(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】化粧品
(51)【国際特許分類】
A61K 8/03 20060101AFI20221109BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/34 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/37 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/19 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/891 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/60 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/55 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/67 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/44 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/368 20060101ALI20221109BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A61K8/03
A61Q19/00
A61K8/81
A61K8/34
A61K8/37
A61K8/19
A61K8/891
A61K8/60
A61K8/55
A61K8/67
A61K8/44
A61K8/368
A61K8/73
(21)【出願番号】P 2019534583
(86)(22)【出願日】2018-08-02
(86)【国際出願番号】 JP2018029064
(87)【国際公開番号】W WO2019027006
(87)【国際公開日】2019-02-07
【審査請求日】2021-06-17
(31)【優先権主張番号】P 2017150081
(32)【優先日】2017-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】300029569
【氏名又は名称】ゲオール化学株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(72)【発明者】
【氏名】森村 佳司
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-6374(JP,A)
【文献】特開2004-359572(JP,A)
【文献】特開2009-196954(JP,A)
【文献】特開2003-12498(JP,A)
【文献】特開2010-99226(JP,A)
【文献】特開2005-89337(JP,A)
【文献】特開平1-301611(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する化粧品であって、
該製剤Aは、
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
を含む水溶液であり、
該製剤Bは、
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸プロピル:0.2(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.3(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
を含む水溶液であり、
該製剤Bの形状は、真球状、球状、卵状、偏球状、断面楕円形状、表面に突起のある真球状、表面に突起のある球状、表面に突起のある卵状、表面に突起のある偏球状、および、表面に突起のある断面楕円形状からなる群から選択される形状であり、
該製剤Bが製剤全量の10~60重量%配合されている、
化粧品。
【請求項2】
容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する化粧品であって、
該製剤Aは、
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)フェノキシエタノール:0.3(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
を含む水溶液であり、
該製剤Bは、
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸プロピル:0.2(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(B)フェノキシエタノール:0.3(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.8(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸プロピル:0.2(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
を含む水溶液であり、
該製剤Bの形状は、真球状、球状、卵状、偏球状、断面楕円形状、表面に突起のある真球状、表面に突起のある球状、表面に突起のある卵状、表面に突起のある偏球状、および、表面に突起のある断面楕円形状からなる群から選択される形状であり、
該製剤Bが製剤全量の10~60重量%配合されている、
化粧品。
【請求項3】
容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する化粧品であって、
該製剤Aは、
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
を含む水溶液であり、
該製剤Bは、
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
を含む水溶液であり、
該製剤Bの形状は、真球状、球状、卵状、偏球状、断面楕円形状、表面に突起のある真球状、表面に突起のある球状、表面に突起のある卵状、表面に突起のある偏球状、および、表面に突起のある断面楕円形状からなる群から選択される形状であり、
該製剤Bが製剤全量の10~60重量%配合されている、
化粧品。
【請求項4】
前記製剤Bが製剤Aの中に浮いた状態で埋入されている請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項5】
前記製剤Bが製剤全量の20~40重量%配合されている請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧品。
【請求項6】
前記製剤AおよびBの以下の条件で測定した製剤の粘性を示す最大荷重が、0.3N~2.0Nである請求項1~3のいずれか一項に記載の化粧品:
直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器内に透明のゲル状又は半固体の製剤が充填され、その製剤の内部に、組成の異なるクリーム状若しくは半固体の製剤が球状または偏球状に安定して内包された化粧品に関する。
【背景技術】
【0002】
クリームや乳液、化粧水、美容液、美容ゲル、美容オイル、クレンジングゲル、クレンジングクリーム、クレンジング乳液、クレンジングオイル、パック、洗顔フォームなどの様々な機能性を持つ基礎化粧品が販売されている。これらの基礎化粧品の基本となる成分は、油と相溶性の高い油性成分と、水と相溶性の高い水性成分、さらに水性成分と油性成分の中間的な性質を示す保湿剤に分類することができる。
【0003】
化粧料に含まれる水性成分は、肌に水分を補給するとともに水性の有効成分や洗浄成分を溶し込む基剤としての役割を持つ。また、油性成分は肌に油分を補給するとともに油性の有効成分や洗浄成分を溶し込む基剤としての役割を持つ。さらには、保湿成分は肌に水分や油分を長時間保持することで肌の潤いを保つ役割を担っている。
【0004】
一般的に、水性の化粧水や美容液、美容ゲル、クレンジングゲル中には油性成分は含まれず、肌に水分や保湿成分を補う目的や、主に肌の水性成分を洗い流す目的で使用される。美容オイルやクレンジングオイルには水性成分は含まれず、肌に油分を補う目的や、肌の油性成分を洗い流す目的で使用されている。
【0005】
しかしながら、これらの油性化粧料は使用時の感触は油っぽくベタつきもある。この油性感を抑えながら油性成分と水性成分を補給する目的で、若しくは水溶性と油溶性両方の洗浄成分等の成分を配合させる目的で、界面活性剤により乳化された乳化物が、クリームや乳液、クレンジングクリームとして使用されてきた。
【0006】
このように基礎化粧品の形状は細分化され、様々なタイプの基礎化粧品が市販されている。細分化されたそれぞれの基礎化粧品は機能が特化され1つ1つの製剤の機能性が優れる一方で、使用者は状況に応じて様々なタイプの基礎化粧料を順に使用する必要があり、使用者に時間的若しくは経済的な負担を強いる場合も多い。
【0007】
このような状況の下、複数の基礎化粧品の機能性をもつ化粧品も市販されている。例えば、油性成分を含むクリームの機能性に、保湿成分や有効成分を豊富に配合した美容液の機能性、さらには水溶性成分を含む化粧水の機能性を併せ持つ商品や、肌に成分を閉じ込めるパック機能とクリームの機能を併せ持つ商品が販売されている。
【0008】
しかしながら、このような商品はいずれも油分の補給効果に劣る、若しくは、保湿機能に劣る、パック機能に劣る、保湿機能に劣るなど、いずれにおいても機能が十分に発揮される商品はなく、消費者の多くは、これらの製品に満足できず、クリームと美容液、化粧水、パックなどのそれぞれの機能に特化した複数の商品を使用することも多い。また、このような商品は製剤中の一部の油分を製剤中に乳化するため、製剤全体に界面活性剤を配合しており、必要以上の界面活性剤が添加されている。
【0009】
これが肌の負担となり、刺激となって現れることもある。また、有効成分の中には塩類のように乳化された製剤を分離させてしまう成分もあり、これらの成分の配合には困難を伴い、さらには、油性成分と水性成分の中間的な性質を持つ保湿剤の配合量が増加すると乳化が困難になる。このような複合タイプの基礎化粧品は処方設計上、配合できる成分は大きな制約を受ける。このように1種の基礎化粧品で複数の機能性を十分に持たせることは技術的に難しい。さらには、化粧品は商品の特性上、外観の美しさである美観性も、化粧品の大きな購買動機につながる。化粧品は様々な趣向を取り入れられた美観性に優れた容器に製剤が充填され、市販されていることも多い。
【0010】
また、肌の水分量や油分量はヒトのライフサイクルに応じて大きく変化する。従って、使用時の肌の状態によって、肌に水性成分が多く必要であったり、油性成分が多く必要であったりする。通常、化粧水のような水性成分を多く配合する化粧品と、クリームのように油性成分を多く配合する化粧品を使用時の肌の状況によって、それぞれの製剤の使用量を調整して使用することで対応することができる。
【0011】
従来の複数の基礎化粧品の機能を併せ持つ化粧品には、このように肌の状態により使い分けできる化粧品は存在しなかった。例えば、特開2006-282588号公報(特許文献1)には、静置時には透明な上層とゲル状の下層に分離する、外観の審美性に優れ、再分散性及び保存安定性が良好な二層型美白化粧料が提案されている。しかし、この化粧料は、上記したように、使用時の肌の状況によって、水性成分を多く配合する化粧品と、油性成分を多く配合する化粧品の使用量を調整して使用することはできない。
【0012】
また、特許文献1に記載されている化粧料は、静置時には上層部に流動性のある水層と下層にゲル層に分離しており、使用時には再分散して使用しなければならない。したがって、使用時の感触や機能性は従来の化粧品と大きく変わることはない。また、特許文献1に記載されている化粧料は静置状態では、ゲル層の上部に流動性の高い水層部分が位置しているに過ぎず、両成分に動きがない静置状態では美観性に優れた商品であるとは言い難い。
【0013】
特表2006-525229号公報(特許文献2)には、クレンジング相と、効能相とが互いに物理的に接触して、包装され、安定性を維持している、ストライプ模様のパーソナルクレンジング組成物が提案されている。
【0014】
しかし、ここに記載のパーソナルクレンジング組成物においても、ストライプ模様であるので、使用時の肌の状況によって、水性成分を多く配合する化粧品と、油性成分を多く配合する化粧品の使用量を調整して使用することはできない。
【0015】
また、特許文献2の組成物はクレンジング相と高濃度内相エマルションを含む効能相が、単純にストライプ状に充填されたクレンジング組成物に過ぎない。この組成物を含む化粧品には、上部以外の商品の外観の大部分を占める側面に、優れた美観性を認めることはない。さらには、特許文献2の組成物を含む化粧品の製造には,同時に2種の製剤をポンプとホースを使って、チューブなどの容器に充填する必要がある。充填には綿密なコントロールが必要となり、作業工程も煩雑となる。
【0016】
それゆえ、化粧水や美容液の特性である十分な水性成分の機能性と、クリームの特性である十分な油性成分の機能性を併せ持つ基礎化粧品のように、1つの基礎化粧品で2種の異なる機能性を十分に持つ化粧品が求められていたところ、特許第5670031号公報(特許文献3)に開示される発明は、これらの問題を解決する優れた発明である。しかしながら、使用される外層ゲルと内層クリームの組成は必ずしも最適なものではなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0017】
【文献】特開2006-282588号公報
【文献】特表2006-525229号公報
【文献】特許第5670031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
特許文献3において使用される外層ゲルと内層クリームの組成を最適化し、美観に優れ、かつ、安定した二剤充填化粧品を提供することが、本発明の解決すべき課題である。本発明によって、最適化された外層ゲルと内層クリームの組成が提供される。これによって、美観に優れ、かつ、安定性に優れた外層と内層を備える二剤充填化粧品が提供される。
【0019】
本発明の化粧品は、最初にゲル状、クリーム状または半固体の1つ目の製剤を容器中に充填してから、さらに、充填した製剤の内部に、組成の異なるゲル、クリーム状または半固体の2つ目の製剤を充填することで完成する。このようにして調製された本発明の化粧品は、一方の製剤の内部に、もう一方の製剤が球状または偏球状の形状で包含された新しいタイプの基礎化粧品であって、最適化された外層ゲルと内層クリームの組成を特徴の一つとする。
【0020】
従って、本発明は以下を提供する。
(項目1)
容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する化粧品であって、
該製剤Aは水性ゲルであり、該製剤Bは乳化組成物であり、
該製剤Bの形状は、真球状、球状、卵状、偏球状、断面楕円形状、表面に突起のある真球状、表面に突起のある球状、表面に突起のある卵状、表面に突起のある偏球状、および、表面に突起のある断面楕円形状からなる群から選択される形状であり、
該製剤Bが製剤全量の10~60重量%配合されており、
該製剤Aが、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体および保湿剤を含み、
