(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】フレキシブル配線回路基板、その製造方法、および、撮像装置
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20221109BHJP
H01L 27/146 20060101ALI20221109BHJP
H04N 5/225 20060101ALI20221109BHJP
H05K 9/00 20060101ALI20221109BHJP
H05K 3/28 20060101ALN20221109BHJP
【FI】
H05K1/02 P
H01L27/146 D
H04N5/225 300
H05K1/02 B
H05K9/00 R
H05K3/28 F
(21)【出願番号】P 2018083305
(22)【出願日】2018-04-24
【審査請求日】2021-03-31
(31)【優先権主張番号】P 2017090165
(32)【優先日】2017-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000003964
【氏名又は名称】日東電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103517
【氏名又は名称】岡本 寛之
(74)【代理人】
【識別番号】100149607
【氏名又は名称】宇田 新一
(72)【発明者】
【氏名】柴田 周作
(72)【発明者】
【氏名】河邨 良広
(72)【発明者】
【氏名】高倉 隼人
(72)【発明者】
【氏名】若木 秀一
【審査官】齊藤 健一
(56)【参考文献】
【文献】特開平7-224269(JP,A)
【文献】特開2004-95566(JP,A)
【文献】特開2016-122687(JP,A)
【文献】国際公開第2013/183632(WO,A1)
【文献】特開2005-210628(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 9/02
H01L 27/146
H04N 5/225
H05K 1/00―3/46
H05K 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1絶縁層と、
前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される第1配線と、
前記第1配線の厚み方向一方側に配置される接着剤層と、
前記接着剤層の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と
、
前記第1配線および前記接着剤層の間に配置される第3絶縁層と、
前記接着剤層および前記第2絶縁層の間に配置され且つ前記接着剤層と接するシールド層と
を備え、
前記第3絶縁層が、厚み方向に貫通する第1開口部を有し、
前記接着剤層は、
導電性接着剤と、当該導電性接着剤に埋設されている強化繊維層であって絶縁性を有する強化繊維層
とを含有し
、前記導電性接着剤が前記第1開口部を充填して前記第1配線と接し、
前記導電性接着剤が、接着性樹脂と、導電性粒子とを含み、
前記強化繊維層が、開口長さが20μm以上500μm以下の複数の繊維開口部を有し、
前記導電性粒子の平均粒子径が1μm以上20μm以下である、フレキシブル配線回路基板。
【請求項2】
前記強化繊維層の厚みが、5μm以上25μm以下であることを特徴とする、請求項1に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項3】
前記強化繊維層が、ガラス繊維層であることを特徴とする、請求項1または2に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項4】
前記導電性接着剤が、異方導電性接着剤であることを特徴とする、請求項
1~3のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項5】
前記第1絶縁層、前記第1配線および前記第3絶縁層の等価弾性率が、55GPa以下であることを特徴とする、請求項
1~4のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項6】
前記第3絶縁層および前記接着剤層の間に配置される第2配線をさらに備えることを特徴とする、請求項
1~5のいずれか一つに記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項7】
前記第2配線の厚み方向一方側に配置される第4絶縁層を備え、
前記第4絶縁層は、厚み方向に貫通する第2開口部を有し、
前記接着剤層が、導電性接着剤を含有し、
前記導電性接着剤が、前記第2開口部に充填されていることを特徴とする、請求項
6に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項8】
前記第1配線および前記第2配線の間に配置される第2接着剤層をさらに備え、
前記第2接着剤層が、絶縁性を有する強化繊維層を含有していることを特徴とする、請求項
6または7に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項9】
前記接着剤層および前記シールド層の間に配置される第2配線をさらに備えていることを特徴とする、請求項
1~5のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板。
【請求項10】
請求項1~
9のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板と、
前記フレキシブル配線回路基板に実装される撮像素子と
を備えることを特徴とする、撮像装置。
【請求項11】
第1絶縁層と、前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される第1配線と
、前記第1配線の厚み方向一方側に配置される第3絶縁層であって、前記厚み方向に貫通する第1開口部を有する第3絶縁層と、を備える配線積層体を用意する工程、
接着性樹脂と平均粒子径1μm以上20μm以下の導電性粒子とを含有する導電性接着剤から形成された接着剤層と、前記接着剤層の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層と
、前記接着剤層と前記第2絶縁層との間に配置されるシールド層と、を備える接着剤積層体を用意する工程、
絶縁性を有する強化繊維層
であって、開口長さが20μm以上500μm以下の複数の繊維開口部を有する強化繊維層を用意する工程、
前記配線積層体の厚み方向一方側の表面と、前記接着剤積層体の前記接着剤層の表面とが対向し、かつ、これらの間に前記強化繊維層が位置するように、前記配線積層体、前記接着剤積層体および前記強化繊維層を配置する工程、ならびに、
前記接着剤層が、前記強化繊維層を厚み方向に貫通し、前記配線積層体の厚み方向一方側に接触するように、前記配線積層体および前記接着剤積層体を積層する工程
を備えることを特徴とする、フレキシブル配線回路基板の製造方法。
【請求項12】
前記強化繊維層の厚みが、5μm以上25μm以下であることを特徴とする、請求項
11に記載のフレキシブル配線回路基板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレキシブル配線回路基板、その製造方法、および、撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、携帯電話などに搭載されているカメラモジュールなどの撮像装置は、一般的に、光学レンズと、光学レンズを収容および保持するハウジングと、CMOSセンサやCCDセンサなどの撮像素子と、撮像素子を実装し、外部配線に電気的に接続するための回路基板とを備えている。回路基板の略中央部の上に、撮像素子が実装されており、撮像素子を取り囲むように回路基板の周端部の上に、ハウジングが配置されている。特許文献1には、そのような基板が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
一方、撮像素子などの電子部品が実装される回路基板では、外部からの電磁波の影響により、電子部品の誤作動やノイズが生じることが知られている。そのため、回路基板に電磁波のシールド層を設けて、外部からの電磁波を遮蔽することが望まれる。
【0004】
そのようなシールド層として、例えば、セパレートフィルムの片面に耐熱性に優れた樹脂をコーティングしてカバーフィルムを形成し、そのカバーフィルムの表面に金属薄膜層と接着剤層とで構成されるシールド層を設けているシールドフィルムが提案されている(例えば、特許文献2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2005-210628号公報
【文献】特開2004-95566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、薄膜化の観点から、回路基板として、フレキシブル配線回路基板を用いることが望まれている。しかしながら、フレキシブル配線回路基板にシールドフィルムまたはカバーフィルムなどを接着して得られるシールド層/カバー層付き回路基板に、撮像素子を実装すると、その撮像ユニットに反りが発生し易い。これは、撮像素子と、シールド層/カバー層付き回路基板との熱膨張係数の差に起因することが原因の一つとなっている。すなわち、撮像素子は、シリコンなどの素材からなるため、一般的に、その熱膨張係数は低い。一方、シールド層/カバー層付き回路基板の接着剤層は、樹脂層であるため、一般的に、熱膨張係数は高い。そのため、フレキシブル配線回路基板の熱膨張係数を低減することが必要である。
【0007】
本発明は、接着剤層を備えながら、熱膨張係数を低減することができるフレキシブル配線回路基板、その製造方法、および、撮像装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明[1]は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される第1配線と、前記第1配線の厚み方向一方側に配置される接着剤層と、前記接着剤層の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層とを備え、前記接着剤層は、絶縁性を有する強化繊維層を含有している、フレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0009】
