(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】水平連続供給予熱装置及びその強化予熱方法
(51)【国際特許分類】
F27B 3/18 20060101AFI20221109BHJP
F27D 3/06 20060101ALI20221109BHJP
F27D 7/02 20060101ALI20221109BHJP
F27D 13/00 20060101ALI20221109BHJP
F27D 17/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
F27B3/18
F27D3/06 A
F27D7/02 A
F27D13/00 E
F27D13/00 F
F27D17/00 101G
F27D17/00 105G
(21)【出願番号】P 2020516628
(86)(22)【出願日】2018-08-28
(86)【国際出願番号】 CN2018102726
(87)【国際公開番号】W WO2019056930
(87)【国際公開日】2019-03-28
【審査請求日】2020-03-19
(31)【優先権主張番号】201710867653.3
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】518402727
【氏名又は名称】シーアイエスディーアイ エンジニアリング カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CISDI ENGINEERING CO., LTD
【住所又は居所原語表記】YAN Bo No.1, Shuanggang Road, Yuzhong District Chongqing 400013 (CN)
(73)【特許権者】
【識別番号】519323539
【氏名又は名称】シーアイエスディーアイ リサーチ アンド ディベロップメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】CISDI RESEARCH AND DEVELOPMENT CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】YAN, Bo No.11-1, Huijin Road, New North Zone Chongqing 401122 (CN)
(74)【代理人】
【識別番号】100088063
【氏名又は名称】坪内 康治
(74)【代理人】
【識別番号】100105131
【氏名又は名称】井上 満
(74)【代理人】
【識別番号】100105795
【氏名又は名称】名塚 聡
(72)【発明者】
【氏名】ハン,キミン
(72)【発明者】
【氏名】タン,チュンチェン
(72)【発明者】
【氏名】シ,ウェイチ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユチュアン
(72)【発明者】
【氏名】ガオ,チャン
(72)【発明者】
【氏名】アイ,レイ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,チュンチン
(72)【発明者】
【氏名】リン,ウェイ
(72)【発明者】
【氏名】リュウ,チャオ
【審査官】岡田 眞理
(56)【参考文献】
【文献】特開昭62-094792(JP,A)
【文献】特開平08-157930(JP,A)
【文献】特表2013-534609(JP,A)
【文献】特開平07-146082(JP,A)
【文献】特表2017-505892(JP,A)
【文献】特表2015-525866(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F27B 3/00- 3/28
