(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ペンホルダーユニット
(51)【国際特許分類】
G06F 3/03 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
G06F3/03 400E
(21)【出願番号】P 2018230699
(22)【出願日】2018-12-10
【審査請求日】2021-12-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000139403
【氏名又は名称】株式会社ワコム
(74)【代理人】
【識別番号】100091546
【氏名又は名称】佐藤 正美
(74)【代理人】
【識別番号】100206379
【氏名又は名称】丸山 正
(72)【発明者】
【氏名】ティロ ナオキ ホルヌング
【審査官】菅原 浩二
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/026377(WO,A1)
【文献】登録実用新案第3152855(JP,U)
【文献】特開2009-101033(JP,A)
【文献】特開2015-088705(JP,A)
【文献】特開2018-118464(JP,A)
【文献】登録実用新案第3182660(JP,U)
【文献】特表平08-511372(JP,A)
【文献】米国特許第05461204(US,A)
【文献】登録実用新案第3005303(JP,U)
【文献】特開平11-078343(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/03
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子ペンによる指示入力が可能な電子機器に対して、前記電子ペンを取り付けるようにするためのペンホルダーユニットであって、
変形可能なシート状材料の対向する端部部分を重ね合わせることにより形成され、前記電子ペンが挿入される筒状部と前記端部部分が重ね合わされた被挟持部とからなるホルダー部と、
第1板部と第2板部とからなり、前記ホルダー部の前記被挟持部を前記第1板部と前記第2板部とで挟持して保持し、前記電子機器の装着口に挿入される挿入部と
を備え
、
前記挿入部は、前記電子機器の前記装着口に挿入された後において、前記装着口から取り外すこともできるようにされており、
前記挿入部には、前記電子ペンの交換可能な芯体の格納部と前記電子ペンの交換可能な芯体を前記電子ペンから取り外す場合に使用する芯抜き部との一方または両方が設けられていることを特徴とするペンホルダーユニット。
【請求項2】
電子ペンによる指示入力が可能な電子機器に対して、前記電子ペンを取り付けるようにするためのペンホルダーユニットであって、
変形可能なシート状材料の対向する端部部分を重ね合わせることにより形成され、前記電子ペンが挿入される筒状部と前記端部部分が重ね合わされた被挟持部とからなるホルダー部と、
第1板部と第2板部とからなり、前記ホルダー部の前記被挟持部を前記第1板部と前記第2板部とで挟持して保持し、前記電子機器の装着口に挿入される挿入部と
を備え
、
前記挿入部は、前記電子機器の前記装着口に挿入された後において、前記装着口から取り外すこともできるようにされており、
前記挿入部には、前記電子ペンの交換可能な芯体の格納部が設けられており、前記格納部の側面側には、格納された芯体の後端部を押圧し、格納部から芯体を押し出すようにするための穴部が設けられていることを特徴とするペンホルダーユニット。
【請求項3】
請求項1
または請求項2に記載のペンホルダーユニットであって、
前記ホルダー部は、柔軟性のあるシート状材料により構成とされていることを特徴とするペンホルダーユニット。
【請求項4】
請求項1
または請求項2に記載のペンホルダーユニットであって、
前記ホルダー部は、布製であることを特徴とするペンホルダーユニット。
【請求項5】
請求項1
または請求項2に記載のペンホルダーユニットであって、
前記挿入部の長手方向の幅は、前記ホルダー部の長手方向の幅よりも長いことを特徴とするペンホルダーユニット。
