(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】自動交換装置及び自動交換システム
(51)【国際特許分類】
H05K 13/02 20060101AFI20221109BHJP
H05K 13/00 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H05K13/02 Z
H05K13/00 Z
(21)【出願番号】P 2021113595
(22)【出願日】2021-07-08
(62)【分割の表示】P 2020073342の分割
【原出願日】2016-02-17
【審査請求日】2021-07-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000237271
【氏名又は名称】株式会社FUJI
(74)【代理人】
【識別番号】100098420
【氏名又は名称】加古 宗男
(72)【発明者】
【氏名】近藤 雅浩
【審査官】三宅 達
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/010084(WO,A1)
【文献】特開平09-040121(JP,A)
【文献】特開平06-263207(JP,A)
【文献】実開平07-003987(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 13/00-13/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回路基板の搬送方向に沿って複数台の部品実装機を配列した部品実装ラインの各部品実装機のフィーダセット部へのフィーダのセット及び取り外しを行う自動交換装置であって、
前記自動交換装置の位置を検出する位置検出装置と、
前記複数台の部品実装機のうちの2台以上の部品実装機に設定された基準位置と、
前記自動交換装置の位置が
前記基準位置と一致したときに基準位置検出信号を出力する基準位置検出部と、
前記基準位置検出信号が出力されたときに前記位置検出装置の検出位置を前記基準位置と対応させるように補正して補正後の検出位置に基づいて前記自動交換装置を指示された位置まで移動させて前記フィーダのセット及び取り外しを行う制御装置と、
を含むことを特徴とする自動交換装置。
【請求項2】
回路基板の搬送方向に沿って複数台の部品実装機を配列した部品実装ラインの各部品実装機のフィーダセット部へのフィーダのセット及び取り外しを行う自動交換装置であって、
前記自動交換装置の位置を検出する位置検出装置と、
前記複数台の部品実装機のうちの2台以上の部品実装機に設定された基準位置と、
前記自動交換装置の位置が
前記基準位置と一致したときに前記部品実装機の基準位置検出部で検出される基準部と、
前記部品実装機の基準位置検出部で前記基準部が検出されて基準位置検出信号が出力されたときに前記位置検出装置の検出位置を前記基準位置と対応させるように補正して補正後の検出位置に基づいて前記自動交換装置を指示された位置まで移動させて前記フィーダのセット及び取り外しを行う制御装置と、
を含むことを特徴とする自動交換装置。
【請求項3】
回路基板の搬送方向に沿って複数台の部品実装機を配列した部品実装ラインの各部品実装機のフィーダセット部へのフィーダのセット及び取り外しを行う自動交換装置を含む自動交換システムであって、
前記自動交換装置の位置を検出する位置検出装置と、
基準位置が設定された
2台以上の部品実装機と、
前記自動交換装置の位置
が前記基準位置と一致したときに基準位置検出信号を出力する基準位置検出部と、
前記基準位置検出信号が出力されたときに前記位置検出装置の検出位置を前記基準位置と対応させるように補正して補正後の検出位置に基づいて前記自動交換装置を指示された位置まで移動させて前記フィーダのセット及び取り外しを行う制御装置と、
を含むことを特徴とする自動交換システム。
【請求項4】
回路基板の搬送方向に沿って複数台の部品実装機を配列した部品実装ラインの各部品実装機のフィーダセット部へのフィーダのセット及び取り外しを行う自動交換装置を含む自動交換システムであって、
前記自動交換装置の位置を検出する位置検出装置と、
基準位置が設定された
2台以上の部品実装機と、
前記自動交換装置の位置
が前記基準位置と一致したときに前記部品実装機の基準位置検出部で検出される基準部と、
