(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】経路決定方法、情報処理装置、車載機器及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20221109BHJP
G06F 3/0488 20220101ALI20221109BHJP
G08G 1/0969 20060101ALI20221109BHJP
G09B 29/00 20060101ALI20221109BHJP
G09B 29/10 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01C21/34
G06F3/0488
G08G1/0969
G09B29/00 A
G09B29/10 A
(21)【出願番号】P 2017145795
(22)【出願日】2017-07-27
【審査請求日】2019-10-10
【審判番号】
【審判請求日】2021-09-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】501271479
【氏名又は名称】株式会社トヨタマップマスター
(73)【特許権者】
【識別番号】500578216
【氏名又は名称】株式会社ゼンリンデータコム
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】花井 三晴
(72)【発明者】
【氏名】東 大介
【合議体】
【審判長】山本 信平
【審判官】木村 麻乃
【審判官】鈴木 充
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-77296(JP,A)
【文献】特開2010-256069(JP,A)
【文献】特開2003-172628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C21/00-21/36
G01C23/00-25/00
G08G1/00-99/00
G09B23/00-29/14
G06F3/01
G06F3/048-3/0489
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置又は車載機器が行う出発地から目的地までの案内経路を決定する経路決定方法であって、
前記出発地から前記目的地までの初期経路を検索する経路検索手順と、
ユーザが通りたくない回避経路及び前記ユーザが通りたい通過経路を指定する指定手順と、
前記初期経路に前記回避経路が含まれる場合に、前記初期経路に含まれる前記回避経路を他の経路に変更して前記初期経路を変更経路にすると共に、前記初期経路に前記通過経路が含まれない場合に、前記通過経路を含むように前記初期経路を変更して変更経路にする変更手順と
を含み、
前記指定手順では、地図が表示され、
前記ユーザが前記地図
を前記目的地側から前記出発地側に向かってなぞる第1の操作を入力して、前記第1の操作に対応する部分を前記回避経路に設定し、前記ユーザが前記地図
を前記出発地側から前記目的地側に向かってなぞる第2の操作を入力して、前記第2の操作に対応する部分を前記通過経路に指定する経路決定方法。
【請求項2】
前記変更経路は、車両が通行できることが確認された経路である請求項
1に記載の経路決定方法。
【請求項3】
前記経路検索手順で前記初期経路を検索して、前記初期経路を出力し、
前記初期経路が出力された後、前記指定手順を行う請求項1
又は2に記載の経路決定方法。
【請求項4】
前記出発地及び前記目的地が入力され、かつ、前記指定手順で前記回避経路を指定すると、前記経路検索手順及び前記変更手順を行う請求項1乃至
3のいずれか1項に記載の経路決定方法。
【請求項5】
出発地から目的地までの案内経路を決定する情報処理装置であって、
前記出発地から前記目的地までの初期経路を検索する経路検索部と、
ユーザが通りたくない回避経路及び前記ユーザが通りたい通過経路を指定する指定部と、
前記初期経路に前記回避経路が含まれる場合に、前記初期経路に含まれる前記回避経路を他の経路に変更して前記初期経路を変更経路にすると共に、前記初期経路に前記通過経路が含まれない場合に、前記通過経路を含むように前記初期経路を変更して変更経路にする変更部と
を含み、
前記指定部は、地図を表示し、
前記ユーザが前記地図
を前記目的地側から前記出発地側に向かってなぞる第1の操作を入力して、前記第1の操作に対応する部分を前記回避経路に設定し、前記ユーザが前記地図
を前記出発地側から前記目的地側に向かってなぞる第2の操作を入力して、前記第2の操作に対応する部分を前記通過経路に指定する情報処理装置。
【請求項6】
出発地から目的地までの案内経路を決定する車載機器であって、
前記出発地から前記目的地までの初期経路を検索する経路検索部と、
ユーザが通りたくない回避経路及び前記ユーザが通りたい通過経路を指定する指定部と、
