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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】台車
(51)【国際特許分類】
   B62B 3/02 20060101AFI20221109BHJP
   B60B 33/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B62B3/02 F
B60B33/00 G
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019007823
(22)【出願日】2019-01-21
(65)【公開番号】P2020116997
(43)【公開日】2020-08-06
【審査請求日】2021-07-05
(73)【特許権者】
【識別番号】591206500
【氏名又は名称】株式会社 ダイサン
(74)【代理人】
【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳
(74)【代理人】
【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳
(74)【代理人】
【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志
(72)【発明者】
【氏名】小瀧 大蔵
【審査官】結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-230998(JP,A)
【文献】特開2017-94777(JP,A)
【文献】特開2018-177110(JP,A)
【文献】特開2016-199158(JP,A)
【文献】実開昭58-64501(JP,U)
【文献】特開2000-355276(JP,A)
【文献】特開2017-24500(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B62B 3/02,
B60B 33/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
積載物が上面に積載される第一板部材と、
前記第一板部材の下面側に取り付けられた第一キャスターと、
前記積載物が上面に積載される第二板部材と、
前記第二板部材の下面側に取り付けられた第二キャスターと、
前記第一板部材の下面に設けられた第一結合部と、
前記第二板部材の下面に設けられ、前記第一結合部に分離可能に結合して前記第一板部材と前記第二板部材とを一体化させる第二結合部と、
を備え、
前記第一結合部は、
前記第一板部材から水平方向に沿って突出した差込部、を備え、
前記第二結合部は、
前記差込部が差し込まれ、該差込部を前記第二板部材の下面に接触させる被差込部と、
前記被差込部に差し込まれた差込部を前記第二板部材の下面に押し付ける押付部と、
を備える
台車。
【請求項2】
積載物が上面に積載される第一板部材と、
前記第一板部材の下面側に取り付けられた第一キャスターと、
前記積載物が上面に積載される第二板部材と、
前記第二板部材の下面側に取り付けられた第二キャスターと、
前記第一板部材の下面に設けられた第一結合部と、
前記第二板部材の下面に設けられ、前記第一結合部に分離可能に結合して前記第一板部材と前記第二板部材とを一体化させる第二結合部と、
前記第一板部材の下面側に片持ちで取り付けられ、前記第一板部材と前記第二板部材とが一体化された状態において、一部が前記第二板部材の下面側に配置される第三キャスターと、
を備える台車。
【請求項3】
前記第二板部材に設けられ、前記第一板部材と前記第二板部材とが一体化された状態において前記第三キャスターを保持する保持部、を備える
請求項2に記載の台車。
【請求項4】
前記第一板部材及び前記第二板部材の各々が、平面視にて枠状に形成され、
枠状の前記第一板部材の一辺をなす第一板材と、枠状の前記第二板部材の一辺をなす第二板材とが対向した状態で、前記第一結合部が前記第二結合部に結合して、前記第一板部材と前記第二板部材とを一体化させる
請求項1~3のいずれか1項に記載の台車。
【請求項5】
前記第一板部材は、
前記第一キャスターが取り付けられた第一下層板と、
前記第一下層板の上面に積層され、前記第一下層板よりも軽量である第一上層板と、
を備え、
前記第二板部材は、
前記第二キャスターが取り付けられた第二下層板と、
前記第二下層板の上面に積層され、前記第二下層板よりも軽量である第二上層板と、
を備える
請求項1~3のいずれか1項に記載の台車。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積載物を積載してその積載物を搬送する台車に関する。
【背景技術】
【0002】
積載物を積載してその積載物を搬送する台車としては、特許文献1に開示される台車が知られている。特許文献1の台車は、積載物が積載される荷台部分が、複数のパイプフレームで構成されている。そして、特許文献1の台車では、パイプフレームが中間部分で前後に分離可能に構成されており、台車を前後に分割できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3066290号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、荷台部分が板部材で形成された台車では、板部材の上面に積載物が積載される。そして、板部材の下面側に取り付けられたキャスターで台車を走行させることで、板部材の上面に積載された積載物が搬送される。
【0005】
このように荷台部分が板部材で形成された台車では、コンパクトに収納できるように、台車を第一板部材と第二板部材とに分割できるように構成することが考えられる。さらに、第一板部材と第二板部材とに分割可能な台車では、例えば、第一板部材に設けられた第一結合部に、第二板部材に設けられた第二結合部を結合させて、第一板部材と第二板部材とを一体化する構成が考えられる。
【0006】
そして、第一板部材と第二板部材とに分割可能な台車では、第一板部材に設けられた第一結合部、及び第二板部材に設けられた第二結合部が、積載物を積載する際に邪魔にならないようにすることが望まれる。
【0007】
本発明は、上記事実を考慮して、第一板部材と第二板部材とに分割可能な台車において、第一板部材に設けられた第一結合部、及び第二板部材に設けられた第二結合部が、積載物を積載する際に邪魔になりにくい台車を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の台車は、積載物が上面に積載される第一板部材と、前記第一板部材の下面側に取り付けられた第一キャスターと、前記積載物が上面に積載される第二板部材と、前記第二板部材の下面側に取り付けられた第二キャスターと、前記第一板部材の下面に設けられた第一結合部と、前記第二板部材の下面に設けられ、前記第一結合部に分離可能に結合して前記第一板部材と前記第二板部材とを一体化させる第二結合部と、を備える。
【0009】
請求項1の構成によれば、第一結合部が第二結合部に結合することで、第一板部材と第二板部材とが一体化される。この一体化された第一板部材と第二板部材との上面に積載物が積載される。そして、第一板部材の下面側に取り付けられた第一キャスターと、第二板部材の下面側に取り付けられた第二キャスターとで、台車を走行させることで、第一板部材と第二板部材との上面に積載された積載物が搬送される。
【0010】
また、請求項1の構成によれば、第一結合部と第二結合部とを分離することで、第一板部材と第二板部材とが分割される。これにより、台車をコンパクトに収納できる。
【0011】
