IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社文溪堂の特許一覧

特許7173551学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラム
<>
  • 特許-学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラム 図1
  • 特許-学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラム 図2
  • 特許-学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラム 図3
  • 特許-学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラム 図4
  • 特許-学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラム 図5
  • 特許-学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/20 20120101AFI20221109BHJP
【FI】
G06Q50/20 300
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019028430
(22)【出願日】2019-02-20
(65)【公開番号】P2020135447
(43)【公開日】2020-08-31
【審査請求日】2021-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000154613
【氏名又は名称】株式会社文溪堂
(74)【代理人】
【識別番号】100088616
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 一平
(74)【代理人】
【識別番号】100154829
【弁理士】
【氏名又は名称】小池 成
(74)【代理人】
【識別番号】100132403
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 儀雄
(74)【代理人】
【識別番号】100198856
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 聡
(72)【発明者】
【氏名】石原 直人
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 将之
【審査官】山内 裕史
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-048519(JP,A)
【文献】特開2000-315233(JP,A)
【文献】特表2010-535351(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
横軸または縦軸のいずれか一方に一週間に相当する時間軸を配し、前記横軸または縦軸の残余の他方に一日の授業時間数を配し、かつ、前記横軸及び前記縦軸の交差する交差枠の中に、実施予定の教科及び当該教科における学習単元の内容を入力及び表示可能な週間指導計画表の作成及び編集を行う週間編集機能、及び、前記週間指導計画表と互いに連携可能に形成され、一年間を通じた前記教科毎の学習単元の内容を配した年間指導計画表の作成及び編集を行う年間編集機能を有する計画表編集手段を備えた編集用端末を具備し、前記週間指導計画表及び前記年間指導計画表に基づく学習計画を支援する学習計画支援システムであって、
前記編集用端末は、
前記交差枠の中に配された前記学習単元の学習指導を実施後の指導後情報の入力を受け付ける指導後情報入力受付手段と、
受け付けた前記指導後情報を、前記学習単元と関連付けて記憶する指導後情報記憶手段と、
受け付けた前記指導後情報を、前記週間指導計画表と連携して予め作成された前記年間指導計画表に反映させ、更新する年間指導計画表更新手段と、
更新された前記年間指導計画表に基づいて、前記学習単元毎に前記指導後情報を集約し、表示する集約表示手段と
を具備する学習計画支援システム。
【請求項2】
前記編集用端末は、
前記指導後情報の内容を分類する分類タグを付与するタグ付与手段を更に具備し、
前記指導後情報記憶手段及び/または前記集約表示手段の少なくともいずれか一方は、
付与された前記分類タグに基づいて、前記学習単元と関連付けた記憶、及び/または、前記学習単元毎の集約に係る処理を実施する請求項1に記載の学習計画支援システム。
【請求項3】
前記編集用端末は、
前記指導後情報の入力を受け付けると、前記交差枠の中に表示された文字の文字色及び/または当該文字の背景の背景色の少なくともいずれか一方の表示色を変化させる表示色変化手段を更に具備する請求項1または2に記載の学習計画支援システム。
【請求項4】
前記編集用端末は、
前記週間指導計画表に並設して前記学習単元の進捗状況を示す進捗表を表示する進捗表表示手段を更に具備する請求項1~3のいずれか一項に記載の学習計画支援システム。
【請求項5】
前記編集用端末は、
前記交差枠の中を更に複数に分割して表示する分割表示手段と、
分割された前記交差枠の中の分割表示幅の比率に応じて、実施予定または実施済の前記教科の授業時数を算出する授業時数算出手段と
を更に具備する請求項1~4のいずれか一項に記載の学習計画支援システム。
【請求項6】
前記編集用端末は、
前記週間指導計画表に基づいて、一日に相当する簡易指導計画表を作成し、表示する簡易指導計画表表示手段を更に具備し、
前記指導後情報入力受付手段は、
表示された前記簡易指導計画表を介して前記指導後情報の入力を受け付ける請求項1~5のいずれか一項に記載の学習計画支援システム。
【請求項7】
横軸または縦軸のいずれか一方に一週間に相当する時間軸を配し、前記横軸または縦軸の残余の他方に一日の授業時間数を配し、かつ、前記横軸及び前記縦軸の交差する交差枠の中に、実施予定の教科及び当該教科における学習単元の内容を入力及び表示可能な週間指導計画表の作成及び編集を行う週間編集機能と、前記週間指導計画表と互いに連携可能に形成され、一年間を通じた前記教科毎の学習単元の内容を配した年間指導計画表の作成及び編集を行う年間編集機能とを備える編集用端末を利用し、前記週間指導計画表及び前記年間指導計画表に基づく学習計画を支援するための学習計画支援プログラムであって、
前記交差枠の中に配された前記学習単元の学習指導を実施後の指導後情報の入力を受け付ける指導後情報入力受付手段、受け付けた前記指導後情報を、前記学習単元と関連付けて記憶する指導後情報記憶手段、受け付けた前記指導後情報を、前記週間指導計画表と連携して予め作成された前記年間指導計画表に反映させ、更新する年間指導計画表更新手段、及び更新された前記年間指導計画表に基づいて、前記学習単元毎に前記指導後情報を集約し、表示する集約表示手段として、編集用端末を機能させる学習計画支援プログラム。