このようなフレキシブル配線回路基板では、接着剤層を備えているため、シールド層またはカバー層などの所望の層を、接着剤層を介して備えることができる。
【0010】
また、接着剤層に、絶縁性を有する強化繊維層が含有されているため、接着剤層の熱膨張係数(特に、面方向の線熱膨張係数)が低減している。そのため、フレキシブル配線回路基板に電子部品を実装した電子装置において、反りを抑制することができる。
【0011】
また、接着剤層に、強化繊維層が含有されているため、接着剤層の硬度が向上している。そのため、フレキシブル配線回路基板に電子部品を実装する際に、フレキシブル配線回路基板の撓みを抑制することができ、電子部品の実装性を向上させることができる。
【0012】
本発明[2]は、前記強化繊維層の厚みが、5μm以上25μm以下である、[1]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0013】
このようなフレキシブル配線回路基板では、強化繊維層を含有する接着剤層を薄膜化でき、フレキシブル配線回路基板を薄型化できる。
【0014】
本発明[3]は、前記強化繊維層が、ガラス繊維層である、[1]または[2]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0015】
このようなフレキシブル配線回路基板では、接着剤層の熱膨張係数をより確実に低減し、反りをより一層抑制することができる。
【0016】
本発明[4]は、前記第1配線および前記接着剤層の間に配置される第3絶縁層をさらに備える、[1]~「3」のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0017】
このようなフレキシブル配線回路基板では、第3絶縁層を備えているため、第1配線を保護できる。また、第1配線の厚み方向一方側に、第3絶縁層を介して、シールド層や第2配線などを配置することができる。
【0018】
本発明[5]は、前記接着剤層および前記第2絶縁層の間に配置されるシールド層をさらに備える、[4]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0019】
このようなフレキシブル配線回路基板では、シールド層を備えているため、電磁波に対するシールド特性に優れる。
【0020】
本発明[6]は、前記第3絶縁層は、厚み方向に貫通する第1開口部を有し、前記接着剤層が、導電性接着剤を含有し、前記導電性接着剤が、前記第1開口部に充填されている、[5]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0021】
このようなフレキシブル配線回路基板では、シールド層が、導電性接着剤を介して、第1配線に導通することができるため、シールド層を接地できる。よって、外部からの電磁波をより確実に遮蔽することができる。
【0022】
本発明[7]は、前記導電性接着剤が、異方導電性接着剤である、[6]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0023】
このようなフレキシブル配線回路基板では、シールド層と第1配線とを導通させる接着剤が、異方導電性接着剤であるため、厚み方向と直交する直交方向への導通を防止しながら、厚み方向への導通を可能とする。そのため、シールド層と第1配線との導通箇所が複数存在する場合に、各導通箇所間の導通(短絡)を防止することができる。よって、第1配線の短絡を防止しながら、異方導電性接着剤を介して、シールド層と第1配線とを複数個所で導通することができる。
【0024】
本発明[8]は、前記第1絶縁層、前記第1配線および前記第3絶縁層の等価弾性率が、55GPa以下である、[4]~[7]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0025】
このようなフレキシブル配線回路基板では、第1絶縁層、第1配線および第3絶縁層からなる配線積層体の等価弾性率が、特定の範囲であるため、フレキシブル配線回路基板の熱膨張係数をより一層低減できる。そのため、電子装置の反りをより一層抑制することができる。
【0026】
本発明[9]は、前記第3絶縁層および前記接着剤層の間に配置される第2配線をさらに備える、[5]~[8]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0027】
このようなフレキシブル配線回路基板では、厚み方向に、第1配線および第2配線を備えている。よって、配線設計の自由度を向上させることができる。
【0028】
本発明[10]は、前記第2配線の厚み方向一方側に配置される第4絶縁層を備え、前記第4絶縁層は、厚み方向に貫通する第2開口部を有し、前記接着剤が、導電性接着剤を含有し、前記導電性接着剤が、前記第2開口部に充填されている、[9]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0029】
このようなフレキシブル配線回路基板では、シールド層が、導電性接着剤を介して、第2配線に導通することができるため、シールド層を接地できる。よって、外部からの電磁波をより確実に遮蔽することができる。
【0030】
本発明[11]は、前記第1配線および前記第2配線の間に配置される第2接着剤層をさらに備え、前記第2接着剤層が、絶縁性を有する強化繊維層を含有している、[9]または[10]に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0031】
このようなフレキシブル配線回路基板では、第2接着剤層に、絶縁性を有する強化繊維層が含有されているため、第2接着剤層の熱膨張係数が低減している。そのため、フレキシブル配線回路基板に電子部品を実装した電子装置において、反りをより一層抑制することができる。
【0032】
本発明[12]は、前記接着剤層および前記シールド層の間に配置される第2配線をさらに備えている、[5]~[8]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0033】
このようなフレキシブル配線回路基板では、厚み方向に、第1配線および第2配線を備えている。よって、配線設計の自由度を向上させることができる。
【0034】
本発明[13]は、前記接着剤層が、絶縁性接着剤層であり、前記第1配線の厚み方向一方側の表面および前記第2絶縁層の厚み方向他方側の表面に直接接触する、[1]~[3]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板を含んでいる。
【0035】
このようなフレキシブル配線回路基板では、接着剤層が、第1配線と第2絶縁層との両方に直接接触している。すなわち、接着剤層を介して第2絶縁層を第1配線に接触することにより得ることができるため、第1配線が保護されたフレキシブル配線回路基板を容易に得ることができる。
【0036】
本発明[14]は、[1]~[13]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板と、前記フレキシブル配線回路基板に実装される撮像素子とを備える撮像装置を含んでいる。
【0037】
この撮像装置によれば、上記フレキシブル配線回路基板と撮像素子とを備えるため、シールド層またはカバー層などの所望の層を、接着剤層を介して備えることができる。また、接着剤層の熱膨張係数(特に、面方向の線熱膨張係数)が低減しているため、反りを抑制することができる。また、接着剤層の硬度が向上し、フレキシブル配線回路基板の撓みが抑制されているため、撮像装置の実装性が向上し、接続信頼性に優れる。
【0038】
本発明[15]は、第1絶縁層と、前記第1絶縁層の厚み方向一方側に配置される第1配線とを備える配線積層体を用意する工程、接着剤層と、前記接着剤層の厚み方向一方側に配置される第2絶縁層とを備える接着剤積層体を用意する工程、絶縁性を有する強化繊維層を用意する工程、前記配線積層体の厚み方向一方側の表面と、前記接着剤積層体の前記接着剤層の表面とが対向し、かつ、これらの間に前記強化繊維層が位置するように、前記配線積層体、前記接着剤積層体および前記強化繊維層を配置する工程、ならびに、前記接着剤層が、前記強化繊維層を厚み方向に貫通し、前記配線積層体の厚み方向一方側に接触するように、前記配線積層体および前記接着剤積層体を積層する工程を備える、フレキシブル配線回路基板の製造方法を備えている。
【0039】
このようなフレキシブル配線回路基板の製造方法によれば、シールド層またはカバー層などの所望の層を備え、反りの発生を抑制し、実装性に優れるフレキシブル配線回路基板を簡便に製造することができる。
【0040】
本発明[16]は、前記強化繊維層の厚みが、5μm以上25μm以下である、[15]に記載のフレキシブル配線回路基板の製造方法を含んでいる。
【0041】
このようなフレキシブル配線回路基板の製造方法によれば、強化繊維層を含有する接着剤層を薄膜化できるため、薄型のフレキシブル配線回路基板を製造することができる。
【0042】
本発明[17]は、前記接着剤層が、導電性接着剤層である、[15]または[16]に記載のフレキシブル配線回路基板の製造方法を含んでいる。
【0043】
このようなフレキシブル配線回路基板の製造方法によれば、シールド層を、導電性接着剤層を介して第1配線などに導通できるフレキシブル配線回路基板を簡便に製造することができる。
【0044】
本発明[18]は、前記接着剤層および前記第2絶縁層の間に配置されるシールド層をさらに備えることを特徴とする、[15]~[17]のいずれか一項に記載のフレキシブル配線回路基板の製造方法を含んでいる。
【0045】
このようなフレキシブル配線回路基板の製造方法によれば、シールド特性に優れながら、反りの発生を抑制し、実装性に優れるフレキシブル配線回路基板を簡便に製造することができる。
【発明の効果】
【0046】
本発明のフレキシブル配線回路基板および撮像装置は、接着剤層を備えながら、反りの発生を抑制することができる。また、撮像素子の実装性が良好である。
【0047】
本発明のフレキシブル配線回路基板の製造方法によれば、接着剤層を備えながら、反りの発生を抑制し、実装性に優れるフレキシブル配線回路基板を簡便に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【
図1】
図1は、本発明のフレキシブル配線回路基板の第1実施形態の底面図を示す。
【
図2】
図2は、
図1に示すフレキシブル配線回路基板におけるA-A断面図を示す。
