(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】湿度検出装置
(51)【国際特許分類】
G01N 27/22 20060101AFI20221109BHJP
H01L 21/822 20060101ALI20221109BHJP
H01L 27/04 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20221109BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/3205 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/768 20060101ALI20221109BHJP
H01L 23/522 20060101ALI20221109BHJP
H01L 21/8248 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01N27/22 A
H01L27/04 H
H01L27/04 R
H01L27/04 T
H01L27/04 C
H01L27/06 102A
H01L27/06 311C
H01L27/06 311B
H01L21/88 Z
H01L27/06 101U
(21)【出願番号】P 2018215851
(22)【出願日】2018-11-16
【審査請求日】2021-10-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】中根 健智
【審査官】小澤 瞬
(56)【参考文献】
【文献】特許第5547296(JP,B2)
【文献】特開2013-242288(JP,A)
【文献】特開2000-134078(JP,A)
【文献】特開2006-080350(JP,A)
【文献】特開2005-241576(JP,A)
【文献】特開平04-030609(JP,A)
【文献】特開昭64-006853(JP,A)
【文献】特開2008-268169(JP,A)
【文献】特開2002-083933(JP,A)
【文献】特開2002-094001(JP,A)
【文献】特開2017-174851(JP,A)
【文献】特開2016-96176(JP,A)
【文献】特開2017-5179(JP,A)
【文献】特開2002-43533(JP,A)
【文献】特開2018-182324(JP,A)
【文献】特開2017-117854(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0084706(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 27/00 - G01N 27/10
G01N 27/14 - G01N 27/24
G01N 27/26 - G01N 27/404
G01N 27/414 - G01N 27/416
G01N 27/42 - G01N 27/49
G01N 27/60 - G01N 27/70
G01N 27/92
H01L 21/88 - H01L 21/90
H01L 27/04 - H01L 27/07
H01L 27/085 - H01L 27/09
H01L 27/118
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
一対の電極間に感湿膜が配置された湿度検出部を有する第1半導体チップと、前記湿度検出部の検出値に基づいて信号処理を行う第2半導体チップとを有する湿度検出装置であって、
前記第1半導体チップは、前記湿度検出部に対する入力端子
及び出力端子に
それぞれ接続された
複数の静電気放電保護回路を有
し、
前記第1半導体チップは、前記第2半導体チップに設けられる端子と接続されるグランド電極端子を更に有し、
前記入力端子に接続される前記静電気放電保護回路、及び前記出力端子に接続される前記静電気放電保護回路は、前記グランド電極端子に接続される、
湿度検出装置。
【請求項2】
前記第1半導体チップは、前記第2半導体チップ上に積層されている請求項1に記載の湿度検出装置。
【請求項3】
前記第1半導体チップは、温度検出部をさらに有し、
前記静電気放電保護回路を形成する少なくとも一部の拡散層は、前記温度検出部に含まれる拡散層と、表面からの深さが同一である請求項1又は2に記載の湿度検出装置。
【請求項4】
前記温度検出部は、バンドギャップ型であって、ベースとコレクタを接続した1又は複数のバイポーラトランジスタを含む請求項3に記載の湿度検出装置。
【請求項5】
前記第1半導体チップは、
半導体基板と、
前記半導体基板の上方に絶縁膜を介して形成された下部電極と、
前記感湿膜上に形成された上部電極と、
を有し、
前記感湿膜は、前記下部電極と前記上部電極との間に形成されている請求項1ないし4
のいずれか1項に記載の湿度検出装置。
【請求項6】
前記半導体基板はp型半導体基板であり、
前記静電気放電保護回路は、NMOSトランジスタを含む請求項5に記載の湿度検出装置。
【請求項7】
前記感湿膜は、ポリイミドにより形成されている請求項1ないし6
のいずれか1項に記載の湿度検出装置。
【請求項8】
一対の電極間に感湿膜が配置された湿度検出部と、
温度検出部と、
前記湿度検出部及び前記温度検出部に対する入力端子
及び出力端子
のそれぞれに接続された
複数の静電気放電保護回路と、
が形成された
第1半導体チップと、
前記湿度検出部及び前記温度検出部の検出値に基づいて信号処理を行う第2半導体チップと、
を有し、
前記第1半導体チップは、前記第2半導体チップに設けられる端子と接続されるグランド電極端子を更に有し、