該製剤Bが、
・トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、スクワラン、および、オリーブ油からなる群から選択される油性成分、
・2-エチルヘキサン酸セチル、
・メチルポリシロキサン、
・ベヘニルアルコール、
・セタノール、
・親油型モノステアリン酸グリセリル、
・水素添加大豆リン脂質、
・アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
・保湿剤、ならびに、
・N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム
を含む、
化粧品。
(項目2)
前記製剤Aがさらに、
水酸化カリウム、L-アルギニン、および、トリエタノールアミンからなる群から選択されるpH調整剤を含み、
ここで、前記保湿剤が濃グリセリン、ソルビット、ジプロピレングリコール、および、1,3-ブチレングリコールからなる群から選択される、
項目1に記載の化粧品。
(項目3)
前記製剤Aがさらに、
・水酸化カリウム、L-アルギニン、および、トリエタノールアミンからなる群から選択されるpH調整剤、ならびに、
・1,2-ペンタンジオール、パラオキシ安息香酸メチル、および、フェノキシエタノールからなる群から選択される防腐剤を含み、
ここで、前記保湿剤が濃グリセリン、ソルビット、ジプロピレングリコール、および、1,3-ブチレングリコールからなる群から選択される、
項目1に記載の化粧品。
(項目4)
前記油性成分がトリ2-エチルヘキサン酸グリセリルである、項目1に記載の化粧品。
(項目5)
前記製剤Bがさらに、
水酸化カリウム、L-アルギニン、および、トリエタノールアミンからなる群から選択されるpH調整剤を含み、
ここで、前記保湿剤が濃グリセリン、ソルビット、ジプロピレングリコール、および、1,3-ブチレングリコールからなる群から選択される、
項目1に記載の化粧品。
(項目6)
前記製剤Bがさらに、
・水酸化カリウム、L-アルギニン、および、トリエタノールアミンからなる群から選択されるpH調整剤、ならびに、
・1,2-ペンタンジオール、パラオキシ安息香酸メチル、および、フェノキシエタノールからなる群から選択される防腐剤を含み、
ここで、前記保湿剤が濃グリセリン、ソルビット、ジプロピレングリコール、および、1,3-ブチレングリコールからなる群から選択される、
項目1に記載の化粧品。
(項目7)
前記製剤Bが、さらに、天然ビタミンEおよびジブチルヒドロキシトルエンからなる群から選択される抗酸化剤を含む、項目5または6に記載の化粧品。
(項目8)
前記製剤Bが、さらに、ラウリン酸マルチトールおよびマルチトールヒドロキシアルキル(12,14)エーテルからなる群から選択される乳化剤を含む、項目7に記載の化粧品。
(項目9)
前記製剤Bが、さらに、キサンタンガムを含む、項目7に記載の化粧品。
(項目10)
前記製剤Bが、さらに、無水エタノールを含む、項目8または9に記載の化粧品。
(項目11)
前記製剤Bが製剤Aの中に浮いた状態で埋入されている項目1に記載の化粧品。
(項目12)
前記製剤Bが製剤全量の20~40重量%配合されている項目1に記載の化粧品。
(項目13)
前記製剤AおよびBの以下の条件で測定した製剤の粘性を示す最大荷重が、0.3N~2.0Nである項目1に記載の化粧品:
株式会社サン科学製のSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
【0021】
本発明はまた、以下を提供する。
(項目A1)
容器と、該容器内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する化粧品であって、
該製剤Aは水性ゲルであり、該製剤Bは乳化組成物であり、
該製剤Bの形状は、真球状、球状、卵状、偏球状、断面楕円形状、表面に突起のある真球状、表面に突起のある球状、表面に突起のある卵状、表面に突起のある偏球状、および、表面に突起のある断面楕円形状からなる群から選択される形状であり、
該製剤Bが製剤全量の10~60重量%配合されており、
該製剤Aが、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体および保湿剤を含み、該製剤Bが、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、メチルポリシロキサン、ベヘニルアルコール、セタノール、親油型モノステアリン酸グリセリル、水素添加大豆リン脂質、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、保湿剤、および、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムを含む、化粧品。
(項目A2)
前記製剤Aが、
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
水酸化カリウム、
濃グリセリン、および、
1,3-ブチレングリコール
を含む、項目A1に記載の化粧品。
(項目A3)
前記製剤Aが、
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
水酸化カリウム、
濃グリセリン、
1,3-ブチレングリコール、および、
パラオキシ安息香酸メチル、
を含む、項目A1に記載の化粧品。
(項目A4)
前記製剤Aが、
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
水酸化カリウム、
濃グリセリン、
1,3-ブチレングリコール、
パラオキシ安息香酸メチル、および、
フェノキシエタノール
を含む、項目A1に記載の化粧品。
(項目A5)
前記製剤Aが、
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
水酸化カリウム、
濃グリセリン、
1,3-ブチレングリコール、および、
1,2-ペンタンジオール
を含む、項目A1に記載の化粧品。
(項目A6)
前記製剤Bが、
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、
2-エチルヘキサン酸セチル、
メチルポリシロキサン、
ベヘニルアルコール、
セタノール、
親油型モノステアリン酸グリセリル、
天然ビタミンE、
水素添加大豆リン脂質、
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
水酸化カリウム、
濃グリセリン、
1,3-ブチレングリコール、および、
N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム
を含む、項目A1に記載の化粧品。
(項目A7)
前記製剤Bが、
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、
2-エチルヘキサン酸セチル、
メチルポリシロキサン、
ベヘニルアルコール、
セタノール、
親油型モノステアリン酸グリセリル、
パラオキシ安息香酸プロピル、
天然ビタミンE、
水素添加大豆リン脂質、
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
水酸化カリウム、
濃グリセリン、
1,3-ブチレングリコール、
ラウリン酸マルチトール、
無水エタノール、
N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、および、
パラオキシ安息香酸エステル
を含む、項目A1に記載の化粧品。
(項目A8)
前記製剤Bが、
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、
2-エチルヘキサン酸セチル、
メチルポリシロキサン、
ベヘニルアルコール、
セタノール、
親油型モノステアリン酸グリセリル、
パラオキシ安息香酸プロピル、
天然ビタミンE、
水素添加大豆リン脂質、
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
キサンタンガム、
水酸化カリウム、
濃グリセリン、
1,3-ブチレングリコール、
フェノキシエタノール、
N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、および、
パラオキシ安息香酸プロピル、
を含む、項目A1に記載の化粧品。
(項目A9)
前記製剤Bが、
トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、
2-エチルヘキサン酸セチル、
メチルポリシロキサン、
ベヘニルアルコール、
セタノール、
親油型モノステアリン酸グリセリル、
1,2-ペンタンジオール、
天然ビタミンE、
水素添加大豆リン脂質、
アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、
キサンタンガム、
水酸化カリウム、
濃グリセリン、
1,3-ブチレングリコール、
ラウリン酸マルチトール、
無水エタノール、および、
N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム、
を含む、項目A1に記載の化粧品。
(項目A10)
前記製剤Bが製剤Aの中に浮いた状態で埋入されている項目A1に記載の化粧品。
(項目A11)
前記製剤Bが製剤全量の20~40重量%配合されている項目A1に記載の化粧品。
(項目A12)
前記製剤AおよびBの以下の条件で測定した製剤の粘性を示す最大荷重が、0.3N~2.0Nである項目A1に記載の化粧品:
株式会社サン科学製のSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
【0022】
実施例において列挙される各成分の濃度は、例えば、実施例に記載された各成分濃度の具体的数値に対して、±10%、±8%、±6%、±4%、±2%、±1%、または、±0.5%の範囲で変動してもよい。また、本発明の化粧品の製造において、実施例において使用される各成分を必ずしも全て含む必要はない。当業者は必要に応じて、本発明の特徴である外層と内層を備える二剤充填化粧品の製造において、実施例において列挙される成分の一部を使用しなくてもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明の化粧品は、透明又は半透明である容器内に、透明又は半透明である製剤Aが充填され、該製剤A内に製剤Bが埋入され、該製剤AおよびBはそれぞれ、ゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤AとBは異なる組成を有し、該製剤Bの少なくとも一部の表面は突曲面を有する。このような形状を有すことで以下の利点を有する化粧品を提供することができる。以下に本発明の利点を列挙する。
(1)本発明により、1種の製剤で、クリーム、水性ゲル、美容ゲル、油性ゲル、水性クレンジングゲル、油性クレンジングゲル、クレンジングクリーム、パック製剤、または洗顔フォームなどの基礎化粧料から選択される2種の基礎化粧品の機能性を持つ化粧品を提供することができる。
(2)本発明の化粧品は、2種の異なる化粧料の機能性を有する製剤AおよびBが分離した形で配合されている。一方の製剤中に含まれる成分は、他方の製剤に大きく影響を与えることがないので、各製剤中に配合できる成分の選択性が向上する。
(3)製剤の1つに乳化組成物を包含する場合、乳化組成物ではない製剤と、乳化組成物の製剤が分離する。そのため、乳化組成物の油性成分の乳化に使用する界面活性剤は、内部の油分を乳化するのに必要な配合量のみを配合すれば良く、各製剤を合わせた化粧料中の界面活性剤の使用量を低減することができる。
(4)乳化組成物を内部または外層部分(例えば、内部に)に包含する場合、塩類のように乳化組成物を分離させる成分や水性成分と油性成分の中間的な性質を持つ保湿剤のように本来、乳化組成物に配合が難しい成分を、もう一方の製剤に配合することができる。
(5)本発明品は、通常、視覚的にも異なる形状の二種の製剤が、透明または半透明の容器内に分離し、かつ内部の製剤が少なくともその表面に突曲面を有する状態で配合されている。使用者は使用時の肌の状態に応じて、視覚的に二種の製剤の使用量を調節して使用することもできる。すなわち、透明性の高い水性ゲル中に乳化組成物の製剤が埋入されている場合、使用者は肌の状況に応じて外辺部の水性ジェル部分を多く使用したり、油分を多く含む乳化組成物を多く使ったりといった使い方で、視覚的に調整しながら使用することができる。一つの製品でありながら、肌の状態に応じて使い分けができる。
(6)本発明の化粧品は、内層の製剤が完全に外層の製剤で包みこまれた形状である。このような形状をとることで、香料や精油などの香気成分を内層部分の製剤にのみ配合することで、使用直前まで製剤外への香気成分の流出を大幅に低減することができる。本発明の化粧品を使用時に、製造直後のフレッシュな香りが広がるような化粧品を提供することができる。さらには、油性成分を内包する形状の製剤の場合、空気と直接触れる可能性が極めて少なく、内部の油性成分の酸化を抑えることもできる。
(7)外層部の製剤として透明性の高い水性ゲルを使用し、内層部の製剤として着色されたゲル若しくは有色の乳化組成物を使用した化粧品は、美観的にも優れている。容器の形状や外層部の水性ゲルと内部の製剤の配合割合や着色の有無によっては、ジェル中にすっぽりと球状の乳化層若しくはゲル層が包まれた美観性に優れ神秘的な形状の製剤を提供することができる。
【0024】
以上に列記したように、本発明品により、既存の製品には無い様々な機能性を持つ化粧品を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】
図1の(a)~(d)は、本発明の化粧品の種々の形態を示す概略説明図である。
【
図4】
図4は、実施例1の製造時点での写真である。
【
図5】
図5は、実施例1の製造90日後時点での写真である。
【
図6】
図6は、実施例2の製造時点での写真である。
【
図7】
図7は、実施例2の製造90日後時点での写真である。
【
図8】
図8は、実施例3の製造時点での写真である。
【
図9】
図9は、実施例3の製造90日後時点での写真である。
【
図11】
図11は、実施例4の製造90日後時点での写真である。
【
図13】
図13は、実施例5の製造90日後時点での写真である。
【
図15】
図15は、実施例6の製造90日後時点での写真である。
【
図17】
図17は、実施例7の製造90日後時点での写真である。
【
図19】
図19は、実施例8の製造90日後時点での写真である。
【
図21】
図21は、実施例9の製造90日後時点での写真である。
【
図23】
図23は、実施例10の製造90日後時点での写真である。
【
図25】
図25は、実施例11の製造90日後時点での写真である。
【
図27】
図27は、実施例12の製造90日後時点での写真である。
【
図29】
図29は、実施例13の製造90日後時点での写真である。
【
図31】
図31は、実施例14の製造90日後時点での写真である。
【
図33】
図33は、実施例15の製造90日後時点での写真である。
【
図35】
図35は、実施例16の製造90日後時点での写真である。
【
図37】
図37は、実施例17の製造90日後時点での写真である。
【
図39】
図39は、実施例18の製造90日後時点での写真である。
【
図41】
図41は、実施例19の製造90日後時点での写真である。
【
図43】
