(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】経路生成装置、及び自動運転システム
(51)【国際特許分類】
G01C 21/34 20060101AFI20221109BHJP
G01C 21/30 20060101ALI20221109BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20221109BHJP
B60W 30/095 20120101ALI20221109BHJP
B60W 40/02 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
G01C21/34
G01C21/30
G08G1/00 X
B60W30/095
B60W40/02
(21)【出願番号】P 2018077851
(22)【出願日】2018-04-13
【審査請求日】2021-04-12
(73)【特許権者】
【識別番号】509186579
【氏名又は名称】日立Astemo株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002572
【氏名又は名称】弁理士法人平木国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】綿引 智章
(72)【発明者】
【氏名】住澤 紹男
(72)【発明者】
【氏名】中嶌 隆夫
(72)【発明者】
【氏名】志野 達弥
(72)【発明者】
【氏名】出川 勝彦
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-083446(JP,A)
【文献】特開2017-215653(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/34
G01C 21/30
G08G 1/00
B60W 30/095
B60W 40/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
GNSSシステムから取得された車両の絶対位置座標を取得するとともに、前記絶対位置座標を基準として前記車両の相対位置を推定する自車位置推定部と、
第1経路情報を受信して、前記第1経路情報を高精度地図データとマッチングすることにより前記第1経路情報を第2経路情報にデータ変換する経路情報変換部と、
前記相対位置、前記高精度地図データ、及び前記第2経路情報に基づき地図情報を出力する地図情報出力部と
を備え、
前記経路情報変換部は、前記第1経路情報において、少なくとも車両が通行する予定の主経路に関する情報と、前記主経路よりも前記車両が通行する確率が小さい副経路に関する情報とを識別し、前記主経路に対し第1のデータ処理を実行し、前記副経路に対し前記第1のデータ処理とは異なる第2のデータ処理を実行
し、
前記第1のデータ処理は、前記主経路に関連する地点の位置情報と、前記高精度地図データとの間でデータマッチングと行うデータ処理であり、
前記第2のデータ処理は、前記副経路に関連する地点の位置情報を用いず、前記副経路に対応する前記高精度地図データ中のデータを特定するデータ処理である
ことを特徴とする経路生成装置。
【請求項2】
前記第1経路情報は、前記主経路を示す主経路IDと、前記副経路を示す副経路IDとを含み、
前記経路情報変換部は、前記主経路ID及び前記副経路IDに基づいて前記主経路と前記副経路とを識別する、請求項
1に記載の経路生成装置。
【請求項3】
車両の自動運転を制御する第1制御部と、
自動運転のための高精度地図データ、及び前記車両の経路データを生成する第2制御部と
を備え、
前記第2制御部は、
GNSSシステムから取得された車両の絶対位置座標を取得するとともに、前記絶対位置座標を基準として前記車両の相対位置を推定する自車位置推定部と、
第1経路情報を受信して、前記第1経路情報を高精度地図データとマッチングすることにより前記第1経路情報を第2経路情報にデータ変換する経路情報変換部と、
前記相対位置、前記高精度地図データ、及び前記第2経路情報に基づき地図情報を出力する地図情報出力部と
を備え、
前記経路情報変換部は、前記第1経路情報において、少なくとも車両が通行する予定の主経路に関する情報と、前記主経路よりも前記車両が通行する確率が小さい副経路に関する情報とを識別し、前記主経路に対し第1のデータ処理を実行し、前記副経路に対し前記第1のデータ処理とは異なる第2のデータ処理を実行し、
前記第1のデータ処理は、前記主経路に関連する地点の位置情報と、前記高精度地図データとの間でデータマッチングと行うデータ処理であり、
前記第2のデータ処理は、前記副経路に関連する地点の位置情報を用いず、前記副経路に対応する前記高精度地図データ中のデータを特定するデータ処理である
