(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法
(51)【国際特許分類】
H01M 8/04 20160101AFI20221109BHJP
H01M 8/249 20160101ALI20221109BHJP
H01M 8/04014 20160101ALI20221109BHJP
H01M 8/04225 20160101ALI20221109BHJP
H01M 8/04302 20160101ALI20221109BHJP
H01M 8/04746 20160101ALI20221109BHJP
H01M 8/0432 20160101ALI20221109BHJP
H01M 8/04313 20160101ALI20221109BHJP
H01M 8/12 20160101ALN20221109BHJP
【FI】
H01M8/04 J
H01M8/249
H01M8/04014
H01M8/04225
H01M8/04302
H01M8/04746
H01M8/0432
H01M8/04313
H01M8/12 101
(21)【出願番号】P 2021548020
(86)(22)【出願日】2019-09-24
(86)【国際出願番号】 JP2019037379
(87)【国際公開番号】W WO2021059351
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-03-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】特許業務法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池口 健ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】筑後 隼人
【審査官】笹岡 友陽
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-71488(JP,A)
【文献】特開平11-7974(JP,A)
【文献】特開2006-128030(JP,A)
【文献】特開2011-70782(JP,A)
【文献】特開2004-63341(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 8/04
H01M 8/249
H01M 8/04014
H01M 8/04225
H01M 8/04302
H01M 8/04746
H01M 8/0432
H01M 8/04313
H01M 8/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
起動時に、加熱された空気を供給することで燃料電池を昇温する燃料電池システムであって、
複数の前記燃料電池と、
複数の前記燃料電池に並列に接続し、前記燃料電池に燃料を供給する燃料供給路と、
複数の前記燃料電池に直列に接続し、前記燃料電池に空気を供給する空気供給路と、
前記燃料供給路に設けられ、燃料または空気を加熱する熱交換器と、
前記空気供給路に設けられ、空気を加熱する空気熱交換器と、
前記空気供給路における前記空気熱交換器の上流側と、前記燃料供給路における前記熱交換器の上流側とを連結する連結路と、
を備え、
前記空気供給路には、前記空気熱交換器に流入する空気の量を調整する第1制御弁が設けられ、
前記連結路には、前記熱交換器に流入する空気の量を調整する第2制御弁が設けられ、
前記燃料電池システムの起動時に前記第1制御弁および前記第2制御弁の開度を調整することで、前記空気供給路および前記燃料供給路の双方から複数の前記燃料電池に加熱された空気を供給する、
燃料電池システム。
【請求項2】
請求項1に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池システムの起動時に、各前記燃料電池の温度に基づき前記第1制御弁および前記第2制御弁の開度を調整することで、前記空気供給路および前記燃料供給路から複数の前記燃料電池に供給される加熱された空気の量を調整する、
燃料電池システム。
【請求項3】
請求項1または2に記載の燃料電池システムであって、
前記連結路または前記空気供給路における前記空気熱交換器の上流側の位置から分岐し、前記空気熱交換器をバイパスして前記空気供給路における前記燃料電池の上流側に接続するバイパス通路をさらに備え、
前記バイパス通路には、前記燃料電池システムの起動時に前記空気熱交換器を介さずに前記空気供給路から前記燃料電池に供給される空気の量を調整する第3制御弁が設けられる、
燃料電池システム。
【請求項4】
請求項3に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池システムの起動時に、複数の前記燃料電池のうち、前記空気熱交換器に最も近い第1の燃料電池が所定の温度に到達するまでは、前記第1の燃料電池の昇温速度が最も早くなるように前記第1制御弁および前記第2制御弁の開度を制御し、
前記第1の燃料電池が所定の温度に到達した後は、前記空気供給路から供給される空気に対して前記第1の燃料電池から放熱される熱量が、前記燃料供給路から前記第1の燃料電池に供給される空気による加熱量以上になるように前記第3制御弁の開度を制御する、
燃料電池システム。
【請求項5】
請求項3に記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池システムの起動時に、複数の前記燃料電池のうち、前記空気熱交換器に最も近い第1の燃料電池が所定の温度に到達するまでは、
前記熱交換器への入熱量が前記空気熱交換器への入熱量よりも大きい場合、前記熱交換器および前記空気熱交換器への空気供給量の総量に対する前記空気熱交換器への空気供給比率が、複数の前記燃料電池の個数を前記熱交換器および前記空気熱交換器への入熱量の総量に対する前記熱交換器への入熱量比率で除した値以上になるように前記第1制御弁および前記第2制御弁の開度を制御し、
前記熱交換器への入熱量が前記空気熱交換器への入熱量よりも小さい場合、前記熱交換器および前記空気熱交換器への空気供給量の総量に対する前記空気熱交換器への空気供給比率が、前記熱交換器および前記空気熱交換器への入熱量の総量に対する前記熱交換器への入熱量比率以上になるように前記第1制御弁および前記第2制御弁の開度を制御し、
前記第1の燃料電池が所定の温度に到達した後は、前記空気供給路から供給される空気に対して前記第1の燃料電池から放熱される熱量が、前記燃料供給路から前記第1の燃料電池に供給される空気による加熱量以上になるように前記第3制御弁の開度を制御する、
燃料電池システム。
【請求項6】
請求項4または5に記載の燃料電池システムであって、
前記第3制御弁を閉じた状態において前記熱交換器および前記空気熱交換器への空気供給量の総量に対する前記熱交換器への空気供給比率と、前記第3制御弁を開いた状態において前記熱交換器、前記空気熱交換器および前記バイパス通路への空気供給量の総量に対する前記熱交換器への空気供給比率とが等しくなるように、前記第1制御弁、前記第2制御弁および前記第3制御弁の開度を調整する、
燃料電池システム。
【請求項7】
請求項4から6のいずれか一つに記載の燃料電池システムであって、
前記燃料電池システムの起動時に、前記第1の燃料電池が前記所定の温度に到達するまでの間は、前記燃料供給路による空気の圧力損失と前記空気供給路による空気の圧力損失との合計である総圧力損失が最小の値になるように前記第1制御弁および前記第2制御弁の開度を調整する、
燃料電池システム。
【請求項8】
複数の燃料電池と、
複数の前記燃料電池に並列に接続し、前記燃料電池に燃料を供給する燃料供給路と、