F27D 3/06
F27D 7/02
F27D 13/00
F27D 17/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平連続供給予熱ダクト及びアーク炉を含む水平連続供給予熱装置であって、
前記水平連続供給予熱ダクトにおいては、材料搬送方向に沿って間隔をおいて配置された
第1の集塵口及び第2の集塵口が設けられ、さらに、前記第1の集塵口の前方に近接して
配置されたフィードを供給するための
シールされた供給口と、前記第2の集塵口に近接し
て配置されたアーク炉の供給口が設けられ、
前記第1の集塵口には混合煙気パイプが接続され、前記第2の集塵口に熱煙気パイプが接
続され、前記混合煙気パイプ及び熱煙気パイプは、混合煙気パイプ及び熱煙気パイプを流
れる煙気の分配割合を調整するための分流器を介して煙道を通して沈降室に接続され、
水平連続供給予熱ダクトにおいて第1の集塵口及び第2の集塵口の間のスペースは第1の
予熱ゾーンを形成し、水平連続供給予熱ダクトにおいて第2の集塵口とアーク炉の供給口
との間のスペースは第2の予熱ゾーンを形成し、
前記水平連続供給予熱ダクトにおいて、第1の予熱ゾーンでのダクトの高さは、第2の予
熱ゾーンでのダクトの高さよりも小さく、
水平連続供給予熱ダクトには、第1の予熱ゾーンに傾斜して設置された複数のバーナーI
と、第2の予熱ゾーンに傾斜して設置された複数のバーナーIIとをさらに含み、
各前記バーナーIの燃焼ガス流れ方向は、水平方向成分が材料搬送方向と逆にするもので
あり、各前記バーナーIIの燃焼ガス流れ方向は、水平方向成分が材料搬送方向と逆にす
るものであり、
第1の集塵口は一定の負圧P1を確保できるように構成されており、第2の集塵口は一定
の負圧P2を確保できるように構成されていることを特徴とする水平連続供給予熱装置。
【請求項2】
沈降室に接続された煙気急冷装置をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の水平連
続供給予熱装置。
【請求項3】
スクラップ鋼を供給するディスク状のマグネットクレーンをさらに含み、前記マグネット
クレーンは、振動投入装置により、材料を水平連続供給予熱ダクトの受給段に搬送するこ
とを特徴とする請求項1に記載の水平連続供給予熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冶金技術分野に関し、具体的に、水平連続供給予熱装置及びその強化予熱方法
に関する。
【背景技術】
【0002】
アーク炉製鋼における省エネルギー、消費削減、環境保護、自動化は、常にアーク炉製鋼
技術の開発の中核の1つである。
【0003】
スクラップ鋼予熱型アーク炉は、省エネルギー型のアーク炉であり、1980年代末に出
現したアーク炉スクラップ鋼煙道予熱技術は、典型的な省エネルギー技術として、CON
STEEL(US5400358)に代表される。CONSTEEL技術は、約30年間
の発展にわたって、既に成熟しており、そのフラットメルトバス製錬は、電力グリッドの
衝撃を低減し、アーク炉本体のメンテナンスを削減するという利点があり、実際の生産で
一定の省エネルギーの効果がある。しかし、CONSTEELは、使用中に、シャフト炉
と比較して節電効果が劣るなどの欠点も有している。米国のシェールガス革命に伴い、石
油や天然ガスなどのボトムカーボン化学エネルギーの価格が低下し、CONSTEELに
外部化学エネルギーを導入することが経済的な方法になった。コンベアベルトに化学エネ
ルギーを追加することにより、従来のCONSTEELスクラップ鋼の予熱効率を高め、
CONSTEELの改良のCN103003453B、CN104583700Aなどの
特許出願の同様のアイデアが反映されている。従来のCONSTEEL煙道にはノズルま
