(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】セラミック基板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H01L 23/12 20060101AFI20221109BHJP
H01L 23/08 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L23/12 D
H01L23/08 C
(21)【出願番号】P 2021511243
(86)(22)【出願日】2020-02-28
(86)【国際出願番号】 JP2020008256
(87)【国際公開番号】W WO2020202941
(87)【国際公開日】2020-10-08
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】P 2019068267
(32)【優先日】2019-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】崔 弘毅
【審査官】多賀 和宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-042893(JP,A)
【文献】特開2005-072210(JP,A)
【文献】特開2013-243221(JP,A)
【文献】国際公開第2017/126596(WO,A1)
【文献】特開2012-084642(JP,A)
【文献】特開平03-245556(JP,A)
【文献】特開2007-048844(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/08、23/12
H05K 3/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に凹部を有するセラミック基板の製造方法であって、
焼成後に前記凹部が形成される凹部形成予定領域と重ならない位置で、かつ、焼成後に個片の前記セラミック基板に分割される分割予定ラインと重なる位置に、複数のセラミックグリーンシートのうち少なくとも1枚以上の前記セラミックグリーンシートに穴部を形成し、複数の前記セラミックグリーンシートを積層してマザー積層体を形成する工程と、
前記マザー積層体の前記凹部形成予定領域をプレス加工することで、焼成前の前記マザー積層体に前記凹部を形成する工程と、を有する
セラミック基板の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載のセラミック基板の製造方法であって、
前記凹部を形成する工程において、前記穴部は、前記セラミックグリーンシートの流動により内壁が密着して、前記分割予定ラインで前記マザー積層体は一体に形成される
セラミック基板の製造方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のセラミック基板の製造方法であって、
前記穴部は、前記マザー積層体の上面から下面まで貫通して形成される
セラミック基板の製造方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のセラミック基板の製造方法であって、
前記穴部は、前記マザー積層体を構成する複数の前記セラミックグリーンシートのうち、前記マザー積層体の上面側に位置する一部の前記セラミックグリーンシートに形成される
セラミック基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のセラミック基板の製造方法であって、
前記上面に垂直な方向からの平面視で、前記穴部は、マトリクス状に設けられた前記分割予定ラインの交点と重なる位置に設けられる
セラミック基板の製造方法。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセラミック基板の製造方法であって、
前記上面に垂直な方向からの平面視で、前記穴部は、円形状である
セラミック基板の製造方法。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセラミック基板の製造方法であって、
前記上面に垂直な方向からの平面視で、前記穴部は、前記分割予定ラインに沿って延在する矩形状である
セラミック基板の製造方法。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセラミック基板の製造方法であって、
前記上面に垂直な方向からの平面視で、前記穴部は、十字状である
セラミック基板の製造方法。
【請求項9】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のセラミック基板の製造方法であって、
前記上面に垂直な方向からの平面視で、前記穴部は、各辺が湾曲した菱形形状である
