(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】宿泊施設における生体データ取得システム、生体データ取得方法、及び、生体データ取得プログラム
(51)【国際特許分類】
A61B 5/00 20060101AFI20221109BHJP
A61B 5/16 20060101ALI20221109BHJP
A61B 5/11 20060101ALI20221109BHJP
G06Q 50/12 20120101ALI20221109BHJP
G06Q 50/22 20180101ALI20221109BHJP
【FI】
A61B5/00 102B
A61B5/16 130
A61B5/11 100
G06Q50/12
G06Q50/22
(21)【出願番号】P 2018135375
(22)【出願日】2018-07-18
【審査請求日】2021-02-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000222624
【氏名又は名称】株式会社アルメックス
(74)【代理人】
【識別番号】100157118
【氏名又は名称】南 義明
(72)【発明者】
【氏名】井上 晋
【審査官】▲高▼原 悠佑
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2016/0170996(US,A1)
【文献】特開2004-049271(JP,A)
【文献】特開2018-049476(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0161525(US,A1)
【文献】特開2007-102432(JP,A)
【文献】特表2015-534701(JP,A)
【文献】特開2017-174012(JP,A)
【文献】特開2018-057581(JP,A)
【文献】特開平08-287146(JP,A)
【文献】特開2014-211774(JP,A)
【文献】特開2002-133525(JP,A)
【文献】特開2016-059718(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0089020(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/0538
A61B 5/24-5/398
G06Q 50/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の客室を有する宿泊施設において、客室に配置され、生体データを計測可能な生体センサと、
客室と生体センサを対応付ける設置データを記憶する記憶手段と、を有し、
生体センサを使用して、宿泊客の生体データを計測する計測処理と、
計測した生体データを、複数の宿泊日にわたる集計期間、及び、各客室について集計して、客室別生体データを形成する集計処理と、
集計処理で形成した客室別生体データに基づき、各客室の状態を表示出力する出力処理と、を実行可能と
し、
出力処理は、宿泊施設における客室の実際の配置と対応付けて、客室別生体データを表示する
宿泊施設における生体データ取得システム。
【請求項2】
出力処理は、宿泊施設における客室の実際の配置と対応付けて、宿泊施設に設置された設備を表示する
請求項
1に記載の宿泊施設における生体データ取得システム。
【請求項3】
複数の客室を有する宿泊施設において、客室に配置され、生体データを計測可能な生体センサと、
客室と生体センサを対応付ける設置データを記憶する記憶手段と、を使用し、
生体センサを使用して、宿泊客の生体データを計測する計測処理と、
計測した生体データを、複数の宿泊日にわたる集計期間、及び、各客室について集計して、客室別生体データを形成する集計処理と、
集計処理で形成した客室別生体データに基づき、各客室の状態を表示出力する出力処理と、を実行可能と
し、
出力処理は、宿泊施設における客室の実際の配置と対応付けて、客室別生体データを表示する
宿泊施設における生体データ取得方法。
【請求項4】
複数の客室を有する宿泊施設において、客室に配置され、生体データを計測可能な生体センサと、
客室と生体センサを対応付ける設置データを記憶する記憶手段と、を使用し、
生体センサを使用して、宿泊客の生体データを計測する計測処理と、
計測した生体データを、複数の宿泊日にわたる集計期間、及び、各客室について集計して、客室別生体データを形成する集計処理と、
集計処理で形成した客室別生体データに基づき、各客室の状態を表示出力する出力処理と、を情報処理装置に実行させ
、
出力処理は、宿泊施設における客室の実際の配置と対応付けて、客室別生体データを表示する
宿泊施設における生体データ取得プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ホテル等の宿泊施設において、睡眠データ等、宿泊者の健康に関する生体データを取得することのできる生体データ取得システム、生体データ取得方法、及び、生体データ取得プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
現在、技術の進歩に伴い、個人の健康管理に対する手法は大きく変わりつつある。従来、個人の健康管理は、自己の健康状態により病院で診断を受ける、あるいは、病院や診療所等で行われる健康診断を受けることで行われていた。現在、センシング技術の発達に伴い、時計型のウェアラブルセンサ、あるいは、スマートホン、睡眠センサ(スリープセンサともいう)を使用することで、脈拍等、各種生体データの取得管理が行われている。今後は、このような生体データを使用することで、病気の早期発見を行うことも可能となることが予想される。
【0003】
