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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】ロボット制御システム
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20221109BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B25J9/06 E
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2018120060
(22)【出願日】2018-06-25
(65)【公開番号】P2020001103
(43)【公開日】2020-01-09
【審査請求日】2021-05-24
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000000974
【氏名又は名称】川崎重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大髭 充
(72)【発明者】
【氏名】藤江 将裕
【審査官】松浦 陽
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2004/0199290(US,A1)
【文献】特開2007-038334(JP,A)
【文献】特開2004-261881(JP,A)
【文献】国際公開第2014/148032(WO,A1)
【文献】特開2015-134396(JP,A)
【文献】特開2010-188428(JP,A)
【文献】特開2006-187826(JP,A)
【文献】特開2003-145462(JP,A)
【文献】特開2007-136574(JP,A)
【文献】特開2005-173849(JP,A)
【文献】特開平10-044074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25J 1/00 - 21/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1制御装置と、第2制御装置と、前記第1制御装置と前記第2制御装置との間でデータ通信を行うための通信装置と、第1ロボットアームと、第2ロボットアームと、第3ロボットアームと、前記第1ロボットアームに取り付けられる第1ツールと、前記第2ロボットアームに取り付けられる第2ツールと、前記第3ロボットアームに取り付けられる第3ツールとを備え、
前記第1制御装置は、
予め記憶部に記憶される前記第1ロボットアームのための動作計画から、ベース座標系における前記第1ツールの位置である第1位置データを出力データとして作成する第1演算部と、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ロボットアームの動作を制御する第1制御部とを有し、
前記第1制御装置または前記第2制御装置は、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ツールによって規定される第1ツール座標系において前記第2ツールの位置が変化しないような第2位置データを出力データとして作成する第2演算部と、
前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データに基づき前記第2ロボットアームの動作を制御する第2制御部と、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ツールによって規定される第1ツール座標系において前記第3ツールの位置が変化しないような第3位置データを作成するか、または、前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データに基づき前記第2ツールによって規定される第2ツール座標系において前記第3ツールの位置が変化しないような第3位置データを出力データとして作成する第3演算部とを有し、
前記第2制御装置は、
前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データに基づき前記第3ロボットアームの動作を制御する第3制御部を有し、
前記第1制御部は、その前段部である前記第1演算部からその出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第2演算部、前記第2制御部、前記第3演算部及び前記第3制御部の各々は、前記第1制御装置と前記第2制御装置のうちの、自らが属する方に属する前段部からその出力データを前記通信装置を介することなく入力されるか、または、前記第1制御装置と前記第2制御装置のうちの、自らが属しない方に属する前段部からその出力データを前記通信装置を介して入力され、
前記第1制御装置が、前記第2演算部、前記第2制御部、および前記第3演算部を有し、
前記第2演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第2制御部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第3演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力されるか、または、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第3制御部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データを前記通信装置を介して入力される、ロボット制御システム。
【請求項2】
第1制御装置と、第2制御装置と、前記第1制御装置と前記第2制御装置との間でデータ通信を行うための通信装置と、第1ロボットアームと、第2ロボットアームと、第3ロボットアームと、前記第1ロボットアームに取り付けられる第1ツールと、前記第2ロボットアームに取り付けられる第2ツールと、前記第3ロボットアームに取り付けられる第3ツールとを備え、
前記第1制御装置は、
予め記憶部に記憶される前記第1ロボットアームのための動作計画から、ベース座標系における前記第1ツールの位置である第1位置データを出力データとして作成する第1演算部と、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ロボットアームの動作を制御する第1制御部とを有し、
前記第1制御装置または前記第2制御装置は、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ツールによって規定される第1ツール座標系において前記第2ツールの位置が変化しないような第2位置データを出力データとして作成する第2演算部と、
前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データに基づき前記第2ロボットアームの動作を制御する第2制御部と、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ツールによって規定される第1ツール座標系において前記第3ツールの位置が変化しないような第3位置データを作成するか、または、前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データに基づき前記第2ツールによって規定される第2ツール座標系において前記第3ツールの位置が変化しないような第3位置データを出力データとして作成する第3演算部とを有し、
前記第2制御装置は、
前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データに基づき前記第3ロボットアームの動作を制御する第3制御部を有し、
前記第1制御部は、その前段部である前記第1演算部からその出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第2演算部、前記第2制御部、前記第3演算部及び前記第3制御部の各々は、前記第1制御装置と前記第2制御装置のうちの、自らが属する方に属する前段部からその出力データを前記通信装置を介することなく入力されるか、または、前記第1制御装置と前記第2制御装置のうちの、自らが属しない方に属する前段部からその出力データを前記通信装置を介して入力され、
前記第1制御装置が、前記第2演算部を有し、
前記第2制御装置が、前記第2制御部、および前記第3演算部を有し、
前記第2演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第2制御部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介して入力され、
前記第3演算部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介して入力されるか、または、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介して入力され、
前記第3制御部は、自らが属する前記第2制御装置に属する前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データを前記通信装置を介することなく入力される、ロボット制御システム。
【請求項3】
第1制御装置と、第2制御装置と、前記第1制御装置と前記第2制御装置との間でデータ通信を行うための通信装置と、第1ロボットアームと、第2ロボットアームと、第3ロボットアームと、前記第1ロボットアームに取り付けられる第1ツールと、前記第2ロボットアームに取り付けられる第2ツールと、前記第3ロボットアームに取り付けられる第3ツールとを備え、
前記第1制御装置は、
予め記憶部に記憶される前記第1ロボットアームのための動作計画から、ベース座標系における前記第1ツールの位置である第1位置データを出力データとして作成する第1演算部と、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ロボットアームの動作を制御する第1制御部とを有し、
