(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】導電性液体揚程用電磁ポンプ
(51)【国際特許分類】
H02K 44/06 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
H02K44/06
(21)【出願番号】P 2020204423
(22)【出願日】2020-12-09
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000010076
【氏名又は名称】ヤマハ発動機株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】304023318
【氏名又は名称】国立大学法人静岡大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(74)【代理人】
【識別番号】100121382
【氏名又は名称】山下 託嗣
(72)【発明者】
【氏名】小堀 幸伸
(72)【発明者】
【氏名】西村 浩治
(72)【発明者】
【氏名】青山 真大
【審査官】服部 俊樹
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-240366(JP,A)
【文献】特開昭62-160991(JP,A)
【文献】特開平02-045902(JP,A)
【文献】実開平07-030587(JP,U)
【文献】特開平02-188158(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02K 44/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電性液体を移送するための電磁ポンプであって、
所定の軸方向に延び、前記導電性液体が流れるダクトと、
前記ダクト内に配置されるインナーコアと、
前記ダクトの外に配置され、前記ダクト回りに円形に巻回された第1相のコイルと、
前記ダクトの外に配置され、前記ダクト回りに円形に巻回され、前記軸方向に前記第1相のコイルから離れて配置された第2相のコイルと、
前記軸方向において前記第1相のコイルと前記第2相のコイルとの間に配置され、前記ダクトが通される第1孔を含み、円形の板状の形状を有する第1円盤ヨークと、
を備える電磁ポンプ。
【請求項2】
前記第1相のコイルに対して前記第1円盤ヨークと反対側に配置され、前記ダクトが通される第2孔を含み、円形の板状の形状を有する第2円盤ヨークをさらに備える、
請求項1に記載の電磁ポンプ。
【請求項3】
前記軸方向において前記第1円盤ヨークと前記第2相のコイルとの間に配置され、前記ダクトが通される第3孔を含み、円形の板状の形状を有し、前記第1円盤ヨークと別体である第3円盤ヨークをさらに備える、
請求項1又は2に記載の電磁ポンプ。
【請求項4】
前記第3円盤ヨークは、前記第1円盤ヨークに対して隙間をおいて配置される、
請求項3に記載の電磁ポンプ。
【請求項5】
前記第3円盤ヨークと前記第1円盤ヨークとの間に配置される非磁性材製のスペーサをさらに備える、
請求項3又は4に記載の電磁ポンプ。
【請求項6】
前記第1円盤ヨークは、前記第1孔から前記第1円盤ヨークの径方向において外方へ向かって延びる複数の第1スリットを含む、
請求項1から5のいずれかに記載の電磁ポンプ。
【請求項7】
前記第1円盤ヨークは、
前記複数の第1スリットの間にそれぞれ配置され、前記第1孔へ向かって前記径方向に延びる複数の第1ティースと、
前記複数の第1ティースのそれぞれから、前記軸方向に突出する複数の第1突出部と、
を含む、
請求項6に記載の電磁ポンプ。
【請求項8】
前記第1円盤ヨークは、前記複数の第1スリットの間にそれぞれ配置され、前記第1孔へ向かって前記径方向に延びる複数の第1ティースを含み、
前記複数の第1ティースのそれぞれは、前記径方向における内方へ向かって先細りの形状を有する、
請求項6に記載の電磁ポンプ。
【請求項9】
前記第1円盤ヨークは、
前記第1孔から前記第1円盤ヨークの径方向において外方へ向かって延びる複数の第1スリットと、
前記複数の第1スリットの間にそれぞれ配置され、前記第1孔へ向かって前記径方向に延びる複数の第1ティースと、
前記複数の第1ティースのそれぞれから、前記軸方向に突出する複数の第1突出部と、
を含み、
前記第2円盤ヨークは、
前記第2孔から前記径方向において外方へ向かって延びる複数の第2スリットと、