ことを特徴とする、自動運転システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の経路に関する情報を生成する経路生成装置、及び自動運転システムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、車両を自動運転する技術が盛んに開発されている。自動運転制御においては、車両(自車)が進むべき経路情報を、その走行レーン等も含めて高精度に生成し、その経路情報に従い、車両を目的地まで自動運転する(例えば、特許文献1参照)。一例としては、ナビゲーションシステムから概略的な経路情報を受信し、この概略的な経路情報を高精度地図データとデータマッチングすることで高精度な経路情報が生成され得る。
【0003】
しかし、データマッチングの対象となるデータの量が多くなると、演算負荷が多くなり、経路情報の生成に時間を要し、円滑な自動運転制御が難しくなる場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、経路情報の生成におけるデータ量を効果的に削減し、これにより自動運転を円滑に実行することを可能にした経路生成装置及び自動運転システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するため、本発明に係る経路生成装置は、GNSSシステムから取得された車両の絶対位置座標を取得するとともに、前記絶対位置座標を基準として前記車両の相対位置を推定する自車位置推定部と、第1経路情報を受信して、前記第1経路情報を高精度地図データとマッチングすることにより前記第1経路情報を第2経路情報にデータ変換する経路情報変換部と、前記相対位置、前記高精度地図データ、及び前記第2経路情報に基づき地図情報を出力する地図情報出力部とを備える。前記経路情報変換部は、前記第1経路情報において、少なくとも車両が通行する予定の主経路に関する情報と、前記主経路よりも前記車両が通行する確率が小さい副経路に関する情報とを識別し、前記主経路に対し第1のデータ処理を実行し、前記副経路に対し前記第1のデータ処理とは異なる第2のデータ処理を実行する。
【0007】
また、本発明に係る自動運転システムは、車両の自動運転を制御する第1制御部と、自動運転のための高精度地図データ、及び前記車両の経路データを生成する第2制御部とを備える。前記第2制御部は、GNSSシステムから取得された車両の絶対位置座標を取得するとともに、前記絶対位置座標を基準として前記車両の相対位置を推定する自車位置推定部と、第1経路情報を受信して、前記第1経路情報を高精度地図データとマッチングすることにより前記第1経路情報を第2経路情報にデータ変換する経路情報変換部と、前記相対位置、前記高精度地図データ、及び前記第2経路情報に基づき地図情報を出力する地図情報出力部とを備える。前記経路情報変換部は、前記第1経路情報において、少なくとも車両が通行する予定の主経路に関する情報と、前記主経路よりも前記車両が通行する確率が小さい副経路に関する情報とを識別し、前記主経路に対し第1のデータ処理を実行し、前記副経路に対し前記第1のデータ処理とは異なる第2のデータ処理を実行する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、経路情報の生成におけるデータ量を効果的に削減し、これにより自動運転を円滑に実行することを可能にした経路生成装置及び自動運転システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1の実施の形態に係る自動運転システムの構成を説明するブロック図である。
【
図2】経路情報変換部17の動作を説明する概略図である。
【
図3】経路情報変換部17のデータ処理を説明する概略図である。
【
図4】経路情報変換部17の構成の一例を説明するブロック図である。
【
図5】第1の実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【
図6】第2の実施の形態の動作を説明するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本実施形態について説明する。添付図面では、機能的に同じ要素は同じ番号で表示される場合もある。なお、添付図面は本開示の原理に則った実施形態と実装例を示しているが、これらは本開示の理解のためのものであり、決して本開示を限定的に解釈するために用いられるものではない。本明細書の記述は典型的な例示に過ぎず、本開示の特許請求の範囲又は適用例を如何なる意味においても限定するものではない。
【0011】
本実施形態では、当業者が本開示を実施するのに十分詳細にその説明がなされているが、他の実装・形態も可能で、本開示の技術的思想の範囲と精神を逸脱することなく構成・構造の変更や多様な要素の置き換えが可能であることを理解する必要がある。従って、以降の記述をこれに限定して解釈してはならない。