前記初期経路に前記回避経路が含まれる場合に、前記初期経路に含まれる前記回避経路を他の経路に変更して前記初期経路を変更経路にすると共に、前記初期経路に前記通過経路が含まれない場合に、前記通過経路を含むように前記初期経路を変更して変更経路にする変更部と
を含み、
前記指定部は、地図を表示し、
前記ユーザが前記地図
を前記目的地側から前記出発地側に向かってなぞる第1の操作を入力して、前記第1の操作に対応する部分を前記回避経路に設定し、前記ユーザが前記地図
を前記出発地側から前記目的地側に向かってなぞる第2の操作を入力して、前記第2の操作に対応する部分を前記通過経路に指定する車載機器。
【請求項7】
出発地から目的地までの案内経路を決定する経路決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記出発地から前記目的地までの初期経路を検索する経路検索手順と、
ユーザが通りたくない回避経路及び前記ユーザが通りたい通過経路を指定する指定手順と、
前記初期経路に前記回避経路が含まれる場合に、前記初期経路に含まれる前記回避経路を他の経路に変更して前記初期経路を変更経路にすると共に、前記初期経路に前記通過経路が含まれない場合に、前記通過経路を含むように前記初期経路を変更して変更経路にする変更手順と
を実行させ、
前記指定手順では、地図が表示され、
前記ユーザが前記地図
を前記目的地側から前記出発地側に向かってなぞる第1の操作を入力して、前記第1の操作に対応する部分を前記回避経路に設定し、前記ユーザが前記地図
を前記出発地側から前記目的地側に向かってなぞる第2の操作を入力して、前記第2の操作に対応する部分を前記通過経路に指定するためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、経路決定方法、情報処理装置、車載機器及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車載機器又は携帯端末等において、出発地から目的地までの経路を検索し、案内する、いわゆるナビゲーション(navigation)を行う技術が知られている。
【0003】
例えば、まず、表示装置が、タッチスイッチが設けられた表示画面上に、地図を表示する。そして、ユーザは、地図上において目的地までのすべての経路のうち、通過したい経路を画面上において指でトレースする。そして、経路設定装置は、トレースされた経路を優先的に通過経路にして目的地までの経路を設定する。このようにして、ユーザが通過したいと希望する経路を含む目的地までの経路をユーザが適切に設定でき、かつ、ユーザが簡易に設定できる方法が知られている(例えば、特許文献1等である)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の技術では、ユーザが通りたくないと思う経路があっても、ユーザが通りたくない経路が含まれた出発地から目的地までの経路(以下「案内経路」という。)が決定される問題がある。
【0006】
そこで、本発明の実施形態に係る経路決定方法は、ユーザが通りたくない経路を考慮して案内経路を決定することを目的にする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一側面によれば、情報処理装置又は車載機器が行う出発地から目的地までの案内経路を決定する経路決定方法は、
前記出発地から前記目的地までの初期経路を検索する経路検索手順と、
ユーザが通りたくない回避経路及び前記ユーザが通りたい通過経路を指定する指定手順と、
前記初期経路に前記回避経路が含まれる場合に、前記初期経路に含まれる前記回避経路を他の経路に変更して前記初期経路を変更経路にすると共に、前記初期経路に前記通過経路が含まれない場合に、前記通過経路を含むように前記初期経路を変更して変更経路にする変更手順と
を含み、
前記指定手順では、地図が表示され、
前記ユーザが前記地図を前記目的地側から前記出発地側に向かってなぞる第1の操作を入力して、前記第1の操作に対応する部分を前記回避経路に設定し、前記ユーザが前記地図を前記出発地側から前記目的地側に向かってなぞる第2の操作を入力して、前記第2の操作に対応する部分を前記通過経路に指定する。
【0009】
また、前記変更経路は、車両が通行できることが確認された経路である。
【0010】
また、前記経路検索手順で前記初期経路を検索して、前記初期経路を出力し、
前記初期経路が出力された後、前記指定手順を行う。
【0011】
また、前記出発地及び前記目的地が入力され、かつ、前記指定手順で前記回避経路を指定すると、前記経路検索手順及び前記変更手順を行う。
【0012】
さらに、一側面によれば、出発地から目的地までの案内経路を決定する情報処理装置は、
前記出発地から前記目的地までの初期経路を検索する経路検索部と、
ユーザが通りたくない回避経路及び前記ユーザが通りたい通過経路を指定する指定部と、