前記複数の第2スリットの間にそれぞれ配置され、前記第2孔へ向かって前記径方向に延びる複数の第2ティースと、
前記複数の第2ティースのそれぞれから、前記軸方向に突出する複数の第2突出部と、
を含み、
前記第1突出部は、前記第1円盤ヨークの周方向において、前記第2突出部から、ずれて配置されている、
請求項2に記載の電磁ポンプ。
【請求項10】
前記第1円盤ヨークは、
前記第1孔から前記第1円盤ヨークの径方向において外方へ向かって延びる複数の第1スリットと、
前記複数の第1スリットの間にそれぞれ配置され、前記第1孔へ向かって前記径方向に延びる複数の第1ティースと、
前記複数の第1ティースのそれぞれから、前記軸方向に突出する複数の第1突出部と、
を含み、
前記第3円盤ヨークは、
前記第3孔から前記径方向において外方へ向かって延びる複数の第3スリットと、
前記複数の第3スリットの間にそれぞれ配置され、前記第3孔へ向かって前記径方向に延びる複数の第3ティースと、
前記複数の第3ティースのそれぞれから、前記軸方向に突出する複数の第3突出部と、
を含み、
前記第1突出部は、前記第1円盤ヨークの周方向において、前記第3突出部から、ずれて配置されている、
請求項3に記載の電磁ポンプ。
【請求項11】
前記第1突出部と前記第3突出部との間のずれの大きさは、電気角で180度である、
請求項10に記載の電磁ポンプ。
【請求項12】
前記第3突出部は、前記第1突出部と反対の方向へ突出している、
請求項9から11のいずれかに記載の電磁ポンプ。
【請求項13】
前記第1相のコイルの外周に配置される第1環状ヨークをさらに備える、
請求項1から12のいずれかに記載の電磁ポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性液体を移送するための電磁ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体金属などの導電性液体を、電磁力により移送する電磁ポンプが知られている。例えば、特許文献1の電磁ポンプは、ダクトと、コアと、複数のコイルと、複数のヨークとを備えている。コアは、ダクト内に配置されている。ダクトは、コアとの間に環状の流路を形成する。液体金属は、この環状の流路を流れる。複数のコイルは、それぞれダクトの周囲に配置されている。複数のヨークは、コイルの周方向に互いに離れて配置されている。複数のヨークのそれぞれは、複数のティースを含む。複数のティースは、ダクトの軸線方向に並んで配置されおり、互いに一体的に形成されている。コイルは、複数のティースの間に配置されている。
【0003】
上記の電磁ポンプでは、コイルに交流電流が流れることで、ヨークとコアとを通る磁束が発生する。そして、交流電流によって磁束密度が変化することで、環状の流路中の液体金属に誘導電流が流れる。それにより、環状の流路中の液体金属に電磁力が作用することで、液体金属がダクト内を移動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の電磁ポンプでは、複数のヨークが、コイルの周方向に互いに離れて配置されている。従って、ヨークが無いところでは、磁束が発生しない。そのため、電気的な損失が大きく、電磁ポンプのエネルギー効率が低い。本発明の目的は、電磁ポンプにおいてエネルギー効率を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る電磁ポンプは、導電性液体を移送するための電磁ポンプである。本態様に係る電磁ポンプは、ダクトと、インナーコアと、第1相のコイルと、第2相のコイルと、第1円盤ヨークとを備える。ダクトは、所定の軸方向に延びている。ダクトには、導電性液体が流れる。インナーコアは、ダクト内に配置される。第1相のコイルは、ダクトの外に配置され、ダクト回りに円形に巻回される。第2相のコイルは、ダクトの外に配置され、ダクト回りに円形に巻回される。第2相のコイルは、軸方向に第1相のコイルから離れて配置される。第1円盤ヨークは、軸方向において第1相のコイルと第2相のコイルとの間に配置される。第1円盤ヨークは、ダクトが通される第1孔を含み、円形の板状の形状を有する。
【0007】
本態様に係る電磁ポンプでは、第1円盤ヨークが円形の板状の形状を有する。そのため、第1相のコイルに対して向かい合う位置において、第1円盤ヨークが存在しない部分が少ない。そのため、第1相のコイルと向かい合う広い範囲において磁束が発生する。それにより、電磁ポンプのエネルギー効率が向上する。
【0008】
