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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】行先階登録装置
(51)【国際特許分類】
   B66B 1/14 20060101AFI20221109BHJP
   B66B 1/46 20060101ALI20221109BHJP
   B66B 3/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B66B1/14 K
B66B1/46 Z
B66B3/00 G
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021125232
(22)【出願日】2021-07-30
【審査請求日】2021-07-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000112705
【氏名又は名称】フジテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】中川 真実
【審査官】加藤 三慶
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2012/035600(WO,A1)
【文献】特開2017-114617(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 1/14
B66B 1/46
B66B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エレベータへ乗車前の利用者による行先階の登録を受け付ける行先階登録装置であって、
利用者による操作を受け付ける操作部と、
表示部と、
前記表示部における表示を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記表示部に複数個の数字ボタンを含むテンキーを表示させ、
前記複数個の数字ボタンのうちいずれか1つの数字ボタンに対する操作があった場合において、操作された前記1つの数字ボタンの数字を含む階床が2個以上存在するときは、行先階の確定操作のための確定ボタンを前記表示部にさらに表示させ、前記確定ボタンの表示後、いずれの数字ボタンに対しても操作がないまま、前記確定ボタンに対する操作があった場合、前記確定ボタンの表示前に操作された前記1つの数字ボタンの数字のみを含む階床を行先階として確定し、
操作された前記1つの数字ボタンの数字を含む階床が1個だけであるときは、前記確定ボタンを前記表示部に表示させることなく、当該1個の階床を行先階として確定する、
行先階登録装置。
【請求項2】
エレベータへ乗車前の利用者による行先階の登録を受け付ける行先階登録装置であって、
利用者による操作を受け付ける操作部と、
表示部と、
前記表示部における表示を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記表示部に複数個の数字ボタンを含むテンキーを表示させ、
前記複数個の数字ボタンのうちいずれか1つの数字ボタンに対する操作があった場合において、操作された前記1つの数字ボタンの数字を含む階床が2個以上存在するときは、行先階の確定操作のための確定ボタンを前記表示部にさらに表示させ、前記確定ボタンの表示後に前記複数個の数字ボタンのうちのいずれか1つの数字ボタンに対する操作がさらにあった場合において、前記確定ボタンの表示前に操作された1つの数字ボタンに対応する数字と、前記確定ボタンの表示後に操作された数字ボタンに対応する数字とを、操作順で含む階床が1個だけであるときは、当該1個の階床を行先階として確定し、
操作された前記1つの数字ボタンの数字を含む階床が1個だけであるときは、前記確定ボタンを前記表示部に表示させることなく、当該1個の階床を行先階として確定する、
行先階登録装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記確定ボタンの表示後の所定時間においていずれの数字ボタンに対しても操作がなかった場合、前記確定ボタンの表示前に操作された前記1つの数字ボタンの数字のみを含む階床を行先階として確定する、
