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特許7173530ナビゲーション装置およびナビゲーション方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ナビゲーション装置およびナビゲーション方法
(51)【国際特許分類】
   H04R 27/00 20060101AFI20221109BHJP
   G01C 21/26 20060101ALI20221109BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20221109BHJP
   H04R 3/00 20060101ALI20221109BHJP
   G09B 21/00 20060101ALI20221109BHJP
   G08B 5/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H04R27/00 F
G01C21/26 P
G08G1/005
H04R3/00 310
G09B21/00 D
G08B5/00 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2018134091
(22)【出願日】2018-07-17
(65)【公開番号】P2020014084
(43)【公開日】2020-01-23
【審査請求日】2021-06-08
(73)【特許権者】
【識別番号】504171134
【氏名又は名称】国立大学法人 筑波大学
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100188558
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】善甫 啓一
(72)【発明者】
【氏名】水谷 孝一
(72)【発明者】
【氏名】若槻 尚斗
(72)【発明者】
【氏名】川本 雅之
【審査官】菊池 智紀
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-126098(JP,A)
【文献】特開2006-157403(JP,A)
【文献】特開2014-113855(JP,A)
【文献】特開2000-082162(JP,A)
【文献】特開平10-164697(JP,A)
【文献】国際公開第2017/018298(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 1/00-31/00
H04S 1/00- 7/00
G10K 15/00-15/12
G06Q 50/00-99/00
G08B 5/00
G08G 1/005
G09B 21/00
G01C 21/26-21/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内音による案内を求める者である被支援者が判定エリアに存在するか否かを判定する被支援者判定部と、
前記被支援者を前記判定エリア内の位置から案内音の提示位置であるスウィートスポットに誘導する被支援者誘導部と、
案内音を前記スウィートスポットに提示する案内音提示部とを備え、
前記被支援者判定部は、
トリガ音を前記判定エリアに提示するトリガ音提示部と、
前記トリガ音提示部によって提示されたトリガ音に対するトリガ音受聴者の反応を検出する反応検出部とを備え、
前記被支援者誘導部は、
前記被支援者を前記スウィートスポットに誘導する誘導音を提示する誘導音提示部と、
前記被支援者の位置を検出する位置検出部と、
前記位置検出部によって検出された前記被支援者の位置に基づいて、前記被支援者の誘導が完了したか否かを判定する誘導完了判定部とを備え、
前記案内音提示部は、
超音波を発生するパラメトリックスピーカーを備え、
前記被支援者判定部は、前記反応検出部によって検出された前記トリガ音受聴者の反応に基づいて、前記トリガ音受聴者が前記被支援者であるか否かを判定し、
前記トリガ音受聴者が前記被支援者であると前記被支援者判定部が判定した場合に、前記トリガ音提示部が前記判定エリアへのトリガ音の提示を停止して、前記誘導音提示部が誘導音の提示を開始し、
前記被支援者の誘導が完了したと前記誘導完了判定部が判定した場合に、前記誘導音提示部が誘導音の提示を停止して、前記案内音提示部が案内音の提示を開始する、
ナビゲーション装置。
【請求項2】
前記案内音提示部が複数の前記パラメトリックスピーカーを備え、
前記案内音提示部によって前記スウィートスポットに提示される音が立体音響である、
請求項1に記載のナビゲーション装置。
【請求項3】
前記トリガ音提示部は、前記パラメトリックスピーカーよりも低い指向性を有する第1スピーカーを備え、
前記誘導音提示部は、前記パラメトリックスピーカーよりも低い指向性を有する第2スピーカーを備える、
請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項4】
前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとが共用スピーカーである、
請求項3に記載のナビゲーション装置。
【請求項5】
前記トリガ音提示部が提示するトリガ音と、前記誘導音提示部が提示する誘導音とが異なる音である、
請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項6】
前記トリガ音提示部が提示するトリガ音に含まれる単位時間当たりの情報量と、前記誘導音提示部が提示する誘導音に含まれる単位時間当たりの情報量とは、前記案内音提示部が提示する案内音に含まれる単位時間当たりの情報量よりも少ない、
請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項7】
前記トリガ音提示部は、前記反応検出部によって検出された前記トリガ音受聴者の反応に基づいて、提示するトリガ音のパターンまたは音量を変化させる、
請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項8】
前記誘導音提示部は、前記位置検出部によって検出された前記被支援者の位置に基づいて、提示する誘導音のパターンまたは音量を変化させる、
請求項1または請求項2に記載のナビゲーション装置。
【請求項9】
