(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】衣類乾燥機
(51)【国際特許分類】
D06F 58/32 20200101AFI20221109BHJP
【FI】
D06F58/32
(21)【出願番号】P 2016174915
(22)【出願日】2016-09-07
【審査請求日】2019-09-03
【審判番号】
【審判請求日】2021-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】馬越 清輝
(72)【発明者】
【氏名】二宮 涼子
【合議体】
【審判長】佐々木 芳枝
【審判官】柿崎 拓
【審判官】鶴江 陽介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-24659(JP,A)
【文献】特開2010-63752(JP,A)
【文献】特開2004-170004(JP,A)
【文献】特開2002-122077(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F33/00-34/34
D06F58/30-58/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
衣類が収容される乾燥室と、
前記乾燥室内に乾燥風を循環供給するための循環風路と、
前記循環風路において乾燥風を送風する送風機と、
圧縮機、凝縮器、蒸発器、減圧装置を備え、前記乾燥風を除湿及び加熱するためのヒートポンプと、
前記ヒートポンプのうち前記蒸発器の冷媒の温度を検出する蒸発器温度センサと、
前記送風機及びヒートポンプを制御して乾燥運転を実行する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記圧縮機の起動時において該圧縮機の駆動周波数を目標周波数までに上昇させる際に、
所定時間毎に読込まれる前記蒸発器温度センサの検出温度に基づいて、
該検出温度が所定値以上の場合には前記圧縮機の駆動周波数を上昇させ、該検出温度が所定値未満の場合には前記圧縮機の駆動周波数を現状維持とするように、前記圧縮機の駆動周波数の上昇速度を可変制御する衣類乾燥機。
【請求項2】
衣類が収容される乾燥室と、
前記乾燥室内に乾燥風を循環供給するための循環風路と、
前記循環風路において乾燥風を送風する送風機と、
圧縮機、凝縮器、蒸発器、減圧装置を備え、前記乾燥風を除湿及び加熱するためのヒートポンプと、
前記ヒートポンプのうち前記凝縮器の冷媒の温度を検出する凝縮器温度センサと、
前記送風機及びヒートポンプを制御して乾燥運転を実行する制御装置とを備え、
前記制御装置は、前記圧縮機の起動時において該圧縮機の駆動周波数を目標周波数までに上昇させる際に、前記凝縮器温度センサの検出温度に基づいて、該検出温度が低いほど単位時間あたりの駆動周波数の増加の度合いを大きくするように、前記圧縮機の駆動周波数の上昇速度を可変制御する衣類乾燥機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、衣類乾燥機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばドラム式の衣類乾燥機においては、乾燥機構として、衣類が収容されるドラム(水槽)内に乾燥風を循環供給するための循環風路、並びに、送風機及びヒートポンプを備えたものがある(例えば特許文献1参照)。ヒートポンプは、圧縮機、凝縮器、絞り弁、蒸発器を冷媒管路により閉ループ状に接続して構成され、循環風路を流れる風が蒸発器を通って除湿され、次いで凝縮器によって加熱されて乾いた乾燥風となり、衣類の乾燥に供される。前記圧縮機においては、駆動周波数(回転数)が可変なインバータモータによって駆動され、制御装置からの指令によりインバータ制御されるようになっている。
【0003】
上記ヒートポンプにあっては、内部の冷媒が高温、高圧になることに伴う圧縮機の故障等の不具合を防止するために、所定の温度範囲で使用することが行われる。特許文献1では、通常時には、圧縮機を比較的高い周波数(90Hz)で駆動し、外気温を検知する温度検知部が、高温(35℃以上)を検知した場合には、圧縮機の駆動周波数を35Hzに下げるように制御する。これにより、冷媒が必要以上の高温、高圧になることを抑え、圧縮機を一時停止させることを回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようなヒートポンプにあっては、一般に、乾燥運転が開始されて圧縮機が起動されると、圧縮機を目標となる駆動周波数(回転数)になるまで、圧縮機の駆動周波数を一定の上昇速度(加速度)で上昇させる制御が行われる。例えば、圧縮機の停止状態(0Hz)から40Hzまでを、1分間かけて上昇させるようになっている。この場合、あまり急激に駆動周波数を増加させると、冷媒が必要以上の高温になって圧縮機を一時停止させる事態を招いてしまう。ところが、冷媒の異常な温度上昇を防止することをあまりに重視すると、圧縮機の起動時に駆動周波数を必要以上にゆっくりと立ち上げてしまったり、駆動周波数を必要以上に低く設定してしまったりすることが起こる。そのため、乾燥性能をむしろ低下させてしまう弊害が発生する。