セラミック基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セラミック基板の製造方法及びセラミック基板に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品を実装する実装基板や、電子部品を収納するパッケージとしてセラミック基板が用いられる。特許文献1に記載されているセラミック基板(電子部品収納用パッケージ)では、セラミックグリーンシートの上面をプレス加工して、凹部を加工することによって、焼成後のセラミック基板に凹部が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、プレス加工において、セラミックグリーンシートの凹部が形成される領域と、凹部が形成されない領域とで、セラミックグリーンシートに加えられる圧力が異なる。これにより、凹部が加工されたセラミックグリーンシートでは、平面内で密度の分布が生じる。このため、焼成後のセラミック基板において、反りが発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、反りを好適に抑制することが可能なセラミック基板の製造方法及びセラミック基板を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面のセラミック基板の製造方法は、上面に凹部を有するセラミック基板の製造方法であって、焼成後に前記凹部が形成される凹部形成予定領域と重ならない位置で、かつ、焼成後に個片の前記セラミック基板に分割される分割予定ラインと重なる位置に、複数のセラミックグリーンシートのうち少なくとも1枚以上の前記セラミックグリーンシートに穴部を形成し、複数の前記セラミックグリーンシートを積層してマザー積層体を形成する工程と、前記マザー積層体の前記凹部形成予定領域をプレス加工することで、焼成前の前記マザー積層体に前記凹部を形成する工程と、を有する。
【0007】
本発明の一側面のセラミック基板は、複数のセラミック層が積層されたセラミック基板であって、搭載面を有する基板底部と、前記基板底部の上に設けられ、前記搭載面を囲む壁部とを有し、複数の前記セラミック層の層間を示す粒界の配向が、前記搭載面及び前記壁部の内壁面に沿って湾曲し、かつ、前記基板底部及び前記壁部の外周面と交差しない。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、反りを好適に抑制することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態のセラミック基板を有するパッケージの構成を示す平面図である。
【
図3】
図3は、セラミック基板の製造方法を説明するための説明図である。
【
図5】
図5は、マザー積層体を拡大して示す平面図である。
【
図6】
図6は、焼成後のマザー積層体を模式的に示す断面図である。
【
図7】
図7は、第1変形例に係るマザー積層体を拡大して示す平面図である。
【
図8】
図8は、第2変形例に係るマザー積層体を拡大して示す平面図である。
【
図9】
図9は、第3変形例に係るマザー積層体を拡大して示す平面図である。
【
図10】
図10は、第4変形例に係るマザー積層体を拡大して示す平面図である。
【
図11】
図11は、第5変形例に係るマザー積層体を拡大して示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明のセラミック基板の製造方法及びセラミック基板の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施の形態により本発明が限定されるものではない。各実施の形態は例示であり、異なる実施の形態で示した構成の部分的な置換又は組み合わせが可能であることは言うまでもない。第2の実施の形態以降では第1の実施形態と共通の事柄についての記述を省略し、異なる点についてのみ説明する。特に、同様の構成による同様の作用効果については実施形態毎には逐次言及しない。
【0011】
図1は、実施形態のセラミック基板を有するパッケージの構成を示す平面図である。
図2は、
図1のII-II’断面図である。なお、
図1は、パッケージ100の蓋体2を除いたセラミック基板1の平面図を示す。
【0012】
図1に示すように、パッケージ100はセラミック基板1を有する。セラミック基板1は、基板底部10と、壁部12とを有する。壁部12は、基板底部10の搭載面10aを囲んで枠状に設けられている。言い換えると、セラミック基板1は、上面に凹部20が設けられている。セラミック基板1は、平面視で、矩形状である。なお、以下の説明において、平面視とは、搭載面10aに垂直な方向から見た場合の配置関係を示す。
【0013】
電子部品200は、セラミック基板1の凹部20内に収納される。具体的には、電子部品200は、水晶振動子である。基板底部10の搭載面10aには電子部品200を実装するための台座14が設けられている。台座14は、搭載面10aの隅部付近に設けられ、壁部12から離隔して配置される。また、基板底部10の搭載面10aには支持部16が設けられる。支持部16は、台座14と反対側に配置される。電子部品200の一端側は、台座14の上に接合部材18により接合される。電子部品200の他端側は、支持部16の上側に位置する。電子部品200は、搭載面10a、支持部16及び壁部12の内壁面12bと離れて配置される。