電磁ポンプは、第2円盤ヨークをさらに備えてもよい。第2円盤ヨークは、第1相のコイルに対して第1円盤ヨークと反対側に配置されてもよい。第2円盤ヨークは、ダクトが通される第2孔を含み、円形の板状の形状を有してもよい。この場合、第2円盤ヨークが円形の板状の形状であることで、第1相のコイルと向かい合う広い範囲において磁束が発生する。それにより、電磁ポンプのエネルギー効率が向上する。
【0009】
電磁ポンプは、第3円盤ヨークをさらに備えてもよい。第3円盤ヨークは、軸方向において第1円盤ヨークと第2相のコイルとの間に配置され、ダクトが通される第3孔を含んでもよい。第3円盤ヨークは、第1円盤ヨークと別体であり、円形の板状の形状であってもよい。この場合、第3円盤ヨークが円形の板状の形状であることで、第2相のコイルと向かい合う広い範囲において磁束が発生する。それにより、電磁ポンプのエネルギー効率が向上する。また、第3円盤ヨークが第1円盤ヨークと別体であるため、第1相のコイルによる磁束と第2相のコイルによる磁束との干渉が抑えられる。それにより、電磁ポンプのエネルギー効率がさらに向上する。
【0010】
第3円盤ヨークは、第1円盤ヨークに対して隙間をおいて配置されてもよい。この場合、第1相のコイルによる磁束と第2相のコイルによる磁束との干渉がさらに抑えられる。それにより、電磁ポンプのエネルギー効率がさらに向上する。
【0011】
第1円盤ヨークは、複数の第1スリットを含んでもよい。第1スリットは、第1孔から第1円盤ヨークの径方向において外方へ向かって延びていてもよい。この場合、複数のスリットに応じた位置で磁束が変動する。そのため、誘導電流による渦電流が数多く発生することで、導電性液体に作用する電磁力が増大する。それにより、電磁ポンプの出力を増大させることができる。
【0012】
第1円盤ヨークは、複数の第1ティースと複数の第1突出部とを含んでもよい。複数の第1ティースは、複数の第1スリットの間にそれぞれ配置されてもよい。複数の第1ティースは、第1孔へ向かって径方向に延びていてもよい。複数の第1突出部は、複数の第1ティースのそれぞれから、軸方向に突出していてもよい。この場合、第1突出部によって、第1円盤ヨークにおいてダクトと向かい合う部分の面積が増大する。それにより、ダクト内の導電性液体に作用する電磁力が増大する。それにより、電磁ポンプの出力を増大させることができる。
【0013】
複数の第1ティースのそれぞれは、径方向における内方へ向かって先細りの形状を有してもよい。この場合、複数の第1ティースのそれぞれの先端の間隔が大きくなる。それにより、隣り合う第1ティースの間で磁束が短絡することが抑えられる。また、複数の第1ティースのそれぞれは、径方向における外方へ向かって幅が大きくなる。それにより、第1円盤ヨークにおいてダクトと向かい合う部分の面積が増大する。
【0014】
第2円盤ヨークは、複数の第2スリットと、複数の第2ティースと、複数の第2突出部とを含んでもよい。複数の第2スリットは、第2孔から径方向において外方へ向かって延びていてもよい。複数の第2ティースは、複数の第2スリットの間にそれぞれ配置されてもよい。複数の第2ティースは、第2孔へ向かって径方向に延びていてもよい。複数の第2突出部は、複数の第2ティースのそれぞれから、軸方向に突出していてもよい。第1突出部は、第1円盤ヨークの周方向において、第2突出部から、ずれて配置されていてもよい。この場合、第1突出部と第2突出部との間で磁束が短絡することが抑えられる。
【0015】
第3円盤ヨークは、複数の第3スリットと、複数の第3ティースと、複数の第3突出部とを含んでもよい。複数の第3スリットは、第3孔から径方向において外方へ向かって延びていてもよい。複数の第3ティースは、複数の第3スリットの間にそれぞれ配置されてもよい。複数の第3ティースは、第3孔へ向かって径方向に延びていてもよい。複数の第3突出部は、複数の第3ティースのそれぞれから、軸方向に突出していてもよい。第1突出部は、第1円盤ヨークの周方向において、第3突出部から、ずれて配置されていてもよい。この場合、第1突出部を通る第1相のコイルによる磁束と、第3突出部を通る第2相のコイルによる磁束とが互いに干渉することが抑えられる。
【0016】
第1突出部と第3突出部との間のずれの大きさは、電気角で180度であってもよい。この場合、この場合、第1突出部を通る第1相のコイルによる磁束と、第3突出部を通る第2相のコイルによる磁束とが互いに干渉することが、さらに抑えられる。
【0017】
第3突出部は、第1突出部と反対の方向へ突出していてもよい。この場合、第1突出部を通る第1相のコイルによる磁束と、第3突出部を通る第2相のコイルによる磁束とが互いに干渉することが抑えられる。
