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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】蒸気診断システム
(51)【国際特許分類】
   A24F 40/53 20200101AFI20221109BHJP
   A24F 40/51 20200101ALI20221109BHJP
   A24F 40/40 20200101ALI20221109BHJP
   G01N 1/02 20060101ALI20221109BHJP
   G01N 1/22 20060101ALI20221109BHJP
   G01N 1/00 20060101ALI20221109BHJP
   G01N 33/497 20060101ALI20221109BHJP
   G01N 33/98 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A24F40/53
A24F40/51
A24F40/40
G01N1/02 W
G01N1/22 E
G01N1/00 101R
G01N33/497 A
G01N33/98
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021525193
(86)(22)【出願日】2019-10-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 GB2019052786
(87)【国際公開番号】W WO2020099821
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2021-05-14
(31)【優先権主張番号】1818720.3
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】519138265
【氏名又は名称】ニコベンチャーズ トレーディング リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ジェイン, シッダールタ
【審査官】石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第204599337(CN,U)
【文献】国際公開第2018/007937(WO,A2)
【文献】韓国公開特許第10-2012-0094400(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0027232(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0268058(US,A1)
【文献】韓国公開特許第10-2021-0016769(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/00-47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源を備える電子タバコと、
前記電子タバコに対して着脱可能な、アルコールを検出するための電子呼気アルコール試験装置と、
を備える使用者監視システムであって、
前記電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、前記電子タバコの空気流経路の少なくとも一部を共有するように動作可能であり、
前記電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、前記電子タバコの電源を共有するように動作可能であり、
前記電子呼気アルコール試験装置は、前記電子タバコに物理的に取り付けられると、前記電子タバコの空気流経路を前記電子呼気アルコール試験装置へ迂回させるように構成されている、使用者監視システム。
【請求項2】
電源を備える電子タバコと、
前記電子タバコに対して着脱可能な、アルコールを検出するための電子呼気アルコール試験装置と、
を備える使用者監視システムであって、
前記電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、前記電子タバコの空気流経路の少なくとも一部を共有するように動作可能であり、
前記電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、前記電子タバコの電源を共有するように動作可能であり、
前記電子呼気アルコール試験装置が、シュノーケルを移動させるための作動機構を備え、
前記電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、前記作動機構の動作時に前記シュノーケルを移動させて前記電子タバコの空気流経路と係合させることにより、前記空気流経路にアクセスするように構成されている、使用者監視システム。
【請求項3】
前記電子呼気アルコール試験装置が、シュノーケルを移動させるための作動機構を備え、
前記電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、前記作動機構の動作時に前記シュノーケルを前記電子タバコの空気流経路内へ移動させることにより、前記空気流経路を前記電子呼気アルコール試験装置へ迂回させるように構成されている、請求項1に記載の使用者監視システム。
【請求項4】
前記電子タバコが吹戻し弁を備え、該吹戻し弁は、使用者から前記電子タバコに入る空気流が、
(i)前記電子タバコの貯蔵ペイロード、
(ii)前記電子タバコのヒータ、および
(iii)前記電子タバコの制御ユニット
から選択される1つ以上に到達することを制限するように構成されている、請求項1~のいずれか一項に記載の使用者監視システム。
【請求項5】
前記電子呼気アルコール試験装置が、アルコールセンサのための可動カバーを備える、請求項1~のいずれか一項に記載の使用者監視システム。
【請求項6】
前記電子タバコが制御プロセッサを備え、
前記電子タバコの前記制御プロセッサが、前記電子呼気アルコール試験装置によって生成された信号を受信する、請求項1~のいずれか一項に記載の使用者監視システム。
【請求項7】
前記電子タバコが、移動体端末装置と通信するための無線通信ユニットを備え、
前記電子タバコの前記制御プロセッサが、前記無線通信ユニットに移動体端末装置へ前記信号を送信させるように構成されている、請求項に記載の使用者監視システム。
【請求項8】
前記制御プロセッサが、前記電子呼気アルコール試験装置によって生成された前記信号を処理して、アルコールレベルを検出する、請求項に記載の使用者監視システム。
【請求項9】
前記電子タバコがユーザインタフェースを備え、
前記電子タバコの前記制御プロセッサが、前記ユーザインタフェースを制御して、当該使用者監視システムの使用者に対し、前記アルコールレベルの表示を提供する、請求項に記載の使用者監視システム。
【請求項10】
前記電子タバコが、移動体端末装置と通信するための無線通信ユニットを備え、
前記電子タバコの前記制御プロセッサが、前記無線通信ユニットに移動体端末装置へ前記アルコールレベルの表示を送信させる、請求項に記載の使用者監視システム。
【請求項11】
電子呼気アルコール試験装置と相互作用して、使用者監視システムとして動作するように構成された電子タバコであって、
電源と、
吸い込み中に、空気、および当該電子タバコによって生成された蒸気を使用者に搬送するように構成された空気流経路と、
を備え、
前記空気流経路は、当該電子タバコが前記電子呼気アルコール試験装置と相互作用しているときに、前記電子呼気アルコール試験装置と協働して、前記電子タバコ内への吐出中に使用者からの呼気を前記空気流経路の少なくとも一部に沿って前記電子呼気アルコール試験装置へ搬送するように構成され、
当該電子タバコは、当該電子タバコが前記電子呼気アルコール試験装置と相互作用しているときに、前記電子呼気アルコール試験装置に電力を供給するように構成され
前記電子呼気アルコール試験装置がシュノーケルを備え、当該電子タバコがハウジングを備え、前記ハウジングは、前記電子呼気アルコール試験装置が前記電子タバコに取り付けられたときに前記シュノーケルが通過する部分を備えており、前記使用者からの呼気が前記シュノーケルを通じて前記電子呼気アルコール試験装置へ搬送されることを可能にする、電子タバコ。
【請求項12】
前記電子呼気アルコール試験装置から計測信号を受信するように構成された制御ユニットを備える請求項11に記載の電子タバコ。
【請求項13】
前記制御ユニットが、受信した前記計測信号に基づいてアルコールレベルを計算するように構成されている、請求項12に記載の電子タバコ。
【請求項14】
無線通信ユニットを備え、
前記制御ユニットが、前記無線通信ユニットに、
(i)受信した前記計測信号、および
(ii)計算されたアルコールレベル
から選択される1つ以上を遠隔装置に送信させるように構成されている、請求項12または13に記載の電子タバコ。
【請求項15】
電子タバコと相互作用して、使用者監視システムとして動作するように構成された電子呼気アルコール試験装置であって、
アルコールセンサと、
前記電子タバコの空気流経路と相互作用するシュノーケルと、
当該電子呼気アルコール試験装置の動作のための電力を前記電子タバコから取得するための電気接点と、
前記シュノーケルが前記電子タバコの空気流経路と相互作用する位置へ前記シュノーケルを移動させるためのアクチュエータと、
を備える電子呼気アルコール試験装置。
【請求項16】
前記電子タバコへの取り付け位置において前記電子タバコの外周輪郭と合致するように成形されている請求項15に記載の電子呼気アルコール試験装置。
【請求項17】