【0014】
図2に示すように、台座14の上面には、電子部品200と電気的に接続される接続電極22が設けられる。また、セラミック基板1の下面には、底面電極24、25が設けられている。接続電極22と底面電極24とは、基板底部10に設けられたビア23を介して電気的に接続される。
【0015】
壁部12の上面12aには、メタライズ層3が設けられている。蓋体2は、メタライズ層3を介してセラミック基板1に接合される。これにより、基板底部10と、壁部12と、蓋体2とで囲まれた空間が気密封止される。
【0016】
次に、セラミック基板1の製造方法について説明する。
図3は、セラミック基板の製造方法を説明するための説明図である。
図3に示すように、セラミック基板1の製造方法は、複数のセラミックグリーンシート51に穴部61を形成し、複数のセラミックグリーンシート51を積層してマザー積層体5を形成する工程(ステップST1)を含む。
【0017】
セラミックグリーンシート51は、酸化アルミニウム(Al2O3)を主成分とするセラミック粉末と、有機バインダ及び熱可塑性樹脂等の樹脂材料とを含む。セラミックグリーンシート51は、例えば、ドクターブレードやリップコータ等により塗布形成される。
【0018】
図3に示すように、穴部61は、複数のセラミックグリーンシート51の、それぞれ、分割予定ライン54と重なる位置に形成される。分割予定ライン54は、マザー積層体5が焼成後に個片のセラミック基板1に分割される予定の仮想線である。なお、
図3では図示を省略するが、複数のセラミックグリーンシート51のそれぞれには、穴部61とともに、ビア23や、接続電極22、底面電極24、25等の各種電極が形成される。穴部61が形成された複数のセラミックグリーンシート51を積層することでマザー積層体5が形成される。複数のセラミックグリーンシート51の穴部61は、互いに重なる位置に設けられる。これにより、マザー積層体5は、上面から下面まで貫通して形成される穴部61を有する。
【0019】
また、マザー積層体5は、壁部形成予定領域55と、凹部形成予定領域56とを有する。壁部形成予定領域55は、マザー積層体5の焼成、分割後にセラミック基板1の壁部12が形成される予定の領域である。凹部形成予定領域56は、マザー積層体5の焼成、分割後にセラミック基板1の凹部20が形成される予定の領域である。複数の穴部61は、マザー積層体5の壁部形成予定領域55に設けられる。すなわち、複数の穴部61は、マザー積層体5の凹部形成予定領域56と重ならない位置で、かつ、分割予定ライン54と重なる位置に設けられる。
【0020】
図4は、マザー積層体を示す平面図である。
図4に示すように、マザー積層体5において、分割予定ライン53、54はマトリクス状に設けられる。マザー積層体5は、焼成後に分割予定ライン53、54で、個片のセラミック基板1に分割される。つまり、分割予定ライン53、54で囲まれた領域が、1つのセラミック基板1に対応する。マザー積層体5には、分割予定ライン53、54と重なる位置に、分割用の溝が形成されてもよい。個片のセラミック基板1に分割する設備装置に、例えばローラーブレイク機を用いてもよく、ダイサーを用いてもよい。
【0021】
図5は、マザー積層体を拡大して示す平面図である。なお、
図5では、複数のセラミックグリーンシート51を積層後、プレス加工前のマザー積層体5を示す。
図5に示すように、複数の穴部61は、平面視でそれぞれ円形状であり、分割予定ライン53、54に沿って配列される。より具体的には、複数の穴部61は、分割予定ライン53と分割予定ライン54との交点と重なる位置に設けられる。また、複数の穴部61は、交点の間において、分割予定ライン53、54と重なる位置にも設けられる。
【0022】
次に、
図3に示すように、加圧治具8は、マザー積層体5の凹部形成予定領域56をプレス加工することで、マザー積層体5に凹部20を形成する。加圧治具8は、上型81と下型82とを有する。マザー積層体5は、下型82と上型81との間に配置される。上型81は、ベース83と、凸部84とを有する。
【0023】
上型81はマザー積層体5の上面側からプレス加工する。これにより、まず、マザー積層体5の凹部形成予定領域56が凸部84により加圧される(ステップST2)。凸部84から加えられる圧力により、複数のセラミックグリーンシート51は、凸部84の形状に沿って変形する。すなわち、凹部形成予定領域56のセラミックグリーンシート51が薄くなるとともに、矢印Aに示す方向に押し出されて、壁部形成予定領域55側に流動する。壁部形成予定領域55では、凹部形成予定領域56よりも厚くなり、セラミックグリーンシート51の流動により穴部61の幅が小さくなる。
【0024】
さらに、上型81が加圧する(ステップST3)ことで、マザー積層体5が凸部84の下面及び側面を覆うように変形し、壁部形成予定領域55がベース83の下面83aに接する。複数のセラミックグリーンシート51は、凸部84の下面、側面及びベース83の下面83aに沿って湾曲する。これにより、マザー積層体5に凸部84の形状が転写される。また、凹部形成予定領域56のセラミックグリーンシート51の流動により、穴部61の内壁が密着し、分割予定ライン54でマザー積層体5は一体に形成される。