【0018】
電磁ポンプは、第1環状ヨークをさらに備えてもよい。第1環状ヨークは、磁性体製であり、第1相のコイルの外周に配置されてもよい。この場合、第1環状ヨークにより、第1相のコイルからの磁束の漏れが抑えられる。それにより、電磁ポンプのエネルギー効率がさらに向上する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、電磁ポンプにおいてエネルギー効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図4】軸方向から見た第1円盤ヨークを示す図である。
【
図6】第1コイルユニットと第2コイルユニットとの一部の拡大斜視図である。
【
図8】第1変形例に係る第1三相ユニットの断面を示す斜視図である。
【
図9】第2変形例に係る電磁ポンプの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照して実施形態に係る電磁ポンプについて説明する。
図1は、実施形態に係る電磁ポンプ1の斜視図である。
図2は、電磁ポンプ1の断面図である。電磁ポンプ1は、溶融した液体金属などの導電性液体を移送するために用いられる。電磁ポンプ1は、ダクト2と、インナーコア3と、第1三相ユニット4と、第2三相ユニット5と、を備える。
【0022】
ダクト2は、パイプ状であり、所定の軸方向に延びている。ダクト2内には、導電性液体が流れる。ダクト2は、アルミニウムなどの非磁性材製である。インナーコア3は、ダクト2内に配置される。インナーコア3は、ダクト2と同心に配置されている。インナーコア3は、鉄などの磁性材製である。インナーコア3は、円筒状である。インナーコア3の外径は、ダクト2の内径よりも小さい。従って、
図2に示すように、ダクト2の内周面とインナーコア3の外周面との間に、環状の流路6が設けられている。
【0023】
第1三相ユニット4と第2三相ユニット5とは、ダクト2の径方向における外方に配置されている。第1三相ユニット4と第2三相ユニット5とは、環状の流路6中の導電性液体に電磁力を作用させることで、導電性液体を移送する。第1三相ユニット4と第2三相ユニット5とは、ダクト2の軸方向に並んで配置されている。第1三相ユニット4は、第1コイルユニット11と、第2コイルユニット12と、第3コイルユニット13とを含む。第2三相ユニット5は、第4コイルユニット14と、第5コイルユニット15と、第6コイルユニット16とを含む。第1~第6コイルユニット11-16は、軸方向に並んで配置されている。
【0024】
図3は、第1コイルユニット11の分解斜視図である。
図3に示すように、第1コイルユニット11は、第1コイル21と、第1円盤ヨーク22と、第2円盤ヨーク23と、第1環状ヨーク24とを含む。第1コイル21と、第1円盤ヨーク22と、第2円盤ヨーク23と、第1環状ヨーク24とは、ダクト2と同心に配置されている。
【0025】
第1コイル21は、巻線からなり、ダクト2回りに円形に、複数回、巻回されている。第1円盤ヨーク22は、円形の板状の形状を有している。第1円盤ヨーク22は、磁性材製である。第1円盤ヨーク22は、例えば、積層された電磁鋼板、或いはSMC(軟磁性複合材料)で形成されている。第1円盤ヨーク22は、軸方向において、第1コイル21と第2コイルユニット12との間に配置されている。第1円盤ヨーク22は、軸方向において、第1コイル21に面している。第1円盤ヨーク22は、第1孔221を含む。第1孔221は、第1円盤ヨーク22の中心に位置している。第1孔221には、ダクト2が通される。
【0026】
図4は、軸方向から見た第1円盤ヨーク22を示す図である。
図4に示すように、第1円盤ヨーク22は、複数の第1スリット222と、複数の第1ティース223と、第1外周部224と、複数の第1突出部225とを含む。なお、図面においては、複数の第1スリット222の一部のみに符号222が付されており、他の第1スリット222では符号222が省略されている。複数の第1ティース223と、複数の第1突出部225とについても同様である。
【0027】
第1スリット222は、第1孔221から第1円盤ヨーク22の径方向において外方へ向かって延びている。第1スリット222は、第1孔221から第1外周部224まで延びている。第1スリット222は、第1孔221から放射状に延びている。第1ティース223は、第1スリット222の間にそれぞれ配置されている。第1ティース223は、第1円盤ヨーク22の周方向に並んで配置されている。本実施形態において、第1スリット222の数は、24個である。ただし、第1スリット222の数は、24個に限らない。第1スリット222の数は、24個より少なくてもよく、或いは24個より多くてもよい。
