(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】食品・花卉の包装に供する包装用資材およびその処理方法
(51)【国際特許分類】
B65D 65/00 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
B65D65/00 A
(21)【出願番号】P 2018032605
(22)【出願日】2018-02-26
【審査請求日】2021-02-19
(31)【優先権主張番号】P 2017034742
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2017052579
(32)【優先日】2017-03-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】512217787
【氏名又は名称】新エネルギー産業株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】508219715
【氏名又は名称】株式会社ベルグリーンワイズ
(74)【代理人】
【識別番号】100124419
【氏名又は名称】井上 敬也
(74)【代理人】
【識別番号】100162293
【氏名又は名称】長谷 久生
(74)【代理人】
【識別番号】100126170
【氏名又は名称】水野 義之
(72)【発明者】
【氏名】新納 清憲
(72)【発明者】
【氏名】小森 弘道
(72)【発明者】
【氏名】河井 兼次
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-020067(JP,A)
【文献】国際公開第2015/121896(WO,A1)
【文献】国際公開第2015/111092(WO,A1)
【文献】特開2010-263884(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0063579(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生鮮食品や花卉を包装するための
包装用資材に高い鮮度保持機能を付与するための処理方法であって、
包装用資材を金属板で囲った状態で、その金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを
付与するものであり、かつ、
前記金属板として、半導体パウダーを充填した樹脂からなる樹脂パネルを内面に貼り付けたものを用いることを特徴とする包装用資材の処理方法。
【請求項2】
前記包装用資材が、紙または合成樹脂からなるものであることを特徴とする請求項1に記載の包装用資材の処理方法。
【請求項3】
前記振動エネルギーが、電気および/または磁気によってもたらされるものであることを特徴とする請求項1、または請求項2に記載の包装用資材の処理方法。
【請求項4】
前記振動エネルギーが、0.5~2.0mHのインダクタンスのコイルと0.2~1.0μFの静電容量のコンデンサとからなる第一LC回路と、0.5~2.0mHのインダクタンスのコイルと1.5~7.0μFの静電容量のコンデンサとからなる第二LC回路とを、5~50Vの直流電圧に対して、それぞれ並列に配置させた二基並列型LC回路から出力される直流変動電圧であることを特徴とする請求項1~3のいずれかに記載の包装用資材の処理方法。
【請求項5】
前記金属板が、鉄、ステンレス合金、アルミニウムの内のいずれか一つからなるものであることを特徴とする請求項1~4のいずれかに記載の包装用資材の処理方法。
【請求項6】
前記金属板が、表面をアルマイト処理したアルミニウムからなるものであることを特徴とする請求項1~5のいずれかに記載の包装用資材の処理方法。
【請求項7】
金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与する際に、前記金属板に、周波数1,000~2,000Hzの変動磁場を加えることを特徴とする請求項1~6のいずれかに記載の包装用資材の処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、花卉類、穀類、生鮮食品、加工食品等の包装すべき物品の鮮度低下を抑える(鮮度保持する)ことができる包装用資材と、その製造方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、前記の生鮮食品などに使用されるトレイ(容器)やフィルムには、収容物の鮮度を保持するための工夫が施されている。たとえば、特許文献1では、フィルムを延伸することで、収容する植物の呼吸用の孔を簡単に作成できるようにした鮮度保持フィルムが示されている。また、特許文献2には、包装袋内に特殊なガスを充填することで鮮度保持が行われている。特許文献3では、鉱石の微粉末を用いている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-96119号公報
【文献】特開2005-178896号公報
【文献】特開2003-285877号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の特許文献1は、微細な通気孔を、フィルムを延伸するだけで、容易に作成することができる。しかしながら、大量に作成する場合や、トレイ等、成型する場合には困難が生じるという問題がある。また、植物の呼吸を改善するだけであるので、大幅に鮮度が保持できるものでもない。特許文献2は、ガス充填であるので、特許文献1に比べて、鮮度保持の期間は長くなる可能性があるものの、包装用資材の作成側の負担ではなく、包装作業側に負担が掛かり、包装作業自体に手間が掛かるとともに、再包装の際にはガスを充填し直す必要がある等、作業性が悪い。特許文献3は、包装用資材(トレイ)に特殊な材料を含有させる必要があり、適用は穀物で、幅広い生鮮食品等に使用することができない。