ここで、請求項1の構成では、第一結合部が、積載物が積載される上面とは反対側の第一板部材の下面に設けられている。また、第二結合部が、積載物が積載される上面とは反対側である第二板部材の下面に設けられている。このため、第一結合部及び第二結合部が、積載物を積載する際に積載物と干渉しにくく、邪魔になりにくい。
【0012】
請求項1に記載の台車では、前記第一結合部は、前記第一板部材から水平方向に沿って突出した差込部、を備え、前記第二結合部は、前記差込部が差し込まれ、該差込部を前記第二板部材の下面に接触させる被差込部、を備える。
【0013】
請求項1の構成によれば、第一板部材から水平方向に沿って突出した差込部が、第二板部材に設けられた被差込部に差し込まれる。これにより、第一板部材と第二板部材とが一体化される。ここで、請求項1の構成では、被差込部に差し込まれた差込部が、第二板部材の下面に接触するため、結合機能が高められ、第一板部材と第二板部材とが強固に一体化される。
【0014】
請求項1に記載の台車では、前記第二結合部は、前記被差込部に差し込まれた差込部を前記第二板部材の下面に押し付ける押付部、を備える。
【0015】
請求項1の構成によれば、押付部が、被差込部に差し込まれた差込部を第二板部材の下面に押し付けるため、第一板部材と第二板部材とが強固に一体化される。
【0016】
請求項2に記載の台車は、前記第一板部材の下面側に片持ちで取り付けられ、前記第一板部材と前記第二板部材とが一体化された状態において、一部が前記第二板部材の下面側に配置される第三キャスター、を備える。
【0017】
請求項2の構成によれば、第一板部材の下面側に片持ちで取り付けられた第三キャスターの一部が、第一板部材と第二板部材とが一体化された状態において、第二板部材の下面側に配置される。このため、第一板部材と第二板部材とを一体化した際に、第三キャスターを第一板部材と第二板部材との間に配置することができる。
【0018】
請求項3に記載の台車は、前記第二板部材に設けられ、前記第一板部材と前記第二板部材とが一体化された状態において前記第三キャスターを保持する保持部、を備える。
【0019】
請求項3の構成によれば、第二板部材に設けられた保持部が、第一板部材と第二板部材とが一体化された状態において第三キャスターを保持するので、第三キャスターが適正な位置に位置決めされる。また、第二板部材に設けられた保持部が、第一板部材に設けられた第三キャスターを保持することで、第一板部材と第二板部材とが強固に一体化される。
【0020】
請求項4に記載の台車は、前記第一板部材及び前記第二板部材の各々が、平面視にて枠状に形成され、枠状の前記第一板部材の一辺をなす第一板材と、枠状の前記第二板部材の一辺をなす第二板材とが対向した状態で、前記第一結合部が前記第二結合部に結合して、前記第一板部材と前記第二板部材とを一体化させる。
【0021】
請求項4の構成によれば、例えば、第一板部材及び第二板部材の各々がコの字状に形成され、且つ第一板部材と第二板部材とが一体化された際に枠状をなす構成(比較例)に比べ、第一板部材及び第二板部材の各々の剛性が高められ、第一板部材及び第二板部材の各々の変形を抑制できる。
【0022】
さらに、請求項4の構成によれば、枠状の第一板部材の一辺をなす板材と、枠状の第二板部材の一辺をなす板材とが対向した状態で、第一結合部が第二結合部に結合して、第一板部材と第二板部材とが一体化されるため、前述の比較例に比べ、第一板部材と第二板部材とが一体化された際の台車の剛性も高められ、台車の変形を抑制できる。
【0023】
請求項5に記載の台車では、前記第一板部材は、前記第一キャスターが取り付けられた第一下層板と、前記第一下層板の上面に積層され、前記第一下層板よりも軽量である第一上層板と、を備え、前記第二板部材は、前記第二キャスターが取り付けられた第二下層板と、前記第二下層板の上面に積層され、前記第二下層板よりも軽量である第二上層板と、を備える。
【0024】
請求項5の構成によれば、第一板部材は、第一キャスターが取り付けられた第一下層板と、第一下層板よりも軽量である第一上層板と、を備え、第一上層板が第一下層板の上面に積層された層構造とされている。
【0025】
このため、第一下層板と第一上層板とを別の材料にて構成することができる。具体的には、例えば、第一キャスターが取り付けられる第一下層板を、第一上層板よりも剛性の高い金属板で構成し、第一下層板よりも軽量である第一上層板として、樹脂や段ボールで形成された板材を用いることができる。これにより、第一板部材における第一キャスターが取り付けられる部分の剛性を確保しつつ、第一板部材の軽量化を図ることができる。
【0026】
また、第二板部材は、第二キャスターが取り付けられた第二下層板と、第二下層板よりも軽量である第二上層板と、を備え、第二上層板が第二下層板の上面に積層されている。
【0027】
このため、第二下層板と第二上層板とを別の材料にて構成することができる。具体的には、例えば、第二キャスターが取り付けられる第二下層板を、第二上層板よりも剛性の高い金属板で構成し、第二下層板よりも軽量である第二上層板として、樹脂や段ボールで形成された板材を用いることができる。これにより、第二板部材における第二キャスターが取り付けられる部分の剛性を確保しつつ、第二板部材の軽量化を図ることができる。
【発明の効果】
【0028】
本発明の構成によれば、第一板部材と第二板部材とに分割可能な台車において、第一板部材に設けられた第一結合部、及び第二板部材に設けられた第二結合部が、積載物を積載する際に邪魔になりにくい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本実施形態に係る台車の分解斜視図である。
図2】本実施形態に係る台車の斜視図である。
図3】本実施形態に係る台車の平面図である。
図4】本実施形態に係る台車の底面図である。
図5】本実施形態に係る台車の側断面図(図4の5-5線断面図)である。
図6】本実施形態に係る一の差込部材及び一の被差込部材の拡大斜視図である。
図7】本実施形態に係る他の差込部材及び他の被差込部材の拡大斜視図である。
図8】本実施形態に係るキャスター及び保持部の拡大斜視図である。
図9】(A)は、組み立て状態の台車を示す図であり、(B)は、分割後に収納された状態の台車を示す図である。
図10】保持部を有さない変形例に係る台車の底面図である。
図11】第一部分の板材と、該板材に対向する第二部分の板材との間に隙間が形成された変形例に係る台車の底面図である。
図12】第一部分の結合部が4つの差込部材を有し、第二部分の結合部が4つの被差込部材を有する変形例に係る台車の底面図である。
図13】他の実施形態に係る台車の分解斜視図である。
図14】他の実施形態に係る台車におけるキャスター周辺の側断面図である。
図15】他の実施形態に係る台車におけるキャスターの取り付けられた固定板が、被差込部に差し込まれる構成を示す正断面図である。
図16】他の実施形態に係る台車の底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下に、本発明に係る実施形態の一例を図面に基づき説明する。
【0031】
なお、下記の説明で用いる「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」の方向は、それぞれ、図中に「前」、「後」、「上」、「下」、「左」、「右」にて示す矢印方向に対応する。なお、「前」、「後」、「左」、「右」の方向は、説明の便宜上定めた方向であるから、本発明に係る構成がこれらの方向に限定されるものではない。なお、図中の「○」の中に「×」が記載された記号は、紙面の手前から奥へ向かう矢印を意味する。また、図中の「○」の中に「・」が記載された記号は、紙面の奥から手前へ向かう矢印を意味する。
【0032】
