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特許7173518情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/12 20060101AFI20221109BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20221109BHJP
【FI】
G07G1/12 321L
G06Q30/06
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2018050927
(22)【出願日】2018-03-19
(65)【公開番号】P2019164448
(43)【公開日】2019-09-26
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000227205
【氏名又は名称】NECプラットフォームズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094112
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 讓
(74)【代理人】
【識別番号】100106183
【弁理士】
【氏名又は名称】吉澤 弘司
(72)【発明者】
【氏名】内村 淳
(72)【発明者】
【氏名】高橋 博
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-010550(JP,A)
【文献】特開2010-176278(JP,A)
【文献】特開2012-027641(JP,A)
【文献】特開2010-244570(JP,A)
【文献】特開2010-257349(JP,A)
【文献】特開2013-020405(JP,A)
【文献】特開2014-099171(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G 1/00- 1/14
G07D 1/00- 3/16,
9/00-13/00
G07F 5/00-11/72,
17/00-19/00
G06Q 10/00-99/00
G07B 1/00- 9/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔画像に基づいて決済者の特定を行う特定手段と、
前記特定手段により特定された前記決済者による決済を受け付ける決済手段と、
前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行う処理手段と、
を備え、
前記検出手段は、前記決済端末の近傍にある物体が前記接近者であるか否かを判定することにより、前記接近者を検出し、
前記検出手段は、前記特定手段が最初に前記決済者の特定を行った時点から前記物体が前記決済端末の近くにあった場合に、前記物体が前記接近者ではないと判定することを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記処理手段は、前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、前記決済手段による決済を中断させる
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項3】
前記処理手段は、前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、警報を発報することを特徴とする請求項1又は2に記載の情報処理システム。
【請求項4】
前記決済端末は、前記決済者が行う決済に関する情報を表示する表示装置を備え、
前記処理手段は、前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、前記表示装置に表示されている情報の一部又は全部を非表示にする
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記検出手段は、測距対象までの距離を取得する測距装置により取得された距離情報に基づいて、前記接近者を検出する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記測距装置は、前記決済端末が測距範囲に含まれるように配されている
ことを特徴とする請求項5に記載の情報処理システム。
【請求項7】
前記測距装置は、LiDAR(Light Detection and Ranging)装置を含む
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の情報処理システム。
【請求項8】
前記LiDAR装置は、不可視光を照射するレーザ光源を含む
ことを特徴とする請求項7に記載の情報処理システム。
【請求項9】
前記検出手段は、前記決済者が決済を行っている間に、人物の顔画像を取得し、前記人物の顔画像が前記決済者の顔画像と一致しない場合に、前記人物を前記接近者として検出する
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項10】