特許文献1には、対象者の睡眠状態にもとづく睡眠に関わる数的な情報を処理し、睡眠に関わる数的な情報に応じて所定の特典を付与することのできる情報処理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示されるように、ユーザの睡眠状態を計測する睡眠センサは、興味のある個人が購入し、使用されることが主流である。個人が宿泊施設に持ち込んで使用することも考えられるが、宿泊施設側で設置、運用する形態についてはこれまで検討されていなかった。
【0006】
本発明は、このような状況を鑑みたものであって、宿泊施設に睡眠センサ等の生体センサを設け、宿泊客の生体データを取得し、取得された生体データを客室毎に集計することで、客室の居心地の良さを判定可能とることを目的とするものである。例えば、生体センサとして睡眠センサを使用する場合には、対象となる客室について、寝心地の良さを指標として出力することが可能となる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため、本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システムは、
複数の客室を有する宿泊施設において、客室に配置され、生体データを計測可能な生体センサと、
客室と生体センサを対応付ける設置データを記憶する記憶手段と、を有し、
生体センサを使用して、宿泊客の生体データを計測する計測処理と、
計測した生体データを、複数の宿泊日にわたる集計期間、及び、各客室について集計して、客室別生体データを形成する集計処理と、
集計処理で形成した客室別生体データに基づき、各客室の状態を表示出力する出力処理と、を実行可能とし、
出力処理は、宿泊施設における客室の実際の配置と対応付けて、客室別生体データを表示する。
【0008】
さらに本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システムにおいて、
生体センサは、睡眠センサである。
【0009】
さらに本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システムにおいて、
出力処理は、客室別生体データを時間別に出力可能とする。
【0010】
さらに本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システムにおいて、
生体データとあわせて、客室の環境データを計測する。
【0012】
さらに本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システムにおいて、
出力処理は、宿泊施設における客室の実際の配置と対応付けて、宿泊施設に設置された設備を表示する。
【0013】
さらに本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システムにおいて、
集計処理は、指定された集計期間について、計測した生体データを集計する。
【0014】
さらに本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システムにおいて、
出力処理は、指定された期間が、1の宿泊客の宿泊期間である場合、該当する客室の客室別生体データを出力しない。
【0015】
また本発明に係る宿泊施設における生体データ取得方法は、
複数の客室を有する宿泊施設において、客室に配置され、生体データを計測可能な生体センサと、
客室と生体センサを対応付ける設置データを記憶する記憶手段と、を使用し、
生体センサを使用して、宿泊客の生体データを計測する計測処理と、
計測した生体データを、複数の宿泊日にわたる集計期間、及び、各客室について集計して、客室別生体データを形成する集計処理と、
集計処理で形成した客室別生体データに基づき、各客室の状態を表示出力する出力処理と、を実行可能とし、
出力処理は、宿泊施設における客室の実際の配置と対応付けて、客室別生体データを表示する。
【0016】
また本発明に係る宿泊施設における生体データ取得プログラムは、
複数の客室を有する宿泊施設において、客室に配置され、生体データを計測可能な生体センサと、
客室と生体センサを対応付ける設置データを記憶する記憶手段と、を使用し、
生体センサを使用して、宿泊客の生体データを計測する計測処理と、
計測した生体データを、複数の宿泊日にわたる集計期間、及び、各客室について集計して、客室別生体データを形成する集計処理と、
集計処理で形成した客室別生体データに基づき、各客室の状態を表示出力する出力処理と、を情報処理装置に実行さ、
出力処理は、宿泊施設における客室の実際の配置と対応付けて、客室別生体データを表示する。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システム、生体データ取得方法、及び、生体データ取得プログラムによれば、宿泊施設において、宿泊客の生体データを計測し、客室毎に集計することで、客室の居心地の良さ、寝心地の良さ等、客室の快適度合いを示す指標を形成することが可能となる。したがって、宿泊施設の経営者、従業員等は、得られた客室毎の指標を参照することで、客室の問題点の発見、問題点の改善を行うことが容易となり、宿泊施設を良好に運営することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本実施形態に係る生体データ取得システムの構成を示す図
【
図2】本実施形態に係る睡眠センサの構成を示すブロック図
【
図3】本実施形態に係る睡眠データ計測処理を示すフロー図
【
図4】本実施形態に係る睡眠データ提供処理を示すフロー図
【
図5】本実施形態に係る生体データ取得システムで使用する各種データ構成を示す図
【
図6】本実施形態に係る睡眠データ取込のための表示を示す図
【
図7】宿泊客別生体データを表示中の携帯端末の表示画面を示す図
【
図8】本実施形態に係る睡眠データ集計処理を示すフロー図
【
図9】本実施形態に係る睡眠データ取得システムで出力される客室における睡眠指数の出力形態を示す図