【0006】
また、ヒートポンプの駆動状態で、蒸発器内の冷媒の温度が低くなり過ぎた(例えば-10℃以下)場合には、蒸発器の表面における結露、凍結が発生し、空気通路が狭められて乾燥風との間の熱交換効率が著しく低下する虞がある。そのため、従来では、蒸発器の温度が異常に低下した場合にも、圧縮機を一時停止させる制御が行われていた。
【0007】
そこで、ヒートポンプを備えたものにあって、冷媒の温度異常発生に伴う圧縮機の停止を回避することができながらも、乾燥性能の低下を招くことを未然に防止できる衣類乾燥機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の衣類乾燥機は、衣類が収容される乾燥室と、前記乾燥室内に乾燥風を循環供給するための循環風路と、前記循環風路において乾燥風を送風する送風機と、圧縮機、凝縮器、蒸発器、減圧装置を備え、前記乾燥風を除湿及び加熱するためのヒートポンプと、前記ヒートポンプのうち前記蒸発器の冷媒の温度を検出する蒸発器温度センサと、前記送風機及びヒートポンプを制御して乾燥運転を実行する制御装置とを備え、前記制御装置は、前記圧縮機の起動時において該圧縮機の駆動周波数を目標周波数までに上昇させる際に、所定時間毎に読込まれる前記蒸発器温度センサの検出温度に基づいて、該検出温度が所定値以上の場合には前記圧縮機の駆動周波数を上昇させ、該検出温度が所定値未満の場合には前記圧縮機の駆動周波数を現状維持とするように、前記圧縮機の駆動周波数の上昇速度を可変制御する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施形態を示すもので、洗濯乾燥機の内部構成を概略的に示す縦断右側面図
【
図2】洗濯乾燥機のヒートポンプを含む内部構成を概略的に示す背面図
【
図4】蒸発器温度と圧縮機駆動周波数の変化量との関係を示す図
【
図5】省エネコースにおいて、圧縮機の起動時の駆動周波数を一定の上昇速度とした場合の時間経過に伴う蒸発器温度の変化及び圧縮機駆動周波数の変動の様子を示す図
【
図6】省エネコースにおいて、圧縮機の起動時の駆動周波数を可変制御した場合の時間経過に伴う蒸発器温度の変化及び圧縮機駆動周波数の変動の様子を示す図
【
図7】第2の実施形態を示すもので、凝縮器温度と圧縮機駆動周波数の変化量との関係を示す図
【
図8】第3の実施形態を示すもので、蒸発器温度と送風機回転数の変化量との関係を示す図
【
図9】省エネコースにおいて、送風機の回転数を可変制御した場合の時間経過に伴う送風機回転数の変化及び圧縮機駆動周波数の変動の様子を示す図
【
図10】第4の実施形態を示すもので、凝縮器温度と送風機回転数の変化量との関係を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、衣類乾燥機としてのドラム式の洗濯乾燥機に適用したいくつかの実施形態について、図面を参照しながら説明する。尚、洗濯乾燥機1のハードウエア構成等、複数の実施形態間で共通する部分については、同一符号を付して、新たな図示や繰返しの説明を省略することとする。
【0011】
(1)第1、第2の実施形態
第1の実施形態について、
図1から
図6を参照しながら説明する。まず、
図1から
図3を参照しながら、本実施形態に係る衣類乾燥機としてのドラム式の洗濯乾燥機1の全体構成について述べる。洗濯乾燥機1の本体を構成する外箱2は、ほぼ矩形箱状をなし、外箱2内には、円筒状の水槽3が後下がりに傾斜した状態で、図示しない弾性支持機構を介して支持されている。前記水槽3内には、衣類(洗濯物)が収容される回転槽としての円筒状の回転ドラム4が回転可能に支持されている。この回転ドラム4は、前後方向に延び且つ後下がりに傾斜した傾斜軸を中心に回転するように構成されている。
【0012】
図1に示すように、この回転ドラム4の周壁部及び後壁部には通水、通気用の多数の孔4aが形成され、また、回転ドラム4の周壁部の内面には、洗濯物撹拌用の図示しない複数個のバッフルが設けられている。図示はしないが、この回転ドラム4の前面部には、衣類が出し入れされる開口部が設けられている。前記水槽3の前面部には、前記開口部に連なる投入口が形成されており、外箱2の前面には、その投入口を開閉する扉5が設けられている。外箱2の前面部の上部には、操作パネル6(
図3参照)が設けられている。
【0013】
図1、
図2に示すように、前記水槽3の後部には、例えばアウタロータ形のブラシレスモータからなるドラムモータ8が配置されている。このドラムモータ8の回転軸の先端は、水槽3の背面を貫通して水槽3内に突出し、前記回転ドラム4の後部中心部に連結固定されている。このような構成により、回転ドラム4はドラムモータ8により直接的に回転駆動される。また、このドラムモータ8には、該ドラムモータ8のロータの回転を検出するための回転センサ42(
