(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】横方向に放出する光導波路および光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法
(51)【国際特許分類】
G02B 6/02 20060101AFI20221109BHJP
G02B 6/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G02B6/02 411
G02B6/00 326
G02B6/02 451
(21)【出願番号】P 2018517473
(86)(22)【出願日】2016-06-15
(86)【国際出願番号】 DE2016100272
(87)【国際公開番号】W WO2016202328
(87)【国際公開日】2016-12-22
【審査請求日】2019-06-14
(31)【優先権主張番号】102015008277.9
(32)【優先日】2015-06-19
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102015119875.4
(32)【優先日】2015-11-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】517445514
【氏名又は名称】クリニカル レイザースエルミア システムズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】CLINICAL LASERTHERMIA SYSTEMS GMBH
【住所又は居所原語表記】Johann-Hittorf-Strasse 8 12489 Berlin (DE)
(74)【代理人】
【識別番号】100100424
【氏名又は名称】中村 知公
(74)【代理人】
【識別番号】100095577
【氏名又は名称】小西 富雅
(72)【発明者】
【氏名】シュワグメイヤー,マヌエラ
(72)【発明者】
【氏名】カナッペ,ヴェレナ
(72)【発明者】
【氏名】アシュケナシ,デイヴィッド
(72)【発明者】
【氏名】カピウス,ハンス-ヨアキム
【審査官】奥村 政人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2008/0158905(US,A1)
【文献】米国特許第06832023(US,B1)
【文献】特開2006-285234(JP,A)
【文献】国際公開第2014/120610(WO,A1)
【文献】特開2003-255157(JP,A)
【文献】特開2001-324634(JP,A)
【文献】特表2005-538392(JP,A)
【文献】特表2009-524082(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 6/00- 6/54
JSTPlus(JDreamIII)
JST7580(JDreamIII)
JSTChina(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光導波路であって、
-光導波路コアと、
-前記光導波路の領域と
を備え、前記光導波路の領域にマイクロモディフィケーションが設けられており、
前記マイクロモディフィケーションの配列が秩序化され、
前記マイクロモディフィケーションは複数の切断面上に配列されており、
前記切断面は、前記光導波路の長手方向に延びる光導波路軸に対して実質的に垂直に位置し、
各切断面上の複数の前記マイクロモディフィケーションは、前記光導波路軸に対して少なくとも2つの異なる距離を有するように配置され、
前記切断面は、前記マイクロモディフィケーションが前記光導波路軸に沿って螺旋状となるように配置され、
前記少なくとも1つの切断面上の前記複数のマイクロモディフィケーション間の距離は前記1つの切断面に隣接する他の切断面上における前記複数のマイクロモディフィケーション間の距離と異なる、光導波路。
【請求項2】
前記1つの切断面上の前記マイクロモディフィケーションの配列は、前記マイクロモディフィケーションの対称配列、前記1つの切断面上のマイクロモディフィケーションの密度、前記マイクロモディフィケーションの大きさ、前記マイクロモディフィケーションの相互の間隔、前記マイクロモディフィケーションの方向付け、を含むパラメータの群、または前記マイクロモディフィケーションの位置および分布、もしくは前記マイクロモディフィケーションの大きさもしくは外形を表すために用いられる他のパラメータの群から選択される1つまたは複数のパラメータからなることを特徴とする、請求項1に記載の光導波路。
【請求項3】
第1切断面上の前記マイクロモディフィケーションの配列が少なくとも1つの別の切断面上で繰り返されることを特徴とする、請求項1または2に記載の光導波路。
【請求項4】
前記第1切断面上の前記マイクロモディフィケーションの配列が繰り返される切断面が前記第1切断面に対してある程度の角度分だけ回転されていることを特徴とする、請求項3に記載の光導波路。
【請求項5】
前記第1切断面と、前記マイクロモディフィケーションの配列が繰り返される前記別の切断面との距離は、単一のマイクロモディフィケーションが前記切断面内に広がっている距離よりも大きいことを特徴とする、請求項3に記載の光導波路。
【請求項6】
前記第1切断面と、該第1切断面の前記マイクロモディフィケーションの配列が繰り返される前記切断面との間に、前記第1切断面とは違う配列を有するマイクロモディフィケーションを有する少なくとも1つのさらに別の切断面が位置することを特徴とする、請求項3または4のいずれか1項に記載の光導波路。
【請求項7】
前記切断面上の前記マイクロモディフィケーションは、前記光導波路軸を中心として回転対称に配置されていることを特徴とする、請求項2~6のいずれか1項または複数項に記載の光導波路。
【請求項8】
マイクロモディフィケーションが配列されている前記光導波路の領域が、前記光導波路軸の方向に少なくとも2つの区分に分けられており、該2つの区分に、秩序化されたマイクロモディフィケーションの異なった方向付けおよび実施形態が導入されていることを特徴とする、請求項1~7のいずれか1項または複数項に記載の光導波路。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光導波路、および光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術において公知の光導波路は、通常、光導波路コア(以下、コアと呼ぶ)と、光導波路外被(以下、外被と呼ぶ)とからなる。その場合、一般的に使用される素材は石英ガラスであるがそれに限定されない。コア内での損失のない光の伝送を保証するために、外被の屈折率はコアの屈折率よりも小さい。そのことによりコアと外被との間の移行部で全反射を利用することができ、それによって光導波路のコア内を光が伝送される。外被は、別のクラッドでさらに覆われていることもある。これに加えて、一般的な光導波路は、外被を包囲することができるいわゆるコーティングおよび/またはバッファをさらに有していることが多い。これらの付加的な層は、通常、これらが概して光導波路の機械的安定性に寄与し、特に、光導波路が破壊されることなくよく曲がること、および外部からの影響に対して光導波路を機械的に保護することを保証するように設計されている。
【0003】
通常、一方の側でコアに入射した光、コア内を略損失なしに伝導された光は、光導波路の他端で光導波路から出射される。コア内での光の光路を変更するために、コアの材料、またはコアと外被との間の境界領域にモディフィケーション(Modifikation)を導入することが公知である。妨害(Stoerung)と表現することができるこのモディフィケーションでの光の回折および/または散乱および/または屈折によって、それにより少なくとも光導波路のコア内を伝送される光の分量の的確な側方出射が達成できるように光路を変更することができる。設けられたモディフィケーションがコアおよび/またはコアと外被との間の境界領域に沿って所定区間にわたって導入された場合、側方出射も同様にこの所定区間にわたって行うことができる。
【0004】