【
図10】本実施形態に係る睡眠データ取得システムで出力される客室における睡眠指数の出力形態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は、本実施形態に係る生体データ取得システムの構成を示す図である。本実施形態の生体データ取得システムは、宿泊施設内に配置された構成、宿泊施設外に配置された構成を有して構成されている。宿泊施設内に配置された構成としては、各客室内に配置された構成の他、無線ルータ23、配信サーバ24、ルータ25、客室管理サーバ27、管理端末26を有して構成されている。
【0020】
宿泊施設には、客室A~D…のように複数の客室が設けられている。ここでは、客室Aの構成を例にとって、各客室内に配置された構成を説明する。客室Aは、宿泊客の生体データとしての睡眠データを取得可能な客室であって、ベッドに設置された睡眠センサ10、テレビの視聴、並びに、各種情報を表示するためのディスプレイ22、温度センサ21が配置されている。本実施形態では、睡眠センサ10、温度センサ21は、無線LANを使用して、無線ルータ23と無線通信可能な構成を取っている。なお、客室A内に表示されている携帯端末40(携帯電話、スマホ、タブレット等)は、宿泊客の所有物であって、生体データ取得システムの構成ではない。
【0021】
無線ルータ23、配信サーバ24、ルータ25、客室管理サーバ27、管理端末26は、LANで通信接続され、相互間で通信可能なネットワークを形成している。ルータ25は、インターネットEに通信接続され、宿泊施設内の各種機器が、インターネットを介した通信を行うことを可能としている。無線ルータ23は、宿泊施設内で無線LANを構成するための設備であって、各客室A~D…に設置された無線LAN対応の機器と無線通信を行うことが可能となっている。
【0022】
配信サーバ24は、各客室A~Dに配置されたディスプレイ22と、同軸ケーブルで接続されており、テレビ放送の送信を行うことが可能である。配信サーバ24は、B-CAS(登録商標)システムを使用し、管理端末26で入力された各種情報、生体データ取得のための2次元バーコード等、各客室固有の情報をディスプレイ22に表示させることも可能としている。具体的には、ディスプレイ22に挿着されているB-CASカードのカード番号を送信する情報の宛先として使用することで、各客室A~D…に対して、客室固有の情報を表示させることが可能となっている。なお、このような形態のみならず、ディスプレイ22をネットワーク接続し、通常のコンピュータと同様の手法で、各客室A~D…に対して、客室固有の情報を表示させることも可能である。
【0023】
管理端末26は、宿泊施設のフロント等に設置され、従業員によって操作される端末である。管理端末26は、パーソナルコンピュータ等で構成され、従業員からの各種入力を受け付けるとともに、従業員に対して各種情報を出力することが可能となっている。管理端末26は、宿泊施設のネットワークに接続されており、客室管理サーバ27、あるいは、インターネットE等と通信を行うことが可能である。
【0024】
客室管理サーバ27は、宿泊客について宿泊に関する各種情報(宿泊関連データ)を記憶している。管理端末26は、客室管理サーバ27に記憶される宿泊関連データを参照し、宿泊に関する管理を行うことが可能となっている。
【0025】
次に、宿泊施設外に配置された構成について説明する。宿泊施設外には、インターネットEを介して、データ蓄積サーバ31、データ集計サーバ32が接続されている。データ蓄積サーバ31は、宿泊施設に設置された睡眠センサ10から取得した睡眠データ等を蓄積する。データ集計サーバ32は、データ蓄積サーバ31に蓄積される睡眠データ等の解析、集計を行い、ユーザとなる宿泊客に提供することが可能である。これら、データ蓄積サーバ31、データ集計サーバ32は、複数の宿泊施設について、睡眠データ等の生体データを管理することも可能である。
【0026】
また、本実施形態では、データ蓄積サーバ31、データ集計サーバ32を、インターネットE上におけるクラウド管理とし、客室管理サーバ27を宿泊施設内での管理としているが、データ蓄積サーバ31、データ集計サーバ32、客室管理サーバ27は、クラウド管理、宿泊施設内での管理のどちら管理形態であってもよい。また、データ蓄積サーバ31、データ集計サーバ32、客室管理サーバ27は、その機能を1つのサーバにまとめる、あるいは、機能を複数のサーバに分ける等、各種形態を採用することとしてもよい。
【0027】
図2は、本実施形態に係る睡眠センサ10の構成を示すブロック図である。本実施形態の睡眠センサ10は、ベルト状部材11と、ベルト状部材11の一端に設けられた収容部12を有して構成されている。ベルト状部材11には、圧力検知センサ11aが配置されている。ベルト状部材11は、
図1に示されるように、ベッドのマットレス上部であって、ベルト状部材11の長手方向が、就寝するユーザの横方向に位置するように設置される。このような設置形態により、圧力検知センサ11aは、睡眠中のユーザの体躯の移動を検知し、ユーザの睡眠状態時における圧力移動に関するデータを出力することが可能となる。
【0028】
睡眠センサ10の使用時、収容部12は、ベッドのマットレスの側部に位置するように配置される。収容部12には、制御部13、表示部14、記憶部15、操作部16、無線通信部17が設けられている。また、収容部12には、外部に設けられたACアダプタ等から電源供給が行われる。制御部13は、CPU等を有して構成され、圧力検知センサ11aから出力される圧力移動に関するデータを処理して睡眠データを形成する。表示部14は、液晶表示部、LED表示部等で構成され、睡眠センサ10の各種設定に関する情報を表示することが可能である。記憶部15は、睡眠データの形成に必要な各種データを記憶している。また、睡眠センサ10を識別するために必要な睡眠センサIDもこの記憶部15に記憶されている。操作部16は、睡眠センサ10の各種設定を行うことが可能である。無線通信部17は、無線LAN規格に基づく通信を行うことが可能であり、宿泊施設内に設置されている無線ルータ23と無線通信を行うことで、睡眠センサ10をネットワークに接続させる。
【0029】
本実施形態の生体データ取得システムでは、
図1、
図2を使用して説明した構成中、客室A~D…に配置されたベッドに設置された睡眠センサ10で、宿泊客の睡眠データを取得することとしている。従来、睡眠センサ10は、個人が所有し、個人宅で使用されるものであった。本実施形態は、睡眠センサ10の新たな利用方法を提供するものであって、宿泊施設に睡眠センサ10を設置し、宿泊施設を利用する宿泊客の睡眠データを取得し、宿泊客に提供することを可能とするものである。そのため、客室に設置される睡眠センサ10は、不特定多数の宿泊客に利用されることを主な理由として、個人宅で使用される形態とは異なるシステムが必要となる。
【0030】
図3は、本実施形態に係る生体データ取得システムについて、睡眠センサ10で実行される睡眠データ計測処理を示すフロー図である。本実施形態の睡眠データ計測処理は、計測開始時間の到来に基づいて開始される(S101:Yes)。この計測開始時間は、以下に示す各種形態を採用することが可能である。
・予め設定された時刻、例えば毎日21時とする。
・ユーザが目覚まし時刻を設定操作した時とする。この場合、睡眠センサ10を目覚まし時計と連動させる、あるいは、睡眠センサ10に目覚まし機能(計時機能)を設けておくことが考えられる。
・睡眠センサ10の使用状態(この場合、圧力検知センサ11aに加わる圧力状態)に基づいて、宿泊客が睡眠を開始したことを自動検知し、計測開始時間の到来と判断する。
なお、計測開始時間の到来は、睡眠センサ10で判断してもよいが、客室管理サーバ27等の外部装置で判断し、外部装置から睡眠センサ10に開始信号を受信することで行うこととしてもよい。
【0031】
ところで、個人での睡眠センサ10と異なり、宿泊客の中には、自分の睡眠データを取得されることを好まない者もいることが考えられる。本実施形態では、宿泊客の宿泊関連データを参照し、睡眠データの取得可否を判断することとしている。
【0032】
図5(A)は、客室管理サーバ27に記憶される宿泊関連データのデータ構成を示したものである。本実施形態の宿泊関連データは、宿泊客ID、氏名、住所、性別、宿泊日(期間)、客室ID(ホテル名、支店名、客室番号)、生体データ取得可否を有して構成されている。宿泊客IDは、宿泊客の識別情報である。会員登録している宿泊客は、この宿泊客IDを会員IDとすることも可能である。この宿泊客IDに対応して、宿泊客の氏名、住所、性別等が記憶されている。また、宿泊客の宿泊に関する情報として、宿泊日(期間)、そして、客室IDが記憶されている。客室IDには、宿泊する宿泊施設の客室番号が必要となるが、ホテル名、支店名等の情報を含める、あるいは、それらを識別可能なIDとしてもよい。
【0033】
宿泊関連データに含まれる生体データ取得可否は、宿泊客によって選択された情報であって、チェックイン時、あるいは、会員登録時等に設定された情報である。本実施形態では、生体データとしての睡眠データを取得することに同意するか否かを示す情報である。なお、客室内で複数種別の生体データを取得することが可能な場合、各生体データについて取得の可否を設定することとしてもよい。
【0034】
客室管理サーバ27は、該当する客室に宿泊する宿泊客の宿泊関連データ中、生体データ取得可否を参照し、生体データの取得可否を判断する(S102)。生体データの取得が許可されている場合(S102:Yes)、客室管理サーバ27は、睡眠センサ10に開始信号を出力する。睡眠センサ10は、開始信号を受信することで、計測している睡眠データをデータ蓄積サーバ31に送信開始する(S103)。計測された生体データは、所定期間毎にデータ蓄積サーバ31に送信される。
【0035】
図5(B1)には、データ蓄積サーバ31に蓄積される睡眠センサデータのデータ構成が示されている。睡眠センサデータは、睡眠センサID、計測日時、生体データとしての睡眠データを有して構成されている。睡眠センサIDは、睡眠センサ10を識別するための情報であり、睡眠センサ10の無線通信部17のMACアドレス等、睡眠センサ10を識別可能な識別情報が使用される。計測日時は、睡眠センサ10で計測した日時を示す情報であり、睡眠センサ10、あるいは、データ蓄積サーバ31で付与される。睡眠データは、睡眠センサ10から出力されたデータであって、本実施形態の睡眠データは、圧力検知センサ11aから出力されたデータを解析したデータであって、時間と睡眠度を対応付けたデータである。なお、睡眠データとしては、このように睡眠センサ10で解析してもよいし、データ蓄積サーバ31等、外部で解析することとしてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、睡眠センサ10による睡眠データ取得と並行して、温度センサ21による温度データを計測することとしている(S106)。前述したように、温度センサ21は、無線LANで無線ルータ23と接続されており、計測したデータをデータ蓄積サーバ31に送信することが可能である。
図5(B2)には、データ蓄積サーバ31に蓄積される温度センサデータのデータ構成が示されている。温度センサデータは、温度センサID、計測日時、環境データとしての温度データを有して構成されている。温度センサIDは、温度センサ21を識別するための情報であり、温度センサ21の無線通信部17のMACアドレス等、温度センサ21を識別可能な識別情報が使用される。計測日時は、温度センサ21で計測した日時を示す情報であり、温度センサ21、あるいは、データ蓄積サーバ31で付与される。温度データは、温度センサ21から出力されたデータであって、客室内での生体データ計測時における温度変化を参照することが可能である。
