(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】エーテル系化合物を含むゲル化可能な体系及びその製造方法並びに応用
(51)【国際特許分類】
H01M 10/0565 20100101AFI20221109BHJP
H01M 10/052 20100101ALI20221109BHJP
H01B 1/06 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01M10/0565
H01M10/052
H01B1/06 A
(21)【出願番号】P 2020515814
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(86)【国際出願番号】 CN2018088494
(87)【国際公開番号】W WO2018214971
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】201710386736.0
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710386738.X
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710386733.7
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710386734.1
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710385203.0
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710385201.1
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】501079107
【氏名又は名称】北京▲師▼▲範▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李林
(72)【発明者】
【氏名】劉鳳泉
(72)【発明者】
【氏名】周建軍
(72)【発明者】
【氏名】王▲ろ▼
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-056822(JP,A)
【文献】特開2002-343435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/0565
H01M 10/052
H01B 1/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル電解質の製造方法であって、上記ゲル電解質は、ゲル化可能な体系のゲル化により得られるもので;
上記ゲル化可能な体系は、リチウム塩、エーテル系化合物、リチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池用の電解液またはその溶剤、ゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーを含み;
上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖状エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種であり;
上記ゲル化可能な体系中の上記リチウム塩の質量百分含量は5重量%≦リチウム塩≦60重量%であり;上記エーテル系化合物の質量百分含量は20重量%≦エーテル系化合物≦60重量%であり;上記リチウムイオン電池またはリチウム硫黄電池用の電解液又はその溶媒の質量百分含量は5wt%≦電解液又はその溶媒≦75wt%であり;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの質量百分含量は≦1wt%であり;
上記製造方法は以下のステップを含むが:
1)リチウム塩をリチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池に用いられる電解液又はその溶媒に加え、均一に撹拌した後、リチウム塩を含む混合溶液が得られ;
2)エーテル系化合物を上記混合溶液に加え、撹拌下で混合体系,すなわち上記ゲル化可能な体系が得られ、上記
混合溶液を撹拌し続け、ゲル化
過程によりゲル、即ち上記ゲル電解質が得られ;
ステップ2)において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要があり;上記ゲルの形成温度は、上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は、30秒~300時間であることを特徴とするゲル電解質の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法に基づき、
上記ゲル化可能な体系はリチウムイオン電池に用いられるが、上記リチウム塩の質量百分含量は10重量%≦リチウム塩≦40重量%であり;上記環状エーテル系化合物の質量百分含量は20重量%≦エーテル系化合物≦60重量%であり;上記
リチウムイオン電池またはリチウム硫黄電池用の電解液又はその溶媒のうちリチウムイオン電池用の電解液又はその溶媒の質量百分含量は20wt%≦電解液又はその溶媒≦60wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項3】
請求項1に記載の製造方法に基づき、
上記ゲル化可能な体系はリチウム硫黄電池に用いられるが、上記リチウム塩の質量百分含有率は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%であり;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%であり;上記リチウム硫黄電池用の電解液又はその溶媒の質量百分含量は20wt%≦電解液又はその溶媒≦60wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項4】
請求項1に記載の製造方法に基づき、
上記ゲル化可能な体系はさらに無機ナノ粒子を含み;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦30wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
請求項4に記載の製造方法に基づき、
上記ゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%であり;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%であり;上記無機ナノ粒子の質量百分含有量は、0wt%<無機ナノ粒子≦15wt%であり;上記リチウムイオン電池またはリチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦60wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項6】
請求項4に記載の製造方法に基づき、
上記のゲル化可能な体系はさらに添加剤を含み、上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦60wt%であり;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%であり;上記添加剤の質量百分含有量は、5wt%≦添加剤≦60wt%であり;上記リチウムイオン電池またはリチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦60wt%であり;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の製造方法に基づき、
上記ゲル化可能な体系のうち、上記リチウム塩の質量百分含有率は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%であり;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%であり;上記添加剤の質量百分含有率は、20wt%≦添加剤≦60wt%であり;上記リチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池用の電解液又はその溶媒の質量百分含有率は、5wt%<電解液又はその溶媒≦30wt%であり;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦15wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項4に記載の製造方法に基づき、
上記ゲル化可能な体系のうち、上記リチウム塩の質量百分含有率は、2wt%≦リチウム塩≦20wt%であり;上記直鎖状エーテル系化合物の質量百分含有率は、80wt%≦直鎖状エーテル系化合物≦98wt%であり;上記リチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池用の電解液又はその溶媒の質量百分含有率は、5wt%≦電解液又はその溶媒≦75wt%であり;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項8に記載の製造方法に基づき、
上記リチウム塩の質量百分含有率は、5wt%≦リチウム塩≦20wt%であり;上記直鎖状エーテル系化合物の質量百分含有率は、80wt%<直鎖状エーテル系化合物≦95wt%であり;上記リチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池用の電解液又はその溶媒の質量百分含有率は、5wt%<電解液又はその溶媒≦60wt%であり;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
固体電解質の製造方法であって、上記固体電解質はゲル化可能な体系のゲル化により得られ;
上記ゲル化可能な体系は、リチウム塩、エーテル系化合物、リチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池用の電解液またはその溶剤、ゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーを含み;
上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物又は直鎖状エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種であり;
上記ゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の質量百分含有率は、20wt%≦リチウム塩≦50wt%であり、上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、50wt%≦環状エーテル系化合物≦80wt%であり;または、上記リチウム塩の質量百分含有率は、20wt%≦リチウム塩≦75wt%であり;上記直鎖状エーテル系化合物の質量百分含有率は、25wt%≦直鎖状エーテル系化合物≦80wt%であり、上記リチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池用の電解液又はその溶媒の質量百分含有率は、0wt%≦電解液又はその溶媒≦30wt%であり;
上記製造方法は以下のステップを含むが:
1’)リチウム塩をリチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池に用いられる電解液又はその溶媒に加え、均一に撹拌した後、リチウム塩を含む混合溶液が得られ;
2’)エーテル系化合物を上記混合溶液に加え、撹拌下で混合体系,すなわち上記ゲル化可能な体系が得られ、上記
混合溶液を撹拌し続け、ゲル化
過程により上記固体電解質が得られ;
ステップ2’)において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要があり;上記固体電解質の形成温度は、上記固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質の形成時間は、30分~150時間であることを特徴とする固体電解質の製造方法。
【請求項11】
請求項10に記載の製造方法に基づき、上記ゲル化可能な体系はさらに無機ナノ粒子を含み;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0<無機ナノ粒子≦30wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載の製造方法に基づき、上記ゲル化可能な体系はさらに添加剤を含み;
上記添加剤の質量百分含有量は、5wt%≦添加剤≦60wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
請求項1-12のいずれの一項に記載の製造方法に基づき、上記環状エーテル系化合物は、1個の酸素、2個の酸素、3個の酸素またはより多くの酸素を含む環状エーテル系化合物から選ばれ;
上記環状エーテル系化合物は、単環式、縮合環、スピロ環式または架橋環であることを特徴とする製造方法。
【請求項14】
請求項13に記載の製造方法に基づき、
上記環状エーテル系化合物は、下記の第一類~第四類化合物から選ばれる一種であり;
第一類化合物:
【化1】
第二類化合物:
【化2】
第三類化合物:
【化3】
第四類化合物:
【化4】
であることを特徴とする製造方法。
【請求項15】
請求項13に記載の製造方法に基づき、上記環状エーテル系化合物は、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、2-クロロメチルオキセタン、2-(クロロメチル)エポキシプロパン、1,3-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロピラン、オキサシクロブタン、オキソカン、オキソナン、オキサシクロへプタン、1,3-ジオキソラン(DOL)、1,4-ジオキサン、トリオキサン、18-クラウンー6、置換または無置換の12-クラウン-4、24-クラウン-8から選ばれることを特徴とする製造方法。
【請求項16】
請求項1-12のいずれの一項に記載の製造方法に基づき、上記直鎖状エーテル系化合物は式(1)で示す通り:
【化5】
そのうち、nは、0より大きい整数であり;
R
2は、直鎖または分岐鎖のC
1-C
6アルキレン、直鎖または分岐鎖のC
2-C
6アルケニレンから選ばれ;上記R
2上の炭素原子上のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基であり;
R
1およびR
3は、同じまたは異なり、お互い独立的に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、アルキニル基から選ばれる1種または多種であり;上記R
1およびR
3の炭素原子上のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基であることを特徴とする製造方法。
【請求項17】
請求項16に記載の製造方法に基づき、上記直鎖状エーテル系化合物は、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、1,4-ブチルグリコールジメチルエーテル、1,4-ブチルグリコールジエチルエーテル、1,4-ブチルグリコールメチルエチルエーテルから選ばれる一種または多種であることを特徴とする製造方法。
【請求項18】
請求項1-12のいずれの一項に記載の製造方法に基づき、上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフッ化ヒ素酸リチウム、過塩酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、ノナフルオロブタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アルミン酸リチウム、クロロアルミン酸リチウム、リチウム(フルオロスルホニル)イミド、塩化リチウム、ヨウ化リチウムから選ばれる1種または多種であることを特徴とする製造方法。
【請求項19】
リチウム系電池の製造方法であって、上記リチウム系電池はゲル電解質および/または固体電解質を含み;
上記ゲル電解質は請求項1-9、13-18のいずれの一項に記載の方法で製造し;
上記固体電解質は請求項10-18のいずれの一項に記載の方法で製造することを特徴とするリチウム系電池
の製造方法。
【請求項20】
請求項
19に記載の製造方法であって、上記リチウム系電池はリチウムイオン電池又はリチウム硫黄電池から選ばれることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、ゲル技術分野に属し、エーテル系化合物を含むゲル化可能な体系及びその製造方法並びに応用に関するものである。
【0002】
[技術背景]
近年、人間活動によって化石エネルギーが急激に減少され、一部のエネルギーは時期に枯渇を向かい、その活動に伴う環境の悪化や資源への非合理的な利用は、人間の生活と生産活動に無視できない影響をもたらしている。日々増えつつある人間の物質的需要を満足する共に、人間社会の安全かつ持続可能なの生産活動と生活活動とを確保するため、安全かつ環境に優しい新型エネルギー体系を開発することは目の前に迫っている。
【0003】
リチウムイオン電池は携帯型電子機器に限らず、例えば、デジタルカメラやノートブックなどの設備に活用できるし、そして電動工具や電気自動車でも幅広く活用されている。しかし、燃焼や爆発などの安全問題は、その発展に限界をもたらしている。リチウムイオン電池の安全問題には、主に正・負極材料の溶解、セパレータの貫通および液状電解液の揮発と液漏れなどの問題があるが、眼下、一般的に使われている液状電解液は、すべて揮発性液体から造られている共に電気化学反応の全過程に参与している。したがって、揮発性電解液の漏出、電池の可燃性、過電圧分解などの問題は、リチウムイオン電池の安全性に厳重な影響を与えている。
【0004】
液状電解液の漏出や可燃性などの問題を克服するため、無機固体電解質、ポリマー固体電解質およびポリマーゲル電解質等への研究は幅広く行われている。そのうち、無機固体電解質は、無機超イオン導電性を持つリチウム塩である;ポリマー固体電解質は、ポリマーとリチウム塩とからなる導電性をもつ固体であるが、今まで報告された固体電解質の導電性はどちらも理想的ではなく、それから造り上げた電池のサイクル性に大きな影響を与えている。
【0005】
リチウム硫黄電池はリチウム電池の一種として、主に硫黄元素を電池の正極とし、リチウム金属を負極にしたリチウム電池である。硫黄元素の地球貯蔵量は豊富であり、安価で環境にやさしいという特徴がある。硫黄を正極材料としたリチウム硫黄電池は、比較的に高い材料の理論比容量および電池の理論比エネルギーを有し、それぞれに1672mAh/gと、2600Wh/kgと、に達している。しかし、リチウム硫黄電池は、多くの欠点を抱えているため、その商業化は制限されている。例えば、活性物質の利用率が低いことや、放電中の中間生成物が電解液に溶解され「シャトル効果」などが生じる。
【0006】
多くの研究者は、リチウム硫黄電池の欠点を克服するために様々な正極材料を設計した。例えば、多孔質炭素担持硫黄、窒素をドーピングした硫黄 - 炭素複合材料などがあり、これら正極材料の設計は多硫化物の「シャトル効果」をある程度抑制した。しかし、正極の合成プロセスは複雑で時間もかかり、収率も低く、再現性も悪い。ゲル電解質および固体電解質は、多硫化物による「シャトル効果」を軽減はなはだしくは杜絶させることで、活性物質の利用率を向上させ、さらに、ゲル電解質と固体電解質は液体電解液の液漏れ問題を回避し、安全問題も杜絶することができる。
【0007】
ゲルとは、液体と固体との間に介する半固体体系であり、液体と固体との両方の利点と特徴とを兼備しているため、研究分野および生産生活におけるイシューとなった理由でもあり、多くの研究者は様々な材料をゲル状に設計する試みをしている。周知のよう、ゲル体系は多くの分野に活用することができる。例えば、リチウム電池の電解液を、ゲル電解質または固体電解質に設計することで、液体電解液の液漏れを改善し、安全リスクも軽減される;ゲル体系を人体に導入し、人工器官を構築することも可能である;またはゲル体系を建材などの分野に活用できる。
【0008】
今の段階では、一般的なゲル体系の構築には主に2種類がある:一種は、一種または多種の高分子を溶媒に直接的に導入することで、それによる網目構造または相互侵入網目構造を形成するが、このようなゲルは高い強度をもつ;もう一種は、有機低分子ゲルファクターをある溶媒中に導入し、高温下で当溶媒中に溶解させるが、室温または低温下でゲルを形成する。このようなゲルは一般に強度が低い。上記2つの方法で形成されるゲル体系は、リチウムイオン二次電池の電解液としても、人工器官の構築などの分野に用いられるにしても、全て原料から高分子を取り入れるかまたは合成手順が比較的複雑な低分子の有機ゲルファクターを取り入れることは避けられない。そして、煩雑で時間も長い方法が一般的に用いられて、製造するには時間がかかり原料コストも高いし、さらに、ポリマーの分子量の相違による得られたゲル体系も違うことが発生しやすく、上記ゲルから製造された製品には差がでるなどの問題を持っている。そして、今、報道されたゲル体系は全て不可逆であるので、一旦ゲルが破壊されたら、元の形状と特徴とを取り戻すことはできない。これらはゲルの使用と普及とを制限することにつながる。
【0009】
[発明内容]
従来技術の欠点を解決するため、本発明の目的の一つ目は、リチウム塩とエーテル系化合物とを含むゲル化可能な体系を提供して、上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物および/または直鎖状エーテル系化合物から選ばれる。当該体系には、さらに他の溶媒および/または電解液と、無機ナノ粒子と、添加剤などと、を含む。
【0010】
本発明の目的の二つ目は、上記ゲル化可能な体系をゲル化して製造したゲルまたは固体電解質、及び上記ゲルまたは固体電解質の製造方法及び応用を提供する。
【0011】
本発明の目的は、以下の技術案を通じて実現する:
リチウム塩およびエーテル系化合物を含むゲル化可能な体系であり、上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖状エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種である;体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーは、質量百分含量≦1重量%である。
【0012】
上記ゲル化可能な体系のゲル化により得られたゲルである;上記ゲル化可能な体系の中で、上記リチウム塩の質量百分含量は,2wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含量は,80wt%<環状エーテル系化合物≦98wt%である;または、上記リチウム塩の質量百分含量は,2wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記直鎖エーテル系化合物の質量百分含量は,80wt%≦直鎖エーテル系化合物≦98wt%である。
【0013】
上記ゲル化可能な体系のゲル化をへて得られる固体電解質である;上記ゲル化可能な体系の中で、上記リチウム塩の質量百分含量は、20wt%≦リチウム塩≦50wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含量は、50wt%≦環状エーテル系化合物≦80wt%である;または、上記リチウム塩の質量百分含量は,20wt%≦リチウム塩≦75wt%である;上記直鎖エーテル系化合物の質量百分含量は,25wt%≦直鎖エーテル系化合物≦80wt%である。
【0014】
上記ゲル電解質は上記ゲルを含むゲル電解質である。
【0015】
上記ゲル電解質および/または上記固体電解質を含むリチウム系電池である。
【0016】
上記ゲル、上記固体電解質または上記ゲル電解質のリチウム系電池分野、好ましくは、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池分野における応用である。
【0017】
[発明効果]
1、本発明では、ゲル化可能な体系及びそれから造られたゲルおよび/または固体電解質、ならびにそれらの製造方法および応用を提供する。出願人は、リチウム塩と、小分子エーテル系化合物と(例、環状エーテル系化合物または直鎖状エーテル系化合物)を混合し、両者の相互作用(例えば、新しい錯体の生成や自己組織化など)及び小分子環状エーテル系化合物の開環重合または重縮合または小分子直鎖エーテル系化合物の連鎖切断重合などの方式により、ゲル体系または固体体系を形成することができることを発見した。上記ゲル体系または固体体系は、通常のゲル体系または固体体系より優れた使用上の安全性をもつだけではなく、比較的良い強度可調性を持つ。原料の組成含量や種類を変えることで、まっとうからゲルの強度を改善させることができ、上記強度の改変は上記ゲル体系から上記固体体系中に拡張されるため、ゲル体系の応用範囲をより広くする。
【0018】
2、本発明記載のゲル化可能な体系から造られたゲルおよび固体電解質の強度と、形成時間(即ち、自由流動性をもつ液体状態から非流動性のゲル状態および/または固体電解質状態へ変換)と、転移温度(即ち、非流動性のゲル状態および/または固体電解質状態から自由流動性の液体状態へ変換する最低温度)と、は調整可能である。即ち、具体的な必要に応じて、異なる強度のゲルおよび固体電解質を造ることで、様々な必要に答えることができる。上記ゲルおよび固体電解質は、比較的強い耐衝撃性を有し、リチウム系電池分野に活用される場合、液体電解液の液漏れなどの問題を効果的に解決し、さらにリチウム系電池により高い充放電効率と、より良い耐衝撃性とを持だらし、「シャトル効果」を緩和はなはだしくは杜絶することができる共に、リチウム樹枝状結晶の成長によりセパレータまたは固体電解質が刺されて短絡することをよりよく防ぐため、上記リチウム系電池により高い安全性を持だらしている。
【0019】
3、本発明記載のゲル化可能な体系から造られたゲルおよび/または固体電解質は、比較的高い転移温度を有する共に可逆性も有する。もし、体系内に添加剤を添加すれば、元の体系中のゲルまたは固体電解質の強度を下げることができ、ゲルまたは固体電解質の転移温度を下げ、ゲルまたは固体電解質の可塑性を高め、ゲルまたは固体電解質の導電率を向上させ、より優れた性能を持つゲルまたは固体電解質を製造しうることができる。従って、添加剤の添加はゲル及び固体電解質の形成時間を延ばし、ゲル及び固体電解質の転移温度範囲を広げ、ゲルまたは固体電解質の導電率を向上させることができるので、ゲルまたは固体電解質の応用分野を拡大することができる。もし、体系内に無機ナノ粒子を添加すれば、ゲル体系および固体体系の機械的強度がさらに増強され、電解質膜の空隙率が高まり、電解質膜がより多くの液体電解質を吸着するようになるため、リチウムイオンのゲルまたは固体電解質中での移動率と導電率とを向上させる;上記ゲルまたは固体電解質の使用温度がその転移温度より高くなった場合、ゲルまたは固体電解質は流動性を持つようになるが、その温度を転移温度以下に冷却した場合は、可逆性を持つため、再びゲルまたは固体電解質に戻られ再利用することができる;そのものには、比較的高い転移温度と可逆性とをもつため、使用寿命が延ばされ、コスト節約に繋がり、環境に優しい新型ゲル材料になる。
【0020】
4、本発明記載のゲルおよび固体電解液の製造方法は、簡単、反応条件の優しい、反応周期の短い、生成物収率の高い、製造コストの低い、工業化製造も実現し易いものである。
【0021】
5、本発明記載のゲル化可能な体系から造られたゲルおよび固体電解質は、低温でより良いゲル状態または固体電解質状態を示す。即ち、上記ゲルまたは固体電解質の転移温度以下では、常に良いゲル状態または固体電解質状態を維持することができる。なお、低温下での上記ゲル及び固体電解質はより良い強度を示す。
【0022】
6、本発明記載のゲル化可能な体系から造られたゲルまたは固体電解質は、リチウム系電池(例、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池など)に応用することができ、なお、高温でも低温でも同じように使うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
