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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】コンバイン
(51)【国際特許分類】
   A01D 69/00 20060101AFI20221109BHJP
   A01D 67/00 20060101ALI20221109BHJP
   A01D 41/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A01D69/00 303C
A01D67/00 G
A01D41/02 D
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2021140078
(22)【出願日】2021-08-30
【審査請求日】2021-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000000125
【氏名又は名称】井関農機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092794
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 正道
(72)【発明者】
【氏名】奥村 和哉
(72)【発明者】
【氏名】五島 一実
(72)【発明者】
【氏名】板山 真
【審査官】磯田 真美
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-235330(JP,A)
【文献】特開2006-254707(JP,A)
【文献】特開昭63-255162(JP,A)
【文献】特開2009-232771(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01D 69/00
A01D 67/00 - 67/04
A01D 41/00 - 41/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン(E)を搭載した機体の下側に走行装置(2)を設け、機体の上側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、走行装置(2)の伝動上手側にエンジン(E)の回転速度を変速するトランスミッション(21)を設け、操縦部(5)にトランスミッション(21)の駆動を接続及び切断すると共にブレーキ装置(37)の作動及び作動解除を行うブレーキペダル(15)を設け、該ブレーキペダル(15)の踏み込み操作量を検出するペダルセンサ(25E)がブレーキペダル(15)の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出するか又はブレーキペダル(15)が最大操作領域まで踏込まれた状態をブレーキスイッチ(25F)が検出する状態で、主変速レバー(13A)が中立位置から前進域に操作されると、刈取装置(3)を駆動するコントローラ(70)を設け、
走行装置(2)を左右走行装置(2A,2B)で構成し、該左右走行装置(2A,2B)への駆動を切断する左右サイドクラッチ操作手段(39A,39B)がブレーキペダル(15)の踏み込み操作にてリリーフバルブ(81)が開放されると共に左右サイドクラッチ作動油圧シリンダ(80A,80B)に圧油が送られて作動することを特徴とするコンバイン。
【請求項2】
モードセレクト操作具(13D)を圃場作業モードにした時に、ブレーキペダル(15)の踏み込み操作量を検出するペダルセンサ(25E)がブレーキペダル(15)の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出するか又はブレーキペダル(15)が最大操作領域まで踏込まれた状態をブレーキスイッチ(25F)が検出する状態で主変速レバー(13A)が中立位置から前進域に操作されると、刈取装置(3)を駆動することを特徴とする請求項1に記載のコンバイン。
【請求項3】
コントローラ(70)が、ブレーキペダル(15)の踏み込み操作及び主変速レバー(13A)の中立位置から前進域への操作にてトランスミッション(21)の駆動を切断したのちに、刈取装置(3)を駆動する制御を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンバイン。
【請求項4】
コントローラ(70)が、機体の左右方向の傾斜検出又は穀粒排出作業の検出を行った場合には、ブレーキペダル(15)の踏み込み操作にてトランスミッション(21)の駆動を切断する制御を行なわないことを特徴とする請求項1~請求項3の何れか1項に記載のコンバイン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、操縦部のフロアにブレーキペダルを備えたコンバインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のコンバインにおいて、走行装置を駆動するトランスミッションのブレーキを操作するブレーキペダルと走行装置の駆動を切断する掻込ペダルを操縦部のフロアに設ける技術が知られている。(特許文献1参照。)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-202103号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
操縦部のフロアにブレーキペダルと掻込ペダルの2つのペダルがあり、構成が複雑であり、操作も煩雑であった。
【0005】
本発明の目的は、ブレーキペダルに掻込ペダルの機能も持たせて掻き込みペダルを廃止して構成が簡潔で操作が簡単なコンバインを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の本発明は、
エンジン(E)を搭載した機体の下側に走行装置(2)を設け、機体の上側に操縦部(5)を設けたコンバインにおいて、走行装置(2)の伝動上手側にエンジン(E)の回転速度を変速するトランスミッション(21)を設け、操縦部(5)にトランスミッション(21)の駆動を接続及び切断すると共にブレーキ装置(37)の作動及び作動解除を行うブレーキペダル(15)を設け、該ブレーキペダル(15)の踏み込み操作量を検出するペダルセンサ(25E)がブレーキペダル(15)の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出するか又はブレーキペダル(15)が最大操作領域まで踏込まれた状態をブレーキスイッチ(25F)が検出する状態で、主変速レバー(13A)が中立位置から前進域に操作されると、刈取装置(3)を駆動するコントローラ(70)を設け、
走行装置(2)を左右走行装置(2A,2B)で構成し、該左右走行装置(2A,2B)への駆動を切断する左右サイドクラッチ操作手段(39A,39B)がブレーキペダル(15)の踏み込み操作にてリリーフバルブ(81)が開放されると共に左右サイドクラッチ作動油圧シリンダ(80A,80B)に圧油が送られて作動することを特徴とするコンバインである。
第2の本発明は、
