(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】車体フレーム
(51)【国際特許分類】
B60K 15/067 20060101AFI20221109BHJP
B62D 21/02 20060101ALI20221109BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20221109BHJP
F01N 3/08 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B60K15/067
B62D21/02 Z
B62D25/20 N
F01N3/08 B
(21)【出願番号】P 2021522172
(86)(22)【出願日】2020-05-12
(86)【国際出願番号】 JP2020018898
(87)【国際公開番号】W WO2020241228
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-08-20
(31)【優先権主張番号】P 2019099219
(32)【優先日】2019-05-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 広記
(72)【発明者】
【氏名】山見 卓也
(72)【発明者】
【氏名】及川 聡
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-121371(JP,A)
【文献】実開昭54-118716(JP,U)
【文献】実開昭56-73676(JP,U)
【文献】特開2017-94885(JP,A)
【文献】特開平10-71969(JP,A)
【文献】特許第6477851(JP,B1)
【文献】特開2009-108850(JP,A)
【文献】実開昭63-119122(JP,U)
【文献】中国特許出願公開第103538464(CN,A)
【文献】特開2000-62654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 15/067,
B62D 21/02,21/16,25/20,
F01N 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられた一対のサイドメンバと、
前記一対のサイドメンバの間に架け渡され、前記一対のサイドメンバに固定されたクロスメンバと、
を備え、
前記クロスメンバは、車両前後方向前方となる前縁に前記一対のサイドメンバから車両幅方向内側に向けて漸次車両前後方向後方に後退する湾曲部が構成されるとともに、液体を貯留するタンクが収容される収容空間を有し、
前記タンクは、前記クロスメンバの前記収容空間に車両幅方向に沿って設けられる
ことを特徴とする車体フレーム。
【請求項4】
前記タンクは、車両の排気浄化用の尿素水が貯留される尿素水タンクであって、
前記尿素水タンクの貯留空間に設けられたポンプが排気管の車両前後方向後方上方域に位置していることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の車体フレーム。
【請求項6】
前記クロスメンバは、車両上下方向上方を開口して前記タンクを収容し、
前記タンクと前記開口の縁部の間にインシュレータが設けられることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の車体フレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車体フレームに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、タンクを搭載した車両の車体構造が開示されている。かかる車体構造は、車両のフレームに固定されたスペアタイヤと、スペアタイヤの後方で車両幅方向に延在し、フレームに固定されたガードバーと、スペアタイヤの後方かつガードバーの上方に配置されたタンクとを備える。
【0003】
特許文献2には、タンクとしてもクロスメンバとしても使用することができるタンク兼クロスメンバが開示されている。かかるタンク兼クロスメンバは、左右一対のサイドメンバと連結される筐体の内部に内部空間が形成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-94885号公報
