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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60K 35/00 20060101AFI20221109BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B60K35/00 Z
G01D7/00 K
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021508130
(86)(22)【出願日】2020-01-23
(86)【国際出願番号】 JP2020002259
(87)【国際公開番号】W WO2020195070
(87)【国際公開日】2020-10-01
【審査請求日】2021-07-29
(31)【優先権主張番号】P 2019063549
(32)【優先日】2019-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2019099168
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100092978
【弁理士】
【氏名又は名称】真田 有
(74)【代理人】
【識別番号】100183689
【弁理士】
【氏名又は名称】諏訪 華子
(72)【発明者】
【氏名】太田 仁一
(72)【発明者】
【氏名】亀井 雄一
(72)【発明者】
【氏名】奥地 貴之
(72)【発明者】
【氏名】平野 豊人
(72)【発明者】
【氏名】上田 怜央人
(72)【発明者】
【氏名】川崎 晃敬
【審査官】稲村 正義
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2015/190062(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00
G01D 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の状態が反映される複数の変数の情報を表示する表示装置であって、
前記複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第一変数を指示する指示部とを備え、前記指示部の位置を固定しつつ前記第一変数の変化に応じて前記第一尺度表示部を回転させる第一メーター画像と、
前記複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第二変数を帯状図形の画像で表示する表示部とを備える第二メーター画像と、
を有し、
前記第一メーター画像と前記第二メーター画像とを隣接させてなり、
前記指示部は、前記第二メーター画像における前記表示部の基準点であり、
前記表示部は、前記第二変数の変化に応じて、前記指示部を基準点として前記帯状図形の長さが変化する
ことを特徴とする表示装置。
【請求項2】
請求項に記載の表示装置において、
前記指示部は、前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像の上下方向における中央部分に表示される
ことを特徴とする表示装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の表示装置において、
前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像は、筒状に描画されて一体に表示される
ことを特徴とする表示装置。
【請求項4】
請求項1から請求項のいずれか1つに記載の表示装置において、
前記車両が、電動機及び内燃機関を搭載し、
前記第二変数は、前記内燃機関を停止させて前記電動機を用いた走行を優先する第一モードでの前記車両の第一出力を示し、
前記第一変数は、前記内燃機関を作動させて走行する第二モードでの前記車両の第二出力を示す
ことを特徴とする表示装置。
【請求項5】
請求項に記載の表示装置において、
前記第二変数は、前記第二モードにおいて前記車両の第三出力を示し、
当該第三出力は、前記第二出力とは異なる
ことを特徴とする表示装置。
【請求項6】
請求項又は請求項に記載の表示装置において、
前記第一変数が、前記内燃機関の出力を表すパラメーターを含み、
前記第二変数が、前記電動機の出力を表すパラメーターを含む
ことを特徴とする表示装置。
【請求項7】
車両の状態が反映される複数の変数の情報を表示する表示装置であって、
前記複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第一変数を指示する指示部とを備え、前記指示部の位置を固定しつつ前記第一変数の変化に応じて前記第一尺度表示部を回転させる第一メーター画像と、
前記複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第二変数を表示する表示部とを備える第二メーター画像と、
を有し、
前記第一メーター画像と前記第二メーター画像とを隣接させてなり、
前記車両が、電動機及び内燃機関を搭載し、
前記第二変数は、前記内燃機関を停止させて前記電動機を用いた走行を優先する第一モードでの前記車両の第一出力を示し、
前記第一変数は、前記内燃機関を作動させて走行する第二モードでの前記車両の第二出力を示し、
前記第二メーター画像は、
前記電動機の回生電力の大きさを表す第一領域と、
前記第一領域よりも高出力側に隣接して配置されて前記電動機の力行時の出力範囲を表す第二領域と、を含み、
前記第二領域には、当該第二領域内の高出力側に配置されて前記内燃機関が始動する可能性が高い出力範囲を示す第三領域が設けられている
ことを特徴とする表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の状態が反映される情報を表示する表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンを走行用の駆動力源とするエンジン車両、エンジンやモーターを走行用の駆動力源とするハイブリッド車両などには、車両の状態が反映される情報を表示する表示装置が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4155321号公報
【文献】特開2016-002808号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ハイブリッド車両を例にとって、表示装置における課題を説明する。ハイブリッド車両は、その走行モードとして、モーターのみで駆動輪を駆動するEV(Electric Vehicle)モードと、モーター及びエンジンで駆動輪を駆動するHV(Hybrid Vehicle)モードとを有している。
【0005】
ハイブリッド車両では、発進時には、EVモードで走行し、その後、車両の状況に応じて、エンジンを始動し、HVモードで走行している。このようなハイブリッド車両では、その表示装置において、EVモードでの走行であるのか、または、HVモードでの走行であるのかを運転者に示すようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
例えば、上記特許文献1においては、運転者の出力要求に応じて変化する状態量を表示する第一の表示部と、この状態量において走行モードが切替わる分割線を表示する第二の表示部とを備えたものが記載されている。
【0007】
このような表示装置においては、車両の状態が反映される情報を分かり易く表示することが望まれており、そうした点において、依然として改善の余地がある。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みなされたもので、車両の状態が反映される情報を分かり易く表示する表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決する第一の発明に係る表示装置は、
車両の状態が反映される複数の変数の情報を表示する表示装置であって、
前記複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第一変数を指示する指示部とを備え、前記指示部の位置を固定しつつ前記第一変数の変化に応じて前記第一尺度表示部を回転させる第一メーター画像と、
前記複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第二変数を帯状図形の画像で表示する表示部とを備える第二メーター画像と、
を有し、
前記第一メーター画像と前記第二メーター画像とを隣接させてなり、
前記指示部は、前記第二メーター画像における前記表示部の基準点であり、
前記表示部は、前記第二変数の変化に応じて、前記指示部を基準点として前記帯状図形の長さが変化する
ことを特徴とする。
【0011】
上記課題を解決する第二の発明に係る表示装置は、
上記第一の発明に記載の表示装置において、
前記指示部は、前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像の上下方向における中央部分に表示される
ことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する第三の発明に係る表示装置は、
上記第一または第二の発明に記載の表示装置において、
前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像は、筒状に描画されて一体に表示される
ことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する第四の発明に係る表示装置は、
上記第一~第三のいずれか1つの発明に記載の表示装置において、
前記車両が、電動機及び内燃機関を搭載し、