<台車10の構成>
まず、本実施形態に係る台車10の構成について説明する。図1は、台車10の分解斜視図である。図2は、台車10の斜視図である。図3は、台車10の平面図である。図4は、台車10の底面図である。
【0033】
本実施形態に係る台車10は、図1及び図2に示すように、第一部分11と第二部分12とを備え、第一部分11と第二部分12とに分割可能な台車である。当該台車10には、例えば、積載物の一例として、荷物17が載せられたパレット19(フォークリフト用パレット)が積載される(図5参照)。なお、積載物としては、パレット19に限られず、段ボール箱等の他の積載物であってもよい。
【0034】
第一部分11及び第二部分12の各々は、図1図2図3及び図4に示すように、枠状の板部材30と、補強部50と、接続板71、72と、キャスター91、92と、結合部20と、を備えている。
【0035】
さらに、第一部分11は、キャスター93を備えている。一方、第二部分12は、保持部90を備えている。第一部分11と第二部分12とは、第一部分11がキャスター93を備えているのに対して、第二部分12がキャスター93に代えて保持部90を備えている点(相違点)で相違する。
【0036】
第一部分11及び第二部分12は、前述の相違点を除いて、点対称に構成されている。換言すれば、第一部分11を上下方向に延びる軸10A(図3参照)周りに180度回転させた場合において、前述の相違点を除いて、第二部分12と同様に構成されている。
【0037】
ここで、第一部分11の板部材30は、本発明に係る「第一板部材」の一例である。第一部分11のキャスター91、92は、本発明に係る「第一キャスター」の一例である。第二部分12の板部材30は、本発明に係る「第二板部材」の一例である。第二部分12のキャスター91、92は、本発明に係る「第二キャスター」の一例である。
【0038】
第一部分11の結合部20は、本発明に係る「第一結合部」の一例である。第二部分12の結合部20は、本発明に係る「第二結合部」の一例である。キャスター93は、本発明に係る「第三キャスター」の一例である。保持部90は、本発明に係る「保持部」の一例である。
【0039】
以下、第一部分11及び第二部分12の各部の構成について説明する。なお、第一部分11及び第二部分12において、同様に構成されている部分については、同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
【0040】
(第一部分11の板部材30、補強部50及び接続板71、72)
第一部分11の枠状の板部材30は、第一部分11の本体部分をなしている。当該板部材30は、図1図2図3及び図4に示すように、板材31、32、33、34(以下、板材31~34という)を備えている。板材31、33は、前後方向に沿って長さを有している。板材32、34は、左右方向に沿って長さを有している。
【0041】
第一部分11の板部材30では、図3に示すように、板材31の前端面(一端面)と、板材32の後端面における左端側(一端側)の部分とが突き当てられて溶接されている。また、板材31の後端面(他端面)と、板材34の前端面における左端側(一端側)の部分とが突き当てられて溶接されている。
【0042】
さらに、図3に示すように、板材33の前端面(一端面)及び板材32の右端面(一端面)は、平面視にて右斜め前に傾斜しており、板材33の前端面と板材32の右端面とが、突き当てられて溶接されている。また、板材33の後端面(他端面)及び板材34の右端面(一端面)は、平面視にて、右斜め後ろに傾斜しており、板材33の後端面と板材34の右端面とが、突き当てられて溶接されている。このように、板材31~34の各々の端面同士が溶接されることで、板部材30が平面視にて枠状に形成されている。換言すれば、枠状の板部材30の各辺が板材31~34の各々によって構成されている。また、第一部分11は、平面視にて、外縁が、前後方向に長さを有する長方形状に形成されている。なお、第一部分11の平面視での外縁の形状は、長方形状に限定されず、正方形状等の他の多角形状であってもよい。
【0043】
そして、枠状に形成された第一部分11における板材31~34の各々の上面は、同一面上に配置されている。当該板材31~34の上面は、積載物が積載される積載面として機能する。
【0044】
第一部分11の補強部50は、板部材30を補強する機能を有している。当該補強部50は、図1図2及び図4に示すように、補強板51、52、53、54(以下、補強板51~54という)を備えている。補強板51~54の各々は、板材31~34の各々の端部から下方へ張り出している。
【0045】
具体的には、補強板51は、板材31の右端から下方に張り出しており、板材31の前端から後端に渡って形成されている。補強板52は、板材32の前端から下方に張り出しており、板材32の右端から左端に渡って形成されている。
【0046】
補強板53は、板材33の右端から下方に張り出しており、板材33の前端から後端に渡って形成されている。補強板54は、板材34の後端から下方に張り出しており、板材34の右端から左端に渡って形成されている。補強板53の前端面と補強板52の右端面とは、突き当てられて溶接されている。補強板53の後端面と補強板54の右端面とは、突き当てられて溶接されている。
【0047】
本実施形態では、板材31~34の各々と補強板51~54の各々とは、断面形状がL字状の鋼製のアングル材によって、一体的に構成されている。すなわち、アングル材の互いに直交しL字を構成する2枚の板部分のうち、一方が板材31~34の各々をなし、他方が補強板51~54の各々をなす。なお、板材31~34の各々と補強板51~54の各々とを別部材とし、溶接やネジ止め等によって互いに接合してもよい。
【0048】
第一部分11の接続板71、72の各々は、図3に示すように、平面視にて三角形の板状に形成されており、例えば、板金で構成されている。
【0049】
第一部分11の接続板71は、板材32の右端部と板材33の前端部とのコーナー部(隅部)の内側に配置されている。当該接続板71は、辺71Aが板材32の後端面における右端側の部分に突き当てられて溶接されている。当該接続板71の辺71Bは、板材33の左端面における前端側の分に突き当てられて溶接されている。
【0050】
第一部分11の接続板72は、板材34の右端部と板材33の後端部とのコーナー部(隅部)の内側に配置されている。当該接続板72は、辺72Aが板材34の前端面における右端側の部分に突き当てられて溶接されている。当該接続板72の辺72Bは、板材33の左端面における後端側の部分に突き当てられて溶接されている。
【0051】
第一部分11の接続板71、72の平面視での形状は、三角形状に限られず、例えば、正方形、矩形状等の他の多角形状、扇形状等、に適宜変更できる。
【0052】
前述のように、第二部分12の板部材30、補強部50及び接続板71、72は、第一部分11の板部材30、補強部50及び接続板71、72と点対称に構成されているので、説明を省略する。
【0053】
(第一部分11のキャスター91、92)
第一部分11のキャスター91、92の各々は、第一部分11の板部材30の下面側に取り付けられている。具体的には、キャスター91は、走行輪91Aと、支持部材91Bと、取付板91Cと、を備えている。キャスター92は、走行輪92Aと、支持部材92Bと、取付板92Cと、を備えている。
【0054】
キャスター91の支持部材91Bは、水平方向に沿った軸周りに回転可能に走行輪91Aを支持している。さらに、取付板91Cは、上下方向に沿った軸周りに回転可能に支持部材91Bを支持している。キャスター92は、キャスター91と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0055】