複数の前記燃料電池に直列に接続し、前記燃料電池に空気を供給する空気供給路と、
前記燃料供給路に設けられ、燃料または空気を加熱する熱交換器と、
前記空気供給路に設けられ、空気を加熱する空気熱交換器と、
前記空気供給路における前記空気熱交換器の上流側と、前記燃料供給路における前記熱交換器の上流側とを連結する連結路と、
を備え、
前記空気供給路には、前記空気熱交換器に流入する空気の量を調整する第1制御弁が設けられ、
前記連結路には、前記熱交換器に流入する空気の量を調整する第2制御弁が設けられる、
燃料電池システムの制御方法であって、
前記燃料電池システムの起動時に前記第1制御弁および前記第2制御弁を開弁し、前記空気供給路および前記燃料供給路の双方から複数の前記燃料電池に加熱された空気を供給して複数の前記燃料電池を昇温する、
燃料電池システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、燃料電池システム及び燃料電池システムの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
複数のスタックで構成された燃料電池システムにおいて、アノードガスを供給する燃料供給路は、複数の燃料電池スタックに直列に接続すると、上流側の燃料電池スタックのアノードオフガスが下流側の燃料電池スタックに供給されてしまう。燃料電池スタックのアノードオフガスにはH2Oなどが含まれているため、上流側の燃料電池スタックのアノードオフガスが下流側の燃料電池スタックに供給されると、発電に影響を及ぼす恐れがある。そのため、上流側燃料電池スタックのアノードオフガスの影響を受けないように、燃料供給路は複数の燃料電池スタックに並列に接続することが好ましい。一方、カソードガスを供給する空気供給路は、複数の燃料電池スタックに並列に接続すると、直列に接続した場合に比べて圧力損失が大きくなる。そのため、空気を取り込む空気ブロアの省容量化の観点から、空気供給路は複数の燃料電池スタックに直列に接続することが好ましい。
【0003】
JP2004-71488Aには、複数段の燃料電池部を配列し、空気系を直列に、燃料供給系を並列に接続した燃料電池発電設備が開示されている。この燃料電池発電設備では、加熱手段により所定温度に加熱された空気を空気供給路から最上流側の燃料電池部に供給している。
【発明の概要】
【0004】
ところで、固体酸化物型燃料電池システムでは、システムを停止状態から起動する際、部分酸化改質反応(POx)を開始するまでの間、燃料電池スタックを加熱された空気で暖機する必要がある。燃料電池システム起動時に暖機する際、JP2004-71488Aに記載の複数の燃料電池部(燃料電池スタック)に直列に接続された空気供給路から加熱された空気を供給すると、上流側の燃料電池スタックほど温度が高くなる。従って、各スタック間の温度のバラツキが大きくなる。この状態で発電を行うと、発電にもバラツキが生じ、発電効率が悪化する恐れがある。
【0005】
上記課題に鑑み、本発明は、起動時における各燃料電池温度のバラツキを抑制できる燃料電池システムを提供することを目的とする。
【0006】
本発明の一態様によれば、起動時に、加熱された空気を供給することで燃料電池を昇温する燃料電池システムが提供される。この燃料電池システムは、複数の燃料電池と、複数の燃料電池に並列に接続し、燃料電池に燃料を供給する燃料供給路と、複数の燃料電池に直列に接続し、燃料電池に空気を供給する空気供給路と、燃料供給路に設けられ、燃料または空気を加熱する熱交換器と、空気供給路に設けられ、空気を加熱する空気熱交換器と、空気供給路における空気熱交換器の上流側と、燃料供給路における熱交換器の上流側とを連結する連結路と、を備える。空気供給路には、空気熱交換器に流入する空気の量を調整する第1制御弁が設けられ、連結路には、熱交換器に流入する空気の量を調整する第2制御弁が設けられ、燃料電池システムの起動時に第1制御弁及び第2制御弁の開度を調整することで、空気供給路及び燃料供給路の双方から複数の燃料電池に加熱された空気を供給する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1実施形態による燃料電池システムの主要構成を示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態による燃料電池システムの起動時における燃料電池スタック暖機制御を説明するフローチャートである。
【
図3】
図3は、第2実施形態による燃料電池システムの主要構成を示す概略構成図である。
【
図4】
図4は、第2実施形態による燃料電池システムの起動時における燃料電池スタック暖機制御を説明するタイムチャートである。
【
図5】
図5は、第2実施形態による燃料電池システムの起動時における燃料電池スタック暖機制御を説明するフローチャートである。
【
図6】
図6は、第2実施形態の変形例による燃料電池システムの起動時における燃料電池スタック暖機制御を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0009】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態による燃料電池システム100の主要構成を示す概略構成図である。
【0010】
燃料電池システム100は、複数の燃料電池スタック11,12,13に対して発電に必要となる燃料ガス(アノードガス)及び酸化剤ガス(カソードガス)を供給し、燃料電池スタック11,12,13を車両走行用の電動モータ等の電気負荷に応じて発電させるシステムである。
【0011】
燃料電池システム100は、複数の燃料電池スタック11,12,13と、燃料供給路2と、空気供給路3と、排気通路4と、連結路5、分岐路6と、を備える。燃料供給路2は燃料電池スタック11,12,13にアノードガスを供給し、空気供給路3は燃料電池スタック11,12,13にカソードガスを供給する。排気通路4は燃料電池スタック11,12,13から排出されたアノード排ガス及びカソード排ガスを排気する。連結路5は、空気供給路3と燃料供給路2とを連結する。また燃料電池システム100は、システム全体の動作を制御するコントローラ7(制御部)を備えている。
【0012】
燃料電池スタック11,12,13は、アノードガスとカソードガスの供給を受けて発電する。燃料電池スタック11,12,13は、それぞれ複数の燃料電池または燃料電池単位セルを積層して構成され、発電源である個々の燃料電池は例えば固体酸化物型燃料電池(SOFC)である。
【0013】
燃料電池スタック11,12,13は、燃料供給路2に並列に接続し、空気供給路3に直列に接続するように配置される。燃料電池スタック11,12,13の各アノード極には、それぞれ燃料供給路2からアノードガスが供給されるとともに、燃料電池スタック11,12,13の各カソード極には、空気供給路3からカソードガスが供給される。燃料電池スタック11,12,13から排出されるアノード排ガスとカソード排ガスは、後述する触媒燃焼器41によって燃焼されて燃焼ガスとなり、排気通路4を介して外部へ排出される。
【0014】
各燃料電池スタック11,12,13のカソード極側出口付近には、温度センサ(図示しない)が設けられており、温度センサは各燃料電池スタック11,12,13から排出されるカソード排ガスの温度を検出する。検出値は信号としてコントローラ7に送られる。
【0015】
なお、本実施形態においては、燃料電池スタックを3個配置しているが、燃料電池スタックの個数はこれに限られず、複数であればいくつ配置してもよい。
【0016】