図3にのみ図示)が設けられている。この回転センサ42が、回転ドラム4内の布量を検出する負荷検出手段として機能するようになっている。
【0014】
詳しく図示はしないが、前記外箱2内の上部には、前記水槽3内に給水するための給水装置が設けられている。この給水装置は、給水源としての水道の蛇口に接続ホースを介して接続される給水弁11(
図3参照)、洗剤投入ケースを引出し可能に有する注水ケース等を備えて構成されている。一方、
図1に示すように、水槽3の下部には、排水管路12が接続され、この排水管路12の途中部には排水弁13設けられている。排水弁13が閉鎖された状態で給水装置から水槽3内に水が供給された場合には、その水は水槽3内に貯留される。このとき、水槽3内の水位は、水位センサ7(
図3参照)により検出されるようになっている。前記排水弁13が開放されることに伴い、水槽3内に貯留されていた水は、排水管路12を通して機外へ排出される。
【0015】
図1に示すように、前記水槽3には、前部の上面右寄り部位に空気の排出口17が設けられていると共に、背面部の上部左寄り部位に空気の供給口18が設けられている。そして、
図1、
図2に示すように、外箱2内部には、回転ドラム4内に乾燥風(温風)を循環供給する乾燥機構19が設けられている。本実施形態では、乾燥機構19は、水槽3の外部に位置して、循環風路20を備えると共に、ヒートポンプ21を備えている。前記循環風路20は入口と出口を有していて、その入口が水槽3の前記排出口17に接続され、出口が前記供給口18に接続されている。また、乾燥機構19は、排出口17から排出された空気を、循環風路20内を矢印A方向に循環させながら前記供給口18から水槽3ひいては回転ドラム4内に供給する送風機22を備えている。
【0016】
具体的には、前記循環風路20は、排気ダクト23と、ヒートポンプダクト24と、給気ダクト25とを備えている。そのうち排気ダクト23は、その基端部が前記排出口17に接続され、外箱2内の右側上部を後方に延びた後、折曲って水槽3の後方を下方に延び、その先端がヒートポンプダクト24の基端部(右端部)に接続されている。また、排気ダクト23の前端側部分には、乾燥風から糸くずを捕獲するための周知のリントフィルタ26が設けられている。
【0017】
前記ヒートポンプダクト24は、外箱2内の底部後寄り部位を右左方向に延び、その先端側(
図2で右端側)に前記送風機22が設けられている。この送風機22は、例えばファンケーシング14内に遠心ファン15及びそれを駆動するファンモータ16を備えて構成されている。前記ファンケーシング14の出口部に、前記給気ダクト25の基端部(下端部)が接続されている。給気ダクト25は、外箱2内の左側の水槽3の後方を上方に延び、その先端部(上端部)が前記供給口18に接続されている。
【0018】
図2に示すように、前記ヒートポンプダクト24内には、ヒートポンプ(冷凍サイクル)21を構成する蒸発器27及び凝縮器28が、右左(
図2で左右)に順に位置して配置されている。前記ヒートポンプ21は、圧縮機29と、前記凝縮器28と、減圧装置たる絞り弁30と、前記蒸発器27とを、冷媒配管31により閉ループ状に接続して構成されている。減圧装置としては、絞り弁30に代えてキャピラリーチューブ等を採用しても良い。ヒートポンプ21の内部には、所要量の冷媒が封入され、冷媒配管31を循環する。このとき、凝縮器28が乾燥風を加熱する加熱手段として機能し、また、蒸発器27が乾燥風から湿気を除去する除湿手段として機能する。
【0019】
このヒートポンプ21は、乾燥運転時において、圧縮機29が駆動されることにより、圧縮機29から吐出された気体冷媒が、凝縮器28に流入し、該凝縮器28における熱交換により凝縮されて液体冷媒とされる。凝縮器28から流出した液体冷媒が絞り弁30によって膨張させて霧状とされ、その霧状の冷媒が、蒸発器27に流入される。そして、蒸発器27において、外気との熱交換により冷媒が気化され、その気体冷媒が圧縮機29に戻される。圧縮機29にて冷媒が圧縮されて高温、高圧とされて吐出されるという循環が行われる。
【0020】
このヒートポンプ21の駆動と共に、送風機22が駆動されることにより、
図1、
図2に矢印Aで示すように、水槽3(回転ドラム4)内の空気が、排出口17から排気ダクト23を通ってヒートポンプダクト24に至り、ヒートポンプダクト24内を流れて蒸発器27及び凝縮器28を順に通った後、給気ダクト25に流れ、供給口18及び孔4aを通って回転ドラム4内に供給されるという循環が行われる。この空気の循環により、水槽3(回転ドラム4)内の衣類から湿気を奪って多量の蒸気を含んだ空気が、ヒートポンプダクト24内の蒸発器27部分を通って冷却されることにより、蒸気が凝縮(あるいは昇華)されて除湿され、その除湿空気が凝縮器28部分を通ることにより加熱されて乾いた温風となり、再び回転ドラム4内に供給され、衣類の乾燥に供されるようになる。
【0021】
このとき、