【0037】
客室内の温度等、客室内の環境は、宿泊客の睡眠等、各種生体に影響を及ぼすことが考えられる。例えば、客室のエアコンの不調により、部屋の温度が高い、あるいは、低い場合には、宿泊客は、眠りが浅くなる、もしくは、十分に睡眠を取れないことが予想される。本実施形態では、客室に滞在する宿泊客の睡眠データ(生体データ)の計測と同時に、客室の温度を計測することで、睡眠データと客室の温度データとを対応付けることとしている。したがって、宿泊客は、睡眠データと温度データを参照することで、睡眠と温度の因果関係を知ることが可能となる。
【0038】
なお、本実施形態では、客室の環境データとして、温度データを使用しているが、客室の環境データとしては、温度データ以外に、客室の湿度、客室の騒音レベル等を計測し、使用することが考えられる。この他、客室に設置されるディスプレイ22でのテレビの状態(オン/オフ、音量等)、客室の照明の点灯状態を使用することとしてもよい。例えば、テレビをオン状態としたまま寝てしまった場合には、睡眠が浅くなることが考えられる。宿泊客は、睡眠データと環境データ(テレビのオン/オフ)を参照することで、テレビの付けっぱなしが睡眠に悪影響を及ぼすという因果関係を確認することが可能となる。なお、これら環境データは、宿泊客のプライバシーを侵害しない範囲のデータとすることが好ましく、予め、環境データを取得することを宿泊客に確認し、同意が得られない場合には環境データを取得、計測しないこととすることが好ましい。
【0039】
睡眠データの計測、及び、送信(S103)、そして、温度データの計測、及び、送信(S104)は、所定時間毎にデータ蓄積サーバ31に送信される。データ蓄積サーバ31は、受信した睡眠データ、温度データに基づいて、睡眠センサデータ、温度センサデータを形成する。睡眠データの計測、及び、送信(S103)、温度データの計測、及び、送信(S104)は、計測終了時間が到来する(S105:Yes)まで、継続して実行される。計測終了時間の到来の判定は、計測開始時間と同様、以下に示す各種形態を採用することができる。
・予め設定された時刻、例えば毎日6時とする。
・目覚まし時刻が到来した時とする。この場合、睡眠センサ10を目覚まし時計と連動させる、あるいは、睡眠センサ10に目覚まし機能(計時機能)を設けておくことが考えられる。
・睡眠センサ10の使用状態(この場合、圧力検知センサ11aに加わる圧力状態)に基づいて、宿泊客が睡眠を終えたことを自動検知し、計測終了時間の到来と判断する。
計測終了時間についても、計測開始時間の場合と同様、睡眠センサ10自体での判断、客室管理サーバ27等の外部装置での判断、どちらであってもよい。
【0040】
計測終了時刻の到来(S105:Yes)が判定されると、睡眠センサ10は、睡眠データの送信を終了し(S106)、温度センサ21は、温度データの送信を終了する(S107)。
【0041】
以上、説明した睡眠データ計測処理でデータ蓄積サーバ31に蓄積された睡眠センサデータ、温度センサデータは、宿泊客が要求することで、宿泊客に提供される。以下に、宿泊客に対する睡眠データ提供の一手法について説明する。
【0042】
図4は、本実施形態に係る睡眠データ提供処理を示すフロー図である。この睡眠データ提供処理は、データ集計サーバ32で実行される処理であり、宿泊客のユーザインタフェイスとして、客室に設置されたディスプレイ22を使用する。宿泊客がディスプレイ22に対して操作を行い、睡眠データ取得の要求を行った場合、配信サーバ24は、客室から睡眠データ取得の要求があったことを、データ集計サーバ32に送信する。
【0043】
データ集計サーバ32は、客室から要求があったことを配信サーバ24から受信する(S110:Yes)と、要求のあった客室に対応する宿泊関連データを客室管理サーバ27から取得する(S111)。次に、要求のあった客室に対応する設置データを取得する(S112)。
図5(C)には、設置データのデータ構成が示されている。設置データは、客室ID(ホテル名、支店名、客室番号)、睡眠センサID、温度センサIDを有して構成されており、例えば、客室管理サーバ27に記憶されている。この設置データを参照し、要求のあった客室に対応する客室IDを指定することで、当該客室に設置されている睡眠センサ10、温度センサ21の睡眠センサID、温度センサIDを判別することが可能となる。
【0044】
設置データを参照することで、要求のあった部屋の睡眠センサID、温度センサIDが得られる。次に、データ集計サーバ32は、取得した睡眠センサID、温度センサIDに対応する睡眠センサデータ、温度センサデータをデータ蓄積サーバから取得する(S113)。そして、S111で取得した宿泊関連データと、S113で取得した睡眠センサデータ、温度センサデータに基づいて、宿泊客別生体データを形成する(S114)。
図5(D)には、宿泊客生体データのデータ構成が示されている。宿泊客生体データは、宿泊客の宿泊関連データ中の、宿泊客ID、氏名、客室IDと、睡眠センサデータ中の計測日時、睡眠データ、及び、温度センサデータ中の計測日時、温度データを対応付けたデータである。
【0045】
その後、データ集計サーバ32は、形成した宿泊客別生体データを保存し、当該宿泊客生体データにアクセス可能なURLを決定する(S115)。そして、決定したURLにアクセスするための2次元バーコードを形成する(S116)。そして、要求のあった客室に対して、2次元バーコードを含んだアクセス画面を送信する(S117)。送信されたアクセス画面は、客室のディスプレイ22に表示される。なお、宿泊客別生体データを取得できる情報であれば、2次元バーコードに限られるものでは無く、1次元バーコード、文字によるURLの表記等、各種形態であってもよい。あるいは、客室内に非接触センサを設け、携帯端末40の非接触センサでURLを伝達することとしてもよい。
【0046】
