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  • 特許-再加熱用食品の提供方法 図1
  • 特許-再加熱用食品の提供方法 図2
  • 特許-再加熱用食品の提供方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2022-11-08
(45)【発行日】2022-11-16
(54)【発明の名称】再加熱用食品の提供方法
(51)【国際特許分類】
   A47B 31/00 20060101AFI20221109BHJP
【FI】
A47B31/00 H
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2018193053
(22)【出願日】2018-10-12
(65)【公開番号】P2020058683
(43)【公開日】2020-04-16
【審査請求日】2021-07-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000116699
【氏名又は名称】株式会社アイホー
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 博
(72)【発明者】
【氏名】柘植 和幸
(72)【発明者】
【氏名】鋤柄 崇
【審査官】七字 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】特開昭53-094069(JP,A)
【文献】特開平11-075944(JP,A)
【文献】特開2005-270370(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A47B 31/00-31/02
A47J 39/02
B62B 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再加熱装置のカート回収工程と、
前記カート回収工程で回収したカートをカート洗浄機に投入して洗浄を行うカート洗浄工程と、
カート乾燥工程と、
前記カートを冷却室へ搬入して冷却するカート冷却工程と、
あらかじめ冷却された食事を盛り付けた食器をカートに収納する収納工程と、
出荷まで待機する待機工程と、
出荷工程と、
からなることを特徴とする、再加熱用食品の提供方法。
【請求項2】
請求項1に記載の再加熱用食品の提供方法であって、
前記カート回収工程でカートから取り出した食器を食器洗浄機へ投入して洗浄する食器洗浄工程と、
食器乾燥工程と、
食器冷却工程と、
食器に食事を盛り付ける盛付工程を更に含み、
盛付を終えた前記食器は、前記収納工程でカートに収納される
ことを特徴とする、再加熱用食品の提供方法。
【請求項3】
請求項2に記載の再加熱用食品の提供方法であって、
前記収納工程で前記カートに収納される食器は、前記カート回収工程で前記カートから取り出された食器とは別の食器であり、
前記カート冷却工程の完了に合わせて予め別の食器を使用して前記盛付工程の完了までを終えておく
ことを特徴とする、再加熱用食品の提供方法。
【請求項4】
請求項3に記載の再加熱用食品の提供方法であって、
前記カート冷却工程および前記待機工程は、同一の空間内で行う
ことを特徴とする、再加熱用食品の提供方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再加熱カートを用いたシステムにおけるカートの回収から出荷までの再加熱用食品の提供方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、病院、老人ホームなどの施設において、調理済の食材を予め食器に盛り付けた状態で加熱または冷却し、食事提供時刻に配膳する方法が知られている。
【0003】
下記先行技術文献1に示される調理品の運搬方法は、調理センターにおいて調理済の食事を食器に盛り付けてコンテナに収納して病院等の配膳対象施設へ運搬して納品し、その後、喫食を終えた食器をコンテナごと回収して調理センターへ運搬している。そして、コンテナの洗浄、消毒を行い、食事を盛り付けた食器をコンテナに収納して再び配膳対象施設へ運搬して納品する方法が開示されている。コンテナには加熱装置や冷却装置を備え、調理品を所望の温度に調整した状態で提供できるようになっている。
【0004】