[添付図]
【
図1】
図1は、実施例1-2のゲルの光学写真である。
【
図2】
図2は、実施例1-3の固体電解質の光学写真である。
【
図3】
図3は、実施例1-5の延伸可能なゲルの光学写真である。
【
図4】
図4は、実施例1-4で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図5】
図5は、実施例1-4で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図6】
図6は、実施例2-1で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図7】
図7は、実施例2-1で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図8】
図8は、実施例2-4で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図9】
図9は、実施例2-4で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図10】
図10は、実施例3-1で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図11】
図11は、実施例3-1で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図12】
図12は、実施例4-1で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図13】
図13は、実施例4-1で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図14】
図14は、実施例4-5で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図15】
図15は、実施例4-5で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図16】
図16は、実施例5-8の固体電解質の光学写真である。
【
図17】
図17は、実施例5-1で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図18】
図18は、実施例5-1で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図19】
図19は、実施例5-8で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図20】
図20は、実施例5-8で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図21】
図21は、実施例6-2の固体電解質の光学写真である。
【
図22】
図22は、実施例6-3で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図23】
図23は、実施例6-3で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図24】
図24は、実施例6-6で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。
【
図25】
図25は、実施例6-6で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図26】
図26は、実施例1-0で造られた固体電解質精製品の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図27】
図27は、実施例1-0で造られた固体電解質精製品の赤外線スペクトルである。
【
図28】
図28は、実施例1-9で造られたゲル電解質をマンガン酸リチウムソフトパック電池(1Ah)の電解液として組み立てた電池のサイクル能およびそれに対応するクーロン効率図である。
【
図29】
図29は、実施例2-8で造られた固体電解質をリン酸鉄リチウム電解質として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図30】
図30は、実施例3-8で造られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。
【
図31】
図31は、実施例1-5で造られたゲル電解質精製品の核磁気共鳴スペクトルである。
【
図32】
図32は、実施例2-5で造られた固体電解質精製品の核磁気共鳴スペクトルである。
【0024】
[実施方式]
「リチウム塩と環状エーテル系化合物とを含むゲル化可能な体系及びその製造ならびに応用」
本発明の第1番目は、リチウム塩およびエーテル系化合物を含むゲル化可能な体系を提供して、上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる;体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの質量百分含量は、≦1wt%である。上記ゲル化可能な体系で、各組成の重量百分比の合計は100wt%である。
【0025】
本発明において、上記リチウム塩の質量百分含有率は、2wt%≦リチウム塩≦50wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、50wt%≦環状エーテル系化合物≦98wt%である。
【0026】
そのうち、上記リチウム塩の質量百分含有率は、5wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、80wt%<環状エーテル系化合物≦95wt%である;または、上記リチウム塩の質量百分含有率は、20wt%≦リチウム塩≦30wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、70wt%≦環状エーテル系化合物≦80wt%である。
【0027】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、1個の酸素、2個の酸素、3個の酸素またはより多くの酸素を含む環状エーテル系化合物から選ばれる。上記環状エーテル系化合物は、単環式、スピロ環式、縮合環(例、ジシクロなど)または架橋環であって良い。
【0028】
本発明の第2番目は上記ゲル化可能な体系のゲル化により得られたゲルを提供する;上記リチウム塩の質量百分含有率は、2wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、80wt%<環状エーテル系化合物≦98wt%である。
【0029】
そのうち、上記リチウム塩の質量百分含有率は、5wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、80wt%<環状エーテル系化合物≦95wt%である。
【0030】
本発明において、上記ゲルの転移温度は30~100℃であり、好ましくは45~90℃である。
【0031】
本発明において、上記ゲルの導電率は10-5~10-2S/cmであり、好ましくは10-5~5×10-3S/cmである。
【0032】
本発明の第3番目は以下のステップを含む上記ゲルの製造方法を提供する:環状エーテル系化合物とリチウム塩とを混合し、撹拌することでリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、即ち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0033】
そのうち、上記ゲルの製造方法は具体的に以下のステップを含む:環状エーテル系化合物をリチウム塩内に添加し、撹拌することでリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0034】
本発明において、上記リチウム塩と環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法で上記リチウム塩および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う。
【0035】
本発明において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記ゲルの形成温度は上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は30秒から200時間である。
【0036】
本発明の第4番目は上記ゲル化可能な体系のゲル化により得られた固体電解質を提供する;上記リチウム塩の質量百分含有率は、20wt%≦リチウム塩≦50wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、50wt%≦環状エーテル系化合物≦80wt%である。
【0037】
そのうち、上記リチウム塩の質量百分含有率は、20wt%≦リチウム塩≦30wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、70wt%≦環状エーテル系化合物≦80wt%である。
【0038】
本発明において、上記固体電解質の転移温度は60~150℃であり、好ましくは70~110℃である。
【0039】
本発明において、上記固体電解質の導電率は10-7~10-3S/cmであり、好ましくは10-7~10-5S/cmである。
【0040】
本発明の第5番目は以下のステップを含む上記固体電解質の製造方法を提供する:環状エーテル系化合物とリチウム塩とを混合し、撹拌することでリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0041】
そのうち、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:環状エーテル系化合物をリチウム塩内に添加し、撹拌することでリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0042】
本発明において、上記リチウム塩と環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法で上記リチウム塩および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う。
【0043】
本発明において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記固体電解質の形成温度は上記固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質の形成時間は30分から100時間である。
【0044】
本発明の第6番目は上記のゲルを含むゲル電解質を提供する。
【0045】
本発明の第7番目は上記のゲル電解質及び/または固体電解質を含むリチウム系電池を提供する。
【0046】
本発明の第8番目は上記ゲルと、上記固体電解質、上記ゲル電解質の、リチウム系電池分野、例えばリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池などの分野における応用を提供する。
【0047】
「リチウム塩と、リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒及び環状エーテル系化合物と、を含むゲル化可能な体系及びその製造方法並びに応用」
本発明の第9番目はリチウムイオン電池用のリチウム塩、エーテル系化合物及びリチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒を含むリチウムイオン電池用のゲル化可能な体系を提供する:。上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる;また、体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの質量百分含有量は、≦1wt%である。
【0048】
上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系で、各組成の重量百分率の合計は100wt%である。
【0049】
本発明のうち、上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系における上記リチウムイオン電池用のリチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦75wt%である。
【0050】
そのうち、上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系における上記リチウムイオン電池用のリチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、20wt%≦質量百分含有量≦60wt%である。
【0051】
そのうち、上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系における上記リチウムイオン電池用のリチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦85wt%である;上記リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦30wt%である。
【0052】
本発明の第10番目はゲルを提供するが、そのものは上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系のゲル化を経て得られる;そのうち、上記リチウムイオン電池用のリチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、20wt%≦電解液またはその溶媒≦75wt%である。
【0053】
そのうち、上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系に置ける上記リチウムイオン電池用のリチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、20wt%≦電解液またはその溶媒≦60wt%である。
【0054】
本発明において、上記ゲルの転移温度は40~90℃であり、好ましくは60~75℃である。
【0055】
本発明において、上記ゲルの導電率は10-6~10-1S/cmであり、好ましくは10-5~5×10-2S/cmである。
【0056】
本発明の第11番目は、以下のステップを含む上記ゲルの製造方法を提供する:
1)リチウムイオン電池用のリチウム塩をリチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒に添加し、均一に撹拌することでリチウム塩を含む混合溶液が得られる。
【0057】
2)環状エーテル系化合物を上記混合溶液中に添加し、攪拌することで混合体系、すなわち上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0058】
本発明のうち、ステップ2)において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記ゲルの形成温度は上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は30秒から300時間である。
【0059】
本発明において、リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒と、リチウムイオン電池用のリチウム塩および環状エーテル系化合物は、事前の脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法でリチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒と、リチウムイオン電池用のリチウム塩および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う。
【0060】
本発明の第12番目は、上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系のゲル化により得られた固体電解質を提供する;そのうち、上記リチウムイオン電池用のリチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦30wt%である。
【0061】
そのうち、上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系に置ける上記リチウムイオン電池用のリチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦85wt%である;上記リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦30wt%である。
【0062】
本発明において、上記固体電解質の転移温度は65~130℃であり、好ましくは75~120℃である。
【0063】
本発明において、上記固体電解質の導電率は10-7~10-3S/cmであり、好ましくは10-6~10-3S/cmである。
【0064】
本発明の第13番目は、以下のステップを含む上記固体電解質の製造方法を提供する:
1)リチウムイオン電池用のリチウム塩を、リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒中に添加し、均一に攪拌することでリチウム塩を含む混合溶液が得られる;
2)環状エーテル系化合物を上記混合溶液中に添加し、攪拌することで混合体系、すなわち上記リチウムイオン電池用のゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0065】
本発明のうち、ステップ2)において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記固体電解質が形成される温度は上記固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質の形成時間は30分から150時間である。
【0066】
本発明において、リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒と、リチウムイオン電池用のリチウム塩および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法にてリチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒と、リチウムイオン電池用のリチウム塩および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う。
【0067】
本発明の第14番目は、上記のゲルを含むゲル電解質を提供する。
【0068】
本発明の第15番目は、上記ゲル電解質および/または固体電解質を含むリチウムイオン電池を提供する。
【0069】
本発明の第16番目は、上記ゲル、上記固体電解質の、上記ゲル電解質のリチウムイオン電池などの分野における応用を提供する。
【0070】
「リチウム塩と、リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒及び環状エーテル系化合物を含むゲル化可能な体系及びその製造ならびに応用」
本発明の第17番目は、リチウム塩、エーテル系化合物およびリチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒を含むリチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系を提供する;上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる;そして、体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの質量百分含有量は、≦1wt%である。
【0071】
上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系のうち、各組成の重量百分含有率の合計は100wt%である。
【0072】
本発明のうち、上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系における上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%<リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%=環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦75wt%である。
【0073】
そのうち、上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、20wt%≦電解液またはその溶媒≦60wt%である。
【0074】
そのうち、上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系における上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦85wt%である;上記リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%<電解液またはその溶媒<30wt%である。
【0075】
本発明の第18番目は、上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系のゲル化により得られたゲルを提供する;そのうち、上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%<リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%=環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、20wt%=電解液またはその溶媒≦75wt%である。
【0076】
そのうち、上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系における上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、20wt%≦電解液またはその溶媒≦60wt%である。
【0077】
本発明において、上記ゲルの転移温度は40~95℃であり、好ましくは、45~85℃である。
【0078】
本発明において、上記ゲルの導電率は10-5~10-1 S/cmであり、好ましくは、10-5~10-2 S/cmである。
【0079】
本発明の第19番目は、以下のステップを含む上記ゲルの製造方法を提供する:
1)リチウム塩を、リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒中に添加し、均一に攪拌することでリチウム塩を含む混合溶液が得られる;
2)環状エーテル系化合物を上記混合溶液中に添加し、攪拌することで混合体系、すなわち上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0080】
本発明のうち、ステップ2)において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記ゲルが形成される温度は上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は30秒から300時間である。
【0081】
本発明において、リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒、リチウム塩および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法でリチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒、リチウム塩、および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う。
【0082】
本発明の第20番目は、上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系のゲル化により得られた固体電解質を提供する;そのうち、上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦30wt%である。
【0083】
そのうち、上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系における上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦85wt%である;上記リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含有量は、5wt%≦電解液またはその溶媒≦30wt%である。
【0084】
本発明において、上記固体電解質の転移温度は60~130℃であり、好ましくは、80~110℃である。
【0085】
本発明において、上記固体電解質の導電率は10-7~10-3 S/cmであり、好ましくは、10-6~10-4 S/cmである。
【0086】
本発明の第21番目は、以下のステップを含む上記固体電解質の製造方法を提供する:
1)リチウム塩を、リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒中に添加し、均一に攪拌することでリチウム塩を含む混合溶液が得られる;
2)環状エーテル系化合物を上記混合溶液中に添加し、攪拌することで混合体系、すなわち上記リチウム硫黄電池用のゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0087】
本発明のうち、ステップ2)において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記固体電解質が形成される温度は上記固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質の形成時間は30分から100時間である。
【0088】
本発明において、リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒、リチウム塩および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法でリチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒、リチウム塩、および環状エーテル系化合物に対して事前の脱水処理を行う。
【0089】
本発明の第22番目は、上記ゲルを含むゲル電解質を提供する。
【0090】
本発明の第23番目は、上記ゲル電解質および/または固体電解質を含むリチウム硫黄電池を提供する。
【0091】
本発明の第24番目は、上記ゲル、上記固体電解質、上記ゲル電解質のリチウム硫黄電池などの分野における応用を提供する。
【0092】
「リチウム塩と、無機ナノ粒子と、環状エーテル系化合物と、を含むゲル化可能な体系及びその製造方法並びに応用」
本発明の第25番目は、リチウム塩、エーテル系化合物、および無機ナノ粒子を含むゲル化可能な体系を提供する;上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる;そして、体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの質量百分含有量は、≦1wt%である。
【0093】
上記ゲル化可能な体系において、各組成の重量百分率の合計は100wt%である。
【0094】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有率は、5wt%<リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦95wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦30wt%である。
【0095】
そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有率は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦15wt%である。
【0096】
そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有率は、10wt%<リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、60wt%<環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%である。
【0097】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系は他の溶媒および/または電解液も含む。上記他の溶媒および/または電解液とは、リチウム硫黄電池用の電解液と、リチウム硫黄電池電解液用の溶媒と、リチウムイオン電池用の電解液と、リチウムイオン電池電解液用の溶媒と、から選ばれる少なくとも一種を含む。
【0098】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦75wt%である;好ましくは、上記ゲル化可能な体系に置ける上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、5wt%≦他の溶媒および/または電解液≦60wt%である。
【0099】
本発明の第26番目は上記ゲル化可能な体系のゲル化により得られたゲルを提供する;そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%<リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0<無機ナノ粒子≦30wt%である;上記(d)他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦75wt%である。
【0100】
そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦15wt%である;上記(d)他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、5wt%≦他の溶媒および/または電解液≦60wt%である。
【0101】
本発明において、上記ゲルの転移温度は40~170℃であり、好ましくは45~105℃である。
【0102】
本発明において、上記ゲルの導電率は10-5~10-1S/cmであり、好ましくは10-5~8×10-2S/cmである。
【0103】
本発明の第27番目は以下のステップを含む上記ゲルの製造方法を提供する:
無機ナノ粒子、リチウム塩、および環状エーテル系化合物を混合し、撹拌することで無機ナノ粒子を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0104】
好ましくは、上記ゲルの製造方法は、具体的に以下のステップを含む:
1)無機ナノ粒子を、環状エーテル系化合物中に添加し、均一に分散された混合溶液を製造し得る;
2)上記で製造した混合溶液をリチウム塩内に添加し、攪拌することで無機ナノ粒子を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0105】
好ましくは、上記ゲルの製造方法は、具体的に以下のステップを含む:
無機ナノ粒子と、リチウム塩と、環状エーテル系化合物と、他の溶媒および/または電解液と、を混合し、撹拌することで無機ナノ粒子を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0106】
さらに好ましくは、上記ゲルの製造方法は、具体的に以下のステップを含む:
1’)無機ナノ粒子を、環状エーテル系化合物中に添加し、均一に分散された混合溶液を製造し得る;
2’)リチウム塩を、他の溶媒および/または電解液で溶解することで、リチウム塩溶液を製造し得る;
3’)ステップ1’)で製造した混合溶液を、ステップ2’)で製造したリチウム塩溶液に添加し、攪拌することで無機ナノ粒子を含む他の溶媒および/または電解液に溶解されたリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0107】
本発明において、上記リチウム塩、環状エーテル系化合物、無機ナノ粒子、および他の溶媒および/または電解液に対して事前の脱水処理を行う;好ましくは、モレキュラーシーブおよび/または真空乾燥の方法で上記リチウム塩、環状エーテル系化合物、および無機ナノ粒子と、他の溶媒および/または電解液に対して事前の脱水処理を行う。
【0108】
本発明において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記ゲルが形成される温度は上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は30秒から300時間である。
【0109】
本発明の第28番目は上記ゲル化可能な体系のゲル化により得られた固体電解質を提供する;そのうち、上記ゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%<リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、60wt%<環状エーテル系化合物≦95wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦30wt%である;上記(d)他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦75wt%である。
【0110】
そのうち、上記ゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%<リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有率は、60wt%<環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%である;上記(d)他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、5wt%≦他の溶媒および/または電解液≦60wt%である。
【0111】
本発明において、上記固体電解質の転移温度は70~180℃であり、好ましくは72~145℃である。
【0112】
本発明において、上記固体電解質の導電率は10-7~10-2S/cmであり、好ましくは10-6~2×10-3S/cmである。
【0113】
本発明の第29番目は以下のステップを含む上記固体電解質の製造方法を提供する:
無機ナノ粒子、リチウム塩、および環状エーテル系化合物を混合し、攪拌することで無機ナノ粒子を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0114】
好ましくは、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
a)無機ナノ粒子を、環状エーテル系化合物内に添加し、均一に分散された混合溶液を製造しうる;
b)上記で製造した混合溶液を、リチウム塩に添加し、攪拌することで無機ナノ粒子を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0115】
さらに好ましくは、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
無機ナノ粒子、リチウム塩、環状エーテル系化合物、および他の溶媒及び/または電解液を混合し、撹拌することで無機ナノ粒子を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、即ち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を撹拌し、ゲル化により上記固体電解質がえられる。
【0116】
さらに好ましくは、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
a’)無機ナノ粒子を、環状エーテル系化合物に添加し、均一に分散された混合溶液を製造しうる;
b’)リチウム塩を、他の溶媒および/または電解液に溶解し、リチウム塩溶液を製造しうる;
c’)ステップa’)で製造した混合溶液を、ステップb’)で製造したリチウム塩溶液に添加し、攪拌することで無機ナノ粒子を含む他の溶媒および/または電解液に溶解したリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0117】
本発明において、上記リチウム塩、環状エーテル系化合物、無機ナノ粒子、および他の溶媒および/または電解液に対して事前の脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法で上記リチウム塩、環状エーテル系化合物、無機ナノ粒子、および他の溶媒および/または電解液に対して事前の脱水処理を行う。
【0118】
本発明のうち、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記固体電解質が形成される温度は上記ゲル固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質の形成時間は30分から150時間である。
【0119】
本発明の第30番目は、上記ゲルを含むゲル電解質を提供する。
【0120】
本発明の第31番目は、上記ゲル電解質および/または固体電解質を含むリチウム系電池を提供する。
【0121】
本発明の第32番目は、上記ゲル、上記リチウム固体電解質のリチウム系電池、建築材料などの分野における応用を提供する。
【0122】
本発明の第33番目は、上記ゲル電解質のリチウム系電池などの分野、における応用を提供する。好ましくは、上記リチウム系電池は、リチウムイオン電池と、リチウム硫黄電池と、リチウム空気電池と、の少なくとも一種を含む。
【0123】
「リチウム塩と、添加剤および環状エーテル系化合物と、を含むゲル化可能な体系およびその製造方法並びに応用」
本発明の第34番目は、リチウム塩、エーテル系化合物、および添加剤を含むゲル化可能な体系を提供する。上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物から選ばれる;上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンド物から選ばれる一種または多種である;体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの質量百分含有量は≦1wt%である。
【0124】
上記ゲル化可能な体系中の各組成の重量百分率の合計は100wt%である。
【0125】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記添加剤の質量百分含有量は、5wt%≦添加剤≦60wt%である。
【0126】
そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記添加剤の質量百分含有量は、20wt%<添加剤≦60wt%である。
【0127】
そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記添加剤の質量百分含有量は、5wt%≦添加剤≦20wt%である。
【0128】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はさらに、他の溶媒および/または電解液を含むが、上記他の溶媒および/または電解液は、リチウム硫黄電池用の電解液、リチウム硫黄電池電解液用の溶媒、リチウムイオン電池用の電解液、リチウムイオン電池電解液用の溶媒中の少なくとも一種を含む。
【0129】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦60wt%である;好ましくは、上記ゲル化可能な体系に置ける上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%<他の溶媒および/または電解液≦25wt%である。
【0130】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系はさらに無機ナノ粒子を含んで良い。
【0131】
本発明のうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記無機ナノ粒子の質量百分含有量は、0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%である。好ましくは、上記ゲル化可能な体系に置ける上記無機ナノ粒子の質量百分含有量は、0wt%<無機ナノ粒子≦15wt%である。
【0132】
本発明の第35番目は、上記ゲル化可能な体系のゲル化により得られたゲルを提供する;そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記添加剤の質量百分含有量は、5wt%≦添加剤≦60wt%である;上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦60wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有量は、0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%である。
【0133】
そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、20wt%≦環状エーテル系化合物≦60wt%である;上記添加剤の質量百分含有量は、20wt%≦添加剤≦60wt%である;上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%<他の溶媒および/または電解液≦30wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有量は、0wt%<無機ナノ粒子≦15wt%である。
【0134】
本発明のうち、上記ゲルの転移温度は30~150度であり、好ましくは、40から100度である。
【0135】
本発明のうち、上記ゲルの導電率は10-4~10-1S/cmであり、好ましくは、10-3~5×10-2S/cmである。
【0136】
本発明の第36番目は、以下のステップを含む上記ゲルの製造方法を提供する:
添加剤、リチウム塩、および環状エーテル系化合物を混合し、撹拌することで添加剤を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわちゲル化可能な体系を製造する。引き続き上記溶液を撹拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0137】
好ましくは、上記ゲルの製造方法は具体的に以下のステップを含む:
1)添加剤を、環状エーテル系化合物内に添加し、均一な混合溶液を製造しうる;
2)上記で造った均一な混合溶液を、リチウム塩内に添加し、攪拌下で添加剤を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち、上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0138】
好ましくは、上記ゲルの製造方法は具体的に以下のステップを含む:
添加剤、リチウム塩、環状エーテル系化合物、および他の溶媒および/または電解液および/または無機ナノ粒子を混合し、攪拌することで添加剤を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0139】
さらに好ましくは、上記ゲルの製造方法は、具体的に以下のステップを含む:
1’)添加剤、および任意の無機ナノ粒子を、環状エーテル系化合物内に添加し、均一に分散された混合溶液が得られる;
2’)リチウム塩を、他の溶媒および/または電解液内に溶解させ、リチウム塩溶液を製造しうる;
3’)ステップ1’)で製造した混合溶液を、ステップ2’)で製造したリチウム塩溶液に添加し、撹拌することで添加剤、および任意の無機ナノ粒子を含む、他の溶媒および/または電解液を溶解したリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0140】
さらに好ましくは、上記ゲルの製造方法は具体的に以下のステップを含む:
1’’)添加剤、および無機ナノ粒子を、環状エーテル系化合物に添加し、均一に分散された混合溶液を製造しうる;
2’’)ステップ1’’)で造った混合溶液を、リチウム塩に添加し、攪拌することで添加剤、および無機ナノ粒子を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0141】
本発明において、上記リチウム塩、環状エーテル系化合物、添加剤、無機ナノ粒子、および他の溶媒および/または電解液に対して事前脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法で上記リチウム塩、環状エーテル系化合物、添加剤、無機ナノ粒子、および他の溶媒および/または電解液に対して事前脱水処理を行う。
【0142】
本発明において、上記ゲルが形成される温度は、上記ゲルの転移温度より低く、ゲルの形成時間は5分~500時間である。
【0143】
本発明の第37番目は、上記ゲル化可能な体系のゲル化により得られた固体電解質を提供する;そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記添加剤の質量百分含有量は、5wt%≦添加剤≦60wt%である;上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦60wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有量は、0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%である。
【0144】
そのうち、上記ゲル化可能な体系に置ける上記リチウム塩の質量百分含有量は、10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、60wt%<環状エーテル系化合物≦90wt%である;上記添加剤の質量百分含有量は、5wt%≦添加剤≦20wt%である;上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有量は、0wt%<他の溶媒および/または電解液≦15wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有量は、0wt%<無機ナノ粒子≦15wt%である。
【0145】
本発明において、上記固体電解質の転移温度は70~170℃であり、好ましくは80~120℃である。
【0146】
本発明において、上記固体電解質の導電率は10-7~10-3S/cmであり、好ましくは10-5~10-3S/cmである。
【0147】
本発明の第38番目は、以下のステップを含む上記固体電解質の製造方法を提供する:
添加剤、リチウム塩、および環状エーテル系化合物を混合し、撹拌することで添加剤を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち、ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を撹拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0148】
好ましくは、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
1)添加剤を、環状エーテル系化合物に添加し、均一な混合溶液を製造し得る;
2)上記で造った均一な混合溶液を、リチウム塩に添加し、撹拌することで添加剤を含むリチウム塩のエーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を撹拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0149】
好ましくは、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
添加剤、リチウム塩、環状エーテル系化合物、および他の溶媒および/または電解液および/または無機ナノ粒子を混合し、撹拌することで添加剤を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を撹拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0150】
さらに好ましくは、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
1’)添加剤および任意の無機ナノ粒子を、環状エーテル系化合物内に添加し、均一に分散した混合溶液を製造しうる;
2’)リチウム塩を他の溶媒および/または電解液に溶解させることで、リチウム塩溶液を製造しうる;
3’)ステップ1’)で造った混合溶液を、ステップ2 ')で造ったリチウム塩溶液に添加し、撹拌することで添加剤及び任意の無機ナノ粒子を含み、他の溶媒及び/または電解液を溶解したリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち、上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を撹拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0151】
さらに好ましくは、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
1’’)添加剤および無機ナノ粒子を、環状エーテル系化合物中に添加し、均一に分散した混合溶液を製造しうる;
2’’)ステップ1’’)で造った混合溶液を、リチウム塩に添加し、撹拌することで添加剤及び無機ナノ粒子を含むリチウム塩の環状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を撹拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0152】
本発明において、上記リチウム塩、環状エーテル系化合物、添加剤、無機ナノ粒子、および他の溶媒および/または電解液に対して事前脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法にて上記リチウム塩、環状エーテル系化合物、添加剤、無機ナノ粒子および他の溶媒および/または電解液に対して事前脱水処理を行う。
【0153】
本発明において、上記固体電解質の形成温度は、上記固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質の形成時間は、50分~200時間である。
【0154】
本発明の第39番目は、上記のゲルを含むゲル電解質を提供する。
【0155】
本発明の第40番目は、上記のゲル電解質および/または固体電解質を含むリチウム系電池を提供する。
【0156】
本発明の第41番目は、上記ゲル、上記固体電解質、上記ゲル電解質のリチウム系電池などの分野における応用を提供する。好ましくは、上記リチウム系電池は、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池中の少なくとも1種を含む。
【0157】
「リチウム塩と直鎖状エーテル系化合物とを含むゲル化可能な体系及びその製造並びに応用」
本発明の第42番目は、リチウム塩およびエーテル系化合物を含むゲル化可能な体系を提供する:上記エーテル系化合物は直鎖状エーテル系化合物から選ばれる;体系中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーの質量百分含有率は≦1wt%である。
【0158】
上記ゲル化可能な体系において、各組成の重量百分率の合計は100wt%である。
【0159】
本発明において、上記リチウム塩の質量百分含有率は2wt%≦リチウム塩≦75wt%である;上記直鎖状エーテル系化合物の質量百分含有率は25wt%≦直鎖状エーテル系化合物≦98wt%である。
【0160】
そのうち、上記リチウム塩の質量百分含有率は5wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記直鎖状エーテル系化合物の質量百分含有率は80wt%<直鎖状エーテル系化合物≦95wt%である;または、上記リチウム塩の質量百分含有率は20wt%≦リチウム塩≦30wt%である;上記直鎖状エーテル系化合物の質量百分含有率は70wt%≦直鎖状エーテル系化合物≦80wt%である。
【0161】
本発明において、上記ゲル化可能な体系はさらに、他の溶媒および/または電解液を含み、上記他の溶媒および/または電解液は、リチウム硫黄電池用の電解液、リチウム硫黄電池電解液用の溶媒、リチウムイオン電池用の電解液、リチウムイオン電池電解液用の溶媒中の少なくとも1種を含む。
【0162】
本発明において、上記ゲル化可能な体系中に置ける上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有率は0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦75wt%である;好ましくは、上記ゲル化可能な体系中の上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有率は0wt%<他の溶媒および/または電解液≦60wt%である。
【0163】
本発明において、上記ゲル化可能な体系中にはさらに無機ナノ粒子を含んで良い。
【0164】
本発明において、上記ゲル化可能な体系中の上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%である;好ましくは、上記ゲル化可能な体系中の上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%である。
【0165】
本発明の第43番目は、上記のゲル化可能な体系のゲル化により得られたゲルを提供する;そのうち、上記リチウム塩の質量百分含有率は2wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記直鎖エーテル系化合物の質量百分含有率は80wt%≦直鎖エーテル系化合物≦98wt%である;上記の質量百分含有率は0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦75wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%である。
【0166】
好ましくは、上記リチウム塩の質量百分含有率は5wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記直鎖エーテル系化合物の質量百分含有率は80wt%<直鎖エーテル系化合物≦95wt%である;上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有率は0wt%<他の溶媒および/または電解液≦60wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%である。
【0167】
本発明のうち、上記ゲルの転移温度は、40~170℃であり、好ましくは、55~130℃であり、さらに好ましくは、55~85℃である。
【0168】
本発明のうち、上記ゲルの導電率は、10-5~10-1S/cmであり、好ましくは、10-5~5×10-2S/cmである。
【0169】
本発明の第44番目は、以下のステップを含む上記ゲルの製造方法を提供する:
直鎖状エーテル系化合物、リチウム塩、任意の他の溶媒および/または電解液、および任意の無機ナノ粒子を混合し、攪拌することでリチウム塩の直鎖状エーテル系化合物の溶液、すなわち、上記ゲル化可能な体系が得られる。上記溶液を引き続き攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0170】
好ましくは、上記ゲルの製造方法は具体的に以下のステップを含む:
直鎖状エーテル系化合物をリチウム塩中に添加し、攪拌することでリチウム塩の直鎖状エーテル系化合物溶液が得られ、任意に他の溶媒および/または電解液および/または無機ナノ粒子をリチウム塩の直鎖状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系中に添加し、上記溶液を引き続き攪拌し、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0171】
