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7173797水上航走体の目標位置決定装置、目標位置決定方法、目標位置決定プログラム、および航走体監視システム
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  • -水上航走体の目標位置決定装置、目標位置決定方法、目標位置決定プログラム、および航走体監視システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】水上航走体の目標位置決定装置、目標位置決定方法、目標位置決定プログラム、および航走体監視システム
(51)【国際特許分類】
   B63B 49/00 20060101AFI20221109BHJP
   B63C 11/48 20060101ALI20221109BHJP
   B63C 11/00 20060101ALI20221109BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20221109BHJP
   G01S 15/74 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
B63B49/00 Z
B63C11/48 D
B63C11/00 B
B63C11/00 A
B63C11/00 C
G05D1/00 A
G01S15/74
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2018162345
(22)【出願日】2018-08-31
(65)【公開番号】P2020032916
(43)【公開日】2020-03-05
【審査請求日】2021-06-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】奥田 幸人
(72)【発明者】
【氏名】山内 由章
【審査官】塩澤 正和
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-165333(JP,A)
【文献】特開2016-144956(JP,A)
【文献】特開2018-156314(JP,A)
【文献】特開2010-139270(JP,A)
【文献】特開2017-165332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63B 49/00
B63C 11/48
B63C 11/00
G05D 1/00
G01S 15/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定装置であって、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するように構成された第1算出部と、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するように構成された第2取得部と、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第1決定部と、を備え、
前記第1決定部は、
少なくとも1つの前記候補位置について、前記スコアおよび前記追尾優先度に基づいて、前記候補位置毎に総合スコアを算出するように構成された第3算出部と、
前記総合スコアに基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第2決定部と、を有することを特徴とする水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項2】
前記追尾優先度は、前記水上航走体と前記水中航走体との距離に基づいて定められることを特徴とする請求項1に記載の水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項3】
前記複数の水中航走体の各々毎に求められる、通信可能な複数の前記水上航走体の各々との前記距離に基づいて、前記距離が最も短い前記水上航走体の前記追尾優先度が最も高くなるように、前記追尾優先度を算出するように構成された第2算出部を、さらに備えることを特徴とする請求項2に記載の水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項4】
前記追尾優先度は、前記水中航走体の重要度に基づいて定められることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項5】
前記水中航走体の前記重要度は、異常が発生していない前記水中航走体の前記異常度よりも、異常が発生している前記水中航走体の前記重要度の方のほうが大きいか、前記水中航走体に実行させるミッションの重要性が高いほど大きいか、あるいは、前記水中航走体の深度が大きいほど大きい、のいずれかであることを特徴とする請求項4に記載の水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項6】
前記第1算出部は、前記水中航走体の未来の位置を予測するように構成された予測部を、有し、
前記位置情報は、前記未来の位置を示す未来位置情報であることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項7】
前記第3算出部は、複数の前記候補位置の各々の前記総合スコアを算出し、
前記第2決定部は、前記複数の候補位置のうち、前記総合スコアが最大となる前記候補位置を前記目標位置とすることを特徴とする請求項1~6の何れか1項に記載の水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項8】
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定装置であって、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するように構成された第1算出部と、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するように構成された第2取得部と、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第1決定部と、を備え、
前記スコアは、前記水中航走体の深度が深いほど高く、かつ前記水中航走体と前記水上航走体との水平距離が近いほど高くなることを特徴とする水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項9】
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定装置であって、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するように構成された第1算出部と、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するように構成された第2取得部と、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第1決定部と、を備え、
前記第1算出部は、前記水中航走体毎に、該水中航走体を頂点とした、異なる頂角を有し、上方に向かって広がる複数の円錐状の境界で区切られた複数のセグメントを演算し、前記セグメントのうち前記水上航走体の位置を含むセグメントを特定し、前記セグメントの外側を区切る前記境界の頂角が小さいほど大きくなる値を、前記水中航走体の前記スコアとして算出することを特徴とする水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項10】
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定装置であって、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するように構成された第1算出部と、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するように構成された第2取得部と、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第1決定部と、を備え、
前記第1算出部は、前記水上航走体を頂点とした、異なる頂角を有し、下方へ向かって広がる複数の円錐状の境界で区切られた複数のセグメントを演算し、前記水中航走体毎に、該水中航走体の位置を含むセグメントを特定し、前記セグメントの外側を区切る前記境界の頂角が小さいほど大きくなる値を、前記水中航走体の前記スコアとして算出することを特徴とする水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項11】
前記水上航走体の目標位置決定装置は、複数の前記水上航走体の前記目標位置を決定するものとし、
第1の前記水上航走体の前記目標位置を決定するのに用いる前記水中航走体毎の前記追尾優先度と、第2の前記水上航走体の前記目標位置を決定するのに用いる前記水中航走体毎の前記追尾優先度とは、前記水中航走体毎に異なる値を有していることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項12】