前記湿度検出部の前記入力端子に接続される前記静電気放電保護回路、前記湿度検出部の出力端子に接続される前記静電気放電保護回路、及び前記温度検出部の出力端子に接続される前記静電気放電保護回路は、前記グランド電極端子に接続される、
湿度検出装置。
【請求項9】
前記静電気放電保護回路を形成する少なくとも一部の拡散層は、前記温度検出部に含まれる拡散層と、表面からの深さが同一である請求項8に記載の湿度検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、湿度検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
湿度検出装置には、吸収した水分量に応じて誘電率が変化する高分子材料で形成された感湿膜を誘電体として用いた静電容量式のものがある。この静電容量式の湿度検出装置では、感湿膜が電極間に配置され、この電極間の静電容量を測定することにより湿度(相対湿度)が求められる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
静電容量式の湿度検出装置の電極構造として、櫛歯型や平行平板型が知られている。櫛歯型とは、対向する一対の櫛歯状電極を同一平面上に設け、当該一対の櫛歯状電極上に感湿膜を設けた構造である。平行平板型とは、基板上に形成された下部電極と、当該下部電極上に対向して設けられた上部電極との間に感湿膜を設けた構造である。
【0004】
この感湿膜の材料として、一般的にポリイミドが用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
静電容量式の湿度検出装置の電極間距離は、例えば0.2μm~2μmと小さく、感湿膜は薄膜であるので、静電気による静電破壊が問題となる。湿度検出装置は、例えば、センサチップを他の基板等に実装することにより製造されるので、センサチップは、ウェハ上で素子構造が形成されてから実装が終了するまでの間は、静電破壊のリスクに晒されている。このため、製造時に、製造装置などで生じた静電気が印加されることにより静電破壊が生じ、歩留りが低下することが懸念される。
【0007】
本発明は、製造時における静電破壊耐性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
開示の技術は、一対の電極間に感湿膜が配置された湿度検出部を有する第1半導体チップと、前記湿度検出部の検出値に基づいて信号処理を行う第2半導体チップとを有する湿度検出装置であって、前記第1半導体チップは、前記湿度検出部に対する入力端子及び出力端子にそれぞれ接続された複数の静電気放電保護回路を有し、前記第1半導体チップは、前記第2半導体チップに設けられる端子と接続されるグランド電極端子を更に有し、前記入力端子に接続される前記静電気放電保護回路、及び前記出力端子に接続される前記静電気放電保護回路は、前記グランド電極端子に接続される、湿度検出装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、製造時における静電破壊耐性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施形態に係る湿度検出装置の概略構成を例示する図である。
【
図2】
図1中のA-A線に沿う断面を概略的に示す断面図である。
【
図3】モールド樹脂を除去した状態における湿度検出装置の平面図である。
【
図4】センサチップの構成を示す概略平面図である。
【
図5】ESD保護回路の構成を例示する回路図である。
【
図6】ESD保護回路を構成するNMOSトランジスタの層構造を例示する図である。
【
図9】センサチップの素子構造を説明するための概略断面図である。
【
図10】下部電極及び上部電極の形状を例示する平面図である
【
図11】加熱部を構成するn型拡散層の形状を例示する平面図である。
【
図12】ASICチップの機能構成を例示するブロック図である。
【
図13】変形例に係るESD保護回路の構成を例示する回路図である。
【
図14】変形例に係るESD保護回路を構成するPMOSトランジスタの層構造を例示する図である。
【
図15】温度検出部を抵抗型温度センサとした例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。各図面において、同一構成部分には同一符号を付し、重複した説明を省略する場合がある。なお、本開示において、単に湿度と記載されている場合における湿度は、相対湿度を意味する。
【0012】
[概略構成]
本発明の一実施形態に係る湿度検出装置10の構成について説明する。
【0013】
図1は、本発明の一実施形態に係る湿度検出装置10の概略構成を例示する図である。
図1(A)は、湿度検出装置10を上方から見た平面図である。
図1(B)は、湿度検出装置10を下方から見た下面図である。
図1(C)は、湿度検出装置10を横方向から見た側面図である。また、
図2は、
図1(A)中のA-A線沿う断面を概略的に示す断面図である。
【0014】
湿度検出装置10は、平面形状がほぼ矩形状であって、対向する2組の二辺の一方がX方向に平行であって、他方がY方向に平行である。X方向とY方向とは互いに直交する。また、湿度検出装置10は、X方向及びY方向に直交するZ方向に厚みを有する。なお、湿度検出装置10の平面形状は、矩形状に限られず、円形、楕円、多角形等であってもよい。
【0015】
湿度検出装置10は、第1半導体チップとしてのセンサチップ20と、第2半導体チップとしてのASIC(Application Specific Integrated Circuit)チップ30と、封止部材としてのモールド樹脂40と、複数のリード端子41とを有する。