図2に示すように、ヒートポンプ21には、冷媒流路37を流れる冷媒の温度を検知する複数個の温度センサが設けられている。具体的には、圧縮機29の吐出側には、圧縮機出口温度センサ32が設けられ、凝縮器28には凝縮器温度センサ33が設けられ、蒸発器27の入口部には、蒸発器温度センサ34が設けられ、圧縮機29の吸入側には、圧縮機入口温度センサ35が設けられている。更に、
図1にも示すように、前記循環風路20における給気ダクト25には、供給口18の近傍に位置して、循環風路20内を流れる乾燥風の温度を検知する乾燥風温度センサ36が設けられている。
【0022】
そして、
図1に示すように、前記排気ダクト23の途中部、つまりリントフィルタ26の後方部位の上壁部には、循環風路20を外部に開放する、つまり循環風路20内の空気(ひいては水槽3内の空気)を、外箱2外へ排気するための開口部としての排気口37が設けられている。この排気口37は、外箱2に設けられた外側排気口38に連通している。前記排気口37部分には、該排気口37を開閉するためのダンパ39が設けられている。このダンパ39は、例えばダンパモータ40(
図3にのみ図示)を駆動源として動作されるようになっている。
【0023】
また、
図2に示すように、前記ヒートポンプダクト24の上部には、蒸発器27と凝縮器28との間に位置させて吸気口24aが設けられている。この吸気口24aは、常時開放されていて、循環風路18内と循環風路18外とを連通させている。これにて、送風機22の駆動状態で、ダンパ39を動作させて排気口37が開放されると、
図1に矢印Bで示すように、循環風路20内を通過する空気の一部が排気口37及び外側排気口38を通って外箱2外部へ排気される。これと共に、
図2に矢印Cで示すように、吸気口24aから外気が循環風路18内に取込まれる。
【0024】
尚、前記操作パネル6には、電源入りスイッチ、電源切りスイッチや、必要な表示を行う表示部9のほか、各種の操作部10が設けられている(いずれも
図3にのみ図示)。本実施形態では、ユーザが操作部10を操作して、洗濯運転に連続して乾燥運転を実行する洗濯乾燥運転の実行を指示することが可能となっている。また、乾燥運転に関する運転のコースを選択設定することができる。
【0025】
このとき、本実施形態では、乾燥運転に関して設定できるコースとして、省エネコース、お急ぎコース、念入りコース等が含まれている。そのうち省エネコースは、消費電力の抑制を図るコースで、圧縮機29の駆動周波数は低めで、送風機22の回転数は低め(例えば3700rpm)とされ、乾燥風の温度が比較的低く、乾燥時間が比較的長くなる。お急ぎコースは、乾燥時間の短時間化を図るコースで、圧縮機29の駆動周波数は高めで、送風機22の回転数は高め(例えば5000rpm)とされ、循環風温度が高めで、乾燥時間が比較的短くなる。念入りコースは、しっかりと乾燥させるコースで、圧縮機29の駆動周波数は高めで、送風機22の回転数は高め(5000rpm)、循環風温度は高めで、乾燥時間は長めとなる。
【0026】
さて、前記外箱2内には、例えばマイクロコンピュータを主体に構成され、洗濯乾燥機1全体の制御を行う制御手段としての制御装置41が設けられている。
図3は、制御装置41を中心とした、本実施形態の洗濯乾燥機1の電気的構成を概略的に示している。即ち、制御装置41には、操作パネル6の操作部10からの操作信号が入力されると共に、制御装置41が操作パネル6の表示部9の表示を制御する。
【0027】
また、制御装置41には、前記水位センサ7、回転センサ42、ヒートポンプ21の各温度センサ32~35、乾燥風温度センサ36からの検知信号が入力される。更に、制御装置41には、外気温センサ43の検知した外気温の検知信号が入力される。制御装置41は、前記給水弁11、排水弁13、ドラムモータ8、送風機22(ファンモータ16)、ヒートポンプ21の圧縮機29及び絞り弁30、ダンパモータ40(ダンパ39)を制御する。このとき、制御装置41は、送風機22(ファンモータ16)を、可変の回転数で制御することが可能とされている。
【0028】
そして、圧縮機29は、インバータモータが採用されており、制御装置41は、インバータ制御により圧縮機29を可変の周波数(回転数)で駆動するようになっている。乾燥行程においては、制御装置41は、圧縮機29を目標となる駆動周波数(例えば60Hz~80Hz)で駆動制御するのであるが、圧縮機29の起動時においては、目標周波数まで次第に上昇させていく。このとき、詳しくは後述するように、制御装置41は、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度を可変制御するようになっている。
【0029】
以上の構成により、制御装置41は、操作部10にてユーザにより設定される運転コースに応じて、各センサからの入力信号や予め記憶された制御プログラムに基づいて、洗濯乾燥機1の各機構を制御し、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる洗濯運転や、上記した乾燥運転を自動で実行する。洗濯運転に連続して乾燥運転を行う洗濯乾燥運転の実行も可能に構成されている。洗濯運転の各行程については、周知であるので説明を省略するが、洗濯運転の開始時には、回転ドラム4に対する負荷検知に基づいて衣類の容量(布量)の判定が行われ、その判定結果に応じて水位等が決定される。