【請求項6】
請求項1
または請求項2に記載のペンホルダーユニットであって、
前記ホルダー部は、前記挿入部に挟持されている前記被挟持部を支点として、前記挿入部側へ回動可能になっていることを特徴とするペンホルダーユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えばタブレットPC(Personal Computer)などの、電子ペンによる指示入力が可能な電子機器に対して、電子ペンを取り付けておくことができるようにするためのペンホルダーユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
比較的に大きな表示画面を有する、例えばLCD(Liquid Crystal Display)などの薄型の表示装置と、位置検出センサとを備えたタブレットPCなどの電子機器が広く利用されるようになってきている。この様な電子機器に対しては、いわゆる電子ペンを用いることによって細かな指示入力を行うことができるものも多い。そして、タブレットPCなどの電子機器は、表示画面の傾きを変えて、作業しやすい姿勢となるようにして利用される。また、持ち運ばれて使用者(ユーザ)が手に持ったままの状態で使用される場合もある。
【0003】
このため、電子ペンを使用していない場合に、電子ペンをタブレットPCなどの電子機器の操作面上に置いておくことは事実上不可能であり、電子ペンを使用していない場合の安定した置き場所を特別に設ける必要がある。主に机上で用いられるタブレットPCなどの場合には、電子ペン専用のペン立てが用いられている場合がる。また、持ち運ばれて使用されることの多いタブレットPCなどの場合には、当該タブレットPCなどの電子機器に対して電子ペン用のペンホルダーを取り付けることが考えられてきた。
【0004】
例えば、後に記す特許文献1には、携帯用情報機器の小型化・薄型化に影響を及ぼすことなくペンを保持することができ、しかも高い汎用性を得ることができるペンホルダー等に関する発明が開示されている。特許文献1に開示されたペンホルダーは、電子機器のUSB雌コネクタに接続可能にされた雄コネクタの形状であって樹脂製部品の接続部(34)と、ゴム材料で形成されたペン保持部(36)とからなるものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたペンホルダーの場合、特許文献1に開示された図面からも分かるように、ペン保持部36は直方体形状で、電子ペンを立てた状態でも保持可能なものであり、ある程度の硬質性を備えたものである。このため、特許文献1に開示されたペンホルダーの場合には、これが接続される電子機器の使用の邪魔になる場合があると考えられる。また。ペン保持部(36)部分を周囲の障害物にぶつけるなどする可能性もあり、この場合には、ペンホルダーを破損させしまう可能性があると考えられる。
【0007】
そこで、容易に破損することがないように、例えば硬質樹脂によって形成した筒状体をペンホルダーとしてタブレットPCなどの電子機器に取り付けることが考えられる。しかし、硬質樹脂の筒状体の場合、滑りやすく、電子ペンをしっかりと保持できない場合がある。特に電子機器を持ち運ぶような場合には、当該筒状体に差し込んだ電子ペンがすっぽ抜けてしまう場合があると考えられる。
【0008】
このため、例えば布製の筒状体を電子機器に対して取り付けて構成するペンホルダーが考えられる。布製のペンホルダーであれば、多少伸び縮みすることもあり、差し込んだ電子ペンが容易にすっぽ抜けることもない。また、布製のペンホルダーの場合、電子ペンが差し込まれていないときには、容易に変形することができるので、使用の邪魔になったり、ぶつけるなどして破損したりすることもない。
【0009】
しかし、布製のペンホルダーは、容易に変形し、硬質樹脂のような強度もないので、電子機器に対して外れることがないように強固に取り付けるのは難しい。このため、布製のペンホルダーは、電子機器の製造工程の中で電子機器に対して直接に強固に固定することが考えられる。この場合、電子機器の製造工程において、ペンホルダーの取り付け工程が増えてしまう。また、ペンホルダーが必要ない使用者にもペンホルダー付きの電子機器が提供されてしまうし、また、必要になってからペンホルダーを取り付けたいと考える使用者の要求にも答えられない。