【請求項8】
前記指導後情報の内容を分類する分類タグを付与するタグ付与手段、及び付与された前記分類タグに基づいて、前記学習単元と関連付けた記憶、及び/または、前記学習単元毎の集約に係る処理を実施する前記指導後情報記憶手段及び/または前記集約表示手段の少なくともいずれか一方として、前記編集用端末を更に機能させる請求項7に記載の学習計画支援プログラム。
【請求項9】
前記指導後情報の入力を受け付けると、前記交差枠の中に表示された文字の文字色及び/または当該文字の背景の背景色の少なくともいずれか一方の表示色を変化させる表示色変化手段として、前記編集用端末を更に機能させる請求項7または8に記載の学習計画支援プログラム。
【請求項10】
前記週間指導計画表に並設して前記学習単元の進捗状況を示す進捗表を表示する進捗表表示手段として、前記編集用端末を更に機能させる請求項7~9のいずれか一項に記載の学習計画支援プログラム。
【請求項11】
前記交差枠の中を更に複数に分割して表示する分割表示手段、及び分割された前記交差枠の中の分割表示幅の比率に応じて、実施予定または実施済の前記教科の授業時数を算出する授業時数算出手段として、前記編集用端末を更に機能させる請求項7~10のいずれか一項に記載の学習計画支援プログラム。
【請求項12】
前記週間指導計画表に基づいて、一日に相当する簡易指導計画表を作成し、表示する簡易指導計画表表示手段、及び表示された前記簡易指導計画表を介して前記指導後情報の入力を受け付ける前記指導後情報入力受付手段として、前記編集用端末を更に機能させる請求項7~11のいずれか一項に記載の学習計画支援プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラムに関する。更に詳しくは、一年間を通じた学習指導の計画に係る年間指導計画表と、更に具体的な学習指導の計画に係る週間指導計画表とを連携して管理し、小学校や中学校における学習計画を支援する学習計画支援システム、及び、当該支援システムをコンピュータ等の端末を用いて実行するための学習計画支援プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、小学校や中学校では、学習指導要領に基づいて規定されたそれぞれの教科の年間授業時間数(「標準時数」)を充足して実施するために、当該年度の開始前に学年毎及び教科毎に年間指導計画を立案し、これを表形式にまとめた年間指導計画表の作成が行われている。
【0003】
年間指導計画表を作成することで、学期始めの4月から翌年の3月に至る一年間を通じた学習指導の概略を把握し、標準時数を確実に充足した授業を実施することができる。また、当該年間指導計画表に基づいて、更に具体的な学習単元の内容や授業の実施予定等の学習指導の計画を立案した週間指導計画表が作成される。ここで、週間指導計画表は、“週案簿”とも呼ばれることもある。
【0004】
すなわち、年間指導計画表及び週間指導計画表の二つの指導計画表を作成することで、学習指導の内容の全体像の把握及びより具体的な学習指導の内容の把握が可能となる。なお、年間指導計画表及び週間指導計画表の間に、例えば、月単位の学習指導の計画や学期単位の学習指導の計画等を立案した月間指導計画表或いは学期指導計画表等が適宜作成されることもある。
【0005】
ここで、年間指導計画表の作成は、1年を通じた学習計画の根幹をなすものであり、例えば、学習指導の経験が豊富な校長、教頭、及び学年主任等が作成担当者となることが多い。一方、週間指導計画表は、上記作成された年間指導計画表を基準とし、実際にそれぞれのクラスで授業を行う教師(クラス担任)等が主な作成担当者となる。
【0006】
年間指導計画(年間指導計画表)は、それぞれの教科毎に採択された教科書に含まれる内容(学習単元)に基づいて主に作成及び決定される。一般的には教科書に掲載された学習単元の記載順序に従って、そのまま小学校等においても学習指導が行われることが多かった。これらの教科書の掲載順を基本とした上で、作成担当者の長年の経験等に基づいて、各学習単元に割り振る時間数や学習単元の履修順序が決定される。
【0007】
例えば、特に重要な学習単元については、通常よりも多くの授業時間数を与えたり、学習効果等を高めるために教科書の記載順序とは異なる履修順序となるように学習単元の履修時期を変更したりすることがある。更に、小学校や中学校では、通常の授業以外に、運動会や修学旅行、或いは遠足といった各種のイベント(学校行事)が実施されることが多く、その実施時期及び学校行事の準備のために、通常の授業時間割に代えて、変則的な時間割で授業がされることがあり、これらのイベントを考慮して年間指導計画表が作成されることがあった。
【0008】
一方、週間指導計画表は、各教科の学習単元の詳細な実施予定を計画したものであり、例えば、月曜日から金曜日までの間で実施される行事の予定、朝の時間(朝学習)の内容、1時限から6時限までに実施する教科、及び当該教科の内容(学習単元)について表形式でまとめたものである。クラス担任等の実際に授業を行う教師は、該当する週に実施する予定の教科や学習単元の内容を確認したり、或いは、学習指導を行った後の実施済の学習単元等をチェックし、進捗状況の確認をしたりすることに主に週間指導計画表を用いている。
【0009】
なお、週間指導計画表には、進捗状況のチェックとともに、実際に授業を行った際に気になった点及び授業内容の詳細等の記録を記入するための記入欄(メモ欄)が設けられていることもある。これにより、実際の授業を通じて気になった点等をその都度記入し、授業の“振り返りの記録”として残すことができるようになっている。そして、この振り返りの記録に基づいて、次の授業等の学習指導の内容の改善を図ったり、次年度に同じ学習単元をする際の参考としたりすることができる。
【0010】
また、次年度以降に年間指導計画表や週間指導計画表を立案及び作成する際の有効な情報として使用することができる。このように、週間指導計画表は、実際に授業を行う教師にとって、ほぼ毎日その内容を確認したり、チェックしたり、或いは記録等を記入したりするものであり、学習指導を行う上で不可欠なものである。
【0011】
上記の通り、年間指導計画表は、予め定められた学校行事等のスケジュールを考慮して作成されたものであり、学期始めに作成した後は当該年間指導計画表を直接変更及び更新する機会はほとんどない。すなわち、年度途中に年間指導計画表を能動的に更新する可能性は低い。一方、週間指導計画表は、例えば、台風等の自然災害やインフルエンザ等による学級閉鎖等の突発的な事象に対応するため、或いは教科間の進捗状況等を揃えるためにその都度変更や更新することが行われる可能性があった。
【0012】
