(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】複合長尺部材
(51)【国際特許分類】
B62D 25/04 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B62D25/04 B
(21)【出願番号】P 2021508087
(86)(22)【出願日】2019-03-26
(86)【国際出願番号】 IB2019000338
(87)【国際公開番号】W WO2020194014
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】大久保 洋志
【審査官】川村 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-64504(JP,A)
【文献】特開2018-65452(JP,A)
【文献】特開平3-128740(JP,A)
【文献】特開2004-314674(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62D 17/00 - 25/08
B62D 25/14 - 29/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合長尺部材であって、
長手方向に湾曲し、当該長手方向に垂直な断面の形状が湾曲外側に凸の形状である主部材と、
繊維強化樹脂で形成された、前記主部材の湾曲内側で、かつ、前記断面の内部に配された補強部材と、を備えており、
前記補強部材の一端が前記主部材の前記長手方向の一端側に接着され、前記補強部材の他端が前記主部材の前記長手方向の他端側に接着されており、
前記補強部材の前記一端と前記他端との間の中間部が、前記主部材の前記断面の内部で直線的に延設されており、
前記主部材と前記補強部材の前記中間部との間に隙間が形成されている、ことを特徴とする複合長尺部材。
【請求項4】
前記中間部における前記繊維強化樹脂の繊維の配向が、前記中間部の延設方向に一致している、請求項1~3の何れか一項に記載の複合長尺部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属及び繊維強化樹脂により形成された複合長尺部材[long composite member]に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、車体骨格構造、より具体的には、車両のセンターピラーの構造が開示されている。このセンターピラーは、金属製のアウターパネルに繊維強化樹脂(FRP)製の補強部材が接着剤によって接合されて構成されている。即ち、このセンターピラーは、金属及び繊維強化性樹脂により形成された複合長尺部材であり、金属板を繊維強化樹脂で補強することで、車体骨格構造部材としての強度及び剛性を両立させると共に、衝撃に対する強度を向上させている。
【0003】
上記複合長尺部材(センターピラー)は、その長手方向に沿って、車体外側に凸となるように湾曲している[curved convexly toward the outside of the vehicle body]。即ち、アウターパネルも補強部材も同じように湾曲している。アウターパネルの長手方向に垂直な断面の形状は、湾曲外側に凸で、かつ、湾曲内側に凹の形状[a shape protruding on the outer side of the curvature and depressing on the inner side of the curvature](角ばったU字形状[angled U-shape])である。補強部材はアウターパネルの上述した断面形状の内側(湾曲内面)に接着されている。補強部材の長手方向に垂直な断面の形状も、湾曲外側に凸で、かつ、湾曲内側に凹の形状(角ばったU字形状)である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【0005】