【文献】特開2018-203091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1が開示する車両の車体構造(車体フレーム)では、スペアタイヤの後方かつガードバーの上方にタンクが配置されるので、車両前後方向後方において一対のサイドメンバが開放され、効率的に剛性を高めることができない。
【0006】
特許文献2が開示するタンク兼クロスメンバ(車体フレーム)は、筐体の内部に内部空間が形成され、燃料、還元材、冷却水、潤滑油、洗浄液等が貯留されるので、水密であることが求められ、効率的に剛性を高めることができない。
【0007】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、車両前後方向後方において剛性を効率的に高めることができる車体フレームを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る車体フレームは、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられた一対のサイドメンバと、前記一対のサイドメンバの間に架け渡され、前記一対のサイドメンバに固定されたクロスメンバと、を備え、前記クロスメンバは、車両前後方向前方となる前縁に前記一対のサイドメンバから車両幅方向内側に向けて漸次車両前後方向後方に後退する湾曲部を有し、液体を貯留するタンクが収容される。
【0009】
上記(1)の構成によれば、クロスメンバは、少なくとも車両前後方向前方となる前縁に一対のサイドメンバから車両幅方向内側に向けて漸次車両前後方向後方に後退する湾曲部を有するので、車体フレームの剛性を効率的に高めることができる。また、クロスメンバにはタンクが収容されるため、クロスメンバの剛性をさらに高めるとともに、タンクを飛び石などによる損傷から保護することができる。
【0010】
(2)一実施形態では、上記(1)の構成において、前記クロスメンバは、車両前後方向後輪よりも後方に設けられ、車両前後方向後方となる後縁に前記一対のサイドメンバから車両幅方向内側に向けて前記一対のサイドメンバの後端よりも車両前後方向後方に膨出する膨出部を有する。
【0011】
上記(2)の構成によれば、クロスメンバは、車両前後方向後方となる後縁に一対のサイドメンバから車両幅方向内側に向けて一対のサイドメンバの後端よりも車両前後方向後方に膨出する膨出部を有するので、車両前後方向後輪よりも後方において車体フレームの剛性を更に効率的に高めることができる。また、車両後方からの衝突に対して、サイドメンバよりも先にクロスメンバが衝突荷重を受け止めるので、サイドメンバの損傷が軽減される。
【0012】
(3)一実施形態では、上記(2)の構成において、前記膨出部は、前記一対のサイドメンバに取り付けられ、前記クロスメンバの下方に設けられたガードバーよりも車両前後方向後方に膨出している。
【0013】
上記(3)の構成によれば、クロスメンバの膨出部は、一対のサイドメンバに取り付けられ、クロスメンバの下方に設けられたガードバーよりも車両前後方向後方に膨出しているので、走行時には、ガードバーによってクロスメンバが地面に接触することを防止するとともに、車両後方からの衝突に対しては、ガードバーよりも先にクロスメンバの膨出部が衝突荷重を受け止めるので、ガードバーを通じてサイドメンバへ伝わる荷重が軽減される。
【0014】
(4)一実施形態では、上記(1)から(3)のいずれか一つの構成において、前記タンクは、車両の排気浄化用の尿素水が貯留される尿素水タンクであって、前記尿素水タンクの貯留空間に設けられたポンプが排気管の車両前後方向後方上方域に位置している。
【0015】
上記(4)の構成によれば、尿素水タンクの貯留空間に設けられたポンプが排気管の車両前後方向後方上方域に位置しているので、ポンプ付近の尿素水の凍結が抑制される。
【0016】
(5)一実施形態では、上記(1)から(4)のいずれか一つの構成において、前記湾曲部は、前記クロスメンバの車両前後方向前方に横倒し姿勢で搭載されるスペアタイヤの外周面に沿って設けられる。
【0017】
上記(5)の構成によれば、湾曲部は、クロスメンバの車両前後方向前方に横倒し姿勢で搭載されるスペアタイヤに沿って設けられるので、スペアタイヤを効率的に搭載できる。また、湾曲部がスペアタイヤに沿って設けられているため、後突によりクロスメンバが車両前後方向前方に押された際に、スペアタイヤと接触する面が広くなるため、後突の衝撃が分散される。
【0018】