前記アルコールセンサからの信号が前記電子タバコに送信される、請求項15または16に記載の電子呼気アルコール試験装置。
【請求項18】
請求項1~10のいずれか一項に記載の使用者監視システムと、移動体端末とを備えるシステムであって、
前記移動体端末は、プロセッサと、ディスプレイと、無線通信ユニットとを備え、
前記無線通信ユニットが、前記使用者監視システムの前記電子タバコから信号を受信するように構成されており、前記信号は、使用者によって前記電子タバコのマウスピース内に吐出された呼気試料中のアルコールの量に反応し、
前記プロセッサが、受信した前記信号に基づいて、前記ディスプレイに、当該移動体端末の使用者に対してアルコールレベルを示させるように構成されている、システム
【請求項19】
前記移動体端末が、当該移動体端末の位置を検出するための位置検出回路を備え、
前記プロセッサが、前記ディスプレイに、アルコールレベルが当該移動体端末の位置に関連付けられた法定限度を超えるか否かを示させるように構成されている、請求項18に記載のシステム
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、蒸気診断システムに関する。
【背景技術】
【0002】
社会生活において人が飲酒しながらベイピングする(すなわち、電子タバコを使用する)ことは一般的である。しかしながら、アルコールの消費は、運転やその他の活動に関する様々な規制にも結び付いている。したがって、その人の血中アルコールレベルをこれらの状況下で便利な方法で評価できることが、その人にとって望ましい。
【発明の概要】
【0003】
第1の側面では、使用者監視システムが請求項1に従って提供される。
【0004】
別の側面では、電子タバコが請求項13に従って提供される。
【0005】
別の側面では、電子呼気アルコール試験装置が請求項17に従って提供される。
【0006】
別の側面では、移動体端末が請求項21に従って提供される。
【0007】
本発明の更なる側面および特徴は、添付の特許請求の範囲で規定される。
【0008】
以下では、本発明の実施形態を、添付の図面を参照しながら、例示として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る電子タバコの概略図である。
図2】本発明の実施形態に係る電子タバコの制御ユニットの概略図である。
図3】本発明の実施形態に係る電子タバコのプロセッサの概略図である。
図4】本発明の実施形態に係る、移動体端末と通信する電子タバコの概略図である。
図5】電子タバコのカトマイザの概略図である。
図6】電子タバコの気化器またはヒータの概略図である。
図7】本発明の実施形態に係る移動体端末の概略図である。
図8】本発明の実施形態に係る電子シガレットのカトマイザおよび電子呼気アルコール試験装置の概略図である。
図9A】本発明の実施形態に係る電子シガレットおよび電子呼気アルコール試験装置の空気流経路同士の相互作用の概略図である。
図9B】本発明の実施形態に係る電子シガレットおよび電子呼気アルコール試験装置の空気流経路同士の相互作用の概略図である。
図10A】本発明の実施形態に係る電子シガレットおよび電子呼気アルコール試験装置の空気流経路同士の相互作用の概略図である。
図10B】本発明の実施形態に係る電子シガレットおよび電子呼気アルコール試験装置の空気流経路同士の相互作用の概略図である。
図11】本発明の実施形態に係る電子シガレットおよび電子呼気アルコール試験装置の空気流経路同士の相互作用の概略図である。
図12】本発明の実施形態に係る電子シガレットおよび電子呼気アルコール試験装置の空気流経路同士の相互作用の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
蒸気診断システムを開示する。以下の説明では、本発明の実施形態の完全な理解をもたらすために、いくつかの具体的な詳細が提示される。しかしながら、本発明を実施するためにこれらの特定の詳細を使用する必要がないことは当業者には明らかであろう。逆に、当業者に知られている特定の詳細は、明快さのために適宜省略される。
【0011】
本発明の幾つかの実施形態では、使用者監視システム(これは蒸気診断システムまたは呼気分析システムである)が、自身の電源を備えた完全に機能する電子タバコと、アルコールを検出する呼気アルコール試験装置とを備え、この電子呼気アルコール試験装置は、空気流経路の少なくとも一部を電子タバコと共有し、また、この電子呼気アルコール試験装置は、電子タバコから電力を取る。
【0012】
本発明の幾つかの実施形態では、呼気アルコール試験装置が電子タバコに対して取り付けおよび取り外し可能であり、それにより、例えば勤務日など、必要のないときに呼気アルコール試験装置部分を持ち運ぶ(そして場合によっては通電する)必要をなくしている。
【0013】
本発明の幾つかの実施形態では、呼気アルコール試験装置を取り付けることにより、呼気アルコール試験装置が、電子タバコの流路にアクセスし、またはその流路を迂回させる。代替的にまたは追加的に、呼気アルコール試験装置および電子タバコの一方が、電子タバコの空気流経路へのアクセスを提供し、またはその空気流経路を呼気アルコール試験装置へ迂回させるように操作可能である。
【0014】
本発明の幾つかの実施形態では、電子タバコが、呼気アルコール試験装置を動作させているときに電子タバコへの吹戻しを防止または低減するための弁または同様の流れ偏向手段を備える。
【0015】
本発明の幾つかの実施形態では、呼気アルコール試験装置が、アルコールに起因する信号と、電子タバコによる蒸気の生成に使用されるe-リキッドの溶媒に起因する信号とを区別するように構成されている。
【0016】
電子タバコ霧化器に取り付けることの可能な電源およびアルコール試験装置を提供することは、例えば特許出願CN203986134Uから知られている。しかしながら、注目すべきことに、この例においてアルコール試験装置は、電源を備えるユニットと一体化されており、したがって、アルコール試験装置も持ち運ばない限り、電子タバコを動作させることができない。更に、USBポートの隣に配置されたアルコール試験装置は、使用者によって直接吹かれるように意図され、それ自体が電子タバコ霧化器と空気流経路を共有しないことも明らかである。
【0017】
背景を説明すると、電子蒸気供給システム、例えば電子タバコおよびその他のエアロゾル送達システムは、一般に、気化される液体、典型的にはニコチン(この液体は「e-リキッド」と呼ばれることがある)のリザーバを含む。使用者が装置を吸入すると、電気(例えば、抵抗)ヒータが作動して少量の液体を気化させて、使用者によって吸入されるエアロゾルを事実上、生成する。この液体は、エタノールや水などの溶媒中にニコチンを、エアロゾル形成を助けるためのグリセリンまたはプロピレングリコールと共に含んでもよく、また、1つ以上の追加の香料を含んでもよい。当業者は、電子タバコおよび他のそのような装置において使用することの可能な多くの様々な液体製剤を認識するであろう。
【0018】
このように気化した液体を吸入することは、「ベイピング」として広く知られている。
【0019】
電子タバコは、外部データ通信をサポートするためのインタフェースを有してもよい。このインタフェースは、例えば、制御パラメータおよび/または更新されたソフトウェアを外部ソースから電子タバコにロードするために使用することができる。代替的または追加的に、このインタフェースを、電子タバコから外部システムにデータをダウンロードするために利用してもよい。ダウンロードされたデータは、例えば、電子タバコの使用パラメータや故障状態などを表してもよい。当業者には分かるように、電子タバコと1つ以上の外部システム(これは別の電子タバコであってもよい)との間で、多くの他の形態のデータを交換することができる。
【0020】
いくつかの例では、電子タバコが外部システムと通信を行うためのインタフェースが、電子タバコへのマイクロ、ミニ、または通常のUSB接続を使用するUSBリンク等の有線接続に基づいている。電子タバコが外部システムと通信を行うためのインタフェースは、無線接続に基づいてもよい。そのような無線接続は、有線接続よりもいくつかの利点を有する。例えば、使用者は、そのような接続を形成するために追加のケーブル設置を必要としない。加えて、使用者は、移動、接続の設定、およびペアリングデバイスの範囲に関して、より高い柔軟性を有する。
【0021】
本書を通して「電子タバコ」という用語が使用されるが、この用語は、電子蒸気供給システム、エアロゾル送達装置、および他の同様の用語と交換して使用することができる。
【0022】
図1は、本開示のいくつかの実施形態に係る電子タバコ10の概略(分解)図である(縮尺は均一ではない)。この電子タバコは、本体または制御ユニット20と、カトマイザ30を備える。カトマイザ30は、典型的にはニコチンを含む液体のリザーバ38と、ヒータ36と、マウスピース35とを含む。電子タバコ10は、電子タバコの中心線に沿ってカトマイザ30の一端に位置するマウスピース35から制御ユニット20の反対側の端部(通常は先端部と呼ばれる)まで延びる縦軸または円柱軸を有する。この縦軸は、図1において、LAで示される破線によって表示される。
【0023】
カトマイザ内のリキッドリザーバ38は、(e-)リキッドを液体の形態で直接保持してもよいし、あるいは、リキッドの保持体として発泡体マトリックスや綿材料などの吸収構造を利用してもよい。リキッドは、この後、リザーバ38から送出され、ヒータ36を備える気化器に送達される。例えば、リキッドは、リザーバ38からヒータ36までウィック(図1には図示せず)を介して毛管作用により流れてもよい。
【0024】
