(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ウインドレギュレータ
(51)【国際特許分類】
E05F 11/48 20060101AFI20221109BHJP
B60J 1/17 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
E05F11/48 D
B60J1/17 A
(21)【出願番号】P 2018097365
(22)【出願日】2018-05-21
【審査請求日】2021-03-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000146434
【氏名又は名称】株式会社城南製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110002583
【氏名又は名称】弁理士法人平田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】金井 秀聡
【審査官】素川 慎司
(56)【参考文献】
【文献】実開昭63-132080(JP,U)
【文献】国際公開第2016/203776(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0010999(US,A1)
【文献】実開昭57-176582(JP,U)
【文献】特開2007-177421(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102008043371(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05F 1/00 - 17/00
B60J 1/00 - 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、
前記ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、
前記キャリアプレートを上昇方向に牽引する上昇側ケーブル、及び前記キャリアプレートを下降方向に牽引する下降側ケーブルと、
前記下降側ケーブルの一部が巻き回されたドラムと、
前記ドラムを回転駆動するモータと、
前記ガイドレールの下端に固定されて前記ドラム及び前記モータを保持するハウジングと、
前記窓ガラスが下降方向に移動する際に前記ハウジングの上面と接触することにより前記キャリアプレートが更に下降方向に移動することを規制するストッパ部材と、を備え、
前記ハウジングの前記上面は、前記昇降方向に直交するように設けられ、
前記キャリアプレートと前記ハウジングとの間に配索された前記下降側ケーブルは、前記昇降方向に沿って配索され、
前記ストッパ部材
は、前記キャリアプレートと前記ハウジングとの間に配索された前記下降側ケーブルの所定の位置に固定されている
と共に、前記ハウジングの前記上面に接触する接触面が、前記ストッパ部材が前記下降側ケーブルに固定された状態において前記ハウジングの前記上面と平行になっている、
ウインドレギュレータ。
【請求項2】
車両用の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、
前記ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、
前記キャリアプレートを上昇方向に牽引する上昇側ケーブル、及び前記キャリアプレートを下降方向に牽引する下降側ケーブルと、
前記下降側ケーブルの一部が巻き回されたドラムと、
前記ドラムを回転駆動するモータと、
前記ガイドレールの下端に固定されて前記ドラム及び前記モータを保持するハウジングと、
前記窓ガラスが下降方向に移動する際に前記ハウジングの上面と接触することにより前記キャリアプレートが更に下降方向に移動することを規制するストッパ部材と、を備え、
前記ハウジングの前記上面は、前記昇降方向に直交するように設けられると共に、前記ストッパ部材に接触する部分が、前記ガイドレールの外側に位置し、
前記キャリアプレートと前記ハウジングとの間に配索された前記下降側ケーブルは、前記昇降方向に沿って前記ガイドレールの外側に配索され、
前記ストッパ部材が、前記キャリアプレートと前記ハウジングとの間に配索された前記下降側ケーブルの所定の位置に固定され、
前記ストッパ部材は、前記キャリアプレートから離間した位置で、前記下降側ケーブルに固定されている、
ウインドレギュレータ。
【請求項3】