【0005】
本発明の目的は、食品・花卉の包装に供する従来の包装用資材の問題点を解消し、幅広い物品に適用することができ、食品や花卉の包装に供する各種の包装用資材あるいはその原材料に、簡単かつ効率的に、鮮度保持機能を持たせることができる包装用資材の処理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる本発明の内、請求項1に記載された発明は、生鮮食品や花卉を包装するための包装用資材に高い鮮度保持機能を付与するための処理方法であって、包装用資材を金属板で囲った状態で、その金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与するものであり、かつ、前記金属板として、半導体パウダーを充填した樹脂からなる樹脂パネルを内面に貼り付けたものを用いることを特徴とするものである。なお、本発明においては、食品や花卉を包装するための容器、箱や包装袋等、および、それらの容器、箱や包装袋等を作製するための合成樹脂製のフィルム、シート、紙、木質材、金属製の箔やシート等を総称して包装用資材という。
【0007】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記包装用資材が、紙または合成樹脂からなるものであることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載された発明は、請求項1、または請求項2に記載された発明において、前記振動エネルギーが、電気および/または磁気によってもたらされるものであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載された発明は、請求項1~3のいずれかに記載された発明において、前記振動エネルギーが、0.5~2.0mHのインダクタンスのコイルと0.2~1.0μFの静電容量のコンデンサとからなる第一LC回路と、0.5~2.0mHのインダクタンスのコイルと1.5~7.0μFの静電容量のコンデンサとからなる第二LC回路とを、5~50Vの直流電圧に対して、それぞれ並列に配置させた二基並列型LC回路から出力される直流変動電圧であることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載された発明は、請求項1~4のいずれかに記載された発明において、前記金属板が、鉄、ステンレス合金、アルミの内のいずれか一つからなるものであることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載された発明は、請求項1~5のいずれかに記載された発明において、前記金属板が、表面をアルマイト処理(酸化皮膜を形成する処理)したアルミニウムからなるものであることを特徴とするものである。
【0012】
請求項7に記載された発明は、請求項1~6のいずれかに記載された発明において、金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与する際に、前記金属板に、周波数1,000~2,000Hzの変動磁場を加えることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明の処理方法で処理された容器、箱や包装袋等、あるいは、本発明の処理方法で処理された原材料を利用して作製された容器、箱や包装袋等を用いて、花卉類、生鮮食品を包装することによって、それらの被包装物の鮮度低下を効果的に抑えることが可能となる。その理由は、まだ明確になっていないが、発明者らは、本発明の製造方法により、包装用資材と接触した金属板あるいは包装用資材を覆った金属板に、特定の周期・大きさの振動エネルギーを付与することによって、金属板を構成する原子、さらには原子を構成するクォークに作用させて、クォークの持つ量子情報(クォークの持つ電荷、色荷、スピン及び質量等の固有の性質)を取り出し、包装用資材にその情報を転写することができる(量子情報を受け取った包装用資材は、構造・特性が変化して、鮮度保持に有効な特性を発現させる)ことに起因していると考えている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】包装用資材の処理装置を示す説明図(斜視図)である。
【
図2】金属筐体の金属パネル(金属板)の断面の様子を示す説明図である。
【
図3】エネルギー源(振動エネルギー発生装置)の電気回路を示す説明図である。
【
図4】処理装置で処理した後の合成樹脂フィルムを利用して作成した包装袋を示す説明図である。
【
図5】包装用資材の分光透過度の測定結果を示す図表である。
【
図6】分光透過度の測定結果を主成分分析した結果(スコアプロット)を示す図表である。
【
図7】処理装置で処理した後の合成樹脂フィルムを利用して作成した包装袋を示す説明図である。
【
図8】処理装置で処理した後の合成樹脂フィルムを利用して作成した包装袋を示す説明図である。
【
図9】処理装置で処理した後の合成樹脂フィルムを利用して作成した包装袋を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明の食品・花卉の包装に供する包装用資材の処理方法(鮮度保持機能を付与するための処理方法)は、包装用資材あるいはその原材料を金属板と接触させた状態あるいは金属板で囲った状態で、その金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与することを特徴とするものである。
【0017】