他の装置では、リキッドが、植物材料または他の(表面上は固体の)植物誘導体材料の形態で提供されてもよい。この場合、リキッドは、この材料のうち、この材料が加熱されたときに気化する揮発性物質を表すと考えることができる。この種類の材料を含む装置は、一般に、リキッドをヒータに輸送するためのウィックを必要としないが、材料に対してヒータを適切に配置して適切な加熱を行うことに留意されたい。
【0025】
これも当然のことながら、固体材料(加工タバコ葉など)やゲルの加熱など、液体以外のペイロード送達の形態も同様に考えることができる。そのような例では、気化する揮発性物質が、吸入される蒸気/エアロゾルの活性成分を提供する。当然ながら、本書における「リキッド」、「e-リキッド」などへの言及は、ペイロード送達の他の態様を等しく包含し、同様に、「リザーバ」または同様のものへの言及は、固体材料のための容器など、他の貯蔵手段を等しく包含する。
【0026】
制御ユニット20は、電子タバコ10に電力を供給するための再充電可能なセルまたはバッテリー54(以下、バッテリーと呼ぶ)と、電子タバコを全体的に制御するためのプリント回路基板(PCB)28および/または他の電子機器を含む。
【0027】
制御ユニット20およびカトマイザ30は、図1に示されるように、互いに取外し可能であるが、装置10の使用時には、例えばねじまたはバヨネット継手によって、接合される。カトマイザ30および制御ユニット20上のコネクタは、図1にそれぞれ31Bおよび21Aとして概略的に示されている。制御ユニットとカトマイザとの間のこの接続は、2つの間の機械的および電気的な接続性をもたらす。
【0028】
制御ユニットがカトマイザから取り外されると、カトマイザに接続するために使用される制御ユニット上の電気接続部21Aは、充電装置(図示せず)を接続するためのソケットとしても機能してよい。この充電装置の他端は、電子タバコの制御ユニット内のバッテリー54を再充電するためにUSBソケットに差し込むことができる。他の実装例では、(例えば)電気接続部21AとUSBソケットとの間の直接接続のためのケーブルが電子タバコに備え付けられていてもよい。
【0029】
制御ユニットには、空気入口用の1つ以上の孔がPCB28に隣接して設けられている。これらの孔は、制御ユニットを通る空気通路に接続され、この空気通路は、コネクタ21Aを貫通して設けられた空気通路へと至る。この空気通路は次に、カトマイザ30を通ってマウスピース35に至る空気経路につながる。ヒータ36およびリキッドリザーバ38は、コネクタ31Bとマウスピース35との間に空気チャネルを設けるように構成されていることに注意されたい。この空気チャネルは、カトマイザ30の中心を通って延び、リキッドリザーバ38がこの中心経路の周りの環状領域に閉じ込められてもよい。代替的に(または追加的に)、空気流チャネルは、リキッドリザーバ38と、カトマイザ30の外側ハウジングとの間に位置してもよい。
【0030】
使用者がマウスピース35を介して吸い込むと、空気が1つ以上の空気入口孔を通って制御ユニット20内に引き込まれる。この空気流(または関連する圧力の変化)は、センサ、例えば圧力センサによって検出され、このセンサは、ヒータ36を作動させて、リザーバ38から供給されるニコチン液を気化させる。空気流は、制御ユニットから気化器に入り、そこで空気流がニコチン蒸気と混合する。この空気流とニコチン蒸気の混合物(事実上、エアロゾル)は、この後、カトマイザ30を通過してマウスピース35から出て、使用者によって吸入される。カトマイザ30は、ニコチン液の供給が尽きたときに、制御ユニットから取り外して廃棄してもよい(そして、その後、別のカトマイザと交換してもよい)。
【0031】
当然ながら、図1に示される電子タバコ10は、例示のためにのみ提示されたものであり、多くの他の実装例を採用することができる。例えば、いくつかの実施態様では、カトマイザ30は、リキッドリザーバ38を含むカートリッジと、ヒータ36を含む別個の気化器部分とに分割される。この構成では、カートリッジは、リザーバ38内のリキッドが使い尽くされた後に廃棄することができるが、ヒータ36を含む別個の気化器部分は保持される。代替的に、電子タバコは、図1に示すカトマイザ30を備えるか、あるいは一体型(単一)の装置として構成されてもよいが、リキッドリザーバ38は、(使用者によって)交換可能なカートリッジの形態である。更なる可能な変形例は、ヒータ36がカトマイザ30の図1に示す端部とは反対側の端部、すなわちリキッドリザーバ38とマウスピース35との間に配置されてもよく、あるいはヒータ36がカトマイザの中心軸LAに沿って配置され、リキッドリザーバがヒータ35の径方向外側に位置する環状構造の形態であるというものである。
【0032】
当業者はまた、制御ユニット20のための多くの可能な変形例を認識するであろう。例えば、空気流は、PCB28に隣接する空気流に加えて、またはその代わりに、先端部、すなわちコネクタ21Aとは反対側の端部で制御ユニットに入ってもよい。この場合、空気流は、典型的には、バッテリー54と、制御ユニットの外壁との間の通路に沿ってカトマイザに向かって引き込まれる。同様に、制御ユニットは、先端部またはその付近(例えば、バッテリーと先端部との間)に配置されたPCBを備えてもよい。このようなPCBは、PCB28に加えて、またはその代わりに設けられてもよい。
【0033】
更に、電子タバコは、カトマイザと制御ユニットとの間の接続点での充電に加えて、またはその代わりに、先端部での充電、または装置上の他の場所に位置するソケットを介した充電をサポートしてもよい(一部の電子タバコは本質的に一体化されたユニットとして提供され、この場合、使用者はカトマイザを制御ユニットから切り離すことができない)。他の電子タバコは、有線充電に加えて(またはその代わりに)、無線(誘導)充電をサポートしてもよい。
【0034】
図1に示される電子タバコの潜在的な変形例に関する上述の議論は例示である。当業者は、電子タバコ10の更なる潜在的な変形例(および変形例の組合せ)を認識するであろう。
【0035】
図2は、本開示のいくつかの実施形態に係る図1の電子タバコ10の主要な機能要素の概略図である。図2は、主に電気的な接続および機能に関するものであり、様々な要素の物理的サイズを示すことも、制御ユニット20またはカトマイザ30内におけるそれらの要素の物理的配置の詳細を示すことも意図していないことに注意されたい。加えて、図2に示される要素のうち制御ユニット20内に配置されるものの少なくとも一部を回路基板28上に実装できることが理解されるであろう。あるいは、そのような要素のうちの1つ以上が、代わりに、回路基板28と協力して動作するように制御ユニット内に収容されるが、回路基板自体には物理的に搭載されなくてもよい。例えば、これらの要素は、1つ以上の追加の回路基板上に配置されてもよいし、別々に配置されてもよい(例えばバッテリー54)。
【0036】
図2に示されるように、カトマイザは、コネクタ31Bを介して電力を受け取るヒータ310を含む。制御ユニット20は、カトマイザ30の対応するコネクタ31B(または場合によってはUSB充電装置)に接続するための電気ソケットまたはコネクタ21Aを含む。これにより、制御ユニット20とカトマイザ30との間に電気的接続性がもたらされる。
【0037】
制御ユニット20は、センサユニット61を更に含む。このセンサユニット61は、空気入口から空気出口まで(コネクタ21Aを通ってカトマイザ30まで)制御ユニット20を通る空気経路内に、またはその空気経路に隣接して配置される。このセンサユニットは、圧力センサ62および温度センサ63(これもまた、この空気経路内またはこの空気経路に隣接して配置される)を含む。制御ユニットは、コンデンサ220、プロセッサ50、電界効果トランジスタ(FET)スイッチ210、バッテリー54、ならびに入力装置59および出力装置58を更に含む。
【0038】
プロセッサ50および他の電子要素(例えば圧力センサ62)の動作は、一般に、プロセッサ(または他の構成要素)上で実行されるソフトウェアプログラムによって少なくとも部分的に制御される。そのようなソフトウェアプログラムは、ROMなどの不揮発性メモリに記憶されてもよく、このメモリは、プロセッサ50自体に統合することも、あるいは別個の構成要素として設けることも可能である。プロセッサ50は、ROMにアクセスして、必要に応じて個々のソフトウェアプログラムをロードし、実行することができる。プロセッサ50は、制御ユニット20内の他の装置(例えば圧力センサ62)と適宜通信するための適切な通信手段、例えばピンやパッド(および対応する制御ソフトウェア)も含む。
【0039】
出力装置58は、可視出力、音声出力、および/または触覚出力を提供してもよい。例えば、出力装置は、スピーカ58、バイブレータ、および/または1つ以上のライトを含んでもよい。ライトは、典型的には、1つ以上の発光ダイオード(LED)の形態で設けられ、これらは同一色でも異なる色(すなわち多色)でもよい。多色LEDの場合、異なる色、例えば赤色、緑色または青色のLEDを、色に相対的なバリエーションを与えるように任意で様々な相対輝度で、オンに切り替えることにより、異なる色が得られる。赤色、緑色および青色LEDが共に設けられる場合は、全範囲の色が可能であるが、赤、緑および青の3色のLEDのうち2色のみが提供される場合は、対応する部分範囲の色のみをうることができる。
【0040】