【
図3】
図3A~
図3Dは、
図1に示すフレキシブル配線回路基板の製造工程図を示し、
図3Aが、金属支持体用意工程およびベース絶縁層形成工程、
図3Bが、導体パターン形成工程、
図3Cが、第1カバー絶縁層形成工程、
図3Dが、金属支持体除去工程を示す。
【
図4】
図4E~
図4Gは、
図3Dに続くフレキシブル配線回路基板の製造工程図を示し、
図4Eが、配置工程、
図4Fが、積層工程(強化繊維層が配線積層体および接着剤積層体と接触している状態)、
図4Gが、積層工程(異方導電性接着剤層が第1カバー絶縁層と接触している状態)を示す。
【
図5】
図5は、
図1に示すフレキシブル配線回路基板を備える撮像装置を示す。
【
図6】
図6は、本発明のフレキシブル配線回路基板の変形例(強化繊維層が、第1カバー絶縁層と接触する形態)の断面図を示す。
【
図7】
図7は、本発明のフレキシブル配線回路基板の変形例(強化繊維層が、シールド層と接触する形態)の断面図を示す。
【
図8】
図8は、本発明のフレキシブル配線回路基板の変形例(強化繊維層が、第1カバー絶縁層およびシールド層と接触する形態)の断面図を示す。
【
図9】
図9は、本発明のフレキシブル配線回路基板の第2実施形態(第2導体パターンおよび第3カバー絶縁層を備える形態)の断面図を示す。
【
図10】
図10A~
図10Cは、
図9に示すフレキシブル配線回路基板の製造工程図を示し、
図10Aが、配置工程、
図10Bが、積層工程(強化繊維層が第2配線積層体および接着剤積層体と接触している状態)、
図10Cが、積層工程(異方導電性接着剤層が第3カバー絶縁層と接触している状態)を示す。
【
図11】
図11は、本発明のフレキシブル配線回路基板の第3実施形態(第2異方導電性接着剤層、第2ベース絶縁層、第2導体パターンおよび第3カバー絶縁層を備える形態)の断面図を示す。
【
図12】
図12は、本発明のフレキシブル配線回路基板の第4実施形態(第2ベース絶縁層、第2導体パターンおよび第3カバー絶縁層を備える実施形態)の断面図を示す。
【
図13】
図13は、本発明のフレキシブル配線回路基板の第5実施形態(接着剤層が絶縁性接着剤層である形態)の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1において、紙面上下方向は、前後方向(第1方向)であって、紙面上側が前側(第1方向一方側)、紙面下側が後側(第1方向他方側)である。紙面左右方向は、左右方向(第1方向と直交する第2方向)であって、紙面左側が左側(第2方向一方側)、紙面右側が右側(第2方向他方側)である。紙面紙厚方向は、上下方向(厚み方向、第1方向および第2方向と直交する第3方向)であって、紙面奥側が上側(厚み方向一方側、第3方向一方側)、紙面手前側が下側(厚み方向他方側、第3方向他方側)である。具体的には、各図の方向矢印に準拠する。
【0050】
<一実施形態>
1.撮像素子実装基板
図1~
図4を参照して、本発明のフレキシブル配線回路基板の一実施形態である撮像素子実装基板1(以下、単に実装基板とも略する。)を説明する。
【0051】
実装基板1は、撮像素子21(後述)を実装するためのフレキシブル配線回路基板(FPC)であって、撮像素子21を未だ備えていない。実装基板1は、
図1に示すように、面方向(前後方向および左右方向)に延びる平面視略矩形(長方形状)の平板形状(シート形状)を有する。
【0052】
実装基板1は、
図1に示すように、ハウジング配置部2、および、外部部品接続部3を備える。
【0053】
ハウジング配置部2は、ハウジング22(後述)や撮像素子21が配置される部分である。具体的には、ハウジング22が実装基板1に配置された場合において、厚み方向に投影したときに、ハウジング22と重複する部分である。ハウジング配置部2の略中央部には、撮像素子21と電気的に接続するための撮像素子接続端子10(後述)が複数配置されている。
【0054】
外部部品接続部3は、ハウジング配置部2以外の領域であって、外部部品と接続するための部分である。外部部品接続部3は、外部部品接続部3の前端縁がハウジング配置部2の後端縁と連続するように、ハウジング配置部2の後側に配置されている。外部部品接続部3の後端縁には、外部部品と電気的に接続するための外部部品接続端子11(後述)が複数配置されている。
【0055】
実装基板1は、
図2に示すように、第1絶縁層としてのベース絶縁層4と、導体パターン5と、第3絶縁層としての第1カバー絶縁層6と、接着剤層としての異方導電性接着剤層7と、シールド層8と、第2絶縁層としての第2カバー絶縁層9とを、上側(厚み方向一方側)に向かって順に備える。好ましくは、実装基板1は、ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、異方導電性接着剤層7、シールド層8および第2カバー絶縁層9のみからなる。
【0056】
ベース絶縁層4は、
図1および
図2に示すように、実装基板1の外形をなし、底面視略矩形状に形成されている。ベース絶縁層4は、実装基板1の最下層に位置する。ベース絶縁層4の下面(厚み方向他方面)は、平坦となるように形成されている。詳しくは、ベース絶縁層4は、ベース絶縁層4の下面は金属支持体(
図3A~
図4Fの符号19参照)に支持されておらず、従って、実装基板1は、金属支持体19(金属支持層)を備えない。
【0057】
ベース絶縁層4には、複数の撮像素子開口部41、および、複数の外部部品開口部42が形成されている。
【0058】
複数の撮像素子開口部41は、撮像素子接続端子10を下面から露出するための開口部である。複数の撮像素子開口部41は、ハウジング配置部2の中央部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。撮像素子開口部41は、ベース絶縁層4を厚み方向(上下方向)に貫通し、底面視略円形状を有する。撮像素子開口部41は、下側に向かうに従って断面積が小さくなるテーパ形状を有する。
【0059】
複数の外部部品開口部42は、外部部品接続端子11を下面から露出するための開口部である。外部部品開口部42は、外部部品接続部3の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。外部部品開口部42は、ベース絶縁層4を厚み方向に貫通し、底面視略矩形状(長方形状)を有する。外部部品開口部42は、底面視において、外部部品接続部3の後端縁から前側に向かって延びるように、形成されている。
【0060】
ベース絶縁層4は、絶縁性材料から形成されている。絶縁性材料としては、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、エポキシアクリレート樹脂、ポリエステルアクリレート樹脂などの合成樹脂などが挙げられる。好ましくは、ベース絶縁層4は、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0061】
ベース絶縁層4の厚みT1は、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下である。
【0062】
導体パターン5は、
図2に示すように、ベース絶縁層4の上面と接触するように、ベース絶縁層4の上側に設けられている。導体パターン5は、複数の撮像素子接続端子10、複数の外部部品接続端子11(
図1参照)、および、複数の第1配線12を備える。
【0063】
複数の撮像素子接続端子10は、
図1に示すように、ハウジング配置部2の中央部に、矩形枠状となるように、互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、複数の撮像素子接続端子10は、実装される撮像素子21の複数の端子25(後述、
図5参照)に対応するように、設けられている。また、複数の撮像素子接続端子10は、複数の撮像素子開口部41に対応して設けられている。撮像素子接続端子10は、底面視略円形状を有する。撮像素子接続端子10は、撮像素子開口部41内に配置され、断面視(側断面視および正断面視)において、下側に凸となるように形成されている。撮像素子接続端子10の下面は、撮像素子開口部41から露出している。
【0064】
複数の外部部品接続端子11は、外部部品接続部3の後端縁に、左右方向に互いに間隔を隔てて整列配置されている。すなわち、外部部品の複数の端子(図示せず)と対応するように設けられている。また、複数の外部部品接続端子11は、複数の外部部品開口部42に対応して設けられている。外部部品接続端子11は、平面視略矩形状(長方形状)を有する。外部部品接続端子11は、外部部品開口部42内に配置され、その下面は、外部部品開口部42から露出している。
【0065】
複数の第1配線12は、
図2に示すように、ベース絶縁層4の上側に配置され、ベース絶縁層4の上面と直接接触している。複数の接続配線13および複数のグランド配線14を備える。
【0066】
複数の接続配線13は、複数の撮像素子接続端子10および複数の外部部品接続端子11に対応するように設けられている。具体的には、接続配線13は、撮像素子接続端子10と外部部品接続端子11とを接続するように、これらと一体的に形成されている。すなわち、接続配線13の一端は、撮像素子接続端子10と連続し、接続配線13の他端は、外部部品接続端子11と連続して、これらを電気的に接続している。
【0067】
複数のグランド配線14は、複数の接続配線13に対応するように設けられている。具体的には、複数のグランド配線14は、複数の接続配線13の外側に、これらに沿うように設けられている。グランド配線14の一端には、図示しないグランド端子が一体的に接続されている。
【0068】
導体パターン5の材料としては、例えば、銅、銀、金、ニッケルまたはそれらを含む合金、半田などの金属材料が挙げられる。好ましくは、銅が挙げられる。
【0069】
導体パターン5(各接続端子10、11、第1配線12)の厚みT2は、例えば、1μm以上、好ましくは、3μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、8μm以下である。第1配線12の幅は、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、50μm以下である。
【0070】
第1カバー絶縁層6は、導体パターン5を被覆するように、ベース絶縁層4および導体パターン5の上側に設けられている。すなわち、第1カバー絶縁層6は、導体パターン5の上面および側面、および、導体パターン5から露出するベース絶縁層4の上面と接触するように、配置されている。第1カバー絶縁層6の外形は、外部部品接続端子11の形成部分を除いて、ベース絶縁層4と同一となるように形成されている。