図43は、実施例20の製造90日後時点での写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を説明する。本明細書において使用される用語は、特に言及されない限り、当該分野で通常用いられる意味で用いられるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術語は、本発明の属する分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。また、特に明記しない限り、濃度(%)は、重量/重量パーセントを意味する。
【0027】
(用語の定義)
本明細書において使用される用語「球状」とは、真球状に限定するものではなく、やや歪のある球状(例えば、卵状)、偏球状(例えば、断面楕円形状のもの)、表面にわずかな突起のある球状などを含めるものとする。同様に、本明細書において使用される用語「半球状」とは、半真球状に限定するものではなく、やや歪のある半球状、表面にわずかな突起のある半球状などを含めるものとする。
【0028】
本明細書において使用される用語「乳化」とは、水性成分と油性成分のように互いに溶け合わない液体、半固体、または個体の均一の混合物をいう。
【0029】
本明細書において使用される用語「乳化組成物」とは、油性成分と水性成分のように互いに溶け合わない液体、半個体、または固体の均一の混合物をいう。
【0030】
本明細書において使用する場合、用語「水性成分」とは、水によって溶解および/または希釈することが可能な成分をいう。
【0031】
本明細書において使用する場合、用語「油性成分」とは、常温で液体または固体であり、水に不溶で、粘性があり、水より比重が小さく、燃焼する物質をいう。
【0032】
本発明の外層部および内部の製剤には、あらゆる水溶性物質、ゲル中に分散可能なあらゆる物質または固形物を分散することができる。製剤中に配合できる成分を例示すると、油脂類、ロウ類、炭化水素、シリコーン類、脂肪酸類、アルコール類、エステル類、界面活性剤、増粘剤、粉末等の化粧品基材の他、医薬品、および医薬部外品の有効成分、pH調製剤、防腐剤、色素、香料、酸化防止剤、天然由来エキスを挙げることができる。
【0033】
本発明を構成する2種類の製剤の色調は問わない。白濁、白色、透明、有色のゲル、若しくは乳化組成物であっても良いが、美観上、外辺部に存在する製剤は、着色若しくは無着色の透明もしくは半透明のものが望ましく、水溶性ゲルの場合は特にそうである。
【0034】
本発明において使用する「油性成分」としては、例えば、以下からなる群から選択される物質が挙げられるが、これに限定されない:
アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、つばき油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、コーン油、なたね油、キョウニン油、パーシック油、桃仁油、ひまし油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、月見草油、ハイブリッドヒマワリ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、へーゼルナッツ油、パーム核油、パーム油、やし油、カカオ脂、シア脂、木ろう、ミンク油、タートル油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚脂、場油等の油脂類;または、ホホバ油、カルナウバろう、キャンデラろう、米ぬかろう、オレンジラフィー油、みつろう、セラック、ラノリン、モンタンろう等のロウ類;または、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、軟質流動イソパラフィン、水添ポリイソブチレン、オゾケライト、セレシン、α-オレインフィンオリゴマー、ポリブテン、ポリエチレン等の炭化水素類;または、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、ヒドロキシステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、エチルヘキサン酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、イソトリデカン酸、イソノナン酸、ペンタデカン酸等の高級脂肪酸類;または、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール、ベヘニルアルコール、セタノール、オレイルアルコール、ラノリンアルコール、コレステロール、イソコレステロール、シトステロール、スチグマステロール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール、ヘキシルデカノール等の高級アルコール類;または、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸エチル、パルミチン酸セチル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、オレイン酸オクチルドデシル、ステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、トリカプリン、トリミリスチン、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル(トリオクタノイン)、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸エチル、エチルヘキサン酸セチル、エチルヘキサン酸ステアリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸グリセリル、トリエチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、テトラエチルヘキサン酸ペンタエリスリル、トリイソステアリン酸グリセリル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトライソステアリン酸ペンタエリスチル、トリイソステアリン酸ペンタエリスリル、イソステアリン酸イソセチル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、クエン酸トリオクチルドデシル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類;ならびにこれらを2種以上含む混合物。
【0035】
本発明の化粧料に「保湿成分」を配合してもよく、そのような「保湿成分」としては、例えば、以下からなる群から選択される物質が挙げられるが、これに限定されない。本明細書において、用語「保湿成分」は「保湿剤」と互換可能に使用される。
【0036】
グリセリン(例えば、85重量%以上のグリセリン水溶液などの濃グリセリン)、1,3-ブチレングリコール、ソルビット、プロピレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,3-プロパンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール、グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース 、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、シクロデキストリン、β-グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン及びその誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム、ムコイチン硫酸、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸、シロキクラゲ抽出物、シロキクラゲ多糖体、チューベロース多糖体、クエン酸、酒石酸、尿素、2-ピロリドン-5-カルボン酸及びそのナトリウム等の塩、ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β-アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド、アシル化ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体;パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド、乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、グルタチオン、アルブミン、乳清;塩化コリン、ホスホリルコリン;胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス、シルクエキス、イザヨイバラエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ユーカリエキス、メリロートエキス、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、スフィンゴ糖脂質。
【0037】
本発明の化粧料には、必要に応じて「pH調整剤」を配合して、pHを調整してもよい。そのような「pH調整剤」としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、アンモニア、モルホリン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、および、アルギニン(例えば、L-アルギニン)からなる群から選択される物質が挙げられるが、これに限定されない。
【0038】
本発明の化粧料には、必要に応じて「抗酸化剤」を配合してもよい。そのような「抗酸化剤」としては、例えば、フェノール類、ヒドロキノン類、ベンゾキノン類、芳香族アミン類、又はビタミン類からなる群から選択される物質が挙げられるが、これに限定されない。あるいは、抗酸化剤としては、例えば、BHT(2,6-ジ-t-ブチル-p-クレゾール)、ビタミンC、ビタミンEが挙げられるがこれらに限定されない。あるいは、抗酸化剤としては、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、天然ビタミンE及びその誘導体、イネ抽出物、白芥子加水分解抽出物が挙げられるがこれらに限定されない。
【0039】
図1に示すように、本発明の化粧品1は、容器2(好ましくは透明又は半透明であるであるが、必ずしも透明又は半透明である必要はない)と、該容器2内に充填された透明又は半透明である製剤Aと、該製剤A内に埋入された製剤Bと、を有する。
【0040】
該製剤AおよびBは、それぞれゲル状、クリーム状または半固体であり、該製剤AとBは異なる組成を有し、該製剤Bの少なくとも一部の表面は突曲面を有する。好ましくは、製剤Aは透明なゲル状であり、製剤Bはクリーム状である。
【0041】
製剤Bは球状であってもよく、その場合、
図1(a)に示すように、製剤Bは製剤Aの中に浮いた状態で埋入され得る。
【0042】
図1(b)に示すように、製剤Bの下部が容器2の底面に接触してもよく、その場合、製剤Bの上部がほぼ半球状となる。ここで、製剤Bは直接、もしくは製剤Aの薄い層を介して容器2の底面に接触する。
【0043】
また、
図1(c)に示すように、製剤Bを製剤Aが包み込む状態で化粧料の中央部が盛り上がっている状態であってもよい。
【0044】
容器2の形状、製剤の充填量は任意に変更することができ、例えば、
図1(d)に示すように、製剤Bは縦方向に長い楕円形状であってもよい。
【0045】
製剤Bは、通常、先に充填した製剤Aの内部にノズルを差し入れて充填することで製造できる。製剤Aと製剤Bの組み合わせによっては、製剤Bを充填した後にノズルを引き抜く際、製剤Bの突曲面を形成する表面上部に突起が形作られることがあるが、これが商品の美観を損ねることは無く、また、発明の完成になんら影響を及ぼすこともない。
【0046】
本発明は、2種の機能性を持つ製剤を2段階で充填することで、1つの製品で2種の製剤AおよびBの機能性を有する新規の基礎化粧品を提供することができる。また、本発明は、透明性の高い水性ゲルなどの製剤Aを外辺部に使用することで、容器2および製剤Aを通して曲面を有する製剤Bを外側から視認することができ、それゆえ美観性にも優れた新規の基礎化粧品を提供することができる。
【0047】
2種類の製剤の組み合わせとして、外層「水性ゲル」と内部「クリーム」、または、外層「美容ゲル」と内部「クリーム」が好ましい。
【0048】
各製剤の粘性については特に限定しないが、粘性が低すぎると、時間の経過あるいは衝撃等により内部の乳化組成物もしくはゲルが、外辺部の水性ゲル部分に移動もしくは外辺部の水性ゲル部分と混合し、安定な形状を保つことができない。また、粘性が高すぎると、製剤の充填が難しく、商品の使い心地も悪化する。
【0049】
いずれにもしても流動性がなく、かつ固すぎない製剤が望ましい。さらに製剤の使い易さ、生産工程での充填し易さ、および内部の製剤の形状をほぼ球状に充填する必要性を考慮すると、外層部の製剤と内部の製剤は、同程度の粘度の製剤であることが望ましいがこれに限定されない。
【0050】
(好ましい外層の組成)
本発明において使用する外層の好ましい組成は、例えば、以下のとおりであるが、これらに限定されない。下記において列挙される各成分の濃度は、例えば、具体的に記載された各成分濃度の具体的数値に対して、±10%、±8%、±6%、±4%、±2%、±1%、または、±0.5%の範囲で変動してもよい。また、本発明の化粧品の製造において、下記に列挙される各成分を必ずしも全て含む必要はない。必須の成分はアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体であり、水酸化カリウムは水酸化ナトリウム、アルギニンなどのアルカリ性物質でも代用できる。濃グリセリン(例えば、85重量%以上のグリセリン水溶液)、1,3-ブチレングリコールは、プロピレングリコールなどの多価アルコール類と代用できる。処方2-1のパラオキシ安息香酸メチルおよび、処方3-1のフェノキシエタノールは、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ヒノキチオール等の防腐剤でも代用できる。処方4-1の1,2-ペンタンジオールは1,2-ヘキサンジオールや1,2-オクタンジオールなどの防腐効果を持つ多価アルコールでも代用できる。当業者は、適宜、本発明の特徴である外層と内層を備える二剤充填化粧品の製造において、下記に列挙される成分の一部を使用しなくてもよい。
【0051】
(外層ゲル処方 処方2-1)
本発明の最適化された外層処方は、例えば、以下に示す処方2-1である。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
上記の組成の外層処方の調製は、成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加し、その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得ることによって行われる。
【0052】
(外層ゲル処方 処方3-1)
本発明の最適化された外層処方は、例えば、以下に示す処方3-1である。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)フェノキシエタノール:0.3(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