この方法によれば、食事を盛り付けた食器を収納するコンテナは、常に清潔な状態を保つ必要があり、配膳対象施設から回収されたコンテナを納品用コンテナとして再度使用するために、コンテナの洗浄や消毒を行うようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-211407号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、配膳対象施設から回収されたコンテナは、作業者による手作業で洗浄することが多く、この場合洗浄に手間が掛かり、作業中の中から応援として作業者を充てるため、洗浄以外の作業は滞りやすく、コンテナ洗浄が完了する時刻の把握が困難となり、後の工程に影響が出る可能性がある。更に、作業者の身体への負担も大きく、作業者によって洗浄の仕方にバラつきが生じて洗い残しが生じる場合もあり、不衛生な状態を引き起こす恐れもある。
【0007】
本発明は、このような問題点を考慮してなされたもので、カート洗浄を自動化し、かつ、カート回収から出荷までの工程を効率よく確実に行うための再加熱用食品の提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成および手段を有する。
【0009】
本発明の再加熱用食品の提供方法は、再加熱装置のカート回収工程と、前記カート回収工程で回収したカートをカート洗浄機に投入して洗浄を行うカート洗浄工程と、カート乾燥工程と、前記カートを冷却室へ搬入して冷却するカート冷却工程と、あらかじめ冷却された食事を盛り付けた食器をカートに収納する収納工程と、出荷まで待機する待機工程と、出荷工程と、からなることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の再加熱食品の提供方法は、前記カート回収工程でカートから取り出した食器を食器洗浄機へ投入して洗浄する食器洗浄工程と、食器乾燥工程と、食器冷却工程と、食器に食事を盛り付ける盛付工程を更に含み、盛り付けを終えた食器は、前記収納工程でカートに収納されることを特徴とするものである。
【0011】
更に、前記収納工程で前記カートに収納される食器は、前記カート回収工程でカートから取り出された食器とは別の食器であり、前記カート冷却工程の完了に合わせて予め別の食器を使用して前記盛付工程の完了までを終えておくことを特徴とするものである。
【0012】
また、前記カート冷却工程および前記待機工程は、同一の空間内で行うことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の再加熱用食品の提供方法によれば、カートの洗浄作業を自動化し、かつ、カートの回収から出荷までの工程を効率よく行なうことで、作業者の負担を減らすことができる。
【0014】
また、カート洗浄工程からカート冷却工程までの予想時刻の把握が容易であり、カートの冷却が完了するタイミングに合わせて食器洗浄工程から盛付工程まで終えた食器をカート内に収納することができる。
【0015】
また、冷却が完了したカートに前もって盛り付けした別の食器を収納可能とするため、回収してきたカートが収納工程を終えるまで効率よく作業をすることができる。
【0016】
また、カート冷却工程および待機工程は、同一の空間内で行うため、別々の空間スペースの設置や異なった温度管理をすることを省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明に係る再加熱システムの一例を示す概念図である。
図2】本発明に係る再加熱装置のカート回収から出荷までの流れを示す工程図である。
図3】本発明に係る再加熱装置のカート回収から出荷までの時間グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明に係る再加熱システムの一例を示す概念図である。調理センター1は、特に図示はないが、調理室の他に少なくとも洗浄室、冷却室、盛付室、出荷室を設けていることが好ましい。そして、調理センター1の調理室で調理された食事は、冷却室で急速冷却およびチルド保存が施された後、盛付室にて食器Dに盛り付けられてトレー3に配置される。トレー3に配置された食器Dは、チルド状態を維持したままカートKに収納され、出荷時刻まで冷却室でチルド保存される。出荷時刻になると、カートKは出荷室から配送車4に載せられて病院2へ出荷される。
【0020】
病院2に到着後、配送車4から降ろされたカートKは、加熱冷却機能を備えたステーション22に接続した断熱カート21に収納される。カートK内は予約時刻までチルド状態を維持し、予約時刻になるとご飯や汁物等の温食用のみを再加熱する。再加熱完了後、ステーション22に接続されている断熱カート21からカートKを取り外して搬送させながら、各病室へ配膳される。喫食を終えた食器Dは、再びカートKに収納して下膳し、配送車4に載せて調理センター1の洗浄室へ回収される。回収されたカートKや食器Dは、それぞれ洗浄、乾燥、冷却を行った後、再び食器Dに食事が盛り付けられる。このようにして、カートKを調理センター1と病院2との間で往来させることによって、食事を提供できるようになっている。