本発明では、上記リチウム塩、直鎖状エーテル系化合物、任意の他の溶媒および/または電解液および任意の無機ナノ粒子に対して事前脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法にて上記リチウム塩、直鎖状エーテル系化合物、任意の他の溶媒および/または電解液および任意の無機ナノ粒子に対して事前脱水処理を行う。
【0172】
本発明において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記ゲルの形成温度は上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は30秒~300時間である。
【0173】
本発明の第45番目は、上記ゲル化可能な体系のゲル化により得られた固体電解質を提供する;其の内、上記リチウム塩の質量百分含有率は20wt%≦リチウム塩≦75wt%である;上記直鎖状エーテル系化合物の質量百分含有率は25wt%≦直鎖状エーテル系化合物≦80wt%である;上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有率は0wt%≦他の溶媒および/または電解液≦75wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%である。
【0174】
好ましくは、上記リチウム塩の質量百分含有率は20wt%≦リチウム塩≦30wt%である;上記直鎖エーテル系化合物の質量百分含有率は70wt%≦直鎖エーテル系化合物≦80wt%である;上記他の溶媒および/または電解液の質量百分含有率は0wt%<他の溶媒および/または電解液≦60wt%である;上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%である。
【0175】
本発明のうち、上記固体電解質の転移温度は70~140℃であり、好ましくは、75~110℃である。
【0176】
本発明のうち、上記固体電解質の導電率は10-7~10-3S/cmであり、好ましくは、10-6~10-3S/cmであり、さらに好ましくは、10-5~10-3S/cmである。
【0177】
本発明の第46番目は、以下のステップを含む上記固体電解質の製造方法を提供する:
直鎖状エーテル系化合物、リチウム塩、任意の他の溶媒および/または電解液、および任意の無機ナノ粒子を混合し、撹拌することでリチウム塩の直鎖状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られる。引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0178】
好ましくは、上記固体電解質の製造方法は具体的に以下のステップを含む:
直鎖状エーテル系化合物を、リチウム塩中に添加し、撹拌することでリチウム塩の直鎖状エーテル系化合物溶液が得られ、任意に他の溶媒および/または電解液および/または無機ナノ粒子をリチウム塩の直鎖状エーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系に添加し引き続き上記溶液を攪拌し、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0179】
本発明において、上記リチウム塩、直鎖状エーテル系化合物、任意の他の溶媒および/または電解液および任意の無機ナノ粒子に対して事前脱水処理を行う;好ましくは、分子篩および/または真空乾燥の方法で上記リチウム塩、直鎖状エーテル系化合物、任意の他の溶媒および/または電解液および任意の無機ナノ粒子に対して事前脱水処理を行う。
【0180】
本発明において、上記ゲル化過程は静置条件下で行う必要がある。上記固体電解質の形成温度は上記固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質の形成時間は30分~200時間である。
【0181】
本発明の第47番目は、上記ゲルを含むゲル電解質を提供する。
【0182】
本発明の第48番目は、上記ゲル電解質および/または固体電解質を含むリチウム系電池を提供する。
【0183】
本発明の第49番目は、上記ゲル、上記ゲル固体電解質、上記ゲル電解質のリチウム系電池などの分野における応用を提供する。好ましくは、上記リチウム系電池は、リチウムイオン電池、リチウム硫黄電池、リチウム空気電池中の少なくとも1種を含む。
【0184】
「環状エーテル系化合物」
本発明のゲル化可能な体系は、エーテル系化合物を含み、上記エーテル系化合物は環状エーテル系化合物から選ばれる。上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC2~C20シクロアルカン(すなわち、環状構造中の炭素数は2-20個)または少なくとも1個の酸素原子を含むC3~C20シクロアルケン(すなわち、環状構造中の炭素数は3-20個)から選ばれ、そのうち、少なくとも1個の炭素炭素二重結合を含む。
【0185】
本発明において、上記シクロアルカンまたはシクロアルケンは、単環式環、縮合環(例、ジシクロ)、スピロ環または架橋環である。上記シクロアルカンまたはシクロアルケンがスピロ環または架橋環であり且つ2個以上の酸素原子を含む場合、酸素原子は一つの環上にあっても良いし、複数の環上にあっても良い。
【0186】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC2~C20単環式アルカンから選ばれ、好ましくは少なくとも1個の酸素原子を含むC3~C20単環式アルカンから選ばれ、例えば、下記の第一類化合物中の一種である:
【0187】
【0188】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC4~C20縮合環式アルカンから選ばれ、例えば、下記の第二類化合物中の一種である:
【0189】
【0190】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC4~C20架橋環式アルカンから選ばれ、例えば、下記の第三類化合物中の一種である:
【0191】
【0192】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC4~C20スピロ環式アルカンから選ばれ、例えば、下記の第四類化合物中の一種である:
【0193】
【0194】
本発明において、上記4種類の化合物中の環状構造上のC-C結合の少なくとも1つがC = Cに置換され、かつ、安定的に存在する化合物は、上記の少なくとも1つの酸素原子を含むC3~C20環状アルケンであり、本発明が優先する環状エーテル系化合物の一種である。
【0195】
本発明のうち、上記環状アルカンまたは環状アルケンが、単環または縮合環である場合、その環上の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されて良い;上記環状アルカンまたは環状アルケンが、架橋環である場合、その非架橋結合環の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されて良い;上記環状アルカンまたは環状アルケンが、スピロ環である場合、その環上の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されて良い;上記R1基は、以下の基から選ばれる一種:アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ、ハロアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリル基オキシ基、ヘテロシクリル基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル、ニトロ、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基。
【0196】
本発明のうち、上記1個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換のトリメチレンオキシド、置換または無置換のテトラヒドロフラン、置換または無置換のテトラヒドロピランから選ばれる。上記置換基の個数は、1個または複数であって良い;上記置換基は、上記のR1基である。
【0197】
本発明のうち、上記の1個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、2-クロロメチルオキセタン、2-(クロロメチル)プロピレンオキシド、1,3-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロピラン、オキサシクロへプタン、オキサシクロオクタン、オキサシクロノナンまたはオキサシクロデカンから選ばれる。
【0198】
本発明のうち、上記の2個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換の1,3-ジオキソラン(DOL)、置換または無置換の1,4-ジオキサンから選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数であって良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0199】
本発明のうち、上記3個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換のトリオキサンから選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数であって良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0200】
本発明のうち、上記のより多くの酸素を含むエーテル系化合物は、置換または無置換の18クラウン6、置換または無置換の12-クラウン-4、置換または無置換の24-クラウン-8から選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数であって良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0201】
[直鎖状エーテル系化合物]
本発明のゲル化可能な体系には、エーテル系化合物が含まれ、上記エーテル系化合物は、直鎖状エーテル系化合物から選ばれる。上記直鎖状エーテル系化合物は式(1)で示す通り:
【0202】
【0203】
そのうち、nは、0より大きい整数である;R2は、直鎖または分岐鎖のC1-C6アルキレン、直鎖または分岐鎖のC2-C6アルケニレンから選ばれる;上記R2上の炭素原子上のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基である。
【0204】
R1およびR3は、同じまたは異なり、お互い独立的に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、アルキニル基から選ばれる1種または多種である;上記R1およびR3の炭素原子上のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基である。
【0205】
其の内、nは、1~6の間の整数である;R2は、直鎖または分岐鎖のC1-C4のアルキレン、直鎖または分岐鎖のC2-C6のアルケニレンから選ばれる;R1とR3とは、同じまたは異なり、お互い独立的に直鎖または分岐鎖のC1-C6のアルキル基から選ばれる。
【0206】
其の内、R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基から選ばれる;R1とR3とは、同じまたは異なり、お互い独立的にメチル基、エチル基、プロピル基から選ばれる。
【0207】
其の内、上記直鎖状エーテル系化合物は、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、1,4-ブチルグリコールジメチルエーテル、1,4-ブチルグリコールジエチルエーテル、1,4-ブチルグリコールメチルエチルエーテルなどから選ばれる一種または多種である。
【0208】
本発明のうち、上記直鎖状エーテル系化合物は、例えば以下の化合物から選ばれる一種である:
【0209】
【0210】
[他の溶媒及び/または電解液]
本発明のうち、上記他の溶媒及び/または電解液は、リチウム硫黄電池用の電解液、リチウム硫黄電池電解液用の溶媒、リチウムイオン電池用の電解液、リチウムイオン電池電解液用の溶媒中の少なくとも1種を含む。
【0211】
本発明のうち、上記リチウムイオン電池用の電解液は、リチウムイオン電池用のリチウム塩を含むエステル系混合液、例えば1M ヘキサフッ化リン酸リチウム(LiPF6)を含んだ炭酸エチレン(EC)と炭酸ジメチル(DMC)との混合液から選ばれ、そのうち、炭酸エチレン(EC)と、炭酸ジメチル(DMC)と、の体積比は1:1である。
【0212】
本発明のうち、上記リチウムイオン電池電解液用の溶媒は、リチウムイオン電池の電解液用の環状非水有機溶媒と、リチウムイオン電池の電解液用の鎖状非水有機溶媒と、から選ばれる少なくとも一種である。
【0213】
本発明のうち、上記環状非水有機溶媒は、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、フルオロ炭酸エチレン(FEC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、亜硫酸エチレン(ES)、亜硫酸プロピレン(PS)、スルホラン(SL)、炭酸グリセリル(GC)から選ばれる少なくとも1種である。
【0214】
本発明のうち、上記鎖状非水有機溶媒は、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(EMC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸エチル(EP)、酪酸エチル(EB)、酪酸メチル(MB)、亜硫酸ジメチル(DMS)、亜硫酸ジエチル(DES)、亜硫酸メチルエチル(EMS)、ジメチルスルホン(MSM)、ジメチルスルホキシド(DMSO)から選ばれる少なくとも1種である。
【0215】
本発明のうち、上記リチウムイオン電池用の電解液は、リチウム塩を含むエーテル系混合液、例えば1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を含む1,3-ジオキソラン(DOL)と、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)との混合液から選ばれるが、そのうち、上記1,3-ジオキソラン(DOL)と、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)と、の体積比は1:1である。
【0216】
本発明のうち、上記リチウム硫黄電池電解液用の溶媒は、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、フルオロ炭酸エチレン、ポリエチレングリコールホウ酸エステル、1,1’,2,2’-テトラフルオロエチル-2,2’,3,3’-テトラフルオロプロピレンエーテルから選ばれる1種または多種である。
【0217】
[無機ナノ粒子]
本発明のうち、上記無機ナノ粒子は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭化ケイ素、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、粘土、四酸化三鉄、酸化セリウム、ナノ炭素材料、酸化鉄などから選ばれる1種または多種である。好ましくは、上記無機ナノ粒子は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種または多種である。
【0218】
[リチウム塩]
本発明のうち、上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフッ化ヒ素酸リチウム、過塩酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アルミン酸リチウム、クロロアルミン酸リチウム、リチウム(フルオロスルホニル)イミド、塩化リチウム、ヨウ化リチウムから選ばれる1種または多種で良い。ヘキサフッ化ヘキサフッ化
好ましくは、リチウムイオン電池に用られる場合、上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、過塩酸リチウムなどから選ばれる1種または2種である。
【0219】
好ましくは、リチウム硫黄電池に用られる場合、上記リチウム塩は、ヘキサヘキサフッ化リン酸リチウム、ヘキサヘキサフッ化ヒ素酸リチウム、過塩酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、リチウム(フルオロスルホニル)イミド、塩化リチウムなどから選ばれる1種または多種である。
【0220】
[添加剤]
本発明のうち、上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンドから選ばれる1種または多種である。其の内、上記ポリエステルは、多塩基酸または酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られる。
【0221】
そのうち、上記多塩基酸は、二塩基酸、三塩基酸またはその以上の多塩基酸から選ばれ、上記多価アルコールは、二価アルコール、三価アルコールまたはその以上の多価アルコールから選ばれる。
【0222】
一つの好ましい実施方法の中で、上記多塩基酸は、置換または無置換の以下の多塩基酸から選ばれる1種または2種または3種またはその以上の種である:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、トリカルバリル酸である;上記置換基の個数は1個または複数個で良い。上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などから選ばれる1種または多種である。
【0223】
一つの好ましい実施方法の中で、上記酸の無水物は、置換または無置換の以下の酸無水物から選ばれる1種または2種または3種またはその以上の種である:シュウ酸無水物、マロン酸無水物、コハク酸無水物、フマル酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、ピメリン酸無水物、スベリン酸無水物、セバシン酸無水物、アゼライン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物。上記置換基の個数は1個または複数個で良い。上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などのうちの1種または多種である。
【0224】
一つの好ましい実施方法の中で、上記多価アルコールは、置換または無置換の以下の多価アルコールから選ばれる1種または多種である:プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デシレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールである;上記置換基の個数は1個または複数個で良い;上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などから選ばれる1種または多種である。
【0225】
一つの好ましい実施方法の中で、上記多価アルコールは、ポリエチレングリコール、またはポリエチレングリコールと以下の多価アルコール中の1種または多種との組み合わせから選ばれる。即ち、前記の多価アルコールは、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デシレングリコールである。
【0226】
一つの好ましい実施方法の中で、上記ポリエチレングリコールの重合度は、100-1000であり、好ましくは150-800であり、より好ましくは200-600である。そのうち、上記ポリエチレングリコールと他の多価アルコールの重量比は1:(0~1)であり、好ましくは1:(0~0.9)であり、より好ましくは1:(0~0.8)である。
【0227】
[用語と定義]
特に説明のない限り、本出願の明細書に記載の基団及び用語の定義は、それが実施例としての定義と、例示的な定義と、優先される定義と、表に記載した定義と、実施例中の具体的な化合物の定義などを含み、お互いに任意に組み合すことや結合することができる。このような組合及び結合したあとの基団の定義及び化合物の構造は、本出願の保護範囲内に属するものとする。
【0228】
本発明中の「ゲル」という用語は、当業界周知の意味を有し、「ゲル化」という用語も、当業界周知の意味を有する。
【0229】
本発明中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーとは、一定の条件下でゲルを形成し得るポリマーおよび/またはプレポリマーまたはゲル化可能なポリマーおよび/またはプレポリマーを指す。非限定的に、本発明記載のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリ酢酸エチル(PVAC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリジビニル硫黄(PVS)、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDM)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMSO)またはそのプレポリマー、またはその共重合物、またはそのブレンド中から選ばれる一種または多種である。
【0230】
本出願の明細書に記載の数値の範囲は、当数値の範囲を「整数」と定義した場合、当範囲の二つの端点及び当範囲内の個々の整数であると理解すべきである。例えば、「0~10の整数」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10という個々の整数を記載したことに理解されるべきである。当数値の範囲を「数」と定義した場合、当範囲の二つの端点、当範囲内の個々の整数、及び当範囲内の個々の小数を記載したことに理解すべきである。例えば、「0~10の数」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10という個々の整数以外に、少なくとも其の内の個々の整数を各自に0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9と足し算した合計を記載したことに理解されるべきである。
【0231】
本発明で使用される「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0232】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルキル基」は、1~20個の炭素原子、好ましくは1-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含む分岐鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば、「C1-6アルキル」は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基を指す。アルキル基の実施例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基を含むがそれらに限定ではない。
【0233】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「ハロアルキル基」または「アルキル基ハロゲン化物」は、少なくとも1個のハロゲン置換基を有する共に1~20個の炭素原子、好ましくは1-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含む分岐鎖および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば、「C1-10ハロアルキル」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の炭素原子を有するハロアルキル基を表す。ハロアルキル基の実施例は、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、1-フルオロエチル基、3-フルオロプロピル基、2-クロロプロピル基、3,4-ジフルオロブチル基等を含むがそれらに限定ではない。
【0234】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルケニル基」は、2~20個の炭素原子、好ましくは2-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含むアルケニル基またはアルケンの分岐鎖および直鎖脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば「C2-6アルケニル基」は、2、3、4、5または6個の炭素原子を含むアルケニル基を表す。アルケニル基の実施例は、ビニル基、プロペニル、1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル基ブタ-2-エニル基、3-メチル基ブタ-1-エニル基、1-ペンテニル基、3-ペンテニル基及び4-ヘキセニル基を含むがそられに限定ではない。
【0235】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルキニル基」は、2~20個の炭素原子、好ましくは2-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含むアルキニル基またはアルキンの分岐鎖および直鎖脂肪族炭化水素基のことを指す。例えばアセトニル、プロピニル(例えばl-プロピニル、2-プロピニル)、3-ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、1-メチル-2-ペンチニル基がある。
【0236】
本発明で使われている「アリール基」という用語は、5-20個の炭素原子からなる芳香族環構造を指す。例:5、6、7、8個の炭素原子を含む芳香族環構造は、単環芳香族基、例えばフェニル基で良い;8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を含む環構造は多環、例えばナフチルであって良い。芳香環は、環の置換位置中の1個または多数の置換位置に上記置換基を有して良い。「アリール基」という用語は、2個またはより多くの環を有する多環環系を含んで良いものの、そのうち2個またはより多くの炭素は隣通しの環に共有される(上記環は縮合環である)し、そのうち少なくとも1個の環は芳香族である共に、他の環は例えばシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基および/または複素環であって良い。多環の実施例は、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサシクロヘキサジエン及び2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフランを含むがそれらに限定ではない。
【0237】
本発明で使われている「シクロアルキル基」という用語は、指定数の炭素原子を持つ飽和環基を含むことを指す。これらの用語は、縮合または架橋した多環系を含んで良い。シクロアルキル基は、その環構造の中で3~40個の炭素原子を有する。一つの実施方法の中で、シクロアルキル基は、その環構造の中で3、4、5または6個の炭素原子を有する。例えば「C3-6シクロアルキル基」は例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを表す。
【0238】
