IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社ハーマンの特許一覧

<>
  • 特許-加熱調理器 図1
  • 特許-加熱調理器 図2
  • 特許-加熱調理器 図3
  • 特許-加熱調理器 図4
  • 特許-加熱調理器 図5
  • 特許-加熱調理器 図6
  • 特許-加熱調理器 図7
  • 特許-加熱調理器 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】加熱調理器
(51)【国際特許分類】
   A47J 37/06 20060101AFI20221109BHJP
   F24C 3/00 20060101ALI20221109BHJP
   F24C 3/12 20060101ALI20221109BHJP
   F23N 5/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
A47J37/06 366
F24C3/00 F
F24C3/12 A
F23N5/02 350Z
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018059213
(22)【出願日】2018-03-27
(65)【公開番号】P2019170429
(43)【公開日】2019-10-10
【審査請求日】2021-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】特許業務法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 慶太
(72)【発明者】
【氏名】横山 敬仁
【審査官】吉澤 伸幸
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-194248(JP,A)
【文献】特開2006-000450(JP,A)
【文献】特許第4152289(JP,B2)
【文献】特開平02-118331(JP,A)
【文献】特開2007-111273(JP,A)
【文献】特開2005-102846(JP,A)
【文献】特開平04-136622(JP,A)
【文献】特開2004-139830(JP,A)
【文献】特開2010-082467(JP,A)
【文献】特開2003-125938(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2016/0195282(US,A1)
【文献】特開2004-079366(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47J 37/06
F24C 3/00
F24C 3/12
F23N 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱対象物が配置される加熱室と、
前記加熱対象物を加熱するためのバーナーと、
前記バーナーの火力を変更するための火力変更部と、
前記加熱対象物の熱容量の大きさを判定する熱容量判定を行い、この熱容量判定の結果に基づいて前記火力変更部を制御する制御部と、
前記加熱対象物の温度を検知するための温度センサーとを備え、
前記制御部は、前記バーナーにより前記加熱対象物を所定の加熱期間加熱し、
前記加熱期間は前記加熱対象物の熱容量を求めるためのデータ取得期間であり、前記制御部は、前記温度センサーの検知結果に基づいて前記データ取得期間における前記加熱対象物の温度の積分値を取得し、この積分値と前記バーナーの加熱熱量とに基づいて前記熱容量判定を行う、
加熱調理器。
【請求項2】
前記制御部は、前記加熱期間において、前記温度センサーの検知結果に基づいて前記火力変更部を制御する、
請求項1の加熱調理器。
【請求項3】
前記制御部は、前記温度センサーにより、前記加熱期間の開始以前における前記加熱対象物の初期温度を取得し、この初期温度と、前記加熱期間における前記加熱熱量及び前記温度センサーの検知結果に基づいて、前記熱容量判定を行う、
請求項1又は請求項2の加熱調理器。
【請求項4】
前記制御部は、前記熱容量判定の結果に基づいて、加熱時間を設定し、かつ、前記温度センサーにより検知した前記加熱対象物の温度が所定温度になるように、前記火力変更部を制御する、
請求項1~3のいずれか1つの加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、加熱調理器に関し、詳しくは、加熱室に配置された加熱対象物をバーナーで加熱する加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、グリルが開示されている。このグリルは、グリル庫内に設けられたグリルバーナーと、グリル庫内の温度を検出する温度センサーと、自動調理を実行する制御部とを備えている。制御部は、自動調理においてグリルバーナーによる加熱を開始した後の初期に、被加熱物の熱容量の違いに応じて変化する温度上昇勾配を温度センサーの検知結果に基づいて算出し、この温度上昇勾配に基づいて総加熱時間を設定する。そして、制御部は、自動調理において、前記加熱を開始した時点から総加熱時間が経過した時点で、グリルバーナーによる加熱を停止する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-194248号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した温度上昇勾配は、被加熱物に対するグリルバーナーの加熱量に応じて変化する。このため、被加熱物の温度上昇勾配を被加熱物の熱容量の指標として用いるには、グリルバーナーによる被加熱物の加熱を定められた火力で行う必要がある。しかし、このようにすると、グリルバーナーの火力を、被加熱物に対して適切な火力にすることが難しい。