【0025】
そして、加圧治具8を取り外すことで、凹部20を有するマザー積層体5が得られる(ステップST4)。
【0026】
本実施形態のセラミック基板1の製造方法によれば、マザー積層体5に穴部61が設けられているので、プレス加工におけるセラミックグリーンシート51の流動性を向上させることができる。すなわち、加圧治具8によりセラミックグリーンシート51に圧力が加えられた場合に、穴部61により、凹部形成予定領域56のセラミックグリーンシート51が壁部形成予定領域55側に流動しやすくなる。
【0027】
これにより、本実施形態では、穴部61が形成されない場合に比べて、プレス加工におけるセラミックグリーンシート51内の圧力の分布が緩和され、小さい圧力で凹部形成予定領域56及び壁部形成予定領域55を変形させて、凹部20を形成することができる。あるいは、穴部61が形成されない場合に比べて、同じ圧力でより深い凹部20を形成することができる。
【0028】
したがって、プレス加工後のマザー積層体5において、凹部形成予定領域56と壁部形成予定領域55とで、セラミックグリーンシート51の密度の差を抑制することができる。この結果、マザー積層体5を焼成、分割後に形成されるセラミック基板1の反りを抑制することができる。
【0029】
また、
図5に示すように、複数の穴部61は、凹部形成予定領域56の周囲を囲むように設けられる。より好ましくは、複数の穴部61は、凹部形成予定領域56を挟んで対称となる位置に設けられる。これにより、加圧治具8によりプレス加工する際に、凹部形成予定領域56のセラミックグリーンシート51が、周囲の壁部形成予定領域55側に均等に流動しやすくなる。
【0030】
図6は、焼成後のマザー積層体を模式的に示す断面図である。
図6に示すように、焼成後のマザー積層体9において、複数のセラミック層91の層間を示す粒界58の配向は、プレス加工でのセラミックグリーンシート51の流動により、搭載面10a、壁部12の内壁面12b及び上面12aに沿って湾曲する。
【0031】
また、穴部61が設けられた分割予定ライン54と重なる部分では、流動するセラミックグリーンシート51同士が密着して、一体に形成される。このため、焼成後のマザー積層体9において、粒界58が分割予定ライン54に沿って配置される。これにより、焼成後のマザー積層体9を分割予定ライン54で分割して、個片のセラミック基板1とした場合に、粒界58は壁部12及び基板底部10の端面と交差しない。これにより、本実施形態では、個片に分割する工程におけるクラックの発生やセラミック粒子の脱落を抑制することができる。また、分割予定ライン54におけるセラミック基板1の抗折強度が、他の部分のセラミック基板1の抗折強度より小さくできるため、ローラーブレイク機を用いてセラミック基板1が分割できる応力を小さくできる。
【0032】
(第1変形例)
図7は、第1変形例に係るマザー積層体を拡大して示す平面図である。なお、以下の説明では、上述した実施形態と同じ構成要素には、同じ参照符号を付して、説明を省略する。
【0033】
第1変形例では、上述した実施形態とは異なり、マザー積層体5において、分割予定ライン53、54の交点にのみ穴部61が設けられている構成を説明する。より具体的には、
図7に示すように、複数の穴部61は、分割予定ライン53、54の交点の間において、分割予定ライン53、54と重なる位置には設けられていない。1つの凹部形成予定領域56の周囲に4つの穴部61が設けられる。
【0034】
第1変形例において、上述した実施形態に比べて穴部61の数が少ない。この場合であっても、プレス加工において、穴部61には、穴部61の周囲に配置された4つの凹部形成予定領域56のセラミックグリーンシート51が流動する。これにより、第1変形例では、効果的にセラミックグリーンシート51の流動性を向上させることができる。
【0035】
(第2変形例)
図8は、第2変形例に係るマザー積層体を拡大して示す平面図である。第2変形例では、上述した実施形態及び第1変形例とは異なり、平面視で、穴部61aが、分割予定ライン53、54に沿って延在する矩形状である構成について説明する。
【0036】
より具体的には、
図8に示すように、複数の穴部61aは、壁部形成予定領域55を挟んで隣り合う2つの凹部形成予定領域56の間に設けられる。複数の穴部61aは、分割予定ライン53、54の交点と重なる位置には設けられず、隣り合う交点の中央部に位置する。
【0037】
第2変形例では、1つの穴部61aの面積(体積)が、上述した実施形態及び第1変形例での穴部61よりも大きい。このため、プレス加工において穴部61aに流動するセラミックグリーンシート51の体積を増やすことができ、より良好にセラミックグリーンシート51の流動性を向上させることができる。
【0038】
(第3変形例)
図9は、第3変形例に係るマザー積層体を拡大して示す平面図である。第3変形例では、上述した実施形態、第1変形例及び第2変形例とは異なり、平面視で、穴部61bが、十字状である構成について説明する。
【0039】
より具体的には、
