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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】キャリアテープの巻取方法
(51)【国際特許分類】
   B65B 15/04 20060101AFI20221109BHJP
   B65D 75/36 20060101ALI20221109BHJP
   B65D 85/86 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B65B15/04 L
B65D75/36
B65D85/86 300
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018108507
(22)【出願日】2018-06-06
(65)【公開番号】P2019210019
(43)【公開日】2019-12-12
【審査請求日】2021-02-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000190116
【氏名又は名称】信越ポリマー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100144048
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 智弘
(74)【代理人】
【識別番号】100186679
【弁理士】
【氏名又は名称】矢田 歩
(74)【代理人】
【識別番号】100214226
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 博文
(72)【発明者】
【氏名】増村 正彦
(72)【発明者】
【氏名】今井 將幸
【審査官】佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-331171(JP,A)
【文献】特開2003-246358(JP,A)
【文献】特開2007-326626(JP,A)
【文献】登録実用新案第3028216(JP,U)
【文献】特開2001-247158(JP,A)
【文献】特開2013-100136(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65B 15/04
B65D 75/36
B65D 85/86
B65D 85/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
送り孔と、部品を収納可能な収納凹部とが、長手方向にそれぞれ複数形成されたキャリアテープを、巻取リールに巻取るキャリアテープの巻取方法であって、
前記キャリアテープは、前記収納凹部に部品を収納していない状態で、前記キャリアテープの表面又は裏面に貼り付けられた巻取補助フィルムとともに巻取られる、
ことを特徴とするキャリアテープの巻取方法。
【請求項2】
前記巻取補助フィルムは、粘着剤により前記キャリアテープに貼り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープの巻取方法。
【請求項3】
前記巻取補助フィルムは、界面剥離を起こす感熱反応型接着剤により前記キャリアテープに貼り付けられる、
ことを特徴とする請求項1に記載のキャリアテープの巻取方法。
【請求項4】
前記キャリアテープは、前記巻取リールにスパイラル状に巻取られる、
ことを特徴とする請求項1から3までのいずれか1項に記載のキャリアテープの巻取方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納凹部に部品を収納するキャリアテープの巻取方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キャリアテープは、その収納凹部にベアチップ(ベアダイ)やICチップなどの電子部品が収納され、工場間の輸送や実装装置への供給などに利用されている。このキャリアテープは、JIS規格によれば、テープ幅32mm以上のキャリアテープでは両側のフランジ部に、テープ幅24mm以下のキャリアテープでは片側のフランジ部に、送り孔が設けられるように規定されている。
【0003】