【0071】
また、第1カバー絶縁層6には、第1開口部としてのグランド開口部15が複数形成されている。グランド開口部15は、グランド配線14の上面を露出するための開口部である。複数のグランド開口部15は、複数のグランド配線14に対応して形成されている。グランド開口部15は、第1カバー絶縁層6を厚み方向に貫通し、底面視略円形状を有する。グランド開口部15は、下側に向かうに従って開口断面積が小さくなるテーパ形状を有している。
【0072】
複数のグランド開口部15の内部は、それぞれ、異方導電性接着剤(後述)からなる導通部16が配置されている。すなわち、グランド開口部15の内部には、異方導電性接着剤が充填されている(満たされている)。導通部16により、シールド層8(後述)が、異方導電性接着剤層7および導通部16を介して、グランド配線14に電気的に接続され、その結果、接地される。
【0073】
第1カバー絶縁層6は、ベース絶縁層4で上記した絶縁性材料と同様の絶縁性材料から形成され、好ましくは、ポリイミド樹脂から形成されている。
【0074】
第1カバー絶縁層6の厚みT3は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、5μm以下である。
【0075】
異方導電性接着剤層7は、厚み方向にのみ導電性を備え、かつ、第1カバー絶縁層6およびシールド層8を接着するための層である。異方導電性接着剤層7は、第1カバー絶縁層6の上面と接触するように、第1カバー絶縁層6の上側に設けられている。
【0076】
異方導電性接着剤層7は、異方導電性接着剤および強化繊維層17を備えている。
【0077】
異方導電性接着剤は、例えば、接着性樹脂および導電性粒子を含有する組成物から形成されている。
【0078】
接着性樹脂としては、例えば、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂が挙げられる。好ましくは、熱硬化性樹脂が挙げられる
熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂などが挙げられる。
【0079】
熱可塑性樹脂としては、例えば、例えば、アクリル樹脂、ポリオレフィン樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン)、スチレンブタジエンゴム(SBS)、ポリ塩化ビニル樹脂などが挙げられる。
【0080】
熱硬化性樹脂としては、好ましくは、Bステージ状態となることができる熱硬化性樹脂が挙げられる。Bステージ状態(半硬化状態)は、熱硬化性樹脂が、液状であるAステージ状態(未硬化状態)と、完全硬化したCステージ状態(完全硬化状態)との間の状態であって、硬化およびゲル化がわずかに進行し、圧縮弾性率がCステージ状態の圧縮弾性率よりも小さい半固体状態または固体状態である。
【0081】
Bステージ状態となることができる熱硬化性樹脂としては、好ましくは、エポキシ樹脂が挙げられる。
【0082】
導電性粒子としては、例えば、銅、銀、金、ニッケル、これらの合金などの金属粒子が挙げられる。また、導電性粒子は、例えば、銀コート銅粒子、金コート銅粒子、銀コートニッケル粒子などの金属コート金属粒子であってもよく、また、樹脂粒子に上記金属を被覆した金属コート樹脂粒子であってもよい。
【0083】
導電性粒子の平均粒子径は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、例えば、100μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0084】
強化繊維層17は、絶縁性を有し、異方導電性接着剤層7の強度を向上させるための層である。強化繊維層17は、絶縁性の強化繊維からなるマットまたはクロスから形成されており、厚み方向に貫通する複数の繊維開口部(図示せず)を備えている。
【0085】
繊維開口部の形状は、例えば、平面視略矩形状、平面視略円形状などが挙げられる。
【0086】
強化繊維層17を構成する強化繊維としては、例えば、ガラス繊維、アルミナ繊維、ボロン繊維などの無機強化繊維、例えば、アラミド繊維、ザイロン繊維(登録商標)などの有機強化繊維が挙げられる。絶縁性、強度、低熱膨張係数の観点から、好ましくは、無機強化繊維が挙げられ、より好ましくは、ガラス繊維が挙げられる。
【0087】
強化繊維の繊維径は、例えば、0.1μm以上、好ましくは、1μm以上であり、また、例えば、15μm以下、好ましくは、10μm以下である。
【0088】
強化繊維層17としては、具体的には、例えば、ガラス繊維層、アルミナ繊維層などが挙げられ、好ましくは、ガラス繊維層が挙げられる。ガラス繊維層としては、具体的には、ガラスクロスが挙げられる。ガラス繊維層の熱膨張係数は、5ppm/K程度と低いため、異方導電性接着剤層7の熱膨張係数をより確実に低減することができる。
【0089】
強化繊維層17の厚みT4は、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上であり、また、例えば、100μm以下、好ましくは、25μm以下である。強化繊維層17の厚みを上記範囲とすることにより、異方導電性接着剤層7の硬度を向上させつつ、異方導電性接着剤層7の薄膜化、ひいては、実装基板1の薄型化を図ることができる。
【0090】
強化繊維層17の秤量は、例えば、1g/m2以上、好ましくは、5g/m2以上であり、また、例えば、100g/m2以下、好ましくは、30g/m2以下である。
【0091】
強化繊維層17の繊維開口部の長さ(一辺、または、直径)は、例えば、5μm以上、好ましくは、20μm以上であり、また、例えば、500μm以下、好ましくは、100μm以下である。
【0092】
異方導電性接着剤層7では、強化繊維層17が異方導電性接着剤中に埋没されている。すなわち、強化繊維層17の上面および下面が接着剤によって被覆され、強化繊維層17の繊維開口部に、異方導電性接着剤層7が充填されている。具体的には、異方導電性接着剤層7は、第1カバー絶縁層6と接触し、異方導電性接着剤からなる接着剤層下部31と、シールド層8と接触し、異方導電性接着剤からなる接着剤層上部32と、接着剤層下部31と接着剤層上部32との間に配置され、強化繊維層17と異方導電性接着剤との混合層からなる接着剤中間部33と、から構成されている。
【0093】
異方導電性接着剤層7のグランド開口部15周辺における厚みT5は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、20μm以下である。
【0094】
異方導電性接着剤層7の厚みに対する強化繊維層17の厚みの比(T4/T5)は、例えば、0.3以上、好ましくは、0.5以上であり、また、例えば、1.0以下、好ましくは、0.9以下である。
【0095】
シールド層8は、電磁波を遮蔽するためのシールドである。シールド層8は、異方導電性接着剤層7の上面と接触するように、異方導電性接着剤層7の上側に配置されている。シールド層8は、面方向(前後方向および左右方向)に延びるシート状に形成されている。シールド層8の外形は、第1カバー絶縁層6の外形と同一となるように形成されている。
【0096】
シールド層8は、導体からなり、例えば、銅、クロム、ニッケル、金、銀、白金、パラジウム、チタン、タンタル、はんだ、またはこれらの合金などの金属材料が用いられる。好ましくは、銅、銀が挙げられる。
【0097】
シールド層8の厚みT6は、例えば、0.05μm以上、好ましくは、0.1μm以上であり、また、例えば、3μm以下、好ましくは、1μm以下、より好ましくは、0.5μm以下である。
【0098】
第2カバー絶縁層9は、シールド層8を被覆するように、シールド層8の上側に配置されている。第2カバー絶縁層9の下面は、異方導電性接着剤層7の上面と直接接触している。第2カバー絶縁層9は、実装基板1の最上層に位置し、第2カバー絶縁層9の上面は、上方に向かって露出している。第2カバー絶縁層9の外形は、シールド層8の外形と同一となるように形成されている。
【0099】
第2カバー絶縁層9の材料は、例えば、第1カバー絶縁層6で上記した絶縁材料と同様の絶縁材料が挙げられる。また、第2カバー絶縁層9は、ポリエステルフィルムなどの基材フィルムに、上記絶縁材料(例えば、メラミン樹脂)からなる絶縁層がコーティングされた積層体であってもよい。
【0100】
第2カバー絶縁層9の厚みT7は、例えば、1μm以上、好ましくは、2μm以上であり、また、例えば、30μm以下、好ましくは、10μm以下、より好ましくは、5μm以下である。
【0101】
また、ベース絶縁層4、第1配線12および第1カバー絶縁層6からなる積層体の等価弾性率は、例えば、80GPa以下、好ましくは、55GPa以下、さらに好ましくは、40GPa以下である。また、例えば、5GPa以上、好ましくは、15GPa以上である。
【0102】
上記積層体の等価弾性率(すなわち、後述する配線積層体35において、厚み方向に投影したときに第1配線12が存在する配線領域の等価弾性率)が、上記上限以下であると、実装基板1の熱膨張係数をさらに一層低減させることができる。
【0103】
等価弾性率Dは、積層体を構成する各層(ベース絶縁層4、第1配線12および第1カバー絶縁層6)の弾性率のそれぞれに、その各層の厚み分率を掛けて、これらを合算したものである。具体的には、下記の計算式(1)にて得られる。
【0104】
D={D1×T1+D2×T2+D3×T3}/{T1+T2+T3}
D1は、ベース絶縁層4の弾性率を示し、T1は、ベース絶縁層4の厚みを示す。
D2は、第1配線12の弾性率を示し、T2は、第1配線12の厚みを示す。
D3は、第1カバー絶縁層6の弾性率を示し、T3は、第1カバー絶縁層6の厚みを示す。
【0105】
なお、絶縁層などの樹脂層の弾性率(T1、T3)は、例えば、動的粘弾性測定により、JIS K7244やISO 6721に準拠して測定することができる。配線などの金属の弾性率(T2)は、例えば、引っ張り試験測定により、JIS Z 2241に準拠して測定することができる。
【0106】
実装基板1の総厚み(最大厚み)は、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下、より好ましくは、10μm以下であり、また、例えば、1μm以上、好ましくは、5μm以上である。
【0107】
2.撮像素子実装基板の製造方法
実装基板1の製造方法は、
図3A~