上述した複合長尺部材(センターピラー)は、他の車両が側方から車体に衝突したり、当該衝突によって車体が横転したりした場合、車体外側、即ち、湾曲外側から荷重を受ける。荷重が大きい場合は、湾曲が潰れるように、車体内側へと変形する。補強部材を形成する繊維強化樹脂は、引張荷重に対しては強いが圧縮荷重には比較的弱いという性質を持っている。従って、複合長尺部材の変形が始まると補強部材も変形することになり、繊維強化樹脂には引張荷重だけでなく圧縮荷重も作用し始める。その結果、複合長尺部材が変形し始めると十分な補強を得ることができない。
【0006】
従って、本発明の目的は、湾曲外側からの荷重によって変形し始めてからも当該荷重に充分に対抗できる複合長尺部材を提供することにある。
【0007】
本発明に係る複合長尺部材は、長手方向に湾曲し、湾曲外側に凸の断面形状を有する主部材と、繊維強化樹脂で形成された、主部材の湾曲内側に配された補強部材と、を備えている。補強部材は、その一端が主部材の一端側に接着され、その他端が主部材の他端側に接着されている。補強部材の中間部が、主部材の湾曲内部で直線的に延設されている。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、第一実施形態に係る複合長尺部材の分解斜視図である。
【
図2】
図2は、上記複合長尺部材の第二部材の内部背面図である。
【
図4】
図4は、第二実施形態に係る複合長尺部材の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ実施形態に係る複合長尺部材について説明する。
【0010】
図1~
図3に示されるように、第一実施形態の複合長尺部材は、車体骨格構造部材、具体的にはセンターピラー(Bピラー)として用いられている。なお、車両のセンターピラーは、前後ドア開口周囲骨格構造(サイドシル、Aピラー、Cピラー、ルーフサイドレールなど)やリアフェンダーなどと一体的にボディサイドパネルの一部として形成されることもある。この場合も、センターピラーの部分を見れば複合長尺部材である。
【0011】
本実施形態の複合長尺部材は、主部材としてのピラーアウターパネル1、及び、一対の補強部材2によって構成されている。また、センターピラーとしては、副部材としてのピラーインナーパネル3も備えている。センターピラーは、その長手方向に沿って、車体外側に凸となるように湾曲している。従って、ピラーアウターパネル1も、長手方向に沿って、車体外側に凸となるように湾曲している。ピラーインナーパネル3も、僅かではあるが車体外側に凸となるように湾曲している。
【0012】
ピラーアウターパネル1の長手方向に垂直な断面の形状は、湾曲外側に凸の形状である。以下、この断面形状を所定断面形状[prescribed cross-sectional shape]と言う。本実施形態での所定断面形状は、さらに、湾曲内側に凹でもあり、具体的には角ばったU字形状である。ピラーインナーパネル3の長手方向に垂直な断面の形状は、(凹みの深さは浅いが)湾曲外側に凹で、かつ、湾曲内側に凸の形状であり、ピラーアウターパネル1の角ばったU字形状に対して対称的な角ばったU字形状である。
【0013】
ピラーアウターパネル1及びピラーインナーパネル3は、スチールパネルをプレス成形することで形成されている。なお、上述したピラーアウターパネル1及びピラーインナーパネル3のそれぞれでは、両側縁から外側に向けてフランジがそれぞれ延設されており、ハット形断面を有している。ハット形断面は、角ばったU字形断面からフランジが延設されたものであり、所定断面形状の一種であり、かつ、角ばったU字形の一種でもある。角ばったU字形断面は、底板(正面板と捉えることもできる)の両側縁からそれぞれ側板が立ち上げられて形成されている。一対の側板は、互いに対向しており、互いにほぼ平行である。本実施形態では、ピラーアウターパネル1の底板(正面板)の一部に強度及び剛性を向上させるためのビード10が形成されているが、ピラーアウターパネル1の断面形状は角ばったU字形(ハット形)である。
【0014】
ピラーアウターパネル1及びピラーインナーパネル3は、上述したフランジで互いにスポット溶接により接合されている。なお、ピラーインナーパネル3の外側にボディサイドパネルのセンターピラー部分が配置される(即ち、ピラーアウターパネル1がピラースティフナとして用いられる)場合もある。この場合は、ボディサイドパネルも一体的にスポット溶接により接合される。ピラーアウターパネル1及びピラーインナーパネル3により、複合長尺部材であるセンターピラーが構成されるが、このセンターピラー(複合長尺部材)は、その内部に一対の補強部材2を取り付けることで、湾曲外側からの荷重に対して有効に対抗できる。