前記第二変数は、前記内燃機関を停止させて前記電動機を用いた走行を優先する第一モードでの前記車両の第一出力を示し、
前記第一変数は、前記内燃機関を作動させて走行する第二モードでの前記車両の第二出力を示す
ことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する第五の発明に係る表示装置は、
上記第四の発明に記載の表示装置において、
前記第二変数は、前記第二モードにおいて前記車両の第三出力を示し、
当該第三出力は、前記第二出力とは異なる
ことを特徴とする。
【0016】
上記課題を解決する第六の発明に係る表示装置は、
上記第四又は第五の発明に記載の表示装置において、
前記第一変数が、前記内燃機関の出力を表すパラメーターを含み、
前記第二変数が、前記電動機の出力を表すパラメーターを含む
ことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するの発明に係る表示装置は、
車両の状態が反映される複数の変数の情報を表示する表示装置であって、
前記複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第一変数を指示する指示部とを備え、前記指示部の位置を固定しつつ前記第一変数の変化に応じて前記第一尺度表示部を回転させる第一メーター画像と、
前記複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第二変数を表示する表示部とを備える第二メーター画像と、
を有し、
前記第一メーター画像と前記第二メーター画像とを隣接させてなり、
前記車両が、電動機及び内燃機関を搭載し、
前記第二変数は、前記内燃機関を停止させて前記電動機を用いた走行を優先する第一モードでの前記車両の第一出力を示し、
前記第一変数は、前記内燃機関を作動させて走行する第二モードでの前記車両の第二出力を示し、
前記第二メーター画像は、
前記電動機の回生電力の大きさを表す第一領域と、
前記第一領域よりも高出力側に隣接して配置されて前記電動機の力行時の出力範囲を表す第二領域と、を含み、
前記第二領域には、当該第二領域内の高出力側に配置されて前記内燃機関が始動する可能性が高い出力範囲を示す第三領域が設けられている
ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、車両の状態が反映される情報を分かり易く表示する表示装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】ハイブリッド車両を説明するブロック図である。
図2】本発明に係る表示装置の実施形態の一例を示す図であって、車両システムオンのときの表示を示す図である。
図3図2に示した表示装置において、車両システムオン後の走行可能状態のときの表示を示す図である。
図4図2に示した表示装置において、電動機出力モードのときの表示を示す図である。
図5図2に示した表示装置において、エンジン始動後の表示を示す図である。
図6図2に示した表示装置において、回生のときの表示を示す図である。
図7図2に示した表示装置を含む表示システムを示す図である。
図8】実施例2の車両用表示装置が適用された車両のネットワーク図である。
図9】実施例2の車両用表示装置が適用された車両の車室内を示す斜視図である。
図10】実施例2のディスプレイの表示例(二次元CG)である。
図11】実施例2のディスプレイの表示例(三次元CG)である。
図12】実施例2のディスプレイECUの機能を説明するためのブロック図である。
図13】(A)~(D)は実施例2における第一,第二メーター画像の動きを説明するための図である。
図14】(A),(B)は実施例2におけるディスプレイ表示の変形例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る表示装置の実施形態について、図1図14を参照して説明を行う。なお、ここでは、ハイブリッド車両を例示して説明を行うが、表示装置の適用対象はこれに限定されない。表示装置の適用対象は、例えば外部からの商用電源で駆動用のバッテリーを充電可能なプラグインハイブリッド車両であってもよいし、エンジン(内燃機関)のみを有するエンジン車両であってもよい。
【0021】
[1.実施例1]
本実施例の表示装置の構成について、図1図7を参照して説明する。
【0022】
図1に示すように、ハイブリッド車両10は、走行用の駆動力源として、モーター11(電動機)とエンジン12(内燃機関)とを有している。モーター11は、前輪または後輪を駆動する構成としてもよく、モーター11を複数設けて、前輪及び後輪を各々駆動する構成としてもよい。また、エンジン12も、前輪または後輪を駆動する構成としてもよく、前輪及び後輪を駆動する構成としてもよい。また、ハイブリッド車両10は、エンジン12により駆動されて発電を行うジェネレーター(図示省略)を有していてもよい。
【0023】
ハイブリッド車両10は、その走行モードとして、エンジン12を停止させてモーター11を用いた走行(駆動輪の駆動)を優先する(エンジン12での走行よりもモーター11での走行を優先する)電動機出力モード(第一モード,EVモード)と、エンジン12を作動させ、例えば、モーター11及びエンジン12を用いた走行を行う内燃機関出力モード(第二モード,HVモード)とを有している。
【0024】
また、ハイブリッド車両10は、制御部であるECU(Electronics Control Unit)20を有している。ECU20は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、入出力回路などからなり、モーター11及びエンジン12と電気的に接続される。また、ECU20は、モーター11に電力を供給する駆動用のバッテリー13、車速を検出する車速センサー14、アクセル開度を検出するアクセル開度センサー15などとも電気的に接続されている。このように、ECU20には、ハイブリッド車両10の情報表示に必要な機器が電気的に接続されて、その信号値が入力されている。
【0025】
例えば、ECU20には、モーター11からの信号値(モーター回転数など)やエンジン12からの信号値(オン/オフ、エンジン回転数など)が入力されるとともに、さらに、バッテリー13からの信号値(SOC(State of Charge)、電池出力など)や車速センサー14及びアクセル開度センサー15の信号値なども入力されている。
【0026】
ハイブリッド車両10は、さらに、図2図6で説明する第一表示装置40を含む表示システム30を有している。表示システム30については、図7を参照して後述するが、表示システム30は、ECU20と電気的に接続されており、運転者に必要なハイブリッド車両10の情報を表示している。この表示システム30としては、液晶パネルなどからなるデジタルメーターなどが好適である。なお、ここでは、第一表示装置40は表示システム30に含まれているが、第一表示装置40は独立した1つの装置としてもよい。
【0027】
第一表示装置40は、ハイブリッド車両10の状態が反映される複数の変数の情報を表示しており、この複数の変数は、本実施例では、ハイブリッド車両10の走行に関する出力である。この出力は、ECU20に入力された信号値に基づいて演算処理が行われることによって求められ、この演算処理された演算値が出力として、第一表示装置40に入力される。
【0028】
第一表示装置40は、図2図6に示すように、第一メーター画像41と第二メーター画像44とを有し、これらを隣接して表示している。第一メーター画像41及び第二メーター画像44は、ともに、リング(または筒)形状に描画されており、これらを一体に表示している。言い換えると、縦にした2つのリング(筒)を隣接させて一体に表示している。このような表示とすることにより、第一表示装置40の省スペース化が図られるとともに、第一メーター画像41及び第二メーター画像44の双方の情報(後述する第一尺度表示部42、指示部43、第二尺度表示部45、表示部46など)を包括して把握することができる。なお、ここでは、縦にした2つのリングを右斜め前方から見た形状として描画しているが、正面からみた形状として描画してもよい。
【0029】
第一メーター画像41は、複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部42と、車両の状態に応じて変化する第一変数を指示する指示部43とを備えている。ここでは、第一変数は、エンジン12を作動させて走行するときの走行出力、すなわち、上記の内燃機関出力モードでの走行出力(エンジン出力,第二出力)である。
【0030】
指示部43は、第一メーター画像41の上下方向における中央部分に所定の配色(以降、第一配色)で表示されている。そして、指示部43の位置を固定しつつ、第一変数の変化に応じて第一尺度表示部42を変動させることで、指示部43で第一変数を指示するようにしている。ここでは、指示部43は指針からなり、第一尺度表示部42は第一変数の大きさを示す目盛と目盛数字とからなる。そして、現在の第一変数の大きさを示す第一尺度表示部42の目盛の位置を、指示部43の指針の位置に回転移動することで、指示部43で現在の第一変数の大きさを指示するようにしている。
【0031】
この第一尺度表示部42において、その目盛及び目盛数字は立体的に描画されている。また、第一尺度表示部42の回転とは、運転者の視覚的に、第一尺度表示部42に表示された目盛及び目盛数字がリング(または筒)形状の第一メーター画像41の表面を回転するように移動して表示されることを意味している。
【0032】
第一尺度表示部42では、目盛数字「0」から下方側に離れた位置に「OFF」が表示されている。この「OFF」は、ハイブリッド車両10が走行可能ではないことを示す表示である。また、目盛数字「0」は、ハイブリッド車両10が走行可能状態であることを示すとともに、第一変数がゼロであること、つまり、エンジン12が停止していることを示す表示である。