【0030】
乾燥運転においては、制御装置41は、ユーザにより設定された乾燥コースの種類に応じて、送風機22及びヒートポンプ21を駆動制御する。ここで、ヒートポンプ21の駆動状態で、蒸発器27内の冷媒の温度が低くなり過ぎた場合には、蒸発器27の表面における結露、凍結が発生し、空気通路が狭められて乾燥風との間の熱交換効率が著しく低下する虞がある。このように蒸発器27の温度が異常に低温となった状態を、蒸発器低温異常と称する。尚、ヒートポンプ21の駆動状態で、内部(圧縮機29から凝縮器28にかけて)の冷媒が必要以上の高温高圧になると、ヒートポンプ21の故障などを招く虞がある。このように圧縮機29から凝縮器28にかけての冷媒の温度が異常に高温となった状態を、冷媒高温異常と称する。
【0031】
そこで、本実施形態では、次の作用説明でも述べるように、制御装置41は、乾燥行程において、前記圧縮機29の起動時に該圧縮機29の駆動周波数を目標周波数までに上昇させる際に、前記蒸発器温度センサ34の検出温度を監視し、蒸発器温度センサ34の検出温度に基づいて、上昇速度を可変制御する。より具体的には、蒸発器温度センサ34の検出した冷媒の温度が高いほど駆動周波数の上昇度合いを大きくするように、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度を可変制御する。
【0032】
即ち、
図4は、蒸発器温度センサ34の検出温度と、例えば1分間に上昇させる圧縮機29の駆動周波数との関係を示している。制御装置41は、1分毎に蒸発器温度センサ34の検出温度を読込み、例えば、検出温度が-10℃未満であった場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を5Hz低下させる。検出温度が-10℃以上5℃未満であった場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を現状のまま維持させる。検出温度が5℃以上であった場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を5Hz上昇させる。
【0033】
次に、上記構成の洗濯乾燥機1の作用について、
図4~
図6も参照して述べる。今、例えば洗濯運転に連続して乾燥運転を行う洗濯乾燥運転を実行させる場合、ユーザは、回転ドラム4内に衣類を投入すると共に、洗剤投入ケース内に必要な洗剤等を投入した上で、操作パネル6の操作部10を操作して設定を行う。この場合、洗濯乾燥運転を設定すると共に、乾燥行程におけるユーザの好みのコース、即ち、省エネコース、お急ぎコース、念入りコースのいずれか選択設定することができる。
【0034】
洗濯乾燥運転がスタートされると、制御装置41により、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程からなる洗濯運転が実行される。洗濯運転の開始時においては、回転ドラム4内の衣類の容量判定が行われる。洗濯運転が終了すると、引続き、乾燥行程(乾燥運転)が実行される。この乾燥行程は所定の乾燥時間(例えば200分など)だけ実行されるのであるが、この乾燥時間は、設定されたコースや衣類の容量に基づいて自動で設定される。上記したように、乾燥行程においては、ヒートポンプ21及び送風機22が駆動されると共に、回転ドラム4の比較的低速での正逆回転が所定周期で繰返される。
【0035】
これにて、
図2に矢印Aで示すように、回転ドラム4内の衣類を回転によりほぐしながら、循環風路20を通して、回転ドラム4(水槽3)内に乾いた温風からなる乾燥風が循環供給され、衣類が乾燥されるようになる。上記のように、この乾燥運転が開始されると、制御装置41により、圧縮機29が起動され、停止状態(0Hz)から、目標となる駆動周波数(例えば、60Hzないし80Hz)まで上昇される。その後は、目標周波数が維持されながら圧縮機29が駆動される。
【0036】
この圧縮機29の起動時には、制御装置41により、蒸発器温度センサ34の検出温度が監視される。
図4に示すように、制御装置41は、1分毎に読込まれる蒸発器温度センサ34の検出温度に基づいて、蒸発器温度センサ34の検出温度が5℃以上と比較的高い場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を5Hz上昇させる。これに対し、蒸発器温度センサ34の検出温度が-10℃以上5℃未満とやや低くなった場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を現状維持とする。そして、蒸発器温度センサ34の検出温度が-10℃未満と低くなった場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を5Hz減少させる。