請求項1または2に記載の行先階登録装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記確定ボタンの表示後に前記複数個の数字ボタンのうちのいずれか1つの数字ボタンに対する操作がさらにあった場合において、前記確定ボタンの表示前に操作された1つの数字ボタンに対応する数字と、前記確定ボタンの表示後に操作された数字ボタンに対応する数字とを、操作順で含む階床が1個だけであるときは、当該1個の階床を行先階として確定する、
請求項1に記載の行先階登録装置。
【請求項5】
前記制御部は、行先階を確定したときに、前記確定ボタンの表示を消去する、
請求項2または4に記載の行先階登録装置。
【請求項6】
前記テンキーは、地下階を表す記号または文字を表示した地下階ボタンを含み、
前記制御部は、前記確定ボタンを表示させる際、前記地下階ボタンに代えて前記確定ボタンを表示させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の行先階登録装置。
【請求項7】
前記テンキーは、避難階を表す記号または文字を表示した避難階ボタンを含み、
前記制御部は、前記確定ボタンを表示させる際、前記避難階ボタンに代えて前記確定ボタンを表示させる、
請求項1から5のいずれか1項に記載の行先階登録装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記確定ボタンを表示させる際、操作内容のキャンセル操作を行うためのキャンセルボタンを前記表示部にさらに表示させる、
請求項1から7のいずれか1項に記載の行先階登録装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記確定ボタンを表示させる際、前記1つの数字ボタンに対応する数字を含む階床を構成する数字以外の数字に関する数字ボタンについては表示を消去する、
請求項1から8のいずれか1項に記載の行先階登録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、行先階登録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベータの乗場で行先階を登録するための行先階登録装置を開示している。この行先階登録装置では、テンキーが備えられ、利用者は自分の行先階をテンキーで入力するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2001-287876号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、行先階登録操作時のレスポンスを向上させかつ操作回数を減少させることができる行先階登録装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の行先階登録装置は、
エレベータへ乗車前の利用者による行先階の登録を受け付ける行先階登録装置であって、
利用者による操作を受け付ける操作部と、
表示部と、
前記表示部における表示を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
前記表示部に複数個の数字ボタンを含むテンキーを表示させ、
前記複数個の数字ボタンのうちいずれか1つの数字ボタンに対する操作があった場合において、操作された前記1つの数字ボタンの数字を含む階床が2個以上存在するときは、行先階の確定操作のための確定ボタンを前記表示部にさらに表示させ、
操作された前記1つの数字ボタンの数字を含む階床が1個だけであるときは、前記確定ボタンを前記表示部に表示させることなく、当該1個の階床を行先階として確定する。
【0006】
本発明によれば、行先階登録操作時のレスポンスを向上させかつ操作回数を減少させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1におけるエレベータシステムの構成を示した図である。
図2】群管理制御装置の電気的構成を示したブロック図である。
図3】行先階登録装置の電気的構成を示したブロック図である。
図4】行先階登録装置のタッチパネル式表示部における行先階登録画面の一例を示した図である。
図5】行先階登録装置の動作の一例を示したフローチャートである。
図6】行先階登録装置のタッチパネル式表示部における行先階登録画面の一例を示した図である。
図7】行先階登録装置のタッチパネル式表示部における割当結果画面の一例を示した図である。
図8】第1の変形例に係る行先階登録装置のタッチパネル式表示部における行先階登録画面の一例を示した図である。