【0033】
ここでは、図2に示すように、指示部43の指針の位置に「OFF」が位置するとき、第一メーター画像41の最上部に目盛数字「0」が表示されるようにしており、また、図3に示すように、指示部43の指針の位置に「0」が位置するとき、第一メーター画像41の最下部に「OFF」が表示されるようにしている。
【0034】
エンジン12が始動する際には、エンジン始動前に「0」を指示していた指示部43の位置に、現在の第一変数を示す目盛が移動してくるように、第一尺度表示部42が回転する。例えば、第一変数をエンジン回転数とし、エンジン始動後にアイドリング時のエンジン回転数になるとすると、エンジン始動の前後において、指示部43が指示する目盛が「0」から例えば700~1000[rpm]の目盛へ回転することになる。このように、エンジン12の始動の際には、短時間の内に第一尺度表示部42が回転することになり、運転者に対しては、躍動感のある動きとして表示することになる。
【0035】
エンジン12が始動した後は、第一変数の変化に応じて、第一尺度表示部42を回転して、指示部43で現在の第一変数を指示することになる。このとき、指示部43より下方側の第一尺度表示部42の部分である配色部42aに所定の配色(以降、第二配色)を施すことにより、指示部43で指示している現在の第一変数を、運転者が視認しやすくなるようにしている。この第二配色は、上述した指示部43の第一配色とは異なる。
【0036】
第一変数としては、エンジン出力に限定されるものではなく、例えば、エンジン12のエンジン回転数、エンジン12の作動による動力(仕事率)などのパラメーターが使用可能である。
【0037】
なお、上述した第一変数は、運転者が選択可能な構成にしてもよい。例えば、後述の図7で説明する表示システム30の第五表示装置80に、第一変数を選択する選択画面(図示省略)を設け、この選択画面で第一変数を選択することにより、内燃機関出力モードでの走行出力として、上述したパラメーターの中から1つのパラメーターを選択するようにすればよい。
【0038】
例えば、第一変数としてエンジン12の回転数を使用する場合には、第一メーター画像41は、所謂、タコメーターとして機能することになる。そして、エンジン回転数を第一尺度表示部42及び指示部43で表示した場合には、例えば、触媒の暖気等でエンジン12が作動している場合であっても、運転者は、そのような走行以外の用途のためのエンジン12の作動を容易に把握することができる。
【0039】
第二メーター画像44は、複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部45と、車両の状態に応じて変化する第二変数を表示する表示部46とを備えている。ここでは、第二変数は、モーター11の出力(モーター出力)であり、走行時には、モーター11を用いて走行するときの走行出力、すなわち、電動機出力モードでの走行出力であり、また、回生時には、モーター11の回生電力である。なお、電動機出力モード(第一モード)での第二変数は、例えばモーター出力(第一出力)を表し、内燃機関出力モード(第二モード)での第二変数は、例えばバッテリー出力(第三出力)を表す。第二メーター画像44においては、EV走行(第一モード)の際にはモーター出力が表示され、HV走行(第二モード)の際には原則的にはバッテリー出力が表示される。
【0040】
そして、図4に示すように、第二メーター画像44では、表示部46は立体的に描画された帯状図形の画像であり、第二変数の大きさに応じて、表示部46の帯状図形の長さ(図中の縦方向の長さ)を変化させることで、現在の第二変数の大きさを表示するようにしている。そのため、第二変数が大きくなれば、それに従って、表示部46の帯状図形が長くなる。逆に、第二変数が小さくなれば、それに従って、表示部46の帯状図形が短くなる。このように、表示部46を帯状図形の画像とすることにより、その視覚性が向上する。また、第二尺度表示部45には、表示部46の帯状図形を幅方向(図中の横方向)に横切る線が一定間隔となるように表示される。
【0041】
第一メーター画像41における指示部43の指針は、第二メーター画像44まで延設して表示されている。つまり、指示部43は、第一メーター画像41及び第二メーター画像44の上下方向における中央部分に表示されている。このように、指示部43を第一メーター画像41及び第二メーター画像44の上下方向における中央部分に表示することにより、その意匠性が向上する。
【0042】
この指示部43の指針は、第二メーター画像44においては、表示部46の基準点になっている。例えば、モーター11の走行出力を表示する場合の表示部46は、指示部43の指針を基準点として、これより上方側の第二メーター画像44の領域(後述する第二領域48)に表示され、モーター11の回生電力を表示する場合の表示部46は、指示部43の指針を基準点として、これより下方側の第二メーター画像44の領域(後述する第一領域47)に表示されている。
【0043】
また、表示部46は、第一領域47に表示される場合と第二領域48の表示される場合とで配色を変えており、第一領域47に表示される場合には、表示部46を所定の配色(以降、第三配色)とし、第二領域48に表示される場合には、表示部46を他の所定の配色(以降、第四配色)とし、互いの配色が異なるようにしている。これらの配色は、上述した指示部43の第一配色、配色部42aの第二配色と異なっていてよいし、また、ともに走行出力に関係する表示であることから、配色部42aの第二配色と第二領域48における表示部46の第四配色を同じ色または同系統の色としてもよい。このように、少なくとも、表示部46の配色を領域に応じて変えることにより、走行出力であるのか、回生電力であるのかが、運転者に視認しやすくなる。
【0044】
走行時の第二変数となる電動機出力モードでの走行出力としては、例えば、モーター11の出力、モーター11の回転数、モーター11の作動による動力(仕事率)、バッテリー13の電池出力(モーター11のアシスト電力)などのパラメーターが使用可能である。また、回生時の第二変数となるモーター11の回生電力としては、例えば、モーター11での発電出力、バッテリー13への充電出力などのパラメーターが使用可能である。第二変数をモーター11に関する出力とする場合には、第二メーター画像44は、所謂、EVパワーメーターとして機能することになる。
【0045】
なお、上述した第二変数も、運転者が選択可能な構成にしてもよい。例えば、後述の図7で説明する表示システム30の第五表示装置80に、第二変数を選択する選択画面(図示省略)を設け、この選択画面で第二変数を選択することにより、電動機出力モードでの走行出力や回生時の回生電力として、上述したパラメーターの中からそれぞれ1つのパラメーターを選択するようにすればよい。
【0046】
また、第二メーター画像44は、第一領域47と、第一領域47よりも高出力側に隣接して配置された第二領域48とを有しており、第二領域48には、この第二領域48内の高出力側に配置された第三領域49が設けられている。
【0047】
第一領域47は、モーター11の回生電力の大きさを表す領域であり、第二メーター画像44において、指示部43の指針より下方側の領域である。第一領域47の最下部には、すなわち、第二メーター画像44の最下部には目盛が1つ表示されており、この目盛は最大の回生電力を示すものである。モーター11による回生時には、この第一領域47に上述した表示部46とともに第二尺度表示部45が回生電力に応じて表示される。
【0048】
第二領域48は、モーター11を用いて走行するとき(力行時)の走行出力、すなわち、電動機出力モードでの走行出力の範囲を表す領域であり、第二メーター画像44において、指示部43の指針より上方側の領域である。モーター11による走行時には、この第二領域48に上述した表示部46とともに第二尺度表示部45が走行出力に応じて表示される。
【0049】
この第二領域48は、エンジン12を作動させて走行するとき、すなわち、内燃機関出力モード(第二モード)のときにおいても、モーター11の走行出力を示すようにしてもよい。この場合には、運転者は、ハイブリッド車両10の走行状態に合わせた適切な情報として、モーター11のアシスト出力の情報を得ることができ、モーター11とバッテリー13の余剰出力を確認することができる。なお、この第二モードにおいては、第二領域48にモータ11の回転数、モータ11の作動による動力(仕事率)、バッテリの電池出力(モータ11のアシスト電力)等のパラメータを表示するようにしてもよい。
【0050】
第三領域49は、エンジン12が始動する可能性が高いときの電動機出力モードでの走行出力の範囲を表す領域である。なお、第二領域48内の第三領域49を除いた領域には、目盛は表示されていないが、上述したように、表示部46が表示されると、目盛として機能する第二尺度表示部45が表示されている。
【0051】
ここで、エンジン12を停止させてモーター11を用いた走行を優先する状態は、エンジン12を始動させる複数の条件の全てが成立していない状態である。一方、エンジン12が始動する可能性のある(高い)状態は、エンジン12を始動させる複数の条件のうち少なくとも1つが成立する間際の状態である。この第三領域49は、これらの状態の境界、すなわち、エンジン12を停止させてモーター11を用いた走行を優先する限界領域を所定の幅を以って示すものである。なお、条件によっては、始点目盛49aより下方側の位置、つまり、第二領域48内の第三領域49を除いた領域の範囲内でエンジン12が始動することもある。
【0052】
つまり、第二領域48に含まれる第三領域49は、エンジン12を始動させる複数の条件のうち少なくとも1つが成立しそうでエンジン12が始動する可能性が高まったとき、すなわち、電動機出力モードから内燃機関出力モードへ移行する可能性がある(高い)ときのモーター11の走行出力を示すエンジン始動逼迫領域である。