【0021】
なお、この食事を提供するときに用いるカートKは、内部を上下複数段に区画された棚31と、内部を鉛直方向に温空間と冷空間に仕切るための仕切壁32が設けられており、各棚31には、温空間と冷空間とに仕切った状態でトレー3と食器Dが収納されている。また、カートKの内部を外気と遮蔽可能とするための開閉扉33を有し、さらにカートKの底面には移動を可能にするためのキャスター34を備えている。
【0022】
また、調理センター1が出荷時刻までに安定的に食事を出荷できるように準備するためには、カート回収から出荷までに行う作業を工程ごとに区別し、各工程の所要時間を把握することが必要である。以下、病院2からのカートKの回収から出荷までの工程を、図2を用いて詳述する。
【0023】
配送車4に載せられて病院2から回収されたカートKは、カート洗浄機5および食器洗浄機7が設置されている洗浄室に搬入される。作業者は、カートK内に収納されているトレー3を各棚から取り出し、カートKと、トレー3およびトレー3に載っている食器Dを分離する(カート回収工程S1)。
【0024】
そして、カートKをカート洗浄機5に投入する。カート洗浄機5は、カートKを搬送する搬送コンベアが備えられ、トンネル状に設けられた洗浄部を搬送コンベアでカートKを搬送しながら洗浄、水切りを行う連続式の洗浄機である。カート洗浄機5内の洗浄部を通過するカートKへ向けて洗剤を含んだ洗浄水を噴射するノズルを配置し、主にカートKの内面や棚31に洗浄水を吹き付けて付着した汚れを洗い流して予備洗浄を行う。予備洗浄の後、カートKへ向けてすすぎ水を噴射するノズルを配置し、カートKに残っている洗剤を洗い流して本洗浄を行い、最後に上水によってすすぎ水を洗い流して仕上げ洗浄を行う(カート洗浄工程S2)。
【0025】
なお、予備洗浄で用いる洗浄水、本洗浄で用いるすすぎ水、さらには仕上げ洗浄で用いる上水を予め加熱したものをカートKに噴き付けて洗浄されるカートK自体に熱を持たせ、洗浄後のカートKに付着した水滴の乾燥を促すようにしてもよい。
【0026】
洗浄部を通過したカートKは、カート洗浄機5内に設けられた洗浄部に隣接するトンネル状の脱水部へ移動し、ファンの風圧によってカートKに付着している水滴を吹き飛ばす。特に、水滴が残り易い各棚31および各棚31から落ちた水滴を受け止める内側下面に向かって、空気を吹き付けるようにしている(カート乾燥工程S3)。
【0027】
なお、ファンは本体の外部から取り入れた空気をそのまま吹き付けるタイプのものの他、ヒータで加熱した風を吹き付け、熱によって蒸発させることも兼ねたタイプのものでもよい。また、空気を吹き付けてカートKに付着している水滴を吹き飛ばすとき、カートKを空気の流れ方向に向けて傾けることによって、個々の水滴を一方向へ集めて落とし易くするようにしてもよい。
【0028】
洗浄および水切りを終えて、カート洗浄機5の搬出口から取り出されたカートKは、冷却室内に設置されたカート用チルド庫6へ移動して所定温度まで冷却する。カート用チルド庫6は、3℃程度に設定されており、カートKを複数台収容できるプレハブ式の冷蔵庫である。食事を盛り付けた食器Dを収納する前にカートKを少なくとも常温、好ましくは10℃より低くなるまで冷却しておくことで、後述する収納工程S5時に3℃程度に保持するチルド状態の食事がカートK自体の熱で温度が上昇してしまうのを防ぐことができる(カート冷却工程S4)。
【0029】
カートKの冷却完了後、カート用チルド庫6からカートKを取り出し、盛付室へ移動させる。盛付室は、チルド状態の食事を食器Dに盛り付けるための作業空間である。作業者は、後述する盛付工程R4で食事が盛り付けられた食器Dをトレー3に配置してカートKに収納する(収納工程S5)。なお、盛付室の室温は、チルド状態の食事を維持できるように10℃程度の低温に設定されていることが望ましい。
【0030】
食器Dを収納したカートKをカート用チルド庫6へ搬入し、出荷予定時刻まで食事をカートKごとチルド保存しながら待機する(待機工程S6)。
【0031】
なお、カート用チルド庫6へ搬入されてくるカートKは、盛付室にて開閉扉33を閉じてから移送されてくる。開閉扉33は、外気と遮蔽可能とするもので、断熱性まで無いことから、カート用チルド庫6に移送されたカートKの内部に収納されている食事は、チルド保存されることとなる。また、開閉扉33を閉じておくことにより、カートK内の食事に異物の混入を防ぐことはもちろんのことである。