モードセレクト操作具(13D)を圃場作業モードにした時に、ブレーキペダル(15)の踏み込み操作量を検出するペダルセンサ(25E)がブレーキペダル(15)の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出するか又はブレーキペダル(15)が最大操作領域まで踏込まれた状態をブレーキスイッチ(25F)が検出する状態で主変速レバー(13A)が中立位置から前進域に操作されると、刈取装置(3)を駆動することを特徴とする第1の本発明のコンバインである。
第3の本発明は、
コントローラ(70)が、ブレーキペダル(15)の踏み込み操作及び主変速レバー(13A)の中立位置から前進域への操作にてトランスミッション(21)の駆動を切断したのちに、刈取装置(3)を駆動する制御を行なうことを特徴とする第1または第2の本発明のコンバインである。
第4の本発明は、
コントローラ(70)が、機体の左右方向の傾斜検出又は穀粒排出作業の検出を行った場合には、ブレーキペダル(15)の踏み込み操作にてトランスミッション(21)の駆動を切断する制御を行なわないことを特徴とする第1~第3のいずれかの本発明のコンバインである。
本発明に関連する第1の発明は、エンジンEを搭載した機体下側に走行装置2を設け、機体上側に操縦部5を設けたコンバインにおいて、走行装置2の伝動上手側にエンジンEの回転速度を変速するトランスミッション21を設け、操縦部5にトランスミッション21の駆動を接続及び切断すると共にブレーキ装置37の作動及び作動解除を行うブレーキペダル15を設け、該ブレーキペダル15の踏み込み操作量を検出するペダルセンサ25Eがブレーキペダル15の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出するか又はブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた状態をブレーキスイッチ25Fが検出する状態で主変速レバー13Aが中立位置から前進域に操作されると、刈取装置3を駆動するコントローラ70を設けたコンバインである。
【0007】
本発明に関連する第1の発明によれば、ブレーキペダル15に従来の掻込ペダルの機能を持たせて掻き込みペダルを廃止することができ、構成が簡潔で操作が簡単なコンバインを得ることができる。
【0008】
本発明に関連する第2の発明は、モードセレクト操作具13Dを圃場作業モードにした時に、ブレーキペダル15の踏み込み操作量を検出するペダルセンサ25Eがブレーキペダル15の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出するか又はブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた状態をブレーキスイッチ25Fが検出する状態で主変速レバー13Aが中立位置から前進域に操作されると、刈取装置3を駆動する本発明に関連する第1の発明のコンバインである。
【0009】
本発明に関連する第3の発明は、走行装置2を左右走行装置2A,2Bで構成し、該左右走行装置2A,2Bへの駆動を切断する左右サイドクラッチ操作手段39A,39Bがブレーキペダル15の踏み込み操作にてリリーフバルブ81が開放されると共に左右サイドクラッチ作動油圧シリンダ80A,80Bに圧油が送られて作動する本発明に関連する第1または第2の発明のコンバインである。
【0010】
本発明に関連する第4の発明は、コントローラ70が、ブレーキペダル15の踏み込み操作及び主変速レバー13Aの中立位置から前進域への操作にてトランスミッション21の駆動を切断したのちに、刈取装置3を駆動する制御を行なう本発明に関連する第1~第3の何れかの発明のコンバインである。
【0011】
本発明に関連する第5の発明は、コントローラ70が、機体の左右方向の傾斜検出又は穀粒排出作業の検出を行った場合には、ブレーキペダル15の踏み込み操作にてトランスミッション21の駆動を切断する制御を行なわない本発明に関連する第1~第4の何れかの発明のコンバインである。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ブレーキペダルに掻込ペダルの機能も持たせて掻き込みペダルを廃止して構成が簡潔で操作が簡単なコンバインを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施の形態にかかるコンバインの正面図である。
図2】同上コンバインの平面図である。
図3】同上コンバインの左側面図である。
図4】同上コンバインのエンジンEの出力回転の伝動図である。
図5】同上コンバインのブレーキペダルの要部の左側面図である。
図6】同上コンバインの部分正面図である。
図7】同上コンバインのトランスミッションの左右方向の縦断面図である。
図8】同上コンバインのトランスミッションのブレーキ装置の説明図である。
図9】同上コンバインの要部の油圧回路図である。
図10】同上要部の正面図である。
図11】同上コンバインの無段変速装置のトラニオン軸の回動方法の説明図である。
図12】同上コンバインのコントローラの接続図である。
図13】同上コンバインのブレーキペダルの操作方法の説明図である。
図14】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)同上コンバインの走行モード時のブレーキペダルの第1操作方法の説明図である。
図15】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)同上コンバインの走行モード時のブレーキペダルの第2操作方法の説明図である。
図16】(a)、(b)、(c)、(d)、(e)作業モード時のブレーキペダルの操作方法の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施の形態にかかるコンバインは、図1~3に示すように、機体フレーム1の下側に土壌面を走行する左右一対の左走行装置としての左クローラ走行装置2Aと右走行装置としての右クローラ走行装置2Bからなる走行装置2が設けられ、機体フレーム1の前側に圃場の穀稈を収穫する刈取装置3が設けられている。また、刈取装置3の後方左側に刈取装置3で収穫された穀稈を脱穀・選別処理する脱穀装置4が設けられ、刈取装置3の後方右側に作業者が搭乗する操縦部5が設けられている。
【0015】
操縦部5の下側には、エンジンEを搭載するエンジンルーム6が設けられ、操縦部5の後側には、脱穀装置4で脱穀・選別処理された穀粒を貯留するグレンタンク7が設けられている。また、グレンタンク7に貯留された穀粒は、グレンタンク7に連結された排出オーガ(図示省略)によって外部に排出される。
【0016】
操縦部5の後部には、操縦者が着席する操縦席11が設けられ、操縦席11の前方には、フロントパネル12が設けられ、操縦席11の左側には、サイドパネル13が設けられている。
【0017】
操縦席11とフロントパネル12の間の下方には、作業者が乗降するフロア14が設けられ、フロア14の左前部には、走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度の増減速を行うブレーキペダル15が設けられている。
【0018】
フロントパネル12の左部には、走行装置2の走行速度等を表示するモニタ12Aが設けられ、右部には、走行装置2の旋回、刈取装置3の昇降を操作する操作レバー12Bが設けられている。また、モニタ12Aと操作レバー12Bの間には、刈取装置3の刈取速度を増減速する増減速手段の切替えを行う切替えスイッチ12Cが設けられている。切替えスイッチ12CをONにした場合には、ブレーキペダル15で刈取装置3の刈取速度の増減速を操作でき、切替えスイッチ12CをOFFにした場合には、主変速レバー13Aで刈取装置3の刈取速度の増減速を操作できる。