図4Gに示すように、例えば、配線積層体35、接着剤積層体36および強化繊維層17を用意する用意工程と、これらを配置する配置工程と、これらを積層する積層工程とを備える。
【0108】
(用意工程)
用意工程は、配線積層体35、接着剤積層体36および強化繊維層17をそれぞれ用意する。
【0109】
配線積層体35を用意する工程は、金属支持体用意工程、ベース絶縁層形成工程、導体パターン形成工程、第1カバー絶縁層形成工程、および、金属支持体除去工程を備える。
【0110】
まず、
図3Aに示すように、金属支持体用意工程では、金属支持体19を用意する。
【0111】
金属支持体19は、面方向に延びる平面視略矩形(長方形状)の平板形状(シート形状)を有する。金属支持体19の上面は、平坦(平滑)となるように形成されている。
【0112】
金属支持体19は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウムなどの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。
【0113】
金属支持体19の厚みは、例えば、5μm以上、好ましくは、10μm以上であり、例えば、50μm以下、好ましくは、30μm以下である。
【0114】
続いて、ベース絶縁層形成工程では、ベース絶縁層4を、金属支持体19の上面に形成する。すなわち、開口部(撮像素子開口部41および外部部品開口部42)を有するベース絶縁層4を、金属支持体19の上面に形成する。
【0115】
具体的には、感光性の絶縁性材料のワニス(例えば、感光性ポリイミド)を金属支持体19の上面全面に塗布して乾燥させて、ベース皮膜(ベース絶縁層)を形成する。その後、ベース皮膜を、開口部(撮像素子開口部41および外部部品開口部42)に対応するパターンを有するフォトマスクを介して露光する。その後、ベース皮膜を現像し、好ましくは加熱硬化させる。
【0116】
続いて、
図3Bに示すように、導体パターン形成工程では、導体パターン5を、上記したパターンで、ベース絶縁層4の上面と、撮像素子開口部41および外部部品開口部42から露出する金属支持体19の上面とに、例えば、アディティブ法などによって、形成する。
【0117】
続いて、
図3Cに示すように、第1カバー絶縁層形成工程では、第1カバー絶縁層6を、導体パターン5を被覆するように、ベース絶縁層4の上面に形成する。具体的には、グランド開口部15を有する第1カバー絶縁層6を、ベース絶縁層4の上面に形成する。第1カバー絶縁層形成工程は、ベース絶縁層形成工程と同様に実施する。
【0118】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6とを備える配線積層体35を、金属支持体19に支持された状態で得る。
【0119】
接着剤積層体36は、異方導電性接着剤層7、シールド層8および第2カバー絶縁層9を順に備える積層体であり、接着剤層(異方導電性接着剤層7)が積層されたシールドフィルムである。接着剤積層体36は、例えば、WO2013/077108号公報、特開2004-95566号公報などに記載の方法を参照して用意することができる。
【0120】
強化繊維層17は、例えば、市販または公知のものを用意することができる。
【0121】
次いで、
図3Dに示すように、金属支持体除去工程では、金属支持体19を除去する。
【0122】
除去方法としては、例えば、金属支持体19をウェットエッチングにて処理する方法、金属支持体19を実装基板1の下面から剥離する方法などが挙げられる。
【0123】
これにより、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、第1カバー絶縁層6とを備える配線積層体35を得る。
【0124】
(配置工程)
配置工程では、
図4Eに示すように、配線積層体35と、強化繊維層17と、接着剤積層体36とを対向配置する。
【0125】
具体的には、配線積層体35の第1カバー絶縁層6と、接着剤積層体36の異方導電性接着剤層7とが対向するように、配線積層体35と、接着剤積層体36とを、互いに間隔を隔てて配置する。すなわち、配線積層体35を、第1カバー絶縁層6が上側となるように配置する一方、接着剤積層体36を、異方導電性接着剤層7が下側となるように配線積層体35の上側に配置する。また、配線積層体35と接着剤積層体36との間に、強化繊維層17を配置する。
【0126】
すなわち、強化繊維層17の下面が、配線積層体35の第1カバー絶縁層6と対向し、強化繊維層17の上面が、接着剤積層体36の異方導電性接着剤層7と対向するように、配線積層体35、強化繊維層17および接着剤積層体36をこの順で厚み方向に配置する。
【0127】
なお、配置の際に、配線積層体35、接着剤積層体36および強化繊維層17の順で、配置してもよい。
【0128】
(積層工程)
積層工程では、
図4Fおよび
図4Gに示すように、配線積層体35と、強化繊維層17と、接着剤積層体36とを積層する。
【0129】
具体的には、例えば、接着剤積層体36を配線積層体35に対して熱プレスする。
【0130】
熱プレスの加熱温度は、例えば、100℃以上、好ましくは、130℃以上であり、また、例えば、250℃以下、好ましくは、200℃以下である。
【0131】
圧力は、例えば、0.1MPa以上、好ましくは、1MPa以上であり、また、例えば、100MPa以下、好ましくは、10MPa以下である。
【0132】
プレス時間は、例えば、1分以上、好ましくは、5分以上であり、また、例えば、120分以下、好ましくは、60分以下である。
【0133】
これにより、接着剤積層体36の異方導電性接着剤層7は、強化繊維層17の上面に接触し、その後、異方導電性接着剤層7の異方導電性接着剤が、強化繊維層17の繊維開口部を厚み方向に浸入および通過し、配線積層体35の第1カバー絶縁層6の上面に接触する。その後、繊維開口部を通過する異方導電性接着剤が増加すると、
図4Fに示すように、第1カバー絶縁層6の上面に、異方導電性接着剤からなる接着剤層下部31が形成される。また、グランド開口部15も異方導電性接着剤によって充填され、導通部16が形成される。
【0134】
このとき、異方導電性接着剤が、Bステージ状態となることができる熱硬化性樹脂を含有している場合、熱プレスにより、熱硬化性樹脂が軟化し易い。そのため、強化繊維層17を容易に通過し、第1カバー絶縁層6の上面に到達して、接着剤層下部31が確実に形成される。
【0135】
また、この場合、好ましくは、さらなる加熱工程を実施して、異方導電性接着剤をCステージ状態(完全硬化状態)とする。
【0136】
このようにして、ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、異方導電性接着剤層7、シールド層8および第2カバー絶縁層9を備え、異方導電性接着剤層7が強化繊維層17を内部に含有する実装基板1を、得る。
【0137】
このような実装基板1は、例えば、撮像素子を実装するための配線回路基板に用いられる。すなわち、実装基板1は、カメラモジュールなどの撮像装置に用いられる。
【0138】
3.撮像装置
図5を参照して、実装基板1を備える撮像装置20を説明する。
【0139】
撮像装置20は、実装基板1、撮像素子21、ハウジング22、光学レンズ23、および、フィルター24を備える。
【0140】
実装基板1は、
図2の状態と上下反転して用いる。すなわち、実装基板1は、ベース絶縁層4を上側とし、第2カバー絶縁層9を下側となるように、配置される。
【0141】
撮像素子21は、光を電気信号に変換する半導体素子であって、例えば、CMOSセンサ、CCDセンサなどの固体撮像素子が挙げられる。
【0142】
撮像素子21は、平面視略矩形の平板形状に形成されており、図示しないが、Si基板などのシリコンと、その上に配置されるフォトダイオード(光電変換素子)およびカラーフィルターとを備える。撮像素子21の下面には、実装基板1の撮像素子接続端子10と対応する端子25が複数設けられている。
【0143】
撮像素子21(特にSi基板)の熱膨張係数は、例えば、例えば、1ppm/K以上、好ましくは、2ppm/K以上であり、また、例えば、20ppm/K未満、好ましくは、10ppm/K以下、より好ましくは、5ppm/K以下である。熱膨張係数は、面方向の線熱膨張係数であって、例えば、熱機械分析装置や光走査式測定装置により、JIS Z 2285に準拠して測定することができる。
【0144】
撮像素子21の厚みは、例えば、10μm以上、好ましくは、50μm以上であり、また、例えば、1000μm以下、好ましくは、500μm以下である。
【0145】
撮像素子21は、実装基板1に実装されている。すなわち、撮像素子21の端子25は、対応する実装基板1の撮像素子接続端子10と、ソルダーバンプ26などを介して、フリップチップ実装されている。これにより、撮像素子21は、実装基板1のハウジング配置部2の中央部に配置され、実装基板1の撮像素子接続端子10および外部部品接続端子11と電気的に接続されている。
【0146】
撮像素子21は、実装基板1に実装されることにより、撮像ユニット27を構成する。すなわち、撮像ユニット27は、実装基板1と、それに実装される撮像素子21とを備える。
【0147】
ハウジング22は、実装基板1のハウジング配置部2に、撮像素子21と間隔を隔てて囲むように、配置されている。ハウジング22は、平面視略矩形状の筒状を有する。ハウジング22の上端には、光学レンズ23を固定するための固定部が設けられている。
【0148】
光学レンズ23は、実装基板1の上側に、実装基板1および撮像素子21と間隔を隔てて配置されている。光学レンズ23は、平面視略円形状に形成され、外部からの光が、撮像素子21に到達するように、固定部によって固定されている。
【0149】
フィルター24は、撮像素子21および光学レンズ23の上下方向中央に、これらと間隔を隔てて配置され、ハウジング22に固定されている。
【0150】
そして、実装基板1は、ベース絶縁層4と、ベース絶縁層4の上側に配置される第1配線12と、第1配線12の上側に配置される第1カバー絶縁層6と、第1カバー絶縁層の上側に配置される異方導電性接着剤層7と、異方導電性接着剤層7の上側に配置されるシールド層8と、シールド層8の上側に配置される第2カバー絶縁層9を備える。また、異方導電性接着剤層7は、絶縁性の強化繊維層17を含有する。
【0151】
この実装基板1は、異方導電性接着剤層7を介してシールド層8を備えるため、電磁波に対するシールド特性に優れる。
【0152】
また、実装基板1では、実装基板1に撮像素子21を実装した撮像ユニット27(電子装置)において、反りを抑制することができる。