図6は、客室のディスプレイ22に表示されているアクセス画面22aを示した図である。アクセス画面には、宿泊客別生体データ中の、計測日時に基づく計測日、氏名、客室IDに基づく客室番号、そして、宿泊客別生体データにアクセスするためのURLを記述した2次元バーコード22bが表示されている。ユーザは、自分が所有する携帯端末40のカメラで2次元バーコード22bを撮影することで、2次元バーコードに含まれるURLにアクセスし、宿泊客別生体データを携帯端末40に取り込むことが可能となっている。なお、2次元バーコード22bの取込は、携帯端末40に用意されているWEBブラウザプログラムであってもよいし、本実施形態の生体データ取得システム用に作成されたプログラム(アプリ)であってもよい。
【0047】
図7は、宿泊客別生体データを表示中の携帯端末40の表示画面40aを示す図である。宿泊客は、
図6で説明した2次元バーコードを読み取ることで、自己の携帯端末40に宿泊客別生体データを取り込み、携帯端末40に
図7に示す表示画面40aを表示させることが可能である。表示画面40aには、睡眠指数(睡眠データ)、及び、温度データについて、経時的な変化を示すグラフが示されている。睡眠指数は、その値が大きいほど、熟睡していることを示し、値が小さいと目が覚めている(覚醒)していることを示している。宿泊客は睡眠指数の経時的変化に基づいて、自己の睡眠状態を確認することが可能である。その際、グラフには、客室における温度変化が合わせて表示されており、睡眠状態と温度の関係を確認することも可能となっている。また、グラフの上方には、計測日時に対応する計測日が表示されており、左右に表示された三角形のボタンを操作することで、計測日を変更することが可能となっている。
【0048】
また、睡眠に関する情報として、宿泊客別生体データに含まれる情報を参照し、睡眠時間、快眠指数(睡眠指数の平均)、睡眠時間、就寝場所等、が併せて表示される。なお、就寝場所は、宿泊客別生体データ中の客室IDに基づいて作成されたものである。
【0049】
以上、説明したように、本実施形態の生体データ取得システムは、宿泊施設において睡眠データ等、宿泊客の生体データを取得することが可能である。したがって、宿泊客は、これまで家庭で使用されていた睡眠センサ10のように、睡眠センサ10の購入、設定等を行うことなく、容易に自己の生体データを取得、確認することが可能となる。なお、本実施形態では、宿泊関連データ、設置データの両方を客室管理サーバ27に記憶管理しているが、宿泊関連データを記憶する第1の記憶手段、設置データを記憶する第2の記憶手段は、本実施形態のように同じ装置で構成されてもよいし、異なる装置であってもよい。
【0050】
以上、本実施形態に係る宿泊施設の生体データ取得システムについて説明を行ったが、取得の対象となる生体データとしては、本実施形態の睡眠データに限られるものではない。例えば、生体データとして、睡眠時における呼吸状態を示す呼吸データ、あるいは、心拍状態を示す心拍データ、最大血圧、最低血圧等、血圧に関する血圧データであってもよい。この場合、睡眠センサ10と同様、ベッドにセンサを設置しておくことで計測することが可能である。また、客室内のトイレに尿成分を検出する成分検出センサを設置しておき、成分検出センサで、宿泊客の尿成分(生体データ)を検査することも考えられる。以上、説明した生体データを取得する生体センサは、部屋に設置される形態であって、
図5(C)で説明した設置データのように、生体センサと客室の対応付けを行っておくことが必要とされる。
【0051】
また、上述した実施形態では、宿泊客別生体データの提供方法として、宿泊客は自己が所有する携帯端末40で、2次元バーコードを撮影することで、自己の宿泊客別生体データを携帯端末40に取り込むことを説明した。宿泊客に対する宿泊客別生体データの提供形態は、このような形態に限られるものではなく、以下に示す各種形態を使用して提供することが可能である。
・携帯端末40で、宿泊施設の会員サイトにログインし、自己の宿泊客生体データを取得する。
・宿泊施設のフロント等に設置されるプリンタで、宿泊客生体データを使用して印刷し、従業員が宿泊客に手渡す。
・客室のディスプレイ22に対し、
図7で説明したような画面形態で宿泊客別生体データに基づく表示を行う。
・2次元バーコードに宿泊客別生体データを含ませておき、携帯端末40で撮影することで、宿泊客別生体データを読み取らせる。
【0052】
ところで、従来の宿泊施設では、宿泊客が客室で如何に快適に過ごしているかといった指標となるものは存在していなかった。本実施形態の生体データ取得システムは、宿泊客に自己の生体データを提供できるのみならず、宿泊施設側に対しても、取得した生体データを集計することで、宿泊客が客室で快適に過ごしているか否かを示す指標を提供することを可能としている。
【0053】
図8は、本実施形態に係る睡眠データ集計処理を示すフロー図である。睡眠データ集計処理は、上述する生体データ(睡眠データ)を集計するため、データ集計サーバ32で実行される処理である。なお、この処理は、データ集計サーバ32で行う形態に代え、客室管理サーバ27等、他の装置で行われるものであってもよい。
【0054】
本実施形態では、宿泊施設の従業員等が管理端末26を操作することで、客室ごとに集計された睡眠データを管理端末26に出力することとしている。管理端末121から睡眠データの集計が要求される(S121:Yes)と、対象となる客室、集計期間が取得される(S122)。対象となる客室、集計期間は、予め設定されているもの、例えば、客室については全客室、集計期間については、過去1ヶ月分とすることが考えられる。あるいは、従業員が対象となる客室、集計期間を指定することとしてもよい。
【0055】
次に集計対象となる客室中、1つの客室が設定される(S123)。そして、対象となる客室について、設置データ、睡眠センサデータを参照することで、現在、対象としている客室の睡眠データが取得される(S124)。具体的には、設置データを参照し、対象としている客室の客室IDに対応する睡眠センサIDが取得される。そして、当該睡眠センサIDについて、集計期間に対応する複数の睡眠センサデータが取得される。なお、本実施形態では、