【0037】
これにて、圧縮機29の起動時において、蒸発器27の温度が比較的低温となった場合には、圧縮機29の駆動周波数を現状維持或いは減少させることにより、ヒートポンプ21の能力を維持或いは低下させ、蒸発器27のそれ以上の温度低下が阻止される。これにより、蒸発器27の冷媒温度が、必要以上の低温となって蒸発器27表面に凍結が発生する蒸発器低温異常が未然に防止される。蒸発器27の温度が比較的高い場合には、蒸発器低温異常の発生の心配はなく、圧縮機29の駆動周波数を、+5Hz/分ずつ連続的に上昇させて、早期に目標周波数までもっていくことができる。
【0038】
図5及び
図6は、乾燥コースが例えば省エネコースであった場合の、乾燥行程の開始(時間T0)から終了(時間Te)までの時間経過に伴う、蒸発器温度センサ34の検出した蒸発器27の温度及び圧縮機29の駆動周波数の変動の様子を例示したものである。そのうち、
図5は、圧縮機29の起動時に駆動周波数を一定の上昇速度で上昇させる従来の制御を行った場合、
図6は、本実施形態における制御を行った場合を夫々示している。
【0039】
図5の例では、圧縮機29の起動開始(時間T0)から時間Taにかけて、圧縮機29の駆動周波数を一定の上昇速度で目標周波数(例えば70Hz)まで上昇させたため、蒸発器27の温度が下がり過ぎ、時間Tbにおいて、蒸発器低温異常が発生したため、圧縮機29が停止されている。蒸発器27温度が回復した時間Tcから圧縮機29を再起動するようにしている。このように、圧縮機29の駆動周波数を一定の上昇速度で目標周波数まで上昇させる場合、駆動周波数の上昇が比較的急激となるため、蒸発器低温異常が発生しやすくなり、圧縮機29の一時停止を招いてしまう。尚、送風機22は、乾燥行程中、所定の回転数(例えば4000rpm)で駆動されている。
【0040】
これに対し、
図6の例では、圧縮機29の起動時に蒸発器27の温度に応じて圧縮機29の駆動周波数の上昇速度が可変される。即ち、圧縮機29の起動開始(時間T0)からは、例えば、駆動周波数が40Hzになる(時間T1)まで、+5Hz/分で圧縮機29の駆動周波数が上昇される。時間T1においては、蒸発器温度センサ34の検出温度が-10℃以上5℃未満の範囲であったため、そのままの駆動周波数が維持される。そして、時間T2において、蒸発器温度センサ34の検出温度が5℃以上になったので、+5Hz/分で圧縮機29の駆動周波数が上昇される。
【0041】
時間T3で、蒸発器温度センサ34の検出温度が再び5℃未満(-10℃以上)に低下したので、そのときの駆動周波数(例えば50Hz)が維持され、時間T4で、蒸発器温度センサ34の検出温度が5℃以上になったので、そこから再び+5Hz/分で圧縮機29の駆動周波数が上昇される。同様の制御が繰返され、時間T7において、圧縮機29の駆動周波数が目標に到達し、その後は目標周波数が維持される。このように、蒸発器27の温度が比較的低くなった時には、圧縮機29の駆動周波数の上昇が抑えられ、蒸発器の温度低下が抑えられ、蒸発器低温異常が発生することがない。尚、この場合も、送風機22は、乾燥行程中、所定の回転数(例えば4000rpm)で駆動されている。
【0042】
以上のように、圧縮機29の起動時において該圧縮機29の駆動周波数を目標周波数までに上昇させる際に、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度が急激であると、蒸発器27における冷媒温度が異常に低下する蒸発器低温異常が発生する虞がある。そうかといって、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度を緩やかにし過ぎると、ヒートポンプ21の能力を十分に発揮できずに、乾燥性能の低下を招く虞がある。これに対し、本実施形態では、蒸発器温度センサ34の検出温度に基づいて、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度を制御するようにしたので、蒸発器低温異常が発生して圧縮機29を一時停止させたりすることなく、且つ、できるだけ乾燥性能を発揮できるような、圧縮機29の制御が可能となる。
【0043】
従って、本実施形態によれば、ヒートポンプ21を備えたものにあって、圧縮機29の起動時における適切な駆動周波数の制御を行うことができ、冷媒の温度異常発生に伴う圧縮機29の停止を回避することができながらも、乾燥性能の低下を招くことを未然に防止することができるという優れた効果を奏する。特に本実施形態では、ヒートポンプ21のうち蒸発器27の温度に基づいて、温度が高いほど駆動周波数の上昇度合いを大きくするように、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度を可変制御するので、蒸発器低温異常の発生ひいては圧縮機29の一時停止を未然に防止しながら、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度を適切に制御することができる。