【0019】
サイドパネル13の右前部には、エンジンEの出力回転の増減速と回転方向の切換えを行う油圧式無段変速機20を操作する主変速レバー13Aが設けられ、主変速レバー13Aの後側には、油圧式無段変速機20の出力回転の増減速を行うトランスミッション21を操作する副変速レバー13Bが設けられている。また、主変速レバー13Aの左側には、農道等を走行する走行モードと走行切返し(通称、αターン)時に刈取装置3を駆動して刈取装置3の搬送装置3Aに介在する穀稈を脱穀装置4に搬送する作業モードの切替えを行う切替えレバー13Cが設けられ、副変速レバー13Bの後側には、刈取クラッチ22等を操作するモードセレクト操作具としての刈脱レバー13D設けられている。
【0020】
主変速レバー13Aを中立姿勢にした場合には、油圧式無段変速機20の出力回転はゼロになる。主変速レバー13Aを前側傾斜姿勢した場合には、油圧式無段変速機20の出力回転はエンジンEの出力回転と同じ正回転となり、前側傾斜姿勢の傾斜角度が大きくなると油圧式無段変速機20の出力回転が速くなり、前側傾斜姿勢の傾斜角度が小さくなると油圧式無段変速機20の出力回転が遅くなる。主変速レバー13Aを後側傾斜姿勢した場合には、油圧式無段変速機20の出力回転はエンジンEの出力回転と逆さの逆回転となり、後側傾斜姿勢の傾斜角度が大きくなると油圧式無段変速機20の出力回転が速くなり、後側傾斜姿勢の傾斜角度が小さくなると油圧式無段変速機20の出力回転が遅くなる。また、主変速レバー13Aの姿勢は、主変速レバー13Aの下部に装着されたポテンションメータ等の主変速センサ25Aで検出されている。
【0021】
副変速レバー13Bを中立姿勢にした場合には、油圧式無段変速機20から伝動された出力回転は増減速されず走行装置2に伝動され、副変速レバー13Bを前側傾斜姿勢にした場合には、油圧式無段変速機20から伝動された出力回転はトランスミッション21で減速されて走行装置2に伝動され、副変速レバー13Bを後側傾斜姿勢にした場合には、油圧式無段変速機20から伝動された出力回転は増速されて走行装置2に伝動される。また、副変速レバー13Bの姿勢は、副変速レバー13Bの下部に装着されたポテンションメータ等の副変速センサ25Bで検出されている。
【0022】
切替えレバー13Cを前側傾斜姿勢にした場合には、コンバインが圃場外の農道等を走行する走行モードになり、切替えレバー13Cを後側傾斜姿勢にした場合には、コンバインの走行切返し(通称、αターン)時に刈取装置3を駆動して刈取装置3の搬送装置3Aに介在する穀稈を脱穀装置4に搬送する作業モードになる。また、切替えレバー13Cの姿勢は、切替えレバー13Cの下部に装着されたポテンションメータ等の切替えセンサ25Cで検出されている。
【0023】
刈脱レバー13Dを後側傾斜姿勢にした場合には、刈取クラッチ22と脱穀クラッチ23が接続されてエンジンEの出力回転は刈取装置3と脱穀装置4に伝動され、刈脱レバー13Dを中立姿勢にした場合には、刈取クラッチ22の接続が解除されてエンジンEの出力回転は刈取装置3に伝動されなくなり、刈脱レバー13Dを前側傾斜姿勢にした場合には、脱穀クラッチ23の接続が解除されてエンジンEの出力回転は脱穀装置4にも伝動されなくなる。また、刈脱レバー13Dの姿勢は、刈脱レバー13Dの下部に装着されたポテンションメータ等の刈脱センサ25Dで検出されている。
【0024】
よって、該モードセレクト操作具としての刈脱レバー13Dは、後側傾斜姿勢にして刈取クラッチ22及び脱穀クラッチ23を接続した圃場作業モードと、前側傾斜姿勢にして刈取クラッチ22及び脱穀クラッチ23の接続を解除した路上走行モードに切り換える。
【0025】
<エンジンの出力回転の伝動図>
図4に示すように、エンジンEの出力回転は、第1経路A上に設けられた油圧式無段変速機20に伝動される。油圧式無段変速機20の入力軸に伝動されたエンジンEの出力回転は、油圧式無段変速機20内で増減速等が行われて第1出力軸と第2出力軸から出力される。
【0026】
油圧式無段変速機20の第1出力軸の出力回転は、トランスミッション21に伝動される。トランスミッション21の入力軸に伝動された第1出力軸の出力回転は、トランスミッション21内のギヤ伝動機構で増減速されて出力軸から出力される。
【0027】
トランスミッション21の出力軸の出力回転は、走行装置2に伝動されて走行装置2のクローラを回動する。
【0028】
油圧式無段変速機20の第2出力軸の出力回転は、刈取クラッチ22を介して刈取装置3に伝動されて刈取装置3の引起装置、切断装置等を駆動する。
【0029】
これにより、主変速レバー13Aを中立位置にすれば、走行装置2と刈取装置3の駆動は停止し、主変速レバー13Aを中立位置から前進側へ操作して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を同時に増減速できるので、圃場の穀稈の倒伏状態に応じて主変速レバー13Aを操作して走行装置2の走行速度と刈取装置3の刈取速度を増減速させて穀稈を効率良く刈取ることができる。
【0030】
また、エンジンEの出力回転は、第2経路B上に設けられた脱穀クラッチ23を介して脱穀装置4に伝動される。
【0031】
<ブレーキペダル>
図5に示すように、ブレーキペダル15は、フロントパネル12の下側に設けられた左右方向に延在する支軸12Dに回転自在に支持された前後方向に延在するクランク16と、作業者が足で踏込みを行うペダル17から形成されている。
【0032】
側面視において、クランク16は、支軸12Dから後側に延在する後クランク16Aと、支軸12Dから前下がりに延在する前クランク16Bから形成されている。後クランク16Aの後端部には、左右方向に延在する支軸18Aに回転自在に支持されたフック18Bが設けられている。これにより、作業者がペダル17を最大操作領域まで踏込んだ場合には、フック18Bがフロア14に設けられたロックピン(図示省略)に係合してペダル17を最大操作領域まで踏込んだ状態に維持することができる。また、前クランク16Bの前端部には、左右方向に延在する支軸19Aに回転自在に支持された上下方向に延在するブレーキロッド19Bが設けられている。また、作業者のペダル17の踏込み量は、支軸12Dに設けられたブラケット12Eに装着されたポテンションメータ等のペダルセンサ25Eで検出され、作業者がペダル17を最大操作領域まで踏込んだ状態は、ブラケット12Eに装着されたブレーキスイッチとしての駐車スイッチ25Fで検出される。
【0033】
<トランスミッション>
図6,7に示すように、トランスミッション21には、伝動経路の上手側から下手側に向かって、左右方向に延在する第1変速軸32と、第2変速軸33と、カウンタ軸34と、出力軸35が設けられている。なお、本明細書においては、左側に位置するカウンタ軸34をカウンタ軸34Aといい、右側に位置するカウンタ軸34をカウンタ軸34Bという。また、左側に位置する出力軸35を出力軸35Aといい、右側に位置する出力軸35を出力軸35Bという。
【0034】
第1変速軸32には、左右方向に移動可能な径の異なるギヤが外嵌されており、第2変速軸33には、径の異なるギヤが設けられている。これにより、副変速レバー13Bを操作して第1変速軸32に外嵌されたギヤを左右方向に移動させて、油圧式無段変速機20から第1変速軸32に伝動された出力回転を増減速して第2変速軸33に伝動することができる。