図5(A)に示される宿泊関連データ中に、生体データ集計可否の項目を設けている。生体データ集計可否は、宿泊客が集計データを宿泊施設の運営のために使用することに同意するか否かを示す情報であって、チェックイン時、あるいは、会員登録時等に設定された情報である。宿泊関連データを参照し、生体データ集計可否で同意が得られない睡眠データについては、取得することなく集計に対象から外すことが好ましい。
【0056】
ところで取得した睡眠データは、その計測について特段の制限が設けられていない宿泊客に依存するため、集計に適していないものが混入することが考えられる。例えば、睡眠時間が極端に短いことや、睡眠センサ10が適切に設置されていなかった場合等が考えられる。本実施形態では、ある客室について取得した複数の睡眠データ中、所定の条件に適合せず、集計に不適切なものを排除すること(S125)により、集計結果をより正確なものとすることが可能となっている。
【0057】
また、集計対象となる睡眠データが、ある宿泊客のみのものとなってしまった場合、当該宿泊客の個人情報としての睡眠データを曝してしまうことが考えられる。例えば、集計対象となる睡眠データが1日分であった場合、あるいは、複数日にわたって連泊した場合について、連泊した期間の睡眠データであった場合がこれに相当する。このような事情から、取得した睡眠データが、複数の宿泊客分でない場合(S126:Yes)、取得した睡眠データの集計を行わないこととしている。
【0058】
一方、複数の宿泊客分である場合(S126:Yes)、集計対象となる客室について、集計期間の温度データも取得する(S127)。具体的には、設置データを参照し、対象としている客室の客室IDに対応する温度センサIDが取得される。そして、当該温度センサIDについて、集計期間に対応する複数の温度センサデータが取得される。
【0059】
そして、S124、S125で取得した睡眠センサデータに含まれる睡眠データを集計することで集計睡眠データ(集計生体データ)が形成される(S128)。
図7で説明したように、本実施形態の睡眠データは時間に対応付けられた睡眠指数であるため、各睡眠データについて、時間毎に平均を取ることで、時間毎に集計された集計睡眠データ(集計生体データ)を形成することが可能である。そして、温度データについても同様に、各温度データについて、時間毎に平均を取ることで、集計温度データ(集計環境データ)が形成される。なお、睡眠データ、温度データについての集計方法は、時間毎に平均を取るのみならず、各種手法を採用することが可能である。例えば、
図7で説明した快眠指数の平均を取ることで、時間の推移に依存しない集計睡眠データを形成することとしてもよい。
【0060】
図5(F)には、集計の結果、得られる客室別生体データのデータ構成が示されている。客室別生体データは、集計期間、客室ID(ホテル名、支店名、客室番号)、集計睡眠データ(集計生体データ)、集計温度データ(集計環境データ)を含んで構成されている。この客室生体データによって、集計対象となった客室、集計期間について、集計睡眠データ(集計生体データ)、集計温度データ(集計環境データ)を参照することが可能となる。
【0061】
以上、集計対象となる客室が他にある場合(S129:Yes)、すなわち、まだ集計を行っていない客室が残っている場合、S123~S128の処理を繰り返すことで、対象となる客室についての客室別生体データを形成する。対象となる全ての客室について、客室別生体データの形成が完了する(S129:No)と、形成した客室別生体データ中の集計睡眠データについて、閾値を下回るデータのマーキングを行う(S130)。ここで使用する閾値は、予め設定された値であってもよいし、あるいは、形成された集計睡眠データに基づいて算出された値であってもよい。形成された集計睡眠データに基づいて算出された値とする場合、例えば、全ての客室の集計睡眠データの平均を取り、平均の半分の値を閾値とすること等が考えられる。閾値を下回った客室別生体データに対応する客室は、何らかの要因によって、宿泊客の睡眠を阻害している可能性がある。
【0062】
そして、形成した客室別生体データを、管理端末26の画面に表示する、あるいは、印刷する等によって出力する(S131)。
図9は、本実施形態に係る睡眠データ取得システムで出力される客室における快眠指数の出力形態を示す図である。
図9は、例えば、管理端末26の画面に表示されるものであって、宿泊施設の実際の客室配置と対応付けて、各客室について集計期間における平均を取った快眠指数が表示されている。なお、快眠指数は、
図7で説明したように、1回の計測の睡眠指数の平均であり、寝心地の良さの指標となる指数である。また、集計された快眠指数が閾値(この例では50%)より小さい客室については、斜線によるマーキングが施されている。また、客室配置に対応付けて、宿泊施設内の設備が表示されている。
図9の場合、宿泊施設内の設備として、各フロア(2F~5F)にEV(エレベータ)、2F(2階)にB(ボイラー)が表示されている。
【0063】
管理端末26を操作する従業員等は、
図9の表示を参照することで、各客室における宿泊客の寝心地の良さを確認することができる。特に、本実施形態では、複数の宿泊客を使用して計測した値であるため、値の信憑性も高いものとなっている。
図9を見ると、5F(5階)のEV(エレベータ)周辺に位置する客室(503号室、504号室、509号室、510号室)は、その快眠指数が閾値を下回っており、斜線によりマーキングされていることが分かる。従業者は、このマーキングに基づき、5F(5階)のEV(エレベータ)に故障による異音が発生しているのではないか等、宿泊客の睡眠を妨げる原因を探ることが可能となる。
【0064】