通常、キャリアテープは、テープ幅と同じ幅の巻取リールに多層で巻取られるが、長尺で巻取るため、幅広な巻取リールにスパイラル状にトラバース巻きを行い多層に巻取られることもある(特許文献1参照)。例えば、キャリアテープをテープ幅分程度だけ右側又は左側方向へ横にずらしながら巻取リールに巻取って行き、巻取リールの左右の側板付近で移動方向を反転し、これを繰り返すことで、いわゆる普通巻き形態と呼ばれる巻取形態で巻取られている(図5及び図6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2001-247158号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、キャリアテープは、巻崩れを防止するために、適度な巻取張力をかけながら巻取リールに巻取られ、キャリアテープをスパイラル状に巻取るトラバース巻きでは、巻取りが進み巻取外径が大きくなると、積層による歪みの蓄積や巻取張力などにより、上層のキャリアテープの収納凹部が、下層のキャリアテープ同士の間に落ち込み、自己の送り孔側フランジ部を変形させたり(図7(a)参照)、下層のキャリアテープの送り孔側フランジ部にのみに重なり、下層のキャリアテープの送り孔側フランジ部を変形させたりすることがある(図7(b)参照)。これは、巻取リールの左右の側板付近で移動方向を反転する際、下層のキャリアテープの上に上層となるキャリアテープが必ず乗り上がるため、その付近のキャリアテープに無理な力が掛かり、歪んだり、反ったりすることがあるためである(図8参照)。
【0006】
そのため、巻取られたキャリアテープにうねりを発生させることがある。
また、上層のキャリアテープの収納凹部が、下層のキャリアテープの収納凹部に嵌まり込み、巻取リールから巻戻す場合に、分離することができず、部品収納ラインを停止させることもある。
【0007】
そこで、本発明は以上の課題に鑑みてなされたものであり、巻取リールに巻取られるキャリアテープの変形又はうねりを抑制できるキャリアテープの巻取方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明に係る1つの態様は、送り孔と、部品を収納可能な収納凹部とが、長手方向にそれぞれ複数形成されたキャリアテープを、巻取リールに巻取るキャリアテープの巻取方法であって、前記キャリアテープは、前記キャリアテープの表面又は裏面に配置された巻取補助フィルムとともに巻取られるものである。
(2)上記(1)の態様において、前記巻取補助フィルムは、前記キャリアテープの厚みの10%以上200%以下の厚みを有してもよい。
(3)上記(1)又は(2)の態様において、前記巻取補助フィルムは、前記キャリアテープに貼り付けられてもよい。
(4)上記(3)の態様において、前記巻取補助フィルムは、粘着剤により前記キャリアテープに貼り付けられてもよい。
(5)上記(3)の態様において、前記巻取補助フィルムは、界面剥離を起こす感熱反応型接着剤により前記キャリアテープに貼り付けられてもよい。
(6)上記(1)から(5)までのいずれか1つの態様において、前記キャリアテープは、前記巻取リールにスパイラル状に巻取られてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、巻取リールに巻取られるキャリアテープの変形又はうねりを抑制できるキャリアテープの巻取方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】キャリアテープを示す斜視図である。
図2】本発明に係る実施形態のキャリアテープの巻取方法によりキャリアテープを巻取った巻取リールを示す概略断面図であり、(a)実施例1の巻取状態、(d)実施例4の巻取状態である。
図3】巻取補助フィルムの配置形態を示す概略斜視図であり、(a)実施例1、(b)実施例2、(c)実施例3である。
図4】巻取補助フィルムの配置形態を示す概略斜視図であり、(d)実施例4、(e)実施例5である。
図5】従来の巻取方法によりキャリアテープを巻取リールに巻取る状態を示す概略図である。
図6】従来の巻取方法によりキャリアテープを巻取った巻取リールを示す概略断面図である。
図7】キャリアテープの巻取不良を説明する概略断面図であり、(a)段落ち不良状態、(b)重なり不良状態である。
図8】キャリアテープの巻取不良の発生メカニズムを説明する説明図であり、(a)巻取側面図、(b)巻取平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、本明細書の実施形態においては、全体を通じて、同一の部材には同一の符号を付している。
【0012】
図1は、キャリアテープ10を示す斜視図である。
図1に示すように、キャリアテープ10は、図示されない実装装置のスプロケットが挿入される送り孔11と、電子部品などの部品Pを個別に収納するための収納凹部12とが、長手方向にそれぞれ所定の間隔で複数形成されている。
【0013】
また、キャリアテープ10は、収納凹部12の上縁部から一側方に延在する幅広な送り孔側フランジ部13と、収納凹部12の上縁部から他側方に延在する幅狭なフランジ部14と、を有し、これらが、連結部を介して長手方向(送り方向)に多数連設されたテープ状の構造となっている。
【0014】
このキャリアテープ10は、0.2mmから0.6mmの厚さのテープ状の基材を加工して形成されている。テープ状の基材は、例えば、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、アモルファスポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの合成樹脂、これらの樹脂にカーボンを練り込んで導電性を付与したもの、表面に導電コーティングを施したものなどで形成されている。なお、キャリアテープ10の幅は、8mmから24mm程度が一般的である。
