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特許7173514映像信号受信装置、映像信号受信モジュールおよび映像信号送受信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】映像信号受信装置、映像信号受信モジュールおよび映像信号送受信システム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20221109BHJP
   H04J 3/06 20060101ALI20221109BHJP
   H04N 5/073 20060101ALI20221109BHJP
   H04L 7/04 20060101ALI20221109BHJP
   H04L 7/08 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H04N7/18 J
H04J3/06 A
H04N5/073 A
H04L7/04
H04L7/08
H04N7/18 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018003295
(22)【出願日】2018-01-12
(65)【公開番号】P2019125841
(43)【公開日】2019-07-25
【審査請求日】2020-11-11
(73)【特許権者】
【識別番号】399011195
【氏名又は名称】ザインエレクトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100110582
【弁理士】
【氏名又は名称】柴田 昌聰
(72)【発明者】
【氏名】藤木 礼
(72)【発明者】
【氏名】岩間 大介
【審査官】秦野 孝一郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-244896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
H04J 3/00-3/26
H04N 5/073
H04L 7/00-7/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
各々カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する複数の映像信号送信装置と信号線により接続され、前記複数の映像信号送信装置それぞれから送出された映像信号を受信する装置であって、
前記複数の映像信号送信装置のうちの何れかの特定映像信号送信装置から前記映像信号とは別に送出されたフレーム信号を受信するフレーム信号受信部と、
前記フレーム信号受信部が受信したフレーム信号を前記複数の映像信号送信装置のうちの前記特定映像信号送信装置以外の第1群の映像信号送信装置へ送出するフレーム信号送信部と、
を備える映像信号受信装置。
【請求項2】
前記フレーム信号受信部が受信したフレーム信号を出力する出力部を更に備える、
請求項1に記載の映像信号受信装置。
【請求項3】
請求項2に記載の映像信号受信装置と、
前記映像信号受信装置の前記出力部から出力されたフレーム信号を入力する入力部と、前記入力部が入力したフレーム信号を前記複数の映像信号送信装置のうちの前記特定映像信号送信装置以外の第2群の映像信号送信装置へ送出するフレーム信号送信部と、を含む第2映像信号受信装置と、
を備える映像信号受信モジュール。
【請求項4】
カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する特定映像信号送信装置と信号線により接続され、前記特定映像信号送信装置から送出された映像信号を受信するとともに、前記特定映像信号送信装置から前記映像信号とは別に送出されたフレーム信号を受信して、その受信したフレーム信号を出力する第1映像信号受信装置と、
カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する映像信号送信装置と信号線により接続され、前記映像信号送信装置から送出された映像信号を受信するとともに、前記第1映像信号受信装置から出力されたフレーム信号を入力して、その入力したフレーム信号を前記映像信号送信装置へ送出する第2映像信号受信装置と、
を備える映像信号受信モジュール。
【請求項5】
カメラによる撮像により取得された映像信号とは別に前記カメラによる撮像に用いられたフレーム信号を送出するフレーム信号送信部を備える映像信号送信装置。