少なくとも1つの前記候補位置を特定する特定部を、さらに備えることを特徴とする請求項1~11のいずれか1項に記載の水上航走体の目標位置決定装置。
【請求項13】
水中を航走する複数の水中航走体と、
前記水中航走体を追尾可能な少なくとも1つの水上航走体と、
請求項1~12のいずれか1項に記載の、前記水上航走体の航走の目標位置を決定するように構成された水上航走体の目標位置決定装置と、を備えることを特徴とする航走体監視システム。
【請求項14】
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定プログラムであって、
コンピュータに、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するように構成された第1算出部と、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するように構成された第2取得部と、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第1決定部と、を実現させると共に、
前記第1決定部において、
少なくとも1つの前記候補位置について、前記スコアおよび前記追尾優先度に基づいて、前記候補位置毎に総合スコアを算出するように構成された第3算出部と、
前記総合スコアに基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第2決定部と、を実現させるための目標位置決定プログラム。
【請求項15】
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定方法であって、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するステップと、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するステップと、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するステップと、を備え、
前記目標位置を決定するステップは、
少なくとも1つの前記候補位置について、前記スコアおよび前記追尾優先度に基づいて、前記候補位置毎に総合スコアを算出するステップと、
前記総合スコアに基づいて、前記目標位置を決定するステップと、を有することを特徴とする水上航走体の目標位置決定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水中を航走する水中航走体を水上航走体により監視する際の水上航走体の航走を成業する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ソナーにより水中航走体と通信をしながら、その水中航走体を自動追尾する水上航走体に関する技術が開示されている。特許文献1によれば、1台の水中航走体を2台の水上航走体が追尾する。
【0003】
他方、特許文献2~3には、1つ(1機)の水上航走体により複数の水中航走体を監視する技術が開示されている。水上航走体が水中航走体を監視(追尾)するためには、両者が音響通信(音波による通信)の可能となる位置関係にある必要がある。音響通信ができなくなると、水上航走体が水中航走体を見失う(ロスト)結果、水中航走体を回収できない場合が生じる。このような場合に備えて、特許文献2は、音響通信(音響測位)が不可能となる水中航走体が生じた場合に、水上航走体が航走(移動)すべき目標位置を開示している。一方、特許文献3は、水中航走体が水上航走体から追尾の一時中断の通知を受信した場合に、水中航走体の航走すべき目標位置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平8-249060号公報
【文献】特開2018-27739号公報
【文献】特願2017-94976号公報
【文献】特願2017-051830号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1のような1台の水中航走体を2台の水上航走体で監視する場合には、監視すべき水中航走体が増加すると、水上航走体の数もその分だけ多く必要になり、コストが増大してしまう。このため、水中航走体と水上航走体とを備える水中航走体監視システムを構築するにあたり、特許文献2~3のように1つの水上航走体で複数の水中航走体を監視するなど、水上航走体の総数を水中航走体の総数より少なくするのが望ましい。この際、複数の水中航走体の監視のためには、水中航走体を追尾するように水上航走体の目標位置を決定することにより両者の音響通信が可能なようにすることが必要となるが(特許文献4参照)、複数の水上航走体の目標位置が同じになると、複数の水中航走体の位置的(水平方向における位置)な広がりに対して複数の水上航走体の位置的な広がりに偏りが生じる。よって、複数の水上航走体の目標位置が重なることにならないようにすることにより、監視の効率性の向上を図る必要がある。
【0006】
上述の事情に鑑みて、本発明の少なくとも一実施形態は、複数の水中航走体を適切に監視することが可能な水上航走体の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明の少なくとも一実施形態に係る水上航走体の目標位置決定装置は、
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定装置であって、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するように構成された第1算出部と、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するように構成された第2取得部と、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第1決定部と、を備える。
【0008】
上記(1)の構成によれば、目標位置を決定しようとする水上航走体が、目標位置の候補となる候補位置に移動した仮定の下で算出する水上航走体と各水中航走体との通信のしやすさを示すスコアと、その水上航走体から見た水中航走体毎の追尾優先度とに基づいて、水上航走体の目標位置を決定する。このように、スコア(通信のしやすさ)のみならず、スコアおよび追尾優先度に基づいて水上航走体の目標位置を決定することにより、より適切な水上航走体の目標位置を決定することができる。
【0009】
すなわち、例えば、複数(例えば2つ)の水上航走体が、それぞれ、同じ複数(例えば2つ)の水中航走体の存在を検知(認識)している状況で目標位置をそれぞれ決定する場合に、上記のスコアのみに基づいて決定すると目標位置が同じになる場合がある(後述する図5C参照)。しかし、水上航走体毎に、通信可能な複数の水中航走体毎に定める追尾優先度を加味することにより、各水上航走体の目標位置が相互に異なるように図ることができる(後述する図5A図5B参照)。これによって、複数の水中航走体を、より少ない複数の水上航走体で監視しようとした場合においても、各水上航走体が相互に異なる目標位置を目標に航走するように図られるので、より多くの水中航走体を監視できるようになり、水中航走体を適切に、効率良く監視することができる。
【0010】
(2)幾つかの実施形態では、上記(1)の構成において、
前記追尾優先度は、前記水上航走体と前記水中航走体との距離に基づいて定められる。
上記(2)の構成によれば、各水中航走体の追尾優先度は、水上航走体と、各水中航走体の各々との距離に基づいて定められる。これによって、水上航走体からの距離が近い水中航走体ほど追尾優先度を大きくするといったことが可能であり、水中航走体毎の追尾優先度が異なるように図ることができる。
【0011】
(3)幾つかの実施形態では、上記(2)の構成において、
前記複数の水中航走体の各々毎に求められる、通信可能な複数の前記水上航走体の各々との前記距離に基づいて、前記距離が最も短い前記水上航走体の前記追尾優先度が最も高くなるように、前記追尾優先度を算出するように構成された第2算出部を、さらに備える。
上記(3)の構成によれば、水上航走体から見た複数の水中航走体の各々の追尾優先度を、水中航走体と通信可能な複数の水上航走体の各々との距離に基づいて算出する。これによって、水上航走体毎に、複数の水中航走体に対する追尾優先度を算出する。これによって、水上航走体が、複数の水中航走体のどれを優先して追尾するかを適切にさだめることができる。
【0012】
(4)幾つかの実施形態では、上記(1)~(3)の構成において、
前記追尾優先度は、前記水中航走体の重要度に基づいて定められる。
上記(4)の構成によれば、各水中航走体の追尾優先度は、水中航走体の重要度、または、その重要度および上記の距離に基づいて定められる。水中航走体の重要度は、例えば、水中航走体のミッションの重要度や、水中航走体に何らかの異常が生じた場合に水中航走体を見失う(ロスト)ことの回避を図る場合など、重点的に追尾する必要性の有無に応じたものであり、重要度に基づいて追尾優先度を定めることにより、追尾優先度を状況に応じて適切に決定することができる。
【0013】
(5)幾つかの実施形態では、上記(4)の構成において、
前記水中航走体の前記重要度は、異常が発生していない前記水中航走体の前記異常度よりも、異常が発生している前記水中航走体の前記重要度の方のほうが大きいか、前記水中航走体に実行させるミッションの重要性が高いほど大きいか、あるいは、前記水中航走体の深度が大きいほど大きい、のいずれかである。