また、後述するように、燃料電池システム100起動時には、燃料供給路2からアノードガスではなく、加熱された空気が供給される。即ち、燃料電池システム100起動時には、燃料供給路2及び空気供給路3の双方から燃料電池スタック11,12,13に加熱された空気が供給され、燃料電池スタック11,12,13が暖機(昇温)される。
【0017】
燃料供給路2には、上流から順に、燃料タンク21と、インジェクタ221と、蒸発器22と、過熱器23と、熱交換改質器24とが配置され、燃料供給路2は、インジェクタ221の上流において、触媒燃焼器41に接続する分岐路6が分岐している。また、燃料供給路2は、熱交換改質器24の下流において複数の燃料電池スタック11,12,13に並列に接続し、燃料電池スタック11,12,13の下流において触媒燃焼器41に接続している。燃料供給路2は、燃料電池スタック11,12,13のアノード極にアノードガスを供給する通路であるとともに、燃料電池スタック11,12,13から排出される発電反応後のアノード排ガスを触媒燃焼器41に送り出す通路である。
【0018】
燃料タンク21は、改質前の原燃料として、例えば、エタノールと水を主成分とする燃料を貯蔵する。原燃料は、燃料タンク21からポンプ(図示しない)によりインジェクタ221に供給され、インジェクタ221により所定噴射量に調節されて、蒸発器22に噴射供給される。なお、ポンプによる燃料供給量及びインジェクタ221の噴射量はコントローラ7により制御することができる。
【0019】
蒸発器22は、インジェクタ221から微粒化して噴射供給される液体燃料を加熱して、エタノールガス及び水蒸気からなる改質前燃料ガスを生成する。蒸発器22は、後述する触媒燃焼器41から排出される燃焼ガスの熱を利用して燃料を気化させる。
【0020】
過熱器23は、触媒燃焼器41からの燃焼ガスと改質前燃料ガスを熱交換することで、改質前燃料ガスを過熱する。
【0021】
熱交換改質器24は、触媒燃焼器41からの燃焼ガスと改質前燃料ガスを熱交換することで、蒸発器22で気化された改質前燃料ガスをさらに加熱するとともに、改質前燃料ガスを燃料電池スタック1に供給するために適切な状態とすべく改質する。例えば、熱交換改質器24は、図示しない改質用触媒によって改質前燃料ガスを水蒸気改質し、水素を主成分とするアノードガスを生成する。このように改質されたアノードガスは、高温状態のまま燃料供給路2から燃料電池スタック1のアノード極に供給される。
【0022】
なお、本実施形態では熱交換器と改質器が一体となった熱交換改質器24を用いているが、熱交換器と改質器は別個の構成にしてもよい。
【0023】
また、後述するように、燃料電池システム100の起動時には、熱交換改質器24は、触媒燃焼器41からの燃焼ガスと熱交換することで空気供給路3から連結路5を介して供給される空気を加熱する。即ち、熱交換改質器24は、システム起動時には空気を加熱する熱交換器として機能する。この加熱された空気が燃料供給路2を介して燃料電池スタック11,12,13に送られ、燃料電池スタック11,12,13が暖機される。
【0024】
分岐路6は、燃料電池システム100の暖機時等に、後述する触媒燃焼器41に燃焼用燃料を供給する通路であり、燃料タンク21の下流側且つインジェクタ221の上流側において燃料供給路2から分岐し、触媒燃焼器41に接続している。分岐路6にはインジェクタ611が設けられ、例えば燃料電池システム100の暖機時には、燃料タンク21からインジェクタ611に液体燃料が供給される。インジェクタ611に供給された液体燃料は、燃焼用燃料としてインジェクタ611により触媒燃焼器41に噴射供給される。インジェクタ611の噴射量は、コントローラ7により制御することができる。
【0025】
空気供給路3には、上流から順に、空気ブロア31と、制御弁(第1制御弁)30と、空気熱交換器32とが配置され、制御弁30の上流側で連結路5に分岐している。また、空気供給路3は、空気熱交換器32の下流において、燃料電池スタック11,12,13の順に複数の燃料電池スタックに直列に接続し、最下流に配置された燃料電池スタック13の下流において触媒燃焼器41に接続している。空気供給路3は、燃料電池スタック11,12,13のカソード極にカソードガスを供給する通路であるとともに、燃料電池スタック11,12,13から排出される発電反応後のカソード排ガスを触媒燃焼器41に送り出す通路である。
【0026】
空気ブロア31は、空気供給路3の入口に設けられ、フィルタ(図示しない)を通じて外気(空気)を取り入れ、取り入れた空気を空気供給路3内に圧送する。
【0027】
空気熱交換器32は、空気ブロア31により供給される空気を、後述する触媒燃焼器41で生成される燃焼ガスと熱交換させて加熱する装置である。空気熱交換器32により加熱された空気は燃料電池スタック11,12,13のカソード極に供給される。
【0028】
空気ブロア31から空気熱交換器32に流入する空気の量は、空気熱交換器32の上流に設置された制御弁(第1制御弁)30の開度により調整される。制御弁30の開度はコントローラ7により制御することができる。
【0029】
連結路5は、燃料供給路2の改質前燃料に空気(酸素)を供給する通路であり、空気供給路3における空気熱交換器32の上流側と、燃料供給路2における熱交換改質器24の上流側とを連結する。連結路5は、空気供給路3における空気ブロア31の下流側且つ制御弁30の上流側の位置において空気供給路3から分岐し、燃料供給路2の熱交換改質器24の上流位置に接続する。連結路5には、制御弁(第2制御弁)50が設けられており、空気供給路3から熱交換改質器24に流入する空気の量は、制御弁50の開度により調整される。制御弁50の開度はコントローラ7により制御することができる。連結路5から改質前燃料に空気(酸素)が供給されると、熱交換改質器24での部分酸化改質反応(POx)により、改質後のアノードガスの温度が上昇する。これにより、高温のアノードガスが燃料電池スタック11,12,13に供給されるため、スタック温度を上昇させることができる。
【0030】
なお、燃料電池システム100の起動時には、熱交換改質器24が暖機されていないため、部分酸化改質反応(POx)を行うことができない。燃料電池システム100の起動時には、空気供給路3から連結路5を介して燃料供給路2に空気が供給されると、熱交換改質器24において触媒燃焼器41からの燃焼ガスと熱交換されることで空気が加熱される。この加熱された空気が空気供給路3を介して燃料電池スタック11,12,13に送られ、燃料電池スタック11,12,13が暖機される。即ち、燃料電池システム100の起動時には、空気供給路3から供給される加熱された空気と、前述の燃料供給路2から供給される加熱された空気とにより、燃料電池スタック11,12,13が暖機される。
【0031】
排気通路4は、燃料電池スタック11,12,13から排出されたアノード排ガス及びカソード排ガスを触媒燃焼器41で燃やして出る燃焼ガスを外部に排気する通路である。排気通路4は、触媒燃焼器41とシステム外部とを接続する第1排気通路4Aと、触媒燃焼器41の下流側で第1排気通路4Aから分岐し、システム外部に接続する第2排気通路4Bとから構成される。
【0032】
触媒燃焼器41は、燃料電池スタック11,12,13から燃料供給路2及び空気供給路3を介して送られてきたアノード排ガス及びカソード排ガスを混合し、その混合ガスを触媒燃焼させ、二酸化炭素や水を主成分とする燃焼ガスを生成する。触媒燃焼器41で生成された燃焼ガスは、第1排気通路4A及び第2排気通路4Bから燃料電池システム100の外部に排出される。
【0033】