キャスター91の取付板91Cは、接続板71の下面と、板材32の右端部の下面と、板材33の前端部の下面とに、締結部材としてのボルト81で取り付けられている。具体的には、4つのボルト81によって、取付板91Cの四隅が固定されている。これにより、接続板71と、板材32の右端部と、板材33の前端部とが、強固に連結される。
【0056】
キャスター92の取付板92Cは、接続板72の下面と、板材34の右端部の下面と、板材33の後端部の下面とに、締結部材としてのボルト82で取り付けられている。具体的には、4つのボルト82によって、取付板92Cの四隅が固定されている。これにより、接続板72と、板材34の右端部と、板材33の後端部とが、強固に連結される。
【0057】
なお、走行輪91A、92Aは、図5に示すように、上部が高さ方向において補強板51~54と重なっており、台車10の高さ(板部材30の上面から走行輪91A、92Aの接地面までの寸法)が低く抑えられている。また、走行輪91A、92Aは、複数の車輪で構成されていてもよい。また、ボルト81、82の軸部の長さは、積載物を積載する積載面の平坦性を確保する観点から、ネジ止め時に、軸部の先端部が板部材30の上面から突出することなく、この上面以下の高さに位置するように、設定されることが好ましい。
【0058】
第二部分12のキャスター91、92は、第一部分11のキャスター91、92と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0059】
(第一部分11の結合部20及び第二部分12の結合部20)
第二部分12の結合部20は、第一部分11の結合部20に分離可能に結合して、第一部分11と第二部分12とを一体化する機能を有している。換言すれば、第二部分12の結合部20と第一部分11の結合部20との結合により、第一部分11の板部材30と第二部分12の板部材30とが一体化される。
【0060】
具体的には、図1図2及び図4に示すように、第一部分11の結合部20、及び第二部分12の結合部20の各々は、差込部材23、43と、被差込部材24、44と、ボルト26、46と、を備えている。
【0061】
第一部分11の差込部材23、43は、本発明に係る「差込部」の一例である。第二部分12の被差込部材24、44は、本発明に係る「被差込部」の一例である。第二部分12のボルト26、46は、本発明に係る「押付部」の一例である。なお、後述の差込空間25、45を、本発明に係る「被差込部」の一例と把握してもよい。
【0062】
(第一部分11の差込部材23及び第二部分12の被差込部材24)
第一部分11の差込部材23は、図6に示すように、第二部分12の被差込部材24が有する差込空間25に差し込まれる部材である。当該差込部材23は、具体的には、例えば、ブロック状の金属材で構成されている。当該差込部材23は、上面が板材32の下面に接触した状態で溶接により固定されている。さらに、当該差込部材23は、側面(前面)が補強板52の内側面(後面)に接触した状態で溶接により固定されている。当該差込部材23の左端部(先端部)は、板材32から水平方向に沿って左方向へ突出している。
【0063】
第二部分12の被差込部材24は、前後方向視にてL字状に形成されている。当該被差込部材24は、板材34の下方へ張り出した第一壁24Aと、第一壁24Aの下端部から右方向へ張り出した第二壁24Bと、を有している。第一壁24A及び第二壁24Bは、一体に形成されている。当該第一壁24Aの上端面は、板材34に溶接により固定されている。当該第一壁24A及び第二壁24Bの前端面は、補強板54に溶接により固定されている。これにより、第二部分12の被差込部材24は、第二壁24Bと板材34との間に差込空間25を有している。差込空間25は、右方向及び後方向に開口している。差込空間25の右方向の開口が、差込部材23が差し込まれる差込口となる。
【0064】
ボルト26は、被差込部材24の第二壁24Bに対して下側から螺合している。ボルト26を上側(板材34側)へ向けてねじ込むことで、差込空間25に差し込まれた差込部材23をボルト先端で板材34の下面に押し付けて、差込部材23を固定する。また、ボルト26をねじ込み方向とは逆方向に回転させて緩めて、差込部材23に対する板材34の下面への押し付けを解除することで、差込部材23を差込空間25から抜き出せるようになる。換言すれば、ボルト26を緩めることで、差込部材23を被差込部材24から分離可能となる。
【0065】
なお、第二部分12の差込部材23は、第一部分11の差込部材23と同様に構成されているので、説明を省略する。また、第一部分11の被差込部材24は、第二部分12の被差込部材24と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0066】
(第一部分11の差込部材43及び第二部分12の被差込部材44)
第一部分11の差込部材43は、図7に示すように、第二部分12の被差込部材44が有する差込空間45に差し込まれる部材である。当該差込部材43は、具体的には、例えば、ブロック状の金属材で構成されている。当該差込部材43は、上面が第一部分11の板材31の下面に接触した状態で溶接により固定されている。さらに、当該差込部材43は、右側面が第一部分11の補強板51の左側面に接触した状態で溶接により固定されている。当該差込部材43の左端部(先端部)は、第一部分11の板材31から水平方向に沿って左方向へ突出している。
【0067】
第二部分12の被差込部材44は、左右方向視にて、上側が開放されたコの字状に形成されている。当該被差込部材44は、第二部分12の板材31の下方へ張り出した一対の第一壁44Aと、一対の第一壁44Aの一方の下端部から他方の下端部に接続された第二壁44Bと、を有している。当該一対の第一壁44A及び当該第二壁44Bは、一体に形成されている。当該一対の第一壁44Aの上端面は、第二部分12の板材31に溶接により固定されている。当該一対の第一壁44A及び第二壁44Bの左端面は、第二部分12の補強板51に溶接により固定されている。これにより、第二部分12の被差込部材44は、一対の第一壁44Aと第二壁24Bと板材34とに囲まれた差込空間45を有している。差込空間45は、右方向に開口する差込口を有している。
【0068】
ボルト46は、被差込部材44の第二壁44Bに対して下側から螺合している。ボルト46を上側(板材31側)へ向けてねじ込むことで、差込空間45に差し込まれた差込部材43をボルト先端で板材31の下面に押し付けて、差込部材43を固定する。また、ボルト46をねじ込み方向とは逆方向に回転させて緩めて、差込部材43に対する板材31の下面への押し付けを解除することで、差込部材43を差込空間45から抜き出せるようになる。換言すれば、ボルト46を緩めることで、差込部材43を被差込部材44から分離可能となる。
【0069】
なお、第二部分12の差込部材43は、第一部分11の差込部材43と同様に構成されているので、説明を省略する。また、第一部分11の被差込部材44は、第二部分12の被差込部材44と同様に構成されているので、説明を省略する。
【0070】
(第一部分11のキャスター93及び第二部分12の保持部90)
キャスター93は、図1に示すように、第一部分11の板部材30の下面に配置されている。キャスター93は、図8に示すように、走行輪93Aと、支持部材93Bと、取付板93Cと、を備えている。キャスター93では、支持部材93Bが、左右方向に沿った軸周りに回転可能に走行輪93Aを支持している。さらに、支持部材93Bは、取付板93Cに対して固定されている。換言すれば、取付板93Cは、キャスター91、92の構成と異なり、支持部材93Bを上下方向に沿った軸周りの回転が制限された状態で支持している。