そのように加工されたこれらの領域は、通常、光導波路の一端、または光導波路の中間部に形成されているいわゆるファイバアプリケータ(Faserapplikator)として用いることができる。このいわゆるファイバアプリケータを、実質的に外側から装着される装着物(Aufsaetze)によって実現することも公知である。例えば、光導波路の一端において光導波路に装着されている、水密に閉鎖された装着物が公知である。その場合、光を側方出射するべく光路を変更するために、光導波路の機械的および/または化学的に粗化した(aufgeraute)端部、あるいは散乱粒子を混ぜた液体が用いられ、この液体は液密に形成された装着物内を循環する。このようなアプリケータは、例えば特許文献1、特許文献2、または特許文献3から公知である。
【0005】
例えば特許文献4、特許文献5、または特許文献6から公知であるような、そのような装着されるアプリケータのさらに別の形式は、光導波路の一端に取り付けられる中空体として形成された装着物である。その場合、この中空体には、散乱中心として用いられる粒子の入った支持マトリックス、例えばシリコーンゲルなどが充填されている。その場合、散乱粒子の密度は等分布であってもよいし、端部に向けて連続的に増加してもよい。
【0006】
このように装着されるファイバアプリケータは、たいていポリマー材料から製造されており、それゆえ弾性および機械的負荷に対してよく耐え得るが、実質的に、光導波路と装着されるアプリケータとの2個構成であることに起因する決定的な欠点も有している。例えば、装着されるアプリケータの熱負荷耐性は、通常、光導波路の熱負荷耐性よりもはるかに低い。このようなアプリケータの場合、光導波路から離脱する恐れもある。通常、そのような装着されるアプリケータの異なったメーカは異なる材料を使用しており、それに対応してアプリケータの熱的特性および機械的特性がそれぞれ異なるという結果になり、これらの特性は特定の波長および出力にしか適さない。このことによって、これらのファイバアプリケータが特定用途用に最適化されているためなおさら異なったアプリケータ間での交換が極めて難しくなる。装着されるアプリケータのさらに別の決定的な欠点はその製造プロセスにある。組立は、通常手で行われ、その複雑さから自動化されていない。これに加えて、製造時に気泡または異物が閉じ込められる可能性があり、こうした気泡または異物で光が過度に屈折し、いわゆる不都合なホットスポットが生じ、その結果、不良品発生率が比較的高くなる。
【0007】
特許文献7において、集光されるレーザ放射を使用して透明材料内部にモディフィケーションを導入する方法が記載されている。その際、ナノ秒領域のレーザパルスを用いて、光散乱中心として用いることができるマイクロクラックを透明材料内に発生させる。この方法を光導波路での使用に転用する際に、そのようにして発生させたまさにこのマイクロクラックが問題になる。というのは、このようなクラックは、熱的または機械的負荷がかかると、例えば光導波路が曲がると光導波路を損傷させるか、破損すらさせかねない材料弱化を光導波路内にもたらすだろうからである。さらに、このようなマイクロクラックは、大きさおよび光導波路軸に対する方向付け(Ausrichtung)が制御可能でない。
【0008】
特許文献8から、光導波路に散乱中心として用いられるマイクロモディフィケーションを導入する方法が公知である。ここには、例えば使用されるレーザ放射のパルス幅などの加工パラメータについて詳しくは記載されていないので、発生するマイクロモディフィケーションの詳細な形質はさだかでない。しかし、詳細な形状が光導波路の放出および機械的安定性に決定的な影響を及ぼす。
【0009】
同様に、特許文献9からも、内部を伝送される光を少なくとも部分的に光導波路のコアから外へ散乱させるのに適している散乱手段を有する光導波路を備え、散乱中心の少なくとも一部が回折格子をなすレーザアプリケータが公知である。光導波路の内部に散乱中心を導入するのに適した方法が開示されてはいるが、散乱中心の形質を的確に制御するために必要なパラメータの詳細な設定が記載されていない。
【0010】
特許文献10において、超短レーザパルスを使用して光導波路をマイクロ構造化する方法が記載される。この方法および上述した他の方法は、マイクロ構造に関しても、加工される光導波路に関しても一般的に述べられており、作製されたマイクロ構造の形状、大きさ、および分布/配列についての記述を含むが、熱的および機械的安定性を考慮した特別な形態には言及していない。
【0011】
光導波路が曲がるか、または他の負荷(例えば機械的および/または熱的)がかかり、光導波路の内部に生じる応力が機械的安定性に対して過度な影響を及ぼすと、機械的故障(光導波路の破損)が生じ得ることが公知である。製造過程、特に線引きプロセス(Ziehprozess)ですでに光導波路外被の外側領域にマイクロクラックが発生し得る。コーティング(および/またはバッファ)と外被の外被面との機械的接続により、そのように発生した応力を導出することができ、それによって増幅(いわゆるクラック進行)せず、したがって光導波路の機械的安定性も損なわれない。さらに、光導波路の内部の、例えばコアまたは外被の加工をさらに続けることが光導波路の機械的安定性を減じるという公知の問題がある。それによって、未加工の光導波路ではまだ許容できる応力が、加工された光導波路でクラックを進行させる可能性があり、それによって光導波路の破損が生じ得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】独国特許発明第4137983号明細書
【文献】独国特許出願公開第4211526号明細書
【文献】独国特許出願公開第4316176号明細書
【文献】独国特許出願公開第10129029号明細書
【文献】米国特許第4660925号明細書
【文献】米国特許第5196005号明細書
【文献】独国特許出願公開第4407547号明細書
【文献】独国特許出願公開第19739456号明細書
【文献】欧州特許第1342487号明細書
【文献】国際公開第2004/005982号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の課題は、従来技術における1つまたは複数の欠点を回避または低減することである。特に本発明の課題は、内部を導かれる光を少なくとも部分的に側方へ放出するのに適し、それと同時に可能な限り高い機械的安定性を具備する光導波路を提供することである。さらに、本発明の課題は、光導波路の内部を伝搬する光の少なくともいくつかの部分を側方へ(seitlich)放射するのに適したマイクロモディフィケーションを光導波路に導入する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題は、請求項1の前提部に記載の光導波路を出発点として請求項1の特徴部に記載された特徴により、および請求項11に記載されたマイクロモディフィケーションを導入する方法の特徴により解決される。
【0015】
本発明に係る光導波路は、光導波路コアと、光導波路の遠位端の領域とを備えており、光導波路の遠位端の領域にマイクロモディフィケーションが配列されており、マイクロモディフィケーションの配列が秩序化されている(geordnet)。秩序化されない(ungeordnet)か、または無秩序な(chaotisch)分布に対して、秩序化されたマイクロモディフィケーションの分布では光導波路における応力分散および放出ジオメトリ(Abstrahlgeometrie)を制御することが可能である。秩序化されない分布の場合、よりにもよってピーク応力の領域に応力をさらに高める別のマイクロモディフィケーションが配置されるということが起こるかもしれない。その場合、このことは必然的にこの領域の機械的弱化を生ぜしめ、このことが光導波路を損傷させる可能性がある。マイクロモディフィケーションを秩序化して導入した場合、応力分散を能動的に制御することができる。これによってマイクロモディフィケーションにより機械的負荷を分散させることが可能であり、それによって光導波路が故障する前に、無秩序な分布のマイクロモディフィケーションを有する光導波路と比べて、動作時に高い機械的負荷を受けることができるようにする。さらに、マイクロモディフィケーションの的確な配列によって加工時間を短くすることができる。なぜなら、マイクロモディフィケーションは、光導波路内を伝送される光を側方へ放出することにマイクロモディフィケーションが有効に寄与するところにしか導入されないからである。マイクロモディフィケーションの分布が秩序化されていない場合にはこのことが保証されない。それゆえ、マイクロモディフィケーションの分布が秩序化されていない場合には、同じ側方放出強度を達成するために、マイクロモディフィケーションの配列が秩序化されている場合よりも多くのマイクロモディフィケーションを導入しなければならない。
【0016】