【0010】
以上のことに鑑み、この発明は、電子機器への取り付けが容易で、電子ペンを確実に保持することができ、かつ、電子ペンが装着されていない場合には使用の邪魔になることもないペンホルダーユニットを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するため、
電子ペンによる指示入力が可能な電子機器に対して、前記電子ペンを取り付けるようにするためのペンホルダーユニットであって、
変形可能なシート状材料の対向する端部部分を重ね合わせることにより形成され、前記電子ペンが挿入される筒状部と前記端部部分が重ね合わされた被挟持部とからなるホルダー部と、
第1板部と第2板部とからなり、前記ホルダー部の前記被挟持部を前記第1板部と前記第2板部とで挟持して保持し、前記電子機器の装着口に挿入される挿入部と
を備え、
前記挿入部は、前記電子機器の前記装着口に挿入された後において、前記装着口から取り外すこともできるようにされており、
前記挿入部には、前記電子ペンの交換可能な芯体の格納部と前記電子ペンの交換可能な芯体を前記電子ペンから取り外す場合に使用する芯抜き部との一方または両方が設けられていることを特徴とするペンホルダーユニットを提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施の形態のペンホルダーユニットが用いられる電子機器の外観図である。
【
図2】実施の形態のペンホルダーユニットの正面側から見た場合の斜視図と背面側から見た場合の斜視図である。
【
図3】実施の形態のペンホルダーユニットの正面図と背面図である。
【
図4】実施の形態のペンホルダーユニットの底面図である。
【
図5】実施の形態のペンホルダーユニットの挿入部に設けられる芯抜き部と替え芯の格納部について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図を参照しながらこの発明によるペンホルダーユニットの実施の形態について説明する。
図1は、この実施の形態のペンホルダーユニット1が用いられる電子機器3の外観図である。電子機器3は、比較的に大きな表示画面を有するLCDなどの薄型の表示装置31と、当該表示画面の全面に対応した位置検出センサ32とが搭載され、電子ペン2による指示入力が可能なタブレットPCなどとよばれる情報処理装置である。
【0015】
使用者は、電子ペン2による指示入力がしやすいように、電子機器3を机などの上に傾けて配置して使用したり、また、携帯して手に持ったまま使用したりする。従来、電子ペン2を使用していない場合には、電子ペン2を、電子機器3の近傍に置いておいたり、使用者のポケットや鞄などに入れておいたりしていた。これでは、電子ペン2を紛失したり、迅速に取り出せなかったりする場合がある。
【0016】
そこで、電子機器3には、ペンホルダーユニット1を装着するための装着口が設けられている。そして、
図1に示すように、ホルダー部10と挿入部20とからなるペンホルダーユニット1を構成し、当該挿入部20を電子機器3の装着口に挿入するだけで、ペンホルダーユニット1を電子機器3に対して装着できるようにしている。そして、電子機器3に装着されたペンホルダーユニット1のホルダー部10に電子ペン2を差し込んでおけば、電子ペン2を簡単かつ確実に電子機器3に対して装着できる。
【0017】
これにより、電子ペン2を使用していない場合にが、電子ペン2をペンホルダーユニット1のホルダー部10に差し込んでおくことにより、電子ペン2を常に電子機器3に対して安定して付随させておくことができる。これにより、電子ペン2を紛失したり、電子ペン2を迅速に取り出せなかったりするといった不都合を解消できる。以下、この実施の形態のペンホルダーユニット1の構成について具体的に説明する。
【0018】
図2は、ペンホルダーユニット1を正面側から見た場合の斜視図(
図2(A))と背面側から見た場合の斜視図(
図2(B))である。また、