【0005】
本開示は上記事由に鑑みてなされており、加熱対象物の熱容量に応じてバーナーの火力を制御でき、かつ、加熱対象物の熱容量を判定するためのデータを取得する期間において、加熱対象物を適切に加熱できる加熱調理器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、加熱室、バーナー、火力変更部、制御部及び温度センサーを備える。前記加熱室には、加熱対象物を配置可能である。前記バーナーは、前記加熱対象物を加熱する。前記火力変更部は、前記バーナーの火力を変更する。前記制御部は、前記加熱対象物の熱容量の大きさを判定する熱容量判定を行い、この熱容量判定の結果に基づいて前記火力変更部を制御する。前記温度センサーは、前記加熱対象物の温度を検知する。前記制御部は、前記バーナーにより前記加熱対象物を所定の加熱期間加熱し、この加熱期間における前記バーナーの加熱熱量及び前記温度センサーの検知結果に基づいて前記熱容量判定を行う。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、加熱対象物の熱容量に応じてバーナーの火力を制御でき、かつ、加熱対象物の熱容量を判定するためのデータを取得する期間において、加熱対象物を適切に加熱できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1図1は、実施形態に係る加熱調理器の斜視図である。
図2図2は、同上の加熱調理器のグリル装置を前後方向と直交する断面で示した断面図である。
図3図3は、同上のグリル装置であって、一部を断面で示した斜視図である。
図4図4は、同上のグリル装置の概念図である。
図5図5は、同上の加熱調理器の操作パネルを示した正面図である。
図6図6は、同上の加熱調理器のブロック図である。
図7図7は、同上の加熱調理器のフローチャートである。
図8図8は、同上の加熱調理器によって、加熱対象物を加熱したときにおける、加熱対象物の温度変化と、バーナーの火力の変化を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(1)概要
図1に示す本実施形態の加熱調理器1は、グリル付きのガスこんろであって、詳しくはキッチンカウンター(図示せず)に形成された孔に上方より挿入されて設置されるドロップインこんろである。なお、本開示の技術は、グリルを備えたテーブルこんろ、又はこんろを備えないガスグリル等にも適用可能である。
【0010】
以下、加熱調理器1の各構成について、加熱調理器1の設置状態における方向を用いて説明する。具体的には、加熱調理器1から見て、設計上利用者が位置する方向を前方と規定する。また、加熱調理器1を前方から見たときを基準にして、左右方向を規定する。
【0011】
本実施形態の加熱調理器1は、加熱室20、バーナー26(図3参照)、火力変更部27(図4参照)、制御部16(図6参照)を備えている。加熱室20には、加熱対象物を配置可能である。バーナー26は、加熱対象物を加熱する。火力変更部27は、バーナー26の火力を変更する。制御部16は、加熱対象物の熱容量の大きさを判定する熱容量判定を行い、この熱容量判定の結果に基づいて火力変更部27を制御する。
【0012】
加熱調理器1は、温度センサー46(図3参照)を更に備えている。温度センサー46は、加熱対象物の温度を検知する。制御部16は、バーナー26により加熱対象物を所定の加熱期間加熱し、この加熱期間におけるバーナー26の加熱熱量及び温度センサー46の検知結果に基づいて熱容量判定を行う。
【0013】
本実施形態の加熱調理器1は、加熱対象物の熱容量の大きさに応じて、バーナー26の火力を制御することができる。また、バーナー26の加熱熱量及び温度センサー46の検知結果に基づいて熱容量判定を行うため、加熱期間におけるバーナー26の火力が予め設定されていない場合にも、加熱対象物の熱容量の大きさを判定することができる。このため、加熱期間において、バーナー26の火力を加熱対象物の状態に適した火力にし、加熱対象物を適切に加熱することができる。
【0014】
(2)構成
以下、加熱調理器1について詳述する。図1に示すように、本実施形態の加熱調理器1は、ケーシング10と、グリル装置2と、複数のこんろバーナー11と、制御部16(図6参照)と、天板12とを備えている。
【0015】
ケーシング10は、上方に開口した箱状に形成されている。ケーシング10の内部には、複数のこんろバーナー11が設置されている。天板12はケーシング10上に設置されている。天板12はケーシング10の上面を覆っている。複数のこんろバーナー11の各々は、天板12を貫通して上方に突出している。
【0016】
加熱調理器1は、複数のこんろバーナー11にそれぞれ対応する複数のこんろ用操作部15を備えている。利用者は、各こんろ用操作部15を操作することで、対応するこんろバーナー11の点火と消火の切換え及び火力の変更を行うことができる。
【0017】
グリル装置2は、加熱室20を有している。図2及び図3に示すように、本実施形態の加熱室20は、箱状に形成されたグリル庫である。加熱室20は、ケーシング10と天板12とで囲まれた空間に配置されている。加熱室20は、底部200、左右の側壁部201、後壁部202及び天井部203を有している。加熱室20の内側には、底部200、左右の側壁部201、後壁部202及び天井部203で囲まれた加熱空間が形成されている。加熱空間には、肉又は魚等の被調理物を含む加熱対象物が配置される。