【0053】
よって、電動機出力モードにおいて、エンジン12が始動する可能性のない(低い)場合には、表示部46は、第二領域48内の第三領域49を除いた領域の範囲内を推移し、一方、エンジン12が始動する可能性のある(高い)場合、すなわち、エンジン12が始動する直前には、表示部46は、第二領域48内の第三領域49の範囲内を推移する。
【0054】
このように、エンジン12が始動する可能性がある出力を示す第三領域49を所定の幅を以って設けたので、エンジン12が始動する際の出力を第三領域49の範囲内に示すことが可能となる。これにより、第二領域48の所定範囲(第二領域48のうち第三領域49を除く箇所)をエンジン12が始動しない領域として示すことができる。加えて、第二領域48内の第三領域49のみに目盛を設けることにより、表示部46でエンジン12が始動する可能性のあることを指し示すことができるので、運転者は、エンジン12が始動し易い状態であることを容易に知ることができる。この結果、ハイブリッド車両10の走行状態が分かり易くなり、すなわち、エンジン始動の可能性の程度が分かり易くなり、運転者は意図する運転がし易くなる。
【0055】
以上説明してきたように、第一メーター画像41では、指示部43の位置を固定しつつ、エンジン12の走行出力(第一変数)の変化に応じて第一尺度表示部42を回転させており、また、第二メーター画像44では、モーター11の出力(第二変数)の変化に応じて表示部46の長さを変化させており、第一メーター画像41と第二メーター画像44とでは、変数に対する表示形態が異なっている。その結果、運転者は、第一表示装置40に表示するエンジン12の走行出力及びモーター11の出力の情報(ハイブリッド車両10の動作状態)を感覚的に把握し易くなる。
【0056】
また、第一メーター画像41では、指示部43の位置を固定しつつ、エンジン12の走行出力の変化に応じて第一尺度表示部42を回転させることにより、内燃機関出力モードでの走行が始まる際には、第一尺度表示部42の躍動感のある動きにより、運転者に対して内燃機関出力モードでの走行をより明確に報知することができる。加えて、第一メーター画像41における配色部42aと第二メーター画像44における表示部46とは表示幅が異なり、第一メーター画像41における配色部42aの表示幅が太くなっており、これによっても、運転者に対して内燃機関出力モードでの走行をより明確に報知することができる。
【0057】
また、第二メーター画像44の第一領域47において、モーター11の回生電力(第二変数)の変化に応じて表示部46の長さを変化させることにより、回生によるバッテリー13の充電が行われる際には、運転者に対して、回生によるバッテリー13への充電状態をより明確に報知することができる。
【0058】
同様に、第二メーター画像44の第二領域48において、モーター11の走行出力(第二変数)の変化に応じて表示部46の長さを変化させることにより、電動機出力モードにおいてエンジン12を始動させずに走行する際には、運転者に対して、電動機出力モードにおいてエンジン12を始動させずに走行していることが視覚的に認識され易くなり、環境に良い走行をしていることを運転者に報知することができる。
【0059】
特に、エンジン12を始動させずに、モーター11で走行する場合には、第一メーター画像41には配色された表示が無い(配色部42aが表示されない)のに対し、第二メーター画像44には、配色された表示部46がその第二領域48に表示されるので、エンジン12を始動させずに、モーター11で走行している状態であることを、運転者により明確に報知することができる。
【0060】
また、表示部46を指示部43より下の第一領域47またはそれより上の第二領域48に表示するとともに、第一領域47と第二領域48とで表示部46を異なる配色とすることにより、運転者に対して、走行出力であるのかまたは回生電力であるのかをより明確に報知することができる。
【0061】
次に、第一表示装置40の動作について、図1図6を参照して説明する。
【0062】
ハイブリッド車両10のイグニッションスイッチを運転者が押すと、第一表示装置40は、まず、図2に示す車両システムオン状態(IG-ON)の表示を行い、その後、走行可能であれば、図3に示す走行可能状態(Ready-ON)の表示を行う。
【0063】
図2に示すように、車両システムオン状態では、第一メーター画像41においては、ハイブリッド車両10が走行可能でないので、指示部43の指針の位置に「OFF」が表示されるとともに、その最上部に目盛数字「0」が表示されるように、第一尺度表示部42が表示される。また、ここでの第二メーター画像44においては、モーター11が回転していないので、第一領域47及び第二領域48のいずれの第二尺度表示部45にも、表示部46が表示されていない。
【0064】
よって、運転者は、第一表示装置40において、第一メーター画像41が指示部43の指針の位置に「OFF」を表示し、第二メーター画像44が表示部46を表示していないことから、車両システムは起動したが、まだ走行可能でないこと(ハイブリッド車両10の状態)を容易に認識することができる。
【0065】
また、図3に示すように、車両システムオン後の走行可能状態では、第一メーター画像41においては、エンジン12は停止状態であるが、モーター11で走行可能な状態であるので、指示部43の指針の位置に目盛数字「0」が表示されるとともに、その最下部に「OFF」が表示されるように、第一尺度表示部42が表示されている。この際、図2で示した第一尺度表示部42を下方に回転するように移動して表示している。また、ここでの第二メーター画像44は、図2に示した車両システムオン状態のときの第二メーター画像44と同じ状態である。
【0066】
よって、運転者は、第一表示装置40において、第一メーター画像41が指示部43の指針の位置に目盛数字「0」を表示し、第二メーター画像44が表示部46を表示していないことから、車両システムが起動して、走行可能状態になったこと(ハイブリッド車両10の状態)を容易に認識することができる。
【0067】
ハイブリッド車両10を運転者が発進させると、ハイブリッド車両10は電動機出力モード(第一モード)での走行を始め、第一表示装置40は、図4に示す電動機出力モードのときの表示を行う。
【0068】
図4に示すように、電動機出力モードでは、第一メーター画像41は、図3に示した走行可能状態のときの第一メーター画像41と同じ状態である。また、ここでの第二メーター画像44においては、モーター11が走行出力しているので、第二尺度表示部45(第二領域48)に表示部46が表示されるとともに、モーター11の走行出力に応じた表示部46の長さが表示される。
【0069】
よって、運転者は、第一表示装置40において、第一メーター画像41が指示部43の指針の位置に目盛数字「0」を表示し、第二メーター画像44が表示部46を表示していることから、ハイブリッド車両10が電動機出力モードで走行していること(ハイブリッド車両10の走行状態)を容易に認識することができる。
【0070】
そして、電動機出力モードでの走行出力が、始点目盛49aを超えない走行出力、すなわち、エンジン12が始動する可能性の低い走行出力である間は、表示部46は、電動機出力モードでの走行出力に応じて、第二領域48内の第三領域49を除いた領域の範囲内を推移する。
【0071】
よって、運転者は、表示部46が第二領域48内の第三領域49を除いた領域の範囲内を推移していることから、電動機出力モードで走行できることを容易に認識し、安心して電動機出力モードでの走行を継続することができる。
【0072】
一方、電動機出力モードでの走行出力が、始点目盛49aを超える走行出力、すなわち、エンジン12が始動する可能性のある走行出力になると、エンジン12が始動するまで表示部46は、電動機出力モードでの走行出力に応じて、第二領域48内の第三領域49の範囲内を推移する。
【0073】
よって、運転者は、所定の幅を有する第三領域49と表示部46とのおおよその位置関係を把握して、ハイブリッド車両10の操作を行うことができるので、例えば、エンジン12を始動させたくない場合には、アクセル開度などを操作して、表示部46が第二領域48内の第三領域49を除いた領域の範囲内へ戻るように操作することができる。
【0074】
そして、電動機出力モードでの走行出力が、例えば、バッテリー13の最大出力を越えると、エンジン12は始動し、ハイブリッド車両10は内燃機関出力モード(第二モード)での走行を始め、第一表示装置40は、図5に示す内燃機関出力モードのときの表示を行う。これは、例えば、ハイブリッド車両10を加速する力行時などが該当し、ハイブリッド車両10は内燃機関出力モードで走行することになる。
【0075】
図5に示すように、内燃機関出力モードでは、第一メーター画像41においては、エンジン12の走行出力に応じて、第一尺度表示部42が回転し、指示部43が第一尺度表示部42の目盛を指示するとともに、指示部43より下方側の第一尺度表示部42に配色部42aを表示することで、エンジン12の走行出力を指示する。また、ここでの第二メーター画像44は、モーター11が走行出力している場合には、図4で示した第二メーター画像44と同様に、第三出力としてモーター11の走行出力に応じた表示を行う。或いは、モーター11の走行出力に代えて、第三出力としてバッテリの電池出力(モータ11のアシスト電力)の表示を行ってもよい。
【0076】
よって、運転者は、内燃機関出力モードでの走行が始まる際の第一尺度表示部42の躍動感のある動きと配色部42aの表示により、ハイブリッド車両10が電動機出力モードから内燃機関出力モードへ移行したことを容易に認識することができる。また、第一尺度表示部42において、指示部43が目盛数字「0」より大きい目盛を指示するとともに、配色部42aが表示されていることから、ハイブリッド車両10が内燃機関出力モードで走行していること(ハイブリッド車両10の走行状態)を容易に認識することができる。
