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特許7173617ゲル化可能な体系及びそれのリチウム空気電池、有機体系のスーパーキャパシタ又はキャパシタにおける応用
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  • 特許-ゲル化可能な体系及びそれのリチウム空気電池、有機体系のスーパーキャパシタ又はキャパシタにおける応用 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ゲル化可能な体系及びそれのリチウム空気電池、有機体系のスーパーキャパシタ又はキャパシタにおける応用
(51)【国際特許分類】
   H01M 12/08 20060101AFI20221109BHJP
   H01G 11/56 20130101ALI20221109BHJP
【FI】
H01M12/08 K
H01G11/56
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2020515816
(86)(22)【出願日】2018-05-25
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2020-08-13
(86)【国際出願番号】 CN2018088496
(87)【国際公開番号】W WO2018214973
(87)【国際公開日】2018-11-29
【審査請求日】2021-04-28
(31)【優先権主張番号】201710386080.2
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】201710386081.7
(32)【優先日】2017-05-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】501079107
【氏名又は名称】北京▲師▼▲範▼大学
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】特許業務法人HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】李林
(72)【発明者】
【氏名】劉鳳泉
(72)【発明者】
【氏名】周建軍
【審査官】冨士 美香
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-056822(JP,A)
【文献】特開2002-343435(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 12/08
H01G 11/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゲル電解質の製造方法であって、上記ゲル電解質は、リチウム空気電池用のゲル化可能な体系のゲル化により得られるが;
上記ゲル化可能な体系は以下の組成(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物、(c)リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒、(d)無機ナノ粒子、(e) 添加剤、およびゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーを含み;
上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種であり;
上記リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒は、エーテル系電解液及びその溶媒、エステル系電解液及びその溶媒、アミド類電解液及びその溶媒、ニトリル系電解液及びその溶媒、スルホン系電解液及びその溶媒から選ばれ;
上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンドから選ばれる1種または多種であるが;其の内、上記ポリエステルは、多塩基酸または酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られ;上記多塩基酸は、二塩基酸、三塩基酸またはその以上の多塩基酸から選ばれ、上記多価アルコールは、二価アルコール、三価アルコールまたはその以上の多価アルコールから選ばれ;
其のうち、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩≦60wt%であり;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%であり;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で20wt%≦電解液又はその溶媒≦75wt%であり;上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり;上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%であり;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%であり;
上記製造方法は以下のステップ:
1)リチウム塩をリチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒に加え、均一に撹拌した後、リチウム塩を含む混合溶液が得られ;
2)エーテル系化合物と、必要に応じて無機ナノ粒子及び/又は添加剤と、を上記混合溶液に加え、撹拌下で混合体系,すなわち上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系が得られ、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化によりゲル、即ち上記ゲル電解質が得られるが;
ステップ2)において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要があり;上記ゲルの形成温度は、上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は、30秒~300時間であることを特徴とするゲル電解質の製造方法。
【請求項2】
請求項1に記載の製造方法に基づき、上記リチウム空気電池用のゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で10wt%≦リチウム塩≦40wt%であり;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%であり;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で20wt%≦電解液又はその溶媒≦60wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%<添加剤≦20wt%であることを特徴とするゲル電解質の製造方法。
【請求項3】
固体電解質の製造方法であって、
上記固体電解質は、リチウム空気電池用のゲル化可能な体系のゲル化により得られる固体電解質であるが;
上記ゲル化可能な体系は以下の組成:(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物、(c)リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒、(d)無機ナノ粒子、(e) 添加剤、およびゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマー、を、含み;
上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種であり;
上記リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒は、エーテル系電解液及びその溶媒、エステル系電解液及びその溶媒、アミド類電解液及びその溶媒、ニトリル系電解液及びその溶媒、スルホン系電解液及びその溶媒から選ばれ;
上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンドから選ばれる1種または多種であり;其の内、上記ポリエステルは、多塩基酸または酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られ;上記多塩基酸は、二塩基酸、三塩基酸またはその以上の多塩基酸から選ばれ、上記多価アルコールは、二価アルコール、三価アルコールまたはその以上の多価アルコールから選ばれ;
そのうち、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩≦60wt%であり;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で60wt%<エーテル系化合物≦90wt%であり;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で5wt%≦電解液又はその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%であり;
上記製造方法は以下のステップ:
1’)リチウム塩をリチウム空気電池用の電解液又はその溶媒に加え、均一に撹拌した後、リチウム塩を含む混合溶液が得られ;
2’)エーテル系化合物と、必要に応じて無機ナノ粒子及び/又は添加剤と、を上記混合溶液に加え、撹拌下で混合体系、すなわち上記リチウム空気電池用のゲル化可能な体系が得られ、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化により上記固体電解質が得られるが;
ステップ2’)において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要があり;上記固体電解質の形成温度は、室温であり、上記固体電解質の形成時間は、5時間~20時間であることを特徴とする固体電解質の製造方法。
【請求項4】
請求項3に記載の製造方法に基づき、上記リチウム空気電池用のゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で10wt%≦リチウム塩≦40wt%であり;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で60wt%<エーテル系化合物≦85wt%であり;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で5wt%≦電解液又はその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%<添加剤≦20wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項5】
リチウム空気電池の製造方法であって、上記リチウム空気電池は、ゲル電解質及び/又は固体電解質を含むが、
請求項1または2に記載の方法で上記ゲル電解質を製造し;
請求項3または4に記載の方法で上記固体電解質を製造することを特徴とする製造方法。
【請求項6】
有機系のスーパーキャパシタ又は有機系のコンデンサ電池の製造方法であって、
上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池はゲル電解質及び/又は固体電解質を含み、
上記ゲル電解質は、ゲル化可能な体系のゲル化により得られたものであり;
上記ゲル化可能な体系は以下の組成:(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物、(c)有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒、(d)無機ナノ粒子、(e) 添加剤、およびゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーを含み;
上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種であり;
上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒は、エーテル系電解液及びその溶媒、エステル系電解液及びその溶媒、アミド類電解液及びその溶媒、ニトリル系電解液及びその溶媒、スルホン系電解液及びその溶媒から選ばれ;
上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンドから選ばれる1種または多種であり;其の内、上記ポリエステルは、多塩基酸または酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られ;上記多塩基酸は、二塩基酸、三塩基酸またはその以上の多塩基酸から選ばれ、上記多価アルコールは、二価アルコール、三価アルコールまたはその以上の多価アルコールから選ばれ;
上記リチウム塩の含有量は質量百分率で2wt%≦リチウム塩≦50wt%であり;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で50wt%≦エーテル系化合物≦98wt%であり;上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%≦有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒≦48wt%であり;上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり;上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%であり、体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%であり;
上記ゲル電解質の製造は以下のステップを含む方法:
a)リチウム塩を、有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒に加え、均一に撹拌した後、リチウム塩を含む混合溶液が得られ;
b)エーテル系化合物と、必要に応じて無機ナノ粒子及び/又は添加剤と、を上記混合溶液に加え、撹拌下で混合体系,すなわち上記ゲル化可能な体系が得られ、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化によりゲル、即ち上記ゲル電解質が得られ;
ステップb)において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要があり;上記ゲルの形成温度は、上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は、30秒~300時間であり;
上記固体電解質はゲル化可能な体系のゲル化により得られ;
上記ゲル化可能な体系は以下の組成(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物、(c)有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒、(d)無機ナノ粒子、(e) 添加剤、およびゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーを含み;
上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物または直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種であり;
上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒は、エーテル系電解液及びその溶媒、エステル系電解液及びその溶媒、アミド類電解液及びその溶媒、ニトリル系電解液及びその溶媒、スルホン系電解液及びその溶媒から選ばれ;
上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンドから選ばれる1種または多種であり;其の内、上記ポリエステルは、多塩基酸または酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られ;上記多塩基酸は、二塩基酸、三塩基酸またはその以上の多塩基酸から選ばれ;上記多価アルコールは、二価アルコール、三価アルコールまたはその以上の多価アルコールから選ばれ;
上記リチウム塩の含有量は質量百分率で20wt%≦リチウム塩≦50wt%であり、上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で50wt%≦エーテル系化合物≦80wt%であり、上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%≦有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒≦30wt%であり;上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%であり;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%であり;
上記固体電解質の製造は以下のステップを含む方法:
a’)リチウム塩を、有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池用の電解液又はその溶媒に加え、均一に撹拌した後、リチウム塩を含む混合溶液が得られ;
b’)エーテル系化合物と、必要に応じて無機ナノ粒子及び/又は添加剤と、を上記混合溶液に加え、撹拌下で混合体系,すなわち上記ゲル化可能な体系が得られ、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化によりゲル、即ち上記固体電解質が得られ;
ステップb’)において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要があり;上記固体電解質の形成温度は、室温であり、上記固体電解質の形成時間は、5時間~20時間であることを特徴とする有機系のスーパーキャパシタ又は有機系のコンデンサ電池の製造方法。
【請求項7】
請求項6に記載の有機系のスーパーキャパシタ又は有機系のコンデンサ電池の製造方法に基づき、上記ゲル電解質のゲル化可能な体系を製造するにおいて、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で2wt%≦リチウム塩<20wt%であり;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で50wt%<エーテル系化合物≦98wt%であり;上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%≦電解液又はその溶媒≦48wt%であり;上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり;上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の有機系のスーパーキャパシタ又は有機系のコンデンサ電池の製造方法に基づき、