【0018】
図3に示すように、加熱室20の前端部には、開口部25が形成されている。加熱室20の内部空間は、開口部25を介してケーシング10(図1参照)の前方に開放される。加熱対象物は、開口部25を通して加熱室20に出し入れされる。
【0019】
本実施形態のグリル装置2は、加熱室20に設置された支持機構21(図2)と、支持機構21によって前後方向に移動可能に支持されたグリル扉22とを更に有している。支持機構21は、例えば、一対のスライドレールで構成される。
【0020】
グリル扉22は、図1に示す閉位置と、この閉位置よりも前方の開位置との間で前後方向に移動可能である。グリル扉22が閉位置に配置されたとき、加熱室20の開口部25は、グリル扉22によって閉じられる。グリル扉22が開位置に配置されたとき、加熱室20の開口部25は前方に開放される。
【0021】
本実施形態のグリル装置2は、図2及び図3に示す被調理物受け5を更に有している。グリル装置2で加熱される被調理物は、被調理物受け5に載せられた状態で加熱室20内に配置される。すなわち、本実施形態のグリル装置2で加熱される加熱対象物は、被調理物とこれを受ける被調理物受け5とで構成される。
【0022】
被調理物受け5は、金属製である。被調理物受け5は、上方に開口した浅底の容器状に形成されている。被調理物受け5は、上方から見て矩形状で水平方向に広がった板状の底板部50と、底板部50の周縁から上方に向けて突出した周壁部51とを有する。底板部50には、焼き網のように上下方向に貫通する孔が形成されていない。底板部50は、被調理物が載せられる部分である。すなわち、本実施形態では、底板部50によって、被調理物が載せられる板状の載置部が構成されている。
【0023】
なお、被調理物受け5は、上方に開口した容器状の本体と、この本体の上開口部を塞ぐ蓋とで構成されてもよい。この場合、本体の底部によって載置部が構成される。また、被調理物受け5は、平板状の皿又は焼き網等であってもよい。また、加熱対象物は、被調理物であってもよい。
【0024】
本実施形態のグリル装置2は、被調理物受け5を取り外し可能に支持する支持体6を更に有している。支持体6は、被調理物受け5を下方から支持している。支持体6は、上方から見て枠状に形成されている。支持体6は、例えば、金属製の線材を変形させ、この線材の両端を溶接等で繋ぐことによって形成される。
【0025】
支持体6の前端部は、グリル扉22に着脱可能に連結されている。支持体6及び被調理物受け5は、グリル扉22と連動する。グリル扉22が図1に示す閉位置に配置されると、支持体6及び被調理物受け5は、加熱室20内に配置され、グリル扉22が開位置に配置されると、支持体6及び被調理物受け5は、加熱室20の開口部25よりも前方に配置される。
【0026】
図2及び図3に示すように、グリル装置2は、バーナー26を更に有している。本実施形態のバーナー26は、複数のグリルバーナー260,261を有している。なお、バーナー26は、グリルバーナーを一つだけ有してもよい。
【0027】
本実施形態のバーナー26は、複数のグリルバーナーとして、上バーナー260及び下バーナー261を有している。上バーナー260は、加熱室20の上部(詳しくは天井部203)に取り付けられている。上バーナー260は、加熱室20内に配置された加熱対象物(被調理物受け5及び被調理物)を上方から加熱する。この場合、被調理物受け5に載せられた被調理物は、上バーナー260からの輻射熱によって加熱される。
【0028】
下バーナー261は、下バーナー261で生じた炎が、被調理物受け5の底板部50に直接当たるように、加熱室20の下部(詳しくは底部200)に設置されている。下バーナー261は、加熱室20内に配置された加熱対象物を下方から加熱する。この場合、被調理物受け5に載せられた被調理物は、下バーナー261によって加熱された被調理物受け5の熱が、被調理物に伝わることで加熱される。
【0029】
本実施形態の上バーナー260及び下バーナー261の各々は、ブンゼンバーナーである。グリル装置2は、上バーナー260及び下バーナー261に都市ガス等の燃料ガスを供給するガス供給路28を更に有している。
【0030】
図4に示すように、本実施形態のガス供給路28は、主流路280と、主流路280から分岐した一対の分岐路281,282とを有している。主流路280には燃料ガスが供給される。一対の分岐路281,282のうちの一方は、上バーナー260に通じる上バーナー用流路281であり、他方は下バーナー261に通じる下バーナー用流路282である。
【0031】
グリル装置2は、バーナー26の火力を変更する火力変更部27を更に有している。本実施形態の火力変更部27は、開閉弁270、上バーナー用点火プラグ271、上バーナー用火力調節部272、下バーナー用点火プラグ273及び下バーナー用火力調節部274を有している。
【0032】
主流路280には、開閉弁270が設けられている。開閉弁270は、例えば電磁弁である。開閉弁270が開いた状態で、主流路280に供給された燃料ガスは、上バーナー260及び下バーナー261に供給される。
【0033】
上バーナー260には、上バーナー用点火プラグ271が設置され、下バーナー261には下バーナー用点火プラグ273が設置されている。開閉弁270が開いた状態で、上バーナー用点火プラグ271が作動することにより、上バーナー260は点火される。開閉弁270が開いた状態で、下バーナー用点火プラグ273が作動することにより、下バーナー261は点火される。開閉弁270が閉じることで、上バーナー260及び下バーナー261は、消火される。