上記の組成の外層処方の調製は、成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加し、その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得ることによって行われる。
【0053】
(外層ゲル処方 処方4-1)
本発明の最適化された外層処方は、例えば、以下に示す処方4-1である。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
上記の組成の外層処方の調製は、成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加し、その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得ることによって行われる。
【0054】
(好ましい内層の組成)
本発明において使用する内層の好ましい組成は、例えば、以下のとおりであるが、これらに限定されない。下記において列挙される各成分の濃度は、例えば、具体的に記載された各成分濃度の具体的数値に対して、±10%、±8%、±6%、±4%、±2%、±1%、または、±0.5%の範囲で変動してもよい。また、本発明の化粧品の製造において、下記に列挙される各成分を必ずしも全て含む必要はない。必須の成分は親油型モノステアリン酸グリセリル、水素添加大豆リン脂質、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体、N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウムであり、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリルおよび、2-エチルヘキサン酸セチル、メチルポリシロキサンは、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、つばき油、ごま油、米ぬか油、サフラワー油、大豆油、コーン油、なたね油、キョウニン油、パーシック油、桃仁油、ひまし油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、綿実油、ココナッツ油、小麦胚芽油、米胚芽油、月見草油、ハイブリッドヒマワリ油、マカデミアナッツ油、メドウフォーム油、へーゼルナッツ油、パーム核油、パーム油、やし油、カカオ脂、シア脂、木ろう、ミンク油、タートル油、卵黄油、牛脂、乳脂、豚脂、場油等の油脂類、または、ホホバ油、カルナウバろう、キャンデラろう、米ぬかろう、オレンジラフィー油、みつろう、セラック、ラノリン、モンタンろう等のロウ類、または、スクワレン、スクワラン、流動パラフィン、パラフィン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン、軟質流動イソパラフィン、水添ポリイソブチレン、オゾケライト、セレシン、α-オレインフィンオリゴマー、ポリブテン、ポリエチレン等の炭化水素類等のオイル成分(油性成分)でも代用できる。ベヘニルアルコールおよび、セタノールは、ラウリルアルコール、ステアリルアルコール、セテアリルアルコール等の高級アルコールでも代用できる。濃グリセリン(例えば、85重量%以上のグリセリン水溶液)、1,3-ブチレングリコールは、プロピレングリコールなどの多価アルコール類と代用できる。処方2-2のパラオキシ安息香酸メチルおよび、処方3-2のパラオキシ安息香酸プロピルおよび、フェノキシエタノールは、パラオキシ安息香酸エチル、安息香酸、安息香酸ナトリウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、ヒノキチオール等の防腐剤でも代用できる。処方4-2の1,2-ペンタンジオールは1,2-ヘキサンジオールや1,2-オクタンジオールなどの防腐効果を持つ多価アルコールでも代用できる。
当業者は、適宜、本発明の特徴である外層と内層を備える二剤充填化粧品の製造において、下記に列挙される成分の一部を使用しなくてもよい。
【0055】
(内層クリーム処方 処方2-2)
本発明の最適化された内層処方は、例えば、以下に示す処方2-2である。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸プロピル:0.2(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.3(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
上記の組成の内層処方の調製は、成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌し、室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得ることによって行われる。
【0056】
(内層クリーム処方 処方3-2)
本発明の最適化された内層処方は、例えば、以下に示す処方3-2である。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸プロピル:0.2(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(B)フェノキシエタノール:0.3(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.8(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
上記の組成の内層処方の調製は、成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌し、室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得ることによって行われる。
【0057】
(内層クリーム処方 処方4-2)
本発明の最適化された内層処方は、例えば、以下に示す処方4-2である。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
上記の組成の内層処方の調製は、成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌し、室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得ることによって行われる。
【0058】
(外層と内層の組み合わせ)
上記に示した外層と内層との好ましい組み合わせは、以下のとおりである。
・外層2-1と内層2-2との組み合わせ、
・外層3-1と内層3-2との組み合わせ、ならびに、
・外層4-1と内層4-2との組み合わせ。
【0059】
製剤の粘性は、次の測定方法による最大荷重で表すことができ、製剤の最大荷重は、0.3N~2.0Nであるのが好ましい。さらに好ましくは0.5N~1.5Nである。最大荷重が0.3Nより小さいと、上記のとおり製剤の安定な形状を保つことが難しく、2.0Nより大きいと、製剤の充填が難しく、商品の使い心地も使用時も悪化する。
【0060】
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定する。
【0061】
また、各製剤の用途および処方によって各製剤の比重は変わるが、製剤Aの比重は、0.8~1.3が好ましく、さらに好ましくは0.9~1.2である。また、製剤Bの比重は、0.7~1.2が好ましく、さらに好ましくは0.8~1.1である。
【0062】
本発明の化粧品は、最初に外層部の製剤を容器内に充填し、その外層部の製剤の内部に、もう一方の製剤を充填することで完成するが、その充填方法は限定されない。それぞれの製剤をそのまま、若しくは、回転を加えながら、通常の化粧品の製造工程で使用する充填機もしくは注射器等を用いて充填することで、本発明の化粧品を得ることができる。
【0063】
本発明において、最初に容器に充填する製剤の充填量と、2段階目で充填する製剤の配合量の配合割合も特に限定されることはない。選択する製剤の種類の機能性や、最終的に求められる本発明の化粧品の組み合わせにより決定されるべきである。
【0064】
本発明の外観性の観点から考慮すると、2段階目で充填する内部の製剤Bの充填量は、製剤全体の10%~60%の充填量が望ましく、20~40%の充填量がより望ましい。製剤Bの充填量が製剤全体の10%未満の場合は、製剤Bの機能が発揮されないことがあり、60%を超えると、製剤Aの機能が発揮されないことがあり、また外観が損なわれる場合がある。
【0065】
2段階目で充填する製剤は、最初に充填した製剤の内部に充填する必要があるが、その製剤中の充填場所は特に限定されない。
【0066】
通常、最初に充填した製剤の中心付近に充填することが望ましいが、製剤の固さや形状、機能性、配合割合によっては、最初に充填した製剤の中心部より上部の位置もしくは下部に充填しても良い。上部に充填することで製剤は容器の底部に付きにくくより球状に近い形状で充填でき、製剤の上部が盛り上がることが多い。
【0067】
本発明の化粧品を充填するのに使用する容器の形状や素材も、内部の製剤を外側から見ることができるものであれば、何ら限定されることはない。
【0068】
通常のクリームやゲルなどの化粧品に使用する容器であれば、どのような形状や素材の容器であっても良い。容器の深さの浅い容器の場合、2段階目で充填する製剤の充填量によっては、2段階目で充填された製剤が容器の底面にあたり半球状もしくは半偏球状の形状で充填されるが、これにより本発明の機能性や新規性を損なうことはなく、また、これにより発明品の美観を損なうこともなく、発明の完成になんら影響を及ぼさない。また、十分に充填容器が深い場合、若しくは充填容器の形状により、2段階目で充填する製剤の配合量によっては完全な球状の製剤に充填することもできる。これにより、前者とは少し外観の異なる発明品に仕上げることもできる。
【実施例】
【0069】
以下、実施例を参照して本発明を説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲によって定まるものであり、下記の実施例によって限定解釈されるものではない。
【0070】
(比較例1)
特許文献3(特許第5670031号公報)から、以下の処方を作製し、比較例1とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0071】
(処方1-1 外層ゲル)
処方1-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)カルボキシビニルポリマー:0.4(重量%)
(A)グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:15(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(B)水酸化カリウム:0.12(重量%)
成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加する。その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得た。
【0072】
(処方1-2:内層クリーム)
処方1-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:2(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.3(重量%)
(B)カルボキシビニルポリマー:0.5(重量%)
(B)トレハロース:0.2(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(B)マルチトールヒドロキシアルキル(12,14)エーテル液:0.3(重量%)
(B)エタノール:0.04(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(C)水酸化カリウム:0.18(重量%)
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0073】
(物性値の測定)
処方1-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方1-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調製した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方1-1のゲル製剤:最大荷重0.52N
・処方1-2のクリーム製剤:最大荷重0.36N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0074】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量42gの透明のジャー容器、処方1-1のゲル28gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方1-2の乳化組成物14gを充填することで
図2A~
図2Cの写真に示す二層ゲルクリームを得た。この方法により調製された二層ゲルクリームのクリーム部分は。10個中、3個は
図2A、
図2Bのように円錐形に近い球形に充填され、いずれの二層ゲルクリームも内層クリーム表面には凹凸が認められ、審美性および生産効率に欠けるものであった。
【0075】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察したところ、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを計測すると、製造直後のクリーム部分の直径が28mmから32mmまで膨張し、クリーム表面のところどころに亀裂が認められた。また、二層ゲルクリーム作成後、10日後には、内層クリームの外周部分に作成直後には見られなかった白い濁りが生じ、経過時間と共にその濁りは増し、安定性を著しく欠くものであった。写真を
図3A~
図3Cに示す。このように、処方1-1の外層ゲルと、処方1-2の内層クリームとの組み合わせで作成した二層ゲルクリームは、内層クリームの膨張に伴って、内層クリーム表面に凹凸や亀裂が発生した。また、6か月、40℃の保存条件下においても、5日後にはクリームとゲルの境界面に濁りが生じるなど、安定性にも欠けるものであった。この結果は、特許文献3(特許第5670031号公報)の記載から導き出した方法で作成した二層ゲルクリームは、安定性、審美性とともに不完全であり、さらになる改良を必要としたことを示すものである。
【0076】
(実施例1)
比較例1の処方を変更した処方を複数作製し、その中で良好な結果を示した処方の一つを、実施例1とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0077】
(処方2-1 外層ゲル)
処方2-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加する。その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得た。
【0078】
(処方2-2:内層クリーム)
処方2-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸プロピル:0.2(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.3(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)。