前記部品実装機の基準位置検出部で前記基準部が検出されて基準位置検出信号が出力されたときに前記位置検出装置の検出位置を前記基準位置と対応させるように補正して補正後の検出位置に基づいて前記自動交換装置を指示された位置まで移動させて前記フィーダのセット及び取り外しを行う制御装置と、
を含むことを特徴とする自動交換システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路基板の搬送方向に沿って配列した複数台の部品実装機のフィーダセット部へのフィーダのセット及び取り外しを自動的に行う自動交換装置及び自動交換システムに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
この種の部品実装ラインは、特許文献1(国際公開WO2014/010083号公報)に記載されているように、部品実装ラインを構成する複数台の部品実装機の配列に沿って設けられた移動レーンに自動交換装置(ローダ)を移動可能に設置し、この自動交換装置を生産ジョブ(生産プログラム)等で指示された部品実装機の前面へ移動させて、当該部品実装機のフィーダセット部へのフィーダのセットや取り外しを行うようにしている。この場合、自動交換装置を移動させる駆動装置は、部品実装機の前面側にラックを移動レーンに沿って延びるように固定すると共に、自動交換装置には、上記ラックに噛み合うピニオンと、このピニオンを回転駆動するモータとを設け、このモータでピニオンを回転駆動することで、自動交換装置を移動レーンに沿って移動させると共に、モータの回転角(ピニオンの回転角)をエンコーダ等で検出することで、その検出値に基づいて自動交換装置の移動距離を測定して自動交換装置の位置を検出して自動交換装置の移動を制御するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、自動交換装置をラックとピニオンとの歯の噛み合いによって移動させる構成であるが、それらの構成部品の製造ばらつき、組立ばらつきや歯の摩耗等によってラックとピニオンとの歯の噛み合い状態が悪くなって、歯同士が干渉してスムーズな回転が妨げられ、大きな騒音が発生したり、歯が損傷することがある等の欠点がある。
【0005】
この欠点の解決策として、本発明者は、ラックとピニオンに代えて、モータで回転駆動する駆動輪によって自動交換装置を移動させる構成を採用することを考えているが、走行レーンで駆動輪がスリップすることがあるため、モータの回転角や駆動輪の回転角を正確に検出しても、その検出値と自動交換装置の移動距離との間に駆動輪のスリップ分の誤差が生じて、自動交換装置の位置を精度良く検出できない。
【0006】
この対策として、自動交換装置の移動距離(位置)を測定する距離センサやリニアスケールを設けることも考えられるが、以下のような問題がある。
【0007】
現在、市販されているワイヤ式距離センサは、耐久性が低く、測定精度を安定して確保できない。また、レーザ式距離センサは、高価で、測定動作が大気状態の影響を受けやすく不安定であり、しかも、レーザ光の遮断のリスクや作業者の目への影響が懸念される。また、リニアスケールは、センサヘッドが大きく、高価であり、しかも、部品実装機の設置台数(ライン長)を増減する毎にスケールを張り替えたり、スケールを継ぎ足したりする必要があり、その作業が面倒であると共に、スケールの継ぎ目が測定精度を低下させる要因にもなる。
【0008】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、安価な構成で自動交換装置の位置を安定して精度良く検出できると共に、部品実装機の設置台数の増減にも簡単な作業で対応できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明の自動交換装置は、回路基板の搬送方向に沿って複数台の部品実装機を配列した部品実装ラインの各部品実装機のフィーダセット部へのフィーダのセット及び取り外しを行う自動交換装置であって、前記自動交換装置の位置を検出する位置検出装置と、前記複数台の部品実装機のうちの2台以上の部品実装機に設定された基準位置と、前記自動交換装置の位置が前記基準位置と一致したときに基準位置検出信号を出力する基準位置検出部と、前記基準位置検出信号が出力されたときに前記位置検出装置の検出位置を前記基準位置と対応させるように補正して補正後の検出位置に基づいて前記自動交換装置を指示された位置まで移動させて前記フィーダのセット及び取り外しを行う制御装置とを含むことを特徴とする。