図9】第2の変形例に係る行先階登録装置のタッチパネル式表示部における行先階登録画面の一例を示した図である。
図10】第3の変形例に係る行先階登録装置のタッチパネル式表示部における行先階登録画面の一例を示した図である。
図11】第4の変形例に係る行先階登録装置のタッチパネル式表示部における行先階登録画面の一例を示した図である。
図12】第4の変形例に係る行先階登録装置の動作の一例を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(発明の背景)
登録可能な階の中に、1桁の数字で特定される階床(例えば1~9階)と2桁の数字で特定される階床(例えば10階以上の階床)とが混在する場合、2桁の階床については2回タッチされると階床を特定することができる、しかし、1桁の階床については2桁目が入力される可能性があるため、1回タッチするだけでは入力を確定させることができない場合がある。
【0009】
上記課題に対しては例えば以下の2つの対応方法を取り得る。
(1)1桁目のタッチ操作後に一定時間タッチ操作がなかった場合、タッチされた1桁の数字が示す階床を行先階として特定する。
(2)行先階を確定させるためのOKボタン(またはEnterボタンなど)を設け、行先階ボタンがタッチされた場合に、入力済の階床を行先階として特定する。
【0010】
上記(1)の方法は、最小限のタッチ回数で行先階を登録できるが、1桁の階を登録する場合は利用者が一定時間待たなければならず、ユーザインターフェイスとしてのレスポンスが悪く感じられ、利用者にストレスを与え得る。
【0011】
上記(2)の方法は、必ずOKボタンをタッチする必要があるため、タッチ回数と操作時間が増えることになり、利用者が煩わしく感じる可能性がある。
【0012】
上記に鑑み、本発明は、行先階登録操作時のレスポンスを向上させかつ操作回数を減少させることができる行先階登録装置を提供することを目的とする。
【0013】
(実施形態1)
本発明の実施形態に係るエレベータの群管理制御装置が適用されたエレベータシステムについて、図面を参照して説明する。
【0014】
1.構成
1-1.エレベータシステムの概要
本実施形態に係るエレベータシステムの構成を説明する。図1は、実施形態1に係るエレベータシステムの構成を示したブロック図である。本実施形態に係るエレベータシステムは、群管理制御装置10、複数台の行先階登録装置20、複数台のエレベータ制御装置30-1~30-3、及び複数台のエレベータ40-1~40-3(1号機~3号機。以下適宜「号機」という)を有する。
【0015】
各エレベータ40-1~40-3は、かご41、巻上機(モータ)42、釣合おもり43等を有する。
【0016】
本実施形態に係るエレベータの群管理制御装置10は、複数台のエレベータ40-1~40-3の走行および運行を統合的に制御する。本実施形態では、一例として1号機~3号機の3台のエレベータ40-1~40-3が設けられている。なお、複数台のエレベータ40-1~40-3は同一の構成を有する。そのため、各エレベータを以下適宜「エレベータ40」という。
【0017】
また、本実施形態に係るエレベータの群管理システムでは、行先階登録方式を採用しており、新規に発生した行先階呼びを、複数台のエレベータ40のいずれかの号機に割り当てる制御を行う。
【0018】
1-2.群管理制御装置
群管理制御装置10は、行先階登録装置20において登録された行先階を、複数のエレベータ40-1~40-3のうちのいずれかのエレベータ(号機)に割り当てる制御を行う。
【0019】
図2は、実施形態1における群管理制御装置10の電気的構成を示したブロック図である。群管理制御装置10は、コンピュータを利用して構成され、制御部11と、記憶部12と、入出力インタフェース13とを備える。
【0020】
記憶部12は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施形態の群管理制御装置10の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0021】
制御部11は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部11は、記憶部12から読み出した上記プログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、群管理制御装置10における後述する各種の機能を実現する。