【0079】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0080】
(物性値の測定)
処方2-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方2-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方2-1のゲル製剤:最大荷重0.63N
・処方2-2のクリーム製剤:最大荷重1.02N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0081】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量42gの透明のジャー容器、処方2-1のゲル28gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方2-2の乳化組成物14gを充填することで
図4の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0082】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図5として示した。
【0083】
90日後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを計測したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図4の写真と
図5の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0084】
(実施例2)
比較例1の処方を変更した処方を複数作製し、その中で良好な結果を示した処方の別の一つを、実施例2とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0085】
(処方3-1 外層ゲル)
処方3-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)フェノキシエタノール:0.3(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加する。その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得た。
【0086】
(処方3-2:内層クリーム)
処方3-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸プロピル:0.2(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(B)フェノキシエタノール:0.3(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.8(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸プロピル:0.2(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)。
【0087】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
(物性値の測定)
処方3-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方3-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方3-1のゲル製剤:最大荷重0.83N
・処方3-2のクリーム製剤:最大荷重0.88N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0088】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量42gの透明のジャー容器、処方3-1のゲル28gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方3-2の乳化組成物14gを充填することで
図6の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0089】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図7として示した。
【0090】
90日後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを計測したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図6の写真と
図7の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0091】
(実施例3)
比較例1の処方を変更した処方を複数作製し、その中で良好な結果を示した処方の別の一つを、実施例3とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0092】
(処方4-1 外層ゲル)
処方4-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加する。その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得た。
【0093】
(処方4-2:内層クリーム)
処方4-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)。
【0094】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0095】
(物性値の測定)
処方4-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方4-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方4-1のゲル製剤:最大荷重0.76N
・処方4-2のクリーム製剤:最大荷重0.75N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0096】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量42gの透明のジャー容器、処方4-1のゲル28gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方4-2の乳化組成物14gを充填することで
図8の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0097】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図9として示した。
【0098】
90日後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを計測したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図8の写真と
図9の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0099】
(実施例4)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例4とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0100】
(処方5-1 外層ゲル)
処方5-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)ソルビット液:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加する。その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得た。
【0101】
(処方5-2:内層クリーム)
処方5-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)ソルビット液:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0102】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0103】
(物性値の測定)
処方5-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方5-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方5-1のゲル製剤:最大荷重0.87N
・処方5-2のクリーム製剤:最大荷重1.05N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0104】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方5-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方5-2の乳化組成物11gを充填することで
図10の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0105】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図11として示した。
【0106】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図10の写真と
図11の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0107】
処方5-1および処方5-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた濃グリセリンを、ソルビット液に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、保湿剤は濃グリセリンの他、ソルビット液等の保湿剤への変更により、製品の安定性を損ねることが無いことが明らかとなった。
【0108】
(実施例5)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例5とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0109】
(処方6-1 外層ゲル)
処方6-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)ジプロピレングリコール:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
成分(A)を攪拌しながら加熱溶解した後、精製水を使って10%に溶解した成分(B)を添加する。その後、攪拌しながら室温まで冷却することで透明のゲルを得た。
【0110】
(処方6-2:内層クリーム)
処方6-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)ジプロピレングリコール:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0111】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0112】
(物性値の測定)
処方6-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方6-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方6-1のゲル製剤:最大荷重0.66N
・処方6-2のクリーム製剤:最大荷重1.27N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0113】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方6-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方6-2の乳化組成物11gを充填することで
図12の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0114】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図13として示した。
【0115】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図12の写真と
図13の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0116】
処方6-1および処方6-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた濃グリセリンを、ジプロピレングリコールに変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、保湿剤は濃グリセリンの他、ジプロピレングリコール等の保湿剤への変更により、製品の安定性を損ねることが無いことが明らかとなった。
【0117】
(実施例6)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例6とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0118】
(処方7-1:外層ゲル)
処方7-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方7-2:内層クリーム)
処方7-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0119】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0120】
(物性値の測定)
処方7-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方7-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方7-1のゲル製剤:最大荷重0.76N
・処方7-2のクリーム製剤:最大荷重0.96N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0121】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方7-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方7-2の乳化組成物11gを充填することで
図14の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0122】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図15として示した。
【0123】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図14の写真と
図15の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0124】