【0012】
[第1の実施の形態]
図1は、第1の実施の形態に係る自動運転システムの構成を説明するブロック図である。この自動運転システムは、経路生成装置としての高精度マップECU10(HD MAP ECU、第2制御部)と、自動運転に関する各種制御を司る自動運転ECU20(AD ECU、第1制御部)と、通信モジュール30とを備えて構成される。高精度マップECU10は、自動運転の対象とされる車両(図示せず)に搭載され、その経路に関する情報を生成する経路生成装置として機能する演算制御部である。
【0013】
高精度マップECU10と自動運転ECU20とは、例えば周知の通信規格であるイーサネット(Ethernet)により接続され得る。また、自動運転ECU20及び通信モジュール30は、図示しない外部機器と、例えばCAN、LIN、MOST、FlexRay等の通信規格、又はこれらの組合せにより接続可能とされている。列記された通信規格は一例であり、これに限定されるものではない。
【0014】
自動運転ECU20は、自動運転のためのIVI(In-Vehicle Infotainment)経路情報を高精度マップECU10に向けて出力するともに、IVI経路情報及び高精度地図データに基づいて高精度マップECU10において生成されるより詳細な経路情報を利用して自動運転制御を実行する制御部である。IVI経路情報は、車両に搭載されたナビゲーションシステム(図示せず)において生成され、現在地と目的地との間の経路に沿った複数の地点の緯度及び経度に関する情報等を含む。
【0015】
高精度マップECU10は、一例として、ジャイロ/加速度センサ11と、GNSSレシーバ12と、地図更新部13と、高精度地図データ記憶部14と、自車位置推定部15と、地図情報出力部16と、経路情報変換部17とを含む。
【0016】
ジャイロ/加速度センサ11は、車両の角速度、加速度、及び/又は速度を計測する検知器である。GNSSレシーバ12は、GNSSシステムから車両の絶対位置座標を取得する受信機である。地図更新部13は、外部から通信モジュール30を介して高精度地図の更新データを受信して、高精度地図データを更新する。高精度地図データ記憶部14は、更新された高精度地図データを記憶するデータ保持部である。
【0017】
自車位置推定部15(ロケータ)は、GNSSレシーバ12が取得した車両の絶対位置座標に基づき、車両の現在の絶対位置を推定するとともに、ジャイロ/加速度センサ11が取得した角速度、加速度、車速などの情報を用いて、絶対位置座標を基準として車両の相対位置を推定する。そして、自車位置推定部15は、算出した車両の位置を高精度地図データ記憶部14に記憶された高精度地図データを用いて補正するマップマッチング処理を実行し、補正した車両の位置を、車両の方位、及びセンサの検知情報とともに地図情報出力部16及び自動運転ECU20に出力する。なお、自車位置推定部15は、自動運転ECU20から、自動運転対象の車両に関する車両情報や、車両に搭載されたカメラで撮影された撮像情報(カメラ認識結果)も受信し、相対位置の推定に用いることもできる。
【0018】
地図情報出力部16は、高精度地図データ記憶部14から読み出された高精度地図データ、自車位置推定部15で推定された車両の相対位置、及び経路情報変換部17で得られた詳細経路情報に従い、自動運転用の高精度地図情報を生成し、自動運転ECU20に向けて出力する。自動運転用の高精度地図情報は、例えば車両の位置(自車位置)、レーン情報、看板や標識の情報、カーブ情報、勾配情報等を含む。
【0019】
経路情報変換部17は、
図2に概略的に示すように、自動運転ECU20から取得されたIVI経路情報(第1経路情報)と、高精度地図データ記憶部14から得られた高精度地図データに含まれるリンク/ノードデータとの間でデータマッチングを行い、その結果に従って、IVI経路情報よりも高精度な経路情報である詳細経路情報(第2経路情報)を生成し、自動運転ECU20に出力する。経路情報変換部17は、更に自車位置推定部15から車両の位置に関する情報も取得し、詳細経路情報に車両の位置に関する情報を反映させる。
【0020】
経路情報変換部17は、自動運転ECU20からIVI経路情報が提供された場合に、そのデータ処理量を削減するため、次のようなデータ処理を実行している。具体的には、経路情報変換部17は、IVI経路情報に含まれる経路情報において、少なくとも、車両が主に通行する予定のメインパス(主経路)に関する情報と、メインパスよりも車両が通行する確率が小さい(通行する予定の無い)サブパス(副経路)とに識別する。そして、メインパスに対しては、メインパスを高精度に生成するため、データ処理量の大きいデータ処理を実行する一方、サブパスに対しては、データ処理量を削減した、メインパスのデータ処理とは異なるデータ処理を実行する。