前記ストッパ部材は、前記下降側ケーブルに固定された金属部と、前記金属部に取り付けられた弾性部と、を有し、
前記ストッパ部材が前記ハウジングと接触する際に、前記弾性部が弾性的に圧縮される、
請求項1又は2に記載のウインドレギュレータ。
【請求項4】
前記ストッパ部材は、前記下降側ケーブルに固定された金属部と、前記金属部を収容する筒状部と、前記筒状部に外嵌されて前記筒状部の軸方向に伸縮可能な弾性部と、を有し、
前記ストッパ部材が前記ハウジングと接触する際に、前記弾性部が圧縮される、
請求項1又は2に記載のウインドレギュレータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウインドレギュレータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の技術として、車両の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、キャリアプレートを牽引するケーブルと、ケーブルの一部が巻き回されたドラムと、ドラムを回転駆動するモータと、ガイドレールの下端に設けられ、モータ及びドラムを保持するハウジングと、を備えるウインドレギュレータが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ハウジングは、ドラムを収容するドラム収容部と、ガイドレールの下端部に接続されるガイドレール接続部と、キャリアプレートが下限位置より下降するのを阻止するためのストッパと、ストッパを支持するストッパ支持部と、を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ドアや窓の大きさに応じて窓ガラスの移動量は異なるので、この窓ガラスの移動量の違いに対応できる汎用性の高いウインドレギュレータが望まれている。例えば特許文献1に記載のウインドレギュレータのように、ハウジングにストッパ支持部を設けてハウジングの形状を変更して窓ガラスの移動量を小さくすることで、窓ガラスの移動量の違いに対応することが可能である。しかし、ハウジングの形状を変更した場合には金型を新規に設計する必要があるため、製造コストの増大が問題となる。
【0006】
そこで、本発明では、製造コストの増大を抑制しつつ窓ガラスの移動量の違いに対応することが可能なウインドレギュレータを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記課題を解決することを目的として、車両用の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、前記ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、前記キャリアプレートを上昇方向に牽引する上昇側ケーブル、及び前記キャリアプレートを下降方向に牽引する下降側ケーブルと、前記下降側ケーブルの一部が巻き回されたドラムと、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記ガイドレールの下端に固定されて前記ドラム及び前記モータを保持するハウジングと、前記窓ガラスが下降方向に移動する際に前記ハウジングの上面と接触することにより前記キャリアプレートが更に下降方向に移動することを規制するストッパ部材と、を備え、前記ハウジングの前記上面は、前記昇降方向に直交するように設けられ、前記キャリアプレートと前記ハウジングとの間に配索された前記下降側ケーブルは、前記昇降方向に沿って配索され、前記ストッパ部材は、前記キャリアプレートと前記ハウジングとの間に配索された前記下降側ケーブルの所定の位置に固定されていると共に、前記ハウジングの前記上面に接触する接触面が、前記ストッパ部材が前記下降側ケーブルに固定された状態において前記ハウジングの前記上面と平行になっている、ウインドレギュレータを提供する。