図9に示すように、十字状に形成された複数の穴部61bは、分割予定ライン53、54の交点と重なる位置に設けられる。複数の穴部61bは、分割予定ライン53に沿って延在する矩形状の部分と、分割予定ライン54に沿って延在する矩形状の部分と、が交差して十字状に形成される。
【0040】
第3変形例では、壁部形成予定領域55の幅の増大を抑制しつつ、複数の穴部61bの面積(体積)を確保することができる。隣り合う2つの凹部形成予定領域56の間の壁部形成予定領域55に穴部61bを設けることができない場合や、壁部形成予定領域55の幅が小さい場合でも、セラミックグリーンシート51の流動性を向上させることができる。
【0041】
(第4変形例)
図10は、第4変形例に係るマザー積層体を拡大して示す平面図である。第4変形例では、上述した実施形態及び第1変形例から第3変形例とは異なり、平面視で、穴部61cが、各辺が湾曲した菱形形状である構成について説明する。
【0042】
より具体的には、
図10に示すように、複数の穴部61cは、分割予定ライン53、54の交点と重なる位置に設けられる。複数の穴部61cの各辺は、菱形形状の中央部に向かって凹む湾曲形状である。言い換えると、複数の穴部61cの各辺は、凹部形成予定領域56の隅部から離れる方向に湾曲する。
【0043】
これにより、第4変形例では、複数の穴部61cを効率よく配置することができ、壁部形成予定領域55の幅の増大を抑制しつつ、複数の穴部61cの面積(体積)を確保することができる。
【0044】
(第5変形例)
図11は、第5変形例に係るマザー積層体を拡大して示す断面図である。第5変形例では、上述した実施形態及び第1変形例から第4変形例とは異なり、穴部61dは、マザー積層体5を構成する複数のセラミックグリーンシート51のうち、マザー積層体5の上面側に位置する一部のセラミックグリーンシート51に形成される構成について説明する。
【0045】
具体的には、
図11に示すように、マザー積層体5の上面側に位置する2枚のセラミックグリーンシート51に穴部61dが形成され、下面側の2枚のセラミックグリーンシート51には穴部61dが形成されていない。穴部61dは、マザー積層体5の上面に開口し、穴部61dの底面にセラミックグリーンシート51が設けられる。
【0046】
これにより、プレス加工において、穴部61dが設けられた壁部形成予定領域55の上部に、セラミックグリーンシート51が流動しやすくなる。つまり、壁部形成予定領域55で、下面側から上面側へのセラミックグリーンシート51の流動性が向上するので、結果として、凹部形成予定領域56でのセラミックグリーンシート51の流動性が向上する。
【0047】
なお、
図11では、2枚のセラミックグリーンシート51に穴部61dが形成される例を示したが、これに限定されない。マザー積層体5を構成する複数のセラミックグリーンシート51のうち、少なくとも1枚のセラミックグリーンシート51に穴部61dが形成されていればよい。
【0048】
上述した実施形態及び第1変形例から第5変形例の構成は適宜組み合わせることができる。例えば、実施形態及び第1変形例に示した穴部61の配置と、第2変形例から第4変形例に示した穴部61a、61b、61cの平面視での形状とを組み合わせてもよい。また、実施形態及び第1変形例から第4変形例のそれぞれにおいて、第5変形例の構成を適用することもできる。
【0049】
なお、上述した実施形態及び第1変形例から第5変形例の構成は、あくまで一例であり、適宜変更することができる。例えば、マザー積層体5を構成する複数のセラミックグリーンシート51の数は、4枚に限定されず、5枚以上であってもよく、3枚以下であってもよい。
【0050】
また、凹部20の断面形状は、角部を有する矩形の一部の形状であるがこれに限定されない。凹部20の内壁面12bと搭載面10aとの接続部分が、湾曲した曲面で構成されていてもよい。あるいは、凹部20の搭載面10aが曲面を有して形成されていてもよい。
【0051】
また、穴部61の数や配置、平面視での形状は適宜変更できる。例えば、
図5において、隣り合う交点の間に2つ以上の穴部61が配列されていてもよい。あるいは、穴部61の平面視での形状は、円形状、矩形状、菱形形状に限定されず、多角形状等、他の形状であってもよい。
【0052】
また、
図1及び
図2に示す電子部品200は、水晶振動子に限定されず、他の電子部品であってもよい。
【0053】
なお、上記した実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【符号の説明】
【0054】
1 セラミック基板
2 蓋体
3 メタライズ層
5 マザー積層体
8 加圧治具
9 焼成後のマザー積層体
10 基板底部
10a 搭載面
12 壁部
12a 上面
12b 内壁面
14 台座
16 支持部
18 接合部材
20 凹部
22 接続電極
23 ビア
24、25 底面電極
51 セラミックグリーンシート
53、54 分割予定ライン
55 壁部形成予定領域
56 凹部形成予定領域
58 粒界
61、61a、61b、61c、61d 穴部
81 上型
82 下型
83 ベース
84 凸部
91 セラミック層
100 パッケージ
200 電子部品
A 矢印