上記ゲル電解質のゲル化可能な体系の製造に置いて、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩<20wt%であり;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で55wt%<エーテル系化合物≦95wt%であり;上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%<電解液又はその溶媒≦40wt%であり;上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり;上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%<添加剤≦20wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項9】
請求項6に記載の有機系のスーパーキャパシタ又は有機系のコンデンサ電池の製造方法に基づき、
上記固体電解質のゲル化可能な体系の製造に置いて、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で20wt%≦リチウム塩<30wt%であり;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で55wt%<エーテル系化合物≦80wt%であり;上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%<電解液又はその溶媒≦25wt%であり;上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり;上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%<添加剤≦20wt%であることを特徴とする製造方法。
【請求項10】
請求項1-9のいずれの一項に記載の製造方法に基づき、
上記アミド電解液は、リチウム塩を含むアミド系混合液から選ばれ;
上記アミド電解液の溶媒は、アミド基を含む化合物から選ばれ;
上記ニトリル系電解液は、リチウム塩を含むニトリル系混合液から選ばれ;
上記ニトリル系電解液の溶媒はC1~C20のアルキルニトリル、C1~C20アルケニルニトリル、C1~C20のアルキニルニトリル、C1~C20のハロアルキルニトリル、C1~C20のハロアルケニルニトリル、C1~C20のハロアルキニルニトリル、C7~C20のアリールニトリル、C1~C20のエポキシニトリルから選ばれる少なくとも一種であり;
スルホン系電解液は、リチウム塩を含むスルホン系混合液から選ばれ;
スルホン系電解液の溶媒は、C1~C20のアルキルスルホン、C1~C20アルケニルスルホン、C1~C20のアルキニルスルホン、C1~C20のハロアルキルスルホン、C1~C20のハロアルケニルスルホン、C1~C20のハロアルキニルスルホン、C7~C20のアリールスルホン、C1~C20のエポキシスルホンから選ばれる少なくとも一種であり;
上記エステル系電解液は、リチウム塩を含むエステル系混合液から選ばれ;上記エステル系電解液の溶媒は、エステル系環状非水有機溶媒と、エステル系鎖状非水有機溶媒と、から選ばれる少なくとも一種であり;
上記エーテル系電解液は、リチウム塩を含むエーテル系混合液から選ばれ;
上記エーテル系電解液の溶媒は、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、フルオロ炭酸エチレン、ポリエチレングリコールホウ酸エステル、1,1’,2,2’-テトラフルオロエチル-2,2’,3,3’-テトラフルオロプロピレンエーテルから選ばれる1種または多種であることを特徴とする製造方法。
【請求項11】
請求項1-9のいずれの一項に記載の製造方法に基づき、
上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフッ化ヒ素酸リチウム、過塩酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、アルミン酸リチウム、クロロアルミン酸リチウム、リチウム(フルオロスルホニル)イミド、塩化リチウム、及びヨウ化リチウムから選ばれる1種または多種であることを特徴とする製造方法。
【請求項12】
請求項1-9のいずれの一項に記載の製造方法に基づき、
上記環状エーテル系化合物は、1個の酸素、2個の酸素、3個の酸素またはより多くの酸素を含む環状エーテル系化合物から選ばれ;
上記環状エーテル系化合物は、単環式、縮合環、スピロ環式または架橋環から選ばれることを特徴とする製造方法。
【請求項13】
請求項12に記載の製造方法に基づき、
上記環状エーテル系化合物は、第一類化合物~第四類化合物から選ばれる1種であるが;
第一類化合物:
【化1】

第二類化合物:
【化2】

第三類化合物:
【化3】

第四類化合物:
【化4】

かであることを特徴とする製造方法。
【請求項14】
請求項1-9のいずれの一項記載の製造方法に基づき、
上記環状エーテル系化合物は、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、2-クロロメチルオキセタン、2-(クロロメチル)プロピレンオキシド、1,3-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロピラン、オキサシクロへプタン、オキサシクロオクタン、オキサシクロノナン、オキサシクロデカン、1,3-ジオキソラン(DOL)、1,4-ジオキサントリオキサン、18クラウン‐6、12-クラウン-4、24-クラウン-8から選ばれることを特徴とする製造方法。
【請求項15】
請求項1-9のいずれの一項に記載の製造方法に基づき、
上記直鎖エーテル系化合物は式(1)で示す通り:
【化5】

そのうち、nは、0より大きい整数であり;
R2は、直鎖または分岐鎖のC1-C6アルキレン、直鎖または分岐鎖のC2-C6アルケニレンから選ばれ;上記R2上の炭素原子上のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基であり;
R1およびR3は、同じまたは異なり、お互い独立的に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、アルキニル基から選ばれる1種または多種である;上記R1およびR3の炭素原子上のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基であることを特徴とする製造方法。
【請求項16】
請求項15に記載の製造方法に基づき、
上記直鎖エーテル系化合物は、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、1,4-ブチルグリコールジメチルエーテル、1,4-ブチルグリコールジエチルエーテル、1,4-ブチルグリコールメチルエチルエーテルから選ばれる一種または多種であることを特徴とする製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲル電解質の技術分野に属し、ゲル化可能な体系及びそれのリチウム空気電池、有機体系のスーパーキャパシタ又はキャパシタにおける応用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、化石エネルギーの過剰消費はエネルギー危機や環境問題をもたらし、大量の自動車排ガス放出による地球温暖化やヘイズが益々進み、これらの問題は人間の生産生活に大きく影響している。電気エネルギーはクリーンなエネルギーであり、かつ、充電可能な電池により循環使用が可能となっている。リチウム電池は、高電圧プラットフォームと、エネルギーの高密度と、長いサイクル寿命と、低自己放電となどの利点を有するため、携帯電子機器、例えば、デジタルカメラや携帯型コンピュータ等の機器に適用するだけに限らず、さらに、電動工具や電気自動車等にも幅広く適用されている。
【0003】
現在、最もよく使われているリチウム電池はリチウムイオン電池、リチウム硫黄電池およびリチウム空気電池などであり、リチウム空気電池はリチウムイオン電池よりも高いエネルギー密度を有する新規なリチウム電池であるため、ますます注目されている。リチウム空気電池は、その陰極材料が主に多孔質炭素をメインとして、且つ酸素ガスは環境から絶え間なく取得できて、電池内に保存する必要もないので、軽量化などの特徴がある。慣例のリチウム空気電池の負極は有機電解液に浸潤させ、空気極は水性電解液に浸潤させ、セパレータによって有機電解液と水性電解液とを隔離させ、両電解液の混合を防止させる一方、電池の反応は促進させ、そして、正極の固体反応生成物である酸化リチウム(LiO)の析出も防止できる。だが、リチウム空気電池の正極活物質である酸素は、電池内に貯蔵されておらず、空気から直接取得する。しかし、空気中の他の成分、例えばH2OとCO2とは、リチウム空気電池の性能に大きな影響を与える。H2Oは、負極金属リチウムと反応してH2を生成するため、厳重な安全問題をもたらし、CO2は、正極の放電生成物Li2O2と反応し、分解しにくいLi2CO3を生成するため、酸素伝搬路を閉塞し、電池の性能に重大な影響を与えている。H2O、CO2等のガスの妨害を避けるため、現在は乾燥している純酸素雰囲気内で電池性能の研究を行うことが多い。厳密的には、この体系を暫定的に「リチウム酸素電池」と呼ぶことができる。しかし、将来、リチウム空気電池の実用上、電池専用の酸素ガスチャンバーを設けることは不可能である。これによりリチウム空気電池のエネルギー密度を著しく低下されるからである。この体系の最終目標は空気環境で動作することである。したがって、ゲル電解質体系と固体電解質体系とをリチウム空気電池に用いることは、とても必要である。また、リチウム空気電池の安全上の問題もそれ以上の発展に限界をもたらしており、その安全問題は主に負極材料の溶解、セパレータの穿刺及び液状有機又は水性電解液の揮発及び漏れ等の問題に関わっている。そのため、リチウム空気電池の安全性は、揮発性電解液の漏洩、電池可燃性、過電位分解などの問題に大きく制約されている。なお、これらのリチウム電池は急速充放電性能と使用寿命の点でスーパーキャパシタにははるかに及ばない。スーパーキャパシタ(Supercapacitor、Ultracapacitor)は電気化学キャパシタ(Electrochemical Capacitor、EC)とも呼ばれ、電気化学素子であり、電解質を分極化することによりエネルギーが蓄積されるが、エネルギー貯蔵の過程には化学反応をしなく、一貫した物理的な過程であるため、性能が安定している。このような貯蔵過程は可逆的であり、これがあってこそスーパーキャパシタは数十万回も繰り返し充放電でき、その使用寿命を大幅に延長させている。それだけではなく、スーパーキャパシタの2つの極板に印加電圧が印加されると、正極板は正電荷を蓄積し、負極板は負電荷を蓄積し、スーパーキャパシタの2つの極板に電荷によって生成される電界の作用の下で、電解液と電極間の界面に相反の電荷が形成され、電解液の内部電界のバランスが取られる。この正電荷と負電荷は、2つの異なる相の間の接触面に存在し、正負電荷の間で極僅かな隙間で相反の位置に配列されるため、蓄積される電気容量は非常に大きい。しかしながら、単純なスーパーキャパシタは、とても高いパワー密度を有するにもかかわらず、エネルギー密度はさらに向上される余地がある。研究により、電池の両端に大容量コンデンサを並列することは、大電流の電池への衝撃を緩和させるため、電池のサイクル寿命が延ばされることが明らかになり、これを切っ掛けに容量型リチウムイオン電池が開発された。後期には、内部接続の方法を採用することで、各々の電池材料粒子全部がキャパシタの保護の下にあるコンデンサ電池という電子機器が生まれるが、電池の高エネルギー密度とスーパーキャパシタの高いパワー密度との特徴を両立させた。
【0004】
電解質タイプ別に、スーパーキャパシタは、水系スーパーキャパシタと有機系スーパーキャパシタとに分類することができる。水系スーパーキャパシタの多くは、電解質として強酸性又は強アルカリ性が用いられるが、その分解電圧は低いもので、一般的に1.2Vであり、デバイスのエネルギー密度への影響が大きい。有機系スーパーキャパシタの多くは、電解質として揮発性有機溶媒が用いられている。同様に、コンデンサ電池の電解液も多くは有機系である。しかしながら、有機系電解液による燃焼、爆発等の安全問題はそのさらなる発展を制約し、有機系のスーパーキャパシタ及びコンデンサ電池の安全問題は主に液状有機電解液の揮発、漏洩及び熱着火爆発、電解液の分解などに関わる問題がある。そのため、揮発性電解液の漏洩、電池可燃性、過電位分解などの問題は、スーパーキャパシタの安全性を大きく制約している。
【0005】
液状電解液の漏洩や可燃性等の問題を解消するために、無機固体電解質、重合物固体電解質並びに重合物ゲル電解質等が既に広く研究されており、そのうち、無機固体電解質は無機超イオン導電性を有するリチウム塩である。重合物固体電解質はポリマーとリチウム塩からなる導電性の固体であるが、現在報告されている固体電解質の導電性はいずれも良好ではなく、これから製造された電池の循環性能に大きく影響している。
【0006】
重合物ゲル電解質は良好な導電性を有して、且つ多孔質構造が電解液の揮発や漏洩を効果的に抑制できるが、現在報告されている重合ゲル電解質の調製は、原料から高分子あるいは合成工程の比較的複雑な小分子有機ゲル因子を慣用の電界液中に導入しており、そして、得られた重合物ゲル電解質は、いずれも比較的高い温度で流動性を示し、低温ではゲル状態であるため、注液時の高温注液を採用せざるを得ないので、実験操作の難度を増している。また、製造し得られた重合物ゲル電解質の転移温度は、いずれも比較的低く、ゲル状態も比較的破壊されやすく、ゲルは一旦破壊されると、再利用することができず、コストの大幅に増大につながる。
【0007】
[発明の内容]
従来技術の不足を解決するために、本発明の第1目的は、リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系を提供することにある。
【0008】
本発明の第2目的は、上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系のゲル化により製造されたゲル又は固体電解質、及び上記ゲル又は固体電解質の製造方法及び応用を提供することにある。
【0009】
本発明の第3目的は、有機系のスーパーキャパシタと有機系のコンデンサ電池を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、以下の技術案を通じて実現する:
リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系であって,該体系は(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物および(c)リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒を含む;上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物又は直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種である;上記リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒は、アミド系電解液及びその溶媒、ニトリル系電解液及びその溶媒、スルホン系電解液及びその溶媒から選ばれる;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%であるゲル化可能な体系。
【0011】
上記のリチウムイオン電池に用いられるゲル化可能な体系のゲル化により得られたゲルであって、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で20wt%≦電解液又はその溶媒≦75wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%であるゲル。
【0012】
上記リチウムイオン電池に用いられるゲル化可能な体系のゲル化により得られた固体電解質であって、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で60wt%<エーテル系化合物≦90wt%である;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で5wt%≦電解液又はその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%である固体電解質。
【0013】
前記のゲルを含むゲル電解質。
【0014】
ゲル電解質及び/又は固体電解質を含むリチウム空気電池であって、上記ゲル電解質及び/又は固体電解質は、ゲル化可能な体系から製造し得る;上記ゲル化可能な体系は(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物および(c)リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒を含む;上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物および直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種である;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%であるリチウム空気電池。
【0015】
ゲル電解質及び/又は固体電解質を含む有機系のスーパーキャパシタ又は有機系のコンデンサ電池であって、上記ゲル電解質及び/又は固体電解質は、ゲル化可能な体系から製造し得る;上記ゲル化可能な体系は(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物を含む;上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物および直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種である;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%である有機系のスーパーキャパシタ又は有機系のコンデンサ電池。
【0016】
本発明の有益な効果。
【0017】
1.本発明はリチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系及びそれから製造されたゲル及び/又は固体電解質、及びその製造方法と応用とを提供する。また、本発明は、さらに有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池を提供する。出願人は、研究により、リチウム塩と小分子エーテル系化合物(環状エーテル系化合物又は直鎖エーテル系化合物の一種)とを混合し、両者の相互作用(例えば、新たな錯体の生成又は自己組み立て作用等)と小分子エーテル系化合物の開環重合又は重縮合等の方式によりゲル体系又は固形体系が形成されること;上記ゲル体系又は固体体系にリチウム空気電池、有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒を添加することにより、製造し得られた体系は普通のゲル体系或は固体体系よりも優れた使用安全性をもつだけではなく、そして、上記ゲル化可能な体系の各成分の含有量や種類を調整することで、上記ゲル体系又は固体体系の強度と、上記ゲル体系又は固体体系の形成時間と、上記ゲル体系又は固体体系の転移温度と、を効果的に制御することができること;上記強度の変化によりゲル体系が固形体系までに拡張され、これによりゲル体系の適用範囲をさらに広げることができることを発現した。また、上記ゲル体系又は固形体系はさらに可逆性を有する。つまり、ゲル体系又は固形体系は、転移温度より低い温度で製造しうることが可能であり、高温処理(転移温度以上に加熱)を経た後、上記ゲル体系又は固形体系は流動性をもつようになるが、再び静置冷却(転移温度以下に冷却)すると、元のゲル体系や固形体系に戻されることができ、なお、性質は変化しない。上記ゲル体系又は固体体系は電池、有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池の安全性と電池の正常使用を満たすだけではなく、製造原料も一般的なものであり,製造過程も簡単であり,煩雑で長い実験ステップを踏むこともない。
【0018】
2.本発明記載のリチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系により製造されたゲルと固体電解質、又は上記有機系のスーパーキャパシタ或はコンデンサ電池におけるゲル及び固体電解質は強度調整可能で、形成時間(即ち、自由に流動可能な液体状態から流動不可能なゲル状態及び/又は固体電解質状態に遷移する)調整可能で、転移温度(即ち、流動不可能なゲル状態及び/又は固体電解質状態から自由に流動可能な液体状態に遷移する時の最低温度)調整可能である。すなわち、具体的な必要に応じて異なる強度のゲルと固体電解質とを調製することで、様々な需要を満たす。上記ゲル及び固体電解質は高い耐衝撃性を有するため、リチウム空気電池や有機系のスーパーキャパシタやコンデンサ電池などの分野に適用する場合、液体電解液の漏洩等の問題を効果的に解決するだけではなく、リチウム空気電池に、より高い充放電効率、より高い耐衝撃性を持たせるとともに、上記有機系のスーパーキャパシタやコンデンサ電池に、より高い使用安全性を持たせる。同様に、リチウム樹枝状結晶の成長によりセパレータや固体電解質が破られることによる電池の短絡をよりよく防ぎ、上記リチウム空気電池の使用安全性をより高くすることができる。
【0019】
3.本発明記載のリチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系で製造されたゲルと固体電解質、又は上記有機系のスーパーキャパシタ或はコンデンサ電池におけるゲル及び固体電解質は、比較的高い転移温度を有するとともに、可逆性も有する。上記ゲル又は固体電解質の使用温度が転移温度よりも高い場合、ゲル及び固体電解質は流動性をもつが、転移温度より低い温度に冷却すると、可逆性を有するので、ゲル又は固体電解質に再形成され再使用することができる。比較的高い転移温度と可逆性を有するため、使用寿命を延ばし、コストダウンにつながり、グリーンで環境にやさしい新型ゲル材料になれる。
【0020】
4、本発明記載のゲルおよび固体電解液の製造方法は、簡単、反応条件の優しい、反応周期の短い、生成物収率の高い、製造コストの低い、工業化製造も実現し易いものである。
【0021】
5.本発明記載のゲル化可能な体系で製造されたゲルおよび固体電解質、又は上記有機系のスーパーキャパシタ或はコンデンサ電池におけるゲル及び固体電解質は、低温でよりよいゲル状態又は固体電解質状態を示す。すなわち、上記ゲル又は固体電解質の転移温度以下ではいずれも良好なゲル状態又は固体電解質状態が維持でき、なお、低温での上記ゲルおよび固体電解質の強度はより良好なものである。
【0022】
6.本発明記載のゲル化可能な体系で製造されたゲルおよび固体電解質は、リチウム空気電池、有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に適用することができ,かつ高温・低温で依然として使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1図1は、実施例1-1で得られたゲル電解質をリチウム空気電池の電解液として組み立てた電池の循環性能図である。
図2図2は、実施例1-3で得られた固体電解質をリチウム空気電池の電解液として組み立てた電池の循環性能図である。
図3図3は実施例2-1で得られたゲル電解質を有機系のスーパーキャパシタの電解液として組み立てたスーパーキャパシタの始め三回の充放電データ図である。
図4図4は実施例2-6で得られた固体電解質を有機系のコンデンサ電池の電解質として組み立てたコンデンサ電池の循環性能図である。
図5図5は実施例1-1で得られたゲル電解質精製物の核磁気共鳴水素スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
[リチウム空気電池]
本発明の第1番目はリチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系を提供することであり,該体系は(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物および(c)リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒を含む;上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物又は直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種である;上記リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒は、アミド系電解液及びその溶媒、ニトリル系電解液及びその溶媒、スルホン系電解液及びその溶媒から選ばれる;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%である。
【0025】
上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系において、各成分の重量%の合計は100wt%である。
【0026】
本発明のうち、上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で20wt%≦エーテル系化合物≦90wt%である;上記リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で5wt%≦電解液又はその溶媒≦75wt%であるである。
【0027】
そのうち、上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で20wt%≦電解液又はその溶媒≦60wt%であるである。
【0028】
そのうち、上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で60wt%≦エーテル系化合物≦85wt%である;上記リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で5wt%≦電解液又はその溶媒≦30wt%であるである。
【0029】
本発明のうち、上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフッ化ヒ素酸リチウム、過塩酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、アルミン酸リチウム、クロロアルミン酸リチウム、リチウム(フルオロスルホニル)イミド、塩化リチウム、及びヨウ化リチウムから選ばれる1種または二種で良い。
【0030】
本発明において、上記ゲル化可能な体系には、(d)無機ナノ粒子も含まれる。上記ゲル化可能な系において、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦含有量≦30wt%以下である。好ましくは、上記ゲル化可能な体系において、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で、0wt%<含有量≦20wt%である。
【0031】
本発明において、上記ゲル化可能な体系には、さらに、(e)添加剤が含まれ、上記添加剤は、ポリエステル又はそのブレンド物から選ばれる1種又は多種である;そのうち、上記ポリエステルは、多塩基酸又は酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られる;上記多塩基酸は二塩基酸、三塩基酸又はより多塩基酸から選ばれ,上記多価アルコールはジオール、三価アルコール又はより多価アルコールから選ばれる。上記ゲル化可能な体系において、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%である。好ましくは、上記ゲル化可能な体系において、上記添加剤の含有量は質量百分率で、0wt%<添加剤≦20wt%である。
【0032】
本発明の第2番目は、上記のリチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系のゲル化により得られたゲルを提供する;そのうち、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で20wt%≦電解液又はその溶媒≦75wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%である。
【0033】
そのうち、上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で20wt%≦エーテル系化合物≦60wt%である;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で20wt%≦電解液又はその溶媒≦60wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%<添加剤≦20wt%である。
【0034】
本発明において、上記ゲルの転移温度は40~90℃であり、好ましくは60~75℃である。
【0035】
本発明において、上記ゲルの導電率は10-6~10-1S/cmであり、好ましくは10-5~5×10-2S/cmである。
【0036】
本発明の第3番目は、上記ゲルの製造方法を提供し,それは以下のステップを含む:
1)リチウム塩をリチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒に加え、均一に撹拌した後、リチウム塩を含む混合溶液が得られる;
2)エーテル系化合物と、必要に応じて無機ナノ粒子及び/又は添加剤と、を上記混合溶液に加え、撹拌下で混合体系,すなわち上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系が得られ、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化により上記ゲルが得られる。
【0037】
本発明において、ステップ2)において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要がある。上記ゲルの形成温度は、上記ゲルの転移温度より低く、上記ゲルの形成時間は、30秒~300時間である。
【0038】
本発明において、リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒と、リチウム塩と、エーテル系化合物とを予め脱水処理する;好ましくは、リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒と、リチウム塩と、エーテル系化合物とを、分子篩および/又は真空乾燥の方法により、予め脱水処理する。
【0039】
本発明の第4番目は、上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系のゲル化により得られた固体電解質を提供する;そのうち、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩≦60wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で60wt%<エーテル系化合物≦90wt%である;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で5wt%≦電解液又はその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%である。そのうち、上記リチウム空気電池に用いられるゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で10wt%≦リチウム塩≦40wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で60wt%<エーテル系化合物≦85wt%である;上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で5wt%≦電解液又はその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%<添加剤≦20wt%である。
【0040】
本発明において、上記ゲルの転移温度は65~130℃であり、好ましくは75~120℃である。
【0041】
本発明において、上記ゲルの導電率は10 -7~10 -3S/cmであり、好ましくは10 -6~10 -3S/cmである。
【0042】
本発明の第5番目は、上記固体電解質の製造方法を提供するが、それは以下のステップを含む:
1)リチウム塩をリチウム空気電池用の電解液又はその溶媒に加え、均一に撹拌した後、リチウム塩を含む混合溶液が得られる;
2)エーテル系化合物と、必要に応じて無機ナノ粒子及び/又は添加剤と、を上記混合溶液に加え、撹拌下で混合体系、すなわち上記リチウム空気電池用のゲル化可能な体系が得られ、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0043】
本発明において、ステップ2)において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要がある。上記固体電解質の形成温度は、上記固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質の形成時間は、30分~150時間である。
【0044】
本発明において、リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒と、リチウム塩と、エーテル系化合物とを予め脱水処理する;好ましくは、リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒と、リチウム塩と、エーテル系化合物とを、分子篩および/又は真空乾燥の方法により、予め脱水処理する。
【0045】
本発明の第6番目は、ゲル電解質を提供するが、上記ゲル電解質は上記のゲルを含む。
【0046】
本発明の第7番目は、上記ゲル、上記固体電解質、上記ゲル電解質の、リチウム空気電池等の分野における応用を提供するものである。
【0047】
本発明の第8番目は、ゲル電解質及び/又は固体電解質を含むリチウム空気電池を提供する。上記ゲル電解質及び/又は固体電解質は、ゲル化可能な体系から製造し得る;上記ゲル化可能な体系は(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物および(c)リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒を含む;上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物および直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種である;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%である。
【0048】
[有機系のスーパーキャパシタと有機系のコンデンサ電池]
本発明の第9番目は、ゲル電解質及び/又は固体電解質を含む有機系のスーパーキャパシタを提供する。上記ゲル電解質及び/又は固体電解質は、ゲル化可能な体系から製造し得る;上記ゲル化可能な体系は(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物を含む;上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物および直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種である;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%である。
【0049】
本発明の第10番目は、ゲル電解質及び/又は固体電解質を含む有機系のコンデンサ電池を提供する。上記ゲル電解質及び/又は固体電解質は、ゲル化可能な体系から製造し得られる;上記ゲル化可能な体系は(a)リチウム塩、(b)エーテル系化合物を含む;上記エーテル系化合物は、環状エーテル系化合物および直鎖エーテル系化合物から選ばれる少なくとも1種である;体系中のゲル化可能なポリマー及び/又はゲル化可能なプレポリマーの含有量は質量百分率で≦1wt%である。
【0050】
上記ゲル化可能な体系で、各組成の重量百分率の合計は100wt%である。
【0051】
本発明のうち、上記リチウム塩の質量百分含有量は、2wt%≦リチウム塩≦50wt%である;上記環状エーテル系化合物の質量百分含有量は、50wt%≦環状エーテル系化合物≦98wt%である。その中、上記リチウム塩の質量百分含有量は、5wt%≦リチウム塩≦20wt%である;又は上記リチウム塩の質量百分含有量は、20wt%≦リチウム塩≦30wt%である。
【0052】
本発明のうち、上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、テトラフルオロホウ酸リチウム、ヘキサフッ化ヒ素酸リチウム、過塩酸リチウム、トリフルオロメタンスルホン酸リチウム、パーフルオロブタンスルホン酸リチウム、リチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド、リチウムビス(フルオロスルホニル)イミド、アルミン酸リチウム、クロロアルミン酸リチウム、リチウム(フルオロスルホニル)イミド、塩化リチウム、及びヨウ化リチウムから選ばれる1種または多種で良い。好ましくは、上記リチウム塩は、ヘキサフッ化リン酸リチウム、過塩酸リチウムから選ばれる1種または二種で良い。
【0053】
本発明において、上記ゲル化可能な体系には、(c)有機系に用いられるスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池の電解液又はその溶媒も含まれる。上記ゲル化可能な体系において、上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%≦電解液又はその溶媒≦48wt%である。好ましくは、上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%<電解液又はその溶媒≦40wt%である。
【0054】
