する2枚のPTPシート100がポケット部の形成側を互いに向かい合わせている場合、これら2枚のPTPシート100の横縁が一致しないことが生じる。
【0134】
ここで、上述したように、上記シート把持部8は、上記PTPシート100を把持した際に、この把持した側がPTPシート100の広幅縁100aかどうかを判断している。上記シート把持部8は、横方向に移動可能であり、上記PTPシート100の横縁を検知するために、
図40に示すように、例えば光学センサ801を備えている。上記シート把持部8は、上記光学センサ801で上記横縁を検知したときに、上記PTPシート100に近づく方向の横方向移動を停止し、上記PTPシート100を把持する動作を開始する。これにより、2枚のPTPシート100の横縁が一致しないことに起因して、取り出したPTPシート100が横方向にずれていたとしても、上記横縁の検知によって、上記シート把持部8は、上記PTPシート100を適切に把持することができる。
【0135】
一方、上記横方向のずれが存在している状態で上記吸引本体部61が上記PTPシート100を上記シート保管部141上に落とすための移動動作を実行すると、上記PTPシート100を、
図10に示す上記シート保管部141に入れることに失敗するおそれがある。そこで、上記シート把持部8が上記吸引本体部61から上記PTPシート100を受け取った後、再び上記吸引本体部61に上記PTPシート100を渡すときには、上記シート把持部8は、上記横方向のずれを解消するように横方向に移動する。
【0136】
具体的には、上記マスターテーブルには、薬剤ごとに上記PTPシート100のシート中心からシート横縁までの距離d(例えば、上記シート把持部8が移動するのに必要なモーターパルス数等の情報で示すことができる。)が記録されている。また、上記横方向移動のために例えばステッピングモーターを用いており、上記シート把持部8の基準位置からどれ位の距離移動したのかを判断することができる。また、上記基準位置から上記薬剤収容カセット1の払出部120の中央(法線回り回動部13の軸位置)までの距離Dは既知である。したがって、上記シート把持部8が、上記距離Dから上記距離dを減算した距離を移動した位置で上記光学センサ801がシート横縁を検知できなかった場合には、横方向に位置ずれが生じていると判断することができる。そこで、上記シート把持部8が上記吸引本体部61から上記PTPシート100を受け取った後、再び上記吸引本体部61に上記PTPシート100を渡すときには、上記シート把持部8は、上記横方向のずれの分、横方向に調整移動する。これにより、上記横方向のずれが解消される。なお、上記シート把持部8が上記吸引本体部61から上記PTPシート100を受け取った後、基準位置に一旦戻り、上記距離Dから距離dを引いた距離、横方向に移動するようにしてもよい。
【0137】
上記シート掴み部14は、薬剤払出装置101の左右方向に移動可能に設けられている。上記シート掴み部14は、上記シート保管部141上に落とされたPTPシート100の広幅縁100aを掴み、当該PTPシート100を上記カッター部15の側へ移動させる。上記カッター部15は固定刃15aと可動刃15bとからなり、L字状に上記PTPシート100を切断することができる。この切断後、上記シート掴み部14は、上記PTPシート100を上記シート保管部141の側に移動し、当該シート保管部141上に上記PTPシート100を置く。また、上記切断によって得られた端数の包装薬剤は、ベルトコンベヤ15c上に落ちる。上記端数の包装薬剤は、上記ベルトコンベヤ15cによって搬送され、上記シートストッカー112のホッパー部112aに形成された切欠き部1121(
図24参照)を通り、上記ホッパー部112a内に落下する。
【0138】
なお、処方箋データに基づき、複数枚のPTPシート100の取り出しが必要となる場合には、端数の包装薬剤を切り出す動作と並行して、上記吸引本体部61が上記薬剤収容カセット1から上記PTPシート100を取り出す動作が繰り返され、取り出されたPTPシート100は上記シートストッカー112内に順次落下される。このように、端数の包装薬剤を切り出す処理と並行して上記薬剤収容カセット1からPTPシート100を取り出す動作を行うようにすれば、払い出しに要する時間を短縮することが可能になる。
【0139】