【0028】
第1ティース223は、第1孔221へ向かって径方向に延びている。第1ティース223は、第1孔221へ向かって先細りの形状を有している。第1ティース223は、外径側端部226と内径側端部227とを含む。周方向において、外径側端部226の幅は、第1スリット222の幅よりも大きい。周方向において、内径側端部227の幅は、第1スリット222の幅よりも小さい。
【0029】
第1外周部224は、第1スリット222と第1ティース223との径方向における外方に位置している。第1外周部224は、第1ティース223に接続されている。第1外周部224は、第1円盤ヨーク22の外周面を含む。第1突出部225は、第1ティース223から軸方向に突出している。第1突出部225は、第1円盤ヨーク22から第1コイル21へ向かって突出している。第1突出部225は、径方向において第1コイル21の内方に位置している。第1突出部225は、径方向においてダクト2と第1コイル21との間に位置している。第1突出部225は、径方向においてダクト2に面している。
【0030】
図5は、第1三相ユニット4の断面の斜視図である。なお、
図5ではコイルは省略されている。
図2及び
図5に示すように、第2円盤ヨーク23は、軸方向に第1円盤ヨーク22から離れて配置されている。第2円盤ヨーク23は、第1コイル21に対して、第1円盤ヨーク22と反対側に配置されている。言い換えれば、第1コイル21は、軸方向において、第1円盤ヨーク22と第2円盤ヨーク23との間に配置されている。第2円盤ヨーク23は、軸方向において第1コイル21に面している。
【0031】
図3に示すように、第2円盤ヨーク23は、第2孔231を含む。第2孔231には、ダクト2が通される。第2円盤ヨーク23は、第1円盤ヨーク22と同様の構造を有している。第2円盤ヨーク23は、複数の第2スリット232と、複数の第2ティース233と、第2外周部234と、複数の第2突出部235とを含む。第2スリット232と、第2ティース233と、第2外周部234と、第2突出部235とは、それぞれ第1スリット222と、第1ティース223と、第1外周部224と、第1突出部225と同様の形状を有している。
【0032】
図6は、第1コイルユニット11と第2コイルユニット12との一部の拡大斜視図である。なお、
図6ではコイルは省略されている。
図6では、複数の第2突出部235のうち互いに隣り合う一対の第2突出部235に符号235A,235Bが付されている。
図6に示すように、第1突出部225は、第1円盤ヨーク22の周方向において、第2突出部235A,235Bから、ずれて配置されている。例えば、第1突出部225は、互いに隣り合う一対の第2突出部235A,235Bの間の中央に位置している。第2突出部235A,235Bは、軸方向において第1突出部225から離れて配置されている。
【0033】
第1環状ヨーク24は、第1コイル21の外周に配置される。第1環状ヨーク24は、SUS403などの磁性体製である。第1環状ヨーク24は、径方向外方から第1コイル21を覆う。第1環状ヨーク24は、第1円盤ヨーク22と第2円盤ヨーク23とに接続される。第1環状ヨーク24は、開口241を含む。図示を省略するが、開口241からは、第1コイル21からの巻線が引き出される。ただし、開口241は省略されてもよい。
【0034】
第2コイルユニット12は、第1コイルユニット11と同様の構造を有している。
図2に示すように、第2コイルユニット12は、第2コイル31と、第3円盤ヨーク32と、第4円盤ヨーク33と、第2環状ヨーク34とを含む。第2コイル31は、軸方向に第1コイル21から離れて配置されている。第2コイル31は、第1コイル21と同様の構造を有している。
【0035】
第3円盤ヨーク32は、軸方向において第1円盤ヨーク22と第2コイル31との間に配置される。第3円盤ヨーク32は、第3孔321を含む。第3孔321には、ダクト2が通される。第3円盤ヨーク32は、第1円盤ヨーク22と別体である。第3円盤ヨーク32は、軸方向において第1円盤ヨーク22に面している。第3円盤ヨーク32は、第1円盤ヨーク22に対して隙間G1をおいて配置される。
【0036】
図5及び