包装用資材としては、たとえば、コンビニエンスストア等で使用される弁当の容器等の紙製あるいは合成樹脂製の食品用容器、または強度や気密性の高いタッパーウェアのような保管用密封容器、各種の合成樹脂製のフィルム、シートや三方袋、二方袋、パウチ等の包装袋等を挙げることができる。また、木材、金属箔または金属板からなる包装用資材を用いることも可能である。さらに、包装用資材は、容器そのものでなく、弁当やイチゴ等の包装に使用される掛け紙や、輸送時や保管時に使用されるコンテナケースや段ボール箱等でも良い。
【0018】
加えて,包装用資材として、合成樹脂製のフィルム、シートや包装袋を用いると、食品の鮮度保持機能を飛躍的に高めることが可能になるので好ましい。かかる合成樹脂のフィルム、シートや包装袋の原材料としては、ポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリ乳酸、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリメチルペンテン等からなるフィルムやシートを好適に用いることができる。
【0019】
また、包装用資材として合成樹脂製のフィルムからなる三方袋、二方袋、パウチ等の包装袋を用いる場合には、防曇処理を施したものを用いると、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能がより良好なものとなるので好ましい。なお、当該防曇処理の方法としては、包装袋の原料である合成樹脂中への防曇剤の練り込みや、包装袋の内面への防曇剤の塗布等の方法を採用することができる。さらに、包装用資材として合成樹脂製のフィルムからなる包装袋を用いる場合には、包装袋に直径0.01~7.0mm程度の孔(針孔やパンチ孔等)を設けると、防曇処理を施した場合と同様に、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能がより良好なものとなるので好ましい。なお、かかる孔は、必ずしも円形のものに限定されず、楕円等の形状のものでも良いし、所定の長さのスリットでも良い。加えて、孔の個数は特に限定されず、1個でも複数個でも良く、包装袋の他の性能を損なわない範囲内で、必要に応じて適宜変更することができる。
【0020】
本発明の処理方法は、上記した包装用資材(あるいはその原材料)を、金属板と接触させた状態あるいは金属板で囲った状態で、その金属板に所定の振動エネルギーを付与することが必要である。金属板に所定の振動エネルギーを付与する際に、包装用資材は、金属板と接触した状態であっても良いし、金属板で囲われた状態であっても良い。また、包装用資材を金属板で囲われた状態とする方法として、中空の箱状、金属板を筒状やドーム状に組み付けた金属筐体を利用することも可能である。
【0021】
さらに、そのような金属筐体を利用する場合には、当該金属筐体は、単体の金属板を中空の箱状、金属板を筒状やドーム状に組み付けたものでも良いし、2枚の金属板を所定の距離を隔てて平行に配置させて中空部分を形成した二重の金属板(すなわち、金属板のセット)を中空の箱状、金属板を筒状やドーム状に組み付けたもの等を用いることも可能である。そのように、二重の金属板を組み付けた金属筐体を用いることによって、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能を飛躍的に高めることが可能になる。加えて、上記した二重の金属板を組み付けた金属筐体を用いる場合には、導電性の支持部材によって外側の金属板(以下、外殻という)と外側の金属板(以下、外殻という)とを所定の距離を隔てて平行に保持するのが好ましい。
【0022】
また、エネルギー源(振動エネルギー発生手段)から振動エネルギーを付与する金属板としては、鉄、ステンレス合金、またはアルミニウム(特に、表面をアルマイト処理したもの)からなる板状部材を好適に用いることができる。発明者らは、金属板の材質と食品の鮮度保持試験の結果との関係から、それらの金属板は、量子情報の取り出しに適していると考えている。
【0023】
さらに、振動エネルギーを付与する金属板は、金属からなる単一体でも良いが、半導体パウダーを充填した樹脂からなる樹脂パネルを内面(包装用資材側の面)に貼り付けた金属板を用いると、包装用資材による食品の鮮度保持機能を効果的に高めることが可能になるので好ましい。
【0024】
また、そのように樹脂パネルを内面に貼り付けた金属板を用いる場合には、樹脂パネルの主原料とする樹脂の種類は、特に限定されないが、ABS樹脂を主原料とする樹脂パネルを用いると、より高い鮮度保持機能を包装用資材に効果的に付与することが可能になるので好ましい。さらに、貼り付ける樹脂パネルの厚さは、特に限定されないが、1mm以上3mm以下に調整すると、金属板から包装用資材へ伝達される振動エネルギーの量が低減しない上、樹脂パネルが、長期間にわたって金属板に振動エネルギーを加え続けた場合でも損傷しにくいものとなるので好ましい。
【0025】
一方、半導体パウダーの種類も特に限定されないが、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化アルミニウム等の金属酸化物、ケイ酸マグネシウム等のケイ酸塩化合物を単独であるいは2種以上を混合して用いると、より高い鮮度保持機能を包装用資材に効果的に付与することが可能になるので好ましい。また、金属酸化物やケイ酸塩化合物を、2種以上組合わせて用いると、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能が一段と良好なものとなるので、より好ましい。なお、金属酸化物やケイ酸塩化合物は、精製された鉱物ではなく、天然鉱物として用いることも可能である。
【0026】