出力装置からの出力は、バッテリー低下警告など、電子タバコ内の様々な状況または状態を使用者に伝えるために使用することができる。異なる状態または状況を伝えるために、異なる出力信号を使用することができる。例えば、出力装置58が音声スピーカである場合、異なる状態または状況を、異なる音高および/または持続時間のトーンまたはビープ音によって、および/または複数のそのようなビープ音またはトーンを提供することによって表してもよい。あるいは、出力装置58が1つ以上のライトを含む場合、異なる色、光パルスまたは連続照明、異なるパルス持続時間などを使用することによって、異なる状態または状況を表すことができる。例えば、1つの表示灯を利用して、バッテリー低下警告を示す一方で、別の表示灯を使用して、リキッドリザーバ38がほぼ枯渇したことを示してもよい。当然ながら、所与の電子タバコが、複数の異なる出力モード(音声、視覚)等をサポートするために複数の出力装置を含んでもよい。
【0041】
入力装置59は、様々な形態で提供することができる。例えば、入力装置(複数であってもよい)は、電子タバコの外面上のボタンとして、例えば、機械センサ、電気センサ、または容量(タッチ)センサとして実装されてもよい。いくつかの装置は、入力機構として電子タバコへの吹き込みをサポートし(このような吹き込みは圧力センサ62によって検出することができ、圧力センサは入力装置59の一形態としても機能する)、および/または別の形態の入力機構として、カトマイザ30と制御ユニット20との接続/切断をサポートしてもよい。またも当然ながら、所与の電子タバコが、複数の異なる入力モードをサポートするために複数の入力装置59を含んでもよい。
【0042】
上述のように、電子タバコ10は、空気入口から電子タバコを通り、カトマイザ30内の圧力センサ62およびヒータ310を通過してマウスピース35に至る空気経路を提供する。したがって、使用者が電子タバコのマウスピースを吸い込むと、プロセッサ50が、圧力センサ62からの情報に基づいてそのような吸い込みを検出する。このような検出に反応して、CPUはバッテリー54からヒータに電力を供給し、それにより、使用者による吸入のためにリキッドリザーバ38からのニコチンを加熱して気化させる。
【0043】
図2に示す特定の実装では、FET210がバッテリー54とコネクタ21Aとの間に接続されている。このFET210はスイッチとして機能する。プロセッサ50は、このスイッチを動作させるためにFETのゲートに接続され、それによって、プロセッサが、検出された空気流の状態に従って、バッテリー54からヒータ310への電力の流れをオンおよびオフに切り替えることを可能にする。当然ながら、ヒータ電流は、比較的大きく、例えば、1~5アンペアの範囲とすることができ、したがって、FET210は、(FET210の代わりに使用しうる任意の他の形態のスイッチと同様に)そのような電流の制御をサポートするように実装されるべきである。
【0044】
バッテリー54からヒータ310に流れる電力量をよりきめ細かく制御するために、パルス幅変調(PWM)方式を採用してもよい。PWM方式は、例えば1msの繰り返し周期に基づいていてもよい。そのような周期の各々において、スイッチ210は、その周期の一部分にわたってオンにされ、周期の残りの部分にわたってオフにされる。これは、デューティサイクルによってパラメータ化される。ここで、0のデューティサイクルは、スイッチが各周期の全体にわたってオフである(すなわち、事実上、恒久的にオフである)ことを示し、0.33のデューティサイクルは、スイッチが各周期の3分の1にわたってオンであることを示し、0.66のデューティサイクルは、スイッチが各周期の3分の2にわたってオンであることを示し、1のデューティサイクルは、FETが各周期の全体にわたってオンである(すなわち、事実上、恒久的にオンである)ことを示す。当然ながら、これらはデューティサイクルの例示的な設定値として提示されているに過ぎず、任意の中間値を適宜使用することができる。
【0045】
PWMの使用は、(バッテリー出力電圧およびヒータ抵抗に基づく)公称有能電力にデューティサイクルを乗じたものによって与えられる有効電力をヒータに提供する。プロセッサ50は、例えば、吸い込みの開始時に1のデューティサイクル(すなわち、最大電力)を利用して、最初にヒータ310をその所望の動作温度まで可能な限り迅速に上昇させてもよい。この所望の動作温度が達成されたら、プロセッサ50は、所望の動作電力をヒータ310に供給するために、デューティサイクルを適切な値に低減してもよい。
【0046】
図2に示すように、プロセッサ50は、無線通信のための通信インタフェース55、特に、Bluetooth(登録商標) Low Energy(BLE)通信をサポートするものを含む。
【0047】
任意で、ヒータ310を、無線通信の送受信のために通信インタフェース55によって使用されるアンテナとして利用してもよい。このようにする動機の1つは、制御ユニット20が金属ハウジング202を有する一方で、カトマイザ部30がプラスチックハウジング302を有する場合があることである(これは、カトマイザ30が使い捨てなのに対し、制御ユニット20は保持されるため、より高い耐久性を活かしうる点を反映している)。金属ハウジングは、制御ユニット20自体の内部に配置されたアンテナの動作に影響を及ぼしうる遮蔽物または障壁として作用する。しかしながら、無線通信用のアンテナとしてヒータ310を利用すれば、カトマイザのプラスチックハウジングのために、この金属遮蔽を回避するのに役立てることができ、カトマイザに追加の構成要素や複雑さ(または費用)を加えることもない。これに代えて、別個のアンテナを設けてもよいし(図示せず)、金属ハウジングの一部を使用してもよい。
【0048】
図2に示されるようにヒータがアンテナとして使用される場合、プロセッサ50、より具体的には通信インタフェース55は、バッテリー54から(コネクタ31Bを介して)ヒータ310に至る電力線にコンデンサ220によって結合されてもよい。この容量結合はスイッチ210の下流で生じる。これは、無線通信は、ヒータが加熱のために給電されていないときに動作しうるからである(以下でより詳細に説明する)。当然ながら、コンデンサ220は、バッテリー54からヒータ310への電力供給がプロセッサ50にそれることを防止するのに役立つ。
【0049】
容量結合は、より複雑なLC(インダクタ-コンデンサ)ネットワークを使用して実装されてもよく、このLCネットワークも、通信インタフェース55の出力とのインピーダンス整合をもたらすことができることに留意されたい(当業者に知られているように、このインピーダンス整合は、通信インタフェース55と、アンテナとして作用するヒータ310との間で信号を、接続部に沿って反射させて戻すのではなく、適切に転送する支援を行うことに役立つことができる。)
【0050】
いくつかの実装例では、プロセッサ50および通信インタフェースは、英国のレディングに本拠を置くDialog Semiconductor PLC製のDialog DA14580チップを使用して実装される。このチップに関する更なる情報(およびデータシート)は、http://www.dialog-semiconductor.com/products/bluetooth-smart/smartbond-da14580から入手可能である。
【0051】
図3は、このチップ50の高レベルかつ簡略化された全体像を示しており、ここで、このチップ50は、Bluetooth(登録商標) Low Energyをサポートする通信インタフェース55を含む。このインタフェースは、特に、信号の変調および復調などを実行するための無線送受信機520、リンク層ハードウェア512、および高度暗号化設備(128ビット)511を含む。無線トランシーバ520からの出力は、アンテナに(例えば、アンテナとして機能するヒータ310に容量結合220ならびにコネクタ21Aおよび31Bを介して)接続される。
【0052】
プロセッサ50の残りの部分は、一般処理用コア530、RAM531、ROM532、ワンタイムプログラミング(OTP)ユニット533、汎用I/Oシステム560(PCB28上の他の構成要素と通信するためのもの)、電力管理ユニット540、および2つのバスを接続するためのブリッジ570を含む。ROM532および/またはOTPユニット533に記憶されたソフトウェア命令は、コア530内の1つ以上の処理ユニットによる実行のために、RAM531に(および/またはコア530の一部として設けられたメモリに)ロードすることができる。これらのソフトウェア命令は、プロセッサ50に、センサユニット61とのインタフェーシング、およびそれに応じたヒータの制御など、本書に記載の様々な機能を実施させる。図3に示すデバイスは、通信インタフェース55としても、電子蒸気供給システム10のための一般的な制御器としても機能するが、他の実施形態では、これら2つの機能が2以上の異なる装置(チップ)間で分けられてもよく、例えば、1つのチップが通信インタフェース55として機能し、別のチップが電子蒸気供給システム101のための一般的な制御器として機能してもよいことに留意されたい。
【0053】
いくつかの実装例において、プロセッサ50は、ヒータがリザーバ38からの液体を気化させるために使用されているときに無線通信を防止するように構成されてもよい。たとえば、スイッチ210がオンに切り替えられたときに、無線通信を中断し、終了し、または通信の開始を防止してもよい。逆に、無線通信が進行中である場合は、例えば、センサユニット61からの空気流の検出を無視することによって、および/または無線通信が進行している間、ヒータ310への電力をオンにするようにスイッチ210を動作させないことによって、ヒータの作動を防止してもよい。
【0054】
いくつかの実装例において加熱と無線通信の両方のためにヒータ310を同時に動作させることを防止する1つの理由は、それがヒータのPWM制御からの潜在的な干渉を回避するのに役立つからである。このPWM制御は、それ自体の周波数(パルスの繰り返し周波数に基づく)を有しており、この周波数は、通常、無線通信に使用される周波数よりもはるかに低いにもかかわらず、これら2つの周波数は互いに干渉する可能性がある。いくつかの状況では、そのような干渉は、実用上、いかなる問題も引き起こさず、(望むのであれば)加熱と無線通信の両方のためのヒータ310の同時動作が許容される。これは、例えば、信号強度および/またはPWM周波数の適切な選択、適切なフィルタリングの提供などの技術によって容易となりうる。
