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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】アクチュエータ
(51)【国際特許分類】
   F16H 25/22 20060101AFI20221109BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20221109BHJP
   B25J 9/00 20060101ALI20221109BHJP
   F16H 25/20 20060101ALI20221109BHJP
   F16H 25/24 20060101ALI20221109BHJP
   F16H 19/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F16H25/22 Z
B25J19/00 H
B25J9/00 B
F16H25/20 E
F16H25/24 L
F16H19/02 D
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018231201
(22)【出願日】2018-12-10
(65)【公開番号】P2020094606
(43)【公開日】2020-06-18
【審査請求日】2021-10-19
(73)【特許権者】
【識別番号】391008515
【氏名又は名称】株式会社アイエイアイ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100147924
【弁理士】
【氏名又は名称】美恵 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100165489
【弁理士】
【氏名又は名称】榊原 靖
(72)【発明者】
【氏名】岩本 剛
【審査官】前田 浩
(56)【参考文献】
【文献】特開平07-276269(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 25/00
B25J 19/00
B25J 9/00
F16H 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケーシングの外部にモータが配置されていると共に、スライド部が直線運動するアクチュエータであって、
回転軸を有するモータと、
前記回転軸の回転によって回転するボールねじナットと、
前記ボールねじナットが螺合された状態で設けられ、前記ボールねじナットとの螺合に基づいて、回転する前記ボールねじナットを直線運動させるボールねじ軸と、
前記ボールねじナットを回転可能に支持すると共に、前記モータが固定され、前記ボールねじナットの直線運動に基づいて、前記モータと共に直線運動するスライド部と、
前記ボールねじ軸を固定した状態で、前記スライド部の一部、前記ボールねじ軸、及び前記ボールねじナットを収容するケーシングと、
前記回転軸の回転運動を前記ボールねじナットに伝達するベルトと、
前記スライド部に設けられている支持部材と、
を備え、
前記ケーシングは、前記ベルトが外部に引き出される開口が形成されているケーシング本体と、前記ベルトに干渉しない状態で前記開口の少なくとも一部を覆うカバーと、を有し、
前記支持部材は、前記カバーを支持する、アクチュエータ。
【請求項2】
前記カバーは、前記スライド部が直線運動する方向である直線運動方向に平行な方向に延設され、
前記カバーの両端は、前記ケーシング本体に支持されている、請求項1に記載のアクチュエータ。
【請求項3】
前記支持部材は、前記カバーを、前記スライド部が直線運動する方向である直線運動方向に平行な方向に直交する第1の撓み方向に支持する、請求項1又は2に記載のアクチュエータ。
【請求項4】
前記カバーには、前記第1の撓み方向に直交する第1の被支持面と、前記第1の被支持面に対向する第2の被支持面と、が形成され、
前記支持部材には、前記第1の被支持面に接する第1の支持面と、前記第2の被支持面に接する第2の支持面と、が形成されている、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項5】
前記支持部材は、前記カバーを、前記平行な方向に直交し、且つ、前記第1の撓み方向に直交する第2の撓み方向に支持する、請求項又はに記載のアクチュエータ。
【請求項6】
前記カバーには、前記第2の撓み方向に直交する第3の被支持面と、前記第3の被支持面に対向する第4の被支持面と、が形成され、
前記支持部材には、前記第3の被支持面に接する第3の支持面と、前記第4の被支持面に接する第4の支持面と、が形成されている、請求項に記載のアクチュエータ。
【請求項7】
前記支持部材において、前記スライド部が直線運動する方向である直線運動方向に直交する断面は、L字形状又はT字形状である、請求項からのいずれか一項に記載のアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アクチュエータに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、アクチュエータ本体のケーシングの外部にモータが取り付けられ、このモータの回転軸の回転に基づいて、スライド部が進退運動するアクチュエータが開示されている。このアクチュエータは、ボールねじ軸及びボールねじナットを有するボールねじと、モータの回転軸とボールねじナットとに掛けられることで、回転軸の回転運動をボールねじナットに伝達するタイミングベルトとを備える。ケーシングには、タイミングベルトがケーシングから外部に引き出される開口が形成されている。タイミングベルトは、アイドラによって、ベルト幅が狭くされて、開口から引き出されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平8-216070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のものは、アイドラを用いているため、ケーシングにアイドラも収容しなければならず、アクチュエータ全体を小型化することが困難である。しかしながら、アイドラを用いない場合、ベルト幅が広くなるため、それに伴って開口が大きくなり、ケーシングの内部に異物が進入するおそれがある。
【0005】
本発明は、上述の事情の下になされたもので、ケーシングの内部への異物の進入を防ぎつつ、小型化を可能にするアクチュエータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述の目的を達成するために、本発明に係るアクチュエータは、
ケーシングの外部にモータが配置されていると共に、スライド部が直線運動するアクチュエータであって、
回転軸を有するモータと、
前記回転軸の回転によって回転するボールねじナットと、
前記ボールねじナットが螺合された状態で設けられ、前記ボールねじナットとの螺合に基づいて、回転する前記ボールねじナットを直線運動させるボールねじ軸と、
前記ボールねじナットを回転可能に支持すると共に、前記モータが固定され、前記ボールねじナットの直線運動に基づいて、前記モータと共に直線運動するスライド部と、
前記ボールねじ軸を固定した状態で、前記スライド部の一部、前記ボールねじ軸、及び前記ボールねじナットを収容するケーシングと、
前記回転軸の回転運動を前記ボールねじナットに伝達するベルトと、
前記スライド部に設けられている支持部材と、
を備え、
前記ケーシングは、前記ベルトが外部に引き出される開口が形成されているケーシング本体と、前記ベルトに干渉しない状態で前記開口の少なくとも一部を覆うカバーと、を有し、
前記支持部材は、前記カバーを支持する
【0007】
前記カバーは、前記スライド部が直線運動する方向である直線運動方向に平行な方向に延設され、
前記カバーの両端は、前記ケーシング本体に支持されていてもよい。
【0009】
前記支持部材は、前記カバーを、前記スライド部が直線運動する方向である直線運動方向に平行な方向に直交する第1の撓み方向に支持していてもよい。
【0010】
前記カバーには、前記第1の撓み方向に直交する第1の被支持面と、前記第1の被支持面に対向する第2の被支持面と、が形成され、
前記支持部材には、前記第1の被支持面に接する第1の支持面と、前記第2の被支持面に接する第2の支持面と、が形成されていてもよい。
【0011】
前記支持部材は、前記カバーを、前記平行な方向に直交し、且つ、前記第1の撓み方向に直交する第2の撓み方向に支持していてもよい。
【0012】
前記カバーには、前記第2の撓み方向に直交する第3の被支持面と、前記第3の被支持面に対向する第4の被支持面と、が形成され、
前記支持部材には、前記第3の被支持面に接する第3の支持面と、前記第4の被支持面に接する第4の支持面と、が形成されていてもよい。
【0013】
前記支持部材において、前記スライド部が直線運動する方向である直線運動方向に直交する断面は、L字形状又はT字形状であってもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ケーシングは、開口を覆うカバーを有する。また、ベルトには、アイドラが用いられていない。このため、本発明は、ケーシングの内部への異物の進入を防ぎつつ、小型化を可能にするアクチュエータを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施形態に係るアクチュエータの斜視図である。
図2】(A)は、アクチュエータの平面図である。(B)は、(A)のB-B断面図である。
図3図2(B)のC-C断面図である。
図4】ケーブルユニット、モータハウジング、プーリカバーが取り外されているアクチュエータの斜視図である。
図5図2(A)のD-D断面における斜視図である。
図6】(A)は、ケーシング及びカバー等を説明するための断面図である。(B)は、カバーの斜視図である。
図7】(A)は、カバーを取り付ける前のケーシングの側面図である。(B)は、カバーを取り付けた後のケーシングの側面図である。
図8】(A)は、アクチュエータの設置状態を説明するための断面図(その1)である。(B)は、アクチュエータの設置状態を説明するための断面図(その2)である。
図9】カバー及び支持部材等を説明するための断面図である。
図10】スライド部及びボールねじナット等の斜視図である。
図11】アクチュエータの動作を説明するための断面図(その1)であり、XZ断面図である。
図12】アクチュエータの動作を説明するための断面図(その2)であり、YZ断面図である。
図13】アクチュエータの動作を説明するための斜視図である。
図14】(A)は、支持部材の効果を説明するための断面図(その1)である。(B)は、支持部材の効果を説明するための断面図(その2)である。
図15】比較例に係るアクチュエータの断面図である。
図16】支持部材の効果を説明するためのアクチュエータの断面図である。
図17】変形例に係るカバー及び支持部材等の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態に係るアクチュエータ1について図を用いて説明する。なお、図中のY軸方向は、スライド部10が進退する直線運動方向D1に平行の方向であり、X軸方向及びZ軸方向は、直線運動方向D1に直交する方向である。
【0017】
アクチュエータ1は、図1図4に示すように、上述のスライド部10に加え、モータユニット20(モータ)と、ボールねじナット30と、ボールねじ軸40と、ケーシング50と、ベルト80と、支持部材90とを備える。
【0018】
モータユニット20は、出力軸21(回転軸)と、モータ本体23と、モータ本体23を収納するモータハウジング22と、モータ本体23を支持するモータブラケット24と、モータブラケット24に支持されるプーリカバー26とを有する。
【0019】
モータ本体23は、例えば、ステッピングモータであり、ロータ、ステータ、エンコーダ等を有している。モータ本体23には、ケーブルユニット25のケーブルを介して商用電源から電力が供給される。ケーブルユニット25はモータ本体23に外部からの電力供給や制御信号の入出力等を行うケーブルとケーブルを保護するケーブルガイドを含み、ケーブルガイドの一端はモータユニット20のプーリカバー26に固定され他端はケーシング50に固定される。モータ本体23に電力が供給されることによって、モータ本体23のロータが回転する。このロータの回転運動は、出力軸21に出力される。これにより、出力軸21は回転する。
【0020】
モータ本体23は、ケーシング50の外部、詳しくは、ケーシング50の+X側の側面に配置され、モータブラケット24を介してスライド部10に取り付けられて固定されている。これにより、モータユニット20は、ケーシング50の+X側の側面上を、スライド部10と共に直線運動方向D1に往復運動する。図4に示すように、このモータブラケット24からは、出力軸21が突出している。出力軸21の先端には、プーリ21aが固定されている。このプーリ21aには、ベルト80が取り付けられる。
【0021】
ボールねじナット30は、図2(B)に示すように、ボールねじ軸40に螺合された状態で、ケーシング50に収容されている。ボールねじナット30は、剛性を有する複数のボールねじ用球体を介してボールねじ軸40に嵌め込まれている。ボールねじナット30には、プーリ30aが固定されている。このプーリ30aには、ベルト80が取り付けられる(図4参照)。
【0022】
ボールねじ軸40は、ボールねじナット30との螺合に基づいて、回転するボールねじナット30を直線運動させる。このボールねじ軸40は、回転運動又は直線運動をしないように固定された状態でケーシング50に収容されている。
【0023】
ケーシング50は、図2及び図4に示すように、直線運動方向D1を長手方向とする略直方体の部材であり、ボールねじナット30及びボールねじ軸40に加えて、スライド部10を収容する。本実施の形態においては、ケーシング50は、ケーシング本体51と、カバー60と、先端側支持端部71と、後端側支持端部72とから構成されている。
【0024】
ケーシング本体51には、ベルト80が外部に引き出される開口51aが形成されている。このケーシング本体51は、図5に示すように、本実施の形態においては、スライド部10を支持するベース52と、天板部53と、側壁部54と、2つのカバー固定部55とから構成されている。
【0025】
ベース52は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成されている。このベース52の一対の側壁の対向する面には、図3に示すように、凹部52a、52bがそれぞれ形成されている。この凹部52a、52bには、溝が形成された鉄製のガイドレール56が取り付けられている。ベース52には、剛性を有する複数のリニアガイド用球体を介して、スライド部10が支持されている。そして、ガイドレール56の溝を、リニアガイド用球体が転動することにより、スライド部10は、ベース52上を円滑に往復運動する。
【0026】
天板部53及び側壁部54は、機械構造部分であるボールねじナット30及びボールねじ軸40を保護する。
【0027】
カバー60は、直線運動方向D1に平行な方向を長手方向として延設されている部材である。カバー60は、図3及び図4に示すように、ベルト80に干渉しない状態で、ケーシング本体51の開口51aの一部を覆うことで、ボールねじナット30及びボールねじ軸40を保護する。カバー60は、例えば、アルミニウムを押出成形することによって形成されている。このカバー60は、図6に示すように、直線運動方向D1に沿って形成されている溝60aを有している。そして、このカバー60には、溝60aの内面として構成されている第1~第4の被支持面61~64が形成されている。第1の被支持面61は、第2の被支持面62に対向する面であり、第1の被支持面61及び第2の被支持面62は、Z軸方向に直交する面である。第3の被支持面63は、第4の被支持面64に対向する面であり、第3の被支持面63及び第4の被支持面64は、X軸方向に直交する面である。また、第1~第4の被支持面61~64は、いずれも直線運動方向D1に平行な面である。また、図7(A)及び図7(B)に示すように、カバー60の-Y側の端部及び+Y側の端部は、2つのカバー固定部55によって支持されている。これにより、カバー60は、ケーシング本体51に両持ち梁状に支持される。カバー60は、ボルトによって、カバー固定部55及びベース52に固定されている。カバー60が開口51aの一部を覆うことで、カバー60は、開口51aを2つの間隙51a-1、51a-2に区分する。間隙51a-1、51a-2は、スライド部10が直線運動する際のベルト80が移動する隙間として機能する。間隙51a-1、51a-2は、スライド部10が直線運動する際のベルト80に干渉しない大きさに構成されている。
【0028】
カバー60は、ケーシング本体51に両持ち梁状に支持されているため、アクチュエータ1の設置状況により、図8(A)に示すように、Z軸方向に平行な第1の撓み方向D2に撓んだり、図8(B)に示すように、X軸方向に平行な第2の撓み方向D3に撓んだりする。なお、図8での第1の撓み方向D2は、第2の撓み方向D3に直交する方向である。
【0029】
先端側支持端部71は、図1に示すように、ケーシング50の先端部を構成する部分である。この先端側支持端部71は、ケーシング本体51の先端側(-Y側)に、ボルト等の留め具によって固定されている。
【0030】
後端側支持端部72は、図4に示すように、ケーシング50の後端部を構成する部分である。この後端側支持端部72は、ケーシング本体51の後端部(+Y側)に、ボルト等の留め具によって固定されている。図2に示すように、後端側支持端部72は、先端側支持端部71と共に、ボールねじ軸40が回転運動又は直線運動をしないように、ボールねじ軸40を固定する。
【0031】
ベルト80は、図3に示すように、出力軸21のプーリ21aとボールねじナット30のプーリ30aとに張力がかかった状態に取り付けられることで、プーリ21aの回転運動をプーリ30aに伝達する。ここで、ベルト80の張力はモータブラケット24に対してモータ本体23をX軸方向へ移動させることで調整されている。ベルト80は、例えば、プーリ21a、30aに形成された歯に係合する複数の歯が形成されたタイミングベルトである。
【0032】
支持部材90は、スライド部10の+X側の側面に設けられている。支持部材90は、カバー60がその自重により撓まないようにカバー60を支持するために用いられる。支持部材90は、例えば、樹脂によって形成され、より好ましくは、ポリアセタール樹脂によって形成されている。この支持部材90には、図9に示すように、スライド部10が直線運動する際に第1~第4の被支持面61~64に接する第1~第4の支持面91~94が形成されている。支持部材90は、そのXZ断面がカバー60の溝60aのXZ断面の形状と同等の形状に形成されている。具体的には、支持部材90は、XZ断面がL字形状となるように形成されている。
【0033】
スライド部10は、図10に示すように、スライド部本体11と、スライド部本体に固定されているリターンキャップ12と、ベアリング13とを有する。
【0034】
スライド部本体11は、Y方向に貫通する貫通孔11aが形成されている部材である。スライド部本体11は、例えば、鉄等の金属によって形成されている。貫通孔11aには、ボールねじナット30が、ベアリング13を介して回転可能に嵌め込み支持されている。スライド部本体11の+X側の面及び-X側の面には、リニアガイド用球体が転動するための溝11cが、貫通孔11aの貫通方向(Y軸方向)に平行に形成されている。また、スライド部本体11には、テーブル等の移動対象物が取り付けられる一対の移動対象物取付部11bが形成されている。移動対象物取付部11bは、図1に示すように、ケーシング50から外部に露出する部分であり、Y軸方向に延びると共に、その上面にねじ穴が形成されている。なお、スライド部10に固定されるモータユニット20は、スライド部10の移動対象物取付部11bが配置される面以外に配置することが好ましい。
【0035】
リターンキャップ12は、図10に示すように、リニアガイド用球体が循環する循環路が内部に形成されている部材である。
【0036】
上述のように構成されたアクチュエータ1の動作について、図11図13を用いて説明する。
【0037】
先ず、モータユニット20のモータ本体23に電力が供給されることによって、図11に示すように、モータ本体23の出力軸21が回転方向R1に回転する。出力軸21が回転方向R1に回転すると、ベルト80によって回転力が伝達されて、出力軸21に接続されているボールねじナット30も回転方向R2に回転する。
【0038】
ボールねじナット30が回転すると、ボールねじ軸40との螺合に基づいて、ボールねじナット30は回転しながら、直線運動方向D1に直線運動をする。ボールねじナット30が、直線運動方向D1に直線運動をすると、図12及び図13に示すように、ボールねじナット30を回転可能に支持しているスライド部10も、ボールねじナット30と共に直線運動方向D1に直線運動をし、モータユニット20もスライド部10と共に直線運動方向D1に直線運動をする。ここで、図13では、ケーブルユニット25は取り外された状態であるが、ケーブルユニット25の一端はモータユニット20と共に直線運動方向D1に移動し、ケーブルユニット25に含まれるケーブルとケーブルガイドはそれぞれモータ本体23に電力供給や制御信号の入出力等、ケーブルの保護を行う。
【0039】
このとき、図3に示すように、ベース52に配置されているガイドレール56の溝と、スライド部本体11の溝11cとの間に配置されたリニアガイド用球体が転がり接触しながら転動する。これにより、スライド部10は、ガイドレール56に案内されつつ円滑に直線運動する。
【0040】
また、スライド部10が直線運動すると、図14(A)及び図14(B)に示すように、スライド部10に固定されている支持部材90は、カバー60の自重により生じる第1の撓み方向D2の撓みを修正しつつ、カバー60の溝60a内を摺動する。以上により、スライド部10の移動が完了する。
【0041】
以上、説明したように、本実施の形態に係るアクチュエータ1においては、ケーシング50は、開口51aを覆うカバー60を有すると共に、ベルト80にはアイドラが用いられていない。このため、図3に示すように、ケーシング50内にアイドラを収容する必要がないため、ケーシング50の幅W1を小さくすることができる。
【0042】
例えば、図15に示す比較例に係るアクチュエータ1Aのように、ベルト80にアイドラ81が用いられているものの場合、ケーシング50の幅W2が大きくなる。この結果、このアクチュエータ1A全体が大型化してしまう。これに対して、本実施の形態に係るアクチュエータ1においては、図3に示すように、ケーシング50内にアイドラを収容する必要がないため、ケーシング50の幅W1を小さくすることができる。この結果、カバー60によりケーシング50の内部への異物の進入を防ぎつつ、アクチュエータ1全体を小型化することができる。
【0043】
また、本実施の形態に係るアクチュエータ1においては、図6に示すように、カバー60を支持する支持部材90を備える。このため、スライド部10の直線運動方向D1における進退移動により、支持部材90が、カバー60の自重により生じる撓みを修正しつつ、カバー60の溝60a内を摺動することができる。このため、アクチュエータ1では、カバー60の撓みにより、カバー60がベルト80や周辺の部材に干渉することを抑制することができる。ひいては、カバー60のベルト80等への干渉に起因して、スライド部10の直線運動方向D1の移動を阻害することを抑制することができる。また、スライド部10の移動距離が大きいアクチュエータ1を構成することも可能になる。
【0044】
また、支持部材90は、図8(A)及び図8(B)に示すように、カバー60を、互いに直交する第1の撓み方向D2及び第2の撓み方向D3に支持する。すなわち、支持部材90は、カバー60を、-Z方向、+Z方向、-X方向及び+X方向の4方向に支持している。このため、アクチュエータ1の設置状況に関わらず、スライド部10の直線運動方向D1における進退移動により、支持部材90が、カバー60の自重により生じる撓みを矯正することができる。仮に、図16に示すように、第1の撓み方向D2及び第2の撓み方向D3以外の方向D4に撓みが生じても、支持部材90は、カバー60の自重により生じる撓みを矯正することができる。
【0045】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明は上記実施の形態によって限定されるものではない。
【0046】
例えば、本実施の形態においては、支持部材90は、XZ断面がL字形状となるように形成されている。しかしながら、これに限られない。支持部材90は、図17に示すように、XZ断面がT字形状となるように形成されていてもよい。また、カバー60を、互いに直交する第1の撓み方向D2及び第2の撓み方向D3に支持できる形状であれば、L字形状又はT字形状以外の形状に形成されていてもよい。
【0047】
また、本実施の形態においては、ケーシング本体51の+X側の側面には、図3に示すように、カバー60が取り付けられている。しかしながら、これに限られない。カバー60は、ケーシング本体51の-X側の側面に取り付けられてもよい。
【0048】
また、本実施の形態においては、図9に示すように、第1~第4の被支持面61~64、第1~第4の支持面91~94は、平坦な面である。しかしながら、これに限られない。支持部材90が、カバー60を第1の撓み方向D2及び第2の撓み方向D3に支持可能であれば、平坦な面でなくてもよい。例えば、第1~第4の被支持面61~64及び第1~第4の支持面91~94の一方が平坦な面であり、第1~第4の被支持面61~64及び第1~第4の支持面91~94の他方が曲面であってもよい。
【0049】
本発明は、本発明の広義の精神と範囲を逸脱することなく、様々な実施形態及び変形が可能とされるものである。上述した実施形態は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【符号の説明】
【0050】
1,1A:アクチュエータ
10:スライド部
11:スライド部本体
11a:貫通孔
11b:移動対象物取付部
11c:溝
12:リターンキャップ
13:ベアリング
20:モータユニット(モータ)
21:出力軸(回転軸)
21a,30a:プーリ
22:モータハウジング
23:モータ本体
24:モータブラケット
25:ケーブルユニット
26:プーリカバー
30:ボールねじナット
40:ボールねじ軸
50:ケーシング
51:ケーシング本体
51a:開口
51a-1,51a-2:間隙
52:ベース
52a,52b:凹部
53:天板部
54:側壁部
55:カバー固定部
56:ガイドレール
60:カバー
60a:溝
61:第1の被支持面
62:第2の被支持面
63:第3の被支持面
64:第4の被支持面
71:先端側支持端部
72:後端側支持端部
80:ベルト
81:アイドラ
90:支持部材
91:第1の支持面
92:第2の支持面
93:第3の支持面
94:第4の支持面
D1:直線運動方向
D2:第1の撓み方向
D3:第2の撓み方向
D4,R1,R2:方向
W1,W2:幅
図1
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