例えば、端数切り出し用のPTPシート100を上記シート保管部141にセットする動作を、上記薬剤収容カセット1から最初に取り出したPTPシート100に対して行う。そして、上記シート保管部141にセットされたPTPシート100から端数の包装薬剤を切り出す第1処理と、必要枚数のPTPシート100を上記吸引本体部61が上記薬剤収容カセット1から取り出す第2処理とを並行して行う。なお、最初ではなく2番目以降に取り出したPTPシート100を上記シート保管部141にセットする場合でも、上記第1処理と上記第2処理とを並行して行うことができる。また、既に上記シート保管部141に端数切り出し用のPTPシート100或いは幾つかの端数の包装薬剤が残っており、これを用いて端数カットを行う場合には、その間は第2処理を実行することができ、この第2処理の途中で上記シート保管部141内が空になった場合に、この第2処理を一旦中止し、端数切り出し用のPTPシート100を上記シート保管部141にセットする動作を行うようにしてもよい。
【0140】
また、処方箋データにより、複数のPTPシート100を払い出す処理が必要とされ、且つ端数切り出し用のPTPシート100も必要とされる場合に、以下の処理を行ってもよい。例えば、上記薬剤収容カセット1から最初に取り出したPTPシート100の広幅縁100aの向きを、上記シート把持部8によって検知する。そして、上記広幅縁100aが所定の向きを向いていない場合、当該最初のPTPシート100を落下させて払い出す。同様の処理を後続のPTPシート100について行う。
【0141】
ここで、例えば、3枚のPTPシート100と端数の包装薬剤を払い出す必要がある場合において、3枚目に取り出したPTPシート100の広幅縁100aの向きが所定の向きであったなら、当該3枚目に取り出したPTPシート100をシート保管部141にセットする。すなわち、当該3枚目に取り出したPTPシート100を端数切り出し用のPTPシート100として用いる。払い出されるPTPシート100の枚数は3枚であるので、引き続いてPTPシート100を上記薬剤収容カセット1から取り出して払い出す。
【0142】
一方、上記3枚目に取り出したPTPシート100の広幅縁100aが所定の向きを向いていない場合、当該3枚目に取り出したPTPシート100を落下させて払い出す。そして、4枚目のPTPシート100を上記薬剤収容カセット1から取り出す。この4枚目となるPTPシート100の広幅縁100aが所定の向きを向いていない場合、上記PTPシート100を上記法線回り回動部13によって回転してシート保管部141にセットする。
【0143】
すなわち、上記薬剤収容カセット1に設けられた端数切り出し用のシート保管部141に上記PTPシート100を所定の向きに収容する処理が必要となる場合に、上記薬剤収容カセット1から取り出される複数のPTPシート100のなかで所定の向きを向いているPTPシート100を上記シート保管部141に収容する。そして、取り出された全てのPTPシート100が所定の向きを向いていなかった場合に、最後のPTPシート100を回動動作部である法線回り回動部13によって回動する。
【0144】
上記の方法であれば、上記回動動作部によるPTPシート100の回動動作を極力少なくできるので、薬剤払出処理の時間短縮を図ることができる。なお、この場合、PTPシート100の広幅縁100aの向きを検出する上記シート把持部8による機械的検知動作が増えるおそれがある。ここで、上記薬剤収容カセット1から取り出したPTPシート100の広幅縁100aの向きを画像センサで検知する構成であれば、上記機械的検知動作は不要であり、画像処理速度を向上させることで払出時間を短縮できる。
【0145】
なお、上記方法において、上記薬剤収容カセット1から取り出される複数のPTPシート100のなかで、上記広幅縁100aの向きおよびポケット部の向きが共に所定の向きであるPTPシート100を上記シート保管部141に収容するようにしてもよい。そして、取り出された全てのPTPシート100の広幅縁100aの向きおよびポケット部のいずれかまたは両方が所定の向きを向いていなかった場合に、回動動作部である法線回り回動部13および/または上記シート把持部8により最後のPTPシート100を回動させる。なお、上記薬剤収容カセット1から取り出したPTPシート100のポケット部も画像センサで検知することが可能である。
【0146】