【0055】
図4は、電子タバコ10と、スマートフォン400または他の適切な移動体通信装置(タブレット、ラップトップ、スマートウォッチなど)上で実行されるアプリケーション(アプリ)との間のBluetooth(登録商標) Low Energy通信を示す概略図である。このような通信は、例えば、電子タバコ10のファームウェアをアップグレードするため、電子タバコ10から使用データおよび/または診断データを回収するため、電子タバコ10のリセットまたはロック解除のため、電子タバコの設定を制御するためなど、広範囲の目的に使用することができる。
【0056】
一般的にいえば、電子タバコ10は、例えば入力装置59を使用することによって、または場合によってはカトマイザ30を制御ユニット20に接合することによってスイッチを入れられると、Bluetooth(登録商標) Low Energy通信の告知を開始する。この発出通信がスマートフォン400によって受信されると、スマートフォン400は、電子タバコ10への接続を要求する。電子タバコは、出力装置58を介してこの要求を使用者に通知し、使用者が入力装置59を介して要求を受諾または拒否するのを待ってもよい。要求が受諾されるとすると、電子タバコ10は、スマートフォン400と更に通信することができる。電子タバコは、スマートフォン400の識別情報を記憶し、そのスマートフォンからの将来の接続要求を自動的に受諾することができることに留意されたい。接続が確立されると、スマートフォン400および電子タバコ10は、クライアント-サーバモードで動作し、スマートフォンは、電子タバコに要求を開始および送信するクライアントとして動作し、したがって、電子タバコはサーバとして動作する(そして、適宜、要求に応答する)。
【0057】
Bluetooth(登録商標)Low Energyリンク(Bluetooth Smart(登録商標)としても知られる)は、IEEE802.15.1規格を実施するものであり、約12cmの波長に対応する2.4~2.5GHzの周波数で動作し、最大で1Mビット/秒のデータレートを有する。接続のためのセットアップ時間は6ミリ秒未満であり、平均電力消費は非常に低く、1mW以下のオーダーとなりうる。Bluetooth(登録商標) Low Energyリンクは、約50mまで延在することができる。しかしながら、図4に示される状況では、電子タバコ10およびスマートフォン400は、典型的には同じ人物に属し、したがって、互いに極めて近接している(例えば、1m)。Bluetooth(登録商標) Low Energyに関する更なる情報は、http://www.bluetooth.com/Pages/Bluetooth-Smart.aspxで見つけることができる。
【0058】
当然ながら、電子タバコ10は、スマートフォン400(または任意の他の適切な装置)との通信のための他の通信プロトコルをサポートしてもよい。そのような他の通信プロトコルは、Bluetooth(登録商標) Low Energyの代わりであってもよいし、それに追加してもよい。そのような他の通信プロトコルの例には、Bluetooth(登録商標)(Low Energy版ではない。例えば、www.bluetooth.comを参照のこと)、ISO13157に従った近距離無線通信(NFC)、およびWiFi(登録商標)が含まれる。NFC通信は、Bluetooth(登録商標)(13.56MHz)よりもはるかに低い波長で動作し、一般にはるかに短い範囲、例えば0.2m未満、を有する。しかしながら、この短距離は、依然として、図4に示されるようなほとんどの使用シナリオに適合する。一方、IEEE802.11ah、IEEE802.11v、または同様のもの等の低電力WiFi(登録商標)通信を、電子タバコ10と遠隔装置との間で採用してもよい。いずれの場合も、適切な通信チップセットが、プロセッサ50の一部として、または別個の構成要素として、PCB28上に含まれうる。当業者は、電子タバコ10で使用することの可能な他の無線通信プロトコルを認識するであろう。
【0059】
図5は、いくつかの実施形態に係る例示的なカトマイザ30の概略分解図である。カトマイザは、外側プラスチックハウジング302、マウスピース35(ハウジングの一部として形成されてもよい)、気化器620、中空内管612、および制御ユニットへの取り付けのためのコネクタ31Bを有する。カトマイザ30を通る空気流経路は、コネクタ31Bを貫通する空気入口から始まり、次に気化器625および中空管612の内部を通り、最後にマウスピース35を通って外部に通じる。カトマイザ30は、(i)プラスチックハウジング302と、(ii)気化器620および内管612との間の環状領域に液体を保持する。コネクタ31Bには、この領域に液体を維持するのを助け、漏れを防止するために、シール635が設けられている。
【0060】
図6は、図5に示される例示のカトマイザ30からの気化器620の概略分解図である。気化器620は、それぞれが実質的に半円形の断面を有する2つの部品627A、627Bから形成された実質的に円筒形のハウジング(クレードル)を有する。組み立てられたとき、部品627A、627Bの縁部は、互いに完全には(少なくとも、それらの全長に沿っては)当接せず、むしろ、(図5に示されるように)わずかな間隙625が残る。この間隙は、気化器および管612の周りに位置する外部リザーバからの液体が気化器620の内部に入ることを可能にする。
【0061】
気化器の部品の1つである627Bは、ヒータ310を支持するように図6に示されている。ヒータ310に電力(および無線通信信号)を供給するための2つのコネクタ631A、631Bが示されている。より具体的には、これらのコネクタ631A、631Bは、ヒータをコネクタ31Bに連結し、そこから制御ユニット20に連結する。(コネクタ631Aは、ヒータ310の下を通る電気接続であって図6では見えない電気接続によって、コネクタ31Bから、気化器620の遠端に位置するパッド632Aに接合されることに留意されたい。)
【0062】
ヒータ310は、焼結金属繊維材料から形成された加熱要素を備え、一般的には、多孔質導電性材料(鋼など)のシートの形態をとる。しかし、当然ながら、他の多孔質導電性材料を使用してもよい。図6の例における加熱要素の全体抵抗は、約1オームである。しかし、当然ながら、利用可能なバッテリー電圧および加熱要素の所望の温度/電力消費特性を考慮するなどして、他の抵抗を選択してもよい。この点に関して、関連する特性は、対象となるソース液体に応じた装置の所望のエアロゾル(蒸気)生成特性に従って選択することができる。
【0063】
加熱要素の主要部分は、ほぼ長方形であり、約20mmの長さ(すなわち、コネクタ31Bと接点632Aとの間に延びる方向の長さ)と、約8mmの幅を有する。この例において加熱要素を備えるシートの厚さは、約0.15mmである。
【0064】
図6に見られるように、加熱要素のほぼ長方形の主要部分は、長辺の各々から内側に延びるスロット311を有する。これらのスロット311は、気化器ハウジング部品627Bによって提供されるペグ312と係合し、それにより、加熱要素の位置をハウジング部品627A、627Bに対して維持することを助ける。
【0065】
これらのスロットは、約4.8mmだけ内側に延び、約0.6mmの幅を有する。これらの内側に延びるスロット311は、加熱要素の各辺において約5.4mmだけ互いから離間し、対向する辺から内側に延びるスロットは、この間隔の約半分だけ互いにずれている。スロットのこの配置の結果、加熱要素に沿った電流の流れは、事実上、曲がりくねった経路を辿るように強制され、その結果、スロットの端部の周りに電流および電力の集中が生じる。加熱要素上の異なる位置における異なる電流/電力密度は、比較的低い電流密度の領域よりも熱くなる比較的高い電流密度の領域があることを意味する。これは、事実上、加熱要素に、ある範囲の異なる温度および温度勾配をもたらすが、これはエアロゾル供給システムとの関連で望ましいものとなりうる。これは、ソース液体の異なる成分が異なる温度でエアロゾル化/気化しうるからであり、したがって、ある範囲の温度を有する加熱要素を提供することは、ソース液体中のある範囲の異なる成分を同時にエアロゾル化することに役立ちうるからである。
【0066】
図6に示すヒータ310は、一方向に細長い実質的に平坦な形状を有し、アンテナとして作用するのによく適している。制御ユニットの金属ハウジング202と共に、ヒータ310は、近似的なダイポール構成を形成し、これは、典型的には、Bluetooth Low Energy通信の波長と同じオーダーの大きさの物理的サイズ、すなわち、約12cmの波長に対して数センチメートルのサイズ(これはヒータ310および金属ハウジング202の両方を可能にする)を有する。
【0067】
図6は、ヒータ310(加熱要素)の1つの形状および構成を示すが、当業者は、様々な他の可能性を認識するであろう。例えば、ヒータは、コイルまたは他の構成の抵抗線として設けられてもよい。別の可能性は、ヒータが、気化される液体(例えば、ある形態のタバコ製品)を収容するパイプとして構成されることである。この場合、パイプは、主に、(例えば、コイルまたは他の加熱要素によって)発生場所から気化される液体に熱を輸送するために使用してもよい。そのような場合、パイプは、加熱される液体に対して依然としてヒータとして動作する。ここでも任意で、そのような構成を、無線構成をサポートするためのアンテナとして使用することができる。