【0035】
カウンタ軸34の両側部には、それぞれ左右方向に移動可能なスリーブ36が外嵌されている。また、カウンタ軸34の両端部には、それぞれ多数のブレーキパッドを備えるブレーキ装置37が設けられている。なお、本明細書においては、左側に位置するスリーブ36をスリーブ36Aといい、右側に位置するスリーブ36をスリーブ36Bという。また、左側に位置するブレーキ装置37をブレーキ装置37Aといい、右側に位置するブレーキ装置37をブレーキ装置37Bという。
【0036】
操作レバー12Bを左側に傾斜させた場合には、カウンタ軸34における左側に位置するカウンタ軸34Aに外嵌されたスリーブ36Aが左方向に移動して、ブレーキパッドを左方向に移動させてブレーキディスクと接触させて、ブレーキ装置37Aが作動して出力軸35Aの出力回転を減速する。これにより、コンバインを左旋回させることができる。なお、スリーブ36Aは、上下方向に延在するシフタ38Aを介してトランスミッション21の前壁に装着された上下方向に延在する第1プレート40Aの上部に連結されている。
【0037】
操作レバー12Bを右側に傾斜させた場合には、カウンタ軸34における右側に位置するカウンタ軸34Bに外嵌されたスリーブ36Bが右方向に移動して、ブレーキパッドを右方向に移動させてブレーキディスクと接触させて、ブレーキ装置37Bが作動して出力軸35Bの出力回転を減速する。これにより、コンバインを右旋回させることができる。なお、スリーブ36Bは、上下方向に延在するシフタ38Bを介してトランスミッション21の前壁に装着された上下方向に延在する第1プレート40Bの上部に連結されている。
【0038】
ブレーキペダル15を踏み込んだ場合には、カウンタ軸34における左側に位置するカウンタ軸34Aに外嵌されたスリーブ36Aが左方向に移動して、ブレーキパッドを左方向に移動させてブレーキディスクと接触させて、ブレーキ装置37Aが作動して出力軸35Aの出力回転を減速して停止すると共に、カウンタ軸34における右側に位置するカウンタ軸34Bに外嵌されたスリーブ36Bが右方向に移動して、ブレーキパッドを右方向に移動させてブレーキディスクと接触させて、ブレーキ装置37Bが作動して出力軸35Bの出力回転を減速して停止する。これにより、コンバインの走行を停止することができる。
【0039】
また、トランスミッション21には、カウンタ軸34を左右方向に移動させてカウンタ軸に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合を解除するサイドクラッチ操作手段39が設けられている。これにより、出力軸35へのエンジンEの出力回転の伝動を遮断させることができる。
【0040】
図8に示すように、第1プレート40Aの下部は、ワイヤケーブル(図示省略)を介して操作レバー12Bに連結されている右上方向に延在する第2プレート41Aの左部と上下方向に延在する第3プレート42Aの上部に連結されている。また、第1プレート40Aの下部と、第2プレート41Aの左部と、第3プレート42Aの上部は、前後方向に延在する支軸43Aに回転自在に支持されている。ここで、第1プレート40Aと、第2プレート41Aと、第3プレート42Aを総称して回転プレート45Aと言う。これにより、操作レバー12Bを左側に傾斜させた場合には、支軸43Aの軸心視において、回転プレート45Aが時計方向に回転して、シフタ38Aを介してスリーブ36Aをカウンタ軸34Aに沿って左側に移動させることができる。
【0041】
第1プレート40Bの下部は、ワイヤケーブル(図示省略)を介して操作レバー12Bに連結されている左上方向に延在する第2プレート41Bの右部と上下方向に延在する第3プレート42Bの上部に連結されている。また、第1プレート40Bの下部と、第2プレート41Bの右部と、第3プレート42Bの上部は、前後方向に延在する支軸43Bに回転自在に支持されている。ここで、第1プレート40Bと、第2プレート41Bと、第3プレート42Bを総称して回転プレート45Bと言う。これにより、操作レバー12Bを右側に傾斜させた場合には、支軸43Bの軸心視において、回転プレート45Bが反時計方向に回転して、シフタ38Aを介してスリーブ36Aをカウンタ軸34Aに沿って右側に移動させることができる。
【0042】
支軸43Aと支軸43Bの左右方向の間の下部には、前後方向に延在する支軸50が設けられている。支軸50には、上下方向に延在する揺動プレート51の中心部が回転自在にされている。
【0043】
揺動プレート51の上部には、前後方向に延在するピン52Aが設けられている。ピン52Aは、ブレーキロッド19Bを介してブレーキペダル15に連結されている。
【0044】
正面視において、揺動プレート51における支軸50の上側には左下方向に延在するアーム55Aの右部が固定され、支軸50の下側には右上方向に延在するアーム55Bの左部が固定されている。
【0045】
アーム55Aの右部には、アーム55Aの長手方向に沿って長穴56Aが形成され、アーム55Bの左部には、アーム55Bの長手方向に沿って長穴56Bが形成されている。
【0046】
長穴56Aには、回転プレート45Aを形成する第3プレート42Aの前面に前後方向に延在するピン57Aが挿入され、長穴56Bには、回転プレート45Bを形成する第3プレート42Bの前面に前後方向に延在するピン57Bが挿入されている。これにより、ブレーキペダル15を踏み込んだ場合には、支軸50軸心視において、揺動プレート51が反時計方向に回転するので、アーム55Aとピン57Aを介して、支軸43Aの軸心視において、回転プレート45Aが時計方向に回転して、シフタ38Aを介してスリーブ36Aをカウンタ軸34Aに沿って左側に移動させることができる。また、アーム55Bとピン57Bを介して、支軸43Bの軸心視において、回転プレート45Bが反時計方向に回転して、シフタ38Bを介してスリーブ36Bをカウンタ軸34Bに沿って右側に移動させることができる。
【0047】
揺動プレート51の下部に、前後方向に延在するピン52Bが設け、左右方向に延在するロッド54の右端部に形成されたロッド54の長手方向に沿って形成された長穴58に挿入して、作業者のブレーキペダル15の踏込みに同期させて、ロッド54を左側に移動させるモータ等の補助装置59が設けるのが好ましい。これにより、作業者がブレーキペダル15を容易に踏込むことができる。
【0048】
<サイドクラッチ操作手段39>
サイドクラッチ操作手段39は、左側に位置するカウンタ軸34Aを左方向に移動させてカウンタ軸34Aに外嵌めされているギヤと出力軸35Aに外嵌めされているギヤの係合を解除して左クローラ走行装置2Aの駆動を切る左サイドクラッチ操作手段39Aと、右側に位置するカウンタ軸34Bを右方向に移動させてカウンタ軸34Bに外嵌めされているギヤと出力軸35Bに外嵌めされているギヤの係合を解除して右クローラ走行装置2Bの駆動を切る右サイドクラッチ操作手段39Bから構成される。
【0049】
そして、図9及び図10に示すように、左サイドクラッチ作動油圧シリンダ80Aの伸長作動にて左サイドクラッチ操作手段39Aの左側に位置するカウンタ軸34Aを左方向に移動させ、右サイドクラッチ作動油圧シリンダ80Bの伸長作動にて右サイドクラッチ操作手段39Bの右側に位置するカウンタ軸34Bを右方向に移動させて、左クローラ走行装置2A及び右クローラ走行装置2Bの駆動が切断される。