【0022】
入出力インタフェース13は、行先階登録装置20、及びエレベータ制御装置30-1~30-3との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース13は、制御部11から出力される信号を所定の形式の信号に変換して出力する。また、入出力インタフェース13は、行先階登録装置20、及びエレベータ制御装置30-1~30-3から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部11に出力する。
【0023】
1-3.行先階登録装置
行先階登録装置20は、各階のエレベータ乗場やその近傍に配置され、各階で乗車前の利用者による行先階の登録操作を受け付ける装置である。
【0024】
図3は、行先階登録装置20の電気的構成を示したブロック図である。行先階登録装置20は、制御部21と、記憶部22と、入出力インタフェース23と、タッチパネル式表示部24と、を備える。
【0025】
記憶部22は、例えばRAM、ROM、HDD、SSD等を利用して構成され、プログラム、及び種々のデータを格納している。プログラムは、本実施の形態の行先階登録装置20の各種機能を実現するためのプログラムを含む。
【0026】
制御部21は、例えばCPU、MPU等を利用して構成される。制御部21は、記憶部22から読み出したプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、行先階登録装置20における各種の機能を実現する。
【0027】
入出力インタフェース23は、群管理制御装置10との間で各種信号を送受信するためのインタフェースである。入出力インタフェース23は、制御部21から出力される信号を所定の形式の信号に変換して群管理制御装置10に出力する。また、入出力インタフェース23は、群管理制御装置10から入力された信号を所定の形式の信号に変換して制御部21に出力する。
【0028】
タッチパネル式表示部24は、制御部21からの表示信号に基づく表示を行う。タッチパネル式表示部24は、例えば、液晶ディスプレイまたは有機ELディスプレイと、タッチパネルとを積層することにより構成される。タッチパネル式表示部24は、本発明における表示部及び操作部の一例である。
【0029】
図4は、行先階登録装置20のタッチパネル式表示部24における行先階登録画面の一例を示した図である。
【0030】
図4の例では、タッチパネル式表示部24に、1、2、3、4、5,6、7、8、9、0の数字がそれぞれ表示された10個の数字ボタンと、避難階を表す「★」ボタンと、地下階を表す「-」ボタンとが表示された例を示す。
【0031】
1-4.エレベータ制御装置
エレベータ制御装置30-1~30-3は、群管理制御装置10からの制御信号にしたがって、対応するエレベータ40-1~40-3の巻上機(モータ)42の駆動を制御することにより、かご41を昇降させる。また、エレベータ制御装置30-1~30-3は、群管理制御装置10からの制御信号にしたがって、対応するエレベータ40-1~40-3のかご41のドアモータの駆動を制御することにより、かご扉を開閉させる。また、エレベータ制御装置30-1~30-3は、対応するエレベータ40-1~40-3のかご41の位置、走行方向、扉(かご扉及び乗場扉)の開閉状態、荷重等を含むかご状態を検知して、検知したかご状態を示す情報を含むかご状態信号を群管理制御装置10に出力する。
【0032】
2.エレベータシステムの動作の概要
本実施形態に係るエレベータシステムでは、乗場行先階登録方式を採用しており、乗場に配置された行先階登録装置20を利用して利用者が行先階を登録するようになっている。群管理制御装置10は、乗場に配置された行先階登録装置20で行先階が登録される都度、登録された行先階を3台のエレベータ40-1~40-3のうちのいずれかのエレベータのいずれかに割り当てる。
【0033】
3.行先階登録装置の具体的動作
図5は、行先階登録装置20の動作の一例を示したフローチャートである。
【0034】
行先階登録装置20の制御部21は、タッチパネル式表示部24に行先階登録画面を表示させる(S11)。
【0035】
行先階登録装置20の制御部21は、タッチパネル式表示部24に表示された複数個のボタンのうちのいずれか1個の数字ボタンがタッチされたか否かを判断する(S12)。
【0036】