図3は、ペンホルダーユニット1の正面図(3(A))と背面図(
図3(B)である。また、
図4は、ペンホルダーユニット1の底面図である。
図2~
図4に示すように、この実施の形態のペンホルダーユニット1は、ホルダー部10と挿入部20との2つの部分から構成される。
【0019】
ホルダー部10は、
図3および
図4に示すように、変形可能なシート状材料の対向する端部部分を重ね合わせることにより、筒状になった筒状部11と、当該端部部分が重ね合わせられて板状になった被挟持部12とからなる。筒状部11は、電子ペン2が差し込まれて、これを保持する部分となる。被挟持部12は、後述する挿入部20に取り付けるための部分となる。
【0020】
この実施の形態において、ホルダー部10を形成する変形可能なシート状材料は、例えば長方形状のものである。そして、当該シート状材料について、折り目を付けずに長辺を二つ折りにするようにして対向する短辺の位置を揃え、当該短辺から所定の長さ分(例えば6~7mm程度)を重ね合わせた部分を形成する。これにより、上述したように、筒状部11と被挟持部12とからなるホルダー部10が形成される。
【0021】
なお、
図3、
図5を見ると分かるように、挿入部20の長手方向の長さ(長辺の長さ)は、ホルダー部10の電子ペン2が抜き差しされる方向(長手方向)の長さよりも長くされている。これにより、挿入部20が、ホルダー部10の被挟持部12の長手方向の全体を挟持することができる。従って、ホルダー部10の筒状部11の開口の位置が、挿入部20に対してずれ電子ペンが挿入し難くなるといった不都合を防止することができる。
【0022】
この場合、ホルダー部10の筒状部11は、
図1に示したように、これに差し込まれる電子ペン2の一番太い部分の直径よりも短い直径を有するものとされている。これにより、電子ペンを筒状部11に簡単に差し込むことができ、また、差し込まれた電子ペン2が筒状部11から簡単に抜け落ちてしまうことがない。また、ホルダー部10は変形可能なシート状材料で形成されているので、電子ペン2を差し込むと筒状部11は若干伸び縮みし、筒状部11の内側の面と電子ペン2の側面とで密着する部分が生じ、電子ペン2を安定に筒状部11に保持できる。
【0023】
また、シート状材料が重ね合わせられて形成された被挟持部12の筒状部11の電子ペン2が抜き差しされる方向に交差する方向の長さは、この実施の形態においては、上述したように例えば6mm~7mm程度とされている。しかし、これに限るものではない。被挟持部12の重ね合わせ部分の長さは、詳しくは後述する挿入部20に対して、強固に固定可能な適宜の長さとされる。
【0024】
なお、ホルダー部10を形成する変形可能なシート状材料は、柔軟性(Flexibility)を備えたシート状の材料であればよい。具体的には、布(合成繊維や天然繊維が用いられて織られた織物)、合成皮革、天然皮革、フェルト(不織布)、合成ゴム、天然ゴム、ビニールなどを用いることができる。すなわち、ホルダー部10を形成する変形可能なシート状材料は、柔軟性と容易に裂けることのないある程度の強度を備えた種々の材料をシート状にしたものであれば、これを用いることができる。この実施の形態において、ホルダー部10は、布製のものである。
【0025】
挿入部20は、
図1を用いて説明したように、電子機器3に設けられた装着口に対して挿入されることにより、ペンホルダーユニット1を電子機器3に装着する機能を実現する。挿入部20は、
図2に示したように、硬質材料により形成された2枚の板部である第1板部21と第2板部22とからなる。第1板部21は長方形状の板状体であるが、
図2(A)に示したようにその両方の短辺部分をL字状(鉤状)に形成して側壁を設けた形状を有する。当該側壁の内側面は平坦であるが、外側面は円弧状に丸みを帯びている。
【0026】
第2板部22は、第1板部21とは異なり、
図2(A)に示したように、側壁を備えない1枚の長方形状の平坦な板状体ある。第2板部22の短辺の長さは第1板部21の短辺の長さと同じであるが、第2板部22の長辺の長さは、第1板部21の両方の短辺側の側壁間の長さ(一方の側壁の内側面から他方の側壁の内側面までの長さ)よりも若干長くされている。