【0032】
そして、出荷予定時刻になるとカートKをカート用チルド庫6から取り出して出荷室へ搬入し、配送車4に積み込んで病院2へ出荷する(出荷工程S7)。なお、配送車4は、カートKを配送するとき、チルド状態の食事の温度を上昇させることなく維持できることが望ましい。
次に、食器Dの洗浄から盛り付けまでの工程を詳述する。
【0033】
カート回収工程S1でカートKから取り出された食器Dを、食器洗浄機7に投入する。食器洗浄機7は、食器Dを搬送コンベアで搬送しながらノズルから噴射される洗浄水によって洗浄を行う連続式の食器洗浄機である。食器洗浄機7内を通過する食器Dは、食器Dに付着した残滓を落として予備洗浄を行い、食器Dに残った油分などの汚れを洗剤洗浄水で洗い流した後、上水ですすぎ洗いをする(食器洗浄工程R1)。
【0034】
洗浄を終えた食器Dは、専用のカゴに入れ、洗浄室内に配置している消毒保管庫8に収容して、消毒保管庫8内に設けたファンからの熱風により食器Dを乾燥、消毒する(食器乾燥工程R2)。消毒保管庫8は、前後両面に扉を設けたパススルー式であり、洗浄室側に設けた前面扉から収容した食器Dは、洗浄室と隣接する盛付室側に設けた背面扉よりカゴに収容した食器Dを取り出せるようになっている。
【0035】
乾燥後、消毒保管庫8の運転を止め、食器Dは食事の盛り付けを開始する時刻まで消毒保管庫8内で保管される。食器を消毒保管庫8内で一定時間保管している間、食器Dは食事を盛り付けることが出来る程度の温度(常温)まで自然冷却される。(食器冷却工程R3)。なお、消毒保管庫8に冷却装置を設けて、乾燥、消毒を終えた食器Dを強制的に冷却しても良い。
【0036】
食器Dの冷却完了後、食器Dを消毒保管庫8の背面扉から取り出して盛付室へ移動させて作業台(図示せず)に並べる。食器Dに盛り付けられる食事は、盛付室に隣接する調理室(図示せず)で調理した後に冷却室のチルド庫(図示せず)でチルド保存したものである。作業者は、チルド保存されている調理済の食事をチルド庫から取り出し、作業台に揃えてから食器Dに食事を盛り付けてゆき、トレー3に配置する(盛付工程R4)。そして食器Dを配置したトレー3を、カート用チルド庫6から取り出したカートKに収納する。
【0037】
このようにして、食事を終えた食器Dを収納しているカートKの回収から、次の食事を盛り付けた食器DをカートKに収納するまでの作業者に手間が掛かる区間において、カートKの洗浄を自動化することで、作業者の負担を軽減することができ、またはチルド状態の食事を食器Dに盛り付ける等、作業者が直接手掛けた方が好ましい他の作業に労力を充てることができる。また、手作業によるカートK内の洗い残しがありながら次の食器Dを収納するといった不衛生な状況を防ぐことができる。
【0038】
以上の工程を経て、病院2から回収されてきたカートKおよび食器Dは、出荷のための準備が行われる。
【0039】
ここで、カート回収工程S1でカートKと食器Dを分離したあと、再び同じカートKに食器Dが収納される場合と、カートKから分離した食器とは異なる食器が収納される場合とに分けて説明する。まず、カート回収工程S1でカートKから分離した食器Dが、再び同じカートKに収納される場合について説明する。
【0040】
(1)カート冷却工程S4の完了時刻と盛付工程R4の完了時刻が略同じ場合、カート用チルド庫6でカート冷却工程S4が完了したカートKを、直ぐに盛付室へ移動させることで、食器Dに食事を盛り付ける盛付工程R4が完了した食器Dは、直ぐにカートKに収納される収納工程S5となる。また、食器Dの盛付工程R4が完了する直前にカート冷却工程S4が完了したときには、直ぐにカートKをカート用チルド庫6から盛付室へ移動させて直ちに食器Dの盛付工程R4から収納工程S5に移ることができる(図3a参照)。以下、カート回収工程S1から出荷工程S7までに要する時間をTとする。
【0041】
(2)カート冷却工程S4の完了時刻より盛付工程R4の完了時刻の方が遅い場合、カートKはカート冷却工程S4が完了した後も食器の盛付工程R4が完了するまでカート用チルド庫6内でそのまま待機する。盛付工程R4の完了時刻に合わせてカートKをカート用チルド庫6から盛付室へ移動させて収納工程S5に移ることとなる(図3b参照)。この場合、時間Tは、上記(1)で要した時間T1にカートKがカート用チルド庫6で待機している時間を加えた時間(T2)となる。
【0042】
このように、カート洗浄機5を用いてカートKの洗浄を行うカート洗浄工程S2やカート乾燥工程S3の完了時刻が把握し易くなることで、スムーズに次の工程に移ることができる。また、カート冷却工程S4および盛付工程R4の双方が完了するまで、先に完了した工程に係るカートKが待機している間、適切な温度を維持した状態で保管されているため、後に完了した工程が完了すれば直ぐに次の工程である収納工程S5に移ることができる。これによって、収納工程S5を待つカートKが盛付室に置かれたままの状態で放置されるのを防ぎ、異物混入など不衛生な状況を防ぐことができる。
【0043】
次に、カート回収工程S1でカートKと分離した食器D1が、収納工程S5で同じカートKに収納できず、食器D1とは別の食器D2が収納される場合について、説明する。
【0044】
(3)カートKのカート冷却工程S4の完了時刻より食器D1の盛付工程R4の完了時刻の方が遅く、カートKによる通常の待機工程S6を経て、食事の提供を行うための出荷工程S7に食器D1の盛付工程R4が間に合わない場合、食器D1の盛付工程R4の完了を待たずにカート冷却工程S4の完了したカートKを盛付室へ移動させる。
【0045】
このとき、一つの手段として既に食器冷却工程R3までを終えて、消毒保管庫8に保管されている食器D1とは別の食器D2を使用する。作業者は、カートKのカート冷却工程S4の完了時刻に食器D2の盛付工程R4の完了時刻が合うように、予め食器D2を消毒保管庫8から盛付室へ取り出し、そしてチルド庫にチルド保存されている食事を取り出して食器D2の盛付工程R4を開始しておく。これによって盛付工程R4が終了すると直ちにカートKへの収納工程S5を行う(図3c参照)。
【0046】
また、他の手段として、既に盛付工程まで終えてチルド庫に一時的に保管させている食器D1とは別の食事が盛り付けられている食器D2を使用する。作業者は、カートKのカート冷却工程S4の完了時刻に合わせて予め取り出している食器D2をカートKに収納する収納工程S5を行う。このような場合、時間Tは、上記(2)で要した時間T2から待機時間を除いた時間であり、上記(1)の時間T1と同じ時間となる。
【0047】
このように、カート回収工程S1でカートKと分離した食器D1とを組み合わせて使用することに限らず、別の食器D2を使用することによって、全体的にカート回収から出荷までの全ての工程に必要とする時間へ近づけることができる。また、各工程の間に生じる待機時間を無くし、効率良く作業をすることができる。
【0048】
なお、本発明の実施形態について詳述したが、本発明は、前記の実施形態に限定されるものではない。本実施形態では、カート冷却工程S4と待機工程S6は、冷却室内にある一つのカート用チルド庫6を用いてカート乾燥工程S3を完了したカートKの冷却および食事を収納したカートKごとチルド保存をしているが、工程毎に別々のカート用チルド庫6を設けてカートKを収納するようにしてもよい。
【0049】
また、本実施形態では、冷却室内にあるカート用チルド庫6および盛付室を別々にしているが、1つの室内において、各工程を行うようにしてもよい。これにより、カートKがカート冷却工程S4から待機工程S6までの間、常に冷やされた状態で作業をすることができ、またカートKに収納した食事も温度変化の影響を受けずにチルド状態を維持することができる。
【0050】
また、本実施形態では、カート洗浄機5内でカート洗浄工程S2およびカート乾燥工程S3を行っているが、これに限定されず、カート洗浄工程S2とカート乾燥工程S3を別の装置で行ってもよい。例えば、カート洗浄機5内でカート洗浄工程S2を行った後、カート乾燥工程S3としてカート洗浄機5から出てきたカートKを新たに設置したカート用消毒保管庫に収納し、カートKに付着した水滴を熱風で乾燥するようにしてもよい。
【0051】
さらに、カートKには開閉扉33を設けて、カートKの搬送時に内部に収納している食事が外気と触れないようにしているが、開閉扉33の代わりにカートKをカバーで覆うようにしてもよい。
【0052】
また、本実施形態では連続式のカート洗浄機5および食器洗浄機7を用いているが、これに限定されず、バッチ式の洗浄機でも同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0053】
1 調理センター
2 病院
21 耐熱カート
22 ステーション
3 トレー
31 棚
32 仕切壁
33 開閉扉
34 キャスター
4 配送車
5 カート洗浄機
6 カート用チルド庫
7 食器洗浄機
8 消毒保管庫
S1 カート回収工程
S2 カート洗浄工程
S3 カート乾燥工程
S4 カート冷却工程
S5 収納工程
S6 待機工程
S7 出荷工程
R1 食器洗浄工程
R2 食器乾燥工程
R3 食器冷却工程
R4 盛付工程
D 食器
K カート
図1
図2
図3