また、本発明は、上記課題を解決することを目的として、車両用の窓ガラスの昇降方向に沿って設けられるガイドレールと、前記ガイドレールと摺動して前記窓ガラスと共に移動するキャリアプレートと、前記キャリアプレートを上昇方向に牽引する上昇側ケーブル、及び前記キャリアプレートを下降方向に牽引する下降側ケーブルと、前記下降側ケーブルの一部が巻き回されたドラムと、前記ドラムを回転駆動するモータと、前記ガイドレールの下端に固定されて前記ドラム及び前記モータを保持するハウジングと、前記窓ガラスが下降方向に移動する際に前記ハウジングの上面と接触することにより前記キャリアプレートが更に下降方向に移動することを規制するストッパ部材と、を備え、前記ハウジングの前記上面は、前記昇降方向に直交するように設けられると共に、前記ストッパ部材に接触する部分が、前記ガイドレールの外側に位置し、前記キャリアプレートと前記ハウジングとの間に配索された前記下降側ケーブルは、前記昇降方向に沿って前記ガイドレールの外側に配索され、前記ストッパ部材が、前記キャリアプレートと前記ハウジングとの間に配索された前記下降側ケーブルの所定の位置に固定され、前記ストッパ部材は、前記キャリアプレートから離間した位置で、前記下降側ケーブルに固定されている、ウインドレギュレータを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係るウインドレギュレータによれば、製造コストの増大を抑制しつつ窓ガラスの移動量の違いに対応することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るウインドレギュレータ、及びウインドレギュレータが設けられる車両のドアを示す全体概略図である。
【
図2】
図2は、第1の実施の形態に係るウインドレギュレータの構成を示す正面図である。
【
図3】
図3は、第1の実施の形態に係るウインドレギュレータの構成を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、キャリアプレートが下限位置にある場合の第1の実施の形態に係るウインドレギュレータの構成例を示した平面図である。
【
図5】
図5は、キャリアプレートが下限位置にある場合の第1の実施の形態に係るウインドレギュレータの構成例を示した斜視図である。
【
図6】
図6は、ストッパ部材の構成例を示す平面図であり、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は底面図である。
【
図7】
図7は、
図6(c)におけるA-A線に沿った断面図である。
【
図8】
図8は、第2の実施の形態に係るウインドレギュレータの構成を示す正面図である。
【
図9】
図9は、第2の実施の形態に係るウインドレギュレータの構成を示す斜視図である。
【
図10】
図10は、キャリアプレートが下限位置にある場合の第2の実施の形態に係るウインドレギュレータの構成例を示した平面図である。
【
図11】
図11は、キャリアプレートが下限位置にある場合の第2の実施の形態に係るウインドレギュレータの構成例を示した斜視図である。
【
図12】
図12(a)~(c)は、第2の実施の形態に係るストッパ部材の構成例を示す平面図であり、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施の形態の要約)
本実施の形態に係るウインドレギュレータ1は、車両用の窓ガラス90の昇降方向に沿って設けられるガイドレール2と、ガイドレール2と摺動して窓ガラス90と共に移動するキャリアプレート3と、キャリアプレート3を上昇方向に牽引する上昇側ケーブル41、及びキャリアプレート3を下降方向に牽引する下降側ケーブル42と、下降側ケーブル42の一部が巻き回されたドラム52と、ドラム52を回転駆動するモータ51と、ガイドレール2の下端に固定されてドラム52及びモータ51を保持するハウジング50と、キャリアプレート3を下降方向に牽引する下降側ケーブル42と共に移動してハウジング50と接触することによりキャリアプレート3が更に下降方向に移動することを規制するストッパ部材6と、を備え、ストッパ部材6がキャリアプレート3とハウジング50との間に配策された下降側ケーブル42の所定の位置に固定されている。
【0011】
このウインドレギュレータ1は、ハウジング50とは別体に設けられたストッパ部材6を配置することにより、ハウジング50の形状変更をすることなく窓ガラス90の移動量を小さくすることができる。つまり、製造コストの増大を抑制しつつ窓ガラス90の移動量の違いに対応することが可能である。
【0012】
[第1の実施の形態]
第1の実施の形態に係るウインドレギュレータ1は、例えば自動車のドア9の窓ガラス90を昇降するための装置であり、自動車のドアパネルに取り付けられて使用される。
【0013】
(ウインドレギュレータの概要)
図1は、本実施の形態に係るウインドレギュレータ1、及びウインドレギュレータ1が設けられる車両のドア9を示す全体概略図である。
図2は、本実施の形態に係るウインドレギュレータの構成を示す平面図である。
図3は、本実施の形態に係るウインドレギュレータの構成を示す斜視図である。
【0014】
なお、
図1は、窓ガラス90の全閉状態を示し、ドア9及び窓枠を二点鎖線で示す。またさらに
図1において、紙面の左側を車両前後方向の前方側、紙面の右側を車両前後方向の後方側とするなお、以下の説明において、窓ガラス90の昇降方向を単に上下方向という。
【0015】
図1に示すように、ウインドレギュレータ1は、車両のドア9に設けられた図略のドアパネル内に格納され、窓ガラス90の昇降方向に沿って設けられたガイドレール2と、ガイドレール2と摺動して窓ガラス90と共に移動するキャリアプレート3と、キャリアプレート3を牽引する上昇側ケーブル41及び下降側ケーブル42と、上昇側ケーブル41及び下降側ケーブル42の巻き取り及び繰り出しを行うための駆動力を発生する駆動部5と、ハウジング50と接触することによりキャリアプレート3が更に下降方向へ移動することを規制するストッパ部材6と、を備えて概略構成されている。
【0016】
(ガイドレール)
ガイドレール2は、長板状の金属板を所定の曲率で折り曲げて形成された金属製の部材であり、ドア9に対して車両前後方向の後方側に傾いて配置されている。ガイドレール2の上端には、ガイドレール2をドアパネルに固定するためのブラケット91が配置されている。
【0017】
(キャリアプレート)
キャリアプレート3は、例えばポリアセタール等の樹脂によって形成された板状の部材である。キャリアプレート3には、窓ガラス90と結合するための図略の結合部材が取り付けられる取付穴3a,3bが形成されている。
【0018】
(上昇側ケーブル及び下降側ケーブル)
上昇側ケーブル41は、一端部がキャリアプレート3に連結され、ガイドレール2の上端に配置されたプーリー20を介して、他端部が後述する駆動部5のドラム52に連結されている。下降側ケーブル42は、一端部がキャリアプレート3に連結され、他端部がドラム52に連結されている。プーリー20とドラム52との間に配策される上昇側ケーブル41は、ガイドレール2の長手方向における中央部に設けられたケーブル支持部400によって支持されている。これにより、上昇側ケーブル41の振動に起因した異音が抑制されている。
【0019】
(駆動部の構成)
駆動部5は、回転することにより上昇側ケーブル41及び下降側ケーブル42の巻き取り及び繰り出しを行うドラム52と、ドラム52を回転駆動するモータ51と、ガイドレール2の下端に固定され、ドラム52を収容するドラムハウジング53及び、ドラムハウジング53に固定されてモータ51を保持するモータハウジング54からなるハウジング50と、を有している。ドラムハウジング53には、ドラム52に巻き回された下降側ケーブル42を外部に導出するための下降側導出溝530が形成されている。
【0020】
(ストッパ部材)
ストッパ部材6は、略直方形状であり、下降側ケーブル42の外周を覆うように設けられている。また、キャリアプレート3とハウジング50におけるドラムハウジング53との間に配策された下降側ケーブル42の所定の位置に固定されている。本実施の形態では、ストッパ部材6が、上下方向において、上限位置にあるキャリアプレート3とドラムハウジング53との間における中央部よりも上方に位置している。
【0021】
図4は、キャリアプレートが下限位置にある場合のウインドレギュレータの構成例を示した平面図である。
図5は、キャリアプレートが下限位置にある場合のウインドレギュレータの構成例を示した斜視図である。
【0022】
図4及び
図5に示すように、キャリアプレート3の下限位置において、ストッパ部材6がドラムハウジング53に接触している。ドラムハウジング53がキャリアプレート3と対面する上面には、下降側導出溝530によって分割された第1面53aと第2面53bとが形成されている。ストッパ部材6は、キャリアプレート3の下限位置においては、下降側導出溝530をまたぐように第1及び第2面53a,53bにそれぞれ接触して配置されている。
【0023】
モータ51の作動に伴ってドラム52が回転駆動すると、下降側ケーブル42がドラムハウジング53内部に引き込まれ、または、ドラムハウジング53の外側に送り出される。下降側ケーブル42がドラム52の回転によって引き込まれると、キャリアプレート3が下方向に移動する。そして、キャリアプレート3の移動に伴って、ストッパ部材6も下降方向に移動して、ドラムハウジング53の第1及び第2面53a,53bに接触する。これにより、キャリアプレート3が下限位置に配置されて、キャリアプレート3の更なる下降方向への移動が規制される。
【0024】
このように、本実施の形態では、ドラム52によって引き込まれる下降側ケーブル42にストッパ部材6を固定して、ドラム52の回転駆動による下降側ケーブル42の引込に伴って、ストッパ部材6をドラムハウジング53の上面に接触させることにより、キャリアプレート3の下降方向への移動を停止させている。
【0025】
ここで、ストッパ部材6がキャリアプレート3に近い位置に配置されているほど窓ガラス90の移動量は大きくなり、ストッパ部材6がキャリアプレート3から遠い位置に配置されているほど窓ガラス90の移動量は小さくなる。つまり、ストッパ部材6が下降側ケーブル42上で固定される位置によって、窓ガラス90の移動量の違いに対応することが可能である。
【0026】
図6は、ストッパ部材6の構成例を示す平面図であり、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は左側面図であり、(d)は底面図である。
図7は、
図6(c)におけるA-A線に沿った断面図である。
【0027】
ストッパ部材6は、下降側ケーブル42に固定された金属部としてのワイヤエンド61と、ワイヤエンド61に取り付けられた弾性部62と、を有している。ワイヤエンド61の下降側ケーブル42への固定方法としては、例えば加締めや圧着、鋳込み、ロウ付けや溶接、ねじ止め、接着剤等の周知な方法を選択することができる。
【0028】
ワイヤエンド61は、略直方形状であり、下降側ケーブル42を挿通するための挿通孔61aを有している。また、ワイヤエンド61には、弾性部62の後述する小径部620を収容する収容空間61bが形成されている。収容空間61bは、ワイヤエンド61の中心軸方向と直交する方向の一側が開口している。
【0029】
弾性部62は、例えばゴム等の合成樹脂製の部材であり、下降側ケーブル42を挿通するための貫通孔62aを有している。貫通孔62aとワイヤエンド61の挿通孔61aと連通している。
【0030】
弾性部62は、ワイヤエンド61の収容空間61bに収容される小径部620と、小径部620よりも大径な大径部621と、小径部620よりさらに小径に形成されて小径部620及び大径部621を連結する連結部622と、を一体に有している。
【0031】
大径部621の底面621aは、キャリアプレート3の下限位置において、ドラムハウジング53と接触する接触面として形成されている。なお大径部621の直径の長さは、少なくとも、下降側導出溝530の溝幅よりも大きい。ストッパ部材6がドラムハウジング53と接触する際に、弾性部62が弾性的に圧縮される。これにより、キャリアプレート3が下限位置に到達した際の衝撃が緩和される。
【0032】
本実施の形態によれば、ストッパ部材6がキャリアプレート3とドラムハウジング53との間に配策された下降側ケーブル42の所定の位置に固定されてハウジング50とは別体に設けられているので、ドラムハウジング53の形状変更をすることなく、窓ガラス90の移動量を小さくすることができる。つまり、製造コストの増大を抑制しつつ、窓ガラス90の移動量の違いに対応することが可能である。
【0033】
また、本実施の形態によれば、ストッパ部材6が下降側ケーブル42に直接固定されているので、ストッパ部材6がドラムハウジング53と接触することによりキャリアプレート3が下限位置に到達する。換言すれば、キャリアプレート3をハウジング50及びその他の部材に接触させることなく、キャリアプレート3を下限位置にまで到達させることができる。
【0034】
ここで、例えば特許文献1に記載のウインドレギュレータでは、キャリアプレートとストッパとを直接接触させることによりキャリアプレートを下限位置まで移動させている。しかし、キャリアプレートとストッパとの接触する際にストッパの弾性変形によりキャリアプレートが傾いて窓ガラス90の姿勢が変動してしまうおそれがある。これに対して本実施の形態では、ストッパ部材6がキャリアプレート3から離間した位置にあるため、キャリアプレート3をハウジング50及びその他の部材に接触させることなく、キャリアプレート3を下限位置にまで到達させることができるので、上記したキャリアプレート3の傾きを抑制することができ、窓ガラス90の姿勢を安定化することが可能である。
【0035】
[第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態に係るウインドレギュレータについて
図8乃至
図13を参照して説明する。
【0036】
図8は、第2の実施の形態に係るウインドレギュレータ1の構成を示す正面図である。
図9は、第2の実施の形態に係るウインドレギュレータ1の構成を示す斜視図である。