【0010】
或は、本発明の自動交換装置は、自動交換装置の位置を検出する位置検出装置と、前記複数台の部品実装機のうちの2台以上の部品実装機に設定された基準位置と、前記自動交換装置の位置が前記基準位置と一致したときに部品実装機の基準位置検出部で検出される基準部と、前記部品実装機の基準位置検出部で前記基準部が検出されて基準位置検出信号が出力されたときに前記位置検出装置の検出位置を前記基準位置と対応させるように補正して補正後の検出位置に基づいて前記自動交換装置を指示された位置まで移動させてフィーダのセット及び取り外しを行う制御装置とを含む構成としても良い。
【0011】
また、本発明の自動交換システムは、部品実装ラインの各部品実装機のフィーダセット部へのフィーダのセット及び取り外しを行う自動交換装置を含む自動交換システムであって、前記自動交換装置の位置を検出する位置検出装置と、基準位置が設定された2台以上の部品実装機と、前記自動交換装置の位置が前記基準位置と一致したときに基準位置検出信号を出力する基準位置検出部と、前記基準位置検出信号が出力されたときに前記位置検出装置の検出位置を前記基準位置と対応させるように補正して補正後の検出位置に基づいて前記自動交換装置を指示された位置まで移動させて前記フィーダのセット及び取り外しを行う制御装置とを含むことを特徴とする。
【0012】
或は、本発明の自動交換システムは、自動交換装置の位置を検出する位置検出装置と、基準位置が設定された2台以上の部品実装機と、前記自動交換装置の位置が前記基準位置と一致したときに前記部品実装機の基準位置検出部で検出される基準部と、前記部品実装機の基準位置検出部で前記基準部が検出されて基準位置検出信号が出力されたときに前記位置検出装置の検出位置を前記基準位置と対応させるように補正して補正後の検出位置に基づいて前記自動交換装置を指示された位置まで移動させて前記フィーダのセット及び取り外しを行う制御装置とを含む構成としても良い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】
図1は本発明の一実施例における部品実装ライン全体の構成を示す斜視図である。
【
図2】
図2は自動交換装置と部品実装機の構成を概略的に示す斜視図である。
【
図3】
図3は自動交換装置付きの部品実装ラインの制御系の構成を概略的に示すブロック図である。
【
図4】
図4はカセット式のフィーダを示す斜視図である。
【
図5】
図5は自動交換装置を移動させる駆動装置とその周辺部分の構成を示す斜視図である。
【
図6】
図6は自動交換装置の位置を検出する位置検出装置の構成を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための形態を具体化した一実施例を説明する。
まず、
図1乃至
図3に基づいて部品実装ライン10の構成を説明する。
【0015】
部品実装ライン10は、回路基板11の搬送方向(X方向)に沿って複数台の部品実装機12を配列して構成され、該部品実装ライン10の基板搬入側には、回路基板11に半田を印刷する半田印刷機(図示せず)やカセット式のフィーダ14を保管するフィーダ保管装置19等が設置されている。
【0016】
図2に示すように、各部品実装機12には、回路基板11を搬送する2本のコンベア13と、カセット式のフィーダ14から供給される部品を吸着して回路基板11に実装する吸着ノズル(図示せず)を保持する実装ヘッド15と、この実装ヘッド15をXY方向(左右前後方向)に移動させるヘッド移動装置16と、吸着ノズルに吸着した部品をその下面側から撮像する部品撮像用カメラ17(
図3参照)等が設けられている。ヘッド移動装置16には、回路基板11の基準マーク(図示せず)を撮像するマーク撮像用カメラ18(
図3参照)が実装ヘッド15と一体的にXY方向に移動するように取り付けられている。
【0017】
その他、
図3に示すように、部品実装機12の制御装置20には、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置21と、制御用の各種プログラムや各種データ等を記憶するハードディスク、RAM、ROM等の記憶装置22(記憶手段)と、液晶ディスプレイ、CRT等の表示装置23等が接続されている。各部品実装機12の制御装置20は、部品実装ライン10全体の生産を管理する生産管理コンピュータ70とネットワークで接続され、該生産管理コンピュータ70によって部品実装ライン10の生産が管理される。