【0015】
本実施形態では、一対の補強部材2は、第一補強部材2x及び第二補強部材2y(即ち、複数の補強部材2x及び2y)を備えている。第一補強部材2xと第二補強部材2yとは対称的に形成されており、一対で用いられている。各補強部材2は、繊維強化性樹脂、より具体的には、熱硬化性樹脂をマトリクス樹脂とするCFRP(炭素繊維強化性樹脂)で形成されている。補強部材2のCFRPは、ピラーアウターパネル1に接着される前にそのマトリクス樹脂が硬化されている。補強部材2は、テープ状の形状を有しており、本実施形態では、その両端(一端及び他端)には、接着部としてのタブ2aが形成されている。タブ2aは、補強部材2の長手方向に対して直角に側方に延出されている。各補強部材2は、その両端(タブ2aを含む)でピラーアウターパネル1の内側に接着剤によって接着されている。
【0016】
より具体的には、各補強部材2の一端(上端)が、ピラーアウターパネル1の一端側(上端側/上部)に接着され、その他端(下端)が、ピラーアウターパネル1の他端側(下端側/下部)に接着されている。その接着強度は、接着面積、即ち、タブ2aの面積によって調整される。本実施形態では、第一補強部材2xのタブ2aがピラーアウターパネル1に直接接着され、第二補強部材2yのタブ2aは、第一補強部材2xのタブ2aを介して、ピラーアウターパネル1に接着されている。補強部材2の両端の間は、三次元的に直線的に延びる中間部2bとして形成されている。中間部2bにおけるCFRPの繊維の配向は、中間部2bの延設方向に一致している。
【0017】
なお、補強部材2は、一本だけが設けられてもよいが、その場合、厚さが同じであれば、上述した第一補強部材2x及び第二補強部材2yの合計幅が必要になる。また、一本の補強部材2を設ける場合、その両端はピラーアウターパネル1の上述した底板(正面板)の内面に接着される(タブ2aは不要)。しかし、本実施形態では、複合長尺部材が車体のセンターピラーとして用いられており、ピラーアウターパネル1には、リアドアヒンジの取付孔11が設けられている。リアドアヒンジは、車室側からナットで締結されるので、一本の補強部材2をピラーアウターパネル1の底板(正面板)の内面に接着すると、ナットを締結できない。スペース的に問題なければ、上述した一本の補強部材2を一方の側板のみに接着してもよいが、
図3に示されるように、本実施形態ではスペース的に難しい。
【0018】
また、ピラーアウターパネル1には、リアドアへのハーネスを通すための貫通孔12も形成されている。この貫通孔12には、ハーネスを保護すると共にセンターピラー内部への雨水の侵入を防止するグロメットの一端が取り付けられる(グロメットの他端はリアドアに取り付けられる)。従って、一本の補強部材2をピラーアウターパネル1の底板(正面板)の内面に接着すると、ハーネスを貫通孔12に通すこともできなくなってしまう。そこで、本実施形態では、第一補強部材2x及び第二補強部材2yに分けて設けることで、配置自由度を向上させている。具体的には、中間部2bの面がピラーアウターパネル1の側板の面にほぼ平行となるように、補強部材2を配向させることで、センターピラーの内部空間を有効に利用することができる。
【0019】
なお、上述したリアドアヒンジにナットを締結するための開口30が、ピラーインナーパネル3にも形成されている。また、ピラーアウターパネル1の側板には、フロントドアのドアロックストライカーの取付孔13や、リアドアの最大開度を規制するチェックリンクの取付孔(図示せず)も設けられている。ドアロックストライカーの取付孔13やチェックリンクの取付孔では、ピラーアウターパネル1の内側にウェルドナットが溶接される。このため、補強部材2は、これらのウェルドナットとの干渉も回避するように配置される。従って、高い配置自由度は有効である。
【0020】