また、樹脂パネルを形成する樹脂に、半導体パウダーとともに金属パウダーを充填すると、より高い鮮度保持機能を包装用資材に効果的に付与することが可能になるので好ましい。さらに、樹脂パネルを形成する樹脂に半導体パウダーや金属パウダーを充填する場合には、それらの粒子径を10~100μmに調整すると、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能を一段と高めることが可能になるので好ましく、30~50μmに調整すると、特に好ましい。加えて、樹脂パネルを形成する樹脂に半導体パウダーや金属パウダーを充填する場合には、半導体パウダーや金属パウダーの総充填量を2~20重量%に調整すると、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能を一層高めることが可能になるので好ましく、3~7重量%に調整すると、特に好ましい。
【0027】
また、金属板に加える振動エネルギーとしては、たとえば、「直流電圧に対して第一LC回路と第二LC回路とをそれぞれ並列に配置させた二基並列型LC回路から出力される直流変動電圧」(以下、特定変動電圧という)を好適に用いることができる。さらに、かかる特定変動電圧を振動エネルギーとして用いる場合には、第一LC回路については、コイルのインダクタンスを0.5~2.0mHに調整するとともに、コンデンサの静電容量を0.2~1.0μFに調整するのが好ましく、コイルのインダクタンスを1.0~1.5mHに調整するとともに、コンデンサの静電容量を0.4~0.8μFに調整するとより好ましい。一方、第二LC回路については、コイルのインダクタンスを0.5~2.0mHに調整するとともに、コンデンサの静電容量を1.5~7.0μFに調整するのが好ましく、コイルのインダクタンスを1.0~1.5mHに調整するとともに、コンデンサの静電容量を2.0~6.0μFに調整するとより好ましい。さらに、直流電圧は、5~50Vであると好ましく、7~30Vであるとより好ましい。また、ここで入力電圧として用いる直流電圧は、100~200Vの交流電圧を整流回路(AC/DCコンバータ等)を介して変換したものを利用することが可能である。そのような振動エネルギー(特定変動電圧)を金属板に付与することによって、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能を飛躍的に高めることが可能になる。
【0028】
また、包装用資材を処理する際の金属板と包装用資材との距離は、金属板に加える振動エネルギーの出力に依存するために特に限定されないが、振動エネルギーとして上記した特定変動電圧を用いる場合には、金属板と包装用資材との距離を5.0m以下に調整するのが好ましく、2.0m以下に調整するのがより好ましく、0.5m以下に調整するのが特に好ましい。
【0029】
一方、金属板に振動エネルギーを加える際に、金属板に周波数1,000~2,000Hzの変動磁場を加えると、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能を飛躍的に高めることが可能になるので好ましい。また、そのように金属板に変動磁場を加える方法としては、電磁石やマイクロ波共振器等による外部磁場を用いる方法や、スピン軌道相互作用と呼ばれる物理効果を奏する有効磁場を用いる方法を挙げることができる。そのように、金属板に振動エネルギーとともに変動磁場を加えることによって、処理後の包装用資材による食品の鮮度保持機能を飛躍的に高められる理由は明確ではないが、発明者らは、周波数1000~2000Hzの変動磁場を加えることで、電子スピン共鳴により包装用資材の電子スピンの量子状態を変化させて、鮮度保持に有用な量子(量子情報)を多く取り出すことができることに起因していると考えている。
【0030】
上記した方法によって処理される包装用資材(あるいは処理された原材料から作製された包装用資材)は、花卉類、穀類、生鮮食品、加工食品等の包装に好適に用いることができ、良好な鮮度保持機能を発揮できる。
【実施例】
【0031】
以下、実施例によって本発明に係る包装用資材の処理方法について、図面等に基づいてより詳細に説明するが、本発明は、かかる実施例の態様に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、適宜変更することが可能である。
【0032】
図1は、実施例で用いた包装用資材の処理装置(鮮度保持機能を付与するための処理装置)を示したものであり、処理装置1は、金属筐体88、コンベア11、エネルギー源(振動エネルギー発生装置)3等によって構成されている。金属筐体88は、骨組みとなる金属(アルマイト処理をしたアルミニウム)製のフレーム材881,881・・に、パネル材(二重の金属板)882,882,882を嵌込むことによって、長手方向に沿って縦長な直方体(幅×奥行×高さ=1808mm×2108mm×1850mm)の筒状に形成されている。当該金属筐体88は、左右の鉛直状のパネル材(二重の金属板)882,882の間に、包装用資材21を搬送するコンベア11を挟み込んだ状態になっている。
【0033】
図2は、パネル材(二重の金属板)882の構造を示したものであり、パネル材882は、金属(アルミニウム)製で板状の外殻8821と、金属(アルミニウム)製で板状の内殻8822とが、所定の間隔を開けて平行に配置されている。そして、内殻8822の内側(外殻8821と対峙した側と反対側)には、所定の大きさ(10cm×10cm)の正方形状に裁断された厚さ約5.0mmの樹脂パネル8823,8823・・が、規則正しく貼り付けられている(
図2参照)。それらの樹脂パネル8823,8823・・は、半導体パウダー(酸化亜鉛)88232を5質量%の割合で充填したABS樹脂88231によって形成されている。
【0034】
また、各パネル材882,882・・は、ケーブル824を介してエネルギー源3と接続されている。すなわち、ケーブル824の芯線が、外殻8821に形成された孔8825を非接触で通過して内殻8822と電気的に接続された状態になっている。
【0035】