【0018】
部品実装ライン10の各部品実装機12は、上流側の部品実装機12から搬送されてくる回路基板11をコンベア13によって所定位置まで搬送してクランプ機構(図示せず)で該回路基板11をクランプして位置決めして、該回路基板11の基準マークをマーク撮像用カメラ18で撮像して該基準マークの位置(該回路基板11の基準位置)を認識すると共に、カセット式のフィーダ14から供給される部品を、実装ヘッド15の吸着ノズルで吸着して、その吸着位置から撮像位置へ移動させて、該部品をその下面側から部品撮像用カメラ17で撮像して該部品の吸着位置ずれ量等を判定した後、その吸着位置ずれ量を補正して該部品をコンベア13上の回路基板11に実装して部品実装基板を生産する。
【0019】
次に、
図4を用いてカセット式のフィーダ14の構成を説明する。
カセット式のフィーダ14のカセットケース32は、透明又は不透明のプラスチック板又は金属板等により形成され、その側面部(カバー)が開閉可能となっている。カセットケース32内には、部品供給テープ33が巻回されたテープリール34を着脱可能(交換可能)に装填するテープ装填部35が設けられている。テープ装填部35の中心には、テープリール34を回転可能に保持するリール保持軸36が設けられている。
【0020】
カセットケース32内には、テープリール34から引き出した部品供給テープ33を部品吸着位置へ送るテープ送り機構38と、部品吸着位置の手前で部品供給テープ33からトップフィルム40(カバーテープとも呼ばれる)を剥離して該部品供給テープ33内の部品を露出させるトップフィルム剥離機構39とが設けられている。
【0021】
テープ送り機構38は、部品吸着位置の下方付近に設けられたスプロケット42と、このスプロケット42を回転駆動するモータ43等から構成され、部品供給テープ33の片方の側縁に所定ピッチで形成されたテープ送り穴にスプロケット42の歯を噛み合わせて該スプロケット42を回転させることで、部品供給テープ33を部品吸着位置へピッチ送りするようになっている。
【0022】
トップフィルム剥離機構39は、部品吸着位置の手前で部品供給テープ33を押さえて該部品供給テープ33の上面からトップフィルム40を剥離するためのテープ押え45と、該テープ押え45で剥離したトップフィルム40をテープ送り方向とは逆方向に引っ張ってカセットケース32の上部に設けられたトップフィルム回収部46内へ送り込むトップフィルム送りギア機構47と、該トップフィルム送りギア機構47を駆動するモータ48等から構成されている。
【0023】
カセットケース32のうちのテープ送り方向側の端縁部には、部品吸着位置を通過して部品が取り出された廃棄テープ33a(本実施例ではトップフィルム40が剥離されたキャリアテープのみ)を下方に案内して排出する廃棄テープ排出通路50が下方に延びるように設けられ、該廃棄テープ排出通路50の出口50aがカセットケース32のテープ送り方向側の端面の中央より下側の位置に設けられている。
【0024】
カセットケース32内には、テープ送り機構38のモータ43やトップフィルム剥離機構39のモータ48を制御する制御装置52が設けられている。その他、図示はしないが、カセットケース32には、部品実装機12側の通信・電源用のコネクタと接続される通信・電源用のコネクタが設けられている。
【0025】
図1に示すように、部品実装ライン10の前面側には、各部品実装機12のフィーダセット部24へのカセット式のフィーダ14のセット及び取り外しを行う自動交換装置26が設置されている。各部品実装機12のフィーダセット部24の下方に、当該フィーダセット部24にセットする複数のフィーダ14を収納するストック部71が設けられている。自動交換装置26は、複数の部品実装機12のフィーダセット部24から交換対象のフィーダ14を取り出してストック部71に回収すると共に、ストック部71から生産ジョブ(生産プログラム)で指定されたフィーダ14を取り出して前記複数の部品実装機12のフィーダセット部24にセットするようにしている。
【0026】