【0034】
上バーナー用火力調節部272は、上バーナー用流路281に設けられた電磁弁272aで構成されている。ガス供給路28は、上バーナー用流路281における電磁弁272aの上流側と下流側とを接続するバイパス路34を有している。バイパス路34は、一部に、上バーナー用流路281よりも流路断面積の小さな流路35を有している。
【0035】
上バーナー260の火力は、電磁弁272aが開閉されることにより、調節される。電磁弁272aが開いた状態では、主流路280から上バーナー用流路281に供給された燃料ガスは、電磁弁272aと流路35との両者を通過して上バーナー260に供給される。この場合、上バーナー260の火力は、「強」になる。一方、電磁弁272aが閉じた状態では、主流路280から上バーナー用流路281に供給された燃料ガスは、電磁弁272a及び流路35のうちの流路35のみを通過して上バーナー260に供給される。この場合、上バーナー260に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁272aが開いた状態にあるときよりも少なくなり、上バーナー260の火力は、「弱」になる。
【0036】
下バーナー用火力調節部274は、下バーナー用流路282に設けられた電磁弁274aで構成されている。ガス供給路28は、下バーナー用流路282における電磁弁274aの上流側と下流側とを接続するバイパス路44を有している。バイパス路44は、一部に、下バーナー用流路282よりも流路断面積の小さな流路45を有している。
【0037】
下バーナー261の火力は、電磁弁274aが開閉されることにより、調節される。電磁弁274aが開いた状態では、主流路280から下バーナー用流路282に供給された燃料ガスは、電磁弁274aと流路45との両者を通過して下バーナー261に供給される。この場合、下バーナー261の火力は、「強」になる。一方、電磁弁274aが閉じた状態では、主流路280から下バーナー用流路282に供給された燃料ガスは、電磁弁274a及び流路45のうちの流路45のみを通過して下バーナー261に供給される。この場合、下バーナー261に供給される燃料ガスの流量は、電磁弁274aが開いた状態にあるときよりも少なくなり、下バーナー261の火力は、「弱」になる。
【0038】
上バーナー用火力調節部272及び下バーナー用火力調節部274の各々は、電磁弁272a,274aに限られない。例えば、上バーナー用火力調節部272は、上バーナー用流路281に設けられた流量制御弁であってもよい。また、下バーナー用火力調節部274は、下バーナー用流路282に設けられた流量制御弁であってもよい。また、上バーナー用火力調節部272及び下バーナー用火力調節部274は、対応するバーナー260,261の火力を3段階以上調節可能であってもよい。
【0039】
グリル装置2は、加熱室20に配置された加熱対象物の温度を検知するための温度センサー46を更に有している。
【0040】
温度センサー46は、図2及び図3に示すように下バーナー261の中央部に設置されている。温度センサー46は、加熱室20内に配置された被調理物受け5の下方に位置する。
【0041】
温度センサー46は、温度センサー46の上端部に位置する検知部47を有している。検知部47は、上下方向に移動可能である。検知部47には、例えば、ばね等の付勢部材により、上方に向かう力が加えられている。
【0042】
加熱室20内に被調理物受け5が配置されたとき、検知部47は、被調理物受け5の底板部50の下面に接触する。これにより、被調理物受け5の底板部50の温度が、温度センサー46によって検知可能になる。
【0043】
なお、温度センサー46は、加熱対象物の温度の指標となる情報を検知可能であればよく、本実施形態のように加熱対象物に接触して加熱対象物の温度を直接検知するものに限られない。例えば、温度センサー46は、加熱室20内(排気路内を含む)において、加熱対象物とは非接触で配置され、加熱対象物の温度を間接的に検知する温度センサー等であってもよい。
【0044】
本実施形態の加熱調理器1は、グリル装置2を操作するための操作部として、図1に示すグリル用操作部14を備えている。グリル用操作部14は、ケーシング10の前面に設けられたカンガルーポケット方式の操作部である。グリル用操作部14は、非使用時にはケーシング10内に配置され、使用時にはケーシング10から前方に突出した位置に配置される。なお、グリル用操作部14は、例えば、ケーシング10の前面に固定的に設けられた操作パネル等であってもよい。
【0045】
グリル用操作部14は、図5に示す操作パネル17を有している。操作パネル17は、グリル用操作部14の上面を構成している。操作パネル17は、グリル用操作部14がケーシング10から前方に突出した位置に配置されたときにのみ露出する。操作パネル17は、調理モードの選択を行うための操作部分170と、選択した調理モードによるグリル装置2の自動調理の開始の指令を行う操作部分171とを有している。
【0046】
本実施形態の調理モードの選択を行うための操作部分170は、調理メニューを選択するための第1操作部170aと、選択された調理メニューにおける火加減を選択するための第2操作部170bとを有している。
【0047】
本実施形態の加熱調理器1は、図6に示す制御部16を更に備えている。制御部16は、例えば、マイクロコンピュータで構成される。制御部16には、火力変更部27が電気的に接続されている。すなわち、制御部16には、開閉弁270、上バーナー用点火プラグ271、上バーナー用火力調節部272(電磁弁272a)、下バーナー用点火プラグ273及び下バーナー用火力調節部274(電磁弁274a)、温度センサー46及びグリル用操作部14が電気的に接続されている。