【0016】
センサチップ20は、ASICチップ30上に第1DAF(Die Attach Film)42を介して積層されている。すなわち、センサチップ20とASICチップ30とは、スタック構造となっている。
【0017】
センサチップ20とASICチップ30とは、複数の第1ボンディングワイヤ43により電気的に接続されている。ASICチップ30と複数のリード端子41とは、複数の第2ボンディングワイヤ44により電気的に接続されている。
【0018】
このように積層化されたセンサチップ20及びASICチップ30、複数の第1ボンディングワイヤ43、複数の第2ボンディングワイヤ44、及び複数のリード端子41は、モールド樹脂40により封止されてパッケージ化されている。このパッケージ方式は、PLP(Plating Lead Package)方式と呼ばれるものである。
【0019】
ASICチップ30の下面には、詳しくは後述するが、PLP方式によりパッケージ化する際に使用された第2DAF45が残存している。第2DAF45は、ASICチップ30の下面を絶縁する役割を有する。湿度検出装置10の下面には、第2DAF45と、複数のリード端子41とが露出している。
【0020】
各リード端子41は、ニッケルや銅により形成されている。第1DAF42及び第2DAF45は、それぞれ樹脂とシリカなどの混合物からなる絶縁材料で形成されている。モールド樹脂40は、カーボンブラックやシリカなどの混合物を含むエポキシ樹脂等の遮光性を有する黒色系の樹脂である。
【0021】
湿度検出装置10の上面側には、センサチップ20の一部をモールド樹脂40から露出させる開口部50が形成されている。この開口部50は、例えば、壁部がテーパ状であって、開口面積が下方に向かうにつれて小さくなる。この開口部50のうち、実際にセンサチップ20を露出させる最下端の部分を有効開口部51という。
【0022】
開口部50を形成する際には、金型をセンサチップ20に押しあてながらモールド樹脂40により封止する。このときの金型によるセンサチップ20とASICチップ30とへの押圧力によって、チップ割れ等の破損が生じるおそれがある。この破損を防止するために、センサチップ20の厚みT1とASICチップ30の厚みT2は、それぞれ例えば200μm以上であることが好ましい。
【0023】
図3は、モールド樹脂40を除去した状態における湿度検出装置10の平面図である。
図3に示すように、センサチップ20とASICチップ30とは、それぞれ平面形状がほぼ矩形状であって、X方向に平行な二辺と、Y方向に平行な二辺とを有する。センサチップ20は、ASICチップ30より小さく、ASICチップ30の表面上に第1DAF42を介して積層されている。
【0024】
センサチップ20には、有効開口部51により露出される領域に、湿度検出部21と、温度検出部22と、加熱部23とが設けられている。加熱部23は、湿度検出部21の下面側に、湿度検出部21の形成領域を覆うように形成されている。すなわち、加熱部23の面積は、湿度検出部21より大きい。このように、封止部材としてのモールド樹脂40は、湿度検出部21及び温度検出部22を露出させた状態でセンサチップ20等を封止している。
【0025】
また、センサチップ20の端部には、複数のボンディングパッド(以下、単にパッドという。)24が形成されている。本実施形態では、6個のパッド24が形成されている。パッド24は、例えばアルミニウムやアルミシリコン合金(AlSi)により形成されている。
【0026】
ASICチップ30は、信号処理及び制御用の半導体チップであって、後述する湿度計測処理部31、温度計測処理部32、加熱制御部33、及び故障判定部34(いずれも
図12参照)が形成されている。
【0027】
また、ASICチップ30の表面においてセンサチップ20で覆われていない領域には、複数の第1パッド35と、複数の第2パッド36とが設けられている。第1パッド35及び第2パッド36は、例えばアルミニウムやアルミシリコン合金(AlSi)により形成されている。
【0028】
第1パッド35は、第1ボンディングワイヤ43を介して、センサチップ20の対応するパッド24に接続されている。第2パッド36は、第2ボンディングワイヤ44を介して、対応するリード端子41に接続されている。リード端子41は、ASICチップ30の周囲に配置されている。
【0029】
製造時において、ASICチップ30の実装位置は、リード端子41を基準として決定される。センサチップ20のASICチップ30上の実装位置は、ASICチップ30の位置又はリード端子41のいずれかを基準として決定される。開口部50は、金型を用いたトランスファモールド法等により形成されるが、この金型の位置は、リード端子41を基準として決定される。
【0030】
図3に示す符号25は、センサチップ20上における湿度検出部21及び温度検出部22の形成許容領域を表す。この形成許容領域25は、実装時に、ASICチップ30、センサチップ20、及び金型の間に位置ずれが最も大きく発生した場合であっても、開口部50から確実に露出するように、開口部50の形成領域内に設定されている。湿度検出部21及び温度検出部22は、形成許容領域25内に形成されていれば、上記位置ずれにかかわらず、開口部50から確実に露出する。
【0031】
[センサチップの構成]
次に、センサチップ20の構成について説明する。
【0032】
図4は、センサチップ20の構成を示す概略平面図である。前述のパッド24は、外部からの電圧印加や、電位検出に使用される端子である。
図4では、