【0050】
左サイドクラッチ作動油圧シリンダ80A及び右サイドクラッチ作動油圧シリンダ80Bが伸長作動するには、リリーフバルブ81が開放されないといけないが、ブレーキペダル15に一端が連結され他端がリリーフバルブ81の作動ピン81aを押すプレート82に連結された連繋ワイヤ83が設けてあり、ブレーキペダル15を踏み込み操作すると、連繋ワイヤ83にてプレート82が引かれてリリーフバルブ81の作動ピン81aを押してリリーフバルブ81は解放される。
【0051】
よって、ブレーキペダル15を踏み込み操作すると、前記のようにブレーキロッド19Bを介して左右ブレーキ装置37A,37Bが作動すると共に、連繋ワイヤ83にてプレート82が引かれてリリーフバルブ81の作動ピン81aを押してリリーフバルブ81が解放され、ペダルセンサ25Eがブレーキペダル15の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出すると(または、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた状態を検出する駐車スイッチ25FがONすると)左サイドクラッチ作動油圧シリンダ80A及び右サイドクラッチ作動油圧シリンダ80Bに圧油が送られて伸長して左右サイドクラッチ操作手段39A,39Bが作動することにより、左右クローラ走行装置2A,2Bの駆動が切断される。
【0052】
そして、上記ブレーキペダル15の踏み込み操作時に、ペダルセンサ25Eがブレーキペダル15の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出すると(または、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた状態を検出する駐車スイッチ25FがONすると)左サイドクラッチ作動油圧シリンダ80A及び右サイドクラッチ作動油圧シリンダ80Bに圧油が送られて伸長して左右サイドクラッチ操作手段39A,39Bが作動することにより左右クローラ走行装置2A,2Bの駆動を切断する制御は、モードセレクト操作具としての刈脱レバー13Dを後側傾斜姿勢にして刈取クラッチ22及び脱穀クラッチ23を接続した圃場作業モードにしたことを刈脱センサ25Dが検出している時のみ行われ、モードセレクト操作具としての刈脱レバー13Dを前側傾斜姿勢にして刈取クラッチ22及び脱穀クラッチ23の接続を解除した路上走行モード(路上走行等の機体移動時)にしたことを刈脱センサ25Dが検出している時は行われない。
【0053】
また、上記ブレーキペダル15の踏み込み操作時に、ペダルセンサ25Eがブレーキペダル15の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出すると(または、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた状態を検出する駐車スイッチ25FがONすると)左サイドクラッチ作動油圧シリンダ80A及び右サイドクラッチ作動油圧シリンダ80Bに圧油が送られて伸長して左右サイドクラッチ操作手段39A,39Bが作動することにより左右クローラ走行装置2A,2Bの駆動を切断する制御は、主変速レバー13Aが中立位置から前進域に操作されたことを主変速センサ25Aが検出した時に行われる。
【0054】
なお、コントローラ70は、左右サイドクラッチ操作手段39A,39Bが作動することにより左右クローラ走行装置2A,2Bの駆動を切断する制御が行われたのちに(左右クローラ走行装置2A,2Bの駆動を切断したのちに)、後述の前進用モータ62を作動させて油圧式無段変速機20から出力をだす。
【0055】
また、前記のように操作レバー12Bを左側に傾斜させた場合には、ブレーキ装置37Aが作動して左クローラ走行装置2Aのブレーキがかかるが、同時に、電磁ソレノイド84Aを作動させてそのピン85Aがプレート82を押してリリーフバルブ81の作動ピン81aを押しリリーフバルブ81が解放され、操作レバーセンサ25Gの操作レバー12Bが左側に傾斜操作されたことの検出により左サイドクラッチ作動油圧シリンダ80Aが伸長して左サイドクラッチ操作手段39Aが作動することにより、左クローラ走行装置2Aの駆動が切断されて、機体は左旋回する。
【0056】
そして、前記のように操作レバー12Bを右側に傾斜させた場合には、ブレーキ装置37Bが作動して右クローラ走行装置2Bのブレーキがかかるが、同時に、電磁ソレノイド84Bを作動させてそのピン85Bがプレート82を押してリリーフバルブ81の作動ピン81aを押しリリーフバルブ81が解放され、操作レバーセンサ25Gの操作レバー12Bが右側に傾斜操作されたことの検出により右サイドクラッチ作動油圧シリンダ80Bが伸長して右サイドクラッチ操作手段39Bが作動することにより、右クローラ走行装置2Bの駆動が切断されて、機体は右旋回する。
【0057】
また、モードセレクト操作具としての刈脱レバー13Dを後側傾斜姿勢にして刈取クラッチ22及び脱穀クラッチ23を接続した圃場作業モードにしたことを刈脱センサ25Dが検出している圃場作業モードでの収穫作業中、例えば畦際で操作レバー12Bを左側又は右側に傾斜させて機体を旋回操作している時にブレーキペダル15の踏み込み操作をした場合には、コントローラ70は左右サイドクラッチ操作手段39A,39Bの作動を直ちに停止して機体の急旋回を防止する。
【0058】
<油圧式無段変速機>
図11に示すように、油圧式無段変速機20のトラニオン軸60には、扇形ギヤ61が支持され、扇形ギヤ61の外周部に形成されたギヤには、前進用モータ62の出力軸に設けられたギヤ62Aと、後進用モータ63の出力軸に設けられたギヤ63Aが係合している。これにより、主変速レバー13Aの姿勢を検出する主変速センサ25Aの検出値に基づいて前進用モータ62と後進用モータ63を駆動して油圧式無段変速機20のトラニオン軸60を回動してエンジンEの出力回転の増減速と回転方向の切替えを行うことができる。なお、エンジンEの出力回転は、油圧式無段変速機20の入力軸64に伝動される。
【0059】
また、油圧式無段変速機20のトラニオン軸60を扇形ギヤ61を介して前進用モータ62と後進用モータ63で回動させる形態を図示しているが、油圧式無段変速機20のトラニオン軸60にアームを支持し、このアームの外周部に前進用ソレノイドで駆動される前進用シリンダと後進用ソレノイドで駆動される後進用シリンダを連結する形態にすることもできる。
【0060】
<コントローラの接続図>
図12に示すように、コントローラ70の入力側には、主変速レバー13Aの姿勢を検出する主変速センサ25Aと、副変速レバー13Bの姿勢を検出する副変速センサ25Bと、切替えレバー13Cの姿勢を検出する切替えセンサ25Cと、刈脱レバー13Dの姿勢を検出する刈脱センサ25Dと、ブレーキペダル15の踏込み量を検出するペダルセンサ25Eと、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた状態を検出する駐車スイッチ25Fと、操作レバーセンサ25Gが所定の入力インターフェース回路を介して接続されている。
【0061】
コントローラ70の出力側には、トランスミッション21の出力軸35にエンジンEの出力回転が伝動されないようにトランスミッション21のカウンタ軸34等に外嵌めされたギヤの係合を解除するサイドクラッチ操作手段39と、油圧式無段変速機20のトラニオン軸60を回動させる前進用モータ62及び後進用モータ63と、電磁ソレノイド84が所定の出力インターフェース回路を介して接続されている。