【0048】
上述したグリル装置2の自動調理を行うとき、利用者は、まず、加熱室20内に加熱対象物を配置する。次に利用者は、操作パネル17の第1操作部170aを操作して、調理メニューを選択し、この後、第2操作部170bを操作して選択された調理メニューにおける火加減を選択する。これにより、複数の調理モードの中から任意の調理モードが決定される。次に、利用者は、操作部分171を操作して自動調理の開始の指令をする。
【0049】
制御部16は、自動調理の開始の指令を受けたとき、調理モード毎に設定された複数の制御条件の中から、選択された調理モードに対応する制御条件を決定し、この制御条件と、温度センサー46で検知した温度とに基づいて、開閉弁270、上バーナー用点火プラグ271、上バーナー用火力調節部272(電磁弁272a)、下バーナー用点火プラグ273及び下バーナー用火力調節部274(電磁弁274a)を自動で制御する。このようにして、選択された調理モードに応じた自動調理が実行される。
【0050】
利用者が選択可能な調理モードとしては、例えば、パン、魚又は鶏等の被調理物の種類の違い、切り身又は姿焼き等の被調理物の状態の違い及び焼き加減の違い等に応じて制御条件が決定された複数の調理モードがある。
【0051】
自動調理では、例えば、図7に示すフローチャートに従って、上バーナー用点火プラグ271、下バーナー用点火プラグ273及び火力変更部27が制御部16によって制御され、これにより、1次加熱工程、2次加熱工程及び3次加熱工程が順に実行される。図8は、この自動調理が行われたときにおける、温度センサー46で検知した温度Tと、バーナー26の火力の各々の変化を示したグラフである。なお、図8に示したグラフにおける右の縦軸の値は、「上バーナーの火力/下バーナーの火力」を示している。例えば、「強/弱」は、上バーナー260の火力が「強」であり、下バーナー261の火力が「弱」であることを意味する。
【0052】
以下、図7及び図8に基づいて、本実施形態の自動調理について説明する。制御部16は、自動調理の開始の指令を受けると、まず、ステップS1において1次加熱工程を開始する。制御部16は、ステップS1において、開閉弁270、電磁弁272a及び電磁弁274aの各々を開いた状態とし、かつ上バーナー用点火プラグ271及び下バーナー用点火プラグ273を作動させる。これにより、上バーナー260及び下バーナー261の各々は、火力が「強」の状態で点火され、これら上バーナー260及び下バーナー261によって加熱対象物が加熱される。1次加熱工程では、バーナー26の火力は変動せず、バーナー26の火力が固定された状態で、加熱対象物が加熱される。
【0053】
なお、1次加熱工程における上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力は、調理モード毎に設定される。1次加熱工程における上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力は、「強」に限られず、「弱」であってもよい。また、1次加熱工程では、上バーナー260及び下バーナー261のうちの一方のみが点火されてもよい。
【0054】
また、ステップS1において制御部16は、温度センサー46によって、加熱対象物の初期温度T0を検知してこれを記憶する。なお、初期温度T0は、ステップS1よりも前において、温度センサー46で検知された温度であってもよい。
【0055】
制御部16は、ステップS1に続いてステップS2の処理を実行する。ステップS2において、制御部16は、1次加熱工程が開始された時点(上バーナー260及び下バーナー261が点火された時点)から現時点までの経過時間tが、予め設定された所定時間ta以上であるか否かを判定する。
【0056】
所定時間taは、加熱対象物の熱容量の大きさの判定に用いられるデータを取得するためのデータ取得期間の長さに相当する。本実施形態では、このデータ取得期間が、加熱期間である。
【0057】
データ取得期間において取得されるデータは、バーナー26の加熱熱量と、温度センサー46により検知される、加熱対象物の温度である。すなわち、制御部16は、1次加熱工程が開始された時点から所定時間taが経過する時点までのデータ取得期間において、バーナー26の加熱熱量及び加熱対象物の温度を所定時間毎に検知する。
【0058】
所定時間ta(データ取得期間の長さ)は、280秒に設定される。なお、所定時間taの値は、280秒に限られない。また、所定時間taは、調理モード毎に設定される。
【0059】
制御部16は、ステップS2において、経過時間tが所定時間ta以上であれば、ステップS3の処理を実行し、経過時間tが所定時間ta以上でなければ、ステップS4の処理を実行する。
【0060】
ステップS3において、制御部16は、加熱対象物の熱容量の大きさを判定する熱容量判定を実行し、この熱容量判定の結果に基づいて2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aを設定する。なお、ステップS3において行われる熱容量判定と、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aの設定は、後述するステップS10において行われる熱容量判定と、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aの設定と同様である。制御部16は、ステップS3に続いて、ステップS6の処理を実行する。