【0027】
そして、
図2(A)に示したように、第1板部21の側壁間に、第2板部22を対応する長辺と短辺とを合わせて重ね合わせるようにして押し込むと、第2板部22は、第1板部21の両方の短辺側に設けられている側壁間に挟み込まれて嵌合する。これにより、第1板部21と第2板部22とが容易には離れることがない挿入部20が形成される。実際には、
図2~
図4に示したように、ホルダー部10の被挟持部12が、挿入部20を構成する第1板部21と第2板部22との間に挟持される。これにより、ホルダー部10が挿入部20に取り付けられ、ホルダー部10と挿入部20とからなるペンホルダーユニット1が構成される。
【0028】
なお、挿入部20を構成する第1板部21と第2板部22とは、硬質樹脂や金属などによって形成できる。硬質樹脂としては、ポリ塩化ビニール樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレン樹脂などの硬質化した状態で所定の硬度を有する種々のものを用いることができる。また、第1板部21と第2板部22との対向面、第1板部21と被挟持部12の対向面、第2板部22と被挟持部12の対向面は、接着剤により接着してもよい。
【0029】
また、第1板部21と第2板部22との一方には突起を設け、他方には当該突起に嵌合する穴部を設け、突起を穴部に嵌合させて、第1板部21と第2板部22とを離れないようする構成を用いることもできる。この場合、突起と穴部の形状は種々の態様とすることができる。
【0030】
そして、ホルダー部10は、上述もしたように、変形可能なシート状材料により形成されている。このため、
図4において矢印が示すように、第1板部21と第2板部22とで挟まれた被挟持部12と筒状部11との境界部分(接合部分)を中心にして、筒状部11は上方向と下方向とのそれぞれに回動可能となる。これにより、
図1に示したように、電子機器3にペンホルダーユニット1が装着され、更にペンホルダーユニット1のホルダー部10に電子ペン2が差し込まれているときに、電子ペン2対して多少の外力が加わっても、当該外力を逃がすことができる。
【0031】
このようにして、ホルダー部10と挿入部20とからなり、挿入部20を電子機器3の装着口に挿入するだけで簡単に装着できるペンホルダーユニット1が実現できる。また、ペンホルダーユニット1は、電子機器3の装着口から取り外すこともできるようになっている。そこで、この実施の形態のペンホルダーユニット1の場合には、ペンホルダーユニット1の挿入部20に対して、電子ペン2の替え芯に関する工夫がなされている。具体的には、ペンホルダーユニット1の挿入部20に芯抜き部と替え芯格納部を設けている。
【0032】
図5は、ペンホルダーユニット1の挿入部20に設けられる芯抜き部と替え芯格納部について説明するための図である。電子ペン2は、これに用いられている芯体2Xの交換が可能なものである。芯体2Xは、
図5の下側に芯体2X(3)として示したように、芯棒2aとペン先2bとからなる。芯体2Xが電子ペン2に装着されると、ペン先2bを電子機器3の表示画面に対応して設けられた保護ガラス上(操作面上)に接触させることにより、また、接触させた状態で移動させることにより、指示入力を行うことになる。従って、芯体2Xのペン先2bはすり減ってしまうため、細かな指示入力を適切に行うためには、芯体2Xを適宜のタイミングで交換する必要がある。
【0033】
芯体2Xは、例えば、芯棒2aの直径が2mm以下で、芯棒2aとペン先2bとを含めた長さが2cm以下といった細くて短いものである。芯体2Xは、容易に外れてしまうことがないように電子ペン2内に装着されるが、細くて短い芯体2Xを交換する場合には手間をかけることなく簡単に取り外せることが望ましい。また、いわゆるシャープペンシルの替え芯と同様に、替え芯として用いられる細くて短い芯体2Xを、紛失することなく、また、破損することなく、いつでも使用できるように使用者が保持しておこくとは難しい。そこで、この実施の形態のペンホルダーユニット1においては、挿入部20に芯抜き部と替え芯格納部とを設けている。
【0034】
芯抜き部は、
図2(A)、
図3(A)にも示し、また、