【0068】
本書で前述したように、適切な電子タバコ10は、移動体通信装置400と、例えばBluetooth(登録商標) Low Energyプロトコルを使用してこれらの装置をペアリングすることによって、通信することができる。
【0069】
この結果、スマートフォン上で実行するための適切なソフトウェア命令(例えばアプリの形態)を提供することによって、電子タバコ、ならびに/または電子タバコおよびスマートフォンを備えるシステムに追加の機能を提供することが可能である。
【0070】
ここで図7を参照すると、典型的なスマートフォン400は、中央処理装置(CPU)(410)を備える。CPUは、適宜、直接接続により、あるいはI/Oブリッジ414および/またはバス430を介して、スマートフォンの構成要素と通信することができる。
【0071】
図7に示す例では、CPUは、メモリ412と直接通信する。ここで、このメモリ412には、オペレーティングシステムおよびアプリケーション(アプリ)を記憶するためのFlash(登録商標)メモリなどの永続メモリと、CPUによって現在使用されているデータを保持するためのRAMなどの揮発性メモリとが含まれていてもよい。典型的には、永続メモリおよび揮発性メモリは、物理的に別個のユニット(図示せず)によって形成される。更に、メモリは、microSDカードなどのプラグインメモリと、加入者情報モジュール(SIM)(図示せず)上の加入者情報データとを別個に備えていてもよい。
【0072】
スマートフォンはまた、グラフィックス処理ユニット(GPU)416を備えうる。GPUは、CPUと直接、またはI/Oブリッジを介して通信してもよく、またはCPUの一部であってもよい。GPUは、CPUとRAMを共有してもよく、またはそれ自体の専用RAM(図示せず)を有してもよく、携帯電話のディスプレイ418に接続される。ディスプレイは、典型的には、液晶(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイであるが、電子インク等の任意の好適なディスプレイ技術であってもよい。任意で、GPUを、スマートフォンの1つ以上のラウドスピーカー420を駆動するためにも使用することができる。
【0073】
あるいは、スピーカは、I/Oブリッジおよびバスを介してCPUに接続されてもよい。スマートフォンの他の構成要素も同様にバスを介して接続してもよい。このような構成要素には、デバイスにタッチ入力を提供する目的でスクリーン上に重ねられた容量性タッチ面などのタッチ面432、使用者の発話を受信するためのマイクロフォン434、画像を取り込むための1つ以上のカメラ436、スマートフォンの地理的位置の推定値を取得するための全地球測位システム(GPS)ユニット438、および無線通信手段440が含まれる。
【0074】
無線通信手段440は、Bluetooth(登録商標)(標準または低エネルギー形態)、前述のような近距離無線通信およびWi-Fi(登録商標)、ならびに2G、3G、および/または4G等の電話ベースの通信等、異なる規格および/またはプロトコルに準拠するいくつかの別個の無線通信システムを備えてもよい。
【0075】
これらのシステムは、典型的には、バッテリー(図示せず)によって給電される。このバッテリーは、USB(図示せず)などのデータリンクの一部となりうる電力入力(図示せず)を介して充電可能であってもよい。
【0076】
当然ながら、異なるスマートフォンは、異なる特徴(例えば、コンパスやブザー)を含んでもよく、また、上記に列挙されたもののいくつか(例えば、タッチ面)を省略してもよい。
【0077】
したがって、より一般的には、本開示の一実施形態では、スマートフォン400などの適切な遠隔装置が、アプリを記憶および実行するためのCPUおよびメモリと、電子タバコ10との無線通信を開始および維持するように動作可能な無線通信手段とを備える。しかし、当然ながら、この遠隔装置は、タブレット、ラップトップ、スマートTVなど、これらの能力を有する装置であってよい。
【0078】
電子タバコ10、および/または電子タバコ10と移動体通信装置400との組み合わせに提供しうる追加の機能の一例は、電子タバコに取り付けられる電子呼気アルコール試験装置によって実行される蒸気分析に基づいて使用者に結果を提示する能力である。
【0079】
図1を参照すると、従来の電子タバコ10は、使用者によって2つまたは3つの部分、すなわち本体または制御ユニット20と、カトマイザ30とに分解され、このカトマイザが、取り外し可能なリザーバ38を備えてもよいことが理解されよう。これらは、組み立てられると、自身の電源、ヒータ、およびリザーバを有する、完全かつ独立して動作する電子タバコを形成する。
【0080】
本発明の幾つかの実施形態では、電子呼気アルコール試験装置40が、既存の電子タバコに着脱可能に結合され、この呼気アルコール試験装置が、電子タバコと空気経路の少なくとも一部を共有すると共に、電子タバコから電力を引き出すようにし、またはそれらのことを可能にしてもよい。
【0081】
したがって、呼気アルコール試験装置40は、電子タバコの電源を使用するので、別個の装置として、それ自体の電源を必要とはしない。更に、装置40は、電子タバコのマウスピースを使用するので、それ自体のマウスピースを必要としない。最後に、装置40は、任意で電子タバコの無線通信手段を使用するので、無線通信手段を必要としない。
【0082】
呼気アルコール試験装置は、電子タバコの空気流経路から任意の適切な箇所で採取を行うことができる。例えば図1を参照すると、この採取は、例えば、制御ユニット20とカトマイザ30との間、および/またはカトマイザ30とマウスピース35との間で行ってもよい。
【0083】
ここで図8を参照すると、図5の中空内管612は、中空内管612`を形成するように構成されてもよい。これは弁42を備える。
【0084】
次に図9Aおよび9Bを参照すると、一実施形態において弁42は、空気が管から吹き出すことを可能にする一方向弁である。呼気アルコール試験装置40は、ハウジングの一部を(例えば、取り外し可能または摺動可能なハッチを介して)通過して、弁42を吹き通される空気の受容体として弁42と係合するように動作可能なシュノーケル(すなわち、管)44を備える。
【0085】
図9Aに示すように、呼気アルコール試験装置が電子タバコに取り付けられた状態で使用者が吸い込むと、空気は、完全にまたは主に中空管612`に沿って、(右側の)使用者に向かって流れる。しかしながら、図9Bに示されるように、使用者が吐き出すときには、中空管内の一方向弁が、空気流の一部または全部が管内の所定の箇所を超えることを防止し、代わりに空気の一部または全部がシュノーケルを上昇し、呼気アルコール試験装置内に流入する。このように、潜在的には電子タバコおよび呼気アルコール試験装置の両方を、使用者が装置を吸い込むか(電子タバコ)、または装置内に吐き出すか(呼気アルコール試験装置)に応じて、使用者による更なる調整なしに連続して動作させることができる。
【0086】
次に図10Aおよび10Bを参照すると、別の実施形態において、弁42`は、シュノーケル44`がそれを押し通ることによって開かれる。従って、呼気アルコール試験装置40は、今回は弁42`を押し通って中空管612`にアクセスすることにより、ハウジングの一部を(例えば、取り外し可能または摺動可能なハッチを介して)通過して弁42`と係合するように動作可能なシュノーケル(即ち、管)44`を備える。
【0087】
図10Aに示されるように、シュノーケルが係合されていない(または、図示しないが、部分的にのみ係合されている)とき、使用者は、通常通り電子タバコを吸い込むことができる。しかしながら、図10Bを参照すると、シュノーケルが係合されているときは、使用者が吹き戻すと、空気がシュノーケル内に迂回させられる。
【0088】
シュノーケルは、呼気アルコール試験装置を電子タバコに取り付ける動作によって係合され、呼気アルコール試験装置が電子タバコに取り付けられている限り、電子タバコが実質的に機能を変えるようになっていてもよい。あるいは、シュノーケルは、例えばシュノーケルに機械的に連結された呼気アルコール試験装置の一部を使用者が押下することによって、一時的に係合されてもよい。この場合、使用者は呼気アルコール試験装置のこの部分を押して、呼気アルコール試験装置機能にアクセスすることができる。この部分は、例えば、シュノーケルを機械的に押すボタンであってもよい。
【0089】
当然ながら、上記の構成は、空気流路の少なくとも一部を電子タバコと共有する呼気アルコール試験装置の非限定的な例である。図11に示される別の例では、中空管612は、異なる改変を加えられ、シュノーケル44``が係合されたときにシュノーケル44``によって湾曲させることが可能な弾性部分を有する中空管612``を形成してもよい。ここでも、係合は、呼気アルコール試験装置が電子タバコに取り付けられている間中、生じていてもよいし、使用者が呼気アルコール試験装置を中空管の経路へ移動させる動作によって引き起こされてもよい。
【0090】
したがって、図示してはいないが、当然のことながら、空気流経路に対してシュノーケルを移動させるためのボタンまたはアクチュエータ機構は、例えば、(図9Aおよび図9Bの例のように)空気流経路にアクセスするように空気流経路と係合するようシュノーケルを前方に押し出す、または(図10A図10B、および図11の例のように、空気流を変更または迂回させるように)空気流経路内に入るようシュノーケルを前方に押し出すように構成されたばね搭載押しボタンを備え、または同様に、シュノーケルの(追加の)一部分が空気流経路と係合され、または空気流経路内に導入されるようにシュノーケルまたは試験装置を摺動させるように構成されたスライダを備えてもよい。これも当然のことながら、そのようなボタンまたはアクチュエータ機構は、電子タバコから供給される電力をアルコールセンサおよび任意の関連回路に接続するように動作してもよく、その結果、装置が、電子タバコの空気流経路と完全に係合したときにのみ作動状態となるようになっていてもよい。