【0077】
ところで、内燃機関出力モードでの走行時において、ハイブリッド車両10を減速する場合には、モーター11は、回生ブレーキとして機能するように構成されている。つまり、ハイブリッド車両10を減速する回生時に、回生ブレーキの際のモーター11の発電により、バッテリー13への充電が行われることになる。このような場合、第一表示装置40は、図6に示す回生時の表示を行う。
【0078】
図6に示すように、回生時には、第一メーター画像41は、図5で示した第一メーター画像41と同様に、エンジン12の走行出力に応じた表示を行う。また、ここでの第二メーター画像44においては、第二領域48ではなく、第一領域47に表示部46が表示されるとともに、モーター11の回生電力に応じた表示部46の長さで表示する。
【0079】
よって、運転者は、第二領域48ではなく、第一領域47に表示部46が表示されていることから、回生ブレーキの際のモーター11の発電により、バッテリー13への充電が行われることを容易に認識することができるとともに、第一領域47における表示部46の長さから、モーター11の回生電力を把握することができる。
【0080】
また、運転者は、第二領域48ではなく、第一領域47に表示部46が表示されていることから、ハイブリッド車両10が内燃機関出力モードにおいてエンジン12のみを作動して走行していること(ハイブリッド車両10の走行状態)を容易に認識することができる。
【0081】
以上説明したように、第一表示装置40によれば、第一メーター画像41に内燃機関出力モードでの走行出力に応じて回転する第一尺度表示部42が表示され、第二メーター画像44の第二領域48(第三領域49を含む)に電動機出力モードでの走行出力に応じて変化する表示部46が表示され、第二メーター画像44の第一領域47に回生電力に応じて変化する表示部46が表示されているので、運転者はこれらの変化を把握することで、ハイブリッド車両10の走行状態を容易に判断することができる。よって、運転者は、ハイブリッド車両10の走行状態を正しく把握し、意図する運転を実現し易くなる。
【0082】
なお、本実施例では、ハイブリッド車両を例にとって、表示装置の実施形態を説明したが、本発明に係る表示装置は、エンジン車両にも適用可能である。その場合、上述した第二メーター画像44の第一領域47及び第三領域49は不要となるが、第一メーター画像41及び第二メーター画像44の第二領域48は上述したように表示される。このエンジン車両の場合、第一メーター画像41で表示する第一変数は、例えば、エンジン回転数であり、第二メーター画像44で表示する第二変数は、例えば、速度であり、エンジン車両の状態が反映される複数の情報を分かり易く表示することになる。
【0083】
次に、図2図6に示した第一表示装置40を含む表示システム30の一例を図7に示す。
【0084】
図7に示すように、表示システム30は、上述した第一表示装置40に加えて、第二表示装置50、第三表示装置60、第四表示装置70及び第五表示装置80を有している。第二表示装置50はバッテリー13のSOCを表示し、第三表示装置60はハイブリッド車両10の車速を表示し、第四表示装置70はハイブリッド車両10の燃料残量を表示し、第五表示装置80はハイブリッド車両10に関する種々の情報、例えば、警告、サービスリマインダ、平均燃費、EV航続可能距離、エネルギーフローなどの多種多様な情報を表示するものである。さらに、第五表示装置80には、上述した選択画面や地図情報、オーディオ情報なども表示するようにしてもよい。
【0085】
表示システム30において、第二表示装置50は、上述した第一表示装置40の第一メーター画像41と同様の構成を用いて、車速を表示しており、縦にした1つのリング(筒)を左斜め前方から見た形状として描画している。つまり、第一表示装置40とは線対称的な形状で表示している。なお、第二表示装置50も、正面からみた形状として描画してもよい。近年は、車両の高機能化に伴い、車両の多種多様な情報を運転者に提供する必要があるが、第一表示装置40及び第二表示装置50を上述した形状とすることにより、第一表示装置40と第二表示装置50との間のスペースを広く確保することができる。その結果、多種多様な情報を表示する第五表示装置80に多くの情報を表示することができる。
【0086】
[2.実施例2]
本実施例の表示装置の構成について、図8図14を参照して説明する。
本実施形態としての車両用表示装置は、図8に示す車両109に適用される。この車両109は、エンジン102と走行用モーター103と走行用バッテリー104を搭載したハイブリッド自動車である。これらの装置は車載の車両制御系ネットワークに介装された、PHEV-ECU105(Plugin Hybrid Electric Vehicle Electronic Control Unit)やバッテリーECU106(BMU),エンジンECU(Eng-ECU),モーターECU(MCU)などの電子制御装置(コンピューター)によって制御される。
【0087】
車両109の走行モードは、第一モードと第二モードとの二種類である。第一モードは走行用モーター103のみの駆動力で車両109を走行させるモード(電動機出力モード,EVモード)であり、第二モードはエンジン102及び走行用モーター103の各駆動力を併用して車両109を走行させるモード(内燃機関出力モード,HVモード)である。第一モードは、おもに低速走行時や低負荷走行時(例えば車両109の発進時)に設定され、第二モードは、おもに高速走行時や高負荷走行時に設定される。
【0088】
いずれの走行モードにおいても、走行用モーター103の惰性回転時には回生発電が実施され、走行用バッテリー104が充電される。走行用モーター103の力行時の出力値を正とすれば、回生電力量は負の値を持つモーター出力とみなせる。したがって、回生発電量は、モーター出力と同一の数直線上に表すことができる。
【0089】
車両109の車室内には、乗員に視覚情報を提供するためのディスプレイ101が設置される。ディスプレイ101は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイなどの表示装置であり、車室内における任意の位置に配置される。本実施形態のディスプレイ101は、図9に示すように、少なくとも運転者の前方(ステアリングの前方)や車両中央前方(運転席及び助手席の中間における前方)など、運転者から見やすい位置に設定される。なお、助手席に着座する乗員や後部座席の乗員から見やすい位置にディスプレイ101を配置してもよいし、複数のディスプレイ101を車室内に設置してもよい。
【0090】
情報系ネットワークには、ナビゲーションECU107やディスプレイECU110などの電子制御装置が接続される。ディスプレイ101は、これらのナビゲーションECU107,ディスプレイECU110の出力装置として機能し、例えば車速情報,燃料情報,バッテリー情報,駆動力情報,走行距離情報,時刻情報,地図情報,経路案内情報などが表示されうる。車両109にオーディオ制御装置やインターネット接続制御装置などが搭載されている場合には、それらの出力装置としてディスプレイ101を活用してもよい。
【0091】
車両制御系ネットワーク及び情報系ネットワークは、ゲートウェイ108を介して連結される。ゲートウェイ108は、信号レベルや通信速度,通信プロトコルなどの異なる、複数のネットワーク間での通信を橋渡しする信号変換装置である。本実施形態のディスプレイECU110は、ゲートウェイ108を介してPHEV-ECU105やバッテリーECU106、Eng-ECU、MCUでの演算結果を取得する。例えば、走行用モーター103の出力(モーター出力),エンジン102の出力,エンジン回転数,走行用バッテリー104の残量(SOC; State Of Charge),航続可能距離などの情報が随時、ディスプレイECU110に入力されるようになっている。
【0092】
ディスプレイECU110には、図示しないプロセッサ(中央処理装置),メモリ(メインメモリ,主記憶装置),補助記憶装置などが内蔵され、内部バスを介して互いに通信可能に接続される。プロセッサは、制御ユニット(制御回路)や演算ユニット(演算回路),キャッシュメモリ(レジスタ群)などを内蔵する中央処理装置である。また、メモリは、プログラムや作業中のデータが格納される記憶装置であり、例えばROM(Read Only Memory),RAM(Random Access Memory)がこれに含まれる。補助記憶装置は、メモリよりも長期的に保持されるデータやファームウェアが格納されるメモリ装置であり、例えばフラッシュメモリやEEPROMなどの不揮発性メモリがこれに含まれる。
【0093】
ディスプレイECU110は、車両109に関するパラメーター情報(車両109の状態が反映される変数の情報)をディスプレイ101に表示するインフォグラフィックス提示機能を持つ。ここでは各種変数の情報が、数直線の目盛と針とを組み合わせた画像で表示される。本実施形態のディスプレイECU110は、平面的な二次元CG(Computer Graphics)と立体的な三次元CGとのインフォグラフィックスを提示する機能を持つ。これらの種類は、乗員の好みに応じて随時変更可能とされ、かつ、車両109の走行状態に応じて(所定の条件が成立した場合に)切り替え可能とされる。
【0094】
図10は、二次元CGによるディスプレイ101の表示例である。図10中の左側に描画されている画像はパワーメーター120であり、右側の画像はスピードメーター127である。パワーメーター120にはモーター出力とエンジン回転数とが隣接状態で表示され、スピードメーター127には車速のみが表示される。いずれのメーター120,127においても、円弧状に配置された目盛(数直線の目盛)の位置が固定され、出力や車速の値に応じた角変位で針が回転移動するように描画される。針が指し示す目盛を数直線上から読み取ることで、各パラメーターの値を把握することができる。