【請求項6】
各々カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する複数の映像信号送信装置と、
前記複数の映像信号送信装置それぞれから送出された映像信号を受信するとともに、前記複数の映像信号送信装置のうちの何れかの特定映像信号送信装置から前記映像信号とは別に送出されたフレーム信号を受信し、前記複数の映像信号送信装置のうちの前記特定映像信号送信装置以外の映像信号送信装置へフレーム信号を送出する請求項1に記載の映像信号受信装置と、
を備え、
前記特定映像信号送信装置は請求項5に記載の映像信号送信装置であり、
前記複数の映像信号送信装置のうちの前記特定映像信号送信装置以外の映像信号送信装置は、前記映像信号受信装置から送出されたフレーム信号を受信して、そのフレーム信号を対応するカメラへ出力する、
映像信号送受信システム。
【請求項7】
各々カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する複数の映像信号送信装置と、
前記複数の映像信号送信装置それぞれから送出された映像信号を受信するとともに、前記複数の映像信号送信装置のうちの何れかの特定映像信号送信装置から前記映像信号とは別に送出されたフレーム信号を受信し、前記複数の映像信号送信装置のうちの前記特定映像信号送信装置以外の映像信号送信装置へフレーム信号を送出する請求項3または4に記載の映像信号受信モジュールと、
を備え、
前記特定映像信号送信装置は請求項5に記載の映像信号送信装置であり、
前記複数の映像信号送信装置のうちの前記特定映像信号送信装置以外の映像信号送信装置は、前記映像信号受信モジュールから送出されたフレーム信号を受信して、そのフレーム信号を対応するカメラへ出力する、
映像信号送受信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像信号受信装置、映像信号受信モジュールおよび映像信号送受信システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
複数のカメラを用いて同時に取得した複数の映像を解析する技術の開発が行われている。例えば、事故などが発生する可能性を事前に検知してこれを回避する先進運転支援システム(Advanced Driver Assistance System、ADAS)では、自動運転を実現するために、自動車に搭載された多数のカメラにより取得された映像情報をリアルタイム処理し、深層学習技術を適当することにより、カメラ映像情報から車両、歩行者および車間距離などの周辺環境情報を抽出する。深層学習技術を用いてパターンマッチング処理を行うGPU(Graphic Processor Unit)が開発されており、このGPUを用いることで例えば12チャネルのカメラ映像信号を処理できるプラットフォームを構築することができるとされている(非特許文献1参照)。
【0003】
このようなシステムでは、多数のカメラは実質的に同時に映像を取得することが重要である。例えば、ドイツのアウトバーンを速度250km/hで合法的に走行している自動車に搭載されている複数のカメラが同期せずにフレームレート30fps(Frame Per Second)で周辺環境の情報を取得したと仮定すると、これら複数のカメラの間では最大16.7msの撮像時刻がずれることになり、各カメラが撮影した空間的位置は最大1.2mほど互いに異なることになる。このような映像の取得時刻の差異に対処した上で周辺環境情報を抽出する為には、本来の周辺環境情報抽出処理とは別の追加処理が必要になる。
【0004】
したがって、各カメラは実質的に同時に映像を取得することが重要である。例えば、自動車が速度250km/hで走行している場合に、各カメラが150μs以下の時差で映像を取得すれば、各カメラが撮影した空間的位置の差異は10mmとなり、前述の追加処理は不要であるとされている。
【0005】
通常、カメラモジュールの内部には、レンズ系およびイメージセンサ(例えばCMOSイメージセンサ)に加えて、このイメージセンサにクロックを供給してイメージセンサを駆動するオシレータが配置されている。しかし、オシレータの発振特性には個体偏差がある。複数のカメラモジュールそれぞれにおいて内蔵オシレータから出力されるクロックを基準として撮像タイミングを生成する場合、これら複数のカメラモジュールの撮像動作は非同期とならざるをえない。
【0006】