【0061】
ステップS4において、制御部16は、温度センサー46により加熱対象物の現時点での温度Tを検知し、この温度Tが所定の1次加熱終了温度T1以上であるか否かを判定する。1次加熱終了温度T1は、180℃に設定される。なお、1次加熱終了温度T1は、180℃に限られない。また、1次加熱終了温度T1は、調理モード毎に設定される。
【0062】
ステップS4において、温度Tが1次加熱終了温度T1以上でなければ、制御部16は、ステップS5において一定時間待機し、この後、ステップS2の処理を実行する。ステップS4において、温度Tが1次加熱終了温度T1以上であれば、制御部16はステップS6の処理を実行する。
【0063】
ステップS6において、制御部16は、1次加熱工程を終了し、2次加熱工程を開始する。ステップS6において、制御部16は、電磁弁274aを閉じて、下バーナー261の火力を「弱」に切り換え、かつ、上バーナー260の自動温度制御を開始する。すなわち、2次加熱工程では、下バーナー261の火力が「弱」であり、かつ、上バーナー260が自動温度制御された状態で、加熱対象物が加熱される。
【0064】
自動温度制御は、温度センサー46により加熱対象物の温度を検知し、この検知結果に基づいて上バーナー260の火力を自動で切り換える制御である。本実施形態の自動温度制御では、温度センサー46で検知した加熱対象物の温度Tが、所定温度T2以上であるときには、電磁弁272aが閉じられて上バーナー260の火力が「弱」にされ、所定温度T2未満であるときには、電磁弁272aが開かれて上バーナー260の火力が「強」にされる。所定温度T2は、180℃に設定されている。なお、所定温度T2は、180℃に限られない。また、所定温度T2は、調理モード毎に設定される。また、2次加熱工程では、下バーナー261の火力が「強」又は「切」に設定されてもよい。また、2次加熱工程では、下バーナー261の火力が、自動温度制御されてもよい。この場合、上バーナー260の火力は、「強」、「弱」又は「切」のいずれに設定されてもよい。
【0065】
制御部16は、ステップS6に続いてステップS7の処理を実行する。ステップS7において、制御部16は、ステップS2と同様に、経過時間tが所定時間ta以上であるか否かを判定する。制御部16は、ステップS7において、経過時間tが所定時間ta以上でなければ、ステップS8において一定時間待機し、この後、ステップS7の処理を実行する。制御部16は、ステップS7において、経過時間tが所定時間ta以上であれば、ステップS9の処理を実行する。
【0066】
ステップS9において、制御部16は、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aが設定されているか否かを判定する。制御部16は、ステップS9において、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aが設定されていない場合、ステップS10の処理を実行し、2次加熱時間t2aが設定されている場合、ステップS11の処理を実行する。なお、自動調理においてステップS3の処理が実行されていない状態で、ステップS7の処理が実行される場合、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aは未設定であるため、この場合、制御部16はステップS10の処理を実行する。
【0067】
ステップS10において、制御部16は、ステップS3と同様に、熱容量判定を実行し、この熱容量判定の結果に基づいて2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aを設定する。なお、加熱調理器1は、熱容量判定中であることを表示又は音声等で利用者に対して報知手段を備えてもよい。
【0068】
ステップS3及びステップS10における熱容量判定は、データ取得期間におけるバーナー26の加熱熱量及び温度センサー46の検知結果に基づき、判定値αを算出することで行われる。
【0069】
制御部16は、判定値αを算出するにあたって、データ取得期間における加熱対象物に対するバーナー26の加熱熱量Hと、データ取得期間における加熱対象物の温度の積分値Fとを算出する。そして、制御部16は、加熱熱量Hを積分値Fで除算することにより、加熱対象物の熱容量と正の相関関係がある判定値αを算出する。すなわち、判定値αは、α=H/Fの演算式から求められる。
【0070】
加熱熱量Hは、データ取得期間における加熱対象物に対するバーナー26の実際の総加熱熱量の指標となる値であって、実際の総加熱熱量と正の相関関係がある値である。加熱熱量Hは、例えば、バーナー26の火力に応じて設定された設定値と、データ取得期間において取得したバーナー26の火力情報の履歴とに基づいて算出される。
【0071】
例えば、図8に示すように、データ取得期間において、バーナー26の火力が、「強/強」、「強/弱」、「弱/弱」及び「強/弱」の順に切り換えられた場合、制御部16は、火力毎の加熱量を算出し、火力毎に算出された加熱量を積算することで、加熱熱量Hが算出される。上述した火力毎の加熱量の算出は、例えばバーナー26の火力が「強/強」である場合、火力「強/強」に割り当てられた設定値に対して、火力「強/強」で加熱した時間を乗算することによって算出される。加熱対象物の温度の積分値Fは、データ取得期間において温度センサー46で検知した温度に基づいて算出される、データ取得期間全体の時間積分値である。
【0072】