なお、センターピラーの根元の内部には、前席のシートベルトユニットが収納される。このため、ピラーインナーパネル3の下端には開口31が形成されている。この開口31からは、シートベルトのウェビングの腰側が導出される。また、ピラーインナーパネル3には、シートベルトのウェビングの肩側が導出される開口32も形成されている。図示されていないが、センターピラー(複合長尺部材)の上部には、シートベルトアンカーを保持するための機構も設けられる。これらのユニットや機構を考慮しても、高い配置自由度は有効である。
【0021】
上述したように、本実施形態では、湾曲したピラーアウターパネル1の上述した所定断面形状の内側に、補強部材2の両端が接着されている。そして、補強部材2の中間部2bは、湾曲したピラーアウターパネル1の内側に直線的に延設されている。即ち、中間部2bは弓の弦のように配設されている。従って、他の車両が側方から車体に衝突したり、当該衝突によって車体が横転したりした場合に、センターピラー(複合長尺部材)に湾曲外側から荷重が作用する。湾曲外側からの荷重は湾曲を伸ばすように、ピラーアウターパネル1に作用する。この結果、補強部材2の中間部2bには引張荷重が作用するが、CFRPである中間部2bはこの引張荷重に有効に対抗でき、センターピラー(複合長尺部材)の変形を抑制する。ここで、中間部2bのCFRPの繊維の方向が中間部2bの延設方向に一致しているため、より効果的に引張荷重に対抗できる。本実施形態では、複合長尺部材が車体のセンターピラーであるため、車室空間を維持することができる。
【0022】
補強部材2を形成する繊維強化樹脂(CFRP)は、引張荷重に対しては強いが圧縮荷重には比較的弱い。本実施形態では中間部2bには引張荷重のみが作用して圧縮荷重は作用しないため、安定的に引張荷重に対抗できる。上述した湾曲外側からの荷重が大きい場合、センターピラーが湾曲内側へと変形し始める場合もある。その場合も、上述したように、湾曲するピラーアウターパネル1に補強部材2は弓の弦のように取り付けられており、ピラーアウターパネル1と補強部材2との間には隙間がある。このため、ピラーアウターパネル1が大きく変形して補強部材2に接触するまでは、補強部材2には引張荷重しか作用しない。従って、ピラーアウターパネル1が大きく変形するまで、センターピラー(複合長尺部材)の変形をより効果的に抑制できる。
【0023】
次に、
図4を参照しつつ第二実施形態について説明する。なお、上述した第一実施形態と同一又は同等の構成要素については、同一の符号を付してそれらの詳しい説明は省略する。本実施形態のセンターピラーでは、第一実施形態の一対の補強部材2が側面視で交差するように二対設けられている。第一実施形態では、一対の補強部材2を第一補強部材2x及び第二補強部材2yとして把握した。本実施形態でもそのように把握することは可能であるが、二対の補強部材2の一方を第一補強部材2X、他方を第二補強部材2Yとして説明する。
【0024】
第一補強部材2Xは、ピラーアウターパネル(主部材)1の上部に配設され、第二補強部材2Yは、ピラーアウターパネル1の下部に配設されている。第一補強部材2Xは、ほぼ平行な一対の第一補強部材2Xx及び2Xyからなる。第一補強部材2Xx及び2Xyのそれぞれは、テープ状の形状を有しており、その両端(一端及び他端)から接着部としてのタブ2aが直角に延出されている。第一補強部材2Xx及び2Xyのそれぞれは、その両端(タブ2aを含む)でピラーアウターパネル1の内側に接着剤によって接着されている。本実施形態では、第一補強部材2Xxのタブ2aがピラーアウターパネル1に直接接着され、第一補強部材2Xyのタブ2aが第一補強部材2Xxのタブ2aを介してピラーアウターパネル1に接着されている。第一補強部材2Xx及び2Xyのそれぞれにおいて、その両端の間は三次元的に直線的に延びる中間部2bとして形成されている。中間部2bにおけるCFRPの繊維の配向は、中間部2bの延設方向に一致している。
【0025】