外部オシレータから共通のクロックを複数のカメラモジュールに供給すれば、複数のカメラモジュールの撮像タイミングを実質的に同じにすることができる(非特許文献2参照)。しかし、自動車内に搭載される場合には、外部オシレータとカメラモジュールとの間で長さ10mを超えるクロック供給線が必要となる場合がある。そのクロック供給線の重量は自動車の燃費の悪化の要因となる。また、長距離のクロック供給線はアンテナとして作用して不要電磁波を放射する要因となる。したがって、外部オシレータから共通のクロックを複数のカメラモジュールに供給するのは好ましくない。
【0007】
共通クロックに替えて共通の撮像開始タイミング指示信号を外部から複数のカメラモジュールに供給することによっても、複数のカメラモジュールの撮像タイミングを実質的に同じにすることができる(非特許文献3参照)。一般に、カメラモジュールは、撮像開始タイミング指示信号を受けて撮像を開始する機能を有している。カメラモジュールは、撮像開始後には内蔵オシレータから出力されるクロックに基づいて動作するので、1フレーム撮像終了時刻に差異が生じる。しかし、その差異が大きくなって問題となるより前に再び共通の撮像開始タイミング指示信号を複数のカメラモジュールに供給することを周期的に繰り返すことにより、複数のカメラモジュールの間の動作タイミングの差異を或る一定時間差以下にすることができる。
【0008】
このように複数のカメラモジュールに対して共通に且つ周期的に供給される撮像開始タイミング指示信号として、各フレームの撮像開始タイミングを表すフレーム信号がある。フレームレートが30fpsである場合、フレーム信号は約33ms間隔で供給される。カメラモジュールに内蔵されるオシレータの発振周波数の偏差は一般に100ppmである。この場合、或るフレーム信号のタイミングから次のフレーム信号のタイミングまでの1フレームの期間(33ms)に複数のカメラモジュールの間で生じる動作タイミングの差異は最大で3.3μsとなるが、この差異は前述の許容値(150μs)より小さい。
【0009】
共通のフレーム信号を複数のカメラモジュールに供給する為の信号線は、前述のクロック供給線の場合と同様に10mを超える場合がある。中央演算プロセッサがフレーム信号を生成することができるが、一般に、中央演算プロセッサおよびイメージセンサは、長距離の信号線を介して映像信号およびフレーム信号を送受信する能力を有していない。
【0010】
そこで、専用のインターフェースとして、長距離の信号線を介して信号を送受信する能力を有する映像信号送信装置および映像信号受信装置が用いられる(非特許文献4,5参照)。映像信号送信装置および映像信号受信装置それぞれは半導体集積回路として構成される。映像信号送信装置は、イメージセンサ等とともにカメラモジュールを構成している。映像信号受信装置は、中央演算プロセッサとともに映像信号受信モジュールを構成している。
【0011】
映像信号送信装置は、イメージセンサにより取得された映像信号を映像信号受信装置へ送出する。そして、映像信号受信装置は、映像信号送信装置から送出された映像信号を受信し、その映像信号を中央演算プロセッサへ与える。また、映像信号受信装置は、中央演算プロセッサにより生成されたフレーム信号等の制御信号を映像信号送信装置へ送出する。そして、映像信号送信装置は、映像信号受信装置から送出された制御信号を受信して、そのフレーム信号をイメージセンサへ与える。映像信号送信装置および映像信号受信装置それぞれにおいて、制御信号を送受信する端子として汎用の端子を用いることができる。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【文献】“NVIDIA、自動運転・自動認識の最前線を紹介する「ディープラーニングセミナー」 ヘテロジニアスラーニングによる歩行者検出精度向上などを発表”、[online]、2015年8月26日、Impress Corporation、[平成29年12月11日検索]、インターネット〈URL:https://car.watch.impress.co.jp/docs/topics/717652.html〉
【文献】“イメージセンシングプロダクツ / Image SensingProducts”、[online]、ソニー、[平成29年12月11日検索]、インターネット〈URL:https://www.sony.co.jp/Products/ISP/interview/vol01.html〉