【0062】
<サイドブレーキの操作方法>
図13に示すように、ステップS1で、コントローラ70は、油圧式無段変速機20を操作する主変速レバー13Aの姿勢を判断する。主変速レバー13Aが中立姿勢以外の前側傾斜姿勢又は後側傾斜姿勢にあると判断した場合には、ステップS2に進み、主変速レバー13Aが中立姿勢にあると判断した場合には、ステップS1に戻る。なお、主変速レバー13Aの姿勢の判断は、主変速センサ25Aの検出値に基づいて行われる。
【0063】
ステップS2で、コントローラ70は、走行モードと作業モードを切替える切替えレバー13Cの姿勢を判断する。切替えレバー13Cが前側傾斜姿勢にあると判断した場合には、ステップS3に進み、切替えレバー13Cが後側傾斜姿勢にあると判断した場合には、ステップS7に進む。なお、切替えレバー13Cの姿勢の判断は、切替えセンサ25Cの検出値に基づいて行われる。
【0064】
ステップS3で、コントローラ70は、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれているか否か判断する。ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれていると判断した場合には、ステップS4に進み、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれていないと判断した場合には、ステップS5に進む。なお、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれているか否かの判断は、駐車スイッチ25Fの検出値に基づいて行われ、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた場合には、ブレーキペダル開度が100%になる。
【0065】
ステップS4で、コントローラ70は、図14に示すように、サイドクラッチ/アンロードを0にし、ブレーキ率を100%にし、主変速制限量を0%にして、ステップS1に戻る。
【0066】
サイドクラッチ/アンロードを0にした場合には、サイドクラッチ操作手段39は停止してカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合は維持される。また、ブレーキ率を100%にした場合には、トランスミッション21内のブレーキ装置37が作動して出力軸35の出力回転を停止させる。さらに、主変速制限量を0%にした場合には、出力軸35の出力回転が停止、すなわち出力回転がゼロの状態を示している。
【0067】
これにより、走行モード、すなわち圃場外の農道等を走行しているコンバインの走行装置2の走行を停止させることができる。
【0068】
ステップS5で、コントローラ70は、ブレーキペダル15の踏込み量について判断して、ステップS6に進む。なお、ブレーキペダル15の踏込み量の判断は、ペダルセンサ25Eの検出値に基づいて行われる。
【0069】
ステップS6で、コントローラ70は、図14に示すように、サイドクラッチ/アンロードを0にし、ブレーキ率をブレーキペダル開度が0~25%未満の場合には0%にして、ブレーキペダル開度が25%以上の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて0~100%にし、主変速制限量をブレーキペダル開度が0~20%未満の場合には100%にして、ブレーキペダル開度が20~90%未満の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて100~0%にし、ブレーキペダル開度が90%以上の場合には0%にして、ステップS3に戻る。
【0070】
サイドクラッチ/アンロードを0にした場合には、サイドクラッチ操作手段39は停止してカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合は維持される。また、ブレーキ率を0%にした場合には、ブレーキ装置37は作動せず、100%にした場合には、トランスミッション21内のブレーキ装置37が作動して出力軸35の出力回転を停止させる。さらに、主変速制限量を100%にした場合には、出力軸35の出力回転が減速せず、0%にした場合には、出力軸35の出力回転が停止、すなわち出力回転がゼロの状態を示している。
【0071】
これにより、ブレーキペダル15の踏込み量の増減に応じてブレーキ率が大きくなり、主変速制御量が小さくなるので、コンバインの走行装置2のブレーキ作動時の反動を抑制することができる。また、主変速制限量をブレーキペダル開度がブレーキペダル開度が90%以上の場合には0%を維持するので、ブレーキペダル15をさらに踏込んでフック18Bをロックピンに容易に係合させて主変速制限量が0%の状態を容易に維持することができる。
【0072】
また、ステップS6で、コントローラ70は、図15に示すように、サイドクラッチ/アンロードを0にし、ブレーキ率をブレーキペダル開度が0~25%未満の場合には0%にして、ブレーキペダル開度が25%以上の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて0~100%にし、主変速制限量をブレーキペダル開度が0~20%未満の場合には100%にして、ブレーキペダル開度が20~90%未満の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて100~50%にし、ブレーキペダル開度が90%以上の場合には50%にして、ステップS3に戻ることもできる。
【0073】
サイドクラッチ/アンロードを0にした場合には、サイドクラッチ操作手段39は停止してカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合は維持される。また、ブレーキ率を0%にした場合には、ブレーキ装置37は作動せず、100%にした場合には、トランスミッション21内のブレーキ装置37が作動して出力軸35の出力回転を停止させる。さらに、主変速制限量を100%にした場合には、出力軸35の出力回転が減速せず、50%にした場合には、出力軸35の出力回転が減速、すなわち出力回転の回転速度が約半分の回転速度になった状態を示している。
【0074】
これにより、ブレーキペダル15の踏込み量の増減に応じてブレーキ率が大きくなり、主変速制御量が緩やかに小さくなるので、コンバインの走行装置2のブレーキ作動時の反動をより抑制することができる。
【0075】
ステップS7で、コントローラ70は、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれているか否か判断する。ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれていると判断した場合には、ステップS8に進み、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれていないと判断した場合には、ステップS9に進む。
【0076】
ステップS8で、コントローラ70は、図16に示すように、サイドクラッチ/アンロードを1にし、ブレーキ率を100%にし、前進主変速ソレノイド出力を50%にして、ステップS1に戻る。
【0077】