(6)一実施形態では、上記(1)から(5)のいずれか一つの構成において、前記クロスメンバは、車両上下方向上方を開口して前記タンクを収容し、前記タンクと前記開口の縁部の間にインシュレータが設けられる。
【0019】
上記(6)の構成によれば、タンクと開口の縁部の間にインシュレータが設けられることで、クロスメンバとタンクの間に砂や泥等が堆積することを防ぐとともに、排気熱の侵入を防ぐことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、車両前後方向後輪よりも後方において車体フレームの剛性を効率的に高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の実施形態に係る車体フレームが採用された車両の要部を概略的に示す平面図である。
【
図2】
図1に示した車両の要部を示す側面図である。
【
図5】
図3に示したクロスメンバと該クロスメンバに収容されるタンクを示す斜視図である。
【
図6】
図3に示したクロスメンバと該クロスメンバに収容されたタンクを示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して本発明の実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
【0023】
本発明の実施形態に係る車体フレーム1が用いられる車両100は、例えば、ピックアップトラック型のスポーツ用多目的車(SUV(Sport Utility Vehcle))であり、本発明の実施形態に係る車体フレーム1の上にボディ(図示せず)を載せたセパレートフレーム構造が採用される。セパレートフレーム構造の車両100は、例えば、車両前後方向前側に乗員の乗車が可能なキャビン(車室)(図示せず)が設置され、キャビンの後側に荷物の積載が可能な荷台(図示せず)が設置される。
【0024】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車体フレーム1は、例えば、ラダーフレーム(梯子型フレーム)であって、一対のサイドメンバ11L,11Rと複数のクロスメンバ12を備えている。一対のサイドメンバ11L,11Rは、車両幅方向において間隔を空けて配置される中空筒状の構造部材であって、車両幅方向両側において車両前後方向に沿って設けられる。複数のクロスメンバ12は、一対のサイドメンバ11L,11Rを梯子状に接続する構造部材であって、一対のサイドメンバ11L,11Rに車両前後方向に間隔を空けて架け渡され、一対のサイドメンバ11L,11Rに固定される。
【0025】
複数のクロスメンバ12のうち車両前後方向最も後方に位置するクロスメンバ12G(以下「クロスメンバ12G」という)は、車両前後方向後輪120よりも後方において一対のサイドメンバ11L,11Rの間に架け渡され、一対のサイドメンバ11L,11Rに固定される。
【0026】
クロスメンバ12Gは、少なくとも前後方向前方となる前縁に一対のサイドメンバ11L,11Rから車両幅方向内側に向けて漸次車両前後方向後方に後退する湾曲部12aを有する。クロスメンバ12Gは、一対のサイドメンバ11L,11Rの後端部に架け渡され、一対のサイドメンバ11L,11Rの後端部に固定される。
【0027】
上述した本発明の実施形態に係る車体フレーム1によれば、クロスメンバ12Gは、少なくとも車両前後方向前方となる前縁に一対のサイドメンバ11L,11Rから車両幅方向内側に向けて漸次車両前後方向後方に後退する湾曲部12aを有するので、車両前後方向後輪120よりも後方において車体フレーム1の剛性を効率的に高めることができる。
【0028】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車体フレーム1では、上述したクロスメンバ12Gは、車両前後方向後方となる後縁に一対のサイドメンバ11L,11Rから車両幅方向内側に向けて一対のサイドメンバ11L,11Rの後端よりも車両前後方向後方に膨出する膨出部12bを有する。上述したように、クロスメンバ12Gは、一対のサイドメンバ11L,11Rの後端部に架け渡され、一対のサイドメンバ11L,11Rの後端部に固定される。よって、膨出部12bは、一対のサイドメンバ11L,11Rの後端よりも後方に位置し、例えば、車両100が後突された場合に、まず、クロスメンバ12Gの膨出部12bが当たり、後突による衝撃が緩和される。これにより、車両100が後突された場合でも、後突による車体フレーム1(一対のサイドメンバ11L,11R)の損傷を抑制できる。