前記検出手段は、前記物体の形状に基づいて前記物体が前記接近者であるか否かを判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理システム。
【請求項11】
前記検出手段は、前記物体の大きさが所定の範囲内である場合に、前記物体が前記接近者であると判定する
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項12】
コンピュータによって実行される、
顔画像に基づいて決済者の特定を行うステップと、
特定された前記決済者による決済を受け付けるステップと、
前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出するステップと、
前記接近者が検出された場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行うステップと、
を備え、
前記接近者を検出する前記ステップが、前記決済端末の近傍にある物体が前記接近者であるか否かを判定することにより、前記接近者を検出するステップを備え、
前記接近者を検出する前記ステップが、最初に前記決済者の特定を行う前記ステップが実行された時点から前記物体が前記決済端末の近くにあった場合に、前記物体が前記接近者ではないと判定するステップを備えることを特徴とする情報処理方法。
【請求項13】
コンピュータに、
顔画像に基づいて決済者の特定を行うステップと、
特定された前記決済者による決済を受け付けるステップと、
前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出するステップと、
前記接近者が検出された場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行うステップと、
を実行させるプログラムであって、
前記接近者を検出する前記ステップが、前記決済端末の近傍にある物体が前記接近者であるか否かを判定することにより、前記接近者を検出するステップを備え、
前記接近者を検出する前記ステップが、最初に前記決済者の特定を行う前記ステップが実行された時点から前記物体が前記決済端末の近くにあった場合に、前記物体が前記接近者ではないと判定するステップを備えることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には顔照合の結果に基づく決済処理を行う情報処理システムが開示されている。当該情報処理システムは、来店者の顔情報と決済者の顔情報とを照合し、来店者と決済者とが同一人物であることを確認して決済処理等を行っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-126749号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載されている処理では、決済の前に顔認証を行っている。しかしながら、特許文献1は、顔認証が完了した後、決済の途中に発生し得るセキュリティ上の問題点について言及していない。
【0005】
本発明は、上述の課題に鑑みてなされたものであって、よりセキュリティを向上させることができる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一観点によれば、顔画像に基づいて決済者の特定を行う特定手段と、前記特定手段により特定された前記決済者による決済を受け付ける決済手段と、前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出する検出手段と、前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行う処理手段と、を備えることを特徴とする情報処理システムが提供される。
【0007】
本発明の他の一観点によれば、顔画像に基づいて決済者の特定を行うステップと、特定された前記決済者による決済を受け付けるステップと、前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出するステップと、前記接近者が検出された場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行うステップと、を備えることを特徴とする情報処理方法が提供される。
【0008】
本発明の他の一観点によれば、コンピュータに、顔画像に基づいて決済者の特定を行うステップと、特定された前記決済者による決済を受け付けるステップと、前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出するステップと、前記接近者が検出された場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行うステップと、を実行させることを特徴とするプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、よりセキュリティを向上させることができる情報処理システム、情報処理方法及びプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態に係るPOSシステムの概略構成を示すブロック図である。