本発明で使われている「ヘテロアリール基」という用語は、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例:硫黄、酸素または窒素)を有する複素芳香族複素環をさす。ヘテロアリール基は単環系統及び多環系統(例:2、3または4個の縮合多環)を含む。ヘテロアリール基の実例はピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フラニル、キノリン基、イソキノリン基、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドール基、ピロリル、オキサゾール基、ベンズフラニル基、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾール基、ピラゾール、トリアゾール、テトラアゾール、インダゾール基、1,2,4-チアジアゾール、イソチアゾリル、ベンゾチオフェニル、プリニル、カルバゾル基、ベンジイミダゾリル、ベンゾオキサゾール基、アザベンゾオキサゾール基、イミダゾロチアゾリル、ベンゾ[1,4]-ジオキサシクロヘキセニル、ベンゾ[1,3]-ジオキサシクロペンテニルなどを含むがそれらに限定ではない。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、3~40個の炭素原子を有し、なお、他の実施案の中では3~20個の炭素原子を有する。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、3~14個、4~14個、3~7個または5~6個の環状原子を含む。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、1~4個、1~3個または1~2個のヘテロ原子を有する。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、1個のヘテロ原子を有する。
【0239】
特に説明のない限り、本発明で使われている「複素環基」という用語は、3~20個の原子を含む飽和、不飽和または部分的に飽和した単環式、二環式環または三環式環を指し、其の内1、2、3、4または5個の環原子は、窒素、硫黄または酸素から選ばれ、特に説明のない限り、それは炭素または窒素を介して繋がって良いものの、其の内-CH2-基は任意に-C(O)-で置換される;及び其の内、特に説明のない限り、環窒素原子または環硫黄原子は、任意に酸化されN-酸化物またはS-酸化物を形成するか、または環窒素原子が任意に四級アンモニウム化される;其の内環の中の-NHは、任意にアセチル、ホルミル、メチル基、メタンスルホニルで置換される;及び環は任意に1個または複数のハロゲンで置換される。理解すべきなことは、複素環基中のS原子及びO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。もし上記複素環基が二環式または三環式である場合、少なくとも任意の1つの環は複素芳香族環または芳香族環であるが、条件としては少なくとも1つの環は非芳香族環である。もし上記複素環基が単環式である場合、それは必ず芳香族ではない。複素環基の実例はピペリジル、N-アセチルピペリジル、N-メチルピペリジル、N-ホルミルピペラジニル、N-メタンスルホニルピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタン基、モルホリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロインドール基、テトラヒドロピラニル、ジヒドロ-2H-ピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラン-1-酸化物、テトラヒドロチオピラン-1,1-二酸化物、1H-ピリジン-2-トン及び2,5-ジオキソイミダゾリジニルを含むがそれらに限定ではない。
【0240】
以下、具体的な実施例を持って、本発明をさらに詳しく説明する。理解すべきなことは、 これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を説明するだけを目指している。そして理解すべきなことは、本発明記載の内容を閲覧したあと、当業者は本発明に対して様々な変更や修正をすることができるが、これらの等価形式は同じよう本発明の限定範囲内とする。
【0241】
[測定方法]
本実施例記載の導電率は、Gamry社のInterface 1000型の電気化学測定装置で測定しており、上記の測定走査周波数は1.0Hz~100kHzである。本実施例記載の電池への測定はブルーバッテリーパックで実施している。
【0242】
[原料及び試薬]
本実施例では、上記リチウム塩を使う前に40℃で10時間以上真空乾燥することで脱水処理を行う。上記環状エーテル系化合物は、使用前に分子篩で脱水処理を行う。上記リチウムイオン電池用の電解液を含めまたはその溶媒用の液体は、使用前に分子篩で脱水乾燥させる。上記リチウム硫黄電池用の電解液を含めまたはその溶媒の液体は、使用前に分子篩で脱水処理を行う。上記添加剤は、使う前に45℃で24時間以上真空乾燥することで脱水処理を行う。
【0243】
本実施例で使われるリチウムイオン電池慣用の電解液は、1M ヘキサフッ化リン酸リチウムを含む炭酸エチレンと炭酸ジメチルとの混合物から選ばれ、其の内上記炭酸エチレンと炭酸ジメチルとの体積比は1:1である。
【0244】
本実施例で使われるリチウム硫黄電池慣用の電解液は、リチウム塩を含むエーテル系混合液、例えば、1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを含む1,3-ジオキソランとエチレングリコールジメチルエーテルとの混合液から選ばれ、其の内上記1,3-ジオキソランとエチレングリコールジメチルエーテルとの体積比は1:1である。上記無機ナノ粒子は使う前に60℃で10時間以上真空乾燥することで脱水処理を行う。
【0245】
[下記実施例中の電池の組成]
正極材料は、リチウムコバルト酸化物、リチウムニッケル酸化物、リチウムマンガン酸化物、三元系材料ニッケルコバルトマンガン酸化物(NCM)、ナノ正極材料(例:ナノ結晶スピネルLiMn2O4、バリウム-マグネシウム-マンガン鉱石型MnO2ナノ繊維、ポリピロール被覆スピネルLiMn2O4ナノチューブ、ポリピロール/V2O5ナノ複合材料等)、ブレンディング電極、バナジウム酸化物、層状化合物(例:アニリン変性を経たオキシ塩化鉄等)から選ばれる少なくとも1種である。
【0246】
負極材料は、金属類負極材料(例:金属リチウム、リチウム合金等)、無機非金属類負極材料(例:炭素材料、シリコン材料、及び他の各種非金属の複合材料など)から選ばれる少なくとも1種である。
【0247】
セパレータは、本発明記載のゲル化可能な体系から製造された固体電解質膜またはポリオレフィン多孔質膜、例えばポリエチレン微孔膜、ポリプロピレン微孔膜、3層複合膜から選ばれる少なくとも1種である。
【0248】
リチウムイオン電池の正極シートの製造:正極材料を、導電性石墨と、導電剤アセチレンブラック(super p)と、接着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)と85:5:5:5の質量比で均一に混合し、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)にて当混合物をスラリーにしてからアルミホイルに均一に塗布し、120℃の真空乾燥箱内で24時間乾燥させておく。
【0249】
リチウム硫黄電池の正極シートの製造:正極材料を、導電剤アセチレンブラック(super p)と、接着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)と8:1:1の質量比で均一に混合し、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)にて当該混合物をスラリーにしてからアルミホイルに均一に塗布し、60℃の真空乾燥箱内で24時間乾燥させておく。
【0250】
[実施例1-0]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.5gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体を計量し試薬瓶内に入れ、1.6mLの1,3-ジオキソランを加え、磁気攪拌下で全てのリチウム塩を溶解させ、リチウム塩含量が23wt%であるテトラフルオロホウ酸リチウム/1,3-ジオキソラン溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が得られる。測定したところ、上記固体電解質の形成時間は6時間、上記固体電解質の形成温度は室温、上記固体電解質の転移温度は60℃、上記固体電解質の導電率は1.06×10-5S/cmである。
【0251】
製造し得られた固体電解質を60℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されたので、既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を60℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、得られた固体電解質には優れた可逆性があることが証明された。
【0252】
当該固体電解質を溶媒(例:脱イオン水)で全部溶解させてから、エタノール中で沈殿させ、得られたポリマーはクロロホルム-dで溶解し、
1H-NMR測定を行った。測定結果は
図26で示す。結果から読み取れることは、化学シフトは、3.72ppmでポリマー鎖セグメント-O-CH
2-CH
2-O-に属し、化学シフトは、4.75ppmでポリマー鎖セグメト-O-CH
2-O-に属し、両者の積算面積は2:1であり、重複した単位(-CH
2-O-CH
2-CH
2-O-)中の2種の鎖セグメント比は同じである。電解質体系の中で、目標ポリマーの形成に成功したことが示された。
【0253】
同様に、当該固体電解質を溶媒(例:脱イオン水)で全部溶解させてからエタノール中で沈殿させ、得られたポリマーは適量のKBr粉末と研磨し均一に混合し、シート状に圧制し、赤外吸収スペクトルで特徴付けを行った。
図27からは、1100cm
-1のピークに対応するのは-CH
2-の伸縮振動であり、2900cm
-1のピークに対応するのは-CH
2-の伸縮振動であることが読み取られ、さらに当化合物の構造を証明した。
【0254】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0255】
[実施例1-1]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.5gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体を計量し試薬瓶内に入れ、1.6mLのテトラヒドロピランを加え、磁気攪拌下で全てのリチウム塩を溶解させ、リチウム塩含量が23wt%であるテトラフルオロホウ酸リチウム/テトラヒドロピラン溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が得られる。測定したところ、上記固体電解質の形成時間は6時間、上記固体電解質の形成温度は室温、上記固体電解質の転移温度は90℃、上記固体電解質の導電率は1.06×10-6S/cmである。
【0256】
製造し得られた固体電解質を90℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されたので、既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を90℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、得られた固体電解質には優れた可逆性があることが証明された。
【0257】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0258】
[実施例1-2]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池として用いられるゲル電解質)との製造
0. 7gのヘキサフッ化ヒ素酸リチウム固体を計量し試薬瓶内に入れ、5.0mLの1,4-ジオキサンを加え、磁気攪拌下でリチウム塩含量が12wt%であるヘキサフッ化ヒ素酸リチウム/1,4-ジオキサン溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;引き続き攪拌し、暫く静置して置くことでゲルが得られる。測定したところ、上記ゲルの形成時間は24時間、上記ゲルの形成温度は室温、上記ゲルの転移温度は65℃、上記ゲルの導電率は5.27×10-4S/cmである。
【0259】
図1は、実施例1-2で造ったゲルの光学写真である。図から、上記リチウム塩と環状エーテル系環形化合物との比率を使うことで、無色で透明なゲルが製造しうられることがわかる。そして、転移温度以下では、試薬瓶を逆さまにしてもゲルの流動現象は出なかった。
【0260】
製造し得られたゲルを65℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されたので、既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を65℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、得られたゲルには優れた可逆性があることが証明された。
【0261】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0262】
[実施例1-3]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.45gのリチウム(フルオロスルホニル)イミドと0.45gの過塩酸リチウム(LiClO4)固体とを計量し試薬瓶内に入れ、3.6mLの2-メチルテトラヒドロピランを加え、磁気攪拌下でリチウム塩含量が20wt%であるリチウム(フルオロスルホニル)イミド+LiClO4/2-メチルテトラヒドロピランの溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;引き続き攪拌し、暫く静置して置くことで固体電解質が得られる。測定したところ、上記固体電解質の形成時間は12時間、上記固体電解質の形成温度は室温、上記固体電解質の転移温度は80℃、上記固体電解質の導電率は3.26×10-6S/cmである。
【0263】
図2は、実施例1-3で造った固体電解質の光学写真である。図から、上記リチウム塩と環状エーテル系化合物との比率を使うことで、固体電解質を製造できることがわかる。そして、転移温度以下では、試薬瓶を逆さまにしても固体電解質の流動現象は出なかった。
【0264】
製造し得られた固体電解質を80℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されたので、既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を80℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、得られた固体電解質には優れた可逆性があることが証明された。
【0265】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0266】
[実施例1-4]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
0.2gのパーフルオロブタンスルホン酸リチウムと0.2gのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド固体とを計量し試薬瓶内に入れ、8.0mLの1,3-ジオキソラン(DOL)を加え、磁気攪拌下でリチウム塩含量が5wt%であるパーフルオロブタンスルホン酸リチウム+リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド/DOLの溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;リチウム塩が完全溶解するまで攪拌し続き、暫く静置して置くことでゲルが得られる。測定したところ、上記ゲルの形成時間は20時間、上記ゲルの形成温度は室温、上記ゲルの転移温度は45℃、上記ゲルの導電率は6.14×10-3S/cmである。
【0267】
製造し得られたゲルを45℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されたので、既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を45℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、得られたゲルには優れた可逆性があることが証明された。
【0268】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0269】
[実施例1-5]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
0.3gの塩化リチウムと、0.3gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、0.2gの過塩酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶内に入れ、10.0mLのテトラヒドロフランを加え、磁気攪拌下でリチウム塩含量が7.4wt%である塩化リチウム+リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド+過塩酸リチウム/テトラヒドロフランの溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;リチウム塩が完全溶解するまで攪拌し続き、暫く静置して置くことでゲルが形成される。測定したところ、上記ゲルの形成時間は14時間、上記ゲルの形成温度は室温、上記ゲルの転移温度は63℃、上記ゲルの導電率は3.52×10-3S/cmである。
【0270】
製造し得られたゲルを63℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されたので、既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を63℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、得られたゲルには優れた可逆性があることが証明された。
【0271】
図3は、実施例1-5で造ったゲルの光学写真である。図から、上記リチウム塩と環状エーテル系化合物との比率を使うことで、ゲルを製造できることがわかる。そして、上記ゲルは優れた延伸性と可塑性を持っており、延伸して任意の形状に捻じることができるし、自己回復しないので外部の力で可塑性を回復する必要がある。
【0272】
当該ゲル電解質を溶媒(例:脱イオン水)で全部溶解させてからエタノール中で沈殿させ、得られたポリマーはクロロホルム-dで溶解し、
1H-NMR測定を行うが、測定結果は
図31で示す。結果から読み取れることは、化学シフトは、1.51ppmでポリマー鎖セグメント-O-CH
2-CH
2-(C上の2個のHを太くする)に属し、化学シフトは、3.37ppmで-O-CH
2-CH
2-(C上の2個のHを太くする)に属し、両者の積分面積は1:1であり、重複単位(-O-CH
2-CH
2-CH
2-CH
2-O-)中の2種の鎖セグメト比は同じである。電解質体系の中で、目的ポリマーの形成に成功したことが示された。
【0273】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0274】
[実施例1-6]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
0.2gのヘキサフッ化リン酸リチウムと、0.2gのパーフルオロブタンスルホン酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶内に入れ、4.0mLの1,4-エポキシシクロヘキサンを加え、磁気攪拌下でリチウム塩を完全溶解させ、リチウム塩含量が10wt%であるヘキサフッ化リン酸リチウム+パーフルオロブタンスルホン酸リチウム/1,4-エポキシシクロヘキサンの溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。測定したところ、上記ゲルの形成時間は12時間、上記ゲルの形成温度は室温、上記ゲルの転移温度は67℃、上記ゲルの導電率は1.05×10-4S/cmである。
【0275】
製造し得られたゲルを67℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されたので、既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を67℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、得られたゲルには優れた可逆性があることが証明された。
【0276】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0277】
[実施例1-7]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
1.2gのトリオキサンと、0.15gのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、0.1gのパーフルオロブタンスルホン酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶内に入れ、3.0mLの1,4-ジオキサン(使う前に分子篩で脱水してある)を加え、磁気攪拌下でリチウム塩とトリオキサンとを完全溶解させ、リチウム塩含量が6wt%であるリチウムビス(フルオロスルホニル)イミド+パーフルオロブタンスルホン酸リチウム/1,4-ジオキサン+トリオキサンの溶液を造り、暫く静置して置くことでゲルが形成される。測定したところ、上記ゲルの形成時間は26時間、上記ゲルの形成温度は室温、上記ゲルの転移温度は82℃、上記ゲルの導電率は4.18×10-3S/cmである。
【0278】
製造し得られたゲルを82℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されたので、既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を82℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、得られたゲルには優れた可逆性があることが証明された。
【0279】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0280】
[実施例1-8]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
0.15gのリチウム(フルオロスルホニル)イミドと、0.2gのパーフルオロブタンスルホン酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶内に入れ、1.5mLの3-メチルテトラヒドロフランと、1.5mLの1, 3-エポキシシクロヘキサンと、を加え、磁気攪拌下でリチウム塩を完全溶解させ、リチウム塩含量が12wt%であるリチウム(フルオロスルホニル)イミド+パーフルオロブタンスルホン酸リチウム/3-メチルテトラヒドロフラン+1, 3-エポキシシクロヘキサンの溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが得られる。測定したところ、上記ゲルの形成時間は12時間、上記ゲルの形成温度は室温、上記ゲルの転移温度は55℃、上記ゲルの導電率は3.74×10-4S/cmである。
【0281】
製造し得られたゲルを55℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されたので、既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を55℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、得られたゲルには優れた可逆性があることが証明された。
【0282】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:ステップ(1)で造ったゲル化可能な体系で従来の接着剤であるポリフッ化ビニリデン(PVDF)を代替し、正極シートと負極シートを造るときに参加する活物質と導電剤とを一緒に叩解し電極シートに塗布し、そしてセパレータを、正極と負極との間に配置してから上記ステップ(1)で造ったゲル化可能な電解液を注入し、パッケージング押圧することで電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0283】
[実施例1-9]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
0.15gのヘキサフッ化リン酸リチウムと、0.2gのビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶内に入れ、1.0mLの尿素と、0.5gのトリオキサンと、1.5mL の1,3-エポキシシクロヘキサンと、を加え、磁気攪拌下でリチウム塩を完全溶解させ、リチウム塩含量が12wt%であるヘキサフッ化リン酸リチウム+ビス(シュウ酸)ホウ酸リチウム/トリオキサン+1,3-エポキシシクロヘキサンの溶液を造り、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが得られる。測定したところ、上記ゲルの形成時間は10時間、上記ゲルの形成温度は室温、上記ゲルの転移温度は62℃、上記ゲルの導電率は3.88×10-4S/cmである。
【0284】
製造し得られたゲルを62℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されたので、既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を62℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、得られたゲルには優れた可逆性があることが証明された。
【0285】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質として1Ahのマンガン酸リチウムソフトパック電池に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でソフトパック電池の電気化学性能(測定結果は表1で示す)を測定した。其の内、上記ソフトパック電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、巻きつけてから、封するとき注入口を設けステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を注入し、真空包装することでソフトパック電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0286】
【0287】
図4は、実施例1-4で得られたゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から当ゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として使うことは、リチウム硫黄電池の充放電を正常にさせる共に、其の内の活性物質が完全作用され、より高い比容量が得られることがわかる。
【0288】
図5は、実施例1-4で得られたゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から当ゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として使うことは、「シャトル効果」を著しく緩和させることで、活性物質の利用率を高め、電池のサイクル性能を向上させたことがわかる。
【0289】
図28は、実施例1-9で得られたゲル電解質を、マンガン酸リチウムソフトパック電池(1Ah)の電解液として組み立てた電池のサイクル性能及びそれに対応するクーロン効率図である。図から以下のことが読み取れる。即ち、当該電解質はソフトパック電池の中でその容量を十分に発揮させ、ほぼ理論容量に近いことと、50回サイクルした後も容量はほぼ安定しており、サイクル中のクーロン効率はずっと100%に近いことをみせ、優れたサイクル安定性を示した。
【0290】