【0015】
送り孔11は、平面視において円形状であるが、送り孔11の形状や間隔は、スプロケットなどの送り機構に合わせて形成されるとよい。なお、送り孔11の直径は、0.8mmから1.5mm程度である。また、送り孔11は、長手方向の二辺に沿って、収納凹部12の両側に形成されることもある。
【0016】
一方、収納凹部12は、略矩形状であるが、収納する部品Pの形状に合わせて形成され、また、底面12aの開口側に台座が形成されることもある。なお、収納凹部12の開口寸法は、2mmから16mm角程度であり、また、深さは0.3mmから6mm程度が一般的である。
【0017】
カバーテープ30は、キャリアテープ10の収納凹部12に部品Pが収納された後に、収納凹部12の開口を塞ぐように覆うものであり、例えば、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネートなどの合成樹脂を用いて形成されたテープ状の基材である。なお、これらの合成樹脂にカーボンを練り込んで導電性を付与したり、テープ状の基材の表面に導電コーティングを施したり、あるいは、帯電性を付与したりするものなどを用いてもよい。
【0018】
このカバーテープ30は、一方面の少なくとも一部(例えば、長手方向の両端部)に接着剤31又は粘着剤により形成された接着剤層を有している。接着剤21としては、アクリル樹脂系、天然ゴム系、ウレタン系、エポキシ系、ポリビニルアルコール系などのものを用いることができる。
【0019】
つぎに、本発明に係る実施形態のキャリアテープ10の巻取方法の概略について説明する。本発明に係る実施形態のキャリアテープ10の巻取方法は、後述する巻取補助フィルム20を使用する以外は、従来のキャリアテープ10の巻取方法と同様であるから、まず図5に基づいて説明する。図5は、従来の巻取方法によりキャリアテープを巻取リール40に巻取る状態を示す概略図である。
【0020】
巻取リール40にスパイラル状に巻取るトラバース巻きをするものであり、キャリアテープ10が巻取リール40に1周(回転)して巻取られる間に、巻取リール40の上流の入線ガイドロールを、所定のリードピッチで、巻取リール40の一方側の側板41から他方側の側板41に向かって、横方向にトラバース移動させる。
【0021】
普通巻形態では、入線ガイドロールを横方向へトラバース移動させるリードピッチを、キャリアテープ10の幅と略等しい状態を繰り返すように設定されている。例えば、キャリアテープ10の全幅が8mmで、送り孔側フランジ部13の幅が3.1mmであれば、1層目の周回においては、入線ガイドロールのリードピッチを8.1mmから9.0mmの範囲に設定し、フランジ部14が、先に巻取られたキャリアテープ10の送り孔側フランジ部13に重ならないように巻取って行く(図6参照)。このようにして、キャリアテープ10は、1層目が普通巻き層の巻取方法で巻取リール40に巻取られる。
【0022】
つづいて、巻取リール40の側板41付近でトラバース移動方向の左右を反転し、反転後、入線ガイドロールのリードピッチを8.1mmから9.0mmの範囲に設定し、2層目の周回においても、フランジ部14が、先に巻取られたキャリアテープ10の送り孔側フランジ部13に重ならないように巻取って行く(図6参照)。このようにして、キャリアテープ10は、2層目も普通巻き層の巻取方法で巻取リール40に巻取られる。そして、これを必要な巻取層数だけ繰り返す。
【0023】
そして、キャリアテープ10の巻取張力は、図示されないテンションコントローラで管理され、同じく図示されない巻取モータのトルクを図示されない制御部で制御することで、キャリアテープ10の巻取張力は調整される。
【0024】
ここで、キャリアテープ10における、うねりや反りの発生メカニズムを説明すると、図8に示すように、巻取リール40におけるターン部周辺では、キャリアテープ10と巻取リール40との相対的なトラバース移動方向が反転しており、下層のキャリアテープ10の巻取位置が安定していない。そのため、キャリアテープ10を高い巻取張力で巻取ると、上層のキャリアテープ10の収納凹部12が、下層のキャリアテープ10の送り孔側フランジ部13を変形させることになる。なお、図8において、矢印は、キャリアテープ10の巻取方向を示す。
【0025】
つづいて、本発明に係る実施形態のキャリアテープ10の巻取方法の特徴について説明すると、上述したようにキャリアテープ10の巻取方法を行う際に、部品Pを収納していない状態において、キャリアテープ10を巻取補助フィルム20とともに巻取リール40に巻取る(共巻きする)ことを特徴としている。図2は、本発明に係る実施形態のキャリアテープ10の巻取方法によりキャリアテープ10を巻取った巻取リール40を示す概略断面図であり、(a)実施例1の巻取状態、(d)実施例4の巻取状態である。
【0026】