図2】第1実施形態に係るPOSシステムにおけるレーンの配置を示す模式図である。
図3】第1実施形態に係る顔認証装置の概略構成を示す模式図である。
図4】第1実施形態に係る情報処理システムのハードウェア構成例を示すブロック図である。
図5】第1実施形態に係る情報処理システムの機能ブロック図である。
図6】第1実施形態に係る情報処理システムにより行われる処理の概略を示すフローチャートである。
図7】第2実施形態に係る情報処理システムにより行われる処理の概略を示すフローチャートである。
図8】第3実施形態に係る情報処理システムにより行われる処理の概略を示すフローチャートである。
図9】第4実施形態に係る情報処理システムにより行われる処理の概略を示すフローチャートである。
図10】第5実施形態に係る情報処理システムの機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して、本発明の例示的な実施形態を説明する。図面において同様の要素又は対応する要素には同一の符号を付し、その説明を省略又は簡略化することがある。
【0012】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態に係るPOS(Point Of Sales)システム10の概略構成を示すブロック図である。POSシステム10は、店舗における商品の販売等に対し商品の登録、代金の決済等を行うシステムである。POSシステム10は、情報処理システム100、顔認証装置200、測距装置300、決済端末400及び商品登録装置500を含む。情報処理システム100、顔認証装置200、測距装置300、決済端末400及び商品登録装置500は、有線又は無線により相互に通信可能に接続される。なお、POSシステム10は、サービスの提供に対する対価の決済に用いられるものであってもよい。
【0013】
情報処理システム100は、例えばコンピュータであり、POSシステム10を構成する各装置の制御、各装置からの情報の取得、取得した情報の解析等の処理を行う。顔認証装置200は、来店した顧客の顔認証を行う装置である。測距装置300は、ステレオカメラ装置、LiDAR(Light Detection and Ranging)装置等の装置であり、所定の範囲における測距装置300から測距対象までの距離の空間分布を取得することができる。
【0014】
決済端末400は、商品の購入等に対する決済を受け付ける装置である。この決済は、現金による決済であってもよく、クレジットカード、デビットカード、電子マネー等の現金以外による決済であってもよい。現金、カード等による決済を受け付けるため、決済端末400は現金投入口、自動釣銭機、カードリーダ等を備えている。また、決済端末400は、決済情報の表示等のため、液晶ディスプレイ、OLED(Organic Light Emitting Diode)ディスプレイ等の表示装置を備えている。
【0015】
商品登録装置500は、購入しようとする商品の登録を行う装置である。登録された商品に応じて、決済端末400において決済すべき金額が自動的に計算される。また、登録された商品の情報は、POSシステム10のデータベースに記憶され、在庫管理、売上額の計算等に用いられる。なお、決済端末400と商品登録装置500は、POSレジスタ等の一体型の装置であってもよい。
【0016】
図2は、第1実施形態に係るPOS(Point Of Sales)システム10におけるレーンの配置を示す模式図である。図2に示すレーンは、顧客600自身が商品登録、決済等を行うセルフ型の無人レーンである。商品の購入を行う顧客600は、商品を搭載したカート601を押して入口11からレーンに入場し、レーン内で決済を行った後、出口12から退場する。
【0017】
ここで、図3を更に参照しつつ、顔認証装置200の構成を説明する。図3は、第1実施形態に係る顔認証装置200の概略構成を示す模式図である。顔認証装置200は、カメラ201を備える。カメラ201は、顧客600の顔が撮影範囲に含まれるように顧客600の顔の高さ付近に配置され得る。顧客600がカート601を押しながら入口11に接近すると、顔認証装置200のカメラ201は、顧客600の顔を撮影し、顔画像を取得する。顔認証装置200は、顔画像から、照合に用いる特徴量を算出する。顔認証装置200は、算出された特徴量を、あらかじめ認証サーバに登録されている顔の特徴量と照合することにより、顧客600の認証を行う。このようにして顔画像に基づいて認証された顧客600は、POSシステム10を用いた決済を認める決済者として特定される。
【0018】
なお、来店した顧客600の顔画像が登録されている顔画像のいずれとも合致しない場合、顔の一部が隠れていて特徴量の抽出ができない場合等には、顧客600の認証が失敗することがあり得る。このような場合には、POSシステム10は、本レーンでの決済を認めない旨の表示等を行うことができる。また、これに加えて、POSシステム10は、店員が常駐している有人レーンへの誘導を行う等の処理を行ってもよい。
【0019】