サイドクラッチ/アンロードを1にした場合には、サイドクラッチ操作手段39が駆動してカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合は解除される。また、ブレーキ率を100%にした場合には、トランスミッション21内のブレーキ装置37が作動して出力軸35の出力回転を停止させる。さらに、前進主変速ソレノイド出力を50%にした場合には、油圧式無段変速機20の第2出力軸の出力回転が減速、すなわち出力回転の回転速度が約半分の回転速度になった状態を示している。なお、前進主変速ソレノイド出力は、前進用モータ62と後進用モータ63の駆動によって行うことができる。
【0078】
これにより、コンバインの走行装置2の走行を停止させて、刈取装置3を駆動して刈取装置3の搬送装置3Aに介在する穀稈を脱穀装置4に搬送させることができる。
【0079】
ステップS9で、コントローラ70は、ブレーキペダル15の踏込み量について判断して、ステップS10に進む。
【0080】
ステップS10で、コントローラ70は、図16に示すように、サイドクラッチ/アンロードをブレーキペダル開度が0~20%未満の場合には0にして、ブレーキペダル開度が20%以上では1にし、ブレーキ率をブレーキペダル開度が0~25%未満の場合には0%にして、ブレーキペダル開度が25%以上の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて0~100%にし、前進主変速ソレノイド出力をブレーキペダル開度が0~35%未満の場合には0%にして、ブレーキペダル開度が35~90%未満の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて0~50%にし、ブレーキペダル開度が90%以上の場合には50%にして、ステップS7に戻る。
【0081】
サイドクラッチ/アンロードを0にした場合には、サイドクラッチ操作手段39は停止してカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合は維持され、1にした場合には、サイドクラッチ操作手段39が駆動してカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合は解除される。また、ブレーキ率を0%にした場合には、ブレーキ装置37は作動せず、100%にした場合には、トランスミッション21内のブレーキ装置37が作動して出力軸35の出力回転を停止させる。さらに、前進主変速ソレノイド出力を0%にした場合には、油圧式無段変速機20の第2出力軸の出力回転は停止し、50%にした場合には、油圧式無段変速機20の第2出力軸の出力回転が減速、すなわち出力回転の回転速度が約半分の回転速度になった状態を示している。
【0082】
これにより、コンバインの走行装置2の走行速度を減速させて、刈取装置3を駆動して刈取装置3の搬送装置3Aに介在する穀稈を脱穀装置4に搬送させることができる。
【0083】
(走行モード時のブレーキペダルの第1操作方法)
図14(a)は、ブレーキペダル15の踏込み状態を示している。また、図14(b)~(e)の横軸はブレーキペダル開度[%]を示し、図14(b)の縦軸は、駐車スイッチ25FのON/OFFを示し、図14(c)の縦軸は、サイドクラッチ/アンロード出力を示し、図14(d)の縦軸は、は、ブレーキ率を示し、図14(e)の縦軸は、主変速制限量を示している。
【0084】
ブレーキペダル開度[%]は、作業者がブレーキペダル15を踏込んでいない場合には0%となり、最大操作領域まで踏込んだ場合には100%となる。
【0085】
駐車スイッチ25Fは、ブレーキペダル開度が0~100%未満の場合は0で、100%の場合には1になり、作業者がブレーキペダル15を最大操作領域まで踏込んだ場合を示している。
【0086】
サイドクラッチ/アンロード出力は、ブレーキペダル開度が0~100%で0になり、サイドクラッチ操作手段39は駆動せずにカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合が維持されことを示している。
【0087】
ブレーキ率は、ブレーキペダル開度が0~25%未満の場合は0%で、25%以上の場合には、ブレーキペダル開度の増加に応じて0~100%と大きくなり、作業者がブレーキペダル15を踏込むに従ってブレーキ装置37の作動が大きくなることを示している。
【0088】
主変速制限量は、ブレーキペダル開度が0~20%未満の場合には100%で、20~90%未満の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて100~0%と小さくなり、ブレーキ装置37の作動が大きくなるに従って出力軸35の出力回転の回転速度が減速することを示している。また、主変速制限量は、ブレーキペダル開度が90%以上では0%を維持する。
【0089】
(走行モード時のブレーキペダルの第2操作方法)
図15(a)は、ブレーキペダル15の踏込み状態を示している。また、図15(b)~(e)の横軸はブレーキペダル開度[%]を示し、図15(b)の縦軸は、駐車スイッチ25FのON/OFFを示し、図15(c)の縦軸は、サイドクラッチ/アンロード出力を示し、図15(d)の縦軸は、は、ブレーキ率を示し、図15(e)の縦軸は、主変速制限量を示している。
【0090】
ブレーキペダル開度[%]は、作業者がブレーキペダル15を踏込んでいない場合には0%となり、最大操作領域まで踏込んだ場合には100%となる。
【0091】
駐車スイッチ25Fは、ブレーキペダル開度が0~100%未満の場合は0で、100%の場合には1になり、作業者がブレーキペダル15を最大操作領域まで踏込んだ場合を示している。
【0092】
サイドクラッチ/アンロード出力は、ブレーキペダル開度が0~100%で0になり、サイドクラッチ操作手段39は駆動せずにカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合が維持されことを示している。
【0093】
ブレーキ率は、ブレーキペダル開度が0~25%未満の場合は0%で、25%以上の場合には、ブレーキペダル開度の増加に応じて0~100%と大きくなり、作業者がブレーキペダル15を踏込むに従ってブレーキ装置37の作動が大きくなることを示している。
【0094】
主変速制限量は、ブレーキペダル開度が0~20%未満の場合には100%で、20~90%未満の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて100~50%と小さくなり、ブレーキ装置37の作動が大きくなるに従って出力軸35の出力回転の回転速度が減速することを示している。また、主変速制限量は、ブレーキペダル開度が90%以上では50%を維持する。
【0095】
(作業モード時のブレーキペダルの操作方法)
図16(a)は、ブレーキペダル15の踏込み状態を示している。また、図16(b)~(e)の横軸はブレーキペダル開度[%]を示し、図16(b)の縦軸は、駐車スイッチ25FのON/OFFを示し、図16(c)の縦軸は、サイドクラッチ/アンロード出力を示し、図16(d)の縦軸は、は、ブレーキ率を示し、図16(e)の縦軸は、前進主変速ソレノイド出力を示している。
【0096】
ブレーキペダル開度[%]は、作業者がブレーキペダル15を踏込んでいない場合には0%となり、最大操作領域まで踏込んだ場合には100%となる。