本発明において、上記のゲル化可能な体系に(d)無機ナノ粒子を更に含んで良い。上記ゲル化可能な体系において、上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%である。好ましくは、上記ゲル化可能な体系において、上記無機ナノ粒子の質量百分含有率は、0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%である。
【0055】
本発明において、上記のゲル化可能な体系に(e) 添加剤を更に含んで良い。上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンドから選ばれる1種または多種である;其の内、上記ポリエステルは、多塩基酸または酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られる。上記多塩基酸は、二塩基酸、三塩基酸またはその以上の多塩基酸から選ばれ、上記多価アルコールは、二価アルコール、三価アルコールまたはその以上の多価アルコールから選ばれる。上記ゲル化可能な体系において、上記添加剤の質量百分含有率は、0wt%≦添加剤≦30wt%である。好ましくは、上記ゲル化可能な体系において、上記添加剤の質量百分含有率は、0wt%<添加剤≦20wt%である;
本発明において、上記ゲル電解質は、ゲル化可能な体系から調製されたものであり、上記ゲル化可能な体系は、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で2wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で50wt%<エーテル系化合物≦98wt%である;上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%≦電解液又はその溶媒≦48wt%である;上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり;上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%である。そのうち、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%≦リチウム塩<20wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で55wt%<エーテル系化合物≦95wt%である;上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%<電解液又はその溶媒≦40wt%である;上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり;上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%<添加剤≦20wt%である。
【0056】
本発明において、上記ゲル電解質の転移温度は40~95℃であり、好ましくは45~85℃である。
【0057】
本発明において、上記ゲル電解質の導電率は10 -5~10 -1S/cmであり、好ましくは10 -4~10 -2S/cmである。
【0058】
本発明において、上記の固体電解質は、ゲル化可能な体系のゲル化により得られたものであり、上記ゲル化可能な体系において、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で20wt%≦リチウム塩≦50wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で50wt%<エーテル系化合物≦80wt%である;上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%≦電解液又はその溶媒≦30wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%≦無機ナノ粒子≦30wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%≦添加剤≦30wt%である。
【0059】
そのうち、上記リチウム塩の含有量は質量百分率で20wt%≦リチウム塩≦30wt%である;上記エーテル系化合物の含有量は質量百分率で55wt%≦エーテル系化合物≦80wt%である;上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で0wt%<電解液又はその溶媒≦25wt%であり、上記無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0wt%<無機ナノ粒子≦20wt%であり、上記添加剤の含有量は質量百分率で0wt%<添加剤≦20wt%である。
【0060】
本発明において、上記固体電解質の転移温度は60~130℃であり、好ましくは80~110℃である。
【0061】
本発明において、上記固体電解質の導電率は10 -7~10 -3S/cmであり、好ましくは10 -6~10 -4S/cmである。
【0062】
本発明の第11番目は、以下のステップを含む上記ゲル電解質の製造方法を提供する:
エーテル系化合物と、リチウム塩と、必要に応じて有機系スーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒と、必要に応じて無機ナノ粒子と、必要に応じて添加剤と、を混合し、撹拌してリチウム塩のエーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られ、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化により上記ゲル電解質が得られる。
【0063】
好ましくは、上記ゲル電解質の製造方法は、具体的に以下のステップを含む:
リチウム塩にエーテル系化合物を加え、撹拌下でリチウム塩のエーテル系化合物溶液を得て、必要に応じて、有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒及び/又は無機ナノ粒子及び/又は添加剤をリチウム塩のエーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系に加え、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化により上記ゲル電解質が得られる。
【0064】
本発明において、上記リチウム塩と、エーテル系化合物と、必要に応じて有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒と無機ナノ粒子と添加剤を、分子篩及び/又は真空乾燥の方法で予め脱水処理する;好ましくは、上記リチウム塩と、エーテル系化合物と、必要に応じて有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒と無機ナノ粒子と添加剤を、分子篩及び/又は真空乾燥の方法で予め脱水処理する。
【0065】
本発明において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要がある。上記ゲル電解質が形成される温度は、上記ゲル電解質の転移温度より低く、上記ゲル電解質が形成される時間は、5秒~300時間である。
【0066】
本発明の第12番目は以下のステップを含む上記固体電解質の製造方法を提供する:
エーテル系化合物と、リチウム塩及び必要に応じて有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒と、必要に応じて無機ナノ粒子と、必要に応じて添加剤とを混合し、撹拌しリチウム塩のエーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系が得られ、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0067】
好ましくは、上記固体電解質の製造方法は、具体的に以下のステップを含む:
リチウム塩にエーテル系化合物を加え、撹拌下でリチウム塩のエーテル系化合物溶液を得て、必要に応じて有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒及び/又は無機ナノ粒子及び/又は添加剤をリチウム塩のエーテル系化合物溶液、すなわち上記ゲル化可能な体系に加え、上記溶液を撹拌し続け、ゲル化により上記固体電解質が得られる。
【0068】
本発明において、上記リチウム塩と、エーテル系化合物と、必要に応じて有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒と無機ナノ粒子と添加剤を、予め脱水処理する;好ましくは、上記リチウム塩と、エーテル系化合物と、必要に応じて有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒と無機ナノ粒子と添加剤を、分子篩及び/又は真空乾燥の方法で予め脱水処理する。
【0069】
本発明において、上記ゲル化過程は静置条件下で完了する必要がある。上記固体電解質が形成される温度は、上記固体電解質の転移温度より低く、上記固体電解質が形成される時間は、30分~100時間である。
【0070】
本発明において、上記リチウム塩と、エーテル系化合物と、必要に応じて有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒と無機ナノ粒子と添加剤を、予め脱水処理する;好ましくは、上記リチウム塩と、エーテル系化合物と、必要に応じて有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒と無機ナノ粒子と添加剤を、分子篩及び/又は真空乾燥の方法で予め脱水処理する。
【0071】
[直鎖状エーテル系化合物]
本発明には、上記直鎖状エーテル系化合物は式(1)で示す通り:
【0072】
【化1】
【0073】
そのうち、nは、0より大きい整数である;
R2は、直鎖または分岐鎖のC1-C6アルキレン、直鎖または分岐鎖のC2-C6アルケニレンから選ばれる;上記R2上の炭素原子上のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基である。
【0074】
R1およびR3は、同じまたは異なり、お互い独立的に水素原子、アルキル基、シクロアルキル基、複素環基、アルケニル基、アルキニル基から選ばれる1種または多種である;上記R1およびR3の炭素原子上のHは、以下の基のうちの少なくとも1種で置換されてよい:アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、複素環基、複素環基オキシ基、複素環基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基である。
【0075】
好ましくは、nは、1~6の間の整数である;R2は、直鎖または分岐鎖のC1-C4のアルキレン、直鎖または分岐鎖のC2-C6のアルケニレンから選ばれる;R1とR3とは、同じまたは異なり、お互い独立的に直鎖または分岐鎖のC1-C6のアルキル基から選ばれる。
【0076】
より好ましくは、R2は、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ビニル基から選ばれる;R1とR3とは、同じまたは異なり、お互い独立的にメチル基、エチル基、プロピル基から選ばれる。
【0077】
更に好ましくは、上記直鎖状エーテル系化合物は、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、1,4-ブチルグリコールジメチルエーテル、1,4-ブチルグリコールジエチルエーテル、1,4-ブチルグリコールメチルエチルエーテルなどから選ばれる一種または多種である。
【0078】
本発明のうち、上記直鎖状エーテル系化合物は、例えば以下の化合物から選ばれる一種である:
【0079】
【化2】
【0080】
「環状エーテル系化合物」
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、1個の酸素、2個の酸素、3個の酸素またはより多くの酸素を含む環状エーテル系化合物から選ばれる。
【0081】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、単環式、スピロ環式、縮合環(例、ジシクロなど)または架橋環であって良い。
【0082】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC2~C20シクロアルカン(すなわち、環状構造中の炭素数は2-20個)または少なくとも1個の酸素原子を含むC3~C20シクロアルケン(すなわち、環状構造中の炭素数は3-20個)から選ばれ、そのうち、少なくとも1個の炭素炭素二重結合を含む。
【0083】
本発明において、上記シクロアルカンまたはシクロアルケンは、単環式環、縮合環(例、ジシクロ)、スピロ環または架橋環である。上記シクロアルカンまたはシクロアルケンがスピロ環または架橋環であり且つ2個以上の酸素原子を含む場合、酸素原子は一つの環上にあっても良いし、複数の環上にあっても良い。
【0084】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC2~C20単環式アルカンから選ばれ、好ましくは少なくとも1個の酸素原子を含むC3~C20単環式アルカンから選ばれ、例えば、下記の第一類化合物中の一種である:
【0085】
【化3】
【0086】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC4~C20縮合環式アルカンから選ばれ、例えば、下記の第二類化合物中の一種である:
【0087】
【化4】
【0088】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC4~C20架橋環式アルカンから選ばれ、例えば、下記の第三類化合物中の一種である:
【0089】
【化5】
【0090】
本発明において、上記環状エーテル系化合物は、少なくとも1個の酸素原子を含むC4~C20スピロ環式アルカンから選ばれ、例えば、下記の第四類化合物中の一種である:
【0091】
【化6】
【0092】
本発明において、上記4種類の化合物中の環状構造上のC-C結合の少なくとも1つがC = Cに置換され、かつ、安定的に存在する化合物は、上記の少なくとも1つの酸素原子を含むC3~C20環状アルケンであり、本発明が優先する環状エーテル系化合物の一種である。
【0093】
本発明のうち、上記環状アルカンまたは環状アルケンが、単環または縮合環である場合、その環上の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されて良い;上記環状アルカンまたは環状アルケンが、架橋環である場合、その非架橋結合環の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されて良い;上記環状アルカンまたは環状アルケンが、スピロ環である場合、その環上の炭素原子は1個または複数個のR1基で置換されて良い;上記R1基は、以下の基から選ばれる一種:アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ、ハロアルキル基、シクロアルキル基、シクロアルキル基オキシ基、シクロアルキル基チオ基、ヘテロシクリル基、ヘテロシクリル基オキシ基、ヘテロシクリル基チオ基、アリール基、アリール基オキシ基、ヘテロアリール基、ヘテロアリール基オキシ基、ヒドロキシ基、スルフヒドリル、ニトロ、カルボキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル基、アルデヒド基。
【0094】
本発明のうち、上記1個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換のトリメチレンオキシド、置換または無置換のテトラヒドロフラン、置換または無置換のテトラヒドロピランから選ばれる。上記置換基の個数は、1個または複数であって良い;上記置換基は、上記のR1基である。
【0095】
本発明のうち、上記の1個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、3,3-ビス(クロロメチル)オキセタン、2-クロロメチルオキセタン、2-(クロロメチル)プロピレンオキシド、1,3-エポキシシクロヘキサン、1,4-エポキシシクロヘキサン、テトラヒドロフラン、2-メチルテトラヒドロフラン、3-メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、2-メチルテトラヒドロピラン、オキサシクロへプタン、オキサシクロオクタン、オキサシクロノナンまたはオキサシクロデカンから選ばれる。
【0096】
本発明のうち、上記の2個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換の1,3-ジオキソラン(DOL)、置換または無置換の1,4-ジオキサンから選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数であって良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0097】
本発明のうち、上記3個の酸素を含む環状エーテル系化合物は、置換または無置換のトリオキサンから選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数であって良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0098】
本発明のうち、上記のより多くの酸素を含むエーテル系化合物は、置換または無置換の18クラウン6、置換または無置換の12-クラウン-4、置換または無置換の24-クラウン-8から選ばれる;上記置換基の個数は、1個または複数であって良い;上記置換基は、上記R1基である。
【0099】
[リチウム空気電池、有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒]
本発明において、上記リチウム空気電池、有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒は、エーテル系電解液及びその溶媒、エステル系電解液及びその溶媒、アミド類電解液及びその溶媒、ニトリル系電解液及びその溶媒並びにスルホン系電解液及びその溶媒を含む。
【0100】
本発明のうち、上記エステル系電解液は、リチウム塩を含むエステル系混合液、例えば1M ヘキサフッ化リン酸リチウム(LiPF6)を含んだ炭酸エチレン(EC)と炭酸ジメチル(DMC)との混合液から選ばれ、そのうち、炭酸エチレン(EC)と、炭酸ジメチル(DMC)と、の体積比は1:1である。
【0101】
本発明のうち、上記エステル系電解液の溶媒は、エステル系環状非水有機溶媒と、エステル系鎖状非水有機溶媒と、から選ばれる少なくとも一種である。
【0102】
本発明のうち、上記エステル系環状非水有機溶媒は、炭酸エチレン(EC)、炭酸プロピレン(PC)、フルオロ炭酸エチレン(FEC)、γ-ブチロラクトン(GBL)、亜硫酸エチレン(ES)、亜硫酸プロピレン(PS)、スルホラン(SL)、炭酸グリセリル(GC)から選ばれる少なくとも1種である。
【0103】
本発明のうち、上記鎖状非水有機溶媒は、炭酸ジエチル(DEC)、炭酸ジメチル(DMC)、炭酸メチルエチル(EMC)、炭酸メチルプロピル(MPC)、炭酸ジプロピル(DPC)、炭酸エチルプロピル(EPC)、酢酸エチル(EA)、酢酸プロピル(PA)、プロピオン酸エチル(EP)、酪酸エチル(EB)、酪酸メチル(MB)、亜硫酸ジメチル(DMS)、亜硫酸ジエチル(DES)、亜硫酸メチルエチル(EMS)、ジメチルスルホン(MSM)、ジメチルスルホキシド(DMSO)から選ばれる少なくとも1種である。
【0104】
本発明のうち、上記エーテル系電解液は、リチウム塩を含むエーテル系混合液、例えば1Mリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(LiTFSI)を含む1,3- ジオキソラン(DOL)と、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)との混合液から選ばれるが、そのうち、上記1,3- ジオキソラン(DOL)と、エチレングリコールジメチルエーテル(DME)と、の体積比は1:1である。
【0105】
本発明のうち、上記エーテル系電解液の溶媒は、1,3-ジオキソラン、1,2-ジメトキシエタン、トリエチレングリコールジメチルエーテル、テトラエチレングリコールジメチルエーテル、フルオロ炭酸エチレン、ポリエチレングリコールホウ酸エステル、1,1’,2,2’-テトラフルオロエチル-2,2’,3,3’-テトラフルオロプロピレンエーテルから選ばれる1種または多種である。
【0106】
本発明のうち、上記アミド系電解液は、リチウム塩を含むアミド系混合液、例えば、1Mトリフルオロメタンスルホン酸リチウムを含むN,N-ジメチルアセトアミド溶液から選ばれる。
【0107】
本発明のうち、上記アミド系電解液の溶媒は、アミド基を含む化合物から選ばれる。好ましくは、上記アミド系電解液の溶媒は、C1~C20のアルキルアミド、C1~C20のエナミドニトリル、C1~C20のアルキニルアミド、C1~C20のハロアルキルアミド、C1~C20のハロアルケニルアミド、C1~C20のハロアルキニルアミド、C7~C20のアリールアミド、C1~C20のエポキシアミドから選ばれる少なくとも一種である。好ましくは、上記アミド系電解液の溶媒は、N,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、ベンズアミド、ホルムアミド、アセトアミド、スクシンイミド、O-フタルイミド、N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-メチルアセトアミド、3-アミノ-6-メチルベンゼンスルホンアミド、2,2,2-トリクロロアセトアミド、ベンジルエステルN-エチル-p-トルエンスルホンアミド、3-アミノ-2,2-ジメチルプロパンアミド、エルカミド、N-エチル-5-メチル-2-(1-メチルエチル) - シクロヘキサンカルボキサミド、4-メトキシベンズアミド、2,4-ジヒドロキシベンズアミド、N,N-ジエチル-2-クロロアセトアミド、N-ブチルベンゼンスルホンアミド、N-エチルアセトアミド、クロロアセトアミド、N-(2-クロロフェニル)アセトアミド塩酸、N,N'-エチレンビスステアラミド、バレラミド、2-ヒドロキシイソブチルアミド、エトキシアミド、安息香酸メチルシンナムアミド、L-(+)-樟脳カンファースルタム、マロンアミド、スルホンアミド、シクロプロパンスルホンアミド、2-エチルスルホニルイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-スルホンアミド、N,N-ジエチルアセトアミド、4-クロロチオベンズアミド、N,N'-ジメチルオキサミド、4-クロロチオベンズアミド、N,N'-ジメチルオキサミド、N-メトキシ-N-メチルアセトアミド、ベンズアミド、N-メチルカプロラクタム、(S)-(-)- tert-ブチルスルフィンアミド、3-アミノ-N-メチルベンズアミド、N,N'-メチレンビスアクリルアミド、2,2-ジブロモ-2-シアノアセトアミド、N,N-ジエチルドデカアミド、アミノグアニジン、チオアセトアミドモノクロリド、2-シアノアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、2-ニトロベンゼンスルホンアミド、p-アミノベンズアミド、イソブチルアミド、カプロラクタム、2-カルボメトキシベンゼンスルホンアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチルホルムアミド、2,3-ジブロモプロピオンアミド、2-アミノ-5-メチルベンズアミド、(2R) - ボルナン-10,2-スルタム、3-アミノ-2-アゼパノンオクタデカンアミド、1,1-シクロヘキサン二酢酸モノアミド、シクロプロパンカルボキサミド、p-ニトロベンズアミド、4-(2-アミノエチル)ベンゼンスルホンアミド、2-メチル-5-ニトロベンゼンスルホンアミド、3,5-ジヒドロキシベンズアミド、2-アクリルアミド-2-メチルプロパンスルホン酸-N-メチルスクシンイミド、2-イソプロピル-N,2,3-トリメチルブチルアミド、N,N-ジメチルプロピオンアミド、N-ビニル-ε-カプロラクタム、2-ヨードアセトアミド、o-アミノベンゼンスルホンアミド、2,4-ジクロロ-5-スルファモイル安息香酸-N-フェニルマレイミド、N-エチルマレイミド、4-アミノ-6-クロロ-1,3-ベンゼンジスルホンアミドo-クロロベンゼンスルホンアミド、2-アミノ-N,N-ジメチルアセトアミド、2-アミノフェノール-5-(N、N-ジメチル)スルホンアミド、4-アミノ-3,5-ジニトロベンズアミド、4-アミノ-N-メチルベンズアミド、2-フェニルアセトアミド、N-(tert-ブトキシカルボニル)-p-トルエンスルホンアミド、4-フルオロベンズアミド、オキシム2-アミノプロパンジアミド、ビス(テトラメチレン)フルオロホルムアミジニウムヘキサフルオロホスフェート、N-ヒドロキシイソブチリミダミド、チオプロピオンアミド、エチルエステル1-[(1-シアノ-1-メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、シンナムアミド、4-アミノ-N-メチルベンゼンメタンスルホンアミド、4-ブロモ-3-フルオロベンゼンスルホンアミド、2,6-ジフルオロベンゼンスルホンアミド、2-ブロモベンゼンスルホンアミド、4-フルオロベンゼンスルホンアミド、4-(トリフルオロメトキシ)ベンゼンスルホンアミド、4-クロロベンゼンスルホンアミド、2,5-ジフルオロベンゼンスルホンアミド、トリフルオロメタンスルホンアミド、N- [ビス(メチルチオ)メチレン] -p-トルエンスルホンアミド、4-クロロ-3-ニトロ-5-スルファモイル安息香酸、N-メチルジアセトアミドN-ベンジリデンベンゼンスルホンアミド、2-メトキシ-5-スルホンアミド、3,5-ジクロロベンゼンスルホンアミド、2-フルオロベンゼンスルホンアミド、4-ブロモ-2-クロロベンゼンスルホンアミド、5-クロロ-2-フルオロベンゼンスルホニル、アミネp-メトキシベンゼンスルホンアミド、4-クロロサリチル酸-5-スルホンアミド、2-アミノ-N-エチル-N-フェニルベンゼンスルホンアミド、2-ブロモ-4-フルオロベンゼンスルホンアミド、4‐フルオロ‐2‐メチル - ベンゼンスルホンアミド、2-シアノベンゼンスルホンアミド、4-(2-(5-クロロ-2-メトキシベンズアミド)エチル)ベンゼンスルホンアミド、3,4-ジフルオロベンゼンスルホンアミド、DL-α-アミノ-ε-カプロラクタム、2,4,6-トリクロロベンゼンスルホンアミド、シクロプロパンスルホンアミド、4-ブロモ-3-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、N-(4-アミノブチル)アセトアミドセラミド、N-[(1R)-2-(3-アミノスルホニル)-4-メトキシフェニル] -1-メチルエチル] - アセトアミド、N-ベンジル-N-ニトロソ-p-トルエンスルホンアミド、N-(2-アミノエチル)-4-メチル - ベンゼンスルホンアミド、(1R)-10-樟脳スルホンアミド、4-アミノ-6-(トリフルオロメチル)ベンゼン-1,3-ジスルホンアミド、2-ブロモ-4-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、3-フルオロ-4-メチル - ベンゼンスルホンアミド、2-ブロモ-5-(トリフルオロメチル)ベンゼンスルホンアミド、ナフタレン-2-スルホンアミド、(S)-(+)-p-トルエンスルフィンアミド、 (1R2,1R)- N,N’-1,2-シクロヘキサンジイルビス(1,1,1-トリフルオロ - メタンスルホンアミド)、N-(2-フルオロフェニル) - メタンスルホンアミド、(S)-N-(-)-p-トリルスルフィニルトリプタミン、N-アセチル-N-アセトキシ-4-クロロベンゼンスルホンアミド、2-(トリメチルシリル) - エタンスルホンアミド、N-(4-アミノフェニル)-4-メチル - ベンゼンスルホンアミド(R)-(-)-4-メチルベンゼンスルフィンアミド、N-エチル-p-トルエンスルホンアミド、(R,R)-(+)-N,N’--ビス(α-メチルベンジル)スルファミド、(S)-(-)-N-[1-(ヒドロキシメチル)-2-フェニルエチル] -4-メチルベンゼンスルファミド、シクロプロパンカルボキサミド、2-クロロ-4-フルオロ-5-スルファモイル安息香酸P、P-ジフェニル-N-(フェニルメチレン)ホスフィン酸アミド、N-(4-クロロベンジリデン)-4-メチルベンゼンスルホンアミドから選ばれる少なくとも一種である。
【0108】
本発明のうち、上記ニトリル系電解液は、リチウム塩を含むニトリル系混合液、例ば、1M過塩酸リチウムを含むアセトニトリル溶液から選ばれる。上記ニトリル系電解液の溶媒はニトリル基を含む化合物から選ばれる。好ましくは、上記ニトリル系電解液の溶媒は、C1~C20のアルキルニトリル、C1~C20アルケニルニトリル、C1~C20のアルキニルニトリル、C1~C20のハロアルキルニトリル、C1~C20のハロアルケニルニトリル、C1~C20のハロアルキニルニトリル、C7~C20のアリールニトリル、C1~C20のエポキシニトリルのうちから選ばれる少なくとも一種である。好ましくは、上記ニトリル系電解液の溶媒は、アセトニトリル、ブチルニトリルから選ばれる。
【0109】
本発明のうち、スルホン系電解液は、リチウム塩を含むスルホン系混合液、例えば、1M過塩素酸リチウムのジメチルスルホキシド(DMSO)溶液から選ばれる。スルホン系電解液の溶媒は、スルホニルを含む化合物から選ばれる。好ましくは、上記ニトリル系電解液の溶媒は、C1~C20のアルキルスルホン、C1~C20アルケニルスルホン、C1~C20のアルキニルスルホン、C1~C20のハロアルキルスルホン、C1~C20のハロアルケニルスルホン、C1~C20のハロアルキニルスルホン、C7~C20のアリールスルホン、C1~C20のエポキシスルホンのうちから選ばれる少なくとも一種である。好ましくは、上記スルホン系電解液の溶媒は、スルホラン(SL)、ジメチルスルホキシドから選ばれる。
【0110】
[添加剤]
本発明のうち、上記添加剤は、ポリエステルまたはそのブレンドから選ばれる1種または多種である。其の内、上記ポリエステルは、多塩基酸または酸無水物と多価アルコールとの重縮合により得られる。そのうち、上記多塩基酸は、二塩基酸、三塩基酸またはその以上の多塩基酸から選ばれ、上記多価アルコールは、二価アルコール、三価アルコールまたはその以上の多価アルコールから選ばれる。
【0111】
本発明のうち、上記多塩基酸は、置換または無置換の以下の多塩基酸から選ばれる1種または2種または3種またはその以上の種である:シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、アゼライン酸、トリカルバリル酸である;上記置換基の個数は1個または複数個で良い。上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などから選ばれる1種または多種である。
【0112】
本発明のうち、上記酸の無水物は、置換または無置換の以下の酸無水物から選ばれる1種または2種または3種またはその以上の種である:シュウ酸無水物、マロン酸無水物、コハク酸無水物、フマル酸無水物、グルタル酸無水物、アジピン酸無水物、ピメリン酸無水物、スベリン酸無水物、セバシン酸無水物、アゼライン酸無水物、ヘキサヒドロフタル酸無水物、テトラヒドロフタル酸無水物。上記置換基の個数は1個または複数個で良い。上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などのうちの1種または多種である。
【0113】
本発明のうち、上記多価アルコールは、置換または無置換の以下の多価アルコールから選ばれる1種または多種である:プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デシレングリコール、ポリエチレングリコール、グリセロールである;上記置換基の個数は1個または複数個で良い;上記置換基が複数個である場合、それは環を形成して良い;上記置換基は、アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、ヒドロキシ基、アミノ基、エステル基、ハロゲン、アシル、アルデヒド、スルフヒドリル基、アルコキシ基などから選ばれる1種または多種である。
【0114】
本発明のうち、上記多価アルコールは、ポリエチレングリコール、またはポリエチレングリコールと以下の多価アルコール中の1種または多種との組み合わせから選ばれる。即ち、前記の多価アルコールは、プロピレングリコール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、ヘプタンジオール、オクタンジオール、ノナンジオール、デシレングリコールである。
【0115】
本発明のうち、上記ポリエチレングリコールの重合度は、100-1000であり、好ましくは150-800であり、より好ましくは200-600である。そのうち、上記ポリエチレングリコールと他の多価アルコールの重量比は1:(0~1)であり、好ましくは1:(0~0.9)であり、より好ましくは1:(0~0.8)である。
【0116】
「無機ナノ粒子」
本発明のうち、上記無機ナノ粒子は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、窒化ケイ素、酸化亜鉛、二酸化チタン、炭化ケイ素、ケイ酸塩、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、粘土、四酸化三鉄、酸化セリウム、ナノ炭素材料、酸化鉄などから選ばれる1種または多種である;このましくは、上記無機ナノ粒子は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウム、二酸化チタン、酸化亜鉛から選ばれる1種または多種である。
【0117】
[用語と定義]
特に説明のない限り、本出願の明細書に記載の基団及び用語の定義は、それが実施例としての定義と、例示的な定義と、優先される定義と、表に記載した定義と、実施例中の具体的な化合物の定義などを含み、お互いに任意に組み合すことや結合することができる。このような組合及び結合したあとの基団の定義及び化合物の構造は、本出願の保護範囲内に属するものとする。
【0118】
本発明中の「ゲル」という用語は、当業界周知の意味を有し、「ゲル化」という用語も、当業界周知の意味を有する。
【0119】
本発明中のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーとは、一定の条件下でゲルを形成し得るポリマーおよび/またはプレポリマーまたはゲル化可能なポリマーおよび/またはプレポリマーを指す。非限定的に、本発明記載のゲル化可能なポリマーおよび/またはゲル化可能なプレポリマーは、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリスチレン(PS)、ポリアクリルニトリル(PAN)、ポリ酢酸エチル(PVAC)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリジビニル硫黄(PVS)、ポリトリメチレンカーボネート(PTMC)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリ(エチレングリコール)ジメタクリレート(PEGDM)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリ(ジメチルシロキサン)(PDMSO)またはそのプレポリマー、またはその共重合物、またはそのブレンド中から選ばれる一種または多種である。
【0120】
本出願の明細書に記載の数値の範囲は、当数値の範囲を「整数」と定義した場合、当範囲の二つの端点及び当範囲内の個々の整数であると理解すべきである。例えば、「0~10の整数」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10という個々の整数を記載したことに理解されるべきである。当数値の範囲を「数」と定義した場合、当範囲の二つの端点、当範囲内の個々の整数、及び当範囲内の個々の小数を記載したことに理解すべきである。例えば、「0~10の数」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10という個々の整数以外に、少なくとも其の内の個々の整数を各自に0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9と足し算した合計を記載したことに理解されるべきである。
【0121】
本発明で使用される「ハロゲン」とは、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素を指す。
【0122】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルキル基」は、1~20個の炭素原子、好ましくは1-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含む分岐鎖および直鎖飽和脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば、「C1-6アルキル」は、1、2、3、4、5、または6個の炭素原子を有する直鎖及び分岐鎖アルキル基を指す。アルキル基の実施例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、ペンチル基およびヘキシル基を含むがそれらに限定ではない。
【0123】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「ハロアルキル基」または「アルキル基ハロゲン化物」は、少なくとも1個のハロゲン置換基を有する共に1~20個の炭素原子、好ましくは1-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含む分岐鎖および直鎖の飽和脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば、「C1-10ハロアルキル」は、0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個の炭素原子を有するハロアルキル基を表す。ハロアルキル基の実施例は、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、クロロフルオロメチル基、1-フルオロエチル基、3-フルオロプロピル基、2-クロロプロピル基、3,4-ジフルオロブチル基等を含むがそれらに限定ではない。