処方7-1および処方7-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた1,3-ブチレングリコールを、精製水に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、1,3-ブチレングリコールの配合の有無により、製品の安定性に変化を与えることが無いことが明らかとなった。
【0125】
(実施例7)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例7とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0126】
(処方8-1 外層ゲル)
処方8-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方8-2:内層クリーム)
処方8-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)スクワラン:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0127】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0128】
(物性値の測定)
処方8-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方8-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方8-1のゲル製剤:最大荷重0.78N
・処方8-2のクリーム製剤:最大荷重1.24N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0129】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方8-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方8-2の乳化組成物11gを充填することで
図16の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0130】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図17として示した。
【0131】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図16の写真と
図17の写真の比較からも明らかである。また、40℃の長期保存においては1か月後に内層クリームの外周部分、すなわち内層クリームと外層ゲルとの境界面に僅かな濁りが生じた。
【0132】
処方8-2の内層クリームの配合成分は、処方4-2で配合していたトリ2-エチルヘキサン酸グリセリルを、スクワランに変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性は、40℃の長期保存試験の際に僅かに悪化したことから、内層クリームの油分はスクワランよりもトリ2-エチルヘキサン酸グリセリルの方が望ましい。
【0133】
(実施例8)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例8とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0134】
(処方9-1 外層ゲル)
処方9-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方9-2:内層クリーム)
処方8-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)オリーブ油:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0135】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0136】
(物性値の測定)
処方9-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方9-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方9-1のゲル製剤:最大荷重0.78N
・処方9-2のクリーム製剤:最大荷重1.07N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0137】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方9-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方9-2の乳化組成物11gを充填することで
図18の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0138】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図19として示した。
【0139】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図18の写真と
図19の写真の比較からも明らかである。また、40℃の長期保存においては1か月後に内層クリームの外周部分、すなわち内層クリームと外層ゲルとの境界面に僅かな濁りが生じた。
【0140】
処方9-2の内層クリームの配合成分は、処方4-2で配合していたトリ2-エチルヘキサン酸グリセリルを、オリーブ油に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性は、40℃の長期保存試験の際に僅かに悪化したことから、内層クリームの油分はオリーブ油よりもトリ2-エチルヘキサン酸グリセリルの方が望ましい。
【0141】
(実施例9)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例9とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0142】
(処方10-1:外層ゲル)
処方10-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方10-2:内層クリーム)
処方10-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0143】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0144】
(物性値の測定)
処方10-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方10-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方10-1のゲル製剤:最大荷重0.78N
・処方10-2のクリーム製剤:最大荷重1.18N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0145】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方10-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方10-2の乳化組成物11gを充填することで
図20の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0146】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図21として示した。
【0147】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図20の写真と
図21の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0148】
処方10-1および処方10-2の配合成分は、処方10-1は処方4-1と同じであり、処方10-2は処方4-2で配合していた天然ビタミンEを、精製水に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、天然ビタミンEの配合の有無により、製品の安定性に変化を与えることが無いことが明らかとなった。
【0149】
(実施例10)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例10とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0150】
(処方11-1:外層ゲル)
処方11-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方11-2:内層クリーム)
処方11-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)ジブチルヒドロキシトルエン:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0151】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0152】
(物性値の測定)
処方11-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方11-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方11-1のゲル製剤:最大荷重0.78N
・処方11-2のクリーム製剤:最大荷重1.11N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0153】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方11-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方11-2の乳化組成物11gを充填することで
図22の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0154】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図23として示した。
【0155】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図22の写真と
図23の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0156】
処方11-1および処方11-2の配合成分は、処方11-1は処方4-1と同じであり、処方11-2は処方4-2で配合していた天然ビタミンEを、ジブチルヒドロキシトルエンに変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、酸化防止剤は天然ビタミンEの他、ジブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤への変更により、製品の安定性を損ねることが無いことが明らかとなった。
【0157】
(実施例11)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例11とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0158】
(処方12-1:外層ゲル)
処方12-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方12-2:内層クリーム)
処方12-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0159】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0160】
(物性値の測定)
処方12-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方12-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方12-1のゲル製剤:最大荷重0.78N
・処方12-2のクリーム製剤:最大荷重1.36N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0161】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方12-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方12-2の乳化組成物11gを充填することで
図24の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0162】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図25として示した。
【0163】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図24の写真と
図25の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0164】
処方12-1および処方12-2の配合成分は、処方12-1は処方4-1と同じであり、処方12-2は処方4-2で配合していたキサンタンガムを、精製水に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、キサンタンガムの配合の有無により、製品の安定性に変化を与えることが無いことが明らかとなった。
【0165】
(実施例12)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例12とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0166】
(処方13-1:外層ゲル)
処方13-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)L-アルギニン:0.55(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方13-2:内層クリーム)
処方13-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)L-アルギニン:0.175(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0167】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0168】
(物性値の測定)
処方13-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方13-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方13-1のゲル製剤:最大荷重0.80N
・処方13-2のクリーム製剤:最大荷重1.01N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0169】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方13-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方13-2の乳化組成物11gを充填することで