第1排気通路4Aは、触媒燃焼器41で生成された燃焼ガスを外部に排出する通路であり、一端が触媒燃焼器41に接続される。第1排気通路4Aの他端側は熱交換改質器24、過熱器23、蒸発器22を通って外気へ連通している。熱交換改質器24、過熱器23、蒸発器22は、第1排気通路4Aを通る燃焼ガスの熱との熱交換により加熱される。
【0034】
第2排気通路4Bは、第1排気通路4Aと同様に、触媒燃焼器41で生成された燃焼ガスを外部に排出する通路であり、触媒燃焼器41の下流側で第1排気通路4Aから分岐し、空気熱交換器32を通って外気へ連通している。空気熱交換器32は、第2排気通路4Bを通る燃焼ガスの熱との熱交換によって加熱される。
【0035】
第1排気通路4A及び第2排気通路4Bのそれぞれに流れる燃焼ガスの流量は、例えば第1排気通路4Aまたは第2排気通路4Bの一方にスロットル(図示しない)を設けるなどすることにより調整される。該スロットルの開度は、コントローラ7により制御することができる。
【0036】
なお、例えば燃料電池システム100起動時のようにシステムを暖機する際には、インジェクタ611を介して触媒燃焼器41に原燃料が噴射供給される。触媒燃焼器41に噴射供給された原燃料を触媒燃焼させることで触媒燃焼器41が暖機され、触媒燃焼器41で生成された燃焼ガスにより、空気熱交換器32、熱交換改質器24、過熱器23、蒸発器22などが暖機される。また、燃料電池システム100の暖機時には、空気熱交換器32及び熱交換改質器(熱交換器)24に空気が供給され、供給された空気が触媒燃焼器41で生成された燃焼ガスにより加熱される。前述のとおり、この加熱された空気が燃料電池スタック11,12,13に供給されることにより、燃料電池スタック11,12,13が暖機(昇温)される。
【0037】
コントローラ7は、システム全体の動作を制御する。コントローラ7は、マイクロコンピュータ、マイクロプロセッサ、CPUを含む汎用の電子回路と周辺機器から構成され、特定のプログラムを実行することにより燃料電池システム100の制御のための処理を実行する。例えばコントローラ7は、以下で説明する燃料電池システム100の起動時における燃料電池スタック暖機制御を実行する。
【0038】
図2は本実施形態における燃料電池システム100の起動時における燃料電池スタック暖機制御を説明するフローチャートである。なお、以下の制御はいずれもコントローラ7により実行される。
【0039】
コントローラ7はシステム起動指令を受け付けると、システム起動時における燃料電池スタック暖機制御を開始する。システム起動指令は、例えば、車両の始動キーをOFFからONに切り替えるON操作が行われた場合、又は、燃料電池システム100に対して燃料電池の発電が要求された場合などに、コントローラ7に対して送信される。
【0040】
システム起動時における燃料電池スタック暖機制御を開始すると、ステップS101においてコントローラ7は、燃料電池スタック11,12,13の温度を取得する。燃料電池スタック11,12,13の温度については、各燃料電池スタック11,12,13のカソード極側出口付近に設置した温度センサにより検出された温度を燃料電池スタック11,12,13の温度とみなす。
【0041】
次にステップS102において、燃料タンク21からインジェクタ611を介して触媒燃焼器41に原燃料を噴射供給する。触媒燃焼器41に供給された燃料は触媒燃焼され、燃焼ガスが生成される。燃焼ガスは触媒燃焼器41から排気通路4に流入する。
【0042】
次にステップS103において、コントローラ7は、制御弁30及び制御弁50を開く。これにより、空気ブロア31により取り込まれた空気が空気熱交換器32及び熱交換改質器24に供給される。空気熱交換器32及び熱交換改質器24に供給された空気は、触媒燃焼器41で生成され排気通路4を通る燃焼ガスにより加熱される。空気熱交換器32において加熱された空気は空気供給路3から、熱交換改質器24において加熱された空気は燃料供給路2から、それぞれ燃料電池スタック11,12,13に供給される。これにより、各燃料電池スタック11,12,13が暖機される。
【0043】
複数の燃料電池スタック11,12,13を暖機する際に、燃料電池スタック11,12,13に直列に接続されたカソード側の空気供給路3のみから加熱された空気を供給すると、上流側の燃料電池スタックほど温度が高くなり、各燃料電池スタックの間での温度のバラツキが大きくなる。燃料電池スタックの温度のバラツキが大きい状態で発電を行うと、発電にもバラツキが起こり、発電効率の悪化を引き起こす恐れがある。一方、本実施形態では、上述のとおり、カソード側の空気供給路3だけでなく、燃料電池スタック11,12,13に並列に接続されたアノード側の燃料供給路2からも加熱された空気が供給されるため、各燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキが抑制される。
【0044】
なお、ステップS103において、制御弁30及び制御弁50の開度は、燃料電池スタック11,12,13の温度に基づき調整される。例えば、燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキが大きい場合は制御弁50の開度を大きくし、燃料供給路2から燃料電池スタック11,12,13に供給される空気の流量を大きくする。燃料供給路2は燃料電池スタック11,12,13に並列に接続しているため、燃料供給路2からの空気供給量を増加させることで燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキがより抑制される。一方、暖機後、燃料供給路2に残留した空気によりアノードガスや燃料電池スタック11,12,13のアノード極が酸化してしまうことを防止するため、暖機時における燃料電池スタック11,12,13への加熱空気の供給は、できるだけ空気供給路3側から行われることが好ましい。従って、燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキが小さい場合は制御弁30の開度を大きくし、空気供給路3からの空気供給量を増加させる。
【0045】
次にステップS104において、コントローラ7は、空気供給路3の最上流側に配置された燃料電池スタック11の温度が所定の温度T1以上に達していないかを判定する。ここでの所定の温度T1は、燃料電池スタックのアノード極が酸化してしまう温度の最低値であるスタック酸化防止温度T0よりも少し低めの温度であって、且つ部分酸化改質反応(POx)を開始しても問題ない温度に設定される。ステップS104において、燃料電池スタック11の温度が所定の温度T1以上に達している場合、コントローラ7は、ステップS105の処理を実行する。
【0046】
ステップS105において、コントローラ7は、熱交換改質器24において部分酸化改質反応(POx)を開始する。即ち、コントローラ7は、燃料タンク21からインジェクタ221を介して熱交換改質器24に燃料を供給するとともに、制御弁50の開度を調節して連結路5から熱交換改質器24に、POxに必要な適量の空気を供給する。POxが開始されると、コントローラ7は、燃料電池システム100の起動時における燃料電池スタック暖機制御を終了する。
【0047】
一方、ステップS104において、燃料電池スタック11の温度が所定の温度T1より低い場合、コントローラ7は、ステップS103の処理に戻り、燃料電池スタック11,12,13の温度に基づき制御弁30及び制御弁50の開度を調節する。
【0048】
上記した第1実施形態の燃料電池システム100によれば、以下の効果を得ることができる。
【0049】