ナビゲーション装置が、案内音による案内を求める者である被支援者が判定エリアに存在するか否かを判定する被支援者判定ステップと、
前記ナビゲーション装置が、前記被支援者を前記判定エリア内の位置から案内音の提示位置であるスウィートスポットに誘導する被支援者誘導ステップと、
前記ナビゲーション装置が、案内音を前記スウィートスポットに提示する案内音提示ステップとを備えるナビゲーション方法であって、
前記被支援者判定ステップには、
前記ナビゲーション装置が、トリガ音を前記判定エリアに提示するトリガ音提示ステップと、
前記ナビゲーション装置が、前記トリガ音提示ステップにおいて提示されたトリガ音に対するトリガ音受聴者の反応を検出する反応検出ステップとが含まれ、
前記被支援者誘導ステップには、
前記ナビゲーション装置が、前記被支援者を前記スウィートスポットに誘導する誘導音を提示する誘導音提示ステップと、
前記ナビゲーション装置が、前記被支援者の位置を検出する位置検出ステップと、
前記ナビゲーション装置が、前記位置検出ステップにおいて検出された前記被支援者の位置に基づいて、前記被支援者の誘導が完了したか否かを判定する誘導完了判定ステップとが含まれ、
前記案内音提示ステップでは、パラメトリックスピーカーが超音波を発生し、
前記被支援者判定ステップでは、前記反応検出ステップにおいて検出された前記トリガ音受聴者の反応に基づいて、前記トリガ音受聴者が前記被支援者であるか否かが前記ナビゲーション装置によって判定され、
前記トリガ音受聴者が前記被支援者であると前記被支援者判定ステップにおいて前記ナビゲーション装置によって判定された場合に、前記トリガ音提示ステップにおける前記ナビゲーション装置による前記判定エリアへのトリガ音の提示が停止され、前記誘導音提示ステップにおける前記ナビゲーション装置による誘導音の提示が開始され、
前記被支援者の誘導が完了したと前記誘導完了判定ステップにおいて前記ナビゲーション装置によって判定された場合に、前記誘導音提示ステップにおける誘導音の提示が前記ナビゲーション装置によって停止され、前記案内音提示ステップにおける案内音の提示が前記ナビゲーション装置によって開始される、
ナビゲーション方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナビゲーション装置およびナビゲーション方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、駅のエスカレータ等に設置されている盲導鈴、音響装置付き信号機、音声ガイドなどが知られている。これらは、対象物からの放送が行われるものであり、「拡散放送型」に分類される。「拡散放送型」のナビゲーション装置によって、盲導鈴、音響装置付き信号機、音声ガイドなどよりも詳しい案内を行う手法が考えられる。
ところで、この手法では、ナビゲーション情報を求める者(被支援者)が存在する位置以外の場所にも、ナビゲーション装置からの音が拡散する。そのため、この手法によって詳しい案内が行われる場合には、ナビゲーション情報が不必要な者に対して騒音を与えることになってしまう。
【0003】
また、被支援者の現在地・姿勢などが各種測位手法によって取得され、音声、振動などによってナビゲーション情報が被支援者に提示される手法が、従来から知られている。これらにおいては、スマートフォン等によるアプリケーションが用いられ、これらは「デバイス装着型」に分類される。「デバイス装着型」のナビゲーション装置によって、詳しい案内を行う手法が考えられる。
ところで、この手法では、被支援者がスマートフォン等を事前に用意しておく必要がある。また、そのアプリケーションも、該当環境に対応している必要がある。つまり、この手法では、汎用性が欠けているために、被支援者の利便性を十分に向上させることができない。
【0004】
また、ステレオヘッドセットなどによって立体音響が提示される手法が、従来から知られている。この手法においては、ヘッドセットが用いられ、この手法は「没入型立体音響」に分類される。「没入型立体音響」による音響提示が行われるナビゲーション装置も考えられる。
ところで、「没入型立体音響」による音響提示が行われるナビゲーション装置では、被支援者の周囲の音が、遮断され、被支援者に伝わらない。そのため、被支援者の安全性を十分に確保できないおそれがある。
また、「没入型立体音響」による音響提示が行われるナビゲーション装置では、被支援者がヘッドセットを事前に用意し、接続などの準備をしておく必要がある。そのため、被支援者の利便性を十分に向上させることができない。
【0005】
また、点字との組み合わせにより地図情報が提示される手法が、従来から知られている。この手法においては、触地図が用いられ、この手法は「触覚提示」に分類される。
ところで、この手法では、被支援者を触地図まで誘導する必要がある。被支援者を触地図まで誘導する手段が存在しない場合には、被支援者の利便性を十分に向上させることができない。
また、この手法では、被支援者が実際に触れる触地図を清潔に維持する必要がある。触地図を清潔に維持する手段が存在しない場合には、被支援者に対する案内を衛生的に行うことができない。
【0006】
特許文献1には、ユーザ位置取得部と、環境情報取得部と、道順においてユーザ位置よりも先行する先行位置に仮想音源を設定した立体音響を生成する音声信号処理部とを備える音声ナビゲーション装置が記載されている。特許文献1に記載された音声ナビゲーション装置は、ユーザを任意の地点から目的地まで誘導する。
ところで、特許文献1に記載された技術では、ユーザが、ユーザ位置を得るための携帯端末と、案内を受けるためのイヤホン等の音響機器とを携帯する必要がある。