前記初期経路に前記回避経路が含まれる場合に、前記初期経路に含まれる前記回避経路を他の経路に変更して前記初期経路を変更経路にする変更部と
を含み、
前記指定部は、地図を表示し、
前記ユーザが前記地図を前記目的地側から前記出発地側に向かってなぞる第1の操作を入力して、前記第1の操作に対応する部分を前記回避経路に設定し、前記ユーザが前記地図を前記出発地側から前記目的地側に向かってなぞる第2の操作を入力して、前記第2の操作に対応する部分を前記通過経路に指定する。
【0013】
さらに、一側面によれば、出発地から目的地までの案内経路を決定する車載機器は、
前記出発地から前記目的地までの初期経路を検索する経路検索部と、
ユーザが通りたくない回避経路及び前記ユーザが通りたい通過経路を指定する指定部と、
前記初期経路に前記回避経路が含まれる場合に、前記初期経路に含まれる前記回避経路を他の経路に変更して前記初期経路を変更経路にすると共に、前記初期経路に前記通過経路が含まれない場合に、前記通過経路を含むように前記初期経路を変更して変更経路にする変更部と
を含み、
前記指定部は、地図を表示し、
前記ユーザが前記地図を前記目的地側から前記出発地側に向かってなぞる第1の操作を入力して、前記第1の操作に対応する部分を前記回避経路に設定し、前記ユーザが前記地図を前記出発地側から前記目的地側に向かってなぞる第2の操作を入力して、前記第2の操作に対応する部分を前記通過経路に指定する。
【0014】
さらに、一側面によれば、コンピュータに出発地から目的地までの案内経路を決定する経路決定方法を実行させるためのプログラムは、
前記出発地から前記目的地までの初期経路を検索する経路検索手順と、
ユーザが通りたくない回避経路及び前記ユーザが通りたい通過経路を指定する指定手順と、
前記初期経路に前記回避経路が含まれる場合に、前記初期経路に含まれる前記回避経路を他の経路に変更して前記初期経路を変更経路にすると共に、前記初期経路に前記通過経路が含まれない場合に、前記通過経路を含むように前記初期経路を変更して変更経路にする変更手順と
を実行させ、
前記指定手順では、地図が表示され、
前記ユーザが前記地図を前記目的地側から前記出発地側に向かってなぞる第1の操作を入力して、前記第1の操作に対応する部分を前記回避経路に設定し、前記ユーザが前記地図を前記出発地側から前記目的地側に向かってなぞる第2の操作を入力して、前記第2の操作に対応する部分を前記通過経路に指定する。
【0015】
以上のような構成であると、まず、情報処理装置又は車載機器が行う経路決定方法では、出発地から目的地までの経路となる初期経路が検索される。一方で、経路決定方法では、ユーザが通りたくない回避経路が指定される。このように、回避経路が指定されると、経路決定方法では、初期経路から回避経路が除かれた変更経路を生成できる。このように、経路決定方法は、ユーザが通りたくない経路を除くように考慮した変更経路を案内経路に決定できる方法である。
【0016】
また、経路決定方法では、地図上をなぞる操作に基づいて、回避経路等が指定されると、ユーザは、直感的に分かりやすい操作で回避経路を入力できる。
【発明の効果】
【0017】
ユーザが通りたくない経路を考慮した案内経路を決定できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の一実施形態に係る情報処理装置による第1全体処理の一例を示すフローチャートである。
【
図2】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が表示する初期経路10Rの一例を示す図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る情報処理装置に回避経路10Dを入力する例を示す図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る情報処理装置に通過経路10Hを入力する例を示す図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る情報処理装置による変更経路30Rの生成例を示す図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が生成する変更経路30Rの一例を示す図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る情報処理装置が通過経路10Hを含む経路を検索する例を示す図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る情報処理装置による通過経路10Hを考慮した変更経路31Rの生成例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る情報処理装置による第2全体処理の一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る情報処理装置による第2全体処理における入力の一例を示す図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