図5にも拡大して示すように、円形の穴部23と金属板23aとからなる。穴部23は、挿入部20の第1板部21と第2板部22とに渡って同じ位置に設けられたものである。金属板23aは、穴部23の直径よりも大きな直径を有し、かつ、中央に貫通孔を有するドーナツ形状のものである。この金属板23aを、金属板23aの貫通孔が穴部23の中央に位置するようにして第1板部21と第2板部22とによって挟み込んで固定することにより、芯抜き部を構成する。この芯抜き部の金属板23aの貫通穴に電子ペン2に装着されている芯体2Xのペン先2bを差し込んで引っ掛けてから引き出すようにすることで、芯体2Xを電子ペン2から簡単に引き抜くことができる。
【0035】
また、替え芯格納部は、
図2(A)、
図3(A)にも示し、また、
図5に拡大して示すように、まず、挿入部20の第1板部21と第2板部22とに渡って同じ位置に楕円形の穴部24を設ける。この穴部24は、使用者の指先などが入り込める程度の大きさ(面積)を有する。そして、
図5において点線で示すように、挿入部20の底面(短辺側の面)から穴部24に向かって替え芯としての芯体2Xを格納するための貫通孔25a、25b、25cを設ける。このように、穴部24と貫通孔25a、25b、25cとによって、替え芯格納部が構成される。
【0036】
そして、貫通孔25a、25b、25cのそれぞれに替え芯としての芯体2X(a)、2X(2)、2X(3)を挿入して格納しておく。替え芯が必要な場合には、電子機器3の装着口に装着されているペンホルダーユニット1を取り外す。そして、挿入部20の穴部24に使用者の指先などを挿入し、目的とする芯体2X(1)、2X(2)、2X(3)の芯棒2aの後端部端部を底面側に押し出すようにする。これにより、目的とする替え芯が貫通孔25a、24b、25cから押し出されるので、これを引き抜いて使用する。
図5に示した例の場合には、芯体2X(3)が貫通穴25cから押し出されて、引き抜かれた場合を示している。
【0037】
なお、貫通孔25a、25b、25cが設けられる部分の材質は、弾力性のある材料を用いるようにすることが好ましい。例えば、貫通孔25a、25b、25cは、第1板部21と第2板部22との対応する部分のそれぞれに溝を形成するようにして設け、この部分の第1板部21側と第2板部22側とのそれぞれにゴムシートを設けるようにする。これにより、貫通孔25a、25b、25cに挿入された替え芯としての芯体2X(1)、2X(2)、2X(3)は、ゴムシートにより挟み込まれ、容易に抜け落ちることがないように、安定して保持しておくことができる。
【0038】
この場合、芯体2X(1)、2X(2)、2X(3)は、ゴムシートにより挟み込まれているだけなので、替え芯としての芯体2X(1)、2X(2)、2X(3)を取り出す際にも大きな力を掛ける必要はない。上述したように、貫通孔25a、25b、25cに装填された芯体2X(1)、2X(2)、2X(3)の後端部を、穴部24に指先を入れて底面側に押し出すことにより、安全に取り出すこともできる。
【0039】
また、挿入部20の第1板部21に設けられる穴部26a、26bと、第2板部22に設けられる穴部26c、26dは、電子機器3の装着穴の対応部分に設けられる係止突起と嵌合するためのものである。これにより、電子機器3の装着口に挿入部20を挿入することにより装着されたペンホルダーユニット1が、簡単に電子機器3から外れてしまうことを防止することができる。しかし、ペンホルダーユニット1を電子機器3から取り外す場合には、ある程度の力を入れて引き出すことにより、電子機器3からペンホルダーユニット1を取り外すこともできる。
【0040】
[実施の形態の効果]
上述した実施の形態のペンホルダーユニット1は、布製のホルダー部10と硬質樹脂などにより形成された挿入部20とから構成されている。このため、電子機器3に設けられた装着口に対して、挿入部20を挿入するといった簡単な操作で、ペンホルダーユニット1を電子機器3に対して装着できる。しかも、ホルダー部10は布製であるので、これに差し込まれた電子ペン2の側面と、ホルダー部10の筒状部11の内面とが密接に接触し、電子ペン2をホルダー部10に確実に保持することができる。これにより、電子ペン2を使用していない場合であっても、電子機器3に対して電子ペン2を付随させておくことができる。従って、電子ペン2を紛失したり、電子ペン2を取り出すまでに時間がかかったりするといった不都合を生じさせることがないようにできる。