【0091】
一方で、呼気アルコール試験装置40が電子タバコと一列に並んでいる(例えば、カトマイザと制御ユニットとの間に挿入されている)場合、シュノーケル44は、単に、呼気アルコール試験装置のうち、カトマイザ30および制御ユニット20のそれぞれのコネクタ31Bおよび21Aの一方または双方に接続する部分であってもよいことが理解されよう。
【0092】
したがって、図12を参照すると、別の例では、直列式呼気アルコール試験装置ユニット40が、制御ユニット20とカトマイザ30との間に配置される(しかし、この装置ユニット40は、等価的に、カトマイザとマウスピースとの間に、または、電子タバコを通る空気流経路がそこまで延びている場合には、電子タバコのうちマウスピースから遠い側の端部に位置してもよい)。この例では、シュノーケル44は、呼気アルコール試験装置を、呼気アルコール試験装置と空気流経路を共有する電子タバコの関連要素に接続するように動作する。この例では、使用者は、スイッチ48を操作してアルコールセンサ46を電気的に作動させることができる。任意で、このスイッチ(または別個の機構)が、アルコールセンサを、電子タバコと共有される空気流経路に露出させるように配置することができる。図12では、これは、センサを空気流経路に露出させるように移動するスイッチのスライダ要素47(または同様に、レバー式カバー、シャッター/絞り、または他の取り外し可能な物理カバー)によって達成される。このようにして不使用時にセンサを任意で覆うことは、エアロゾル化されたペイロード/蒸気から生じる材料の付着を防止または制限するのに役立つ。この役割の程度は、直列構成の場合に、より大きいかもしれない。というのも、呼気アルコール試験装置は、電子タバコの補助部品として長期間にわたって保持される可能性があるからである。
【0093】
呼気アルコール試験装置自体が、違反アルコールを検出するために任意の適切なセンサ技術を使用してもよい。例えば、Breathalyser(登録商標)は、検出可能な色変化を生じる、アルコール反応性の化学反応を使用する。一方、Intoxilyzer(登録商標)は、赤外(IR)分光法によってアルコールを検出する。このほかに、Alcosensor IIIまたはIV(登録商標)は、燃料電池内におけるアルコールの化学反応を検出する。
【0094】
例えば、最後の例では、Alcosensorは、触媒の存在下で、呼気試料中の酸素が、存在するアルコールを酢酸に変換し、次いで水および二酸化炭素に変換するという原理に基づいて機能する。燃料電池は、酸化が起こるときに放出される化学エネルギーを検出可能な電圧に変換する。電圧が高いほど、より多くのアルコールが試料中に存在する。
【0095】
したがって、各例において、センサは、呼気アルコールのレベルに反応する信号を生成する。
【0096】
この信号は、この後、(例えば、呼気アルコール試験装置が電子タバコに取り付けられたときに形成される電気接点を介して)電子タバコの制御ユニットに搬送されてもよい。
【0097】
次いで、この制御ユニットが、更なる処理のため、例えば、対応する血中アルコールレベルを計算し、結果を表示するために、無線通信インタフェース55に、この信号を(例えば、Bluetooth(登録商標)を介して)移動体端末400(例えば、図7に示されるような携帯電話またはタブレット)に送信させてもよい。
【0098】
代替的または追加的に、制御ユニットが、そのような計算を自ら実行してもよい。典型的には、呼気アルコールと血中アルコールとの比は2100:1である。すなわち、2100ミリリットル(ml)の肺胞気が、1mlの血液と同じ量のアルコールを含むことになる。
【0099】
したがって、センサによって示されるアルコールのレベルに基づいて、移動体端末および/または電子タバコがアルコールレベルを計算することができる。この計算は、必要があれば、更なる情報によって任意で洗練してもよい。この更なる情報は、例えば、呼気アルコール試験装置内の空気流経路の寸法(例えば管径)を有する空気流においてセンサによって検出されるアルコールの想定パーセンテージである。同様に、この計算は、任意で、空気流試料の想定体積を使用してもよく、あるいは、例えば、(呼気アルコール試験装置の配置に応じて)呼気アルコール試験装置内または電子タバコ内に配される流れ検出器に基づいて、空気流の量を計測してもよい。例えば、圧力センサ62によって検出される圧力の変化は、空気流速度と相関させることができ、空気流経路の直径が与えられると、対応する空気の体積を計算することができる。最後に、1mlの血液中のアルコールの対応する量を上述のように計算してもよい。
【0100】
任意で、電子タバコまたは呼気アルコール試験装置が、血中アルコール濃度を示すため、または単に血中アルコール濃度が法定閾値を超えるか否かを示すためのユーザインタフェースを備えてもよい。したがって、例えば、電子タバコまたは呼気アルコール試験装置は、血中アルコール濃度が使用者の国の法定閾値を超える場合に点灯する赤色LEDを備えてもよい。当然ながら、移動体端末400上のアプリケーションは、計算されたアルコール濃度、ならびにこれが法定閾値を超えるか否かに関する情報など、より詳細な結果を提供できる。移動体端末は、血中アルコール濃度が法定限度を超えている場合にタクシーサービスを呼び出すことを提案するなど、その結果に応じて更なる動作を実行することも可能である。
【0101】
したがって、図8および図12を再び参照すると、本発明の一概略実施形態では、使用者監視システムが、電源54を備える電子タバコ10と、この電子タバコに対して着脱可能な(言い換えれば、取り付け可能かつ取り外し可能な)、アルコールを検出するための電子呼気アルコール試験装置40とを備えている。ここで、電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、(例えば図8図12に示されるように)電子タバコの空気流経路の少なくとも一部を共有するように動作可能であり、また、電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、(例えば、電子タバコの電源から、図示しない電気接点を介して、または電子タバコの制御ユニット54を介して)電子タバコの電源を共有するように動作可能である。
【0102】
この概略実施形態の例では、電子呼気アルコール試験装置は、電子タバコに物理的に取り付けられると、例えば図9Aおよび図9Bに示されるように例えばシュノーケル44を介して、電子タバコの空気流経路(612`)にアクセスするように構成されている。
【0103】
この概略実施形態の別の例において、例えば図10Aおよび図10B、並びに図11に示されるように、呼気アルコール試験装置を電子タバコに取り付けることでシュノーケル(44`、44``)に既存の空気流経路を少なくとも部分的に変更させる場合には、電子呼気アルコール試験装置は、電子タバコに物理的に取り付けられると、電子タバコの空気流経路(612``)を電子呼気アルコール試験装置へ迂回させるように構成されている。
【0104】
この概略実施形態の別の例では、電子呼気アルコール試験装置が、本書で前述したようにシュノーケルを移動させるための作動機構を備える。この電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、作動機構の動作時にシュノーケルを移動させて空気流経路と係合させることにより(例えば図9Aおよび図9Bに示されるように、例えば空気流経路内の弁42に隣接するようにシュノーケルを移動させることにより)、電子タバコの空気流経路にアクセスするように構成されている。
【0105】
この概略実施形態の別の例では、電子呼気アルコール試験装置が、本書で前述したようにシュノーケルを移動させるための作動機構を備える。例えば図10Aおよび図10B、並びに図11に示されるように、作動機構の動作によってシュノーケル(44`、44``)に既存の空気流経路を少なくとも部分的に変更させる場合には、電子呼気アルコール試験装置は、取り付けられると、作動機構の動作時にシュノーケルを電子タバコの空気流経路内へ移動させることにより、空気流経路を電子呼気アルコール試験装置へ迂回させるように構成されている。
【0106】
この概略実施形態の別の例では、電子タバコが、使用者から電子タバコ内への空気流が以下のリストから選択される1つ以上に到達することを制限するように構成された吹戻し弁32を有する。このリストは、使用者の呼気からの水分および/またはアルコールがペイロードに影響を及ぼす可能性があるため、電子タバコの貯蔵ペイロード(例えば、固体、ゲル、またはリザーバの液体)と、使用者の呼気からの水分および/またはアルコールがヒータに悪影響を及ぼす可能性があるため、電子タバコのヒータと、使用者の呼気からの水分および/またはアルコールが制御ユニットに悪影響を及ぼす可能性があるため、電子タバコの制御ユニットとからなる。
【0107】
この概略実施形態の別の例では、電子呼気アルコール試験装置が、アルコールセンサ46のための可動カバー(44、45)を備える。本書で前述したように、これは、呼気アルコール試験装置の直列実装に特に有用となりうる。というのも、アルコールセンサは、長期間にわたって電子タバコの通常使用中に電子タバコ空気流の一部内に配置される可能性があるからである。
【0108】