燃料電池システム100においては、空気供給路3における空気熱交換器32の上流側と、燃料供給路2における熱交換改質器(熱交換器)24の上流側とを連結する連結路5を備える。空気供給路3には、空気熱交換器32に流入する空気の量を調整する制御弁(第1制御弁)30が設けられ、連結路5には、熱交換改質器(熱交換器)24に流入する空気の量を調整する制御弁(第2制御弁)50が設けられる。そして燃料電池システム100の起動時に制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度を調整することで、空気供給路3及び燃料供給路2の双方から複数の燃料電池スタック(燃料電池)11,12,13に加熱された空気を供給する。このようにシステム起動時に、燃料電池スタック11,12,13に直列に接続された空気供給路3だけでなく、燃料電池スタック11,12,13に並列に接続された燃料供給路2からも加熱された空気が供給されるため、各燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキが抑制される。各燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキが抑制されるため、発電を行った際の発電のバラツキも抑制され、発電効率を向上させることができる。
【0050】
また、燃料電池システム100においては、システムの起動時に、各燃料電池スタック(燃料電池)11,12,13の温度に基づき制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度を調整することで、空気供給路3及び燃料供給路2から複数の燃料電池スタック(燃料電池)11,12,13に供給される加熱された空気の量を調整する。このように、各燃料電池スタック11,12,13の温度に基づき空気供給路3及び燃料供給路2から燃料電池スタック11,12,13に供給される空気の量が調整されるため、各燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキがより抑制される。従って、発電を行った際の発電のバラツキもより抑制され、発電効率をより向上させることができる。また、各燃料電池スタック11,12,13の温度に基づき空気供給路3及び燃料供給路2から燃料電池スタック11,12,13に供給される空気の量が調整されるため、温度のバラツキの抑制に必要な量だけ燃料供給路2から空気が供給される。即ち、必要以上に燃料供給路2から空気が供給されることを防止できる。従って、燃料供給路2に残留した空気によりアノードガスや燃料電池スタック11,12,13のアノード極が酸化してしまうことを防止できる。
【0051】
なお、本実施形態においては、燃料電池スタックを複数配置する構成としたが、燃料電池は必ずしもスタックが複数である必要はなく、複数のセル群が隣接してなる燃料電池であってもよい。この場合、燃料供給路2は各セル群に並列に、空気供給路3は各セル群に直列に接続される。
【0052】
また、本実施形態では排気通路4を2つの排気通路、即ち第1及び第2排気通路4A,4Bから構成しているが、これに限られず、例えば空気熱交換器32、熱交換改質器24、過熱器23、蒸発器22を通る1つの排気通路4から構成してもよい。
【0053】
また、本実施形態では、カソード極側出口付近に設置した温度センサによる検出値を燃料電池スタック11,12,13の温度と見なしたが、燃料電池スタック11,12,13の温度の取得方法はこれに限られない。例えばアノード極側出口付近に温度センサを設置して、該温度センサの検出値を燃料電池スタックの温度と見なしてもよい。また、カソード極側出口付近とアノード極側出口付近の両方に温度センサを設置し、2つの温度センサの検出値の平均値を燃料電池スタックの温度と見なしてもよい。
【0054】
また、制御弁30及び制御弁50の開度は、燃料電池スタック11,12,13の温度に基づき調整することが好ましいが、必ずしもこれに限られない。燃料電池スタック11,12,13に並列に接続する燃料供給路2から加熱された空気が供給される構成であれば、直列に接続された空気供給路3のみから空気が供給される場合に比べて各燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキを抑制することができる。
【0055】
(第2実施形態)
図3~
図5を参照して、第2実施形態の燃料電池システム100を説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0056】
本実施形態では、連結路5から分岐し、空気熱交換器32をバイパスして空気供給路3における燃料電池スタック11,12,13の上流側の位置に接続するバイパス通路8を備える点が第1実施形態と異なる。
【0057】
図3は、第2実施形態による燃料電池システム100の主要構成を示す概略構成図である。
【0058】
図3に示すとおり、連結路5における制御弁50よりも
上流側の位置からは、バイパス通路8が分岐している。
【0059】
バイパス通路8は、連結路5における制御弁50よりも上流側の位置から分岐し、空気供給路3における空気熱交換器32と燃料電池スタック11との間の位置に接続する。バイパス通路8は、空気ブロア31により空気供給路3に取り込まれた外気(空気)を、空気熱交換器32をバイパスして、燃料電池スタック11に供給する通路である。即ち、バイパス通路8は、複数の燃料電池スタック11,12,13のうち空気供給路3の最上流側に位置する燃料電池スタック11に加熱していない外気(空気)を供給するための通路である。
【0060】
バイパス通路8には、制御弁(第3制御弁)80が設けられており、バイパス通路8を通過する空気の量は、制御弁80の開度により調整される。制御弁80の開度はコントローラ7により制御することができる。制御弁80が開かれると、空気供給路3における空気熱交換器32と燃料電池スタック11との間の位置において、バイパス通路8を通過する空気と、空気熱交換器32で加熱された空気とが混合する。バイパス通路8を通過した空気は、空気熱交換器32により加熱されていないため、空気熱交換器32で加熱された空気はバイパス通路8を通過した空気と混合されると温度が低下する。このため、燃料電池システム100の暖機時に制御弁80が開かれ、空気供給路3から燃料電池スタック11に混合空気が供給されると、燃料供給路2から燃料電池スタック11に供給される加熱された空気との間で熱交換が起こる。これにより、燃料電池スタック11の昇温が抑制される。また、制御弁80の開度を大きくするほどバイパス通路8を通過する空気の流量が大きくなり、混合空気の温度がより低下する。従って、制御弁80の開度を制御することで燃料電池スタック11の温度を制御することができる。
【0061】
前述のとおり、複数の燃料電池スタックを備える燃料電池システムにおいて、燃料電池システム起動時に暖機する際、複数の燃料電池スタックに直列に接続された空気供給路から加熱された空気を供給すると、上流側の燃料電池スタックほど温度が高くなる。ここで下流側の燃料電池スタックの暖機が完了するのを待っていると、上流側の燃料電池スタックはさらに昇温され、アノード極が酸化する温度の最低値であるスタック酸化防止温度T0を超えてしまい、燃料電池スタックのアノード極が酸化してしまう恐れがある。これに対し、本実施形態では、制御弁80の開度を制御することで燃料電池スタック11の昇温を抑制することができる。このため、下流側の燃料電池スタック12,13が暖機されるのを待っていても、上流側の燃料電池スタック11の温度がスタック酸化防止温度T0を超えてしまうことを防止できる。
【0062】
また、制御弁80の開度を制御することで燃料電池スタック11の温度を制御することができるため、下流側の燃料電池スタック12,13の暖機が完了するまでの間、燃料電池スタック11の温度を、POxを開始するのに適切な温度に維持することができる。