【0095】
パワーメーター120の左半分の領域はモーターまたは走行用バッテリー出力ゲージ121(以下、モーター出力ゲージ121とも表記する)であり、右半分の領域はエンジン回転数ゲージ122である。モーター出力ゲージ121には、回生領域123と力行走行領域124と第一可動針126とが設けられる。エンジン回転数ゲージ122には、エンジン回転数を表す第三可動針126Aが設けられる。EV走行中は、第三可動針126Aが0を指している。また、HEV走行中には、第一可動針126がモーター出力または電池出力を表示している。
【0096】
モーター出力ゲージ121の回生領域123は、回生電力量に相当する負のモーター出力が第一可動針126の角変位で表現される領域である。力行走行領域124は、第一モード時におけるモーター出力が第一可動針126の角変位で表現される領域である。力行走行領域124のうち、高出力側の部位はエンジン併用領域125となっている。エンジン併用領域125とは、エンジン12が始動しうる出力範囲(エンジン12が始動する可能性が高い出力の範囲)を示す。
【0097】
エンジン併用領域125では、所定の走行条件に応じてエンジン12が始動することがあり、車両19の走行モードが第一モードから第二モードへと移行しうる。このとき、エンジン回転数が第三可動針126Aの角変位で表現される状態となる。乗員は、第三可動針126Aが0を指しているか否かを確認することで、車両109の走行状態が第一モードなのか第二モードなのかを判断することができる。
【0098】
スピードメーター127には、車速ゲージ128と第二可動針129とが設けられる。車速ゲージ128は、第二可動針129の角変位で車速が表現される領域である。なお、図10に示すようなアナログメーターを模した画像に加えて(またはこれに代えて)、デジタルメーターを模した画像を表示してもよい。あるいは、乗員の好みに応じてアナログメーター表示とデジタルメーター表示とを随時変更可能としてもよい。
【0099】
図11は、三次元CGによるディスプレイ101の表示例である。図11中の左端には三次元パワーメーター130が表示され、右端には三次元スピードメーター140が表示される。これらの三次元メーター130,140は二次元CGの場合と比較して幅方向の寸法が小さく、必要な情報がコンパクトにまとめられている。三次元メーター130,140に挟まれた画面中央部には、ナビゲーションECU107による経路案内や地図などのナビ画面143が表示される。
【0100】
三次元パワーメーター130には、モーター出力ゲージ121に相当する第一メーター画像131と、エンジン回転数ゲージ122に相当する第二メーター画像132とが設けられる。第一メーター画像131及び第二メーター画像132は、ポリゴンの表面(仮想的な立体物の表面)を利用して車両109に関するパラメーター情報を表示するアニメーション画像である。好ましくはそのポリゴンとして円柱や角柱などの柱体が利用され、より好ましくはその柱面(側面部分)が利用される。図11に示す第一メーター画像131及び第二メーター画像132は、円筒状のポリゴンの表面に描画されている。第一メーター画像131が描画される円筒面は第二メーター画像132が描画される円筒面と同軸であって、半径もほぼ同一である。したがって、第一メーター画像131及び第二メーター画像132は、一つの円筒面の上に一体表示されることになる。
【0101】
第一メーター画像131は、数直線の目盛が固定されるとともに針が移動するメーターの画像である。この第一メーター画像131は、指し示されるパラメーターの変動範囲が比較的狭い場合や、その変動範囲の全体に対するパラメーター値の位置関係(割合や相対値)を示したい場合に用いて好適である。第一メーター画像131で表示されるパラメーターの具体例としては、モーター出力,走行用バッテリー104の残量(SOC),燃料の残量などの情報が挙げられる。
【0102】
なお、実施例2における第一メーター画像131は、実施例1における第二メーター画像44に相当する。同様に、実施例2における第二メーター画像132は、実施例1における第一メーター画像41に相当する。
【0103】
第一メーター画像131を用いることで、パラメーター値の相対的な大きさを直感的に把握しやすくなる。例えば、走行用バッテリー104の残量を第一メーター画像131で表現することで、その残量自体だけでなく、充電ステーションで満充電状態にするための充電量,充電時間,充電コスト等の付加情報(走行用バッテリー104の残量と相補的な関係にある電力消費量の情報や、それに付随する情報)を視覚的に把握しやすくなる。
【0104】
これに対して、第二メーター画像132は、針が固定されるとともに数直線の目盛が移動(回転)するメーターの画像である。この第二メーター画像132は、指し示されるパラメーターの変動範囲が比較的広い場合や、そのパラメーター値の大きさ(絶対値)を示したい場合に用いて好適である。第二メーター画像132で表示されるパラメーターの具体例としては、エンジン回転数,航続可能距離,車速などの情報が挙げられる。第二メーター画像132を用いることで、そのパラメーター値を正確に把握しやすくなる。本実施形態の第二メーター画像132は、柱面に描かれた目盛の基準位置がわかるように、柱体の頂面144(または底面)に描かれた記号が見える角度で表示される。
【0105】
図11に示す第一メーター画像131には、円筒面に固定されたように描画されるモーターまたは走行用バッテリー出力ゲージ133(以下、モーター出力ゲージ133とも表記する)と、その表面を摺動するように描画される可動針137とが含まれる。モーター出力ゲージ133(第一尺度表示部)とは、車両109の状態が反映される複数の変数の一つである第一変数の尺度を表示する画像である。本実施形態の第一変数は、モーター出力(あるいは走行用バッテリーの出力)である。また、可動針137(第一指示部)とは、車両109の状態に応じて変化する第一変数の値を指し示す画像である。モーター出力ゲージ133に示される尺度と可動針137が指示する位置とを対応させることで、その時点のモーター出力の大きさが把握される。第一メーター画像131では、モーター出力ゲージ133が固定された状態で可動針137が移動する。
【0106】
モーター出力ゲージ133には、回生領域134(第一領域)と力行走行領域135(第二領域)とが設けられる。力行走行領域135は、走行用モーター103の力行時の出力範囲を表す領域であり、回生領域134よりも高出力側に隣接して配置される。この力行走行領域135には、エンジン102が始動しうる出力範囲(エンジン102が始動する可能性が高い出力の範囲)を示すエンジン併用領域136(第三領域)が含まれる。エンジン併用領域136は、力行走行領域135のうち、より高出力側の位置に配置される。これらの領域134~136は、二次元のパワーメーター120における領域124~126に相当する。
【0107】
第二メーター画像132には、回転する円筒の筒面に描画される可動ゲージ138(第二尺度表示部)と、固定された位置に描画される固定針139(第二指示部)とが含まれる。可動ゲージ138とは、車両109の状態が反映される複数の変数の一つである第二変数の尺度を表示する画像である。可動ゲージ138には、目盛用の数字が表記される。本実施形態の第二変数は、エンジン回転数(あるいはエンジンの出力)である。また、固定針139は、車両109の状態に応じて変化する第二変数の値を指し示す画像である。可動ゲージ138に示される尺度と固定針139が指示する位置とを対応させることで、その時点のエンジン回転数の大きさが把握される。第二メーター画像132では、固定針139が固定された状態で可動ゲージ138が回転する。なお、モーター出力ゲージ133,可動ゲージ138は、筒状(同一の筒面上)に描画されて一体に表示される。
【0108】
三次元スピードメーター140には、回転する円筒の筒面に描画される車速可動ゲージ141と、固定された位置に描画される第二固定針142とが含まれる。この三次元スピードメーター140では、第二固定針142が固定された状態で車速可動ゲージ141が回転する。車速可動ゲージ141に示される尺度と第二固定針142が指示する位置とを対応させることで、その時点の車速の大きさが把握される。
【0109】
図12は、ディスプレイECU110の機能を説明するためのブロック図である。ディスプレイECU110には、第一算出部111,第二算出部112,描画部113が設けられる。これらの要素は、ディスプレイECU110での制御内容を便宜的に分類して示したものであり、個々の要素を独立したプログラムとして記述してもよいし、二つの機能を兼ね備えた複合プログラムとして記述してもよい。
【0110】
第一算出部111は、第一メーター画像131における可動針137の位置を算出するものである。可動針137の位置は、例えばモーター出力,走行用バッテリー104の残量(SOC),燃料の残量など(第一メーター画像131で示される第一変数)の値に対応するように算出される。本実施形態では、モーター出力ゲージ133が刻まれる仮想的な筒面(第一筒面)に沿った可動針137の移動量が算出される。一方、第二算出部112は、第二メーター画像132における可動ゲージ138の位置を算出するものである。可動ゲージ138の位置は、例えばエンジン回転数,航続可能距離,車速など(第二メーター画像132で示される第二変数)の値に対応するように算出される。本実施形態では、可動ゲージ138が刻まれる仮想的な筒面(第二筒面)を有する柱体の回転角が算出される。
【0111】