【0071】
キャスター93の取付板93Cは、図1及び図8に示すように、第一部分11の板材31の長さ方向(前後方向)の中央部の下面に片持ちで、締結部材としての複数(例えば2つ)のボルト83によって取り付けられている。これにより、キャスター93は、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、取付板93C(一部の一例)が第二部分12の板部材30の下面側に配置される。さらに、キャスター93(具体的には走行輪93A)は、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、台車10の中央部に配置される。
【0072】
保持部90は、図2に示すように、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、キャスター93を保持する機能を有している。具体的には、図8に示すように、保持部90は、保持部材94、96を備えている。
【0073】
保持部材94、96の各々は、左右方向視にてL字状に形成されている。当該保持部材94は、第二部分12の板材31の下方へ張り出した第一壁94Aと、第一壁94Aの下端部から後方向へ張り出した第二壁94Bと、を有している。第一壁94A及び第二壁94Bは、一体に形成されている。当該第一壁94Aの上端面は、第二部分12の板材31に溶接により固定されている。当該第一壁94A及び第二壁94Bの左端面は、第二部分12の補強板51に溶接により固定されている。
【0074】
これにより、保持部材94の第二壁24Bと、第二部分12の板材31との間に差込空間95が形成されている。差込空間95は、右方向及び後方向に開口している。差込空間95の右方向の開口が、取付板93Cの前部の左側部分が差し込まれる差込口となる。
【0075】
当該保持部材96は、第二部分12の板材31の下方へ張り出した第一壁96Aと、第一壁96Aの下端部から前方向へ張り出した第二壁96Bと、を有している。第一壁96A及び第二壁96Bは、一体に形成されている。当該第一壁96Aの上端面は、板材31に溶接により固定されている。当該第一壁96A及び第二壁96Bの左端面は、補強板51に溶接により固定されている。
【0076】
これにより、保持部材96の第二壁96Bと、第二部分12の板材31との間に差込空間97が形成されている。差込空間97は、右方向及び前方向に開口している。差込空間97の右方向の開口が、取付板93Cの後部の左側部分が差し込まれる差込口となる。
【0077】
<台車10の構成の補足>
図3及び図4に示すように、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、台車10は、外縁が正方形状に構成されている。台車10の一辺の長さは、例えば、1m程度とされる。なお、台車10の外縁の形状としては、正方形に限定されず、矩形状等の他の多角形状であってもよい。
【0078】
また、台車10では、第一部分11における枠状の板部材30の一辺をなす板材31と、第二部分12における枠状の板部材30の一辺をなす板材31と、が対向した状態で、第一部分11と第二部分12とが一体化される。具体的には、第一部分11の板材31と、第二部分12の板材31とが平行に配置された状態で、第一部分11と第二部分12とが一体化される。さらに具体的には、第一部分11の板材31と、第二部分12の板材31とが接触した状態で、第一部分11と第二部分12とが一体化される。なお、第一部分11の板材31は、本発明に係る「第一板材」の一例である。第二部分12の板材31は、本発明に係る「第二板材」の一例である。
【0079】
また、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、第一部分11の板部材30の上面は、第二部分12の板部材30の上面と同一面上に位置する。すなわち、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、第一部分11の板部材30の上面と、第二部分12の板部材30の上面とは、面一に水平に揃えられる。この揃えられた上面の上に、積載物として、荷物17が載せられたパレット19が、載せられる(図9(A)参照)。なお、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、第一部分11の板部材30の下面と、第二部分12の板部材30の下面とも、面一に水平に揃えられる。
【0080】
さらに、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、図4に示すように、キャスター93(具体的には走行輪93A)が台車10の中央部に配置される。また、第一部分11のキャスター91、92及び第二部分12のキャスター91、92で構成される4つのキャスターは、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、台車10の四隅に配置される。
【0081】
また、板材31~34の各々の幅(長さ方向に直交する方向の寸法)は、例えば30mm以上50mm以下とされる。補強板51~54の各々の幅(上下方向の寸法)も、同様に、例えば30mm以上50mm以下とされる。また、板材31~34の各々及び補強板51~54の各々の厚みは、例えば、3mm以上5mm以下とされる。また、キャスター91、92、93の走行輪91A、92A、93Aの外径は、例えば、60mm以上100mm以下とされる。なお、板材31~34の各々の幅、補強板51~54の各々の幅、板材31~34の各々と補強板51~54の各々との厚み、及びキャスター91、92、93の走行輪91A、92A、93Aの外径は、上記の寸法に限られるものではない。
【0082】
図1に示すように、板材31~34の各々の上面には、シート状の滑り止め部60が、貼り付けられている。滑り止め部60は、例えばゴムやシリコン等の公知の滑り止め材を含み、滑り止め部60と、滑り止め部60の上に載置された物体との間に、比較的大きな摩擦力が生じる。これにより、板部材30の上面に積載される積載物が、板部材30の上面から滑り落ちることが抑制される。
【0083】
本実施形態では、滑り止め部60は、実用上厚みが無視できる程度に薄いシート状のものが採用されているが、本発明ではこれに限定されない。例えば、滑り止め材を含む塗料を用いた塗装や、滑り止め材を板材31~34の各々の上部へ埋め込む等の方法によって、滑り止め部を実現してもよい。また、滑り止め部は、アングル材である板材31~34の各々の上面だけでなく、接続板71、72の上面に配置することもできる。
【0084】
<台車10の作用効果>
次に、本実施形態に係る台車10の作用効果を説明する。
【0085】
本実施形態に係る台車10によれば、分割された第一部分11と第二部分12とは、以下のように、一体化される。すなわち、図2に示すように、第一部分11の差込部材23を、第二部分12の被差込部材24が有する差込空間25に差し込む(図6参照)。また、第一部分11の差込部材43を、第二部分12の被差込部材44が有する差込空間45に差し込む(図7参照)。また、キャスター93の取付板93Cを、保持部材94の差込空間95及び保持部材96の差込空間97に差し込む(図8参照)。また、第二部分12の差込部材43を、第一部分11の被差込部材44が有する差込空間45に差し込む。また、第二部分12の差込部材23を、第一部分11の被差込部材24が有する差込空間25に差し込む。
【0086】