【0063】
なお、本実施形態では、制御弁80をバイパス通路8から分岐するように構成しているが、これに限られず、空気供給路3の制御弁30よりも上流側の位置から分岐し、空気供給路3における空気熱交換器32と燃料電池スタック11との間の位置に接続するように構成してもよい。
【0064】
図4は、第2実施形態による燃料電池システム100の起動時における燃料電池スタック暖機制御を説明するタイムチャートである。
【0065】
時刻t0において、燃料電池システム100が起動すると、燃料電池スタック11,12,13の暖気が開始される。第1実施形態と同様に、燃料電池スタック11,12,13の暖気は、空気供給路3及び燃料供給路2の双方から燃料電池スタック11,12,13に加熱された空気を供給することで行われる。
【0066】
時刻t1において、燃料電池スタック11が所定の温度T1に達すると、バイパス通路8の制御弁80が開かれ、燃料電池スタック11の昇温が抑制される。第1実施形態と同様に、所定の温度T1は、スタック酸化防止温度T0よりも少し低めの温度であって、且つPOxを開始しても問題ない温度に設定される。
【0067】
なお、第1実施形態では、燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキが抑制されるように制御弁30,50の開度を制御したが、本実施形態では、時刻t1までは燃料電池スタック11の昇温速度が速くなるように制御弁30,50の開度を制御する。これにより、燃料電池スタック11はより短時間のうちに所定の温度T1に達する。
【0068】
時刻t2において、燃料電池スタック12が所定の温度T1に達すると、POxが開始される。なお、時刻t1から時刻t2の間、制御弁80の開度は、燃料電池スタック11の温度がほぼ一定に保たれるように制御される。また、制御弁80が開かれた後、燃料電池スタック11を介して空気供給路3から燃料電池スタック12,13に供給される空気は、燃料供給路2から供給される空気よりも温度が低い。即ち、燃料電池スタック12,13の昇温に関して、空気供給路3からの空気による昇温の寄与度は燃料供給路2から供給される空気による昇温の寄与度よりも低い。このため、燃料電池スタック12,13は主に燃料供給路2からの空気により昇温されるため、燃料電池スタック12と燃料電池スタック13との温度のバラツキが抑制される。従って、燃料電池スタック12が所定の温度T1に達する時刻t2において、燃料電池スタック13もほぼ所定の温度T1に近い温度となる。
【0069】
図5は、第2実施形態による燃料電池システム100の起動時における燃料電池スタック暖機制御を説明するフローチャートである。なお、以下の制御はいずれもコントローラ7により実行される。
【0070】
コントローラ7はシステム起動指令を受け付けると、システム起動時における燃料電池スタック暖機制御を開始する。
【0071】
システム起動時における燃料電池スタック暖機制御を開始すると、ステップS201においてコントローラ7は、燃料電池スタック11,12,13の温度を取得する。第1実施形態と同様に、各燃料電池スタック11,12,13のカソード極側出口付近に設置した温度センサにより検出された温度を燃料電池スタック11,12,13の温度とみなす。
【0072】
次にステップS202において、コントローラ7は、燃料タンク21からインジェクタ611を介して触媒燃焼器41に原燃料を噴射供給する。触媒燃焼器41に供給された燃料は触媒燃焼され、燃焼ガスが生成される。
【0073】
次にステップS203において、コントローラ7は、熱交換改質器(熱交換器)24への入熱量QHと空気熱交換器32への入熱量QA、及び熱交換改質器(熱交換器)24と空気熱交換器32への空気供給量比率を決定する。また、コントローラ7は、決定された入熱量になるように第1及び第2排気通路4A,4Bを通る燃焼ガスの流量を制御し、決定された空気供給量比率になるように制御弁30,50を制御する。
【0074】
熱交換改質器24への入熱量QHと空気熱交換器32への入熱量QA、及び空気供給量比率は、燃料電池スタック11の昇温速度が速くなるように決定される。具体的には、入熱量QH,QA、及び空気供給量比率は、入熱量QHが入熱量QA以上(QH
≧QA)の場合は以下の式(1)に基づき決定され、入熱量QHが入熱量QAより小さい(QH<QA)場合は以下の式(2)に基づき決定される。なお、式(1)、(2)におけるMairは空気供給路3に取り込まれる外気の総量、mair,Aは空気熱交換器32に供給される空気の量、nは燃料電池スタックの個数である。本実施形態において、nは3となる。
【0075】
【0076】
【0077】
式(1)及び式(2)の左辺(mair,A/Mair)は空気熱交換器32への空気供給比率であり、左辺と右辺が等しくなるとき、燃料電池スタック11は最も速く昇温される。前述のとおり、暖機後の残留空気によりアノード極が酸化してしまうことを防止するため、暖機時における燃料電池スタック11,12,13への加熱空気の供給は、できるだけ空気供給路3側から行われることが好ましい。従って、本実施形態では、空気熱交換器32への空気供給比率(mair,A/Mair)は、燃料電池スタック11が最も速く昇温される場合の空気熱交換器32への空気供給比率(mair,A/Mair)以上の大きさに決定される。なお、より好ましくは、燃料電池スタック11が最も速く昇温される空気供給比率、即ち式(1)及び式(2)の左辺と右辺が等しくなるように空気熱交換器32への空気供給比率(mair,A/Mair)を決定する。これにより、燃料電池スタック11を最も短時間に昇温できる。従って、複数の燃料電池スタック11,12,13の温度のバラツキを抑制しながら暖気を行う場合に比べ、燃料電池スタック11の暖気時間が短縮されるとともに、複数の燃料電池スタック11,12,13を暖気する全体の暖気時間も短縮される。
【0078】
決定された入熱量QH,QA、及び空気供給量比率に基づき、コントローラ7により燃焼ガスの流量及び制御弁30,50の開度が制御されると、空気熱交換器32及び熱交換改質器24に空気が供給され、燃焼ガスにより空気が加熱される。加熱された空気は空気供給路3及び燃料供給路2から、それぞれ燃料電池スタック11,12,13に供給され、各燃料電池スタック11,12,13の暖機が開始される。
【0079】
なお、上記の通り、熱交換改質器24への入熱量QHと空気熱交換器32への入熱量QA、及び空気供給量比率は、式(1)または式(2)に基づき決定することが好ましいが、必ずしもこれに限られず、例えば各燃料電池スタック11,12,13の温度に基づき決定してもよい。
【0080】
続いてステップS204において、コントローラ7は、空気供給路3の最上流側に配置された燃料電池スタック11の温度が所定の温度T1以上に達していないかを判定する。ステップS204において、燃料電池スタック11の温度が所定の温度T1以上に達していない場合、コントローラ7は、ステップS203の処理に戻り、燃料ガス流量及び制御弁30,50の開度を制御する。一方、ステップS204において、燃料電池スタック11の温度が所定の温度T1以上に達している場合、コントローラ7は、ステップS205の処理を実行する。
【0081】