同様に、第二補強部材2Yは、ほぼ平行な一対の第二補強部材2Yx及び2Yyからなる。第二補強部材2Yx及び2Yyのそれぞれも、テープ状の形状を有しており、その両端からタブ2aがそれぞれ延出されている。第二補強部材2Yx及び2Yyのそれぞれは、その両端(タブ2aを含む)でピラーアウターパネル1の内側に接着されている。第二補強部材2Yxのタブ2aがピラーアウターパネル1に直接接着され、第二補強部材2Yyのタブ2aが第二補強部材2Yxのタブ2aを介してピラーアウターパネル1に接着されている。第二補強部材2Yx及び2Yyのそれぞれにおいて、その両端の間は三次元的に直線的に延びる中間部2bとして形成されている。中間部2bにおけるCFRPの繊維の配向は、中間部2bの延設方向に一致している。第一補強部材2Xの中間部2bと第二補強部材2Yの中間部2bとは、それぞれ交差している。
【0026】
本実施形態の第一補強部材2X及び第二補強部材2Yは、第一実施形態の補強部材2を分割したものとみなすこともできる。分割することで、本実施形態では補強部材2が設けられる範囲が下方に拡張されている(
図4及び
図2参照)。分割して第一補強部材2X及び第二補強部材2Yを設けることで、補強部材2をピラーアウターパネル1の湾曲形状に沿って配置することが可能となり、ピラーアウターパネル1と対向するピラーインナーパネル3との干渉を防止することができる。即ち、補強部材2の配置自由度を向上させることができる。補強部材2の配置自由度が向上できるので、上述したウェルドナットなどとの干渉を回避できる。
【0027】
特に、本実施形態では、第一補強部材2Xの中間部2bの延設方向と第二補強部材2Yの中間部2bの延設方向とが交差している。即ち、第一補強部材2Xと第二補強部材2Yとが、ピラーアウターパネル1の湾曲方向に沿って重複して配置されている。このように配置することで、センターピラー(複合長尺部材)に湾曲外側から荷重が作用したときにピラーアウターパネル1の変形を抑制する張力を複数方向に生じさせることができ、かつ、その位置も調整することができる。この結果、湾曲外側からの荷重に対してより一層効果的に対抗できる。
【0028】
また、例えば、第一実施形態において衝突や横転によってピラーアウターパネル1の上端が内側に屈曲することがある。この場合、補強部材2の中間部2bが撓んで湾曲外側からの荷重に対抗できない(中間部2bに引張荷重が作用しない)。本実施形態の場合、ピラーアウターパネル1が同じように変形すると、確かに、上方の第一補強部材2Xは第一実施形態と同様に中間部2bが撓んで湾曲外側からの荷重に対抗できない。しかし、下方の第二補強部材2Yの中間部2bは撓まないので湾曲外側からの荷重に対して対抗することができる。
【0029】
上述した第一実施形態及び第二実施形態の複合長尺部材は、車体骨格構造(センターピラー)として用いられており、車体外側に凸となるように湾曲して用いられている。上述した側突時や横転時には車体の外側から車体骨格構造部材に荷重が作用し、補強部材2に引張荷重が作用する。補強部材2は強化繊維樹脂(本実施形態ではCFRP)によって形成されており、圧縮荷重よりは引張荷重に強い。また、上述した荷重によって主部材1(及び副部材3)には圧縮荷重も作用するが、金属で形成された主部材1(及び副部材3)は圧縮荷重に対して強い。従って、上記実施形態の複合長尺部材は、側突時や横転時に作用する荷重に効果的に対抗できるので、車体骨格構造として用いるのに好ましい。例えば、上記実施形態の複合長尺部材は、センターピラー(Bピラー)の他、Aピラー、Cピラー、ルーフサイドレール、フロントバンパ、リアバンパとして、(主部材1を車体外側に凸となるように湾曲させて)好適に用いることができる。特に、複合長尺部材を車室の外郭構造材(A~Cピラー、ルーフサイドレール)として用いることで、車体外側から荷重が作用しても車室空間(生存空間)を維持することができる。
【0030】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態では、補強部材2はCFRPによって形成されたが、CFRTPやGFRP等の他の繊維強化樹脂によって形成されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の複合長尺部材(及びその形成方法)は、車体骨格構造部材として用いられ得る。
【符号の説明】
【0032】
1 ピラーアウターパネル(主部材)
2 補強部材
2x,2X 第一補強部材
2y,2Y 第二補強部材
2a タブ(補強部材の一端又は他端)
2b (補強部材の)中間部
3 ピラーインナーパネル(副部材)