そのため、特許文献1に記載された技術によっては、ユーザの利便性を十分に向上させることができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2017/018298号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記した問題点に鑑み、本発明は、被支援者の安全性および利便性を確保し、かつ、周囲に拡散する雑音を抑制しつつ、被支援者に対する案内を衛生的に行うことができるナビゲーション装置およびナビゲーション方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様は、案内音による案内を求める者である被支援者が判定エリアに存在するか否かを判定する被支援者判定部と、前記被支援者を前記判定エリア内の位置から案内音の提示位置であるスウィートスポットに誘導する被支援者誘導部と、案内音を前記スウィートスポットに提示する案内音提示部とを備え、前記被支援者判定部は、トリガ音を前記判定エリアに提示するトリガ音提示部と、前記トリガ音提示部によって提示されたトリガ音に対するトリガ音受聴者の反応を検出する反応検出部とを備え、前記被支援者誘導部は、前記被支援者を前記スウィートスポットに誘導する誘導音を提示する誘導音提示部と、前記被支援者の位置を検出する位置検出部と、前記位置検出部によって検出された前記被支援者の位置に基づいて、前記被支援者の誘導が完了したか否かを判定する誘導完了判定部とを備え、前記案内音提示部は、超音波を発生するパラメトリックスピーカーを備え、前記被支援者判定部は、前記反応検出部によって検出された前記トリガ音受聴者の反応に基づいて、前記トリガ音受聴者が前記被支援者であるか否かを判定し、前記トリガ音受聴者が前記被支援者であると前記被支援者判定部が判定した場合に、前記トリガ音提示部が前記判定エリアへのトリガ音の提示を停止して、前記誘導音提示部が誘導音の提示を開始し、前記被支援者の誘導が完了したと前記誘導完了判定部が判定した場合に、前記誘導音提示部が誘導音の提示を停止して、前記案内音提示部が案内音の提示を開始する、ナビゲーション装置である。
【0010】
本発明の一態様のナビゲーション装置では、前記案内音提示部が複数の前記パラメトリックスピーカーを備え、前記案内音提示部によって前記スウィートスポットに提示される音が立体音響であってもよい。
【0011】
本発明の一態様のナビゲーション装置では、前記トリガ音提示部は、前記パラメトリックスピーカーよりも低い指向性を有する第1スピーカーを備え、前記誘導音提示部は、前記パラメトリックスピーカーよりも低い指向性を有する第2スピーカーを備えてもよい。
【0012】
本発明の一態様のナビゲーション装置では、前記第1スピーカーと前記第2スピーカーとが共用スピーカーであってもよい。
【0013】
本発明の一態様のナビゲーション装置では、前記トリガ音提示部が提示するトリガ音と、前記誘導音提示部が提示する誘導音とが異なる音であってもよい。
【0014】
本発明の一態様のナビゲーション装置では、前記トリガ音提示部が提示するトリガ音に含まれる単位時間当たりの情報量と、前記誘導音提示部が提示する誘導音に含まれる単位時間当たりの情報量とは、前記案内音提示部が提示する案内音に含まれる単位時間当たりの情報量よりも少なくてもよい。
【0015】
本発明の一態様のナビゲーション装置では、前記トリガ音提示部は、前記反応検出部によって検出された前記トリガ音受聴者の反応に基づいて、提示するトリガ音のパターンまたは音量を変化させてもよい。
【0016】
本発明の一態様のナビゲーション装置では、前記誘導音提示部は、前記位置検出部によって検出された前記被支援者の位置に基づいて、提示する誘導音のパターンまたは音量を変化させてもよい。
【0017】
本発明の一態様は、案内音による案内を求める者である被支援者が判定エリアに存在するか否かを判定する被支援者判定ステップと、前記被支援者を前記判定エリアから案内音の提示位置であるスウィートスポットに誘導する被支援者誘導ステップと、案内音を前記スウィートスポットに提示する案内音提示ステップとを備えるナビゲーション方法であって、前記被支援者判定ステップには、トリガ音を前記判定エリアに提示するトリガ音提示ステップと、前記トリガ音提示ステップにおいて提示されたトリガ音に対するトリガ音受聴者の反応を検出する反応検出ステップとが含まれ、前記被支援者誘導ステップには、前記被支援者を前記スウィートスポットに誘導する誘導音を提示する誘導音提示ステップと、前記被支援者の位置を検出する位置検出ステップと、前記位置検出ステップにおいて検出された前記被支援者の位置に基づいて、前記被支援者の誘導が完了したか否かを判定する誘導完了判定ステップとが含まれ、前記案内音提示ステップでは、パラメトリックスピーカーが超音波を発生し、前記被支援者判定ステップでは、前記反応検出ステップにおいて検出された前記トリガ音受聴者の反応に基づいて、前記トリガ音受聴者が前記被支援者であるか否かが判定され、前記トリガ音受聴者が前記被支援者であると前記被支援者判定ステップにおいて判定された場合に、前記トリガ音提示ステップにおける前記判定エリアへのトリガ音の提示が停止され、前記誘導音提示ステップにおける誘導音の提示が開始され、前記被支援者の誘導が完了したと前記誘導完了判定ステップにおいて判定された場合に、前記誘導音提示ステップにおける誘導音の提示が停止され、前記案内音提示ステップにおける案内音の提示が開始される、ナビゲーション方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、被支援者の安全性および利便性を確保し、かつ、周囲に拡散する雑音を抑制しつつ、被支援者に対する案内を衛生的に行うことができるナビゲーション装置およびナビゲーション方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態のナビゲーション装置の一例の概略構成などを示す図である。
図2】第1実施形態のナビゲーション装置において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図3】第2実施形態のナビゲーション装置の一例の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のナビゲーション装置およびナビゲーション方法の実施形態について説明する。
【0021】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態のナビゲーション装置1の一例の概略構成などを示す図である。詳細には、図1(A)は第1実施形態のナビゲーション装置1の一例の概略構成を示す図である。図1(B)は第1実施形態のナビゲーション装置1の各構成要素の配置の一例を示す図である。
図1に示す例では、ナビゲーション装置1が、被支援者判定部11と、被支援者誘導部12と、案内音提示部13とを備えている。
被支援者判定部11は、案内音による案内を求める者である被支援者が判定エリア11A(図1(B)参照)に存在するか否かを判定する。被支援者判定部11は、トリガ音提示部11Bと、反応検出部11Cとを備えている。トリガ音提示部11Bは、トリガ音を判定エリア11Aに提示する。トリガ音提示部11Bは、スピーカー11B1を備えている。スピーカー11B1は、トリガ音提示部11Bの電気信号供給部(図示せず)から供給された電気信号を空気の振動に変換し、判定エリア11A内の被支援者などが受聴可能なトリガ音を出力する。