上記(5)の構成によれば、各水中航走体の重要度を、水中航走体の異常の発生の有無、ミッションの重要性、深度の少なくとも1つの指標に応じて設定する。これによって、重要度が大きい水中航走体を見失う(ロスト)ことの回避を図ることができる。
【0014】
(6)幾つかの実施形態では、上記(1)~(5)の構成において、
前記第1算出部は、前記水中航走体の未来の位置を予測するように構成された予測部を、有し、
前記位置情報は、前記未来の位置を示す未来位置情報である。
上記(6)の構成によれば、水中航走体の方向、速度、舵角などから予測される未来の位置と、水上航走体の候補位置とに基づいてスコアを算出することにより、より適切な目標位置を設定することができる。
【0015】
(7)幾つかの実施形態では、上記(1)~(6)の構成において、
前記第1決定部は、
少なくとも1つの前記候補位置について、前記水中航走体毎の前記スコアおよび前記水中航走体毎の前記追尾優先度に基づいて、前記候補位置毎に総合スコアを算出するように構成された第3算出部と、
前記総合スコアに基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第2決定部と、を有する。
上記(7)の構成によれば、候補位置毎の総合スコアに基づいて目標位置を決定することにより、複数の水中航走体との高品質な通信を確保できる位置へ向けて水上航走体を航走させることができる。
【0016】
(8)幾つかの実施形態では、上記(7)の構成において、
前記第3算出部は、複数の前記候補位置の各々の前記総合スコアを算出し、
前記第2決定部は、前記複数の候補位置のうち、前記総合スコアが最大となる前記候補位置を前記目標位置とする。
上記(8)の構成によれば、最大の総合スコアを有する候補位置を目標位置とすることにより、最も適切な位置に水上航走体を航走させることができる。
【0017】
(9)幾つかの実施形態では、上記(1)~(8)の構成において、
前記スコアは、前記水中航走体の深度が深いほど高く、かつ前記水中航走体と前記水上航走体との水平距離が近いほど高くなる。
上記(9)の構成によれば、スコアによって、水上航走体と水中航走体との位置に応じた通信品質の程度を適切に数値化することができる。
【0018】
(10)幾つかの実施形態では、上記(1)~(9)の構成において、
前記第1算出部は、前記水中航走体毎に、該水中航走体を頂点とした、異なる頂角を有し、上方に向かって広がる複数の円錐状の境界で区切られた複数のセグメントを演算し、前記セグメントのうち前記水上航走体の位置を含むセグメントを特定し、前記セグメントの外側を区切る前記境界の頂角が小さいほど大きくなる値を、前記水中航走体の前記スコアとして算出する。
上記(10)の構成によれば、複数の水中航走体の各々を頂点とした円錐状の境界で区切られた複数のセグメントに基づいて、水中航走体のスコアを算出することができる。
【0019】
(11)幾つかの実施形態では、上記(1)~(10)の構成において、
前記第1算出部は、前記水上航走体を頂点とした、異なる頂角を有し、下方へ向かって広がる複数の円錐状の境界で区切られた複数のセグメントを演算し、前記水中航走体毎に、該水中航走体の位置を含むセグメントを特定し、前記セグメントの外側を区切る前記境界の頂角が小さいほど大きくなる値を、前記水中航走体の前記スコアとして算出する。
上記(11)の構成によれば、水上航走体を頂点とした円錐状の境界で区切られた複数のセグメントに基づいて、水中航走体のスコアを算出することができる。
【0020】
(12)幾つかの実施形態では、上記(1)~(11)の構成において、
前記水上航走体の目標位置決定装置は、複数の前記水上航走体の前記目標位置を決定するものとし、
第1の前記水上航走体の前記目標位置を決定するのに用いる前記水中航走体毎の前記追尾優先度と、第2の前記水上航走体の前記目標位置を決定するのに用いる前記水中航走体毎の前記追尾優先度とは、前記水中航走体毎に異なる値を有している。
上記(12)の構成によれば、複数の水上航走体の目標位置が同じ位置となるのを確実に防止することができる。
【0021】
(13)幾つかの実施形態では、上記(1)~(12)の構成において、
少なくとも1つの前記候補位置を特定する特定部を、さらに備える。
上記(13)の構成によれば、適切な候補位置を得ることができる。
【0022】
(14)本発明の少なくとも一実施形態に係る航走体監視システムは、
水中を航走する複数の水中航走体と、
前記水中航走体を追尾可能な少なくとも1つの水上航走体と、
上記(1)~(13)のいずれか1項に記載の、前記水上航走体の航走の目標位置を決定するように構成された水上航走体の目標位置決定装置と、を備える。
【0023】
上記(14)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
【0024】
(15)本発明の少なくとも一実施形態に係る水上航走体の目標位置決定プログラムは、
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定プログラムであって、
コンピュータに、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するように構成された第1取得部と、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するように構成された第1算出部と、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するように構成された第2取得部と、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するように構成された第1決定部と、を実現させる。
【0025】
上記(15)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
【0026】
(16)本発明の少なくとも一実施形態に係る水上航走体の目標位置決定方法は、
水中を航走する複数の水中航走体を追尾可能な水上航走体の航走の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定方法であって、
前記複数の水中航走体の各々の位置を示す位置情報を取得するステップと、
前記位置情報に基づいて、それぞれ、1以上の前記水中航走体と通信可能な前記水上航走体の候補位置における前記水上航走体と前記水中航走体との通信のしやすさを示すスコアを算出するステップと、
前記複数の水中航走体の各々について、前記水上航走体による前記水中航走体の追尾優先度を取得するステップと、
前記候補位置について前記水中航走体毎に算出された前記スコア、および前記水中航走体毎に取得された前記追尾優先度に基づいて、前記目標位置を決定するステップと、を備える。
【0027】
上記(16)の構成によれば、上記(1)と同様の効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明の少なくとも一実施形態によれば、複数の水中航走体を適切に監視することが可能な水上航走体の目標位置を決定する水上航走体の目標位置決定装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】本発明の一実施形態に係る航走体監視システムの構成を示す概略図である。
図2】本発明の一実施形態に係る水上航走体の構成を示す概略ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る各水中航走体の位置を頂点とした水中のセグメント分けを示す図である。
図4】本発明の一実施形態に係る水上航走体の候補位置を頂点とした水中のセグメント分けを示す図である。
図5A】本発明の一実施形態に係る第1水上航走体から見た追尾優先度に基づいて得られる各セグメントのスコア(補正スコア)および総合スコアStを例示する図である。
図5B】本発明の一実施形態に係る第2水上航走体から見た追尾優先度Kに基づいて得られる各セグメントのスコア(補正スコア)および総合スコアを例示する図である。
図5C】追尾優先度を用いない場合の各セグメントのスコア(固有スコア)および総合スコアを例示する参考図である。
図6A】本発明の一実施形態に係る第1水中航走体から見た水上航走体の追尾優先度の算出方法を説明するための図である。
図6B】本発明の一実施形態に係る第2水中航走体から見た水上航走体の追尾優先度の算出方法を説明するための図である。
図7】本発明の一実施形態に係る目標位置決定方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、添付図面を参照して本発明の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本発明の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「具える」、「具備する」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
【0031】
図1は、本発明の一実施形態に係る航走体監視システム7の構成を示す概略図である。図2は、本発明の一実施形態に係る水上航走体8の構成を示す概略ブロック図である。図3は、本発明の一実施形態に係る各水中航走体9の位置(水上位置)を頂点とした水中のセグメント分けを示す図である。また、図4は、本発明の一実施形態に係る水上航走体8の候補位置Pcを頂点とした水中のセグメント分けを示す図である。