【0153】
すなわち、従来のシールド層接着型のFPCでは、接着剤層の熱膨張係数は、60ppm/Kを超過している。一方、撮像素子は、Si基板などを備えるため、一般的に、その熱膨張係数は、20ppm/K未満である。これらの熱膨張係数(具体的には、面方向の線熱膨張係数)に差があるため、撮像素子をFPCに実装すると、FPCは、熱の影響により、大幅な反りが生じてしまう。
【0154】
これに対し、この実装基板1では、異方導電性接着剤層7が、接着性樹脂に対し熱膨張係数が低い強化繊維層17を含有しているため、異方導電性接着剤層7全体の熱膨張係数が、例えば、20ppm/K未満に低減している。そのため、撮像素子21の熱膨張係数と、実装基板1の熱膨張係数とが相対的に近くなっている。したがって、撮像素子実装時の熱処理時や、実装後の撮像ユニット27のヒートサイクルに対して、反りの発生を抑制することができる。
【0155】
また、異方導電性接着剤層7が、強化繊維層17を含有しているため、異方導電性接着剤層7の硬度が向上している。そのため、実装基板1に撮像素子21を実装する際に、実装基板1の撓みを抑制することができ、撮像素子21の実装性を向上させることができる。
【0156】
これらの実装時における反りの発生抑制、および、撓み発生抑制によって、この実装基板1では、撮像素子21を精度よく実装することができる。
【0157】
また、第1配線12の上側に第1カバー絶縁層6を備えているため、第1配線12を確実に保護できる。
【0158】
また、第1カバー絶縁層6は、厚み方向に貫通するグランド開口部15を有し、グランド開口部15に異方導電性接着剤(導通部16)が充填されている。
【0159】
このため、シールド層8が、異方導電性接着剤層7および導通部16を介して、グランド配線14に導通することができ、シールド層8を接地できる。よって、外部からの電磁波をより確実に遮蔽することができる。
【0160】
さらに、異方導電性接着剤層7を介した導通のため、面方向への導通を防止しながら、厚み方向に導通している。そのため、シールド層8と第1グランド配線14との導通部16が複数存在する場合に、各導通部16間の導通(短絡)を防止することができる。よって、独立する複数の第1グランド配線14の短絡を防止しながら、異方導電性接着剤層7を介して、シールド層8と第1配線12とを複数個所で導通することができる。
【0161】
また、実装基板1は、金属支持体19などの支持体を要しないため、薄型化が可能である。
【0162】
この実装基板1の製造方法によれば、配線積層体35を用意する工程、接着剤積層体36を用意する工程、強化繊維層17を用意する工程、配線積層体35の第1カバー絶縁層6の表面と、接着剤積層体36の異方導電性接着剤層7の表面とが対向し、これらの間に強化繊維層17が位置するように、配線積層体35、接着剤積層体36および強化繊維層17を配置する工程、ならびに、異方導電性接着剤層7が、強化繊維層17を厚み方向に貫通し、配線積層体35の第1カバー絶縁層6の表面に接触するように、配線積層体35および接着剤積層体36を積層する工程を備える。
【0163】
すなわち、配線積層体35と接着剤積層体36との間に強化繊維層17を配置し、これらを積層すればよいため、シールド特性に優れ、かつ実装性の精度が良好な実装基板1を簡便に製造することができる。
【0164】
また、ベース絶縁層4や第1カバー絶縁層6を感光性の絶縁性材料を用いて形成すれば、ベース絶縁層4や第1カバー絶縁層6の開口部(撮像素子開口部41、外部部品開口部42、グランド開口部15)を精度よく形成することができる。
【0165】
なお、この実装基板1では、強化繊維層17が、ベース絶縁層4や第1カバー絶縁層6に含有せずに、異方導電性接着剤層7に含有されている。このため、ベース絶縁層4や第1カバー絶縁層6の開口部(撮像素子開口部41、外部部品開口部42、グランド開口部15)の精度を良好に維持することができる。すなわち、ベース絶縁層4などに強化繊維が含有されると、ベース絶縁層4の形成時の露光時において、強化繊維の反射が生じるため、所定の形状にベース被膜を現像することができず、精度よく開口部などを形成できない。
【0166】
この撮像装置20によれば、異方導電性接着剤層7を介してシールド層8を備えるため、電磁波に対するシールド特性に優れる。また、異方導電性接着剤層7の熱膨張係数が低減しているため、反りを抑制することができる。また、異方導電性接着剤層7の硬度が向上し、実装基板1の撓みが抑制されているため、撮像装置20の実装性が向上し、接続信頼性に優れる。
【0167】
<第1実施形態の変形例>
上記実施形態の実装基板1では、異方導電性接着剤層7において、強化繊維層17は、第1カバー絶縁層6と接触していないが、例えば、
図6に示すように、強化繊維層17は、第1カバー絶縁層6と接触することもできる。
【0168】
また、上記実施形態の実装基板1では、異方導電性接着剤層7において、強化繊維層17は、シールド層8と接触していないが、例えば、
図7に示すように、強化繊維層17は、シールド層8と接触させることもできる。
【0169】
また、上記実施形態の実装基板1では、異方導電性接着剤層7において、強化繊維層17は、第1カバー絶縁層6およびシールド層8と接触していないが、例えば、
図8に示すように、強化繊維層17は、第1カバー絶縁層6およびシールド層8の両方と接触することもできる。
【0170】
また、上記実施形態の実装基板1では、接着剤層が、異方導電性接着剤層7であるが、例えば、図示しないが、接着剤層は、厚み方向および面方向の両方に導電性を有する等方導電性接着剤層とすることもできる。この場合、グランド開口部15および導通部16の数は、それぞれ、単数とする。
【0171】
また、上記実施形態の実装基板1の製造方法では、金属支持体除去工程の後に配置工程および積層工程を実施しているが、例えば、図示しないが、金属支持体除去工程の前に配置工程および積層工程を実施することもできる。すなわち、金属支持体19に支持された状態で、配線積層体35に、強化繊維層17および接着剤積層体36を順に配置し、積層し、最後に、金属支持体19を除去することもできる。
【0172】
また、上記実施形態の撮像装置20では、撮像素子21は、実装基板1にフリップチップ実装されているが、例えば、図示しないが、撮像素子21は、実装基板1にワイヤボンディングによって実装することもできる。
【0173】
上記実施形態では、本発明のフレキシブル配線回路基板として、撮像素子21を実装するための撮像素子実装基板1として説明しているが、フレキシブル配線回路基板の用途は、これに限定されない。例えば、電磁波に対するシールド特性を備えながら、低熱膨張係数が要求される各種用途、例えば、圧力センサ、加速度センサ、ジャイロセンサ、超音波センサ、指紋認証センサなどの実装基板などに好適に用いられる。
【0174】
<第2実施形態>
図9~
図10Cを参照して、実装基板1の第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態の実装基板1において、上記した
図2に示す第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0175】
第2実施形態の実装基板1は、第1実施形態の構成に対して、第1カバー絶縁層6および異方導電性接着剤層7の間に、第2導体パターン50、および、第4絶縁層としての第3カバー絶縁層51をさらに備える。
【0176】
すなわち、第2実施形態の実装基板1は、ベース絶縁層4と、導体パターン(第1導体パターン)5と、第1カバー絶縁層6と、第2導体パターン50と、第3カバー絶縁層51と、異方導電性接着剤層7と、シールド層8と、第2カバー絶縁層9とを備える。好ましくは、第2実施形態は、ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、第2導体パターン50、第3カバー絶縁層51、異方導電性接着剤層7、シールド層8および第2カバー絶縁層9のみからなる。
【0177】
第2導体パターン50は、第1カバー絶縁層6の上面と接触するように、第1カバー絶縁層6の上側に設けられている。第2導体パターン50は、複数の第2撮像素子接続端子(図示せず)、複数の第2外部部品接続端子(図示せず)、および、複数の第2配線52を備える。
【0178】
複数の第2撮像素子接続端子は、第1カバー絶縁層6に形成され、第2撮像素子接続端子開口部(図示せず)に連通する連通開口部(図示せず)を介して、ベース絶縁層4に形成された第2撮像素子接続端子開口部(図示せず)から露出するように、形成されている。
【0179】
複数の第2外部部品接続端子は、第1カバー絶縁層6に形成され、第2外部部品素子接続端子開口部(図示せず)に連通する連通開口部(図示せず)を介して、ベース絶縁層4に形成された第2外部部品接続端子開口部(図示せず)から露出するように、形成されている。
【0180】
複数の第2配線52は、複数の第2接続配線53および複数の第2グランド配線54を備える。複数の第2接続配線53は、複数の第2撮像素子接続端子および複数の第2外部部品接続端子に対応して、これらを接続するように設けられている。複数の第2グランド配線54は、複数の第2接続配線53に対応するように設けられている。
【0181】
第2導体パターン50の材料は、導体パターン5の材料と同様である。
【0182】
第2導体パターン30の厚みT9、および、第2配線52の幅は、それぞれ、導体パターン5の厚みT2、および、第1配線12の幅と同様である。
【0183】
第3カバー絶縁層51は、第2導体パターン50を被覆するように、第1カバー絶縁層6の上側に設けられている。すなわち、第3カバー絶縁層51は、第2導体パターン50の上面および側面、および、第2導体パターン50から露出する第1カバー絶縁層6の上面と接触するように、配置されている。第3カバー絶縁層51の外形は、ベース絶縁層4と同一となるように形成されている。
【0184】
第3カバー絶縁層51には、第2開口部としての第2グランド開口部55が複数形成されている。第2グランド開口部55は、第2グランド配線54の上面を露出するための開口部である。複数の第2グランド開口部55は、複数の第2グランド配線54に対応して形成されている(なお、
図9では、単数の第2グランド開口部55のみを図示)。第2グランド開口部55は、第3カバー絶縁層51を厚み方向に貫通し、底面視略円形状を有する。第2グランド開口部55は、下側に向かうに従って開口断面積が小さくなるテーパ形状を有している。
【0185】