【0124】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルケニル基」は、2~20個の炭素原子、好ましくは2-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含むアルケニル基またはアルケンの分岐鎖および直鎖脂肪族炭化水素基のことを指す。例えば「C2-6アルケニル基」は、2、3、4、5または6個の炭素原子を含むアルケニル基を表す。アルケニル基の実施例は、ビニル基、プロペニル、1-プロペニル、1-ブテニル、2-ブテニル、3-ブテニル、2-メチル基ブタ-2-エニル基、3-メチル基ブタ-1-エニル基、1-ペンテニル基、3-ペンテニル基及び4-ヘキセニル基を含むがそられに限定ではない。
【0125】
本発明で単独使用または接尾辞または接頭辞として使用される「アルキニル基」は、2~20個の炭素原子、好ましくは2-6個の炭素原子(またはもし炭素原子の具体数を提供した場合は、当該具体的な数を指す)を含むアルキニル基またはアルキンの分岐鎖および直鎖脂肪族炭化水素基のことを指す。例えばアセトニル、プロピニル(例えばl-プロピニル、2-プロピニル)、3-ブチニル、ペンチニル、ヘキシニル、1-メチル-2-ペンチニル基がある。
【0126】
本発明で使われている「アリール基」という用語は、5-20個の炭素原子からなる芳香族環構造を指す。例:5、6、7、8個の炭素原子を含む芳香族環構造は、単環芳香族基、例えばフェニル基で良い;8、9、10、11、12、13または14個の炭素原子を含む環構造は多環、例えばナフチルであって良い。芳香環は、環の置換位置中の1個または多数の置換位置に上記置換基を有して良い。「アリール基」という用語は、2個またはより多くの環を有する多環環系を含んで良いものの、そのうち2個またはより多くの炭素は隣通しの環に共有される(上記環は縮合環である)し、そのうち少なくとも1個の環は芳香族である共に、他の環は例えばシクロアルキル基、シクロアルケニル基、シクロアルキニル基、アリール基および/または複素環であって良い。多環の実施例は、2,3-ジヒドロ-1,4-ベンゾジオキサシクロヘキサジエン及び2,3-ジヒドロ-1-ベンゾフランを含むがそれらに限定ではない。
【0127】
本発明で使われている「シクロアルキル基」という用語は、指定数の炭素原子を持つ飽和環基を含むことを指す。これらの用語は、縮合または架橋した多環系を含んで良い。シクロアルキル基は、その環構造の中で3~40個の炭素原子を有する。一つの実施方法の中で、シクロアルキル基は、その環構造の中で3、4、5または6個の炭素原子を有する。例えば「C3-6シクロアルキル基」は例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルまたはシクロヘキシルを表す。
【0128】
本発明で使われている「ヘテロアリール基」という用語は、少なくとも1つの環ヘテロ原子(例:硫黄、酸素または窒素)を有する複素芳香族複素環をさす。ヘテロアリール基は単環系統及び多環系統(例:2、3または4個の縮合多環)を含む。ヘテロアリール基の実例はピリジニル、ピリミジニル、ピラジニル、ピリダジニル、トリアジニル、フラニル、キノリン基、イソキノリン基、チエニル、イミダゾリル、チアゾリル、インドール基、ピロリル、オキサゾール基、ベンズフラニル基、ベンゾチオフェニル、ベンゾチアゾリル、イソオキサゾール基、ピラゾール、トリアゾール、テトラアゾール、インダゾール基、1,2,4-チアジアゾール、イソチアゾリル、ベンゾチオフェニル、プリニル、カルバゾル基、ベンジイミダゾリル、ベンゾオキサゾール基、アザベンゾオキサゾール基、イミダゾロチアゾリル、ベンゾ[1,4]-ジオキサシクロヘキセニル、ベンゾ[1,3]-ジオキサシクロペンテニルなどを含むがそれらに限定ではない。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、3~40個の炭素原子を有し、なお、他の実施案の中では3~20個の炭素原子を有する。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、3~14個、4~14個、3~7個または5~6個の環状原子を含む。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、1~4個、1~3個または1~2個のヘテロ原子を有する。一部の実施案の中で、ヘテロアリール基は、1個のヘテロ原子を有する。
【0129】
特に説明のない限り、本発明で使われている「複素環基」という用語は、3~20個の原子を含む飽和、不飽和または部分的に飽和した単環式、二環式環または三環式環を指し、其の内1、2、3、4または5個の環原子は、窒素、硫黄または酸素から選ばれ、特に説明のない限り、それは炭素または窒素を介して繋がって良いものの、其の内-CH2-基は任意に-C(O)-で置換される;及び其の内、特に説明のない限り、環窒素原子または環硫黄原子は、任意に酸化されN-酸化物またはS-酸化物を形成するか、または環窒素原子が任意に四級アンモニウム化される;其の内環の中の-NHは、任意にアセチル、ホルミル、メチル基、メタンスルホニルで置換される;及び環は任意に1個または複数のハロゲンで置換される。理解すべきなことは、複素環基中のS原子及びO原子の総数が1を超える場合、これらのヘテロ原子は互いに隣接しない。もし上記複素環基が二環式または三環式である場合、少なくとも任意の1つの環は複素芳香族環または芳香族環であるが、条件としては少なくとも1つの環は非芳香族環である。もし上記複素環基が単環式である場合、それは必ず芳香族ではない。複素環基の実例はピペリジル、N-アセチルピペリジル、N-メチルピペリジル、N-ホルミルピペラジニル、N-メタンスルホニルピペラジニル、ホモピペラジニル、ピペラジニル、アゼチジニル、オキセタン基、モルホリニル、テトラヒドロイソキノリニル、テトラヒドロキノリニル、ジヒドロインドール基、テトラヒドロピラニル、ジヒドロ-2H-ピラニル、テトラヒドロフラニル、テトラヒドロチオピラニル、テトラヒドロチオピラン-1-酸化物、テトラヒドロチオピラン-1,1-二酸化物、1H-ピリジン-2-トン及び2,5-ジオキソイミダゾリジニルを含むがそれらに限定ではない。
【0130】
以下、具体的な実施例を持って、本発明をさらに詳しく説明する。理解すべきなことは、これらの実施例は、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明を説明するだけを目指している。そして理解すべきなことは、本発明記載の内容を閲覧したあと、当業者は本発明に対して様々な変更や修正をすることができるが、これらの等価形式は同じよう本発明の限定範囲内とする。
【0131】
[測定方法]
本実施例記載の導電率は、Gamry社のInterface 1000型の電気化学測定装置で測定しており、上記の測定走査周波数は1.0Hz~100kHzである。本実施例記載の電池への測定はブルーバッテリーパックで実施している。上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池の測定はブルースター(LAND)テスターで実施した。
【0132】
本実施例では、上記リチウム塩を使う前に40℃で10時間以上真空乾燥することで脱水処理を行う。上記添加剤を使う前に45℃で24時間以上真空乾燥することで脱水処理を行う。上記無機ナノ粒子を使う前に60℃で24時間以上真空乾燥することで脱水処理を行う。本実施例では、上記エーテル系化合物は、使用前に、分子篩にて脱水処理した。上記リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒は使用前に分子篩にて脱水乾燥した。上記有機系のスーパーキャパシタ又はコンデンサ電池に用いられる電解液又はその溶媒は使用前に分子篩にて脱水乾燥した。
【0133】
[下記実施例におけるリチウム空気電池の構成]
グラフェン空気電極の製造:質量比が9:1のグラフェンとポリフッ化ビニリデン(PVDF)を秤量し、一定量のNーメチルピロリドン(NMP)をPVDFに滴下し、超音波振動で1時間混合し、この溶液をすり鉢に注ぎ、グラフェンを加え、1時間ぐらい研磨し、混合したスラリーを一定面積のカーボンペーパーに均一に塗布し、100℃で48時間真空乾燥した後、スライス機械で所望の大きさに裁断した;
負極は、リチウムシートである;電解液:各実施例で製造し得られたゲル電解質又は固体電解質;セパレータ:Whatmanセパレータ。
【0134】
実施例1-1
(1)ゲル化可能な体系及びゲル(電池として使えるゲル電解質)の製造
0.8gの6フッ化リン酸リチウムを秤取し試薬瓶に入れ、それに2.0mLの炭酸ジメチルと炭酸エチレンとの混合液(そのうち炭酸ジメチル:炭酸エチレン=1:1(v/v))を加え、撹拌してリチウム塩を完全溶解させ、2.0mLの1,4-ジオキサンと2.0mLの1,3-ジオキソランとの混合液を上記リチウム塩溶液に加え、撹拌しながら十分に混合することで、ゲル化可能な体系が得られる;しばらく静止してゲルが形成される。上記ゲル体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で12wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で、58wt%である;リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で30wt%である。測定により、上記ゲルの性能パラメータを表1に示す。
【0135】
製造したゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱すると、ゲルが粘り始め、試薬瓶を逆さまにすると、ゲルが下方に流れ出し、温度はゲルの転移温度に達していることが分る。そして、温度がゲルの転移温度以下に下がると、ゲルに再形成され、調製したゲルには良好な可逆性があることを示した。
【0136】
当該ゲル電解質を、溶媒(例えば脱イオン水)で全て溶解し、その後、エタノール中で沈降させ、得られた重合体を重クロロホルムで溶解し、核磁気共鳴水素スペクトル測定を行い、測定結果を図5に示す。結果から分かるように、化学シフトは3.54ppmでポリマーセグメント-O-CH2-CH2-O-に属し、化学シフトは4.50ppmでポリマーセグメント-O-CH2-O-に属され、両者の積分面積は3:1であり、1,4-ジオキサンと1,3-ジオキソランの原料仕込み比と合致しており、電解質体系で目的ポリマーの形成に成功した。
【0137】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてリチウム空気電池に適用し、ブルースター電池測定器を用いてボタン電池の電気化学的性能を測定した(測定結果を表1に示す)。リチウム空気電池の組み立て過程はグローブボックス中で行い、解体洗浄可能なSwagelok電池金型が使用される。金型、セパレータ、空気電極等の工具は、使用前に真空乾燥箱にて100℃で24時間真空乾燥する必要がある。電池を組み立てる時に、光沢性のよいリチウムシートを金型ベースの中央に配置し、さらに適量の電解液、セパレータ、グラフェン空気電極を加えてリチウム空気電池に組み立る。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置し続ける。
【0138】
実施例1-2
(1)ゲル化可能な体系及び固体電解質の製造
0.5gの過塩素酸リチウムと、1.0gの6フッ化リン酸リチウムと、0.2gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを秤取し試薬瓶に入れ、さらに3.0mLのテトラエチレングリコールジメチルエーテルを加え、磁気撹拌下でリチウム塩を完全溶解させ、8.0 mLのテトラヒドロピランを加え、十分混合した後、ゲル化可能な体系が得られた;しばらく静置して、固体電解質が形成される。上記固体電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で15wt%である。エーテル系化合物の含有量は質量百分率で68wt%である;リチウム空気電池用の電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で17wt%である。測定し、上記固体電解質の性能パラメータを表1に示す。
【0139】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱した場合、固体電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、固体電解質が下方に流れ出したので、温度が固体電解質の転移温度に達していることが分かった。そして、温度が固体電解質の転移温度以下に下がると、固体電解質に再形成されたので、造った固体電解質には良好な可逆性があることがわかる。
【0140】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をリチウム空気電池に適用し、ブルースター電池測定器を用いてボタン電池の電気化学的性能を測定した(測定結果を表1に示す)。リチウム空気電池の組み立て過程はグローブボックス中で行い、解体洗浄可能なSwagelok電池金型が使用される。金型、セパレータ、空気電極等の工具は、使用前に真空乾燥箱にて100℃で24時間真空乾燥する必要がある。電池を組み立てる時に、光沢性のよいリチウムシートを金型ベースの中央に配置し、さらに適量の電解液、セパレータ、グラフェン空気電極を加えてリチウム空気電池に組み立る。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置し続ける。
【0141】
実施例1-3
(1)ゲル化可能な体系及びゲル(電池として使えるゲル電解質)の製造
0.1gの酸化アルミニウムを秤取し試薬瓶に入れ、4.5mLの1,3-ジオキソランを加え、磁気撹拌下で十分均一に混合し、混合液Aを得た。0.4gのトリフルオロメタンスルホン酸リチウムと0.6gの過塩酸リチウムとを別当秤取し試薬瓶に入れ、そして1.2mLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加え、リチウム塩が完全溶解するまで撹拌し続け、混合液Bを得た。上記で得られたAおよびB溶液を十分混合し、混合液を得られ、ゲル化可能な体系が得られた;しばらく静置し、固体電解質に形成される。上記ゲル体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で15wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で65.5wt%である;無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で1.5wt%である;リチウム空気電池の溶媒及び/又は電解液の含有量は質量百分率で18wt%である。測定をし、上記固体電解質の性能パラメータを表1に示す。
【0142】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱した場合、固体電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、固体電解質が下方に流れ出したので、温度が固体電解質の転移温度に達していることが分かった。そして、温度が固体電解質の転移温度以下に下がると、固体電解質に再形成されたので、造った固体電解質には良好な可逆性があることがわかる。
【0143】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をリチウム空気電池に適用し、ブルースター電池測定器を用いてボタン電池の電気化学的性能を測定した(測定結果を表1に示す)。リチウム空気電池の組み立て過程はグローブボックス中で行い、解体洗浄可能なSwagelok電池金型が使用される。金型、セパレータ、空気電極等の工具は、使用前に真空乾燥箱にて100℃で24時間真空乾燥する必要がある。電池を組み立てる時に、光沢性のよいリチウムシートを金型ベースの中央に配置し、さらに適量の電解液、セパレータ、グラフェン空気電極を加えてリチウム空気電池に組み立る。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置し続ける。
【0144】
実施例1-4
(1)ポリエステルの合成
20.0gのマロン酸と、20.0gのコハク酸と、94.0gのポリエチレングリコール-400と、を秤取し三口フラスコに入れ、温度が120℃に昇温するまで油浴加熱をし、0.5h温度を維持し、25分ごとに温度を30℃ずつ昇温させるが、温度が210℃になるまで続き、3h温度を維持したあと、0.32gの触媒(チタン酸テトラブチル)を加え、0.5h反応させた後、2時間真空にし、加熱を停止するともに降温し、相関生成物が得られ、40.0mLのトリクロロメタンを加え、45℃で6時間還流加熱し、メタノール中に滴下して沈降させ、生成物を60℃真空乾燥箱中で12時間乾燥し、ポリエステルCが得られグローブボックス中で保存した。
【0145】
(2)ゲル化可能な体系及びゲル(ゲル電解質として使える)の製造
0.83mLのポリエステルCと、1.8mLの 1,4-エポキシシクロヘキサンと、0.07gの酸化アルミニウムと、0.44mLの N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)と、を秤取し撹拌することで4者を混合させ、透明な液体を得た。その後、0.87gの6フッ化リン酸リチウムを加えて2時間撹拌し、6フッ化リン酸リチウムを上記混合液に完全溶解させ、ゲル化可能な体系を得た;2時間撹拌を続けた後、8時間静置し、無色のゲルを得た。上記ゲル体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で22wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で45wt%である;ポリエステル添加剤の含有量は質量百分率で21wt%である;リチウム空気電池溶媒及び/又は電解液の含有量は質量百分率で11wt%である;二酸化ケイ素の含有量は質量百分率で1wt%である。測定をしたところ、上記ゲル電解質の性能パラメータを表1に示す。
【0146】
造ったゲルを60℃以上に加熱すると、ゲルが流れ出し、試薬瓶を逆さにすると、ゲルが下方に流れたので、温度がゲルの転移温度に達していることが分かった。そして温度を60℃以下に下げると、ゲルが再形成されたので、造ったゲルには良好な可逆性があることがわかる。
【0147】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてリチウム空気電池に適用し、ブルースター電池測定器を用いてボタン電池の電気化学的性能を測定した(測定結果を表1に示す)。リチウム空気電池の組み立て過程はグローブボックス中で行い、解体洗浄可能なSwagelok電池金型が使用される。金型、セパレータ、空気電極等の工具は、使用前に真空乾燥箱にて100℃で24時間真空乾燥する必要がある。電池を組み立てる時に、光沢性のよいリチウムシートを金型ベースの中央に配置し、さらに適量の電解液、セパレータ、グラフェン空気電極を加えてリチウム空気電池に組み立る。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置し続ける。