図1に示すように、航走体監視システム7は、少なくとも1つの基地局装置72と、複数の水上航走体8と、複数の水中航走体9とを備える。
【0032】
基地局装置72は、陸上または海上の母船上に設けられた、各水上航走体8と無線通信を行うことが可能な装置である。水上航走体8は、水上を航走することが可能な航走体(船)であり、水中航走体9の位置に基づいて自動で航走するよう構成される。換言すれば、水上航走体8は、水中航走体9を水上航走により追尾可能に構成される。また、水上航走体8は、基地局装置72との無線通信、および、水中航走体9と音響通信を行うことが可能であり、これによって、基地局装置72と水中航走体9との通信を中継することが可能に構成される。他方、水中航走体9は、水中を航走することが可能な航走体であり、例えば水中を調査させるためのミッション情報に従って水中を自動で航走する。また、水中航走体9は、水上航走体8と音響通信を行うことが可能に構成される。
【0033】
図1に示す実施形態では、基地局装置72は、水中航走体9に水中を調査させるためのミッション情報を記憶している。このミッション情報は、基地局装置72から、水上航走体8を介して水中航走体9に通信されるようになっており、水中航走体9は受信したミッション情報に従って航走する。また、水上航走体8は、無人船であり、水中航走体9に対する音響通信を通して得られる状態情報に基づいて水中航走体9の状態を監視し、各水中航走体9の状態(監視結果)を基地局装置72に送信するようになっている。状態情報は、水中航走体8の異常の有無、進行方向(舵角など)、進行速度の少なくとも1つの情報を含んでも良い。また、水上航走体8の総数(M台)は、水中航走体9の総数(N台)より少ない(M<N)。ただし、本実施形態に本発明が限定されず、他の幾つかの実施形態ではM≧Nであっても良い。
【0034】
ここで、航走体監視システム7において全ての水中航走体9を監視するには、複数の水中航走体9の各々の音響通信の可能な範囲(音響通信範囲)内に少なくとも1つの水上航走体8が位置する必要がある。換言すれば、水上航走体8は、音響通信が可能な水中航走体9の監視が可能である。よって、例えば、1つの水上航走体8が複数の水中航走体9を監視可能な状態では、その1つの水上航走体8の音響通信範囲内には、複数の水中航走体9が存在することとなる。
【0035】
上述したような航走体監視システム7において、水上航走体8の目標位置決定装置1(以下、単に、目標位置決定装置1)は、複数の水中航走体9を追尾可能な上述した水上航走体8の航走の目標位置Ptを決定するよう構成される。図2に示すように、目標位置決定装置1は、水中位置取得部2と、スコア算出部3と、追尾優先度取得部4と、目標位置決定部5と、を備える。
以下、目標位置決定装置1が備える上述した機能部について、図2を用いてそれぞれ説明する。
【0036】
なお、目標位置決定装置1は、コンピュータで構成されていても良く、図示しないCPU(プロセッサ)や、ROMやRAMといったメモリや、外部記憶装置などとなる記憶部1mを備えている。そして、メモリ(主記憶装置)にロードされたプログラム(水上目標位置決定プログラム)の命令に従ってCPUが動作(データの演算など)することで、上記の各機能部を実現する。換言すれば、上記のプログラムは、コンピュータに後述する各機能部を実現させるためのソフトウェアであり、コンピュータによる読み込みが可能な記憶媒体に記憶されても良い。
【0037】
また、以下では、目標位置決定装置1は、各水上航走体8に設置(搭載)されることにより、設置された水上航走体8の目標位置Ptを決定する場合を例に説明する。ただし、本実施形態に本発明は限定されない。他の幾つかの実施形態では、目標位置決定装置1は、基地局装置72と通信可能な陸上または海上(船など)に設置されても良いし、水中航走体9に設置されても良い。また、目標位置決定装置1は、複数の水上航走体8、および、これらと音響通信が可能な複数の水中航走体9の情報を収集し、これらの情報に基づいて、複数の水上航走体8の各々の目標位置Ptを決定しても良い。
【0038】
水中位置取得部2は、複数の水中航走体9の各々の位置を示す位置情報Pを取得するように構成された機能部である。これらの位置情報Pは、予め定めた所定の位置を原点とし、この原点からの位置を示す情報である。この原点は、本実施形態のように、目標位置決定装置1が目標位置Ptを決定しようとする対象の水上航走体8のその時々の位置(現在位置)であっても良い。この場合には、水上航走体8毎に座標系が設定されることになる。あるいは、上記の原点は、例えば航走体監視システム7が備える複数の航走体(8、9)の情報を取得することにより監視する陸上の監視局(不図示)や、その監視局の監視機能が搭載されたマスタとなる水上航走体8(不図示。マスタ船)、基地局装置72の位置など、目標位置Ptの決定対象となる水上航走体8の現在位置とは異なる位置であっても良い。あるいは、位置情報Pは、緯度および経度で特定される位置(絶対位置)であっても良い。
【0039】
例えば、水上航走体8と水中航走体9との相対位置は、音響通信を行うことにより得られる。具体的には、音響通信の送信側が、音響信号を発してからその受信側からの応答信号を受信するまでの時間と、応答信号の到来方向とに基づいて、受信側の相対位置が分かる。または、送信側は、自身が発した音響信号が受信側に衝突することで生じる反射波に基づいても、受信側の相対位置が分かる。この際、水上航走体8と水中航走体9との相対位置が分かれば良いので、音響通信の送信側は、水上航走体8であっても良いし、水中航走体9であっても良い。一方が取得した相対位置は、他方に音響通信により通信することも可能である。
【0040】
そして、水上航走体8と水中航走体9との相対位置を得れば、上記の位置情報Pの原点が、各水上航走体8ではない場合(監視局やマスタ船)においても、原点からの水中航走体9の位置が求められる。例えば、基地局装置72などを介した監視局等と水上航走体8との無線通信や、GPS情報などにより、水上航走体8の現在位置を得る。水上航走体8の現在位置が得られれば、原点からの水上航走体8の現在位置と、水上航走体8と水中航走体9との音響通信により得られる相対位置とから、原点から水中航走体9の位置を算出することが可能となる。原点が絶対位置の場合にも、同様な手法や、水中航走体9がGPS機能を用いて絶対位置を得ると共に音響通信により水中航走体9に絶対位置を通信するなどすれば、水中航走体9の位置情報Pが得られる。
【0041】
スコア算出部3は、複数の水中航走体9の各々の位置情報Pに基づいて、それぞれ、1以上の水中航走体9と通信可能な水上航走体8の候補位置Pcにおける水上航走体8と水中航走体9との通信のしやすさを示すスコアSを算出するように構成された機能部である。つまり、決定しようとする水上航走体8の目標位置Ptの候補となる位置となる少なくとも1つの候補位置Pcがまずは特定される。そして、スコア算出部3は、特定された候補位置Pcに水上航走体8が位置したと仮定し、その候補位置Pc上の水上航走体8が通信可能な1以上の水中航走体9毎に、スコアSを算出する。
【0042】
例えば、候補位置Pcは、目標位置Ptを決定する時間間隔またはその時間間隔よりも短いような一定時間以内において水中航走体9の航走(到達)が可能な範囲内や、その一定時間以内において水上航走体8が到達できる範囲内にあるいずれかの位置であっても良い。水上航走体8がその現在位置において複数の水中航走体9を検知(認識)している場合には、候補位置Pcは、それら検知されている複数の水中航走体9と継続して通信可能となる位置であっても良い。なお、水上航走体8が水中航走体9を追尾することから、水平方向における距離L(以下、水平距離)でみると、水上航走体8の到達可能範囲の方が、水中航走体9の到達可能範囲よりも広い。
【0043】
また、スコア算出部3は、次に説明するように、水上航走体8が候補位置Pcに位置した場合の各水中航走体9と通信のしやすさ(スコアS)を算出しても良い。すなわち、スコア算出部3は、図3図4に示すような、通信のしやすさで水中をレベル分けするための複数のセグメントSegで仮想的に水中を分割すると共に、各セグメントSegに通信のしやすさに応じた固有のスコアS(固有スコアSs)を設定する。そして、スコア算出部3は、設定された固有スコアSsに基づいて、各水中航走体9のスコアSを算出する。
【0044】
具体的には、幾つかの実施形態では、スコア算出部3は、図3に示すような、水中航走体9毎に、当該水中航走体9を頂点とした、異なる頂角を有し、上方(重力方向における上方向)に向かって広がる複数の円錐状の境界で区切られた複数のセグメントSegを演算し、これらのセグメントSegのうち水上航走体8の位置を含むセグメントSegを特定し、水中航走体9のスコアSとして算出する。他の幾つかの実施形態では、スコア算出部3は、図に示すように、水上航走体8を頂点とした、異なる頂角を有し、下方(重力方向における下方向)へ向かって広がる複数の円錐状の境界で区切られた複数のセグメントSegを演算し、水中航走体9毎に、当該水中航走体9の位置を含むセグメントSegを特定し、水中航走体9のスコアSとして算出する。
【0045】