巻取補助フィルム20は、合成樹脂や紙などを用いて形成されたテープ状の基材である。合成樹脂であれば、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリプロピレンなどの熱可塑性樹脂が好ましく、なかでも、強度や価格の点でポリエチレンテレフタレート(PET)が特に好ましい。また、これらの樹脂にカーボンを練り込んで導電性を付与したもの、表面に導電コーティングを施したもの、あるいは、帯電性を付与するものなどを用いてもよい。
【0027】
巻取補助フィルム20は、キャリアテープ10又はキャリアテープ10を形成する基材よりも高剛性(曲げ剛性)で薄いものが好ましく、例えば、キャリアテープ10の厚みの10%以上200%以下の厚みを有しているとよい。巻取補助フィルム20の厚みは、薄過ぎると、フィルムの剛性が発揮できず、厚過ぎると、フィルムの剛性が高くなり過ぎ、巻取リール40への巻取りが困難になる。なお、フィルムは、薄い基材を意味する用語として使用している。
【0028】
巻取補助フィルム20の幅は、共巻きするキャリアテープ10に対する位置に応じてキャリアテープ10と同幅から、送り孔11又は収納凹部12の少なくとも一部を覆うような幅まで選択することができる。キャリアテープ10に対する巻取補助フィルム20の具体的な配置形態については、後述する。
【0029】
ここで、巻取補助フィルム20として、4000MPaの引張弾性率(ヤング率)、0.025mm(25μm)の厚みtのPETフィルムを用い、巻取補助フィルム20の幅Wを3mmとする場合、巻取時にキャリアテープ10が1層だけ上層に移行する際に、キャリアテープ10がうねる状態になる領域の長さLが約45mmであるから、巻取補助フィルム20の剛性は347Pa・mmとなる。
ただし、曲げ剛性=E・I/Lであり、引張弾性率をE、断面二次モーメントをI、長さをLとする。また、断面二次モーメントは、I=1/12・W・tである。
【0030】
また、巻取補助フィルム20は、一方面の少なくとも一部に接着剤21により形成された接着剤層を有している。接着剤21としては、アクリル樹脂系、天然ゴム系、ウレタン系、エポキシ系、ポリビニルアルコール系などのものを用いることができるが、キャリアテープ10との界面(接合面)で界面剥離を起こす感熱反応型のものが好ましい。界面剥離を起こす接着剤21を用いると、巻取補助フィルム20をキャリアテープ10から剥がす場合に、キャリアテープ10に接着剤21(の残りかす)が残ることがない。なお、接着剤21に代えて、各種の粘着剤を用いてもよい。
【0031】
つづいて、キャリアテープ10に対する巻取補助フィルム20の配置形態について、実施例1から実施例5に基づいて説明する。図3は、巻取補助フィルム20,220,320,420,520の配置形態を示す概略斜視図であり、(a)実施例1、(b)実施例2、(c)実施例3である。図4は、巻取補助フィルム20の配置形態を示す概略斜視図であり、(d)実施例4、(e)実施例5である。
【0032】
実施例1の巻取補助フィルム20は、キャリアテープ10の収納凹部12の開口を塞ぐように覆うもので、長手方向に沿った両端部に接着剤21の層が形成されている。
【0033】
実施例2の巻取補助フィルム220は、キャリアテープ10の送り孔11の開口及び収納凹部12の開口を塞ぐように、キャリアテープ10の表面10aのほぼ全面を覆うものである。この場合も、接着剤221の層は、巻取補助フィルム220の長手方向に沿った両端部に形成されている。
【0034】
実施例3の巻取補助フィルム320は、実施例1の巻取補助フィルム20とは逆に、キャリアテープ10の送り孔11の開口を表面10a側から塞ぐように覆うものである。この場合も、接着剤321の層は、巻取補助フィルム320の長手方向に沿った両端部に形成されている。
【0035】
実施例4の巻取補助フィルム420は、キャリアテープ10の隣接する収納凹部12の底面12a同士にわたるように少なくとも貼り付けられるものであり、実施例4では、収納凹部12の底面12a同士を連続的にわたって貼り付けられている。この場合、接着剤421の層は、巻取補助フィルム420の全面に形成されている。
【0036】
実施例5の巻取補助フィルム520は、変形例1の巻取補助フィルム20とは逆に、キャリアテープ10の送り孔11の開口を裏面10b側から塞ぐように覆うものである。この場合も、接着剤521の層は、巻取補助フィルム520の長手方向に沿った両端部に形成されている。
【0037】
なお、実施例1,3,5において、巻取補助フィルム20,320,520は、送り孔11の開口又は収納凹部12の開口を完全に塞ぐように覆ったが、送り孔11の開口又は収納凹部12の開口におけるキャリアテープ10の幅方向の少なくとも一部、例えば中央付近のみを通るように配置されてもよい。また、実施例1~3,5において、接着剤21,221,321,521は、全面に形成されてもよい。
【0038】
このような配置形態で、巻取補助フィルム20は、キャリアテープ10が巻取リール40の下層などに巻付けられる直前に、キャリアテープ10に接着剤21を介して貼り付けられ、必要に応じて加圧され、キャリアテープ10とともに巻取リール40に巻取れていく。なお、感熱反応型の接着剤21の場合は、巻取補助フィルム20はヒータなどにより加熱されながら、貼り付けられる。