この概略実施形態の別の例では、電子タバコが制御プロセッサ50を備え、これは電子呼気アルコール試験装置によって生成された信号を受信する。これらの信号は、(それらの特定のフォーマットにかかわらず)呼気アルコール試験装置と電子タバコとの間の電気接点を介して搬送されてもよく、次に、典型的には、有線接続を介して、任意でアナログ-デジタル変換器を介して、制御プロセッサに搬送される。このアナログ-デジタル変換器は、任意で、制御プロセッサの一部であってもよい。
【0109】
この例では、電子タバコは、電話またはタブレットなどの移動体端末装置400との通信のために、本書で前述したBluetooth(登録商標) Low Energy通信ユニットなどの無線通信ユニット55を備えていてもよく、制御プロセッサは、無線通信回路に移動体端末装置へこれらの信号を送信させるように構成される。
【0110】
あるいは、この例では、制御プロセッサが、電子呼気アルコール試験装置によって生成された信号を処理して、アルコールレベルを検出してもよい。
【0111】
その後、電子タバコが本書で前述したようなユーザインタフェースを備える場合、電子タバコの制御プロセッサが、ユーザインタフェースを制御して、使用者監視システムの使用者に対し、アルコールレベルの表示を提供してもよい。代替的または追加的に、電子タバコが無線通信ユニット55を備える場合、電子タバコの制御プロセッサが、無線通信回路に移動体端末装置400へアルコールレベルの表示を送信させてもよい。
【0112】
本書で説明される使用者監視システムの他の特徴も、本概略実施形態の各例に組み込むことができる。
【0113】
本発明の別の概略実施形態では、電子タバコ10が、電子呼気アルコール試験装置40と相互作用して、使用者監視システムとして動作するように構成されている。この電子タバコは、バッテリー54などの電源と、吸い込み中に、空気、および電子タバコによって生成された蒸気を使用者に搬送するように構成された空気流経路(612`、612``)とを備え(空気流経路の異なる部分が、電子タバコ内のヒータの位置に応じて、それぞれ空気と、空気中に浮遊する蒸気とを運ぶ)、その空気流経路は、電子タバコが電子呼気アルコール試験装置と相互作用しているときに、電子呼気アルコール試験装置と(例えば、空気流経路と相互作用するシュノーケルによって)協働して、(例えば、弁42、42`を用いることにより、または可撓性であることにより)電子タバコ内への吐出中に使用者からの呼気を空気流経路の少なくとも一部に沿って電子呼気アルコール試験装置へ搬送するように構成されている。この電子タバコは、該タバコが電子呼気アルコール試験装置と(例えば、図示しない電気接点を介して)相互作用しているときに、電子呼気アルコール試験装置に電力を供給するように構成されている。
【0114】
この概略実施形態の一例では、電子タバコが、先の概略実施形態で前述したように、電子呼気アルコール試験装置から計測信号を受信するように構成された制御ユニット50を備える。
【0115】
この例では、制御ユニットが、その後、受信した信号に基づいてアルコールレベル(本書で前述したように、呼気アルコールレベル、または血中アルコールレベルのいずれか)を計算してもよい。
【0116】
この例でも同様に、電子タバコが無線通信ユニット55を備えてもよく、ここで、制御ユニットは、この無線通信ユニットに、受信した計測信号および計算されたアルコールレベルからなるリストから選択される1つ以上を遠隔装置(Bluetooth(登録商標)を使用してペアリングされた移動体端末など)に送信させるように構成される。
【0117】
本書に記載される電子タバコの他の特徴も、この概略実施形態の各例に組み込むことができる。
【0118】
本発明の別の概略実施形態では、電子呼気アルコール試験装置40は、電子タバコ10と相互作用して使用者監視システムとして動作するように構成され、この電子呼気アルコール試験装置は、アルコールセンサ46と、電子タバコの空気流経路(612、612`、612``)と相互作用するためのシュノーケル(44、44`)と、電子タバコから電子呼気アルコール試験装置の動作のための電力を取得するための電気接点(図示せず)とを備える。
【0119】
この概略実施形態の一例では、電子呼気アルコール試験装置は、(例えば、図9Aおよび図9Bのように、シュノーケルと係合して空気流をその中に流入させることによって、または図10Aおよび図10Bのように、空気流経路の中に入ることで、空気流経路を部分的または完全に遮断し、電子呼気アルコール試験装置の中へ空気流を迂回させることによって、または図11のように、既存の空気流経路を部分的に置き換えるように空気流経路を修正することによって)シュノーケルが電子タバコの空気流経路と相互作用する位置へシュノーケルを移動させるためのアクチュエータを備える。
【0120】
この概略実施形態の別の例では、電子呼気アルコール試験装置が、電子タバコへの取り付け位置において電子タバコの外周輪郭と合致するように成形されている。電子呼気アルコール試験装置が電子タバコの側面に取り付けられる場合、この成形は、呼気アルコール試験装置のうち電子タバコと接触する部分に適用することができる。電子呼気アルコール試験装置が電子タバコの1つ以上の部分と直列に取り付けられる場合、この成形は、電子呼気アルコール試験装置自体の全周に適用してもよい。当然ながら、電子呼気アルコール試験装置が、図12のように、電子タバコの2つの既存の構成要素の間、例えば制御ユニット20とカトマイザ30との間に配置される場合、電子呼気アルコール試験装置は、該装置の各端部が、電子タバコのうち該装置が接合される対応する構成要素の周囲輪郭と合致するように、その長さに沿って成形されていてもよい。
【0121】
この概略実施形態の別の例では、アルコールセンサからの信号が電子タバコに送信される。典型的には、これは、電子呼気アルコール試験装置と電子タバコとの間の電気接続(図示せず)を介して行われる。
【0122】
当然ながら、原則として、電子呼気アルコール試験装置は、代わりに、電子タバコに無線で信号を送信することができる。しかしながら、電子呼気アルコール試験装置は、電子タバコから電力を引き出す電気接点を既に備えているので、これは、より複雑な手法である可能性が高い。
【0123】
同様に当然ながら、原則として、電子呼気アルコール試験装置は、電子タバコの無線通信ユニットを使用する必要なく、信号を無線で移動体端末に直接送信することも可能である。しかし、当然ながら、これは、使用者監視システム内の無線通信機器をむだに複製することになる可能性が高く、更に、電子呼気アルコール試験装置が電子タバコの空気流経路と係合する位置に移動されたときにのみ電力を受け取る場合は、移動体端末と適時にペアリングを成功させることができず、その結果、使用者は、信号データが代わりに電子タバコ自体に直接渡される場合に必要となる時間よりも長い時間にわたって、電子呼気アルコール試験装置を電気的に係合された位置に維持する必要がある。
【0124】
本発明の別の概略実施形態では、移動体端末400が、プロセッサ410と、ディスプレイ418と、無線通信ユニット440とを備え、この無線通信ユニットが、電子タバコ10およびこの電子タバコに着脱可能に係合される電子呼気アルコール試験装置40を備える使用者監視システムの該電子タバコ10から信号を受信するように構成されている。この信号は、使用者によって電子タバコのマウスピース内に吐出された呼気試料中のアルコールの量に反応し、プロセッサは、受信した信号に基づいて、ディスプレイに、移動体端末の使用者に対してアルコールレベルを示すように構成されている。このアルコールレベルは、呼気アルコールレベルであっても、血中アルコールレベルであってもよい。ディスプレイ上の表示は、定量的(例えば、血液1ミリリットルあたりのアルコールレベル)および/または定性的(例えば、アルコールレベルが法定限度を超えるか否か)であってもよい。
【0125】
この概略実施形態の一例では、移動体端末が、移動体端末の位置を検出するための位置検出回路(例えば全地球測位システム受信機であるが、プロセッサがデータを解析し、移動体端末と1つ以上の基地局との間の従来の通信に含まれる国コード、州コード、基地局識別子、または他の位置依存データに基づいて位置の識別を可能にするように構成されてもよい。)を備え、プロセッサは、(例えば、血液アルコール濃度の法定限度をそれぞれの国、州などに結び付けるルックアップテーブルを使用することによって)アルコールレベルが移動体端末の位置に関連付けられた法定限度を超えるか否かをディスプレイに示させるように構成されている。
【0126】
当然ながら、上述の方法は、場合に応じてソフトウェア命令によって、または専用ハードウェアの含有もしくは置換によって適切に改修された従来のハードウェア上で実行してもよい。
【0127】
したがって、従来の等価装置の既存部品に対する必要な改修は、フロッピーディスク、光ディスク、ハードディスク、PROM、RAM、フラッシュメモリ、またはこれらもしくは他の記憶媒体の任意の組合せなどの非一時的機械可読媒体上に記憶されたプロセッサ実施可能命令を備えるコンピュータプログラム製品の形態で実装してもよいし、ASIC(特定用途向け集積回路)もしくはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)または従来の等価装置の改修に使用するために適した他の構成可能な回路として、ハードウェアで実現してもよい。これとは別に、そのようなコンピュータプログラムは、イーサネット、無線ネットワーク、インターネット、またはこれらもしくは他のネットワークの任意の組み合わせなどのネットワーク上のデータ信号を介して送信されてもよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A-9B】
図10A-10B】
図11
図12