図3は、エネルギー源3の電気回路を示したものである。エネルギー源3は、二基並列型のLC回路であり、直流電圧31、コイル32とコンデンサ33とからなる第一LC回路39、コイル35とコンデンサ36とからなる第二LC回路40、整流ダイオード(発光ダイオード)37、コイル(受動素子)38、取り出された電圧(直流変動電圧)を各パネル材882,882・・に伝えるためのケーブル34等によって構成されており、直流電圧31に対して、整流ダイオード37およびコイル38が、直列に接続されており、第一LC回路39および第二LC回路40が、それぞれ並列に接続されている。また、エネルギー源3(二基並列型LC回路)には、制御装置(図示せず)が接続されており、当該制御装置によって、直流電圧31の電圧値、コイル38のインダクタ(抵抗値)、第一LC回路39のコイル32のインダクタ(抵抗値)およびコンデンサ33の静電容量、第二LC回路40コイル35のインダクタ(抵抗値)とコンデンサ36の静電容量を調整することができるようになっている。
【0036】
そして、上記の如く構成されたエネルギー源3は、第一LC回路39から出力される変動電圧に第二LC回路40から出力される変動電圧を重畳させた振動エネルギー(直流変動電圧)を出力して、その振動エネルギーを、ケーブル34を介して、各パネル材(二重の金属板)882,882・・に伝達可能になっている。また、エネルギー源3は、制御装置(図示せず)によって、発生させる振動エネルギーの周波数、電圧を調整することができる。
【0037】
そして、上記の如く構成された処理装置1は、包装用資材21,21・・がコンベア11によって搬送されると、各包装用資材21,21・・が金属筐体88に囲まれた状態となる位置でコンベア11を停止させて、エネルギー源3から金属筐体88の各パネル材(二重の金属板)882,882・・に振動エネルギーを付与することができる。
【0038】
<実施例1>
上記した処理装置1を用いて、コンベア11上に載置した二軸延伸防曇OPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562 厚み40μm)を、金属筐体88内に送り込み、その状態で、エネルギー源3から、第一LC回路39のインダクタンスを1mH、キャパシタンスを0.53μF(共振周波数6.91kHz)とし、第二LC回路40のインダクタンスを1mH、キャパシタンスを2.7μF(共振周波数3.06kHz)として得られた振動エネルギーを、1分間に亘って金属筐体88の各パネル材882,882・・に付与した。しかる後、金属筐体88内から二軸延伸防曇OPPフィルムを取り出して、その二軸延伸防曇OPPフィルムを用いて、縦250mm×横150mmの大きさの溶断シール袋(二方袋)を作製し、4mmφのパンチ穴を2個開孔(二方袋の両面に各1個づつ開孔)して試験用の包装袋とした。作製された包装袋を
図4に示す。
【0039】
上記の如く得られた包装袋に、岐阜県産の枝豆約190gを入れ、袋口を絞り、その絞った部分にテープを巻いて固定し、密封状態とした。そして、包装した枝豆を20℃にコントロールした恒温室に保管し、4日後の品質を確認したところ、異臭、変色、カビの発生等はなく、枝豆は商品価値を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0040】
<比較例1>
実施例1において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例1と同様に、包装袋を作製し、枝豆を包装、保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色、カビの発生があり、枝豆は商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0041】
また、振動エネルギーを付与したことによる包装用資材(包装袋の原料)の構造変化(素粒子レベルでの弱い相互作用として現れるもの)を確認するために、実施例1および比較例1の包装袋の開口部を除いた部分からそれぞれサンプルを切り出し、その切り出したサンプルについて、下記の条件で分光透過度を測定した。測定結果を
図5に示す。当該
図5の測定結果から、包装用資材(包装袋の原料)に振動エネルギーを付与したことによって(実施例1)、2600nmから1600nmの近赤外領域において、透過スペクトルがシフトしたことが分かる。
・測定装置:(株)日立ハイテクノロジー社製分光光度計(型式 U-4100)
・測定条件:サンプリング間隔=1.00、スリット=5.00nm
・測定範囲:開始2600nm、終了1600nm
・スキャンスピード:750nm/min
【0042】
さらに、(株)カモソフトウェアジャパン製の多変量解析・実験計画ソフトウェア(The Unscrambler X)を使用して、サビツキ・ゴーレイ2次微分により測定時の散乱を除去した後の主成分分析を実施した。その結果を
図6に示す。
図6のスコアプロットより、分光透過度のピーク波長による分類が可能であり、包装用資材(包装袋の原料)に振動エネルギーを付与したことによって(実施例1)、分子結合に何らかの変化が起こっていることが分かる。
【0043】
<実施例2>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、二軸延伸防曇OPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562 厚み40μm)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、そのフィルムから、縦200mm×横200mmの大きさの三方シール包装袋を作製し、その包装袋に、針を用いて有孔加工をすることによって、包装袋の酸素透過量を6000cc/m2・day・atmに調整した。さらに、上記の如く酸素透過量を調整した包装袋に、神奈川県産の富有柿1個(約280g)を入れ、袋口を熱シールして、密封状態とした。そして、密封包装した包装袋を23℃にコントロールした恒温室に21日間保管し、保管後の柿の硬度を、(株)藤原製作所製 果実硬度計KM型を用いて測定したところ、硬度は3kgfであり、良好な保管状態を示す数値であった。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0044】