光導波路の好ましい一実施形態において、マイクロモディフィケーションが1つまたは複数の平行の切断面上に配列されている。この場合、第1切断面は光導波路軸に対して垂直に位置し、第1切断面上のマイクロモディフィケーションの配列は、マイクロモディフィケーションの対称配列、第1切断面上のマイクロモディフィケーションの密度、マイクロモディフィケーションの密度、マイクロモディフィケーションの大きさ、光導波路軸に対するマイクロモディフィケーションの距離、マイクロモディフィケーションの相互の間隔、マイクロモディフィケーションの方向付け、を含むパラメータの群、またはマイクロモディフィケーションの位置および分布、もしくはマイクロモディフィケーションの大きさもしくは外形を表すために用いられる他のパラメータの群から選択される1つまたは複数のパラメータによって。
【0017】
光導波路のさらに別の好ましい一実施形態において、第1切断面上のマイクロモディフィケーションの配列が少なくとも1つの別の切断面上で繰り返される。このことには、加工手順を繰り返すことができ、かつマイクロモディフィケーションの特定の配列によってもたらされた応力分散を比較的長い領域にわたって継続できるという利点がある。
【0018】
光導波路のさらに別の特に好ましい一実施形態において、第1切断面上のマイクロモディフィケーションの配列が繰り返される少なくとも1つの別の切断面が第1切断面に対してある程度の角度分だけ回転されている。
【0019】
光導波路のさらに別の特に好ましい一実施形態において、第1切断面と、マイクロモディフィケーションの配列が繰り返される少なくとも1つの別の切断面との距離が単一のマイクロモディフィケーションの広がり(Ausdehnung)よりも大きい。
【0020】
本発明のさらに別の一実施形態において、第1切断面と、マイクロモディフィケーションの配列が繰り返される少なくとも1つの別の切断面との距離が、マイクロモディフィケーションが重なり合わないか、またはビーム通過(Strahldurchgang)を妨げない限り、光導波路の軸方向のマイクロモディフィケーションの広がりよりも小さい。
【0021】
光導波路のさらに別の特に好ましい一実施形態において、第1切断面と、第1切断面のマイクロモディフィケーションの配列が繰り返される少なくとも1つの別の切断面との間に、第1切断面とは違う配列を有するマイクロモディフィケーションを有する少なくとも1つのさらに別の切断面が位置する。
【0022】
光導波路のさらに別の特に好ましい一実施形態において、第1切断面上のマイクロモディフィケーションは、光導波路軸を中心として回転対称に配置されている。
【0023】
光導波路のさらに別の特に好ましい一実施形態において、マイクロモディフィケーションが中空円錐上に配置されており、中空円錐の長軸が光導波路軸上に位置する。
【0024】
光導波路のさらに別の特に好ましい一実施形態において、マイクロモディフィケーションが複数の中空円錐上に配置されており、中空円錐が異なった直径を有しており、中空円錐の長軸が光導波路軸上に位置する。マイクロモディフィケーションは円錐の頂点までの全領域を占める必要がなく、それによりとりわけ切り取られた円錐または螺旋の円錐をなす。
【0025】
光導波路のさらに別の特に好ましい一実施形態において、光導波路軸の方向で光導波路の遠位端の領域が2つの区分に分けられており、該2つの区分のうちの第1の区分が光導波路の遠位端の方に向いており、第2の区分が光導波路の遠位端とは反対の方に向いている。
【0026】
同様に、さらに別の特に好ましい一実施形態において、光導波路の加工された領域を少なくとも2つの区分に分け、該2つの区分において、異なる秩序化がされたマイクロモディフィケーションがそれぞれ異なった方向付けおよび実施形態で導入されている。
【0027】
本発明に係る光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法は、光導波路を1つまたは複数のホルダに固定する工程であり、光導波路および/またはホルダが可動に支持されている、工程と、集光装置によって高エネルギーレーザ放射を焦点位置に集光させる工程であり、焦点位置を光導波路の内部に位置決め可能であり、放射が放射源によってパルスモードで生成され、高エネルギー放射を集光させるための集光装置が可動に支持されている、工程と、光導波路を通じて焦点位置を動かす工程とを包含し、光導波路の内部での焦点位置の運動は、マイクロモディフィケーションの所定の配列を生成するために繰返し周波数(Repetitionsrate)に依存して的確に選択される。
【0028】
光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法は、光導波路の運動を回転運動の形で行うことを包含することが好ましい。
【0029】
光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法の好ましい一実施形態において、焦点位置は、光導波路を通じて連続的に動かされる。
【0030】
光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法のさらに別の好ましい一実施形態において、光導波路を通じた焦点位置の運動は、回転運動と1つまたは複数の並進運動との組み合わせを含む。
【0031】
光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法のさらに別の好ましい一実施形態において、焦点位置の運動は、秩序化された均一な、または規則正しく変化するマイクロモディフィケーションの配列が光導波路に生じるように繰返し周波数と相関関係にある。
【0032】
光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法のさらに別の特に好ましい一実施形態において、マイクロモディフィケーションの配列は、マイクロモディフィケーションの対称配列、切断面上のマイクロモディフィケーションの密度、マイクロモディフィケーションの大きさ、光導波路軸に対するマイクロモディフィケーションの距離、マイクロモディフィケーションの相互の間隔、マイクロモディフィケーションの方向付け、を含むパラメータの群、またはマイクロモディフィケーションの位置および分布、もしくはマイクロモディフィケーションの大きさもしくは外形を表すために用いられる他のパラメータの群から選択される1つまたは複数のパラメータによって。
【0033】
光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法のさらに別の特に好ましい一実施形態において、光導波路への放射の入射方向は、光導波路軸と入射方向とが90°に等しくない角度、好ましい範囲では90°+/-5°に等しくない角度、特に好ましい範囲では90°+/-10°に等しくない角度をなす。
【0034】
光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法のさらに別の特に好ましい一実施形態において、集光装置を付加的に横方向および横断方向に振動させる。
【0035】
マイクロモディフィケーションを導入する方法において、超短レーザパルスを生成することができるレーザ系が用いられることが好ましい。その際、パルス長は、0.01~1000psの範囲であることが好ましく、0.05~10psの範囲であることが特に好ましく、50~500fsであることが極めて好ましい。使用される波長は可視赤外領域から近赤外領域に及び、かつ300~1500nmであることが好ましく、500~532nm、または1000~1064nmであることが特に好ましい。その際、使用されるシングルパルスエネルギーの範囲は、1μJ~100μJであることが好ましく、1~50μJであることが特に好ましい。その結果、焦点領域におけるパワー密度が1012~1015W/cm2になる。
【0036】
使用される、もしくは達成可能なレーザ系の繰返し周波数は、光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する際の加工速度を決める決定的なものである。繰返し周波数が高ければ高いほど、マイクロモディフィケーションの一定の間隔で集光装置を速い速度で移動させることができる。すなわち、繰返し周波数が高いことが基本的に好ましい。しかしその際に依然として注意を払わなければならないのは、加工軸が相応に迅速、かつ正確に移動可能でなければならないということである。さらに、1MHz以上の非常に高い繰返し周波数の場合、光導波路の内部に熱が蓄積する可能性がある。なぜなら、光導波路の被照射体積(bestrahlte Volumen)に取り込まれたエネルギーはもはや十分な速さで排出できないからである。このような熱の蓄積は応力割れを引き起こす可能性があり、それにより光導波路が機械的に不安定になるか、それどころか破壊されることさえあり得る。それゆえ、繰返し周波数は好ましくは1kHz~1MHzの範囲、特に好ましくは1~100kHzの範囲で選択される。