第2グランド開口部55の内部には、異方導電性接着剤が充填されている。すなわち、第2グランド開口部55の内部は、異方導電性接着剤からなる第2導通部56が配置されている。これにより、シールド層8が、異方導電性接着剤層7および第2導通部56を介して、第2グランド配線54に電気的に接続され、その結果、接地される。
【0186】
第3カバー絶縁層51の材料および厚みT10は、それぞれ、第1カバー絶縁層6の材料および厚みT3と同様である。
【0187】
第2実施形態の実装基板1の製造方法は、第2配線積層体57、接着剤積層体36および強化繊維層17を用意する用意工程と、これらを配置する配置工程と、これらを積層する積層工程とを備える。
【0188】
まず、用意工程では、第2配線積層体57、接着剤積層体36および強化繊維層17をそれぞれ用意する。
【0189】
第2配線積層体57は、ベース絶縁層4、導体パターン(第1導体パターン)5、第1カバー絶縁層6、第2導体パターン50、および、第3カバー絶縁層51を順に備える。
【0190】
第2配線積層体57は、第1実施形態の配線積層体(第1配線積層体)35を金属支持体19に支持された状態で得た後に、さらに第2導体パターン30および第3カバー絶縁層51をこの順で第1カバー絶縁層6の上面に形成し、次いで、金属支持体19を除去することにより得ることができる。
【0191】
次いで、配置工程では、
図10Aに示すように、第2配線積層体57と、強化繊維層17と、接着剤積層体36とを対向配置する。
【0192】
具体的には、第2配線積層体57の第3カバー絶縁層51と、接着剤積層体36の異方導電性接着剤層7とが対向するように、第2配線積層体57と、接着剤積層体36とを、互いに間隔を隔てて、配置する。また、第2配線積層体57と接着剤積層体36との間に、強化繊維層17を配置する。
【0193】
すなわち、強化繊維層17の下面が、第2配線積層体57の第3カバー絶縁層51と対向し、強化繊維層17の上面が、接着剤積層体36の異方導電性接着剤層7と対向するように、第2配線積層体57、強化繊維層17および接着剤積層体36をこの順で厚み方向に配置する。
【0194】
次いで、積層工程では、
図10Bおよび
図10Cに示すように、第2配線積層体57と、強化繊維層17と、接着剤積層体36とを積層する。
【0195】
具体的には、接着剤積層体36を第2配線積層体57に対して熱プレスする。
【0196】
これにより、接着剤積層体36の異方導電性接着剤層7は、強化繊維層17の上面に接触し、その後、異方導電性接着剤層7の異方導電性接着剤が、強化繊維層17の繊維開口部を厚み方向に浸入および通過し、第2配線積層体57の第3カバー絶縁層51の上面に接触する。また、第2グランド開口部55も異方導電性接着剤によって充填され、第2導通部56が形成される。
【0197】
このようにして、ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、第2導体パターン50、第3カバー絶縁層51、異方導電性接着剤層7、シールド層8、および、第2カバー絶縁層9を備える実装基板1を得る。
【0198】
第2実施形態の実装基板1についても第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0199】
特に、第2実施形態では、導体パターン5および第2導体パターン50を備えるため、第1実施形態と比較して、配線設計の自由度を向上させることができる。
【0200】
また、第3カバー絶縁層51は、厚み方向に貫通する第2グランド開口部55を有し、第2グランド開口部55に異方導電性接着剤(第2導通部56)が充填されている。
【0201】
このため、シールド層8が、異方導電性接着剤層7および第2導通部56を介して、第2グランド配線54に導通することができ、シールド層8を接地できる。よって、外部からの電磁波をより確実に遮蔽することができる。
【0202】
さらに、異方導電性接着剤層7を介した導通のため、面方向への導通を防止しながら、厚み方向に導通している。そのため、シールド層8と第2グランド配線54との第2導通部56が複数存在する場合に、各第2導通部56間の導通(短絡)を防止することができる。よって、独立する複数の第2グランド配線54の短絡を防止しながら、異方導電性接着剤層7を介して、シールド層8と第2配線52とを複数個所で導通することができる。
【0203】
また、第1実施形態の変形例についても、第2実施形態に対して同様に適用できる。
【0204】
<第3実施形態>
図11を参照して、実装基板1の第3実施形態について説明する。なお、第3実施形態の実装基板1において、上記した
図2および
図9に示す第1~2実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0205】
第3実施形態の実装基板1は、第1実施形態の構成に対して、第1カバー絶縁層6および異方導電性接着剤層7の間に、第2接着剤層としての第2異方導電性接着剤層60、第2ベース絶縁層61、第2導体パターン50、および、第3カバー絶縁層51をさらに備える。
【0206】
すなわち、第3実施形態の実装基板1は、ベース絶縁層4と、導体パターン(第1導体パターン)5と、第1カバー絶縁層6と、第2異方導電性接着剤層60と、第2ベース絶縁層61と、第2導体パターン50と、第3カバー絶縁層51と、異方導電性接着剤層(第1異方導電性接着剤層)7と、シールド層8と、第2カバー絶縁層9とを備える。好ましくは、第3実施形態は、ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、第2異方導電性接着剤層60と、第2ベース絶縁層61、第2導体パターン50、第3カバー絶縁層51、異方導電性接着剤層7、シールド層8および第2カバー絶縁層9のみからなる。
【0207】
第1カバー絶縁層6には、第1開口部としての第1ビア開口部62が複数形成されている。第1ビア開口部62は、接続配線13の上面を露出するための開口部である。複数の第1ビア開口部62は、接続配線13に対応して形成されている。第1ビア開口部62は、第1カバー絶縁層6を厚み方向に貫通し、底面視略円形状を有する。第1ビア開口部62は、下側に向かうに従って断面積が小さくなるテーパ形状を有する。
【0208】
第1ビア開口部62の内部は、異方導電性接着剤からなる第2導通部63が配置されている。すなわち、第1ビア開口部62の内部には、異方導電性接着剤が充填されている。第2導通部63により、第2接続配線53が、第2異方導電性接着剤層60および第2導通部63を介して、接続配線13に電気的に接続される。
【0209】
第2異方導電性接着剤層60は、厚み方向にのみ導電性を備え、かつ、第1カバー絶縁層6およびシールド層8を接着するための層である。第2異方導電性接着剤層60は、第1カバー絶縁層6の上面と接触するように、第1カバー絶縁層6の上側に設けられている。第2異方導電性接着剤層法は、異方導電性接着剤および強化繊維層17を備えている。具体的には、第2異方導電性接着剤層60の構成、材料などは、第1実施形態の異方導電性接着剤層7の構成、材料などと同様である。
【0210】
第2ベース絶縁層61は、第2異方導電性接着剤層60の上面と接触するように、第2異方導電性接着剤層60の上側に設けられている。第2ベース絶縁層61の外形は、第1実施形態のベース絶縁層4と同一となるように形成されている。また、第2ベース絶縁層61は、ベース絶縁層4の材料と同様の材料から形成されている。
【0211】
第2ベース絶縁層61には、複数の第2ビア開口部64が形成されている。第2ビア開口部64は、ビア接続部65を下面から露出するための開口部である。複数の第2ビア開口部64は、複数の第1ビア開口部62に対応し形成されており、第2ベース絶縁層61を厚み方向に貫通し、底面視略円形状を有する。第2ビア開口部64は、下側に向かうに従って断面積が小さくなるテーパ形状を有する。
【0212】
第2導体パターン50は、第2ベース絶縁層61の上面と接触するように、第2ベース絶縁層61の上側に設けられている。第2導体パターン50は、複数のビア接続部65、複数の第2外部部品接続端子(図示せず)、および、複数の第2配線52を備える。
【0213】
複数のビア接続部65は、複数の第2ビア開口部64に対応して設けられている。複数のビア接続部65は、第2ビア開口部64内に配置され、断面視(側断面視および正断面視)において、下側に凸となるように形成されている。ビア接続部65の下面は、第2ビア開口部64から露出している。
【0214】
複数の第2配線52は、複数の第2接続配線53および複数の第2グランド配線54を備える。複数の第2接続配線53は、複数のビア接続部65および複数の第2外部部品接続端子に対応して、これらを接続するように設けられている。
【0215】
第3実施形態の実装基板1の製造方法は、例えば、まず、
図3A~
図3Dを参照して、ベース絶縁層4、導体パターン5および第1カバー絶縁層6を順に備える第3配線積層体を用意する。また、
図3A~
図4Gを参照して、第2ベース絶縁層61、第2導体パターン50、第3カバー絶縁層51、異方導電性接着剤層7、シールド層8および第2カバー絶縁層9を順に備える第4配線積層体を用意する。
【0216】
次いで、
図4E~
図4Gに示す配置工程および積層工程を参照して、第3配線積層体の上側に、強化繊維層17、第2異方導電性接着剤層60、第4配線積層体を順に配置し、積層する。
【0217】
第3実施形態についても第1~2実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0218】
特に、第3実施形態では、第1実施形態と比較して、配線設計の自由度を向上させることができる。
【0219】
また、第3実施形態の実装基板1は、第1配線12および第2配線52の間に、第2異方導電性接着剤層60を備え、第2異方導電性接着剤層60は、強化繊維層17を含有している。このため、第2異方導電性接着剤層60の熱膨張係数が低減している。よって、撮像ユニット27の反りをより一層抑制することができる。
【0220】
また、第1実施形態の変形例についても、第3実施形態に対して同様に適用できる。
【0221】
加えて、上記実施形態の実装基板1では、第2接着剤層が、第2異方導電性接着剤層60であるが、例えば、図示しないが、第2接着剤層は、厚み方向および面方向の両方に導電性を有する等方導電性接着剤層とすることもできる。この場合、ビア接続部65、グランド開口部15、導通部16などの数は、それぞれ、単数とする。好ましくは、複数の箇所で、第1配線12および第2配線52のビア接続を可能である観点から、第2異方導電性接着剤層60が挙げられる。