【0022】
反応検出部11Cは、トリガ音提示部11Bによって提示されたトリガ音に対するトリガ音受聴者の反応を検出する。トリガ音受聴者には、被支援者と、被支援者以外の者とが含まれる。反応検出部11Cの一部は、例えばトリガ音に対するトリガ音受聴者のジェスチャーなどの反応を検出するセンサである。反応検出部11Cの一部を構成するセンサの例としては、例えばカメラ、角速度センサ、加速度センサ、磁気センサなどである。
図1に示す例では、トリガ音受聴者(案内音による案内を求める被支援者)は、マーカーを装着する必要がない。この例では、反応検出部11Cが、深度を検出可能なカメラを備えている。反応検出部11Cは、そのカメラが撮影した画像から、トリガ音受聴者の頭、手、腕、脚などの部位を検出する。反応検出部11Cは、トリガ音受聴者の頭、手、腕、脚などの部位がどのように動いているかによってトリガ音受聴者の姿勢を推定する。反応検出部11Cは、機械学習によって、誰がカメラの前に立っても、「両手をあげている」「手を振っている」などといった動作を判定できるようになっている。
他の例では、案内音による案内を求める被支援者が、マーカーを予め装着してもよい。この例では、反応検出部11Cが、複数のカメラを備えている。反応検出部11Cは、光学式モーションキャプチャの技術を用いることによって、マーカーを装着している被支援者の位置および姿勢を記録する。被支援者判定部11は、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音に対する被支援者(マーカーを装着している被支援者)の反応に基づいて、その被支援者が案内音による案内を求めているか否かを判定する。
更に他の例では、案内音による案内を求める被支援者が、角速度センサ、加速度センサなどを予め装着してもよい。この例では、反応検出部11Cが、角速度センサ、加速度センサなどによる検出結果を取得する。反応検出部11Cは、機械式モーションキャプチャの技術を用いることによって、角速度センサ、加速度センサなどを装着している被支援者の位置および姿勢を記録する。被支援者判定部11は、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音に対する被支援者(角速度センサ、加速度センサなどを装着している被支援者)の反応に基づいて、その被支援者が案内音による案内を求めているか否かを判定する。
更に他の例では、案内音による案内を求める被支援者が、磁気コイルを予め装着してもよい。この例では、反応検出部11Cが、判定エリア11A(図1(B)参照)に磁界を発生させる。反応検出部11Cは、被支援者に装着された磁気コイルが磁界内で動くことによって生じる歪みを取得する。反応検出部11Cは、磁気式モーションキャプチャの技術を用いることによって、磁気コイルを装着している被支援者の位置および姿勢を記録する。被支援者判定部11は、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音に対する被支援者(磁気コイルを装着している被支援者)の反応に基づいて、その被支援者が案内音による案内を求めているか否かを判定する。
【0023】
図1に示す例では、被支援者判定部11は、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音受聴者の反応に基づいて、そのトリガ音受聴者が被支援者であるか否かを判定する。
トリガ音受聴者が被支援者であると被支援者判定部11が判定した場合、図1(B)に実線矢印で示すように、被支援者誘導部12は、判定エリア11A内に位置する被支援者を、案内音の提示位置であるスウィートスポット13Aに誘導する。
図1に示す例では、スウィートスポット13Aが、判定エリア11A内に存在するが、他の例では、スウィートスポット13Aが、判定エリア11A外に存在してもよい。
【0024】
図1に示す例では、被支援者誘導部12が、誘導音提示部12Aと、位置検出部12Bと、誘導完了判定部12Cとを備えている。
誘導音提示部12Aは、判定エリア11A内に位置する被支援者をスウィートスポット13Aに誘導する誘導音を提示する。誘導音提示部12Aは、スピーカー12A1を備えている。スピーカー12A1は、誘導音提示部12Aの電気信号供給部(図示せず)から供給された電気信号を空気の振動に変換し、被支援者が受聴可能な誘導音を出力する。
詳細には、トリガ音受聴者が被支援者であると被支援者判定部11が判定した場合に、トリガ音提示部11Bが判定エリア11Aへのトリガ音の提示を停止して、誘導音提示部12Aが誘導音の提示を開始する。
図1(B)に示す例では、トリガ音を出力するスピーカー11B1と、誘導音を出力するスピーカー12A1とが、共用スピーカーである。そのため、トリガ音を出力するスピーカー11B1と誘導音を出力するスピーカー12A1とが別個に設けられる場合よりも、ナビゲーション装置1全体のコストを抑制することができる。
他の例では、トリガ音を出力するスピーカー11B1と、誘導音を出力するスピーカー12A1とが、別個に設けられてもよい。
【0025】
図1に示す例では、位置検出部12Bが、誘導音によって誘導される被支援者の位置を検出する。位置検出部12Bは、カメラを備えている。位置検出部12Bは、そのカメラが撮影した画像から、被支援者の位置を検出する。
図1(B)に示す例では、反応検出部11Cのカメラと、位置検出部12Bのカメラとが、共用カメラである。そのため、反応検出部11Cのカメラと位置検出部12Bのカメラとが別個に設けられる場合よりも、ナビゲーション装置1全体のコストを抑制することができる。
他の例では、反応検出部11Cのカメラと、位置検出部12Bのカメラとが、別個に設けられてもよい。
【0026】
図1に示す例では、誘導完了判定部12Cが、位置検出部12Bによって検出された被支援者の位置に基づいて、スウィートスポット13A(図1(B)参照)への被支援者の誘導が完了したか否かを判定する。
案内音提示部13は、スウィートスポット13Aに位置する被支援者に案内音を提示する。案内音提示部13は、超音波を発生するパラメトリックスピーカー13Bを備えている。