【0037】
超短光パルス(パルス幅≦10ps)の使用には、取り込まれた熱エネルギーの影響範囲が非常に小さいままであり、それによって周辺の材料を損傷することなく、空間的に制限されたマイクロモディフィケーションの導入が可能になるという利点がある。ナノ秒範囲のレーザパルスが使用される場合、シングルパルスのエネルギーは照射された材料のイオン格子へ放出される。その場合、このことは繰返し周波数が過大である場合と全く同様に、照射された材料体積に熱を蓄積させ、ミリメートル範囲であることが十分にあり得る微小な応力割れを形成する。光導波路の材料のこのような損傷は、機械的負荷および/または熱的負荷のもとで光導波路の破損の可能性が生じるまでに機械的安定性を低下させ得る。
【0038】
超短レーザパルスの使用は、周辺の領域を不都合に損傷させることなく、ほんの数マイクロメートルの照射領域のみでの材料特性の的確な変化を可能にする。この場合、周辺の材料のイオン格子へエネルギーを放出するのにパルス幅が十分でなく、熱の蓄積が生じないか、もしくははるかに低減される。したがって、周辺の材料中の応力が非常に小さいときに、非常に小さい構造を生成することができる。可能な限り小さい構造と可能な限り小さい応力とは、光導波路にマイクロモディフィケーションを的確に導入するために必要な条件である。そうした場合にのみ、光導波路の機械的安定性を保証することなく、光導波路材料の的確な構造化が可能である。
【0039】
光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法のために、軸系およびモータシステムを具備する装置が設けられている。この装置は、光導波路を保持するために用いられ、その一方で、この装置は、光導波路を的確に移動させること、回転させることを可能にし、かつ光導波路内でレーザ系の焦点を任意に位置決めすることを可能にする。本発明に係る方法およびこれに関連する本発明に係る装置は、光導波路内のマイクロモディフィケーションの形状、分布、および位置を任意に変えることを可能にする。例えば、マイクロモディフィケーションの位置もしくは形状に対して、直線軸および回転軸の移動速度によって、あるいは繰返し周波数を変化させることによって的確に影響を及ぼすことができる。例えば、いわゆるレーザ内部の「パルスピッキング(pulse picking)」またはプログラム可能なシャッタによってマイクロモディフィケーションの分布を的確に制御することも可能である。光導波路外被の表面に相対するマイクロモディフィケーションの深さには、集光装置を的確に設定することにより焦点を的確に動かすことによって影響を及ぼすことができる。さらに、個々のマイクロモディフィケーションの深さ範囲も、シングルパルスエネルギー、パルス幅、パルス数(シングルパルス、ダブルパルス、マルチパルス)、空間的および/または時間的間隔を相応に選択することによって、あるいは「パルス調整(pulse tailoring)」によっても的確に影響を及ぼすことが可能である。光導波路の中心を通り抜ける集光によって、レーザ系とは反対側で光導波路にマイクロモディフィケーションを導入することも可能である。この場合、集光のために、付加的に、光導波路の曲面のレンズのような効果を利用して、さらに短い深さ範囲を有するマイクロモディフィケーションを生成することが可能である。光導波路軸に相対する集光装置の焦点位置もしくは位置決めもマイクロモディフィケーションの配列に影響を及ぼす。したがって、入射位置を光導波路軸に対する鉛直方向からずらすことによってマイクロモディフィケーションの方向付けを制御することができる。
【0040】
例えばマイクロモディフィケーションの深さ位置、空間的広がり、分布、相互の間隔、位置、方向付け、または形状など、マイクロモディフィケーションを表すことができるあらゆるパラメータが光導波路の機械的安定性に影響を及ぼし得る。マイクロモディフィケーションの空間的広がりが小さければ小さいほど、そしてマイクロモディフィケーションの相互の間隔が大きければ大きいほど、光導波路の機械的安定性に対する影響が少なくなる。しかしその一方で、マイクロモディフィケーションによってもたらされる光の出射強度が、機械的安定性に対する影響とは実質的に逆の挙動を示すわけである。したがって、出射される光強度と光導波路の機械的もしくは熱的安定性との間で妥協を図ることが不可決である。
【0041】
マイクロモディフィケーションの分布に関してはいくつかの実施形態が考えられる。例えば、例えば干渉など、格子効果を回避し、それと同時に出射される光の均一な分散を保証するために、マイクロモディフィケーションの不規則な分布を意図的に生ぜしめることが可能である。その一方で、例えばブラッグ格子または多次元のフォトニック構造などのマイクロモディフィケーションの的確な一様もしくは周期的な分布も考えられる。さらに、マイクロモディフィケーションが導波特性さえも有するラインをなすように、マイクロモディフィケーションを導波路の内部に密に設けることが可能である。このライン構造は任意の長さに設計することができ、光導波路に相対するライン構造の延び方も任意に設計することができ、例えば直線または螺旋またはヘリックス状(helixartig)に形成することも考えられる。
【0042】
上述した加工可能性は、特定のタイプの光導波路に限定されるものではない。加工パラメータを適切に調整することによって、例えば中空ファイバ、屈折率分布型ファイバ(Gradientenindexfaser)、鉛を含まない新種のハイテクガラスファイバ、フォトニック結晶、もしくはフォトニック結晶ファイバなどの任意のタイプの光導波路を加工することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造である。
【
図2】光導波路と集光されるレーザ光の入射の模式図および集光されるレーザ光と光導波路との相対運動の可能性である。
【
図3a】光導波路を加工する加工装置の模式的構造の正面図である。
【
図3b】光導波路を加工する加工装置の模式的構造の側面図である。
【
図4】光導波路をレーザ放射により加工する方法である。
【
図5a】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の光導波路である。
【
図5b】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の切断線A-A、B-B、C-C、D-D、およびE-Eに沿う横断面である。
【
図6a】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の光導波路である。
【
図6b】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の切断線A-A、B-B、C-C、D-D、およびE-Eに沿う横断面である。
【
図7a】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の光導波路である。
【
図7b】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の切断線A-A、B-B、C-C、D-D、およびE-Eに沿う横断面である。
【
図8a】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の切断線A-Aに沿う横断面である。
【
図8b】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の切断線B-Bに沿う横断面である。
【
図8c】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の切断線C-Cに沿う横断面である。
【
図8d】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の切断線D-Dに沿う横断面である。
【
図8e】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の切断線E-Eに沿う横断面である。
【