なお、実施例2における可動針137の位置は、実施例1における表示部46の上端部に相当する。したがって、実施例1との関係でいえば、第一算出部111は、第二尺度表示部45と表示部46とを含む第二メーター画像44を生成する機能を持つ。同様に、第二算出部112は、第一尺度表示部42と指示部43とを含む第一メーター画像41を生成する機能を持つ。
【0112】
描画部113は、第一メーター画像131と第二メーター画像132とを隣接させて描画するものである。図11に示すように、第二メーター画像132は、その第二メーター画像132が描かれる柱体の頂面144が見える角度で描画される。この頂面144には、柱面に描かれた目盛の基準位置(例えば、0,1000,2000[rpm]といった切りのいい値に対応する位置)を表す線や記号が描画される。これにより、第二メーター画像132の可動ゲージ138の回転角や回転の様子が把握しやすくなる。
【0113】
図13(A)~(D)は、第一メーター画像131及び第二メーター画像132の動き(アニメーション)を説明するための図である。車両109のエンジン102及び走行用モーター103が作動していない停止時には、図13(A)に示すように、第一メーター画像131の可動針137が初期位置(モーター出力がゼロの位置)に描画されるとともに、第二メーター画像132の可動ゲージ138も初期位置(エンジン回転数がゼロの位置)に描画される。このとき、車両109の走行モードは第一モードであり、乗員がアクセルペダルを踏み込むと走行用モーター103のみの駆動力で走行を開始する。第一メーター画像131の可動針137は、図13(B)に示すように、モーター出力ゲージ133の表面に沿ってモーター出力の値を表す位置へと移動する。可動針137の見かけの移動方向は、図中に破線の白抜き矢印で示すように上方向となる。
【0114】
乗員がアクセルペダルをさらに踏み込むと、図13(C)に示すように、可動針137がさらに上方向へと移動し、力行走行領域135を脱してエンジン併用領域136へと進入する。ここで所定の走行条件が成立すると、エンジン102が始動する。これを受けて第二メーター画像132の可動ゲージ138が回転移動し、図13(D)に示すように、エンジン回転数の値が固定針139の位置に一致するように描画される。可動ゲージ138の見かけの移動方向は、図中に破線の白抜き矢印で示すように下方向となる。このように、第二メーター画像132における可動ゲージ138の回転方向は、第一メーター画像131における可動針137の回転方向とは逆方向となる。
【0115】
図14(A)は、走行用バッテリー104の残量(SOC)と航続可能距離とを隣接表示する場合の表示例である。残量(SOC)は第一メーター画像131として描画されることが好ましく、航続可能距離は第二メーター画像132として描画されることが好ましい。また、図14(B)は、三つ以上のパラメーターの値を隣接表示する場合の表示例である。この場合、針が移動するメーター画像が複数存在する場合には、これらを隣接させないことが好ましい。同様に、目盛が移動するメーター画像同士についても隣接させないことが好ましい。
【0116】
(1)図11に示すように、モーター出力ゲージ133が固定された状態で可動針137が移動する第一メーター画像131と、固定針139が固定された状態で可動ゲージ138が回転移動する第二メーター画像132とを隣接表示することで、表示領域をコンパクトにまとめつつ、モーター出力(第一変数)及びエンジン回転数(第二変数)の読み間違いを防止することができる。これにより、車両109の状態を表す変数情報の読み取りやすさや理解しやすさを向上させることができ、情報の伝達効率を改善することができる。このように、ユーザーフレンドリーなUIを提供することができ、利便性を向上させることができる。
【0117】
なお、第一メーター画像131では、パラメーター値の相対的な大きさを直感的に伝達することが容易となる。例えば、現在のモーター出力の値だけでなく、アクセルペダルをどの程度踏み込めばエンジン102が始動しうるのか(走行用モーター103が単独で車両109を走行させうる能力であって、モーター出力の余力)を直感的に伝えることができる。一方、第二メーター画像132は、パラメーター値の大きさ(絶対値)を正確に伝えることができる。
【0118】
(2)図11に示すように、上記の三次元パワーメーター130では、モーター出力ゲージ133と可動ゲージ138とが筒状に描画されて一体に表示される。これにより、メーター画像の幅を小さくすることができ、他の情報(例えば、ナビゲーションECU107による経路案内や地図など)の表示領域を確保することができる。
(3)上記の三次元パワーメーター130では、モーター出力ゲージ133及び可動ゲージ138のうち、可動ゲージ138のみに目盛用の数字が表記されている。このように、隣接する一方の尺度(モーター出力ゲージ133)を領域表示とし、他方の尺度(可動ゲージ138)を数値表示とすることで、隣接する二種類の情報が差別化(明確に区別)され、情報認識が容易となる。したがって、変数情報の読み取りやすさや理解しやすさをさらに向上させることができ、情報の伝達効率を改善することができる。
(4)また、モーター出力とエンジン回転数(エンジン出力)とを隣接配置することで、車両109の全体の出力状態やエンジン102及び走行用モーター103の作動状態を一目で把握しやすくなり、利便性を向上させることができる。
【0119】
(5)図14(A)に示すように、バッテリー残量(SOC)と航続可能距離とを隣接配置することで、走行用バッテリー104の給電能力や車両9のEV航続可能距離を一目で把握しやすくなり、利便性を向上させることができる。
【0120】
(6)図14(B)に示すように、針が移動するメーター画像同士が互いに隣接しないように配置することで、各メーターの読み間違いを防ぐことができ、利便性を向上させることができる。
(7)同様に、目盛が移動するメーター画像同士が互いに隣接しないように配置することで、各メーターの読み間違いを防ぐことができ、利便性を向上させることができる。
【0121】
(8)上記のディスプレイECU110では、第一算出部111が、第一メーター画像131の目盛(モーター出力ゲージ133)が刻まれる仮想的な筒面に沿った可動針137の移動量を算出している。これにより、可動針137を三次元的に移動させることができ、第一メーター画像131の美観や見栄えを向上させることができる。同様に、第二算出部112は、第二メーター画像132の目盛(可動ゲージ138)が刻まれる、仮想的な筒面の回転角を算出している。これにより、可動ゲージ138を三次元的に移動させることができ、第二メーター画像132の美観や見栄えを向上させることができる。
【0122】
(9)図11に示すように、第二メーター画像132側の頂面144が見えるようにすることで、第二メーター画像132の可動ゲージ138の回転角や回転の様子が視覚的にわかりやすくすることができる。これにより、情報の伝達効率を改善することができる。
【0123】
なお、上記の実施形態はあくまでも例示に過ぎず、本実施形態で明示しない種々の変形や技術の適用を排除する意図はない。本実施形態の各構成は、それらの趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。また、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせることができる。
【0124】
例えば、上述の実施形態では、円柱の柱面に第一メーター画像131及び第二メーター画像132が描画されたような三次元パワーメーター130を例示したが、角柱の柱面に三次元パワーメーター130を描画してもよいし、柱面以外の曲面上に三次元パワーメーター130を描画してもよい。少なくとも、モーター出力ゲージ133(第一尺度表示部)を固定しつつ可動針137(第一指示部)を移動させる第一メーター画像131と、固定針139(第二指示部)を固定しつつ可動ゲージ138(第二尺度表示部)を回転させる第二メーター画像とを隣接表示することで、上述の実施形態と同様の作用効果を奏するものとなる。
【0125】
[3.付記]
上記の変形例を含む実施形態に関し、以下の付記を開示する。
(付記1~7:表示方法)
(付記1)
車両の状態が反映される複数の変数の情報をディスプレイに表示する表示方法であって、
前記複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第一変数を指示する指示部とを備え、前記指示部の位置を固定しつつ前記第一変数の変化に応じて前記第一尺度表示部を回転させる第一メーター画像を表示するとともに、
前記複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第二変数を表示する表示部とを備える第二メーター画像を表示し、
前記第一メーター画像と前記第二メーター画像とを隣接させて表示する
ことを特徴とする、表示方法。
【0126】
(付記2)
前記指示部が、前記第二メーター画像における前記表示部の基準点である
ことを特徴とする、付記1記載の表示方法。
(付記3)
前記指示部が、前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像の上下方向における中央部分に表示される
ことを特徴とする、付記1または2記載の表示方法。
【0127】
(付記4)
前記表示部が、帯状図形の画像である
ことを特徴とする、付記1~3のいずれか1つに記載の表示方法。
(付記5)
前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像を、筒状に描画して一体に表示する
ことを特徴とする、付記1~4のいずれか1つに記載の表示方法。
【0128】
(付記6)
前記車両が、走行用のモーター及びエンジンを搭載し、
前記第一変数が、前記エンジンの回転数を表すパラメーターを含み、
前記第二変数が、前記モーターの出力を表すパラメーターを含む