図6に示すように、第3円盤ヨーク32は、複数の第3スリット322と、複数の第3ティース323と、第3外周部324と、複数の第3突出部325とを含む。第3スリット322と、第3ティース323と、第3外周部324と、第3突出部325とは、それぞれ第2スリット232と、第2ティース233と、第2外周部234と、第2突出部235と同様の形状を有している。
【0037】
第3突出部325は、第1突出部225と反対の方向へ突出している。すなわち、第3突出部325は、第3円盤ヨーク32から第2コイル31へ向かって突出している。
図6に示すように、第1突出部225は、第1円盤ヨーク22の周方向において、第3突出部325から、ずれて配置されている。第1突出部225と第3突出部325との間のずれの大きさは、電気角で180度であることが好ましい。本実施形態において、第1円盤ユニットと第3円盤ユニットとのそれぞれのティースの数は、24個である。従って、第1突出部225と第3突出部325との間のずれの大きさD1は、機械角で7.5度であることが好ましい。第3円盤ヨーク32は、第2円盤ヨーク23と同様の構造を有している。
【0038】
第4円盤ヨーク33は、軸方向において、第2コイル31と第3コイルユニット13との間に配置されている。第4円盤ヨーク33は、第1円盤ヨーク22と同様の構造を有している。第2環状ヨーク34は、第1環状ヨーク24と同様の構造を有している。
【0039】
第3コイルユニット13は、第1コイルユニット11及び第2コイルユニット12と同様の構造を有している。
図2に示すように、第3コイルユニット13は、第3コイル41と、第5円盤ヨーク42と、第6円盤ヨーク43と、第3環状ヨーク44とを含む。第3コイル41は、軸方向に第2コイル31から離れて配置されている。第3コイル41は、第1コイル21及び第2コイル31と同様の構造を有している。
【0040】
第5円盤ヨーク42は、軸方向において第4円盤ヨーク33と第3コイル41との間に配置される。第5円盤ヨーク42は、第4円盤ヨーク33と別体である。第5円盤ヨーク42は、軸方向において第4円盤ヨーク33に面している。第5円盤ヨーク42は、第4円盤ヨーク33に対して隙間G2をおいて配置される。第5円盤ヨーク42は、第3円盤ヨーク32と同様の構造を有している。
【0041】
第6円盤ヨーク43は、第3コイル41に対して第5円盤ヨーク42と反対側に配置される。第6円盤ヨーク43は、軸方向において、第3コイル41と第4コイルユニット14との間に配置されている。第6円盤ヨーク43は、第1円盤ヨーク22と同様の構造を有している。第2環状ヨーク34は、第1環状ヨーク24と同様の構造を有している。第2環状ヨーク34は、軸方向において第1環状ヨーク24から隙間G1をおいて配置される。
【0042】
第4~第6コイルユニット14-16は、それぞれ第1~第3コイルユニット11-13と同様の構造を有している。第1~第6コイルユニット11-16は、軸方向において互いに隙間をおいて配置されている。
図2に示すように、第4コイルユニット14は、第4コイル51と、第7円盤ヨーク52と、第8円盤ヨーク53と、第4環状ヨーク54とを含む。第5コイルユニット15は、第5コイル61と、第9円盤ヨーク62と、第10円盤ヨーク63と、第5環状ヨーク64とを含む。第6コイルユニット16は、第6コイル71と、第11円盤ヨーク72と、第12円盤ヨーク73と、第6環状ヨーク74とを含む。第4~第6コイル51,61,71は、第1コイル21と同様の構造を有している。第7~第12円盤ヨーク52,53,62,63,72,73は、第1、第2円盤ヨーク22,23と同様の構造を有している。第4~第6環状ヨーク54,64,74は、第1環状ヨーク24と同様の構造を有している。
【0043】
図7は、第1~第6コイルの配線を示す図である。
図7に示すように、第1三相ユニット4と第2三相ユニット5とには、三相交流電圧が印加される。第4コイル51は、第1コイル21に接続されている。第5コイル61は、第2コイル31に接続されている。第6コイル71は、第3コイル41に接続されている。第1コイル21と第4コイル51とにU相(第一相)の電圧が印加される。第2コイル31と第5コイル61とにV相(第二相)の電圧が印加される。第3コイル41と第6コイル71とにW相(第三相)の電圧が印加される。それにより、インナーコア3と第1~第6コイルユニット11-16との間に、軸方向へ移動する磁界が生成される。そして、環状の流路6中の導電性液体において、磁界の変化に応じて誘導電流が流れる。それにより、軸方向への電磁力が、導電性液体に作用することで、導電性液体がダクト2内を移送される。なお、電磁ポンプ1に印加される交流電圧の相数は、三相に限らない。例えば、交流電圧の相数は、六相、或いは九相であってもよい。