上述したように、週間指導計画表の場合、授業後の振り返り等の記入がなされるものであり、週間指導計画表を作成した後も適宜情報やデータが追加される可能性があった。そのため、週間指導計画表の更新の影響により、年間指導計画表を更新しなければならない可能性があり、これらの調整作業が煩雑となることがあった。特に、当該週で実施される授業時数の変更により、年間指導計画表に規定した進捗予定がずれる可能性があった。
【0013】
そこで、年間指導計画表及び週間指導計画表の立案及び作成を容易にし、それぞれの作成担当者の作業負担を軽減するとともに、週間指導計画表の更新に伴う標準時数の過不足等の整合性のチェックを確実に行うための年間指導計画の作成及び立案のための指導計画管理装置(特許文献1参照)や授業案立案支援システム及び授業案立案プログラム(特許文献2参照)等が既に提案されている。これらの装置やシステム等を利用することで、これまでは主に手作業で行っていた年間指導計画表の作成作業をある程度まで自動化することができ、特に授業時数等の整合性チェックに要する作業時間を短縮化する効果を奏することができる。
【0014】
例えば、特許文献1の指導計画管理装置の場合、「1時間ごと(1時間単位)に指導すべき内容」、「月・学期」、「学習する単元ごとの内容事項」、「1時間ごとの指導する内容に合致したドリルのページ」、「授業時数に対する指導計画の合計時数の過不足と達成率」、「ワークテストの実施時数」等の複数の情報を記憶する“年間指導計画情報記憶部”を備え、更に「1週間単位の指導計画案」、「1コマの授業内に複数の教科の指導計画を配置する」、「授業時数の遅れ」、「授業内容(進度)の遅れ」、「ドリルの実施の遅れ」、「授業内容に合ったドリルの種類」等を記憶する1週間単位の指導計画案情報記憶部とを備えて構成されている。このように、各種情報を表示部に表示することで、教師は1年間を見通した有効かつ効率的な年間指導計画の作成を容易にすることができる。更に同時に作成される1週間単位の指導計画案情報(週間指導計画)の内容に基づいて、年間指導計画に対する授業時数(標準時数)の遅れ等の進捗を容易に把握することができ、日々に学習指導に反映させ、遅れを取り戻すことができる。
【0015】
一方、特許文献2の授業案立案支援システム等の場合、予めデータベースに格納されている各教科についての統一的な到達目標データ等を読み込み、週案データ及び日案データの作成を容易に行うことができる。また、学習指導の進捗に合わせて週案データまたは日案データの一方を書き換えることで、他の授業案や学習指導計画に連動して情報の更新をすることができる。その結果、学習指導の進捗状況に合わせた各データの作成、修正を容易にすることができ、これらの作成に係る作業負担を軽減することができる。また、日々の学習指導において、到達目標、評価規準、年間の学習指導計画等に基づいた、授業内容や行動内容等の必要な情報を確認することができ、教師による授業運営をスムーズに行うことができる。
【0016】
ここで、上記のような「指導計画管理装置」或いは「授業案立案支援システム」等は、単一機能のソフトウェアとして提供されている他に、例えば、児童の成績や得点を管理したり、通知表を作成したりする機能を有する成績管理システム及び成績管理プログラムの一機能として提供されることがあった。また、上記に示したように、年間指導計画表及び週間指導計画表は、互いに密接した関係を有するものであり、週間指導計画表において新たに入力または更新されたデータを、年間指導計画表に連携して記憶することができる。これにより、週間指導計画表の一部について変更した内容がほぼリアルタイムで年間指導計画表に反映させることができるため、それぞれの計画表毎に入力を繰り返す必要がなく、週間指導計画表を適宜修正しながら運用することで,次年度の年間指導計画を実態に即したものとして同時に作成できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2016-192052号公報
【文献】特開2016-048519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
しかしながら、上記のような指導計画管理装置等を使用した学習計画の支援において、下記に掲げる不具合を生じる可能性があった。すなわち、それぞれ作成された年間指導計画表及び週間指導計画表との間でそれぞれのデータの相互の連携等は行われるものの、教科毎の標準時数の充足等のチェックに限定されることが多かった。そのため、週間指導計画表に記入された授業の振り返り等の情報を集約し、管理することはほとんどなかった。
【0019】
したがって、週間指導計画表に記入された授業に関する情報を後日改めて確認しようとした場合であっても、単に日付を遡ってその内容を探し出すなどの手間がかかることがあった。そのため、それぞれの学習単元毎に集約してメモの内容をまとめて閲覧表示することができなかった。その結果、次年度の授業内容を改善したり、当該メモを参考に年間指導計画の立案を検討したりする場合であっても、個々の内容を確認しながら行う必要があり、閲覧者や年間指導計画の作成担当者に過大な負担を課すことがあった。
【0020】
加えて、当該メモの内容は、それぞれの授業の振り返り等であり、学習単元やその内容に基づいて分類されていることがなく、それぞれのメモや学習単元間のつながりや関連性が明らかになっていないことが多かった。そのため、週間指導計画表に記載されたメモの内容を有効に活用することができなかった。
【0021】
加えて、従来の週間指導計画表の場合、学習単元の進捗状況を数字等で表したものが多く、教師が直感的に理解することができない場合があった。その結果、学習単元がどの程度まで進んだかを誤解して捉え、実施予定の学習単元の内容を週間指導計画表に加え忘れたり、進捗の遅れに気付かず次週以降のスケジュールに影響を及したりする可能性があった。そのため、一目で学習指導の進捗度合いが理解できるような週間指導計画表が求められていた。
【0022】
更に、週間指導計画表の1時限分(1授業単位、或いは1コマ)には、一般に一つの教科を実施するように計画がなされている。しかしながら、当該教科の進捗状況や、複数の教科の学習単元の関連性等を考慮し、1時限において二つ或いは三つの教科の学習指導を行うケースも想定される。このような場合、従来の週間指導計画表では、対応することができず、或いは対応可能であってもそれぞれの授業時数を正しく算出することができない場合があった。そのため、年間指導計画表における各教科の授業時数に過不足が生じたりする可能性があった。
【0023】