【0020】
<ハードウェア構成例>
本発明の実施形態に係る経路決定方法は、例えば、スマートフォン、携帯電話、タブレット又はPC(Personal Computer)等の情報処理装置によって実行される。なお、本発明の実施形態に係る経路決定方法は、いわゆるカーナビゲーション(Automotive navigation system)装置等の車載機器によって実行されてもよい。以下、スマートフォン100を用いる例で説明する。
【0021】
スマートフォン100は、例えば、演算装置、制御装置、入出力装置、通信装置、記憶装置及びインタフェース等のハードウェア資源を有するハードウェア構成である。
【0022】
具体的には、演算装置及び制御装置は、例えば、CPU(Central Processing Unit)又はMPU(Micro Processing Unit)等である。また、入出力装置は、例えば、いわゆるタッチパネル等である。なお、入出力装置は、入力装置と、出力装置とに分かれたハードウェア構成でもよい。さらに、通信装置は、ネットワーク等を介して、無線又は有線によってサーバ等の外部装置とデータを送受信する装置である。さらにまた、記憶装置は、例えば、メモリ等の主記憶装置である。なお、記憶装置には、ハードディスク又はSSD(Solid State Drive)等の補助記憶装置があってもよい。また、インタフェースは、例えば、コネクタ又はアンテナ等である。そして、インタフェースは、外部装置とデータを送受信する装置である。
【0023】
なお、ハードウェア構成は、上記に説明した構成に限られない。例えば、スマートフォン100は、更に演算装置、制御装置又は記憶装置を内部又は外部に有するハードウェア構成等でもよい。
【0024】
<第1全体処理例>
図1は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置による第1全体処理の一例を示すフローチャートである。なお、スマートフォン100は、図示する処理を行う前又は処理中に外部装置から地図データを取得できるとする。
【0025】
ステップS101では、スマートフォン100は、目的地10G及び出発地10S等を入力する。例えば、スマートフォン100には、目的地10Gの地名、座標、住所又は地
図10上の位置等を示すユーザ50の操作が入力される。また、出発地10Sは、例えば、目的地10Gと同様に入力される。なお、スマートフォン100は、目的地10G及び出発地10S等と同様の入力方法によって、出発地10Sから目的地10Gまでの途中で経由する経由地を更に入力してもよい。
【0026】
ステップS102では、スマートフォン100は、出発地10Sから目的地10Gまでの経路を検索する。以下、ステップS102で検索される経路を「初期経路10R」という。なお、スマートフォン100は、地図データを利用することができ、地図データ及び経路探索アルゴリズム等によって経路を検索することができる。
【0027】
ステップS103では、スマートフォン100は、初期経路10Rを出力する。例えば、以下のように、スマートフォン100は、初期経路10Rを出力する。
【0028】
図2は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置が表示する初期経路10Rの一例を示す図である。例えば、ステップS103では、スマートフォン100は、図示するような地
図10をディスプレイ上に表示する。そして、ステップS101によって、例えば、図示するように、出発地10S及び目的地10Gが入力されたとする。このように、出発地10S及び目的地10Gが定まると、スマートフォン100は、地
図10上に、ステップS102の検索結果となる初期経路10Rを重ねて表示できる。
【0029】
以下、スマートフォン100は、図示する地
図10上のいずれかの部分を示す操作をユーザ50が行うと、タッチパネル等によって、地
図10上の地点を特定できるとする。また、以下の説明では、図示するように、出発地10S及び目的地10Gの両方が表示される、初期経路10Rの全体を示す地
図10を例に説明するが、地図は、出発地10Sから目的地10Gまでの中間地点を含む、すなわち、初期経路10Rの一部を拡大して示す地図等でもよい。
【0030】
図1に戻り、ステップS104では、スマートフォン100は、回避経路10Dを指定する。例えば、スマートフォン100は、ユーザ50が通りたくない経路(以下「回避経路10D」という。)を以下のような操作を入力することによって把握する。
【0031】
図3は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置に回避経路10Dを入力する例を示す図である。以下、