すなわち、図3に示す実施形態では、上記の複数のセグメントSegの各々は、水中航走体9の位置を頂点とした異なる頂角を有すると共に、水上航走体8が発信した音響通信時の音響信号に対する水中航走体9からの応答信号など、水中航走体9からの音響信号の発信方向を回転軸とする2つの円錐状の境界で区切られる領域であり、セグメントSegの境界は上方に向かって広がる。
図4に示す実施形態では、上記の複数のセグメントSegの各々は、水上航走体8の候補位置Pcを頂点とした異なる頂角を有すると共に、水上航走体8が音響通信時に発信する音響信号の発信方向を回転軸とする2つの円錐状の境界で区切られる領域であり、各セグメントSegの境界は下方に向かって広がる。
なお、上記の頂角は、回転軸を通る平面で円錐を切断した時の断面に表れる二等辺三角形の頂角をいう。このように、各セグメントSegを円錐状の形状としたのは、音響通信の音響信号が指向性を有し、通信範囲が発信方向を中心とした円錐(音響コーン)状に広がるためである。
【0046】
また、上記の各セグメントSegには、回転軸の中心に近いセグメントSegほど大きい値に設定される固有スコアSsが割り振られる。換言すれば、各セグメントSegの固有スコアSsは、セグメントSegの外側を区切る境界の頂角が小さいほど大きい値に設定される(図3図4参照)。また、水中航走体9を頂点とした各セグメントがカバーする水面上の面積は、音響コーンの頂角が同じであれば、水中航走体9の深度が深いほど大きくなる。よって、水中航走体9から見た水上航走体8の水平位置が変わらないとした場合には、水中航走体8の深度が深いほど、水上航走体8はより高い固有スコアSsに入るようになる。同様に、水上航走体8を頂点とした各セグメントがカバーする水中の同一平面における面積は、音響コーンの頂角が同じであれば、水中航走体9の深度が深いほど大きくなるので、水上航走体8から見た水中航走体9の水平位置が変わらないとした場合には、水中航走体8の深度が深いほど、水中航走体8はより高い固有スコアSsに入るようになる。したがって、スコアSは、水中航走体9の深度が深いほど高く、かつ水中航走体9と水上航走体8との水平距離が近いほど高くなる。
【0047】
そして、各水中航走体9の位置を頂点としたセグメント分けの場合(図3)には、スコア算出部3は、水上航走体8の候補位置Pcが各水中航走体9の音響コーンのどのセグメントSegに位置するかによって、各水中航走体9(9a~9c)のスコアSを算出する。すなわち、各水中航走体9の音響コーンにおいて候補位置Pcが位置するセグメントSegの固有スコアSsを、それぞれ、各水中航走体9のスコアSとする。他方、図4に示すような、水上航走体8の候補位置Pcを頂点としたセグメント分けの場合(図4)には、スコア算出部3は、各水中航走体9が位置するセグメントSegに設定された固有スコアSsを、それぞれ、各水中航走体9のスコアSとする。
【0048】
図3図4(後述する図5A図6Bでも同様)の例示では、各セグメントSegの固有スコアSsは、外側を区切る境界の頂角が最も小さいセグメントSegAで7、その次に頂角が小さいセグメントSegBのスコアで5、その次に頂角が小さい(図3図4では頂角が最も大きい)セグメントSegCで3となっている。よって、図3の例では、候補位置Pcは、第1水中航走体9aの音響コーンではSegBに位置し、第2水中航走体9bの音響コーンではSegCに位置し、水中航走体9cの音響コーンではSegBに位置するので、スコア算出部3は、第1水中航走体9a~9cの各々のスコアSを5、3、5と算出する。図4の例では、候補位置Pcに位置する水中航走体9の音響コーンにおいて、第1水中航走体9aはSegBに位置し、第2水中航走体9bはSegCに位置し、第3水中航走体9cはSegBに位置するので、スコア算出部3は、第1水中航走体9a~9cの各々のスコアSを5、3、5と算出する。
【0049】
追尾優先度取得部4は、複数の水中航走体9の各々について、水上航走体8による各水中航走体9の追尾優先度Kを取得するように構成された機能部である。追尾優先度Kは、各水上航走体8が、複数の水中航走体9のどれを優先して追尾するかを定める指標(重み付け値)である。よって、任意の水上航走体8の目標位置Ptを決定するために取得する追尾優先度Kの数は、その任意の水上航走体8と音響通信が可能な水中航走体9の数と同数となる。この際、任意の水上航走体8から見た(任意の水上航走体8を基準とした)複数の水中航走体9の各々の追尾優先度Kは、それぞれ異なる値としても良い。同一の値となると複数の水中航走体9を同等に監視する結果になるためである。
【0050】
すなわち、1つの水中航走体9を監視するためには、音響通信が可能な水上航走体8が1つだけ存在すれば足りる。このため、追尾優先度Kによって、各水上航走体8が追尾する複数の水中航走体9間に追尾するにあたっての優先度を持たせるようにすれば、各水上航走体8は、複数の水中航走体9を追尾優先度Kに応じて追尾させることが可能となる。このため、後述するように水上航走体8の目標位置Ptを決定するのに際して追尾優先度Kを用いれば、その目標位置Ptは、優先度が相対的に高い水中航走体9の方をより確実に監視しつつ、優先度が相対的に低い他の水中航走体9を同時に監視できるような位置とすることが可能となる。
【0051】
例えば、追尾優先度Kは、ミッションの開始前など、事前に管理者などが任意に設定しても良い。この場合には、追尾優先度Kは、ミッションの開始後に変更できないようにされても良いし、変更できるようにされても良い。または、追尾優先度Kは、例えば、水上航走体8と水中航走体9との間の距離Lなど、状況に応じて変化する指標に基づいて決定されても良い。この場合については後述する。なお、1つの水上航走体8が複数の水中航走体9と音響通信が可能な場合であっても、そのうちの少なくとも1つの水中航走体9の追尾優先度Kが0であっても良い。追尾優先度Kが0とされた水中航走体9は、目標位置Ptの決定ロジックにおいて考慮されないことになる。
【0052】
目標位置決定部5は、上述した候補位置Pc毎に、候補位置Pcについて水中航走体9毎に算出されたスコアS、および水中航走体9毎に取得された追尾優先度Kに基づいて、目標位置Ptを決定するように構成された機能部である。幾つかの実施形態では、図2に示すように、目標位置決定部5は、複数の候補位置Pcについて、水中航走体9毎のスコアSおよび水中航走体9毎の追尾優先度Kに基づいて、候補位置Pc毎に総合スコアStを算出するように構成された機能部である総合スコア算出部51と、総合スコアStに基づいて、目標位置Ptを決定するように構成された機能部である決定部52と、を有する。図2に示す実施形態では、総合スコア算出部51は、目標位置Ptの決定対象の水上航走体8と通信可能な複数の水中航走体9の各々について、それぞれ、水中航走体9毎の追尾優先度K×固有スコアSsを算出し、その算出値(補正スコア)を合計することにより総合スコアStを算出するようになっている。また、決定部52は、複数の候補位置Pcのうち、総合スコアStが最大となる候補位置Pcを目標位置Ptとするようになっている。
【0053】
なお、最大の総合スコアStを有する候補位置Pcが複数あった場合には、目標位置決定部5は、例えば距離が最大、最小、あるいは最大と最小の中間付近となる候補位置Pcなど、そのうちの1つの候補位置Pcを目標位置Ptとしても良し、その複数の候補位置Pcで定まる領域の重心となる位置を、目標位置Ptとしても良い。
【0054】
このように、目標位置決定装置1は、スコアS(通信のしやすさ)のみならず、スコアSおよび追尾優先度Kに基づいて水上航走体8の目標位置Ptを決定する。これは、スコアSのみに基づいて水上航走体8の目標位置Ptをそれぞれ決定すると、複数の水上航走体8の目標位置Ptが同じになる場合があるが(図5C参照)、追尾優先度Kをも考慮することにより、各水上航走体8の目標位置Ptを異ならせることが可能である為である(図5A図5B参照)。
【0055】
上述したように、各水中航走体9に定められる追尾優先度Kは水上航走体8毎に異なるので、固有スコアSsに追尾優先度Kを乗算して得られる補正スコア(K×Ss)は水上航走体8毎に異なる。また、各水上航走体8からすると、補正スコアを算出することは、各セグメントSegには、固有スコアSsが追尾優先度Kで補正された補正スコアが設定されているのと同義である(後述する図5A図5B参照)。よって、ある候補位置PcのスコアSは、追尾優先度Kを用いなければ固有スコアSsの値となるが、追尾優先度Kを用いる場合には、水上航走体8毎に異なる値となる補正スコアの値となる。よって、総合スコアStの値が水上航走体8毎に異なってくるので、目標位置Ptも水上航走体8毎に異なるようになる。
【0056】
これについて、図5A図5Cを用いてより具体的に説明する。図5Aは、本発明の一実施形態に係る第1水上航走体8aから見た追尾優先度K1mに基づいて得られる各セグメントのスコアS(補正スコア)および総合スコアStを例示する図である。図5Bは、本発明の一実施形態に係る第2水上航走体8bから見た追尾優先度K2mに基づいて得られる各セグメントのスコアS(補正スコア)および総合スコアStを例示する図である。また、図5Cは、追尾優先度Kを用いない場合の各セグメントのスコアS(固有スコアSs)および総合スコアStを例示する参考図である。
【0057】