【0044】
図7は、第2の実施形態を示しており、上記第1の実施形態とは、次の点で異なっている。即ち、この第2の実施形態では、圧縮機29の起動時において、制御装置41は、ヒートポンプ21のうち凝縮器28の冷媒の温度、つまり凝縮器温度センサ33の検出温度を監視し、その検出温度が低いほど圧縮機29の駆動周波数の上昇度合いを大きくするように、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度を可変制御する。
【0045】
図7は、凝縮器温度センサ33の検出温度と、1分間に上昇させる圧縮機29の駆動周波数との関係を示している。制御装置41は、1分毎に凝縮器温度センサ33の検出温度を読込み、例えば、検出温度が70℃未満であった場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を5Hz上昇させる。検出温度が70℃以上75℃未満であった場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を現状のまま維持させる。検出温度が75℃以上であった場合には、その後1分間に圧縮機29の駆動周波数を5Hz低下させる。
【0046】
ここで、上記したように、圧縮機29の起動時における駆動周波数の上昇速度が急激であると、圧縮機29から凝縮器28にかけての冷媒が必要以上の高温、高圧になる冷媒高温異常が発生する虞があり、ひいては、冷媒高温異常が発生すると圧縮機29の故障などを招く虞がある。これに対し、本実施形態では、凝縮器温度センサ33の検出温度に基づいて、圧縮機29の駆動周波数の上昇速度を制御するようにしたので、冷媒高温異常が発生して圧縮機29を一時停止させたりすることなく、且つ、できるだけ乾燥性能を発揮できるような、圧縮機29の制御が可能となる。従って、冷媒の温度異常発生に伴う圧縮機29の停止を回避することができながらも、乾燥性能の低下を招くことを未然に防止することができるという優れた効果を奏する。
【0047】
(2)第3、第4実施形態、その他の実施形態
図8及び
図9は、第3の実施形態を示すものであり、上記第1、第2の実施形態と異なる点は、次の構成にある。即ち、上記第1の実施形態では、制御装置41は、圧縮機29の起動時における駆動周波数の制御を行うものとしたが、本実施形態では、それに代えて、圧縮機29の起動後の前記送風機22の回転数を、冷媒温度センサ、この場合蒸発器温度センサ34の検出温度に基づいて可変制御するように構成したものである。洗濯乾燥機1のハードウエア構成については、上記第1、第2の実施形態と共通している。
【0048】
このとき、本実施形態では、乾燥行程においては、制御装置41により、通常は、送風機22は、基本値として例えば4000rpmで駆動される。そして、制御装置41は、乾燥行程中、蒸発器温度センサ34の検出温度を監視し、検出温度が高いほど送風機22の回転数を小さくするように、送風機22の回転数を可変制御する。
【0049】
具体的には、
図8に示すように、制御装置41は、例えば蒸発器温度センサ34の検出温度を1分毎に読込み、検出温度が-10℃未満と低い場合には、送風機22の回転数を+200rpmだけ上昇させる。蒸発器温度センサ34の検出温度が-10℃以上5℃未満である場合には、送風機22の回転数は現状維持とされる。或いは、基本値(4000rpm)に戻すようにしても良い。蒸発器温度センサ34の検出温度が5℃以上と比較的高い場合には、送風機22の回転数を200rpmだけ減少させる。但し、送風機22の回転数制御は、最高回転数(例えば5800rpm)と最低回転数(例えば1700rpm)の範囲内で行われる。
【0050】
ここで、送風機22の回転数を大きくすると、風量が増加してヒートポンプ21における熱交換(熱の移動量)が大きくなり、送風機22の回転数を小さくすると、風量が減少して熱の移動量が少なく抑えられる。従って、蒸発器27の温度が比較的低温となった場合には、送風機22の回転数を増加させることによって、蒸発器27のそれ以上の温度低下が阻止される。これにより、蒸発器27の冷媒温度が、必要以上の低温となって蒸発器27表面に凍結が発生する蒸発器低温異常が未然に防止される。蒸発器27の温度が比較的高い場合には、蒸発器低温異常の発生の心配はなく、送風機22の回転数を少なくしてエネルギー消費を抑えることができる。
【0051】
図9は、乾燥コースが例えば省エネコースであった場合の、乾燥行程の開始(時間T0)から終了(時間Te)までの時間経過に伴う、蒸発器温度センサ34の検出した蒸発器27の温度、及び、送風機22の回転数の変動の様子を示したものである。即ち、圧縮機29の起動開始(時間T0)からは、送風機22の回転数が基本値になるまで上昇される(時間T11)。この時点における蒸発器温度センサ34の検出温度が-10℃以上5℃未満である場合には、その回転数が維持される。そして、時間T12において、蒸発器温度センサ34の検出温度が5℃以上になったので、送風機22の回転数が、200rpmだけ減少される。