[実施例2-1]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.9gのヘキサフッ化リン酸リチウム固体を計量し試薬瓶内に入れ、1.5mLの炭酸ジメチル(DMC)を加え、十分撹拌することでヘキサフッ化リン酸リチウムを完全溶解させ、其の中に1.5mLの1,4-エポキシオクタンを加え、磁気撹拌下で充分混合させ、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが得られる。上記ゲル体系の中で、リチウムイオン電池に用られるリチウム塩の質量百分含量は23wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は38wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液または其の溶媒の質量百分含量は39wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表2で示す。
【0291】
製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0292】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表2で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0293】
[実施例2-2]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.3gの過塩酸リチウムと、0.3gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶に入れてから、1.0mLの混合炭酸エステル系溶剤(体積比が1:1の炭酸ジエチル(DEC)と炭酸エチレン(EC)との混合液)を加え、磁気撹拌下でリチウム塩を完全溶解させてから、1.5mLの2-メチル-テトラヒドロピランを上記混合液中に入れ充分混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウムイオン電池に用られるリチウム塩の質量百分含量は19wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は48wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は33wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表2で示す。
【0294】
製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0295】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表2で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0296】
[実施例2-3]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
1.2gのリチウム(フルオロスルホニル)イミド固体を計量し試薬瓶に入れてから、1.5mLの慣用のリチウム電池電解液(1mol/L LiPF6の炭酸ジエチル(DEC)と炭酸エチレン(EC)とを含む混合液、上記炭酸ジエチル(DEC)と炭酸エチレン(EC)との体積比は1:1)を加え、磁気撹拌下でリチウム塩を完全溶解させてから、5.5mLのテトラヒドロピランを上記混合液中に入れ充分混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウムイオン電池に用られるリチウム塩の質量百分含量は15wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は67wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液または其の溶媒の質量百分含量は18wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表2で示す。
【0297】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を固体電解質の転移温度以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0298】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表2で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0299】
[実施例2-4]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.4gのヘキサフッ化リン酸リチウムと、0.9gのリチウム(フルオロスルホニル)イミド固体と、を計量し試薬瓶に入れ、1.0mLの炭酸エチルメチルと、1.0mLの炭酸エチレンと、を加え、磁気撹拌下でリチウム塩を完全溶解させてから、3.0mLのテトラヒドロピランと3.5mLの1,3-ジオキソランとを加え充分混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウムイオン電池に用られるリチウム塩の質量百分含量は13wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は66wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液または其の溶媒の質量百分含量は21wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表2で示す。
【0300】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を固体電解質の転移温度以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0301】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表2で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0302】
[実施例2-5]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
1.85gのトリオキサンと、0.6gのアルミン酸リチウムと、0.2gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶に入れ、1.0mLの炭酸プロピレンと、0.6mLのγ-ブチロラクトンと、を加え、磁気撹拌下で充分混合しリチウム塩とトリオキサンとを完全溶解させてから、1.85mLのテトラヒドロフランを加え充分混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウムイオン電池に用られるリチウム塩の質量百分含量は13.1wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は60.7wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液または其の溶媒の質量百分含量は26.2wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表2で示す。
【0303】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を固体電解質の転移温度以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0304】
当固体電解質を溶媒(例:脱イオン水)で全部溶解させ、そしてエタノール中で沈殿させ、得られたポリマーはクロロホルム-dで溶解し、
1H-NMR測定を行うが、測定結果は
図32で示す。結果から読み取れることは、化学シフトは、4.50ppmで-O-CH
2-O-に属しており、ポリホルムアルデヒドの特徴ピークであり、化学シフトは、1.51ppmでポリマー鎖セグメト-O-CH
2-CH
2-(C上の2個のHを太くする)に属し、化学シフトは、3.37ppmで-O-CH
2-CH
2-(C上の2個のHを太くする)に属し、両者の積分面積は1:1であり、テトラヒドロフランとの重複単位中の2種の鎖セグメト比は同じであり、2種類の物質の特徴付けピークの面積比は1:1で、ちょうど原料の投与比率と合致しており、電解質体系の中で、目的ポリマーの形成に成功したことが示された。
【0305】
(2)電池の製造
上記で造られた固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表2で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:正極板と負極板とをステップ(1)で造ったゲル化可能な体系で充分浸潤させる共に、上記ステップ(1)で造ったゲル化可能な体系をガラス板にナイフコーティングし、それが固体電解質になるまで静置してから剥がし取り、それを浸潤後の正極と負極との間に設置し、パッケージング押圧することで電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0306】
[実施例2-6]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.8gのヘキサフッ化ヒ素酸リチウムを計量し試薬瓶に入れ、それに1.0mLの炭酸エチルメチルと、1.0mLの炭酸ジメチルと、を加え、リチウム塩が完全溶解するまで撹拌してから、4.0mLの1,4-ジオキサンを上記リチウム塩に加え十分に撹拌混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウムイオン電池に用られるリチウム塩の質量百分含量は12wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は58wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液または其の溶媒の質量百分含量は30wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表2で示す。
【0307】
製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0308】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表2で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0309】
[実施例2-7]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.6gの塩化リチウムと、1.0gの過塩酸リチウムと、を計量し試薬瓶に入れ、それに1.1mLのリチウムイオンの慣用電解液を加え、磁気撹拌下でリチウム塩を完全溶解させてから、それに2.1mLの1,4-エポキシシクロヘキサンと、2.1mLのテトラヒドロフランと、を加え撹拌することで十分に混合させると、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウムイオン電池に用られるリチウム塩の質量百分含量は23wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は61wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液または其の溶媒の質量百分含量は16wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表2で示す。
【0310】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を固体電解質の転移温度以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0311】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表2で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0312】
[実施例2-8]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
1.0gのトリオキサンと、0.6gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、0.2gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶に入れ、0.8mLの炭酸tert-ブチルと、0.8mLの炭酸ジメチルと、を加え磁気撹拌下でリチウム塩とトリオキサンが完全溶解されるまで充分混合してから、2.7mLのテトラヒドロフランを加え充分混合させると、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウムイオン電池に用られるリチウム塩の質量百分含量は13wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は61wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液または其の溶媒の質量百分含量は26wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表2で示す。
【0313】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を固体電解質の転移温度以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0314】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表2で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置してから、60℃の高温の条件でサイクルする。
【0315】
[比較例2-1]
1.0gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、1.0gのヘキサフッ化リン酸リチウムと、を計量し試薬瓶に入れてから、4.0mLのリチウムイオン電池慣用の電解液(1M LiPF6の炭酸ジメチル(DMC)と炭酸エチレン(EC)体積比=1:1)を加え充分撹拌し、リチウム塩を完全溶解させてから静置する。上記体系の中で、リチウムイオン電池用のリチウム塩の質量百分含量は33wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は0wt%である;リチウムイオン電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含量は67wt%である。
【0316】
長時間静止しても溶液の流動性は依然と良好であり、安定したゲルには形成されなかった。環状エーテル系化合物がない状態で、リチウム塩と溶媒とを混合するだけでは安定したゲルが形成されないことが示された。
【0317】
図6は、実施例2-1で得られたゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から当ゲル電解質をリチウムイオン電池の電解液として使うことは、リチウムイオン電池の充放電を正常にさせる共に、其の内の活性物質の作用を完全発揮させ、より高い比容量が得られることがわかる。
【0318】
図7は、実施例2-1で得られたゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から当該ゲルを、リチウムイオン電池の電解液として使うことは、安定的なサイクル性能を見せたが其の比容量はほぼ変わらなかった。
【0319】
図8は、実施例2-4で得られた固体電解質を、リチウムイオン電池の電解質として組み立てた電池の初回充放電図である。図から、当該固体電解質をリチウムイオン電池の電解液として使うことは、リチウムイオン電池の充放電を正常にさせる共に、其の内の活性物質の役割を完全発揮させ、より高い比容量が得られることがわかる。
【0320】
図9は、実施例2-4で得られた固体電解質を、リチウムイオン電池の電解質として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から、当該固体電解質をリチウムイオン電池の電解液として使うことは、安定的なサイクル性能を見せる共に其の比容量はほぼ変化してないことがわかる。
【0321】
図29は、実施例2-8で得られた固体電解質を、リン酸鉄リチウム電解質として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から、当該固体電解質の60℃高温での初回充放電比容量は148.7mAh・g
-1であり、50回サイクル後の放電比容量は142.9mAh・g
-1であり、比較的良い高温性能を示した。
【0322】
【0323】
[実施例3-1]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.8gのヘキサフッ化ヒ素酸リチウムと、0.4gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)固体と、を計量し試薬瓶に入れ、3.2mLのエチレングリコールジメチルエーテル(DME)を加え、充分撹拌しヘキサフッ化ヒ素酸リチウムとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとを完全溶解させ、それに4.7mL の2-(クロロメチル)エポキシプロパンを加え、磁気撹拌下で充分混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は13wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は52wt%である;リチウムイオン電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は35wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表3で示す。
【0324】
製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0325】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表3で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0326】
[実施例3-2]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
1.0gのトリフルオロメタンスルホン酸リチウムと、0.2gの過塩酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶に入れ、2.0mLのリチウム硫黄電池慣用の電解液(1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、其の内、体積比で1, 4-ジオキソラン:エチレングリコールジメチルエーテル=1:1)を加え、磁気撹拌下で過塩酸リチウムとトリフルオロメタンスルホン酸リチウムとを完全溶解させ、4.0mLの1,4-エポキシシクロエタンを加え、充分混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は20wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は56wt%である;リチウム硫黄電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は24wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表3で示す。製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0327】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表3で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0328】
[実施例3-3]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
1.0gのリチウム(フルオロスルホニル)イミドと、0.5gのヘキサフッ化リン酸リチウムと、0.2gの塩化リチウムと、を計量し試薬瓶に入れ、それに1mLの1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を含むテトラエチレングリコールジメチルエーテルと、2.0mLのトリエチレングリコールジメチルエーテルと、を加え、磁気撹拌下でリチウム塩を完全溶解させ、8.0mLのテトラヒドロフランを加え、十分に混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は68wt%である;リチウム硫黄電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は17wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表3で示す。製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を固体電解質の転移温度以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0329】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表3で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0330】
[実施例3-4]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.75gのクロロアルミン酸リチウムと、0.1gのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、を計量し試薬瓶に入れ、1.2mLのトリエチレングリコールジメチルエーテルを加え、磁気撹拌下でクロロアルミン酸リチウムとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとを完全溶解させ、2.5mLのテトラヒドロピランと1.2mLの1,4-ジオキサンとを加え、充分混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は64wt%である;リチウム硫黄電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は21wt%である。
【0331】
測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表3で示す。製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を固体電解質の転移温度以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0332】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表3で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0333】
[実施例3-5]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
1.55gのテトラフルオロホウ酸リチウムと、0.45gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド固体と、を計量し試薬瓶に入れ、テトラエチレングリコールジメチルエーテルとエチレングリコールジメチルエーテルとを2.0mLずつ加え、磁気撹拌下でテトラフルオロホウ酸リチウムとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドとを完全溶解させ、それに6.0mLの3-メチルテトラヒドロフランを加え、十分に混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は17wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は50wt%である;リチウム硫黄電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は33wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表3で示す。製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表3で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0334】
[実施例3-6]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.5gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと、1.0gのテトラフルオロホウ酸リチウムと、を計量し試薬瓶に入れ、2.0mLのリチウム硫黄電池慣用の電解液を加え、充分撹拌し、リチウム塩を完全溶解させることで溶液Aが得られる。4.0gのトリオキサンを計量し、2.0mLのエチレングリコールジメチルエーテルを加え、磁気撹拌下でトリオキサンを完全溶解させることで溶液Bが得られる。上記で得られた混合液AとBとを十分に混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は16wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は42wt%である;リチウム硫黄電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は42wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表3で示す。製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0335】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表3で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0336】
[実施例3-7]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.5gのリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドと、2.0gのテトラフルオロホウ酸リチウムと、を計量し試薬瓶に入れ、2.0mLのリチウム硫黄電池慣用の電解液を加え、充分撹拌し、リチウム塩を完全溶解させることで溶液Aが得られる。8.5gの18-クラウン-6を計量し、1.5mLのエチレングリコールジメチルエーテルと3.5mLのテトラエチレングリコールジメチルエーテルとを加え、磁気撹拌下で18-クラウン-6を完全溶解させることで混合液Bが得られる。上記で得られた混合液AとBとを十分に混合させることで、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は14wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は48wt%である;リチウム硫黄電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は38wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表3で示す。製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0337】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表3で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0338】
[実施例3-8]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