【0148】
実施例1-5
(1)ゲル化可能な体系及び固体電解質の製造
0.7gのトリオキサンと、0.8gの塩化リチウムと、0.8gの過塩素酸リチウムと、を秤量し試薬瓶に入れ、1.1mLのアセトニトリルを加え、磁気撹拌下でリチウム塩とトリオキサンを完全溶解させ、さらに3.5mLの1,4-ジオキサンを加え、撹拌することで十分混合させ、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静止して、固体電解質が形成される。上記固体電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で23wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で61wt%である;リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で16wt%である。測定をしたところ、上記固体電解質の性能パラメータを表1に示す。
【0149】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱した場合、固体電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、固体電解質が下方に流れ出したので、温度が固体電解質の転移温度に達していることが分かった。そして、温度が固体電解質の転移温度以下に下がると、固体電解質に再形成されたので、造った固体電解質には良好な可逆性があることがわかる。
【0150】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をリチウム空気電池に適用し、ブルースター電池測定器を用いてボタン電池の電気化学的性能を測定した(測定結果を表1に示す)。リチウム空気電池の組み立て過程はグローブボックス中で行い、解体洗浄可能なSwagelok電池金型が使用される。金型、セパレータ、空気電極等の工具は、使用前に真空乾燥箱にて100℃で24時間真空乾燥する必要がある。電池を組み立てる時に、光沢性のよいリチウムシートを金型ベースの中央に配置し、さらに適量の電解液、セパレータ、グラフェン空気電極を加えてリチウム空気電池に組み立る。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置し続ける。
【0151】
実施例1-6
(1)ゲル化可能な体系及びゲル(ゲル電解質として使える)の製造
1.60gのテトラフルオロホウ酸リチウムと0.6gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド固体とを秤取し試薬瓶に入れ、3mLのテトラエチレングリコールジメチルエーテルと1.0mLのエチレングリコールジメチルエーテルとを加え、磁気撹拌下でテトラフルオロホウ酸リチウムとリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドを完全溶解させ、6.0mL の3-メチルテトラヒドロフランを加え、十分混合した後、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置して、ゲルが形成された。上記ゲル体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で17wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で50wt%である;リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で33wt%である。測定をし、上記ゲル電解質の性能パラメータを表1に示す。
【0152】
製造したゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱すると、ゲルが粘り始め、試薬瓶を逆さまにすると、ゲルが下方に流れ出し、温度はゲルの転移温度に達していることが分る。そして、温度がゲルの転移温度以下に下がると、ゲルに再形成され、調製したゲルには良好な可逆性があることを示した。
【0153】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてリチウム空気電池に適用し、ブルースター電池測定器を用いてボタン電池の電気化学的性能を測定した(測定結果を表1に示す)。リチウム空気電池の組み立て過程はグローブボックス中で行い、解体洗浄可能なSwagelok電池金型が使用される。金型、セパレータ、空気電極等の工具は、使用前に真空乾燥箱にて100℃で24時間真空乾燥する必要がある。電池を組み立てる時に、光沢性のよいリチウムシートを金型ベースの中央に配置し、さらに適量の電解液、セパレータ、グラフェン空気電極を加えてリチウム空気電池に組み立る。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置し続ける。
【0154】
実施例1-7
(1)ゲル化可能な体系及びゲル(電池として使えるゲル電解質)の調製
0.05gの二酸化ケイ素を秤量し試薬瓶に入れ、それに3.0mLのテトラヒドロフランを加え、磁気撹拌下で十分均一に混合し、混合液Aを得た。1.0gのテトラフルオロホウ酸リチウムを別当秤量し試薬瓶に入れ、それに3.0mLのジメチルスルホキシド(DMSO)を加え、リチウム塩が完全溶解するまで撹拌し、混合液Bを得た。上記で得られたAおよびB溶液を十分混合し、混合液を得り、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置して、ゲルに形成された。上記ゲル体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で14wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で42.6wt%である;無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で0.8wt%である;リチウム空気電池の溶媒及び/又は電解液の含有量は質量百分率で42.6wt%である。測定をし、上記ゲル電解質の性能パラメータを表1に示す。
【0155】
製造したゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱すると、ゲルが粘り始め、試薬瓶を逆さまにすると、ゲルが下方に流れ出し、温度はゲルの転移温度に達していることが分る。そして、温度がゲルの転移温度以下に下がると、ゲルに再形成され、調製したゲルには良好な可逆性があることを示した。
【0156】
(2)電池の製造
上記で製造したゲルをゲル電解質としてリチウム空気電池に適用し、ブルースター電池測定器を用いてボタン電池の電気化学的性能を測定した(測定結果を表1に示す)。リチウム空気電池の組み立て過程はグローブボックス中で行い、解体洗浄可能なSwagelok電池金型が使用される。金型、セパレータ、空気電極等の工具は、使用前に真空乾燥箱にて100℃で24時間真空乾燥する必要がある。電池を組み立てる時に、光沢性のよいリチウムシートを金型ベースの中央に配置し、さらに適量の電解液、セパレータ、グラフェン空気電極を加えてリチウム空気電池に組み立る。上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置し続ける。
【0157】
実施例1-8
(1)ゲル化可能な体系及び固体電解質の製造
0.9gのトリオキサンと、0.5gのトリフルオロメタンスルホン酸リチウムと、1.0 gのビス(シュウ酸)ホウ酸リチウムを秤量し試薬瓶に入れ、それに1.0mLの炭酸ジメチルを加え、磁気撹拌下でリチウム塩とトリオキサンを完全溶解させ、溶液Aを得た。0.1gの窒化炭素を秤量し、それに3.8mLのテトラヒドロフランを加え、撹拌して十分混合させ、溶液Bを得た。溶液Aと溶液Bを均一に混合し、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静止して、固体電解質が形成される。上記固体電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で20.5wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で64.3wt%である;無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で1.4wt%である;リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で13.8wt%である。測定をしたところ、上記固体電解質の性能パラメータを表1に示す。
【0158】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱した場合、固体電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、固体電解質が下方に流れ出したので、温度が固体電解質の転移温度に達していることが分かった。そして、温度が固体電解質の転移温度以下に下がると、固体電解質に再形成されたので、造った固体電解質には良好な可逆性があることがわかる。
【0159】
(2)電池の製造
上記で製造した固体電解質をリチウム空気電池に適用し、ブルースター電池測定器を用いてボタン電池の電気化学的性能を測定した(測定結果を表1に示す)。リチウム空気電池の組み立て過程はグローブボックス中で行い、解体洗浄可能なSwagelok電池金型が使用される。金型、セパレータ、空気電極等の工具は、使用前に真空乾燥箱にて100℃で24時間真空乾燥する必要がある。電池を組み立てる時に、光沢性のよいリチウムシートを金型ベースの中央に配置し、さらに適量の電解液、セパレータ、グラフェン空気電極を加えてリチウム空気電池に組み立る。上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置し続ける。
【0160】
比較例1-1
1.0gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドおよび1.0gの6フッ化リン酸リチウムを秤量し試薬瓶に入れ、4.0mLのリチウム空気電池の慣用電解液(1M LiPF6を含む炭酸ジメチル(DMC)と炭酸エチレン(EC)との体積比=1/1)加え十分撹拌し、リチウム塩を完全溶解させ、静止させた。上記体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で33wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で0wt%である;リチウム空気電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で67wt%である。
【0161】
長時間静止しても、溶液の流動性は良好だったので、安定したゲルを形成することはできないことがわかった。環状エーテル系化合物がない場合に、リチウム塩と溶媒だけを混合することでは、安定したゲルを形成することができないことが説明された。
【0162】
【表1】
【0163】
図1は、実施例1-1で得られたゲル電解質をリチウム空気電池電解液として組み立てた電池の循環性能図である。図から明らかなように、当該ゲル電解質は、リチウム空気電池中で優れた循環性能を示し、放電比容量の衰退は遅く、後期ではほぼ変わらず、安定した循環性能を示している。
【0164】
図2は、実施例1-3で得られた固体電解質をリチウム空気電池電解質として組み立てた電池の循環特性図である。図から明らかなように、当該固体電解質は、リチウム空気電池の中で優れた循環性能を示し、放電比容量の衰退は遅く、後期ではほぼ変わらず、安定した循環性能を示している。
【0165】
実施例2-1
(1)スーパーキャパシタに用いられるゲル電解質の製造
0.8gの6フッ化リン酸リチウム固体を秤取し試薬瓶に入れ、9.2mLのテトラヒドロピランを加え、磁気撹拌下で十分混合し、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置し、ゲル電解質が形成される。上記ゲル体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で8wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で92wt%である。測定をしたところ、上記ゲルの性能パラメータを表2で示す。
【0166】
製造したゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱すると、ゲルが粘り始め、試薬瓶を逆さまにすると、ゲルが下方に流れ出し、温度はゲルの転移温度に達していることが分る。そして、温度がゲルの転移温度以下に下がると、ゲルに再形成され、調製したゲルには良好な可逆性があることを示した。
【0167】
(2)スーパーキャパシタの製造
スーパーキャパシタ正極の製造:活性炭材料、導電剤ケッチェンブラック、接着剤ポリジフッ化ビニレン(PVDF)を質量比8:1:1で均一に混合し、当該混合物を、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)でスラリーに造り、アルミ箔に均一に塗布し、120℃真空乾燥箱中で24時間乾燥し、用意しておく;スーパーキャパシタ負極:リチウム箔。
【0168】
上記で製造したゲル電解質をスーパーキャパシタに適用し、上記スーパーキャパシタ正極とスーパーキャパシタ負極とをスーパーキャパシタに組みこみ、ブルースター電池測定器でスーパーキャパシタの電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記スーパーキャパシタの製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型スーパーキャパシタに組み立て、上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置した。
【0169】
実施例2-2
(1)コンデンサ電池として用いられるゲル電解質の製造
1.0gの過塩酸リチウムと0.5gのトリフルオロメタンスルホン酸リチウム固体を秤量し試薬瓶に入れ、8.5mLのエチレングリコールメチルエチルエーテルを上記混合液に加え、十分混合した後、ゲル化可能な体系が得られた;しばらく静置して、ゲル電解質が形成される。上記ゲル体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で15wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で85wt%である。測定をしたところ、上記ゲルの性能パラメータを表2に示す。
【0170】
製造したゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱すると、ゲルが粘り始め、試薬瓶を逆さまにすると、ゲルが下方に流れ出し、温度はゲルの転移温度に達していることが分る。そして、温度がゲルの転移温度以下に下がると、ゲルに再形成され、調製したゲルには良好な可逆性があることを示した。
【0171】
(2)コンデンサ電池の製造
コンデンサ電池正極:マンガン酸リチウム電極材料と導電性石墨、導電剤ケッチェンブラック、接着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を質量比85:5:5:5で均一に混合し、当該混合物を、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)でスラリーに造り、アルミ箔に均一に塗布し、120℃真空乾燥箱で24時間乾燥し、用意しておく;
上記で製造したゲル電解質をコンデンサ電池に適用し、上記コンデンサ電池正極とコンデンサ電池負極とをコンデンサ電池に組みこみ、ブルースター電池測定器でコンデンサ電池の電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記コンデンサ電池の製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型コンデンサ電池に組み立て、上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置した。
【0172】
実施例2-3
(1)スーパーキャパシタに用いられる固体電解質の製造
2.5gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体を秤量し試薬瓶に入れ、上記混合溶液に7.5mLの1,4-ジオキサンを加え、十分混合した後、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置し、固体電解質が形成される。上記固体電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で25wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で75wt%である。測定をしたところ、上記固体電解質の性能パラメータを表2に示す。
【0173】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱した場合、固体電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、固体電解質が下方に流れ出したので、温度が固体電解質の転移温度に達していることが分かった。そして、温度が固体電解質の転移温度以下に下がると、固体電解質に再形成されたので、造った固体電解質には良好な可逆性があることがわかる。
【0174】
(2)スーパーキャパシタの製造
スーパーキャパシタ正極:製造過程は実施例2-1のスーパーキャパシタ正極の製造過程と同じである。
【0175】
スーパーキャパシタ負極:鉄コバルトニッケル複合スーパーキャパシタ材料、導電剤ケッチェンブラック、接着剤ポリフッ化ビニリデン(PVDF)を質量比8:1:1で均一に混合し、当混合物を、1-メチル-2-ピロリジノン(NMP)でスラリーに造り、アルミ箔に均一に塗布し、60℃真空乾燥箱中で24時間乾燥し、用意しておく;
上記で製造した固体電解質をスーパーキャパシタに適用し、上記スーパーキャパシタ正極とスーパーキャパシタ負極とをスーパーキャパシタに組みこみ、ブルースター電池測定器でスーパーキャパシタの電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記スーパーキャパシタの製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型スーパーキャパシタに組み立て、上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置した。
【0176】
実施例2-4
(1)コンデンサ電池として用いられる固体電解質の製造
4.8gのトリオキサンと、1.7gの6フッ化リン酸リチウムと、0.5gのイミドジスルフリルフルオリドリチウム固体を秤量し試薬瓶に入れ、3.0mLのテトラヒドロフランを加え、十分混合した後、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置し、固体電解質が形成される。上記固体電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で22wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で78wt%である。測定をしたところ、上記固体電解質の性能パラメータを表2に示す。