【0052】
その後、例えば1分後の時間T13では、蒸発器温度センサ34の検出温度が5℃未満(-10℃以上)になったので、送風機22の回転数が維持され、その後時間T14で、蒸発器温度センサ34の検出温度が再び5℃以上になったので、送風機22の回転数が、更に200rpmだけ減少される。時間T15で、送風機22の回転数が維持され、時間T16で、送風機22の回転数が再度200rpmだけ減少され、時間T17で、送風機22の回転数がその回転数に維持される。
【0053】
上記のような送風機22の回転数制御により、蒸発器27の温度が比較的高い状態で維持され、蒸発器27の温度低下が抑えられ、蒸発器低温異常が発生することがない。尚、圧縮機29の駆動周波数に関しては、起動時から、一定の上昇速度で目標値まで上昇され、その後は一定値(目標周波数)に維持される。この場合、圧縮機29の起動時における細かい制御を行うことなく、冷媒の温度異常を防止することができる。
【0054】
このような第3の実施形態によれば、冷媒温度センサの検出温度に基づいて、送風機22の回転数を制御することができるので、送風機22の作用によって、冷媒の温度異常を防止することができる。従って、ヒートポンプ21を備えたものにあって、ヒートポンプ21駆動時の送風機22の適切な回転数制御を行うことができ、冷媒の温度異常発生に伴う圧縮機29の停止を回避することができながらも、乾燥性能の低下を招くことを未然に防止することができる。特に本実施形態では、ヒートポンプ21のうち蒸発器27の温度に基づいて、送風機22の回転数を可変制御するので、蒸発器低温異常の発生ひいては圧縮機29の一時停止を未然に防止しながら、送風機22の回転数を適切に制御することができる。
【0055】
図10は、第4の実施形態を示すものであり、上記第3の実施形態とは、次の点が異なっている。即ち、本実施形態では、制御装置41は、前記ヒートポンプ21のうち凝縮器28の冷媒の温度、つまり凝縮器温度センサ33の検出温度を監視する。そして、その検出温度に基づいて、検出温度が高いほど回転数を大きくするように、送風機22の回転数を可変制御する。
【0056】
図10は、凝縮器温度センサ33の検出温度と、送風機22の回転数の増減との関係を示している。制御装置41は、例えば、凝縮器温度センサ33の検出温度を1分毎に読込み、検出温度が70℃未満と低い場合には、送風機22の回転数を200rpmだけ減少させる。凝縮器温度センサ33の検出温度が70℃以上75℃未満であった場合には、送風機22の回転数は現状維持とされる。検出温度が75℃以上であった場合には、送風機22の回転数を+200rpm増加させる。送風機22の回転数の増加によって、凝縮器28における熱交換がより促進され、凝縮器28の温度を低下させることができる。
【0057】
この第4の実施形態では、凝縮器温度センサ33の検出温度に基づいて、送風機22の回転数を制御するようにしたので、圧縮機29から凝縮器28にかけての冷媒が必要以上の高温、高圧になる冷媒高温異常の発生を防止することができ、冷媒高温異常が発生して圧縮機29を一時停止させたりすることなく、且つ、できるだけ乾燥性能を発揮できるような、送風機22の適切な制御が可能となる。従って、冷媒の温度異常発生に伴う圧縮機29の停止を回避することができながらも、乾燥性能の低下を招くことを未然に防止することができるという優れた効果を奏する。
【0058】
尚、上記した各実施形態においては、ヒートポンプ21の冷媒温度として、蒸発器27の温度検出、凝縮器28の温度検出を、別々の例として説明し、また、圧縮機29の起動時の駆動周波数の制御、送風機22の回転数の制御を別々の例として説明したが、蒸発器27の温度検出及び凝縮器28の温度検出を同時に行うことや、圧縮機29の起動時の駆動周波数の制御、送風機22の回転数の制御を同時に行うことなど、いわば複数の実施形態を組合せた形態の制御を実施することも可能である。
【0059】
その他、洗濯乾燥機に限らず、洗濯機能を備えていない衣類乾燥機に適用することも可能である等、全体のハードウエア構成、乾燥コースの種類等についても種々の変更が可能である。更には、上記各実施形態における、各種の時間や、しきい値となる各温度、圧縮機29の周波数、送風機22の回転数などの具体的数値としても、一例を示したに過ぎず、適宜変更することが可能である等、上記した各実施形態に限定されるものではなく、要旨を逸脱しない範囲内で様々に変更して実施し得るものである。
【符号の説明】
【0060】
図面中、1は洗濯乾燥機(衣類乾燥機)、2は外箱、3は水槽、4は回転ドラム(乾燥室)、6は操作パネル、8はドラムモータ、16はファンモータ、17は排出口、18は供給口、19は乾燥機構、20は循環風路、21はヒートポンプ、22は送風機、24aは吸気口、27は蒸発器、28は凝縮器、29は圧縮機、32は圧縮機出口温度センサ、33は凝縮器温度センサ、34は蒸発器温度センサ、37は排気口、38は外部排気口、39はダンパ、41は制御装置、42は回転センサ、43は外気温センサを示す。