上記実施形態では薬剤収容カセットから取り出された薬剤シートのポケットの向きおよび広幅縁の向きをそれぞれ同じ方向に向ける構成としたが、ユーザーがポケットの向きを揃えて薬剤シートを薬剤収容カセットにセットする場合には、ポケットを検知する手段やポケット向きを反転させる手段を省いた構成とすることができる。
【0147】
また、薬剤収容カセットから取り出された薬剤シートの少なくとも広幅縁の向きを同じ方向に向けることができれば、上記ポケット向きが同じでなくても、上記薬剤シートに対する端数カットを行うことが可能である。
【0148】
ここで、1枚ずつPTPシート100を払い出すための動作例を示す。この動作例では、上記吸引本体部61によって上記収容部11内の先頭のPTPシート100を吸引するとともに当該PTPシート100を上記移動動作部130による上記PTPシート100の移動方向と反対方向に押す。そして、上記移動動作部130による上記PTPシート100の移動速度よりも速い速度で上記移動方向と同方向に上記PTPシート100を引く。これにより、上記第1制限部121の上記接触部材121aを、上記先頭のPTPシート100と2番目のPTPシート100との間に位置させ、上記先頭のPTPシート100だけを払い出す。
【0149】
なお、上記前後移動装置65は、上記移動動作部130が上記PTPシート100を移動させる方向と反対の方向に上記吸引動作部(取出部)6を移動させた後(上記反対方向へ押す動作によって、上記移動動作部130が上記反対方向に移動する。)、上記移動動作部130が上記PTPシート100を移動させる速度よりも速く、上記移動動作部130が上記PTPシート100を移動させる方向に、上記先頭の上記PTPシート100を保持した上記吸引動作部6を移動させるのが望ましい。このように、上記移動動作部130が上記PTPシート100を移動させる方向と反対の方向に上記吸引本体部61を移動させることにより、上記PTPシート100の払い出しに際して、先頭のPTPシート100と上記第1制限部121との距離を大きくすることができる。これにより、上記吸引本体部61が先頭のPTPシート100を移動させ始めてから、先頭のPTPシート100が上記第1制限部121を乗り越えるまでの時間が増える。よって、上記吸引本体部61がPTPシート100を移動させる速度と移動動作部130がPTPシート100を移動させる速度との差が小さくても、先頭のPTPシート100が上記第1制限部121を通過した時において、先頭のPTPシート100と2番目のPTPシート100との距離を大きくすることができ、先頭のPTPシート100と2番目のPTPシート100の間に上記第1制限部121が入りこみ易くなる。
【0150】
なお、上記吸引本体部61によって上記収容部11内の先頭のPTPシート100を吸引するとともに当該PTPシート100を上記移動動作部130による上記PTPシート100の移動方向と反対方向に押すことにより、上記吸引本体部61による上記PTPシート100の吸引が確実に実行される。
【0151】
[トレイ移動部500]
上記トレイ移動部500は、1台の薬剤払出装置101によって薬剤払出装置を構成するタイプにおいては、存在しなくもよい。上記トレイ移動部500を備える場合には、このトレイ移動部500上に別の薬剤払出装置101を置くことができ、複数の薬剤払出装置間で上記薬剤トレイTを移動させることができる。上記トレイ移動部500は、
図1に示したように、上記薬剤トレイTを薬剤払出装置101の左右方向に移動させるコンベヤ部51を有する。このコンベヤ部51は、
図32(A)および
図32(B)に示すように、上記左右方向に延びるモノレール部51aの両隣に2本の移動ベルト51bを備える。上記薬剤トレイTは、その底部に形成されている凹部Cが上記モノレール部51aに係合するように上記移動ベルト51b上に置かれる。上記移動ベルト51bはモーター51cによって駆動される。上記薬剤トレイTが上記モノレール部51aに案内される構造であるので、構造の簡単化が図れる。なお、上記収容凹部T1、T2、T3、T4が形成されることを利用して、上記凹部Cを形成したが、これに限らない。例えば、
図4(B)に示すように、1つの収容凹部T11が形成された薬剤トレイTを用いることもできる。この薬剤トレイTは、トレイ本体部の下面に2本の脚部T10を備えており、これら脚部T10の間に上記モノレール部51aが入る凹部Cが形成されている。複数の収容凹部を有しない場合であっても、薬剤トレイTをコンベヤ部51にて前後左右に動かすことにより、薬剤を薬剤トレイTの前後左右の適当な位置に配置することが一応可能である。
【0152】
また、上記コンベヤ部51は、前後駆動部52によって上記薬剤払出装置101の前後方向に移動される。上記前後駆動部52には上記前後方向に送り螺子52aが設けられている。そして、上記コンベヤ部51のベース部には移動ナットが設けられており、この移動ナットに上記送り螺子52aが螺合されている。上記送り螺子52aがモーター52bによって回転されると、上記コンベヤ部51は上記前後方向に移動される。また、上記コンベヤ部51は、ガイドシャフト52cによって上記前後方向に案内される。
【0153】
上記コンベヤ部51には位置決め部53が設けられている。この位置決め部53は、1個のモーター53aの駆動力を用いて、上記薬剤払出装置101の左右方向に設けられたシャフト(支持軸)53bを回動させることにより、複数の位置で上記薬剤トレイTを位置決めすることができる。上記位置決め部53は、上記シャフト53bで動作されるストッパー部材531を6個備えている。そして、上記コンベヤ部51とともに移動しない2個の固定ストッパー部532が上記トレイ移動部500の左右両端部に設けられている。
【0154】
各ストッパー部材531の本体部531aは、
図33に示すように、回転部531bが回転可能に備えられている。上記回転部531bは薬剤払出装置101の左右方向に移動する上記薬剤トレイTの側面に接触するときに回転することができる。また、上記本体部531aには軸挿通孔531cが形成されており、この軸挿通孔531cに上記シャフト53bが挿通される。各ストッパー部材531は、上記シャフト53bに対して回転可能に設けられている。
【0155】
上記本体部531aと分離して設けられている固定部531eは、上記シャフト53bに固定されている。そして、上記シャフト53bに巻き付けられた巻きバネ531dの一端が上記固定部531eに係合され、他端が上記本体部531aに係合されることにより、上記ストッパー部材531が上記シャフト53bと同体回動する。この同体回動によって上記薬剤トレイTの進行方向上に上記ストッパー部材531が傾倒するとき、上記薬剤トレイTの移動を阻止して位置決めを行う。一方、上記ストッパー部材531が傾倒したときに上記薬剤トレイTの側面に回転部531bが当たる場合には、上記本体部531aが上記巻きバネ531dに抗して上記薬剤トレイTの側面に当たる状態が維持され、上記回転部531bが回転し、上記薬剤トレイTの移動を阻止しない。
【0156】
すなわち、上記位置決め部53は、上記シャフト53bの第1回動方向の回動により起立して上記薬剤トレイTの通過を許可する一方、上記シャフト53bの第2回動方向の回動により傾倒して上記薬剤トレイTの通過を阻止する複数のストッパー部材531と、上記シャフト53bが第2回動方向に回動するときに上記薬剤トレイTの側面部に当たることとなる上記ストッパー部材531の非傾倒を許容する巻きバネ531d(弾性部材)と、を備える。
【0157】
例えば、上記薬剤トレイTが目的の位置決め箇所の手前で図示しないセンサによって検出されたときに、上記モーター53aを動作させて上記シャフト53bを回動させることで、上記薬剤トレイTを目的の位置決め箇所で止めることができる。このように、上記複数のストッパー部材531が同体動作して上記薬剤トレイTを位置決めする一方で、上記複数のストッパー部材531の一部は同体動作せず、ストッパーとして機能しない構造となっている。そして、この構造を1個のモーター53aと1本のシャフト53bで実現しており、構造の簡単化が図られている。
【0158】
上記トレイ移動部5は、上記コンベヤ部51および固定式のコンベヤ部55を備える。すなわち、上記トレイ移動部5は、上記トレイ移動部500において、上記コンベヤ部51の手前側(上記薬剤払出装置101の前側)に固定式のコンベヤ部55を備えた構造に相当する(
図1参照)。このコンベヤ部55には上記位置決め部53は設けられていない。上記コンベヤ部55は上記トレイストッカー1012から空の薬剤トレイTを受け取り、この空の薬剤トレイTを上記トレイ移動部500の上記コンベヤ部51に渡す処理を実行できる。空の薬剤トレイTを受け取った上記トレイ移動部500は、上記コンベヤ部51を後方へ移動し、上記空の薬剤トレイTを上記トレイ移動部5の上記コンベヤ部51に渡す。上記トレイ移動部500を備えることで、次の払出しで用いる薬剤トレイを上記トレイ移動部500上で待機させておく等、複数の薬剤トレイTを操作することができる。