ステップS205において、コントローラ7は、制御弁80を開く。制御弁80が開かれると、バイパス通路8に空気が流入し、バイパス通路8と空気供給路3とが接続する位置において、燃料電池スタック11の温度よりも低温の混合空気が生成される。燃料電池スタック11に低温の混合空気が供給されることで、燃料電池スタック11の昇温が抑制される。コントローラ7は、空気供給路3から供給される混合空気に対する燃料電池スタック11からの放熱量が、燃料供給路2から燃料電池スタック11に供給される空気による燃料電池スタック11への加熱量以上になるように制御弁80の開度を制御する。例えば燃料供給路2から燃料電池スタック11に供給される空気による加熱量が、空気供給路3から燃料電池スタック11に供給される混合空気に対する放熱量よりも大きい場合、燃料電池スタック11の温度は上昇してしまう。従って、このような場合、コントローラ7は、制御弁80の開度を大きくして混合空気の温度を低下させ、燃料電池スタック11からの放熱量が燃料電池スタック11への加熱量よりも大きくなるように調整する。これにより、燃料電池スタック11の昇温が抑制される。
【0082】
また、コントローラ7は、空気供給路3に取り込まれる外気の総量Mairに対する熱交換改質器24への空気供給量の比率が制御弁80を開く前と後で同一に保たれるように制御弁30,50,80をそれぞれ制御する。即ち、制御弁30,50,80は、以下の式(3)が成立するように制御される。なお、式(3)におけるmair,Bはバイパス通路8に供給される空気の量、mair,Hは熱交換改質器24に供給される空気の量である。
【0083】
【0084】
このように、制御弁80を開く前と後とで熱交換改質器24への空気供給量の比率を同一に保つため、空気熱交換器32に供給される空気量とバイパス通路8に供給される空気量の比率のみにより燃料電池スタック11の温度を調整できる。即ち、燃料電池スタック11の温度調整がより容易になる。
【0085】
なお、上記のとおり、制御弁80を開く前と後とで熱交換改質器24への空気供給量の比率を同一に保つことが好ましいが、必ずしもこれに限られない。制御弁80を開く前と後で熱交換改質器24への空気供給量の比率を変えても、燃料電池スタック11の温度がスタック酸化防止温度T0を超えないように制御することができる。
【0086】
次に、ステップS206において、コントローラ7は、燃料電池スタック12が所定の温度T1に達しているか否かを判定する。燃料電池スタック12が所定の温度T1に達していない場合、コントローラ7は、ステップS205に戻り、制御弁80の開度を制御する。
【0087】
一方、ステップS206において、燃料電池スタック12が所定の温度T1に達している場合、コントローラ7は、ステップS207の処理を実行する。
【0088】
ステップS207において、コントローラ7は、熱交換改質器24において部分酸化改質反応(POx)を開始する。なお、前述のとおり、燃料電池スタック12が所定の温度T1に達している場合、燃料電池スタック13もほぼ所定の温度T1に近い温度となっている。POxが開始されると、コントローラ7は、燃料電池システム100の起動時における燃料電池スタック暖機制御を終了する。
【0089】
上記した第2実施形態の燃料電池システム100によれば、さらに以下の効果を得ることができる。
【0090】
本実施形態の燃料電池システム100においては、連結路5または空気供給路3における空気熱交換器32の上流側の位置から分岐し、空気熱交換器32をバイパスして空気供給路3における燃料電池スタック(燃料電池)11の上流側に接続するバイパス通路8を備える。バイパス通路8には、燃料電池システム100の起動時に空気熱交換器32を介さずに空気供給路3から燃料電池スタック(燃料電池)11に供給される空気の量を調整する制御弁(第3制御弁)80が設けられる。制御弁80が開かれると、空気熱交換器32で加熱された空気は、燃料電池スタック(燃料電池)11の上流でバイパス通路8を通過した空気と混合され、温度が低下する。このため、燃料電池システム100の暖機時に制御弁80が開かれ、空気供給路3から燃料電池スタック11に混合空気が供給されると、燃料供給路2から燃料電池スタック11に供給される加熱された空気との間で熱交換が起こる。これにより、燃料電池スタック11の昇温が抑制される。従って、下流側の燃料電池スタック12,13の暖機が完了するのを待っていることで、上流側の燃料電池スタック11の温度が過度に上昇し、スタック酸化防止温度T0を超えてしまうことを防止できる。よって、上流側の燃料電池スタック11のアノード極が酸化してしまうことを防止できる。
【0091】
また、制御弁80の開度を大きくするほどバイパス通路8を通過する空気の流量が大きくなり、混合空気の温度が低下するため、制御弁80の開度を制御することで燃料電池スタック11の温度を制御することができる。このように制御弁80の開度を調整することで上流側の燃料電池スタック11の温度を制御できるため、下流側の燃料電池スタック12,13の暖機が完了するのを待っている間、上流側の燃料電池スタック11の温度をスタック酸化防止温度T0以下の一定の温度に保つことができる。これにより、上流側の燃料電池スタック11の温度がスタック酸化防止温度T0を超えてしまうことを防止しつつ、下流側の燃料電池スタック12,13の暖機が完了するまでの間、燃料電池スタック11の温度を、POxを開始するのに適切な温度に維持することができる。従って、下流側の燃料電池スタック12,13の暖機が完了した際にすぐにPOxを開始できる。即ち、複数の燃料電池スタック11,12,13の暖気時間を短縮することができる。
【0092】
本実施形態の燃料電池システム100においては、燃料電池システム100の起動時に、複数の燃料電池スタック(燃料電池)11,12,13のうち、空気熱交換器32に最も近い燃料電池スタック(第1の燃料電池)11が所定の温度T1に到達するまでは、燃料電池スタック(第1の燃料電池)11の昇温速度が最も早くなるように制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度を制御する。燃料電池スタック(第1の燃料電池)11が所定の温度に到達した後は、空気供給路3から供給される空気に対して燃料電池スタック(第1の燃料電池)11から放熱される熱量が、燃料供給路2から燃料電池スタック(第1の燃料電池)11に供給される空気による加熱量以上になるように制御弁(第3の制御弁)80の開度を制御する。このように、燃料電池スタック(第1の燃料電池)11が所定の温度に到達するまでは、燃料電池スタック(第1の燃料電池)11の昇温速度が最も早くなるように制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度を制御するため、燃料電池スタック11を短時間に昇温できる。従って、複数の燃料電池スタック(燃料電池)11,12,13の温度のバラツキを抑制しながら暖気を行う場合に比べ、燃料電池スタック11の暖気時間が短縮されるとともに、複数の燃料電池スタック11,12,13を暖気する全体の暖気時間も短縮することができる。
【0093】
また、燃料電池スタック(第1の燃料電池)11が所定の温度に到達した後は、燃料電池スタック(第1の燃料電池)11の放熱量が、加熱量以上になるように制御弁(第3の制御弁)80の開度を制御するため、上流側の燃料電池スタック11の温度がスタック酸化防止温度T0を超えてしまうことより確実に防止できる。
【0094】