なお、判定値αは、加熱対象物の熱容量の指標となる値であればよく、例えば、積分値Fを加熱熱量Hで除算することにより得られる値であってもよい。また、制御部16は、例えば、積分値Fに代えて、データ取得期間全体において温度センサー46で取得した温度の積算値を求め、加熱熱量Hをこの積算値で除算した値を判定値αとしてもよい。また、制御部16は、例えば、積分値Fに代えて、データ取得期間の開始時点における加熱対象物の温度と、データ取得期間の終了時点における加熱対象物の温度との差を算出し、この差によって加熱熱量Hを除算することで、判定値αを算出してもよい。また、制御部16は、例えば、積分値Fに代えて、データ取得期間における温度変化の積分値を算出し、この積分値によって加熱熱量Hを除算することで、判定値αを算出してもよい。また、判定値αの演算において用いられる温度は、温度そのものの値であってもよいし、温度の指標となる値であってもよい。また、本実施形態のデータ取得期間は、1次加熱工程の開始時点から所定時間taが経過する時点までの期間であるが、1次加熱工程開始から所定時間が経過した時点から、更に所定時間が経過する時点までの期間であってもよい。
【0073】
ステップS3及びステップS10の各々において、制御部16は、2次加熱工程の実施時間である2次加熱時間t2aと、3次加熱工程の実施時間である3次加熱時間t3aとを設定する。2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aの各々は、熱容量判定で算出した判定値αと、データ取得期間の開始時点(1次加熱工程の開始時点)で検知した初期温度T0とに基づいて設定される。判定値αは、初期温度T0が高くなる程小さくなる傾向にあり、初期温度T0と負の相関関係にある。このため、制御部16は、判定値αが大きくなり、かつ、初期温度T0が小さくなるほど、2次加熱時間t2aが長くなるように、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aを設定する。
【0074】
具体的に2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aの各々の設定にあたっては、初期温度T0が異なる状態(例えば20℃と100℃)の各々において、熱容量が異なる加熱対象物(例えば、鶏肉1枚と鶏肉2枚)の各々を加熱する実験が予め行われ、これにより、各条件における最適な2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aが求められる。そして、この結果に基づいて、初期温度T0及び判定値αの両者を変数として、最適な2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aを算出するための演算式が設定される。すなわち、制御部16は、前述したステップS3及びステップS10の各々において、熱容量判定で算出した判定値αと、データ取得期間の開始時点で検知した初期温度T0と、前記演算式とに基づいて、最適な2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aを算出し、これを以後の2次加熱工程及び3次加熱工程の制御において用いられる2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aとして設定する。
【0075】
2次加熱時間t2aは、例えば、380秒以上680秒以下の範囲内で設定される。3次加熱時間t3aは、例えば、0秒以上600秒以下の範囲内で設定される。なお、3次加熱時間t3aが0秒に設定された場合は、3次加熱工程は行われず、2次加熱工程が終了した時点で自動調理が終了する。
【0076】
2次加熱時間t2aが設定される範囲及び3次加熱時間t3aが設定される範囲は、上記に限られない。また、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aの各々が設定される範囲は、調理モード毎に異なっている。また、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aの各々は、判定値αのみに基づいて決定されてもよい。また、本実施形態では、2次加熱時間t2a及び3次加熱時間t3aの各々が変更されることにより、熱容量判定後における火力変更部27の制御方法が変更されることになるが、例えば、熱容量判定に基づいて、2次加熱工程及び3次加熱工程において設定されるバーナー26の火力が変更されてもよい。
【0077】
制御部16は、ステップS10に続いてステップS11の処理を実行する。ステップS11において、制御部16は、2次加熱工程が開始された時点から現時点までの時間である2次加熱経過時間t2が、2次加熱時間t2a以上であるか否かを判定する。
【0078】
制御部16は、ステップS11において、2次加熱経過時間t2が2次加熱時間t2a以上でなければ、ステップS12において一定時間待機し、この後、ステップS11の処理を実行する。
【0079】
制御部16は、ステップS11において、2次加熱経過時間t2が2次加熱時間t2a以上であれば、ステップS13の処理を実行する。ステップS13において、制御部16は、2次加熱工程を終了し、3次加熱工程を開始する。ステップS13において、制御部16は、開閉弁270を閉じて、上バーナー260及び下バーナー261の各々を消火する。すなわち、3次加熱工程では、上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力が「切」にされ、加熱室20内の余熱により加熱対象物が加熱される。
【0080】