【0159】
なお、上記トレイ移動部5は、上記払出操作部110の下方側で、薬剤払出装置101の前後方向に移動可能に設けられており、上記払出操作部110の下方位置から装置手前側に引き出せるようになっている。
【0160】
図34に上記トレイ移動部5のコンベヤ部51における上記ストッパー部材531の位置と、上記第1払出操作部110および第2払出操作部110のシートストッカー112の位置と、この2つのシートストッカー112の位置に上記薬剤トレイTの4つの収容凹部T1、T2、T3、T4を合せる際の右側および左側からの全ての停止位置を示す。この停止位置例は、薬剤払出装置のコンパクト化のため、薬剤トレイTを停止させたい位置の間隔(ストッパー部材531の配置間隔)を、薬剤トレイTの搬送方向のトレイサイズよりも短くした場合を例示している。この例示の構成が実現されるように、上記位置決め部53は、薬剤トレイTの側面に位置するストッパー部材531がトレイ側面にあたっても、上記シャフト53bの回動が確保されるようにして、他のストッパー部材531をストッパーとして機能させる。
【0161】
上記
図34から分かるように、上記位置決め部53では、8個のストッパー部材が必要となる。この実施形態では、先にも述べたが、上記シャフト53bで動作されるストッパー部材531が6個設けられており、固定ストッパー部532が2個設けられている。上記コンベヤ部51を薬剤払出装置の後ろ側に移動させた状態であれば、上記固定ストッパー部532が障害にならずに、上記トレイ移動部500と上記トレイ移動部5との間を上記薬剤トレイTが移動することができる。
【0162】
なお、上記吸引動作部6によって上記PTPシート100を引き出せない場合としては、薬剤収容カセット1内が空(欠品)である場合と、吸引不良による場合とが存在する。
この実施形態では、上記薬剤収容カセット1の重量を計測する重量計を例えば各払出操作部110に設けており、上記薬剤収容カセット1を把持したときに、収容されているPTPシート100の枚数(在庫)を判断することができる。そこで、在庫有りと判断されている薬剤収容カセット1からのPTPシート100の払出しにおいて、上記吸引動作部6によって上記PTPシート100を引き出せない場合が生じたときには、以下のように処理できる。すなわち、在庫有りの判断がされていて吸引ができない場合は、吸引不良発生と判断してエラー処理を実行し、空(欠品)の判断がされていて吸引ができない場合は、欠品を示すエラー処理を行う。これにより、ユーザーに装置101の正確な状態を知らせることができる。なお、欠品の場合にエラーとせずに払出し処理を続行する設定となっている場合において、欠品でない場合にはエラー処理で装置を止めるといった処理が適切に行えることになる。
【0163】
上記薬剤収容カセット1内の前後する2枚のPTPシート100がポケット部の形成側を互いに向かい合わせてセットされることを、特定の薬剤について禁止するようにしてもよい。例えば、上記2枚のPTPシート100が互いに強く接合されるために吸引不良が生じるような薬剤について禁止することとする。このような禁止情報は薬剤ごとに上記マスターテーブルに登録しておくことができる。禁止情報が設定されている薬剤が収容される薬剤収容カセット1が薬剤補充対象として選択された場合、
図38に示すように、上記制御部1005は、上記ディスプレイ1002に、PTPシート100のセットについて注意喚起を促すメッセージを表示することができる。例えば、「この薬剤シートをポケット側同士が向い合うようにカセットにセットすることは禁止されています。カセットに薬剤シートをセットする際は、必ず薬剤シートを一定の方向に向けて下さい。」といったメッセージを表示する。上記薬剤収容カセットの選択は、薬剤収容カセットに印字されたバーコードや薬剤収容カセットに保持された情報記録部(例えば、RFIDタグ:radio frequency identifierタグ等)から薬剤収容カセットIDを読み取ることで行う。なお、薬剤収容カセット1が薬剤補充対象として選択された場合に限らず、特定の薬剤が選択された時、例えば、PTPシート100に印字されたバーコード、或いは複数枚のPTPシート100が包装されている箱などに印字されたバーコードを読み取ったときに、
図38に示すようなメッセージが表示されるようにしてもよい。
【0164】