【文献】“カメラ接続のためのボード設定方法(外部トリガ編)-AIPToolを使って外部トリガ同期撮像をしよう!-”、[online]、AVAL DATA CORPORATION、[平成29年12月11日検索]、インターネット〈URL:http://www.avaldata.co.jp/solution_imaging/cameralink_tips/aiptool_ex_trg.html〉
【文献】“New MotorVuTM 360reference design enables four-channel HD surround view and recording”、[online]、Ambarella、[平成29年12月11日検索]、インターネット〈URL:https://www.ambarella.com/news/48/122/Ambarella-Unveils-HD-360-View-Automotive-Camera-Solution〉
【文献】“B5 VideoSerializer/De-Serializer Companion Chips”、[online]、Ambarella、[平成29年12月25日検索]、インターネット〈URL:https://www.ambarella.com/uploads/docs/MotorVu-360-product-brief.pdf>
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、中央演算プロセッサにより生成されたフレーム信号が映像信号受信装置および映像信号送信装置を経てイメージセンサへ送られる構成は、次のような問題点を有している。すなわち、様々な処理を行わなければならない中央演算プロセッサにおいて、時間的に高精度のタイミングでフレーム信号を生成して汎用の端子から送出する処理を行うことは容易ではない。また、中央演算プロセッサにおいて、そのようなフレーム信号の生成および送出の処理が可能であっても、処理能力には限度があることから、フレーム信号送出処理が他の重要な処理に悪影響を及ぼす場合がある。
【0014】
このような問題を解消するために、中央演算プロセッサにおいてフレーム信号を生成することに替えて、映像信号受信装置においてフレーム信号を生成することが考えられる。映像信号受信装置においてフレーム信号を生成すれば、中央演算プロセッサの処理量が軽減される。
【0015】
ところが、映像信号受信装置において生成されたフレーム信号が映像信号送信装置を経てイメージセンサへ送られる構成は、次のような問題点を有している。すなわち、映像信号受信装置が生成することができるフレーム信号は、イメージセンサにおいて要求されるフレーム信号の仕様を満たすことができない場合または困難である場合がある。また、一般に映像信号受信装置の供給者とカメラモジュールの供給者とは互いに異なることから、カメラモジュールにおいて要求される仕様を満たすフレーム信号を生成することができる映像信号受信装置を設計し製造することは、供給者の間において仕様の明確な申し送りや確認が必要であり、容易でない。
【0016】
本発明は、上記のような本発明者の検討の結果に基づいて、上記問題点を解消する為になされたものであり、イメージセンサにおいて要求される仕様を満たすフレーム信号を容易に供給することができる映像信号受信装置、このような映像信号受信装置を備える映像信号受信モジュール、ならびに、このような映像信号受信装置または映像信号受信モジュールと映像信号送信装置とを備える映像信号送受信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の映像信号受信装置は、各々カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する複数の映像信号送信装置と信号線により接続され、複数の映像信号送信装置それぞれから送出された映像信号を受信する装置であって、複数の映像信号送信装置のうちの何れかの特定映像信号送信装置から送出されたフレーム信号を受信するフレーム信号受信部と、フレーム信号受信部が受信したフレーム信号を複数の映像信号送信装置のうちの特定映像信号送信装置以外の第1群の映像信号送信装置へ送出するフレーム信号送信部と、を備える。本発明の映像信号受信装置は、フレーム信号受信部が受信したフレーム信号を出力する出力部を更に備えるのが好適である。
【0018】
本発明の映像信号受信モジュールは、(1) 上記の本発明の第1映像信号受信装置と、(2) 第1映像信号受信装置の出力部から出力されたフレーム信号を入力する入力部と、入力部が入力したフレーム信号を複数の映像信号送信装置のうちの特定映像信号送信装置以外の第2群の映像信号送信装置へ送出するフレーム信号送信部と、を含む第2映像信号受信装置と、を備える。
【0019】
或いは、本発明の映像信号受信モジュールは、(1) カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する特定映像信号送信装置と信号線により接続され、特定映像信号送信装置から送出された映像信号を受信するとともに、特定映像信号送信装置から送出されたフレーム信号を受信して、その受信したフレーム信号を出力する第1映像信号受信装置と、(2) カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する映像信号送信装置と信号線により接続され、映像信号送信装置から送出された映像信号を受信するとともに、第1映像信号受信装置から出力されたフレーム信号を入力して、その入力したフレーム信号を映像信号送信装置へ送出する第2映像信号受信装置と、を備える。
【0020】
本発明の映像信号送信装置は、カメラによる撮像に用いられたフレーム信号を送出するフレーム信号送信部を備える。
【0021】
本発明の一の態様の映像信号送受信システムは、(1) 各々カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する複数の映像信号送信装置と、(2) 複数の映像信号送信装置それぞれから送出された映像信号を受信するとともに、複数の映像信号送信装置のうちの何れかの特定映像信号送信装置から送出されたフレーム信号を受信し、複数の映像信号送信装置のうちの特定映像信号送信装置以外の映像信号送信装置へフレーム信号を送出する上記の本発明の映像信号受信装置と、を備える。特定映像信号送信装置は上記の本発明の映像信号送信装置である。そして、複数の映像信号送信装置のうちの特定映像信号送信装置以外の映像信号送信装置は、映像信号受信装置から送出されたフレーム信号を受信して、そのフレーム信号を対応するカメラへ出力する。
【0022】
本発明の他の態様の映像信号送受信システムは、(1) 各々カメラによる撮像により取得された映像信号を送出する複数の映像信号送信装置と、(2) 複数の映像信号送信装置それぞれから送出された映像信号を受信するとともに、複数の映像信号送信装置のうちの何れかの特定映像信号送信装置から送出されたフレーム信号を受信し、複数の映像信号送信装置のうちの特定映像信号送信装置以外の映像信号送信装置へフレーム信号を送出する上記の本発明の映像信号受信モジュールと、を備える。特定映像信号送信装置は上記の本発明の映像信号送信装置である。そして、複数の映像信号送信装置のうちの特定映像信号送信装置以外の映像信号送信装置は、映像信号受信モジュールから送出されたフレーム信号を受信して、そのフレーム信号を対応するカメラへ出力する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、イメージセンサにおいて要求される仕様を満たすフレーム信号を容易に供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、第1実施形態の映像信号送受信システム1Aの構成を示す図である。
図2図2は、カメラモジュール20の構成を示す図である。
図3図3は、特定カメラモジュール20Aの構成を示す図である。
図4図4は、映像信号受信装置11の構成を示す図である。
図5図5は、第2実施形態の映像信号送受信システム1Bの構成を示す図である。
図6図6は、第1映像信号受信装置11Aの構成を示す図である。
図7図7は、第2映像信号受信装置11Bの構成を示す図である。
図8図8は、第3実施形態の映像信号送受信システム1Cの構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、添付図面を参照して、本発明を実施するための形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。本発明は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0026】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の映像信号送受信システム1Aの構成を示す図である。映像信号送受信システム1Aは、映像信号受信モジュール10A内の映像信号受信装置11と、カメラモジュール20内の映像信号送信装置21と、特定カメラモジュール20A内の特定映像信号送信装置21Aとを備える。映像信号受信モジュール10Aは、映像信号受信装置11および中央演算プロセッサ12を含む。カメラモジュール20は、図2に示されるとおり、映像信号送信装置21およびカメラ22を含む。特定カメラモジュール20Aは、図3に示されるとおり、特定映像信号送信装置21A、カメラ22およびフレーム信号生成部23を含む。
【0027】
図1では映像信号受信装置11に1個の特定カメラモジュール20Aおよび3個のカメラモジュール20が接続された構成であるが、映像信号受信装置11に接続されたカメラモジュール20の個数は任意である。映像信号送受信システム1Aが自動車に搭載される場合、映像信号受信モジュール10Aおよび各カメラモジュール20(または20A)は、長距離(例えば長さ10m以上)の信号線により接続されており、そのような長距離の信号の送受信が可能である。
【0028】
各カメラモジュール20(図2)において、カメラ22は、レンズ系およびイメージセンサ(例えばCMOSイメージセンサ)を含む。各カメラモジュール20において、映像信号送信装置21は、映像信号受信装置11から送出されたフレーム信号をフレーム信号受信部210により受信して、そのフレーム信号を出力部220によりカメラ22へ出力する。カメラ22は、映像信号送信装置21からフレーム信号が供給されると撮像を行い、その撮像により取得された映像信号を映像信号送信装置21へ出力する。映像信号送信装置21は、カメラ22による撮像により取得された映像信号をカメラ22から受け取り、その映像信号を映像信号受信装置11へ送出する。
【0029】
特定カメラモジュール20A(図3)において、フレーム信号生成部23は、フレーム信号を生成する。フレーム信号生成部23は、例えばDSP(Digital Signal Processor)により実現される。カメラ22は、フレーム信号生成部23からフレーム信号が供給されると撮像を行い、その撮像により取得された映像信号を特定映像信号送信装置21Aへ出力する。特定映像信号送信装置21Aは、カメラ22による撮像により取得された映像信号をカメラ22から受け取り、その映像信号を映像信号受信装置11へ送出する。また、特定映像信号送信装置21Aは、フレーム信号生成部23から出力されたフレーム信号を入力部230により入力して、そのフレーム信号をフレーム信号送信部240により映像信号受信装置11へ送出する。なお、本実施形態での“フレーム信号”は、“イメージセンサにおいて要求される仕様を満たすフレーム信号”であり、たとえばタイミング、電圧極性およびロジック信号列としての正確な仕様を充足している。
【0030】
図3では、特定映像信号送信装置21Aとは別にフレーム信号生成部23が設けられた構成であったが、特定映像信号送信装置21Aがフレーム信号生成部23を含む構成であってもよい。この場合には、カメラモジュールを安価に構成することができる。
【0031】
映像信号受信装置11は、特定カメラモジュール20Aから送出されたフレーム信号を受信し、そのフレーム信号をカメラモジュール20へ送出する。また、映像信号受信装置11は、カメラモジュール20および特定カメラモジュール20Aから送出された映像信号を受信し、その受信した映像信号を中央演算プロセッサ12へ出力する。中央演算プロセッサ12は、映像信号受信装置11から受け取った映像信号に基づいて所要の処理を行う。
【0032】
図4は、映像信号受信装置11の構成を示す図である。映像信号受信装置11は、フレーム信号受信部110およびフレーム信号送信部120を備える。フレーム信号受信部110は、特定カメラモジュール20A内の特定映像信号送信装置21Aから送出されたフレーム信号を受信する。フレーム信号送信部120は、フレーム信号受信部110が受信したフレーム信号を3個のカメラモジュール20へ送出する。なお、フレーム信号受信部110から出力されたフレーム信号は、映像信号受信装置11の内部のみを経由した後にフレーム信号送信部120へ入力されてもよいし、映像信号受信装置11の外部へ一旦出た後にフレーム信号送信部120へ入力されてもよい。
【0033】
本実施形態では、特定カメラモジュール20Aにおいて、フレーム信号生成部23で生成されたフレーム信号は、特定映像信号送信装置21Aから映像信号受信装置11へ送られる。そして、そのフレーム信号は、映像信号受信装置11から3個のカメラモジュール20内の映像信号送信装置21へ送出される。
【0034】
本実施形態では、イメージセンサにおいて要求される仕様を満たすフレーム信号を容易に供給することができる。すなわち、イメージセンサの供給者が、イメージセンサにおいて要求される仕様を満たすフレーム信号を生成するフレーム信号生成部23を供給すればよい。
【0035】
イメージセンサの外部トリガ入力として、イメージセンサ供給者が設計時に想定した期待される形式が存在する。これを実現するために、まず、イメージセンサ供給者は専用のコンパニオンイメージシグナルプロセッサを提供する。これは最も確実な方法である。また、別の方法として、中央演算プロセッサ内部のファームウェア実装により具現化できる方式を案内することもある。映像信号受信装置などの製造後にファームウェアを書き込むことによる制御が不可能な製品は、ハードウェアにてあらかじめ動作の大半が決められ、外部制御により一部調整が可能なフォーマットの形式のみ対応が可能である。それ故、映像信号受信装置では全てのイメージセンサの外部トリガ入力に対応可能とは断言できない。そこで、イメージセンサ供給者が提供する専用コンパニオンイメージシグナルプロセッサ(フレーム信号生成部23)のフレーム信号生成出力を複数のカメラに分配することができれば、全てのイメージセンサの外部トリガ入力に対応可能である。
【0036】
車載業界においても、カメラモジュールの供給者と中央演算プロセッサモジュールの供給者とは別であり、中央演算プロセッサモジュールの供給者または最終車両製造メーカーが主導して相互に果たす役割や決まりごとを調停することが行われる。このような業者をまたぐ決まりごとには実現に困難を伴うので、複雑な決まりごとは減らすことが望ましい。外部トリガ生成出力は本来カメラモジュール内部で必要な信号であるので、中央演算プロセッサモジュール供給者に主導的な設計を依頼することは複雑といえる。カメラモジュール内部でフレーム信号生成出力を作り、それをインターフェースのやり取りを通じて分配するだけであれば、中央演算プロセッサモジュール業者で必要な作業はインターフェースIC設定のみであり、申し送りが容易である。
【0037】
また、本実施形態では、中央演算プロセッサ12がフレーム信号を生成するのではなく、特定カメラモジュール20A内のフレーム信号生成部23がフレーム信号を生成する。中央演算プロセッサ12がフレーム信号を生成する場合には、様々な処理を行わなければならない中央演算プロセッサにおいて、時間的に高精度のタイミングでフレーム信号を生成して汎用の端子から送出する処理を行うことは容易ではなく、また、このようなフレーム信号の生成および送出の処理が可能であっても、処理能力には限度があることから、フレーム信号送出処理が他の重要な処理に悪影響を及ぼす場合がある。これに対して、特定カメラモジュール20A内のフレーム信号生成部23がフレーム信号を生成する本実施形態では、このような中央演算プロセッサ12の負荷の問題が軽減される。
【0038】
(第2実施形態)
図5は、第2実施形態の映像信号送受信システム1Bの構成を示す図である。映像信号送受信システム1Bは、映像信号受信モジュール10B内の第1映像信号受信装置11Aおよび第2映像信号受信装置11Bと、カメラモジュール20内の映像信号送信装置21と、特定カメラモジュール20A内の特定映像信号送信装置21Aとを備える。映像信号受信モジュール10Bは、第1映像信号受信装置11A、第2映像信号受信装置11Bおよび中央演算プロセッサ12を含む。カメラモジュール20は、図2に示された構成を有する。特定カメラモジュール20Aは、図3に示された構成を有する。
【0039】
図5では映像信号受信モジュール10Bは1個の第1映像信号受信装置11Aおよび2個の第2映像信号受信装置11Bを含む構成であるが、映像信号受信モジュール10Bに含まれる第2映像信号受信装置11Bの個数は任意である。また、第1映像信号受信装置11Aおよび第2映像信号受信装置11Bそれぞれに接続されるカメラモジュールの個数は、図5では4であるが、任意である。
【0040】
図6は、第1映像信号受信装置11Aの構成を示す図である。第1映像信号受信装置11Aは、フレーム信号受信部110、フレーム信号送信部120および出力部130を備える。図4に示された構成と比較すると、図6に示される第1映像信号受信装置11Aは、出力部130を更に備える点で相違する。フレーム信号送信部120は、フレーム信号受信部110が受信したフレーム信号を、複数の映像信号送信装置のうちの特定映像信号送信装置21A以外の第1群の映像信号送信装置21(すなわち、第1映像信号受信装置11Aと信号線により接続された3個の映像信号送信装置21)へ送出する。出力部130は、フレーム信号受信部110が受信したフレーム信号を、第2映像信号受信装置11Bへ出力する。
【0041】
