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特許7173811乗員モニタリング装置、乗員モニタリング方法、および乗員モニタリングプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】乗員モニタリング装置、乗員モニタリング方法、および乗員モニタリングプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20221109BHJP
【FI】
G06T7/00 660A
G06T7/00 650Z
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2018181985
(22)【出願日】2018-09-27
(65)【公開番号】P2020052773
(43)【公開日】2020-04-02
【審査請求日】2021-08-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 晋
(72)【発明者】
【氏名】加藤 隆志
(72)【発明者】
【氏名】山田 祐也
(72)【発明者】
【氏名】服部 哲也
(72)【発明者】
【氏名】山田 善之
(72)【発明者】
【氏名】河合 雄太
(72)【発明者】
【氏名】松村 健
【審査官】片岡 利延
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-327072(JP,A)
【文献】特開2010-003117(JP,A)
【文献】特開2018-060466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両内において乗員の顔が存在する可能性のある領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する取得部と、
前記取得部により取得された前記撮像画像が、少なくとも、前記乗員の顔の特徴部分は含まないが前記乗員の体の少なくとも一部を含む第1の画像と、前記乗員の体を全く含まない第2の画像と、のいずれに該当するかを判別する判別部と、
前記撮像画像に基づいて前記乗員の顔の状態変化をモニタリングし、前記判別部による判別結果に応じて、前記乗員の顔の状態変化をモニタリングするために設定される乗員パラメータをリセットするか否かを切り替える処理部と、
を備え、
前記判別部は、前記撮像画像が、前記第1の画像と、前記第2の画像と、前記乗員の顔を含む第3の画像と、のいずれに該当するかを判別し、
前記処理部は、
前記撮像画像が前記第1の画像に該当すると前記判別部により判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記乗員の顔に関する顔情報を検出することなく、前記乗員パラメータを保持し、
前記撮像画像が前記第2の画像に該当すると前記判別部により判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記顔情報を検出することなく、前記乗員パラメータをリセットし、
前記撮像画像が前記第3の画像に該当すると前記判別部により判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記顔情報を検出するとともに、前記乗員パラメータを更新する、
乗員モニタリング装置。
【請求項2】
前記取得部は、前記撮像画像を継続的に複数回取得し、
前記処理部は、
前記撮像画像が前記第3の画像に該当すると前記判別部により判別された場合、前記顔情報を検出するとともに前記乗員パラメータを更新した後、前記取得部により次に取得される前記撮像画像に基づいて前記顔情報のトラッキングを実行し、
前記撮像画像が前記第1の画像または前記第2の画像に該当すると前記判別部により判別された場合、前記顔情報を検出することなく前記乗員パラメータを保持またはリセットした後、前記顔情報のトラッキングを実行することなく、前記取得部により次に取得される前記撮像画像を対象とした前記判別部による判別結果に応じて、前記顔情報を検出するか否か、および、前記乗員パラメータを保持するかリセットするか更新するか、を切り替える、
請求項に記載の乗員モニタリング装置。
【請求項3】
前記取得部は、前記撮像画像を継続的に複数回取得し、
前記処理部は、前記撮像画像が前記第2の画像に該当すると前記判別部により判別された後、最初に、前記撮像画像が前記第3の画像に該当すると前記判別部により判別された場合に、前記撮像画像に基づいて前記乗員を識別し、識別結果に応じて、乗員ごとに予め設定されたサービスを実行する、
請求項またはに記載の乗員モニタリング装置。
【請求項4】
前記乗員パラメータは、前記乗員の顔の三次元の形状を含む構造を表す三次元モデルにおける、前記乗員の眼球の中心の位置を含む、
請求項1~のいずれか1項に記載の乗員モニタリング装置。
【請求項5】
前記判別部は、前記撮像画像と同様の情報を含む学習用画像と、当該学習用画像が少なくとも前記第1の画像と前記第2の画像とのいずれに該当するかと、を機械学習により学習することで生成される学習済みモデルに基づいて、前記取得部により取得された前記撮像画像が少なくとも前記第1の画像と前記第2の画像とのいずれに該当するかを判別する、
請求項1~のいずれか1項に記載の乗員モニタリング装置。
【請求項6】
車両内において乗員の顔が存在する可能性のある領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記撮像画像が、少なくとも、前記乗員の顔は含まないが前記乗員の体の少なくとも一部を含む第1の画像と、前記乗員の体を全く含まない第2の画像と、のいずれに該当するかを判別する判別ステップと、
前記撮像画像に基づいて前記乗員の顔の状態変化をモニタリングし、前記判別ステップにおける判別結果に応じて、前記乗員の顔の状態変化をモニタリングするために設定される乗員パラメータをリセットするか否かを切り替える処理ステップと、
を備え、
前記判別ステップは、前記撮像画像が、前記第1の画像と、前記第2の画像と、前記乗員の顔を含む第3の画像と、のいずれに該当するかを判別し、
前記処理ステップは、
前記撮像画像が前記第1の画像に該当すると前記判別ステップにより判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記乗員の顔に関する顔情報を検出することなく、前記乗員パラメータを保持し、
前記撮像画像が前記第2の画像に該当すると前記判別ステップにより判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記顔情報を検出することなく、前記乗員パラメータをリセットし、
前記撮像画像が前記第3の画像に該当すると前記判別ステップにより判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記顔情報を検出するとともに、前記乗員パラメータを更新する、
乗員モニタリング方法。
【請求項7】
コンピュータに、
車両内において乗員の顔が存在する可能性のある領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて取得された前記撮像画像が、少なくとも、前記乗員の顔は含まないが前記乗員の体の少なくとも一部を含む第1の画像と、前記乗員の体を全く含まない第2の画像と、のいずれに該当するかを判別する判別ステップと、
前記撮像画像に基づいて前記乗員の顔の状態変化をモニタリングし、前記判別ステップにおける判別結果に応じて、前記乗員の顔の状態変化をモニタリングするために設定される乗員パラメータをリセットするか否かを切り替える処理ステップと、
を実行させ、
前記判別ステップは、前記撮像画像が、前記第1の画像と、前記第2の画像と、前記乗員の顔を含む第3の画像と、のいずれに該当するかを判別し、
前記処理ステップは、
前記撮像画像が前記第1の画像に該当すると前記判別ステップにより判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記乗員の顔に関する顔情報を検出することなく、前記乗員パラメータを保持し、
前記撮像画像が前記第2の画像に該当すると前記判別ステップにより判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記顔情報を検出することなく、前記乗員パラメータをリセットし、
前記撮像画像が前記第3の画像に該当すると前記判別ステップにより判別された場合、前記撮像画像に基づいて前記顔情報を検出するとともに、前記乗員パラメータを更新する、
乗員モニタリングプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、乗員モニタリング装置、乗員モニタリング方法、および乗員モニタリングプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両の乗員の顔を撮像することで得られる撮像画像に基づいて、乗員の顔の状態変化をモニタリングする技術が知られている。このような従来の技術では、撮像画像に写っている乗員の顔の検出結果に応じて適宜調整される乗員パラメータに基づいて、乗員の顔に関する顔情報の検出(および検出された顔情報のトラッキング)を含む乗員モニタリング処理が実行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-252301号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような従来の技術において、たとえば乗員の入れ替わりが発生した場合には、乗員パラメータをリセットし、入れ替わり後の乗員に対応するように乗員パラメータを初期値から再調整することができれば有益である。そこで、乗員パラメータをリセットするタイミングとして、たとえば、撮像画像から乗員の顔の特徴部分(目や鼻、口など)が検出されない状況が発生したタイミングが考えられる。
【0005】
しかしながら、撮像画像から乗員の顔の特徴部分が検出されない状況は、乗員が入れ替わりの際に車両から不在になる場合に発生するだけでなく、車両から不在にはなっていないものの撮像画像に顔の特徴部分が写らない位置に乗員が存在している場合にも発生しうる。後者の場合では、乗員の入れ替わりは発生していないので、乗員パラメータをリセットすると、たとえば、乗員パラメータの再調整のための無駄な処理が必要となったり、乗員モニタリング処理の精度が低下したりすることがある。
【0006】
そこで、本開示の課題の一つは、乗員パラメータをリセットするか否かの切り替えを適切に実行することが可能な乗員モニタリング装置、乗員モニタリング方法、および乗員モニタリングプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一例としての乗員モニタリング装置は、車両内において乗員の顔が存在する可能性のある領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する取得部と、取得部により取得された撮像画像が、少なくとも、乗員の顔の特徴部分は含まないが乗員の体の少なくとも一部を含む第1の画像と、乗員の体を全く含まない第2の画像と、のいずれに該当するかを判別する判別部と、撮像画像に基づいて乗員の顔の状態変化をモニタリングし、判別部による判別結果に応じて、乗員の顔の状態変化をモニタリングするために設定される乗員パラメータをリセットするか否かを切り替える処理部と、を備える。判別部は、撮像画像が、第1の画像と、第2の画像と、乗員の顔を含む第3の画像と、のいずれに該当するかを判別し、処理部は、撮像画像が第1の画像に該当すると判別部により判別された場合、撮像画像に基づいて乗員の顔に関する顔情報を検出することなく、乗員パラメータを保持し、撮像画像が第2の画像に該当すると判別部により判別された場合、撮像画像に基づいて顔情報を検出することなく、乗員パラメータをリセットし、撮像画像が第3の画像に該当すると判別部により判別された場合、撮像画像に基づいて顔情報を検出するとともに、乗員パラメータを更新する。
【0008】
上述した乗員モニタリング装置によれば、撮像画像が第1の画像と第2の画像とのいずれに該当するか、すなわち乗員の入れ替わりが発生した可能性が高いか否かに応じて、乗員パラメータをリセットするか否かの切り替えを適切に実行することができる。また、このような構成によれば、撮像画像が第1の画像と第2の画像と第3の画像とのいずれに該当するかに応じて、顔情報を検出するか否かを適切に切り替えることができるとともに、乗員パラメータを保持するかリセットするか更新するかを適切に切り替えることができる。
【0010】
この場合において、取得部は、撮像画像を継続的に複数回取得し、処理部は、撮像画像が第3の画像に該当すると判別部により判別された場合、顔情報を検出するとともに乗員パラメータを更新した後、取得部により次に取得される撮像画像に基づいて顔情報のトラッキングを実行し、撮像画像が第1の画像または第2の画像に該当すると判別部により判別された場合、顔情報を検出することなく乗員パラメータを保持またはリセットした後、顔情報のトラッキングを実行することなく、取得部により次に取得される撮像画像を対象とした判別部による判別結果に応じて、顔情報を検出するか否か、および、乗員パラメータを保持するかリセットするか更新するか、を切り替える。このような構成によれば、撮像画像が顔情報のトラッキングを実行可能な第3の画像に該当するか否かに応じて、顔情報のトラッキングを実行するか否かを適切に切り替えることができる。
【0011】
また、上述したような、撮像画像が第1の画像と第2の画像と第3の画像とのいずれに該当するかを判別する判別部を備えた乗員モニタリング装置において、取得部は、撮像画像を継続的に複数回取得し、処理部は、撮像画像が第2の画像に該当すると判別部により判別された後、最初に、撮像画像が第3の画像に該当すると判別部により判別された場合に、撮像画像に基づいて乗員を識別し、識別結果に応じて、乗員ごとに予め設定されたサービスを実行する。このような構成によれば、乗員の入れ替わりが発生した可能性が高い場合に、入れ替わり後の乗員を識別することで、乗員ごとに適切なサービスを実行することができる。
【0012】
上述した乗員モニタリング装置において、乗員パラメータは、乗員の顔の三次元の形状を含む構造を表す三次元モデルにおける、乗員の眼球の中心の位置を含む。このような構成によれば、三次元モデルにおける乗員の眼球の中心の位置を乗員パラメータとしてリセットするか否かを適切に切り替えることができる。
【0013】
また、上述した乗員モニタリング装置において、判別部は、撮像画像と同様の情報を含む学習用画像と、当該学習用画像が少なくとも第1の画像と第2の画像とのいずれに該当するかと、を機械学習により学習することで生成される学習済みモデルに基づいて、取得部により取得された撮像画像が少なくとも第1の画像と第2の画像とのいずれに該当するかを判別する。このように構成すれば、学習済みモデルに基づいて、撮像画像の判別を容易に実行することができる。
【0014】
本開示の他の一例としての乗員モニタリング方法は、車両内において乗員の顔が存在する可能性のある領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得された撮像画像が、少なくとも、乗員の顔は含まないが乗員の体の少なくとも一部を含む第1の画像と、乗員の体を全く含まない第2の画像と、のいずれに該当するかを判別する判別ステップと、撮像画像に基づいて乗員の顔の状態変化をモニタリングし、判別ステップにおける判別結果に応じて、乗員の顔の状態変化をモニタリングするために設定される乗員パラメータをリセットするか否かを切り替える処理ステップと、を備える。判別ステップは、撮像画像が、第1の画像と、第2の画像と、乗員の顔を含む第3の画像と、のいずれに該当するかを判別し、処理ステップは、撮像画像が第1の画像に該当すると判別ステップにより判別された場合、撮像画像に基づいて乗員の顔に関する顔情報を検出することなく、乗員パラメータを保持し、撮像画像が第2の画像に該当すると判別ステップにより判別された場合、撮像画像に基づいて顔情報を検出することなく、乗員パラメータをリセットし、撮像画像が第3の画像に該当すると判別ステップにより判別された場合、撮像画像に基づいて顔情報を検出するとともに、乗員パラメータを更新する。
【0015】
上述した乗員モニタリング方法によれば、撮像画像が第1の画像と第2の画像とのいずれに該当するか、すなわち乗員の入れ替わりが発生した可能性が高いか否かに応じて、乗員パラメータをリセットするか否かの切り替えを適切に実行することができる。
【0016】
本開示のさらに他の一例としての乗員モニタリングプログラムは、コンピュータに、車両内において乗員の顔が存在する可能性のある領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する取得ステップと、取得ステップにおいて取得された撮像画像が、少なくとも、乗員の顔は含まないが乗員の体の少なくとも一部を含む第1の画像と、乗員の体を全く含まない第2の画像と、のいずれに該当するかを判別する判別ステップと、撮像画像に基づいて乗員の顔の状態変化をモニタリングし、判別ステップにおける判別結果に応じて、乗員の顔の状態変化をモニタリングするために設定される乗員パラメータをリセットするか否かを切り替える処理ステップと、を実行させる。判別ステップは、撮像画像が、第1の画像と、第2の画像と、乗員の顔を含む第3の画像と、のいずれに該当するかを判別し、処理ステップは、撮像画像が第1の画像に該当すると判別ステップにより判別された場合、撮像画像に基づいて乗員の顔に関する顔情報を検出することなく、乗員パラメータを保持し、撮像画像が第2の画像に該当すると判別ステップにより判別された場合、撮像画像に基づいて顔情報を検出することなく、乗員パラメータをリセットし、撮像画像が第3の画像に該当すると判別ステップにより判別された場合、撮像画像に基づいて顔情報を検出するとともに、乗員パラメータを更新する。
【0017】
上述した乗員モニタリングプログラムによれば、撮像画像が第1の画像と第2の画像とのいずれに該当するか、すなわち乗員の入れ替わりが発生した可能性が高いか否かに応じて、乗員パラメータをリセットするか否かの切り替えを適切に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1図1は、実施形態にかかる車両の構成の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図2図2は、実施形態にかかる撮像装置の配置の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図3図3は、実施形態にかかる乗員モニタリングシステムのシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図4図4は、実施形態にかかる乗員モニタリング装置の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。
図5図5は、実施形態にかかる第1の画像の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図6図6は、実施形態にかかる第2の画像の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図7図7は、実施形態にかかる第3の画像の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
図8図8は、実施形態にかかる乗員モニタリング装置が実行する初期検出処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図9図9は、実施形態にかかる乗員モニタリング装置が実行する個人認識処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
図10図10は、実施形態にかかる乗員モニタリング装置が実行するトラッキング処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および結果(効果)は、あくまで一例であって、以下の記載内容に限られるものではない。
【0020】
まず、図1および図2を参照して、実施形態による車両1の概略的な構成について説明する。図1は、実施形態にかかる車両1の構成の一例を示した例示的かつ模式的な図であり、図2は、実施形態にかかる撮像装置201の配置の一例を示した例示的かつ模式的な図である。
【0021】
図1に示されるように、実施形態にかかる車両1は、左右2つの前輪3Fと、左右2つの後輪3Rと、を有した四輪の自動車である。以下では、簡単化のため、前輪3Fおよび後輪3Rを総称して車輪3と記載することがある。実施形態では、4つの車輪3の一部または全部の横滑り角が、操舵部303aの操舵などに応じて変化(転舵)する。
【0022】
また、図1に示されるように、実施形態にかかる車両1は、乗員(図1には不図示)が乗車する車室2aを有している。車室2a内には、乗員としての運転者X(図1には不図示)が運転席2bから操作可能な状態で、操舵部303aが設けられている。操舵部303aは、たとえば、ダッシュボード(インストルメントパネル)12から突出するように設けられたステアリングホイールやハンドルなどとしてとして構成される。なお、実施形態において、車室2a内に運転席2b以外の座席が存在していてもよいことは、言うまでもない。
【0023】
また、車室2a内には、各種の画像を出力可能な表示部8と、各種の音を出力可能な音声出力部9と、を有したモニタ装置11が設けられている。モニタ装置11は、たとえば、車室2a内のダッシュボードの車幅方向(左右方向)の中央部に設けられている。図1に示される例において、表示部8は、指やスタイラスなどの指示体が近接(接触を含む)した位置の座標を検出可能な操作入力部10によって覆われている。これにより、乗員は、表示部8に表示される画像を視認することができるとともに、操作入力部10上で指示体を用いた入力操作(たとえばタッチ操作)を行うことで、各種の操作を入力することができる。
【0024】
また、図2に示されるように、操舵部303aを支持する支持部202には、撮像装置201が設けられている。撮像装置201は、たとえばCCD(Charge Coupled Device)カメラとして構成される。
【0025】
ここで、実施形態において、撮像装置201は、運転席2bに着座した運転者Xの顔が存在する可能性のある領域を撮像するように構成されている。より具体的に、撮像装置201は、運転席2bに着座した運転者Xの顔が視野の中心に位置するように、視野角および姿勢が調整されている。
【0026】
撮像装置201は、車両1の運転が行われている間、運転者Xの顔の撮像を所定の時間間隔で周期的に実行し、撮像により得た撮像画像(に対応した画像データ)を順次、後述する乗員モニタリング装置310(図3および図4参照)に出力する。詳細は後述するが、乗員モニタリング装置310は、撮像装置201の撮像によって得られる撮像画像に基づいて、運転者Xの顔に関する顔情報の検出(および検出された顔情報のトラッキング)を含む乗員モニタリング処理を実行することで、運転者Xの顔の状態変化をモニタリングする。
【0027】
なお、図2には図示されていないが、実施形態では、撮像装置201が撮像する領域に光を照射する照明部が設けられてもよい。この場合、赤外線を照射する赤外線照明を使用すれば、運転者Xにまぶしさを感じさせることなく、撮像装置201による撮像を補助することができる。
【0028】
また、以下では、撮像装置201によって得られる、運転席2bに着座した運転者Xの顔が存在する可能性のある領域の情報を含む撮像画像に基づいて実行される乗員モニタリング処理について説明するが、乗員モニタリング処理は、運転者X以外の乗員に対しても実行可能である。すなわち、乗員モニタリング処理は、撮像装置201とは異なる位置に設けられる、運転席2b以外の他の座席に着座した乗員の顔が存在する可能性のある領域を撮像する撮像部によって得られる撮像画像に基づいても、同様に実行可能である。
【0029】
次に、図3を参照して、乗員モニタリング処理を実行する乗員モニタリング装置310を含む乗員モニタリングシステム300のシステム構成について説明する。なお、図3に示されるシステム構成は、あくまで一例であるので、様々に設定(変更)可能である。
【0030】
図3は、実施形態にかかる乗員モニタリングシステム300のシステム構成を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図3に示されるように、乗員モニタリングシステム300は、制動システム301と、加速システム302と、操舵システム303と、変速システム304と、障害物センサ305と、走行状態センサ306と、撮像装置201と、モニタ装置11と、乗員モニタリング装置310と、車載ネットワーク350と、を有している。
【0031】
制動システム301は、車両1の減速を制御する。制動システム301は、制動部301aと、制動制御部301bと、制動部センサ301cと、を有している。
【0032】
制動部301aは、たとえばブレーキペダルなどといった、車両1を減速させるための装置である。
【0033】
制動制御部301bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECU(Electronic Control Unit)である。制動制御部301bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、制動部301aを作動させることで、車両1の減速度合を制御する。
【0034】
制動部センサ301cは、制動部301aの状態を検出するための装置である。たとえば、制動部301aがブレーキペダルとして構成される場合、制動部センサ301cは、制動部301aの状態として、ブレーキペダルの位置または当該ブレーキペダルに作用している圧力を検出する。制動部センサ301cは、検出した制動部301aの状態を車載ネットワーク350に出力する。
【0035】
加速システム302は、車両1の加速を制御する。加速システム302は、加速部302aと、加速制御部302bと、加速部センサ302cと、を有している。
【0036】
加速部302aは、たとえばアクセルペダルなどといった、車両1を加速させるための装置である。
【0037】
加速制御部302bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。加速制御部302bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、加速部302aを作動させることで、車両1の加速度合を制御する。
【0038】
加速部センサ302cは、加速部302aの状態を検出するための装置である。たとえば、加速部302aがアクセルペダルとして構成される場合、加速部センサ302cは、アクセルペダルの位置または当該アクセルペダルに作用している圧力を検出する。加速部センサ302cは、検出した加速部302aの状態を車載ネットワーク350に出力する。
【0039】
操舵システム303は、車両1の進行方向を制御する。操舵システム303は、操舵部303aと、操舵制御部303bと、操舵部センサ303cと、を有している。
【0040】
操舵部303aは、たとえばステアリングホイールやハンドルなどといった、車両1の転舵輪を転舵させる装置である。
【0041】
操舵制御部303bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。操舵制御部303bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、操舵部303aを作動させることで、車両1の進行方向を制御する。
【0042】
操舵部センサ303cは、操舵部303aの状態を検出するための装置である。たとえば、操舵部303aがステアリングホイールとして構成される場合、操舵部センサ303cは、ステアリングホイールの位置または当該ステアリングホイールの回転角度を検出する。なお、操舵部303aがハンドルとして構成される場合、操舵部センサ303cは、ハンドルの位置または当該ハンドルに作用している圧力を検出してもよい。操舵部センサ303cは、検出した操舵部303aの状態を車載ネットワーク350に出力する。
【0043】
変速システム304は、車両1の変速比を制御する。変速システム304は、変速部304aと、変速制御部304bと、変速部センサ304cと、を有している。
【0044】
変速部304aは、たとえば、シフトレバーなどといった、車両1の変速比を変更するための装置である。
【0045】
変速制御部304bは、たとえば、CPUなどといったハードウェアプロセッサを有したコンピュータにより構成されるECUである。変速制御部304bは、たとえば車載ネットワーク350経由で入力される指示に基づいてアクチュエータ(不図示)を駆動し、変速部304aを作動させることで、車両1の変速比を制御する。
【0046】
変速部センサ304cは、変速部304aの状態を検出するための装置である。たとえば、変速部304aがシフトレバーとして構成される場合、変速部センサ304cは、シフトレバーの位置または当該シフトレバーに作用している圧力を検出する。変速部センサ304cは、検出した変速部304aの状態を車載ネットワーク350に出力する。
【0047】
障害物センサ305は、車両1の周囲に存在しうる障害物に関する情報を検出するための装置である。障害物センサ305は、たとえば、障害物までの距離を検出するソナーなどといった測距センサを含んでいる。障害物センサ305は、検出した情報を車載ネットワーク350に出力する。
【0048】
走行状態センサ306は、車両1の走行状態を検出するための装置である。走行状態センサ306は、たとえば、車両1の車輪速を検出する車輪速センサや、車両1の前後方向または左右方向の加速度を検出する加速度センサや、車両1の旋回速度(角速度)を検出するジャイロセンサなどを含んでいる。走行状態センサ306は、検出した走行状態を車載ネットワーク350に出力する。
【0049】
乗員モニタリング装置310は、乗員モニタリングシステム300を統括的に制御するための装置である。乗員モニタリング装置310は、撮像装置201によって得られる撮像画像に基づいて、運転者Xの顔に関する顔情報の検出(および検出された顔情報のトラッキング)を含む乗員モニタリング処理を実行することで、運転者Xの顔の状態変化をモニタリングする。なお、顔情報とは、運転者Xの目に関する目情報や、運転者Xの口に関する口情報、運転者Xの表情に関する表情情報などを含むデータである。目情報とは、目(瞼)の開閉状態や視線の向きなどを示すデータであり、口情報とは、口の開閉状態(会話の状態)などを示すデータである。
【0050】
乗員モニタリング装置310は、CPU(Central Processing Unit)310aと、ROM(Read Only Memory)310bと、RAM(Random Access Memory)310cと、SSD(Solid State Drive)310dと、表示制御部310eと、音声制御部310fと、を有したECUとして構成されている。
【0051】
CPU310aは、乗員モニタリング装置310を統括的に制御するハードウェアプロセッサである。CPU310aは、ROM310bなどに記憶された各種の制御プログラム(コンピュータプログラム)を読み出し、当該各種の制御プログラムに規定されたインストラクションにしたがって各種の機能を実現する。各種の制御プログラムには、乗員モニタリング処理を実現するための乗員モニタリングプログラムが含まれる。
【0052】
ROM310bは、上述した各種の制御プログラムの実行に必要なパラメータなどを記憶する不揮発性の主記憶装置である。
【0053】
RAM310cは、CPU310aの作業領域を提供する揮発性の主記憶装置である。
【0054】
SSD310dは、書き換え可能な不揮発性の補助記憶装置である。なお、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310においては、補助記憶装置として、SSD310dに替えて(またはSSD310dに加えて)、HDD(Hard Disk Drive)が設けられてもよい。
【0055】
表示制御部310eは、乗員モニタリング装置310で実行されうる各種の処理のうち、主として、撮像装置201から得られた撮像画像に対する画像処理や、モニタ装置11の表示部8に出力する画像データの生成などを司る。
【0056】
音声制御部310fは、乗員モニタリング装置310で実行されうる各種の処理のうち、主として、モニタ装置11の音声出力部9に出力する音声データの生成などを司る。
【0057】
車載ネットワーク350は、制動システム301と、加速システム302と、操舵システム303と、変速システム304と、障害物センサ305と、走行状態センサ306と、モニタ装置11の操作入力部10と、乗員モニタリング装置310と、を通信可能に接続する。
【0058】
ところで、従来、乗員モニタリング処理は、撮像画像に写っている乗員の顔の検出結果に応じて適宜調整される乗員パラメータに基づいて実行される。乗員パラメータの例としては、たとえば、乗員の顔の三次元の形状を含む構造を表す三次元モデルにおける乗員の眼球の中心の位置(所定の座標系における座標)や、当該三次元モデルを特定するための複数の点の位置(所定の座標系における座標)などが挙げられる。
【0059】
上記のような従来の技術において、たとえば乗員の入れ替わりが発生した場合には、乗員パラメータをリセットし、入れ替わり後の乗員に対応するように乗員パラメータを初期値から再調整することができれば有益である。そこで、乗員パラメータをリセットするタイミングとして、たとえば、撮像画像から乗員の顔の特徴部分(目や鼻、口など)が検出されない状況が発生したタイミングが考えられる。
【0060】
しかしながら、撮像画像から乗員の顔の特徴部分が検出されない状況は、入れ替わりの際に車両1から乗員が不在になる場合に発生するだけでなく、車両1から不在にはなっていないものの撮像画像に顔の特徴部分が写らない位置に乗員が存在している場合にも発生しうる。後者の場合では、乗員の入れ替わりは発生していないので、乗員パラメータをリセットすると、たとえば、乗員パラメータの再調整のための無駄な処理が必要となったり、乗員モニタリング処理の精度が低下したりすることがある。
【0061】
そこで、実施形態は、乗員モニタリング装置310に次の図4に示されるような機能を持たせることで、乗員パラメータをリセットするか否かの切り替えを適切に実行することを実現する。
【0062】
図4は、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310の機能を示した例示的かつ模式的なブロック図である。図4に示される機能は、ソフトウェアとハードウェアとの協働によって実現される。すなわち、図4に示される例において、乗員モニタリング装置310の機能は、CPU310aがROM310bなどに記憶された所定の制御プログラムを読み出して実行した結果として実現される。なお、実施形態では、図4に示される機能の少なくとも一部が専用のハードウェア(回路)によって実現されてもよい。
【0063】
図4に示されるように、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310は、取得部401と、判別部402と、処理部404と、を有している。
【0064】
取得部401は、撮像装置201によって得られる撮像画像を、所定の制御タイミングで継続的に複数回取得する。前述したように、撮像画像は、車両1内において運転者Xの顔が存在する可能性のある領域の情報を含んでいる。
【0065】
判別部402は、取得部401により取得された撮像画像が、顔の特徴部分(目や鼻、口など)は含まないが体の少なくとも一部を含む第1の画像と、顔の特徴部分はおろか体を全く含まない第2の画像と、顔の特徴部分を含む第3の画像と、のいずれに該当するかを判別する。
【0066】
より具体的に、判別部402は、機械学習の結果として生成される学習済みモデル403を有しており、当該学習済みモデル403に基づいて、撮像画像が、第1の画像、第2の画像、および第3の画像のいずれに該当するか否かを判別する。学習済みモデル403は、たとえば、第1の画像、第2の画像、または第3の画像のいずれに該当するかのラベルを複数の学習用画像のそれぞれに対して付与し、これらの学習用画像とラベルとの組み合わせを教師データとした教師あり学習によって生成することが可能である。なお、学習用画像は、たとえば撮像画像と同条件下で撮像された画像であり、撮像画像と同様の情報を含んでいるものとする。実施形態において、学習済みモデル403を生成するための機械学習は、教師あり学習に限らず、教師なし学習や強化学習、これら3つの学習スキームのうち1つ以上の組み合わせなどであってもよい。
【0067】
ここで、第1の画像、第2の画像、および第3の画像の具体例について簡単に説明する。
【0068】
図5は、実施形態にかかる第1の画像の一例を示した例示的かつ模式的な図である。この図5に示される画像500は、運転者Xの顔の特徴部分は含まないが体の少なくとも一部を含んでいるので、第1の画像の一例である。より具体的に、画像500は、運転席2bに運転者Xが座っており、運転者Xの手Hを含む体の一部は写っているものの顔の特徴部分は手Hによって隠されているので写っていない状況を表している。
【0069】
図5に示される画像500のような第1の画像からは、運転者Xの顔に関する顔情報を検出できないので顔情報の検出(および検出した顔情報のトラッキング)を含む乗員モニタリング処理に利用することは不可能であるが、運転者Xが車内に存在していること自体を検出することは可能である。以下では、第1の画像を便宜的に隠れ画像と表現することがある。
【0070】
また、図6は、実施形態にかかる第2の画像の一例を示した例示的かつ模式的な図である。この図6に示される画像600は、運転者Xの顔はおろか体の一部も全く含まないので、第2の画像の一例である。より具体的に、画像600は、運転者Xが全く写っておらず運転席2bのみが写っている状況を表している。
【0071】
図6に示される画像600のような第2の画像からは、運転者Xの顔情報を全く検出できないので顔情報の検出(および検出した顔情報のトラッキング)を含む乗員モニタリング処理に利用することは不可能である。さらに言えば、第2の画像からは、運転者Xの顔情報はおろか、運転者Xが車内に存在していることも当然に検出されないので、第2の画像は、入れ替わりなどのために車内から運転者Xが不在になった状況を表しているといえる。以下では、第2の画像を便宜的に不在画像と表現することがある。
【0072】
また、図7は、実施形態にかかる第3の画像の一例を示した例示的かつ模式的な図である。この図7に示される画像700は、運転者Xの顔の特徴部分を含んでいるので、第3の画像の一例である。より具体的に、画像700は、運転者Xの顔の全体があらわになった状況を表している。
【0073】
図7に示される画像700のような第3の画像からは、運転者Xの顔情報を検出することができる。したがって、第3の画像は、顔情報の検出(および検出した顔情報のトラッキング)を含む乗員モニタリング処理に利用することができる。以下では、第3の画像を便宜的に検出可能画像と表現することがある。
【0074】
ここで、取得部401により取得される撮像画像が不在画像に該当する場合、運転者Xの入れ替わりが発生した可能性が高いと判断できるので、乗員パラメータをリセットするのが適切である。
【0075】
一方、取得部401により取得される撮像画像が不在画像に該当する場合、顔情報を検出すること自体は不可能であるが、運転者Xの入れ替わりは発生しておらず、その後も引き続き同一人物の顔情報を検出することになると判断できるので、乗員パラメータはリセットせずにそのまま保持するのが適切である。
【0076】
また、取得部401により取得される撮像画像が検出可能画像に該当する場合、当該検出可能画像から最新の顔情報を検出することが可能であるので、当該最新の顔情報に基づいて、乗員パラメータを更新するのが適切である。
【0077】
このように、取得部401により取得される撮像画像が、不在画像、隠れ画像、および検出可能画像のいずれに該当するかに応じて、乗員パラメータの適切な取り扱い方が異なっている。
【0078】
そこで、図4に戻り、処理部404は、判別部による判別結果に応じて、運転者Xの顔の状態変化をモニタリングするために設定される乗員パラメータをリセットするか否かを切り替える。以下、処理部404の機能についてより詳細に説明する。
【0079】
処理部404は、乗員モニタリング処理の初期段階として撮像画像から最初に顔情報を検出する初期検出モードと、初期検出処理において検出された顔情報のトラッキングを実行するトラッキングモードと、の2つの制御モードにそれぞれ対応した機能モジュールを有している。
【0080】
すなわち、処理部404は、初期検出モードに対応した処理としての初期検出処理を実行する初期検出処理部405と、トラッキングモードに対応した処理としてのトラッキング処理を実行するトラッキング処理部406と、を有している。
【0081】
処理部404の制御モードは、たとえば取得部401により撮像画像が取得された場合に、初期検出モードに設定される。
【0082】
前述したように、撮像画像が検出可能画像に該当する場合、運転者Xの顔情報を検出することが可能である。したがって、実施形態において、処理部404の初期検出処理部405は、撮像画像が検出可能画像に該当する場合、撮像画像と現在の乗員パラメータとに基づいて、顔情報を検出するとともに乗員パラメータを更新する。
【0083】
より具体的に、実施形態において、処理部404の初期検出処理部405は、撮像画像が検出可能画像に該当する場合、顔の三次元の形状を含む構造を表すデータとして取得される三次元モデルを表す乗員パラメータを、検出可能画像の特徴点にマッチするように適宜調整することで、顔情報を検出するとともに乗員パラメータを更新する。
【0084】
初期検出処理部405により顔情報が正常に検出されると、処理部404の制御モードがトラッキングモードに設定される。
【0085】
そして、処理部404のトラッキング処理部406は、次に取得される撮像画像と、更新された乗員パラメータと、に基づいて、初期検出処理において検出された顔情報のトラッキングを実行する。
【0086】
一方、前述したように、撮像画像が隠れ画像または不在画像に該当する場合、運転者Xの顔情報を検出することは不可能である。したがって、実施形態において、処理部404の初期検出処理部405は、撮像画像が隠れ画像または不在画像に該当する場合、顔情報の検出を実行しないとともに、乗員パラメータを更新しない。
【0087】
より具体的に、実施形態において、処理部404の初期検出処理部405は、撮像画像が隠れ画像に該当する場合、顔情報を検出することなく、乗員パラメータを保持し、撮像画像が不在画像に該当する場合、顔情報を検出することなく、乗員パラメータをリセットする。
【0088】
このように、撮像画像が隠れ画像または不在画像に該当する場合、初期検出処理においてトラッキングの対象となる顔情報が検出されない。したがって、この場合、処理部404は、初期検出処理部405による初期検出処理の実行後、トラッキング処理部406による顔情報のトラッキングを実行することなく、初期検出処理部405による初期検出処理を再度実行する。すなわち、この場合、処理部404は、次に取得される撮像画像を対象とした判別部402による判別結果に応じて、顔情報を検出するか否かを切り替えるとともに、乗員パラメータを保持するかリセットするか更新するかを切り替える。
【0089】
ところで、前述したように、撮像画像は、取得部401により継続的に複数回取得される。このような構成においては、撮像画像が不在画像から検出可能画像に変化したタイミングは、運転者Xの入れ替わりが発生し、かつ、新たな運転者Xを撮像画像に基づいて明確に識別可能になったと判断することができる最初のタイミングに相当する。このタイミングで個人認識処理を実行すれば、オーディオや空調などの設定や、運転席2bの位置の調整などといった、運転者Xごとに予め設定(カスタマイズ)されたサービスを、識別された新たな運転者Xに対して適切に提供することが可能になる。
【0090】
そこで、実施形態において、処理部404は、上記のような個人認識処理を実行する個人認識処理部407を有している。個人認識処理部407は、撮像画像が不在画像に該当すると判別部402により判別された後、最初に、撮像画像が検出可能画像に該当すると判別部402により判別された場合に、撮像画像に基づいて運転者Xを識別し、識別結果に応じて予め設定されたサービスを実行する処理を、個人認識処理として実行する。運転者Xの識別は、たとえば画像認識処理などによって撮像画像から取得される個人の識別情報に基づいて実行される。
【0091】
以下、実施形態にかかる初期検出処理、個人認識処理およびトラッキング処理のより詳細な内容について、フローチャートとともに説明する。
【0092】
まず、初期検出処理の詳細について説明する。
【0093】
図8は、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310が実行する初期検出処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。初期検出処理は、たとえば、処理部404の制御モードが初期検出モードに設定され、かつ、取得部401により撮像画像が取得された場合に実行される。
【0094】
図8に示されるように、初期検出処理においては、まず、S801において、初期検出処理部405は、撮像画像における顔の位置を検出する。
【0095】
そして、S802において、初期検出処理部405は、撮像画像における顔の向きを検出する。
【0096】
そして、S803において、判別部402は、撮像画像の判別を実行する。
【0097】
そして、S804において、初期検出処理部405は、S802の判別結果に基づいて、撮像画像が、図7に示される画像700のような検出可能画像に該当するか否かを判断する。
【0098】
S804において、撮像画像が検出可能画像に該当すると判断された場合、S805に処理が進む。そして、S805において、個人認識処理部407は、次の図9に示されるような個人認識処理を実行する。
【0099】
図9は、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310が実行する個人認識処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。前述したように、個人認識処理とは、運転者Xの入れ替わりに応じて運転者Xごとに予め設定されたサービスを実行する処理である。
【0100】
図9に示されるように、個人認識処理においては、まず、S901において、個人認識処理部407は、判別部402による判別処理(図8に示されるS803参照)の前回の実行時に、撮像画像が不在画像に該当すると判定されていたか否かを判断する。
【0101】
S901において、撮像画像が不在画像に該当すると前回は判定されていないと判断された場合、運転者Xの入れ替わりは発生していないと判断することができる。したがって、この場合、運転者Xの識別が実行されることなく処理が終了し、図8に示されるS805の処理が終了する。
【0102】
一方、S901において、撮像画像が不在画像に該当すると前回判定されていたと判断された場合、現在のタイミングが、運転者Xの入れ替わりが発生し、かつ、新たな運転者Xを撮像画像に基づいて明確に識別可能になった最初のタイミングであると判断することができる。したがって、この場合、S902に処理が進み、当該S902において、個人認識処理部407は、新たな運転者Xを特定するために、撮像画像に対して画像認識処理などを実行し、撮像画像から、個人を識別するための識別情報を取得する。
【0103】
そして、S903において、個人認識処理部407は、S902で取得された識別情報に応じて、入れ替わり後の運転者Xに対して予め設定されたサービスを決定する。なお、乗員モニタリング装置310には、たとえば、複数の運転者Xの識別情報と、当該複数の運転者Xごとに予め設定(カスタマイズ)されたサービスに関する情報と、が対応付けられた状態で記憶されているものとする。
【0104】
そして、S904において、個人認識処理部407は、S903で決定したサービスを実行する。これにより、オーディオや空調などの設定や、運転席2bの位置の調整などといったサービスを、入れ替わり後の運転者Xに応じた適切な内容で提供することが可能となる。
【0105】
S904の処理が終了すると、図8に示されるS805の処理が終了する。
【0106】
そして、図8に戻り、S806において、初期検出処理部405は、現在保持している乗員パラメータを調整しながら、撮像画像と、顔の三次元の形状を含む構造を表すデータとして取得される三次元モデルと、のフィッティングを実行し、撮像画像に含まれる顔の位置および向きを、より詳細に検出する。初期検出処理におけるフィッティングは、たとえば、顔の三次元の形状を含む構造を表す統計的なデータとして予め設定された初期モデルに基づいて実行される。
【0107】
そして、S807において、初期検出処理部405は、S806におけるフィッティングの結果に基づいて、運転者Xの顔に関する顔情報を検出する。前述したように、顔情報とは、目に関する目情報(瞼の開閉状態や視線の向きなど)や、口に関する口情報(会話の状態など)、表情に関する表情情報などを含むデータである。
【0108】
そして、S808において、初期検出処理部405は、顔情報が正常に検出されたか否かを判断する。たとえば、初期検出処理部405は、顔情報の検出のために直近に実行された一連の処理としてのS805~S807の処理のそれぞれについて、その信頼度を示す値(スコア)を算出し、当該スコアに基づいて、S808の判断を実行する。
【0109】
S808において、顔情報が正常に検出されたと判断された場合、S809に処理が進む。そして、S809において、初期検出処理部405は、S806におけるフィッティングの結果を反映するように、乗員パラメータを更新する。
【0110】
そして、S810において、初期検出処理部405は、処理部404の次の制御モードをトラッキングモードに設定する。そして、処理が終了する。
【0111】
一方、S808において、顔情報が正常に検出されなかったと判断された場合、S811に処理が進む。そして、S811において、初期検出処理部405は、乗員パラメータを更新することなくそのまま保持する。
【0112】
そして、S812において、初期検出処理部405は、処理部404の次の制御モードを初期検出モードに設定する。そして、処理が終了する。
【0113】
なお、S804において、撮像画像が検出可能画像に該当しないと判断された場合、S813に処理が進む。そして、S813において、初期検出処理部405は、S803の判別結果に基づいて、撮像画像が、図5に示される画像500のような隠れ画像に該当するか否かを判断する。
【0114】
S813において、撮像画像が隠れ画像に該当すると判断された場合、顔情報の検出および乗員パラメータの更新は実行されない。したがって、この場合、S811に処理が進む。なお、S811以降の処理については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0115】
一方、S813において、撮像画像が隠れ画像に該当しないと判断された場合、S814に処理が進む。そして、S814において、初期検出処理部405は、S803の判別結果に基づいて、撮像画像が、図6に示される画像600のような不在画像に該当するか否かを判断する。
【0116】
S813において、撮像画像が隠れ画像に該当すると判断された場合、顔情報の検出が実行されることなく、乗員パラメータのリセットが実行される。したがって、この場合、S815に処理が進み、当該S815において、初期検出処理部405は、乗員パラメータを初期値にリセットする。
【0117】
S815の処理が終了すると、S812に処理が進み、また、S814において、撮像画像が隠れ画像に該当しないと判断された場合にも、S812に処理が進むが、S812以降の処理については、既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0118】
次に、トラッキング処理の詳細について説明する。
【0119】
図10は、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310が実行するトラッキング処理を示した例示的かつ模式的なフローチャートである。トラッキング処理は、たとえば、処理部404の制御モードがトラッキングモードに設定され、かつ、取得部401により撮像画像が取得された場合に実行される。
【0120】
図10に示されるように、トラッキング処理においては、まず、S1001において、トラッキング処理部406は、撮像画像における顔の位置のトラッキングを実行する。なお、トラッキングは、初期検出処理における各種の検出結果を利用して、探索範囲を限定したり、マッチングのためのテンプレートを流用したり、連続するフレーム間の差分に基づいて変化した部分を特定したりすることができる。したがって、一般に、トラッキングは、初期検出処理における各種の検出に比べて、処理速度が速い。
【0121】
そして、S1002において、トラッキング処理部406は、撮像画像における顔の向きのトラッキングを実行する。
【0122】
そして、S1003において、トラッキング処理部406は、現在保持している乗員パラメータを調整しながら、撮像画像と三次元モデルとのフィッティングを実行する。なお、トラッキング処理におけるフィッティングは、たとえば、前回の初期検出処理またはトラッキング処理において調整された後の最新の三次元モデルに基づいて実行される。
【0123】
そして、S1004において、トラッキング処理部406は、S1003におけるフィッティングの結果に基づいて、初期検出処理において検出された顔情報のトラッキングを実行する。
【0124】
そして、S1005において、トラッキング処理部406は、顔情報のトラッキングが正常に実行されたか否かを判断する。たとえば、トラッキング処理部406は、顔情報のトラッキングのために直近に実行された一連の処理のそれぞれについて、その信頼度を示す値(スコア)を算出し、当該スコアに基づいて、S1005の判断を実行する。
【0125】
S1005において、顔情報のトラッキングが正常に実行されたと判断された場合、S1006に処理が進む。そして、S1006において、トラッキング処理部406は、S1003におけるフィッティングの結果を反映するように、乗員パラメータを更新する。
【0126】
そして、S1007において、トラッキング処理部406は、処理部404の次の制御モードをトラッキングモードに設定する。そして、処理が終了する。
【0127】
一方、S1005において、顔情報のトラッキングが正常に実行されなかったと判断された場合、S1008に処理が進む。そして、S1008において、トラッキング処理部406は、乗員パラメータを更新することなくそのまま保持する。
【0128】
そして、S1009において、トラッキング処理部406は、処理部404の次の制御モードを初期検出モードに設定する。そして、処理が終了する。
【0129】
以上説明したように、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310は、取得部401と、判別部402と、処理部404と、を有している。取得部401は、車両1内において乗員としての運転者Xの顔が存在する可能性のある領域を撮像することで得られる撮像画像を取得する。判別部402は、取得部401により取得された撮像画像が、少なくとも、図5に示される画像500のような隠れ画像、すなわち運転者Xの顔の特徴部分は含まないが運転者Xの体の少なくとも一部を含む第1の画像と、図6に示される画像600のような不在画像、すなわち運転者Xの体を全く含まない第2の画像と、のいずれに該当するかを判別する。処理部404は、撮像画像に基づいて乗員の顔の状態変化をモニタリングし、判別部402による判別結果に応じて、運転者Xの顔の状態変化をモニタリングするために設定される乗員パラメータをリセットするか否かを切り替える。
【0130】
実施形態にかかる乗員モニタリング装置310によれば、撮像画像が隠れ画像と不在画像とのいずれに該当するか、すなわち運転者Xの入れ替わりが発生した可能性が高いか否かに応じて、乗員パラメータをリセットするか否かの切り替えを適切に実行することができる。
【0131】
実施形態にかかる乗員モニタリング装置310において、判別部402は、撮像画像が、隠れ画像と、不在画像と、図7に示される画像700のような検出可能画像、すなわち乗員の顔を含む第3の画像と、のいずれに該当するかを判別する。そして、処理部404は、撮像画像が隠れ画像に該当すると判別部402により判別された場合、撮像画像に基づいて運転者Xの顔に関する顔情報を検出することなく、乗員パラメータを保持し、撮像画像が不在画像に該当すると判別部402により判別された場合、撮像画像に基づいて顔情報を検出することなく、乗員パラメータをリセットし、撮像画像が検出可能画像に該当すると判別部402により判別された場合、撮像画像に基づいて顔情報を検出するとともに、乗員パラメータを更新する。このような構成によれば、撮像画像が隠れ画像と不在画像と検出可能画像とのいずれに該当するかに応じて、顔情報を検出するか否かを適切に切り替えることができるとともに、乗員パラメータを保持するかリセットするか更新するかを適切に切り替えることができる。
【0132】
また、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310において、取得部401は、撮像画像を継続的に複数回取得する。そして、処理部404は、撮像画像が検出可能画像に該当すると判別部402により判別された場合、顔情報を検出するとともに乗員パラメータを更新した後、取得部401により次に取得される撮像画像に基づいて顔情報のトラッキングを実行し、撮像画像が隠れ画像または不在画像に該当すると判別部402により判別された場合、顔情報を検出することなく乗員パラメータを保持またはリセットした後、顔情報のトラッキングを実行することなく、取得部401により次に取得される撮像画像を対象とした判別部402による判別結果に応じて、顔情報を検出するか否か、および、乗員パラメータを保持するかリセットするか更新するか、を切り替える。このような構成によれば、撮像画像が顔情報のトラッキングを実行可能な検出可能画像に該当するか否かに応じて、顔情報のトラッキングを実行するか否かを適切に切り替えることができる。
【0133】
また、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310において、処理部404は、撮像画像が不在画像に該当すると判別部402により判別された後、最初に、撮像画像が検出可能画像に該当すると判別部402により判別された場合に、撮像画像に基づいて運転者Xを識別し、識別結果に応じて、運転者Xごとに予め設定されたサービスを実行する。このような構成によれば、運転者Xの入れ替わりが発生した可能性が高い場合に、入れ替わり後の運転者Xを識別することで、運転者Xごとに適切なサービスを実行することができる。
【0134】
また、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310において、乗員パラメータは、運転者Xの顔の三次元の形状を含む構造を表す三次元モデルにおける、運転者Xの眼球の中心の位置を含む。このような構成によれば、三次元モデルにおける運転者Xの眼球の中心の位置を乗員パラメータとしてリセットするか否かを適切に切り替えることができる。
【0135】
また、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310において、判別部402は、撮像画像と同様の情報を含む学習用画像と、当該学習用画像が少なくとも第1の画像と第2の画像とのいずれに該当するかと、を機械学習により学習することで生成される学習済みモデル403に基づいて、取得部401により取得された撮像画像が少なくとも第1の画像と第2の画像とのいずれに該当するかを判別する。このように構成すれば、学習済みモデル403に基づいて、撮像画像の判別を容易に実行することができる。
【0136】
なお、実施形態において、乗員パラメータは、三次元モデルにおける運転者Xの眼球の中心の位置のような、乗員の顔の形状を含む構造を特定するためのパラメータに制限されるものではない。すなわち、乗員パラメータは、乗員の顔の状態変化をモニタリングするために設定されうるパラメータであれば、性別や年齢などといった、乗員の顔に直接的には関係ないパラメータも含みうる。
【0137】
また、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310において実行される乗員モニタリングプログラムは、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布されてもよい。すなわち、実施形態にかかる乗員モニタリング装置310において実行される乗員モニタリングプログラムは、インターネットなどのネットワークに接続されたコンピュータ上に格納された状態で、ネットワーク経由でのダウンロードを受け付ける、といった形で提供されてもよい。
【0138】
以上、本開示の実施形態を説明したが、上述した実施形態はあくまで一例であって、発明の範囲を限定することは意図していない。上述した新規な実施形態は、様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。上述した実施形態およびその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0139】
1 車両
310 乗員モニタリング装置
401 取得部
402 判別部
403 学習済みモデル
404 処理部
図1
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図10