【0039】
以上のとおり、本発明に係る実施形態のキャリアテープ10の巻取方法は、送り孔11と、部品Pを収納可能な収納凹部12とが、長手方向にそれぞれ複数形成されたキャリアテープ10を、巻取リール40に巻取るキャリアテープ10の巻取方法であって、キャリアテープ10は、キャリアテープ10の表面10a又は裏面10bに配置された巻取補助フィルム20,220,320,420,520とともに巻取られる。これにより、キャリアテープ10の剛性は、巻取補助フィルム20,220,320,420,520の剛性分だけ高くなるため、巻取リール40に巻取られたキャリアテープ10のターン部付近における、変形又はうねりの発生を抑制することができる。また、フランジ部14が先に巻取られたキャリアテープ10の送り孔側フランジ部13に重ならないように、隣接するキャリアテープ10同士の間に隙間を空けて巻取る場合でも、上層のキャリアテープ10(特に、収納凹部12)が、下層のキャリアテープ10同士の間に落ち込むようなことが起こり難くなる。また、キャリアテープ10の収納凹部12の開口を、巻取補助フィルム20,220,420で覆うことにより、上層のキャリアテープ10の収納凹部12が、下層のキャリアテープ10の収納凹部12に嵌まり込むようなことが起こらない。
【0040】
実施形態では、巻取補助フィルム20,220,320,420,520は、キャリアテープ10の厚みの10%以上200%以下の厚みを有する。例えば、巻取補助フィルム20の厚みが、キャリアテープ10の厚みの10%未満であると、巻取補助フィルム20が切断されてしまい、キャリアテープ10の剛性を増強することができず、また、キャリアテープ10の厚みの200%を超えると、巻取補助フィルム20の剛性が高くなり過ぎ、巻取リール40への巻取りが困難になる。そして、巻取補助フィルム20,220,320,420,520の厚みが、キャリアテープ10の厚みの10%以上200%以下の厚みであると、巻取補助フィルム20,220,320,420,520は、キャリアテープ10の収納凹部12の高さに比べて十分小さいため、巻取リール40に巻取られる層の層数も、大きく減少することがなく、必要な巻取長さを確保することができる。
【0041】
実施形態では、巻取補助フィルム20,220,320,420,520は、キャリアテープ10に貼り付けられる。これにより、キャリアテープ10を巻取リール40に巻取る際に、キャリアテープ10と巻取補助フィルム20,220,320,420,520との相対的な位置関係がズレることがなく、また、巻取った後も、キャリアテープ10と巻取補助フィルム20,220,320,420,520との相対的な位置関係がズレることがない。
【0042】
実施形態では、巻取補助フィルム20,220,320,420,520は、粘着剤によりキャリアテープ10に貼り付けられる。これにより、巻取補助フィルム20,220,320,420,520とキャリアテープ10とは、粘着剤の粘着力により接合されているだけであるから、巻取補助フィルム20をキャリアテープ10から剥がす場合に、キャリアテープ10に粘着剤が残り難くなる。
【0043】
実施形態では、巻取補助フィルム20,220,320,420,520は、界面剥離を起こす感熱反応型の接着剤21によりキャリアテープ10に貼り付けられる。これにより、巻取補助フィルム20をキャリアテープ10から剥がす場合に、界面剥離が起きるため、キャリアテープ10に接着剤21(の残りかす)が残ることがない。
【0044】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更が可能である。
【0045】
(変形例)
上記実施形態では、巻取補助フィルム20は、巻取リール40に巻取られる際に、キャリアテープ10に接着剤21などで貼り付けられていたが、接着剤21で貼り付けることなく、キャリアテープ10が巻取リール40の下層などに巻付けられる直前に、巻取補助フィルム20を直接供給して、キャリアテープ10と巻取補助フィルム20との間の摩擦力のみで相対的な位置を規制し、共巻きするようにしてもよい。
【0046】
上記実施形態では、入線ガイドロールを巻取リール40に対してトラバース移動させたが、相対的な関係であるから、逆に、巻取リール40を入線ガイドロールに対してトラバース移動させてもよい。
【符号の説明】
【0047】
10 キャリアテープ、10a 表面、10b 裏面
11 送り孔
12 収納凹部、12a 底面
13 送り孔側フランジ部
14 フランジ部
20 巻取補助フィルム
21 接着剤
30 カバーテープ
31 接着剤
40 巻取リール
41 側板
P 部品
220,320,420,520 巻取補助フィルム
221,321,421,521 接着剤
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8