たはバーナーが装備されており、これもUS5400358に具現化されているが、従来
のCONSTEELは、予熱ダクトが総煙気通路でもあり、通路の面積が大きく、高さが
高いため、バーナーの燃焼ガスとスクラップ鋼との間の熱交換が不十分になり、熱効率が
高くない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これを鑑み、本発明は、従来のCONSTEELに基づく化学エネルギーの投入と、煙気
流量の分流と煙気の流れの最適化により、冷風の混入量を低減することで、化学エネルギ
ーのより高い熱効率を得るための水平連続供給予熱装置及びその強化予熱方法を提供する
ことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、本発明は、以下の技術的解決手段を採用し、水平連続供給
予熱装置を提供し、水平連続供給予熱ダクト及びアーク炉を含み、前記水平連続供給予熱
ダクトにおいて材料搬送方向に間隔をおいて第1の集塵口及び第2の集塵口が設けられ、
前記第1の集塵口は、水平連続供給予熱ダクトのフィードを供給するためのシールされた
供給口の後方でかつ供給口に近接し、前記第2の集塵口は、水平連続供給予熱ダクトの後
段でかつアーク炉の供給口に近接し、2つの集塵口の間の水平連続供給予熱ダクトは第1
の予熱ゾーンを形成し、第2の集塵口とアーク炉の供給口との間の水平連続供給予熱ダク
トは第2の予熱ゾーンを形成し、水平連続供給予熱ダクトの第1の予熱ゾーンに傾斜して
設置された複数のバーナーIをさらに含み、各前記バーナーIの燃焼ガスの水平方向成分
を材料搬送方向と逆方向にする。
【0006】
さらに、前記水平連続供給予熱ダクトにおける第1の予熱ゾーンのダクトの高さは、第2
の予熱ゾーンのダクトの高さよりも小さい。
【0007】
さらに、前記水平連続供給予熱ダクトの第2の予熱ゾーンに複数のバーナーIIが傾斜し
て設置され、各前記バーナーIIの燃焼ガスの水平方向成分を材料搬送方向と逆方向にす
る。
【0008】
さらに、前記第1の集塵口には混合煙気パイプが接続され、前記第2の集塵口に熱煙気パ
イプが接続され、前記混合煙気パイプ及び熱煙気パイプは、いずれも沈降室に接続される
。
【0009】
さらに、前記混合煙気パイプ及び熱煙気パイプは、煙気を調整や分配するための分流器及
び煙道を介して沈降室に接続される。
【0010】
さらに、前記混合煙気パイプ及び熱煙気パイプにいずれも調整弁が設けられ、前記混合煙
気パイプ及び熱煙気パイプは煙道を介して沈降室に接続される。
【0011】
さらに、沈降室に接続された煙気急冷装置をさらに含む。
【0012】
さらに、スクラップ鋼を供給するディスク状のマグネットクレーンをさらに含み、前記デ
ィスク状のマグネットクレーンは、振動投入装置により、材料を水平連続供給予熱ダクト
の受給段に搬送する。
【0013】
上記の水平連続供給予熱装置に基づく強化予熱方法は、アーク炉から排出される総煙気は
、第2の予熱ゾーンの材料を予熱し、間隔をおいて設置された第1の集塵口と第2の集塵
口は、総煙気を第1のバイパス煙気と第2のバイパス煙気に分けられ、第1のバイパス煙
気は第2の集塵口から抽出され、第2のバイパス煙気は第1の予熱ゾーンを通過する過程
に第1の予熱ゾーンにおける材料を予熱し、第1の予熱ゾーンに第1の予熱ゾーンに燃焼
ガスを噴射するバーナーIが設けられ、バーナーIの火炎噴流により第2のバイパス煙気
を材料層の間隙に共通に通過させ、第1の集塵口からフィードを供給するためのシールさ
れた供給口に供給される冷気、燃焼ガス及び第2のバイパス煙気を抽出する。
【0014】
さらに、煙気を調整や分配するための分流器又は調整弁を調整することで、混合煙気パイ
プ及び熱煙気パイプを流れる煙気の分配割合を調整し、第1のバイパス煙気、第2のバイ