図5A図5Cでは、2つの水上航走体8(8a、8b)が、同じ2つの水中航走体9(9a、9b)を追尾する場合を示している。また、2つの水上航走体8の各々の目標位置Ptは、2つの水中航走体9の各々を頂点とする音響コーンに基づいて、追尾する各水中航走体9の総合スコアStが最大となる位置とされる。また、2つの水上航走体8からの音響コーンが互いに重なることで、重複領域が形成されている。このように重複領域が形成されている場合、総合スコアStは、重複領域に候補位置Pcが位置した場合には、重複領域を構成する複数のセグメントSegの固有スコアSsあるいは補正スコアの合計となる。また、重複領域以外に候補位置Pcが位置した場合の総合スコアStは、その位置のセグメントSegの固有スコアSsあるいは補正スコアとなる。
【0058】
なお、図5A図5Cでは、この重複領域のうち、第1水中航走体9aのSegB(Ss=5)と第2水中航走体9bのSegC(Ss=3)とで構成されている領域を第1重複領域Ra、第1水中航走体9aのSegC(Ss=3)と第2水中航走体9bのSegC(Ss=3)とで構成されている領域を第2重複領域Rb、第1水中航走体9aのSegC(Ss=3)と第2水中航走体9bのSegB(Ss=5)とで構成されている領域を第3重複領域Rcと呼ぶ。
【0059】
この前提においては、図5Cに示す参考例では、追尾優先度Kを総合スコアStの算出に用いていない(追尾優先度Kの全てが1でも良い)。そして、重複領域のうち、第1重複領域Raは、第1水中航走体9aのSegB(Ss=5)と第2水中航走体9bのSegC(Ss=3)とで構成され、第3重複領域Rcは、第1水中航走体9aのSegC(Ss=3)と第2水中航走体9bのSegB(Ss=5)とで構成されている。よって、第1重複領域Raおよび第3重複領域Rcに候補位置Pcが位置する場合の総合スコアStは、いずれも8(=5+3)である。第2重複領域Rbは、第1水中航走体9aのSegC(Ss=3)と第2水中航走体9bのSegC(Ss=3)とで構成されているので、第2重複領域Rbに候補位置Pcが位置する場合の総合スコアStは6(=3+3)となる。重複領域以外の領域は、総合スコアStは固有スコアSsとなる。よって、追尾優先度Kを用いない図5Cの場合には、2つの水上航走体8(8a、8b)の各々の目標位置Ptは、第1重複領域Raおよび第3重複領域Rcの総合スコアStが最も大きいので、いずれも第1重複領域Raまたは第3重複領域Rcになることになる。
【0060】
これに対して、追尾優先度Kを用いた場合には、図5A図5Bに示すように、2つの水上航走体8の目標位置Ptはそれぞれ異なる位置となる。なお、図5A図5Bでは、複数の水上航走体8の番号をiで識別し、複数の水中航走体9の番号をkで識別しており、第i番目(1<i<m)の水上航走体8aから見た第k番目(1<k<n)の水中航走体9の追尾優先度KをKikで表している。よって、第1水上航走体8aから見た第1水中航走体9a、第1水中航走体9bの各々の追尾優先度Kは、それぞれK11、K12となる。第2水上航走体8bから見た第1水中航走体9a、第1水中航走体9bの各々の追尾優先度Kは、それぞれK21、K22となる。
【0061】
図5Aでは、第1水上航走体8aから見た2つの水中航走体9(9a、9b)の追尾優先度Kは、例として、第1水中航走体9aで0.9(K11)、第2水中航走体9bで0.3(K12)となっている。よって、第1水上航走体8aから見た第1水中航走体9aの補正スコアは、第1水中航走体9aの追尾優先度KがK11=0.9なので、SegA:6.3(7×0.9)、SegB:4.5(5×0.9)、SegC:2.7(3×0.9)となる。同様に、第1水上航走体8aから見た第2水中航走体9bの補正スコアは、第2水中航走体9bの追尾優先度KがK12=0.3なので、SegA:2.1(7×0.3)、SegB:1.5(5×0.3)、SegC:0.9(3×0.3)となる。また、第1重複領域Ra、第2重複領域Rb、第3重複領域Rcの補正スコアは、それぞれ、上述したのと同様の計算により、5.4(=4.5+0.9)、3.6(=2.7+0.9)、4.2(=2.7+1.5)となる。したがって、総合スコアStが最大となるのは、第1水中航走体9aのSegAであるので、第1水中航走体9aの目標位置Ptは、第1水中航走体9aのSegAの範囲内となる。
【0062】
他方、図5Bでは、第2水上航走体8bから見た2つの水中航走体9(9a、9b)の追尾優先度Kは、第1水中航走体9aで0.1(K21)、第2水中航走体9bで0.7(K22)となっている。よって、第2水上航走体8bから見た第1水中航走体9aの補正スコアは、第2水中航走体9bの追尾優先度KがK21=0.1なので、SegA:0.7(7×0.1)、SegB:0.5(5×0.1)、SegC:0.3(3×0.1)となる。同様に、第2水上航走体8bから見た第2水中航走体9bの補正スコアは、第2水中航走体9bの追尾優先度KがK22=0.7なので、SegA:4.9(7×0.7)、SegB:3.5(5×0.7)、SegC:2.1(3×0.7)となる。また、第1重複領域Ra、第2重複領域Rb、第3重複領域Rcの補正スコアは、それぞれ、上述したのと同様の計算により、2.6(=0.5+2.1)、2.4(=0.3+2.1)、3.8(=0.3+3.5)となる。したがって、総合スコアStが最大となるのは、第2水中航走体9bのSegAであるので、第2水中航走体9bの目標位置Ptは、第1水中航走体9bのSegAの範囲内となり、第1水中航走体9aの目標位置Ptと異なっている。
【0063】
以上の構成を備える目標位置決定装置1は、図2に示す実施形態では、水上航走体8に搭載(設置)されている。そして、上述した水中位置取得部2は、水上航走体8が備える、水中航走体9との音響通信を実現するための音響通信装置81に接続されており、音響通信装置81による音響通信により得られる情報に基づいて、位置情報Pを算出するようになっている。また、目標位置決定装置1は、少なくとも1つ(本実施形態では複数)の候補位置Pcを特定する候補位置特定部12をさらに備えている。そして、上述したスコア算出部3は、この候補位置特定部12に接続されており、候補位置特定部12が特定した候補位置Pcを取得して、候補位置Pc毎に水中航走体9毎のスコアSを算出するようになっている。
【0064】
例えば、候補位置特定部12は、上述した水上航走体8の到達可能範囲の任意の1以上の位置を、所定のアルゴリズムに従って選択する。この際、所定のアルゴリズムは、音響通信を通して得られる上記の状態情報(舵角や、進行速度など)を用いるものであっても良く、到達可能範囲をより正確に求めるのに利用しても良い。また、例えば、候補位置特定部12は、上述した到達可能範囲内を複数の領域に区分けして、各領域内の例えば中央などの任意の位置を候補位置Pcとすることにより、複数の候補位置Pcを特定しても良い。この際、上記の状態情報を用いるなどして、各領域に基づいて得られる複数の位置の取捨選択を通して、候補位置Pcを特定しても良い。
【0065】
また、図2に示す実施形態では、上述した目標位置決定部5は、スコア算出部3および追尾優先度取得部4に接続されることにより、スコアSおよび追尾優先度Kが入力されるようになっている。また、目標位置決定部5は、水上航走体8が備える、操舵装置およびスクリューなどとなる航走装置(不図示)を制御することによって水上航走体8の航走を制御する航走制御装置82にも接続されており、決定した目標位置Ptを航走制御装置82に入力するようになっている。これによって、航走制御装置82が、目標位置Ptに基づいて航走装置(不図示)を制御(操作)することにより、水上航走体8は目標位置Ptに向けて航走するようになる。
【0066】
上記の構成によれば、目標位置Ptを決定しようとする水上航走体8が、目標位置Ptの候補となる候補位置Pcに移動した仮定の下で算出する水上航走体8と各水中航走体9との通信のしやすさを示すスコアと、その水上航走体8から見た水中航走体9毎の追尾優先度Kとに基づいて、水上航走体8の目標位置Ptを決定する。このように、スコア(通信のしやすさ)のみならず、スコアおよび追尾優先度Kに基づいて水上航走体8の目標位置Ptを決定することにより、より適切な水上航走体8の目標位置Ptを決定することができる。
【0067】
すなわち、例えば、複数(例えば2つ)の水上航走体8が、それぞれ、同じ複数(例えば2つ)の水中航走体9の存在を検知(認識)している状況で目標位置Ptをそれぞれ決定する場合に、上記のスコアのみに基づいて決定すると目標位置Ptが同じになる場合がある(図5C参照)。しかし、水上航走体8毎に、通信可能な複数の水中航走体9毎に定める追尾優先度Kを加味することにより、各水上航走体8の目標位置Ptが相互に異なるように図ることができる(後述する図5A図5B参照)。これによって、複数の水中航走体9を、より少ない複数の水上航走体8で監視しようとした場合においても、各水上航走体8が相互に異なる目標位置Ptを目標に航走するように図られるので、より多くの水中航走体9を監視できるようになり、水中航走体9を適切に、効率良く監視することができる。
【0068】
次に、追尾優先度Kの定め方について、図6A図6Bを用いて説明する。図6Aは、本発明の一実施形態に係る第1水中航走体9aから見た水上航走体8の追尾優先度Kの算出方法を説明するための図である。また、図6Bは、本発明の一実施形態に係る第2水中航走体9bから見た水上航走体8の追尾優先度Kの算出方法を説明するための図である。
【0069】
幾つかの実施形態では、図6A図6Bに示すように、上述した追尾優先度Kは、水上航走体8と水中航走体9との距離Lに基づいて定められても良い。図6A図6Bに示す実施形態では、追尾優先度Kを、水上航走体8と水中航走体9との水平距離に基づいて定めるようになっている。