【0041】
また、ホルダー部10は布製であり柔軟性があるので、電子ペン2をペンホルダーユニット1に装着していない場合には容易に変形し、ペンホルダーユニット1が使用の邪魔になるといった不都合を生じさせることもない。また、電子機器3に取り付けたペンホルダーユニット1は取り外すこともできる。すなわち、ペンホルダーユニット1は、電子機器3に対して着脱可能なものである。このため、ペンホルダーユニット1の挿入部20に対して、芯抜き部や替え芯保持部を設け、これを活用することができる。従って、電子ペン2が芯体の交換が可能なものである場合に、芯体の交換を容易に、替え芯を安全に保持する機能をペンホルダーユニット1に付加できる。
【0042】
[変形例]
ホルダー部10の筒状部11の直径は全範囲に渡って同じである必要はなく、電子ペン2を差し込む側の直径は長く、差し込む側から離れるに従って直径を短くするように構成してもよい。すなわち、ホルダー部10の筒状部11の形状は、これに差し込まれる電子ペン2の形状に応じて、適宜の形状とすることができる。また、ホルダー部10の筒状部11は、1つの筒状体によって構成するのではなく、複数の筒状体を連続させるようにして構成してもよい。
【0043】
また、ホルダー部10の挿入部20は、長方形状に限るものではない。電子機器3側に設けられる装着口の形状に応じて、正方形状、台形状などの適宜の形状とすることができる。
【0044】
また、上述した実施の形態のペンホルダーユニット1の場合には、電子機器3の装着口内に設けられる係止突起に嵌合する穴部26a、26bを第1板部21に設け、穴部26c、26dを第2板部22に設けたが、これに限るものではない。例えば、電子機器3の装着口内に芯抜き部を構成する穴部23に対応する係止突起を設けたり、また、電子機器3の装着口内に替え芯格納部を構成する穴部24に対応する係止突起を設けたりすることにより、係止突起専用の穴部を設けないようにすることもできる。
【0045】
また、上述した実施の形態のペンホルダーユニット1の替え芯格納部は、2つの貫通孔25a、25b、25cを設けたが、これに限るものではない。すなわち、替え芯格納の貫通孔は、設けることが可能な範囲内で1つ以上の適宜の数とすることができる。また、芯抜き部と替え芯格納部の一方だけを挿入部20に設けるようにすることも可能である。
【0046】
また、電子機器3側の異なる部分に装填口を複数個設けるようにすることによって、ペンホルダーユニット1を複数個用意すれば、複数のペンホルダーユニット1を電子機器3に装着できる。また、電子機器3の使用態様に応じて、一番使いやすい場所の装填口にペンホルダーユニット1を装着して使用することもでき得る。
【0047】
また、色違いのペンホルダーユニット1を容易しておくことにより、使用者は、自分が好みの色のペンホルダーユニット1を用いるようにすることができる。また、使用者は、その時々の気分によって色の異なるペンホルダーユニット1を用いるようにして楽しむこともできる。
【0048】
また、上述した実施の形態では、挿入部20は、第1板部21と第2板部22との2枚の板部によって構成したがこれに限るものではない。例えば、1枚の板状部材を半分に折り曲げることにより、第1板部と第2板部とを構成するようにしてももちろんよい。
【符号の説明】
【0049】
1…ペンホルダーユニット、10…ホルダー部、11…筒状部、12…被挟持部、20…挿入部、21…第1板部、22…第2板部、23…穴部(芯抜き部用)、23a…金属板(芯抜き部用)、24…穴部(替え芯格納部用)、25a、25b、25c、25d…貫通孔(替え芯格納部用)、26a、26b、26c、26d…穴部(係止突起用)、2…電子ペン、2A…芯体、2B…ペン先、2A(1)、2A(2)、2A(3)…替え芯、3…電子機器(タブレットPC)、31…表示装置(LCD)、32…位置検出センサ