本実施形態の燃料電池システム100においては、燃料電池システム100の起動時に、複数の燃料電池スタック(燃料電池)11,12,13のうち、空気熱交換器32に最も近い燃料電池スタック(第1の燃料電池)11が所定の温度に到達するまでは、制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度は以下のように制御される。即ち、熱交換改質器(熱交換器)24への入熱量QHが空気熱交換器32への入熱量QAよりも大きい場合、熱交換改質器(熱交換器)24及び空気熱交換器32への空気供給量の総量Mairに対する空気熱交換器32への空気供給比率mair,A/Mairが、複数の燃料電池スタック(燃料電池)の個数nを熱交換改質器(熱交換器)24及び空気熱交換器32への入熱量の総量QH+QAに対する熱交換改質器(熱交換器)24への入熱量比率QH/QH+QAで除した値以上になるように制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度を制御する。また、熱交換改質器(熱交換器)24への入熱量QHが空気熱交換器32への入熱量QAよりも小さい場合、熱交換改質器(熱交換器)24及び空気熱交換器32への空気供給量の総量Mairに対する空気熱交換器32への空気供給比率mair,A/Mairが、熱交換改質器(熱交換器)24及び空気熱交換器32への入熱量の総量QH+QAに対する熱交換改質器(熱交換器)24への入熱量比率QH/QH+QA以上になるように制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度を制御する。即ち、燃料電池スタック(第1の燃料電池)11が所定の温度に到達するまでは、空気熱交換器32への空気供給比率(mair,A/Mair)が、燃料電池スタック11が最も速く昇温される場合の空気熱交換器32への空気供給比率以上の大きさになるように制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度が制御される。このように、燃料電池スタック(第1の燃料電池)11の昇温速度が最も早くなる空気供給比率か、またはそれよりも空気供給路3からの空気供給比率が高くなるように複数の燃料電池スタック(燃料電池)11,12,13に空気が供給される。従って、燃料供給路2からの空気供給を抑えることができ、暖機後の残留空気によりアノード極が酸化してしまうことを防止できる。
【0095】
本実施形態の燃料電池システム100においては、制御弁(第3制御弁)80を閉じた状態において熱交換改質器(熱交換器)24及び空気熱交換器32への空気供給量の総量Mairに対する熱交換改質器(熱交換器)24への空気供給比率(mair,H/Mair)と、制御弁(第3制御弁)80を開いた状態において熱交換改質器(熱交換器)24、空気熱交換器32及びバイパス通路8への空気供給量の総量Mairに対する熱交換改質器(熱交換器)24への空気供給比率(mair,H/Mair)とが等しくなるように、制御弁(第1制御弁)30、制御弁(第2制御弁)50及び制御弁(第3制御弁)80の開度を調整する。即ち、空気供給路3に取り込まれる外気の総量Mairに対する熱交換改質器24への空気供給量の比率(mair,H/Mair)が制御弁80を開く前と後で同一に保たれるように制御弁(第1から第3の制御弁)30,50,80をそれぞれ制御する。このように、制御弁(第3制御弁)80を開く前と後とで熱交換改質器24への空気供給量の比率(mair,H/Mair)を同一に保つため、空気熱交換器32に供給される空気量とバイパス通路8に供給される空気量の比率のみにより燃料電池スタック11の温度を調整できる。従って、燃料電池スタック11の温度調整がより容易になる。
【0096】
(第2実施形態の変形例)
図6を参照して、第2実施形態の変形例の燃料電池システム100を説明する。なお、第1実施形態及び第2実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0097】
本実施形態では、燃料電池スタック11が所定の温度に到達するまでは、圧力損失が最小になるような空気供給比率で熱交換改質器(熱交換器)24と空気熱交換器32とに空気が供給される点が他の実施形態と異なる。
【0098】
図6は第2実施形態の変形例による燃料電池システム100の起動時における燃料電池スタック暖機制御を説明するフローチャートである。なお、以下の制御はいずれもコントローラ7により実行される。
【0099】
ステップS201及びステップS202の処理は第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0100】
ステップS213において、コントローラ7は、熱交換改質器(熱交換器)24への入熱量QHと空気熱交換器32への入熱量QA、及び熱交換改質器(熱交換器)24と空気熱交換器32への空気供給量比率を決定する。また、コントローラ7は、決定された入熱量になるように第1及び第2排気通路4A,4Bを通る燃焼ガスの流量を制御し、決定された空気供給量比率になるように制御弁30,50を制御する。
【0101】
熱交換改質器24への入熱量QHと空気熱交換器32への入熱量QA、及び空気供給量比率は、前述の式(1)、(2)を満たしつつ、且つ燃料供給路2と空気供給路3とによる空気の総圧力損失(総圧損)が最小となるように決定される。燃料供給路2における空気の圧力損失ΔPanと、空気供給路3における空気の圧力損失ΔPca、燃料供給路2と空気供給路3とによる空気の総圧損ΔPtotalは、以下の式(4)により求めることができる。なお、式(4)におけるΔpanは燃料供給路2から各燃料電池スタックに供給されるそれぞれの空気の圧力損失、Δpcaは空気供給路3から各燃料電池スタックに供給されるそれぞれの空気の圧力損失、Aan
2は燃料供給路2の断面積、Aca
2は空気供給路3の断面積、manは燃料供給路2への空気供給量、mcaは空気供給路3への空気供給量である。
【0102】
【0103】
式(4)において、燃料供給路2の断面積Aan
2及び空気供給路3の断面積Aca
2は既知の値である。式(4)より、燃料電池スタックの個数nの値によって、それぞれ総圧損ΔPtotalが最小となる燃料供給路2と空気供給路3とへの空気供給比率(man:mca)が決まる。本実施形態では燃料電池スタックの個数nは3となり、例えば燃料供給路2の断面積Aan
2及び空気供給路3の断面積Aca
2が等しい場合、総圧損ΔPtotalが最小となる空気供給比率(man:mca)は5:5となる。
【0104】
決定された入熱量QH,QA、及び空気供給量比率に基づき、コントローラ7により燃焼ガスの流量及び制御弁30,50の開度が制御されると、空気熱交換器32及び熱交換改質器24に空気が供給され、燃焼ガスにより空気が加熱される。加熱された空気は空気供給路3及び燃料供給路2から、それぞれ燃料電池スタック11,12,13に供給され、各燃料電池スタック11,12,13の暖機が開始される。
【0105】
ステップS204~ステップS207の処理は第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0106】
上記した第2実施形態の変形例の燃料電池システム100によれば、さらに以下の効果を得ることができる。
【0107】
本実施形態の燃料電池システム100においては、燃料電池システム100の起動時に、燃料電池スタック(第1の燃料電池)11が所定の温度T1に到達するまでの間は、燃料供給路2による空気の圧力損失Δpanと空気供給路3による空気の圧力損失Δpcaとの合計である総圧力損失ΔPtotalが最小の値になるように制御弁(第1制御弁)30及び制御弁(第2制御弁)50の開度を調整する。このように、総圧力損失ΔPtotalが最小の値になるように空気供給比率(man:mca)を制御するため、空気供給路3に外気を取り込む空気ブロア31の消費電力を抑制することができ、システム全体の効率化を向上させることができる。
【0108】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0109】
上記した各実施形態は、それぞれ単独の実施形態として説明したが、適宜組み合わせてもよい。