タッチパネル式表示部24に表示された複数個のボタンのいずれに対してもタッチされていない場合(S12でNO)、行先階登録装置20の制御部21は、ステップS11の処理を実行する。
【0037】
タッチパネル式表示部24に表示された複数個のボタンのうちのいずれか1個の数字ボタンがタッチされた場合(S12でYES)、行先階登録装置20の制御部21は、タッチされた1個の数字ボタンの数字を含む階床が2個以上存在するか否かを判断する(S13)。
【0038】
タッチされた1個の数字ボタンの数字を含む階床が2個以上存在しない場合(S13でNO)、つまりタッチされた1個の数字ボタンの数字を含む階床が1個だけであり、階床を特定可能である場合、行先階登録装置20の制御部21は、タッチされた1個の数字ボタンの数字が示す1個の階床を行先階として設定する(S14)。例えば、行先階登録装置20が設置されているビルが23階建てで、エレベータのサービス階が1~23階であるものとする。この場合、3以上の数字で始まる2桁の階床は存在しない。そのため、最初にタッチされた1個の数字ボタンの数字が3以上の数字であるときには、この1個の数字ボタンに基づいて階床を特定できる。例えば、最初にタッチされた1個の数字ボタンの数字が3であるときには、この1個の数字ボタンに基づいて、行先階を「3」階に特定できる。
【0039】
タッチされた1個の数字ボタンの数字を含む階床が2個以上存在する場合(S13でYES)、つまり階床を特定可能できない場合、行先階登録装置20の制御部21は、行先階登録画面でOKボタンを表示させる(S15)。上記のようにエレベータのサービス階が1~23階である場合、最初にタッチされた1個の数字ボタンの数字が3以上の数字でないときには、タッチされた1個の数字ボタンの数字で階床を特定することはできない。例えば、最初にタッチされた1個の数字ボタンの数字が2であるときには、2階、及び2から始まる2桁の階床の可能性がある。この場合、タッチパネル式表示部24にOKボタンを表示させる。
【0040】
図6は、行先階登録装置20のタッチパネル式表示部24における行先階登録画面の一例を示した図である。図6の行先階登録画面では、OKボタンが数字ボタンの下部に表示された例を示す。OKボタンは、数字ボタンの下部でなく、数字ボタンの上部、左部、右部などに配置されてもよい。あるいは、後述するように他のボタンに代えて表示されてもよい。
【0041】
行先階登録装置20の制御部21は、次の桁の数字ボタンがタッチされたか否かを判断する(S16)。
【0042】
次の桁の数字ボタンがタッチされた場合(S16でYES)、行先階登録装置20の制御部21は、行先階登録画面の表示後にタッチされた全ての数字ボタンの数字をタッチ順に含む階床が2個以上存在するか否かを判断する(S17)。
【0043】
行先階登録画面の表示後にタッチされた全ての数字ボタンの数字をタッチ順に含む階床が2個以上存在しない場合(S17でNO)、つまりタッチされた全ての数字ボタンの数字をタッチ順に含む階床が1個だけであり、階床を特定可能である場合、行先階登録装置20の制御部21は、この1個の階床、つまり行先階登録画面の表示後にタッチされた全て(複数個)の数字ボタンの複数桁の数字が示す1個の階床を行先階として設定する(S20)。
【0044】
行先階登録画面の表示後にタッチされた全ての数字ボタンの数字をタッチ順に含む階床が2個以上存在する場合(S17でYES)、つまり階床を特定可能でない場合、行先階登録装置20の制御部21は、OKボタンがタッチされたか否かを判断する(S19)。
【0045】
ステップS16において、次の桁の数字ボタンがタッチされていない場合(S16でNO)、行先階登録装置20の制御部21は、ステップS17の処理を実行せず、ステップS19の処理を実行する。
【0046】
ステップS19において、OKボタンがタッチされた場合(S19でYES)、行先階登録装置20の制御部21は、行先階登録画面の表示後にタッチされた全て(複数個)の数字ボタンの複数桁の数字が示す1個の階床を行先階として設定する(S20)。
【0047】
OKボタンがタッチされていない場合(S19でNO)、行先階登録装置20の制御部21は、OKボタンを表示してから所定時間が経過したか否かを判断する(S21)。所定時間は、利用者が1個目の数字ボタンを操作してから2個目の数字ボタンを操作するまでの平均的な時間に若干の余裕時間を加算した時間に設定され、例えば2秒である。
【0048】
OKボタンを表示してから所定時間が経過していない場合(S21でNO)、行先階登録装置20の制御部21は、ステップS16の処理を実行する。