また、上記制御部1005は、上記吸引不良の発生によるエラー処理を実行するとき、このエラーが上記特定の薬剤の薬剤収容カセット1において生じた場合に、上記ディスプレイ1002に、エラー表示とともに、PTPシート100のセットについて注意喚起を促すメッセージを表示することができる。例えば、「この薬剤シートをポケット側同士が向い合うようにカセットにセットすることは禁止されています。薬剤シートの向きが一定であるかを確認して下さい。」といったメッセージを表示する。
【0165】
例えば、上記制御部1005は、
図39のフローチャートに示すように、或る薬剤収容カセット1において吸引不良が発生した場合、上記重量計を用い、欠品であるか否かを判断し(ステップS1)、欠品であると判定したときには、PTPシート100の補充を促すメッセージを表示する(ステップS2)。欠品でないと判定したときには、上記薬剤収容カセット1にセットされている薬剤が特定品かどうかを判断する(ステップS3)。特定品でない場合には、通常のエラーを示すメッセージを表示する(ステップS4)。一方、特定品である場合には、エラーを示すとともに自由にセットすることが禁止されていることを示すメッセージを表示する(ステップS5)。上記禁止であることを示すメッセージ部分は、
図38に示したメッセージ内容と同じとすることができる。なお、上記ステップS1において、欠品が特定品の薬剤収容カセット1で生じた場合にもメッセージ表示を行うが、このメッセージ表示も、
図38に示したメッセージ内容と同じとすることができる。
【0166】
上記実施形態においては、上記PTPシート100を保持している取出部として吸引動作部6を示したが、このような吸引に限らず、薬剤収容カセット1内の先頭のPTPシート100を接着或いは把持して払い出すようにしてもよいものである。
【0167】
上記実施形態の薬剤払出装置101においては、上記受渡部移動部4によって上記受渡部3を移動したが、
図35に示すように、上記受渡部3を固定配置しておき、上記払出操作部110を、担当する複数の受渡部3の配置範囲内で移動可能に設けてもよい。すなわち、上記払出操作部110が上記複数の受渡部3の間を移動するようにしてもよい。また、
図36に示すように、複数設けられる上記受渡部3および上記払出操作部110を1対1で対応させて固定配置することとしてもよい。
【0168】
また、上記実施形態の薬剤払出装置101においては、上記PTPシート100の広幅縁100aが左右のどちらに向いているかを検知したが、これに限らない。上記PTPシート100をその長軸が縦になるように薬剤収容カセット1にセットすることも可能であり、この場合、上記PTPシート100の広幅縁100aが上下のどちらに向いているかを検知するようにしてもよい。
【0169】
また、上記実施形態の薬剤払出装置101においては、上記薬剤収容カセット1を上記カセット棚内で水平方向に移動させたが、上記薬剤収容カセット1を上下方向に移動してカセット棚に収容することも可能である。上記薬剤収容カセット1は、PTPシート100を上下方向に積層して収容するものであってもよい。この場合、上記払出操作部110における吸引本体部61の吸着パッドは、下向きに設けられ、最も上のPTPシート100を上記薬剤収容カセット1から取り出す。
【0170】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態を説明したが、この発明は、図示した実施形態のものに限定されない。図示した実施形態に対して、この発明と同一の範囲内において、あるいは均等の範囲内において、種々の修正や変形を加えることが可能である。
【符号の説明】
【0171】
1 薬剤収容カセット
11 収容部
13 法線回り回動部
13b 吸盤部
14 シート掴み部
15 カッター部
120 払出部
140 蓋
140a切欠き部
141 シート保管部
2 カセット搬送部
21 カセット出し入れ部
22 移動機構
23 前後移動部
3 受渡部
4 受渡部移動部
5 トレイ移動部
51 コンベヤ部
52 前後駆動部
53 位置決め部
53b シャフト(支持軸)
531 ストッパー部材
531d巻きバネ(弾性部材
500 トレイ移動部(第2トレイ移動部)
6 吸引動作部
61 吸引本体部
61a 吸盤
62 ポケット検知部
64 昇降装置
65 前後移動装置
8 シート把持部
101 薬剤払出装置
110 払出操作部
1011カセット棚
1012トレイストッカー
1120薬剤シート出口部