前記第1制御装置または前記第2制御装置は、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ツールによって規定される第1ツール座標系において前記第2ツールの位置が変化しないような第2位置データを出力データとして作成する第2演算部と、
前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データに基づき前記第2ロボットアームの動作を制御する第2制御部と、
前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ツールによって規定される第1ツール座標系において前記第3ツールの位置が変化しないような第3位置データを作成するか、または、前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データに基づき前記第2ツールによって規定される第2ツール座標系において前記第3ツールの位置が変化しないような第3位置データを出力データとして作成する第3演算部とを有し、
前記第2制御装置は、
前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データに基づき前記第3ロボットアームの動作を制御する第3制御部を有し、
前記第1制御部は、その前段部である前記第1演算部からその出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第2演算部、前記第2制御部、前記第3演算部及び前記第3制御部の各々は、前記第1制御装置と前記第2制御装置のうちの、自らが属する方に属する前段部からその出力データを前記通信装置を介することなく入力されるか、または、前記第1制御装置と前記第2制御装置のうちの、自らが属しない方に属する前段部からその出力データを前記通信装置を介して入力され、
前記第1制御装置が、前記第2演算部および前記第3演算部を有し、
前記第2制御装置が、前記第2制御部を有し、
前記第2演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第2制御部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介して入力され、
前記第3演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力されるか、または、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、
前記第3制御部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データを前記通信装置を介して入力される、ロボット制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロボット制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、複数のロボットアームを協調動作させるためのロボット制御システムが知られている。このようなロボット制御システムが、例えば、特許文献1のトランスファ装置で提案されている。
【0003】
特許文献1のトランスファ装置は、第1ロボットアームと、当該第1ロボットアームにコントロールケーブルを介して接続される第1制御装置と、第2ロボットアームと、当該第2ロボットアームにコントロールケーブルを介して接続される第2制御装置とを備えている。第1ロボットアームは、台車に載置された状態でプレス機の内部に固定されている。第2ロボットアームは、第1ロボットアームと対向する位置の天井から吊設されている。
【0004】
第1制御装置と第2制御装置は、ネットワークケーブルで接続されており、互いにデータ通信を行うことが可能である。これにより、第1ロボットアームと第2ロボットアームとを協調動作させて、例えば、ワークを挟持して上方に持ち上げる等の作業を行わせている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2004-209552号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1のトランスファ装置は、第1ロボットアームに接続される第1制御装置と、第2ロボットアームに接続される第2制御装置と、第1制御装置と第2制御装置を接続するネットワークケーブル(以下「通信装置」と称する)とを備えることによって、第1ロボットアームと第2ロボットアームとを協調動作させている。しかし、特許文献1で提案されているロボット制御システムでは、ワークに対して精確に作業を行えない場合があった。
【0007】
そこで、本発明は、ワークに対して精確に作業を行うことが可能な、ロボット制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するために、本発明に係るロボット制御システムは、第1制御装置と、第2制御装置と、前記第1制御装置と前記第2制御装置との間でデータ通信を行うための通信装置と、第1ロボットアームと、第2ロボットアームと、第3ロボットアームと、前記第1ロボットアームに取り付けられる第1ツールと、前記第2ロボットアームに取り付けられる第2ツールと、前記第3ロボットアームに取り付けられる第3ツールとを備え、前記第1制御装置は、予め記憶部に記憶される前記第1ロボットアームのための動作計画から、ベース座標系における前記第1ツールの位置である第1位置データを出力データとして作成する第1演算部と、前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ロボットアームの動作を制御する第1制御部とを有し、前記第1制御装置または前記第2制御装置は、前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ツールによって規定される第1ツール座標系において前記第2ツールの位置が変化しないような第2位置データを出力データとして作成する第2演算部と、前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データに基づき前記第2ロボットアームの動作を制御する第2制御部と、前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データに基づき前記第1ツールによって規定される第1ツール座標系において前記第3ツールの位置が変化しないような第3位置データを作成するか、または、前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データに基づき前記第2ツールによって規定される第2ツール座標系において前記第3ツールの位置が変化しないような第3位置データを出力データとして作成する第3演算部とを有し、前記第2制御装置は、前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データに基づき前記第3ロボットアームの動作を制御する第3制御部を有し、前記第1制御部は、その前段部である前記第1演算部からその出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第2演算部、前記第2制御部、前記第3演算部及び前記第3制御部の各々は、前記第1制御装置と前記第2制御装置のうちの、自らが属する方に属する前段部からその出力データを前記通信装置を介することなく入力されるか、または、前記第1制御装置と前記第2制御装置のうちの、自らが属しない方に属する前段部からその出力データを前記通信装置を介して入力される。
【0009】
上記構成によれば、少なくとも3つのロボットアームを協調動作させることができる。その結果、ワークに対して精確に作業を行うことが可能なロボット制御システムを提供することができる。
【0010】
前記第1制御装置が、前記第2演算部、前記第2制御部、および前記第3演算部を有し、前記第2演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第2制御部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第3演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力されるか、または、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第3制御部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データを前記通信装置を介して入力されてもよい。
【0011】
上記構成によれば、ワークに対して精確に作業を行うことができ、且つ、簡単な構成のロボット制御システムを提供することができる。
【0012】
前記第1制御装置が、前記第2演算部、および前記第2制御部を有し、前記第2制御装置が、前記第3演算部を有し、前記第2演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第2制御部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第3演算部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介して入力されるか、または、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介して入力され、前記第3制御部は、自らが属する前記第2制御装置に属する前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データを前記通信装置を介することなく入力されてもよい。
【0013】
上記構成によれば、ワークに対して精確に作業を行うことができ、且つ、第1制御装置と第2制御装置に処理負荷が分散されたロボット制御システムを提供することができる。
【0014】