パス煙気の流量、及び混合煙気パイプへの混合煙気の温度を制御する。
【発明の効果】
【0015】
本発明の有利な効果は、以下のとおりである。
【0016】
1、二重集塵口のアーク炉の煙気の分流及び案内作用により、従来のCONSTEELの
煙気の流れ及びダクト構造が変更され、大部分の煙気がアーク炉に隣接する第2の集塵口
から抽出され、強化予熱ゾーン内の煙気量が減少し、バーナー燃焼ガスとアーク炉の混合
煙気及び流体動圧バランスの要求に応じてダクトの高さを設計でき、バーナーの火炎噴流
が強化予熱ゾーンのスクラップ層に直接衝突し、同時に火炎噴流が分流煙気をスクラップ
鋼の間隙に浸透させるように誘導し、分流煙気の熱交換効果を高め、バーナーの燃焼熱効
率も大幅に向上する。
【0017】
2、従来のCONSTEELは、後側の集塵口が1箇所しかなく、ダクトは、煙気の量が
大きい通路を提供するため、最適化に達成できなく、ダクトのバーナーの予熱スクラップ
鋼の効率が比較的低い。従来のCONSTEELに比較して、本発明の煙気分流技術は、
CONSTEELのダクトの高さを最適化にし、従来のバーナーが強化予熱ゾーンにおい
てスクラップ鋼を直接加熱でき、外部化学エネルギーの効率を向上させ、外部化学エネル
ギーの予熱作用を強化する。
【0018】
3、本発明では、第1の集塵口が強化予熱ゾーンへの冷気の流入を遮断し、強化予熱ゾー
ンにおけるバーナーがスクラップ鋼を直接加熱することができ、強化予熱ゾーンに高温煙
気が充満して、そのバーナーの出した熱効率が大幅に向上する。
【0019】
4、バーナーIが第1の集塵口に向かって傾斜し且つ燃焼ガスが第2の集塵口に向かって
逆流するように配置され、複数列のバーナーIの噴流の水平方向成分と狭いスクラップ鋼
ダクトとが噴流ポンプ効果を構成し、第1の予熱ゾーンのダクト内に第1の集塵口に向か
って流れる燃焼ガスの駆動動圧が発生し、2つの煙気集塵口がそれぞれ煙気パイプを介し
て煙気を調整や分配するための分流器に連結され、第1の集塵口、第2の集塵の煙気分配
割合をそれぞれ調整することは、意義が大きい。
【0020】
5、混合後の煙気温度を制御することで、スクラップ鋼の予熱過程におけるダイオキシン
の排出を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
本発明の目的、技術的解決手段及び有益な効果をより明確にするために、本発明は、説明
のために以下の図面を提供する。
【0022】
【
図2】
図1の修正された構造の概略図である。[符号の説明]水平連続供給予熱ダクト1、アーク炉2、第1の集塵口3、第2の集塵口4、
フィードを供給するためのシー
ルされた供給口5、バーナーI6、バーナーII7、混合煙気パイプ8、熱煙気パイプ9、沈降室10、分流器11、煙道12、煙気圧力センサー13、調整弁14、煙気急冷装置15、ディスク状のマグネットクレーン16F0:アーク炉から排出される総煙気F1:第2の集塵口に流れる第1のバイパス煙気F2:第1の集塵口に流れる第2のバイパス煙気F3:
フィードを供給するためのシールされた供給口から第1の予熱ゾーンに入る冷気F4:バーナーIから噴射される燃焼ガスFF:F1、F2、F3及びF4の混合後のガスP0:第1の予熱ゾーンのダクトによって生成される流体駆動圧力P1:第1の集塵口の負圧P2:第2の集塵口の負圧
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を結合して、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。
【0024】
図面に示すように、本発明における水平連続供給予熱装置は、水平連続供給予熱ダクト1
及びアーク炉2を含み、前記水平連続供給予熱ダクト1において材料搬送方向に間隔をお