顔認証により顧客600が決済者として特定されると、顧客600はカート601を押してレーン内を進み、カート601を商品登録が可能な位置まで移動させる。本実施形態では、カート601に搭載されている商品のそれぞれにRFID(Radio Frequency Identifier)技術に基づくIC(Integrated Circuit)タグが取り付けられている。ICタグに含まれる記憶媒体には、商品識別情報が記憶されている。商品登録装置500は、RFID技術に適合した少なくとも1つの無線通信端末501を有する。無線通信端末501は、例えば、RFID技術に基づくアンテナ装置である。無線通信端末501は、ICタグと無線通信を行うことにより、カート601内の各商品の商品識別情報を取得する。これにより、商品登録装置500は、顧客600がカート601に搭載した商品を登録することができる。図2に図示されている通信可能領域R1は、複数の無線通信端末501のいずれかによりカート601に搭載されたICタグを読み取ることが可能な範囲を示している。図2の例では、カート601の形状に合わせた読み取り可能範囲を確保するため、4個の無線通信端末501が長方形をなすように配列されている。
【0020】
なお、商品識別情報の取得は、バーコード、二次元コード等の商品の包装等に付されたコードをスキャナ等により読み取ることにより行われてもよい。
【0021】
商品登録装置500が商品識別情報を取得すると、決済端末400の表示装置には、決済対象の商品名、商品の数量、決済金額、顧客600の氏名、決済に用いることができるクレジットカード等の番号、顧客600に対する操作説明等の情報が表示される。
【0022】
なお、表示される情報のうち、決済対象の商品に関する情報は、商品識別情報に基づいてPOSシステム10内の商品データベースから取得することができる。顧客600に関する情報は、顔認証の結果に基づいてPOSシステム10内の顧客データベースから取得することができる。
【0023】
顧客600が決済の手続きを行っている間、測距装置300は、決済端末400を含む所定の測距範囲内の測距を行う。これにより、決済端末400に近づく人物が測距範囲内に含まれるような配置が実現される。この測距は、例えば、垂直方向、水平方向の2方向に走査をしながら奥行き方向の距離を計測するという3次元計測であり得る。この場合、決済端末400を含む範囲内の3次元情報を得ることができる。なお、測距装置300がLiDAR装置である場合には、ステレオカメラ等を採用した場合と比べて奥行き方向の測距精度を向上させることができる。当該LiDAR装置に用いられるレーザ光源の種類は特に限定されないが、赤外線等の不可視光を照射するレーザ光源である場合には、測距光が顧客600に不快感を与えることがないためより好ましい。測距装置300により取得された情報の活用方法については後述する。
【0024】
顧客600が、決済端末400による決済を完了すると、POSシステム10は、ゲート13を開動作させる。その後、顧客600は、決済済みの商品を搭載したカート601を押して出口12から退出する。
【0025】
次に、情報処理システム100の構成及び動作を説明する。図4は、情報処理システム100のハードウェア構成例を示すブロック図である。情報処理システム100は、例えば、コンピュータであり得る。情報処理システム100は、顔認証装置200、測距装置300、決済端末400又は商品登録装置500の内部に設けられたコンピュータであってもよい。
【0026】
情報処理システム100は、演算、制御及び記憶を行うコンピュータとして、CPU(Central Processing Unit)151、RAM(Random Access Memory)152、ROM(Read Only Memory)153及びHDD(Hard Disk Drive)154を備える。また、情報処理システム100は、通信I/F(インターフェース)155、表示装置156及び入力装置157を備える。CPU151、RAM152、ROM153、HDD154、通信I/F155、表示装置156及び入力装置157は、バス158を介して相互に接続される。なお、表示装置156及び入力装置157は、これらの装置を駆動するための不図示の駆動装置を介してバス158に接続されてもよい。
【0027】
図4では、情報処理システム100を構成する各部が一体の装置として図示されているが、これらの機能の一部は外付け装置により提供されるものであってもよい。例えば、表示装置156及び入力装置157は、CPU151等を含むコンピュータの機能を構成する部分とは別の外付け装置であってもよい。
【0028】
CPU151は、ROM153、HDD154等に記憶されたプログラムに従って所定の動作を行うとともに、情報処理システム100の各部を制御する機能をも有する。RAM152は、揮発性記憶媒体から構成され、CPU151の動作に必要な一時的なメモリ領域を提供する。ROM153は、不揮発性記憶媒体から構成され、情報処理システム100の動作に用いられるプログラム等の必要な情報を記憶する。HDD154は、不揮発性記憶媒体から構成され、処理に必要なデータ、情報処理システム100の動作用プログラム等の記憶を行う記憶装置である。
【0029】
通信I/F155は、イーサネット(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、4G等の規格に基づく通信インターフェースであり、他の装置との通信を行うためのモジュールである。表示装置156は、液晶ディスプレイ、OLEDディスプレイ等であって、画像、文字、インターフェース等の表示に用いられる。入力装置157は、キーボード、ポインティングデバイス等であって、ユーザが情報処理システム100を操作するために用いられる。ポインティングデバイスの例としては、マウス、トラックボール、タッチパネル等が挙げられる。表示装置156及び入力装置157は、タッチパネルとして一体に形成されていてもよい。
【0030】
なお、図4に示されているハードウェア構成は例示であり、これら以外の装置が追加されていてもよく、一部の装置が設けられていなくてもよい。また、一部の装置が同様の機能を有する別の装置に置換されていてもよい。更に、本実施形態の一部の機能がネットワークを介して他の装置により提供されてもよく、本実施形態の機能が複数の装置に分散されて実現されるものであってもよい。例えば、HDD154は、半導体メモリを用いたSSD(Solid State Drive)に置換されていてもよく、クラウドストレージに置換されていてもよい。
【0031】
図5は、本実施形態に係る情報処理システム100の機能ブロック図である。情報処理システム100は、特定部101、決済部102、検出部103、処理部104、及び記憶部105を有する。
【0032】
CPU151は、ROM153、HDD154等に記憶されたプログラムをRAM152にロードして実行することにより、特定部101、決済部102、検出部103及び処理部104の機能を実現する。これらの各部で行われる処理については後述する。CPU151は、HDD154を制御することにより記憶部105の機能を実現する。
【0033】
図6は、本実施形態に係る情報処理システム100により行われる処理を示すフローチャートである。図6を参照しつつ、情報処理システム100により行われる決済関連処理を説明する。
【0034】
ステップS101において、情報処理システム100は、顔認証装置200により行われた顔認証結果に関する情報を取得する。取得された顔認証結果に関する情報は記憶部105に記憶される。また、必要であれば、顧客600の顔画像又は顔画像から算出された特徴量を更に取得し、記憶部105に記憶させてもよい。
【0035】
ステップS102において、特定部101は、記憶部105に記憶された顔認証に関する情報に基づいて、決済端末400における決済の受け付けを認める決済者を特定する。
【0036】
ステップS103において、決済部102は、特定部101により特定された決済者が決済を行うことができるように、決済端末400及び商品登録装置500を制御する。これにより、顧客600は、商品登録装置500による商品登録及び決済端末400による決済を開始することができるようになる。
【0037】
ステップS103における決済の受け付け開始後、ステップS104において、情報処理システム100は、測距装置300に対して決済端末400を含む範囲内に対し測距を行うよう指示する。この測距により取得された距離情報は、情報処理システム100に送信され、必要に応じて記憶部105に記憶される。検出部103は、決済者が決済を行っている間、当該距離情報を解析し、決済者以外の決済端末400への接近者を検出する。
【0038】
ここで、接近者とは、決済者及びその同伴者以外の人物であって、ステップS102における決済者の特定後に決済端末400に接近した者を指す。接近者の典型例としては、決済者になりすまして決済端末400を操作しようとする者、決済端末400の表示画面を覗き込んで情報を取得しようとする者、決済者の保有する金銭等を盗難しようとする者等が挙げられる。
【0039】
この検出処理の具体例としては、決済端末400との距離が所定の閾値以下である人物が決済者以外にいるか否かを解析するという手法が挙げられる。
【0040】
ステップS104において、検出部103が決済者以外の決済端末400への接近者を検出した場合(ステップS104においてYES)、処理はステップS106に移行する。ステップS104において、検出部103が決済者以外の決済端末400への接近者を検出しなかった場合(ステップS104においてNO)、処理はステップS105に移行する。
【0041】
ステップS105において、情報処理システム100は、決済端末400及び商品登録装置500における処理状況を検出し、決済が完了しているか否かを判定する。決済が完了している場合(ステップS105においてYES)、本処理は終了する。決済が完了していない場合(ステップS105においてNO)、処理はステップS104に移行し、接近者の検出を継続する。
【0042】
ステップS106において、処理部104は、決済端末400及び商品登録装置500に対して決済を中断させる処理を行う。これにより、接近者が決済者になりすまして決済を行うことを抑止することができる。
【0043】
本実施形態によれば、決済者が決済を行っている間に、決済者以外の人物が決済端末400に接近した場合に生じ得るセキュリティ上の問題の1つであるなりすまし決済を抑止することができる。これにより、よりセキュリティを向上させることができる情報処理システムが提供される。
【0044】
なお、ステップS106の後に、接近者が決済端末400から離れた場合など、なりすまし決済のおそれがなくなる場合もあり得る。このような場合に、処理部104は、決済端末400及び商品登録装置500に対して決済を再開させる処理を行ってもよい。
【0045】
[第2実施形態]
図7は、本実施形態に係る情報処理システム100により行われる処理を示すフローチャートである。図7を参照しつつ、情報処理システム100により行われる決済関連処理を説明する。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態と重複する部分については説明を省略又は簡略化する。
【0046】
本実施形態のPOSシステム10は、警報装置を備えている。当該警報装置は、音、光、音声等により周囲の人物、POSシステム10の管理者、警備員等に警報を発報する装置である。ステップS107において、処理部104は、POSシステム10に設けられた警報装置に対し、警報を発報させる処理を行う。この警報の内容は、例えば、接近者に対して決済端末400から離れるように促すメッセージであり得る。あるいは、この警報の内容は、決済者に対して接近者の存在を通知し、警戒を促すものであり得る。これにより、接近者の存在によるセキュリティ上の問題点を解消することができ、よりセキュリティを向上させることができる情報処理システムが提供される。
【0047】
[第3実施形態]
図8は、本実施形態に係る情報処理システム100により行われる処理を示すフローチャートである。図8を参照しつつ、情報処理システム100により行われる決済関連処理を説明する。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態又は第2実施形態と重複する部分については説明を省略又は簡略化する。
【0048】
本実施形態の決済端末400は、情報処理システム100の処理部104からの制御に応じて表示装置の画面を非表示化する機能を備えている。ステップS108において、処理部104は、決済端末400に設けられた表示装置の画面を非表示化させる処理を行う。決済端末400は、決済者の買い物情報、決済者の氏名、決済者のクレジットカードの番号等決済者の個人情報を表示することがある。本実施形態では、接近者を検出したときに画面を非表示化することにより、決済情報の覗き見を防止することができる。したがって、よりセキュリティを向上させることができる情報処理システムが提供される。
【0049】
なお、上述の非表示化の処理は、画面全体を非表示にするものであってもよいが、画面の中の決済者の個人情報等、一部の情報のみを非表示にするものであってもよい。
【0050】
なお、本実施形態の処理を採用したとしてもレーンの入口、出口等の測距装置300の測距範囲外から決済情報を覗き見される場合が想定される。このような遠距離からの覗き見を防止するため、決済端末400の表示画面に覗き見防止フィルタを設ける、表示画面の側面に衝立を設ける等の手法により正面以外の角度からの覗き見を防止する機構が表示画面に追加されていてもよい。
【0051】
[第4実施形態]
図9は、本実施形態に係る情報処理システム100により行われる処理を示すフローチャートである。図9を参照しつつ、情報処理システム100により行われる決済関連処理を説明する。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態乃至第3実施形態と重複する部分については説明を省略又は簡略化する。
【0052】
本実施形態の検出部103は、決済者の近くにある物体が接近者であるか否かを判定することにより、接近者を検出する機能を有する。ステップS109において、検出部103は、距離情報に基づいて決済端末400の近傍に物体があるか否かを判定する。検出部103が決済端末400の近傍に物体があると判定した場合(ステップS109においてYES)、処理はステップS110に移行する。検出部103が決済端末400の近傍に物体がないと判定した場合(ステップS109においてNO)、処理はステップS105に移行する。
【0053】
ステップS110において、検出部103は、決済端末400の近傍にある物体が接近者であるか否かを判定する。検出部103が決済端末400の近傍にある物体が接近者であると判定した場合(ステップS110においてYES)、処理はステップS106に移行する。検出部103が決済端末400の近傍にある物体が接近者ではないと判定した場合(ステップS110においてNO)、処理はステップS105に移行する。
【0054】
ステップS110における判定手法について、いくつかの具体例を説明する。検出部103は、画像認識技術を用いて、測距装置300により得られた物体の形状に基づいて当該物体の種類を判定し、物体が接近者であるか否かを判定することができる。例えば、当該物体がカート601、動物等の人間以外の物体である場合には、当該物体は、接近者ではないと判定され得る。
【0055】
また、別の例では、検出部103は、測距装置300により得られた物体の大きさが所定の範囲内であるか否かに基づいて、物体が接近者であるか否かを判定することもできる。例えば、物体の大きさが大人の人間の範囲内である場合に物体が接近者であると判定し、そうでない場合に物体は接近者ではないと判定することにより、子供を接近者から除外することができる。