また、2F(2階)のB(ボイラー)付近に位置する客室(208号室、213号室)も快眠指数が閾値を下回ることでマーキングされたものとなっており、当該客室にB(ボイラー)による騒音、振動が生じることで宿泊客の睡眠を妨げている等の推測を行うことが容易となる。このように、各客室について集計された睡眠データ(集計睡眠データ)を表示することで、宿泊客の睡眠を阻害する原因を追及することが容易となるとともに、客室の改善を図ることも容易となる。また、集計睡眠データを1つの要素として、客室の料金を設定することも可能である。現在、宿泊日、部屋の広さ、ベッドの数、宿泊施設の人気度、観光地や交通機関までのアクセス、周辺の宿泊施設の料金に基づいて、部屋の料金を自動で算出する宿泊料金設定プログラムがある。この宿泊料金設定プログラムに、本実施形態で算出した集計睡眠データ(集計生体データ)を加味することで、より適切な宿泊料金を算出することも可能となる。
【0065】
図10は、本実施形態に係る睡眠データ取得システムで出力される客室における睡眠指数の出力形態を示す図である。
図9では、各客室の快眠指数を表示する形態について説明したが、
図10では、
図7で説明した睡眠指数の時間変化を表すグラフを、快眠指数に併記して表示している。
図10では、5F(5階)の客室を表示対象として表示した場合を記載している。
図9と同様、宿泊施設全体を表示することも可能である。また、各客室について、睡眠指数が閾値を下回っている時間帯に斜線でマーキングを行っている。
図10に示す510号室については、それを拡大した図が併記されており、およそ2時~5時30分の時間帯において、睡眠指数が閾値を下回っていることが分かる。また、快眠指数が閾値を下回っている503号室、504号室、509号室についても略同時間帯において、睡眠指数が閾値を下回っている。このような状況を見た従業者等は、これらの客室の近傍に位置するEV(エレベータ)について、2時~5時30分の時間帯に異常が発生しているのではないかと推測する等、客室において睡眠が妨げられている原因を探ることが容易となる。
【0066】
以上、客室毎に睡眠データ(生体データ)を集計し、集計睡眠データ(集計生体データ)を形成する実施形態について説明したが、本実施形態によれば、集計睡眠データ(集計生体データ)に基づき、宿泊施設を管理、経営する従業者等は、各客室における睡眠の度合い、各客室における居心地の良さを判断し、客室の問題点追及、改善を図ることが容易となる。
【0067】
なお、本実施形態の生体データ取得システムは、計測して得られた宿泊客別生体データを宿泊客に提供するとともに、宿泊施設の客室毎に生体データを集計する形態となっているが、各客室で生体データを計測し、宿泊施設の客室毎に生体データを集計する部分のみを抽出して構成することとしてもよい。この場合、宿泊客には宿泊客別生体データは提供されないが、集計された客室別生体データを使用することで、宿泊施設に対し、改善のための情報を提供することが可能となる。
【0068】
また、本実施形態では、シングルルームの形態について説明したが、宿泊施設には、複数台のベッドが設置されたツインルーム、トリプルルームが存在する場合がある。このような場合においても客室に配置された各ベッドに、睡眠センサ10等の生体センサを設置し、同じ客室の各ベッドで得られた睡眠データ(生体データ)を集計することとしてもよい。このような構成によって、客室の集計睡眠データ(集計生体データ)を形成し、当該客室の寝心地、居心地の指数とすることが可能となる。なお、複数のベッドが設置された客室については、ベッド毎に睡眠データ(生体データ)を集計し、ベッド単位での集計睡眠データ(集計生体データ)を形成することとしてもよい。同じ客室内であってもベッドの位置によって寝心地が異なる場合が考えられる。宿泊施設を管理、経営する従業者等は、ベッド単位で集計された集計睡眠データを参照し、ベッドの配置を変更する、あるいは、寝心地を改悪している雑音源を排除する等、宿泊施設の改善を図ることが可能となる。
【0069】
また、本実施形態では、宿泊関連データ内の生体データ集計可否を参照し、同意を得られない宿泊客については、その睡眠データを取得しない、あるいは、集計しないこととしている。しかしながら、宿泊客の睡眠データ(生体データ)は、宿泊施設の運営等においては非常に価値の高いデータとなることが考えられる。そのため、宿泊客の睡眠データ(生体データ)を取得、周期する際には、宿泊客にポイントや景品を与える、あるいは、宿泊料金の減額をする等、睡眠データを提供するインセンティブを与えることとしてもよい。例えば、ポイントを与える際には、宿泊関連データに記憶される宿泊客IDにポイントを対応付けておくことで、容易に管理を行うことが可能である。
【0070】
また、各客室について形成された集計睡眠データ(集計生体データ)を、所定の単位で集計することとしてもよい。例えば、同じ宿泊施設内のフロア毎に集計する、あるいは、宿泊施設毎に集計すること等が考えられる。宿泊施設毎に集計した場合、宿泊施設単位で集計睡眠データ(集計生体データ)を比較することが可能となり、例えば、支店間での比較等、他の宿泊施設との比較が可能となる。
【0071】
以上、本発明に係る宿泊施設における生体データ取得システムについて、各種実施形態について説明を行ったが、本発明はこれら各種実施形態のみに限られるものではなく、それぞれの各種実施形態の構成を適宜組み合わせて構成した形態も本発明の範疇となるものである。
【符号の説明】
【0072】
10:睡眠センサ
11:ベルト状部材
11a:圧力検知センサ
12:収容部
13:制御部
14:表示部
15:記憶部
16:操作部
17:無線通信部
21:温度センサ
22:ディスプレイ
22a:アクセス画面
22b、22c:2次元バーコード
23:無線ルータ
24:配信サーバ
25:ルータ
26:管理端末
27:客室管理サーバ
31:データ蓄積サーバ
32:データ集計サーバ
40:携帯端末
40a:表示画面