部品実装ライン10の前面側には、部品実装機12の配列に沿って自動交換装置26を左右方向(X方向)に移動させるガイドレール74が部品実装ライン10全体にX方向に延びるように設けられている。ガイドレール74の基板搬入側は、フィーダ保管装置19まで延長され、自動交換装置26がフィーダ保管装置19の前面側へ移動して、自動交換装置26がフィーダ保管装置19から生産ジョブで指定されたフィーダ14を取り出したり、使用済みのフィーダ14をフィーダ保管装置19内に戻すようにしている。
【0027】
図5に示すように、自動交換装置26の背面側には、自動交換装置26のY方向(X方向と直交する方向)の動きを規制する複数のY方向規制用のガイドローラ54と、自動交換装置26のZ方向(上下方向)の動きを規制する複数のZ方向規制用のガイドローラ55とが互い違いに回転自在に設けられ、Y方向規制用のガイドローラ54がガイドレール74の側壁に沿って転動し、Z方向規制用のガイドローラ55がガイドレール74の平面に沿って転動することで、自動交換装置26の移動方向がX方向のみにガイドされるようになっている。
【0028】
部品実装ライン10の前面側のスペースは、自動交換装置26がX方向に移動する移動レーンとなっており、部品実装ライン10の前面側のガイドレール74には、移動レール75がX方向に延びるように設けられている。これに対し、自動交換装置26には、ゴム等の弾性材料で形成された駆動輪76をベルト伝達機構77を介してモータ(図示せず)で回転駆動する駆動装置78が設けられ、この駆動輪76が移動レール75に沿って転動することで、自動交換装置26がX方向に駆動されるようになっている。
【0029】
次に、自動交換装置26の位置を検出する位置検出装置81の構成を
図5及び
図6に基づいて説明する。
【0030】
ゴム等の弾性材料で形成された有端のタイミングベルト82が、ガイドレール74に沿ってX方向に直線状に延びるように設けられている。このタイミングベルト82の長さは部品実装機12の設置台数分以上の長さ(部品実装ライン10の長さ)、好ましくは、部品実装機12の設置台数分の長さよりも少なくとも1台分以上長く形成されている。この場合、部品実装機12の設置台数に合わせてタイミングベルト82の余分な部分を切断する必要はなく、タイミングベルト82の余分な部分をガイドレール74の裏面等に張り付けたり、束ねる等して、タイミングベルト82の余分な部分が邪魔にならないようにすれば良い。
【0031】
これに対し、自動交換装置26には、タイミングベルト82の歯と噛み合った状態を維持しながら自動交換装置26と一緒に移動するタイミングプーリ83が設けられている。タイミングプーリ83を支持する支持機構84は、タイミングプーリ83の歯とタイミングベルト82の歯との噛み合いが外れない範囲内でタイミングプーリ83をタイミングベルト82と直交する方向(本実施例では上下方向)に変位可能に支持するように構成され、タイミングプーリ83をタイミングベルト82に押し付ける方向に付勢する付勢手段85(例えばスプリング等のばね、ゴム等の弾性部材)が設けられている。
【0032】
更に、自動交換装置26には、タイミングプーリ83の回転角を検出する回転角センサとして磁気式又は光学式のロータリエンコーダ87が設けられている。このロータリエンコーダ87は、タイミングプーリ83が所定角度回転する毎にパルスを出力する正逆回転検出可能なロータリエンコーダであり、このロータリエンコーダ87の出力パルスが自動交換装置26の制御装置90(
図3参照)に入力される。
【0033】
この自動交換装置26の制御装置90は、ロータリエンコーダ87の出力パルス(以下「エンコーダパルス」という)に基づいて自動交換装置26の位置を検出する検出回路部としても機能し、自動交換装置26の移動中(タイミングプーリ83の回転中)は、エンコーダパルスをカウントし、そのカウント動作のアップ/ダウンをタイミングプーリ83の回転方向(自動交換装置26の移動方向)に応じて切り換えることで、エンコーダパルスのカウント値と自動交換装置26の位置との対応関係を維持して、エンコーダパルスのカウント値に基づいて自動交換装置26の位置を検出するようにしている。この際、エンコーダパルスのカウント動作は、電子回路(ハードウェア)で構成したアップダウンカウンタで行っても良いし、制御装置90にインストールしたソフトウエアでアップダウンカウンタの機能を実現しても良い。
【0034】