【0070】
この際、幾つかの実施形態では、上述した目標位置決定装置1は、図2に示すように、複数の水中航走体8の各々毎に求められる、各水中航走体9と通信可能な複数の水上航走体8の各々との距離L(水平距離)に基づいて、距離Lが最も短い水上航走体8の追尾優先度Kが最も高くなるように、追尾優先度Kを算出するように構成された機能部である追尾優先度算出部14を、さらに備えても良い。図6A図6Bには、任意の水中航走体9(9aまたは9b)を追尾可能な水上航走体8が複数(8a、8b)存在する場合が示されているが、この場合において、これらの複数の水上航走体8のうちのどの水上航走体8に、その任意の水中航走体9を優先して追尾させるのかを、任意の水中航走体9と複数の水上航走体8の各々との水平距離に基づいて決定し、追尾優先度Kとしている。つまり、任意の水中航走体9と、この任意の水中航走体9と音響通信が可能な複数の水上航走体8の各々との距離L(水平距離)をそれぞれ求め、その距離Lが短いものほど優先度が高くなるように、追尾優先度Kを定める。
【0071】
詳述すると、図6A図6Bでは、第1水中航走体9aと音響通信が可能なのは2つの水上航走体8(8a、8b)であり、第2水中航走体9bと音響通信が可能なのも2つの水上航走体8(8a、8b)であるものとする。
そして、図6Aに示すように、第1水中航走体9aと第1水上航走体8aとの水平距離がL11、第1水中航走体9aと第2水上航走体8bとの水平距離がL21であるとする。そして、これらの水平距離を用いて、第1水中航走体9aを優先して監視する水上航走体8を定める。具体的には、第1水上航走体8aから見た第1水中航走体9aの追尾優先度K11を、K11={(L21)/(L11+L21)}との算出式で求める。また、第2水上航走体8bから見た第1水中航走体9aの追尾優先度K21は、K21={(L11)/(L11+L21)}との算出式で求める。図6Aの場合では、L11<L21なので、第1水中航走体9aを優先して追尾するのは、第1水上航走体8aおよび第2水上航走体8bのうちの第1水上航走体8aとなる。
【0072】
また、図6Bに示すように、第2水中航走体9b(k=2)と第1水上航走体8a(i=1)との水平距離がL12、第2水中航走体9b(k=2)と第2水上航走体8b(i=2)との水平距離がL22であるとする。そして、この水平距離の関係から、第2水中航走体9bを優先して監視する水上航走体8を定める。具体的には、第1水上航走体8aから見た第2水中航走体9bの追尾優先度K12を、K12={(L22)/(L12+L22)}との算出式で求める。また、第2水上航走体8bから見た第1水中航走体9aの追尾優先度K21を、K22={(L12)/(L12+L22)}との算出式で求める。図6Bの場合では、L12>L22なので、第2水中航走体9bを優先して追尾するのは、第1水上航走体8aおよび第2水上航走体8bのうちの第2水上航走体8bとなる。
【0073】
このようにして定めた追尾優先度K(K11、K12、K21、K22)について、第1水上航走体8aがK11、K12を用い、第2水上航走体8bがK21、K22を用いる。例えば、上述したように、K11=0.9、K12=0.3、K21=0.1、K22=0.7とすると、第1水上航走体8aの目標位置Ptは、第1水中航走体9aのSegAの範囲内に属する領域となり、第2水上航走体8bの目標位置Ptは、第2水中航走体9bのSegAの範囲内に属する領域となる。すなわち、複数の水上航走体8(8a、8b)の各々の目標位置Ptは、異なる位置となっている。
【0074】
ただし、追尾優先度Kの算出方法は上述した実施形態に限定されない。他の幾つかの実施形態では、K11=L21^2/(L11^2+L21^2)、K21=L11^2/(L11^2+L21^2)などや、K11=1/L11、K21=1/L21など、他の算出式で求めても良い。ΣKik=固定値(1≦i≦m、1≦k≦n)となるような算出であっても良い。また、例えば、1つの水中航走体9と音響通信が可能な水上航走体8が3つの場合には、第1水中航走体9aと第1水上航走体8aとの水平距離がL11、第1水中航走体9aと第2水上航走体8bとの水平距離がL21、第1水中航走体9aと第3水上航走体8cとの水平距離がL31とした場合には、例えば、K11=1/2×(L21+L31)/(L11+L21+L31)、K21=1/2×(L11+L31)/(L11+L21+L31)、K31=1/2×(L11+L21)/(L11+L21+L31)などとなる。つまり、i番目の第i水上航走体8iから見た、第k番目の第k水中航走体9kの追尾優先度Kikは、Kik={(第k水中航走体9k(自水中航走体)を除く、水中航走体9kと第i水上航走体8iとの距離の合計の平均)÷(ΣLikの合計)}で算出しても良い。
【0075】
図2に示す実施形態では、追尾優先度算出部14と追尾優先度取得部4とが接続されており、追尾優先度取得部4は、追尾優先度算出部14が算出した追尾優先度Kを取得するようになっている。また、図2に示す実施形態では、各水中航走体9が、音響通信が可能な各水上航走体8との距離Lに基づいて、上述したように追尾優先度Kを決定すると共に、決定した追尾優先度Kを、水上航走体8に通信するようになっている。これによって、各水上航走体8は、必要な追尾優先度Kを得る。具体的には、第1水中航走体9aがK11およびK21を算出し、K11を第1水上航走体8aに送信し、K21を第2水上航走体8bに送信する。また、第2水中航走体9bがK12およびK22を算出し、K12を第1水上航走体8に送信し、K22を第2水上航走体8bに送信する。よって、第1水上航走体8a(第1水上航走体8aの追尾優先度取得部4)はK11およびK12を受信し、第2水上航走体8b(第2水上航走体8bの追尾優先度取得部4)はK21およびK22を受信する。
【0076】
ただし、上述した実施形態に本発明は限定されない。上述した実施形態では、追尾優先度算出部14が水中航走体9に搭載され、他の機能部(2~5)が水上航走体8に搭載されているが、他の幾つかの実施形態では、追尾優先度算出部14および水中位置取得部2が水中航走体9に搭載されても良い。この場合、水上航走体8に搭載された候補位置特定部12は、音響通信により、追尾優先度Kと共に、水中航走体9が音響通信により得た位置情報Pを取得する。その他の幾つかの実施形態では、上述した追尾優先度算出部14を各水上航走体8あるいは監視局またはマスタ船が備えることで、水上航走体8毎に必要な距離Lを通信により取得し、追尾優先度Kを算出しても良い。また、その他の幾つかの実施形態では、追尾優先度Kは、例えば、各水中航走体9からの距離Lが最も短い水上航走体8に対しては大きい値を設定し、その他の水上航走体8に対しては、それよりも小さい値であれば、距離Lに関係なく、任意の値を設定しても良い。
【0077】
なお、他の幾つかの実施形態では、上述した前提において、第1水上航走体8aから見た第1水中航走体9a、第2水中航走体9bの追尾優先度Kを、それぞれ、K11=L12/(L11+L12)、K12=L11/(L11+L12)、第2水上航走体8bから見た第1水中航走体9a、第2水中航走体9bの追尾優先度Kを、それぞれ、K21=L22/(L21+L22)、K22=L21/(L21+L22)などと算出しても良い。この場合には、各水上航走体8の目標位置Ptを決定するのに、その水上航走体8と通信可能な各水中航走体8との距離Lのみを取得すれば良い。よって、他の水上航走体8の存在に関係なく、水上航走体8毎に水中航走体9の追尾優先度Kを決定することが可能となる。
【0078】
上記の構成によれば、各水中航走体9の追尾優先度Kは、水上航走体8と、各水中航走体9の各々との距離Lに基づいて定められる。これによって、水上航走体8からの距離Lが近い水中航走体9ほど追尾優先度Kを大きくするといったことが可能であり、水中航走体9毎の追尾優先度Kが異なるように図ることができる。
【0079】
また、幾つかの実施形態では、追尾優先度Kは、水中航走体9の重要度Dに基づいて定められてもよい。すなわち、例えば幾つかの実施形態では、追尾優先度Kは、上記の重要度Dによって定められる。他の幾つかの実施形態では、追尾優先度Kは、上記の距離Lおよび上記の重要度Dによって定められる。この場合には、追尾優先度Kは、上述した距離Lに基づいて算出された値に、重要度Dを乗算、加算など演算することにより定めても良い。本実施形態では、追尾優先度Kは、距離Lに基づいて算出された値×重要度Dで算出するようになっている。この場合、補正スコアは、固有スコアSs×距離Lに基づいて算出された値×重要度Dとなる。その他の幾つかの実施形態では、追尾優先度Kは、上述した距離Lに基づいてのみ定められても良い。
【0080】
水中航走体9の重要度Dは、例えば、水中航走体9のミッション(前述)の重要度Dや、水中航走体9に何らかの異常が生じた場合に水中航走体9を見失う(ロスト)ことの回避を図る場合など、重点的に追尾する必要性の有無に応じた値を有する。具体的には、例えば、障害(異常)が発生した水中航走体9の重要度Dを、障害が発生していない水中航走体9より大きくしても良い。水中航走体9に異常が発生しているかは、例えば、上述したような音響通信を通して得られる状態情報に基づいて判定しても良い。また、例えば、水中航走体9に実行させるミッションの重要性が高いほど重要度Dが大きくなるようにしても良い。例えば、水中航走体9の深度(音波強度)に応じて、深度が大きいほど重要度Dが大きくなるようにしても良い。これは、音響通信装置は頂角が大きくなるとたとえ近距離であっても通信不可となる特性をもつものが多いため、浅い深度では頂角を小さくする場合には、固有スコアSsの高いセグメントの領域が狭くなる。また、水上航走体8と水中航走体9との距離(直線距離)が遠くなれば、減衰が大きくなり通信しにくくなる。このため、深度が大きく距離が大きい水中航走体9は、いずれの水上航走体8とも通信できなくなる可能性があるためである。
【0081】
上記の構成によれば、各水中航走体の追尾優先度Kは、水中航走体9の重要度D、または、その重要度Dおよび上記の距離Lに基づいて定められる。これによって、追尾優先度Kを状況に応じて適切に決定することができる。
【0082】
その他、幾つかの実施形態では、上述したスコア算出部3は、水中航走体9の未来の位置を予測するように構成された機能部である位置予測部32を、有しても良い。この場合、上述した水中航走体9の位置情報Pは、水中航走体9の未来の位置を示す未来位置情報である。位置予測部32は、音響通信により得られる水中航走体9の位置、進行方向、および速度に基づいて、この水中航走体9の一定時間後の位置を予測する。このとき、位置予測部32は、水中航走体9の位置、進行方向、および速度の履歴に基づいて水中航走体9の軌道を推定し、当該軌道に基づいて水中航走体9の一定時間後の位置を予測してもよい。また位置予測部32は、位置、進行方向、および速度に加え、記憶部1mなどに記憶されたミッション情報から特定される目的地に基づいて、水中航走体9の一定時間後の位置を予測してもよい。また、この場合の候補位置Pcは、位置予測部32が予測した位置に水中航走体9が位置するときに、水上航走体8が存在可能な地点となる。
【0083】
上記の構成によれば、水中航走体の方向、速度、舵角などから予測される未来の位置と、水上航走体の候補位置とに基づいてスコアを算出することにより、より適切な目標位置を設定することができる。
【0084】
また、幾つかの実施形態では、目標位置決定装置1が監視局やマスタ船、マスタとなる水中航走体9などに設置しても良い。この場合には、目標位置決定装置1は、航走体監視システム7が備える複数の水上航走体8および複数の水中航走体9の位置を得ることが可能となる。よって、目標位置決定装置1は、複数の水上航走体の目標位置Ptを決定することが可能となる。しかも、任意の水上航走体8の目標位置Ptを決定するのに用いる水中航走体9毎の追尾優先度Kと、他の任意の水上航走体8の目標位置Ptを決定するのに用いる水中航走体9毎の追尾優先度Kとは、水中航走体9毎に異なる値を有するように調整することが可能となる。例えば、上述した距離Lに基づいて追尾優先度Kを決定する場合には、状況によっては、K11=K21、または、K12=K22となる場合が想定される。このような場合が生じたとてしても、その場合に任意の演算を行うことで、K11≠K21、K12≠K22とすることが可能である。この任意の演算としては、ΣKik=固定値(1≦i≦m、1≦k≦n)の条件の下で行っても良い。
【0085】
上記の構成によれば、複数の水上航走体8の目標位置Ptが同じ位置となるのを確実に防止することができる。
【0086】
以下、上述した構成(機能)を備える目標位置決定装置1が行う処理に対応する水上航走体8の目標位置決定方法について、図7を用いて説明する。図7は、本発明の一実施形態に係る目標位置決定方法を示す図である。
【0087】
図7に示すように、水上航走体8の目標位置決定方法(以下、単に、目標位置決定方法)は、複数の水中航走体9の各々の位置情報Pを取得する水中位置取得ステップ(S1)と、複数の水中航走体9の各々の位置情報Pに基づいて、それぞれ、1以上の水中航走体9と通信可能な水上航走体8の候補位置Pcにおける上記のスコアSを算出するスコア算出ステップ(S3)と、複数の水中航走体9の各々について、水上航走体8による各水中航走体9の追尾優先度Kを取得する追尾優先度取得ステップ(S4)と、候補位置Pcについて水中航走体9毎に算出されたスコアS、および水中航走体9毎に取得された追尾優先度Kに基づいて、目標位置Ptを決定する目標位置決定ステップ(S5)と、を備える。これらの水中位置取得ステップ(S1)、スコア算出ステップ(S3)、追尾優先度取得ステップ(S4)、目標位置決定ステップ(S5)は、それぞれ、既に説明した水中位置取得部2、スコア算出部3、追尾優先度取得部4、目標位置決定部5が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
【0088】
上述した目標位置決定ステップ(S5)は、幾つかの実施形態では、図7に示すように、少なくとも1つの候補位置Pcについて、水中航走体9毎のスコアSおよび水中航走体9毎の追尾優先度Kに基づいて、候補位置Pc毎に総合スコアStを算出する総合スコア算出ステップ(S51)と、総合スコアStに基づいて、目標位置Ptを決定する決定ステップ(S52)と、で構成されても良い。を有しても良い。総合スコア算出ステップ(S51)、決定ステップ(S52)は、それぞれ、既に説明した総合スコア算出部51、決定部52が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
【0089】
図7に示す実施形態では、少なくとも1つの複数の候補位置Pcを特定する候補位置特定ステップ(S2)と、複数の水中航走体8の各々毎に求められる、各水中航走体9と通信可能な複数の水上航走体8の各々との距離L(水平距離)に基づいて、距離Lが最も短い水上航走体8の追尾優先度Kが最も高くなるように、追尾優先度Kを算出する追尾優先度算出ステップ(S40)とを、さらに備えている。これらの候補位置特定ステップ(S2)、追尾優先度算出ステップ(S40)は、それぞれ、既に説明した候補位置特定部12、追尾優先度算出部14が実行する処理内容と同様であるため、詳細は省略する。
【0090】
そして、図7に示す実施形態では、ステップS1において水中位置取得ステップを実行し、目標位置Ptの決定対象となる水上航走体8と音響通信が可能な複数の水中航走体9の位置情報Pを取得する。ステップS2において特定候補位置特定ステップを実行し、上記の位置情報Pとの関係において、目標位置Ptの決定対象となる水上航走体8に関する複数の候補位置Pcを特定する。ステップS3においてスコア算出ステップを実行し、複数の候補位置Pcの各々について、目標位置Ptの決定対象の水上航走体8がその候補位置Pcに位置したと仮定した場合における、水上航走体8と各水中航走体9の各々との通信のしやすさ(スコアS)を、位置情報Pを用いて算出する。
【0091】
また、ステップS40において追尾優先度算出ステップを実行することにより、既に説明したように追尾優先度Kを算出する。その後、ステップS4において追尾優先度取得ステップを目標位置Ptの決定対象の水上航走体8から見た複数の水中航航走体9の各々の追尾優先度Kを取得する。なお、追尾優先度算出ステップ(S40)は、追尾優先度取得ステップ(S4)よりも前に実行されていれば、どの段階で実行されても良い。
【0092】
ステップS5において、目標位置決定ステップ(S5)を実行する。具体的には、ステップS51において総合スコア算出ステップを実行し、ステップS52において決定ステップ(S52)を実行する。より具体的には、決定ステップ(S52)では、総合スコア算出ステップ(S51)の実行により得られた候補位置Pc毎の総合スコアStに基づいて、複数の候補位置Pcのうち総合スコアStが最も大きい候補位置Pcを、水上航走体8の目標位置Ptに決定する。
【0093】
なお、他の幾つかの実施形態では、スコア算出ステップ(S3)は、水中航走体9の未来の位置を予測する位置予測ステップを有していても良い。この場合には、水中航走体9の位置情報Pは、水中航走体9の未来位置情報である。
【0094】
なお、上述した水中位置取得部2は、第1取得部の一例である。同様に、上述したスコア算出部3は、第1算出部の一例である。追尾優先度取得部4は、第2取得部の一例である。目標位置決定部5は、第1決定部の一例である。追尾優先度算出部14は、第2算出部の一例である。位置予測部32は、予測部の一例である。総合スコア算出部51は、第3算出部の一例である。決定部52は、第2決定部の一例である。候補位置特定部12は、特定部の一例である。
【0095】
本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、上述した実施形態に変形を加えた形態や、これらの形態を適宜組み合わせた形態も含む。
【符号の説明】
【0096】
1 目標位置決定装置
1m 記憶部
12 候補位置特定部(特定部)
14 追尾優先度算出部(第2算出部)
2 水中位置取得部(第1取得部)
3 スコア算出部(第1算出部)
32 位置予測部(予測部)
4 追尾優先度取得部(第2取得部)
5 目標位置決定部(第1決定部)
51 総合スコア算出部(第3算出部)
52 決定部(第2決定部)
7 航走体監視システム
72 基地局装置
8 水上航走体
81 音響通信装置
82 制御装置
9 水中航走体
K 追尾優先度
L 距離(水平距離など)
P 位置情報
Pc 候補位置
Pt 目標位置
R 重複領域
Ra 第1重複領域
Rb 第2重複領域
Rc 第3重複領域
S スコア
Seg セグメント
Ss 固有スコア
St 総合スコア
D 重要度
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図7