更に、上記した通り、週間指導計画表(週案簿)は、学習単元の実施予定の確認や実施済の授業や学習単元のチェック、及び授業内容の振り返りのためのメモ等の記入を行うために、教師がほぼ毎日にわたって利用するものであった。しかしながら、これらの週間指導計画表の作成及び編集に係る機能は、得点や成績集計、通知表作成、及び時間割作成等の各種機能を備えた既存の教材情報総合管理ソフトウェアの一機能として提供されていることが多く、週間指導計画表の内容を確認及び表示するために、当該教材情報総合管理ソフトウェアを起動する必要があった。その結果、週間指導計画表の表示までに複数の操作が必要となり、週間指導計画表の利用に煩わしさを感じることがあった。
【0024】
そこで、本発明は、上記実情に鑑みてなされたものであり、年間指導計画表及び週間指導計画表の間でデータを連携させるとともに、週間指導計画表に入力された授業の振り返り等にかかる指導後情報をそれぞれ学習単元毎等により集約して閲覧表示可能に管理するとともに、日々利用する教師等にとって進捗状況等を確認しやすく、或いは利用し易い週間指導計画表等を作成及び管理可能な学習計画支援システム及び学習計画支援プログラムを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0025】
本発明によれば、下記に掲げる学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラムが提供される。
【0026】
[1] 横軸または縦軸のいずれか一方に一週間に相当する時間軸を配し、前記横軸または縦軸の残余の他方に一日の授業時間数を配し、かつ、前記横軸及び前記縦軸の交差する交差枠の中に、実施予定の教科及び当該教科における学習単元の内容を入力及び表示可能な週間指導計画表の作成及び編集を行う週間編集機能、及び、前記週間指導計画表と互いに連携可能に形成され、一年間を通じた前記教科毎の学習単元の内容を配した年間指導計画表の作成及び編集を行う年間編集機能を有する計画表編集手段を備えた編集用端末を具備し、前記週間指導計画表及び前記年間指導計画表に基づく学習計画を支援する学習計画支援システムであって、前記編集用端末は、前記交差枠の中に配された前記学習単元の学習指導を実施後の指導後情報の入力を受け付ける指導後情報入力受付手段と、受け付けた前記指導後情報を、前記学習単元と関連付けて記憶する指導後情報記憶手段と、受け付けた前記指導後情報を、前記週間指導計画表と連携して予め作成された前記年間指導計画表に反映させ、更新する年間指導計画表更新手段と、更新された前記年間指導計画表に基づいて、前記学習単元毎に前記指導後情報を集約し、表示する集約表示手段とを具備する学習計画支援システム。
【0027】
[2] 前記編集用端末は、前記指導後情報の内容を分類する分類タグを付与するタグ付与手段を更に具備し、前記指導後情報記憶手段及び/または前記集約表示手段の少なくともいずれか一方は、付与された前記分類タグに基づいて、前記学習単元と関連付けた記憶、及び/または、前記学習単元毎の集約に係る処理を実施する前記[1]に記載の学習計画支援システム。
【0028】
[3] 前記編集用端末は、前記指導後情報の入力を受け付けると、前記交差枠の中に表示された文字の文字色及び/または当該文字の背景の背景色の少なくともいずれか一方の表示色を変化させる表示色変化手段を更に具備する前記[1]または[2]に記載の学習計画支援システム。
【0029】
[4] 前記編集用端末は、前記週間指導計画表に並設して前記学習単元の進捗状況を示す進捗表を表示する進捗表表示手段を更に具備する前記[1]~[3]のいずれかに記載の学習計画支援システム。
【0030】
[5] 前記編集用端末は、前記交差枠の中を更に複数に分割して表示する分割表示手段と、分割された前記交差枠の中の分割表示幅の比率に応じて、実施予定または実施済の前記教科の授業時数を算出する授業時数算出手段とを更に具備する前記[1]~[4]のいずれかに記載の学習計画支援システム。
【0031】
[6] 前記編集用端末は、前記週間指導計画表に基づいて、一日に相当する簡易指導計画表を作成し、表示する簡易指導計画表表示手段を更に具備し、前記指導後情報入力受付手段は、表示された前記簡易指導計画表を介して前記指導後情報の入力を受け付ける前記[1]~[5]のいずれかに記載の学習計画支援システム。
【0032】
[7] 横軸または縦軸のいずれか一方に一週間に相当する時間軸を配し、前記横軸または縦軸の残余の他方に一日の授業時間数を配し、かつ、前記横軸及び前記縦軸の交差する交差枠の中に、実施予定の教科及び当該教科における学習単元の内容を入力及び表示可能な週間指導計画表の作成及び編集を行う週間編集機能と、前記週間指導計画表と互いに連携可能に形成され、一年間を通じた前記教科毎の学習単元の内容を配した年間指導計画表の作成及び編集を行う年間編集機能とを備える編集用端末を利用し、前記週間指導計画表及び前記年間指導計画表に基づく学習計画を支援するための学習計画支援プログラムであって、前記交差枠の中に配された前記学習単元の学習指導を実施後の指導後情報の入力を受け付ける指導後情報入力受付手段、受け付けた前記指導後情報を、前記学習単元と関連付けて記憶する指導後情報記憶手段、受け付けた前記指導後情報を、前記週間指導計画表と連携して予め作成された前記年間指導計画表に反映させ、更新する年間指導計画表更新手段、及び更新された前記年間指導計画表に基づいて、前記学習単元毎に前記指導後情報を集約し、表示する集約表示手段として、編集用端末を機能させる学習計画支援プログラム。
【0033】
[8] 前記指導後情報の内容を分類する分類タグを付与するタグ付与手段、及び付与された前記分類タグに基づいて、前記学習単元と関連付けた記憶、及び/または、前記学習単元毎の集約に係る処理を実施する前記指導後情報記憶手段及び/または前記集約表示手段の少なくともいずれか一方として、前記編集用端末を更に機能させる前記[7]に記載の学習計画支援プログラム。
【0034】
[9]前記指導後情報の入力を受け付けると、前記交差枠の中に表示された文字の文字色及び/または当該文字の背景の背景色の少なくともいずれか一方の表示色を変化させる表示色変化手段として、前記編集用端末を更に機能させる前記[7]または[8]に記載の学習計画支援プログラム。
【0035】
[10] 前記週間指導計画表に並設して前記学習単元の進捗状況を示す進捗表を表示する進捗表表示手段として、前記編集用端末を更に機能させる前記[7]~[9]のいずれかに記載の学習計画支援プログラム。
【0036】
[11] 前記交差枠の中を更に複数に分割して表示する分割表示手段、及び分割された前記交差枠の中の分割表示幅の比率に応じて、実施予定または実施済の前記教科の授業時数を算出する授業時数算出手段として、前記編集用端末を更に機能させる前記[7]~[10]のいずれかに記載の学習計画支援プログラム。
【0037】
[12] 前記週間指導計画表に基づいて、一日に相当する簡易指導計画表を作成し、表示する簡易指導計画表表示手段、及び表示された前記簡易指導計画表を介して前記指導後情報の入力を受け付ける前記指導後情報入力受付手段として、前記編集用端末を更に機能させる前記[7]~[11]のいずれかに記載の学習計画支援プログラム。