【0049】
OKボタンを表示してから所定時間が経過した場合(S21でYES)、行先階登録装置20の制御部21は、行先階登録画面の表示後にタッチされた全て(複数個)の数字ボタンの複数桁の数字が示す1個の階床を行先階として設定する(S20)。
【0050】
ステップS14、またはS20において行先階が設定されると、行先階登録装置20の制御部21は、出発階、行先階、装置IDの情報を含む割当依頼信号を生成して群管理制御装置10に送信する(S23)。なお、行先階として、制御部21は、ステップS14、またはS20で設定された行先階を用いる。出発階及び装置IDの情報は各行先階登録装置20の記憶部22に格納されており、割当依頼信号を生成する際、行先階登録装置20の制御部21は、記憶部22から出発階及び装置IDの情報を読み出して利用する。
【0051】
行先階登録装置20の制御部21は、割当依頼信号に対する応答として割当結果信号を受信したか否かを判断する(S24)。
【0052】
割当結果信号を受信していない場合(S24でNO)、行先階登録装置20の制御部21は、ステップS24の判断を再度実行する。
【0053】
割当結果信号を受信した場合(S24でYES)、行先階登録装置20の制御部21は、タッチパネル式表示部24に割当結果画面を表示させ(S25)、ステップS11の処理に戻る。
【0054】
図7は、行先階登録装置20のタッチパネル式表示部24における割当結果画面の一例を示した図である。図7の割当結果画面では、「15F 1号機」と表示された例を示す。
【0055】
(実施の形態1の変形例)
実施の形態1の変形例として第1~第4の変形例について説明する。
【0056】
(第1の変形例)
図8は、第1の変形例に係る行先階登録装置20のタッチパネル式表示部24における行先階登録画面を示した図である。
【0057】
図8に示すように、行先階登録装置20の制御部21は、OKボタンを表示させる際、図4の地下階を表す「-」ボタンに代えて、OKボタンを表示させてもよい。1桁目の入力後の2桁目は、必ず数字となり、地下階を表す「-」ボタンは不要となるためである。
【0058】
(第2の変形例)
図9は、第2の変形例に係る行先階登録装置20のタッチパネル式表示部24における行先階登録画面を示した図である。
【0059】
図9に示すように、行先階登録装置20の制御部21は、OKボタンを表示させる際、図4の避難階を表す「★」ボタンに代えて、OKボタンを表示させてもよい。1桁目の入力後の2桁目は、必ず数字となり、避難階を表す「★」ボタンは不要となるためである。
【0060】
(第3の変形例)
図10は、第3の変形例に係る行先階登録装置20のタッチパネル式表示部24における行先階登録画面を示した図である。
【0061】
図10に示すように、行先階登録装置20の制御部21は、OKボタンを表示させるのと同時にキャンセルボタンを表示させてもよい(図5のフローチャートのステップS11)。図10の例では、図4の避難階を表す「★」ボタンに代えて、OKボタンを表示させ、地下階を表す「-」ボタンに代えて、キャンセルボタン「×」を表示させる。行先階登録装置20の制御部21は、図5のフローチャートの実行に並行して、キャンセルボタン「×」に対するタッチ操作の有無を監視し、キャンセルボタン「×」がタッチされると、行先階登録装置20の制御部21は、図5のフローチャートによる制御内容をリセットして、ステップS11の処理に強制的に戻る。
【0062】
(第4の変形例)
図11は、第4の変形例に係る行先階登録装置20のタッチパネル式表示部24における行先階登録画面を示した図である。
【0063】
第4の変形例では、ある桁の数字ボタンが入力された場合において、次の桁の数字として存在し得ない数字ボタンについては表示させない。
【0064】
一例として、上述のように、サービス階が1~23階であるものとする。この場合、階床は1桁または2桁の数字で示される。その場合において、先頭から1桁目の数字として、例えば2が選択されたものとする。このとき、行先階登録装置20の制御部21は、全階床のうち、2から始まる全ての階床を抽出する。行先階登録装置20の制御部21は、先頭から2桁目として存在し得る数字のボタンのみを表示させる。本例では、2から始まる階床は、2階、20階、21階、22階、23階の5つの階床となる。そのため先頭から2桁目として存在し得る数字は、0、1、2、3の4個の数字である。この場合、行先階登録装置20の制御部21は、図11に示すように、0、1、2、3の4個の数字ボタンを表示させるが、図4の行先階登録画面で表示されていた4、5、6、7、8、9の6個の数字ボタンについては表示を消去する。