図2に示す初期経路10Rが検索された例で説明する。また、
図3に示す初期経路10Rにおいて、図示する回避経路10Dをユーザ50が通りたくないと考えるとする。
【0032】
例えば、ユーザ50は、地
図10上において、回避経路10Dを指でなぞって入力する。具体的には、まず、地
図10上で、ユーザ50は、図示するように、回避経路10Dの始点(以下「回避経路始点11S」という。)とする位置に指を置く。そして、回避経路10Dの終点(以下「回避経路終点11G」という。)とする位置まで、ユーザ50は、図示するように、指で回避経路10Dとしたい部分をなぞる。次に、回避経路終点11Gとなる位置までなぞると、ユーザ50は、回避経路終点11Gの位置から指を離す。このような操作が入力されると、スマートフォン100は、回避経路始点11Sから回避経路終点11Gまでの経路を回避経路10Dと指定できる。
【0033】
なお、回避経路終点11Gは、上記のような指が離れることによって位置が指定される、いわゆるタッチオフの操作で指定されるに限られない。例えば、回避経路終点11Gは、指によって所定時間以上押されると、位置が指定される、いわゆるタッチオン等の操作で指定されてもよい。
【0034】
以上のように、なぞる操作によって、経路が指定されるのが望ましい。なぞる操作は、ユーザ50が直感的に分かりやすい操作である。ゆえに、なぞる操作に基づいて経路が指定されると、スマートフォン100は、操作性を向上できる。
【0035】
なお、スマートフォン100は、ユーザ50が通りたい経路(以下「通過経路10H」という。)を更に指定してもよい。例えば、通過経路10Hは、回避経路10Dと同様の方法等によって指定される。具体的には、スマートフォン100は、通過経路10Hを以下のような操作を入力することによって把握する。
【0036】
図4は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置に通過経路10Hを入力する例を示す図である。以下、
図3と同様に、
図2に示す初期経路10Rを例に説明する。
【0037】
例えば、通過経路10Hは、
図3に示す回避経路10Dと同様の操作を入力すると、指定できるとする。具体的には、ユーザ50は、通過経路10Hの始点(以下「通過経路10H始点」という。)とする位置から通過経路10Hの終点(以下「通過経路10H終点」という。)とする位置までを指でなぞる操作を行うと、スマートフォン100に、通過経路10Hを入力できる。
【0038】
なお、通過経路10Hを入力する画面、すなわち、
図4に示す画面と、回避経路10Dを入力する画面、すなわち、
図3に示す画面とは、例えば、アイコン(icon)によって切り替えられる。例えば、
図4に示す例では、画面には、回避経路10Dを入力する画面に切り替えるアイコン(以下「回避経路アイコン13B」という。)と、通過経路10Hを入力する画面に切り替えるアイコン(以下「通過経路アイコン13A」という。)とが表示されるとする。そして、回避経路アイコン13Bを押す操作が入力されると、スマートフォン100は、
図4に示す画面から、
図3に示す画面に切り替える。同様に、
図3に示す画面等において、通過経路アイコン13Aを押す操作が入力されると、スマートフォン100は、
図3に示す画面から、
図4に示す画面に切り替える。
【0039】
図1に戻り、ステップS105では、スマートフォン100は、初期経路10Rを変更した経路(以下「変更経路30R」という。)を生成する。例えば、
図3に示すように、回避経路10Dが入力されると、スマートフォン100は、以下のように変更経路30Rを生成する。
【0040】
図5は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置による変更経路30Rの生成例を示す図である。以下、
図5(A)に示すような初期経路10Rが検索され(ステップS102)、かつ、
図5(A)に示すような回避経路10Dが指定された(ステップS104)例で説明する。
【0041】
まず、スマートフォン100は、回避経路10Dを特定する。具体的には、
図5(B)に示すように、スマートフォン100は、回避経路始点11Sを含むリンクを特定する。
【0042】
リンクは、地図において、ノード(node)と、ノードとの間に位置する道路区間である。また、リンクは、例えば、リンクID(Identification)等によって特定される。リンクIDは、道路地図において、道路区間を特定できる番号等である。また、ノードは、道路網における結節点であって、具体的には、交差点等である。すなわち、リンクIDが分かると、地図上において、スマートフォン100は、道路を特定できる。より具体的には、リンク、ノード及びリンクIDは、"http://www.drm.jp/database/expression.html"等に記載される地図上の要素である。
【0043】