【0097】
駐車スイッチ25Fは、ブレーキペダル開度が0~100%未満の場合は0で、100%の場合には1になり、作業者がブレーキペダル15を最大操作領域まで踏込んだ場合を示している。
【0098】
サイドクラッチ/アンロード出力は、ブレーキペダル開度が0~20%未満の場合は0で、20%以上では1になり、サイドクラッチ操作手段39を駆動させてカウンタ軸34に外嵌めされているギヤと出力軸35に外嵌めされているギヤの係合を解除して、トランスミッション21に伝導された油圧式無段変速機20の出力回転がトランスミッション21の出力軸35には伝動されないことを示している。
【0099】
ブレーキ率は、ブレーキペダル開度が0~25%未満の場合は0%で、25%以上の場合には、ブレーキペダル開度の増加に応じて0~100%と大きくなり、作業者がブレーキペダル15を踏込むに従ってブレーキ装置37の作動が大きくなることを示している。
【0100】
前進主変速ソレノイド出力は、ブレーキペダル開度が0~35%未満の場合には0%で、35~90%未満の場合にはブレーキペダル開度の増加に応じて0~50%と大きくなり、油圧式無段変速機20の第2出力軸の出力回転の回転数の減速が小さくなっていることを示している。
【0101】
<ブレーキペダル15による従来の掻込ペダルとしての機能>
ブレーキペダル15は、従来の掻込ペダルの機能を備えているので、下記に詳述する。
【0102】
モードセレクト操作具としての刈脱レバー13Dを後側傾斜姿勢にして刈取クラッチ22及び脱穀クラッチ23を接続した圃場作業モードにしたことを刈脱センサ25Dが検出すると、コントローラ70は圃場作業モードと認識して、刈取り自動方向制御や刈り高さ制御や扱ぎ深さ制御等の各種作業制御が作動状態になり、フロントパネル12のモニタ12Aに「圃場作業モード」と表記する。
【0103】
モードセレクト操作具としての刈脱レバー13Dを前側傾斜姿勢にして刈取クラッチ22及び脱穀クラッチ23の接続を解除した路上走行モードにしたことを刈脱センサ25Dが検出すると、コントローラ70は路上走行モードと認識して、刈取り自動方向制御や刈り高さ制御や扱ぎ深さ制御等の各種作業制御が停止状態になり、モニタ12Aに「路上走行モード」と表記する。
【0104】
そして、刈脱レバー13Dを圃場作業モードにしている時のみ、ブレーキペダル15は、従来の掻込ペダルの機能を果たす。
【0105】
即ち、モードセレクト操作具としての刈脱レバー13Dを後側傾斜姿勢にして刈取クラッチ22及び脱穀クラッチ23を接続した圃場作業モードにしたことを刈脱センサ25Dが検出している時に、ブレーキペダル15を踏み込み操作してペダルセンサ25Eがブレーキペダル15の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出し(または、ブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた状態を検出する駐車スイッチ25FがONになり)、主変速レバー13Aを中立位置から前進域に操作したことを主変速センサ25Aが検出すると、主変速レバー13Aの前進側操作量に応じた油圧式無段変速機20からの回転出力にて刈取装置3及び脱穀装置4を駆動して、機体停止状態でその場刈取り作業が行える。この時、ブレーキペダル15がブレーキ作動領域であるから、走行装置2への駆動が切断されブレーキがかけられた状態であり、コンバインは前進せず停止している。
【0106】
なお、上記の収穫作業中にグレンタンク7が穀粒(籾)で満杯になり、畦路や道路に待機しているトラック等のコンテナに排出オーガでグレンタンク7内の穀粒を排出する場合には、上記の掻き込み作業を行うことはなく、傾斜地での穀粒排出作業もあり得るので、ブレーキペダル15を踏み込み操作している際に、走行装置2への駆動が切断されない方が安全である。よって、上記のブレーキペダル15を踏み込み操作して走行装置2への駆動を切断する制御は、穀粒排出作業時以外に作動する。
【0107】
即ち、コントローラ70は、次のように制御する。
1)排出オーガが収納位置にあることを検出するセンサを設けて、排出オーガが収納位置にある場合に、ブレーキペダル15を踏み込み操作した際に走行装置2への駆動を切断する制御を行なう。
2)排出オーガを作動させる作動スイッチを作動に操作している場合には、ブレーキペダル15を踏み込み操作しても走行装置2への駆動を切断する制御を行なわない。
3)グレンタンク7内に設けた穀粒満量センサが穀粒が満量であることを検出した場合は、穀粒排出作業に移行すると認識して、ブレーキペダル15を踏み込み操作しても走行装置2への駆動を切断する制御を行なわない。なお、グレンタンク7が穀粒で満量の場合、機体バランスが不安定であるから、ブレーキペダル15を踏み込み操作して走行装置2への駆動を切断すると、機体がふらついて変な動きをするので、ブレーキペダル15を踏み込み操作した際に走行装置2への駆動を切断する制御を行なわない方が安全である。
【0108】
また、傾斜地では、ブレーキペダル15を踏み込み操作している際に、走行装置2への駆動が切断されない方が安全である。よって、上記のブレーキペダル15を踏み込み操作して走行装置2への駆動を切断する制御は、傾斜地では作動しない。
【0109】
即ち、コントローラ70は、次のように制御する。
【0110】
左右傾斜センサ又は/及び左右傾斜加速度センサが機体の左右傾斜を検出した際には、ブレーキペダル15を踏み込み操作しても走行装置2への駆動を切断する制御を行なわない。なお、コンバインは、機体フレーム1の中央部に機体の左右傾斜を検出する左右傾斜センサと左右傾斜加速度センサを設け、コントローラ70が該機体の左右傾斜検出に基づいて走行装置2の左クローラ走行装置2Aと右クローラ走行装置2Bを油圧シリンダにて左右背反的に上下作動して機体を水平に維持する機体水平制御機構を備えている。
【符号の説明】
【0111】
2 走行装置
2A 左走行装置(左クローラ走行装置)
2B 右走行装置(右クローラ走行装置)
3 刈取装置
4 脱穀装置
5 操縦部
13A 主変速レバー
13D モードセレクト操作具(刈脱レバー)
15 ブレーキペダル
21 トランスミッション
25E ペダルセンサ
25F ブレーキスイッチ(駐車スイッチ)
37 ブレーキ装置
39A 左サイドクラッチ操作手段
39B 右サイドクラッチ操作手段
70 コントローラ
80A 左サイドクラッチ作動油圧シリンダ
80B 右サイドクラッチ作動油圧シリンダ
81 リリーフバルブ
E エンジン
【要約】
【課題】従来のコンバインは、操縦部にブレーキペダルと掻込ペダルの2つのペダルがあり、構成が複雑であり、操作も煩雑であった。そこで、ブレーキペダルに掻込ペダルの機能も持たせて掻き込みペダルを廃止して構成が簡潔で操作が簡単なコンバインを実現する。
【解決手段】操縦部5にトランスミッションの駆動を接続及び切断すると共にブレーキ装置の作動及び作動解除を行うブレーキペダル15を設け、ブレーキペダル15の踏み込み操作量を検出するペダルセンサがブレーキペダル15の遊び領域を越えて踏み込み操作されたことを検出するか又はブレーキペダル15が最大操作領域まで踏込まれた状態をブレーキスイッチが検出する状態で主変速レバー13Aが中立位置から前進域に操作されると、刈取装置3を駆動するコントローラを設ける。
【選択図】 図2
図1
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