【0029】
また、例えば、膨出部12bは後述するガードバー150よりも車両前後方向後方に膨出するように形成されている。よって、車両100が後突された場合に、まず、クロスメンバ12Gの膨出部12bが当たり、後突による衝撃が緩和されるため、ガードバー150を通じてサイドメンバ11L,11Rへ伝わる荷重が軽減される。
【0030】
上述した本発明の実施形態に係る車体フレーム1によれば、クロスメンバ12Gは、車両前後方向後方となる後縁に一対のサイドメンバ11L,11Rから車両幅方向内側に向けて一対のサイドメンバ11L,11Rの後端よりも車両前後方向後方に膨出する膨出部12bを有するので、車両前後方向後輪120よりも後方において車体フレーム1の剛性を更に効率的に高めることができる。また、膨出部12bが一対のサイドメンバ11L,11Rの後端よりも後方に位置するので、車両100が後突された場合でも、後突による車体フレーム1(一対のサイドメンバ11L,11R)の損傷を小さなものにできる。
【0031】
図3及び
図4に示すように、本発明の実施形態に係る車体フレーム1では、上述したクロスメンバ12Gは、容器状に形成され、車両上下方向上方が開口する収容空間HSを有する。収容空間HSは、車両前後方向前方側となる内壁面(前面)12awが車両幅方向外側から内側に向けて車両前後方向後方に漸次後退する湾曲面で構成され、車両前後方向後方側となる内壁面(後面)12bwが車両幅方向外側よりも車両前後方向後方に膨出する屈曲面で構成される。
【0032】
収容空間HSには、タンク(尿素水タンク)2の下半部分が収容可能であり、クロスメンバ12Gは、収容空間HSに収容されたタンク2の下半部分を覆う外殻を構成する。よって、クロスメンバ12Gは、タンク2の下半部分を覆い、タンク2を飛び石や排気熱等の熱から保護するタンクプロテクタとしても機能する(以下「クロスメンバ12G」を「タンクプロテクタ12G」と称する)。
【0033】
図5に示すように、収容空間HSに下半部分が収容されるタンク2(以下「タンク2」という)には、液体を貯留するための貯留空間が設けられている。タンク2に貯留される液体は、例えば、NOX還元剤であり、例えば、尿素水である。尿素水は、尿素SCRシステムにおいて用いられるNOX還元剤である。尿素SCRシステムは、排気ガス浄化技術の一つで、ディーゼルエンジンの排気ガスに含まれる窒素酸化物(NOX)を浄化するものである。尿素SCRシステムは、排気通路上に設けられたNOX選択還元触媒の上流で尿素水が噴射され、尿素の加水分解によって生成されるアンモニア(NH
3)を還元剤として、窒素酸化物が窒素に還元される。
【0034】
タンク2は、下半部分が収容空間HSに沿って設けられる容器であって、例えば、金属又は樹脂によって構成されている。タンク2は、タンクプロテクタ12Gと同様に、車両幅方向に沿って設けられ、収容空間HSよりも僅かに小さな外形を有している。タンク2は、例えば、上面視三日月形であって高さ方向に厚みを有する。よって、タンク2は、車両前後方向前方となる前面2aが車両幅方向外側から内側に向けて車両前後方向後方に漸次後退する湾曲面で構成され、車両前後方向後方となる後面2bが車両幅方向外側よりも内側が車両前後方向後方に膨出する屈曲面で構成されている。
【0035】
タンク2の下面2cには、貯留空間にポンプモジュール3を収容するための穴(図示せず)が設けられている。例えば、タンク2の下面に設けられる穴は、タンク2の下面から更に下方に膨らんだ部分(図示せず)に設けられる。例えば、タンク2の下面から下方に膨らんだ部分は、車両幅方向右側に偏って配置される。
【0036】
例えば、タンク2は、下半部分2d(以下「下半部2d」という)と上半部分2e(以下「上半部2e」という)を水密に接合することにより構成されている。下半部2dは、上面が開口した容器であり、その開口縁部にフランジ2d1を有している。上半部2eは、下半部2dと反対に、下面が開口した容器であり、その開口縁部に下半部2dの開口縁部に有するフランジ2d1と水密に接合されるフランジ2e1を有している。
【0037】
また、タンク2には、タンクプロテクタ12Gにタンク2を取り付けるための貫通穴2fが設けられている。例えば、貫通穴2fは、タンク2本体の車両前後方向前方となる前縁部に二箇所、車両前後方向後方となる後縁部に二箇所設けられている。
【0038】