図5(B)に示す例では、回避経路始点11Sを含むリンクは、「リンクID=11」のリンクである。また、「リンクID=11」のリンクにおいて、最も出発地10Sに近い点を「変更始点20S」とする。
【0044】
同様に、スマートフォン100は、回避経路終点11Gを含むリンクを特定する。
図5(B)に示す例では、回避経路終点11Gを含むリンクは、「リンクID=14」のリンクである。また、「リンクID=14」のリンクにおいて、最も目的地10Gに近い点を「変更終点20G」とする。
【0045】
そして、スマートフォン100は、変更始点20S及び変更終点20Gを始点及び終点として経路を検索すると、
図5(B)に示すように、回避経路10Dを特定できる。具体的には、
図5(B)に示す例は、「リンクID=11」乃至「リンクID=14」で構成される経路が検索された例である。そして、スマートフォン100は、このように特定された回避経路10Dをいわゆるアボイドルートに設定する。
【0046】
次に、スマートフォン100は、回避経路10Dが除かれた経路を検索する。すなわち、スマートフォン100は、例えば、
図5(C)に示すように、変更始点20Sから変更終点20Gまでの経路のうち、回避経路10Dを構成する「リンクID=11」乃至「リンクID=14」が含まれない経路(以下「再検索経路20」という。)を検索する。以上のようにすると、スマートフォン100は、回避経路10Dを迂回する再検索経路20を特定できる。
【0047】
図1に戻り、ステップS105では、スマートフォン100は、変更経路30Rを生成する。具体的には、スマートフォン100は、
図2に示すような初期経路10Rを変更して、途中の経路がステップS104で検索される再検索経路20となる変更経路30Rを生成する。例えば、変更経路30Rは、以下のような経路である。
【0048】
図6は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置が生成する変更経路30Rの一例を示す図である。
図2に示す初期経路10Rと比較すると、
図6に示す変更経路30Rは、
図3で指定された回避経路10Dが除かれた経路となる点が異なる。以上のように、スマートフォン100は、ユーザ50が通りたくない回避経路10Dを考慮した変更経路30Rを決定する。なお、変更経路30Rは、車両が通行できることが確認された経路であるのが望ましい。特に、車載機器では、車両が通行できる経路をユーザ50が探す場合が多いため、変更経路30Rは、車両が通行できることが確認された経路であるのが望ましい。
【0049】
そのため、スマートフォン100等は、他の車両によって通行できることが確認された経路を示す地図、いわゆる「通れたマップ」を利用できる状態であるのが望ましい。
【0050】
図1に戻り、ステップS106では、スマートフォン100は、変更経路30Rを案内経路にして出力する。例えば、スマートフォン100は、
図6に示すような地
図10を表示する。
【0051】
なお、例えば、
図4に示すように、通過経路10Hが入力された場合には、スマートフォン100は、通過経路10Hが含まれる変更経路30Rを生成及び出力してもよい。例えば、通過経路10Hが入力された場合には、スマートフォン100は、以下のような処理を行う。
【0052】
図7は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置が通過経路10Hを含む経路を検索する例を示す図である。以下、
図7(A)に示すような初期経路10Rが検索され(ステップS102)、かつ、
図7(A)に示すような通過経路10Hが指定された例で説明する。
【0053】
まず、スマートフォン100は、通過経路10Hを特定する。具体的には、
図7(B)に示すように、スマートフォン100は、通過経路始点12Sを含むリンクを特定する。
【0054】
図7(B)に示す例では、通過経路始点12Sを含むリンクは、「リンクID=21」のリンクである。また、「リンクID=21」のリンクにおいて、最も出発地10Sに近い点を「通過リンク始点40S」とする。
【0055】
同様に、スマートフォン100は、通過経路終点12Gを含むリンクを特定する。
図7(B)に示す例では、通過経路終点12Gを含むリンクは、「リンクID=23」のリンクである。また、「リンクID=23」のリンクにおいて、最も目的地10Gに近い点を「通過リンク終点40G」とする。
【0056】
そして、スマートフォン100は、通過リンク始点40S及び通過リンク終点40Gを始点及び終点として経路を検索すると、
図7(B)に示すような経路(以下「特定経路21」という。)を特定できる。具体的には、
図7(B)に示す例は、「リンクID=21」乃至「リンクID=23」で構成される特定経路21が検索された例である。そして、スマートフォン100は、このような特定経路21が一部となるように、初期経路10Rを変更する。このような変更によって生成される変更経路31Rは、例えば、以下のような経路である。