図3に示した複数のパッド24を、パッド24a~24fと区別して示している。なお、パッド24a~24fを区別する必要がない場合は、単にパッド24という。
【0033】
パッド24aは、グランド電位に接地されるグランド電極端子(GND)として機能する。このパッド24aは、配線や基板を介して、温度検出部22や加熱部23等の各部に電気的に接続される。
【0034】
パッド24bは、湿度検出部21の下部電極83に電気的に接続された下部電極端子(BOT)である。パッド24bは、下部電極83に駆動電圧を供給するために用いられる。パッド24cは、湿度検出部21の上部電極84に電気的に接続された湿度検出用端子(HMD)である。パッド24cは、上部電極84から相対湿度の検出信号を取得するために用いられる。パッド24dは、湿度検出部21の参照電極82に電気的に接続された参照電極端子(REF)である。パッド24dは、参照電極82から湿度検出用の参照信号を取得するために用いられる。
【0035】
パッド24eは、温度検出部22に電気的に接続された温度検出用端子(TMP)である。パッド24eは、温度の検出信号を取得するために用いられる。パッド24fは、加熱部23に電気的に接続された加熱用端子(HT)である。パッド24fは、加熱部23を駆動するための駆動電圧を供給するために用いられる。
【0036】
また、パッド24a以外のパッド24b~24fには、それぞれ静電気放電(ESD:Electro-Static Discharge)保護回路60が接続されている。各ESD保護回路60は、入力端子又は出力端子としてのパッド24b~24fのそれぞれと、グランド電極端子としてのパッド24aとの間に接続されている。本実施形態では、ESD保護回路60は、1つのダイオード61により構成されている。ダイオード61は、アノード側がパッド24aに接続され、カソード側がパッド24b~24fのうちのいずれかに接続されている。
【0037】
ESD保護回路60は、有効開口部51から可能な限り離すように、パッド24b~24fの近傍に配置することが好ましい。ESD保護回路60は、モールド樹脂40により覆われているので、光電効果による不要な電荷発生が生じることはない。
【0038】
[ESD保護回路の構成]
次に、ESD保護回路60の構成について説明する。
【0039】
図5は、ESD保護回路60の構成を例示する回路図である。
図5に示すように、ESD保護回路60を構成するダイオード61は、例えば、NチャネルMOS(Metal-Oxide-Semiconductor)トランジスタ(以下、NMOSトランジスタという。)により形成されている。具体的には、ダイオード61は、NMOSトランジスタのソースとゲートとバックゲートを短絡(いわゆるダイオード接続)したものである。この短絡部は、アノードとして機能する。このNMOSトランジスタのドレインは、カソードとして機能する。
【0040】
図6は、ESD保護回路60を構成するNMOSトランジスタの層構造を例示する図である。このNMOSトランジスタは、センサチップ20を構成するためのp型半導体基板70の表層に形成された2つのn型拡散層71,72と、コンタクト層73と、ゲート電極74とを有する。ゲート電極74は、p型半導体基板70の表面上にゲート絶縁膜75を介して形成されている。ゲート電極74は、2つのn型拡散層71,72の間に配置されている。
【0041】
例えば、n型拡散層71がソースとして機能し、n型拡散層72がドレインとして機能する。コンタクト層73は、バックゲートとしてのp型半導体基板70との電気的接続のための低抵抗層(p型拡散層)である。n型拡散層71とゲート電極74とコンタクト層73とは、共通に接続されて短絡される。この短絡部がアノードとして機能し、n型拡散層72がカソードとして機能する。
【0042】
p型半導体基板70は、例えばp型シリコン基板である。ゲート電極74は、金属や多結晶シリコン(ポリシリコン)により形成されている。ゲート絶縁膜75は、例えば、二酸化シリコン等の酸化膜により形成されている。
【0043】
[湿度検出部の構成]
次に、湿度検出部21の構成について説明する。
【0044】
図7は、湿度検出部21の構成を例示する回路図である。
図7に示すように、湿度検出部21は、湿度検出用キャパシタ80と参照用キャパシタ81とを有する。
【0045】
湿度検出部21の一方の電極(下部電極83)は、下部電極端子としてのパッド24bに接続されている。湿度検出部21の他方の電極(上部電極84)は、湿度検出用端子としてのパッド24cに接続されている。参照用キャパシタ81の一方の電極は、湿度検出部21の一方の電極(下部電極83)と共通である。参照用キャパシタ81の他方の電極(参照電極82)は、参照電極端子としてのパッド24dに接続されている。
【0046】
湿度検出用キャパシタ80は、電極間に後述する感湿膜86が設けられている。感湿膜86は、空気中の水分を吸収し、吸収した水分量に応じて誘電率が変化するポリイミド等の高分子材料で形成されている。したがって、湿度検出用キャパシタ80は、感湿膜86が吸収する水分量に応じて静電容量が変化する。
【0047】
参照用キャパシタ81は、電極間に後述する第2絶縁膜111(
図9参照)が設けられている。第2絶縁膜111は、水分を吸収しない二酸化シリコン(SiO
2)等の絶縁材料で形成されている。したがって、参照用キャパシタ81は、静電容量は変化しないか、変化したとしても極僅かである。
【0048】
感湿膜86に含まれる水分量は、湿度検出装置10の周囲の湿度に対応するので、湿度検出用キャパシタ80の静電容量と参照用キャパシタ81の静電容量との差を検出することにより、相対湿度を測定することができる。この相対湿度の測定は、湿度検出用端子としてのパッド24cの電位と、参照電極端子としてのパッド24dの電位とに基づき、ASICチップ30内の湿度計測処理部31(