【0021】
図3を用いて、第1の実施の形態における経路情報変換部17のデータ処理の具体的を説明する。
IVI経路情報は、
図3の左側に示すように、現在地から目的地(星印)までの経路であり、車両が主に通行する予定のメインパスの情報を含んでいる。メインパスには、メインパスに沿った地点の位置情報としての緯度/経度情報(
図3中、×印で示している)と、メインパスを特定するためのメインパスID(IDpr)が付加されている。また、サブパスには、サブパスに沿った地点の緯度/経度情報と、サブパスを特定するためのサブパスID(IDsb1~4)が付加されている。以下では、メインパスIDとサブパスIDを総称して「パスID」と呼ぶ。
【0022】
経路情報変換部17は、データ処理量の削減のため、サブパスに付加されている緯度/経度情報を処理対象から除外する。緯度/経度情報は、高精度地図データとのデータマッチングに利用することができ、詳細経路情報を高精度に生成するのに有用である。メインパスにおいては、緯度/経度情報に基づくデータマッチングは重要であり、これが省略された場合、経路の分岐において間違った方向に進む可能性が大きくなる。しかし、車両が通行する確率が低いサブパスについて、メインパスと同様のデータマッチングを行うと、演算負荷が大きくなり、メインパスにおけるデータ処理に影響を与えてしまう虞がある。
【0023】
そこで、本実施の形態では、経路情報変換部17において、メインパスとサブパスとを、メインパスID(主経路ID)及びサブパスID(副経路ID)に基づいて識別し、サブパスと判定されたパスに付加されている緯度/経度情報をフィルタリングにより除外する。これにより、緯度/経度情報は、メインパスにのみ残される。サブパスに関するデータ処理においては、サブパスに関連する緯度/経度情報を用いず(除外され)、サブパスに対応する高精度地図データ中のデータが特定されるに止まる。
メインパスに残された緯度/経度情報は、データマッチングにより高精度地図データとデータマッチングの対象とされ、これにより、メインパスに関しては高精度な経路情報が生成される。
【0024】
図4は、経路情報変換部17の構成例を示すブロック図である。経路情報変換部17は、一例として、IVI経路情報受信部21、メインパス/サブパス識別部22、フィルタリング部23、高精度地図データ受信部24、リンク/ノードデータ生成部25、自車位置推定データ受信部26、データマッチング処理部27、及び詳細経路情報生成部28を備えている。
【0025】
IVI経路情報受信部21は、自動運転ECU20からIVI経路情報を受信して一時記憶する機能を有する。メインパス/サブパス識別部22は、受信されたIVI経路情報の中のパスの種類(メインパス又はサブパス)を、前述のメインパスID及びサブパスIDに基づいて識別する。フィルタリング部23は、サブパスと認定されたパスから緯度/経度情報を除外する機能を有する。
【0026】
高精度地図データ受信部24は、高精度地図データ記憶部14から高精度地図データを受信して一時記憶する機能を有する。リンク/ノードデータ生成部25は、高精度地図データの中から、リンクデータ及びノードデータを抽出し、リンク/ノードデータとして生成する機能を有する。
【0027】
自車位置推定データ受信部26は、車両の位置に関するデータを自車位置推定部15から受信し、一時記憶する機能を有する。
データマッチング処理部27は、このリンク/ノードデータと、フィルタリング部23でフィルタリングを受けたIVI経路情報との間でデータマッチングを行う機能を有する。また、詳細経路情報生成部28は、データマッチングの結果に従い、高精度地図データ及びIVI経路情報に従って、詳細経路情報を生成する機能を有する。
【0028】
図5のフローチャートを参照して、新規な経路情報が得られた場合における本システムの動作を説明する。
自動運転ECU20からIVI経路情報が経路情報変換部17中のIVI経路情報受信部21において受信されると、メインパス/サブパス識別部22は、IVI経路情報中のパスIDを確認する(S2)。
【0029】
パスIDがサブパスIDである場合(S3のYes)、メインパス/サブパス識別部22は、対応するパスがサブパスであると判定し、S4~S5の処理に移行する。S4では、フィルタリング部23により、サブパスのデータに付加されている緯度/経度情報が削除され、更に続くS5では、データマッチング処理部27により、サブパスIDに基づいて、対応する地図データが高精度地図データ中から検索され、抽出される。
【0030】
一方、パスIDがサブパスIDではなく、メインパスIDであった場合(S3のNo)、メインパス/サブパス識別部22は、対応するパスがメインパスであると判定し、S6~S7の処理に移行する。S6では、メインパスのデータに付加されている緯度/経度情報はフィルタリング部23により削除されずそのまま残され、データマッチング処理部27に入力される。続くS7では、メインパスの緯度/経度情報と高精度地図データとに基づくデータマッチングが実行される。