【0057】
図8は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置による通過経路10Hを考慮した変更経路31Rの生成例を示す図である。
図2に示す初期経路10Rと比較すると、
図8に示す変更経路31Rは、
図4で指定された通過経路10Hが含まれる経路となる点が異なる。以上のように、スマートフォン100は、ユーザ50が通りたい通過経路10Hを考慮した変更経路31Rを決定する。そして、スマートフォン100は、決定された変更経路31Rを案内経路に決定する。
【0058】
<第2全体処理例>
なお、スマートフォン100は、以下のような全体処理を行うでもよい。
【0059】
図9は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置による第2全体処理の一例を示すフローチャートである。なお、図では、
図1と同一の処理には、同一の符号を付し、説明を省略する。
【0060】
第1全体処理と比較すると、第2全体処理では、ステップS102によって初期経路10Rが検索される前に、回避経路10Dが指定される(ステップS104)点と、初期経路10Rが出力されない点とが異なる。したがって、第2全体処理では、ユーザ50は、例えば、以下のような設定をスマートフォン100に入力する。
【0061】
図10は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置による第2全体処理における入力の一例を示す図である。例えば、図示するように、出発地10S、目的地10G及び回避経路10Dがユーザ50の操作によって、スマートフォン100に入力される。なお、出発地10S、目的地10G及び回避経路10Dの入力方法は、例えば、第1全体処理と同様の方法である。また、第1全体処理と同様に、第2全体処理でも、通過経路10Hが入力されてもよい。
【0062】
第1全体処理では、出発地10S及び目的地10G等が入力され、初期経路10Rが検索された後、スマートフォン100は、初期経路10Rを出力する。そして、初期経路10Rが出力された後、例えば、
図3のように、初期経路10Rを見ながら、回避経路10Dが指定される。
【0063】
一方で、第2全体処理では、例えば、
図10のように、出発地10S、目的地10Gが入力され、かつ、回避経路10Dが指定されると、スマートフォン100は、
図6のような地
図10を表示する。
【0064】
このような第2全体処理のように、処理順序が第1全体処理とは異なったり、初期経路10Rの出力が省略されたりしてもよい。
【0065】
<機能構成例>
図11は、本発明の一実施形態に係る情報処理装置の機能構成例を示す機能ブロック図である。図示するように、例えば、スマートフォン100は、経路検索部1001と、指定部1002と、変更部1003と、出力部1004とを含む機能構成である。
【0066】
経路検索部1001は、出発地10Sから目的地10Gまでの初期経路10Rを検索する経路検索手順を行う。例えば、経路検索部1001は、スマートフォン100が有する演算装置、記憶装置、通信装置又はこれらの組み合わせ等によって実現される。
【0067】
指定部1002は、ユーザ50が通りたくない回避経路10Dを指定する指定手順を行う。例えば、指定部1002は、スマートフォン100が有する入出力装置、通信装置、インタフェース又はこれらの組み合わせ等によって実現される。
【0068】
変更部1003は、初期経路10Rから回避経路10Dを除いて、変更経路30Rを生成する変更手順を行う。例えば、変更部1003は、スマートフォン100が有する演算装置、記憶装置、通信装置又はこれらの組み合わせ等によって実現される。
【0069】
出力部1004は、変更経路30Rを出力する。例えば、出力部1004は、スマートフォン100が有する入出力装置等によって実現される。
【0070】
まず、スマートフォン100には、ステップS101のように、目的地10G及び出発地10S等が入力される。このようにすると、スマートフォン100は、経路検索部1001によって初期経路10Rを検索できる。
【0071】
さらに、スマートフォン100は、例えば、
図3又は
図10のように、回避経路10Dを指定する(ステップS104)。具体的には、回避経路10Dには、例えば、
図3のようなユーザ50が地
図10上をなぞる操作等の直感的に分かりやすい操作によって決まる経路等が指定される。なお、回避経路10Dは、外部からデータを入力する等によって指定されてもよい。
【0072】
そして、スマートフォン100は、変更部1003によって、指定された回避経路10Dに基づいて、例えば、
図5のように、変更経路30Rを生成する(ステップS105)。このようにすると、スマートフォン100は、ユーザ50が通りたくない経路である回避経路10Dを考慮して、回避経路10Dが除かれた変更経路30Rを決定することができる。また、スマートフォン100は、出力部1004によって、例えば、