【0065】
これに対し、先頭から1桁目の数字として、1が選択されたものとする。このとき、行先階登録装置20の制御部21は、全階床のうち、1から始まる全ての階床を抽出する。行先階登録装置20の制御部21は、先頭から2桁目として存在し得る数字のボタンのみを表示させる。本例では、1から始まる階床は、1階、10階、11階、12階、13階、14階、15階、16階、17階、18階、19階の10個の階床となる。そのため先頭から2桁目として存在し得る数字は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10個の数字である。この場合、行先階登録装置20の制御部21は、前述した図4と同様に、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9の10個の数字ボタンを表示させる。
【0066】
図12は、第4の変形例における行先階登録装置20の動作の一例を示したフローチャートである。
【0067】
図12のフローチャートでは、実施の形態1の図5のフローチャートに対して、ステップS201、S202が追加されている。
【0068】
ステップS201において、行先階登録装置20の制御部21は、2桁目として存在し得ない数字についての数字ボタンの表示を消去する(S201)。具体的には、行先階登録装置20の制御部21は、全階床のうち、タッチされた1個の数字ボタンの数字を含む全ての階床を抽出し、先頭から2桁目として存在し得る数字についての数字ボタンのみを表示させ、2桁目として存在し得ない数字についての数字ボタンについては表示を消去する。消去後、行先階登録装置20の制御部21は、ステップS16以後の処理を実行する。
【0069】
ステップS202において、行先階登録装置20の制御部21は、数字ボタンの数字のうち、次の桁として存在し得ない数字についての数字ボタンの表示を消去する(S202)。具体的には、行先階登録画面の表示後にタッチされた全ての数字ボタンの数字をタッチ順に含む全ての階床を抽出し、次の桁として存在し得ない数字についての数字ボタンについては表示を消去する。消去後、行先階登録装置20の制御部21は、ステップS19以後の処理を実行する。
【0070】
(実施の形態のまとめ)
(1)実施の形態の行先階登録装置20は、
エレベータへ乗車前の利用者による行先階の登録を受け付ける行先階登録装置であって、
タッチパネル式表示部24(利用者による操作を受け付ける操作部、及び表示部の一例)と、
タッチパネル式表示部24における表示を制御する制御部21と、を備え、
制御部21は、
タッチパネル式表示部24に複数個の数字ボタンを含むテンキーを表示させ、
複数個の数字ボタンのうちいずれか1つの数字ボタンに対する操作があった場合において、操作された1つの数字ボタンに対応する数字を含む階床が2個以上存在するときは、行先階の確定操作のための確定ボタンをタッチパネル式表示部24にさらに表示させ、
操作された1つの数字ボタンに対応する数字を含む階床が1個だけであるときは、確定ボタンをタッチパネル式表示部24に表示させることなく、当該1個階床を行先階として確定する。
【0071】
これにより、行先階登録操作時のレスポンスを向上させかつ操作回数を減少させることができる。
【0072】
(2)実施の形態の行先階登録装置20において、
制御部21は、確定ボタンの表示後、いずれの数字ボタンに対しても操作がないまま、確定ボタンに対する操作があった場合、確定ボタンの表示前に操作された1つの数字ボタンの数字のみを含む階床を行先階として確定する。
【0073】
これにより、利用者の意思に基づいて迅速に行先階を確定できる。
【0074】
(3)実施の形態の行先階登録装置20において、
制御部21は、確定ボタンの表示後の所定時間(例えば2秒)においていずれの数字ボタンに対しても操作がなかった場合、確定ボタンの表示前に操作された1つの数字ボタンの数字のみを含む階床を行先階として確定する。
【0075】
これにより、利用者が確定ボタンを操作しなくても、行先階を確定できる。
【0076】
(4)実施の形態の行先階登録装置20において、