1.22gのヘキサフッ化リン酸リチウムと、0.78gの過塩酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶に入れ、アニソールとエチレングリコールジメチルエーテルとを3.0mLずつ加え、磁気撹拌下でヘキサフッ化リン酸リチウムと過塩酸リチウムとを完全溶解させてから、4.0mLの3-メチルテトラヒドロフランと2mL の1,3-ジオキソランとを加え、十分に混合させることでゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は14wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は43wt%である;リチウム硫黄電池に用られる電解液またはその溶媒の質量百分含量は43wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表3で示す。製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0339】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表3で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0340】
[比較例3-1]
2.0gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)固体を計量し試薬瓶に入れ、3.0mLのテトラエチレングリコールジメチルエーテルを加え、磁気撹拌下でリチウム塩を完全溶解させてから静置する。上記体系中で、リチウム塩の質量百分含量は40wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は0wt%である;リチウム硫黄電池用の電解液またはその溶媒の質量百分含量は60wt%である。
【0341】
長時間静止してもゲルに形成されず、固体電解質にも形成されなかった。環状エーテル系化合物の加入は必須であることがわかる。
【0342】
【0343】
図10は、実施例3-1で得られたゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から、当該ゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として使うことは、電池内部の活性物質が正常に役割を果たし、充放電が正常に行える。
【0344】
図11は、実施例3-1で得られたゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から当該ゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として使うことは、「シャトル効果」を著しく緩和させることで、活性物質の利用率を高め、電池のサイクル性能をさらに向上させたことがわかる。
【0345】
図30は、実施例3-8で得られたゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から当該ゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として使うことは、ポリスルフィノの拡散を著しく阻害させることで、活性物質の利用率を高め、容量の衰弱を緩和させ、電池のサイクル安定性を向上させたことがわかる。
【0346】
[実施例4-1]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.06gの二酸化ケイ素を計量し試薬瓶に入れ、それに2.6mLのテトラヒドロフランを加え、磁気撹拌下でこれらを十分均一に混合させることで混合液Aが得られる。そして、0.8gのテトラフルオロホウ酸リチウムを別当計量し試薬瓶に入れてから、2.6mLの炭酸ジメチルを加え、リチウム塩が完全溶解するまで撹拌し、混合液Bが得られる。上記で得られた溶液Aと溶液Bとを充分に混合させることで混合液が得られ、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は13wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は43wt%である;無機ナノ粒子のの質量百分含量は1wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は43wt%である。測定により、上記ゲルの形成時間は20hであり、上記ゲルの形成温度は室温であり、上記ゲルの転移温度は55℃であり、上記ゲルの導電率は1.78×10-2S/cmである。
【0347】
製造し得られたゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度をゲルの転移温度以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0348】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表5で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0349】
[実施例4-2~4-7及び比較例4-1]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
上記ゲルの製造方法は、実施例1と同様であるが、相違点は上記ゲル体系中の各組成への選択と用量だけが違う;その具体的な組成と用量とを表4で示す。
【0350】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表5で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0351】
[実施例4-8]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.05gの酸化アルミニウムを計量し試薬瓶に入れてから、それに4.5mLの1,3-ジオキソランを加え、磁気撹拌下でこれらを十分均一に混合させることで混合液Aが得られる。そして、0.4gのリチウム(フルオロスルホニル)イミドと0.6gの過塩酸リチウムとを別当計量し試薬瓶に入れてから、1.2mLのリチウム硫黄電池の慣用電解液を加え、リチウム塩が完全溶解するまで撹拌し、混合液Bが得られる。上記で得られたA溶液とB溶液とを充分に混合させることで混合液が得られ、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置して置くことで固体電解質が形成される。
【0352】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は66.3wt%である;無機ナノ粒子の質量百分含量は0.7wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は18wt%である。測定により、上記固体電解質の形成時間は12hであり、上記固体電解質の形成温度は室温であり、上記固体電解質の転移温度は96℃であり、上記固体電解質の導電率は2.38×10-5S/cmである。
【0353】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を固体電解質の転移温度以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0354】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表6で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0355】
[実施例4-9~4-14及び比較例4-2]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
上記固体電解質の製造方法は、実施例8と同様であるが、相違点は上記固体電解質体系中の各組成への選択と用量だけが違う;その具体的な組成と用量とを表4で示す。
【0356】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表6で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0357】
【0358】
【0359】
【0360】
図12は実施例4-1で得られたゲル電解質をリチウムイオン電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から、当該ゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として使うことは、リチウムイオン電池の充放電を正常にさせる共に、その中の活性物質の役割を十分に果たせることで、比較的高い比容量が得られることがわかる。
【0361】
図13は実施例4-1で得られたゲル電解質をリチウムイオン電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から、当該ゲルを、リチウムイオン電池の電解液として使うことは、サイクル性能を安定にさせ、比容量もほぼ変化しなかったことがわかる。
【0362】
図14は実施例4-5で得られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から、当該ゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として使うことは、リチウム硫黄電池の充放電を正常にさせる共に、その中の活性物質の役割を十分に果たせることで、比較的高い比容量が得られることがわかる。
【0363】
図15は実施例4-5で得られたゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から、当該ゲル電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として使うことは、「シャトル効果」を効果的に緩和させることで、活性物質の利用率を高め、電池の比容量も向上され、優れたサイクル性能を示したことがわかる。
【0364】
比較例4-1および4-2と比較して、無機ナノ粒子の加入は、ゲルまたは固体電解質の導電率を効果的に向上させ、より優れた電気化学的性能を示している。
【0365】
[実施例5-1]
(1)ポリエステルの合成
8.0gのフマル酸と、12.0gのコハク酸と、60.0gのポリエチレングリコール-200と、を計量し三口フラスコに入れ、油浴で加熱し140℃まで昇温させ、0.5h時間温度維持をしてから、30分おきに20℃ずつ昇温させ220℃まで昇温させてから、2時間温度維持をし、触媒(0.16gのチタン酸テトラブチル&0.16gの重合阻害剤p-ヒドロキシフェノ-ルン)を加え、1時間反応させてから、2時間減圧反応させ、加熱を停止し温度を下げることで粗製品が得られる。そして、ジクロロメタンを50.0mL添加し、50℃で18時間逆流撹拌溶解し、石油エーテル内で沈殿し、生成物を50℃の真空乾燥箱で24時間乾燥することでポリエステルAが得られたら、グローブボックス内に保存する。
【0366】
(2)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
1.9mLの3-メチルテトラヒドロフランと、1.0gのポリエステルAとを計量し両者を撹拌混合して、均一に混合された液体を得てから、0.4gの過塩酸リチウムを加え、0.5h撹拌することで過塩酸リチウムを上記液体中に完全溶解させて、ゲル化可能な体系を製造しうる。引き続き2時間撹拌してから、14時間静置することでゲルが得られる。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は12wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は58wt%である;ポリエステル添加量の質量百分含量は30wt%である。
【0367】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、実施例1で製造されたゲルの形成時間は10hであり、上記ゲルの転移温度は60℃であり、上記ゲルの導電率は2.1×10-3S/cmである。製造し得られたゲルを60℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を60℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0368】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0369】
[実施例5-2]
(1)ポリエステルの合成
10.0gのマロン酸と、10.0gのコハク酸と、10.0gの1,2-プロピレングリコールと、25.0gのポリエチレングリコール-200と、を計量し三口フラスコに入れ、油浴加熱で110°Cに昇温させ、1時間温度維持をしてから、30分おきに25℃ずつ昇温するが240℃まで昇温し続け、3時間温度維持をし、0.16gの触媒(チタン酸テトラブチル)を加え、1時間反応してから、加熱を停止と共に温度を下げることで関連生成物が得られる。そして、ジクロロメタンを50.0mL添加し、室温で12時間撹拌溶解し、石油エーテル内で沈殿し、生成物を60℃の真空乾燥箱内で12時間乾燥することでポリエステルBが得られたら、グローブボックス内に保存する。
【0370】
(2)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
0.96mLのポリエステルBと、2.2mLの1,4-エポキシシクロヘキサンと、を計量し、0.53mLの慣用のリチウムイオン電池の電解質に入れてから、磁気撹拌下で三者を混合させ清い透明な液体を得る。それから、0.7gのテトラフルオロホウ酸リチウムを加え、2h撹拌することでテトラフルオロホウ酸リチウムを上記混合液中に完全溶解させて、ゲル化可能な体系を製造しうる。引き続き2時間撹拌してから、9時間静置することで無色のゲルが得られる。
【0371】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は16wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は50wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は12wt%である;ポリエステル添加量の質量百分含量は22wt%である。
【0372】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、実施例2で製造されたゲルの形成時間は9hであり、ゲルの転移温度は58℃であり、ゲルの導電率は1.3×10-2S/cmである。製造し得られたゲルを58℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を58℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0373】
(3)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0374】
[実施例5-3]
(1)ポリエステルの合成
20.0gのマロン酸と、20.0gのコハク酸と、94.0gのポリエチレングリコール-400と、を計量し三口フラスコに入れ、油浴加熱で120℃に昇温させ、0.5時間温度維持をしてから、25分おきに30℃ずつ昇温するが210℃まで続き、3時間温度維持をし、0.32gの触媒(チタン酸テトラブチル)を加え、0.5h時間反応してから、2時間真空抜きをし、加熱を停止し温度を下げることで関連生成物が得られる。そして、トリクロロメタンを40.0mLを添加し、45℃で6時間逆流加熱し、メタノール内に滴下して沈殿させ、生成物を60℃の真空乾燥箱で12時間乾燥し、ポリエステルCが得られ、グローブボックス内に保存する。
【0375】
(2)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
0.83mLのポリエステルCと、1.8mLの1,4-エポキシシクロヘキサンと、0.07gの二酸化ケイ素と、0.44mLの慣用のリチウム電池の電解液と、を計量し、撹拌し四者を混合させ清い透明な液体を得る。それから、0.87gのヘキサフッ化リン酸リチウムを加え、2h撹拌することでヘキサフッ化リン酸リチウムを上記混合液中に完全溶解させて、ゲル化可能な体系を製造しうる。引き続き2時間撹拌してから、8時間静置することで無色のゲルが得られる。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は22wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は45wt%である;ポリエステル添加量の質量百分含量は21wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は11wt%である;二酸化ケイ素の質量百分含量は1wt%である。
【0376】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、実施例3で製造されたゲルの形成時間は8hであり、ゲルの転移温度は60℃であり、ゲルの導電率は8.8×10-3S/cmである。製造し得られたゲルを60℃以上に加熱したとき、ゲルは流動可能なものになり、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を60℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0377】
(3)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0378】
[実施例5-4]
(1)ポリエステルの合成
15.0gのグルタル酸と、10.0gのフマル酸と、20.0gのポリエチレングリコール-400と、10.0gの1,4-ブタンジオールと、を計量し三口フラスコに入れ、油浴で140°Cに加熱昇温させ、1.5時間温度維持をしてから、20分おきに20℃ずつ昇温するが220℃まで続き、2時間温度維持をし、触媒(0.2gのチタン酸テトラブチル&0.2gの重合阻害剤p-ヒドロキシフェノール)を加え、50分間反応してから、1時間真空抜きをし、温度を下げることで粗製品が得られる。そして、トリクロロメタンを50.0mL添加し、室温で24時間撹拌し、エタノール内で沈殿させ、生成物を60℃の真空乾燥箱で24時間乾燥し、ポリエステルDが得られ、グローブボックス内に保存する。
【0379】
(2)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
1.0mLのポリエステルDと、4.67mLのテトラヒドロフランと、を計量し、両者を撹拌混合させ清い透明な液体を得る。均一に混合してから、1.0gのリチウム(フルオロスルホニル)イミドを加え、1h撹拌することでリチウム(フルオロスルホニル)イミドを上記混合液中に完全溶解させて、ゲル化可能な体系を製造しうる。引き続き2時間撹拌してから、10時間静置することで固体電解質が得られる。上記固体電解質体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は70wt%である;ポリエステル添加量の質量百分含量は15wt%である。
【0380】
測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表8で示す。表8から、実施例4で製造された固体電解質の形成時間は10hであり、固体電解質の転移温度は85℃であり、固体電解質の導電率は2.5×10-4S/cmである。製造し得られた固体電解質を85℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を85℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0381】
(3)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0382】
[実施例5-5]
(1)ポリエステルの合成
20.0gのアジピン酸と、40.0gのポリエチレングリコール-600と、を計量し三口フラスコに入れ、油浴で150°Cに加熱昇温させ、1時間温度維持をしてから、20分おきに15℃ずつ昇温させるが210℃まで続き、2時間温度維持をし、0.16gの触媒(チタン酸テトラブチル)を加え、30分間反応してから、3時間真空抜きをし、温度を下げることで粗製品が得られる。そして、トリクロロメタンを40.0mL添加し、50℃で15時間撹拌し、エタノール内で沈殿させ、生成物を50℃の真空乾燥箱で24時間乾燥し、ポリエステルEが得られたら、グローブボックス内に保存する。
【0383】
(2)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
0.42mLのポリエステルEと、0.86mLのテトラヒドロピランと、0.22mLのリチウムイオン電池慣用の電解液と、を計量し、三者を撹拌混合させ清い透明な液体を得る。均一に混合してから0.3gのヘキサフッ化リン酸リチウムと、0.2gのリチウムビストリ(フルオロスルホニル)イミドとを加え、1h撹拌することでリチウム(フルオロスルホニル)イミドを上記混合液中に完全溶解させて、ゲル化可能な体系を製造しうる。引き続き2時間撹拌してから、9時間静置することで無色のゲルが得られるが、逆さまにしても流動しない。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は25wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は43wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は11wt%である;ポリエステル添加量の質量百分含量は21wt%である。
【0384】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、実施例5で製造されたゲルの形成時間は9hであり、ゲルの転移温度は56℃であり、ゲルの導電率は3.3×10-2S/cmである。製造し得られたゲルを56℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を56℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0385】
(3)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0386】
[実施例5-6]
(1)ポリエステルの合成
15.0gのセバシン酸と、15.0gのフマル酸と、30.0gのポリエチレングリコール-200と、を計量し三口フラスコに入れ、窒素ガス雰囲気の油浴加熱で150°Cに昇温させ、0.5時間温度維持をしてから、15分おきに15℃ずつ昇温させるが225℃まで続き、1時間温度維持をし、触媒(0.24gのチタン酸テトラブチルと0.24gの 重合阻害剤p-ヒドロキシフェノール)を加え、1時間反応してから、2時間減圧し、温度を下げることで粗製品が得られる。そして、ジクロロメタンを40.0mL添加し、45℃で10時間撹拌し、メタノール内で沈殿させ、生成物を44℃の真空乾燥箱で24時間乾燥し、ポリエステルFが得られるが、グローブボックス内に保存する。
【0387】
(2)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
1.7mLのポリエステルFと、0.8gのトリオキサンと、3.0mLの1,3-ジオキソランと、1.1mLのリチウム電池慣用の電解液と、0.24gの二酸化ケイ素と、を計量し、四者を撹拌混合させ均一な液体を得る。そして、1.3gのヘキサフッ化リン酸リチウムを加え、2h撹拌することでヘキサフッ化リン酸リチウムを上記混合液中に完全溶解させ、ゲル化可能な体系を製造しうる。2時間引き続き撹拌してから、6時間静置することで無色のゲルが得られるが、逆さまにしても流動しない。
【0388】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は16wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は47wt%である;ポリエステル添加量の質量百分含量は21wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は13wt%である;無機ナノ粒子の質量百分含量は3wt%である。
【0389】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、実施例6で製造されたゲルの形成時間は10hであり、ゲルの転移温度は56℃であり、ゲルの導電率は9.9×10-3S/cmである。製造し得られたゲルを56℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を56℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0390】
(3)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0391】
[実施例5-7]
(1)ポリエステルの合成
30.0gのアゼライン酸と、15.0gの1,3-プロピレングリコールと、30.0gのポリエチレングリコール-200と、を計量し三口フラスコに入れ、窒素ガス雰囲気の油浴で130°Cに加熱昇温させ、0.5時間温度維持をしてから、25分おきに20℃ずつ昇温させるが温度が210℃になるまで続き、1時間温度維持をし、0.24gの触媒(チタン酸テトラブチル)を加え、0.5時間反応してから、1時間減圧反応し、温度を下げることで粗製品が得られる。そして、トリクロロメタンを50.0mL添加し、50℃で12時間撹拌し、エタノール内で沈殿させ、生成物を55℃の真空乾燥箱で24時間乾燥し、ポリエステルGが得られるが、グローブボックス内に保存する。
【0392】
(2)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
4.6mLのテトラヒドロピランを計量し試薬瓶内に入れ、2.2mLのポリエステルGを加え、磁気撹拌で二者を均一に混合させてから、1.2gのパーフルオロブタンスルホン酸リチウム固体を上記混合液中に加えることでゲル化可能な体系を製造しうる。引き続き2時間撹拌してから、9時間静置することでゲルが形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は58wt%である;ポリエステル添加量の質量百分含量は27wt%である。
【0393】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、実施例7で製造されたゲルの形成時間は9hであり、ゲルの転移温度は66℃であり、ゲルの導電率は6.7×10-3S/cmである。製造し得られたゲルを66℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を66℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0394】
(3)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0395】
[実施例5-8]
(1)ポリエステルの合成
20.0gのコハク酸と、15.0gのグルタル酸と、20.0gのポリエチレングリコール-200と、15.0gの1,4-ブタンジオールと、を計量し三口フラスコに入れ、窒素ガス雰囲気の油浴で145°Cまでに加熱昇温させ、1時間温度維持をしてから、25分おきに20℃ずつ昇温させるが210℃まで続き、0.28gの触媒(チタン酸テトラブチル)を加え、0.5時間反応してから、1時間減圧反応し、温度を下げることで粗製品が得られる。そして、トリクロロメタンを50.0mL添加し、50℃で12時間撹拌し、メタノール内で沈殿させ、生成物を55℃の真空乾燥箱で24時間乾燥し、ポリエステルHが得られるが、グローブボックス内に保存する。
【0396】
(2)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.9mLのポリエステルHを計量し試薬瓶に入れ、7.0mLのテトラヒドロフランと0.6mLのリチウム硫黄電池慣用の電解液とを加え、撹拌で三者を均一に混合させてから、1.5gのパーフルオロブタンスルホン酸リチウム固体を上記混合液中に加えることでゲル化可能な体系を製造しうる。磁気撹拌を2時間してから、9時間静置することで固体電解質が形成される。
【0397】