<比較例2>
実施例2において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例2と同様に、包装袋を作製し、実施例1と同様に神奈川県産の富有柿を密封包装し、実施例1と同様に23℃にコントロールした恒温室において21日間保管し、保管後の柿の硬度を測定した。その結果、硬度は1kgfで富有柿の軟化を示す数値であり、富有柿は商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0045】
<実施例3>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、ポリ塩化ビニル製ラップ(デンカポリマー(株)製 デンカラップ新鮮KA280 厚み8μm)に送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、そのラップを用いて、トレーに載った長野県産の菌床生シイタケ約120gをトレーごとオーバーラップ包装した。そして、包装後のシイタケを20℃にコントロールした恒温室に3日間保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色、胞子の発生等はなく、シイタケは商品価値を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0046】
<比較例3>
実施例3において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例3と同様に、菌床生シイタケをオーバーラップ包装し、実施例3と同様に保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色、胞子の発生がみられ、シイタケは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0047】
<実施例4>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、フタ付き容器(リスパック(株)製 エコアエコハパックNK18-11)に送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、その容器に、愛知県産のイチゴを6粒並べ、フタを閉めた状態で20℃にコントロールした恒温室に3日間保管し、保管後の品質を確認したところ、痛み、変色等は見られず、イチゴは良好な状態を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0048】
<比較例4>
実施例4において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例4と同様に、イチゴを容器にならべ、実施例4と同様に保管し、保管後の品質を確認したところ、一部に傷みと黒ずみがみられ、イチゴは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0049】
<実施例5>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、段ボール箱(レンゴー(株)製 ミカン箱タイプ 材質AK250×ZNS200×AK250、サイズ 350mm×300mm×200mm)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、その段ボール箱に、神奈川県産青島ミカンを5kg入れ、20℃環境下で2ヶ月間保管し、保管後の品質を確認した。その結果、保管したミカンの中で、3個にカビの発生がみられたが、それらを除けば、良好な品質を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0050】
<比較例5>
実施例5において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例5と同様に、ミカンを段ボール箱に入れ、実施例5と同様に保管し、保管後の品質を確認したところ、全面にカビの発生がみられ、ミカンは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0051】
<実施例6>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、二軸延伸防曇OPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562 厚み20μm)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、そのフィルムを利用して、縦250mm×横150mmの大きさの溶断シール袋(二方袋)を作製した。さらに、当該包装袋に、長崎県産新ジャガイモを約450g入れ、袋口を絞り、その絞った部分にテープを巻いて固定し、密封状態とした。そして、包装した新ジャガイモを、蛍光灯が常時点灯(照度約400ルクス)した状態で20℃環境下に4日間保管し、保管後の品質を確認したところ、緑化、ムレ、異臭の発生は見られず、ジャガイモは良好な品質を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0052】
<比較例6>
実施例6において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例6と同様に、新ジャガイモを包装袋に入れ、実施例6と同様に包装して保管し、保管後の品質を確認したところ、ムレによる異臭の発生がみられ、ジャガイモは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0053】
<実施例7>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、二軸延伸防曇OPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562 厚み20μm)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、そのフィルムを利用して、縦380mm×横260mmの大きさの溶断シール袋(二方袋)を作製し、4.5mmφのパンチ穴を袋底の中央部に半円状となるように1個開孔して試験用の包装袋とした。その包装袋の形状を
図7に示す。さらに、開孔した包装袋に、岐阜県産のホウレンソウ約200gを入れ、袋口を熱シールして、密封状態とした。そして、密封した包装袋を20℃にコントロールした恒温室に4日間保管し、保管後のホウレンソウの品質を確認したところ、異臭、変色、萎び腐敗等はなく、ホウレンソウは商品価値を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0054】
<比較例7>
実施例7において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例7と同様に、包装袋を作製し、ホウレンソウを包装して保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色、腐敗の発生があり、ホウレンソウは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0055】
<実施例8>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、二軸延伸防曇OPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562 厚み20μm)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、そのフィルムを利用して、縦340mm×横230mmの大きさの溶断シール袋(二方袋)を作製し、4mmφのパンチ穴を包装袋の長辺側の片側一箇所に半円状となるように開孔して試験用の包装袋とした。その包装袋の形状を
図8に示す。さらに、開孔した包装袋に、岐阜県産のブロッコリー約330gを入れ、袋口を絞り、その絞った部分にテープを巻いて固定し、密封状態とした。そして、包装したブロッコリーを20℃にコントロールした恒温室に4日間保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色腐敗、カビ等の発生はなく、ブロッコリーは商品価値を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0056】
<比較例8>
実施例8において、処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例8と同様に包装袋を作製し、ブロッコリーを包装して保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色、腐敗、カビの発生があり、ブロッコリーは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0057】
<実施例9>
実施例1において、エネルギー源3からの振動エネルギーを、第一LC回路39のインダクタンスを0.8mH、キャパシタンスを0.60μF(共振周波数7.26kHz)とし、第二LC回路40のインダクタンスを1.2mH、キャパシタンスを3.5μF(共振周波数2.46kHz)として得られたものとした以外は実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、二軸延伸防曇OPPフィルム(東洋紡(株)製 P5562 厚み20μm)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、そのフィルムを利用して、縦250mm×横150mmの大きさの溶断シール袋(二方袋)を作製し、3.75mmφのパンチ穴を包装袋の長辺側の片側角部分の一箇所に半円状となるように開孔して試験用の包装袋とした。その包装袋の形状を
図9に示す。さらに、開孔した包装袋に、岐阜県産の菌床シイタケ約100gを入れ、袋口を絞り、その絞った部分にテープを巻いて固定し、密封状態とした。そして、密封した包装袋を20℃にコントロールした恒温室に4日間保管し、保管後のシイタケの品質を確認したところ、異臭、変色、かさの開き、胞子等の発生はなく、シイタケは商品価値を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0058】
<比較例9>
実施例9において、処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例9と同様に包装袋を作製し、シイタケを包装、保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色、かさの開、胞子の発生があり、シイタケは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0059】
<実施例10>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、二軸延伸ポリ乳酸系フィルム(三菱ケミカル(株)製 エコロージュSG106 厚み20μm)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、そのフィルムを利用して、縦810mm×横1250mmの大きさの三方シール包装袋を作製し、0.5mmの切れ込みを4200個入れて試験用の包装袋とした。そして、その包装袋を木箱に入れ、その中に静岡県産の青島ミカン約20kgを入れて、袋口を折りたたみ、折りたたんだ一箇所をテープ留めして、約5~13℃の温度変化のある環境下で、1ヶ月半の間保管した。保管後のミカンの状態を確認したところ、袋内の二酸化炭素濃度が1.5%と低い状態を維持し、炭酸ガス障害による味の低下、変色、カビ、浮皮、腐敗等の発生もなく、ミカンは良好な状態を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0060】
<比較例10>
実施例10において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例10と同様に、包装袋を作製し、ミカンを包装して保管した。その結果、保管1ヶ月の時点において、一部のミカンに浮皮が発生し始め、1ヶ月半後の時点では、浮皮を原因とした腐敗味の低下がみられ、ミカンは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0061】
<実施例11>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、厚さ32μmのポリエチレンテレフタレートフィルム(12μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムからなる基材層に、溶融させたポリエチレンテレフタレート樹脂を約20μmの厚みとなるように積層させてヒートシール層を形成した積層ポリエチレンテレフタレートフィルム(中本パックス株式会社製HS-PET)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そして、そのフィルムを利用して、縦340mm×横230mmの大きさの三方シール包装袋を作製した。さらに、当該包装袋に、静岡県産レタス一玉約320gを入れ、袋口を熱シールして密封包装した。そして、包装したレタスを20℃にコントロールした恒温室に3日間保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色腐敗、しおれ等の発生はなく、レタスは商品価値を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0062】
<比較例11>
実施例11において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例11と同様に、包装袋を作製し、レタスを包装して保管した。その結果、葉の一部に腐敗としおれがみられ、レタスは商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0063】
<実施例12>
実施例1と同様に、処理装置1の金属筐体88内に、ナイロンポリFタイプ規格袋No.20(福助工業株式会社製)を送り込んだ状態で、金属筐体88の各パネル材882,882・・に1分間にわたって振動エネルギーを付与した。そのようにして準備した包装袋に、豚ロース肉約100gを入れ、真空包装した。そして、真空包装した豚ロース肉を5℃にコントロールした冷蔵庫に10日間保管し、保管後の品質を確認したところ、異臭、変色腐敗、ドリップ等の発生はなく、豚ロース肉は商品価値を維持していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0064】
<比較例12>
実施例12において処理装置1内で処理をしなかった以外は、実施例12と同様に、包装袋を準備し、豚ロース肉を真空包装して保管した。その結果、ドリップの発生と一部に変色がみられ、豚ロース肉は商品価値を喪失していた。評価結果を製造条件とともに表1に示す。
【0065】
【0066】
表1から、実施例1~12の処理装置1で処理(鮮度保持機能を付与する処理)した包装用資材(あるいは処理した原材料から作製した包装用資材)によって包装された状態で一定期間保管された食品は、比較例1~12の処理装置1で処理しなかった包装用資材(あるいは処理していない原材料から作製した包装用資材)によって包装された状態で一定期間保管された食品に比べて、鮮度が良好であることが分かる。
【0067】
<包装用資材の処理方法の変更例>
本発明に係る包装用資材の処理方法の構成は、上記した各実施例の態様に何ら限定されるものではなく、処理装置(金属板、エネルギー源(振動エネルギー発生手段))の構造、処理条件等の構成を、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、必要に応じて適宜変更できる。たとえば、上記実施例においては、直方体状(中空の四角柱状)の金属筐体(金属板)に振動エネルギーを付与しているが、振動エネルギーを付与する金属筐体は、直方体状のものに限定されず、円筒状、半円筒状や六角筒状のもの等に変更することも可能である。また、上記各実施例においては、金属板として、所定の距離を隔てて2枚の金属板を配置させたものを用いているが、単一の金属板を用いることも可能である。さらに、本発明に係る包装用資材の処理方法は、上記各実施例の如く、包装用資材(あるいはその原材料)を金属板で囲った状態で、その金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与するものに限定されず、包装用資材(あるいはその原材料)を金属板と接触させた状態(たとえば、金属板の上面に包装用資材(あるいはその原材料)を載せた状態)で、その金属板に対して予め設定した周期および大きさの振動エネルギーを付与するもの等でも良い。
【符号の説明】
【0068】
1・・処理装置
3・・エネルギー源(振動エネルギー発生装置)
21・・包装用資材
88・・金属筐体
882・・パネル材(二重の金属板)