図26の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0170】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図27として示した。
【0171】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図26の写真と
図27の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0172】
処方13-1および処方13-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた水酸化カリウムをL-アルギニンに変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、中和剤は水酸化カリウムの他、L-アルギニン等の中和剤への変更により、製品の安定性を損ねることが無いことが明らかとなった。
【0173】
(実施例13)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例13とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0174】
(処方14-1:外層ゲル)
処方14-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)トリエタノールアミン:0.5(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方14-2:内層クリーム)
処方14-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)トリエタノールアミン:0.15(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0175】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0176】
(物性値の測定)
処方14-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方14-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方14-1のゲル製剤:最大荷重0.85N
・処方14-2のクリーム製剤:最大荷重0.97N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0177】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方14-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方14-2の乳化組成物11gを充填することで
図28の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0178】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図29として示した。
【0179】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図28の写真と
図29の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0180】
処方14-1および処方14-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた水酸化カリウムをトリエタノールアミンに変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、中和剤は水酸化カリウムの他、トリエタノールアミン等の中和剤への変更により、製品の安定性を損ねることが無いことが明らかとなった。
【0181】
(実施例14)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例14とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0182】
(処方15-1:外層ゲル)
処方15-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:3(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方15-2:内層クリーム)
処方15-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:3(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0183】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0184】
(物性値の測定)
処方15-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方15-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方15-1のゲル製剤:最大荷重0.87N
・処方15-2のクリーム製剤:最大荷重0.94N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0185】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方15-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方15-2の乳化組成物11gを充填することで
図30の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0186】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図31として示した。
【0187】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図30の写真と
図31の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0188】
処方15-1および処方15-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた1,2-ペンタンジオールの配合量を4%から3%に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、1,2-ペンタンジオールの配合量を4%から3%の変更により、製品の安定性を損ねることが無いことが明らかとなった。
【0189】
(実施例15)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例15とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0190】
(処方16-1:外層ゲル)
処方16-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:5(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方16-2:内層クリーム)
処方16-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:5(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0191】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0192】
(物性値の測定)
処方16-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方16-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方16-1のゲル製剤:最大荷重0.85N
・処方16-2のクリーム製剤:最大荷重1.27N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0193】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方16-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方16-2の乳化組成物11gを充填することで
図32の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0194】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図33として示した。
【0195】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図32の写真と
図33の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0196】
処方16-1および処方16-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた1,2-ペンタンジオールの配合量を4%から5%に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、1,2-ペンタンジオールの配合量を4%から5%の変更により、製品の安定性を損ねることが無いことが明らかとなった。
【0197】
(実施例16)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例16とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0198】
(処方17-1:外層ゲル)
処方17-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方17-2:内層クリーム)
処方17-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0199】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0200】
(物性値の測定)
処方17-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方17-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方17-1のゲル製剤:最大荷重0.79N
・処方17-2のクリーム製剤:最大荷重0.77N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0201】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方17-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方17-2の乳化組成物11gを充填することで
図34の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0202】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図35として示した。
【0203】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図34の写真と
図35の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0204】
処方17-1および処方17-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた濃グリセリンを、精製水に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、濃グリセリンの配合の有無により、製品の安定性に変化を与えることが無いことが明らかとなった。
【0205】
(実施例17)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例17とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0206】
(処方18-1:外層ゲル)
処方18-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方18-2:内層クリーム)
処方18-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)マルチトールヒドロキシアルキル(12,14)エーテル液:0.3(重量%)
(B)エタノール:0.04(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0207】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0208】
(物性値の測定)
処方18-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方18-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方18-1のゲル製剤:最大荷重0.78N
・処方18-2のクリーム製剤:最大荷重1.06N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0209】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方18-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方18-2の乳化組成物11gを充填することで
図36の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0210】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図37として示した。
【0211】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図36の写真と
図37の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0212】
処方18-1の配合成分は処方4-1と同じであり、処方18-2の配合成分は処方4-2で配合していたラウリン酸マルチトールを、マルチトールヒドロキシアルキル(12,14)エーテル液に変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、ラウリン酸マルチトールの配合はマルチトールヒドロキシアルキル(12,14)エーテル液等の別の乳化剤に変更しても、製品の安定性に変化を与えることが無いことが明らかとなった。
【0213】
(実施例18)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例18とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0214】
(処方19-1:外層ゲル)
処方19-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方19-2:内層クリーム)