ことを特徴とする、付記1~5のいずれか1つに記載の表示方法。
【0129】
(付記7)
前記第二メーター画像が、
前記モーターの回生電力の大きさを表す第一領域と、
前記第一領域よりも高出力側に隣接して配置されて前記モーターの力行時の出力範囲を表す第二領域と、を含み、
前記第二領域には、当該第二領域内の高出力側に配置されて前記エンジンが始動する可能性が高い出力範囲を示す第三領域が設けられている
ことを特徴とする、付記1~6のいずれか1つに記載の表示方法。
【0130】
(付記8~14:表示装置)
(付記8)
車両の状態が反映される複数の変数の情報をディスプレイに示す表示装置であって、
前記複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第一変数を指示する指示部とを含む、第一メーター画像を生成する第一算出部と、
前記複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第二変数を表示する表示部とを含む、第二メーター画像を生成する第二算出部と、
前記第一メーター画像と前記第二メーター画像とを隣接させて描画する描画部とを備える
ことを特徴とする、表示装置。
【0131】
(付記9)
前記指示部が、前記第二メーター画像における前記表示部の基準点である
ことを特徴とする、付記8記載の表示装置。
(付記10)
前記指示部が、前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像の上下方向における中央部分に表示される
ことを特徴とする、付記8または9記載の表示装置。
【0132】
(付記11)
前記表示部が、帯状図形の画像である
ことを特徴とする、付記8~10のいずれか一つに記載の表示装置。
(付記12)
前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像が、筒状に描画されて一体に表示される
ことを特徴とする、付記8~11のいずれか一つに記載の表示装置。
【0133】
(付記13)
前記車両が、走行用のモーター及びエンジンを搭載し、
前記第一変数が、前記エンジンの回転数を表すパラメーターを含み、
前記第二変数が、前記モーターの出力を表すパラメーターを含む
ことを特徴とする、付記8~12のいずれか一つに記載の表示装置。
【0134】
(付記14)
前記第二メーター画像が、
前記モーターの回生電力の大きさを表す第一領域と、
前記第一領域よりも高出力側に隣接して配置されて前記モーターの力行時の出力範囲を表す第二領域と、を含み、
前記第二領域には、当該第二領域内の高出力側に配置されて前記エンジンが始動する可能性が高い出力範囲を示す第三領域が設けられている
ことを特徴とする、付記8~13のいずれか一つに記載の表示装置。
【0135】
(付記15~21:プログラム)
(付記15)
車両の状態が反映される複数の変数の情報をディスプレイに表示するプログラムであって、
前記複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第一変数を指示する指示部とを備え、前記指示部の位置を固定しつつ前記第一変数の変化に応じて前記第一尺度表示部を回転させる第一メーター画像を表示するとともに、
前記複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第二変数を表示する表示部とを備える第二メーター画像を表示し、
前記第一メーター画像と前記第二メーター画像とを隣接させて表示する
ことを特徴とする、プログラム。
【0136】
(付記16)
前記指示部が、前記第二メーター画像における前記表示部の基準点である
ことを特徴とする、付記15記載のプログラム。
(付記17)
前記指示部が、前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像の上下方向における中央部分に表示される
ことを特徴とする、付記15または16記載のプログラム。
【0137】
(付記18)
前記表示部が、帯状図形の画像である
ことを特徴とする、付記15~17のいずれか1つに記載のプログラム。
(付記19)
前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像を、筒状に描画して一体に表示する
ことを特徴とする、付記15~18のいずれか1つに記載のプログラム。
【0138】
(付記20)
前記車両が、走行用のモーター及びエンジンを搭載し、
前記第一変数が、前記エンジンの回転数を表すパラメーターを含み、
前記第二変数が、前記モーターの出力を表すパラメーターを含む
ことを特徴とする、付記15~19のいずれか1つに記載のプログラム。
【0139】
(付記21)
前記第二メーター画像が、
前記モーターの回生電力の大きさを表す第一領域と、
前記第一領域よりも高出力側に隣接して配置されて前記モーターの力行時の出力範囲を表す第二領域と、を含み、
前記第二領域には、当該第二領域内の高出力側に配置されて前記エンジンが始動する可能性が高い出力範囲を示す第三領域が設けられている
ことを特徴とする、付記15~20のいずれか1つに記載のプログラム。
【0140】
(付記22~28:記録媒体)
(付記22)
車両の状態が反映される複数の変数の情報をディスプレイに表示するプログラムが記録された記録媒体(またはプログラムモジュール)であって、
前記複数の変数のうちの第一変数の尺度を表示する第一尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第一変数を指示する指示部とを備え、前記指示部の位置を固定しつつ前記第一変数の変化に応じて前記第一尺度表示部を回転させる第一メーター画像を表示するとともに、
前記複数の変数のうちの第二変数の尺度を表示する第二尺度表示部と、前記車両の状態に応じて変化する前記第二変数を表示する表示部とを備える第二メーター画像を表示し、
前記第一メーター画像と前記第二メーター画像とを隣接させて表示する
ことを特徴とする、プログラムが記録された記録媒体(またはプログラムモジュール)。
【0141】
(付記23)
前記指示部が、前記第二メーター画像における前記表示部の基準点である
ことを特徴とする、付記22記載のプログラムが記録された記録媒体(またはプログラムモジュール)。
(付記24)
前記指示部が、前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像の上下方向における中央部分に表示される
ことを特徴とする、付記22または23記載のプログラムが記録された記録媒体(またはプログラムモジュール)。
【0142】
(付記25)
前記表示部が、帯状図形の画像である
ことを特徴とする、付記22~24のいずれか1つに記載のプログラムが記録された記録媒体(またはプログラムモジュール)。
(付記26)
前記第一メーター画像及び前記第二メーター画像を、筒状に描画して一体に表示する
ことを特徴とする、付記22~25のいずれか1つに記載のプログラムが記録された記録媒体(またはプログラムモジュール)。
【0143】
(付記27)
前記車両が、走行用のモーター及びエンジンを搭載し、
前記第一変数が、前記エンジンの回転数を表すパラメーターを含み、
前記第二変数が、前記モーターの出力を表すパラメーターを含む
ことを特徴とする、付記22~25のいずれか1つに記載のプログラムが記録された記録媒体(またはプログラムモジュール)。
【0144】
(付記28)
前記第二メーター画像が、
前記モーターの回生電力の大きさを表す第一領域と、
前記第一領域よりも高出力側に隣接して配置されて前記モーターの力行時の出力範囲を表す第二領域と、を含み、
前記第二領域には、当該第二領域内の高出力側に配置されて前記エンジンが始動する可能性が高い出力範囲を示す第三領域が設けられている
ことを特徴とする、付記22~26のいずれか1つに記載のプログラムが記録された記録媒体(またはプログラムモジュール)。
【産業上の利用可能性】
【0145】
本発明は、モーターとエンジンとを有するハイブリッド車両の表示装置として好適なものである。また、エンジンのみを有するエンジン車両の表示装置として適用可能である。
【符号の説明】
【0146】
10 ハイブリッド車両
11 モーター
12 エンジン
13 バッテリー
14 車速センサー
15 アクセル開度センサー
20 ECU
30 表示システム
40 第一表示装置
41 第一メーター画像
42 第一尺度表示部
43 指示部
44 第二メーター画像
45 第二尺度表示部
46 表示部
47 第一領域
48 第二領域
49 第三領域
101 ディスプレイ
102 エンジン
103 走行用モーター
104 走行用バッテリー
105 PHEV-ECU
106 バッテリーECU
107 ナビゲーションECU
108 ゲートウェイ
109 車両
110 ディスプレイECU
111 第一算出部
112 第二算出部
113 描画部
120 パワーメーター
121 モーターまたは走行用バッテリー出力ゲージ
122 エンジン回転数ゲージ
123 回生領域
124 力行走行領域
125 エンジン併用領域
126 第一可動針
126A 第三可動針
127 スピードメーター
128 車速ゲージ
129 第二可動針
130 三次元パワーメーター
131 第一メーター画像
132 第二メーター画像
133 モーターまたは走行用バッテリー出力ゲージ(第一尺度表示部)
134 回生領域(第一領域)
135 力行走行領域(第二領域)
136 エンジン併用領域(第三領域)
137 可動針(第一指示部)
138 可動ゲージ(第二尺度表示部)
139 固定針(第二指示部)
140 三次元スピードメーター
141 車速可動ゲージ
142 第二固定針
143 ナビ画面
144 頂面
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14