図12参照)によって行われる。
【0049】
[温度検出部の構成]
次に、温度検出部22の構成について説明する。
【0050】
図8は、温度検出部22の構成を例示する回路図である。温度検出部22は、半導体のバンドギャップで温度変化により電気特性が比例的に変化する特性を利用して温度を検出するバンドギャップ型の温度センサである。例えば、温度検出部22は、ベース、エミッタ、コレクタのいずれか2つを接続して2端子とされた1又は複数のバイポーラトランジスタを含む。この2端子間の抵抗値を検出することにより、温度を測定することができる。
【0051】
図8に示すように、本実施形態では、温度検出部22は、ベースとコレクタを接続したnpn型のバイポーラトランジスタ90を、複数個(例えば8個)並列に接続することにより構成されている。このように、複数個のバイポーラトランジスタ90を並列接続することにより、pn接合の接合面積が増大し、ESD耐性が向上する。
【0052】
バイポーラトランジスタ90のエミッタは、グランド電極端子としてのパッド24aに接続されている。バイポーラトランジスタ90のベース及びコレクタは、温度検出用端子としてのパッド24eに接続されている。
【0053】
温度の測定は、パッド24eの電位に基づき、ASICチップ30内の温度計測処理部32(
図12参照)によって行われる。
【0054】
[センサチップの素子構造]
次に、センサチップ20の素子構造について説明する。
【0055】
図9は、センサチップ20の素子構造を説明するための概略断面図である。なお、
図9では、パッド24a,24b,24c,24eを、湿度検出部21、温度検出部22、及び加熱部23と同一の断面内に示しているが、これは構造の理解を容易にするために示したものであり、実際に同一断面内に存在することを意味するものではない。湿度検出部21、温度検出部22、及び加熱部23の断面についても、構造の理解を容易にするために簡略化しており、各部の位置関係等は実際とは異なる。
【0056】
図9に示すように、センサチップ20は、前述のp型半導体基板70を用いて形成されている。このp型半導体基板70には、第1ディープnウェル100aと、第2ディープnウェル100bとが形成されている。第1ディープnウェル100aには、温度検出部22が形成されている。第2ディープnウェル100bには、加熱部23が形成されている。
【0057】
第1ディープnウェル100aと第2ディープnウェル100bとのいずれも形成されていないp型半導体基板70の表層には、pウェル103a,103bが形成されている。pウェル103a,103bの表層には、それぞれp型拡散領域からなるコンタクト層104a,104bが形成されている。コンタクト層104a,104bは、p型半導体基板70上に形成される所定の配線層とp型半導体基板70との電気的接続のための低抵抗層(p型拡散層)である。
【0058】
第1ディープnウェル100aの表層には、pウェル101とnウェル102とが形成されている。pウェル101の表層には、n型拡散層91及びp型拡散層92が形成されている。nウェル102の表層には、n型拡散層93が形成されている。n型拡散層91、p型拡散層92、及びn型拡散層93は、前述のnpn型のバイポーラトランジスタ90を構成し、それぞれエミッタ、ベース、及びコレクタとして機能する。
【0059】
第2ディープnウェル100bの表層には、pウェル105が形成されている。pウェル105の表層には、1又は2以上のn型拡散層106が形成されている。本実施形態では、複数のn型拡散層106が形成されている。例えば、各n型拡散層106は、紙面に直交する方向に延伸しており、全体として1次元格子状となっている(
図11参照)。n型拡散層106は、所定の抵抗値(例えば、約3Ωのシート抵抗値)を有し、電流が流れることにより発熱する抵抗体として機能する。すなわち、n型拡散層106は、前述の加熱部23を構成する。
【0060】
p型半導体基板70内の各層は、通常の半導体製造工程(CMOSプロセス)を用いて形成される。したがって、抵抗体としてのn型拡散層106は、温度検出部22の一部に含まれるn型拡散層91,93と同一の製造工程で形成される。n型拡散層106,91,93は、n型不純物(例えばリン)をイオン注入することにより基板中への不純物添加を行うイオン注入工程により同時に形成される。すなわち、抵抗体としてのn型拡散層106は、温度検出部22の一部に含まれるn型拡散層91,93と、p型半導体基板70の表面からの深さが同一である。また、n型拡散層106は、温度検出部22の一部に含まれるp型拡散層92と、p型半導体基板70の表面からの深さが同一であってもよい。
【0061】
なお、n型拡散層106,91,93は、イオン注入工程に代えて、熱処理によって不純物添加を行う熱拡散工程で形成することも可能である。
【0062】
また、前述のESD保護回路60のn型拡散層71,72についてもn型拡散層106,91,93と同一の製造工程(イオン注入工程又は熱拡散工程)で作成される。コンタクト層73は、p型拡散層92、コンタクト層104a,104b等と同一の製造工程(イオン注入工程又は熱拡散工程)で作成される。
【0063】
p型半導体基板70中のその他の層は、主にコンタクト層として機能するものであるので、説明は省略する。
【0064】
p型半導体基板70の表面上には、第1絶縁膜110、第2絶縁膜111、及び第3絶縁膜112が順に積層されている。これらは、二酸化シリコン(SiO2)や窒化シリコン(SiN)等の絶縁材料で形成されている。
【0065】