【発明の効果】
【0038】
本発明の学習計画支援システム、及び学習計画支援プログラムによれば、週間指導計画表に記憶された授業の振り返り等に係る指導後情報が年間指導計画表に反映され、年間指導計画表が更新されるとともに、学習単元毎等に集約されて当該指導後情報を表示することができる。これにより、次年度の年間指導計画表を作成する際の有益な情報とすることができ、また教師間の引き継ぎがあった場合でも当該引き継ぎ作業を容易にすることができる。
【0039】
更に、週間指導計画表とともに表示される進捗表によって、それぞれの教科や学習単元の進捗状況を把握することができ、実施予定の忘れや遅れ等を速やかに把握することができる。特に、実施済或いは実施予定の教科や学習単元を示す文字等の表示色を変化させることで、進捗状況を視覚情報に基づいて速やかに理解することができる。更に、簡易指導計画表を利用することで、指導後情報の入力等の操作性が向上し、支援システムの使用頻度を向上させ、有効な活用をすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本実施形態の支援システムの概略構成、及び編集用端末の機能的構成を示すブロック図である。
図2】週間指導計画表及びこれに並設された進捗表の画面表示の一例を示す説明図である。
図3】年間指導計画表の画面表示の一例を示す説明図である。
図4】週間指導計画表における指導後情報入力のための入力ウインドウの画面表示の一例を示す説明図である。
図5】年間指導計画表の学習単元毎の指導後情報を集約して表示する集約表示ウインドウの画面表示の一例を示す説明図である。
図6】簡易指導計画表の画面表示の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態の学習計画支援システム、及び、学習計画支援プログラムについて説明する。なお、本発明の支援システム及び支援プログラムは、以下の実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、当業者の通常の知識に基づいて以下の実施の形態に対して適宜変更、修正、及び改良等を加え得るものであっても構わない。
【0042】
本発明の一実施形態の学習計画支援システム1(以下、単に「支援システム1」と称す。)は、図1図6に示すように、本発明の学習計画支援プログラムPG(以下、単に「支援プログラムPG」と称す。)がインストールされ、当該支援プログラムPGを起動することで、週間指導計画表3の作成及び更新に係る編集機能等を始めとする各種機能を発揮可能な編集用端末2を具備して主に構成されている。
【0043】
ここで、図1は、本実施形態の支援システム1の概略構成、及び編集用端末2の機能的構成を示すブロック図であり、図2は、週間指導計画表3及びこれに並設された進捗表4の画面表示の一例を示す説明図であり、図3は、年間指導計画表5の画面表示の一例を示す説明図であり、図4は、週間指導計画表3における指導後情報23の入力のための入力ウインドウ6の画面表示の一例を示す説明図であり、図5は、年間指導計画表5の学習単元L毎の指導後情報23を集約して表示する集約表示ウインドウ7の画面表示の一例を示す説明図であり、図6は、簡易指導計画表8の画面表示の一例を示す説明図である。
【0044】
編集用端末2は、その機能的構成として、計画表編集手段10、指導後情報入力受付手段11、指導後情報記憶手段12、年間指導計画表更新手段13、及び集約表示手段14を主に具備して構成されている。更に、編集用端末2は、その他の機能的構成として、タグ付与手段15、表示色変化手段16、進捗表表示手段17、分割表示手段18、授業時数算出手段19、及び簡易指導計画表表示手段20をそれぞれ具備している。これにより、個々の手段に基づく種々の機能を発揮することができる。
【0045】
指導後情報記憶手段12は、ハードディスクドライブやソリッドステートドライブ等の固定記憶手段によって構成された端末記憶手段21の一機能として構成されている。かかる端末記憶手段21には、教材発行会社等によって頒布されたテストの得点集計機能、成績管理機能、テスト得点集計表作成機能、及び時間割作成機能等の学習指導の現場において有用な複数の教育情報総合管理ソフトウェアMPGがインストールされており、本実施形態の学習指導の計画を支援する支援プログラムPGによる計画支援機能は、当該教育情報総合管理ソフトウェアの一機能として編集用端末2に搭載されるものである。
【0046】
教育情報総合管理ソフトウェアMPGを起動させた状態で所定の操作(クリック操作等)を行うことにより、本発明の支援プログラムPGを起動及び実行することができ、編集用端末2に支援システム1としての機能を発揮させることができる。教育情報総合管理ソフトウェアMPGは、従来から周知なものであり、特に詳細な説明は省略する。更に、端末記憶手段21は、上記の指導後情報23の他に種々のデータ等を格納し、記憶することができる(詳細は後述する)。
【0047】
一方、集約表示手段14、進捗表表示手段17、分割表示手段18、及び簡易指導計画表表示手段20は、周知の表示機器と接続され、各種情報を画面表示することができる。なお、本実施形態の支援システム1において、編集用端末2と接続される表示機器として液晶ディスプレイLCDが用いられている(図1参照)。
【0048】
なお、編集用端末2は、図1に示すような、所謂「スタンドアローン型」の端末に限定されるものではなく、例えば、インターネットまたは専用通信回線からなる通信ネットワークに接続され、当該通信ネットワークを介して種々の情報を相互に送受信可能とするものであっても構わない。これにより、教育情報総合管理ソフトウェアや支援プログラムPGを常に最新の状態に更新することが容易となる。更に、上記の端末記憶手段21自体を通信ネットワーク上に構築されたクラウドサーバーに設けたものであっても構わない。
【0049】
ここで、本実施形態の支援システム1において使用する編集用端末2は、各小中学校等において教職員が日常的に使用するデスクトップ型或いはノート側のパーソナルコンピュータを用いるものを主に想定している。しかしながら、編集用端末2は、これに限定されるものではなく、例えば、タブレット型端末やスマートホン等を使用するものであっても構わない。なお、パーソナルコンピュータ、タブレット型端末、及びスマートホン等の情報通信機器に係る構成については既に周知のものであるため、ここでは詳細な説明は省略する。また、各種操作及び情報等の入力を行うための周知の操作入力手段(キーボード、マウス、或いはタッチパネル等)が編集用端末2と接続されている。なお、本実施形態の支援システム1は、これらの操作入力手段の総称として操作入力機器IDが編集用端末2に接続されたものを示している(図1参照)。
【0050】
以下に、編集用端末2に係る具体的な機能的構成について詳述する。編集用端末2の計画表編集手段10は、週間指導計画表3を作成及び編集等するための週間編集機能WE及び年間指導計画表5を作成及び編集等するための年間編集機能YEを備えている。これらの週間編集機能WE及び年間編集機能YEにより、下記に示す週間指導計画表3及び年間指導計画表5を作成等することができる。
【0051】
なお、週間編集機能WEによる週間指導計画表3及び年間編集機能YEによる年間指導計画表5の基本的な作成及び編集に係る処理は、従来から周知のため、ここでは詳細な説明は省略する。また、計画表編集手段10の各編集機能WE,YEは、後述する表示色変化手段16、分割表示手段18、及び授業時数算出手段19等の各処理を行う際にも機能する。
【0052】
週間指導計画表3は、例えば、図2に示されるように、一方の横軸(または縦軸)に月曜日から金曜日に至る一週間に相当する週間時間軸TL1(本発明における時間軸に相当)を左から右(または上から下)に沿って配し、残余の他方の縦軸(または横軸)に行事や朝の時間(朝学習)等を含む一日の授業時間数に係る授業時間軸C1を上から下(または左から右)に沿って配することで表形式として構成したものである。
【0053】
そして、週間時間軸TL1及び授業時間軸C1がそれぞれ交差する交差枠22の中に、実施予定の教科SB及び学習単元Lの内容を入力する編集処理がなされ、これを表示可能なものである。それぞれの交差枠22に対して教科SB等を入力する編集処理が行われることで、週間指導計画表3の作成が完了する。なお、教科SB等の入力に係る編集処理がなされていない交差枠22は空欄として表示される。
【0054】
ここで、交差枠22の中の表示について更に具体的に説明すると、当該交差枠22の中は、上下に三段に区画され、上段部22aに教科SBの入力及び表示が可能であり、中段部22bに学習単元Lの入力及び表示が可能であり、下段部22cに具体的な学習内容LCの入力及び表示が可能なものである。これらの入力内容は前述した週間編集機能WEを備える計画表編集手段10によって適宜変更することができる。また、交差枠22に表示される教科SB等の項目及び表示順は図2等に示したものに限定されるものではない。
【0055】
更に、交差枠22の下段部22cの右下には、授業に関するメモや振り返り等に係る指導後情報23を入力するための入力用アイコン24が配され、表示されている。なお、入力用アイコン24の詳細については後述するため、ここでは説明は省略する。更に、週間指導計画表3の最下方位置には、該当する週(図2において、1月21日~1月25日)における指導内容等の全体のまとめを入力し、表示するための週間まとめ欄25が設けられている。なお、図2において示した週間指導計画表3の構成及びレイアウト等は一例であり、これに限定されるものではない。
【0056】
一方、年間指導計画表5とは、例えば、図3に示されるように、一方の横軸(または縦軸)に4月から翌年の3月に至る一年間(年度)に相当する年間時間軸TL2(本発明における時間軸に相当)を左から右(または上から下)に沿って配し、残余の他方の縦軸(または横軸)に国語や算数といった複数の教科SBを上から下(または左から右)に沿ってそれぞれ配することで表形式として構成したものである。
【0057】
そして、年間時間軸TL2及び教科SBの交差する表示領域26に特定の幅を有して学習単元Lを入力及び表示等することができる。年間指導計画表5の場合、教科SB毎に配される複数の学習単元Lは、基本的に年度初めの4月から左詰め(または上詰め)で配置される。年間指導計画表5の作成及び編集等は、前述した年間編集機能YEを備える計画表編集手段10によって適宜入力及び変更することができる。これらの週間指導計画表3に係る週間指導計画表データ27及び年間指導計画表5に係る年間指導計画表データ28は、予め作成が行われ、編集用端末2の端末記憶手段21に格納されている。
【0058】
編集用端末2の各機能的構成について更に具体的に説明すると、指導後情報入力受付手段11は、作成済みの週間指導計画表3に基づいて学習指導を実施し、交差枠22に相当する実施済の教科SB及び学習単元Lにおいて気になった点や授業の内容等に係る指導後情報23の入力(週間指導計画表3に対する記入)を行うためのものである。すなわち、指導後情報23は従来における授業内容の振り返りやメモ等に相当するものであり、本実施形態の支援システム1は編集用端末2において作成済みの週間指導計画表3に対して事後的に指導後情報23の入力を受け付ける。
【0059】
指導後情報23の入力の受け付けの詳細について具体的に説明すると、図2に画面表示した週間指導計画表3の下段22cの右下に配置された入力用アイコン24をクリックする操作を行うことで(図4上部参照)、入力ウインドウ6(図4下部参照)を画面表示させることができる。なお、図4において、一つの交差枠22の中に二つの教科SB(算数及び社会)を分割表示したものを示したが、これについての詳細は後述する。
【0060】
表示された入力ウインドウ6には、週間指導計画表3の週間時間軸TL1及び授業時間軸C1の交差する箇所の交差枠22に対応する“○○月××日 △時限目”が表示され、指導後情報23の入力を行う日時及び時限が特定されている。更に、週間指導計画表3に基づいて、教科SB及び学習単元Lが枠内上部に表示されている。更に、枠内下部に指導後情報23を入力するための指導後情報入力欄29が設けられている。
【0061】
これにより、学習指導の実施後に、週間指導計画表3に対して授業の振り返り等の内容に係る指導後情報23を入力することができる。なお、入力された指導後情報23の内容は、端末記憶手段21の一機能として構成された指導後情報記憶手段12に週間指導計画表データ27と関連付けて記憶される。このように、本実施形態の支援システム1は、学習指導の実施後の記録を指導後情報23として、電子データの形式で記憶及び保存することができる。
【0062】
一方、年間指導計画表更新手段13は、週間指導計画表3の入力ウインドウ6から入力された指導後情報23の内容を、年間指導計画表5(年間指導計画表データ28)に反映させて更新するものであり、集約表示手段14は更新された年間指導計画表5に係る年間指導計画表データ28からそれぞれの学習単元Lや複数の学習単元Lにおける関連性に基づいて指導後情報23を抽出及び集約し、閲覧可能の表示するものである。学習単元L毎に集約された指導後情報23は、例えば、図5に示すような集約表示ウインドウ7等の表示形式で閲覧可能となる。これにより、一つの学習単元Lに対して複数の指導後情報23が入力された場合、当該複数の指導後情報23をまとめて表示することができる。
【0063】
すなわち、本実施形態の支援システム1によれば、週間指導計画表3に授業の振り返り等に係る指導後情報23を入力することができ、電子データの形式で入力された当該内容を年間指導計画表5に反映することができる。これにより、年間指導計画表5で計画された教科毎の学習単元の進捗に変更があったときなどに、その内容が反映する。その結果、一年間を通じた進捗を確認等がすることができる。
【0064】
更に、年間指導計画表5に反映した指導後情報23を学習単元L毎や関連性のある学習単元Lと連携し、抽出及び集約し、集約表示ウインドウ7等によってまとめて表示することができる。その結果、授業内容の振り返りが容易となり、学習指導のために有益に利用することができる。更に、一つの学習単元Lについて集約し、更に経時的に並べて表示することも可能となるため、次年度の年間指導計画表5を作成する際の参考等とすることができる。
【0065】
すなわち、学習単元Lにおいてポイントとなる箇所については、通常よりも多くの授業時数を割くような実施予定等を立案することができる。これにより、週間指導計画表3及び年間指導計画表5を連携可能な状態にして管理することで、優れた学習計画に基づく学習単元Lの指導が可能となる。すなわち、本実施形態の支援システム1によって、有効な学習計画の支援を行うことができる。
【0066】
更に、編集用端末2は、その他の機能的構成として、入力される指導後情報23の内容を分類する分類タグ30を付与するタグ付与手段15を備えている。ここで、分類タグ30の付与は、例えば、図4に示すように、指導後情報23を入力するための入力ウインドウ6に表示された項目をチェックすることで実施することができる。
【0067】
更に、具体的に説明すると、指導後情報23の入力用の入力ウインドウ6の指導後情報入力欄29の下方に、個々の学習単元Lにおいて規定される観点(例えば、主体性、情報活用、及び対人関係等)で分類される分類タグ30がその横のチェックマーク欄33とともに表示される(図4参照)。
【0068】
そして、学習単元Lの内容及び指導後情報入力欄29へ入力された指導後情報23の内容に基づいて、週間指導計画表3の作成者または更新者(主に、教師等)がチェックマーク欄33にチェックを入れることで分類タグ30の付与が完了する。この分類タグ30に係るデータ(タグデータ32)は、指導後情報23の中に含めた状態で指導後情報記憶手段12に記憶及び保存することができる。その結果、年間指導計画表更新手段13に基づいて当該タグデータ32に係る情報を含めて年間指導計画表5の年間指導計画表データ28が更新される。
【0069】
更に、これらの付与された分類タグ30に係るタグデータ32に基づいて、指導後情報記憶手段12、及び/または、集約表示手段14によって、それぞれの学習単元Lに関連付けた記憶、及び、学習単元L等毎の集約に係る処理をそれぞれ実施することができる。すなわち、指導後情報23を記憶するステップ、或いは、指導後情報23を学習単元L毎等で集約するステップの少なくともいずれか一方のステップ(段階)で、分類タグ30(タグデータ32)に基づく抽出や集約等の処理を行うことができる。
【0070】
これにより、指導後情報23を記録した後に、事後的に当該指導後情報23の内容を確認しようとした場合、学習指導の実施日時や記録日時等に限定されることなく、学習単元Lの内容が当該内容における観点等に基づいて検索を行うことができる。その結果、必要な情報を素早く抽出し、入手することができる。
【0071】
これにより、指導後情報23の効率的な抽出及び表示等が可能となる。更に、学習単元L同士等の関連性が高い指導後情報23についても集約して表示することが可能となり、従来は見落としていた可能性の高い有益な内容についても容易に確認することができる。これにより、授業のやり方の改善に用いたり、次年度以降の年間指導計画表5等の作成時に有効に用いたりすることができる。
【0072】
更に、編集用端末2の表示色変化手段16は、指導後情報入力受付手段11に基づいて指導後情報23の入力を受け付けると、週間指導計画表3の交差枠22の中に表示された教科SB、学習単元L、及び学習内容LC等を示す文字の文字色及び/または当該文字の 背景の背景色の少なくともいずれか一方の表示色を変化させることができる。
【0073】
これにより、週間指導計画表3において計画された実施予定の学習単元Lまたは学習内容LC等の実施状況を色の違いによって容易に把握することができる。すなわち、従来の文字のみや数字等による進捗状況の確認と比べ、より進捗状況の把握が容易となる。その結果、どの単元がどこまで進捗しているか等の確認を、視覚を通じて容易に行うことができ、進捗状況の遅れの認識が明らかになるとともに、学習単元Lの実施忘れ等の問題を解消することができる。なお、図2において、背景色の変更をハッチングによって示している。なお、表示色変化手段16は、計画表編集手段10の週間編集機能WE等の一部機能を用いて実行される。
【0074】
また、編集用端末の進捗表表示手段17は、週間指導計画表3に並設して各学習単元Lの進捗状況を数値等で表す進捗表4を表示するためのものである。具体的に説明すると、図2に示すように、進捗表4は、週間指導計画表3の左横に縦長表示されたものであり、進捗状況を表す教科SB、学習単元Lの内容、学習単元Lの時限回数及び当該学習単元Lの総時限数が表示されている。なお、図2に示した進捗表4は一例であり、これに限定されるものではない。
【0075】
なお、進捗表4における学習単元Lの時限回数及び総時限数は、それぞれ予定及び実施済が表示色を異なるようにして表示されている(なお、図2において表示色の違いをハッチングの違いで表している)。ここで、進捗表4に表示される進捗状況のデータは、隣接して表示された週間指導計画表3の週間指導計画表データ27と連動している。また、進捗表4に表示される学習単元L及びその時限回数は、年間指導計画表データ28と連動している。
【0076】
すなわち、週間指導計画表3に学習単元Lが入力されることで、交差枠22に対応する授業時限が予定されたことになる。また、週間指導計画表3に基づいて各教科SBについての学習指導が実施され、上述した指導後情報23等が入力されることで、交差枠22に対応する授業時限が実施されたことになる。このような状態の変化が上述した表示色変化手段16によって視覚的に容易に把握可能に示されるとともに、当該週間指導計画表データ27の更新が行われ、これに基づいて進捗表4を表示するための進捗表データ31も更新される。その結果、進捗表4を確認することで進捗状況を、視覚を通じて明確、かつ容易に確認することができる。これにより、学習単元Lの計画忘れや実施忘れ等の問題を解消することができる。
【0077】
加えて、本実施形態の支援システム1における編集用端末2は、週間指導計画表3の交差枠22の中を更に複数に分割して表示する分割表示手段18と、分割された交差枠22の中の分割表示幅の比率に応じて、実施予定または実施済の教科SBの授業時数を算出する授業時数算出手段19とを更に具備している。すなわち、基本的には1時限(1授業時間)に一つの教科SBの学習指導を行うことが原則である。しかしながら、1時限を2つまたは3つ等に分割し、複数の教科SBを実施することがある。そのため、交差枠22の中を更に複数に分割して表示する分割表示手段18が設けられる。
【0078】
これにより、例えば、図2における“1月21日(月)の5時限”のように、算数及び国語の二つの教科SBの実施予定を表示することができる。更に、教科SB毎の分割表示幅の比率に応じて、当該教科SBの授業時数を算出することができる。なお、図2の場合、算数及び国語の分割表示幅が等しいため、授業時数はそれぞれ“0.5”として算出される。
【0079】
なお、上記分割表示手段18は、計画表編集手段10の週間編集機能WE等の一部機能を用いて実行される。従来の紙ベースの週案簿の場合、仮に二つの教科を記入した場合でも、それぞれの教科の授業時数を正確にカウントすることができないことがあった。或いは、既存の授業案立案支援システム等の場合であっても、教科の表示幅と授業時間数の比率を完全に一致させることができず、改めて授業時数を再確認する必要があった。
【0080】
そのため、正確な授業時数をカウントすることができず、当該教科の授業時数の実施が遅れていることが明確に理解できず、事後的に進捗の遅れを把握する可能性があった。本実施形態の支援システム1の場合、分割表示幅の比率と授業時数との対応が正確なため、週間指導計画表3及び年間指導計画表5のいずれにおいても進捗状況を正確に把握することができる。なお、それぞれ分割して表示された教科名の欄をクリックすることで、当該教科の情報である学習単元Lや「めあて」などの表示を切り替えることができる。
【0081】
更に、編集用端末2は、作成された週間指導計画表3に基づいて、一日に相当する簡易指導計画表8を作成し、表示する簡易指導計画表表示手段20を備えている。簡易指導計画表8は、例えば、図6に示すように、一日分の学習指導に係る計画を示すものであり、既に作成された週間指導計画表3の週間時間軸TL1の中から一日分(例えば、当日分)を抽出したものである。
【0082】
簡易指導計画表8は、前述した教育情報総合管理ソフトウェアMPGの一機能として構成された簡易指導計画表表示プログラムSPGを起動することで表示される。なお、簡易指導計画表表示プログラムSPGのみから構成される単機能のプログラム(所謂「ウィジェット」)として起動するものであっても構わない。なお、簡易指導計画表8を表示するための簡易指導計画表データ34は、本実施形態の支援システム1においては、端末記憶手段21に記憶された上記簡易指導計画表表示プログラムSPGの中に保存されている。
【0083】
これにより、教育情報総合管理ソフトウェア或いは支援プログラムPGを起動し、週間指導計画表3を表示させるために何度かのクリック操作を行うような複雑な操作を行う必要はなく、一回のクリック操作で容易に簡易指導計画表8を画面表示させることができる。その結果、簡易指導計画表8へのアクセス操作が容易となり、日々使用する教師にとっての高い利便性を有するものとなる。なお、上記クリック操作によって簡易指導計画表表示プログラムSPGを起動するものに限定されず、例えば、通常のパーソナルコンピュータを編集用端末2として使用する場合、編集用端末2の起動操作時に、自動的に簡易指導計画表表示プログラムSPGを起動するような処理(所謂、「スタートアップ処理」)を行うものであっても構わない。
【0084】
更に、簡易指導計画表8は、週間指導計画表3及び年間指導計画表5とそれぞれ各データを連携して形成されている。すなわち、週間指導計画表データ27、年間指導計画表データ28、及び簡易指導計画表データ34は、相互に各種データを更新可能に形成されている。そのため、簡易指導計画表8を画面表示させた状態で、所定の位置(例えば、学習単元Lの表示箇所)クリックすることで、予め説明した図4等の指導後情報23の入力ウインドウ6を広くことができるものであっても構わない。これにより、簡易指導計画表8を介して、既に述べた指導後情報23等の入力を行ったり、その他必要な修正等を行う編集機能WE,YE等を機能させたりすることができる。
【0085】
上記に詳細に説明したように、本実施形態の支援システム1は、二つの性質の異なる指導計画表3,5の作成及び編集に係る編集機能WE,YEをそれぞれ有するとともに、画面表示された週間指導計画表3の入力ウインドウ6を通じて入力を受け付けた指導後情報23を記録し、複数の指導後情報23を学習単元L等の従来とは異なる手法の分類をすることで、事後的に活用しやすい有用な情報として集約表示することができる。
【0086】
更に、進捗状況を文字色や背景色を変えて表示するなど、従来の文字情報(数字情報)のみによる理解に比べ、一目で進捗状況を把握することができる。すなわち、画面表示された情報を、視覚的に容易に把握することができる。更に、1コマ(1授業時数)に複数の教科を分割し、分割幅に応じて実施予定(または実施済み)の授業時数を算出したり、簡易指導計画表8を表示したりするなどの、種々の学習計画を支援する機能を発揮することができる。これにより、小学校や中学校等における一年間または一週間を通じての学習単元の実施状況を把握することができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の支援システム、及び支援プログラムは、小学校や中学校において作成される年間指導計画表及び週間指導計画表に基づく学習計画の支援のために利用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1:支援システム(学習計画支援システム)、2:編集用端末、3:週間指導計画表、4:進捗表、5:年間指導計画表、6:入力ウインドウ、7:集約表示ウインドウ、8:簡易指導計画表、10:計画表編集手段、11:指導後情報入力受付手段、12:指導後情報記憶手段、13:年間指導計画表更新手段、14:集約表示手段、15:タグ付与手段、16:表示色変化手段、17:進捗表表示手段、18:分割表示手段、19:授業時数算出手段、20:簡易指導計画表表示手段、21:端末記憶手段、22:交差枠、22a:上段部、22b:中段部、22c:下段部、23:指導後情報、24:入力用アイコン、25:週間まとめ欄、26:表示領域、27:週間指導計画表データ、28:年間指導計画表データ、29:指導後情報入力欄、30:分類タグ、31:進捗表データ、32:タグデータ、33:チェックマーク欄、34:簡易指導計画表データ、C1:授業時間軸、ID:操作入力機器、L:学習単元、LC:学習内容、LCD:液晶ディスプレイ、MPG:教育情報総合管理ソフトウェア、PG:支援プログラム(学習計画支援プログラム)SB:教科、SPG:簡易指導計画表表示プログラム、TL1:週間時間軸(時間軸)、TL2:年間時間軸(時間軸)、WE:週間編集機能、YE:年間編集機能。
図1
図2
図3
図4
図5
図6