本実施例では、タイミングプーリ83を支持する支持機構84は、タイミングプーリ83の歯とタイミングベルト82の歯との噛み合いが外れない範囲内でタイミングプーリ83をタイミングベルト82と直交する方向(Z方向)に変位可能に支持するように構成され、タイミングプーリ83をタイミングベルト82に押し付ける方向に付勢する付勢手段85が設けられているため、複数台の部品実装機12の各々の設置位置のずれにより各部品実装機12間に僅かな段差ができて、タイミングベルト82に僅かな段差ができていても、その段差にタイミングプーリ83を追従させて変位させてタイミングベルト82との噛み合いを安定して維持することができ、各部品実装機12間の段差に対しても自動交換装置26の位置検出精度を安定して維持することができる。
【0035】
ところで、位置検出装置81で自動交換装置26の位置を検出する場合、少なくとも1箇所に基準位置を設定する必要があり、その基準位置からの自動交換装置26の移動距離を、エンコーダパルスのカウント値で検出したタイミングプーリ83の回転量(回転角)から測定して、その測定値から基準位置を基準にして自動交換装置26の位置を検出して自動交換装置26の移動を制御することになる。この場合、部品実装ライン10を構成する複数台の部品実装機12の各々が位置ずれなく正確に設置されていれば、基準位置が1箇所でも、その基準位置からの自動交換装置26の移動距離(位置)と複数台の部品実装機12の各々の位置との対応関係にずれが生じないが、実際には、複数台の部品実装機12の各々が少しずつ位置ずれして設置されている可能性があるため、基準位置からの自動交換装置12の移動距離(位置)と複数台の部品実装機12の各々の位置との対応関係にずれが生じている可能性がある。この対応関係がずれていると、複数台の部品実装機12の各々に対して自動交換装置26の位置を精度良く制御できず、各部品実装機12に対するフィーダ14のセットミスや取り外しミスが発生する可能性がある。
【0036】
この対策として、本実施例では、部品実装ライン10を構成する複数台の部品実装機12のうちの2台以上(本実施例では全台)の部品実装機12の各々に、基準位置を設定すると共に、自動交換装置26の位置が部品実装機12の基準位置と一致したときに基準位置検出信号を出力する基準位置検出用センサ91(基準位置検出手段)を設け、自動交換装置26の制御装置90は、基準位置検出用センサ91から基準位置検出信号が出力されたときに位置検出装置81の検出位置(エンコーダパルスのカウント値)を部品実装機12の基準位置と対応させるように補正する。このようにすれば、複数台の部品実装機12のうちの2台以上の部品実装機12の基準位置を基準にして自動交換装置26の移動距離(位置)を検出できるため、基準位置からの自動交換装置26の移動距離(位置)と複数台の部品実装機26の各々の位置との対応関係のずれを低減又は無くすことができて、複数台の部品実装機12の各々に対して自動交換装置26の位置を精度良く制御することが可能となり、各部品実装機12に対するフィーダのセットミスや取り外しミスを防止できる。
【0037】
この場合、部品実装機12の設置時又は生産開始前のキャリブレーション動作時に駆動装置78により自動交換装置26を移動させて自動交換装置26の位置が部品実装機12の基準位置と一致したときの自動交換装置26の検出位置(エンコーダパルスのカウント値)と部品実装機12の基準位置との対応関係を自動交換装置26の制御装置90の不揮発性の記憶手段92(例えばハードディスク、ROM、EEPROM、フラッシュメモリ等)に記憶しておき、自動交換装置26の制御装置90は、生産中に記憶手段92の記憶データに基づいて位置検出装置81の検出位置(エンコーダパルスのカウント値)を部品実装機12の基準位置間で線形補間等で補間補正する。このようにすれば、部品実装機12の基準位置間における自動交換装置26の位置の検出精度も向上できる。
【0038】
ところで、生産開始時の基準位置検出処理(イニシャル処理)で自動交換装置26を部品実装機12の基準位置へ移動させて位置検出装置81の検出位置(エンコーダパルスのカウント値)を当該部品実装機12の基準位置と対応させるように補正する必要があるが、生産開始前の自動交換装置26の停止位置が部品実装機12の基準位置から遠く離れていると、生産開始時の基準位置検出処理に時間がかかり、その分、生産開始が遅れることになる。
【0039】
そこで、本実施例では、自動交換装置26の制御装置90は、生産開始時の基準位置検出処理で駆動装置78により自動交換装置26を最寄りの部品実装機12の基準位置へ移動させて位置検出装置81の検出位置(エンコーダパルスのカウント値)を当該部品実装機の基準位置と対応させるように補正するようにしている。このようにすれば、生産開始時の基準位置検出処理で自動交換装置26を部品実装機12の基準位置へ移動させるまでの距離を短くすることができて、生産開始時の基準位置検出処理の時間を短縮することができる。