【0222】
<第4実施形態>
図12を参照して、実装基板1の第4実施形態について説明する。なお、第4実施形態の実装基板1において、上記した
図2、
図9および
図11に示す第1~3実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0223】
第4実施形態の実装基板1は、第1実施形態の構成に対して、異方導電性接着剤層7およびシールド層8の間に、第2ベース絶縁層61、第2導体パターン50、および、第3カバー絶縁層51をさらに備える。
【0224】
すなわち、第4実施形態の実装基板1は、ベース絶縁層4と、導体パターン(第1導体パターン)5と、第1カバー絶縁層6と、異方導電性接着剤層7と、第2ベース絶縁層61と、第2導体パターン50と、第3カバー絶縁層51と、シールド層8と、第2カバー絶縁層9とを備える。好ましくは、第4実施形態は、ベース絶縁層4、導体パターン5、第1カバー絶縁層6、異方導電性接着剤層7、第2ベース絶縁層61、第2導体パターン50、第3カバー絶縁層51、シールド層8および第2カバー絶縁層9のみからなる。
【0225】
第4実施形態では、第3カバー絶縁層51の上面にシールド層8が直接設けられている。すなわち、シールド層8は、第3カバー絶縁層51の上面と接触するように、第3カバー絶縁層51の上側に設けられている。
【0226】
また、第3カバー絶縁層51のグランド開口部55において、シールド層8は、第2グランド開口部55から露出する第2グランド配線54と直接接触している。これにより、シールド層8は、接地している。
【0227】
第4実施形態の実装基板1の製造方法は、例えば、まず、
図3A~
図3Cを参照して、ベース絶縁層4、導体パターン5および第1カバー絶縁層6を順に備える第3配線積層体を用意する。
【0228】
一方、異方導電性接着剤層7、第2ベース絶縁層61、第2導体パターン50、第3カバー絶縁層51、シールド層8および第2カバー絶縁層9を備える第2接着剤積層体を用意する。
【0229】
第2接着剤積層体の用意では、まず、第2ベース絶縁層61、第2導体パターン50、第3カバー絶縁層51、シールド層8および第2カバー絶縁層9を順に備える第5配線積層体を用意し、続いて、その下面に、異方導電性接着剤層7を塗布法、転写法などにより積層する。
【0230】
また、第2接着剤積層体において、第3カバー絶縁層51の上面にシールド層8を形成する場合、その形成方法としては、電解めっき、無電解めっきなどのめっき法、例えば、スパッタリング法、蒸着法、イオンプレーティング法、例えば、導電ペーストによる塗布法が挙げられる。好ましくは、薄膜化の観点から、スパッタリング法、蒸着法が挙げられ、より好ましくは、スパッタリング法が挙げられる。
【0231】
次いで、
図4E~
図4Gに示す配置工程および積層工程を参照して、第3配線積層体の上側に、強化繊維層17、第2接着剤積層体を順に配置し、積層する。
【0232】
第4実施形態の実装基板1についても第1~3実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0233】
特に、第4実施形態では、異方導電性接着剤層7およびシールド層8の間に、第2配線52を備えるため、第1実施形態と比較して、配線設計の自由度を向上させることができる。
【0234】
また、第1実施形態の変形例についても、第4実施形態に対して同様に適用できる。
【0235】
<第5実施形態>
図13を参照して、実装基板1の第5実施形態について説明する。なお、第5実施形態の実装基板1において、上記した
図2に示す第1実施形態と同様の部材には同様の符号を付し、その説明を省略する。
【0236】
第5実施形態の実装基板1は、第1実施形態の構成に対して、異方導電性接着剤層7の代わりに絶縁性接着剤層70を備え、かつ、第1カバー絶縁層6およびシールド層8を備えない。
【0237】
第5実形態の実装基板1は、例えば、
図13に示すように、ベース絶縁層4と、導体パターン5と、接着剤層としての絶縁性接着剤層70と、第2カバー絶縁層9(カバー絶縁層)とを備える。好ましくは、第4実施形態は、ベース絶縁層4、導体パターン5、絶縁性接着剤層70、および、カバー絶縁層9のみからなる。
【0238】
絶縁性接着剤層70は、導体パターン5およびカバー絶縁層9の間に、これらを接着するように配置されている。具体的には、絶縁性接着剤層70は、導体パターン5の上面および側面、導体パターン5から露出するベース絶縁層4の上面、ならびに、第2カバー絶縁層9の下面全面に直接接触している。
【0239】
絶縁性接着剤層70は、絶縁接着剤および強化繊維層17を備えている。絶縁性接着剤は、導電性粒子を含有せずに、接着性樹脂を含有する組成物である。
【0240】
第5実施形態の実装基板1の製造方法は、例えば、まず、ベース絶縁層4および導体パターン5を順に備える第6配線積層体を用意する。
【0241】
一方、異方導電性接着剤層7および第2カバー絶縁層9を備える第3接着剤積層体を用意する。
【0242】
次いで、
図4E~
図4Gに示す配置工程および積層工程を参照して、第6配線積層体の上側に、強化繊維層17、第3接着剤積層体を順に配置し、積層する。
【0243】
第5実施形態の実装基板1についても、第1実施形態と同様の作用効果を奏する。
【0244】
なお、第5実施形態では、絶縁性接着剤層70が、第1配線12の上面および第2カバー絶縁層9の下面に直接接触している。このため、絶縁性接着剤層70を介して、第2カバー絶縁層9を第1配線12に接触および配置することにより得られるため、第1配線12が保護された実装基板1を容易に得ることができる。
【0245】
好ましくは、第1~第4実施形態の実装基板1が挙げられる。これらの実施形態では、シールド特性が良好である。また、第1~第3実施形態の実装基板1では、シールド層8が、異方導電性接着剤層7を介して、グランド配線14や第2グランド配線54と電気的に接続できる。さらには、第3および第4の実施形態では、ビア接続部65が、異方導電性接着剤層7を介して、接続配線13と電気的に接続することができる。
【0246】
また、第1実施形態の変形例についても、第5実施形態に対して同様に適用できる。
【実施例】
【0247】
以下に実施例および比較例を示し、本発明をさらに具体的に説明する。なお、本発明は、何ら実施例および比較例に限定されない。以下の記載において用いられる配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなどの具体的数値は、上記の「発明を実施するための形態」において記載されている、それらに対応する配合割合(含有割合)、物性値、パラメータなど該当記載の上限値(「以下」、「未満」として定義されている数値)または下限値(「以上」、「超過」として定義されている数値)に代替することができる。
【0248】
実施例1
厚み18μmのステンレスからなる金属支持体を用意した。
【0249】
次いで、ポリイミド前駆体溶液を金属支持体の上面に塗布し、次いで、80℃で10分乾燥させて、ベース皮膜(ポリイミド前駆体皮膜)を形成した。続いて、ベース皮膜を、フォトマスクを介して露光し、続いて、現像した。その後、窒素雰囲気下、360℃で1時間、ベース皮膜を加熱する(硬化させる)ことにより、ポリイミドからなり、撮像素子開口部および外部部品開口部を有する厚み5μmのベース絶縁層を形成した。
【0250】
その後、銅からなる厚み3μmの導体パターン(第1配線、各接続端子)を、ベース絶縁層の上面と、撮像素子開口部および外部部品開口部から露出する金属支持体の上面に、アディティブ法で形成した。
【0251】
その後、ポリイミド前駆体溶液をベース絶縁層および導体パターンの上面に塗布し、次いで、80℃で10分乾燥させて、カバー皮膜(ポリイミド前駆体皮膜)を形成した。続いて、カバー皮膜を、フォトマスクを介して露光し、続いて、現像した。その後、窒素雰囲気下、360℃で1時間、カバー皮膜を加熱することにより、ポリイミドからなる、厚み3μmの第1カバー絶縁層を得た。
【0252】
その後、金属支持体を、塩化第二鉄水溶液からなるエッチング液を下方からスプレーして、除去した。これによって、ベース絶縁層の下面の全てを露出させた。
【0253】
これにより、ベース絶縁層、導体パターンおよび第1カバー絶縁層を順に備える配線積層体を得た。
【0254】
配線積層体の配線領域(ベース絶縁層、第1配線および第1カバー絶縁層)の等価弾性率Dを上記式(1)で算出したところ、38GPaであった。なお、ポリイミドの弾性率は、6.3GPaであり、銅の弾性率は、123GPaであった。
【0255】
ガラス繊維層(ガラスクロス、厚み10μm)を、配線積層体の第1カバー絶縁層と、異方導電接着剤層(厚み10μm)、シールド層(銀層、厚み0.1μm)および第2カバー絶縁層(メラミン樹脂層積層体、厚み5μm)を順に備えるシールドフィルム(タツタ電線株式会社、SF-PC5600)の異方導電接着剤層との間に配置した。続いて、これらを3MPa、150℃、30分の条件でプレスすることによって、実施例1の実装基板を製造した(
図2参照)。
【0256】
熱機械分析装置(TMA、リガク社製、「Thermo Plus TMA8310」)を用いて、実施例1の実装基板の0~50℃における面方向の線熱膨張係数を測定したところ、12ppm/Kであった。
【0257】
実施例2
銅からなる導体パターンの厚みを5μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例2の実装基板を製造した。配線積層体の配線領域の等価弾性率は、51GPaであった。実装基板の0~50℃における線熱膨張係数を測定したところ、14ppm/Kであった。
【0258】
実施例3
銅からなる導体パターンの厚みを10μmに変更した以外は、実施例1と同様にして、実施例3の実装基板を製造した。配線積層体の配線領域の等価弾性率は、71GPaであった。実装基板の0~50℃における線熱膨張係数を測定したところ、16ppm/Kであった。
【符号の説明】
【0259】
1 実装基板
4 ベース絶縁層
5 導体パターン
6 第1カバー絶縁層
7 異方導電性接着剤層
8 シールド層
9 第2カバー絶縁層
12 第1配線
14 グランド配線
15 グランド開口部
17 強化繊維層
20 撮像装置
35 配線積層体
36 接着剤積層体
50 第2導体パターン
51 第3カバー絶縁層
52 第2配線
54 第2グランド配線
55 第2グランド開口部
57 第2配線積層体
60 第2異方導電性接着剤層
62 第1ビア開口部
70 絶縁性接着剤層