【0031】
続いてS8では、S5で抽出されたサブパスについての高精度地図のデータ、及びS7でデータマッチングにより生成されたメインパスの詳細データに基づいて、詳細経路情報が生成される。この
図5の処理手順では、メインパスについては、緯度/経度情報と高精度地図データとのマッチングにより高精度な経路情報が得られる一方、サブパスについては、緯度/経度情報は省略して、単にサブパスに関する高精度地図情報がマッチングを行うことなく出力される。これにより、本実施の形態では、データ処理量を削減しつつも、メインパスに関しては高精度な経路情報が出力されるので、データ処理の高速化とデータの内容の精度の維持とを両立させることができる。
【0032】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係る自動運転システムを、
図6のフローチャートを参照して説明する。この第2の実施の形態は、全体構成や基本的な動作は第1の実施の形態と同一であるが、
図5のS3でYESの判断がなされた後の動作が第1の実施の形態とは異なっている。
図6において、S3のYES以降の処理手順以外は、
図5と同一であるので、以下では異なる点のみについて説明する。
【0033】
この第2の実施の形態では、S3でYESの判断がなされた後、さらにサブパスについて所定の分類がなされ、分類に応じて異なる処理(S4-1~5-1、S4-2~5-2)がなされる。サブパスは、一例として、経路変更(リルート)により車両が通行する確率、サブパスの長さ、サブパスの分岐の数等に応じて分類され得る。ここでは、サブパスを2つの分類に従って分類して、異なる処理を適用する例を説明する。分類の数は、2つに限定されるものではないことは言うまでもない。
【0034】
第1の分類のサブパスについては、一例として、全ての緯度/経路情報を削除するのではなく、緯度/経路情報を一部間引き(S4-1)、間引き後の緯度/経度情報と高精度地図データとのデータマッチングが実行される(S5-1)。緯度/経度情報が間引かれている点を除けば、処理内容はS6~S7と同一である。緯度/経度情報が間引かれている分、データ処理量が削減され、処理時間を短縮することができる。第2の分類のサブパスについては、第1の実施の形態のS4、S5と同様の処理が行われる(S4-2、S5-2)。
このように、本実施の形態では、サブパスをさらに分類し、重要なサブパスについてはデータマッチング処理が実行され、高精度な経路情報が生成される。これによれば、リルートなどが発生した場合に、より自動運転を円滑に実行することができる。
【0035】
<本発明の変形例について>
本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、様々な変形例が含まれる。例えば、上記実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。また、ある実施形態の構成の一部を他の実施形態の構成に置き換えることが可能であり、また、ある実施形態の構成に他の実施形態の構成を加えることも可能である。また、各実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
【0036】
上記の各構成、機能、処理部、処理手段等は、それらの一部又は全部を、例えば集積回路で設計する等によりハードウェアで実現してもよい。また、上記の各構成、機能等は、プロセッサがそれぞれの機能を実現するプログラムを解釈し、実行することによりソフトウェアで実現してもよい。各機能を実現するプログラム、テーブル、ファイル等の情報は、メモリや、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)等の記録装置、または、ICカード、SDカード等の記録媒体に置くことができる。また、制御線や情報線は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての制御線や情報線を示しているとは限らない。実際には殆ど全ての構成が相互に接続されていると考えてもよい。
【符号の説明】
【0037】
10…高精度マップECU、 20…自動運転ECU、 30…通信モジュール、 11…ジャイロ/加速度センサ、 12…GNSSレシーバ、 13…地図更新部、 14…高精度地図データ記憶部、 15…自車位置推定部、 16…地図情報出力部、 17…経路情報変換部、 21…IVI経路情報受信部、 22…メインパス/サブパス識別部、 23…フィルタリング部、 24…高精度地図データ受信部、 25…リンク/ノードデータ生成部、 26…自車位置推定データ受信部、 27…データマッチング処理部、 28…詳細経路情報生成部。