なお、フレーム信号受信部110から出力されたフレーム信号は、第1映像信号受信装置11Aの内部のみを経由した後にフレーム信号送信部120へ入力されてもよいし、第1映像信号受信装置11Aの外部へ一旦出た後にフレーム信号送信部120へ入力されてもよい。後者の場合、出力部130から外部へ出力されたフレーム信号を入力するための入力部が設けられてもよく、この入力部が入力したフレーム信号をフレーム信号送信部120が送出してもよい。
【0042】
図7は、第2映像信号受信装置11Bの構成を示す図である。第2映像信号受信装置11Bは、フレーム信号送信部120および入力部140を含む。入力部140は、第1映像信号受信装置11Aの出力部130から出力されたフレーム信号を入力する。フレーム信号送信部120は、入力部140が入力したフレーム信号を、複数の映像信号送信装置のうちの特定映像信号送信装置21A以外の第2群の映像信号送信装置21(すなわち、第2映像信号受信装置11Bと信号線により接続された4個の映像信号送信装置21)へ送出する。
【0043】
本実施形態では、特定カメラモジュール20Aにおいて、フレーム信号生成部23で生成されたフレーム信号は、特定映像信号送信装置21Aから第1映像信号受信装置11Aへ送られる。そして、そのフレーム信号は、第1映像信号受信装置11Aから3個のカメラモジュール20内の映像信号送信装置21へ送出され、また、第1映像信号受信装置11Aから第2映像信号受信装置11Bへ送られる。第2映像信号受信装置11Bへ送られたフレーム信号は、第2映像信号受信装置11Bから4個のカメラモジュール20内の映像信号送信装置21へ送出される。
【0044】
本実施形態では、第1実施形態の効果と同様の効果を奏する他、次のような効果をも奏する。すなわち、本実施形態では、映像信号受信モジュール10Bに含まれる第2映像信号受信装置11Bの個数を任意とすることができる。映像信号受信モジュール10Bが実質的に同じタイミングでフレーム信号を供給すべき映像信号送信装置21の個数に応じて、映像信号受信モジュール10Bに含まれる第2映像信号受信装置11Bの個数を調整すればよい。このように、本実施形態の映像信号受信モジュール10Bは、接続されるべき映像信号送信装置21の個数の変化に柔軟に対応することができる。
【0045】
(第3実施形態)
図8は、第3実施形態の映像信号送受信システム1Cの構成を示す図である。映像信号送受信システム1Cは、映像信号受信モジュール10C内の第1映像信号受信装置11Cおよび第2映像信号受信装置11Dと、カメラモジュール20内の映像信号送信装置21と、特定カメラモジュール20A内の特定映像信号送信装置21Aとを備える。
【0046】
第1映像信号受信装置11Cは、特定映像信号送信装置21Aと信号線により接続されており、この特定映像信号送信装置21Aから送出された映像信号を受信する。また、第1映像信号受信装置11Cは、特定映像信号送信装置21Aから送出されたフレーム信号をフレーム信号受信部110により受信して、その受信したフレーム信号を出力部130により各第2映像信号受信装置11Dへ出力する。
【0047】
各第2映像信号受信装置11Dは、1つの映像信号送信装置21と信号線により接続されており、この映像信号送信装置21から送出された映像信号を受信する。また、各第2映像信号受信装置11Dは、第1映像信号受信装置11Cの出力部130からから出力されたフレーム信号を入力部140により入力して、その入力したフレーム信号をフレーム信号送信部120により対応する映像信号送信装置21へ送出する。
【0048】
このような構成とした場合、第2実施形態の効果と同様の効果を奏することに加えて、何れかの箇所で故障が生じた場合に、その影響が及ぶ範囲の拡大を抑制することができる。
【符号の説明】
【0049】
1A~1C…映像信号送受信システム、10A~10C…映像信号受信モジュール、11…映像信号受信装置、11A…第1映像信号受信装置、11B…第2映像信号受信装置、11C…第1映像信号受信装置、11D…第2映像信号受信装置、12…中央演算プロセッサ、20…カメラモジュール、20A…特定カメラモジュール、21…映像信号送信装置、21A…特定映像信号送信装置、22…カメラ、23…フレーム信号生成部、110…フレーム信号受信部、120…フレーム信号送信部、130…出力部、140…入力部、210…フレーム信号受信部、220…出力部、230…入力部、240…フレーム信号送信部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8