いて第1の集塵口3及び第2の集塵口4が設けられ、前記第1の集塵口3は、水平連続供
給予熱ダクト1のフィードを供給するためのシールされた供給口5の後方でかつフィード
を供給するためのシールされた供給口5に近接し、前記第2の集塵口4は、水平連続供給
予熱ダクト1の後段でかつアーク炉2の供給口に近接し、2つの集塵口の間の水平連続供
給予熱ダクトは第1の予熱ゾーンIを形成し、第2の集塵口4とアーク炉の供給口との間
の水平連続供給予熱ダクトは第2の予熱ゾーンIIを形成し、水平連続供給予熱ダクトI
の第1の予熱ゾーンに傾斜して設置された複数のバーナーI6をさらに含み、各前記バー
ナーI6の燃焼ガスの水平方向成分を材料搬送方向と逆方向にする。
【0025】
本発明では、二重集塵口のアーク炉の総煙気F0の分流作用により、従来のCONSTE
ELの煙気の流れが変更される。第1のバイパス煙気F1(大部分のアーク炉の煙気)が
アーク炉の供給口に隣接する第2の集塵口4から抽出され、材料は、当該ゾーンにおいて
、主に煙気によって予熱されるため、このゾーンは煙気予熱ゾーンとも称され得る。第2
のバイパス煙気F2(残りのアーク炉の煙気)は、第1の予熱ゾーンIを通流して、この
ゾーン内の材料を煙気で予熱し、このゾーン内に傾斜して設置されたバーナーI6が材料
に火炎を噴射し、このゾーンを通流する第2のバイパス煙気F2と共にこのゾーン内の材
料を予熱するため、このゾーンは強化予熱ゾーンとも称され得る。傾斜して設置されたバ
ーナーI6の噴流の水平方向成分が、第1の集塵口の反対側に向けて第2の集塵口に反対
(即ち噴流の水平方向成分を材料の搬送方向と逆方向にする)し、バーナーI6の火炎噴
流が強化予熱ゾーン内のスクラップ鋼層に直接衝撃することができ、それと同時に、火炎
噴流により分流煙気がスクラップ鋼の間隙に浸透し、分流煙気の熱交換効果も高められ、
バーナーI6の燃焼熱効率も大幅に向上する。また、フィードを供給するためのシールさ
れた供給口5の後方に設けられた第1の集塵口3は、強化予熱ゾーンへの冷気の進入通路
を遮断し、強化予熱ゾーンにおけるバーナーがスクラップ鋼を直接加熱し、強化予熱ゾー
ンに高温煙気を充満させ、バーナーI6の熱効率をさらに向上させる。
【0026】
本発明では、前記水平連続供給予熱ダクト1における第1の予熱ゾーンIのダクトの高さ
が第2の予熱ゾーンIIのダクトの高さよりも低い。二重集塵口のアーク炉の総煙気F0
に対する分流作用により、強化予熱ゾーンの煙気量が減少し、ダクトの高さは混合煙気(
バーナー燃焼ガスF4+第2のバイパス煙気F2)及び流体動圧バランスの要求に応じて
再設計することができる。即ち、煙気分流技術を採用した本発明は、第1の予熱ゾーンI
のダクトの高さを低くすることで、強化予熱ゾーンのバーナーI6でスクラップ鋼を直接
加熱して、その外部化学エネルギー効率を高め、外部化学エネルギー予熱作用を強化する
ことができる。
【0027】
本発明では、前記水平連続供給予熱ダクト1の第2の予熱ゾーンIIに間隔をおいて傾斜
に複数のバーナーII7が設けられ、各前記バーナーII7の燃焼ガスの水平成分を材料
搬送方向と逆方向にする。バーナーII7を増設して、限られた予熱時間で、第2の予熱
ゾーンIIの材料の予熱効果をさらに向上させる。
【0028】
本発明では、前記第1の集塵口3には混合煙気パイプ8が接続され、前記第2の集塵口4
に熱煙気パイプ9が接続され、前記混合煙気パイプ8及び熱煙気パイプ9は、いずれも沈
降室10に接続される。
【0029】
具体的には、本実施例では第1の集塵口3及び第2の集塵口4に煙気圧力センサー13が
設けられ、混合煙気パイプ8及び熱煙気パイプ9は、いずれも分流器11を介して煙道1
2に接続され、煙道12はさらに沈降室10に接続される。アーク炉2全体の集塵効果を