そして、各ボルト26及び各ボルト46をねじ込むことで、各差込部材23及び各差込部材43をボルト先端で各板部材30の下面に押し付けて、各差込部材23及び各差込部材43を固定する。このようにして、第一部分11の結合部20(差込部材23、43及び被差込部材24、44)を第二部分12の結合部20(差込部材23、43及び被差込部材24、44)に結合する。これにより、図2に示すように、第一部分11と第二部分12とが一体化される。具体的には、第一部分11の板部材30と第二部分12の板部材30とが一体化される。
【0087】
この一体化された第一部分11及び第二部分12の板部材30の上面に、図9(A)に示すように、例えば、荷物17が載せられたパレット19が積載される。そして、キャスター91、92、93で、台車10を前後方向へ走行させることで、パレット19が搬送される。台車10は、例えば、トラック等の荷台の奥側にパレット19を搬送する際に用いることができる。
【0088】
台車10の構成によれば、図2及び図8に示すように、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、第一部分11の板部材30に片持ちで取り付けられたキャスター93が、第二部分12の保持部材94及び保持部材96に保持される。これにより、キャスター93の一部が、第二部分12の板部材30の下面側に配置される。この結果、キャスター93が、図4に示すように、第一部分11と第二部分12との間に配置される。具体的には、キャスター93は、台車10の中央部に配置される。
【0089】
そして、台車10の構成によれば、台車10の中央部に配置されたキャスター93は、走行輪93Aが、上下方向に沿った軸周りの回転が制限されている。一方、台車10の四隅に配置された4つのキャスター(キャスター91及びキャスター92)では、走行輪91A、92Aが、上下方向に沿った軸周りの回転可能に支持されている。
【0090】
これにより、キャスター93の走行輪93Aを支点に、台車10を、上下方向に沿った軸周りの回転させることができる。このため、パレット19を搬送する際に、台車10の小回りが利く。このため、トラック等の荷台など比較的狭い空間内であっても、台車10を方向転換することができる。
【0091】
また、台車10の構成によれば、一体化された第一部分11と第二部分12とは以下のように分割される。すなわち、各ボルト26及び各ボルト46を緩めてから、各差込部材23を各差込空間25から抜き出し、各差込部材43を差込空間45から抜き出す。さらに、キャスター93の取付板93Cを差込空間95及び差込空間97から抜き出す。このようにして、第一部分11の結合部20と第二部分12の結合部20とを分離する。これにより、図1に示すように、第一部分11と第二部分12とが分割される。具体的には、第一部分11の板部材30と第二部分12の板部材30とが分割される。これにより、例えば、図9(B)に示すように、トラック等の荷台15の下側に設けられた配置空間13に、台車10をコンパクトに収納できる。
【0092】
ここで、台車10の構成では、第一部分11及び第二部分12の結合部20(差込部材23、43及び被差込部材24、44)が、積載物が積載される上面とは反対側の板部材30の下面に設けられている。このため、第一部分11及び第二部分12の結合部20が、積載物を積載する際に積載物と干渉しにくく、邪魔になりにくい。
【0093】
また、板材31~34の各々の端部に設けられた補強板51~54の各々によって、板部材30の剛性が高められているので、板部材30が変形しにくい。これにより台車10の走行が安定する。また、補強板51~54の各々は、板材31~34の各々の端部から下側に向かって延びるように設けられており、板部材30の上側に張り出さない。このため、補強板51~54の各々が、積載物を積載する際に邪魔になりにくい。
【0094】
また、台車10の構成によれば、各差込空間25に差し込まれた各差込部材23及び、各差込空間45に差し込まれた各差込部材43が、板部材30の下面に接触するため、結合機能が高められる。さらに、各ボルト26及び各ボルト46をねじ込むことで、各差込部材23及び各差込部材43をボルト先端で、各板部材30の下面に押し付ける。これにより、第一部分11と第二部分12とが強固に一体化される。
【0095】
また、台車10の構成によれば、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、前述のように、第二部分12の保持部材94及び保持部材96が、キャスター93を保持するので、キャスター93が適正な位置に位置決めされる。また、第二部分12の保持部材94及び保持部材96が、第一部分11のキャスター93を保持することで、第一部分11と第二部分12とが強固に一体化される。
【0096】
また、台車10の構成によれば、第一部分11の板材31と、第二部分12の板材31とが対向した状態で、第一部分11と第二部分12とが一体化される。これにより、例えば、第一部分11の板部材30及び第二部分12の板部材30の各々がコの字状に形成され、且つ第一部分11の板部材30と第二部分12の板部材30とが一体化された際に枠状をなす構成(比較例)に比べ、第一部分11及び第二部分12の板部材30の各々の剛性が高められ、第一部分11及び第二部分12の板部材30の各々の変形を抑制できる。さらに、前述の比較例に比べ、第一部分11と第二部分12とが一体化された際の台車10全体の剛性も高められ、台車10の変形を抑制できる。
【0097】
<変形例>
上記実施形態では、前述のように、第一部分11の結合部20と第二部分12の結合部20とは、各差込部材23、43が各差込空間25、45に差し込まれることで、結合されていたが、この構成に限られない。例えば、第一部分11及び第二部分12の結合部20の各々に溝部が備えられ、第一部分11の溝部と、第二部分12の溝部とがかみ合うことで結合する構成であってもよく、第一部分11及び第二部分12の結合部20は、互いが結合する構成であればよい。
【0098】
上記実施形態では、前述のように、ボルト26、46で、差込空間25、46に差し込まれた差込部材23、43を板部材30の下面に押し付けていたが、これに限られない。例えば、差込部材23、43が、差込空間25、46に圧入される構成では、ボルト26、46を有さない構成であってもよい。
【0099】
上記実施形態では、前述のように、第二部分12は、キャスター93を保持する保持部90を有していたが、図10に示すように、保持部90を有さない構成であってもよい。この場合でも、例えば、キャスター93は、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、取付板93Cが第二部分12の板部材30(板材31)の下面に接触するように構成される。
【0100】
上記実施形態では、前述のように、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、第一部分11の板材31と第二部分12の板材31とが接触していたが、図11に示すように、第一部分11の板材31と第二部分12の板材31との間に隙間が形成される構成であってもよい。この構成では、キャスター93の取付板93Cを取り付けるスペースが大きくなるため、上記実施形態に比べ、大型のキャスターを取り付けることができる。また、本構成では、例えば、第一部分11の板材32、34が板材31よりも左側へ突出し、第二部分12の板材32、34が板材31よりも右側へ突出される。また、本構成では、第一部分11と第二部分12との間の隙間分、被差込部材24、44までの距離が長くなるため、差込部材23、43が、左右方向に長尺に構成される。
【0101】