処方19-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0215】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0216】
(物性値の測定)
処方19-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方19-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方19-1のゲル製剤:最大荷重0.88N
・処方19-2のクリーム製剤:最大荷重0.88N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0217】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方19-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方19-2の乳化組成物11gを充填することで
図38の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0218】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図39として示した。
【0219】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図38の写真と
図39の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0220】
処方19-1および処方19-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していた1,2-ペンタンジオールを、パラオキシ安息香酸メチルに変更しただけである。本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じなかったことから、1,2-ペンタンジオールをパラオキシ安息香酸メチル等の防腐剤への変更により、製品の安定性に変化を与えることが無いことが明らかとなった。
【0221】
(実施例19)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例19とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0222】
(処方20-1:外層ゲル)
処方20-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)カルボキシビニルポリマー:0.4(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.12(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(A)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方20-2:内層クリーム)
処方20-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:5(重量%)
(A)セタノール:1(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.1(重量%)
(B)1,2-ペンタンジオール:4(重量%)
(B)カルボキシビニルポリマー:0.5(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(C)水酸化カリウム:0.18(重量%)
(B)濃グリセリン:10(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:1(重量%)
(B)ラウリン酸マルチトール:0.34(重量%)
(B)無水エタノール:0.07(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
【0223】
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0224】
(物性値の測定)
処方20-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方20-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方20-1のゲル製剤:最大荷重0.54N
・処方20-2のクリーム製剤:最大荷重1.58N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0225】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方20-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方20-2の乳化組成物11gを充填することで
図40の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0226】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図41として示した。
【0227】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分が膨張するとともに、クリームとゲルの境界面に僅かに濁りを生じた。このことは、
図40の写真と
図41の写真の比較からも明らかである。また、この傾向は6か月、40℃の長期保存においてより顕著であった。
【0228】
処方20-1および処方20-2の配合成分は、処方4-1および処方4-2で配合していたアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体をカルボキシビニルポリマーに変更し、適切なpHを維持できるように中和剤である水酸化カリウムの配合量を調整しただけである。
【0229】
本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じたことから、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合は、本製剤の剤型を維持する上で重要な要素であることが明らかとなった。
【0230】
(実施例20)
実施例3の処方を変更した処方を複数作製し、その製剤の適合性を評価することにした。その一例を実施例20とした。その具体的な製造方法は、以下のとおりである。
【0231】
(処方21-1:外層ゲル)
処方21-1の外層ゲルの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.7(重量%)
(B)水酸化カリウム:0.26(重量%)
(A)濃グリセリン:15(重量%)
(A)1,3-ブチレングリコール:15(重量%)
(A)パラオキシ安息香酸メチル:0.15(重量%)
(A)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加
(処方18-2:内層クリーム)
処方18-2の内層クリームの成分と調製方法は、以下のとおりである。
(A)トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル:11(重量%)
(A)2-エチルヘキサン酸セチル:5(重量%)
(A)メチルポリシロキサン:0.5(重量%)
(A)ベヘニルアルコール:2(重量%)
(A)親油型モノステアリン酸グリセリル:2.5(重量%)
(A)天然ビタミンE:0.1(重量%)
(A)水素添加大豆リン脂質:0.3(重量%)
(B)パラオキシ安息香酸メチル:0.2(重量%)
(B)キサンタンガム:0.1(重量%)
(B)濃グリセリン:0.1(重量%)
(B)アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体:0.23(重量%)
(B)1,3-ブチレングリコール:5(重量%)
(B)マルチトールヒドロキシアルキル(12,14)エーテル液:0.3(重量%)
(B)エタノール:0.04(重量%)
(B)N-ステアロイル-L-グルタミン酸ナトリウム:0.5(重量%)
(B)精製水:全量が100(重量%)になるように残量を添加した。
(C)水酸化カリウム:0.081(重量%)
成分(A)と成分(B)を別々に加熱し80℃で混合してから、10%に精製水を使用して溶解した成分(C)を加え、ホモミキサーを使用して攪拌した。室温まで冷却しながら攪拌することで、白色のクリーム状の乳化組成物を得た。
【0232】
(物性値の測定)
処方21-1のゲル製剤(外層部分/二層ゲルクリーム)と処方21-2のクリーム製剤(内層部分/二層ゲルクリーム)を上記の方法で調整した後、100mlのビーカーに100gとり、24時間、室温にて静置してから、最大荷重と比重を測定した。それぞれの物性値は以下の通りである。
・処方21-1のゲル製剤:最大荷重0.90N
・処方21-2のクリーム製剤:最大荷重0.43N
それぞれの製剤の最大荷重は、株式会社サン科学より購入したSUN RHEO METER(COMPAC100-II)により測定し、直径20mmの棒状プローブを60mm/minの速度で25mm貫入させた時に棒状プローブの断面積あたりにかかる荷重の最大値を測定した。
【0233】
(二層ゲルクリームの充填方法)
全量33gの透明のジャー容器、処方21-1のゲル22gをシリンジにより充填した。充填したゲルの底部より全量3分の2の部分に充填ノズルの先端を配置し、処方21-2の乳化組成物11gを充填することで
図42の写真に示す二層ゲルクリームを得た。
【0234】
(二層ゲルクリームの安定性確認)
充填後のゲルクリームを25℃にて90日静置し、90日後の外観を観察した。結果を示す写真を
図43として示した。
【0235】
1か月後、二層ゲルクリームの内層部分のクリーム製剤の大きさを比較したところ、製造直後のクリーム部分の大きさ、外観と共に全く変化は認められなかった。このことは、
図42の写真と
図43の写真の比較からも明らかである。また、6か月、40℃の長期保存においてもクリームとゲルの境界面に濁りを全く生じず、二層ゲルクリームの外観にも全く変化が生じなかった。
【0236】
処方21-1および処方21-2の配合成分は、処方1-1および処方1-2で配合していたカルボキシビニルポリマーをアクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体に変更し、適切なpHを維持できるように中和剤である水酸化カリウムの配合量を調整しただけである。
【0237】
本設計変更により二層ゲルクリームの安定性に変化が生じたことから、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体の配合は、本製剤の剤型を維持する上で重要な要素であることが明らかとなった。
【0238】
(実施例21)
実施例1~実施例3で作製した製剤の使用試験を行った。使用試験において、使用者にはヘラを使用して製剤を適量とり、肌へ使用するように指示した。使用後に、その使用感と機能性についてインタビュー形式で聞いた。下記に、本試験および配合成分、調製方法から確認できる製剤の機能性を列挙する。
【0239】
(機能性1)
実施例1~3の二層ゲルクリームは、1つの製剤中に、油性成分を豊富に含むクリームと、水性成分およびグリセリンや1,3-ブチレングリコールのような保湿成分を豊富に含む美容ゲルの機能性を併せ持つ製剤である。本製剤を外層部分と内部の製剤を含むようにヘラで取り肌に塗布したところ、美容ゲルの保湿感とクリームのコクを併せもつ特徴的な使用感であった。同時に、肌に対する高い保水効果および、エモリエント効果、保湿効果を実感できることを確認した。
【0240】
(機能性2)
実施例1~3の二層ゲルクリームは、水性成分を多量に含有する美容ゲル部分と、油性成分を多量に含有するクリーム部分からなる。このように二層ゲルクリームは、1つの製剤中で油性成分と水性成分が分離されている。これにより、配合できる成分の選択性が増加する。
【0241】
(機能性3)
実施例1~3の二層ゲルクリームは、外層部分のゲル製剤と、内部のクリーム製剤で2種の製剤が分断されており、内側のクリーム製剤の配合量は全量の3分の1程度である。従って、製剤全体に界面活性剤を分散させる必要が無く、乳化に必要な界面活性剤の使用量も3分の1程度まで低減できることを確認した。また、実施例1の二層ゲルクリームは、界面活性剤による肌への刺激性や負担が大幅に低減された使用感の製剤であること確認した。
【0242】
(機能性4)
実施例1~3の二層ゲルクリームを40℃、50℃、4℃、および、25℃の温度で保存し、3ヶ月後の状態変化を観察したが、いずれにおいても製剤に変化は認められなかった。本結果から、実施例1の二層充填ゲルクリームは、外層部分にグリセリンや1,3-ブチレングリコールのような保湿成分を高濃度で配合しているにも関わらず、高い安定性を持った製剤であることを確認した。
【0243】
(機能性5)
実施例1~3の二層ゲルクリームは、外層部分の透明性の高い美容ゲルと、内部のクリームの二種の異なる製剤が配合されている。使用試験により、ヘラを使って使用することで視覚的に二種の使用量を調節しながら製剤を使用することができることを確認した。すなわち、保湿成分が不足しがちな日中は透明性の高い水性美容ゲルを多く使用し、油分が不足しがちな就寝や洗顔後などは、油分を多く含むクリーム部分を多く使うという使い方で、視覚的に調整しながら1つの製剤を使用できる。このように二層ゲルクリームは一つの製品でありながら、肌の状態に応じた使い分けができる。
【0244】
(機能性6)
実施例1~3の二層ゲルクリームは内部のクリームが外層部分の美容ゲルで包みこまれた形状であり、二層ゲルクリームの内部のクリーム部分にのみ油溶性の香料を配合している。このため、使用試験では使用前の二層ゲルクリームは香りをほとんど感じることのできない製剤であったが、使用直後に新鮮な香りが広がる事を使用試験により確認した。また、使用後も内部のクリーム部分の大部分は透明性の高いゲルで包まれており、香りの鮮度は最後まで持続した。さらには、二層ゲルクリームは油性成分が外部の空気と直接触れる可能性が極めて少なく、内部のクリームに含まれる油性成分の酸化も抑えられ、経時的変化による油性成分の酸化臭を感じないことを確認した。
【0245】
(機能性7)
実施例1~20の二層ゲルクリームは
図2~
図43に示すように、透明性の高い美容ゲルに、すっぽりと球状のクリーム部分が包まれ美観性にも優れた外観であることを確認した。使用途中も、その美観性を損なうことなく使用できることも確認できた。
【0246】
このように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明はこの実施形体に限定して解釈されるべきではない。本発明は、特許請求の範囲によってその範囲が解釈されるべきことが理解される。当業者は、発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0247】
本発明によりゲル状、若しくは、クリーム状、半固体の製剤中に、組成および機能性の異なるゲル若しくは、クリーム状、半固体の球状の製剤を内包する化粧料を提供することができる。本発明の化粧料は、美観性に優れるとともに、1種の製剤で異なる2種の化粧料の機能性を併せ持つ化粧料である。
【符号の説明】
【0248】
1 化粧品
2 容器
A 外層の製剤
B 内部の製剤