【0044】
本態様に係る電磁ポンプ1では、各コイルユニット11-16が、円形の板状の形状を有する円盤ヨークを有している。そのため、コイルに対して向かい合う位置において、円盤ヨークが存在しない部分が少ない。そのため、コイルと向かい合う広い範囲において磁束が発生する。それにより、電磁ポンプ1のエネルギー効率が向上する。
【0045】
各コイルユニット11-16の間において互いに向かい合う一対の円盤ヨークが互いに別体である。また、互いに向かい合う一対のヨークは、互いに隙間をおいて配置される。それにより互いに異なる相のコイルによる磁束の干渉が抑えられる。それにより、電磁ポンプ1のエネルギー効率がさらに向上する。
【0046】
円盤ヨークは、それぞれ複数の突出部を有している。そのため、円盤ヨークにおいてダクト2と向かい合う部分の面積が増大する。それにより、ダクト2内の導電性液体に作用する電磁力が増大する。それにより、電磁ポンプ1の出力を増大させることができる。
【0047】
同じ相を有するコイルユニットにおいて、軸方向に互いに向かう合う突出部は、周方向において、ずれて配置される。それにより、突出部の間で磁束が短絡することが抑えられる。
【0048】
互いに異なる相を有するコイルユニットにおいて、軸方向に互いに向かい合う突出部は、周方向において、ずれて配置されている。それにより、互いに異なる相を有するコイルユニットにおいて、磁束が干渉することが抑えられる。この場合、突出部のずれの大きさが、電気角で180度であることが好ましい。それにより、磁束の干渉がさらに抑えられる。
【0049】
各コイルユニットは、環状ヨークを有している。環状ヨークにより、コイルからの磁束の漏れが抑えられる。それにより、電磁ポンプ1のエネルギー効率がさらに向上する。
【0050】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0051】
円盤ヨークの構造は、上記の実施形態のものに限らず、変更されてもよい。例えば、スリット及びティースの数、或いは形状が、変更されてもよい。上記の実施形態では、各相の円盤ヨークのスリットの数は、同じである。ただし、各相の円盤ヨークのスリットの数は、互いに異なっていてもよい。例えば、第1コイルユニット11の円盤ヨークのスリットの数は、第2コイルユニット12のスリットの数と異なってもよい。第3コイルユニット13の円盤ヨークのスリットの数は、第1コイルユニット11のスリットの数、及び、第2コイルユニット12のスリットの数と異なってもよい。突出部の配置は、変更されてもよい。或いは、
図8に示すように、突出部は省略されてもよい。環状ヨークの形状は、変更されてもよい。
【0052】
上記の実施形態では、各コイルユニット11-16の間において互いに向かい合う一対の円盤ヨークは、互いに隙間をおいて配置される。しかし、隙間に代えて、或いは隙間に加えて、互いに向かい合う一対の円盤ヨークの間に、非磁性材製のスペーサが配置されてもよい。例えば、
図9に示すように、第1円盤ヨーク22と第3円盤ヨーク32との間に、非磁性体製の第1スペーサS1が配置されてもよい。第1円盤ヨーク22と第3円盤ヨーク32との間に、非磁性体製の第1スペーサS1が配置されてもよい。第4円盤ヨーク33と第5円盤ヨーク42との間に、非磁性体製の第2スペーサS2が配置されてもよい。
【0053】
上記の実施形態では、コイルユニットの数は6個である。しかし、コイルユニットの数は6個に限らず、6個より少なくてもよく、或いは6個より多くてもよい。例えば、交流電圧が三相である場合には、コイルユニットの数は、3個、9個、或いは12個など3の倍数であってもよい。交流電圧が六相の場合には、コイルユニットの数は、6の倍数であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明によれば、電磁ポンプにおいてエネルギー効率が向上する。
【符号の説明】
【0055】
2 ダクト
3 インナーコア
21 第1コイル
22 第1円盤ヨーク
23 第2円盤ヨーク
24 第1環状ヨーク
31 第2コイル
32 第3円盤ヨーク
221 第1孔
222 第1スリット
223 第1ティース
225 第1突出部
231 第2孔
232 第2スリット
233 第2ティース
235 第2突出部
321 第3孔
322 第3スリット
323 第3ティース
325 第3突出部