確保するために、第2の集塵口4の抽出量(負圧)を十分に確保する必要があり、第1の
集塵口3による強化予熱ゾーンの遮断がなければ、多量の冷気が強化予熱ゾーンに入った
後も第2の集塵口4に入ってしまい、バーナーI6はこの冷気を加熱しなければならない
ために熱効率が低下する。バーナーI6は、第1の集塵口に向けて傾斜し、その燃焼噴流
の水平方向成分が材料搬送方向と逆方向にし、複数列のバーナーI6の噴流が狭い予熱ダ
クトと噴流ポンプ効果をなし、強化予熱ゾーン内の燃焼ガスに第1の集塵口に向かう駆動
力が発生し、即ち、流通動圧が発生し、当該流通動圧は、第2の集塵口4での集塵負圧と
釣り合うことで、第2の集塵口4に微小負圧を発生させる。分流器11と併せて第1の集
塵口3、第2の集塵口4の煙気分配割合を調整することで、フィードを供給するためのシ
ールされた供給口への冷気流入量を最小乃至0に近づけることができ、水平供給予熱シス
テム全体の熱効率を全体的に向上させることができる。また、強化予熱ゾーンに入った第
2のバイパス煙気F2は、水平連続供給予熱ダクト1の冷却により失われる熱量を補うこ
とができ、強化予熱ゾーンにおけるスクラップ鋼予熱の燃焼ガスの熱効率を向上させるこ
とができる。なお、本発明における分流器11は、三方フラップ弁であってもよいし、他
の煙気調整可能装置であってもよい。
【0030】
上記実施例の代替例として、混合煙気パイプ8及び熱煙気パイプ9に調整弁14を直接対
応して設けるように、分流器11を省略することもできる。次に、混合煙気パイプ8及び
熱煙気パイプ9を煙道に直接接続し、即ち、調整弁14により混合煙気パイプ8及び熱煙
気パイプ9における抵抗を調整する。
【0031】
本発明は、煙気の降温冷却を達成するために、さらに沈降室10に接続された煙気急冷装
置15を備える。
【0032】
本発明は、ディスク状のマグネットクレーン16をさらに含み、前記ディスク状のマグネ
ットクレーン16は、スクラップ鋼を水平連続供給予熱ダクト1の受給段に搬送する。当
然ながら、さらに水平連続供給予熱ダクトの受給段の前方に振動投入装置を増設してもよ
く、ディスク状のマグネットクレーン16は、スクラップ鋼を振動投入装置に投入し、振
動投入装置は、仮置き台として、水平連続供給予熱ダクトの受給段に材料を連続的に供給
することができる。
【0033】
前述のように、第2の集塵口4は、アーク炉2の集塵効果を確保するために、主な集塵口
として、第1のバイパス煙気F1を抽出するだけでなく、第2の集塵口4に一定の負圧P
2を確保する必要がある。第2のバイパス煙気F2は、第1の予熱ゾーンIのダクト内に
入り、第1の予熱ゾーンIには斜め下向きのバーナーI6が複数列設けられ、各バーナー
I6からの噴流の水平方向成分とこの段のダクトとがポンプ噴流効果(複数列のバーナー
I6多段噴流ポンプ)を構成し、第1の予熱ゾーンIのダクトで発生する流体駆動圧力P
0(流通動圧)を強化し、当該流体駆動圧力P0は、第2の集塵口4の負圧P2とバラン
スさせるか(P0=P2)、部分的にバランスさせるか(P0<P2)、または超バラン
スさせる(P0>P2)。当然ながら、第1の集塵口3にも一定の負圧P1を供給して冷
気F3を遮断し、強化予熱ゾーンに入らないようにし、第2の集塵口4で冷気F3、バー
ナーから噴射される燃焼ガスF4及び第2のバイパス煙気F2が抽出され、2つの集塵口
の圧力センサー13によりF1、F2のガス量の分配を制御し、水平連続供給予熱ダクト
1内の煙気を最適なバランスになるように、混合煙気パイプ8及び熱煙気パイプ9の抵抗
をさらに調整する。
【0034】
以下、当該システムの予熱過程に存在するいくつかの動作状況を分析して説明する。
【0035】
動作状況1:P0=P2の場合、即ち第1の予熱ゾーンI内のガス噴射駆動力と第2の集