【0056】
また、別の例では、検出部103は、特定部101が最初に決済者の特定を行った時点から物体が決済端末400の近くにあった場合に、物体が接近者ではないと判定することもできる。決済を開始する前から決済者の近くにいた人又は物は、決済者の同伴者又は所有物であると考えられるためである。これにより、決済者の同伴者又は所有物を接近者から除外することができる。
【0057】
本実施形態では、ステップS109及びステップS110の処理により、決済端末400の近傍にある物体が接近者であるか否かを判定してからステップS106の処理を行う。これにより、人間以外の物、決済者の同伴者等のセキュリティ上の問題を生じない物体を接近者と誤認識する可能性を低減させることができる。
【0058】
なお、本実施形態のステップS106は、第2実施形態のステップS107又は第3実施形態のステップS108と置き換えられていてもよい。
【0059】
上述の実施形態において説明したシステムは以下の第5実施形態のようにも構成することができる。
【0060】
[第5実施形態]
図10は、第5実施形態に係る情報処理システム700の機能ブロック図である。情報処理システム700は、特定部701、決済部702、検出部703及び処理部704を備える。特定部701は、顔画像に基づいて決済者の特定を行う。決済部702は、特定部701により特定された決済者による決済を受け付ける。検出部703は、決済者が決済を行っている間、決済者以外の決済端末への接近者を検出する。処理部704は、検出手段が接近者を検出した場合に、接近者による行為を抑止するための処理を行う。
【0061】
本実施形態によれば、よりセキュリティを向上させることができる情報処理システム700が提供される。
【0062】
[変形実施形態]
本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更可能である。
【0063】
接近者が検出された場合に処理部104が行う処理の具体例を第1乃至第3の実施形態において示したが、これに限定されるものではない。接近者を検出した場合に処理部104が行う処理は、接近者による行為を抑止するものであれば、例示したもの以外の処理であってもよい。
【0064】
上述の実施形態において、測距装置300は、スチルカメラ、ビデオカメラ等の測距を行わない装置に置き換えられてもよい。この場合には、撮影した画像から種々の画像解析技術を用いて決済端末400と接近者との距離を算出し、これに基づいて同様の処理を行うことができる。しかしながら、直接距離を測定することができる測距装置300を採用することがより望ましい。
【0065】
また、上述の実施形態において接近者の検出には、測距装置300により得られた情報が用いられているが、これに限られるものではなく、例えば、顔認証装置200が接近者の検出を行ってもよい。顔認証による接近者の検出は以下のように行われ得る。顔認証装置200に設けられているカメラ201は、決済者が決済を行っている間に、決済端末400の近傍の所定範囲内にいる1又は複数の人物の顔画像を取得する。この人物の顔画像のうちに決済者の顔画像と一致しないものがある場合には、顔認証装置200は、当該人物を接近者として検出する。この手法によっても上述の実施形態の場合と同様に接近者の検出を行うことができる。また、顔認証技術を用いることにより、決済者を接近者と誤認識するおそれが低減される。
【0066】
上述の実施形態の機能を実現するように該実施形態の構成を動作させるプログラムを記憶媒体に記録させ、記憶媒体に記録されたプログラムをコードとして読み出し、コンピュータにおいて実行する処理方法も各実施形態の範疇に含まれる。すなわち、コンピュータ読取可能な記憶媒体も各実施形態の範囲に含まれる。また、上述のプログラムが記録された記憶媒体だけでなく、そのプログラム自体も各実施形態に含まれる。また、上述の実施形態に含まれる1又は2以上の構成要素は、各構成要素の機能を実現するように構成されたASIC、FPGA等の回路であってもよい。
【0067】
該記憶媒体としては例えばフロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD(Compact Disk)-ROM、磁気テープ、不揮発性メモリカード、ROMを用いることができる。また該記憶媒体に記録されたプログラム単体で処理を実行しているものに限らず、他のソフトウェア、拡張ボードの機能と共同して、OS上で動作して処理を実行するものも各実施形態の範疇に含まれる。
【0068】
上述の各実施形態の機能により実現されるサービスは、SaaS(Software as a Service)の形態でユーザに対して提供することもできる。
【0069】
なお、上述の実施形態は、いずれも本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【0070】
上述の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
【0071】
(付記1)
顔画像に基づいて決済者の特定を行う特定手段と、
前記特定手段により特定された前記決済者による決済を受け付ける決済手段と、