詳細には、スウィートスポット13Aへの被支援者の誘導が完了したと誘導完了判定部12Cが判定した場合に、誘導音提示部12Aが誘導音の提示を停止して、案内音提示部13が案内音の提示を開始する。
図1(B)に示す例では、案内音提示部13が複数(例えば2個)のパラメトリックスピーカー13Bを備えており、ステレオパラメトリックスピーカーを構成する。図1(B)に破線矢印で示すように、案内音提示部13の2個のパラメトリックスピーカー13Bのそれぞれが、スウィートスポット13Aに位置する被支援者に案内音を提示する。つまり、スウィートスポット13Aに位置する被支援者に対して案内音提示部13によって提示される音が、立体音響(奥行きや広がりをもって再生される音)である。そのため、判定エリア11A内に位置する被支援者以外の者に与える騒音を抑制しつつ、スウィートスポット13Aに位置する被支援者に対して詳しい情報を提示することができる。
【0027】
上述したように、被支援者がマーカー、角速度センサ、加速度センサ、磁気コイルなどのいずれも予め装着しない例では、特許文献1に記載された技術のように被支援者が端末装置を携帯する等の事前準備の必要なく、被支援者をスウィートスポット13A(図1(B)参照)に誘導することができる。つまり、事前準備が必要な場合よりも、被支援者の利便性を向上させることができる。
また、上述したように、案内音提示部13がパラメトリックスピーカー13Bを備える例では、特許文献1に記載された技術のように被支援者がイヤホンなどの音響機器を携帯する必要なく、案内音提示部13が提示する案内音による案内を受けることができる。つまり、イヤホンなどの音響機器の携帯が必要な場合よりも、被支援者の利便性を向上させることができる。
また、上述したように、パラメトリックスピーカー13Bが案内音を提示する例では、被支援者に提示される案内音が、案内を求めない者にとって騒音になってしまうおそれを抑制することができる。つまり、被支援者の周囲に拡散する雑音を抑制することができる。
また、パラメトリックスピーカー13Bが案内音を提示する例では、被支援者に対する案内音の提示が、没入型立体音響による音響提示ではないため、被支援者の周囲の音が遮断されない。その結果、被支援者への周囲の音が遮断される場合よりも、被支援者の安全性を向上させることができる。
また、パラメトリックスピーカー13Bが案内音を提示する例では、被支援者が触地図などに接触する必要なく案内を受けることができる。そのため、被支援者に対する案内を衛生的に行うことができる。
すなわち、上述した例では、晴眼者が地図などを見て把握することができる情報と同程度の直感性を持った情報を、パラメトリックスピーカー13Bによって被支援者に提示することができる。パラメトリックスピーカー13Bによって案内音で提示される情報の例としては、例えば判定エリア11Aの周囲の位置関係を示す地図情報などがある。
【0028】
図2は第1実施形態のナビゲーション装置1において実行される処理の一例を示すフローチャートである。
図2に示す例では、ステップS11において、被支援者判定部11は、被支援者が判定エリア11A(図1(B)参照)に存在するか否かを判定する。
次いで、ステップS12において、被支援者誘導部12は、被支援者をスウィートスポット13A(図1(B)参照)に誘導する。
次いで、ステップS13において、案内音提示部13は、案内音をスウィートスポット13Aに提示する。
【0029】
詳細には、図2に示す例では、ステップS11に含まれるステップS11Aにおいて、トリガ音提示部11Bが、トリガ音を判定エリア11Aに提示する。
次いで、ステップS11に含まれるステップS11Bでは、反応検出部11Cは、ステップS11Aにおいて提示されたトリガ音に対するトリガ音受聴者の反応を検出する。
次いで、ステップS11に含まれるステップS11Cにおいて、被支援者判定部11は、被支援者が判定エリア11Aに存在するか否かを判定する。詳細には、ステップS11Cでは、被支援者判定部11は、ステップS11Bにおいて検出されたトリガ音受聴者の反応に基づいて、トリガ音受聴者が被支援者であるか否かを判定する。
被支援者が判定エリア11Aに存在する(トリガ音受聴者が被支援者である)と被支援者判定部11が判定した場合には、ステップS11に含まれるステップS11Dに進む。一方、被支援者が判定エリア11Aに存在しない(トリガ音受聴者が被支援者ではない)と被支援者判定部11が判定した場合には、ステップS11Aに戻る。
ステップS11に含まれるステップS11Dにおいて、トリガ音提示部11Bは、判定エリア11Aへのトリガ音の提示を停止する。
【0030】
次いで、ステップS12に含まれるステップS12Aにおいて、誘導音提示部12Aは、被支援者をスウィートスポット13Aに誘導する誘導音を提示する(誘導音の提示を開始する)。
次いで、ステップS12に含まれるステップS12Bにおいて、位置検出部12Bは、被支援者の位置を検出する。
次いで、ステップS12に含まれるステップS12Cでは、誘導完了判定部12Cは、ステップS12Bにおいて検出された被支援者の位置に基づいて、スウィートスポット13Aへの被支援者の誘導が完了したか否かを判定する。スウィートスポット13Aへの被支援者の誘導が完了したと誘導完了判定部12Cが判定した場合には、ステップS12に含まれるステップS12Dに進む。一方、スウィートスポット13Aへの被支援者の誘導が完了していないと誘導完了判定部12Cが判定した場合には、ステップS12Aに戻る。
ステップS12に含まれるステップS12Dにおいて、誘導音提示部12Aは、誘導音の提示を停止する。
【0031】
次いで、ステップS13において、案内音提示部13が、スウィートスポット13Aの被支援者に案内音を提示する(案内音の提示を開始する)。詳細には、ステップS13において、案内音提示部13のパラメトリックスピーカー13Bが、超音波を発生する。
【0032】
図1(B)に示す例では、トリガ音提示部11Bのスピーカー11B1は、案内音提示部13のパラメトリックスピーカー13Bよりも低い指向性を有する。そのため、トリガ音提示部11Bのスピーカー11B1は、スウィートスポット13Aより広い判定エリア11Aの全域にトリガ音を提示することができる。
図1(B)に示す例では、トリガ音提示部11Bのスピーカー11B1と誘導音提示部12Aのスピーカー12A1とが共用スピーカーであるため、誘導音提示部12Aのスピーカー12A1も、案内音提示部13のパラメトリックスピーカー13Bより低い指向性を有する。その結果、誘導音提示部12Aのスピーカー12A1は、スウィートスポット13Aより広い判定エリア11Aの全域に誘導音を提示することができる。