上記実施形態では、第一部分11及び第二部分12の結合部20の各々は、差込部材23、43及び被差込部材24、44を有していたが、これに限られない。例えば、図12に示すように、第一部分11の結合部20が、被差込部材24、44に替えて、差込部材23、43を有し、第二部分12の結合部20が、差込部材23、43に替えて、被差込部材24、44を有する構成であってもよい。すなわち、第一部分11の結合部20が差込部材23、43を2つずつ有し、第二部分12の結合部20が被差込部材24、44を2つずつ有する構成とされてもよい。このように、差込部材23、43及び被差込部材24、44の一方及び他方を、第一部分11と第二部分12のどちらに配置するかは、任意に設定できる。また、第一部分11及び第二部分12の結合部20としては、例えば、差込部材43及び被差込部材44を省略してもよい。また、第一部分11及び第二部分12の結合部20としては、差込部材及び被差込部材をさらに追加してもよい。
【0102】
<他の実施形態>
上記実施形態では、鋼製のアングル材を用いて、第一部分11及び第二部分12の板部材30を構成したが、これに限られない。例えば、図13に示すように、第一部分11及び第二部分12の板部材として、層構造とされた板部材130を用いてもよい。
【0103】
第一部分11及び第二部分12の板部材130の各々は、下層板140と、上層板132と、固定板133、134と、を備えている。また、第一部分11の板部材130は、固定板135を備えている。この点において、第一部分11と第二部分12とは相違する。なお、第一部分11及び第二部分12は、前述の相違点を除いて、点対称に構成されている。換言すれば、第一部分11を上下方向に延びる軸10A(図16参照)周りに180度回転させた場合において、前述の相違点を除いて、第二部分12と同様に構成されている。第一部分11及び第二部分12において、同様に構成されている部分については、同一の符号を付して、説明を適宜省略する。
【0104】
ここで、第一部分11の板部材130における下層板140は、本発明に係る「第一下層板」の一例である。第一部分11の板部材130における上層板132は、本発明に係る「第一上層板」の一例である。第二部分12の板部材130における下層板140は、本発明に係る「第二下層板」の一例である。第二部分12の板部材130における上層板132は、本発明に係る「第二上層板」の一例である。
【0105】
(第一部分11の板部材130)
図13に示すように、第一部分11の板部材130の下層板140は、キャスター91、92が取り付けられる板材である。下層板140は、平面視にて、前後方向に長さを有する略長方形状に形成されている。下層板140は、上層板132よりも剛性の高い材料で構成される。具体的には、下層板140は、例えば、アルミニウム板等の金属板で構成されている。
【0106】
下層板140の右端側と前端側の隅部分(角部分)には、上下に貫通する穴143が形成されている。穴143は、平面視にて、キャスター91の取付板91Cと同じか若干大きい四角形状とされている(図14参照)。すなわち、穴143は、キャスター91の取付板91Cが納まる大きさとされている。
【0107】
穴143の外周には、図13に示すように、下層板140の上面よりも一段下がった位置に形成された枠状の段部145が形成されている。段部145の外縁は、平面視にて四角形状とされている。
【0108】
固定板133は、キャスター91の取付板91C及び穴143よりも一回り大きい四角形状に形成されている(図14参照)。さらに、固定板133は、段部145の四角形状の外縁と同じ大きさか若干小さい四角形状とされている。すなわち、固定板133は、段部145内に納まる大きさとされている。
【0109】
固定板133の下面には、キャスター91の取付板91Cがボルト等の固定手段によって固定されている。キャスター91は穴143に対して上側から通された後、キャスター91が固定された固定板133が段部145上に載置され、固定板133が段部145に対してボルト等の固定手段により固定されている。
【0110】
一方、下層板140の右端側と後端側の隅部分(角部分)には、上下に貫通する穴144が形成されている。穴144は、平面視にて、キャスター92の取付板92Cと同じか若干大きい四角形状とされている(図14参照)。すなわち、穴144は、キャスター92の取付板92Cが納まる大きさとされている。
【0111】
穴144の外周には、図13に示すように、下層板140の上面よりも一段下がった位置に形成された枠状の段部146が形成されている。段部146の外縁は、平面視にて四角形状とされている。
【0112】
固定板134は、キャスター92の取付板92C及び穴144よりも一回り大きい四角形状に形成されている(図14参照)。さらに、固定板134は、段部146の四角形状の外縁と同じ大きさか若干小さい四角形状とされている。すなわち、固定板134は、段部146内に納まる大きさとされている。
【0113】
固定板134の下面には、キャスター92の取付板92Cがボルト等の固定手段によって固定されている。キャスター92は穴144に対して上側から通された後、キャスター92が固定された固定板134が段部146上に載置され、固定板134が段部146に対してボルト等の固定手段により固定されている。
【0114】
下層板140の左端の前後方向中央部には、図13に示すように、上下に貫通する四角形状の切欠部147が形成されている。切欠部147は、キャスター93の取付板93C(図15参照)を左右方向の中央で前後方向に沿って等分した大きさと同じか若干大きい四角形状とされている。すなわち、切欠部147は、キャスター93の取付板93Cの右半分が納まる大きさとされている。
【0115】
切欠部147の周囲(前側、後側及び右側)には、下層板140の上面よりも一段下がった位置に形成されたコの字状の段部149が形成されている。
【0116】
固定板135は、キャスター93の取付板93Cも一回り大きい四角形状に形成されている。段部149の四角形状の外縁の大きさは、固定板135を左右方向の中央で前後方向に沿って等分した大きさ(図13の仮想線SAで等分した大きさ)と同じか、若干大きい大きさとされている。すなわち、固定板135の右半分は、段部145内に納まる大きさとされている。
【0117】
固定板135の下面には、図15に示すように、キャスター93の取付板93Cがボルト等の固定手段によって固定されている。キャスター93が下層板140の下側に位置した状態で、固定板135が段部149上に載置され、固定板135が段部149に対してボルト等の固定手段により固定されている。これにより、キャスター93は、板部材130(下層板140)の下面側に片持ちで取り付けられる。
【0118】
下層板140に固定された固定板133、134、135の上面は、下層板140の上面と同一面上に配置される。そして、下層板140の上面及び固定板133、134、135の上面に上層板132が積層される。上層板132は、下層板140に対して、接着剤等の固定手段により固定される。上層板132には、下層板140よりも軽量である材料が用いられる。具体的には、上層板132として、例えば、樹脂板や、段ボール板などが用いられる。
【0119】
なお、第二部分12では、下層板140の上面に上層板132が積層されることで、下層板140の段部149と上層板132との間に、第一部分11の下層板140に固定された固定板135が差し込まれる被差込部(差込空間)150が形成される。さらに、切欠部147は、キャスター93の取付板93Cが収容される被収容部(収容空間)として機能する。そして、第一部分11と第二部分12とが一体化される際に、第一部分11の固定板135が被差込部150に差し込まれることで、キャスター93が保持される。すなわち、被差込部150は、キャスター93を保持する保持部として機能する。
【0120】
(第一部分11の差込部材23、43及び第二部分12の被差込部材124、44)