前記第2制御装置が、前記第2演算部、前記第2制御部、および前記第3演算部を有し、前記第2演算部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介して入力され、前記第2制御部は、自らが属する前記第2制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第3演算部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介して入力されるか、または、自らが属する前記第2制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第3制御部は、自らが属する前記第2制御装置に属する前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データを前記通信装置を介することなく入力されてもよい。
【0015】
上記構成によれば、ワークに対して精確に作業を行うことができ、且つ、第1制御装置と第2制御装置に処理負荷が分散されたロボット制御システムを提供することができる。
【0016】
前記第1制御装置が、前記第2演算部を有し、前記第2制御装置が、前記第2制御部、および前記第3演算部を有し、前記第2演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第2制御部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介して入力され、前記第3演算部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介して入力されるか、または、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介して入力され、前記第3制御部は、自らが属する前記第2制御装置に属する前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データを前記通信装置を介することなく入力されてもよい。
【0017】
上記構成によれば、ワークに対して精確に作業を行うことができ、且つ、第1制御装置と第2制御装置に処理負荷が分散されたロボット制御システムを提供することができる。
【0018】
前記第1制御装置が、前記第2演算部および前記第3演算部を有し、前記第2制御装置が、前記第2制御部を有し、前記第2演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第2制御部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介して入力され、前記第3演算部は、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第1演算部を前段部として前記第1演算部の出力データである前記第1位置データを前記通信装置を介することなく入力されるか、または、自らが属する前記第1制御装置に属する前記第2演算部を前段部として前記第2演算部の出力データである前記第2位置データを前記通信装置を介することなく入力され、前記第3制御部は、自らが属しない前記第1制御装置に属する前記第3演算部を前段部として前記第3演算部の出力データである前記第3位置データを前記通信装置を介して入力されてもよい。
【0019】
上記構成によれば、ワークに対して精確に作業を行うことができ、且つ、簡単な構成のロボット制御システムを提供することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、ワークに対して精確に作業を行うことが可能なロボット制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】本発明の第1実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示す概略図である。
図2】本発明の第1実施形態に係るロボット制御システムの第1ロボットを示す正面図である。
図3】本発明の第1実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図4】本発明の第1実施形態に係るロボット制御システムによって行われる処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図6】本発明の第3実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図7】本発明の第4実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図8】本発明の第5実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第6実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第7実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。
図11】本発明の一実施形態に係るロボット制御システムの変形例を示す部分的なブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の第1実施形態に係るロボット制御システムについて、図面を参照して説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0023】
1.第1実施形態
(ロボット制御システム10A)
図1は、本発明の第1実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係るロボット制御システム10Aは、第1ロボット20と、第2ロボット120と、第1ロボット20に内蔵される第1制御装置50と第2ロボット120に内蔵される第2制御装置150との間でデータ通信を行うための通信装置200とを備える。第1ロボット20及び第2ロボット120は、それぞれ、ベルトコンベヤ210を介して対向するように配置されている。
【0024】
本実施形態に係るロボット制御システム10Aは、第1ロボット20と第2ロボット120を協調動作させて、例えば、ベルトコンベヤ210上を搬送されてくるワークWを挟持して上方に持ち上げる等の作業を行わせるために用いられる。
【0025】
なお、ここでいう協調動作とは、例えば、第1ツール38と第2ツール48の相対位置、第1ツール38と第3ツール138の相対位置、及び、第1ツール38と第4ツール148の相対位置のそれぞれが変化しないように、第1ロボットアーム30、第2ロボットアーム40、第3ロボットアーム130、及び第4ロボットアーム140を動作させることをいう。なお、前記相対位置それぞれに加えてツールそれぞれの相対角度が変化しないように、第1ロボットアーム30、第2ロボットアーム40、第3ロボットアーム130、及び第4ロボットアーム140を動作させることが好ましい。これにより、例えば、ワークWを挟持して持ち上げる作業等を確実に行うことができる。
【0026】
(第1ロボット20)
図2は、本実施形態に係るロボット制御システムの第1ロボットを示す正面図である。図2に示すように、第1ロボット20は、台車に固定された基台21と、基台21に支持された第1ロボットアーム30及び第2ロボットアーム40と、第1ロボットアーム30の先端部に取り付けられる第1ツール38と、第2ロボットアーム40の先端部に取り付けられる第2ツール48と、基台21内に収納された第1制御装置50とを備える。第1ロボット20は、例えば、人一人分に相当する限られたスペース(例えば610mm×620mm)に配置することが可能である。
【0027】
以下では、第1ロボットアーム30及び第2ロボットアーム40を広げた方向を左右方向と称し、基軸の軸心に平行な方向を上下方向と称し、左右方向および上下方向に直交する方向を前後方向と称する。
【0028】
第1ロボットアーム30(図2において向かって左側のロボットアーム)及び第2ロボットアーム40(図2において向かって右側のロボットアーム)は、それぞれ、基台21に対して移動可能に構成された水平多関節型のロボットアームである。
【0029】
第1ロボットアーム30は、リンク32と、リスト34とを備えており、第1ロボットアーム30の先端部には第1ツール38が取り付けられる。
【0030】
リンク32は、本例では、第1リンク32a及び第2リンク32bで構成されている。第1リンク32aは、基台21の上面に固定された基軸22と回転関節J1により連結され、基軸22の軸心を通る回転軸L1まわりに回動可能である。第2リンク32bは、第1リンク32aの先端と回転関節J2により連結され、第1リンク32aの先端に規定された回転軸L2まわりに回動可能である。
【0031】
リスト34は、第1ツール38が取り付けられるメカニカルインターフェイス36を有し、第2リンク32bの先端と直動関節J3及び回転関節J4を介して連結されている。リスト34は、直動関節J3によって、第2リンク32bに対し昇降移動可能である。リスト34は、回転関節J4によって、第2リンク32bに対し垂直な回転軸L3まわりに回動可能である。
【0032】
第2ロボットアーム40は、第1ロボットアーム30と同様の構成を有する。したがって、同様となる説明は適宜省略する。第2ロボットアーム40は、リンク42と、リスト44とを備えており、第2ロボットアーム40の先端部には第2ツール48が取り付けられる。リンク42は、本例では、第1リンク42a及び第2リンク42bで構成されている。リスト44は、第2ツール48が取り付けられるメカニカルインターフェイス46を有する。
【0033】
上記構成を有する第1ロボットアーム30及び第2ロボットアーム40には、それぞれ、関節J1~J4に対応付けられるように、図示しない駆動用サーボモータ、及び当該サーボモータの回転角を検出する図示しないエンコーダ等が設けられている。また、第1ロボットアーム30の第1リンク32aにおける回転軸L1と、第2ロボットアーム40の第1リンク42aにおける回転軸L1とは同一直線上に設けられ、第1ロボットアーム30の第1リンク32aと第2ロボットアーム40の第1リンク42aとは、上下に高低差を設けて配置されている。
【0034】
第1ツール38は、第1ロボットアーム30のメカニカルインターフェイス36に接続されて水平方向に延びる基部と、当該基部の先端に取り付けられる保持部とを有する。第1ツール38は、その保持部でコンベヤ210によって搬送されてくるワークWや当該ワークWに対して取り付けられる他の部品などを挟持することで保持するが可能である。なお、第2ツール48は、第1ツール38と同様の構成を有するため、ここではその説明を繰り返さない。
【0035】
(第2ロボット120)
第2ロボット120は、第1ロボット20と同様の構成を有する。したがって、第2ロボット120についての同様となる説明及び図示は適宜省略する。なお、図2において、第2ロボット120の構成に付すべき参照符号を各参照符号の末尾部分「()」内に示してある。
【0036】
図2に示すように、第2ロボット120は、台車に固定された基台121と、基台121に支持された第3ロボットアーム130及び第4ロボットアーム140と、第3ロボットアーム130の先端部に取り付けられる第3ツール138と、第4ロボットアーム140の先端部に取り付けられる第4ツール148と、基台121内に収納された第2制御装置150とを備える。
【0037】
第3ロボットアーム130は、リンク132と、リスト134とを備えており、第3ロボットアーム130の先端部には第3ツール138が取り付けられる。リンク132は、本例では、第1リンク132a及び第2リンク132bで構成されている。リスト134は、第3ツール138が取り付けられるメカニカルインターフェイス136を有する。
【0038】
第4ロボットアーム140は、リンク142と、リスト144とを備えており、第4ロボットアーム140の先端部には第4ツール148が取り付けられる。リンク142は、本例では、第1リンク142a及び第2リンク142bで構成されている。リスト144は、第4ツール148が取り付けられるメカニカルインターフェイス146を有する。
【0039】
第3ツール138は、第3ロボットアーム130のメカニカルインターフェイス136に接続されて水平方向に延びる基部と、当該基部の先端に取り付けられる保持部とを有する。なお、第4ツール148は、第3ツール138と同様の構成を有するため、ここではその説明を繰り返さない。
【0040】
(第1制御装置50)
図3は、本実施形態に係るロボット制御システム10Aの全体構成を示すブロック図である。図3に示すように、本実施形態に係る第1制御装置50は、記憶部51と、予め記憶部51に記憶される第1ロボットアーム30のための動作計画から、ベース座標系における第1ツール38の位置である第1位置データを出力データとして作成する第1演算部52と、第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データに基づき第1ロボットアーム30の動作を制御する第1制御部54とを有する。
【0041】
また、本実施形態に係る第1制御装置50は、第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データに基づき第1ツール38によって規定される第1ツール座標系において第2ツール48の位置が変化しないような第2位置データを出力データとして作成する第2演算部62と、第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データに基づき第2ロボットアーム40の動作を制御する第2制御部64とを有する。
【0042】
さらに、本実施形態に係る第1制御装置50は、前記第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する第3演算部72を有する。
【0043】
そして、本実施形態に係る第1制御装置50は、前記第1ツール座標系において第4ツール148の位置が変化しないような第4位置データを作成する第4演算部82を有する。
【0044】
第1制御装置50ついて、例えば、公知のプロセッサ(CPU等)が記憶部(メモリ等)に格納されるプログラムに従って動作することで実現される構成であってもよい。
【0045】
(第2制御装置150)
本実施形態に係る第2制御装置150は、第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データに基づき第3ロボットアーム130の動作を制御する第3制御部74を有する。
【0046】
また、本実施形態に係る第2制御装置150は、第4演算部82を前段部として当該第4演算部82の出力データである第4位置データに基づき第4ロボットアーム140の動作を制御する第4制御部84を有する。
【0047】
第2制御装置150ついて、例えば、公知のプロセッサ(CPU等)が記憶部(メモリ等)に格納されるプログラムに従って動作することで実現される構成であってもよい。
【0048】
(通信装置200)
通信装置200は、イーサネット(登録商標)規格に準ずるLANケーブル等を有する装置であってもよい。なお、通信装置200は、この場合に限定されず、第1制御装置50と第2制御装置150との間でデータ通信を可能にする他のケーブルを有する装置であってもよいし、無線でデータ通信を可能にする装置であってもよい。
【0049】
(各位置データの入出力)
第1制御部54は、その前段部である第1演算部52からその出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0050】
第2演算部62は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第2制御部64は、自らが属する第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0051】
上記構成よって、第1制御装置50は、第1ツール38と第2ツール48の相対位置が変化しないように、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とを協調動作させることができる。このように、2つのロボットアーム(ここでは第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40)に接続される1つの制御装置(ここでは第1制御装置50)によって、前記2つのロボットアームを協調動作させることを、以下において「アーム間協調」と称する。
【0052】
第3演算部72は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第3制御部74は、自らが属しない第1制御装置50に属する第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データを通信装置200を介して入力される。
【0053】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、通信装置200を介して、第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130とを協調動作させることができる。このように、通信装置200を介して接続された2つの制御装置(ここでは第1制御装置50と第2制御装置150)によって、2つのロボットアーム(ここでは第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130)を協調動作させることを、以下において「通信間協調」と称する。
【0054】
第4演算部82は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第4制御部84は、自らが属しない第1制御装置50に属する第4演算部82を前段部として当該第4演算部82の出力データである第4位置データを通信装置200を介して入力される。
【0055】
上記構成によって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第4ロボットアーム140とを通信間協調させることができる。
【0056】
(処理フローの一例)
次に、図4に基づき、本実施形態に係るロボット制御システム10Aによって行われる処理フローの一例を説明する。なお、第1制御装置50は、第1ロボットアーム30の各軸に設けられるエンコーダからサーボモータの回転角を逐次入力されることで、第1ツール38の現在位置を逐次認識することが可能である。同様に、第1制御装置50は、第2ロボットアーム40の各軸に設けられるエンコーダからサーボモータの回転角を逐次入力されることで、第2ツール48の現在位置を逐次認識することが可能である。また、同様に、第2制御装置150は、第3ツール138及び第4ツール148それぞれの現在位置を逐次認識することが可能である。
【0057】
はじめに、図4において左側に示す第1制御装置50の処理フローについて説明し、その次に、図4において右側に示す第2制御装置150の処理フローについて説明する。
【0058】
(第1制御装置50の処理フロー)
まず、第1制御装置50は、通信協調を開始すると、記憶部51から第1ロボットアーム30のための動作計画を第1演算部52に読み出す(ステップS1-1)。なお、第1制御装置50は、通信協調を開始するとき、通信装置200を介して第2制御装置150とデータ通信することで、通信協調を行うことを互いに認識しあってもよい。
【0059】
次に、第1制御装置50は、通信装置200を介して、第3ツール138及び第4ツール148の現在位置を受信する(ステップS1-2)。なお、第1ツール38、第2ツール48、第3ツール138及び第4ツール148は、それぞれ、通信協調動作を開始する時点での初期位置が予め定められていてもよい。
【0060】
すなわち、第1制御装置50は、第1ロボットアーム30の動作を制御して第1ツール38を予め定められた初期位置に移動させ、且つ、第2ロボットアーム40の動作を制御して第2ツール48を予め定められた初期位置に移動させてからステップS1-2以降の処理を行ってもよい。第2制御装置150との通信協調を開始してもよい。第2制御装置150についても同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0061】