つまり、図1(B)に示す例では、スウィートスポット13Aよりも広い判定エリア11A内の任意の位置からスウィートスポット13Aに、被支援者を誘導することができる。
トリガ音提示部11Bのスピーカー11B1と誘導音提示部12Aのスピーカー12A1とが別個のスピーカーである例においても、トリガ音提示部11Bのスピーカー11B1が、案内音提示部13のパラメトリックスピーカー13Bより低い指向性を有し、誘導音提示部12Aのスピーカー12A1が、案内音提示部13のパラメトリックスピーカー13Bより低い指向性を有してもよい。
【0033】
図1および図2に示す例では、トリガ音提示部11Bが提示するトリガ音と、誘導音提示部12Aが提示する誘導音とが異なる音である。そのため、図2のステップS11Dにおいて、トリガ音提示部11Bが、判定エリア11Aへのトリガ音の提示を停止し、次いで、ステップS12Aにおいて、誘導音提示部12Aが、誘導音の提示を開始する場合に、被支援者は、被支援者を探す段階(ステップS11D)から、被支援者をスウィートスポット13Aに誘導する段階(ステップS12A)に移行したことを容易に把握することができる。
他の例では、トリガ音提示部11Bが提示するトリガ音と、誘導音提示部12Aが提示する誘導音とが異ならなくてもよい。
【0034】
図1および図2に示す例では、図2のステップS11Aにおいてトリガ音提示部11Bが提示するトリガ音に含まれる単位時間当たりの情報量と、ステップS12Aにおいて誘導音提示部12Aが提示する誘導音に含まれる単位時間当たりの情報量とは、ステップS13において案内音提示部13が提示する案内音に含まれる単位時間当たりの情報量よりも少ない。そのため、低い指向性を有するトリガ音提示部11Bのスピーカー11B1が出力するトリガ音、および、低い指向性を有する誘導音提示部12Aのスピーカー12A1が出力する誘導音が被支援者以外の者に騒音を与えてしまうおそれを抑制しつつ、高い指向性を有する案内音提示部13のパラメトリックスピーカー13Bが出力する案内音によって被支援者に詳しい情報を提示することができる。
他の例では、トリガ音に含まれる単位時間当たりの情報量および/または誘導音に含まれる単位時間当たりの情報量が、案内音に含まれる単位時間当たりの情報量と同等であってもよい。
【0035】
図1に示す例では、トリガ音提示部11Bは、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音受聴者の反応に基づいて、提示するトリガ音のパターン(「パターン」には、単位時間当たりの音の発生回数なども含まれる。)または音量を変化させる。
例えばトリガ音提示部11Bによって提示されたトリガ音に対し、判定エリア11A内の複数のトリガ音受聴者のいずれもが無反応であった場合に、トリガ音提示部11Bは、提示するトリガ音のパターンを変化させる。
このようにすることにより、実際には案内音による案内を求める被支援者が判定エリア11Aに存在するにもかかわらず、被支援者が判定エリア11Aに存在しないと被支援者判定部11に誤って判定されてしまうおそれを抑制することができる。
例えばトリガ音提示部11Bによって提示されたトリガ音に対し、耳を塞ぐ反応を示したトリガ音受聴者が、反応検出部11Cによって検出された場合に、トリガ音提示部11Bは、提示するトリガ音の音量を減少させる。
このようにすることにより、トリガ音提示部11Bが提示するトリガ音が、判定エリア11A内に位置する被支援者以外の者にとって騒音になってしまうおそれを抑制することができる。
他の例では、トリガ音提示部11Bが、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音受聴者の反応に基づいて、提示するトリガ音のパターンまたは音量を変化させなくてもよい。
【0036】
図1に示す例では、誘導音提示部12Aは、位置検出部12Bによって検出された被支援者の位置に基づいて、提示する誘導音のパターンまたは音量を変化させる。
例えば誘導音提示部12Aによって提示された誘導音に対して被支援者が無反応であった場合、誘導音によって提示される情報の意味内容を被支援者が理解できていないおそれがある。そのため、そのような場合に、誘導音提示部12Aは、提示する誘導音のパターンを変化させる。
また、誘導音提示部12Aによって提示された誘導音に対して被支援者が無反応であった場合、被支援者が誘導音を聴き取れていないおそれもある。そのため、誘導音提示部12Aは、提示する誘導音のパターンを変化させる前または後に、提示する誘導音の音量を増加させる。
このようにすることにより、被支援者をスウィートスポット13Aに誘導できない事態になるおそれを抑制することができる。
また、被支援者の位置に応じて、誘導音提示部12Aが提示する誘導音のパターンまたは音量が変化することにより、被支援者は、自分がスウィートスポット13Aに近づいているか否かを容易に把握することができる。具体的には、被支援者がスウィートスポット13Aに近づいている場合に誘導音提示部12Aが提示する誘導音のパターンまたは音量と、被支援者がスウィートスポット13Aに近づいていない場合に誘導音提示部12Aが提示する誘導音のパターンまたは音量とを異ならせることによって、被支援者は、自分がスウィートスポット13Aに近づいているか否かを容易に把握することができる。
【0037】
上述したように、第1実施形態のナビゲーション装置1では、位置検出部12Bによって、被支援者の位置が検出される。また、誘導音提示部12Aが提示する誘導音によって、被支援者がスウィートスポット13Aに誘導される。図1に示す例では、複数のパラメトリックスピーカー13Bが、定位感を有するステレオ音響信号をスウィートスポット13Aに(つまり、ピンポイントに)提示する。また、パラメトリックスピーカー13Bが実際に配置されている位置と、得られる定位感とが異なる。つまり、立体音響が提示可能なスウィートスポット13Aに位置する被支援者の両耳に対して、案内音提示部13によって立体音響信号が再生される。案内音提示部13が立体音響信号を再生するトリガとして、被支援者の特定のジェスチャーが利用されてもよい。
【0038】