前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出する検出手段と、
前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行う処理手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【0072】
(付記2)
前記処理手段は、前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、前記決済手段による決済を中断させる
ことを特徴とする付記1に記載の情報処理システム。
【0073】
(付記3)
前記処理手段は、前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、警報を発報することを特徴とする付記1又は2に記載の情報処理システム。
【0074】
(付記4)
前記決済端末は、前記決済者が行う決済に関する情報を表示する表示装置を備え、
前記処理手段は、前記検出手段が前記接近者を検出した場合に、前記表示装置に表示されている情報の一部又は全部を非表示にする
ことを特徴とする付記1乃至3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0075】
(付記5)
前記検出手段は、測距対象までの距離を取得する測距装置により取得された距離情報に基づいて、前記接近者を検出する
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0076】
(付記6)
前記測距装置は、前記決済端末が測距範囲に含まれるように配されている
ことを特徴とする付記5に記載の情報処理システム。
【0077】
(付記7)
前記測距装置は、LiDAR(Light Detection and Ranging)装置を含む
ことを特徴とする付記5又は6に記載の情報処理システム。
【0078】
(付記8)
前記LiDAR装置は、不可視光を照射するレーザ光源を含む
ことを特徴とする付記7に記載の情報処理システム。
【0079】
(付記9)
前記検出手段は、前記決済者が決済を行っている間に、再び所定範囲内にいる人物の顔画像を取得し、前記人物の顔画像が前記決済者の顔画像と一致しない場合に、前記人物を前記接近者として検出する
ことを特徴とする付記1乃至4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0080】
(付記10)
前記検出手段は、前記決済端末の近傍にある物体が前記接近者であるか否かを判定することにより、前記接近者を検出する
ことを特徴とする付記1乃至9のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0081】
(付記11)
前記検出手段は、前記物体の形状に基づいて前記物体が前記接近者であるか否かを判定する
ことを特徴とする付記10に記載の情報処理システム。
【0082】
(付記12)
前記検出手段は、前記物体の大きさが所定の範囲内である場合に、前記物体が前記接近者であると判定する
ことを特徴とする付記10又は11に記載の情報処理システム。
【0083】
(付記13)
前記検出手段は、前記特定手段が最初に前記決済者の特定を行った時点から前記物体が前記決済端末の近くにあった場合に、前記物体が前記接近者ではないと判定する
ことを特徴とする付記10乃至12のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【0084】
(付記14)
顔画像に基づいて決済者の特定を行うステップと、
特定された前記決済者による決済を受け付けるステップと、
前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出するステップと、
前記接近者が検出された場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行うステップと、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【0085】
(付記15)
コンピュータに、
顔画像に基づいて決済者の特定を行うステップと、
特定された前記決済者による決済を受け付けるステップと、
前記決済者が決済を行っている間、前記決済者以外の決済端末への接近者を検出するステップと、
前記接近者が検出された場合に、前記接近者による行為を抑止するための処理を行うステップと、
を実行させることを特徴とするプログラム。
【符号の説明】
【0086】
10 POSシステム
11 入口
12 出口
13 ゲート
100、700 情報処理システム
101、701 特定部
102、702 決済部
103、703 検出部
104、704 処理部
105 記憶部
151 CPU
152 RAM
153 ROM
154 HDD
155 通信I/F
156 表示装置
157 入力装置
158 バス
200 顔認証装置
201 カメラ
300 測距装置
400 決済端末
500 商品登録装置
501 無線通信端末
600 顧客
601 カート
R1 通信可能領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10