第一部分11の差込部材23、43は、左端部(先端部)が、第一部分11の下層板140の左端から水平方向に沿って左方向へ突出するように、上面が下層板140の下面に接触した状態で溶接により固定されている。また、第二部分12の被差込部材44は、一対の第一壁44Aの上端面が、第二部分12の下層板140の下面に溶接により固定されている。
【0121】
他の実施形態では、第二部分12には、被差込部材24に替えて、被差込部材124が設けられている。当該被差込部材124は、被差込部材44と同様に、左右方向視にて、上側が開放されたコの字状に形成されている。当該被差込部材124は、第二部分12の下層板140の下方へ張り出した一対の第一壁124Aと、一対の第一壁124Aの一方の下端部から他方の下端部に接続された第二壁124Bと、を有している。当該一対の第一壁124A及び当該第二壁124Bは、一体に形成されている。当該一対の第一壁124Aの上端面は、第二部分12の下層板140の下面に溶接により固定されている。これにより、第二部分12の被差込部材124は、一対の第一壁124Aと第二壁124Bと下層板140とに囲まれた差込空間125を有している。差込空間125は、左方向に開口する差込口を有している。ボルト26は、第二壁124Bに螺合している。
【0122】
<他の実施形態に係る台車10の作用効果>
次に、他の実施形態に係る台車10の作用効果を説明する。
【0123】
他の実施形態に係る台車10によれば、分割された第一部分11と第二部分12とは、以下のように、一体化される。すなわち、図16に示すように、第一部分11の差込部材23を、第二部分12の被差込部材124が有する差込空間125に差し込む。また、第一部分11の差込部材43を、第二部分12の被差込部材44が有する差込空間45に差し込む。また、第一部分11の固定板135を、第二部分12の被差込部150に差し込む(図15参照)。また、第二部分12の差込部材43を、第一部分11の被差込部材44が有する差込空間45に差し込む。また、第二部分12の差込部材23を、第一部分11の被差込部材124が有する差込空間125に差し込む。
【0124】
そして、各ボルト26及び各ボルト46をねじ込むことで、各差込部材23及び各差込部材43をボルト先端で各板部材130の下面に押し付けて、各差込部材23及び各差込部材43を固定する。このようにして、第一部分11の結合部20(差込部材23、43及び被差込部材124、44)を第二部分12の結合部20(差込部材23、43及び被差込部材124、44)に結合する。これにより、図16に示すように、第一部分11と第二部分12とが一体化される。具体的には、第一部分11の板部材130と第二部分12の板部材130とが一体化される。
【0125】
この一体化された第一部分11及び第二部分12の板部材130の上面に、積載物が積載される。そして、キャスター91、92、93で、台車10を前後方向へ走行させることで、積載物が搬送される。台車10は、例えば、トラック等の荷台の奥側に積載物を搬送する際に用いることができる。
【0126】
他の実施形態に係る台車10の構成によれば、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、第一部分11の板部材130に片持ちで取り付けられたキャスター93が、被差込部150への固定板135の差し込みによって、第二部分12の板部材130に保持される(図15参照)。これにより、キャスター93の一部が、第二部分12の板部材130の下面側に配置される。この結果、キャスター93が、図16に示すように、第一部分11と第二部分12との間に配置される。具体的には、キャスター93は、台車10の中央部に配置される。
【0127】
そして、台車10の構成によれば、台車10の中央部に配置されたキャスター93は、走行輪93Aが、上下方向に沿った軸周りの回転が制限されている。一方、台車10の四隅に配置された4つのキャスター(キャスター91及びキャスター92)では、走行輪91A、92Aが、上下方向に沿った軸周りの回転可能に支持されている。
【0128】
これにより、キャスター93の走行輪93Aを支点に、台車10を、上下方向に沿った軸周りの回転させることができる。このため、積載物を搬送する際に、台車10の小回りが利く。このため、トラック等の荷台など比較的狭い空間内であっても、台車10を方向転換することができる。
【0129】
また、台車10の構成によれば、一体化された第一部分11と第二部分12とは以下のように分割される。すなわち、各ボルト26及び各ボルト46を緩めてから、各差込部材23を各差込空間125から抜き出し、各差込部材43を差込空間45から抜き出す。さらに、固定板135を被差込部150から抜き出す。このようにして、第一部分11の結合部20と第二部分12の結合部20とを分離する。これにより、第一部分11と第二部分12とが分割される。具体的には、第一部分11の板部材130と第二部分12の板部材130とが分割される。これにより、例えば、台車10をコンパクトに収納できる。
【0130】
ここで、他の実施形態に係る台車10の構成では、第一部分11及び第二部分12の結合部20(差込部材23、43及び被差込部材124、44)が、積載物が積載される上面とは反対側の板部材130の下面に設けられている。このため、第一部分11及び第二部分12の結合部20が、積載物を積載する際に積載物と干渉しにくく、邪魔になりにくい。
【0131】
また、他の実施形態に係る台車10の構成によれば、各差込空間125に差し込まれた各差込部材23及び、各差込空間45に差し込まれた各差込部材43が、板部材130の下面に接触するため、結合機能が高められる。さらに、各ボルト26及び各ボルト46をねじ込むことで、各差込部材23及び各差込部材43をボルト先端で、各板部材130の下面に押し付ける。これにより、第一部分11と第二部分12とが強固に一体化される。
【0132】
また、他の実施形態に係る台車10の構成によれば、第一部分11と第二部分12とが一体化された状態において、前述のように、被差込部150への固定板135の差し込みによって、キャスター93が保持されるので、キャスター93が適正な位置に位置決めされる。また、被差込部150へ固定板135が差し込まれることで、第一部分11と第二部分12とが強固に一体化される。
【0133】
また、他の実施形態に係る台車10の構成によれば、第一部分11と第二部分12とは下層板140の上面に、下層板140よりも軽量である上層板132が積層された層構造とされている。
【0134】
このため、下層板140と上層板132とを別の材料にて構成することができる。具体的には、前述のように、例えば、下層板140を上層板132よりも剛性の高い金属板で構成し、下層板140よりも軽量である上層板132として、樹脂板や段ボール板で光栄することができる。これにより、板部材130におけるキャスター91、92が取り付けられる部分の剛性を確保しつつ、板部材130の軽量化を図ることができる。
【0135】
本発明は、上記の実施形態に限るものではなく、その主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形、変更、改良が可能である。例えば、上記に示した変形例は、適宜、複数を組み合わせて構成してもよい。
【符号の説明】
【0136】
10 台車
11 第一部分
12 第二部分
19 パレット
20 結合部
23、43 差込部材
24、44 被差込部材
26、46 ボルト
30 板部材
31、32、33、34 板材
50 補強部
51、52、53、54 補強板
90 保持部
91、92、93 キャスター
94、96 保持部材
130 板部材
132 上層板
140 下層板
図1
図2
図3
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