塵口4の負圧値が近いと、第1の集塵口の負圧P1≒0となり、このとき第1の予熱ゾー
ンI内の第2のバイパス煙気F2=0が実現でき、第1の集塵口3には少量の冷気F3と
バーナーから噴射される燃焼ガスF4しか入らないが、このような動作状況はシステム制
御の面に難しい。
【0036】
動作状況2:P0>P2の場合、即ち第1の予熱ゾーンI内の第2のバイパス煙気F2、
バーナーから噴射される燃焼ガスF4は、第1の集塵口3に積極的に入り、このときP1
が微負圧状態にあるべき、そうでなければ、供給入口から排煙が出る。P1は微負圧であ
るため、フィードを供給するためのシールされた供給口5を通過する冷気F3が少なく、
第2のバイパス煙気F2が多く、スクラップ鋼は第2のバイパス煙気F2とバーナーから
噴射される燃焼ガスF4とによる予熱が得られる。
【0037】
動作状況3:P0<P2、P1>P2-P0の場合、P1が一定の負圧状態であると、第
1の予熱ゾーンI内に所定量の冷気F3が混入されるが、混入される冷気の量F3はP0
≦0よりも遥かに少なく、第1の集塵口で抽出される総煙気の量F2+F3+F4は比較
的小さく、スクラップ鋼は第2のバイパス煙気F2と燃焼ガスF4とによる予熱が得られ
る。
【0038】
動作状況2、動作状況3は、本システムの基本的な動作モードであり、この2種類の動作
状況は、いずれも2つの集塵口の圧力センサー13によりPLCを調整し、PLCにより
分流器11及びバーナーI6、バーナーII7を制御し、最終的にF1、F2のガス分配
の調整を達成する。
【0039】
また、P0がP2に対して平衡作用をするか、強化作用をするかを決定する第1の予熱ゾ
ーンIにおけるバーナーI6の噴流の傾斜方向が重要であることを強調して説明する。本
発明では、P0がP0>P2と過大に現れる場合、第1の集塵口3は第2のバイパス煙気
F2を抽出することができ、一方、分流器11の本質的な特性は、P1、P2の圧力分配
を調整し、システムがPLC制御下で「ガス動力-集塵静力」の最適なバランスを達成す
るようにし、システムの動的なシールを実現し、第1の集塵口3が存在する重要な意味で
ある第1の予熱ゾーンIの熱効率を高める。スクラップ鋼は水平連続供給予熱ダクト1内
で強化予熱ゾーンを通過した後、煙気予熱ゾーンに入るが、アーク炉の供給口での煙気温
度が高いため、スクラップ鋼をさらに予熱することができる。
【0040】
以上の説明から明らかなように、本システムは、水平連続供給予熱ダクト1における冷気
F3の混入量を大幅に低減できるという特徴を有している。
【0041】
また、第1の予熱ゾーンIでの煙気の流れとスクラップ鋼の流れは逆方向であるので、バ
ーナーI6の化学エネルギーは予熱スクラップ鋼を強化することができ、熱交換効率の向
上に寄与する。冷気F3の混入量を低減して、入力化学エネルギーの熱効率の向上に寄与
する。
【0042】
第1の予熱ゾーンのバーナーから噴射される燃焼ガスF4=12500m3/h(75t
EAFの第1の予熱ゾーンで空気助燃で消費された天然ガス10Nm3/tに相当する)
、燃焼温度が1200℃前後に制御され、
評価の便宜のため、各ガスの比熱は同一とし、機器自体の熱効率は不変とし、
第1の予熱ゾーンの冷熱ガス混合後の温度は約868℃であり、
第1の予熱ゾーンでスクラップ鋼を予熱した後に排出される混合煙気の温度は約600℃
であり、
熱当量:(868-600)×(5000+12500)=4690000(J)、
第1の予熱ゾーンに混入される冷気F3=1000m3/h、温度40℃、
第1の予熱ゾーン内の第2のバイパス煙気F2=5000m3/h、温度1100℃、
第1の集塵口でのガス混合後の温度1110℃、強化予熱ゾーンでのガス混合後の温度は
約1171℃であり、
熱当量(第1の集塵口での温度として算出し):(1110-600)×(1000+1