第1実施形態のナビゲーション装置1によれば、視覚障害者や、日本語を理解できない外国人旅行者などが直感的に把握したい情報を、複数のパラメトリックスピーカー13Bが出力する案内音(立体音響)によって提示することができる。ナビゲーション装置1が提示する情報には、例えばスウィートスポット13Aの周囲の地図情報などが含まれる。
また、第1実施形態のナビゲーション装置1によれば、被支援者に対して情報がピンポイント再生されるため、周囲に拡散する雑音を抑制することができる。
【0039】
<第1実施形態のナビゲーション装置1の適用例>
第1実施形態のナビゲーション装置1は、例えば街中や駅などに設置されている地図看板に組み込まれる。この適用例では、地図看板が、図1(B)に示す判定エリア11A内に配置される。地図看板に記載された情報を理解しようとする視覚障害者、外国人旅行者などが、第1実施形態のナビゲーション装置1によって支援される被支援者に該当する。視覚障害者、外国人旅行者などが案内音による案内を求めているか否かが被支援者判定部11によって判定される。視覚障害者、外国人旅行者などが案内音による案内を求めている場合には、視覚障害者、外国人旅行者などが、被支援者誘導部12によってスウィートスポット13A(図1(B)参照)に誘導される。次いで、案内音提示部13が提示する地図情報が、立体音響として視覚障害者、外国人旅行者などに可聴される。
他の適用例では、第1実施形態のナビゲーション装置1が、出入り口、トイレなどへの被支援者の誘導に活用されてもよい。
更に他の適用例では、総合的に騒音を低減するために、ゲームセンターや展覧会など複数のユーザが存在する環境において、第1実施形態のナビゲーション装置1によって各ユーザに対するメディア提示が行われる。
【0040】
<第2実施形態>
以下、添付図面を参照しつつ、本発明のナビゲーション装置およびナビゲーション方法の第2実施形態について説明する。
第2実施形態のナビゲーション装置1は、後述する点を除き、上述した第1実施形態のナビゲーション装置1と同様に構成されている。従って、第2実施形態のナビゲーション装置1によれば、後述する点を除き、上述した第1実施形態のナビゲーション装置1と同様の効果を奏することができる。
【0041】
図3は第2実施形態のナビゲーション装置1の一例の概略構成を示す図である。詳細には、図3は、被支援者が求める情報量が図1に示す例よりも少ない場合などに適用されるナビゲーション装置1の一例を示している。
図3に示す例では、図1に示す例と同様に、ナビゲーション装置1が、被支援者判定部11と、被支援者誘導部12と、案内音提示部13とを備えている。被支援者判定部11は、案内音による案内を求める者である被支援者が判定エリア11A(図1(B)参照)に存在するか否かを判定する。また、被支援者判定部11は、トリガ音提示部11Bと、反応検出部11Cとを備えている。トリガ音提示部11Bは、トリガ音を判定エリア11Aに提示する。トリガ音提示部11Bは、スピーカー11B1を備えている。スピーカー11B1は、判定エリア11A内の被支援者などが受聴可能なトリガ音を出力する。反応検出部11Cは、トリガ音提示部11Bによって提示されたトリガ音に対するトリガ音受聴者の反応を検出する。
【0042】
図3に示す例では、図1に示す例と同様に、案内音による案内を求める被支援者が、マーカーを装着する必要がない。反応検出部11Cは、深度を検出可能なカメラを備えている。また、反応検出部11Cは、そのカメラが撮影した画像に基づいて、トリガ音提示部11Bによって提示されたトリガ音に対するトリガ音受聴者(被支援者など)の反応を検出する。被支援者判定部11は、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音受聴者の反応に基づいて、そのトリガ音受聴者が被支援者であるか否かを判定する。
第2実施形態のナビゲーション装置1が適用される他の例では、案内音による案内を求める被支援者が、マーカーを予め装着してもよい。この例では、反応検出部11Cが、複数のカメラを備えている。反応検出部11Cは、光学式モーションキャプチャの技術を用いることによって、マーカーを装着している被支援者の位置および姿勢を記録する。被支援者判定部11は、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音に対する被支援者(マーカーを装着している被支援者)の反応に基づいて、その被支援者が案内音による案内を求めているか否かを判定する。
第2実施形態のナビゲーション装置1が適用される更に他の例では、案内音による案内を求める被支援者が、角速度センサ、加速度センサなどを予め装着してもよい。この例では、反応検出部11Cが、角速度センサ、加速度センサなどによる検出結果を取得する。反応検出部11Cは、機械式モーションキャプチャの技術を用いることによって、角速度センサ、加速度センサなどを装着している被支援者の位置および姿勢を記録する。被支援者判定部11は、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音に対する被支援者(角速度センサ、加速度センサなどを装着している被支援者)の反応に基づいて、その被支援者が案内音による案内を求めているか否かを判定する。
第2実施形態のナビゲーション装置1が適用される更に他の例では、案内音による案内を求める被支援者が、磁気コイルを予め装着してもよい。この例では、反応検出部11Cが、判定エリア11A(図1(B)参照)に磁界を発生させる。反応検出部11Cは、被支援者に装着された磁気コイルが磁界内で動くことによって生じる歪みを取得する。反応検出部11Cは、磁気式モーションキャプチャの技術を用いることによって、磁気コイルを装着している被支援者の位置および姿勢を記録する。被支援者判定部11は、反応検出部11Cによって検出されたトリガ音に対する被支援者(磁気コイルを装着している被支援者)の反応に基づいて、その被支援者が案内音による案内を求めているか否かを判定する。
【0043】