図8f】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の光導波路軸に沿う横断面である。
【
図9a】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の周期的シーケンスである。
【
図9b】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の周期的シーケンスである。
【
図9c】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造の周期的シーケンスである。
【
図10a】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造のマイクロモディフィケーションの異なった分布および/または配列を有する横断面のシーケンスである。
【
図10b】レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造のマイクロモディフィケーションの異なった分布および/または配列を有する横断面の同じシーケンスを有する領域の周期的シーケンスである。
【発明を実施するための形態】
【0044】
以下、本発明をいくつかの実施例をもとにして詳しく説明する。
【0045】
図1は、加工されるべき光導波路(1)の模式図を示す。光導波路は、マイクロモディフィケーション(5)がほとんどない第1領域(15)と、マイクロモディフィケーション(5)が導入されている光導波路(1)の第2領域(16)とを備えている。この領域(16)は光導波路(1)の遠位端に配置されていることが多い。オプションで、光導波路が、光導波路(1)の端領域から光が出ることを阻止するエンドキャップ(14)を備えていてもよい。このエンドキャップ(14)は、光波を反射することによって、この光波をマイクロモディフィケーションによる側方出射に新たに供する。エンドキャップ(14)に代えて、同様に本発明に係るものであるファイバ端面の適切な直接鏡面化(Verspiegelung)であってもよい。コア(11)は、外被(12)により包囲されており、コーティングおよび/またはバッファ(13)がそれに続く。コア(11)および外被(12)は、通常、石英からなり、異なったドープがされている。外被材料の屈折率はコア材料の屈折率よりも小さく、そのようにすることで光導波路(1)のコアと外被の移行部での全反射によって光を搬送することができる。外被(12)は、いわゆるコーティングおよび/またはバッファ(13)により包囲されており、このコーティングおよび/またはバッファは、光導波路(1)が曲がったときに応力を吸収し、したがって破壊のない屈撓性(Biegsamkeit)を保証するとともに、その下に位置する層への機械的作用に対する保護のために役立つ。光導波路(1)を加工するために、選択されたレーザ波長に対して非透過性であるバッファ(13)が除去されてもよい。それによってレーザ光は、外被(12)を通って集光しさえすればよい。選択されたレーザ波長に対して透過性の、例えばナイロンまたはPTFEなどのバッファ材料の場合、バッファ(13)を貫いて光導波路(1)を加工することができる。このことには、加工される光導波路(1)の領域が光導波路(1)の残りの部分と実質的に同じ大きさ曲げ剛性(Biegefestigkeit)を有するという利点がある。
【0046】
図2においても同じように、マイクロモディフィケーション(5)を導入するために集光されるレーザ光(2)を光導波路(1)へ入射させる原理が示されている。
図2は、光導波路(1)のコア領域にレーザパルスを集光させるために必要とされる集光光学部品(21)と、生成されたマイクロモディフィケーション(5)とを示す。その場合、光導波路(1)にマイクロモディフィケーション(5)を導入するために重要なレンズパラメータが、象徴的に図示された集光光学部品(21)の焦点距離と開口数(NA)である。焦点距離は可能な限り短く選択される。なぜなら、そうすることにより集光点の大きさを最小限にすることができるからである。しかしその場合、焦点距離は、光導波路外被を通ってコア(11)に集光できるようにするために十分な長さでなければならない。好ましい一変形形態では、集光光学部品(21)の焦点距離は1~5mmである。しかし、5mmよりも大きい動作距離を有する「長距離(long-distance)」顕微鏡対物レンズの使用も好ましい実現オプションである。集光光学部品(21)のNAが可能な限り大きいことも有利である。なぜなら、可能な限り大きいNAは集光光学部品(21)の開口角を決定するからである。開口角が大きければ大きいほど焦点領域が短くなる。そうすることによって導入されるモディフィケーション(5)の深さ範囲を最小限にできるので、このことは非常に重要である。開口角がより大きい場合に、発散光線束がより大きくなり、それによってビーム径が集光点の前後で急激に大きくなる。このことは、焦点の前後の領域におけるエネルギー密度を低減し、したがって焦点領域の範囲外での吸収と、損傷の危険をも低減する。
【0047】
特に好ましい一変形形態において、集光光学部品(21)として、NA>0.68の開口数を有する短焦点距離(f<3.1mm)の非球面レンズが使用される。さらに別の実施形態において、NAが大きい特殊な対物レンズ(レンズ系)が使用される。これは、集光されるレーザ放射(22)の波面がこのレーザ放射が当たる材料表面と同じ曲率半径を有するように設計されている。このことには光導波路表面を通って通過する際に、波面を歪めない(波面収差:wave front distortion)という利点があり、このこともまた光導波路(1)の外被における集光性の明らかな改善につながる。
【0048】
図3は、光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する本発明に係る装置(20)の原理図を示す。この装置(20)は、光導波路(1)と集光されるレーザビーム(22)の焦点との間の直線運動を実行するためのモータが付けられた異なる調節装置(33、34)を備えている。運動はリニアモータ(33、34)により空間方向(X、Y、Z)に行われることが好ましい。さらに、装置(20)は、集光光学部品(24)にレーザ光(2)を入射するための構造(23)を備えている。さらに、装置(20)は、光導波路(1)のためのホルダ(32)と、回転させるための回転軸(α、β
1、β
2、β
3)とを備えている。公知の解決策とは違い、集光レンズが動かされるのではなく光導波路(1)のみが動かされる。このことには、加工中に光路において偏光ミラーを移動させるか、もしくは動かす必要がないという利点がある。その結果、装置の整合もしくは調整の手間がはるかに少なくなり、それと同時に構造の長期安定性が改善される。なぜなら、すべての光学素子を光路に固定的に設置できるからである。光路にほんのわずかな不正確さもしくはずれがあるだけでも、例えば偏光ミラーが並進運動する場合に、集光光学部品(24)上でのレーザビーム(2)の位置が変わるだろう。その結果、集光点がX-Y平面上でも、そしてさらに光導波路(1)に相対して傾いた(鉛直でない)ビームが集光光学部品(24)を通過することによってZ方向でも位置が変わる。したがって、再現可能な加工結果を有する長期安定構造の実現は非常に困難であるか、または全く実現できない。
【0049】
Z軸(34)は、X軸およびY軸(33)と回転装置(31)と、光導波路(1)のためのホルダ/ガイド(32)とからなる別の加工構造を支持している。Z軸は、光導波路(1)を集光光学部品(24)に向かって、もしくは集光光学部品から離れる方向に動かすために用いられる。このようにして、光導波路(1)の中心点からの集光点の距離、すなわち深さ位置を変化させることができる。X軸(33)は、光導波路もしくはホルダ/ガイド(32)を集光光学部品(24)の下で光導波路の延在に沿って移動させるために用いられる。すなわち、改変される領域の最大長さは、これらの軸の最大移動経路のみによって決まる。Y軸(33)は、ホルダ/ガイド(32)を集光光学部品(24)の下で光導波路の延在に対して直角に動かす。Y軸は、マイクロモディフィケーション(5)の方向付けのコントロールのために用いられる。なぜならY軸(33)によって、レーザビーム(2)が光導波路表面に可能な限り垂直に当たるように、集光光学部品(24)と光導波路(1)とを互いに方向付けることができるからである。表面に斜めに当たると、焦点領域の歪みにより光路が変化し、それによって方向付けへの影響とならんで、導入されるモディフィケーションの形状および大きさにも影響が及ぼされる。使用されるレーザビーム(20)は、たいてい偏光ミラー(23)を介して集光光学部品(24)に導かれるが、これは強制ではない。加工されるべき光導波路(1)は、ホルダおよびガイド(32)により集光光学部品(24)の前で正確な位置に保持される。このガイドは、加工の領域を空けておくか、または使用されるレーザ放射(2もしくは22)に対して透過性である。回転装置(31)は、光導波路(1)をその長手軸を中心として回転させるために用いられる。そのために、光導波路(1)は締付装置によって回転装置(31)に取り付けられる。その場合、光導波路(1)にねじり応力が過度にかかることを回避するために、光導波路を常にほんの少しずつ、最大で約360度、それに続いて逆方向に最大で約360度回転させる。このことは、例えば規格化された光導波路など、ばら売りの(lose)光導波路区分でも、そしてさらに光導波路(1)を任意の長さにすることができるロール・ツー・ロール方式の製造プロセスでも実現可能である。