上述したタンク2の下面に設けられた穴からタンク2の貯留空間にポンプモジュール(ポンプ)3が収容され、タンク2の下面に設けられた穴にポンプモジュール3が嵌合されてタンク2にポンプモジュール3が取り付けられている。ポンプモジュール3は、タンク2に貯留された尿素水を排気系(例えば、排気通路に設けられた尿素水インジェクタ)に供給可能である。ポンプモジュール3は、例えば、ポンプ(図示せず)のほかに、尿素水を適温まで加熱するためのヒータ(図示せず)、尿素水中の異物を除去するフィルタ(図示せず)、尿素水の温度を検出するための温度センサ(図示せず)、尿素水のタンク残量を検出するための残量センサ(図示せず)を含む。
【0039】
上述したタンクプロテクタ12Gには、ポンプモジュール3が露出する穴12cが設けられている。タンクプロテクタ12Gに設けられた穴12cは、ポンプモジュール3よりもひとまわり大きな穴であって、タンク2に取り付けられたポンプモジュール3と重なる位置に設けられ、該穴12cからポンプモジュール3が露出する。例えば、タンクプロテクタ12Gに設けられた穴12cは、タンクプロテクタ12Gの車両幅方向右側に偏って設けられ、ポンプモジュール3が排気管140の車両前後方向後方上方域となるように位置している。
【0040】
また、例えば、上述したタンクプロテクタ12Gの収容空間HSを区画する底には、タンクプロテクタ12Gにタンク2を取り付けるためのボルト12dが設けられている。ボルト12dは、タンク2に設けられた貫通穴2fに対応する位置に設けられ、タンクプロテクタ12Gの収容空間HSに下半部分が収容されたタンク2の貫通穴2fを通り、ナット12e(
図6参照)に嵌合する。これにより、タンクプロテクタ12Gにタンク2が取り付けられ、タンクプロテクタ12Gにタンク2が固定される(
図6参照)。
【0041】
図5に示すように、例えば、タンクプロテクタ12Gに設けられた穴12cに対応する、タンクプロテクタ12Gの車両幅方向右側の開口縁部内側には、タンク2との間の隙間を埋めるためのインシュレータ4が設けられている。インシュレータ4は、例えば、ウレタン等の弾性や塑性のある材料で構成されており、タンクプロテクタ12Gとタンク2の間に砂や泥等が堆積することを防ぐとともに、排気熱の侵入を防いでいる。
【0042】
また、例えば、タンクプロテクタ12Gの車両幅方向両側には、取付部(サイドメンバ取付部)12fが設けられている。かかる取付部12fは、例えば、タンクプロテクタ12Gの開口縁部(上面が開放された収容空間HSの縁部)に沿って設けられている。取付部12fは、タンクプロテクタ12Gから車両幅方向外側に延びる板状体であり、例えば、金属の板を直角に折り曲げた部材を金属製のタンクプロテクタ12Gに溶接することで、タンクプロテクタ12Gに接合されている。
【0043】
また、例えば、タンクプロテクタ12Gは、一対のサイドメンバ11L,11Rに架け渡され、一対のサイドメンバ11L,11Rにタンクプロテクタ12Gが固定される。尚、本発明の実施形態に係る車体フレーム1では、例えば、タンクプロテクタ12Gは、一対のサイドメンバ11L,11Rの下面にスペーサ(図示せず)を介して取り付けられる。
【0044】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車体フレーム1が採用される車両は、荷台の下にスペアタイヤ110が横倒し姿勢で搭載可能である。スペアタイヤ110は、一対のサイドメンバ11L,11Rの間であって、車輪前後方向後輪120の車軸121よりも後方であって、上述したタンクプロテクタ12Gよりも前方となる領域(以下「スペアタイヤ搭載領域」という)に搭載される。
【0045】
例えば、スペアタイヤ搭載領域の車両前後方向の位置は、スペアタイヤ110が後輪120の車軸121及びディファレンシャル装置130と干渉しない範囲でできるだけ車両前方となるように設定される。また、例えば、スペアタイヤ搭載領域の車両幅方向の位置は、排気管140に対して所定の間隔が確保されるように設定される。本発明の実施形態に係る車体フレーム1が採用される車両100では、排気管140が車体フレーム1の中心線よりも右側(
図1において上側)に偏って配置され、スペアタイヤ搭載領域が車体フレーム1の中心線よりも左側(
図1において下側)に偏って配置される。
【0046】
