(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】灰皿
(51)【国際特許分類】
A24F 19/00 20060101AFI20221109BHJP
A24F 19/14 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A24F19/00 F
A24F19/14 A
(21)【出願番号】P 2021163589
(22)【出願日】2021-10-04
【審査請求日】2021-10-04
(73)【特許権者】
【識別番号】515130865
【氏名又は名称】古沢工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】古澤 純一郎
【審査官】松井 裕典
(56)【参考文献】
【文献】特開2000-60525(JP,A)
【文献】特開2010-88362(JP,A)
【文献】特開2004-8143(JP,A)
【文献】実開昭59-73197(JP,U)
【文献】中国実用新案第212393853(CN,U)
【文献】登録実用新案第3063538(JP,U)
【文献】特開2004-49094(JP,A)
【文献】米国特許第5240108(US,A)
【文献】岐阜市まちを美しくする条例,1999年03月30日,https://www.city.gifu.lg.jp/_res/projects/default_project/_page_/001/002/919/tosibi-jourei.pdf
【文献】塩入同・吉岡渚・田中元・清野聡子・磯部作,川ごみ迅速調査と空間的自己相関分析を組合せた流域ごみ分布把握,沿岸域学会誌,日本,日本沿岸域学会,2019年12月,第32巻第3号,https://www.jaczs.com/03-journal/ronbun/koukai/2019_7_treatise.pdf
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 19/00 - 25/02
B65F 1/00 - 1/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排水溝を想起させるデザインが施された灰皿部と、
前記灰皿部の下部に配置され、配水管を想起させるデザインが施されたホッパー部と、
前記ホッパー部の下部に配置され、河川を想起させるデザインが施されたシュート部と、
前記シュート部の下部に配置され、海を想起させるデザインが施された水槽部と、
前記ホッパー部、前記シュート部、及び前記水槽部を収容するとともに、前記灰皿部が上部に配置された収容部と、
前記収容部の前面に配置された窓部と、を備え、
前記窓部は、前記灰皿部から落下した煙草が、前記ホッパー部および前記シュート部を経て前記水槽部に落下することを外側から視認可能に配置されている、
灰皿。
【請求項2】
前記収容部の上部には看板が設けられており、
前記看板には、排水溝が海とつながっていることを前記灰皿のユーザに伝えるためのメッセージが掲示されている、
請求項1に記載の灰皿。
【請求項3】
前記灰皿部の上面には前記排水溝を想起させるデザインが施されており、
前記デザインされた排水溝に対応する位置に前記煙草を落下させる孔部が設けられている、
請求項1または2に記載の灰皿。
【請求項4】
前記ホッパー部の下側には筒状の配管が設けられており、
前記筒状の配管に前記配水管を想起させるデザインが施されている、
請求項1~3のいずれか一項に記載の灰皿。
【請求項5】
前記シュート部は板状部材を用いて構成されており、
前記板状部材の表面には前記河川を想起させるデザインが施されており、
前記ホッパー部から落下した煙草は前記板状部材の表面を滑走して落下するように構成されている、
請求項1~4のいずれか一項に記載の灰皿。
【請求項6】
前記水槽部は、少なくとも前面が透明な板で形成された容器を用いて構成されており、
前記水槽部には水が貯蔵されており、前記シュート部から落下した煙草は、前記水槽部に貯蔵されている前記水の中に落下するように構成されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載の灰皿。
【請求項7】
前記水槽部に貯蔵されている水が水色に着色されている、請求項6に記載の灰皿。
【請求項8】
前記水槽部の内側には金網が設けられており、
前記シュート部から落下した煙草は前記金網の中に落下するように構成されている、
請求項6または7に記載の灰皿。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は灰皿に関し、特に排水溝が海につながっていることをユーザに啓蒙することが可能な灰皿に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、海洋汚染が深刻化しており、砂浜には煙草の吸い殻、空き缶、ペットボトル、スナック菓子の袋など様々なゴミが落ちている。特に砂浜には煙草の吸い殻が多く落ちており、このような吸い殻ゴミの多くは街から来ている。
【0003】
ところで、下水管には汚水管と雨水管があり、汚水と雨水が一緒に流れる合流式と、別々に流れる分流式がある。分流式下水道の場合は、街のゴミが排水溝に入り、雨水と共に下水道に入り、川に出て、海にたどり着く。また、合流式下水道の場合でも、街のゴミが排水溝に入り、雨水と汚水が合流し下水処理場に向かうが、雨の多いときには、下水処理場に向かわずに川に流され海にたどり着く。このため、排水溝にゴミを捨てると、このゴミがやがて海にたどり着き、海洋汚染の原因となる。しかしながら、排水溝が海につながっているという事実は多くの人が知らないのが現状である。
【0004】
特許文献1には、内部に溜まった吸い殻が次々と延焼するのを防止できるスタンド型の吸い殻入れに関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
背景技術で説明したように、砂浜には煙草の吸い殻が多く落ちているが、このような吸い殻ゴミの多くは街から来ている。つまり、排水溝は海につながっており、街の排水溝に煙草の吸い殻を捨てると、その吸い殻がやがて海にたどり着き、海洋汚染の原因となる。
【0007】
しかしながら、排水溝が海につながっているという事実は多くの人が知らないのが現状である。したがって、排水溝が海につながっているという事実を多くの人に啓蒙できれば、排水溝に煙草の吸い殻を捨てる人が減少し、結果的に海洋汚染が減少することが期待できる。
【0008】
上記課題に鑑み本発明の目的は、排水溝が海につながっていることをユーザに啓蒙することが可能な灰皿を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様にかかる灰皿は、排水溝を想起させるデザインが施された灰皿部と、前記灰皿部の下部に配置され、配水管を想起させるデザインが施されたホッパー部と、前記ホッパー部の下部に配置され、河川を想起させるデザインが施されたシュート部と、前記シュート部の下部に配置され、海を想起させるデザインが施された水槽部と、前記ホッパー部、前記シュート部、及び前記水槽部を収容するとともに、前記灰皿部が上部に配置された収容部と、前記収容部の前面に配置された窓部と、を備え、前記窓部は、前記灰皿部から落下した煙草が、前記ホッパー部および前記シュート部を経て前記水槽部に落下することを外側から視認可能に配置されている。
【発明の効果】
【0010】
本発明により、排水溝が海につながっていることをユーザに啓蒙することが可能な灰皿を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態にかかる灰皿の透過正面図である。
【
図2】実施の形態にかかる灰皿の透過側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1~
図4はそれぞれ、実施の形態にかかる灰皿の透過正面図、透過側面図、正面図、及び側面図である。本実施の形態にかかる灰皿1は、ユーザ(喫煙者)が灰皿1を使用した際に、排水溝が海につながっていることをユーザに啓蒙する機能を備える。
【0013】
図1~
図4に示すように、本実施の形態にかかる灰皿1は、灰皿部10、ホッパー部20、シュート部30、水槽部40、収容部50、窓部60、及び看板70を備える。
図1、
図2に示すように、ホッパー部20、シュート部30、及び水槽部40は、収容部50に収容されている。灰皿部10は収容部50の上部(上面)に配置されている。収容部50の上部には看板70が配置されている。また、
図3に示すように、収容部50の前面には窓部60が配置されている。
【0014】
灰皿部10は、収容部50の上部に配置されており、灰皿部10の上面には排水溝を想起させるデザイン11が施されている。
図2、
図4に示すように、灰皿部10の上面は、ユーザが使用しやすいように、ユーザ側に向かって傾斜するように構成されている。
【0015】
図5は、灰皿部10の具体例を示す上面図である。
図5に示すように、灰皿部10の上面には排水溝を想起させるデザイン11が施されている。デザインされた排水溝15に対応する位置には、煙草を落下させる孔部12が設けられている。また、排水溝15に対応する位置には、煙草の火を消すための網状の火消し部13が設けられている。灰皿部10は、例えばステンレス等の金属材料を用いて形成することができる。
【0016】
吸い終わった煙草を灰皿1を用いて処理する際、ユーザは灰皿部10の火消し部13で煙草の火を消した後、煙草の吸い殻(以下、単に「煙草」とも記載する)を孔部12から落下させる。孔部12から落下した煙草は、ホッパー部20へと向かう。
【0017】
図6は、灰皿部10の一例を示す写真である。
図6に示す排水溝を想起させるデザインは、
図5に示した構成例を具体化した例を示している。
図6では、排水溝のデザインを施すとともに、人が排水溝に吸い殻やゴミを捨てる様子を描いている。また、
図6に示す灰皿部10には、「排水溝は海の入り口」というメッセージが記載されている。このようなメッセージを記載することで、灰皿1を使用するユーザに、排水溝が海につながっていることを伝えることができる。
【0018】
なお、
図5、
図6に示した灰皿部10のデザインは一例であり、本実施の形態では、排水溝を想起させるデザインであれば、どのようなデザインを灰皿部10の上面に施してもよい。
【0019】
図1、
図2に示すように、ホッパー部20は、灰皿部10の下部に配置され、配水管を想起させるデザインが施されている。具体的には、ホッパー部20は、逆円錐形または逆四角錐形の形状を備える傾斜部21と、当該傾斜部21の下側に位置する筒状の配管22と、を備える。灰皿部10から落下した煙草は、ホッパー部20の傾斜部21を通過した後、配管22を通過して、ホッパー部20から落下する。ホッパー部20は、例えばステンレス等の金属材料を用いて形成することができる。
【0020】
ホッパー部20には、配水管を想起させるデザインが施されている。具体的には、ホッパー部20は配管22を備えており、この筒状の配管22に配水管を想起させるデザインが施されている。例えば、配管22の形状を筒状(円筒状)とし、配管22の色を灰色等の配水管を連想させる色にすることで、ホッパー部20に配水管を想起させるデザインを施すことができる。なお、ステンレスの色は灰色に近いので、ステンレスを用いてホッパー部20(配管22)を形成した場合は、配管22に着色しなくてもよい。
【0021】
また、
図1、
図2に示したホッパー部20の形状は一例であり、本実施の形態では、配水管を想起させる形状であれば、ホッパー部20の形状はどのような形状としてもよい。
【0022】
シュート部30は、ホッパー部20の下部に配置され、河川を想起させるデザインが施されている。具体的には、シュート部30は板状部材31を用いて構成されており、板状部材31の表面には河川を想起させるデザインが施されている。例えば、板状部材31をステンレス等の金属材料を用いて形成し、当該板状部材31の表面に河川のデザインを施すことで、板状部材31の表面に河川を想起させるデザインを施すことができる。例えば、板状部材31の表面に河川の写真を貼り付けてもよい。この場合は、写真に耐熱加工を施すことが好ましい。
【0023】
図2に示すように、板状部材31は、ユーザ側に向かって傾斜するように設けられている。換言すると、板状部材31は、収容部50の後側から前側に向かって下方向に傾斜するように設けられている。また、板状部材31の下流側には開口部32が形成されている。このような構成とすることで、ホッパー部20から落下した煙草が板状部材31の表面を滑走し、その後、開口部32から落下するようにできる。
【0024】
なお、
図1、
図2に示したシュート部30の形状は一例であり、本実施の形態では、河川を想起させるデザインが施された形状であれば、シュート部30の形状はどのような形状としてもよい。
【0025】
水槽部40は、シュート部30の下部に配置され、海を想起させるデザインが施されている。例えば、水槽部40は、少なくとも前面が透明な板で形成された容器41に、水42を貯蔵することで構成してもよい。透明な板には、アクリル板やガラス板を用いることができる。また、水槽部40(容器41)全体を透明な板を用いて形成してもよい。水槽部40には水42が貯蔵されているので、シュート部30から落下した煙草は水42の中に落下する。よって、煙草の火を確実に消火できる。また、透明な板で形成された容器41に水42を貯蔵しているので、ユーザは水槽部40の水42を外部から視認することができ、海を連想することができる。
【0026】
また、本実施の形態では、水槽部40に貯蔵されている水42を水色に着色してもよい。このように、水42を水色に着色した場合は、ユーザが水槽部40の水42を外部から視認しやすくすることができるので、ユーザはより確実に海を連想することができる。
【0027】
また、本実施の形態では、水槽部40(容器41)の内側に金網43を設けてもよい。金網43は水槽部40に貯蔵されている水42に浸るように設ける。金網43を設けた場合は、シュート部30から落下した煙草を金網43の中に落下させることができる。よって、金網43を水槽部40から引き上げることで、水槽部40にたまった煙草の吸い殻を一度にまとめて捨てることができる。
【0028】
図1、
図2に示すように、収容部50は、ホッパー部20、シュート部30、及び水槽部40を収容している。収容部50は、例えばステンレス等の金属材料を用いて形成することができる。収容部50の上面には灰皿部10が配置されている。
【0029】
図3に示すように、収容部50の前面には窓部60が配置されている。具体的には、収容部50の前面にはカバー51が配置されており、窓部60は当該カバー51の一部に取り付けられている。窓部60は、少なくともホッパー部20(特に配管22)、シュート部30、及び水槽部40を外側から視認可能に配置されている。つまり、窓部は、灰皿部10から落下した煙草が、ホッパー部20およびシュート部30を経て水槽部40に落下することを外側から視認可能に配置されている。窓部60は、例えばアクリル板やガラス板を用いて構成することができる。
【0030】
看板70は、収容部50の上部に設けられている。具体的には、看板70は、灰皿1を使用するユーザの正面に配置されている。看板70には、排水溝が海とつながっていることを灰皿1のユーザに伝えるためのメッセージが掲示されている。
【0031】
図7は、看板70のメッセージの一例を示す写真である。
図7に示す看板70には、排水溝が海につながっていることをユーザに啓蒙するための絵が掲示されている。また、看板70には、「排水溝は海の入口」である旨、「私たちが思っているよりも、私たちは海に近い。」旨の文章が掲示されている。
【0032】
このようなメッセージを看板70に掲示することで、ユーザが灰皿1を使用した際に、ユーザに対して排水溝が海とつながっていることを伝えることができる。
【0033】
以上で説明したように、本実施の形態にかかる灰皿1は、排水溝を想起させるデザインが施された灰皿部10と、配水管を想起させるデザインが施されたホッパー部20と、河川を想起させるデザインが施されたシュート部30と、海を想起させるデザインが施された水槽部40と、を備える。そして、灰皿部10で火が消された煙草の吸い殻は、灰皿部10から落下し、ホッパー部20およびシュート部30を通過して、水槽部40へと落下するように構成されている(
図2において、吸い殻の移動経路を符号100で示す)。また、灰皿1を使用するユーザは、このような煙草の吸い殻の移動を、窓部60を介して外部から視認できる。
【0034】
したがって、灰皿1を使用するユーザは、このような煙草の吸い殻の移動を通して、煙草の吸い殻が、排水溝(灰皿部10に対応)から、配水管(ホッパー部20に対応)、河川(シュート部30に対応)を経て、海(水槽部40に対応)へと到達する様子を、窓部60を介して外部から見ることができる。よって、排水溝が海につながっていることをユーザに対して啓蒙することができる。
【0035】
また、本実施の形態にかかる灰皿1は看板70を備えており、看板70には、排水溝が海とつながっていることを灰皿1のユーザに伝えるためのメッセージが掲示されている。したがって、看板70にこのようなメッセージを提示することで、ユーザが灰皿1を使用した際に、ユーザに対して排水溝が海とつながっていることを啓蒙することができる。
【0036】
図1~
図4に示した灰皿1のように、灰皿1に看板70を設けた場合は、看板70に掲示されているメッセージと、灰皿部10から落下した煙草の吸い殻の移動経路(
図2の符号100参照)の両方を用いて、ユーザに対して排水溝が海とつながっていることを啓蒙することができる。したがって、ユーザに対して排水溝が海とつながっていることを効果的に啓蒙することができる。
【0037】
なお、本実施の形態では、灰皿1に看板70を設けない構成としてもよい。すなわち、灰皿1に看板70を設けず、灰皿部10から落下した煙草の吸い殻の移動経路(
図2の符号100参照)を用いた場合も、ユーザに対して排水溝が海とつながっていることを啓蒙することができる。
【0038】
以上、本発明を上記実施の形態に即して説明したが、本発明は上記実施の形態の構成にのみ限定されるものではなく、本願特許請求の範囲の請求項の発明の範囲内で当業者であればなし得る各種変形、修正、組み合わせを含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0039】
1 灰皿
10 灰皿部
11 排水溝を想起させるデザイン
12 孔部
13 火消し部
15 排水溝
20 ホッパー部
21 傾斜部
22 配管
30 シュート部
31 板状部材
32 開口部
40 水槽部
41 容器
42 水
43 金網
50 収容部
51 カバー
60 窓部
70 看板
【要約】
【課題】排水溝が海につながっていることをユーザに啓蒙することが可能な灰皿を提供すること。
【解決手段】本発明の一態様にかかる灰皿1は、排水溝を想起させるデザインが施された灰皿部10と、配水管を想起させるデザインが施されたホッパー部20と、河川を想起させるデザインが施されたシュート部30と、海を想起させるデザインが施された水槽部40と、ホッパー部20、シュート部30、及び水槽部40を収容するとともに、灰皿部10が上部に配置された収容部50と、収容部50の前面に配置された窓部60と、を備える。窓部60は、灰皿部10から落下した煙草が、ホッパー部20およびシュート部30を経て水槽部40に落下することを外側から視認可能に配置されている。
【選択図】
図1