上記固体電解質体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は70wt%である;ポリエステル添加量の質量百分含量は9wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は6wt%である。
測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表8で示す。表8から、実施例8で製造された固体電解質の形成時間は9hであり、固体電解質の転移温度は93℃であり、固体電解質の導電率は1.01×10-4S/cmである。製造し得られた固体電解質を93℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を93℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0398】
(3)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0399】
[比較例5-1]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
固体電解質の製造方法は実施例1と同様で、相違点は、上記ゲル化可能な体系中にポリエステルAを添加しないで固体電解質を製造しうる。上記固体電解質体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は17wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は83wt%である。
【0400】
測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表8で示す。表8から、比較例1で製造された固体電解質の形成時間は12hであり、固体電解質の転移温度は96℃であり、固体電解質の導電率は2.0×10-5S/cmである。これにより、ポリエステル添加剤の加入は、体系を固体電解質の状態からゲル状態へ転移させ、ゲルの形成時間を長くし、ゲルの転移温度を下げ、ゲルの導電率を高めたことが説明できる。
【0401】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0402】
[比較例5-2]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
上記ゲルの製造方法は実施例5と同様で、相違点は、上記ゲル化可能な体系中にポリエステルEを添加しないのみである。
【0403】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は22wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は54wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は24wt%である。
【0404】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、比較例2で製造されたゲルの形成時間は7hであり、ゲルの転移温度は65℃であり、ゲルの導電率は3.4×10-3S/cmである。これにより、ポリエステル添加剤の加入は、ゲルの形成時間を長くし、ゲルの転移温度を下げ、ゲルの導電率を高めたことが説明できる。
【0405】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0406】
[比較例5-3]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
上記ゲルの製造方法は実施例3と同様で、相違点は、上記ゲル化可能な体系中にポリエステルCを添加しないのみである。
【0407】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は28wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は57wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は14wt%である;無機ナノ粒子の質量百分含量は1wt%である。
【0408】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、比較例1で製造されたゲルの形成時間は6hであり、ゲルの転移温度は69℃であり、ゲルの導電率は1.0×10-3S/cmである。これにより、ポリエステル添加剤の加入は、ゲルの形成時間を長くし、ゲルの転移温度を下げ、ゲルの導電率を高めたことが説明できる。
【0409】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0410】
[比較例5-4]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(ゲル電解質として使える)との製造
上記ゲルの製造方法は実施例6と同様で、相違点は、上記ゲル化可能な体系中にポリエステルFを添加しないのみである。
【0411】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は20wt%である;環状エーテル系化合物の質量百分含量は60wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は16wt%である;無機ナノ粒子の質量百分含量は4wt%である。
【0412】
測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表8で示す。表8から、比較例1で製造されたゲルの形成時間は8hであり、ゲルの転移温度は75℃であり、ゲルの導電率は1.0×10-4S/cmである。これにより、ポリエステル添加剤の加入は、ゲルの形成時間を長くし、ゲルの転移温度を下げ、ゲルの導電率を高めたことが説明できる。
【0413】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表8で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(2)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0414】
【0415】
【0416】
図16は、実施例5-8で造った固体電解質の光学写真である。図から、実施例8で造った固体電解質は自然のままでは流れず、流動性を持たず優れた液体保持率と導電率とを表し、化学性質も安定していることがわかる。
【0417】
図17は、実施例5-1で得られたゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から当該ゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として使うことは、リチウムイオン電池の充放電を正常にさせる共に、その活性物質の作用も完全発揮され、より高い比容量が得られることがわかる。
【0418】
図18は、実施例5-1で得られたゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から当該ゲルを、リチウムイオン電池の電解液として使うことは、安定的なサイクル性能を見せ、比容量はほぼ変わらなかったことがわかる。
【0419】
図19は、実施例5-8で得られた固体電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から当該固体電解質を、リチウムイオン電池の電解液として使うことは、リチウム硫黄電池の充放電を正常にさせる共に、その活性物質の作用も完全発揮され、より高い比容量が得られることがわかる。
【0420】
図20は、実施例5-8で得られた固体電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から当固体電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として使うことは、比較的安定的なサイクル性能を見せ、比容量の減少は比較的緩慢となり、シャトル効果による容量低下を効果的に抑制したことがわかる。
【0421】
[実施例6-1]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.7gのパーフルオロブタンスルホン酸リチウム固体を計量し試薬瓶に入れ、3.0mLのエチレングリコールメチルエチルエーテルと2.0mLのエチレングリコールジエチルエーテル(使う前に既に分子篩で脱水)とを加え、磁気撹拌下でリチウム塩含量が12wt%であるパーフルオロブタンスルホン酸リチウム/エチレングリコールメチルエチルエーテル+エチレングリコールジエチルエーテル溶液を調合し、引き続き一定時間撹拌することでゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することでゲルが得られる。上記ゲル体系中のリチウム塩の質量百分含量は12wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は88wt%である。測定したところ:上記ゲルの形成時間は24hであり、上記ゲルの形成温度は室温であり、上記ゲルの転移温度は67℃であり、上記ゲルの導電率は4.97×10-4S/cmである。
【0422】
造られたゲルを67℃以上に加熱すると、ゲルが粘り始め、試薬瓶を逆さまにしたら、ゲルが下側に流れる出された。温度が既に転移温度に達していることを示し、温度を67℃以下に下げると、ゲルに再形成されたので、造られたゲルは優れた可逆性を持つことが示された。
【0423】
[実施例6-2]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.45gのヘキサフッ化リン酸リチウム(LiPF6)と、0.45gの過塩酸リチウム(LiClO4)固体と、を計量し試薬瓶に入れ、3.6mLのエチレングリコールジメチルエーテル(使う前に既に分子篩で脱水)とを加え、磁気撹拌下でリチウム塩含量が20wt%であるLiPF6+LiClO4/エチレングリコールメチルエチルエーテルを調合し、引き続き撹拌することでゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することで固体電解質が得られる。
【0424】
上記固体電解質体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は20wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は80wt%である。測定により、上記固体電解質の形成時間は12hであり、上記固体電解質の形成温度は室温であり、固体電解質の転移温度は84℃であり、固体電解質の導電率は3.31×10-6S/cmである。
【0425】
製造し得られた固体電解質を84℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を84℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0426】
[実施例6-3]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.4gの過塩酸リチウムと、0.2gのヘキサフッ化ヒ素酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶に入れ、1.0mLのリチウムイオン電池慣用の電解液(1mol/L のLiPF6を含み、体積比=1:1である炭酸ジメチル(DMC)と炭酸エチレン(EC)との混合液)を加え、磁気撹拌下でリチウム塩を全部溶解させてから、1.5mLの1,4-ブチルグリコールジメチルエーテルを上記混合液内に加え、十分に混合したらゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することでゲルが形成される。
【0427】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は19wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は48wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は33wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメーターを表9で示す。
【0428】
製造し得られたゲルを65℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を65℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0429】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表9で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0430】
[実施例6-4]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
1.2gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体を計量し試薬瓶に入れ、1.5mLの混合エステル系溶媒(体積比=1:1である炭酸ジエチル(DEC)と炭酸エチレン(EC)との混合液)を加え、磁気撹拌下でリチウム塩を完全溶解させてから、5.5mLのエチレングリコールジメチルエーテルをを加え、十分に混合することでゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は67wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は18wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表9で示す。
【0431】
製造し得られた固体電解質を100℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を100℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0432】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表9で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0433】
[実施例6-5]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.6gのリチウム(フルオロスルホニル)イミドと、0.6gの過塩酸リチウム固体と、を計量し試薬瓶に入れ、2.0mLのリチウム硫黄電池慣用の電解液(1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)、そのうち、1,3-ジオキソラン:エチレングリコールジメチルエーテル=1:1(体積比))を加え、磁気撹拌下で過塩酸リチウムとトリフルオロメタンスルホン酸リチウムとを完全溶解させてから、4.0mLのエチレングリコールジメチルエーテルをを加え、十分に混合することでゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することで固体電解質が形成される。上記固体電解質体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は20wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は56wt%である;他の溶媒及び/又は電解液の質量百分含量は24wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表9で示す。
【0434】
製造し得られた固体電解質を76℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を76℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0435】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表9で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0436】
[実施例6-6]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.35gのクロロアルミン酸リチウムと、0.5gの過塩酸リチウムと、を計量し試薬瓶に入れ、1.2mLのリチウム硫黄電池慣用の電解液(1M LiTFSI-DOL/DME=1/1)を加え、磁気撹拌下でクロロアルミン酸リチウムとリチウムビス(フルオロスルホニル)イミドとを完全溶解させてから、2.5mLのエチレングリコールジメチルエーテルと1.2mLのエチレングリコールメチルエチルエーテルとをを加え、十分に混合することでゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することで固体電解質が形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は64wt%である;他の電解液又は溶媒の質量百分含量は21wt%である。測定により、上記固体電解質の性能パラメーターを表9で示す。
【0437】
製造し得られた固体電解質を87℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を87℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0438】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表9で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0439】
[実施例6-7]
(1)ゲル化可能な体系とゲル(電池のゲル電解質として使える)との製造
0.06gの酸化アルミニウムを計量し試薬瓶に入れ、そして2.6mLのエチレングリコールジメチルエーテルを加え、磁気撹拌下でこれらを充分均一に混合し、混合液Aが得られる。0.8gのヘキサフッ化ヒ素酸リチウムを別当計量し試薬瓶に入れ、そして2.6mLのリチウムイオン電池慣用の電解液(1M LiPF6のDMC:EC=1:1)を加え、リチウム塩が完全溶解されるまで撹拌し、混合液Bが得られる。上記で得られたAとB溶液とを十分に混合することで混合液が得られ、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することでゲルが形成される。
【0440】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は13wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は43wt%である;無機ナノ粒子の質量百分含量は1wt%である;他の電解液および/又は溶媒の質量百分含量は43wt%である。測定により、上記ゲルの形成時間は24hであり、上記ゲルの形成温度は室温であり、上記ゲルの転移温度は50℃であり、上記ゲルの導電率は1.38×10-2S/cmである。
【0441】
製造し得られたゲルを50℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を50℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0442】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表9で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0443】
[実施例6-8]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.05gの二酸化ケイ素を計量し試薬瓶に入れ、そして4.5mLのエチレングリコールメチルエチルエーテルを加え、磁気撹拌下でこれらを充分均一に混合し、混合液Aが得られる。0.4gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと0.6gの過塩酸リチウムとを別当計量し試薬瓶に入れ、そして1.2mLのリチウム硫黄電池慣用の電解液を加え、リチウム塩が完全溶解されるまで撹拌し、混合液Bが得られる。上記で得られたAとB溶液とを十分に混合することで混合液が得られ、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することで固体電解質が形成される。
【0444】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は15wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は66.3wt%である;無機ナノ粒子の質量百分含量は0.7wt%である;他の電解液および/又は溶媒の質量百分含量は18wt%である。測定により、上記固体電解質の形成時間は14hであり、上記固体電解質の形成温度は室温であり、上記固体電解質の転移温度は98℃であり、上記固体電解質の導電率は2.06×10-5S/cmである。
【0445】
製造し得られた固体電解質を98℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を98℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0446】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表9で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0447】
[実施例6-9]
0.08gの二酸化チタンを計量し試薬瓶に入れ、そして1.5mLのアニソールと1.5mLのエチレングリコールジメチルエーテルとを加え、磁気撹拌下でこれらを充分均一に混合し、混合液Aが得られる。0.2gのヘキサフッ化ヒ素酸リチウムと0.6gのヘキサフッ化リン酸リチウムとを別当計量し試薬瓶に入れてから、3.2mLのリチウムイオン電池慣用の電解液(1M LiPF6のDMC:EC=1:1)を加え、リチウム塩が完全溶解されるまで撹拌し、混合液Bが得られる。上記で得られたA溶液とB溶液とを十分に混合することで混合液が得られ、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することでゲルが形成される。
【0448】
上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は11wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は42wt%である;無機ナノ粒子の質量百分含量は1.1wt%である;他の電解液および/又は溶媒の質量百分含量は45.9wt%である。測定により、上記ゲルの形成時間は26hであり、上記ゲルの形成温度は室温であり、上記ゲルの転移温度は50℃であり、上記ゲルの導電率は1.49×10-2S/cmである。
【0449】
製造し得られたゲルを45℃以上に加熱したとき、ゲルは粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたらゲルが下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既にゲルの転移温度になっていることが分かり、温度を45℃以下に冷ましたとき、ゲルに再形成されたので、製造されたゲルには優れた可逆性があることが説明された。
【0450】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表9で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置する。
【0451】
[実施例6-10]
(1)ゲル化可能な体系と固体電解質との製造
0.08gの窒化ケイ素を計量し試薬瓶に入れ、そして4.0mLのジフェニルエーテルを加え、磁気撹拌下でこれらを充分均一に混合し、混合液Aが得られる。0.5gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと0.5gのテトラフルオロホウ酸リチウムとを別当計量し試薬瓶に入れ、そして1.2mLの炭酸ジメチルを加え、リチウム塩が完全溶解されるまで撹拌し、混合液Bが得られる。上記で得られたA溶液とB溶液とを十分に混合することで混合液が得られ、ゲル化可能な体系が得られる;暫く静置することで固体電解質が形成される。上記ゲル体系の中で、リチウム塩の質量百分含量は16wt%である;直鎖状エーテル系化合物の質量百分含量は63.6wt%である;無機ナノ粒子の質量百分含量は1.3wt%である;他の電解液および/又は溶媒の質量百分含量は19.1wt%である。
【0452】
測定により、上記固体電解質の形成時間は15hであり、上記固体電解質の形成温度は室温であり、上記固体電解質の転移温度は95℃であり、上記固体電解質の導電率は3.67×10-5S/cmである。
【0453】
製造し得られた固体電解質を95℃以上に加熱したとき、固体電解質は粘りが出始め、試薬瓶を逆さまにしたら固体電解質が下方向に流れ出されることが観察されたので、温度は既に固体電解質の転移温度になっていることが分かり、温度を95℃以下に冷ましたとき、固体電解質に再形成されたので、製造された固体電解質には優れた可逆性があることが説明された。
【0454】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をボタン電池中に適用する。ブルーバッテリーパック測定器でボタン電池の電気化学性能(測定結果は表9で示す)を測定した。其の内、上記ボタン電池の製造方法:セパレータを、正極と負極との間に配置し、3者の間にはステップ(1)で造ったゲル化可能な体系を遍満させ、パッケージング押圧することでCR-2032型ボタン電池に組み立てる。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置する。
【0455】
【0456】
図21は実施例6-2で得られた固体電解質の光学写真である。図から、当該固体電解質は重力作用のもとでは自然流動されず、色は比較的透明であり、物理的性質と化学的性質も安定していることがわかる。
【0457】
図22は、実施例6-3で得られたゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から、当該ゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として使うことは、リチウムイオン電池の充放電を正常にさせる共に、其の内の活性物質の役割を完全発揮させ、より高い比容量が得られることがわかる。
【0458】
図23は、実施例6-3で得られたゲル電解質を、リチウムイオン電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から、当該ゲルをリチウムイオン電池の電解液として使うことは、安定的なサイクル性能を見せる共に其の比容量もほぼ変化してないことがわかる。
【0459】
図24は、実施例6-6で得られた固体電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池の初回充放電図である。図から、当該ゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として使うことは、リチウムイオン電池の充放電を正常にさせる共に、其の内の活性物質の役割を充分に発揮させ、比較的高い比容量が得られることがわかる。
【0460】
図25は、実施例6-6で得られた固体電解質を、リチウム硫黄電池の電解液として組み立てた電池のサイクル性能図である。図から、当該ゲル電解質をリチウム硫黄電池の電解液として使うことは、「シャトル効果」を効果的に緩和させることで、活性物質の利用効率を高め、電池の比容量を向上させ、優れたサイクル性能を示していることがわかる。
【0461】
以上、本発明の実施方法に対して説明した。ただし、本発明は上記実施方法に限定されるものではない。本発明の精神および原則を基盤としたあらゆる修正、同等の置換、改善などは、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとされる。