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特許7173799半導体装置の製造方法およびエッチングガス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】半導体装置の製造方法およびエッチングガス
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/3065 20060101AFI20221109BHJP
   H01L 21/336 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 29/788 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 29/792 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 27/11582 20170101ALI20221109BHJP
   H01L 21/3213 20060101ALI20221109BHJP
   H01L 21/768 20060101ALI20221109BHJP
【FI】
H01L21/302 105A
H01L29/78 371
H01L27/11582
H01L21/88 D
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2018169983
(22)【出願日】2018-09-11
(65)【公開番号】P2020043239
(43)【公開日】2020-03-19
【審査請求日】2021-03-17
(73)【特許権者】
【識別番号】318010018
【氏名又は名称】キオクシア株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000157119
【氏名又は名称】関東電化工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100118843
【弁理士】
【氏名又は名称】赤岡 明
(74)【代理人】
【識別番号】100124372
【弁理士】
【氏名又は名称】山ノ井 傑
(72)【発明者】
【氏名】石野 嵩弥
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 俊行
(72)【発明者】
【氏名】下田光春
(72)【発明者】
【氏名】清水久志
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2014/104290(WO,A1)
【文献】特開2017-163032(JP,A)
【文献】特開2016-139782(JP,A)
【文献】国際公開第2013/015033(WO,A1)
【文献】特開平09-148314(JP,A)
【文献】特開2010-189338(JP,A)
【文献】国際公開第2016/117463(WO,A1)
【文献】特開平10-199865(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/3065
H01L 21/336
H01L 27/11582
H01L 21/3213
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(Cは炭素、Hは水素、Fはフッ素を表し、xは3以上の整数を表し、かつ、yおよびzはそれぞれ1以上の整数を表す)で示される鎖状炭化水素化合物を含み、
前記Cの炭素鎖上の各末端の炭素原子は、水素原子およびフッ素原子のうちのフッ素原子のみと結合している鎖状炭化水素化合物であり、
前記Cは、C、C 、C、C、C、C10、およびCHF11の少なくともいずれかを含む、エッチングガス。
【請求項2】
さらに、酸素ガス、希ガス、およびCで示されるフッ化炭素化合物ガス(aおよびbはそれぞれ1以上の整数を表す)のうちの少なくともいずれかを含むエッチングガスである、請求項1に記載のエッチングガス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、半導体装置の製造方法およびエッチングガスに関する。
【背景技術】
【0002】
3次元メモリなどの半導体装置を製造する際に、フッ素化炭化水素(C)ガスを用いたエッチングにより被加工膜に凹部を形成することがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-149451号公報
【文献】特許第5569416号公報
【文献】特許第5569353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
膜を好適にエッチングすることが可能な半導体装置の製造方法およびエッチングガスを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一の実施形態によれば、半導体装置の製造方法は、C(Cは炭素、Hは水素、Fはフッ素を表し、xは3以上の整数を表し、かつ、yおよびzはそれぞれ1以上の整数を表す)で示される鎖状炭化水素化合物を含むエッチングガスを用いて膜をエッチングすることを含む。さらに、前記Cの炭素鎖上の各末端の炭素原子は、水素原子およびフッ素原子のうちのフッ素原子のみと結合している鎖状炭化水素化合物である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。
図2】第1実施形態の半導体装置の製造方法の利点を説明するための断面図である。
図3】第1実施形態の半導体装置の製造方法の利点を説明するための模式的な断面図である。
図4】第1実施形態のエッチングガスの例を示す表である。
図5】第1実施形態のエッチングガスの特性を説明するためのグラフである。
図6】第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。図1図6において、同一または類似の構成には同一の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0008】
(第1実施形態)
図1は、第1実施形態の半導体装置の製造方法を示す断面図である。本実施形態の半導体装置については、3次元メモリを一例として説明する。
【0009】
まず、基板1上に下部層2を形成し、下部層2上に、複数の犠牲層3と複数の絶縁層4とを交互に含む積層膜を形成する(図1(a))。犠牲層3は第1膜の例であり、絶縁層4は第2膜の例である。次に、この積層膜上に上部層5を形成し、上部層5上にマスク層6を形成する(図1(a))。
【0010】
基板1は例えば、シリコン(Si)基板などの半導体基板である。図1(a)は、基板1の表面に平行で互いに垂直なX方向およびY方向と、基板1の表面に垂直なZ方向とを示している。本明細書では、+Z方向を上方向として取り扱い、-Z方向を下方向として取り扱う。-Z方向は、重力方向と一致していてもよいし、重力方向と一致していなくてもよい。
【0011】
下部層2は例えば、シリコン酸化膜(SiO)やシリコン窒化膜(SiN)などの絶縁膜や、絶縁膜間に形成された導電層である。犠牲層3は例えばシリコン窒化膜であり、絶縁層4は例えばシリコン酸化膜である。上部層5は例えば、シリコン酸化膜やシリコン窒化膜などの絶縁膜や、絶縁膜間に形成された導電層である。マスク層6は例えば、有機ハードマスク層である。
【0012】
次に、リソグラフィおよびドライエッチングにより、メモリホールMを形成するための開口パターンをマスク層6に形成する(図1(b))。次に、マスク層6を利用したドライエッチングにより、上部層5、複数の絶縁層4、複数の犠牲層3、および下部層2を貫通するメモリホールMを形成する(図1(b))。メモリホールMのアスペクト比は、例えば10以上である。メモリホールMは、凹部の例である。
【0013】
本実施形態のメモリホールMは、C(フッ素化炭化水素)ガスを含むエッチングガスを用いたドライエッチングにより形成される。ただし、Cは炭素、Hは水素、Fはフッ素を表し、x、y、zは1以上の整数を表す。その結果、このドライエッチング中にメモリホールM内の絶縁層4や犠牲層3の側面に保護膜7が形成され、絶縁層4や犠牲層3の側面が保護膜7により保護される。本実施形態の保護膜7は、C(フルオロカーボン)膜である。ただし、m、nは1以上の整数を表す。本実施形態のCは例えば、xが3以上の整数であり、かつ、yおよびzがそれぞれ1以上の整数である鎖状炭化水素化合物である。
【0014】
本実施形態では、Cガスの炭素鎖上の各末端の炭素原子(C原子)が、水素原子(H原子)およびフッ素原子(F原子)のうちのフッ素原子のみと結合している。換言すると、H原子は、炭素鎖上の各末端のC原子とは結合していない。例えば、C分子が直鎖型の鎖式C分子である場合、C分子は、2個の末端C原子と2個の非末端C原子とを含んでいる。そして、2個の末端C原子は、H原子およびF原子のうちのF原子のみと結合しており、H原子とは結合していない。4個のH原子は、いずれも非末端C原子と結合している。なお、本実施形態のC分子は、末端C原子を含んでいれば直鎖型の鎖式C分子以外でもよく、例えば側鎖型の鎖式C分子でもよい。側鎖型の鎖式C分子は、3個以上の末端C原子を含んでいる。
【0015】
本実施形態によれば、このようなエッチングガスを用いてドライエッチングを行うことで、メモリホールM内の絶縁層4や犠牲層3の側面を保護膜7により好適に保護しつつ、メモリホールMを形成することが可能となる。本実施形態のこのような効果の詳細については後述する。
【0016】
次に、保護膜7とマスク層6とを除去し、メモリホールM内にブロック絶縁膜11と、電荷蓄積層12と、トンネル絶縁膜13とを順に形成する(図1(c))。次に、メモリホールMの底部からブロック絶縁膜11と、電荷蓄積層12と、トンネル絶縁膜13とを除去し、メモリホールM内にチャネル半導体層14と、コア絶縁膜15とを順に形成する(図1(c))。電荷蓄積層12は、例えばシリコン窒化膜である。チャネル半導体層14は、例えばポリシリコン層である。ブロック絶縁膜11、トンネル絶縁膜13、およびコア絶縁膜15は、例えばシリコン酸化膜や金属絶縁膜である。
【0017】
その後、メモリホールMとは異なる位置に形成されたスリットまたはホールを介して犠牲層3を除去して絶縁層4間に複数の空洞を形成し、これらの空洞内に複数の電極層を形成する。さらには、基板1上に種々のプラグ、配線、層間絶縁膜などを形成する。このようにして、本実施形態の半導体装置が製造される。
【0018】
図2は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の利点を説明するための断面図である。
【0019】
図2(a)は、メモリホールM内の深い地点まで形成された保護膜7を示している。この場合、絶縁層4や犠牲層3の側面が保護膜7により十分に保護されるため、エッチング中に絶縁層4や犠牲層3の側面はほとんど削られない。
【0020】
一方、図2(b)は、メモリホールM内の浅い地点のみに形成された保護膜7を示している。この場合、絶縁層4や犠牲層3の側面が保護膜7により十分に保護されないため、エッチング中に絶縁層4や犠牲層3の側面が所定の値よりも大きく削られてしまう。その結果、これらの側面に、ボーイング(bowing)と呼ばれる窪みが生じてしまう(符号Bを参照)。この問題は、メモリホールMのアスペクト比が高くなるとより顕著となる。
【0021】
本実施形態の絶縁層4や犠牲層3は、図1(b)の工程において、Cガスから生成されたプラズマを用いてエッチングされる。具体的には、プラズマに含まれるラジカルにより保護膜7が形成され、プラズマに含まれるイオンにより絶縁層4や犠牲層3の側面がエッチングされる。よって、図2(a)に示すような保護膜7は、メモリホールM内の深い地点までラジカルが到達できる場合に形成されると考えられる。一方、図2(b)に示すような保護膜7は、メモリホールM内の深い地点までラジカルが到達できない場合に形成されると考えられる。
【0022】
図3は、第1実施形態の半導体装置の製造方法の利点を説明するための模式的な断面図である。
【0023】
符号P1は、末端C原子がH原子と結合したCHF分子からH原子が脱離して生成されたラジカルを示している。このCHF分子(CF=CF-CF=CHF)を含むエッチングガスは、本実施形態の比較例のエッチングガスの一例である。
【0024】
一方、符号P2は、非末端C原子がH原子と結合した(すなわち末端C原子はH原子と結合していない)CHF分子からH原子が脱離して生成されたラジカルを示している。このCHF分子(CF=CF-CH=CF)を含むエッチングガスは、本実施形態のエッチングガスの一例である。
【0025】
分子では、C-H結合の結合エネルギーがC-F結合の結合エネルギーよりも小さく、C-H結合がC-F結合よりも乖離しやすい。そのため、C分子がプラズマ化する際には、C-H結合が乖離して、C-H結合があった場所に不対電子が残ることが多い。符号P1は、末端C原子に不対電子を有するラジカルを示し、符号P2は、非末端C原子に不対電子を有するラジカルを示している。
【0026】
不対電子は反応性が高いため、絶縁層4や犠牲層3の側面にラジカルが付着する要因となる。この場合、符号P2のようにラジカルが非末端C原子に不対電子を有していると、不対電子の周りの立体障害が大きいため、ラジカルが絶縁層4や犠牲層3の側面に付着しにくい。別言すると、不対電子の周りのF原子が、不対電子と絶縁層4や犠牲層3の側面とが反応する妨げとなる。一方、符号P1のようにラジカルが末端C原子に不対電子を有していると、不対電子の周りの立体障害が小さいため、ラジカルが絶縁層4や犠牲層3の側面に付着しやすい。
【0027】
その結果、符号P1のラジカルは、絶縁層4や犠牲層3の側面への付着確率が高くなるため、メモリホールM内の深い地点まで到達しにくくなると考えられる。一方、符号P2のラジカルは、絶縁層4や犠牲層3の側面への付着確率が低くなるため、メモリホールM内の深い地点まで到達しやすくなると考えられる。よって、本実施形態によれば、符号P2のようなラジカルを使用することで、メモリホールM内の深い地点まで保護膜7を形成することが可能となる(図2(a)を参照)。
【0028】
図4は、第1実施形態のエッチングガスの例を示す表である。
【0029】
図4(a)~図4(c)はそれぞれ、xの値が3~5の整数であり、y≦zである様々なCガスを示している。xの値を3~5とした理由は、xの値が6以上のCは、蒸気圧が低く常温でガスとして供給しにくいからである。図4(a)はC原子が4個の例(x=4)を示しており、図4(b)はC原子が3個の例(x=3)を示しており、図4(c)はC原子が5個の例(x=5)を示している。表中のD.B.の値は、C分子中の二重結合の個数を示している。図4(a)は、参考として環式Cも示している。
【0030】
図5は、第1実施形態のエッチングガスの特性を説明するためのグラフである。
【0031】
図5は、様々なCガスについて、保護膜7の堆積速度をバーで示し、保護膜7の均一性を点で示している。これらのCガスの分子構造は、図4(a)~図4(c)に示す通りである。
【0032】
様々なCガスについてエッチングの実験を実施したところ、図5に示す結果が得られた。保護膜7の均一性に関しては、絶縁膜の加工でよく用いられる環式Cガスを使用した場合の保護膜7を基準に評価した。ここでは、保護膜7の膜厚の深さ方向(Z方向)における変化が小さいほど均一性が良いと評価し、具体的には、均一性の値が低いほど均一性が良いと評価した。
【0033】
その結果、図5に示すCHFガス、Cガス、Cガス、Cガス、CHFガス、C10ガスを使用した場合に、環式Cガスを使用した場合よりも、保護膜7の均一性が良いことが分かった。よって、本実施形態のエッチングガスは、Cガスとして、これらのガスの少なくともいずれかを含むことが望ましい。また、保護膜7の均一性を良くすると共に、保護膜7の堆積速度を速くすることが望ましい場合には、CHFガス、Cガス、またはCガスを使用することが望ましい。
【0034】
図4(a)~図4(c)を参照すると、図5に示すCHFガス、Cガス、Cガス、Cガス、CHFガス、C10ガスの末端C原子は、F原子のみと結合していることが分かる。よって、本実施形態のドライエッチングは、末端C原子がF原子のみと結合したCガスを使用して行うことが望ましい。
【0035】
なお、図4(a)~図4(c)において、CHFの分子構造はCF=CF-CH=CFで表され、Cの分子構造はCF=CH-CH=CFで表され、Cの分子構造はCF-CH=CH-CFで表される。また、Cの分子構造はCF-CH-CH-CFで表され、CHFの分子構造はCF=CH-CFで表され、C10の分子構造はCF-CHF-CHF-CF-CFで表される。
【0036】
なお、本実施形態のCガスの例は、これらに限られるものではない。本実施形態のCガスのその他の例は、C(CF-CH-CH-CF)ガス、C(CF-CHF-CH-CF)ガス、C(CF-CHF-CHF-CFまたはCF-CF-CH-CF)ガス、CHF(CF-CHF-CF-CF)ガス、C(CF-CH-CH-CH-CF)ガス等である。本実施形態のCガスのその他の例はさらに、Cガス、Cガス、Cガス、C10ガス、CHF11ガス等の種々の異性体であり、これらの異性体のうち、末端C原子がF原子のみと結合しているものである。
【0037】
本実施形態のエッチングガスは、Cガスとその他のガスとを含む混合ガスでもよいし、2種類以上のCガスを含む混合ガスでもよい。例えば、本実施形態のエッチングガスは、Cガスのほかに、酸素ガス、希ガス、またはC(フルオロカーボン(フッ化炭素化合物))ガスを含んでいてもよい。ただし、a、bは1以上の整数を表す。Cガスの例は、CFガス、Cガス、Cガス、Cガス、Cガス等である。
【0038】
ここで、Cガスから生成されるプラズマについて説明する。
【0039】
本実施形態の絶縁層4や犠牲層3は、図1(b)の工程において、Cガスから生成されたプラズマを用いてエッチングされる。具体的には、プラズマに含まれるラジカルにより保護膜7が形成され、プラズマに含まれるイオンにより絶縁層4や犠牲層3の側面がエッチングされる。この際のプラズマのエッチング処理工程室内の平均密度(濃度)は、例えば5.0×10~3.0×1011個/cmである。
【0040】
本実施形態のプラズマは、以下の第1から第3ラジカルを含み得る。第1ラジカルは、C分子からH原子およびF原子のうちのH原子のみが脱離して生成される。第2ラジカルは、C分子からH原子およびF原子のうちのF原子のみが脱離して生成される。第3ラジカルは、C分子からH原子およびF原子の両方が脱離して生成される。図3にて符号P2で示すラジカルは、第1ラジカルの一例である。
【0041】
本実施形態では、第1ラジカルが多く生成され、第2および第3ラジカルがあまり生成されないように、Cガスをプラズマ化することが望ましい。具体的には、プラズマ中の第1ラジカルの濃度が、プラズマ中の第2および第3ラジカルの合計濃度よりも大きくなるように、Cガスをプラズマ化することが望ましい。理由は、第2および第3ラジカルの不対電子の周りの立体障害は、多くの場合、第1ラジカルの不対電子の周りの立体障害よりも小さく、第2および第3ラジカルの付着確率は、第1ラジカルの付着確率よりも高くなるからである。
【0042】
図6は、第1実施形態の半導体装置の構造を示す断面図である。
【0043】
図6は、本実施形態の方法で製造される半導体装置の例を示している。図6は、3次元メモリのメモリセル部と階段コンタクト部とを示している。図6では、下部層2が、第1絶縁膜2a、ソース側導電層2b、および第2絶縁膜2cにより構成されており、上部層5が、カバー絶縁膜5a、ドレイン側導電層5b、第1層間絶縁膜5c、および第2層間絶縁膜5dにより構成されている。チャネル半導体層14は、基板1内の拡散層Lに電気的に接続されている。犠牲層3は、タングステン(W)層などを含む電極層3’に置き換えられている。電極層3’は第1膜の例である。
【0044】
図6はさらに、上部層5のコンタクトホールH内に形成されたコンタクトプラグ16を示している。各コンタクトプラグ16は、対応する電極層3’に電気的に接続されるように形成されている。
【0045】
以上のように、本実施形態のメモリホールMは、Cガスを含むエッチングガスを用いて形成され、Cガスの炭素鎖の各末端のC原子は、H原子およびF原子のうちのF原子のみと結合している。そのため、本実施形態では、メモリホールM内の深い位置まで保護膜7を形成することができ、メモリホールM内の絶縁層4や犠牲層3の側面を保護膜7により好適に保護することができる。よって、本実施形態によれば、絶縁層4や犠牲層3を好適にエッチングしてメモリホールMを形成することが可能となる。本実施形態によれば、例えば10以上という高いアスペクト比を有するメモリホールMも好適な形状に形成することが可能となる。
【0046】
なお、図1(a)の工程では、下部層2上に複数の犠牲層3と複数の絶縁層4とを交互に形成する代わりに、下部層2上に複数の電極層3’と複数の絶縁層4とを交互に形成してもよい。この場合、犠牲層3を電極層3’に置き換える工程が不要となる。
【0047】
また、本実施形態のドライエッチングは、メモリホールMの加工以外の工程にも適用可能であり、例えばメモリホールM以外の凹部を加工する工程にも適用可能である。
【0048】
以上、いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例としてのみ提示したものであり、発明の範囲を限定することを意図したものではない。本明細書で説明した新規な方法およびガスは、その他の様々な形態で実施することができる。また、本明細書で説明した方法およびガスの形態に対し、発明の要旨を逸脱しない範囲内で、種々の省略、置換、変更を行うことができる。添付の特許請求の範囲およびこれに均等な範囲は、発明の範囲や要旨に含まれるこのような形態や変形例を含むように意図されている。
【符号の説明】
【0049】
1:基板、2:下部層、2a:第1絶縁膜、2b:ソース側導電層、
2c:第2絶縁膜、3:犠牲層、3’:電極層、4:絶縁層、
5:上部層、5a:カバー絶縁膜、5b:ドレイン側導電層、
5c:第1層間絶縁膜、5d:第2層間絶縁膜、6:マスク層、7:保護膜、
11:ブロック絶縁膜、12:電荷蓄積層、13:トンネル絶縁膜、
14:チャネル半導体層、15:コア絶縁膜、16:コンタクトプラグ
図1
図2
図3
図4
図5
図6