制御部21は、確定ボタンの表示後に複数個の数字ボタンのうちのいずれか1つの数字ボタンに対する操作がさらにあった場合において、確定ボタンの表示前に操作された1つの数字ボタンに対応する数字と、確定ボタンの表示後に操作された数字ボタンに対応する数字とを、操作順で含む階床が1個だけであるときは、当該1個の階床を行先階として確定する。
【0077】
これにより、利用者が確定ボタンを操作しなくても、行先階を確定できる。
【0078】
(5)実施の形態の行先階登録装置20において、
制御部21は、行先階を確定したときに、前記確定ボタンの表示を消去する。
【0079】
これにより、行先階が特定されたことを利用者が認識できる。
【0080】
(6)実施の形態の行先階登録装置20において、
テンキーは、地下階を表す記号または文字を表示した地下階ボタンを含み、
制御部21は、確定ボタンを表示させる際、地下階ボタンに代えて確定ボタンを表示させる。
【0081】
これにより、確定ボタンの表示時には表示させる必要がない地下階ボタンの表示スペースを利用して確定ボタンを表示させることができる。
【0082】
(7)実施の形態の行先階登録装置20において、
テンキーは、避難階を表す記号または文字を表示した避難階ボタンを含み、
制御部21は、確定ボタンを表示させる際、避難階ボタンに代えて確定ボタンを表示させる。
【0083】
これにより、確定ボタンの表示時には表示させる必要がない避難階ボタンの表示スペースを利用して確定ボタンを表示させることができる。
【0084】
(8)実施の形態の行先階登録装置20において、
制御部21は、確定ボタンを表示させる際、さらに、操作内容のキャンセル操作を行うためのキャンセルボタンをタッチパネル式表示部24に表示させる。
【0085】
これにより、利用者が操作ミスを行ったような場合に、操作内容のキャンセルを行うことができる。
【0086】
(9)実施の形態の行先階登録装置20において、
制御部21は、
確定ボタンを表示させる際、1つの数字ボタンに対応する数字を含む階床を構成する数字以外の数字に関する数字ボタンについては表示を消去する。
【0087】
これにより、存在しない階床を利用者が誤登録することを防止できる。
【0088】
(その他の実施の形態)
前記実施の形態及び各変形例では、2桁以下の数字で示される階床の具体例を示したが、図5図12のフローチャートは、3桁以上の数字で示される階床が含まれる場合にも対応している。すなわち、本実施の形態及び各変形例の思想は、3桁以上の数字で示される階床が含まれる場合にも適用できる。
【0089】
前記実施の形態では、群管理制御装置10、行先階登録装置20の制御部11,21は、CPU、MPU等を利用して構成され、記憶部から読み出したプログラムに基づいて種々のデータ等を利用して演算処理を行うことにより、各種の機能を実現している。つまり、制御部は、ハードウェアとソフトウェアとの協働により実現されている。しかし、制御部11,21は、例えば、ハードウェア(電子回路)のみ、FPGA、ASIC等を利用して構成してもよい。
【0090】
前記各実施の形態において、本発明の複数の態様を説明した。しかし、本発明の具体的態様は、上述した実施の形態に限られず、これらを組み合わせたものとすることもできる。
【符号の説明】
【0091】
10 群管理制御装置
11 制御部
12 記憶部
13 入出力インタフェース
20 行先階登録装置
21 制御部
22 記憶部
23 入出力インタフェース
24 タッチパネル式表示部
30,30-1~30-3 エレベータ制御装置
40,40-1~40-3 エレベータ
41 かご
42 巻上機(モータ)
43 釣合おもり
【要約】      (修正有)
【課題】行先階登録操作時のレスポンスを向上させかつ操作回数を減少させることができる行先階登録装置を提供する。
【解決手段】行先階登録装置は、エレベータへ乗車前の利用者による行先階の登録を受け付ける。行先階登録装置の制御部は、タッチパネル式表示部に複数個の数字ボタンを含むテンキーを表示させ、複数個の数字ボタンのうちいずれか1つの数字ボタンに対する操作があった場合において、操作された1つの数字ボタンに対応する数字を含む階床が2個以上存在するときは、行先階の確定操作のための確定ボタンをタッチパネル式表示部にさらに表示させ、操作された1つの数字ボタンに対応する数字を含む階床が1個だけであるときは、確定ボタンをタッチパネル式表示部に表示させることなく、当該1個階床を行先階として確定する。
【選択図】図5
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12