さらに、第1制御装置50は、第1~4位置データを作成する(ステップS1-3)。具体的には、第1演算部52が、記憶部51から読み出した動作計画から、ベース座標系における第1ツール38の位置である第1位置データを出力データとして作成する。また、第2演算部62が、第1位置データに基づき第1ツール座標系において第2ツール48の位置が変化しないような第2位置データを出力データとして作成する。さらに、第3演算部72が、第1位置データに基づき第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを出力データとして作成する。そして、第4演算部82が、第1位置データに基づき第1ツール座標系において第4ツール148の位置が変化しないような第4位置データを出力データとして作成する。
【0062】
そして、第1制御装置50は、通信装置200を介して第2制御装置150に第3位置データ及び第4位置データを送信する(ステップS1-4)。具体的には、第3演算部72が、通信装置200を介して第3制御部74に第3位置データを送信する。また、第4演算部82が、通信装置200を介して第4制御部84に第4位置データを送信する。
【0063】
次に、第1制御装置50は、第1位置データ及び第2位置データを出力する(ステップS1-5)。具体的には、第1演算部52が、通信装置200を介することなく第1制御部54に第1位置データを出力する。そして、第1制御部54が、第1位置データに基づき、第1ロボットアーム30の動作を制御する。また、第2演算部62が、通信装置200を介することなく第2制御部64に第2位置データを出力する。そして、第2制御部64が、第2位置データに基づき、第2ロボットアーム40の動作を制御する。
【0064】
最後に、第1制御装置50は、軸が一致しているか否かを確認し、一致していた場合に(ステップS1-6において「Yes」)通信協調動作を終了し、一致していない場合に(ステップS1-6において「No」)ステップS1-3に戻って通信協調動作を継続する。なお、ここでいう「軸が一致しているか否かを確認する」とは、マスター側である第1制御装置50が、第1ツール38が目標位置に到達したか(軸一致したか)を確認することをいう。すなわち、第1制御装置50は、第1ツール38が目標位置に到達していた場合に(ステップS1-6において「Yes」)毎周期の位置計算を終了させる。
【0065】
(第2制御装置150の処理フロー)
まず、第2制御装置150は、通信協調を開始すると、通信装置200を介して、第3ツール138及び第4ツール148それぞれの現在位置を第1制御装置50に送信する(ステップS2-1)。
【0066】
次に、第2制御装置150は、通信装置200を介して第1制御装置50から第3位置データ及び第4位置データを受信する(ステップS2-2)。具体的には、第3制御部74が、第3演算部72から通信装置200を介して第3位置データを受信する。また、第4制御部84が、第4演算部82から通信装置200を介して第4位置データを受信する。
【0067】
さらに、第2制御装置150は、第3位置データ及び第4位置データを出力する(ステップS2-3)。具体的には、第3演算部72が、通信装置200を介して第3制御部74に第3位置データを出力する。そして、第3制御部74が、第3位置データに基づき、第3ロボットアーム130の動作を制御する。また、第4演算部82が、通信装置200を介して第4制御部84に第4位置データを出力する。そして、第4制御部84が、第4位置データに基づき、第4ロボットアーム140の動作を制御する。
【0068】
最後に、第1制御装置50は、動作を終了するか否かを確認し、動作を終了する場合に(ステップS2-4において「Yes」)通信協調動作を終了し、動作を終了しない場合に(ステップS2-4において「No」)ステップS2-2に戻って通信協調動作を継続する。なお、ここでいう「動作を終了するか否かを確認する」とは、スレーブ側である第2制御装置150が、マスター側である第1制御装置50から位置計算終了の指示を受けたか否かを確認することをいう。すなわち、第2制御装置150は、第1制御装置50から位置計算終了の指示を受けた場合に(ステップS2-4において「Yes」)通信協調動作を終了する。
【0069】
(効果)
本実施形態に係るロボット制御システム10Aは、4つのロボットアーム(すなわち、第1ロボットアーム30、第2ロボットアーム40、第3ロボットアーム130及び第4ロボットアーム140)を協調動作させることができる。これにより、例えば、ベルトコンベヤ210上を搬送されてくるワークWを挟持して上方に持ち上げる等の作業を、2つのロボットアームを協調動作させて行う場合と比較して確実に行うことが可能となる。その結果、ワークWに対して精確に作業を行うことが可能なロボット制御システム10Aを提供することができる。
【0070】
ここで、従来から、アーム間協調のみを行うことによって2つのロボットアームを協調動作させるロボット制御システムが知られていた。また、通信間協調のみを行うことによって2つのロボットアームを協調動作させるロボット制御システムも知られていた。しかし、アーム間協調と通信間協調の両方を行うロボット制御システムは見受けられなかった。
【0071】
本実施形態に係るロボット制御システム10Aは、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とに接続される第1制御装置50によって、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とをアーム間協調させることが可能となる。また、第1制御装置50と第2制御装置150とを通信装置200を介して接続することによって、第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130とを通信間協調させることができ、且つ、第1ロボットアーム30と第4ロボットアーム140とを通信間協調させることが可能となる。
【0072】
これにより、本実施形態に係るロボット制御システム10Aは、アーム間協調と通信間協調の両方を行うことによって少なくとも3つ以上のロボットアームを協調動作させることが可能となる。したがって、例えば、図1に示すように、双腕ロボットである第1ロボット20と、同じく双腕ロボットである第2ロボット120とをベルトコンベヤ210を介して対向して配置したうえで、第1ロボットアーム30、第2ロボとアーム40、第3ロボットアーム130及び第4ロボットアーム140を協調動作させることなどが可能になる。これにより、本実施形態に係るロボット制御システム10Aは、例えば、既存の装置を改修して実現することができるので、容易に製造等を行うことが可能となる。
【0073】
また、本実施形態に係るロボット制御システム10Aは、第1演算部52、第2演算部62、第3演算部72及び第4演算部82の全てが第1制御装置50に設けられているので、簡単な構成のロボット制御システム10Aを提供することができる。
【0074】
2.第2実施形態
(ロボット制御システム10B)
次に、図5に基づき本発明の第2実施形態に係るロボット制御システムについて説明する。図5は、本実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。なお、本実施形態に係るロボット制御システム10Bは、第1制御装置50及び第2制御装置150の構成を除き、上記で説明した第1実施形態に係るロボット制御システム10Aの構成と同様である。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0075】
(第1制御装置50)
図5に示すように、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1実施形態に係るロボット制御システム10Aの場合と同様の記憶部51と、第1演算部52と、第1制御部54とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0076】
また、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1実施形態に係るロボット制御システム10Aの場合と同様の第2演算部62と、第2制御部64とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0077】
(第2制御装置150)
本実施形態に係る第2制御装置150は、前記第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する第3演算部72と、第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データに基づき第3ロボットアーム130の動作を制御する第3制御部74とを有する。
【0078】
また、本実施形態に係る第2制御装置150は、第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データに基づき第3ツール138によって規定される第3ツール座標系において第4ツール148の位置が変化しないような第4位置データを作成する第4演算部82と、第4演算部82を前段部として当該第4演算部82の出力データである第4位置データに基づき第4ロボットアーム140の動作を制御する第4制御部84とを有する。
【0079】
(各位置データの入出力)
第1制御部54は、その前段部である第1演算部52からその出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0080】
第2演算部62は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第2制御部64は、自らが属する第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0081】
上記構成よって、第1制御装置50は、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とをアーム間協調させることができる。
【0082】
第3演算部72は、自らが属しない第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介して入力される。また、第3制御部74は、自らが属する第2制御装置150に属する第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0083】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130とを通信間協調させることができる。
【0084】
第4演算部82は、自らが属しない第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介して入力される。また、第4制御部84は、自らが属する第2制御装置150に属する第4演算部82を前段部として当該第4演算部82の出力データである第4位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0085】
上記構成によって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第4ロボットアーム140とを通信間協調させることができる。
【0086】
(効果)
本実施形態に係るロボット制御システム10Bは、第1演算部52及び第2演算部62が第1制御装置50に設けられており、且つ、第3演算部72及び第4演算部82が第2制御装置150に設けられている。すなわち、本実施形態に係るロボット制御システム10Bは、第1制御装置50と第2制御装置150とに演算部が分散して設けられている。その結果、本実施形態に係るロボット制御システム10Bは、ワークWに対して精確に作業を行うことができ、且つ、第1制御装置50と第2制御装置150とに処理負荷を分散させることが可能となる。
【0087】
3.第3実施形態
(ロボット制御システム10C)
次に、図6に基づき本発明の第3実施形態に係るロボット制御システムについて説明する。図6は、本実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。なお、本実施形態に係るロボット制御システム10Cは、第1制御装置50及び第2制御装置150の構成、及び、第2ロボット120が第4ロボットアーム140及び第4ツール148を有しないことを除き、上記で説明した第1実施形態に係るロボット制御システム10Aの構成と同様である。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0088】
(第1制御装置50)
図6に示すように、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1、第2実施形態に係るロボット制御システム10A、10Bの場合と同様の記憶部51と、第1演算部52と、第1制御部54とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0089】
また、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1、第2実施形態に係るロボット制御システム10A、10Bの場合と同様の第2演算部62と、第2制御部64とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0090】
さらに、本実施形態に係る第1制御装置50は、前記第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する第3演算部72を有する。
【0091】
(第2制御装置150)
本実施形態に係る第2制御装置150は、第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データに基づき第3ロボットアーム130の動作を制御する第3制御部74を有する。
【0092】
(各位置データの入出力)
第1制御部54は、その前段部である第1演算部52からその出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0093】
第2演算部62は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第2制御部64は、自らが属する第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0094】
上記構成よって、第1制御装置50は、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とをアーム間協調させることができる。
【0095】
第3演算部72は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0096】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130とを通信間協調させることができる。
【0097】
(効果)
本実施形態に係るロボット制御システム10Cは、上記で説明したロボット制御システム10A、10Bとは異なり、第4ロボットアーム140を有することなく、3つのロボットアームのみを有する構成である。このような構成であっても、例えば、ベルトコンベヤ210上を搬送されてくるワークWを挟持して上方に持ち上げる等の作業を、2つのロボットアームを協調動作させて行う場合と比較して確実に行うことが可能となる。
【0098】
また、本実施形態に係るロボット制御システム10Cは、第1演算部52、第2演算部62及び第3演算部72の全てが第1制御装置50に設けられているので、ワークWに対して精確に作業を行うことができ、且つ、簡単な構成のロボット制御システム10Cを提供することができる。
【0099】
4.第4実施形態
(ロボット制御システム10D)
次に、図7に基づき本発明の第4実施形態に係るロボット制御システムについて説明する。図7は、本実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。なお、本実施形態に係るロボット制御システム10Dは、第1制御装置50及び第2制御装置150の構成を除き、上記で説明した第3実施形態に係るロボット制御システム10Cの構成と同様である。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0100】
(第1制御装置50)
図7に示すように、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1~第3実施形態に係るロボット制御システム10A~10Cの場合と同様の記憶部51と、第1演算部52と、第1制御部54とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0101】
また、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1~第3実施形態に係るロボット制御システム10A~10Cの場合と同様の第2演算部62と、第2制御部64とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0102】
また、本実施形態に係る第1制御装置50は、前記第1ツール座標系において第2ツール48の位置が変化しないような第2位置データを出力データとして作成する第2演算部62と、第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データに基づき第2ロボットアーム40の動作を制御する第2制御部64とを有する。
【0103】
(第2制御装置150)
本実施形態に係る第2制御装置150は、前記第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する第3演算部72と、第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データに基づき第3ロボットアーム130の動作を制御する第3制御部74とを有する。
【0104】
(各位置データの入出力)
第1制御部54は、その前段部である第1演算部52からその出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0105】
第2演算部62は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第2制御部64は、自らが属する第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0106】
上記構成よって、第1制御装置50は、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とをアーム間協調させることができる。
【0107】
第3演算部72は、自らが属しない第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介して入力される。
【0108】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130とを通信間協調させることができる。
【0109】
(効果)
本実施形態に係るロボット制御システム10Dは、上記で説明したロボット制御システム10A、10Bとは異なり、第4ロボットアーム140を有することなく、3つのロボットアームのみを有する構成である。このような構成であっても、例えば、ベルトコンベヤ210上を搬送されてくるワークWを挟持して上方に持ち上げる等の作業を、2つのロボットアームを協調動作させて行う場合と比較して確実に行うことが可能となる。
【0110】
また、本実施形態に係るロボット制御システム10Dは、第1演算部52及び第2演算部62が第1制御装置50に設けられており、且つ、第3演算部72が第2制御装置150に設けられている。すなわち、本実施形態に係るロボット制御システム10Bは、第1制御装置50と第2制御装置150とに演算部が分散して設けられている。その結果、ワークWに対して精確に作業を行うことができ、且つ、第1制御装置50と第2制御装置150とに処理負荷を分散させることが可能となる。