【0177】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱した場合、固体電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、固体電解質が下方に流れ出したので、温度が固体電解質の転移温度に達していることが分かった。そして、温度が固体電解質の転移温度以下に下がると、固体電解質に再形成されたので、造った固体電解質には良好な可逆性があることがわかる。
【0178】
(2)コンデンサ電池の製造
コンデンサ電池正極:製造過程は実施例2-2のコンデンサ電池正極の製造過程と同じである。
【0179】
コンデンサ電池負極:製造過程は実施例2-2のコンデンサ電池負極の製造過程と同じである。
【0180】
上記で製造した固体電解質をコンデンサ電池に適用し、上記コンデンサ電池正極とコンデンサ電池負極とをコンデンサ電池に組みこみ、ブルースター電池測定器でコンデンサ電池の電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記コンデンサ電池の製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型コンデンサ電池に組み立て、上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置した。
【0181】
実施例2-5
(1)コンデンサ電池として使用されるゲル電解質の製造
0.8gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体を秤量し試薬瓶に入れ、2.5mLのリチウムイオンコンデンサ電池のリチウム塩のエステル系混合液(1Mの6フッ化リン酸リチウム(LiPF6)を含む炭酸エチレン(EC)と炭酸ジメチル(DMC)との混合液、そのうち、上記炭酸エチレン(EC)と炭酸ジメチル(DMC)との体積比は1:1)を加え、磁気撹拌下でリチウム塩が全て溶解するまで十分混合し、6.7mLの3,3-ビス(クロロメチル)オキセタンを加え、十分混合した後、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置し、ゲル電解質が形成される。上記ゲル電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で15wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で40wt%である;リチウムイオン電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で45wt%である。測定をし、上記ゲル電解質の性能パラメータを表2に示す。
【0182】
製造したゲル電解質を上記ゲル電解質の転移温度以上に加熱すると、ゲル電解質は粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、ゲル電解質が下方に流れたので、温度が既にゲル電解質の転移温度に達していることが分かった。温度をゲル電解質の転移温度以下に下げると、ゲル電解質に再形成されたので、製造したゲル電解質には良好な可逆性があることを示した。
【0183】
(2)コンデンサ電池の製造
コンデンサ電池正極:製造過程は実施例2-2のコンデンサ電池正極の製造過程と同じである。
【0184】
コンデンサ電池負極:製造過程は実施例2-2のコンデンサ電池負極の製造過程と同じである。
【0185】
上記で製造したゲル電解質をコンデンサ電池に適用し、上記コンデンサ電池正極とコンデンサ電池負極とをコンデンサ電池に組みこみ、ブルースター電池測定器でコンデンサ電池の電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記コンデンサ電池の製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型コンデンサ電池に組み立て、上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置した。
【0186】
実施例2-6
(1)コンデンサ電池として用いられる固体電解質の製造
2.5gのヨウ化リチウムを秤量し試薬瓶に入れ、6.5mLの1,4-ジオキサンを加え、1gの酸化アルミニウムを加えて、撹拌して十分混合した後、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静止して、固体電解質が形成される。上記体ゲル系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で25wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で65wt%である;無機ナノ粒子の百分率含有量は30wt%である。測定をした上記固体電解質の性能パラメータを表2に示す。
【0187】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱した場合、固体電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、固体電解質が下方に流れ出したので、温度が固体電解質の転移温度に達していることが分かった。そして、温度が固体電解質の転移温度以下に下がると、固体電解質に再形成されたので、造った固体電解質には良好な可逆性があることがわかる。
【0188】
(2)コンデンサ電池の製造
コンデンサ電池正極:製造過程は実施例2-2のコンデンサ電池正極の製造過程と同じである。
【0189】
コンデンサ電池負極:製造過程は実施例2-2のコンデンサ電池負極の製造過程と同じである。
【0190】
上記で製造した固体電解質をコンデンサ電池に適用し、上記コンデンサ電池正極とコンデンサ電池負極とをコンデンサ電池に組みこみ、ブルースター電池測定器でコンデンサ電池の電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記コンデンサ電池の製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型コンデンサ電池に組み立て、上記ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置した。
【0191】
実施例2-7
(1)スーパーキャパシタとして用いられるゲル電解質の製造
1.2gのパーフルオロブタンスルホン酸リチウムを秤量し試薬瓶に入れ、4mLの1,4-エポキシシクロヘキサン及び4mLの2-クロロメチルオキセタンを加え、0.8gの添加剤を加え、撹拌して十分混合し、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置し、ゲル電解質に形成される。
【0192】
上記ゲル電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で12wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で80wt%である;添加剤の含有量は質量百分率で8wt%である。測定した上記ゲル電解質の性能パラメータを表2に示す。
【0193】
製造したゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱すると、ゲルが粘り始め、試薬瓶を逆さまにすると、ゲルが下方に流れ出し、温度はゲルの転移温度に達していることが分る。そして、温度がゲルの転移温度以下に下がると、ゲルに再形成され、調製したゲルには良好な可逆性があることを示した。
【0194】
(2)スーパーキャパシタの製造
スーパーキャパシタ正極:製造過程は実施例2-1のスーパーキャパシタ正極の製造過程と同じである。
【0195】
スーパーキャパシタ負極:製造過程は実施例2-1のスーパーキャパシタ負極の製造過程と同じである。
【0196】
上記で製造したゲル電解質をスーパーキャパシタに適用し、上記スーパーキャパシタ正極とスーパーキャパシタ負極とをスーパーキャパシタに組みこみ、ブルースター電池測定器でスーパーキャパシタの電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記スーパーキャパシタの製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型スーパーキャパシタに組み立て、上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置した。
【0197】
実施例2-8
(1)スーパーキャパシタとして用いられるゲル電解質の製造
0.5gの過塩酸リチウム固体を秤量し試薬瓶に入れ、0.5mLの炭酸プロピレン(PC)を加え、8.8mLの2-クロロメチル-プロピレンオキシドを加え、0.2gの二酸化ケイ素ナノ粒子を加え、磁気撹拌下で十分混合し、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置して、ゲル電解質が形成される。上記ゲル体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で5wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で88wt%である;有機系スーパーキャパシタに用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で5wt%であり、無機ナノ粒子の含有量は質量百分率で2wt%である。測定した上記ゲルの性能パラメータを表2に示す。
【0198】
製造したゲルを上記ゲルの転移温度以上に加熱すると、ゲルが粘り始め、試薬瓶を逆さまにすると、ゲルが下方に流れ出し、温度はゲルの転移温度に達していることが分る。そして、温度がゲルの転移温度以下に下がると、ゲルに再形成され、調製したゲルには良好な可逆性があることを示した。
【0199】
(2)スーパーキャパシタの製造
スーパーキャパシタ正極:製造過程は実施例2-1のスーパーキャパシタ正極の製造過程と同じである。
【0200】
スーパーキャパシタ負極:製造過程は実施例2-1のスーパーキャパシタ負極の製造過程と同じである。
【0201】
上記で製造したゲル電解質をスーパーキャパシタに適用し、上記スーパーキャパシタ正極とスーパーキャパシタ負極とをスーパーキャパシタに組みこみ、ブルースター電池測定器でスーパーキャパシタの電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記スーパーキャパシタの製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型スーパーキャパシタに組み立て、上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置した。
【0202】
実施例2-9
(1)スーパーキャパシタとして用いられる固体電解質の製造
2.1gの6フッ化リン酸リチウム固体を秤量し試薬瓶に入れ、0.3mLのアセトニトリルを加え、7.4mLの1,4-ジオキサンを加え、0.2gのポリエチレングリコールホウ酸を加え、十分混合した後、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置して、固体電解質に形成される。
【0203】
上記固体電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で21wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で74wt%である;スーパーキャパシタに用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で3wt%であり、添加剤の含有量は質量百分率で2wt%である。測定した上記固体電解質の性能パラメータを表2に示す。
【0204】
製造し得られた固体電解質を上記固体電解質の転移温度以上に加熱した場合、固体電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さにすると、固体電解質が下方に流れ出したので、温度が固体電解質の転移温度に達していることが分かった。そして、温度が固体電解質の転移温度以下に下がると、固体電解質に再形成されたので、造った固体電解質には良好な可逆性があることがわかる。
【0205】
(2)スーパーキャパシタの製造
スーパーキャパシタ正極:製造過程は実施例2-1のスーパーキャパシタ正極の製造過程と同じであり,得られた電極片を上記固体電解質の前駆体溶液に浸潤させる。
【0206】
スーパーキャパシタ負極:製造過程は実施例2-2のスーパーキャパシタ負極の製造過程と同じであり,得られた電極片を上記固体電解質の前駆体溶液に浸潤させる。
【0207】
上記固体電解質前駆体をガラス板上にナイフコーティング法により塗布し、硬化させた後、ナイフで軽く剥がし、固体電解質フィルムを得た。上記で製造した固体電解質フィルムを、上記のスーパーキャパシタ正極とスーパーキャパシタ負極との間に配置し、スーパーキャパシタに組み立て、ブルースター測定器にてスーパーキャパシタの電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記スーパーキャパシタの製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にはステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキング押圧し、CR2032型ボタン型スーパーキャパシタに組み立て、ゲル化可能な体系が固体電解質になるまで静置した。
【0208】
実施例2-10
(1)ポリエステルの合成
5.0gのマロン酸、5.0gのコハク酸、5.0gの1,2-プロピレングリコール、12.5gのポリエチレングリコール-200を秤取し三口フラスコに入れ、温度が110℃に昇温するまで油浴で加熱し、1時間温度維持をし、30分置きに温度を25℃上げるが、温度が240℃になるまで続け、4時間温度維持をしてから、0.08gの触媒であるチタン酸テトラブチルを加え、1時間反応させた後、加熱を停止しと共に降温し、相関生成物が得られるが、25.0mLのジクロロメタンを加え、室温で12時間撹拌溶解し、石油エーテルで沈降させ、生成物を60℃真空乾燥箱中で12時間乾燥し、ポリエステルBを得てグローブボックス中で保存した。
【0209】
(2)コンデンサ電池として用いられるゲル電解質の製造
1.5mLの上記ポリエステルを秤取し、1.5mLの炭酸ジメチル、1.5mLの炭酸プロピレンと3.5mLの1,2-エポキシシクロヘキサンを加え、磁気撹拌下でそれらを均一に混合し、透明な液体を得た。1.8 gのテトラフルオロホウ酸リチウム固体を秤量して上記混合液中に加え、十分溶解させた後、ゲル化可能な体系を得た;しばらく静置して、ゲル電解質に形成される。上記ゲル電解質体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で18wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で35.7wt%である;ポリエステル添加剤の含有量は質量百分率で15.3%である;リチウムイオン電池に用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で31wt%である。
【0210】
測定した上記ゲル電解質の性能パラメータを表2に示す。製造したゲル電解質を上記ゲル電解質の転移温度以上に加熱すると、ゲル電解質が粘り始め、試薬瓶を逆さまにすると、ゲル電解質が下方に流れ出し、温度はゲル電解質の転移温度に達していることが分る。そして、温度がゲル電解質の転移温度以下に下がると、ゲル電解質に再形成され、調製したゲル電解質には良好な可逆性があることを示した。
【0211】
(2)コンデンサ電池の製造
コンデンサ電池正極:マンガン酸リチウム電極材料を、導電性石墨と、導電剤ケッチェンブラックと、上記ゲル化可能な体系とを質量比85:5:5:5で均一に混合し、当該混合物を、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)でスラリーに造り、アルミ箔に均一に塗布し、120℃真空乾燥箱で24時間乾燥し、使用に供した;コンデンサ電池負極:チタン酸リチウム電極材料と導電剤ケッチェンブラック、上記ゲル化可能な体系を質量比85:8:7で均一に混合し、当該混合物を、N-メチル-2-ピロリジノン(NMP)でスラリーに造り、アルミ箔に均一に塗布し、120℃真空乾燥箱で24時間乾燥し、使用に供した。
【0212】
上記で製造したゲル電解質をコンデンサ電池に適用し、上記コンデンサ電池正極とコンデンサ電池負極とをコンデンサ電池に組みこみ、ブルースター電池測定器でコンデンサ電池の電気化学特性を測定した(測定結果を表2に示す)。そのうち、上記コンデンサ電池の製造方法:セパレータを正極と負極との間に配置し、三者の間にステップ(1)で作製したゲル化可能な体系を遍満させ、パッキングし、押圧し、CR2032型ボタン型コンデンサ電池に組み立て、上記ゲル化可能な体系がゲル電解質になるまで静置した。
【0213】
比較例2-1
1.0gのリチウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドと1.0gの6フッ化リン酸リチウムを秤量し試薬瓶に入れ、4.0mLの有機系のスーパーキャパシタ慣用電解液(1Mの過塩酸リチウム(LiClO4)を含むアセトニトリル溶液)を加えて十分撹拌し、リチウム塩を完全に溶解させ、静止させた。
【0214】
上記体系において、リチウム塩の含有量は質量百分率で33wt%である;エーテル系化合物の含有量は質量百分率で0wt%であり;有機系のスーパーキャパシタに用いられる電解液又はその溶媒の含有量は質量百分率で67wt%である。
【0215】
長時間静止しても、溶液の流動性は良好で、安定したゲルには形成されないことがわかる。
【0216】
環状エーテル系化合物がない場合には、リチウム塩と溶媒だけを混合することにより、安定したゲルを形成することはできないことが説明された。
【0217】
【表2】
【0218】
図3は実施例2-1で得られたゲル電解質を有機系のスーパーキャパシタ電解液として組み立てたスーパーキャパシタの前三回の充放電図である。図から明らかなように、当該ゲル電解質を有機系スーパーキャパシタの電解液とした場合、スーパーキャパシタの充放電を正常にさせるともに、電解液中の活物質の作用を十分発揮させることでスーパーキャパシタに高い比容量を持たしている。
【0219】
図4は実施例2-6で得られた固体電解質をコンデンサ電池の電解質として組み立てたコンデンサ電池の循環特性図である。図から明らかなように、当該固体電解質を、コンデンサ電池の電解質とした場合、コンデンサ電池の充放電を正常にさせる共に、電解質中の活物質の作用を十分発揮させることで、コンデンサ電池に高い比容量を持たしている。
【0220】
以上、本発明の実施方法に対して説明した。ただし、本発明は上記実施方法に限定されるものではない。本発明の精神および原則を基盤としたあらゆる修正、同等の置換、改善などは、全て本発明の保護範囲内に含まれるものとされる。

図1
図2
図3
図4
図5