【0050】
図4には、本発明の一実施形態において、レーザ放射(2)により光導波路(1)を加工する方法が示されている。まず、光導波路(1)が、ホルダ/ガイド(32)を用いて所定位置に固定される(41)。ホルダ/ガイド(32)は、マイクロモディフィケーションが生成されることになっている光導波路(1)の領域にレーザ放射(2)が到達できるように形成されている。光導波路は、焦点位置に対して3つの空間方向に運動可能であるように支持される。このことは可動の光学部品(24)と光導波路(1)の固定支持とによって、または固定の光学部品(24)と可動に配置された光導波路(1)とによって達成することができる。運動可能性は、3つの空間方向X、Y、Z、光導波路(1)の長手軸を中心とした回転α、および/または1つまたは複数の軸を中心とした回転β
1、β
2、β
3を含む。さらに続く方法ステップ(42)において、レーザビーム(2)が集光される。集光されるレーザビーム(2)は、運動可能性により、マイクロモディフィケーションが導入されることになっている領域全体を通じて焦点の位置が可動であるように位置決めされる。焦点位置は光導波路を通じて所定パターンで動かされる(43)。パルス化されたレーザビームが使用されることが好ましい。焦点位置を一定の速度で光導波路(1)を通じて連続的に動かすことによって、運動方向に等間隔のマイクロモディフィケーション(5)が生じる。光導波路(1)を通じて焦点位置を所定パターンで動かすことによって、20個以上のマイクロモディフィケーション(5)が生成される。本発明の好ましい一実施例において、光導波路(1)を通じて焦点位置を所定パターンで動かすことによって、36個よりも多いマイクロモディフィケーション(5)が、特に好ましくは360個よりも多いマイクロモディフィケーション(5)が生成される。さらに続く方法ステップにおいて、焦点位置の運動が光導波路(5)を通じて所定パターンで繰り返される(44)。
【0051】
さらに別の有利な実施形態において、光導波路(1)を通じて焦点位置を所定パターンで動かすことによるマイクロモディフィケーション(5)の導入が終了した後、光導波路(1)に対する焦点位置を並進運動および/または回転運動によって変化させる。
【0052】
このことは、繰返しステップで、光導波路(1)を通じて焦点位置を所定パターンで動かすことによって光導波路(1)に導入されたマイクロモディフィケーション(5)が、第1ステップにおいて光導波路(1)を通じて焦点位置を所定パターンで動かすことによって光導波路(1)に導入されたマイクロモディフィケーション(5)の光導波路軸(17)の方向でちょうど後ろに位置することを回避するために役立つ。
【0053】
本発明の別の有利な一実施形態において、光導波路(1)を通じて焦点位置を光導波路軸に沿って連続的に動かすことが行われ、それによって、後に切断面に上述の配列の1つが生じる。したがって、複数の切断面内における加工過程が光導波路軸(17)に沿う各通過時に個々の点を生成する工程に分けられる。
【0054】
本発明のさらに別の有利な一実施形態において、光導波路(1)を通じて焦点位置を所定パターンで連続的に動かすことが、さらなる運動によって重畳される。この運動は、例えば、繰返しステップで、光導波路(1)を通じて焦点位置を所定パターンで動かすことによって光導波路(1)に導入されたマイクロモディフィケーション(5)と、第1ステップにおいて光導波路(1)を通じて焦点位置を所定パターンで動かすことによって光導波路(1)に導入されたマイクロモディフィケーション(5)との間にある種の横方向オフセットを生ぜしめるために用いられる振動であってもよい。振動の振幅は、隣接するマイクロモディフィケーション(5)との距離の少なくとも半分であることが好ましい。それによって、本発明の意味でのマイクロモディフィケーションの秩序化された配列が生じる。
【0055】
マイクロモディフィケーション(5)は、光導波路を通る光導波路軸(17)に沿って光を放射した場合に、光がマイクロモディフィケーションによって可能な限り完全に側方へ偏向されるように光導波路(1)に配列される。
【0056】
本発明のさらに別の有利な一実施形態において、光導波路(1)の照射時にレーザビーム(2)の光軸(25)を光導波路(1)を光導波路軸(17)から離れたところに位置決めすることによって、光導波路(1)にマイクロモディフィケーション(5)が導入される。その形状が円形の形状とはかなり異なる、すなわちどちらかと言えば長め形状を有するマイクロモディフィケーション(5)の場合、マイクロモディフィケーション(5)の略閉じた面または線は回転運動でしか達成することができない。
【0057】
本発明のさらに別の有利な一実施形態において、光導波路(1)の照射時にレーザビーム(2)の光軸(25)を90°に等しくない角度(β1、β2、β3)で光導波路(1)に当てることによって、光導波路(1)にマイクロモディフィケーション(5)が導入される。長めの形状を有するマイクロモディフィケーションの場合、マイクロモディフィケーション(5)の向き(Orientierung)と光導波路軸(17)とが鋭角をなす。本発明のさらに別の一実施形態において、マイクロモディフィケーション(5)の向きと光導波路軸(17)との角度(β1、β2、β3)が10°~80°の範囲であり、好ましい実施形態では20°~70°の範囲、特に好ましい実施形態では30°~60°である。
【0058】
図5において、レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造(部分図a))と、切断線A-A、B-B、C-C、D-D、およびE-Eに沿う断面図(部分図b))が示されている。光導波路(1)は、コア領域(11)と外被領域(12)とによって構成されている。本発明に係る方法(40)で照射することによって、光導波路(1)のコア領域(12)にマイクロモディフィケーション(5)が導入される。図示された切断面(A-A、B-B、C-C、D-DおよびE-E)上のマイクロモディフィケーション(5)は、光導波路軸(17)を中心として回転対称に配列されている。マイクロモディフィケーション(5)は、各切断面上で光導波路軸(17)に対して同じ距離を有しており、光導波路軸(17)を中心として円弧上に配列されている。切断面A-Aにおいて、マイクロモディフィケーション(5)は、光導波路(1)の外被(12)に近いところにあり、光導波路軸(17)に対して大きい距離を有している。切断面B-B~E-Eの経過において、光導波路(1)の外被(12)に対するマイクロモディフィケーション(5)の距離が拡大するか、もしくは光導波路軸(17)に対するマイクロモディフィケーション(5)の距離が縮小する。本発明のさらに別の有利な一実施形態において、切断面における円弧上に配列されたマイクロモディフィケーション(5)の数が光導波路軸(17)に対するマイクロモディフィケーション(5)の距離とともに小さくなる。このことは、2つのレーザパルス間の時間インターバルをおよび/または回転速度を変化させることによって達成される。
【0059】
本発明のさらに別の有利な一実施形態において、マイクロモディフィケーションの配列は、ここに図示された切断面のうちの1つ(例えば、A-A)のみにおいて光導波路全体に沿って、もしくは複数の円形の形で互いの中に、すなわちここに図示された切断面を1つの切断面において組み合わせた配列(例えばA AとC Cおよび/またはE E)として生じる。
【0060】
図6は、部分図a)においてレーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造を示す。部分図b)において、切断線A-A、B-B、C-C、D-DおよびE-Eに沿う横断面が示されている。光導波路(1)は、コア領域(11)と外被領域(12)とによって構成されている。本発明に係る方法(40)で、高エネルギー放射を照射することによって、マイクロモディフィケーション(5)が光導波路(1)のコア領域(12)に導入された。図示された切断面(A-A、B-B、C-C、D-DおよびE-E)上のマイクロモディフィケーション(5)は、光導波路軸(17)を中心として回転対称に配列されている。マイクロモディフィケーション(5)の配列の数はどの切断面でも同じである。切断面B-B上のマイクロモディフィケーション(5)の配列は、切断面A-A上のマイクロモディフィケーション(5)の配列に対して光導波路軸(17)を中心としてある程度の角度分だけ回転させてある。マイクロモディフィケーション(5)の配列の回転は、光導波路(1)にマイクロモディフィケーション(5)を導入するための加工インターバル間に光導波路を回転させることによって達成することができる。切断面A-A~E-Eの経過において、個々の切断面B-B~E-Eの回転角度が切断面A-Aに対して大きくなっている。本発明のさらに別の有利な一実施形態において、1つの加工インターバルにおける異なった回転角度を有するA-A~E-Eの切断面の数は、その加工インターバルの最後の切断面E-Eのマイクロモディフィケーション(5)の配列が、回転を続行した場合に再びその加工インターバルの第1切断面A-A上のマイクロモディフィケーション(5)の配列に至るように選択されている。
【0061】
図7において、レーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーションを有する光導波路の模式的構造(部分図a))および切断線A-A、B-B、C-C、D-DおよびE-Eに沿う断面図(部分図b))が示されている。光導波路(1)はコア領域(11)と外被領域(12)とによって構成されている。本発明に係る方法(40)で照射することによって、光導波路(1)のコア領域(12)にマイクロモディフィケーション(5)が導入された。個々の切断面(A-A、B B、C-C、D-DおよびE-E)上のマイクロモディフィケーション(5)は、光導波路軸(17)を中心として回転対称に配列されている。マイクロモディフィケーション(5)は、個々の切断面A A~E-E上で光導波路軸(17)を中心として円弧上に配列されている。円弧の半径は、切断面A-A~E-Eの経過において変化する。さらに、切断面B-B上のマイクロモディフィケーション(5)の配列は、隣接する切断面A-A上のマイクロモディフィケーション(5)の配列に対して光導波路軸(17)を中心としてある程度の角度分だけ回転させてある。切断面A-A上のマイクロモディフィケーション(5)の配列のための加工ステップを、隣接する切断面B-B上のマイクロモディフィケーション(5)の配列のための加工ステップに転用するために、隣接する切断面上にマイクロモディフィケーション(5)を配列する加工ステップ間に、光導波路軸(17)を中心とした回転と光導波路(1)に対する集光されるレーザビーム(22)の並進運動との組み合わせが可能である。
【0062】
本発明のさらに別の有利な一実施形態において、ここに図示された切断面うちのただ1つ(例えばA-A)におけるマイクロモディフィケーションの配列が光導波路全体に沿って、しかし光導波路軸を中心として回転させるか、もしくは切断面を組み合わせて、すなわち、ここに図示された切断面のそれぞれの配列を1つの切断面において組み合わせたもの(例えばA AとC Cおよび/またはE E)として生じる。本発明のさらに別の有利な一実施形態において、マイクロモディフィケーションの配列は、切断面の組み合わせにおける配列を、すなわち、ここに図示された切断面のそれぞれの配列を1つの切断面において組み合わせたもの(例えばA AとC Cおよび/またはE E)として生じるが、この切断面は、個々の切断面の上述のパターンで他のあらゆる切断面と入れ替わる。
【0063】
図8は、光導波路軸(17)に対して垂直に切断した横断面図(部分図a)~部分図e))と、光導波路軸(17)に沿う縦断面(部分図f))とをもとにして本発明のそれぞれ異なった実施形態を示す。これらの実施形態において、レーザ放射により光導波路に誘起されたマイクロモディフィケーション(5)の異なった形態が示されている。部分図a)および部分図b)は、異なる大きさを有するマイクロモディフィケーション(51、52)を示す。マイクロモディフィケーションの位置はそれとは無関係に選択することができる。マイクロモディフィケーション(51、52)の大きさに対して、焦点の大きさおよび/または導入されるエネルギー量によって影響を及ぼすことができる。シングルパルスのエネルギーは1~50μJであってよく、エネルギーの増加とともにマイクロモディフィケーションが大きくなるが、これは光導波路の材料とレーザビームの質とに依存する。さらに、マイクロモディフィケーション(5)を、その境界面同士が接触または重なるように配列することが可能である。焦点の形状および位置決めによってもマイクロモディフィケーション(52、53)の形状に影響を及ぼすことができる。非常に長くのびた焦点の場合、幅に対する長さの比が大きい楕円横断面を有するマイクロモディフィケーション(53)が生じる一方で、焦点長さが短い場合には、幅に対する長さの比が小さいマイクロモディフィケーション(52)が生じる。マイクロモディフィケーション(53、54、55、56)の形状により、マイクロモディフィケーション(5)の秩序化された配列を生成するために考慮に入れることができる別のパラメータが生じる。部分図c)~部分図f)において、マイクロモディフィケーション(53、54、55、56)の異なった長手方向の向きが示されている。部分図c)において、マイクロモディフィケーション(53)はすべて同じ方向に向けられている。このことは、レーザ放射のパルス間に光導波路(1)と焦点位置との間でY方向の横方向の並進運動が行われ、集光されるレーザビーム(22)が光導波路(1)の表面に対して斜めに当たる結果として生じる屈折が、集光されるレーザビーム(22)をβ
1、β
2、β
3の分だけ適切に回転させることによって補償された場合に達成される。部分図d)において、マイクロモディフィケーション(54)の向きが光導波路(1)の光導波路軸(17)を中心として回転対称に配列されている。これは、加工時に、レーザパルス間に光導波路軸(17)を中心として光導波路(1)を回転させることにより達成される。マイクロモディフィケーション(54)は、マイクロモディフィケーション(54)の中心を通ってマイクロモディフィケーション(54)の長手方向に沿う軸が光導波路(1)の光導波路軸(17)と交差するように向けられている。部分図e)において、部分図d)の加工方法に加えて、集光されるレーザ放射(22)を光導波路軸(17)の方向に導入するのではなく、光導波路(1)を光導波路軸(17)に対して横方向にずらしたときのマイクロモディフィケーション(5)の配列および向きが示されている。その場合、マイクロモディフィケーション(55)は、マイクロモディフィケーション(55)の長手方向に沿う軸が、光導波路(1)の光導波路軸(17)と交差しないように向けられている。部分図f)は、マイクロモディフィケーション(56)の中心を通ってマイクロモディフィケーション(56)の長手方向に沿う軸が光導波路軸(17)に対して鋭角(γ)をなすマイクロモディフィケーション(56)を示す。マイクロモディフィケーション(5)の向きと光導波路軸(17)との間の角度(γ)は、10°~80°の範囲、好ましい実施形態では20°~70°の範囲、特に好ましい実施形態では30°~60°の範囲である。角度(γ)は、先端が光導波路(1)の遠位端または近位端へ方向付けられてもよい。マイクロモディフィケーションの配列を光導波路軸(17)に対して回転対称に形成してもよく、光導波路(1)の遠位端および近位端により近く(enger)してもよい。
【0064】
光導波路(1)におけるマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の配列および/または向きのための運動パターンは、空間方向X、Yおよび/もしくはZに沿う並進運動、ならびに/または光導波路軸(17)および/もしくは光導波路軸(17)に対して垂直の軸を中心とした回転を含む群から選択される1つまたは複数の運動を有している。運動パターン内で、光導波路(1)のコア(11)に少なくとも1つのマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)が生成される。運動パターンの第1の実行と、運動パターンの実行の第2および/または後続の繰返しとの間に、空間方向X、Yおよび/もしくはZに沿う並進運動ならびに/または光導波路軸(17)および/もしくは空間軸を中心とした回転を含む群から選択される1つまたは複数の運動が行われる。その場合、第1運動パターンで光導波路(1)にマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)が導入された領域と、第2運動パターンで光導波路(1)にマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)が導入された領域とが重なり合ってもよい。
【0065】
図9は、部分図a)から部分図c)においてレーザ放射により誘起されたマイクロモディフィケーション(5)を有する光導波路(1)の模式的構造を示す。示された切断線A、BおよびCは、集光されるレーザビーム(22)の焦点位置の光導波路(1)を通じた運動パターンの結果、光導波路(1)にマイクロモディフィケーション(5)が導入された領域を特徴的に表している。部分図a)において、光導波路の長さにわたってもう一度繰り返されるマイクロモディフィケーション(5)の配列の、例示的に3つの異なった領域(A、B、C)のシーケンスが示されている。繰返しの数は数回であってもよい。領域(A、B、C)は、マイクロモディフィケーションの異なった配列を有している。その場合、領域(A、B、C)は、マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の大きさ、数、向き、形状、および/または配列を含む群から選択される1つまたは複数の特徴によって定義される。各領域(A、B、C)のマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)は、集光されるレーザ放射(22)の光導波路(1)を通じた焦点位置およびこれと関連する照射の運動パターンによって誘起される。マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の配列が異なる結果として、領域(A、B、C)におけるマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の配列は異なった運動パターンによって作成される。領域(A、B、C)を作製するための運動パターンの第1の実行との間に、3つの空間方向X、YおよびZと、光導波路(1)の長軸を中心とした回転αおよび1つまたは複数の軸を中心とした回転β
1、β
2、β
3とを含む群から選択される焦点位置の1つまたは複数の運動が光導波路(1)に対して行われる。
【0066】
図9の部分図b)には、本発明のさらに別の一実施形態において、光導波路(1)におけるマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の同じ配列の領域(A、B、C)の別のシーケンスが示されている。第1領域(A)が1つである一方で、第2配列を有する2つの領域(B)と第3配列を有する3つの領域(C)とが続く。この加工された光導波路(1)において、特定パターンで配列されたマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)を有する領域がすべて数回にわたって生じるのではない。
【0067】
図9の部分図c)は、マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の同じ配列の領域(A、B、C)の考えられる別のシーケンスを示す。第1領域(A)が、この第1領域(A)と同じでない各領域(A、B、C)に続く一方で、第2および第3領域(B、C)は交互に第1領域(A)に続く。
【0068】
本発明の他の実施形態は、任意の数学的系列および順序で示すことができる。その場合、本発明のさらに別の一実施形態において、本発明に係る光導波路(1)は、マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の異なった配列を有する3よりも多い数の領域(A、B、C)を備えている。本発明の好ましい一実施形態において、光導波路(1)は、5よりも多い数の領域(A、B、C)を備えており、特に好ましい一実施形態において、様々に配列されたマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)を有する10よりも多い数の領域(A、B、C)を備えている。
【0069】
図10は、部分図a)および部分図b)において集光されるレーザ放射(22)により誘起されたマイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)を有する光導波路(1)の模式的構造を示す。部分図a)において、マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の異なった配列を有する複数の領域(A、B、C、D、E、F、G、H、I、J)を有するシーケンスが示されている。マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の異なった配列を有する領域(A、B、C、D、E、F、G、H、I、J)のこのシーケンスは、n回繰り返される(部分図b))。この場合、nとmは自然数である。mは、マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の異なった配列を有する複数の領域(A、B、C、D、E、F、G、H、I、J)のシーケンスの繰返しの数を表す。
【0070】
本発明の好ましい一実施形態において、マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の異なった配列を有する複数の領域(A、B、C、D、E、F、G、H、I、J)を有するシーケンスの繰返しの数は、5よりも大きく、特に好ましい実施形態では20よりも大きい。
【0071】
本発明のさらに別の一実施形態において、マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の異なった配列を有する複数の領域(A、B、C、D、E、F、G、H、I、J)を有するシーケンスの繰返しの配列は、その配列の方向付けが交互になっている。
【0072】
本発明のさらに別の一実施形態において、マイクロモディフィケーション(5、51、52、53、54、55、56)の異なった配列を有する複数の領域(A、B、C、D、E、F、G、H、I、J)を有するシーケンスの繰返しの配列は、その配列が交互の方向付けと同じ向きの方向付けとの混合形態である。
【符号の説明】
【0073】
1 光導波路
11 光導波路のコア
12 光導波路の外被
13 光導波路のコーティング、バッファおよび/または他の層
14 エンドキャップ
15 光導波路の近位端
16 光導波路の遠位端
17 光導波路軸
2 レーザビーム
20 光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する装置
21 象徴的に示された集光光学部品
22 集光されるレーザビーム
23 偏光ミラー
24 集光光学部品
25 光軸
31 回転装置
32 光導波路のホルダ/ガイド
33 横方向の位置決め装置
34 垂直方向の位置決め装置
α 光導波路軸を中心とした光導波路の回転
β1、β2、β3 レーザビームの入射方向の回転
40 光導波路にマイクロモディフィケーションを導入する方法
41 ホルダに光導波路を取り付ける工程
42 レーザ放射を焦点位置に集光する工程
43 光導波路を通じて焦点位置を所定パターンで動かす工程
44 光導波路を通じて焦点位置を所定パターンで動かす工程の繰返し
5、51、52、53、
54、55、56 マイクロモディフィケーション
γ 光導波路軸に対するマイクロモディフィケーションの長手方向の方向付けの角度
A、B、C、D、E 光導波路を通る半径方向の切断面、傾斜してもよい
F 光導波路を通る軸方向の切断面
A、B、C、D、
E、F、G、H、J マイクロモディフィケーションが配列された光導波路の領域
m マイクロモディフィケーションの異なった配列を有する複数の領域を有するシーケンスの繰返しの数
n マイクロモディフィケーションの異なった配列を有する複数の領域を有するシーケンスの繰返しの最大数