なお、3次加熱工程における上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力は、「切」に限られず、「弱」又は「強」であってもよい。また、3次加熱工程における上バーナー260及び下バーナー261の各々の火力は、調理モード毎に設定される。
【0081】
制御部16は、ステップS13に続いてステップS14の処理を実行する。ステップS14において、制御部16は、3次加熱工程が開始された時点から現時点までの時間である3次加熱経過時間t3が、3次加熱時間t3a以上であるか否かを判定する。
【0082】
制御部16は、ステップS14において、3次加熱経過時間t3が3次加熱時間t3a以上でなければ、ステップS15において一定時間待機し、この後、ステップS14の処理を実行する。制御部16は、ステップS14において、3次加熱経過時間t3が3次加熱時間t3a以上であれば、ステップS16において3次加熱工程を終了し、自動調理を終了する。なお、加熱調理器1は、3次加熱工程(自動調理)が終了したことを、表示又は音声等で利用者に対して報知手段を備えてもよい。
【0083】
上述した自動調理では、バーナー26の加熱熱量及び温度センサー46の検知結果に基づいて熱容量判定が行われる。このため、図8に示すように、データ取得期間に2次加熱工程の一部が含まれることで、温度センサー46の検知結果に基づいて火力変更部27が制御される場合にも、加熱対象物の熱容量の大きさを適切に判定することができる。また、データ取得期間においても、加熱対象物の温度に応じてバーナー26の火力を制御することができ、加熱対象物を適切に加熱することができる。
【0084】
また、上述した自動調理では、データ取得期間における加熱対象物の温度の積分値Fを取得し、この積分値Fとバーナー26の加熱熱量とに基づいて熱容量判定を行う。このため、例えばグリル扉22を開く等の外乱による影響で、データ取得期間の一部において温度センサー46の検知結果に乱れが生じた場合にも、加熱対象物の熱容量の大きさを適切に判定することが可能になる。
【0085】
なお、本実施形態の1次加熱工程では、温度センサー46の検知結果に基づく火力変更部27の制御が行われないが、2次加熱工程のように、温度センサー46の検知結果に基づく火力変更部27の制御が行われてもよい。
【0086】
(3)態様
上述した実施形態から明らかなように、第1の態様の加熱調理器1は、加熱室20、バーナー26、火力変更部27、制御部16及び温度センサー46を備える。加熱室20には、加熱対象物を配置可能である。バーナー26は、加熱対象物を加熱する。火力変更部27は、バーナー26の火力を変更する。制御部16は、加熱対象物の熱容量の大きさを判定する熱容量判定を行い、この熱容量判定の結果に基づいて火力変更部27を制御する。温度センサー46は、加熱対象物の温度を検知する。制御部16は、バーナー26により加熱対象物を所定の加熱期間加熱し、この加熱期間におけるバーナー26の加熱熱量及び温度センサー46の検知結果に基づいて熱容量判定を行う。
【0087】
第1の態様によれば、加熱対象物の熱容量の大きさに応じて、バーナー26の火力を制御することができる。また、加熱期間におけるバーナー26の火力が、予め固定されていない場合にも、加熱対象物の熱容量の大きさを判定することができる。このため、データ取得期間において、バーナー26の火力を加熱対象物の状態に適した火力にし、加熱対象物を適切に加熱することができる。
【0088】
第2の様態の加熱調理器1は、第1の様態との組み合わせにより実現され得る。第2の態様の制御部16は、加熱期間において、温度センサー46の検知結果に基づいて火力変更部27を制御する。
【0089】
第2の態様によれば、加熱期間においても、加熱対象物の温度に基づいて加熱対象物を適切に加熱することができる。
【0090】
第3の様態の加熱調理器1は、第1又は第2の様態との組み合わせにより実現され得る。第3の態様の加熱期間は、加熱対象物の熱容量を求めるためのデータ取得期間である。また、制御部16は、温度センサー46の検知結果に基づいてデータ取得期間における加熱対象物の温度の積分値Fを取得し、積分値Fとバーナー26の加熱熱量とに基づいて熱容量判定を行う。
【0091】
第3の態様によれば、外乱等による影響で、データ取得期間の一部において温度センサー46の検知結果に乱れ又は誤差等が生じた場合にも、熱容量判定を適切に行うことができる。
【0092】
第4の様態の加熱調理器1は、第1~第3のいずれか1つの様態との組み合わせにより実現され得る。第4の態様の制御部16は、温度センサー46により、加熱期間の開始以前における加熱対象物の初期温度T0を取得し、初期温度T0と、加熱期間におけるバーナー26の加熱熱量及び温度センサー46の検知結果に基づいて、熱容量判定を行う。
【0093】
第4の態様によれば、加熱期間の開始以前における加熱対象物の初期温度T0も考慮して、熱容量判定を行うことができる。このため、例えば、加熱室20内が冷えた状態であっても温かい状態であっても、熱容量判定を行うことができ、これにより、各々の温度状態に応じたバーナー26の火力設定がなされる。すなわち、加熱室20内の温度に関係なく加熱対象物の熱容量の大きさを判定することができる。したがって、例えば加熱対象物を入れ替えて連続的に使用した場合においても、適切な加熱調理を行うことができる。
【符号の説明】
【0094】
F 積分値
1 加熱調理器
16 制御部
20 加熱室
26 バーナー
27 火力変更部
46 温度センサー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8