図10は、キャリアプレート3が下限位置にある場合の第2の実施の形態に係るウインドレギュレータ1の構成例を示した平面図である。
図11は、キャリアプレート3が下限位置にある場合の第2の実施の形態に係るウインドレギュレータ1の構成例を示した斜視図である。
【0037】
第2の実施の形態に係るウインドレギュレータ1は、そのストッパ部材7の構成が異なる他、第1の実施の形態に係るウインドレギュレータ1と同様に構成されているため、第1の実施の形態について説明したものと実質的に同様の機能を有する構成要素については、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0038】
第2の実施の形態に係るストッパ部材7は、キャリアプレート3を下降方向に牽引する下降側ケーブル42と共に移動してハウジング50と接触することによりキャリアプレート3が更に下降方向に移動することを規制する。
【0039】
ストッパ部材7は、下降側ケーブル42の外周を覆うように設けられている。また、キャリアプレート3とハウジング50におけるドラムハウジング53との間に配策された下降側ケーブル42の所定の位置に固定されている。本実施の形態では、ストッパ部材7が、上下方向において、上限位置にあるキャリアプレート3とドラムハウジング53との間における中央部よりも上方に位置している。
【0040】
ストッパ部材7は、キャリアプレート3の下限位置においては、下降側導出溝530をまたぐように第1及び第2面53a,53bにそれぞれ接触して配置されている。
【0041】
図12(a)~(c)は、第2の実施の形態に係るストッパ部材7の構成例を示す平面図であり、(a)は上面図であり、(b)は正面図であり、(c)は底面図である。
図13は、
図12(b)におけるB-B線に沿った断面図である。
【0042】
ストッパ部材7は、下降側ケーブル42に固定された金属部としてのワイヤエンド70と、ワイヤエンド70を収容する筒状部としてのスライドブッシュ71と、スライドブッシュ71が外嵌されてスライドブッシュ71の軸方向に伸縮可能な弾性部としてのコイルスプリング72と、を有している。ワイヤエンド70の下降側ケーブル42への固定方法としては、例えば加締めや圧着、鋳込み、ロウ付けや溶接、ねじ止め、接着剤等の周知な方法を選択することができる。
【0043】
スライドブッシュ71は、ワイヤエンド70を収容する本体部711と、本体部711の上端側から径方向の外側に突出した鍔部710と、を有している。本体部711は、中空状のコイルスプリング72の中心部に挿通されている。コイルスプリング72は、本体部711の外周を覆っており、コイルスプリング72の一端は鍔部710に接触している。また、本体部711の外周には、突起711aが形成されており、この突起711aにコイルスプリング72が係止している。これにより、コイルスプリング72がスライドブッシュ71に固定される。
【0044】
モータ51の作動に伴って下降側ケーブル42がドラム52の回転によって引き込まれると、キャリアプレート3が下方向に移動する。そして、キャリアプレート3の移動に伴って、ストッパ部材7も下降方向に移動して、ドラムハウジング53の第1及び第2面53a,53bに接触する。この際、コイルスプリング72の他端が第1及び第2面53a,53bに接触して、圧縮される。これにより、キャリアプレート3が下限位置に配置されて、キャリアプレート3の更なる下降方向への移動が規制される。また、ストッパ部材7がドラムハウジング53と接触する際に、コイルスプリング72が弾性変形するので、接触時の衝撃が緩和される。
【0045】
以上、本発明の実施の形態を説明したが、上記に記載した実施の形態は特許請求の範囲に係る発明を限定するものではない。また、実施の形態の中で説明した特徴の組合せの全てが発明の課題を解決するための手段に必須であるとは限らない点に留意すべきである。本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変形して実施することが可能である。
【符号の説明】
【0046】
1…ウインドレギュレータ 2…ガイドレール
3…キャリアプレート 5…駆動部
6,7…ストッパ部材 9…ドア
20…プーリー 41…上昇側ケーブル
42…下降側ケーブル 50…ハウジング
51…モータ 52…ドラム
53…ドラムハウジング 54…モータハウジング
61…ワイヤエンド 62…弾性部
70…ワイヤエンド 71…スライドブッシュ
72…コイルスプリング 90…窓ガラス