図3に示す例では、図1に示す例と同様に、トリガ音受聴者が被支援者であると被支援者判定部11が判定した場合に、被支援者誘導部12は、判定エリア11A(図1(B)参照)内に位置する被支援者を、案内音の提示位置であるスウィートスポット13A(図1(B)参照)に誘導する。被支援者誘導部12は、誘導音提示部12Aと、位置検出部12Bと、誘導完了判定部12Cとを備えている。誘導音提示部12Aは、判定エリア11A内に位置する被支援者をスウィートスポット13Aに誘導する誘導音を提示する。誘導音提示部12Aは、スピーカー12A1を備えている。スピーカー12A1は、被支援者が受聴可能な誘導音を出力する。詳細には、トリガ音受聴者が被支援者であると被支援者判定部11が判定した場合に、トリガ音提示部11Bが判定エリア11Aへのトリガ音の提示を停止して、誘導音提示部12Aが誘導音の提示を開始する。位置検出部12Bは、誘導音によって誘導される被支援者の位置を検出する。位置検出部12Bは、カメラを備えている。位置検出部12Bは、そのカメラが撮影した画像から、被支援者の位置を検出する。誘導完了判定部12Cは、位置検出部12Bによって検出された被支援者の位置に基づいて、スウィートスポット13Aへの被支援者の誘導が完了したか否かを判定する。
【0044】
図3に示す例では、図1に示す例と同様に、案内音提示部13が、スウィートスポット13A(図1(B)参照)に位置する被支援者に案内音を提示する。詳細には、スウィートスポット13Aへの被支援者の誘導が完了したと誘導完了判定部12Cが判定した場合に、誘導音提示部12Aが誘導音の提示を停止して、案内音提示部13が案内音の提示を開始する。
図1に示す例では、案内音提示部13が、超音波を発生する2個のパラメトリックスピーカー13Bを備えているが、図3に示す例では、案内音提示部13が、超音波を発生する1個のパラメトリックスピーカー13Bを備えている。つまり、案内音提示部13の1個のパラメトリックスピーカー13Bが、スウィートスポット13Aに位置する被支援者に案内音を提示する。そのため、案内音提示部13が2個のパラメトリックスピーカー13Bを備える場合よりも、ナビゲーション装置1全体のコストを抑制することができる。一方、図3に示す例では、被支援者が求める情報量が図1に示す例より少ないため、1個のパラメトリックスピーカー13Bによって、被支援者の要求を十分に満足させることができる。
すなわち、図3に示す例では、判定エリア11A内に位置する被支援者以外の者に与える騒音を抑制しかつナビゲーション装置1全体のコストを抑制しつつ、スウィートスポット13Aに位置する被支援者に対して必要十分な情報を提示することができる。
【0045】
<第1または第2実施形態のナビゲーション装置1の変形例>
図1図3に示す例では、反応検出部11Cの一部を構成するセンサに、LIDAR(Light Detection And Ranging)、RADAR(Radio Detecting and Ranging)などが含まれないが、第1または第2実施形態のナビゲーション装置1の変形例では、反応検出部11Cの一部を構成するセンサに、上述した各種センサに加えて、LIDAR、RADARなどが含まれてもよい。
【0046】
図1図3に示す例では、反応検出部11Cが、被支援者によって所持されている白杖を検出しないが、第1または第2実施形態のナビゲーション装置1の変形例では、反応検出部11Cが、被支援者によって所持されている白杖を検出してもよい。この例では、反応検出部11Cが白杖を検出した場合に、被支援者判定部11は、その白杖を所持するトリガ音受聴者が被支援者であると判定する。
【0047】
図1図3に示す例では、反応検出部11Cが、被支援者によって所持されている識別情報(被支援者であることを示す識別情報)を検出しないが、第1または第2実施形態のナビゲーション装置1の変形例では、反応検出部11Cが、被支援者によって所持されている識別情報を検出してもよい。
識別情報がRF(Radio Frequency)タグである例では、反応検出部11Cが、その識別情報を読み取るリーダ機能を有する。被支援者判定部11は、反応検出部11Cが読み取った識別情報に基づいて、その識別情報を所持するトリガ音受聴者が被支援者であると判定する。
【0048】
図1図3に示す例では、位置検出部12Bがカメラを備えているが、第1または第2実施形態のナビゲーション装置1の変形例では、位置検出部12Bがカメラ以外にLIDAR、RADARなどを備えていてもよい。この例では、位置検出部12Bが、カメラによって撮影された画像から被支援者の位置を検出できない場合などに、LIDAR、RADARなどの機能を用いることによって、被支援者の位置を検出する。
【0049】
図1図3に示す例では、被支援者が、例えば携帯電話などの自己位置情報発信手段を所持していないが、第1または第2実施形態のナビゲーション装置1の変形例では、位置検出部12Bが、カメラによって撮影された画像から被支援者の位置を検出できない場合などに、上述した自己位置情報を用いることによって被支援者の位置を検出してもよい。
【0050】
図1図3に示す例では、パラメトリックスピーカー13Bが提示する案内音に含まれる情報が、例えば地図情報であるが、第1または第2実施形態のナビゲーション装置1の変形例では、パラメトリックスピーカー13BがAR(拡張現実)デバイスの一部として機能してもよい。
【0051】
以上、本発明を実施するための形態について実施形態を用いて説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変形及び置換を加えることができる。上述した各実施形態および各例に記載の構成を適宜組み合わせてもよい。
【0052】
なお、上述した実施形態におけるナビゲーション装置1が備える各部の機能全体あるいはその一部は、これらの機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現しても良い。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。
また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶部のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでも良い。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良く、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであっても良い。
【符号の説明】
【0053】
1…ナビゲーション装置、11…被支援者判定部、11A…判定エリア、11B…トリガ音提示部、11B1…スピーカー、11C…反応検出部、12…被支援者誘導部、12A…誘導音提示部、12A1…スピーカー、12B…位置検出部、12C…誘導完了判定部、13…案内音提示部、13A…スウィートスポット、13B…パラメトリックスピーカー
図1
図2
図3