2500+5000)=9435000(J)、
強化予熱ゾーン熱効率は(9435000-4690000)/4690000=100
%向上する。
【0043】
熱効率が向上するのは、1)冷気による熱の持ち出し量が減少すること、2)分流された
熱煙気の熱交換が向上することが主な理由である。
【0044】
上記は、単なる解析例であり、冷気の混入が冷気によって持ち出した熱量の予熱の効率に
大きな影響を与えることを説明している。これは、純酸素燃焼により空気中の窒素ガスの
奪い熱を低減して燃焼温度と熱効率を高める作用原理と同様である。実際の使用時におい
ては、バーナーI6を調整することにより、動作状況の予熱要求があった場合に、バーナ
ーの燃料消費量を低減することができる。
【0045】
本スクラップ鋼の連続供給予熱機器及び煙気ラインの設計は、強化予熱ゾーン21での外
部化学エネルギーの燃焼効率を良好に高め、システム全体の熱効率も高めることができる
。
【0046】
スクラップ鋼の予熱中にダイオキシンの予熱抑制の要求があると、システムの必要な箇所
に煙気温度検出を設置することも可能であり、一般に、第1の集塵口3、第2の集塵口4
の煙気温度がいずれも800℃(例えば850~950℃)よりも高いことが要求される
が、この場合、混入した冷気による持ち出し熱量がより高く(冷気が加熱される温度がよ
り高いこと)、この場合、バーナーI6の熱効率に与える影響はより大きくなる。
【0047】
上記水平連続供給予熱装置に基づく強化予熱方法は、アーク炉2から排出される総煙気F
0は、第2の予熱ゾーンIIの材料を予熱し、間隔をおいて設置された第1の集塵口3と
第2の集塵口4は、総煙気F0を第1のバイパス煙気F1と第2のバイパス煙気F2に分
けられ、F1は第2の集塵口4から抽出され、F2は第1の予熱ゾーンIを通過する過程
に第1の予熱ゾーンにおける材料を予熱し、第1の予熱ゾーンに第1の予熱ゾーンに燃焼
ガスF4を噴射するバーナーI6が設けられ、バーナーI6の火炎噴流によりF2を材料
層の間隙に共通に通過させ、第1の集塵口3からフィードを供給するためのシールされた
供給口5に供給される冷気F3、バーナー燃焼ガスF4及び第2のバイパス煙気F2を抽
出する。
【0048】
具体的には、第1の集塵口3はバーナーから噴射する燃焼ガスF4の主抽気口であり、第
2の集塵口4は第1のバイパス煙気F1の主抽気口であり、バーナーI6の火炎噴流によ
り流れた第2のバイパス煙気F2をスクラップ鋼層の間隙に共通に通過させ、強化予熱ゾ
ーンの複数列のバーナーI6の噴流水平成分は第1の集塵口に指向し、強化予熱ゾーンの
ダクト内の駆動圧力P0を構成して第2の集塵口の集塵負圧P2を釣り合い、煙気圧力セ
ンサー13により、第1の集塵口の微負圧要求を制御することで、第1の集塵口から混入
する冷気F3を減少させ、冷気F3の強化予熱ゾーンへの侵入を遮断する。煙気予熱ゾー
ンに入ったスクラップ鋼は、第1のバイパス煙気F1とバーナーII7両方で再度予熱さ
れてアーク炉2に投入され、全体の工程でバーナーI、II及びアーク炉の煙気の予熱効
率が向上し、スクラップ鋼の予熱強化が図られる。
【0049】
さらに、分流器11又は調整弁14を調整することにより、混合煙気パイプ8及び熱煙気
パイプ9を流れる煙気の分配割合を調整し、F1、F2の流量、及び混合煙気パイプ8へ
の混合煙気(F2+F3+F4)の温度を制御し、より環境に優しい生産を可能にする。
【0050】
最後に、上述の好ましい実施形態は、本発明の技術的解決手段を説明するためのものであ
って、限定するものではなく、上述の好ましい実施形態によって本発明を詳細に説明した
が、当業者であれば、本発明の特許請求の範囲によって定義される範囲から逸脱すること
なく、形式及び詳細において様々な変更を加えることができることを理解するべきである
。