本発明の実施形態が採用される車体フレーム1が採用される車両100では、スペアタイヤ搭載領域に搭載されたスペアタイヤ110は、スペアタイヤ搭載領域の略中央を車両幅方向に沿って横切るクロスメンバ12F(以下、「スペアタイヤブラケット12F」という)に着脱可能に取り付けられる。スペアタイヤブラケット12Fに取り付けられたスペアタイヤ110の上面は車体フレーム1の上面よりも低い位置にあり、車体フレーム1の上に設置された荷台に干渉することがない。
【0047】
また、スペアタイヤブラケット12Fに取り付けられたスペアタイヤ110の下面は車体フレーム1の下面よりも低い位置にあり、スペアタイヤ110が先に接地することで車体フレーム1が地面に接地しないようにしている。
【0048】
図1及び
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車体フレーム1では、上述したタンクプロテクタ12Gは、上述したスペアタイヤ搭載領域と車両前後方向後方に設けられたバンパ(図示せず)との間となる領域(以下「クロスメンバ設置領域」という)に設置される。クロスメンバ設置領域は、スペアタイヤ搭載領域に搭載されるスペアタイヤ110に沿って湾曲するとともに、バンパに干渉しないように設けられる。
【0049】
本発明の実施形態に係る車体フレーム1では、上述したタンクプロテクタ12Gの前縁に設けられる湾曲部12aは、タンクプロテクタ12Gの車両前後方向前方に横倒し姿勢で搭載されるスペアタイヤ110に沿って設けられる。
【0050】
上述した本発明の実施形態に係る車体フレーム1によれば、上述したタンクプロテクタ12Gの前縁に設けられる湾曲部12aは、タンクプロテクタ12Gの車両前後方向前方に横倒し姿勢で搭載されるスペアタイヤ110に沿って設けられるので、スペアタイヤ110を効率的に搭載できる。
【0051】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車体フレーム1では、上述した収容空間HSに下半部が収容されたタンク2の上面は、サイドメンバ11L,11Rの上面よりも低い位置にあり、車体フレーム1の上に設置された荷台に干渉することがない。
【0052】
また、本発明の実施形態に係る車体フレーム1では、上述したタンクプロテクタ12Gの下面は、スペアタイヤ搭載領域に搭載されたスペアタイヤ110の下面よりも高い位置にあり、タンクプロテクタ12Gがスペアタイヤ110よりも先に地面に干渉することがないようにしている。
【0053】
図2に示すように、本発明の実施形態に係る車体フレーム1が採用された車両100は、ガードバー150を備えている。ガードバー150は、ディパーチャアングル(車両100の後部が接地する可能性がある角度)を規定するものであり、本発明の実施形態に係る車体フレーム1が採用された車両100は、車両前後方向後輪120よりも後方に設置されたタンクプロテクタ12Gが接地しないように、タンクプロテクタ12Gの車両前後方向後方下方域に設けられている。ガードバー150は、上述したスペアタイヤ搭載領域に搭載されたスペアタイヤ110の下面よりも低い位置であり、ガードバー150がスペアタイヤ110よりも先に地面に接地することで、スペアタイヤ110が接地しないようにしている。また、ガードバー150は、中空又は中実のバー(丸棒)であって、車両幅方向に沿って設けられる。例えば、ガードバー150は、ブラケット151L,151Rを介してサイドメンバ11L,11Rに取り付けられ、固定される。このように、ガードバー150を備えることで、ガードバー150によって規制されるディパーチャアングルを超えると、まず、ガードバー150が接地するので、運転者がそれを認識した上で悪路走行を継続するか否かを判断できる。
【0054】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0055】
1 車体フレーム
11L,11R サイドメンバ
12 クロスメンバ
12F クロスメンバ(スペアタイヤブラケット)
12G クロスメンバ(タンクプロテクタ)
12a 湾曲部
12aw 内壁面(前面)
12b 膨出部
12bw 内壁面(後面)
12c 穴
12d ボルト
12e ナット
12f 取付部(サイドメンバ取付部)
HS 収容空間
2 タンク(尿素水タンク)
2a 前面
2b 後面
2c 下面
2d 下半部分(下半部)
2d1 フランジ
2e 上半部分(上半部)
2e1 フランジ
2f 貫通穴
3 ポンプモジュール(ポンプ)
4 インシュレータ
100 車両
110 スペアタイヤ
120 後輪
121 後輪の車軸
130 ディファレンシャル装置
140 排気管
150 ガードバー
151L,151R ブラケット