【0040】
ここで、基準位置検出用センサ91は、例えば、光センサ、近接センサ等の非接触型センサを用いても良いし、リミットスイッチ等の接触型スイッチを用いても良い。また、基準位置検出用センサ91は、自動交換装置26に設けても良いし、部品実装機12に設けても良い。
【0041】
例えば、基準位置検出用センサ91を自動交換装置26に設ける場合は、複数台の部品実装機26のうちの2台以上(本実施例では全台)の部品実装機12の各々に、自動交換装置26の位置が部品実装機12の基準位置と一致したときに自動交換装置26の基準位置検出用センサ91で検出される基準部(図示せず)を設けるようにすれば良い。
【0042】
一方、基準位置検出用センサ91を複数台の部品実装機12のうちの2台以上の部品実装機12の各々に設ける場合、自動交換装置26には、当該自動交換装置26の位置が部品実装機12の基準位置と一致したときに当該部品実装機12の基準位置検出用センサ91で検出される基準部(図示せず)を設けるようにすれば良い。
【0043】
図3に示すように、自動交換装置26の制御装置90は、部品実装ライン10の生産管理コンピュータ70とネットワークで接続され、部品実装ライン10の生産管理コンピュータ70から送信されてくる生産ジョブの情報に従って、位置検出装置81で自動交換装置26の位置を検出しながら、駆動装置78により自動交換装置26を生産ジョブで指定された部品実装機12の位置へ移動させて、当該部品実装機12のフィーダセット部24にフィーダ14をセットしたり、取り外したりする動作を制御する。
【0044】
以上説明した本実施例では、自動交換装置26を駆動輪76で移動させる構成を採用して、スムーズな移動や低騒音化、耐久性向上等を実現しながら、複数台の部品実装機12に跨がって設けたタイミングベルト82に噛み合うタイミングプーリ83の回転角をロータリエンコーダ87で検出することで、駆動輪76のスリップで生じる駆動輪76の回転角と自動交換装置26の移動距離との間の誤差をキャンセルして、自動交換装置26の位置を精度良く検出することができる。しかも、位置検出装置81を構成するタイミングベルト82、タイミングプーリ83、ロータリエンコーダ87は、安価に市販されている量産品を使用できるため、位置検出装置81を安価にコンパクトに構成できると共に、耐久性も確保でき、更に、部品実装機12の設置時に1本のタイミングベルト82を複数台の部品実装機12に跨がって取り付けるだけで良いため、作業者の作業量も軽減できる。加えて、タイミングベルトの長さは、部品実装機の設置台数分以上の長さであれば良く、部品実装機12の設置台数に合わせてタイミングベルト82の余分な部分を切断する必要はなく、タイミングベルト82の余分な部分を邪魔にならない場所に張り付けたり、束ねる等の対応が可能であり、部品実装機12の設置台数(ライン長)の増減にも簡単な作業で対応できる。
【0045】
尚、上記実施例では、タイミングプーリ83の回転角を検出する回転角センサとしてロータリエンコーダ87を用いたが、レゾルバ等、他の回転角センサを用いても良い。
その他、本発明は、上記実施例に限定されず、部品実装機12の構成や自動交換装置26の構成を適宜変更したり、フィーダ14の構成を適宜変更しても良い等、要旨を逸脱しない範囲内で種々変更して実施できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0046】
10…部品実装ライン、11…回路基板、12…部品実装機、13…コンベア、14…カセット式のフィーダ、15…実装ヘッド、16…ヘッド移動装置、20…部品実装機の制御装置、24…フィーダセット部、26…自動交換装置、54…Y方向規制用のガイドローラ、55…Z方向規制用のガイドローラ、70…生産管理コンピュータ、71…ストック部、、74…ガイドレール、75…移動レール、76…駆動輪、77…ベルト伝達機構、78…駆動装置、81…位置検出装置、82…タイミングベルト、83…タイミングプーリ、84…支持機構、85…付勢手段、87…ロータリエンコーダ(回転角センサ)、90…自動交換装置の制御装置(検出回路部)、91…基準位置検出用センサ(基準位置検出手段)、92…記憶手段