図6に示すように、変更経路30Rを案内経路に決定して、ユーザ50に出力することができる。
【0073】
例えば、災害が起きた場合には、災害によって危険と判断された経路があったり、又は、いわゆる「開かずの踏切」等があって通過するのが長時間となる経路があったりする。このような経路をユーザ50が知ってたり、交通情報等から経路に関する情報が取得できたりする。そして、このような経路は、ユーザ50が通りたくないと考える経路となる場合が多い。そのような経路を回避経路10Dにして、回避経路10Dを通らない経路を検索できると、情報処理装置は、安全な経路又は速やかに通過できる経路等で構成される案内経路でユーザ50を案内できる。
【0074】
<変形例>
スマートフォン100は、
図3及び
図4のように地
図10上をユーザ50が指でなぞる操作によって特定された経路を回避経路10Dに指定するに限られない。例えば、スマートフォン100は、まず、外部装置から、災害情報又は交通情報等を示すデータを入力する。そして、スマートフォン100は、データに基づいて、災害によって車両等が通過できなくなっている経路、天候等によって見通しが悪くなっている経路又は通過するのに長時間かかる経路等が特定できるとする。このように、データが示す経路をスマートフォン100が回避経路10Dに指定してもよい。
【0075】
また、回避経路10Dは、例えば、リンクID等で指定されてもよい。
【0076】
なお、通過経路10H及び回避経路10Dは、
図3及び
図4のように、別の画面に切り替えて入力されるに限られない。例えば、通過経路10H及び回避経路10Dは、操作の種類が異なる等でもよい。例えば、同一の画面において、通過経路10Hは、いわゆるシングルタップで入力され、一方で、回避経路10Dは、いわゆるダブルタップで入力される等でもよい。
【0077】
他にも、例えば、通過経路10Hは、画面において、出発地10S側から目的地10G側に向かってなぞる操作で入力されるとする(
図2に示す例では、左側から右側へとなる)。一方で、回避経路10Dは、画面において、目的地10G側から出発地10S側に向かってなぞる操作で入力される(
図2に示す例では、右側から左側へとなる)。このように、なぞる向き等によって、通過経路10H及び回避経路10Dが区別されてもよい。
【0078】
以上のように、通過経路10H及び回避経路10Dは、それぞれの経路を区別できればよく、操作を入力する画面又は入力する操作等が異なる以外の方法によって区別されて指定されてもよい。
【0079】
また、各経路の始点及び終点は、なぞる操作以外で指定されてもよい。例えば、始点及び終点は、長押し操作等で指定されてもよい。なお、始点又は終点のうち、いずれか一方の点が長押し操作等で指定されてもよい。
【0080】
<その他の実施形態>
なお、経路は、上記に説明したような地
図10で示す道順に限られない。例えば、経路は、鉄道等の車両以外の交通機関を利用する経路等でもよい。
【0081】
また、GUI(Graphical User Interface)は、図示する形状、種類又は大きさに限られない。すなわち、図示するGUIと同様の入力又は出力を行えるGUIであれば、他の形状、種類又は大きさのGUIでもよい。
【0082】
なお、本発明に係る実施形態における情報処理装置及び車載機器等の装置は、1以上の装置であってもよい。具体的には、情報処理装置と、情報処理装置にネットワークを介して接続されるサーバとを有する情報処理システム等によって、本発明の実施形態に係る経路決定方法は、実行されてもよい。すなわち、情報処理システムは、冗長、分散、並列、仮想化又はこれらを組み合わせて、経路決定方法に係る各手順を実行してもよい。
【0083】
本発明に係る実施形態は、情報処理装置又は情報処理システム等のコンピュータに、上記の経路決定方法に係る各手順を実行させるためのプログラムによって実現されてもよい。また、プログラムは、コンピュータが読み取り可能な記録媒体に格納して頒布することができる。
【0084】
以上、本発明の好ましい実施例について説明したが、本発明は、説明した実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形又は変更が可能である。
【符号の説明】
【0085】
10 地図
10S 出発地
10G 目的地
10R 初期経路
10D 回避経路
10H 通過経路
11S 回避経路始点
11G 回避経路終点
12S 通過経路始点
12G 通過経路終点
13A 通過経路アイコン
13B 回避経路アイコン
100 スマートフォン
20S 変更始点
20G 変更終点
20 再検索経路
21 特定経路
30R、31R 変更経路
40S 通過リンク始点
40G 通過リンク終点
50 ユーザ
1001 経路検索部
1002 指定部
1003 変更部
1004 出力部