第1絶縁膜110上には、第1配線層120が形成されている。第2絶縁膜111上には、第2配線層121が形成されている。第2絶縁膜111は、第1配線層120上を覆っている。第3絶縁膜112は、第2配線層121上を覆っている。第1配線層120及び第2配線層121は、アルミニウム等の導電性材料により形成されている。
【0066】
第1絶縁膜110中には、第1配線層120をp型半導体基板70に接続するための複数の第1プラグを有する第1プラグ層122が形成されている。第2絶縁膜111中には、第1配線層120と第2配線層121とを接続するための複数の第2プラグを有する第2プラグ層123が形成されている。第1プラグ層122及び第2プラグ層123は、タングステン等の導電性材料により形成されている。
【0067】
例えば、前述のバイポーラトランジスタ90のベースとコレクタとを接続するための配線94は、第1配線層120により形成され、第1プラグ層122を介してp型拡散層92及びn型拡散層93に接続される。また、配線94は、第2プラグ層123及び第2配線層121を介して、温度検出用端子としてのパッド24eに接続される。また、バイポーラトランジスタ90のエミッタとしてのn型拡散層91は、第1プラグ層122、第1配線層120、及び第2配線層121を介して、グランド電極端子としてのパッド24aに接続される。
【0068】
加熱部23の一端をグランド電位に接地するための配線107は、第1配線層120により形成され、第1プラグ層122を介してn型拡散層106及びコンタクト層104bに接続される。また、加熱部23の他端を加熱用端子としてのパッド24fに接続するための配線108は、第1プラグ層122を介してn型拡散層106に接続され、かつ、第2プラグ層123及び第2配線層121を介してパッド24fに接続される。なお、配線108は、加熱部23に大きな電流を流すことによるエレクトロマイグレーションを防止するために、他の配線より幅を太くすることが好ましい。
【0069】
参照用キャパシタ81の参照電極82は、第1配線層120により形成され、第2プラグ層123及び第2配線層121を介して、参照電極端子としてのパッド24d(
図9では図示せず)に接続される。
【0070】
また、湿度検出用キャパシタ80の下部電極83は、第2配線層121により形成され、下部電極端子としてのパッド24bに接続されている。さらに、湿度検出用キャパシタ80の上部電極84を湿度検出用端子としてのパッド24cに接続するための配線85は、第2配線層121により形成されている。なお、下部電極83は、第2絶縁膜111を介して参照電極82に対向する位置に配置されている。
【0071】
パッド24a~24fは、アルミニウム等の導電性材料によって、第3絶縁膜112上に形成され、第3絶縁膜112を貫通して第2配線層121に接続されている。
【0072】
第3絶縁膜112上には、感湿膜86が形成されている。感湿膜86は、厚みが0.5μm~1.5μmであって、湿度に応じて水分子を吸着及び脱着しやすい高分子材料で形成されている。感湿膜86は、例えば、厚みが1μmのポリイミド膜である。なお、感湿膜86を形成する高分子材料は、ポリイミドに限られず、セルロース、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリビニルアルコール(PVA)などであってもよい。
【0073】
感湿膜86の上面は平坦であり、この上面に、平板状の上部電極84が形成されている。上部電極84は、感湿膜86を介して下部電極83に対向する位置に形成されている。上部電極84の一部は、配線85に接続されている。上部電極84は、例えば、厚みが200nmのアルミニウム等で形成された導電膜である。また、上部電極84には、空気中の水分子を感湿膜86に効率的に取り込むために、複数の開口84aが形成されている。
【0074】
感湿膜86上には、上部電極84を覆うようにオーバーコート膜87が設けられている。オーバーコート膜87は、高分子材料、例えば、感湿膜86と同一の材料で形成されている。オーバーコート膜87の厚みは、例えば0.5μm~10μmである。
【0075】
感湿膜86及びオーバーコート膜87には、パッド24a~24fを露出させる開口が形成されている。
【0076】
このように、下部電極83と上部電極84とによって平行平板の湿度検出用キャパシタ80が構成されている。また、下部電極83と参照電極82とによって、平行平板の参照用キャパシタ81が構成されている。また、湿度検出用キャパシタ80と参照用キャパシタ81とは、加熱部23の上方に配置されている。
【0077】
したがって、加熱部23が発熱することにより、下部電極83と上部電極84との間の感湿膜86が加熱される。これにより、感湿膜86は、加熱により温度が上昇することで湿度に応じた量の水分子を吸着するので、誘電率が変化し、湿度検出用キャパシタ80の静電容量が低下する。また、温度検出部22は、加熱部23により生じる温度上昇を検出する。
【0078】
図10は、下部電極83及び上部電極84の形状を例示する平面図である。
図10に示すように、下部電極83と上部電極84とはともに矩形状である。上部電極84は、下部電極83上を覆うように形成されている。
【0079】
開口84aは、可能な限り小さいほうが好ましく、小さいほど空気中への電界の漏れが防止される。実際は、多数の開口84aが形成されている。なお、開口84aは、正方形には限られず、細長い短冊状であってもよいし、円形であってもよい。また、開口84aは、千鳥状に配列されていてもよい。開口84aは、円形であって、かつ千鳥状配列であることが望ましい。
【0080】
なお、
図10では図示を省略しているが、下部電極83の下方には、矩形状の参照電極82が形成されている。
【0081】
図11は、加熱部23を構成するn型拡散層106の形状を例示する平面図である。
図11に示すように、n型拡散層106は、細長い短冊状の領域が複数平行に並べられた一次元格子状となっている。この一次元格子状のn型拡散層106の一端が前述の配線107に接続され、他端が前述の配線108に接続されている。加熱部23は、温度検出部22の全体を覆うように、温度検出部22の下方に位置している。
【0082】
[ASICチップの機能構成]
次に、ASICチップ30に構成される機能部について説明する。
【0083】
図12は、ASICチップ30の機能構成を例示するブロック図である。
図12に示すように、ASICチップ30には、湿度計測処理部31、温度計測処理部32、加熱制御部33、及び故障判定部34が構成されている。
【0084】
湿度計測処理部31は、下部電極端子としてのパッド24bに所定の駆動電圧を印加するとともに、湿度検出用端子としてのパッド24cの電位と、参照電極端子としてのパッド24dの電位とを検出する。そして、湿度計測処理部31は、両者の検出値の差(電位差)に基づいて信号処理を行うことにより、相対湿度(%RH)を算出する。
【0085】
温度計測処理部32は、温度検出用端子としてのパッド24eの電位を検出し、検出電位に対応する温度を算出する。
【0086】
加熱制御部33は、加熱用端子としてのパッド24fに所定の駆動電圧を印加することにより、加熱部23に電流(例えば10mA程度)を流して発熱させる。加熱制御部33は、パッド24fへの印加電圧を制御することにより、発熱量の制御を行う。
【0087】
故障判定部34は、湿度計測処理部31により計測された相対湿度と、温度計測処理部32により計測された温度とに基づいて故障判定を行う。故障判定部34は、故障判定時に、加熱部23の加熱開始及び終了に関する指示を、加熱制御部33に与える。具体的には、故障判定部34は、加熱部23を発熱させた後、温度が上昇しない場合、及び、温度は上昇するが湿度が低下しない場合に、故障と判定する。
【0088】
[効果]
上記実施形態では、センサチップ20の入力端子又は出力端子としてのパッド24b~24fにESD保護回路60が接続されているので、製造時等においてセンサチップ20に印可され、パッド24a~24fして内部に侵入するESDサージをグランドへ逃すことができる。これにより、湿度検出部21、温度検出部22、加熱部23等の内部回路の静電破壊が抑制される。特に、ESDサージが湿度検出部21の感湿膜86に印可されることによる感湿膜86の絶縁破壊や、感湿膜86の材料の改質等を防止することができる。
【0089】
従来のセンサチップは、ウェハ上で素子構造が形成され、チップ状に切断されてASICチップ等に実装されるまでの間は、製造装置や人体等から印可される静電気による静電破壊のリスクに晒されていた。この静電破壊が歩留り低下の原因となっていた。上記実施形態に係るセンサチップ20は、ウェハ上の素子構造の時点からESD保護回路60を有するので、静電破壊耐性が高く、歩留りが向上する。
【0090】
また、ESD保護回路60は、少なくとも一部が温度検出部22や加熱部23と同一の製造工程で製造されるので、ESD保護回路60を設けることにより大幅に製造コストが増大することはない。
【0091】
[ESD保護回路の変形例]
次に、ESD保護回路の変形例について説明する。
【0092】
図13は、本変形例に係るESD保護回路60aの構成を例示する回路図である。
図13に示すように、本変形例に係るESD保護回路60aを構成するダイオード62は、PチャネルMOSトランジスタ(以下、PMOSトランジスタという。)により形成されている。ダイオード62は、PMOSトランジスタのソースとゲートとバックゲートを短絡(いわゆるダイオード接続)したものである。この短絡部は、カソードとして機能する。このPMOSトランジスタのドレインは、アノードとして機能する。
【0093】
本変形例では、ESD保護回路60aは、入力端子又は出力端子としてのパッド24b~24fと、電源配線との間に接続される。この電源電圧(VDD)は、下部電極83に印可される駆動電圧であってもよい。すなわち、ESD保護回路60aは、パッド24c~24fと、下部電極端子としてのパッド24bとの間に接続されていてもよい。
【0094】
図14は、ESD保護回路60aを構成するPMOSトランジスタの層構造を例示する図である。本変形例では、例えば、n型半導体基板70aを用いる。PMOSトランジスタは、n型半導体基板70aの表層に形成された2つのp型拡散層71a,72aと、コンタクト層73aと、ゲート電極74とを有する。ゲート電極74は、2つのp型拡散層71a,72aの間に配置されている。
【0095】
例えば、p型拡散層71aがソースとして機能し、p型拡散層72aがドレインとして機能する。コンタクト層73aは、バックゲートとしてのn型半導体基板70aとの電気的接続のための低抵抗層(n型拡散層)である。p型拡散層71aとゲート電極74とコンタクト層73aとは、共通に接続されて短絡される。この短絡部がカソードとして機能し、p型拡散層72aがアノードとして機能する。
【0096】
n型半導体基板70aは、例えばn型シリコン基板である。本変形例を適用する場合には、センサチップ20をn型半導体基板70aで形成することが好ましい。この場合には、例えば、加熱部23はp型拡散層により形成すればよい。
【0097】
また、ESD保護回路60aを構成するPMOSトランジスタは、p型半導体基板中に設けたnウェル中に形成することも可能である。
【0098】
さらに、ESD保護回路は、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタとのいずれか一方に限られず、NMOSトランジスタとPMOSトランジスタとを組み合わせて構成することも可能である。
【0099】
[その他の変形例]
以下に、その他の各種変形例について説明する。
【0100】
第1実施形態に係るESD保護回路60を構成するNMOSトランジスタ、又は変形例に係るESD保護回路60aを構成するPMOSトランジスタのゲート電極の形成工程を、湿度検出部21や温度検出部22の配線層の形成工程と共通化してもよい。これにより、センサチップ20の製造工程を簡略化することができる。
【0101】
また、ESD保護回路は、MOSトランジスタに限られず、半導体基板中のpn接合により構成することも可能である。この場合には、ゲート電極が不要となるので、センサチップ20の製造工程をさらに簡略化することができる。
【0102】
上記実施形態では、温度検出部22をnpn型のバイポーラトランジスタ90により構成しているが、pnp型のバイポーラトランジスタにより構成してもよい。さらに、バイポーラトランジスタに代えて、1又は複数のpn接合ダイオードにより温度検出部22を構成してもよい。
【0103】
また、温度検出部22は、pn接合を有するバンドギャップ型以外の温度センサであってもよい。例えば、温度検出部22は、不純物拡散層(n型拡散層又はp型拡散層)を抵抗体として用い、抵抗値の温度依存性に基づいて温度を検出する抵抗型温度センサであってもよい。
【0104】
図15は、温度検出部を抵抗型温度センサとした例を示す図である。
図15に示す温度検出部22aは、第1抵抗体201と、第2抵抗体202と、第3抵抗体203と、第4抵抗体204とが互いに接続されたブリッジ回路200を有する。
【0105】
第1抵抗体201と第2抵抗体202とは、電源電位(VDD)とグランド電位との間に直列に接続される。同様に、第3抵抗体203と第4抵抗体204とは、電源電位とグランド電位との間に直列に接続される。
【0106】
第1~第4抵抗体201~204は、半導体基板の表層に形成されたn型拡散層又はp型拡散層である。第1抵抗体201と第4抵抗体204とは、不純物濃度がほぼ同一であって、温度係数がほぼ同一である。第2抵抗体202と第3抵抗体203とは、不純物濃度がほぼ同一であって、温度係数がほぼ同一である。
【0107】
第1抵抗体201と第2抵抗体202との接続部の電位V1は、外部端子OUT1を介して差動増幅器210に入力される。第3抵抗体203と第4抵抗体204との接続部の電位V2は、外部端子OUT2を介して差動増幅器210に入力される。外部端子OUT1,OUT2は、前述の温度検出用端子に代えて2つのパッド24により形成されたものである。
【0108】
差動増幅器210は、例えば、ASICチップ30内に設けられており、電位V1と電位V2との差を増幅して、差動出力Voutを出力する。第1抵抗体201と第4抵抗体204との抵抗値をR1、第2抵抗体202と第3抵抗体203との抵抗値をR2とすると、差動出力値Voutは下式(1)で表される。
【0109】
Vout=[(R1-R2)/(R1+R2)]×VDD ・・・(1)
抵抗値R1,R2の温度に対する変化がそれぞれ異なるので、差動出力Voutに基づいて温度を求めることができる。なお、式(1)によると、差動出力Voutは、電源電位VDDに依存するので、差動出力Voutを電源電位VDDで割った値Vout/VDDに基づいて温度を求めることが好ましい。
【0110】
また、上記実施形態では、半導体基板に温度検出部22や加熱部23を形成しているが、これらに限られず、例えば、アンプ、A/Dコンバータ、D/Aコンバータ、レギュレータなどの回路を、上記半導体製造工程を用いて同時に形成することも可能である。
【0111】
また、上記実施形態では、故障判定部34をASICチップ30内に設けているが、故障判定部34をASICチップ30の外部、すなわち湿度検出装置10の外部の外部装置(例えばマイコン)内に設けてもよい。
【0112】
また、本開示において、「覆う」や「上」という文言により表される2つの要素の位置関係は、第1の要素を第2の要素の表面に、他の要素を介して間接的に設けられる場合、及び直接的に設けられる場合の両方を含む。
【0113】
また、上記実施形態では、湿度検出装置10を、センサチップ20とASICチップ30とを積層したスタック構造としているが、本発明は、スタック構造以外の湿度検出装置にも適用可能である。
【0114】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【符号の説明】
【0115】
10 湿度検出装置、20 センサチップ(第1半導体チップ)、21 湿度検出部、 22 温度検出部、 23 加熱部、24,24a~24f ボンディングパッド、30 ASICチップ(第2半導体チップ)、31 湿度計測処理部、32 温度計測処理部、33 加熱制御部、34 故障判定部、40 モールド樹脂、41 リード端子、42 第1DAF、45 第2DAF、50 開口部、51 有効開口部、60,60a ESD保護回路(静電気放電保護回路)、61,62 ダイオード、70 p型半導体基板、70a n型半導体基板、80 湿度検出用キャパシタ、81 参照用キャパシタ、82 参照電極、83 下部電極、84 上部電極、84a 開口、86 感湿膜、87 オーバーコート膜、90 バイポーラトランジスタ、91 n型拡散層、92 p型拡散層、93 n型拡散層、106 n型拡散層、110 第1絶縁膜、111 第2絶縁膜、112 第3絶縁膜、120 第1配線層、121 第2配線層、122 第1プラグ層、123 第2プラグ層