【0111】
5.第5実施形態
(ロボット制御システム10E)
次に、図8に基づき本発明の第5実施形態に係るロボット制御システムについて説明する。図8は、本実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。なお、本実施形態に係るロボット制御システム10Eは、第1制御装置50及び第2制御装置150の構成、並びに、第2ロボット120が第4ロボットアーム140及び第4ツール148を有していることを除き、上記で説明した第3及び第4実施形態に係るロボット制御システム10C、10Dの構成と同様である。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0112】
(第1制御装置50)
図8に示すように、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1~第4実施形態に係るロボット制御システム10A~10Dの場合と同様の記憶部51と、第1演算部52と、第1制御部54とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0113】
(第2制御装置150)
本実施形態に係る第2制御装置150は、前記第1ツール座標系において第2ツール48の位置が変化しないような第2位置データを出力データとして作成する第2演算部62と、第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データに基づき第2ロボットアーム40の動作を制御する第2制御部64とを有する。
【0114】
また、本実施形態に係る第2制御装置150は、前記第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する第3演算部72と、第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データに基づき第3ロボットアーム130の動作を制御する第3制御部74とを有する。
【0115】
(各位置データの入出力)
第1制御部54は、その前段部である第1演算部52からその出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0116】
第2演算部62は、自らが属しない第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介して入力される。また、第2制御部64は、自らが属する第2制御装置150に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0117】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とを通信間協調させることができる。
【0118】
第3演算部72は、自らが属しない第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介して入力される。また、第3制御部74は、自らが属する第2制御装置150に属する第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0119】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150が第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130とを通信間協調させることができる。
【0120】
(効果)
本実施形態に係るロボット制御システム10Eが奏する効果は、上記で説明したロボット制御システム10Dのそれと同じであるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0121】
6.第6実施形態
(ロボット制御システム10F)
次に、図9に基づき本発明の第6実施形態に係るロボット制御システムについて説明する。図9は、本実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。なお、本実施形態に係るロボット制御システム10Fは、第1制御装置50及び第2制御装置150の構成を除き、上記で説明した第5実施形態に係るロボット制御システム10Eの構成と同様である。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0122】
(第1制御装置50)
図9に示すように、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1~第5実施形態に係るロボット制御システム10A~10Eの場合と同様の記憶部51と、第1演算部52と、第1制御部54とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0123】
また、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1~第4実施形態に係るロボット制御システム10A~10Dの場合と同様の第2演算部62を有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0124】
(第2制御装置150)
本実施形態に係る第2制御装置150は、第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データに基づき第2ロボットアーム40の動作を制御する第2制御部64を有する。
【0125】
また、本実施形態に係る第2制御装置150は、前記第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する第3制御部74とを有する。
【0126】
(各位置データの入出力)
第1制御部54は、その前段部である第1演算部52からその出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0127】
第2演算部62は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第2制御部64は、自らが属しない第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介して入力される。
【0128】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とを通信間協調させることができる。
【0129】
第3演算部72は、自らが属しない第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介して入力される。また、第3制御部74は、自らが属する第2制御装置150に属する第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0130】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130とを通信間協調させることができる。
【0131】
(効果)
本実施形態に係るロボット制御システム10Fが奏する効果は、上記で説明したロボット制御システム10D、10Eのそれと同じであるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0132】
7.第7実施形態
(ロボット制御システム10G)
次に、図10に基づき本発明の第7実施形態に係るロボット制御システムについて説明する。図10は、本実施形態に係るロボット制御システムの全体構成を示すブロック図である。なお、本実施形態に係るロボット制御システム10Gは、第1制御装置50及び第2制御装置150の構成を除き、上記で説明した第5及び第6実施形態に係るロボット制御システム10E、10Fの構成と同様である。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0133】
(第1制御装置50)
図10に示すように、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1~第6実施形態に係るロボット制御システム10A~10Fの場合と同様の記憶部51と、第1演算部52と、第1制御部54とを有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0134】
また、本実施形態に係る第1制御装置50は、上記第1~第4実施形態に係るロボット制御システム10A~10D、及び、第6実施形態に係るロボット制御システム10Eの場合と同様の第2演算部62を有する。したがって、ここでは同様となる説明を繰り返さない。
【0135】
さらに、本実施形態に係る第1制御装置50は、前記第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する第3演算部72とを有する。
【0136】
(第2制御装置150)
本実施形態に係る第2制御装置150は、第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データに基づき第2ロボットアーム40の動作を制御する第2制御部64と、第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データに基づき第3ロボットアーム130の動作を制御する第3制御部74とを有する。
【0137】
(各位置データの入出力)
第1制御部54は、その前段部である第1演算部52からその出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0138】
第2演算部62は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第2制御部64は、自らが属しない第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介して入力される。
【0139】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第2ロボットアーム40とを通信間協調させることができる。
【0140】
第3演算部72は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力される。また、第3制御部74は、自らが属しない第1制御装置50に属する第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データを通信装置200を介して入力される。
【0141】
上記構成よって、第1制御装置50及び第2制御装置150は、第1ロボットアーム30と第3ロボットアーム130とを通信間協調させることができる。
【0142】
(効果)
本実施形態に係るロボット制御システム10Gは、第1演算部52、第2演算部62及び第3演算部72の全てが第1制御装置50に設けられているので、ワークWに対して精確に作業を行うことができ、且つ、簡単な構成とすることができる。
【0143】
8.変形例
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0144】
例えば、上記第3実施形態において、第2ロボット120が、第4ロボットアーム140と、第4ロボットアーム140に取り付けられる第4ツール148とを有してもよい。
【0145】
そして、第1制御装置50は、前記第1ツール座標系において第4ツール148の位置が変化しないような第4位置データを作成するか、第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データに基づき第2ツール48によって規定される第2ツール座標系において第4ツール148の位置が変化しないような第4位置データを作成するか、または、第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データに基づき第3ツール138によって規定される第3ツール座標系において第4ツール148の位置が変化しないような第4位置データを作成する第4演算部82を有してもよい。
【0146】
さらに、第2制御装置150は、第4演算部82を前段部として当該第4演算部82の出力データである第4位置データに基づき第4ロボットアーム140の動作を制御する第4制御部84を有してもよい。
【0147】
上記の場合、第4演算部82は、自らが属する第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介することなく入力されるか、自らが属する第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介することなく入力されるか、または、自らが属する第1制御装置50に属する第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0148】
また、上記の場合、第4制御部84は、自らが属しない第1制御装置50に属する第4演算部82を前段部として当該第4演算部82の出力データである第4位置データを通信装置200を介して入力される。
【0149】
なお、第3実施形態において、第2制御装置150が前記第4演算部82及び前記第4制御部84を有してもよい。
【0150】
上記の場合、第4演算部82は、自らが属しない第1制御装置50に属する第1演算部52を前段部として当該第1演算部52の出力データである第1位置データを通信装置200を介して入力されるか、自らが属しない第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介して入力されるか、または、自らが属しない第1制御装置50に属する第3演算部72を前段部として当該第3演算部72の出力データである第3位置データを通信装置200を介して入力される。
【0151】
また、上記の場合、第4制御部84は、自らが属する第2制御装置150に属する第4演算部82を前段部として当該第4演算部82の出力データである第4位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0152】
なお、第4~第7実施形態においても、第3実施形態の変形例と同様に、第1ロボット20又は第2ロボット120が、第4ロボットアーム140と、第4ロボットアーム140に取り付けられる第4ツール148と、第4位置データを作成するための第4演算部82と、第4位置データに基づき第4ロボットアーム140の動作を制御するための第4制御部84とを有してもよい。ここでは、同様となるため、その説明を繰り返さない。
【0153】
上記第3~第7実施形態では、第3演算部72は、前記第1ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第3演算部72は、前記第2ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成してもよい。
【0154】
図11は、第3演算部72が第2ツール座標系において第3ツール138の位置が変化しないような第3位置データを作成する場合を示す部分的なブロック図である。(A)は、第3演算部が通信装置を介することなく第2演算部から第2位置データを入力される場合を示す図である。また、(B)は、第3演算部が通信装置を介して第2演算部から第2位置データを入力される場合を示す図である。
【0155】
上記第3~第7実施形態に係るロボット制御システム10C~10Gのうちで、第2演算部62と第3演算部72とが同じ制御装置に設けられる(すなわち、第1制御装置50又は第2制御装置150のいずれか一方に設けられる)第3、第5、第7実施形態に係るロボット制御システム10C、10E、10Gが、図11(A)に示す構成となる。
【0156】
図11(A)に示すように、第3、第5、第7実施形態に係るロボット制御システム10C、10E、10Gでは、第3演算部72は、自らが属する制御装置(すなわち、第1制御装置50又は第2制御装置150のいずれか一方)に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介することなく入力される。
【0157】
一方、上記第3~第7実施形態に係るロボット制御システム10C~10Gのうちで、第2演算部62と第3演算部72とが互いに異なる制御装置に設けられる(すなわち、第1制御装置50と第2制御装置150とに分散して設けられる)第4、第6実施形態に係るロボット制御システム10D、10Fが、図11(b)に示す構成となる。
【0158】
図11(B)に示すように、第4、第6実施形態に係るロボット制御システム10D、10Fでは、第3演算部72は、自らが属しない第1制御装置50に属する第2演算部62を前段部として当該第2演算部62の出力データである第2位置データを通信装置200を介して入力される。
【0159】
上記実施形態では、第1制御装置50及び第2制御装置150が、それぞれ、1つまたは2つのロボットアーム及びその各ロボットアームに取り付けられるツールを有する場合について説明したが、この場合に限定されない。すなわち、第1制御装置50及び第2制御装置150が、それぞれ、3つ以上のロボットアーム及びその各ロボットアームに取り付けられるツールを有してもよい。この場合における各位置データの入出力などは、上記実施形態で説明した内容と同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0160】
上記実施形態では、ロボット制御システム10が、通信装置200を介して接続された2つの制御装置(すなわち、第1制御装置50と、第2制御装置150)を備える場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、ロボット制御システム10は、通信装置200を介して接続された3つ以上の制御装置を備えてもよい。このような場合、前記3つ以上の制御装置のうちの少なくとも1つの制御装置には、2つ以上のロボットアームが接続される。この場合における各位置データの入出力などは、上記実施形態で説明した内容と同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0161】
上記第1実施形態における第1制御装置50は、第1~第4演算部52、62、72、82を有する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1制御装置50は、第1~第4演算部52、62、72、82と同様の処理を行うことが可能な1つの演算部を代わりに有してもよい。他の実施形態において複数の演算部を有する第1制御装置50及び第2制御装置150についても同様であるため、ここでは説明を繰り返さない。
【0162】
上記実施形態では、記憶部51が第1制御装置50内に設けられる場合について説明したが、これに限定されない。すなわち、記憶部51は、第1制御装置50とは別個に設けられ、例えば、第1制御装置50と電気配線を介して接続されていてもよい。
【0163】
上記実施形態では、第1、第2、第3、第4ロボットアーム30、40、130、140が、それぞれ、水平多関節型のロボットアームとして構成される場合について説明したが、これに限定されない。例えば、第1、第2、第3、第4ロボットアーム30、40、130、140は、それぞれ、垂直多関節型のロボットアームとして構成されてもよいし、又は、少なくとも1つの関節軸を有するその他のロボットアームとして構成されてもよい。
【符号の説明】
【0164】
10 ロボット制御システム
20 第1ロボット
30 第1ロボットアーム
38 第1ツール
40 第2ロボットアーム
48 第2ツール
50 第1制御装置
51 記憶部
52 第1演算部
54 第1制御部
62 第2演算部
64 第2制御部
72 第3演算部
74 第3制御部
82 第4演算部
84 第4制御部
120 第2ロボット
130 第3ロボットアーム
138 第3ツール
140 第4ロボットアーム
148 第4ツール
150 第2制御装置
200 通信装置
210 ベルトコンベヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11